(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】鞍乗型車両の制御装置、ライダー支援システム、及び、鞍乗型車両の制御方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240502BHJP
B62J 50/20 20200101ALI20240502BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20240502BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B62J50/20
B62J45/00
(21)【出願番号】P 2022531094
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(86)【国際出願番号】 IB2021055152
(87)【国際公開番号】W WO2021260479
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2020110090
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(72)【発明者】
【氏名】プファウ ラーズ
【審査官】宮本 礼子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-099033(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102013218458(DE,A1)
【文献】特開2016-034819(JP,A)
【文献】国際公開第2017/030132(WO,A1)
【文献】特開2009-003554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
B62J 50/20
B62J 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの周囲環境検出装置(11c、11d)が搭載された鞍乗型車両(100)の制御装置(20)であって、
前記鞍乗型車両(100)のライダーを支援するライダー支援動作を実行する実行部(23)を備えており、
更に、
前記周囲環境検出装置(11c、11d)の出力に基づいて、前記鞍乗型車両(100)の走行ライン(DL)の左方に位置する対象(T1)の情報である左方対象情報と、該走行ライン(DL)の右方に位置する対象(T2)の情報である右方対象情報と、を取得する取得部(21)と、
前記取得部(21)で取得された前記左方対象情報及び前記右方対象情報の少なくとも一方に基づいて、前記鞍乗型車両(100)の走行状態を解析する解析部(22)と、
を備えており、
前記実行部(23)は、前記解析部(22)での前記走行状態の解析結果に応じた前記ライダー支援動作を実行
し、
前記解析部(22)は、前記取得部(21)で取得された前記左方対象情報及び前記右方対象情報に基づいて、前記走行状態としての、前記鞍乗型車両(100)の車列間走行の有無を解析し、
前記実行部(23)は、前記解析部(22)での前記車列間走行の有無の解析結果に応じた前記ライダー支援動作を実行する、
制御装置(20)。
【請求項2】
前記左方対象情報は、前記走行ライン(DL)の左方に位置する少なくとも1つの車両(201)の前記鞍乗型車両(100)に対する相対距離の情報であり、
前記右方対象情報は、前記走行ライン(DL)の右方に位置する少なくとも1つの車両(301、301a、301b)の前記鞍乗型車両(100)に対する相対距離の情報である、
請求項1に記載の制御装置(20)。
【請求項3】
前記相対距離の情報は、前記鞍乗型車両(100)の車幅方向での相対距離(D201、D301、D301a、D301b)の情報である、
請求項2に記載の制御装置(20)。
【請求項4】
前記左方対象情報は、第1検出範囲(Rc)を有する前記周囲環境検出装置である第1周囲環境検出装置(11c)の出力に基づいて取得され、
前記右方対象情報は、前記第1検出範囲(Rc)と異なる第2検出範囲(Rd)を有する前記周囲環境検出装置である第2周囲環境検出装置(11d)の出力に基づいて取得される、
請求項1~3の何れか一項に記載の制御装置(20)。
【請求項5】
前記第1周囲環境検出装置(11c)は、前記鞍乗型車両(100)の左側の真横に向けられており、
前記第2周囲環境検出装置(11d)は、前記鞍乗型車両(100)の右側の真横に向けられている、
請求項4に記載の制御装置(20)。
【請求項6】
前記解析部(22)は、前記取得部(21)で取得された前記左方対象情報及び前記右方対象情報の少なくとも一方に基づいて、前記走行状態としての、前記鞍乗型車両(100)のグループ走行の有無を解析
し、
前記実行部(23)は、前記解析部(22)での前記グループ走行の有無の解析結果に応じた前記ライダー支援動作を実行する、
請求項1~
5の何れか一項に記載の制御装置(20)。
【請求項7】
前記解析部(22)は、前記取得部(21)で取得された前記左方対象情報及び前記右方対象情報の少なくとも一方に基づいて、前記走行状態としての、グループ走行での前記鞍乗型車両(100)の走行列を解析
し、
前記実行部(23)は、前記解析部(22)での前記走行列の解析結果に応じた前記ライダー支援動作を実行する、
請求項1~
5の何れか一項に記載の制御装置(20)。
【請求項8】
前記解析部(22)は、前記取得部(21)で取得された前記左方対象情報及び前記右方対象情報に基づいて、前記走行状態としての、前記鞍乗型車両(100)のレーン(L1)内での走行位置を解析
し、
前記実行部(23)は、前記解析部(22)での前記走行位置の解析結果に応じた前記ライダー支援動作を実行する、
請求項1~
7の何れか一項に記載の制御装置(20)。
【請求項9】
前記解析部(22)は、前記取得部(21)で取得された前記左方対象情報及び前記右方対象情報に基づいて、前記走行状態としての、前記走行位置の前記レーン(L1)の中心からの偏り方向及び偏り量を解析
し、
前記実行部(23)は、前記解析部(22)での前記偏り方向及び前記偏り量の解析結果に応じた前記ライダー支援動作を実行する、
請求項
8に記載の制御装置(20)。
【請求項10】
前記実行部(23)は、前記解析部(22)での前記走行状態の解析結果に応じて、前記ライダー支援動作として実行される、前記鞍乗型車両(100)のクルーズコントロール動作又はアダプティブクルーズコントロール動作を変化させる、
請求項1~
9の何れか一項に記載の制御装置(20)。
【請求項11】
前記実行部(23)は、前記解析部(22)での前記走行状態の解析結果に応じて、前記ライダー支援動作として実行される、前記鞍乗型車両(100)の衝突抑制動作を変化させる、
請求項1~
10の何れか一項に記載の制御装置(20)。
【請求項12】
前記実行部(23)は、前記解析部(22)での前記走行状態の解析結果に応じて、前記ライダー支援動作として実行される、前記鞍乗型車両(100)の死角走行車両警告動作を変化させる、
請求項1~
11の何れか一項に記載の制御装置(20)。
【請求項13】
ライダー支援システム(1)であって、
請求項1~
12の何れか一項に記載の制御装置(20)を備えている、
ライダー支援システム(1)。
【請求項14】
少なくとも1つの周囲環境検出装置(11c、11d)が搭載された鞍乗型車両(100)の制御方法であって、
制御装置(20)の実行部(23)が、前記鞍乗型車両(100)のライダーを支援するライダー支援動作を実行する実行ステップ(S103)を備えており、
更に、
前記制御装置(20)の取得部(21)が、前記周囲環境検出装置(11c、11d)の出力に基づいて、前記鞍乗型車両(100)の走行ライン(DL)の左方に位置する対象(T1)の情報である左方対象情報と、該走行ライン(DL)の右方に位置する対象(T2)の情報である右方対象情報と、を取得する取得ステップ(S101)と、
前記制御装置(20)の解析部(22)が、前記取得ステップ(S101)で取得された前記左方対象情報及び前記右方対象情報の少なくとも一方に基づいて前記鞍乗型車両(100)の走行状態を解析する解析ステップ(S102)と、
を備えており、
前記実行ステップ(S103)では、前記実行部(23)が、前記解析ステップ(S102)での前記走行状態の解析結果に応じた前記ライダー支援動作を実行
し、
前記解析ステップ(S102)では、前記解析部(22)が、前記取得部(21)で取得された前記左方対象情報及び前記右方対象情報に基づいて、前記走行状態としての、前記鞍乗型車両(100)の車列間走行の有無を解析し、
前記実行ステップ(S103)では、前記実行部(23)が、前記解析部(22)での前記車列間走行の有無の解析結果に応じた前記ライダー支援動作を実行する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの周囲環境検出装置が搭載された鞍乗型車両の制御装置と、その制御装置を備えているライダー支援システムと、少なくとも1つの周囲環境検出装置が搭載された鞍乗型車両の制御方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の鞍乗型車両として、周囲環境検出装置が搭載されたものがある。周囲環境検出装置の出力に基づいて、鞍乗型車両の走行ライン上の前方に位置する対象の情報が取得される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鞍乗型車両は、他の車両(例えば、乗用車、トラック等)と比較して格段小型である。そのため、鞍乗型車両は、他の車両では想定されない特殊な走行が可能である。一方、従来の鞍乗型車両では、周囲環境検出装置の出力に基づいて、鞍乗型車両の走行ライン上の前方に位置する対象の情報が取得される。そのような情報では、鞍乗型車両の走行の特殊性に適切に対応することが困難となる場合が生じ得る。
【0005】
本発明は、上述の課題を背景としてなされたものであり、鞍乗型車両の走行の特殊性に対応し得る制御装置を得るものである。また、そのような制御装置を備えているライダー支援システムを得るものである。また、鞍乗型車両の走行の特殊性に対応し得る制御方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る制御装置は、少なくとも1つの周囲環境検出装置が搭載された鞍乗型車両の制御装置であって、前記鞍乗型車両のライダーを支援するライダー支援動作を実行する実行部を備えており、更に、前記周囲環境検出装置の出力に基づいて、前記鞍乗型車両の走行ラインの左方に位置する対象の情報である左方対象情報と、該走行ラインの右方に位置する対象の情報である右方対象情報と、を取得する取得部と、前記取得部で取得された前記左方対象情報及び前記右方対象情報の少なくとも一方に基づいて、前記鞍乗型車両の走行状態を解析する解析部と、を備えており、前記実行部は、前記解析部での前記走行状態の解析結果に応じた前記ライダー支援動作を実行する。
【0007】
本発明に係るライダー支援システムは、上述の制御装置を備えているものである。
【0008】
本発明に係る制御方法は、少なくとも1つの周囲環境検出装置が搭載された鞍乗型車両の制御方法であって、制御装置の実行部が、前記鞍乗型車両のライダーを支援するライダー支援動作を実行する実行ステップを備えており、更に、前記制御装置の取得部が、前記周囲環境検出装置の出力に基づいて、前記鞍乗型車両の走行ラインの左方に位置する対象の情報である左方対象情報と、該走行ラインの右方に位置する対象の情報である右方対象情報と、を取得する取得ステップと、前記制御装置の解析部が、前記取得ステップで取得された前記左方対象情報及び前記右方対象情報の少なくとも一方に基づいて、前記鞍乗型車両の走行状態を解析する解析ステップと、を備えており、前記実行ステップでは、前記実行部が、前記解析ステップでの前記走行状態の解析結果に応じた前記ライダー支援動作を実行する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る制御装置、ライダー支援システム、及び、制御方法では、少なくとも1つの周囲環境検出装置の出力に基づいて、鞍乗型車両の走行ラインの左方に位置する対象の情報である左方対象情報と、その走行ラインの右方に位置する対象の情報である右方対象情報と、が取得され、左方対象情報及び右方対象情報の少なくとも一方に基づいて鞍乗型車両の走行状態が解析され、その解析結果に応じたライダー支援動作が実行される。そのため、鞍乗型車両の走行の特殊性に適切に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、鞍乗型車両への搭載状態を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、システム構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、鞍乗型車両が車列間走行を行う状況下での周囲環境検出装置の検出状態を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、鞍乗型車両がグループ走行を行う状況下での周囲環境検出装置の検出状態を示す図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、鞍乗型車両がレーン内で偏り走行を行う状況下での周囲環境検出装置の検出状態を示す図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、制御装置の動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る制御装置、ライダー支援システム、及び、制御方法について、図面を用いて説明する。
【0012】
なお、以下で説明する構成、動作等は、一例であり、本発明に係る制御装置、ライダー支援システム、及び、制御方法は、そのような構成、動作等である場合に限定されない。
【0013】
例えば、以下では、本発明に係るライダー支援システムが、自動二輪車に用いられる場合を説明しているが、本発明に係るライダー支援システムが、自動二輪車以外の他の鞍乗型車両に用いられてもよい。鞍乗型車両は、例えば、モータサイクル(自動二輪車、自動三輪車)、バギー、自転車等である。モータサイクルには、エンジンを推進源とする車両、電気モータを推進源とする車両等が含まれ、例えば、オートバイ、スクーター、電動スクーター等が含まれる。また、自転車は、ペダルに付与されるライダーの踏力によって路上を推進することが可能な乗物全般を意味する。自転車には、普通自転車、電動アシスト自転車、電動自転車等が含まれる。
【0014】
また、以下では、同一の又は類似する説明を適宜簡略化又は省略している。また、各図において、同一の又は類似する部分については、同一の符号を付すか又は符号を付すことを省略している。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
【0015】
実施の形態.
以下に、実施の形態に係るライダー支援システムを説明する。
【0016】
<ライダー支援システムの構成>
実施の形態に係るライダー支援システムの構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、鞍乗型車両への搭載状態を示す図である。
図2は、本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、システム構成を示す図である。
図3は、本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、鞍乗型車両が車列間走行を行う状況下での周囲環境検出装置の検出状態を示す図である。
図4は、本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、鞍乗型車両がグループ走行を行う状況下での周囲環境検出装置の検出状態を示す図である。
図5は、本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、鞍乗型車両がレーン内で偏り走行を行う状況下での周囲環境検出装置の検出状態を示す図である。
【0017】
図1~
図5に示されるように、ライダー支援システム1は、鞍乗型車両100に搭載される。ライダー支援システム1は、鞍乗型車両100の前方の周囲環境情報を出力する周囲環境検出装置11aと、鞍乗型車両100の後方の周囲環境情報を出力する周囲環境検出装置11bと、鞍乗型車両100の左方の周囲環境情報を出力する周囲環境検出装置11cと、鞍乗型車両100の右方の周囲環境情報を出力する周囲環境検出装置11dと、鞍乗型車両100の走行状態情報を出力する走行状態検出装置12と、制御装置(ECU)20と、を含む。
【0018】
ライダー支援システム1は、必要に応じて、周囲環境検出装置11a、11b、11c、11dから出力された周囲環境情報を用いて、鞍乗型車両100のライダーを支援するためのライダー支援動作を実行する。制御装置20には、必要に応じて、他の情報(例えば、ライダーによるブレーキ操作状態の情報、ライダーによるアクセル操作状態の情報等)を出力するための各種検出装置(図示省略)の検出結果も入力される。ライダー支援システム1の各部は、ライダー支援システム1に専ら用いられるものであってもよく、また、他のシステムと共用されるものであってもよい。
【0019】
周囲環境検出装置11a、11b、11c、11dは、それぞれ、例えば、レーダー、Lidarセンサ、超音波センサ、カメラ等である。周囲環境検出装置11aは、鞍乗型車両100の前部に設けられ、鞍乗型車両100の走行ラインDL上の前方に向けられている。周囲環境検出装置11bは、鞍乗型車両100の後部に設けられ、鞍乗型車両100の走行ラインDL上の後方に向けられている。周囲環境検出装置11cは、鞍乗型車両100の側部に設けられ、鞍乗型車両100の走行ラインDLの左方に向けられている。周囲環境検出装置11dは、鞍乗型車両100の側部に設けられ、鞍乗型車両100の走行ラインDLの右方に向けられている。周囲環境検出装置11cが1つであってもよく、また、鞍乗型車両100の斜め前方を検出範囲Rcとする周囲環境検出装置11cと、鞍乗型車両100の斜め後方を検出範囲Rcとする別の周囲環境検出装置11cと、の両方が設けられていてもよい。周囲環境検出装置11dが1つであってもよく、また、鞍乗型車両100の斜め前方を検出範囲Rdとする周囲環境検出装置11dと、鞍乗型車両100の斜め後方を検出範囲Rdとする別の周囲環境検出装置11dと、の両方が設けられていてもよい。また、周囲環境検出装置11c及び周囲環境検出装置11dの少なくとも一部が、周囲環境検出装置11a又は周囲環境検出装置11bで代用されていてもよい。なお、走行ラインDLは、鞍乗型車両100の過去又は未来の走行軌跡である。
【0020】
走行状態検出装置12は、車速センサと、慣性センサ(IMU)と、を含む。車速センサは、鞍乗型車両100に生じている車速を検出する。慣性センサは、鞍乗型車両100に生じている3軸の加速度及び3軸(ロール、ピッチ、ヨー)の角速度を検出する。走行状態検出装置12が、鞍乗型車両100に生じている車速と、鞍乗型車両100に生じている3軸の加速度及び3軸の角速度と、に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。また、慣性センサが、3軸の加速度及び3軸の角速度の一部のみを検出するものであってもよい。また、必要に応じて、車速センサ及び慣性センサの少なくとも一方が省略されてもよく、また、他のセンサが追加されてもよい。
【0021】
制御装置20は、少なくとも、取得部21と、解析部22と、実行部23と、を含む。制御装置20の各部は、1つの筐体に纏めて設けられていてもよく、また、複数の筐体に分けられて設けられていてもよい。また、制御装置20の一部又は全ては、例えば、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されてもよく、また、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。
【0022】
取得部21は、周囲環境検出装置11a、11b、11c、11dの出力に基づいて、鞍乗型車両100の周辺に位置する対象の情報を取得する。特に、取得部21は、鞍乗型車両100の走行ラインDLの左方に位置する対象T1の情報である左方対象情報と、その走行ラインDLの右方に位置する対象T2の情報である右方対象情報と、を取得する。また、解析部22は、左方対象情報及び右方対象情報の少なくとも一方に基づいて、鞍乗型車両100の走行状態を解析する。実行部23は、解析部22での走行状態の解析結果に応じたライダー支援動作を実行する。
【0023】
一例として、
図3に示されるように、鞍乗型車両100が左方車列200と右方車列300の間を走行する車列間走行を行う状況下で、取得部21は、周囲環境検出装置11c、11dの出力に基づいて、鞍乗型車両100の走行ラインDLの左方に位置する対象T1の情報である左方対象情報と、鞍乗型車両100の走行ラインDLの右方に位置する対象T2の情報である右方対象情報と、を取得する。左方対象情報として、鞍乗型車両100の左方を走行する車両201の鞍乗型車両100に対する相対距離D201の情報が取得される。また、右方対象情報として、鞍乗型車両100の右方を走行する車両301の鞍乗型車両100に対する相対距離D301の情報が取得される。取得部21は、相対距離D201、D301の情報として、鞍乗型車両100の車幅方向での距離を取得してもよく、また、その車幅方向に対して所定の角度をなす方向での距離を取得してもよく、また、鞍乗型車両100の車幅方向の中心からの距離を取得してもよく、また、鞍乗型車両100の側面からの距離を取得してもよく、また、車両201、301の側面までの距離を取得してもよく、また、車両201、301の車幅方向の中心までの距離を取得してもよく、また、それらに実質的に換算可能な他の物理量を取得してもよい。なお、車列間走行では、鞍乗型車両100が、車両201又は車両301と異なる速度で走行していてもよく、また、同一の速度で走行していてもよい。鞍乗型車両100が、車両201及び車両301と異なる速度で車列間走行を行う場合(例えば、左方車列200と右方車列300の間をすり抜ける場合等)には、取得部21は、鞍乗型車両100に対する車両201、301の相対距離D201、D301の情報を取得した後に、左方車列200に属する他の車両201の相対距離D201の情報、及び、右方車列300に属する他の車両301の相対距離D301の情報を取得することとなる。
【0024】
解析部22は、取得部21で取得された相対距離D201、D301の情報が、車両201、301が鞍乗型車両100に対して基準値を下回る近さで存在することを示す情報である場合に、鞍乗型車両100の走行状態が車列間走行であると判別する。解析部22が、鞍乗型車両100の左右両側において基準値を下回る近さで車両201、301が存在することが、所定期間以上継続する場合に、又は、所定時間間隔以下で所定回数以上繰り返される場合に、鞍乗型車両100の走行状態が車列間走行であると判別するとよい。また、解析部22は、鞍乗型車両100の左右両側において基準値を下回る近さで車両201、301が存在しないことが、所定時間以上継続するまで、鞍乗型車両100の走行状態が車列間走行であるとの判別を維持するとよい。
【0025】
一例として、
図4に示されるように、鞍乗型車両100がレーンL1において他の車両110、301a、301bとグループ走行を行う状況下で、取得部21は、周囲環境検出装置11c、11dの出力に基づいて、鞍乗型車両100の走行ラインDLの左方に位置する対象T1の情報である左方対象情報と、鞍乗型車両100の走行ラインDLの右方に位置する対象T2の情報である右方対象情報と、を取得する。左方対象情報として、鞍乗型車両100の左方を走行する車両201の鞍乗型車両100に対する相対距離D201の情報が取得される。また、右方対象情報として、鞍乗型車両100の右方を走行する車両301a、301bの鞍乗型車両100に対する相対距離D301a、D301bの情報が取得される。取得部21は、相対距離D201、D301a、D301bの情報として、鞍乗型車両100の車幅方向での距離を取得してもよく、また、その車幅方向に対して所定の角度をなす方向での距離を取得してもよく、また、鞍乗型車両100の車幅方向の中心からの距離を取得してもよく、また、鞍乗型車両100の側面からの距離を取得してもよく、また、車両201、301a、301bの側面までの距離を取得してもよく、また、車両201、301a、301bの車幅方向の中心までの距離を取得してもよく、また、それらに実質的に換算可能な他の物理量を取得してもよい。なお、鞍乗型車両100のグループ走行における走行列が右側である場合には、左方対象情報として、鞍乗型車両100の左方を走行する少なくとも2つの車両の鞍乗型車両100に対する相対距離の情報が取得されればよい。
【0026】
解析部22は、取得部21で取得された相対距離D201、D301a、D301bの情報が、鞍乗型車両100の走行ラインDLの片側に鞍乗型車両100に対する相対距離が基準値を下回る車両301a、301bが複数存在することを示す情報である場合に、鞍乗型車両100の走行状態がグループ走行であると判別する。その基準値が、相対距離D201より小さい値に設定されるとよい。また、解析部22は、その複数の車両301a、301bが走行ラインDLのどちらにあるかの情報を用いて、グループ走行での鞍乗型車両100の走行列を判別する。解析部22は、鞍乗型車両100の走行ラインDLの片側に鞍乗型車両100に対する相対距離が基準値を下回る車両301a、301bが複数存在することが所定期間以上継続する場合に、鞍乗型車両100の走行状態がグループ走行であると判別するとよい。また、解析部22は、鞍乗型車両100の走行ラインDLの片側に鞍乗型車両100に対する相対距離が基準値を下回る車両301a、301bが複数存在しないことが所定時間以上継続するまで、鞍乗型車両100の走行状態がグループ走行であるとの判別を維持するとよい。
【0027】
一例として、
図5に示されるように、鞍乗型車両100がレーンL1内で偏り走行を行う状況下で、取得部21は、周囲環境検出装置11c、11dの出力に基づいて、鞍乗型車両100の走行ラインDLの左方に位置する対象T1の情報である左方対象情報と、鞍乗型車両100の走行ラインDLの右方に位置する対象T2の情報である右方対象情報と、を取得する。左方対象情報として、鞍乗型車両100の左方を走行する車両201の鞍乗型車両100に対する相対距離D201の情報が取得される。また、右方対象情報として、鞍乗型車両100の右方を走行する車両301の鞍乗型車両100に対する相対距離D301の情報が取得される。取得部21は、相対距離D201、D301の情報として、鞍乗型車両100の車幅方向での距離を取得してもよく、また、その車幅方向に対して所定の角度をなす方向での距離を取得してもよく、また、鞍乗型車両100の車幅方向の中心からの距離を取得してもよく、また、鞍乗型車両100の側面からの距離を取得してもよく、また、車両201、301の側面までの距離を取得してもよく、また、車両201、301の車幅方向の中心までの距離を取得してもよく、また、それらに実質的に換算可能な他の物理量を取得してもよい。なお、偏り走行では、鞍乗型車両100が、車両201又は車両301と異なる速度で走行していてもよく、また、同一の速度で走行していてもよい。鞍乗型車両100が、車両201及び車両301と異なる速度で偏り走行を行う場合には、取得部21は、鞍乗型車両100に対する車両201、301の相対距離D201、D301の情報を取得した後に、左方レーンL2を走行する他の車両201の相対距離D201の情報、及び、右方レーンL3を走行する他の車両301の相対距離D301の情報を取得することとなる。なお、対象T1が、道路設備(例えば、ガードレール、縁石、レーン境界線等)であり、左方対象情報として、鞍乗型車両100のその道路設備に対する相対距離D201の情報が取得されてもよい。また、対象T2が、道路設備(例えば、ガードレール、縁石、レーン境界線等)であり、右方対象情報として、鞍乗型車両100のその道路設備に対する相対距離D301の情報が取得されてもよい。
【0028】
解析部22は、取得部21で取得された相対距離D201、D301の情報を用いて、鞍乗型車両100のレーンL1内での走行位置(つまり、鞍乗型車両100の車幅方向での走行位置)を解析する。解析部22は、その走行位置のレーンL1の中心からの偏りが基準値を超える場合に、鞍乗型車両100の走行状態が偏り走行であると判別してもよく、また、その偏り方向を判別してもよく、また、その偏り量を判別してもよい。解析部22が、取得部21で取得された相対距離D201、D301の情報を時間平均して、鞍乗型車両100のレーンL1内での走行位置を判別するとよい。対象T1又は対象T2が車両である場合には、複数の車両に対して相対距離D201、D301の情報が取得され、その平均が求められてもよい。また、対象T1と対象T2が、レーン境界からの距離が異なる傾向となる物の組み合わせである場合(例えば、対象T1が車両201で、対象T2がガードレール又は縁石である場合等)には、レーン境界からその物までの距離の一般的な統計値を用いて、取得部21で取得された相対距離D201、D301の情報が補正されてもよい。
【0029】
一例として、実行部23は、ライダー支援動作として、鞍乗型車両100のクルーズコントロール動作又はアダプティブクルーズコントロール動作を実行する。クルーズコントロール動作では、ライダーによって設定された目標速度で鞍乗型車両100が走行するように、挙動制御装置30が各種機構(例えば、ブレーキ、エンジン等)を制御する。アダプティブクルーズコントロール動作では、そのような制御に加えて、先行車との車間の維持が図られる。つまり、アダプティブクルーズコントロール動作では、先行車が居ない場合には、ライダーによって設定された目標速度で鞍乗型車両100が走行するように、挙動制御装置30が各種機構(例えば、ブレーキ、エンジン等)を制御し、先行車が居る場合には、その目標速度以下であって、且つ、先行車との車間の維持を目指す速度で鞍乗型車両100が走行するように、挙動制御装置30が各種機構(例えば、ブレーキ、エンジン等)を制御する。実行部23は、各種機構(例えば、ブレーキ、エンジン等)にクルーズコントロール動作又はアダプティブクルーズコントロール動作を実行させるための制御指令を、挙動制御装置30に出力する。アダプティブクルーズコントロール動作において、実行部23は、周囲環境検出装置11aの出力に基づいて、先行車の走行状態(例えば、鞍乗型車両100に対する相対距離、相対速度、相対加速度等)を取得して、目標速度を設定する。また、先行車との車間は、ライダーによって調整が可能である。
【0030】
実行部23は、クルーズコントロール動作又はアダプティブクルーズコントロール動作の実行中に、解析部22で鞍乗型車両100の走行状態が車列間走行(
図3参照)であると判別されると、その判別に応じたライダー支援動作を実行する。実行部23は、例えば、クルーズコントロール動作又はアダプティブクルーズコントロール動作を強制的に解除又は中断する。また、実行部23は、例えば、クルーズコントロール動作又はアダプティブクルーズコントロール動作での目標速度を強制的に所定量だけ又は所定値に低下させる。また、実行部23は、例えば、アダプティブクルーズコントロール動作を強制的にクルーズコントロール動作に切り替える。また、実行部23は、例えば、アダプティブクルーズコントロール動作において、周囲環境検出装置11aの検出範囲のうちの先行車の有無判定に用いられる領域を、前方を走行する左方車列200の車両201及び前方を走行する右方車列300の車両301を除外すべく強制的に狭める。
【0031】
実行部23は、クルーズコントロール動作又はアダプティブクルーズコントロール動作の実行中に、解析部22で鞍乗型車両100の走行状態がグループ走行(
図4参照)であると判別されると、その判別に応じたライダー支援動作を実行する。実行部23は、例えば、アダプティブクルーズコントロール動作において、周囲環境検出装置11aの検出範囲のうちの先行車の有無判定に用いられる領域を、鞍乗型車両100が属する走行列と異なる走行列でグループ走行する車両301aを含むべく強制的に広げる。その際、実行部23は、その車両301aが居る側(
図4の例では右側)のみを広げるとよい。また、実行部23は、その車両301aが居ない側(
図4の例では左側)を狭めるとよい。また、実行部23は、アダプティブクルーズコントロール動作で維持される先行車(つまり車両301a)との車間を強制的に所定量だけ又は所定値に短くする。
【0032】
実行部23は、クルーズコントロール動作又はアダプティブクルーズコントロール動作の実行中に、解析部22で鞍乗型車両100の走行位置(
図5参照)が解析されると、その解析結果に応じたライダー支援動作を実行する。実行部23は、例えば、アダプティブクルーズコントロール動作において、周囲環境検出装置11aの検出範囲のうちの先行車の有無判定に用いられる領域を、鞍乗型車両100が走行するレーンL1のみを含むべくずらす。実行部23は、鞍乗型車両100の走行位置のレーンL1の中心からの偏り方向及び偏り量に応じて、その領域をずらすとよい。また、実行部23は、その偏り量が所定期間以上に亘って安定している場合に、その領域をずらすとよい。また、実行部23は、偏り量が基準値を上回らない場合に、その領域をずらさないとよい。
【0033】
一例として、実行部23は、ライダー支援動作として、鞍乗型車両100の前方衝突抑制動作を実行する。前方衝突抑制動作が有効化されると、鞍乗型車両100の前方に位置する対象(例えば、車両、人、動物、障害物、落下物等)に対する衝突可能性が判定され、衝突可能性が基準を上回る場合に警告装置40が警告を発する。警告装置40は、音によって警告を発するものであってもよく、また、表示又は点灯によって警告を発するものであってもよく、また、振動によって警告を発するものであってもよく、また、それらの組み合わせであってもよい。警告装置40は、各種機構(例えば、ブレーキ、エンジン等)を制御して鞍乗型車両100に瞬時的に減速又は加速を生じさせることで、警告としての振動を発してもよい。前方衝突抑制動作において、鞍乗型車両100が自動で衝突を回避するように、挙動制御装置30が各種機構(例えば、ブレーキ、エンジン等)を制御してもよい。実行部23は、周囲環境検出装置11aの出力に基づいて、前方に位置する対象の情報(例えば、鞍乗型車両100に対する相対距離、相対速度、相対加速度等)を取得して、衝突可能性を判定する。なお、警告装置40は、鞍乗型車両100に設けられていてもよく、また、鞍乗型車両100に付随する備品(例えば、ヘルメット、グローブ等)に設けられていてもよく、また、他の車両の運転者に警告を発するものであってもよく、また、他の車両又は他の車両に付随する備品の警告装置に制御指令を出力するものであってもよい。
【0034】
実行部23は、前方衝突抑制動作が有効化されている状況下で、解析部22で鞍乗型車両100の走行状態が車列間走行(
図3参照)であると判別されると、その判別に応じたライダー支援動作を実行する。実行部23は、例えば、周囲環境検出装置11aの検出範囲のうちの衝突可能性の判定に用いられる領域を、前方を走行する左方車列200の車両201及び前方を走行する右方車列300の車両301を除外すべく強制的に狭める。また、実行部23は、例えば、警告又は回避のために鞍乗型車両100に減速度が生じることを強制的に禁止する。また、実行部23は、例えば、警告又は回避のために鞍乗型車両100に生じる減速度の上限値を強制的に低下させる。
【0035】
実行部23は、前方衝突抑制動作が有効化されている状況下で、解析部22で鞍乗型車両100の走行状態がグループ走行(
図4参照)であると判別されると、その判別に応じたライダー支援動作を実行する。実行部23は、例えば、周囲環境検出装置11aの検出範囲のうちの衝突可能性の判定に用いられる領域を、鞍乗型車両100が属する走行列と異なる走行列でグループ走行する車両301aを除外すべく強制的に狭める。その際、実行部23は、その車両301aが居る側(
図4の例では右側)のみを狭めるとよい。また、実行部23は、例えば、警告又は回避のために鞍乗型車両100に減速度が生じることを強制的に禁止する。また、実行部23は、例えば、警告又は回避のために鞍乗型車両100に生じる減速度の上限値を強制的に低下させる。
【0036】
実行部23は、前方衝突抑制動作が有効化されている状況下で、解析部22で鞍乗型車両100の走行位置(
図5参照)が解析されると、その解析結果に応じたライダー支援動作を実行する。実行部23は、例えば、周囲環境検出装置11aの検出範囲のうちの衝突可能性の判定に用いられる領域を、鞍乗型車両100が走行するレーンL1のみを含むべくずらす。実行部23は、鞍乗型車両100の走行位置のレーンL1の中心からの偏り方向及び偏り量に応じて、その領域をずらすとよい。また、実行部23は、その偏り量が所定期間以上に亘って安定している場合に、その領域をずらすとよい。また、実行部23は、偏り量が基準値を上回らない場合に、その領域をずらさないとよい。
【0037】
なお、実行部23が解析部22での判別結果に応じて変化させるライダー支援動作が、鞍乗型車両100の後方又は側方に位置する対象(例えば、車両、落下物等)に対する衝突抑制動作であってもよい。そのような衝突抑制動作においても、実行部23が、前方衝突抑制動作の場合と同様に動作するとよい。
【0038】
一例として、実行部23は、ライダー支援動作として、鞍乗型車両100の死角走行車両警告動作を実行する。死角走行車両警告動作が有効化されると、鞍乗型車両100の斜め後方に位置する車両の有無が判定され、そのような車両が有る場合に警告装置40が警告を発する。警告装置40は、音によって警告を発するものであってもよく、また、表示又は点灯によって警告を発するものであってもよく、また、振動によって警告を発するものであってもよく、また、それらの組み合わせであってもよい。警告装置40は、各種機構(例えば、ブレーキ、エンジン等)を制御して鞍乗型車両100に瞬時的に減速又は加速を生じさせることで、警告としての振動を発してもよい。実行部23は、周囲環境検出装置11bの出力に基づいて、鞍乗型車両100の斜め後方に位置する車両の有無を判定する。なお、周囲環境検出装置11bに換えて、周囲環境検出装置11c、11dの出力に基づいて、鞍乗型車両100の斜め後方に位置する車両の有無が判定されてもよい。
【0039】
実行部23は、死角走行車両警告動作が有効化されている状況下で、解析部22で鞍乗型車両100の走行状態が車列間走行(
図3参照)であると判別されると、その判別に応じたライダー支援動作を実行する。実行部23は、例えば、警告が発することを強制的に禁止する。また、実行部23は、例えば、警告のライダーによる知覚性を強制的に低下させる。
【0040】
実行部23は、死角走行車両警告動作が有効化されている状況下で、解析部22で鞍乗型車両100の走行状態がグループ走行(
図4参照)であると判別されると、その判別に応じたライダー支援動作を実行する。実行部23は、例えば、警告が発することを強制的に禁止する。また、実行部23は、例えば、警告のライダーによる知覚性を強制的に低下させる。
【0041】
実行部23は、死角走行車両警告動作が有効化されている状況下で、解析部22で鞍乗型車両100の走行位置(
図5参照)が解析されると、その解析結果に応じたライダー支援動作を実行する。実行部23は、例えば、周囲環境検出装置11bの検出範囲のうちの車両の有無の判定に用いられる領域を、鞍乗型車両100の走行位置のレーンL1の中心からの偏り方向と反対側にずらす。その際、実行部23は、偏り量に応じてずらす量を決定するとよい。また、実行部23は、その偏り量が所定期間以上に亘って安定している場合に、その領域をずらすとよい。また、実行部23は、偏り量が基準値を上回らない場合に、その領域をずらさないとよい。
【0042】
<ライダー支援システムの動作>
実施の形態に係るライダー支援システムの動作について説明する。
図6は、本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、制御装置の動作フローを示す図である。なお、各ステップの順序が適宜入れ替えられていてもよく、また、別のステップが適宜加えられていてもよい。
【0043】
制御装置20は、鞍乗型車両100の走行中において、
図6に示される動作フローを繰り返し実行する。
【0044】
(取得ステップ)
ステップS101において、取得部21は、周囲環境検出装置11a、11b、11c、11dの出力に基づいて、鞍乗型車両100の周辺に位置する対象の情報を取得する。特に、取得部21は、鞍乗型車両100の走行ラインDLの左方に位置する対象T1の情報である左方対象情報と、その走行ラインDLの右方に位置する対象T2の情報である右方対象情報と、を取得する。
【0045】
(解析ステップ)
続いて、ステップS102において、解析部22は、左方対象情報及び右方対象情報の少なくとも一方に基づいて、鞍乗型車両100の走行状態を解析する。
【0046】
(実行ステップ)
続いて、ステップS103において、実行部23は、解析部22での走行状態の解析結果に応じたライダー支援動作を実行する。
【0047】
<ライダー支援システムの効果>
実施の形態に係るライダー支援システムの効果について説明する。
【0048】
ライダー支援システム1では、少なくとも1つの周囲環境検出装置(例えば、周囲環境検出装置11c、11d)の出力に基づいて、鞍乗型車両100の走行ラインDLの左方に位置する対象T1の情報である左方対象情報と、その走行ラインDLの右方に位置する対象T2の情報である右方対象情報と、が取得され、左方対象情報及び右方対象情報の少なくとも一方に基づいて鞍乗型車両100の走行状態が解析され、その解析結果に応じたライダー支援動作が実行される。そのため、鞍乗型車両100の走行の特殊性に適切に対応することが可能となる。
【0049】
好ましくは、左方対象情報は、走行ラインDLの左方に位置する少なくとも1つの車両(
図3~
図5の例の201)の鞍乗型車両100に対する相対距離の情報であり、右方対象情報は、走行ラインDLの右方に位置する少なくとも1つの車両(
図3~
図5の例の301、301a、301b)の鞍乗型車両100に対する相対距離の情報である。そのように構成されることで、鞍乗型車両100の走行の特殊性への対応がより適切化される。特に、相対距離の情報は、鞍乗型車両100の車幅方向での相対距離(
図3~
図5の例のD201、D301、D301a、D301b)の情報であるとよい。そのように構成されることで、鞍乗型車両100の走行の特殊性への対応がより確実化される。
【0050】
好ましくは、左方対象情報は、検出範囲Rcを有する周囲環境検出装置11cの出力に基づいて取得され、右方対象情報は、検出範囲Rdを有する周囲環境検出装置11dの出力に基づいて取得される。つまり、左方対象情報及び右方対象情報は、別々の検出装置によって取得される。そのように構成されることで、不要な領域が検出範囲に含まれることが抑制されて、例えば、演算処理負担の低減、情報の高精度化等が図られる。特に、周囲環境検出装置11cは、鞍乗型車両100の左側の真横に向けられており、周囲環境検出装置11dは、鞍乗型車両100の右側の真横に向けられているとよい。そのように構成されることで、情報の正確化が図られる。
【0051】
好ましくは、解析部22は、取得部21で取得された左方対象情報及び右方対象情報に基づいて、鞍乗型車両100の車列間走行の有無を解析する。そのように構成されることで、鞍乗型車両100に特有の走行状態、つまり、鞍乗型車両100が格段小型であることで可能となる車列間走行に対応したライダー支援動作が可能となる。
【0052】
好ましくは、解析部22は、取得部21で取得された左方対象情報及び右方対象情報の少なくとも一方に基づいて、鞍乗型車両100のグループ走行の有無を解析する。そのように構成されることで、鞍乗型車両100に特有の走行状態、つまり、鞍乗型車両100が格段小型であることで可能となる密集度が高いグループ走行に対応したライダー支援動作が可能となる。特に、解析部22は、取得部21で取得された左方対象情報及び右方対象情報の少なくとも一方に基づいて、グループ走行での鞍乗型車両100の走行列を解析するとよい。そのように構成されることで、鞍乗型車両100に特有の走行状態、つまり、鞍乗型車両100が格段小型であることで可能となる千鳥状のグループ走行に対応したライダー支援動作が可能となる。
【0053】
好ましくは、解析部22は、取得部21で取得された左方対象情報及び右方対象情報に基づいて、鞍乗型車両100のレーンL1内での走行位置を解析する。そのように構成されることで、鞍乗型車両100に特有の走行状態、つまり、鞍乗型車両100が格段小型であることで可能となるレーンL1の中心から大きく偏った位置での走行に対応したライダー支援動作が可能となる。特に、解析部22は、取得部21で取得された左方対象情報及び右方対象情報に基づいて、走行位置のレーンL1の中心からの偏り方向及び偏り量を解析する。そのように構成されることで、レーンL1の中心から大きく偏った位置での走行への対応が確実化される。
【0054】
好ましくは、実行部23は、解析部22での走行状態の解析結果に応じて、鞍乗型車両100のクルーズコントロール動作又はアダプティブクルーズコントロール動作を変化させる。また、実行部23は、解析部22での走行状態の解析結果に応じて、鞍乗型車両100の衝突抑制動作を変化させる。また、実行部23は、解析部22での走行状態の解析結果に応じて、鞍乗型車両100の死角走行車両警告動作を変化させる。それらの動作では、情報を適切化することの必要性が特に高い。つまり、左方対象情報及び右方対象情報に基づいて鞍乗型車両100の走行状態を解析することは、それらの動作において特に有用である。
【0055】
本発明の実施の形態は、以上の説明に限定されない。つまり、本発明には、以上で説明された実施の形態に対して変形を施した形態が含まれる。また、本発明には、以上で説明された実施の形態の一部のみが実施される形態、又は、その形態同士が組み合わされた形態が含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1 ライダー支援システム、11a、11b、11c、11d 周囲環境検出装置、12 走行状態検出装置、20 制御装置、21 取得部、22 解析部、23 実行部、30 挙動制御装置、40 警告装置、100 鞍乗型車両、200、300 車列、110、201、301、301a、301b 車両、T1、T2 対象、DL 走行ライン、L1、L2、L3 レーン、Rc、Rd 検出範囲。