(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】液圧式の非人力車両ブレーキ設備のための非人力ブレーキ圧生成器
(51)【国際特許分類】
B60T 13/138 20060101AFI20240502BHJP
B60T 8/17 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
B60T13/138 A
B60T8/17 B
(21)【出願番号】P 2022535055
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(86)【国際出願番号】 EP2020080347
(87)【国際公開番号】W WO2021115680
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】102019219438.9
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ヴェー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ハグスピエル,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルヘルム,マキシミリアン
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-521324(JP,A)
【文献】特開平08-219127(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102007060045(DE,A1)
【文献】特開平07-186652(JP,A)
【文献】特開2013-075605(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0144238(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/138
B60T 8/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧式
の車両ブレーキ設備のための非人力ブレーキ圧
生成器を有するハイドロリックブロックであって、前記ハイドロリックブロック(1)は前記ハイドロリックブロック(1)の一方の側で開いたシリンダボア(3)を有し、前記シリンダボア(3)の中で軸方向へスライド可能なピストン(5)と、前記シリンダボア(3)の中で前記ピストン(5)をスライドさせるためのねじ駆動装置(6)と、前記ねじ駆動装置(6)の回転駆動可能な駆動部材(10)が前記ハイドロリックブロック(1)に回転可能に支承される回転軸受(12)とを有する、ハイドロリックブロックにおいて、前記シリンダボア(3)はその開いた側の開口部にある環状段部(15)を有し、該環状段部の底面に前記回転軸受(12)が軸方向で支持され、前記シリンダボア(3)の開口部を取り囲む前記ハイドロリックブロック(1)の材料は、それが前記回転軸受(12)を前記ハイドロリックブロック(1)で保持するように成形され
、
前記回転軸受(12)に軸方向で係合し、前記シリンダボア(3)の開口部にある前記ハイドロリックブロック(1)の前記環状段部(15)の中でアンダーカット(21)を有する回転軸受取付器(18)を有し、前記シリンダボア(3)の開口部を取り囲む前記ハイドロリックブロック(1)の材料は、それが前記回転軸受取付器(18)の前記アンダーカット(21)に後方係合し、それによって前記回転軸受(12)を前記回転軸受取付器(18)を介して前記ハイドロリックブロック(1)で保持するように成形され、
前記回転軸受取付器(18)は、前記回転軸受(12)を包囲するスリーブと、前記ハイドロリックブロック(1)の前記シリンダボア(3)の開口部を取り囲む成形された材料によって係合される、前記シリンダボア(3)の開口部にある前記ハイドロリックブロック(1)の前記環状段部(15)の中で外方に向かって突出するフランジ(20)と、内方に向かって突出する穴付きディスク状の縁部(19)とを有し、前記縁部(19)は前記ハイドロリックブロック(1)とは反対側の前記回転軸受(12)の端部に係合することを特徴とするハイドロリックブロック。
【請求項2】
前記回転軸受(12)または回転軸受ホルダ(14)は前記シリンダボア(3)の開口部にある前記ハイドロリックブロック(1)の前記環状段部(15)
内にアンダーカット(17)を有し、前記シリンダボア(3)の開口部を取り囲む前記ハイドロリックブロック(1)の材料は、それが前記回転軸受(12)または前記回転軸受ホルダ(14)の前記アンダーカット(17)に後方係合し、それによって前記回転軸受(12)を前記ハイドロリックブロック(1)で保持するように成形されることを特徴とする、請求項1に記載のハイドロリックブロック。
【請求項3】
前記回転軸受(12)または前記回転軸受ホルダ(14)は
、前記環状段部(15)の内側円周に
圧入されるローレットを有することを特徴とする、請求
項2に記載のハイドロリックブロック。
【請求項4】
前記回転軸受取付器(18)は前記ハイドロリックブロック(1)と反対を向くほうの前記回転軸受(12)の端面に後方係合することを特徴とする、請求項
1から3のいずれか1項に記載のハイドロリックブロック。
【請求項5】
前記非人力ブレーキ圧生成器(2)は前記ねじ駆動装置(6)を駆動するための電気モータ(22)を有することを特徴とする、請求項1から
4のいずれか1
項に記載のハイドロリックブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提項の構成要件を有する、液圧式の車両ブレーキ設備のための非人力ブレーキ圧生成器を有するハイドロリックブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、液圧式の車両ブレーキ設備のための非人力ブレーキ圧生成器を有するハイドロリックブロックを開示している。この公知のハイドロリックブロックは、ピストンが軸方向へスライド可能なように中に配置されたシリンダボアを有している。電気モータと、スピンドルを有するねじ駆動装置とによって、ピストンがシリンダボアの中でスライド可能である。シリンダボアの中でピストンがスライドすることで、ブレーキ液をシリンダボアから押除け可能であり、液圧式のブレーキ圧を生成可能である。シリンダボアの中でのピストンの往復運動によってブレーキ圧を上昇および低減させることができ、すなわち、ブレーキ圧を制御ないしコントロールすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
請求項1の構成要件を有する本発明のハイドロリックブロックは、非人力ブレーキ圧生成器を有する。ハイドロリックブロックは、ハイドロリックブロックの一方の側で開いた、ピストンが軸方向へスライド可能に中に配置されたシリンダボアを有する。シリンダボアの中でピストンがスライドすることで、ブレーキ液をシリンダボアから押し除けることができ、液圧式のブレーキ圧を生成することができる。シリンダボアの中でのピストンの往復運動によってブレーキ圧を上昇および低減させることができ、すなわち、シリンダボアの中でのピストンの往復運動によってブレーキ圧をコントロールすることができ、このことは制御としても理解される。
【0005】
シリンダボアの中でピストンをスライドさせるために、非人力ブレーキ圧生成器は、回転駆動運動をスライドへと変換する、回転駆動のもとでピストンをシリンダボアの中でスライドさせるねじ駆動装置を有する。ねじ駆動装置は、厳密に言うとねじ駆動装置の回転駆駆可能な駆動部分は、回転軸受によってハイドロリックブロックで回転可能に支承される。駆動部分はたとえばナットまたはスピンドルであり、スピンドルまたはナットが回転駆動されたときこれによってピストンをスライドさせる。
【0006】
ハイドロリックブロックのシリンダボア、シリンダボアの中でスライドするピストン、回転軸受を有するねじ駆動装置、および場合によりねじ駆動装置を回転駆動するための駆動モータが、非人力ブレーキ圧生成器を構成する。
【0007】
ピストンが、シリンダボアの中でこれにより包囲される容積を拡大してブレーキ液を吸い込むピストンの戻りストロークのとき、シリンダボアの中に入るように向く力をピストンに対して惹起する負圧がシリンダボアの中で発生し得る。このようなシリンダボアの中に入るように向く力に対する支持のために、本発明は、シリンダボアの開いた側の開口部にあるハイドロリックブロックの環状段部を意図し、該環状段部の底面にねじ駆動装置の回転軸受が軸方向で支持される。回転軸受は、シリンダボアの開口部にある環状段部の底面に直接的に支持されることができ、または、たとえば管状の回転軸受ホルダを介して間接的に支持されることができる。シリンダボアの開口部を取り囲むハイドロリックブロックの材料のかしめが、あるいは一般的に表現すると可塑変形が、ハイドロリックブロックで回転軸受を保持する。その際にも、ハイドロリックブロックの可塑変形した材料が回転軸受を直接的に、またはたとえば回転軸受ホルダを介して間接的に、ハイドロリックブロックで保持することが成り立つ。
【0008】
ハイドロリックブロックの可塑的に成形された材料が、回転軸受を形状接合式に保持するのが好ましい。この目的のために回転軸受は、または回転軸受が取り付けられる回転軸受ホルダは、ハイドロリックブロックの可塑的に成形された材料に上方係合ないし後方係合し、それによって回転軸受をハイドロリックブロックで保持するアンダーカットを有する。アンダーカットは、回転軸受または回転軸受ホルダの、ハイドロリックブロックと反対を向く面である。
【0009】
従属請求項は、独立請求項に記載されている本発明の発展例と好ましい実施形態を対象としている。
【0010】
発明の詳細な説明および図面に開示されている一切の構成要件は、それ自体として単独で、または基本的に任意の組合せとして、本発明の実施形態で具体化されていてよい。本発明の1つの請求項または1つの実施形態のすべての構成要件ではなく、1つまたは複数の構成要件だけを有している本発明の実施形態も、原則として可能である。
【0011】
次に、図面に示されている2つの実施形態を参照しながら本発明について詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】非人力ブレーキ圧生成器を軸方向に切断して示す、本発明によるハイドロリックブロックの断面図である。
【
図2】非人力ブレーキ圧生成器を軸方向に切断して示す、本発明によるハイドロリックブロックの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示す本発明のハイドロリックブロック1は、ブレーキ圧を生成して液圧式の車両ブレーキ設備の液圧ホイールブレーキを非人力によって操作するために、非人力ブレーキ圧生成器2を有している。図示して説明している本発明の実施形態では、ハイドロリックブロック1は、図示しないホイールブレーキがブレーキパイプを介して接続されている、ないしは接続可能である、たとえばアルミニウム合金からなる直方体状の平たい金属ブロックである。
【0014】
ハイドロリックブロック1は、ハイドロリックブロック1の一方の側-本実施例では直方体状のハイドロリックブロック1の広い面-で開いたシリンダボア3を有している。これと向かい合う側では、シリンダボア3は閉じている。本実施例ではハイドロリックブロック1は、シリンダボア3を延長したカップ状の成形部4を有している。たとえばカバーも可能である(図示せず)。
【0015】
シリンダボア3の中で、ピストン5が軸方向へスライド可能に案内されている。本実施例では、ピストン5はハイドロリックブロック1のシリンダボア3の中で直接的に案内される。図示しているものとは異なり、たとえばシリンダボア3の中に配置されたシリンダブッシュの中でピストン4が案内されていてもよい(図示せず)。
【0016】
シリンダボア3の中で閉じた端部の方向へピストン5がスライドすることで、ブレーキ圧を生成して、ハイドロリックブロック1に接続された、ないしは接続可能な、図示しないホイールブレーキを操作するために、ブレーキ液をシリンダボア3から押し除けることができる。シリンダボア3の中でのピストン5の往復運動により、ブレーキ圧を上昇または減少させることができ、そのようにして、ブレーキ圧を制御もしくはコントロールすることができる。
【0017】
シリンダボア3の中でピストン5をスライドさせるために、非人力ブレーキ圧生成器2は、スピンドル7と、スピンドル7を同心的に取り囲む管状のナット8と、スピンドル7の外側かつナット8の内側にある螺旋状の溝の中で転動するボール9とを備えたボールねじ駆動装置6を有している。ここではボールねじ駆動装置6の回転駆動可能な駆動部材10を形成するナット8が回転駆動されると、スピンドル7が軸方向にスライドする。ボールねじ駆動装置6は、一般的にねじ駆動装置またはヘリカルギヤ装置として把握することもできる。
【0018】
本実施例ではピストン5は管状の中空ピストンとして製作されていて、シリンダボア3の閉じた端部のほうを向くその端部は閉じている。ボールねじ駆動装置6は、中空ピストンとして製作されたピストン5の中に同軸に配置されており、スピンドル7とナット8はピストン5の開いた端部でハイドロリックブロック1から突き出している。ピストン5との結合のために、スピンドル7は、ピストン5の閉じた端部で円筒状の窪みに圧入された同軸のピン11を有している。
【0019】
ボールねじ駆動装置6の駆動部材10を形成するナット8は、ハイドロリックブロック1の外部で回転軸受12により、本実施例では玉軸受により、ハイドロリックブロック1で回転可能に支承されている。回転軸受12の外輪13は、環状または管状の回転軸受ホルダ14によってハイドロリックブロック1に取り付けられている。回転軸受ホルダ14はナット8を同軸に取り囲んでおり、回転軸受12に対して同軸である。回転軸受ホルダ14に回転軸受12を取り付けるために、回転軸受12の外輪13が回転軸受ホルダ14の環状段部に押し嵌められており、追加的に溶接によって、たとえば摩擦溶接や点溶接によって、あるいはそれ以外の方式によって、回転軸受ホルダ14と結合されていてよい。
【0020】
回転軸受ホルダ14は、シリンダボア3の開いた側の開口部にあるハイドロリックブロック1の環状段部15の中に突入し、環状段部15の底面に軸方向で支持される。回転軸受ホルダ14を介して、回転軸受12ないし回転軸受12の外輪13が軸方向でハイドロリックブロック1に支持される。シリンダボア3の開口部にあるハイドロリックブロック1の環状段部15の底面に回転軸受12ないしその外輪13が直接的に支持される、回転軸受ホルダ14のない実施形態も可能である(図示せず)。
【0021】
回転軸受ホルダ14は外側円周に、ハイドロリックブロック1への取付のために環状段部15の内側円周に圧入される平行ローレットすなわち多歯断面16を有している。回転軸受ホルダ14を介して、回転軸受12がハイドロリックブロック1に取り付けられる。シリンダボア3の中で包囲される容積をピストン5が拡大する、ピストン5の戻りストロークのとき、ピストン5は、シリンダボア3の閉じた端部の方向へのピストン5に対する軸方向力を惹起する負圧をシリンダボア3の中で生成し得る。シリンダボア3の閉じた端部の方向を向くこのような軸方向力に対して、回転軸受12は回転軸受ホルダ14を介して、ハイドロリックブロック1のシリンダボア3の開口部を取り囲む環状段部15の底面に支持される。軸方向力は、ピストン5からボールねじ駆動装置6のスピンドル7とナット8とを介して回転軸受12に伝達される。
【0022】
回転軸受ホルダ14は、多歯断面16の追加または代替として、その外側円周に環状段部を有し、その端面がハイドロリックブロック1の外面のほうを向いていて、アンダーカット17を形成する。シリンダボア3の開口部にある環状段部15でハイドロリックブロック1が周回するようにかしめられ、すなわち、シリンダボア3の開口部を取り囲むハイドロリックブロック1の材料が、回転軸受ホルダ14の外面にあるアンダーカット17を形成する環状段部の端面に上方係合するように可塑的に成形され、それによって回転軸受ホルダ14が、および回転軸受ホルダ14を介して回転軸受12が、形状接合によりハイドロリックブロック1に取り付けられる。
【0023】
回転軸受12ないしその外輪13が、回転軸受ホルダ14を介して間接的にでなく、直接的にハイドロリックブロック1に取り付けられていてもよい。そのために、たとえば回転軸受ホルダ14に代えて、回転軸受12ないしその外輪13は、シリンダボア3の開口部にある環状段部15に圧入される、多歯断面16を形成する平行ローレットを有することができ、および/または環状段部を外側円周に有することができ、これに合わせて、環状段部15を取り囲むハイドロリックブロック1の材料が可塑的に成形される(図示せず)。
【0024】
ハイドロリックブロック1に回転軸受12を取り付けるために、
図2では、管状のスリーブが回転軸受ホルダ14と回転軸受12を同軸に包囲する回転軸受取付器18として設けられている。回転軸受取付器18は、ハイドロリックブロック1と反対を向くほうの回転軸受12の端面ないしその外輪13に上方係合ないし後方係合する、内方に向かって延びる周回する縁部19を有している。それにより、回転軸受12が回転軸受取付器18の中で軸方向に形状接合によって保持される。
【0025】
回転軸受取付器18は、ハイドロリックブロック1のシリンダボア3の開口部を取り囲む、環状段部15の中の向かい合う端部に、外方に向かって延びるフランジ20を有しており、該フランジが、周回するようにかしめられた、すなわち可塑的に成形された、シリンダボア3の開口部にある環状段部15を取り囲むハイドロリックブロック1の材料によって上方係合され、それによって回転軸受取付器18が、および回転軸受取付器18を介して回転軸受12が、ハイドロリックブロック1に取り付けられる。フランジ20の、環状段部15の底面と反対を向くほうの側は、ハイドロリックブロック1の可塑的に成形された材料により上方係合ないし後方係合されるアンダーカット21を形成する。
【0026】
図1と同じく、
図2においても回転軸受ホルダ14は、平行ローレットをシリンダボア3の開口部にあるハイドロリックブロック1の環状段部15の円周に圧入される多歯断面16として有することができる。
【0027】
ボールねじ駆動装置6の駆動部材10を形成するナット8を回転駆動するために、非人力ブレーキ圧生成器2は、電気モータ22と、電気モータ22とボールねじ駆動装置6の間に配置されるプラネタリギヤ23とを有している。プラネタリギヤ23と電気モータ22はボールねじ駆動装置6およびシリンダボア3に対して同軸に、ハイドロリックブロック1に配置される。
【0028】
ボールねじ駆動装置6のナット8は同時にプラネタリギヤ23のプラネタリキャリア24を形成し、これにシリンダピン25の上で、プラネタリギヤ23のプラネタリピニオン26が回転可能に支承されている。プラネタリギヤ23のサンギヤ27は、電気モータ22のモータシャフト28の上で相対回転不能である。プラネタリギヤ23のリングギヤ29は、回転軸受12の外輪13に上方係合する、たとえば点溶接によって外輪13および/または回転軸受ホルダ14に取り付けられたカップ状のホルダ30の中で、相対回転不能に配置されている。
【0029】
電気モータ22は、ハイドロリックブロック1の、シリンダボア3が開いている側の外側に取り付けられている。プラネタリギヤ23と、ハイドロリックブロック1から突き出すボールねじ駆動装置6のスピンドル7およびナット8とは、電気モータ22のモータハウジング31の中にある。
【0030】
電気モータ22、プラネタリギヤ23、ボールねじ駆動装置6と回転軸受12、およびシリンダボア3とその中で軸方向にスライド可能なピストン5が、非人力ブレーキ圧生成器2を構成し、電気モータ22、プラネタリギヤ23、およびボールねじ駆動装置6と回転軸受12が、非人力ブレーキ圧生成器2の非人力駆動装置を構成する。
【0031】
ハイドロリックブロック1はシリンダボア3以外にマスタブレーキシリンダボア32を有していて、該マスタブレーキシリンダボア内に図示しないマスタブレーキシリンダピストンを配置可能であり、これが、機械的に図示しないフットブレーキペダルまたはハンドブレーキレバーによりピストンロッドを介して、マスタブレーキシリンダボア24の中でスライド可能である。フットブレーキペダルまたはハンドブレーキレバーを介して、マスタブレーキシリンダピストンにより、車両ブレーキ設備の筋力操作が可能であり、ないしはハイドロリックブロック1に接続された、ないしは接続可能な、ホイールブレーキの筋力操作が可能である。さらにマスタブレーキシリンダボア32は、その中でスライド可能なマスタブレーキシリンダピストンおよびフットブレーキペダルもしくはハンドブレーキレバーとともに、非人力ブレーキ圧生成器2によって生成されるブレーキ圧についての目標ストローク発生器の役目を果たす。
【0032】
ブレーキ圧コントロールおよび/またはスリップコントロールのために、ハイドロリックブロック1の表面ないし内部に電磁弁33が配置されている。このようなスリップコントロールは、たとえばロック防止コントロール、トラクションコントロール、および/またはビークルダイナミックコントロールないしエレクトロニックスタビリティプログラムであり、これらについて略語ABS、ASR、および/またはFDRないしESPが慣用される。こうしたスリップコントロールは周知であり、ここでは詳しく説明しない。
【符号の説明】
【0033】
1 ハイドロリックブロック
2 非人力ブレーキ圧生成器
3 シリンダボア
5 ピストン
6 ねじ駆動装置
10 駆動部材
12 回転軸受
14 回転軸受ホルダ
15 環状段部
16 多歯断面
17 アンダーカット
18 回転軸受取付器
19 縁部
20 フランジ
21 アンダーカット
22 電気モータ