(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】作業工具及び電動工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20240502BHJP
B25F 5/02 20060101ALI20240502BHJP
B24B 49/10 20060101ALI20240502BHJP
B24B 23/02 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
B25F5/00 B
B25F5/02
B24B49/10
B24B23/02
(21)【出願番号】P 2022534913
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(86)【国際出願番号】 JP2021015588
(87)【国際公開番号】W WO2022009495
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2020119280
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水谷 彰良
(72)【発明者】
【氏名】中浜 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】今井田 大樹
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-066636(JP,A)
【文献】実開平04-108830(JP,U)
【文献】特表2002-505799(JP,A)
【文献】特開2016-187865(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0146797(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0268068(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0348843(US,A1)
【文献】特開2011-177812(JP,A)
【文献】特開2012-196732(JP,A)
【文献】実開平04-136678(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F1/00-5/02
B24B3/00-3/60
B24B21/00-39/06
B25B21/00-21/02
B25C1/00-13/00
B25D1/00-17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業工具であって、
モータと、
ハウジングと、
前記ハウジングに沿って前記作業工具の長手方向に延在し、ユーザによって握り操作されることによって枢動軸線を中心として枢動可能に構成され、前記枢動軸線に対する第1の側と、前記枢動軸線に対する前記第1の側と反対の第2の側と、の両方で前記ハウジングから露出された操作部材と、
前記操作部材が第1の起動位置まで第1の方向に枢動されたことを検知するように構成されるとともに、前記操作部材が第2の起動位置まで前記第1の方向と反対の第2の方向に枢動されたことを検知するように構成されたスイッチと
を備え、
前記操作部材が前記第1の起動位置まで枢動されたことが前記スイッチによって検知された第1の場合に前記モータが駆動されるように構成されるとともに、前記操作部材が前記第2の起動位置まで枢動されたことが前記スイッチによって検知された第2の場合に前記第1の場合と同一方向に前記モータが駆動されるように構成された
作業工具。
【請求項2】
請求項1に記載の作業工具であって、
前記第1の側は、前記長手方向における前記枢動軸線に対する一方側であり、前記第2の側は、前記長手方向における前記枢動軸線に対する前記第1の側と反対側である
作業工具。
【請求項3】
請求項1に記載の作業工具であって、
前記第1の側は、前記長手方向と交差する交差方向における前記枢動軸線に対する一方側であり、前記第2の側は、前記交差方向における前記枢動軸線に対する前記第1の側と反対側である
作業工具。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3に記載の作業工具であって、
前記スイッチは、前記操作部材が前記第1の起動位置まで枢動されたことを検知するように構成された第1のスイッチと、前記操作部材が前記第2の起動位置まで枢動されたことを検知するように構成された第2のスイッチと、を備える
作業工具。
【請求項5】
請求項4に記載の作業工具であって、
前記第1のスイッチは、前記第1の側に配置され、
前記第2のスイッチは、前記第2の側に配置された
作業工具。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の作業工具であって、
前記操作部材は、該操作部材が枢動するためのヒンジの一部分を構成するヒンジ構成部を備える
作業工具。
【請求項7】
請求項6に記載の作業工具であって、
前記ヒンジ構成部は、前記枢動軸線が延在する方向に延在し、前記ハウジングに形成されたボス内に回転可能に支持される軸部である
作業工具。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の作業工具であって、
前記操作部材は単一の部材である
作業工具。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の作業工具であって、
前記操作部材が前記第1の起動位置まで変位することと前記操作部材が前記第2の起動位置まで変位することとを阻止する阻止位置と、前記操作部材が前記第1の起動位置まで変位することと前記操作部材が前記第2の起動位置まで変位することとを許容する許容位置と、の間で変位可能に構成されたロックオフ部材を備える
作業工具。
【請求項10】
請求項9に記載の作業工具であって、
前記ロックオフ部材は、
前記操作部材と一体的に枢動するように構成され、
前記第1の側に配置され、
前記ハウジングと係合し、それによって前記操作部材が前記第1の起動位置まで変位することを阻止する第1の阻止位置と、前記ハウジングと係合せず、それによって前記操作部材が前記第1の起動位置まで変位することを許容する第1の許容位置と、の間で変位可能な第1のロックオフ部材と、
前記操作部材と一体的に枢動するように構成され、
前記第2の側に配置され、
前記ハウジングと係合し、それによって前記操作部材が前記第2の起動位置まで変位することを阻止する第2の阻止位置と、前記ハウジングと係合せず、それによって前記操作部材が前記第2の起動位置まで変位することを許容する第2の許容位置と、の間で変位可能な第2のロックオフ部材と
を備える
作業工具。
【請求項11】
請求項2、または、請求項2を従属元に含む請求項4ないし請求項10のいずれか一項に記載の作業工具であって、
前記モータによって駆動されるように構成された先端工具を備え、
前記ハウジングは、
前記モータを収容するモータハウジングと、
前記ユーザが把持可能なハンドルハウジングであって、前記長手方向における前記先端工具と反対側で前記モータハウジングに隣接し、前記長手方向に延在するハンドルハウジングと
を備え、
前記操作部材は、前記モータハウジングに沿って前記長手方向に延在する第1の部分と、前記ハンドルハウジングに沿って前記長手方向に延在する第2の部分と、を備える
作業工具。
【請求項12】
請求項11に記載の作業工具であって、
前記長手方向周りの前記ハンドルハウジングの外周長さは、前記長手方向周りの前記モータハウジングの外周長さよりも小さく、
前記操作部材は、前記ハンドルハウジングの外周長さと前記モータハウジングの外周長さとの違いに追従するように前記長手方向と交差する方向に延在して前記第1の部分と前記第2の部分とを連結する連結部を備え、
前記枢動軸線は前記連結部に位置する
作業工具。
【請求項13】
請求項3、または、請求項3を従属元に含む請求項4ないし請求項10のいずれか一項に記載の作業工具であって、
前記ハウジングは環状部分を有し、
前記操作部材は、前記環状部分の内側に沿った環形状を有し、
前記枢動軸線は、前記操作部材の前記長手方向の端部に位置する
作業工具。
【請求項14】
請求項2を従属元に含む請求項4もしくは請求項5に記載、または、請求項2を従属元に含む請求項4を従属元に含む請求項6ないし請求項13のいずれか一項に記載の作業工具であって、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの少なくとも一方は、前記操作部材が枢動されたときに前記操作部材の前記第1の側の端部および前記第2の側の端部のいずれかに押圧される位置に配置された
作業工具。
【請求項15】
電動工具であって、
モータと、
前記モータに接続された動力伝達機構と、
前記モータを収容するモータハウジングと、
ユーザが把持可能なハンドルハウジングと、
前記動力伝達機構を収容するギアハウジングと、
前記動力伝達機構に接続された先端工具保持部と、
前記モータハウジングと前記ハンドルハウジングとに沿って前記電動工具の長手方向に延在し、回動中心を有し、前記ユーザによって握り操作されることによって前記回動中心を中心として回動可能に構成された操作部材と、
を備え、
前記ハンドルハウジングは、前記電動工具の長手方向における前記先端工具保持部と反対側で前記モータハウジングに隣接するとともに、前記長手方向に延在し、
前記操作部材は、前記長手方向における前記
回動中心に対する第1の側と、前記長手方向における前記
回動中心に対する前記第1の側と反対の第2の側と、の両方で前記モータハウジングおよび前記ハンドルハウジングから露出されており、前記モータハウジングに沿って前記長手方向に延在する第1の部分と、前記ハンドルハウジングに沿って前記長手方向に延在する第2の部分と、を備え、
前記長手方向周りの前記ハンドルハウジングの外周長さは、前記長手方向周りの前記モータハウジングの外周長さよりも小さく、
前記操作部材は、前記ハンドルハウジングの外周長さと前記モータハウジングの外周長さとの違いに追従するように前記長手方向と交差する方向に延在して前記第1の部分と前記第2の部分とを連結する連結部を備え、
前記電動工具は、前記回動中心が前記連結部に設けられているように構成された
電動工具
【請求項16】
請求項15に記載の電動工具であって、
前記ハンドルハウジングは、前記モータハウジングに対して上方に偏心しており、
前記回動中心は前記連結部の下部に設けられている
電動工具。
【請求項17】
請求項15または請求項16に記載の電動工具であって、
前記操作部材は、
前記長手方向において前記回動中心に対して第1の側に位置する第1の端部を有し、前記モータハウジングに沿って前記長手方向に延在する第1の部分と、
前記長手方向において前記回動中心に対して前記第1の側と反対の第2の側に位置する第2の端部を有し、前記ハンドルハウジングに沿って前記長手方向に延在する第2の部分と
を備え、
前記第1の部分は、前記モータハウジングからの前記第1の部分の突出量が前記第1の端部のところで最大になる形状を有し、
前記第2の部分は、前記ハンドルハウジングからの前記第2の部分の突出量が前記第2の端部のところで最大になる形状を有する
電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部材の操作に応じて、モータが駆動または停止される工具に関する。
【背景技術】
【0002】
モータの駆動力を利用して作業を行う手持ち式の作業工具には、ユーザがモータの動作のオン/オフ操作を行うためのユーザインタフェースが設けられる。このようなユーザインタフェースの一種として、ユーザによって握り操作される操作部材が知られている。ユーザの握り操作によって操作部材が初期位置から起動位置まで変位されると、モータの駆動が開始され、操作部材が起動位置から初期位置に戻されると、モータの駆動が停止される。
【0003】
例えば、下記の特許文献1が開示するグラインダでは、操作部材が、モータを収容するモータハウジングと、モータハウジングの後方に位置するリアカバーと、の両方の下面に沿って長尺状に延在するように設けられている。この操作部材は、モータハウジングの後側の略半分からリアカバーの後端付近まで延在している。この操作部材は、付勢部材によって初期位置に向けて付勢されている。ユーザが操作部材を握り操作すると、操作部材は、付勢部材による付勢力に抗って、当該操作部材の前端部(つまり、モータハウジング側の端部)を支点として枢動する。操作部材のこの変位がスイッチによって検知されると、モータが駆動され、モータの回転駆動力によって先端工具が回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のグラインダは、操作部材の操作性を改善する余地を残している。例えば、ユーザは、リアカバーを把持する場合は、操作部材を良好に操作できるものの、ユーザが先端工具に近いところを把持したい場合は、操作性が悪くなる。具体的には、操作部材は、握り操作されたときに前端部を支点として枢動するので、ユーザがモータハウジングの後側の半分を把持するときには、支点と握り位置との距離が小さくなる。このため、握り位置における操作部材のストローク量が小さくなり、ユーザの操作感が低下する。つまり、僅かなストローク量でスイッチのオン状態とオフ状態とが切り替わるので、ユーザは、オン/オフ状態を切り換えた感覚を得にくい。しかも、操作部材のストローク量が小さ過ぎると、ユーザが操作部材を握る力を少し緩めただけでも、スイッチが意図に反してオフ状態に切り換えられてしまう。このため、ユーザは、操作部材をよりしっかりと握る必要がある。また、モータハウジングの前側を把持したい場合、操作部材に指が届かず操作することができない。上記の問題は、引用文献1のグラインダに限らず、ハウジングに沿って長手方向に延在し、ユーザによって握り操作されることによって枢動軸線を中心として枢動可能に構成された操作部材を備える任意の作業工具に共通する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は作業工具を開示する。この作業工具は、モータと、ハウジングと、ハウジングに沿って作業工具の長手方向に延在し、ユーザによって握り操作されることによって枢動軸線を中心として枢動可能に構成され、枢動軸線に対する第1の側と、枢動軸線に対する第1の側と反対の第2の側と、の両方でハウジングから露出された操作部材と、操作部材が第1の起動位置まで第1の方向に枢動されたことを検知するように構成されるとともに、操作部材が第2の起動位置まで第1の方向と反対の第2の方向に枢動されたことを検知するように構成されたスイッチと、を備えていてもよい。作業工具は、操作部材が第1の起動位置まで枢動されたことがスイッチによって検知された場合にモータが駆動されるように構成されるとともに、操作部材が第2の起動位置まで枢動されたことがスイッチによって検知された場合にモータが駆動されるように構成されてもよい。
【0007】
この作業工具によれば、操作部材は、枢動軸線に対する第1の側と、枢動軸線に対する第2の側と、の両方でハウジングから露出されている(つまり、ユーザが握り操作可能に配置されている)ので、枢動軸線を間に挟む操作部材の両端部と、操作部材の枢動軸線と、のそれぞれの距離をある程度確保できる。したがって、ユーザが操作部材の第1の側を握り操作する場合と、ユーザが操作部材の第2の側を握り操作する場合と、の両方において、握り位置における操作部材のストローク量をある程度、確保できる。したがって、操作部材の操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態によるグラインダの側面図である。
【
図3】グラインダの縦断面図であり、操作部材が初期位置にある状態を示している。
【
図5】グラインダの縦断面図であり、操作部材の前側が握り操作されて、操作部材が初期位置から第1の起動位置まで枢動した状態を示している。
【
図6】グラインダの縦断面図であり、操作部材の後側が握り操作されて、操作部材が初期位置から第2の起動位置まで枢動した状態を示している。
【
図10】グラインダの分解図であり、左ハウジングを取り外した状態を示している。
【
図11】グラインダの分解図であり、左ハウジングと操作部材とを取り外した状態を示している。
【
図12】第2実施形態による操作部材と第1のスイッチおよび第2のスイッチとの位置関係を示す模式図である。
【
図13】第3実施形態による操作部材の概略構成を示す模式図である。
【
図14】第4実施形態による操作部材の概略構成を示す模式図である。
【
図15】第5実施形態によるグラインダの側面図である。
【
図16】第5実施形態による操作部材の斜視図である。
【
図17】グラインダの縦断面図であり、操作部材の上側が握り操作されて、操作部材が初期位置から第1の起動位置まで枢動した状態を示している。
【
図18】グラインダの縦断面図であり、操作部材の下側が握り操作されて、操作部材が初期位置から第2の起動位置まで枢動した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
「ハウジング」とは、作業工具の様々な構成要素から選択される任意の1つ以上の構成要素を収容する部分として定義され得る。操作部材は単一の部材であってもよい。あるいは、操作部材は、第1の側に配置される第1の操作部材と、第2の側に配置される第2の操作部材と、を備えていてもよい。この場合、第1の操作部材および第2の操作部材は、共通する単一の枢動軸線を有していてもよい。あるいは、第1の操作部材が第1の枢動軸線を有し、第2の操作部材が第2の枢動軸線を有していてもよい。換言すれば、第1の操作部材が第1の枢動軸線を中心として枢動可能に構成され、第2の操作部材が第2の枢動軸線を中心として枢動可能に構成されてもよい。この場合、第1の操作部材は、第1の枢動軸線および第2の枢動軸線に対する第1の側でハウジングから露出され、第2の操作部材は、第1の枢動軸線および第2の枢動軸線に対する第1の側と反対の第2の側でハウジングから露出されていてもよい。
【0010】
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1の側は、長手方向における枢動軸線に対する一方側であってもよい。第2の側は、長手方向における枢動軸線に対する第1の側と反対側であってもよい。この構成によれば、操作部材の長手方向の両端部と、操作部材の枢動軸線と、のそれぞれの距離をある程度確保できる。したがって、ユーザが長手方向における操作部材の第1の側を握り操作する場合と、ユーザが長手方向における操作部材の第2の側を握り操作する場合と、の両方において、握り位置における操作部材のストローク量をある程度、確保できる。また、先端工具に近い位置を把持する場合でも、操作可能な位置に操作部材を配置できる。
【0011】
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1の側は、長手方向と交差する交差方向における枢動軸線に対する一方側であってもよい。第2の側は、交差方向における枢動軸線に対する第1の側と反対側であってもよい。この構成によれば、ユーザが交差方向における操作部材の第1の側を握り操作する場合と、ユーザが交差方向における操作部材の第2の側を握り操作する場合と、の両方において、握り位置における操作部材の回転半径、ひいては、ストローク量をある程度、確保できる。
【0012】
1つまたはそれ以上の実施形態において、スイッチは、操作部材が第1の起動位置まで枢動されたことを検知するように構成された第1のスイッチと、操作部材が第2の起動位置まで枢動されたことを検知するように構成された第2のスイッチと、を備えていてもよい。この構成によれば、操作部材の枢動運動を直接的に利用して、第1のスイッチおよび第2のスイッチのオン状態/オフ状態の切換えを行うことができる。換言すれば、操作部材の変位をスイッチに伝達する伝達機構が必要ない。したがって、装置構成を簡素化できる。
【0013】
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1のスイッチは、第1の側に配置されていてもよい。第2のスイッチは、第2の側に配置されていてもよい。この構成によれば、第1のスイッチおよび第2のスイッチを枢動軸線に対する一方側に集約する必要がないので、大型化を抑制できる作業工具のレイアウトを設定しやすい。
【0014】
1つまたはそれ以上の実施形態において、操作部材は、操作部材が枢動するためのヒンジの一部分を構成するヒンジ構成部を備えていてもよい。この構成によれば、簡単な構成で、操作部材を所定位置に保持できるとともに、円滑に枢動させることができる。
【0015】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ヒンジ構成部は、枢動軸線が延在する方向に延在する軸部であってもよい。軸部は、ハウジングに形成されたボス内に回転可能に支持されてもよい。この構成によれば、ハウジングを半割などの分割可能な構成にすれば、作業工具の組み立てを行いやすい。他の実施形態によれば、ヒンジ構成部は、枢動軸線が延在する方向に延在するようにハウジングに設けられた軸部の周囲を取り囲むボス部であってもよい。
【0016】
1つまたはそれ以上の実施形態において、操作部材は単一の部材であってもよい。この構成によれば、部品点数が減り、簡素な装置構成とすることができる。また、ユーザにとって操作方法が分かりやすくなる。
【0017】
1つまたはそれ以上の実施形態において、作業工具は、操作部材が第1の起動位置まで変位することと操作部材が第2の起動位置まで変位することとを阻止する阻止位置と、操作部材が第1の起動位置まで変位することと操作部材が第2の起動位置まで変位することとを許容する許容位置と、の間で変位可能に構成されたロックオフ部材を備えていてもよい。この構成によれば、ユーザが操作部材にうっかり触れてしまうことによって、ユーザの意図に反してモータが駆動されることを防止できる。
【0018】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ロックオフ部材は、第1のロックオフ部材と第2のロックオフ部材とを備えていてもよい。第1のロックオフ部材は、操作部材と一体的に枢動するように構成されてもよく、第1の側に配置されてもよく、ハウジングと係合し、それによって操作部材が第1の起動位置まで変位することを阻止する第1の阻止位置と、ハウジングと係合せず、それによって操作部材が第1の起動位置まで変位することを許容する第1の許容位置と、の間で変位可能であってもよい。第2のロックオフ部材は、操作部材と一体的に枢動するように構成されてもよく、第2の側に配置されてもよく、ハウジングと係合し、それによって操作部材が第2の起動位置まで変位することを阻止する第2の阻止位置と、ハウジングと係合せず、それによって操作部材が第2の起動位置まで変位することを許容する第2の許容位置と、の間で変位可能であってもよい。この構成によれば、簡単な構成でロックオフ機能を提供することができる。
【0019】
1つまたはそれ以上の実施形態において、作業工具は、モータによって駆動されるように構成された先端工具を備えていてもよい。ハウジングは、モータを収容するモータハウジングと、ユーザが把持可能なハンドルハウジングであって、長手方向における先端工具と反対側でモータハウジングに隣接し、長手方向に延在するハンドルハウジングと、を備えていてもよい。操作部材は、モータハウジングに沿って長手方向に延在する第1の部分と、ハンドルハウジングに沿って長手方向に延在する第2の部分と、を備えていてもよい。上記の作業工具では、ユーザの好みや作業の種類に応じて、ユーザがハンドルハウジングを把持する場合と、ユーザが先端工具により近いモータハウジングを把持する場合と、が想定される。この構成によれば、この2つの場合のいずれであっても、握り位置における操作部材のストローク量をある程度、確保できる。したがって、操作部材の操作性が向上する。
【0020】
1つまたはそれ以上の実施形態において、長手方向周りのハンドルハウジングの外周長さは、長手方向周りのモータハウジングの外周長さよりも小さくてもよい。操作部材は、ハンドルハウジングの外周長さとモータハウジングの外周長さとの違いに追従するように長手方向と交差する方向に延在して第1の部分と第2の部分とを連結する連結部を備えていてもよい。枢動軸線は連結部に位置していてもよい。この構成によれば、ハンドルハウジングおよび第2の部分は相対的に外周長さが小さいので、ユーザは、ハンドルハウジングを把持しつつ第2の部分を握る操作を行いやすい。また、通常、ユーザはモータハウジングとハンドルハウジングとの境界(すなわち、ハウジングのうちの外周長さが変わる箇所)を把持しないので、枢動軸線が連結部に位置する本実施形態によれば、ユーザがモータハウジングを把持する場合と、ユーザがハンドルハウジングを把持する場合と、の両方において、長手方向において、枢動軸線と、ユーザが操作部材を握り操作する箇所と、の距離を大きく確保することができる。したがって、握り位置における操作部材のストローク量を大きく確保できる。つまり、ユーザがモータハウジングを把持する場合と、ユーザがハンドルハウジングを把持する場合と、の両方において、操作部材の良好な操作性が得られる。
【0021】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ハウジングは環状部分を有していてもよい。操作部材は、環状部分の内側に沿った環形状を有していてもよい。枢動軸線は、操作部材の長手方向の端部に位置してもよい。この構成によれば、部品点数が減り、簡素な装置構成とすることができる。
【0022】
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1のスイッチおよび第2のスイッチの少なくとも一方は、操作部材が枢動されたときに操作部材の第1の側の端部および第2の側の端部のいずれかに押圧される位置に配置されてもよい。この態様によれば、操作部材のうちの第1のスイッチおよび第2のスイッチの少なくとも一方を押圧する箇所と、枢動軸線と、の距離が大きくなる。枢動による操作部材の変位量は枢動軸線から離れる箇所ほど大きくなる。このため、この構成によれば、操作部材が第1のスイッチおよび第2のスイッチの少なくとも一方を押圧してオン状態にするために必要な変位量を大きくできる。したがって、第1のスイッチおよび第2のスイッチの少なくとも一方についての誤動作が発生しにくい。あるいは、作業工具の寸法または組み立ての要求精度を低くできる。
【0023】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電動工具は、モータと、モータに接続された動力伝達機構と、モータを収容するモータハウジングと、ユーザが把持可能なハンドルハウジングと、動力伝達機構を収容するギアハウジングと、動力伝達機構に接続された先端工具保持部と、操作部材と、を備えていてもよい。操作部材は、モータハウジングとハンドルハウジングとに沿って作業工具の長手方向に延在し、回動中心を有し、ユーザによって握り操作されることによって回動中心を中心として回動可能に構成されてもよい。ハンドルハウジングは、モータハウジングに比べて細い径を有していてもよく、ハンドルハウジングとモータハウジングとを接続する連結部を備えていてもよい。電動工具は、回動中心が連結部に設けられているように構成されてもよい。通常、ユーザはハウジングのうちの径が変わる箇所を把持しないので、この電動工具によれば、ユーザがハンドルハウジングを把持する場合と、ユーザがモータハウジングを把持する場合と、の両方において、長手方向において、回動中心と、ユーザが操作部材を握り操作する箇所と、の距離を大きく確保することができる。したがって、握り位置における操作部材のストローク量をある程度、確保できる。つまり、ユーザがモータハウジングを把持する場合と、ユーザがハンドルハウジングを把持する場合と、の両方において、操作部材の良好な操作性が得られる。
【0024】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ハンドルハウジングは、前記モータハウジングに対して上方に偏心していてもよい。回動中心は連結部の下部に設けられていてもよい。この構成によれば、操作部材の握り操作が行いやすい。
【0025】
1つまたはそれ以上の実施形態において、操作部材は、第1の部分と第2の部分とを備えていてもよい。第1の部分は、長手方向において回動中心に対して第1の側に位置する第1の端部を有し、モータハウジングに沿って長手方向に延在してもよい。第2の部分は、長手方向において回動中心に対して第1の側と反対の第2の側に位置する第2の端部を有し、ハンドルハウジングに沿って長手方向に延在してもよい。第1の部分は、モータハウジングからの第1の部分の突出量が第1の端部のところで最大になる形状を有していてもよい。第2の部分は、ハンドルハウジングからの第2の部分の突出量が第2の端部のところで最大になる形状を有していてもよい。この構成によれば、ユーザが第1の部分を握り操作した場合と、ユーザが第2の部分を握り操作した場合と、の両方において、ユーザが操作部材を握った際における操作部材の露出部分の向きが水平方向に近づく。したがって、操作部材を握りこんだ状態でのユーザの操作感が向上する。つまり、ユーザは、操作部材を握った状態、すなわち、モータを駆動させる状態を維持しやすい。
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について、さらに詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、作業工具として、手持ち式の電動ディスクグラインダ(以下、単にグラインダという)を例示する。
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について、さらに詳細に説明する。以下の実施形態では、ハウジングとモータと操作部材とを備える作業工具として、手持ち式の電動ディスクグラインダ(以下、単にグラインダという)を例示する。
【0028】
まず、
図1~11を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図3に示すように、グラインダ10は、スピンドル35に装着された略円盤状の先端工具38を回転駆動するように構成されている。スピンドル35は、電動モータ41によって提供される回転駆動力によって回転される。グラインダ10に装着可能な先端工具38として、砥石、ゴムパッド、ブラシ、ブレード等が用意されている。使用者は、所望の加工作業に応じて適切な先端工具38を選択し、グラインダ10に装着する。グラインダ10によれば、先端工具38の種類に応じて、被加工材に対して研削、研磨、切断等の加工作業を行うことができる。
【0029】
以下の説明では、電動モータ41の回転軸線AX1(換言すれば、モータシャフト42)が延在する方向をグラインダ10の前後方向と定義する。前後方向のうち、先端工具38が位置する側を前側と定義し、その反対側を後側と定義する。グラインダ10の前後方向は、グラインダ10の長手方向としても定義され得る。また、スピンドル35の回転軸線AX2(換言すれば、先端工具38の回転軸線)が延在する方向をグラインダ10の上下方向と定義する。上下方向のうち、先端工具38が位置する側を下側と定義し、その反対側を上側と定義する。また、上下方向および前後方向に直交する方向を、グラインダ10の左右方向と定義する。左右方向のうち、後側から前側を見たときの右側をグラインダ10の右側と定義し、その反対側をグラインダ10の左側と定義する。
【0030】
図1および
図2に示すように、グラインダ10はハウジング15を備えている。ハウジング15は、金属製のギアハウジング30と、樹脂製の本体ハウジング20と、を備えている。
図3に示すように、ギアハウジング30内には、電動モータ41の回転駆動力を先端工具38に伝達するための動力伝達機構が収容されている。具体的には、ギアハウジング30内には、動力伝達機構として、小ベベルギア33と、大ベベルギア34と、スピンドル35と、が収容されている。小ベベルギア33は、電動モータ41のモータシャフト42の前端部において、モータシャフト42の周りに固定されている。スピンドル35は、上下方向に離間して配置された軸受によって、回転軸線AX2を中心に回転可能に支持されている。回転軸線AX2は、電動モータ41の回転軸線AX1と交差(より具体的には、直交)している。大ベベルギア34は、スピンドル35の上側において、スピンドル35の周りに固定されており、小ベベルギア33と噛み合っている。ギアハウジング30の下部には、スピンドル35を回転可能に支持する軸受を支持する樹脂製または金属製のベアリングボックス32が取り付けられている。ベアリングボックス32は、上下方向に延在する円筒形状を有しており、その外周には、カバー39が着脱可能に取り付けられる。カバー39は、先端工具38の後側半分を覆っている。
【0031】
スピンドル35は、ギアハウジング30内を上下方向に延在し、下側においてギアハウジング30から延出している。スピンドル35には、インナーフランジ36とロックナット37とを有する先端工具保持部が接続される。具体的には、ギアハウジング30から延出したスピンドル35の下端部において、スピンドル35の周りにはインナーフランジ36が取り付けられている。スピンドル35のうちのインナーフランジ36よりも下方には、雄ネジ部が形成されており、当該雄ネジ部には、ロックナット37が取り付けられている。インナーフランジ36とロックナット37との間に先端工具38を挟み、ロックナット37を締め付けることによって、スピンドル35に対する先端工具38の位置が固定される。
【0032】
図2に示すように、ギアハウジング30の後方には本体ハウジング20が配置される。本体ハウジング20は、複数のネジまたはボルト24(
図1および
図2参照)によってギアハウジング30と結合されている。本体ハウジング20は、左右方向に分割可能に構成されている。
図3に示すように、本実施形態では、半割体である右ハウジング20aおよび左ハウジング20bに複数のネジボス22が形成されている。右ハウジング20aおよび左ハウジング20bが、ネジボス22に挿入されるネジまたはボルト23によって互いに結合されることによって、本体ハウジング20が形成されている。本体ハウジング20は、モータハウジング40と、ハンドルハウジング45と、リアハウジング46と、を備えている(
図1参照)。本実施形態では、右ハウジング20aおよび左ハウジング20bの各々は、一体成形された単一部材である。ただし、これらの少なくとも一部は、複数の部材が結合されて形成されていてもよい。
【0033】
図1および
図3に示すように、モータハウジング40は、ギアハウジング30の後側でギアハウジング30に隣接している。モータハウジング40は、前後方向に延在する筒状の形状を有している。モータハウジング40内には、電動モータ41が収容されている。本実施形態では、電動モータ41は、バッテリ48からコントローラ49を介して供給される直流電流によって駆動される。代替実施形態では、電動モータ41は、AC電源から供給される交流電力によって駆動されてもよい。コントローラ49は、電動モータ41への供給電力を制御することによって、電動モータ41の駆動を制御する。
【0034】
図1および
図3に示すように、ハンドルハウジング45は、モータハウジング40の後側(換言すれば、グラインダ10の長手方向における先端工具38と反対側)でモータハウジング40に隣接している。ハンドルハウジング45は、グラインダ10の使用時にユーザが手で把持することが意図された部分である。ハンドルハウジング45は、前後方向に延在する筒状の形状を有している。前後方向周りのハンドルハウジング45の外周長さは略一定である。本実施形態では、ハンドルハウジング45のこの外周長さ(換言すれば、径)は、前後方向周りのモータハウジング40の外周長さ(換言すれば、径)よりも小さい。このため、ユーザは、ハンドルハウジング45を把持しやすい。ただし、ハンドルハウジング45は、モータハウジング40と同等の外周長さを有していてもよい。左右方向に見て、ハンドルハウジング45の上端は、モータハウジング40の上端と略同一の位置にある。つまり、ハンドルハウジング45は、モータハウジング40に対して上方に偏心している。ハンドルハウジング45は、その前端に連結部45aを備えている。連結部45aは、モータハウジング40とハンドルハウジング45とを接続する部分である。連結部45aは、前側に向けて徐々に大きくなる径を有している。
【0035】
図1および
図3に示すように、リアハウジング46は、ハンドルハウジング45の後方でハンドルハウジング45に隣接している。リアハウジング46は、ハンドルハウジング45よりも前後方向周りの外周が大きい部分である。リアハウジング46内には、コントローラ49が収容されている。リアハウジング46の後端には、バッテリ48を着脱可能なバッテリ装着部47が設けられている。バッテリ48は、グラインダ10の最後部に位置している。バッテリ48をバッテリ装着部47に対して上方から下方に向けてスライド係合させてバッテリ装着部47にバッテリ48を装着すると、バッテリ48は、バッテリ装着部47の端子、ひいてはコントローラ49に電気的に接続される。コントローラ49は、ハンドルハウジング45内に配置されてもよい。
【0036】
図1および
図3に示すように、モータハウジング40およびハンドルハウジング45の下側には、電動モータ41を停止させるための初期位置と、電動モータ41を起動させるための起動位置と、の間で変位可能に構成された操作部材50が設けられている。操作部材50は、本体ハウジング20に沿って(より具体的には、モータハウジング40およびハンドルハウジング45に沿って)前後方向に延在している。
【0037】
ユーザによって操作部材50が初期位置から起動位置へ操作されることによって電動モータ41が駆動されると、モータシャフト42の回転が、小ベベルギア33および大ベベルギア34を介して、減速されつつ、スピンドル35に伝達される。このとき、回転運動の方向も、モータシャフト42周りの方向から、スピンドル35の回転軸線AX2周りの方向へと変換される。この動力伝達機構によれば、モータシャフト42の回転に伴って、スピンドル35が回転軸線AX2周りに回転され、その結果、インナーフランジ36およびロックナット37によって固定された先端工具38がスピンドル35とともに回転される。
【0038】
以下、
図4~11を参照して、操作部材50の詳細、および、電動モータ41を駆動させるための操作について説明する。
図4に示すように、操作部材50は、一体成形された単一の部材であり、第1の部分51と第2の部分52と連結部53とを備えている。
図4における方向表示は、操作部材50がグラインダ10に組み付けられ、初期位置にあるときの方向を示している。第1の部分51は、モータハウジング40に沿って前後方向に延在する部分である。第2の部分52は、ハンドルハウジング45に沿って前後方向に延在する部分である。連結部53は、前後方向と交差する方向に延在して第1の部分51と第2の部分52とを連結する部分である。連結部53は、モータハウジング40の外周長さとハンドルハウジング45の外周長さとの違いに追従するように延在する。つまり、連結部53は、第1の部分51の後端から第2の部分52の前端に向けて電動モータ41の回転軸線AX1に近づくように延在する。第1の部分51、第2の部分52および連結部53は、いずれも、その下側で本体ハウジング20から露出されている(
図1参照)。
【0039】
連結部53には2つの軸部54が設けられている。2つの軸部54は、連結部53の左側面および右側面から左右方向外側に向けてそれぞれ延在している(
図4では、左側面から延在する軸部54のみ見えている)。軸部54の各々は、
図10に示す位置で、左右方向に延在するように本体ハウジング20に形成されたボス21(
図11参照)内に回転可能に支持される。これにより、操作部材50は、枢動軸線AX3(これは、軸部54の中心軸線であり、左右方向に延在している)を中心として枢動可能である。つまり、軸部54は、操作部材50が枢動するためのヒンジの一部分として機能する。操作部材50の枢動をヒンジの態様で実現すれば、簡単な構成で、操作部材50を所定位置に保持できるとともに、円滑に枢動させることができる。
【0040】
図4に示すように、操作部材50は前端部55と後端部56とを備えている。第1の部分51の基端(前端部55と反対側の端部)付近には、操作部材50の下面を上下方向に貫通する長孔57が形成されている。また、第2の部分52の後端部56付近には、操作部材50の下面を上下方向に貫通する長孔58が形成されている。この長孔57,58からは、第1のロックオフ部材80および第2のロックオフ部材90が下方に向けて延出している。
【0041】
第1のロックオフ部材80は、操作部材50の第1の部分51の左面と右面との間を第1のロックオフ部材80を貫通しつつ延在するピン83を介して操作部材50によって支持されている。第1のロックオフ部材80は、ピン83を中心として回転可能である。同様に、第2のロックオフ部材90は、操作部材50の第2の部分52の左面と右面との間を第2のロックオフ部材90を貫通しつつ延在するピン93を介して操作部材50によって支持されている。第2のロックオフ部材90は、ピン93を中心として回転可能である。この構成により、第1のロックオフ部材80および第2のロックオフ部材90は、操作部材50が枢動したときに操作部材50と一体的に枢動する。第1のロックオフ部材80は、枢動軸線AX3に対して長手方向の一方側(具体的には、前側)に配置されており、第2のロックオフ部材90は、枢動軸線AX3に対して長手方向の他方側(具体的には、後側)に配置されている。
【0042】
図4に示すように、操作部材50は、第1の端部側領域59と第2の端部側領域60とを備えている。第1の端部側領域59は、前端部55を含み、前後方向において第1のロックオフ部材80に対して枢動軸線AX3と反対側に位置する領域である。第2の端部側領域60は、後端部56を含み、前後方向において第2のロックオフ部材90に対して枢動軸線AX3と反対側に位置する領域である。
【0043】
図7に示すように、操作部材50は、さらに、バネ座62,64を備えている。バネ座62は、長手方向における軸部54よりも前側(より具体的には、第1のロックオフ部材80と、操作部材50の前端部55と、の間)に位置している。バネ座64は、長手方向における軸部54よりも後側(より具体的には、第2のロックオフ部材90と、操作部材50の後端部56と、の間)に位置している。バネ座62の周囲にはバネ63が配置されており、バネ座64の周囲にはバネ65が配置されている。バネ63は、モータハウジング40の下面と操作部材50の第1の部分51の上面との間に配置されており、第1の部分51を下向きに付勢している。換言すれば、バネ63は、操作部材50が反時計回りに枢動する方向に操作部材50を付勢している。バネ65は、ハンドルハウジング45の下面と操作部材50の第2の部分52の上面との間に配置されており、第2の部分52を下向きに付勢している。換言すれば、バネ65は、操作部材50が時計回りに枢動する方向に操作部材50を付勢している。バネ63の付勢力とバネ65の付勢力とが釣り合うことによって、操作部材50は、
図7に示す初期位置(つまり、電動モータ41を停止させるための位置)に保持される。
【0044】
この初期位置の操作部材50は、モータハウジング40に沿って延在する第1の部分51をユーザが握り操作すれば、枢動軸線AX3を中心として時計回りに枢動可能であり、ハンドルハウジング45に沿って延在する第2の部分52をユーザが握り操作すれば、枢動軸線AX3(換言すれば、回動中心)を中心として反時計回りに枢動可能である。
【0045】
ただし、ユーザが操作部材50にうっかり触れてしまうことによってユーザの意図に反して操作部材50が枢動して電動モータ41が駆動されることを防止するために、操作部材50には、上述の通り、第1のロックオフ部材80および第2のロックオフ部材90が取り付けられている。第1のロックオフ部材80は、操作部材50が時計回りに枢動することを阻止する第1の阻止位置(
図7参照)と、操作部材50が時計回りに枢動することを許容する第1の許容位置(
図8参照)と、の間で変位可能である。具体的には、
図7に示すように、第1のロックオフ部材80は、操作部81と係合部82とを備えている。操作部81は、
図7に示す第1の阻止位置では、第1の部分51よりも下側に突出している。係合部82は、第1のロックオフ部材80の後側で上方に向けて延在している。第1のロックオフ部材80を支持するピン83の周りには、トーションバネ84が巻き回されている。トーションバネ84の一端は第1のロックオフ部材80に係合し、他端は操作部材50に係合している。これによって、トーションバネ84は、第1のロックオフ部材80を
図7に示す第1の阻止位置に向けて(つまり、時計回りの方向に)付勢している。
【0046】
第1のロックオフ部材80が
図7に示す第1の阻止位置にあるとき、ユーザが操作部材50の第1の部分51を握り操作すると、操作部材50は、枢動軸線AX3(つまり、軸部54の中心軸線)を中心として時計回りに枢動し始める。このとき、操作部材50と一緒に第1のロックオフ部材80も枢動するので、第1のロックオフ部材80の係合部82は、モータハウジング40の底面40aにすぐに当接する。このため、操作部材50は、ほとんど枢動することができない。一方、ユーザが第1のロックオフ部材80の操作部81の前側に指を引っかけて後方に向けて力を加えると、第1のロックオフ部材80は、
図8に示すように、トーションバネ84の付勢力に抗って反時計回りに約90度回転し、第1の許容位置まで変位する。この変位に伴い、係合部82は、前方に向けて延在するように方向付けられる。この状態でユーザが操作部材50の第1の部分51を握り操作すると、係合部82が底面40aに当接しないので、操作部材50は、バネ63の付勢力に抗って時計回りに枢動することができる。
【0047】
第2のロックオフ部材90は、操作部材50が反時計回りに枢動することを阻止する第2の阻止位置(
図7参照)と、操作部材50が反時計回りに枢動することを許容する第2の許容位置(
図9参照)と、の間で変位可能である。具体的には、
図7に示すように、第2のロックオフ部材90は、操作部91と係合部92とを備えている。操作部91は、
図7に示す第2の阻止位置では、第2の部分52よりも下側に突出している。係合部92は、第2のロックオフ部材90の後側で上方に向けて延在している。第2のロックオフ部材90を支持するピン93の周りには、トーションバネ94が巻き回されている。トーションバネ94の一端は第2のロックオフ部材90に係合し、他端は操作部材50に係合している。これによって、トーションバネ94は、第2のロックオフ部材90を
図7に示す第2の阻止位置に向けて(つまり、時計回りの方向に)付勢している。
【0048】
第2のロックオフ部材90が
図7に示す第2の阻止位置にあるとき、ユーザが操作部材50の第2の部分52を握り操作すると、操作部材50は、枢動軸線AX3(つまり、軸部54の中心軸線)を中心として反時計回りに枢動し始める。このとき、操作部材50と一緒に第2のロックオフ部材90も枢動するので、第2のロックオフ部材90の係合部92は、ハンドルハウジング45の底面45bにすぐに当接する。このため、操作部材50は、ほとんど枢動することができない。一方、ユーザが第2のロックオフ部材90の操作部91の前側に指を引っかけて後方に向けて力を加えると、第2のロックオフ部材90は、
図9に示すように、トーションバネ94の付勢力に抗って約90度回転し、第2の許容位置まで変位する。この変位に伴い、係合部92は、前方に向けて延在するように方向付けられる。この状態でユーザが操作部材50の第2の部分52を握り操作すると、係合部92が底面45bに当接しないので、操作部材50は、バネ65の付勢力に抗って反時計回りに枢動することができる。
【0049】
このような操作部材50の枢動動作を検知するために、グラインダ10は、第1のスイッチ71と第2のスイッチ73とを備えている。本実施形態では、第1のスイッチ71および第2のスイッチ73は、マイクロスイッチである。マイクロスイッチによれば、グラインダ10を小型化できる。しかも、マイクロスイッチでは、オフ状態からオン状態への切換に必要な押し荷重が、従来のグラインダで使用されるスイッチに比べて小さいので、ユーザは、より小さい力で操作部材50を握り操作することができる。換言すれば、操作部材の一端に枢動軸線が位置し、操作部材の他端と枢動軸線との距離が比較的大きい従来のグラインダの操作性を損なわない。また、押し荷重が小さいため、操作部材50を操作する位置と、枢動軸線AX3と、の距離を小さくすることができる。ただし、第1のスイッチ71および第2のスイッチ73は、操作部材50の枢動を検知可能な他の任意の形式(例えば、リミットスイッチ)であってもよい。
【0050】
本実施形態では、第1のスイッチ71は、軸部54(換言すれば、枢動軸線AX3)に対して前側に配置されており、第2のスイッチ73は、軸部54に対して後側に配置されている。第1のスイッチ71は、アクチュエータ部72を備えており、モータハウジング40内の底部に、アクチュエータ部72が下向きに突出するように配置されている。第2のスイッチ73は、アクチュエータ部74を備えており、ハンドルハウジング45の底部に、アクチュエータ部74が下向きに突出するように配置されている。アクチュエータ部74は、ハンドルハウジング45の底面45bに形成された孔から下側に延出している。
【0051】
図8に示すように、ユーザが第1のロックオフ部材80を第1の阻止位置から第1の許容位置へ変位させ、その状態でさらに操作部材50の第1の部分51を握り操作すると、操作部材50は、枢動軸線AX3(つまり、軸部54の中心軸線)を中心として時計回りに枢動する。そして、この枢動角度が所定量に達すると、第1のスイッチ71のアクチュエータ部72が操作部材50の前端部55によって押圧される。これにより、第1のスイッチ71の内部の接点のオン/オフ状態が切り替わり、第1のスイッチ71は操作部材50の時計回りの枢動を検知する。第1のスイッチ71はコントローラ49に電気的に接続されている。第1のスイッチ71によって操作部材50の時計回りの枢動が検知されたことがコントローラ49で検知されると、コントローラ49は、バッテリ48からの電力を電動モータ41に供給して、電動モータ41を駆動させる。ユーザが操作部材50から指を離すと、操作部材50は、バネ63の付勢力によって初期位置に戻り、第1のロックオフ部材80も操作部材50と一緒に枢動するとともにトーションバネ84の付勢力によって第1の阻止位置に戻る(
図7参照)。これによって第1のスイッチ71の内部の接点のオン/オフ状態も元に戻ると、コントローラ49は、それを検知して、電動モータ41への電力の供給を停止し、電動モータ41を停止させる。
【0052】
また、
図9に示すように、ユーザが第2のロックオフ部材90を第2の阻止位置から第2の許容位置へ変位させ、その状態でさらに操作部材50の第2の部分52を握り操作すると、操作部材50は、枢動軸線AX3(つまり、軸部54の中心軸線)を中心として反時計回りに枢動する。そして、この枢動角度が所定量に達すると、第2のスイッチ73のアクチュエータ部74が第2のロックオフ部材90の係合部92によって押圧される。係合部92は、アクチュエータ部74と接触する箇所が円弧状に形成されているので、アクチュエータ部74を円滑に押圧することができる。アクチュエータ部74が押圧されることにより、第2のスイッチ73の内部の接点のオン/オフ状態が切り替わり、第2のスイッチ73は操作部材50の反時計回りの枢動を検知する。第2のスイッチ73はコントローラ49に電気的に接続されている。第2のスイッチ73によって操作部材50の反時計回りの枢動が検知されたことがコントローラ49で検知されると、コントローラ49は、バッテリ48からの電力を電動モータ41に供給して、電動モータ41を駆動させる。このときの電動モータ41の回転方向は、第1のスイッチ71によって操作部材50の時計回りの枢動が検知された場合と同じである。ユーザが操作部材50から指を離すと、操作部材50は、バネ65の付勢力によって初期位置に戻り、第2のロックオフ部材90も操作部材50と一緒に枢動するとともにトーションバネ94の付勢力によって第2の阻止位置に戻る(
図7参照)。これによって第2のスイッチ73の内部の接点のオン/オフ状態も元に戻ると、コントローラ49は、それを検知して、電動モータ41への電力の供給を停止し、電動モータ41を停止させる。このように、グラインダ10では、ユーザが操作部材50のうちの枢動軸線AX3に対する前側の第1の部分51を握り操作して操作部材50を時計回りに枢動させた場合も、ユーザが枢動軸線AX3に対する後側の第2の部分52を握り操作して操作部材50を反時計回りに枢動させた場合も、電動モータ41は同一の方向に回転する。
【0053】
上述したグラインダ10によれば、操作部材50は枢動軸線AX3に対して前側と後側との両方で本体ハウジング20から露出しており、ユーザは、枢動軸線AX3に対する前側の第1の部分51と、枢動軸線AX3に対する後側の第2の部分52と、のうちの所望する方を使用して、操作部材50の握り操作を行うことができる。第1の部分51はモータハウジング40に沿って前後方向に延在しており、第2の部分52はハンドルハウジング45に沿って前後方向に延在しているので、ユーザは、モータハウジング40把持する場合と、ハンドルハウジング45を把持する場合と、の両方において、操作部材50を握り操作することが可能である。そして、枢動軸線AX3が操作部材50の前端部55と後端部56との間にあるので、枢動軸線AX3と第1の部分51の前端(つまり、前端部55)との距離、および、枢動軸線AX3と第2の部分52の後端(つまり、後端部56)との距離、の両方をある程度確保できる。したがって、ユーザが第1の部分51を握り操作する場合と、ユーザが第2の部分52を握り操作する場合と、の両方において、(換言すれば、ユーザがモータハウジング40を把持する場合と、ユーザがハンドルハウジング45を把持する場合と、の両方において)、握り位置と枢動軸線AX3との距離、ひいては、握り位置における操作部材50のストローク量をある程度、確保できる。したがって、操作部材50の操作性が向上する。つまり、ユーザがモータハウジング40を把持する場合と、ユーザがハンドルハウジング45を把持する場合と、の両方において、操作部材50の良好な操作性が得られる。換言すれば、グラインダ10の前側と後側との両方において、操作部材50の良好な操作性が得られる。
【0054】
さらに、グラインダ10によれば、第1のスイッチ71が枢動軸線AX3に対して前側に配置され、第2のスイッチ73が枢動軸線AX3に対して後側に配置されているので、2つのスイッチを枢動軸線AX3に対する一方側に集約する場合と比べて、大型化を抑制できるグラインダ10のレイアウトを設定しやすい。
【0055】
さらに、グラインダ10によれば、単一の操作部材50が、ユーザの握り位置に応じて、時計回り、または、反時計回りに枢動するように構成される。したがって、複数の操作部材を用いて同様の機能を実現する場合と比べて、部品点数が減り、簡素な装置構成とすることができる。また、ユーザにとって操作方法が分かりやすくなる。
【0056】
さらに、グラインダ10によれば、枢動軸線AX3は、操作部材50のうちの、前後方向に交差する方向に延在して第1の部分51と第2の部分52とを連結する連結部53(換言すれば、前後方向周りの外周長さが徐々に変化する箇所)に位置している。換言すれば、操作部材50の回動中心は、モータハウジング40とハンドルハウジング45とを接続する連結部45aに設けられている。一般的に、ユーザは、自身の好みや作業の種類に応じて、モータハウジング40またはハンドルハウジング45を選択的に把持するが、モータハウジング40とハンドルハウジング45との境界付近は、他の箇所と比べて、ユーザに把持されることが少ない。したがって、上記のような枢動軸線AX3(回動中心)の配置によれば、ユーザが第1の部分51を握り操作する場合と、ユーザが第2の部分52を握り操作する場合と、の両方において、より確実に、握り位置と枢動軸線AX3との距離(すなわち、握り位置における操作部材50のストローク量)を確保できる。
【0057】
さらに、グラインダ10によれば、第1の部分51と第2の部分52との両方においてスイッチ操作を行いやすいストローク量(換言すれば、操作部材50の回動方向における本体ハウジング20からの突出量)が確保されているので、第1の部分51を握り操作する場合と、第2の部分52を握り操作する場合と、の両方において、操作がしやすい。また、前端部55と後端部56との間に枢動軸線AX3を配置したため、操作部材50の製品からの突出量が過剰になることを防止しつつ、[0]握り位置において、操作部材50の
適切なストローク量を確保できる。具体的には、枢動軸線が操作部材の長手方向の一端に位置する従来のグラインダでは、操作部材の全体にわたって操作しやすい突出量(換言すれば、ストローク量)を確保することが難しかった。つまり、枢動軸線から遠い側で、操作しやすい適切な突出量を設定すると、枢動軸線から近い側では、突出量が小さくなり過ぎ、一方、枢動軸線から近い側で、操作しやすい適切な突出量を設定すると、枢動軸線から遠い側では、突出量が大きくなり過ぎるといった問題が生じる。一方、本実施形態にしたがったグラインダ10によれば、前端部55と後端部56との間に枢動軸線AX3が位置することに起因して、操作部材50の前側と後側との両方において、適度な突出量を確保できる。つまり、操作部材50の前側と後側との両方において、良好な操作性が得られる。
【0058】
また、第1の部分51と第2の部分52との間に枢動軸線AX3を配置したため、第1の部分51と第2の部分52との両方に関して、握り位置の枢動軸線AX3からの距離を適切に確保でき、押し荷重が大きすぎて押しにくいということがない。また、第1の部分51と第2の部分52との両方に関して、押し荷重が適切に設定される。操作部材の端部に枢動軸線を配置した場合は、枢動軸線から遠い位置に適切な押し荷重を設定すると、枢動軸線付近では押し荷重が大きく、押しにくいという問題があるが、グラインダ10によれば、第1の部分51と第2の部分52との両方に関して、適切な押し荷重で操作することができる。
【0059】
さらに、グラインダ10によれば、第1のスイッチ71は、操作部材50が時計回りに枢動されたときにアクチュエータ部72が操作部材50の前端部55に押圧されるように配置されている。このため、操作部材50のうちのアクチュエータ部72を押圧する箇所と、枢動軸線AX3と、の距離を大きく確保できる。枢動による操作部材50の変位量は枢動軸線AX3から離れる箇所ほど大きくなる。このため、操作部材50がアクチュエータ部72を押圧して第1のスイッチ71がオン状態になるのに必要な変位量を大きくできる。したがって、第1のスイッチ71についての誤動作が発生しにくい。例えば、操作部材50に外力が作用して操作部材50がわずかに撓んだときに、操作部材50がアクチュエータ部72を誤って押圧し、第1のスイッチ71がオン状態になることがない。あるいは、グラインダ10の寸法または組み立ての要求精度を低くできる。代替実施形態では、第2のスイッチ73は、操作部材50が反時計回りに枢動したときにアクチュエータ部74が第2のロックオフ部材90の係合部92によって押圧される上記の実施形態に代えて、操作部材50が反時計回りに枢動したときにアクチュエータ部74が操作部材50の後端部56によって押圧される位置に配置されてもよい。こうすれば、第1のスイッチ71の配置と同様の効果が得られる。
【0060】
さらに、グラインダ10によれば、第2のスイッチ73は、操作部材50が反時計回りに枢動したときにアクチュエータ部74が第2のロックオフ部材90の係合部92によって押圧される位置に配置されている。このような構成とすれば、第2のロックオフ部材90が第2の阻止位置にあるときに操作部材50に外力が作用して、第2のロックオフ部材90の係合部92とハンドルハウジング45の底面45bとの接触箇所を支点として操作部材50が撓んだとしても、操作部材50または第2のロックオフ部材90の一部分が意図に反してアクチュエータ部74を押圧することを抑制できる。この効果は、操作部材50が反時計回りに枢動したときにアクチュエータ部74が操作部材50の一部分によって押圧されるようにグラインダ10が構成されている場合に、第2のスイッチ73と第2のロックオフ部材90との距離を比較的小さく設定することによっても得られる。例えば、第2のスイッチ73および第2のロックオフ部材90の両方が、前後方向において、枢動軸線AX3と後端部56との間で後端部56寄りに配置されていてもよい。同様に、第1のスイッチ71および第1のロックオフ部材80の両方が、枢動軸線AX3と前端部55との間で前端部55寄りに配置されていてもよい。あるいは、第2のスイッチ73は、前後方向において、第2のロックオフ部材90と後端部56との間で第2のロックオフ部材90寄りに配置されてもよい。このようにすれば、第2のスイッチ73と枢動軸線AX3との距離は短くなるものの、第2のスイッチ73と第2のロックオフ部材90とを互いに近づけることができる。同様に、第1のスイッチ71は、前後方向において、第1のロックオフ部材80と前端部55との間で第1のロックオフ部材80寄りに配置されてもよい。
【0061】
しかも、第2のスイッチ73は、操作部材50が反時計回りに枢動したときに第2のロックオフ部材90によって押圧される位置に配置されるので、第2のロックオフ部材90が破損した場合でも、電動モータ41の意図しない作動を防止できる。代替実施形態では、この構成に代えて、または、加えて、第1のスイッチ71は、操作部材50が時計回りに枢動したときに第1のロックオフ部材80によって押圧される位置に配置されてもよい。
【0062】
代替実施形態では、第1のスイッチ71および第1のロックオフ部材80は、前後方向において、枢動軸線AX3と前端部55との間で前端部55寄りに配置されてもよい。このような配置によれば、第1のスイッチ71と枢動軸線AX3との距離が大きいという特徴と、第1のスイッチ71と第1のロックオフ部材80との距離が小さいという特徴と、を両立できる。したがって、上述したこれらの特徴の効果を最大化できる。つまり、第1のスイッチ71の誤動作をいっそう抑制できるとともに、グラインダ10の寸法または組み立ての要求精度をいっそう低くできる。同様に、第2のスイッチ73および第2のロックオフ部材90は、枢動軸線AX3と後端部56との間で後端部56寄りに配置されてもよい。このような配置にすれば、第2のスイッチ73と枢動軸線AX3との距離が大きいという特徴と、第2のスイッチ73と第2のロックオフ部材90との距離が小さいという特徴と、を両立できる。したがって、上述したこれらの特徴の効果を最大化できる。
【0063】
さらなる代替実施形態では、操作部材50は、前端部55または後端部56の付近で握り操作しやすい構成を有していてもよい。このような構成として、例えば、第1のロックオフ部材80は、前後方向において、前端部55と枢動軸線AX3との間で前端部55寄りに配置されていてもよく、第2のロックオフ部材90は、前後方向において、枢動軸線AX3と後端部56との間で後端部56寄りに配置されていてもよい。通常、ユーザは、第1のロックオフ部材80または第2のロックオフ部材90を一方の手のいずれかの指で回転させつつ、その手で操作部材50を握り操作するので、握り操作される箇所は、第1のロックオフ部材80または第2のロックオフ部材90の近傍になる可能性が高い。上述の図示した実施形態では、ユーザは、第1の部分51を握り操作する場合には、例えば、第1のロックオフ部材80を薬指または小指で回転させつつ、人差し指および中指で第1の端部側領域59を握り操作することが考えられる。また、ユーザは、上述の図示した実施形態では、第2の部分52を握り操作する場合には、例えば、第2のロックオフ部材90を人差し指で回転させつつ、中指および薬指で第2の端部側領域60を握り操作することが考えられる。このため、上述のように第1のロックオフ部材80を前端部55寄りに配置すれば、ユーザは、前端部55付近を握り操作しやすくなり、上述のように第2のロックオフ部材90を後端部56寄りに配置すれば、ユーザは、後端部56付近を握りやすくなる。このような配置によれば、枢動軸線AX3と握り箇所との距離をさらに大きく確保できる。したがって、てこの原理により、第1のスイッチ71または第2のスイッチ73をオン状態にするために必要なユーザの握り荷重を小さくでき、操作性が向上する。
【0064】
さらなる代替実施形態では、枢動軸線AX3に対して前方に位置する第1の部分51は、モータハウジング40からの第1の部分51の突出量(つまり、下方に突出する量)が前端部55のところで最大になる形状を有していてもよい。第2の部分52は、ハンドルハウジング45からの第2の部分52の突出量が後端部56のところで最大になる形状を有していてもよい。このような実施形態によれば、ユーザが第1の部分51を握り操作した場合と、ユーザが第2の部分52を握り操作した場合と、の両方において、ユーザが操作部材50を握った際の操作部材50の露出部分の向きが水平方向に近づく。つまり、ユーザは、操作部材50の露出部分の向きが水平方向に近づいた状態で操作部材50を把持しつつ、モータ41を連続的に駆動させることになる。その結果、操作部材50を握りこんだ状態でのユーザの操作感が向上する。
【0065】
さらなる代替実施形態では、第1の部分51は、モータハウジング40からの第1の部分51の突出量が前方に向けて(つまり、枢動軸線AX3から遠ざかるほど)徐々に大きくなる形状を有していてもよい。同様に、第2の部分52は、ハンドルハウジング45からの第2の部分52の突出量が後方に向けて(つまり、枢動軸線AX3から遠ざかるほど)徐々に大きくなる形状を有していてもよい。この実施形態によれば、ユーザが操作部材50を握った際の操作部材50の露出部分の向きがいっそう水平方向に近づく。さらなる代替実施形態では、第1の部分51の下面(つまり、ユーザに握り操作されるべき被操作面)は、第1のスイッチ71がオン状態にあるとき、水平方向(つまり、前後方向および左右方向)に延在してもよい。また、第2の部分52の下面(つまり、ユーザに握り操作されるべき被操作面)は、第2のスイッチ73がオン状態にあるとき、水平方向に延在してもよい。こうすれば、ユーザの操作感をさらに向上できる。
【0066】
以下、本発明の第2実施形態について
図12を参照して、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
図12において、第1実施形態と同一の構成要素には、第1実施形態で使用された符号と同一の符号を付している。第2実施形態による操作部材150は、第2の部分52の後方に第3の部分155を備えている。第3の部分155は、第2の部分52の後端から上方に延在した後、折れ曲がり、後方に延在しており、本体ハウジング120の内部に収容されている。第3の部分155の上側には、第1のスイッチ171が配置され、第3の部分155の下側には第2のスイッチ173が配置されている。
【0067】
この構成によれば、操作部材150が反時計回りに枢動すると、第3の部分155が第1のスイッチ171を押圧し、操作部材150が時計回りに枢動すると、第3の部分155が第2のスイッチ173を押圧する。この構成から明らかなように、2つのスイッチは、前後方向において、枢動軸線AX3に対する一方側に集約配置されてもよい。
【0068】
以下、本発明の第3実施形態について
図13を参照して、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。第3実施形態による操作部材250は、第1の操作部材250aと第2の操作部材250bとを備えている。第1の操作部材250aは、モータハウジング40(
図13では図示省略)に沿って前後方向に延在し、第2の操作部材250bは、ハンドルハウジング45(
図13では図示省略)に沿って前後方向に延在する。第1の操作部材250aは、その後端にボス255aを備えており、第2の操作部材250bは、その前端にボス255bを備えている。ボス255a,255bは、本体ハウジング20に形成された軸部225とヒンジ式に連結されている。
【0069】
ユーザが第1の操作部材250aを握り操作すると、第1の操作部材250aが枢動軸線AX3(これは、軸部225の中心軸線であり、左右方向に延在する)を中心として時計回りに枢動する。一方、ユーザが第2の操作部材250bを握り操作すると、第2の操作部材250bが枢動軸線AX3を中心として反時計回りに枢動する。このように、共通の枢動軸線AX3を中心として反対方向に枢動可能な2つの操作部材250a,250bが使用されてもよい。
【0070】
以下、本発明の第4実施形態について
図14を参照して、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。第4実施形態による操作部材350は、第1の操作部材350aと第2の操作部材350bとを備えている。第1の操作部材350aは、モータハウジング40(
図14では図示省略)に沿って前後方向に延在し、第2の操作部材350bは、ハンドルハウジング45(
図14では図示省略)に沿って前後方向に延在する。第1の操作部材350aは、その後端に軸部325aを備えており、第2の操作部材350bは、その前端に軸部325bを備えている。軸部325a,325bは、本体ハウジング20に形成された2つのボス内にそれぞれ枢動可能に支持される。
【0071】
ユーザが第1の操作部材350aを握り操作すると、第1の操作部材350aが第1の枢動軸線AX4(これは、軸部325aの中心軸線であり、左右方向に延在する)を中心として時計回りに枢動する。一方、ユーザが第2の操作部材350bを握り操作すると、第2の操作部材350bが第2の枢動軸線AX5(これは、軸部325bの中心軸線であり、左右方向に延在する)を中心として反時計回りに枢動する。このように、個別の枢動軸線AX4,AX5を有する2つの操作部材350a,350bが使用されてもよい。
【0072】
以下、本発明の第5実施形態について
図15~20を参照して、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
図15に示すように、第5実施形態によるグラインダ410は、モータハウジング40の後側にハンドルハウジング440を備えている。ハンドルハウジング440は、前後方向に長尺状に延在する中空部材である。ハンドルハウジング440は、いわゆるループ型であり、その後側に、長尺状に延在する環状部分441を備えている。環状部分441は、ユーザによって把持されることが意図された部分である。また、環状部分441は、ハンドルハウジング440を左右方向に貫通する貫通孔442の周囲を取り囲む部分であり、閉じられた環形状を有している。貫通孔442は、左右方向に見て、前側に向けて上下方向の幅が大きくなる形状を有している。環状部分441は、その後端が開いた環形状を有していてもよい。
【0073】
ハンドルハウジング440の内側には、操作部材450が配置されている。操作部材450は、ループ型であり、ハンドルハウジング440の内側に沿った(換言すれば、貫通孔442の外郭に沿った)環形状を有している。操作部材450は、前後方向を長手方向として延在している。操作部材450の内縁部は、左右方向に見て、略長円の形状を有している。操作部材450の外縁部は、左右方向に見て、前側に向けて上下方向の幅が大きくなる形状を有している。操作部材450は、その全体が、ハンドルハウジング440(より具体的には、環状部分441)から露出するように配置されている。ハンドルハウジング440の環状部分441の内縁部分と、操作部材50の本体451と、のクリアランスは、前側に向けて大きくなっている。本体451は、その前端が開いた環形状を有していてもよい。
【0074】
図16に示すように、操作部材450は、上述した環形状を有する本体451と、枢動軸部454と、を備えている。枢動軸部454は、本体451の後端かつ上下方向の中央において、本体451から後側に向けて突出するように配置されている。枢動軸部454は、左右方向に延在する円筒形状を有しており、その内部には、左右方向に延在する貫通孔455が形成されている。貫通孔455には、枢動軸部454から左右両方向に延出するように、ピン461が挿入される。ピン461は、
図15に示すように、環状部分441の後端のところで左面と右面との間で支持されている。このような構成によって、操作部材450は、
図19および
図20に示すように、ピン461を中心として(換言すれば、
図16に示す枢動軸線AX3を中心として)枢動可能に構成される。上述の通り、操作部材450は、その全体がハンドルハウジング440から露出しているので、操作部材450は、前後方向(換言すれば、グラインダ410の長手方向)に交差する方向(本実施形態では、上下方向)において、枢動軸線AX3に対する両側(つまり、上側および下側)でハンドルハウジング440から露出している。
【0075】
図19および
図20に示すように、環状部分441の上側の内縁部と、操作部材450の本体451の上側で前後方向に延在する部分(以下、上側部分とも呼ぶ)と、の間には、バネ462が圧縮状態で配置される。バネ462は、水平方向の移動が規制されるように、上側部分に形成された有底の孔456の中に配置されている。バネ462は、前後方向において、本体451の略中央に配置されている。この構成によって、バネ462は、操作部材450を下向きに付勢している。同様に、環状部分441の下側の内縁部と、本体451の下側で前後方向に延在する部分(以下、下側部分とも呼ぶ)と、の間には、バネ463が圧縮状態で配置される。バネ463は、水平方向の移動が規制されるように、下側部分に形成された有底の孔457の中に配置されている。バネ463は、前後方向において、バネ462と同一の位置に配置されている。この構成によって、バネ463は、操作部材450を上向きに付勢している。バネ462の下向きの付勢力とバネ463の上向きの付勢力とが釣り合うことによって、操作部材450は、上下方向において、環状部分441の貫通孔442の中央に維持される。この位置が、ユーザによって握り操作されていないときの操作部材450の初期位置となる。
【0076】
図16、
図19および
図20に示すように、本体451の上側部分の前端付近には、上向きに突出する突起458が形成されている。本体451の下側部分の前端付近には、下向きに突出する突起459が形成されている。突起458,459は、前後方向における同一の位置にある。突起458,459は、操作部材450が枢動したときに、第1のスイッチ471のアクチュエータ部472および第2のスイッチ473のアクチュエータ部474をそれぞれ押圧するために設けられる。
【0077】
図19および
図20に示すように、第1のスイッチ471は、ピン461(枢動軸線AX3)よりも上側において、アクチュエータ部472が環状部分441から露出するように、環状部分441に取り付けられている。また、第2のスイッチ473は、ピン461(枢動軸線AX3)よりも下側において、アクチュエータ部474が環状部分441から露出するように、環状部分441に取り付けられている。第1のスイッチ471およびアクチュエータ部472は、操作部材450の突起458,459に対応する位置、すなわち、操作部材450の前端付近に配置されている。
【0078】
図16に示すように、本体451の前側には、貫通孔452,453が形成されている。貫通孔452は、本体451の上側部分を上下方向に貫通している。貫通孔453は、本体451の下側部分を上下方向に貫通している。この貫通孔452,453内には、第1のロックオフ部材480および第2のロックオフ部材490がそれぞれ取り付けられている。
【0079】
第1のロックオフ部材480および第2のロックオフ部材490は、第1実施形態の第1のロックオフ部材80および第2のロックオフ部材90と類似の構造をそれぞれ有しているので、これらについては簡単に説明する。
図16、
図19および
図20に示すように、第1のロックオフ部材480は、本体451に支持されたピン483を介して本体451に取り付けられている。第1のロックオフ部材480は、操作部材450が時計回りに枢動することを阻止する第1の阻止位置(
図20参照)と、操作部材450が時計回りに枢動することを許容する第1の許容位置(
図19参照)と、の間で、ピン483を中心として枢動可能である。
図20に示すように、第1のロックオフ部材480は、トーションバネ484によって、反時計回りの方向に(換言すれば、第1の阻止位置に向けて)付勢されている。
図20に示す第1の阻止位置では、操作部481および係合部482は、本体451の上側部分の下面および上面から、それぞれ突出している。
【0080】
図16、
図19および
図20に示すように、第2のロックオフ部材490は、本体451に支持されたピン493を介して本体451に取り付けられている。第2のロックオフ部材490は、操作部材450が反時計回りに枢動することを阻止する第2の阻止位置(
図19参照)と、操作部材450が反時計回りに枢動することを許容する第2の許容位置(
図20参照)と、の間で、ピン493を中心として枢動可能である。
図19に示すように、第2のロックオフ部材490は、トーションバネ494によって、時計回りの方向に(換言すれば、第2の阻止位置に向けて)付勢されている。
図19に示す第2の阻止位置では、操作部491および係合部492は、本体451の下側部分の上面および下面から、それぞれ突出している。
【0081】
このようなグラインダ410では、
図19に示すように、ユーザが、第1のロックオフ部材480の操作部481を第1の阻止位置(
図20参照)から第1の許容位置(
図19参照)まで枢動させてロックオフ状態を解除しつつ、環状部分441の上側部分および操作部材450の上側部分を握り操作すると、操作部材450が、バネ462の付勢力に抗って、ピン461を中心として時計回りに枢動する。そして、操作部材450が第1の起動位置まで時計回りに枢動されると、操作部材450の突起458が、第1のスイッチ471のアクチュエータ部472を上向きに押圧して、変位させる。これを検知した第1のスイッチ471は、オフ状態からオン状態に切り替わり、電動モータ41が駆動される。一方、ユーザが操作を解除すると、操作部材450がバネ462の付勢力によって初期位置に戻るとともに、第1のロックオフ部材480がトーションバネ484の付勢力によって第1の阻止位置に戻る。
【0082】
一方、
図20に示すように、ユーザが、第2のロックオフ部材490の操作部491を第2の阻止位置(
図19参照)から第2の許容位置(
図20参照)まで枢動させてロックオフ状態を解除しつつ、環状部分441の下側部分および操作部材450の下側部分を握り操作すると、操作部材450が、バネ463の付勢力に抗って、ピン461を中心として反時計回りに枢動する。そして、操作部材450が第2の起動位置まで反時計回りに枢動されると、操作部材450の突起459が、第2のスイッチ473のアクチュエータ部474を下向きに押圧して、変位させる。これを検知した第2のスイッチ473は、オフ状態からオン状態に切り替わり、電動モータ41が駆動される。このときの電動モータ41の回転方向は、第1のスイッチ471がオン状態になったときと同じ方向である。一方、ユーザが操作を解除すると、操作部材450がバネ463の付勢力によって初期位置に戻るとともに、第2のロックオフ部材490がトーションバネ494の付勢力によって第2の阻止位置に戻る。
【0083】
上述した操作部材450によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。例えば、操作部材450によれば、操作部材450の本体451のうちの、ピン461(枢動軸線AX3)に対して上側に位置する上側部分と、ピン461に対して下側に位置する下側部分と、のうちのいずれを握り操作しても、電動モータ41を駆動することができる。枢動軸線AX3は、上側部分と下側部分との間にあるので、枢動軸線AX3と、本体451の上側部分の握り位置と、の距離、および、枢動軸線AX3と、本体451の下側部分の握り位置と、の距離、の両方をある程度確保できる。したがって、ユーザが上側部分を握り操作する場合と、ユーザが下側部分52を握り操作する場合と、の両方において、握り位置における操作部材450の回転半径、ひいては、ストローク量をある程度、確保できる。したがって、操作部材450の良好な操作性が得られる。
【0084】
さらに、操作部材450によれば、ピン461(枢動軸線AX3)は、操作部材450の後端に位置しており、かつ、第1のスイッチ471および第2のスイッチ473は、操作部材450の上側部分および下側部分の前端に対応する位置に位置している。このため、前後方向における枢動軸線AX3と第1のスイッチ471および第2のスイッチ473(換言すれば、第1のスイッチ471および第2のスイッチ473を押圧する箇所である突起458,459)とのそれぞれの距離を大きく確保できる。したがって、操作部材450がアクチュエータ部472または474を押圧して第1のスイッチ471または473がオン状態になるのに必要な変位量を大きくできる。したがって、第1のスイッチ471,473についての誤動作が発生しにくい。
【0085】
さらに、操作部材450によれば、操作部材450のピン461(枢動軸線AX3)は操作部材450の後端に位置しているので、枢動軸線AX3から相対的に遠い操作部材450の前側を握り操作したときに、後側を握り操作したときよりも、大きなストローク感が得られる。操作部材450では、第1のロックオフ部材480および第2のロックオフ部材490が操作部材450の前側に位置しているので、ユーザが操作部材450の前側を握り操作するように、つまり、より大きなストローク感が得られるように、ユーザを誘導できる。
【0086】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、上述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各要素の任意の組み合わせ、または、任意の省略が可能である。
【0087】
例えば、第1実施形態において、枢動軸線AX3は、連結部53に位置する代わりに、モータハウジング40とハンドルハウジング45との境界付近に位置していてもよい。「境界付近に位置する」とは、例えば、モータハウジング40のうちのハンドルハウジング45と反対側の端部と、上記境界と、の間の領域を長手方向に三等分して3つの領域が得られるときの最も境界に近い領域内に位置することと定義されてもよい。あるいは、「境界付近に位置する」とは、例えば、ハンドルハウジング45のうちのモータハウジング40と反対側の端部と、上記境界と、の間の領域を長手方向に三等分して3つの領域が得られるときの最も境界に近い領域内に位置することと定義されてもよい。
【0088】
あるいは、第1実施形態において、枢動軸線AX3は、操作部材50を長手方向に三等分して3つの領域が得られるときの真ん中の領域内に位置していてもよい。
【0089】
あるいは、第1実施形態において、操作部材50は、ヒンジ構造に代えて、下向き突出する凸部を備えていてもよい。この場合、凸部は本体ハウジング20の底面上に配置されてもよく、操作部材50は、凸部を支点として枢動されてもよい。
【0090】
さらに、第1のスイッチ71および第2のスイッチ73に代えて、第1のスイッチ171および第2のスイッチ173に代えて、または、第1のスイッチ471および第2のスイッチ473に代えて、単一のスイッチが使用されてもよい。この場合、グラインダ10または450は、操作部材50または450の変位を単一のスイッチに伝達するように構成された伝達機構を備えていてもよい。この伝達機構は、操作部材50または450の時計回りの枢動に連動して変位して、単一のスイッチを押圧するように構成されるとともに、操作部材50または450の反時計回りの枢動に連動して変位して、単一のスイッチを押圧するように構成される。伝達機構は、リンク部材など、公知の任意の機械的要素によって実現され得る。
【0091】
さらに、第1のロックオフ部材80および第2のロックオフ部材90、または、第1のロックオフ部材480および第2のロックオフ部材490に代えて、単一のロックオフ部材が使用されてもよい。この場合、単一のロックオフ部材は、操作部材50または450が時計回りと反時計回りとの両方に回転不能になるように操作部材50または450と係合して、操作部材50または450の枢動を阻止する阻止位置と、操作部材50または450と係合せず、操作部材50または450の時計回りの枢動と反時計回りの枢動との両方を許容する許容位置と、の間で変位可能に構成されてもよい。
【0092】
さらに、枢動軸線AX3は、操作部材450の前端に位置していてもよい。この場合、ハンドルハウジング440の貫通孔442は、左右方向に見て、後側に向けて上下方向の幅が大きくなる形状を有していてもよい。また、操作部材450の外縁部は、左右方向に見て、後側に向けて上下方向の幅が大きくなる形状を有していてもよい。また、ハンドルハウジング440の環状部分441の内縁部分と、操作部材50の本体451と、のクリアランスは、後側に向けて大きくなっていてもよい。
【0093】
上述の実施形態は、グラインダ10,410に限らず、ハウジングに沿って長尺状に延在する握り操作式の操作部材を備える任意の作業工具に適用可能である。
【符号の説明】
【0094】
10,410...グラインダ
15...ハウジング
20...本体ハウジング
20a...右ハウジング
20b...左ハウジング
21...ボス
22,23...ボルト
30...ギアハウジング
32...ベアリングボックス
33...小ベベルギア
34...大ベベルギア
35...スピンドル
36...インナーフランジ
37...ロックナット
38...先端工具
39...カバー
40...モータハウジング
40a...モータハウジングの底面
41...電動モータ
42...モータシャフト
45...ハンドルハウジング
45a...連結部
45b...ハンドルハウジングの底面
46...リアハウジング
47...バッテリ装着部
48...バッテリ
49...コントローラ
50,450...操作部材
51...第1の部分
52...第2の部分
53...連結部
54...軸部
55...前端部
56...後端部
57,58...長孔
59...第1の端部側領域
60...第2の端部側領域
61...凹凸
62,64...バネ座
63,65...バネ
71,471...第1のスイッチ
72,472...アクチュエータ部
73,473...第2のスイッチ
74,474...アクチュエータ部
80,480...第1のロックオフ部材
81,481...操作部
82,482...係合部
83,483...ピン
84,484...トーションバネ
90,490...第2のロックオフ部材
91,491...操作部
92,492...係合部
93,493...ピン
94,494...トーションバネ
120...本体ハウジング
150...操作部材
155...第3の部分
171...第1のスイッチ
173...第2のスイッチ
225...軸部
250...操作部材
250a...第1の操作部材
250b...第2の操作部材
255a,255b...ボス
325a,325b...軸部
350...操作部材
350a...第1の操作部材
350b...第2の操作部材
440...ハンドルハウジング
441...環状部分
442...貫通孔
451...本体
452,453...貫通孔
454...枢動軸部
455...貫通孔
456,457...孔
458,459...突起
461...ピン
462,463...バネ
AX1,AX2...回転軸線
AX3...枢動軸線
AX4...第1の枢動軸線
AX5...第2の枢動軸線