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特許7482219剛化性ポリマーを含む音響複合材料、デバイス及びそれらを含むアセンブリ
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  • 特許-剛化性ポリマーを含む音響複合材料、デバイス及びそれらを含むアセンブリ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】剛化性ポリマーを含む音響複合材料、デバイス及びそれらを含むアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
H04R1/00 311
H04R1/00 321
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022522296
(86)(22)【出願日】2019-10-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 US2019056122
(87)【国際公開番号】W WO2021076096
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】アニット ダッタ
(72)【発明者】
【氏名】ライアン ケナリー
(72)【発明者】
【氏名】リンジー ノティガン
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-524895(JP,A)
【文献】特表2006-504848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00
C08J 9/00-9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質微細構造を有する延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜を含む複合材料であって、
前記ePTFE膜の多孔質微細構造は、前記複合材料の平均気流が層流体積気流(「LVA」)試験に従って測定して、1.0psiで0.0リットル/時/cmになるように剛化性ポリマーで完全に含浸されており、
前記剛化性ポリマーは、前記複合材料の総質量に基づいて40wt%~85wt%の範囲の量で前記ePTFE膜の多孔質微細構造を充填するときに、前記剛化性ポリマーを含浸させる前のePTFE膜の平均剛性と比較して前記複合材料の平均剛性を少なくとも20%増加させるポリマーであり、
前記複合材料は、音響応答測定(「ARM」)試験によって測定されたときに、1kHzで7dB未満の挿入損失を示す、複合材料。
【請求項2】
前記複合材料は厚さが10ミクロン以下である、請求項1記載の複合材料。
【請求項3】
前記複合材料は、125psiを超える破裂強度を示す、請求項1又は2記載の複合材料。
【請求項4】
前記剛化性ポリマーは、以下の少なくとも1つ:テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオリドコポリマー、ポリカプロラクトン、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリウレタン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアリーレート、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、エポキシ、アクリレート又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1又は2記載の複合材料。
【請求項5】
前記剛化性ポリマーは、以下の少なくとも1つ:テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオリドコポリマー、ポリカプロラクトン、熱可塑性ポリウレタン又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1又は2記載の複合材料。
【請求項6】
前記剛化性ポリマーは、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロメチルビニルエーテルコポリマー、シリコーンゴム、スチレンブロックコポリマー、熱可塑性コポリエステル及び熱可塑性コポリアミド、ポリエーテルイミド、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロエラストマー、ペルフルオロエラストマー、スチレン-ブタジエンゴム、エチレンジエンプロピレン(EPDM)ゴム、ニトリルゴム、ネオプレンゴム又はそれらの任意の組み合わせを含まない、請求項1又は2記載の複合材料。
【請求項7】
音響インピーダンスの実数部と虚数部との間の位相角(「φ」)が、
(I)45°<φ≦90°、及び、
(II)-90°≦φ<-45°
の関係を満たすように、前記複合材料は支配的に音響反応性である、請求項1又は2記載の複合材料。
【請求項8】
前記複合材料は、前記剛化性ポリマーを含浸させる前のePTFE膜と比較して5%~50%の変位の減少を示し、前記変位の減少は、二軸の面外変位(「BOD」)試験を使用して測定される、請求項1又は2記載の複合材料。
【請求項9】
音響デバイス、及び、
複合材料、
を含む、音響デバイスアセンブリであって、
前記複合材料は、多孔質微細構造を有する延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜を含み、
前記ePTFE膜の多孔質微細構造は、前記複合材料の平均気流が層流体積気流(「LVA」)試験に従って測定して、1.0psiで0.0リットル/時/cmになるように剛化性ポリマーで含浸されており、
前記剛化性ポリマーは、前記複合材料の総質量に基づいて40wt%~85wt%の範囲の量で前記ePTFE膜の多孔質微細構造を含浸したときに、前記剛化性ポリマーを含浸させる前のePTFE膜の平均剛性と比較して前記複合材料の平均剛性を少なくとも20%増加させるポリマーであり、
前記音響デバイスアセンブリは、音響応答測定(「ARM」)試験によって測定されたときに、1kHzで7dB未満の挿入損失を示す、音響デバイスアセンブリ。
【請求項10】
前記音響デバイスはスピーカである、請求項9記載の音響デバイスアセンブリ。
【請求項11】
前記音響デバイスはレシーバである、請求項9記載の音響デバイスアセンブリ。
【請求項12】
前記音響デバイスは、音響キャビティ及びトランスデューサを含む、請求項10又は11記載の音響デバイスアセンブリ
【請求項13】
前記トランスデューサは、前記音響キャビティ内に配置される、請求項12記載の音響デバイスアセンブリ
【請求項14】
前記複合材料は音響キャビティ上に配置される、請求項12記載の音響デバイスアセンブリ
【請求項15】
ハウジングをさらに含み、前記ハウジングは、前記音響デバイスの音響キャビティと位置合わせされた音響チャネルを含む、請求項12記載の音響デバイスアセンブリ。
【請求項16】
前記複合材料と前記ハウジングとの間に接着剤層をさらに含む、請求項15記載の音響デバイスアセンブリ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、音響複合材料、デバイス及びそれらを含むアセンブリの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
音響デバイスカバー(マイクロホンカバーなど)は、音響損失を同時に最小限に抑えながら、水圧などの外部応力から音響デバイスを保護する。これらの機能を発揮することができる音響デバイスカバーの当該技術分野における継続的な必要性が存在する。
【発明の概要】
【0003】
対象となる実施形態は、この要旨ではなく、特許請求の範囲によって規定される。この要旨は、様々な態様の高レベルの概要であり、以下の「詳細な説明」セクションでさらに記載される幾つかの概念を紹介する。この要旨は、特許請求された主題の重要な又は本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求された主題の範囲を決定するために単独で使用されることも意図されていない。主題は、明細書全体、ありとあらゆる図面及び各特許請求の範囲の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。
【0004】
本開示の幾つかの実施形態は、以下のものを含む複合材料であって、
多孔質微細構造を有する延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜を含み、ここで、前記ePTFE膜の多孔質微細構造は、前記複合材料の平均気流が層流体積気流(「LVA」)試験に従って測定して、1.0psiで0.0リットル/時/cmになるように剛化性ポリマーで完全に含浸されており、ここで、前記剛化性ポリマーは、前記複合材料の総質量に基づいて40wt%~85wt%の範囲の量で前記ePTFE膜の多孔質微細構造を充填するときに、前記剛化性ポリマーを含浸させる前のePTFE膜の平均剛性と比較して前記複合材料の平均剛性を少なくとも20%増加させるポリマーであり、ここで、前記複合材料は、音響応答測定(「ARM」)試験によって測定されたときに、1kHzで7dB未満の挿入損失を示す、複合材料に関する。複合材料は厚さが10ミクロン以下である。
【0005】
幾つかの実施形態において、前記複合材料は、125psiを超える破裂強度を示す。
【0006】
幾つかの実施形態において、前記剛化性ポリマーは、以下の少なくとも1つ:テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオリドコポリマー、ポリカプロラクトン、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリウレタン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアリーレート、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、エポキシ、アクリレート又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0007】
幾つかの実施形態において、前記剛化性ポリマーは、以下の少なくとも1つ:テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオリドコポリマー、ポリカプロラクトン、熱可塑性ポリウレタン又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0008】
幾つかの実施形態において、前記剛化性ポリマーは、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロメチルビニルエーテルコポリマー、シリコーンゴム、スチレンブロックコポリマー、熱可塑性コポリエステル及び熱可塑性コポリアミド、ポリエーテルイミド、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロエラストマー、ペルフルオロエラストマー、スチレン-ブタジエンゴム、エチレンジエンプロピレン(EPDM)ゴム、ニトリルゴム、ネオプレンゴム又はそれらの任意の組み合わせを含まない。
【0009】
幾つかの実施形態において、音響インピーダンスの実数部と虚数部との間の位相角(「φ」)が以下の関係、
(I)45°<φ≦90°、及び、
(II)-90°≦φ<-45°
を満たすように、前記複合材料は支配的に音響反応性である。
【0010】
幾つかの実施形態において、前記複合材料は、前記剛化性ポリマーを含浸させる前のePTFE膜と比較して5%~50%の変位の減少を示し、前記変位の減少は、二軸の面外変位(「BOD」)試験を使用して測定される。
【0011】
本開示の幾つかの実施形態は、音響デバイス及び複合材料を含む、音響デバイスアセンブリであって、前記複合材料は、多孔質微細構造を有する延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜を含み、ここで、前記ePTFE膜の多孔質微細構造は、前記複合材料の平均気流が層流体積気流(「LVA」)試験に従って測定して、1.0psiで0.0リットル/時/cmになるように剛化性ポリマーで含浸されており、ここで、前記剛化性ポリマーは、前記複合材料の総質量に基づいて40wt%~85wt%の範囲の量で前記ePTFE膜の多孔質微細構造を含浸したときに、前記剛化性ポリマーを含浸させる前のePTFE膜の平均剛性と比較して前記複合材料の平均剛性を少なくとも20%増加させるポリマーであり、ここで、前記音響デバイスアセンブリは、音響応答測定(「ARM」)試験によって測定されたときに、1kHzで7dB未満の挿入損失を示す、音響デバイスアセンブリに関する。
【0012】
幾つかの実施形態において、前記音響デバイスはスピーカである。
【0013】
幾つかの実施形態において、前記音響デバイスはレシーバである。
【0014】
幾つかの実施形態において、前記音響デバイスは、音響キャビティ及びトランスデューサを含む。
【0015】
幾つかの実施形態において、前記トランスデューサは、前記音響キャビティ内に配置される。
【0016】
幾つかの実施形態において、前記複合材料は音響キャビティ上に配置される。
【0017】
幾つかの実施形態において、前記音響デバイスは、ハウジングを含み、前記ハウジングは、前記音響デバイスの音響キャビティと位置合わせされた音響チャネルを含む。
【0018】
幾つかの実施形態において、前記複合材料と前記ハウジングとの間に接着剤層が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示の幾つかの実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ本明細書に記載されている。ここで詳細に図面を具体的に参照すると、示されている実施形態は、例として、そして本開示の実施形態の例示的な議論の目的のためであることが強調される。これに関して、図面とともに取られた説明は、本開示の実施形態がどのように実施されうるかを当業者に明らかにする。
【0020】
図1図1は、本開示の幾つかの実施形態による音響デバイスアセンブリの側面断面図を示している。
【0021】
図2図2は、音響デバイスアセンブリの追加の例を側面概略図で示している。
【0022】
図3図3は、幾つかの実施形態による、側面断面図での音響応答測定(「ARM」)試験装置の例を示している。
【0023】
図4図4は、挿入損失と平均剛性との例示の関係を示している。
【0024】
図5図5は、平均剛性と変位との例示の関係を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
開示されたこれらの利点及び改善の中で、本開示の他の目的及び利点は、添付の図と併せて以下の説明から明らかになるであろう。本開示の詳細な実施形態は、本明細書に開示されている。しかしながら、開示された実施形態は、様々な形態で具体化されうる本開示の単なる例示であることが理解されるべきである。さらに、本開示の様々な実施形態に関して与えられた実施例のそれぞれは、例示的であり、限定的ではないことが意図されている。
【0026】
明細書及び特許請求の範囲を通じて、以下の用語は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、本明細書に明示的に関連付けられた意味をとる。本明細書で使用される「1つの実施形態において」、「実施形態において」及び「幾つかの実施形態において」という語句は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らないが、同じであってもよい。さらに、本明細書で使用される「別の実施形態において」及び「幾つかの他の実施形態において」という語句は、必ずしも異なる実施形態を指すとは限らないが、異なっていてもよい。本開示のすべての実施形態は、本開示の範囲又は主旨から逸脱することなく、組み合わせることができることが意図されている。
【0027】
本明細書で使用されるときに、「に基づく(ベースとする)」という用語は排他的ではなく、文脈が明らかに別段の指示をしない限り、記載されていない追加のファクタに基づくことを可能にする。さらに、本明細書全体を通して、「a」、「an」及び「the」の意味は複数形の参照を包含する。「中(in)」の意味には、「中(in)」及び「上(on)」が包含される。
【0028】
本明細書で参照されるすべての以前の特許、刊行物及び試験方法は、それらの全体が参照により組み込まれる。
【0029】
本開示の幾つかの実施形態は複合材料に関する。本明細書で使用されるときに、「複合材料」という用語は、異なる物理的又は化学的特性を有する2つ以上の構成材料から作製される材料であって、組み合わされると、個々の構成要素とは異なる特性を有する材料を生成する材料を指す。
【0030】
幾つかの実施形態において、複合材料は、ポリマーが含浸された多孔質微細構造を有する延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜を含む。本明細書で使用されるときに、「含浸された」という用語は、ePTFE膜の多孔質微細構造の少なくとも一部がポリマーで充填されていることを意味する。幾つかの実施形態において、ePTFE膜の多孔質微細構造は、複数のノード及び複数のフィブリルがポリマーで含浸されるようにして、複数のフィブリルによって接続された複数のノードを含むことができる。幾つかの実施形態において、ポリマーは、ePTFE膜の断面を横切って連続層を形成するように、ePTFE膜内に含浸されている。幾つかの実施形態において、ePTFE膜の断面を横切る連続層は、気流に対するバリアとして作用することができる。
【0031】
幾つかの実施形態において、ePTFE膜の多孔質微細構造は、ポリマーで完全に含浸されている。本明細書で使用されるときに、「完全に含浸された」という用語は、得られる複合材料が、層流体積気流(「LVA」)試験を使用して測定して、1.0psiで0.0リットル/時/cmの平均空気流を示すように、ePTFE膜の多孔質微細構造全体がポリマーで完全に充填されることを意味する。LVA試験を実施する方法は、本明細書の「試験方法」のセクションに示されている。
【0032】
幾つかの実施形態において、ePTFE膜の多孔質微細構造は、剛化性ポリマーで含浸され又は完全に含浸される。本明細書で使用されるときに、「剛化性ポリマー」は、ePTFE膜の多孔質微細構造に十分な量で含浸されると、複合材料の平均剛性を、剛化性ポリマーを含浸させる前のePTFE膜の平均剛性と比較して少なくとも20%増加させるポリマーである。
【0033】
幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の40wt%~85wt%の範囲である。幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の50wt%~85wt%の範囲である。幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の60wt%~85wt%の範囲である。幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の70wt%~85wt%の範囲である。幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の80wt%~85wt%の範囲である。
【0034】
幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の40wt%~75wt%の範囲である。幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の40wt%~65wt%の範囲である。幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の40wt%~55wt%の範囲である。幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の40wt%~50wt%の範囲である。幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の40wt%~45wt%の範囲である。
【0035】
幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量に基づいて、ポリマーの50wt%~80wt%の範囲である。幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の50wt%~75wt%の範囲である。幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の50wt%~70wt%の範囲である。幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の50wt%~65wt%の範囲である。幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の50wt%~60wt%の範囲である。幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の50wt%~55wt%の範囲である。
【0036】
幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の55wt%~80wt%の範囲である。幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の55wt%~75wt%の範囲である。幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の55wt%~70wt%の範囲である。幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の55wt%~60wt%の範囲である。
【0037】
幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の60wt%~80wt%の範囲である。幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の60wt%~75wt%の範囲である。幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の60wt%~70wt%の範囲である。幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の60wt%~65wt%の範囲である。
【0038】
幾つかの実施形態において、ポリマーの十分な量は、複合材料の総質量の65wt%~70wt%の範囲である。
【0039】
幾つかの実施形態において、ポリマーが「剛化性ポリマー」であるかどうかは、「試験ePTFE膜」及び「試験複合材料」を使用することによって決定される。そのような実施形態において、試験ePTFE膜及び試験複合材料は、本開示の複合材料で使用されるePTFE膜と同じ特性を有する。具体的には、試験ePTFE膜は、多孔質微細構造を有するePTFE膜であり、試験複合材料は、複合材料の総質量に基づいて本明細書に記載される十分な量のポリマーを含浸させた試験ePTFE膜である。「試験ePTFE膜」及び「試験複合材料」は、特定のポリマーが剛化性ポリマーであるかどうかを決定することのみを目的として使用される。試験ePTFE膜にポリマーを十分な量で含浸させると、試験複合材料の平均剛性が試験ePTFE膜の平均剛性よりも少なくとも20%大きい値に増加するならば、そのポリマーは剛化性ポリマーである。試験ePTFE膜にポリマーを十分な量で含浸させても、試験複合材料の平均剛性が試験ePTFE膜の平均剛性より少なくとも20%高い値に増加しないならば、ポリマーは剛化性ポリマーではない。
【0040】
幾つかの実施形態において、本明細書で規定される十分な量でePTFE膜内に含浸されるときに、剛化性ポリマーは、剛化性ポリマーを含浸する前のePTFE膜の平均剛性と比較して、複合材料の平均剛性を少なくとも30%増加させる。幾つかの実施形態において、本明細書で規定される十分な量でePTFE膜内に含浸されるときに、剛化性ポリマーは、剛化性ポリマーを含浸する前のePTFE膜の平均剛性と比較して、複合材料の平均剛性を少なくとも40%増加させる。幾つかの実施形態において、本明細書で規定される十分な量でePTFE膜内に含浸されるときに、剛化性ポリマーは、剛化性ポリマーを含浸する前のePTFE膜の平均剛性と比較して、複合材料の平均剛性を少なくとも50%増加させる。幾つかの実施形態において、本明細書で規定される十分な量でePTFE膜内に含浸されるときに、剛化性ポリマーは、剛化性ポリマーを含浸する前のePTFE膜の平均剛性と比較して、複合材料の平均剛性を少なくとも60%増加させる。幾つかの実施形態において、本明細書で規定される十分な量でePTFE膜内に含浸されるときに、剛化性ポリマーは、剛化性ポリマーを含浸する前のePTFE膜の平均剛性と比較して、複合材料の平均剛性を少なくとも70%増加させる。幾つかの実施形態において、本明細書で規定される十分な量でePTFE膜内に含浸されるときに、剛化性ポリマーは、剛化性ポリマーを含浸する前のePTFE膜の平均剛性と比較して、複合材料の平均剛性を少なくとも80%増加させる。幾つかの実施形態において、本明細書で規定される十分な量でePTFE膜内に含浸されるときに、剛化性ポリマーは、剛化性ポリマーを含浸する前のePTFE膜の平均剛性と比較して、複合材料の平均剛性を少なくとも90%増加させる。幾つかの実施形態において、本明細書で規定される十分な量でePTFE膜内に含浸されるときに、剛化性ポリマーは、剛化性ポリマーを含浸する前のePTFE膜の平均剛性と比較して、複合材料の平均剛性を少なくとも100%増加させる。
【0041】
幾つかの実施形態において、前記剛化性ポリマーは、以下の少なくとも1つ:テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオリドコポリマー、ポリカプロラクトン、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアリーレート、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、エポキシ、アクリレート又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0042】
幾つかの実施形態において、前記剛化性ポリマーは、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオリドコポリマー、ポリカプロラクトン、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアリーレート、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、エポキシ、アクリレート及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる。
【0043】
幾つかの実施形態において、前記剛化性ポリマーは、以下の少なくとも1つ:テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオリドコポリマー、ポリカプロラクトン、熱可塑性ポリウレタン又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0044】
幾つかの実施形態において、剛化性ポリマーは、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオリドコポリマー、ポリカプロラクトン、熱可塑性ポリウレタン及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる。
【0045】
幾つかの実施形態において、前記剛化性ポリマーはエラストマーを含まない。本明細書で規定されるように、エラストマーは、少なくとも一方向で、永久変形することなく、初期の長さに対して5%~700%まで可逆的に伸長することができるポリマーである。
【0046】
幾つかの実施形態において、前記剛化性ポリマーは、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロメチルビニルエーテルコポリマー、シリコーンゴム、スチレンブロックコポリマー、熱可塑性コポリエステル及び熱可塑性コポリアミド、ポリエーテルイミド、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロエラストマー、ペルフルオロエラストマー、スチレンブタジエンゴム、エチレンジエンプロピレン(EPDM)ゴム、ニトリルゴム、ネオプレンゴム又はそれらの任意の組み合わせを含まない。
【0047】
幾つかの実施形態において、前記複合材料は、音響応答測定(「ARM」)試験によって測定されたときに、1kHzで7dB未満の挿入損失を示す。本明細書で使用されるときに、「挿入損失」という用語は、本明細書に記載の複合材料をスピーカとレシーバとの間の音響経路(例えば、キャビティ又はチャネル)に配置(「挿入」)することから生じる音圧レベルの損失を指す。ARM試験を実施するための非限定的な方法は、本明細書の「試験方法」のセクションに示されている。
【0048】
幾つかの実施形態において、前記複合材料は支配的に音響反応性である。本明細書で使用されるときに、「支配的に音響反応性」とは、複合材料の音響インピーダンスの実数部と虚数部との間の位相角(「φ」)が以下の関係:45°<φ≦90°及び-90°≦φ<-45°を満たすことを意味する。本明細書で使用されるときに、「音響インピーダンス」は、材料を横切る音響伝搬に対する材料の抵抗の尺度である。音響インピーダンスは、実数部と虚数部とを持つ複素数である。「音響リアクタンス」は、音響インピーダンスの虚数部により測定される。「音響抵抗」は、音響インピーダンスの実数部に対応する。音響インピーダンスの複素数の実数部と虚数部との間の位相角によって、材料が支配的に抵抗性であるか又は反応性であるかが決まる。
【0049】
幾つかの実施形態において、複合材料は10ミクロン以下の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は9ミクロン以下の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は、8ミクロン以下の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は7ミクロン以下の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は6ミクロン以下の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は5ミクロン以下の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は4ミクロン以下の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は3ミクロン以下の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は2ミクロン以下の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は1ミクロン以下の厚さを有する。
【0050】
幾つかの実施形態において、複合材料は、1~10ミクロンの範囲の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は、2~10ミクロンの範囲の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は、3~10ミクロンの範囲の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は、4~10ミクロンの範囲の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は、5~10ミクロンの範囲の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は、6~10ミクロンの範囲の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は、7~10ミクロンの範囲の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は、8~10ミクロンの範囲の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は、9~10ミクロンの範囲の厚さを有する。
【0051】
幾つかの実施形態において、複合材料は、1~2ミクロンの範囲の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は、1~3ミクロンの範囲の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は、1~4ミクロンの範囲の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は、1~5ミクロンの範囲の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は、1~6ミクロンの範囲の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は、1~7ミクロンの範囲の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は、1~8ミクロンの範囲の厚さを有する。幾つかの実施形態において、複合材料は、1~9ミクロンの範囲の厚さを有する。
【0052】
幾つかの実施形態において、複合材料は、120psiを超える破裂強度を示す。幾つかの実施形態において、複合材料は、125psiを超える破裂強度を示す。幾つかの実施形態において、複合材料は、130psiを超える破裂強度を示す。幾つかの実施形態において、複合材料は、135psiを超える破裂強度を示す。幾つかの実施形態において、複合材料は、140psiを超える破裂強度を示す。幾つかの実施形態において、複合材料は、145psiを超える破裂強度を示す。幾つかの実施形態において、複合材料は、150psiを超える破裂強度を示す。幾つかの実施形態において、複合材料は、160psiを超える破裂強度を示す。幾つかの実施形態において、複合材料は、170psiを超える破裂強度を示す。幾つかの実施形態において、複合材料は、180psiを超える破裂強度を示す。幾つかの実施形態において、複合材料は、190psiを超える破裂強度を示す。幾つかの実施形態において、複合材料は、200psiを超える破裂強度を示す。
【0053】
幾つかの実施形態において、複合材料は、10分の保持時間の後に、本明細書に記載の破裂強度を示す。本明細書で規定されるように、「保持時間」は、複合材料が圧力下で維持される時間の量である。幾つかの実施形態において、複合材料は、9分の保持時間の後に、本明細書に記載の破裂強度を示す。幾つかの実施形態において、複合材料は、8分の保持時間の後に、本明細書に記載の破裂強度を示す。幾つかの実施形態において、複合材料は、7分の保持時間の後に、本明細書に記載の破裂強度を示す。幾つかの実施形態において、複合材料は、6分の保持時間の後に、本明細書に記載の破裂強度を示す。幾つかの実施形態において、複合材料は、5分の保持時間の後に、本明細書に記載の破裂強度を示す。幾つかの実施形態において、複合材料は、4分の保持時間の後に、本明細書に記載の破裂強度を示す。幾つかの実施形態において、複合材料は、3分の保持時間の後に、本明細書に記載の破裂強度を示す。幾つかの実施形態において、複合材料は、2分の保持時間の後に、本明細書に記載の破裂強度を示す。幾つかの実施形態において、複合材料は、1分の保持時間の後に、本明細書に記載の破裂強度を示す。
【0054】
幾つかの実施形態において、複合材料は、剛化性ポリマーを含浸させる前のePTFE膜と比較して5%~50%の変位の減少を示し、ここで、変位の減少は、二軸の面外変位(「BOD」)試験を使用して測定される。幾つかの実施形態において、複合材料は、剛化性ポリマーを含浸させる前のePTFE膜と比較して5%~40%の変位の減少を示し、ここで、変位の減少は、二軸の面外変位(「BOD」)試験を使用して測定される。幾つかの実施形態において、複合材料は、剛化性ポリマーを含浸させる前のePTFE膜と比較して5%~30%の変位の減少を示し、ここで、変位の減少は、二軸の面外変位(「BOD」)試験を使用して測定される。幾つかの実施形態において、複合材料は、剛化性ポリマーを含浸させる前のePTFE膜と比較して5%~20%の変位の減少を示し、ここで、変位の減少は、二軸の面外変位(「BOD」)試験を使用して測定される。幾つかの実施形態において、複合材料は、剛化性ポリマーを含浸させる前のePTFE膜と比較して5%~10%の変位の減少を示し、ここで、変位の減少は、二軸の面外変位(「BOD」)試験を使用して測定される。
【0055】
幾つかの実施形態において、複合材料は、剛化性ポリマーを含浸させる前のePTFE膜と比較して10%~50%の変位の減少を示し、ここで、変位の減少は、二軸の面外変位(「BOD」)試験を使用して測定される。幾つかの実施形態において、複合材料は、剛化性ポリマーを含浸させる前のePTFE膜と比較して20%~50%の変位の減少を示し、ここで、変位の減少は、二軸の面外変位(「BOD」)試験を使用して測定される。幾つかの実施形態において、複合材料は、剛化性ポリマーを含浸させる前のePTFE膜と比較して30%~50%の変位の減少を示し、ここで、変位の減少は、二軸の面外変位(「BOD」)試験を使用して測定される。幾つかの実施形態において、複合材料は、剛化性ポリマーを含浸させる前のePTFE膜と比較して40%~50%の変位の減少を示し、ここで、変位の減少は、二軸の面外変位(「BOD」)試験を使用して測定される。
【0056】
幾つかの実施形態において、複合材料は、剛化性ポリマーを含浸させる前のePTFE膜と比較して10%~40%の変位の減少を示し、この変位の減少は、二軸の面外変位(「BOD」)試験を使用して測定される。幾つかの実施形態において、複合材料は、剛化性ポリマーを含浸させる前のePTFE膜と比較して20%~30%の変位の減少を示し、ここで、変位の減少は、二軸の面外変位(「BOD」)試験を使用して測定される。
【0057】
幾つかの実施形態において、複合材料は、音響デバイスを含む音響デバイスアセンブリに組み込まれる。幾つかの実施形態において、音響デバイスはスピーカである。幾つかの実施形態において、音響デバイスはレシーバである。
【0058】
幾つかの実施形態において、音響デバイスは、音響キャビティ及びトランスデューサを含む。幾つかの実施形態において、トランスデューサは、音響キャビティ内に配置される。幾つかの実施形態において、複合材料は音響キャビティ上に配置される。
【0059】
幾つかの実施形態において、音響デバイスアセンブリはハウジングを含む。幾つかの実施形態において、接着剤層は複合材料とハウジングとの間に配置される。幾つかの実施形態において、ハウジングは、音響デバイスの音響キャビティと位置合わせされた音響チャネルを含む。幾つかの実施形態において、音響デバイスアセンブリは、音響デバイスの上に配置された音響保護カバーを含む。幾つかの実施形態において、音響保護カバーは複合材料を含む。幾つかの実施形態において、音響デバイスアセンブリは、音響応答測定(「ARM」)試験によって測定されたときに、1kHzで7dB未満の挿入損失を示す。
【0060】
図1は、特定の実施形態による、音響デバイス102上に配置された音響保護カバー110のアセンブリ100の例を示している。示されるように、音響保護カバー110は、複合材料112及び接着剤層114を含み、これは、音響保護カバーをスピーカ又はレシーバなどの音響デバイス102に固定する。図1に示される例示的な音響デバイス102はまた、接着剤層114が取り付けられるデバイス本体106及びトランスデューサ104を含むことができる。
【0061】
図2は、特定の実施形態による音響デバイス202と組み合わせて音響保護カバー212を使用する例示的な音響デバイスアセンブリ200の側面概略図を示す。音響デバイス202は、ベル、スピーカ、マイクロホン、ブザー、ラウドスピーカ又は任意の同様の音響デバイスであることができる。例示的な音響デバイス202は、デバイス本体206及び音響キャビティ226内のトランスデューサ204を含む。音響キャビティ226は、一方の側の音響デバイス202、他方の側の音響保護カバー212及び第一の接着層214によって画定される。音響キャビティ226はまた、音響デバイス202を含むハウジング218内のポート220と位置合わせされうる。さらに、音響保護カバー212は、幾つかの実施形態において、音響デバイス202とハウジング218との両方に、例えば、音響保護カバーとハウジングとの間の第二の接着剤層216を介して接続されうる。第一の接着剤層及び第二の接着剤層214、216及び音響保護カバー212はまた、耐水性及び/又は防水性であることができる層状アセンブリ210を形成することができる。音響保護カバー212はまた、外部空間224からハウジング218の内部空間222への及び/又は音響キャビティ226への水の侵入を防ぐように構成されうる。
【0062】
試験方法
層流体積気流(「LVA」)試験:
本明細書で記載される複合材料を通過する空気の層流体積流量は、ATEQ Premier Dコンパクトフローテスターを使用して測定した。ATEQ Premier Dコンパクトフローテスターにおいて、フラットシートサンプル(領域4インチx4インチの正方形形状)を、1cmの円形面積のオリフィスを含む2枚のスチール板の間にクランプする。装置内の2つのOリングによってサンプルの周囲にシールを形成し、サンプルを通して横方向に流れる空気流漏れを排除する。シールが設置されると下部のスチール板オリフィスを通して1psiの空気圧をサンプルに課す。フローテスタは、上部スチール板上の1cmのオリフィスを通過する材料を通る空気流量(リットル/時)を測定する。
【0063】
音響応答測定(「ARM」)試験:
図3は、音響応答測定試験設備300の概略図である。次の方法を使用して、音響カバー試験サンプルの挿入損失を測定した。剛化性ポリマーを含浸させたePTFE膜を含む複合材料312を、接着ディスク314とともにダイカットした。使用した接着剤314は、0.05mmの厚さのアクリル両面被覆接着テープであった。試験サンプルの幾何形状は円形であり、内径は1.6mmであり、外径は3.3mmであった。図3において、示される複合材料312の総直径は3.3mmの外径であり、ここで、内径は、環状接着ディスクの中心内の312の円形領域によって画定される。次に、ダイカットされた試験サンプルを、接着剤314を介して試験板344に接着した。板344は、直径1mmのオリフィス350を含む円形幾何形状の厚さ1.2mmのアルミニウム板である。試験サンプルを、オリフィス350の中心の上に接着した。板314は、マイクロエレクトロメカニカルシステム(「MEMS」)測定マイクロホン(例えば、InvenSence INMP510MEMS測定マイクロホン)であることができるマイクロホン46を含む固定具に取り付けられる。マイクロホンアセンブリ46内で、トランスデューサ要素352は音を電気信号に送る。アセンブリ300は、無響室の内部ドライバ又はスピーカから6.4cmの距離にあるBruel&Kjar(登録商標)タイプ4232無響試験ボックス内に配置される(図示されず)。スピーカは、100Hz~10kHzの周波数範囲で88dBの音圧レベル(SPL)で外部刺激を生成するように励起された。トランスデューサ352の音響応答は以下の条件下で測定された:(a)アパチャ348が覆われていない状態、及び(b)アパチャ348が試験サンプルで覆われている状態。スピーカが駆動され、周波数スウィープを行うようにプログラムされたときに、前述の周波数範囲にわたるマイクロホンのトランスデューサ応答を記録する。条件(a)及び(b)の間の出力SPLの応答の違いは、音響挿入損失(スピーカとマイクロホンとの間に複合材料を挿入することによる損失)として定義される。
【0064】
破裂試験:
破裂試験は、材料を通した水侵入に関連している。破裂強度は、複合材料が機械的に降伏し、続いて引き裂かれる圧力として定義される。破裂強度を測定するために、ARM試験で前述した試験サンプル(内径1.6mmのダイカットサンプル)を、直径1.6mmのオリフィスを含むFR4製のホルダに貼り付けた。試験サンプルを備えたホルダを、直径2mmのオリフィスを備えた上部プレートと下部プレートを備えた金属製固定具に挿入し、上部プレートをネジでクランプした。金属製固定具は、水を含む圧力容器に接続されていた。圧力容器は、特定の最大圧力設定(例えば、145psi)までの空気の圧力傾斜及び圧力制御を可能にするプログラム可能な機能を備えた制御ボックスに接続された。制御ボックスは、最大圧力(例えば、145psi)に達するまで、毎秒0.5psiの傾斜速度で流入圧力を傾斜させるようにプログラムされた。傾斜段階中に145psi未満の圧力で複合材料が破損したならば、この圧力は複合材料の破裂強度として記される。複合材料の機械的破損(破裂)なしに最大圧力に達したならば、圧力は最大圧力で最大10分間保持された。
【0065】
剛性:
複合材料の粘弾性特性は、TA Instruments(モデルRSA-G2)製の動的粘弾性分析装置(DMA)で小振幅振動ひずみ(SAOS)を使用して測定された。複合材料の矩形試験片は、幅13mm、長さ40mmで調製した。DMAは、張力状態にある複合材料の剛性を測定するために、フィルム張力クランプが付属された。クランプを測定の目標温度(この場合は25℃)に予熱し、目標温度でゼロギャップが基準になった。調製した試験片を約15mmの長さでDMAクランプに取り付けた。使用されたSAOS手順は、発振周波数スイープであった。これは、小振幅の正弦波変位を適用し、対応する正弦波力を測定することからなる。適用された周波数は1Hzであった。試験片の剛性は、選択した周波数での正弦波入力の最大変位で、正弦波応答の最大力を割ることによって計算される。
剛性=力/変位
【0066】
剛性は、機械方向(「MD」)と横方向(「TD」)で測定した。MD剛性及びTD剛性の平均は、本明細書で提供される平均剛性の値とした。
【0067】
厚さ:
厚さを正確に測定するために、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用した。平らなシートサンプルを調製し、ミクロトーム技術で切断した。次に、材料の断面(厚さを通して)をSEMで画像化して、厚さを決定した。
【0068】
二軸の面外変位試験(「BOD」試験):
水圧の応力から生じる複合材料の二軸の面外変位は、シングルポイントレーザ試験設備を使用して決定された。複合材料の変位を測定するために、複合材料の平らなシートを、2mmのオリフィスを備えた下部プレートと1.6mmのオリフィスを備えた上部プレートを備えた金属製固定具に挿入し、上部プレートをネジで固定した。金属製固定具は、水を含む圧力容器に接続された。圧力容器は、空気の圧力傾斜及び圧力制御を可能にするプログラム可能な機能を備えた制御ボックスに接続された。制御ボックスは、29psiの最大圧力に達するまで、毎秒2.5psiの傾斜速度で流入圧力を傾斜させるようにプログラムされた。この目標圧力(例えば、29psi)は、業界標準である20メートルの水浸深度等級を表す。サンプルを10分間目標圧力で保持した。手順中に、シングルポイントレーザを材料の中心に配置し、試験サンプルの面外変位を評価する。
【実施例
【0069】
比較例1
【0070】
延伸PTFE(ePTFE)膜を、米国特許第8,757,395号明細書の教示に従って製造した。ePTFE膜の単位面積あたりの質量は2.3グラム/m、厚さは6.92μm、層状体積気流(LVA)は37リットル/時/cmであった。ePTFE膜は、本明細書で記載するARM及びBOD試験を使用して音響性能を試験した。音響挿入損失は1kHzの周波数で2.93dBであり、変位は0.33mmであった。このePTFE膜の破裂強度及び平均剛性はそれぞれ107.8psi及び4500N/mであった。
【0071】
例1
【0072】
本開示による例示的な複合材料の連続ロールを、以下の手順を使用して調製した。この場合において、例示的な剛化性ポリマーはフッ素化ターポリマーであった。メチルエチルケトン(MEK)中の3M(商標)Dyneon(商標)フルオロプラスチック顆粒THV 221GZ(TFE-VDF-HFPのターポリマー)の10質量パーセント溶液を調製した。ギャップ開口部が0.003インチ(76.2m)であるスロットダイを使用して、上記の溶液のウェットフィルムを、ポリプロピレンコーティングされたポリエチレンテレフタレート(PET)ライナー(Neptco, Lenoir, NCの部品番号PMP300CLR6)上にキャストし、比較例1で使用したePTFE膜と組み合わせた。ウェットフィルムを乾燥させ、それにより複合材料を形成した。乾燥手順は次のとおりであった。含浸されたePTFE膜をライナー上で10フィート(3メートル)の長さの対流式オーブンに10フィート/分(3メートル/分)のウェブ速度で走行させた。オーブン温度は180°F(82.2℃)に設定した。
【0073】
69.7質量%のTHV221GZポリマーを含む得られた複合材料をライナーから取り外し、以下の表1に示すその特性について試験した。複合材料の剛性は、比較例1(ePTFE膜のみ)よりも56%高かった。複合材料の挿入損失は1kHzの周波数で6.29dBであり、変位は使用したePTFE膜より25.2%小さかった。複合材料の破裂強度は127.9psiであった。
【0074】
例2
【0075】
例示的な剛化性ポリマーであるポリカプロラクトンを使用する複合材料を、以下の手順を使用して作製した。6質量パーセントのポリカプロラクトンペレット(SKU 440744、Sigma-Aldrich, Aldrich, St.Louis, MO)を、70部のMEK及び30部のジメチルアセトアミド(DMAc)を含む溶媒ブレンドに溶解した。ギャップ開口部が0.003インチ(76.2m)であるスロットダイを使用して、上記の溶液のウェットフィルムをライナー(Neptcoの部品番号PMP300CLR6)上にキャストし、比較例1で使用したePTFE膜と組み合わせて、350°F(176.7℃)に設定されたオーブン温度で10フィート/分(3メートル/分)のウェブ速度で10フィート(3メートル)の長さの対流オーブンを通して、ライナー上の含浸されたePTFE膜を走行させることにより乾燥させた。得られた69.9質量%のポリカプロラクトンを含む複合材料をライナーから取り外し、表1に示す特性を試験した。複合材料の剛性は、ePTFE膜のみ(つまり、比較例1のePTFE膜)よりも67%高く、そして挿入損失は1kHzの周波数で5.49dBであり、変位は比較例1のePTFE膜の変位より25.5%低かった。複合材料は、本例で使用した試験設備の最大試験可能圧力で破裂しなかった。この試験設備の最大試験可能圧力は145.0psiであり、本例の複合材料の破裂強度が145.0psiより大きいことを示している。装置の最大圧力に達した後に、複合材料が1分未満の持続時間で破裂するまで、複合材料を最大圧力145.0psiに保持した。
【0076】
例3
【0077】
本開示による例示的な複合材料を、以下の手順を使用して、熱可塑性ポリウレタンの形態の例示的な剛化性ポリマーを用いて調製した。最初に、5質量パーセントの75ショアD硬度である熱可塑性ポリウレタンペレット(Lubrizol Advanced Materials, Incorporated, Brecksville, OHのPellethane(商標)2363-75D)を、70部のMEKと30部のジメチルアセトアミド(DMAc)を含む溶媒ブレンドに溶解して、溶液を形成した。ギャップ開口部が0.003インチ(76.2m)であるスロットダイを使用して、上記の溶液のウェットフィルムをライナー(Neptcoの部品番号PMP300CLR6)上にキャストし、比較例1で使用したePTFE膜と組み合わせて、10フィート(3メートル)の長さの対流オーブンを通してライナー上の含浸されたePTFE膜を、ウェブ速度10フィート/分(3メートル/分)及びオーブン温度350°F(176.7℃)で走行させることにより乾燥させた。68.1質量%のポリウレタンを含む得られた例示的な複合材料をライナーから取り外し、表1に示されるその特性について試験した。複合材料の剛性はePTFE膜のみの場合よりも211%高く、複合材料の挿入損失は1kHzの周波数で6.3dBであり、変位はePTFE膜より27.6%低かった。複合材料は、本例で使用された試験設備の最大試験可能圧力で瞬時に破裂しなかった。試験設備の最大試験可能圧力は145.0psiであり、本例の複合材料の瞬間破裂強度は145.0psiより大きいことを示している。装置の最大圧力に達した後、複合材料が1分間で破裂するまで、複合材料を最大圧力145.0psiに保持した。
【0078】
例4
【0079】
本開示による複合材料を、以下の手順を使用して、例3のものよりも柔らかいグレードの熱可塑性ポリウレタン(すなわち、より低いショア硬度を有する)を使用して、以下の手順によって調製した。最初に、55ショアD硬度の熱可塑性ポリウレタンペレット(Lubrizol Advanced Materials Incorporated, Breckville, OHのTecothane(商標)TT-1055D)のテトラヒドロフラン(THF)中の3.5質量パーセント溶液を調製した。ギャップ開口部が0.003インチ(76.2m)であるスロットダイを使用して、上記の溶液のウェットフィルムをライナー(Neptcoの部品番号PMP300CLR6)上にキャストし、比較例1で使用したePTFE膜と組み合わせて、長さ10フィート(3メートル)の対流式オーブンを通してライナー上の含浸されたePTFE膜を、ウェブ速度10フィート/分(3メートル/分)及びオーブン温度350°F(176.7℃)で走行させることにより乾燥させた。得られた約69.1質量%のポリウレタンを含む複合フィルムをライナーから取り外し、表1に示す特性を試験した。複合材料の剛性は使用したePTFE膜より31%高く、挿入損失は周波数1kHzで6.13dBであり、変位はePTFE膜より7.0%低かった。複合材料の破裂強度は138.6psiであった。
【0080】
比較例2
以下の米国特許第10,110,981号明細書の教示に従って、非剛化性ポリマーを含む複合材料を調製した。非剛化性ポリマーであるKraton(商標)D1124(Kraton Polymers, U.S LLC, Houston)の6質量パーセント溶液をトルエンに溶解した。ギャップ開口部が0.003インチ(76.2m)であるスロットダイを使用して、上記の溶液のウェットフィルムをシリコン化処理したPETライナー(MPI Release LLC, Winchester, MAの部品C25 UVF28/F33)上にキャストし、比較例1で使用されたePTFE膜と組み合わせ、ライナー上の含浸されたePTFE膜を10フィート(3メートル)の長さの対流オーブンを通して10フィート/分(3メートル/分)のウェブ速度で、220°F(104.4℃)で設定したオーブン温度で走行させることにより乾燥させた。63.5質量%のKratonポリマーを含む複合材料をライナーから取り外し、表1に示す特性を試験した。複合材料の剛性は使用したePTFE膜より8%高く、複合材料の挿入損失は周波数1kHzで3.51dBであり、変位は比較例1のePTFE膜より9.7%低かった。複合材料の破裂強度は133.0psiであった。
【0081】
【表1】
【表2】
【表3】
【0082】
本明細書に記載された実施例の結果を図4及び5にプロットし、上記の表1~3に示した。上記で本明細書に記載されるように、平均剛性はMD剛性及びTD剛性の平均である。
【0083】
図4に示されるように、本発明の空気不透過性複合材料フィルムの音響挿入損失と剛性との間に直接的な関係がある。剛性が増加すると、音響挿入損失は増加する。複合材料フィルムの剛性は、複合材料の厚さと剛化性ポリマーの弾性率の両方の関数であるため、挿入損失が目的の7dBレベル未満に維持されるように、これら2つの特性のバランスをとることが重要である。
【0084】
図5に示されるように、本発明の空気不透過性複合材料フィルムの複合材料の変位と複合材料の剛性との間に逆の関係が存在しうる。剛性が増加すると、変位は減少する。幾つかの態様において、適切な複合材料の剛性範囲を特定するために、変位と音響損失のバランスをとる必要がある場合がある。
【0085】
上記の本開示の好ましい実施形態に対する変形、改変及び変更は、当業者に明らかになるであろう。そのようなすべての変形、改変、変更などは、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される、本開示の主旨及び範囲内に含まれることが意図されている。
【0086】
本開示の幾つかの実施形態が記載されてきたが、これらの実施形態は例示にすぎず、限定的ではなく、多くの改変が当業者に明らかになりうることが理解される。例えば、本明細書で論じられるすべての寸法は、例としてのみ提供されており、例示的であり、限定的ではないことが意図されている。
【0087】
本明細書で明確に識別される任意の特徴又は要素もまた、特許請求の範囲で定義される本発明の実施形態の特徴又は要素として具体的に除外されうることが想定される。
【0088】
本明細書に記載の開示は、本明細書に具体的に開示されていない1つ以上の要素、制限又は限定がない状態で実施することができる。したがって、例えば、本明細書の各場合において、「含む」、「本質的になる」及び「からなる」という用語のいずれかを、他の2つの用語のいずれかで置き換えることができる。使用されている用語及び表現は、説明の用語として使用され、限定ではない。そのような用語及び表現の使用が、示され、説明されている機能の同等物又はその一部を除外する意図はないが、本開示の範囲内で様々な改変が可能であることは認識される。
図1
図2
図3
図4
図5