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特許7482255多相の製鋼スラグの効率的な処理方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】多相の製鋼スラグの効率的な処理方法および装置
(51)【国際特許分類】
   C21C 5/28 20060101AFI20240502BHJP
   B09B 3/30 20220101ALI20240502BHJP
   B09B 3/40 20220101ALI20240502BHJP
【FI】
C21C5/28 D
B09B3/30
B09B3/40
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022565698
(86)(22)【出願日】2021-03-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 CN2021083672
(87)【国際公開番号】W WO2021223543
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】202010373411.0
(32)【優先日】2020-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】302022474
【氏名又は名称】宝山鋼鉄股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】肖 永 力
(72)【発明者】
【氏名】李 永 謙
【審査官】藤長 千香子
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-520481(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2020-0015598(KR,A)
【文献】中国特許第101760572(CN,B)
【文献】特開2009-228933(JP,A)
【文献】特開2012-001417(JP,A)
【文献】国際公開第2007/145384(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第2003-0004827(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21C 5/00
C21C 5/28-5/50
B09B 3/30、3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製鋼スラグの供給装置と、製鋼スラグを処理するドラムとを備える多相の製鋼スラグの処理装置において、製鋼スラグの供給装置は、供給シュートを備え、
多相の製鋼スラグの処理装置は、供給シュートとドラムとの間に設置されたホッパーをさらに備え、
前記ホッパーは、開口筒体であり、一端が漏斗が配置された供給シュートの下部開口端とすきまばめを形成し、他端がドラムの処理チャンバと固着して同軸であり、
ドラムの軸線が水平面に対して傾斜夾角を有し、傾斜夾角の範囲が8°~12°であり、
前記ホッパーの容積は、スラグタンクの容積の2~3倍であり、
前記ホッパーの内壁が水冷壁であることを特徴とする多相の製鋼スラグの処理装置。
【請求項2】
前記供給シュートの下部開口端がホッパーの入口端部と隙間嵌合を形成することを特徴とする請求項に記載の多相の製鋼スラグの処理装置。
【請求項3】
前記水冷壁は外側に環状の冷却用シャワー管を備え、シャワー管がホッパーの軸方向に均一に配置され、前記冷却用シャワー管の外側に外ハウジングが設けられ、当該外ハウジングが地盤に固着されて、冷却用シャワー管のシャワー水を収集して排出し、冷却用シャワー管が前記外ハウジングに固定されることを特徴とする請求項に記載の多相の製鋼スラグの処理装置。
【請求項4】
供給シュートの下半部において高温スラグによる擦りを受ける部分には、水冷装置が設けることを特徴とする請求項に記載の多相の製鋼スラグの処理装置。
【請求項5】
ドラムの外筒体のスラグ排出領域に、処理過程に水溜りがないことを確保するために、水車式水掬いチャンバーを設置し、当該チャンバーは、外筒体の円周に沿って均一に配置され、チャンバー間の仕切板の角度は、スラグを受け入れる漏斗の開角度と一致することを特徴とする請求項に記載の多相の製鋼スラグの処理装置。
【請求項6】
前記供給シュートの下部開口端が前記ホッパーの前記一端内に挿入されることを特徴とする請求項に記載の多相の製鋼スラグの処理装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の多相の製鋼スラグの処理装置を用い、
流動性の良いスラグおよび流動性の悪い高粘度のスラグまたは固体スラグの製鋼スラグを含む、多相の高温製鋼スラグである多相の製鋼スラグの効率的な処理方法において、前記方法は、次のようなステップを含み、
スラグタンク傾動機構により、多相の高温製鋼スラグが収容されたスラグタンクを抱き締めてスラグ供給位置に移動させ、スラグタンクを傾動させて、スラグタンク中の流動性の良い高温の製鋼スラグを、設定された傾動速度で制御可能に供給シュートを介して、ドラムの前部と供給シュートとの間に傾斜設置されドラムに伴って回転し続けるホッパーに供給することで、高温の製鋼スラグは、重力により、ホッパーの回転に伴って、ホッパーの内壁から徐々に剥離し、かつ、ホッパーの傾斜方向に沿って、制御可能に徐々に滑り落ち、回転するドラム内に移動して入り、ドラム化処理を行い、
スラグタンク内に残った高粘度のスラグまたは固体スラグが流動性が小さいため流出できない場合に、スラグタンクを引き続き傾動させて、タンク内の全ての製鋼スラグを傾斜的に設置された供給シュート内に引っ繰り返して入れることで、高粘度のスラグまたは固体スラグは、重力により供給シュートの漏斗を通じて供給シュートと回転するホッパー内に滑り込み、ドラムおよびホッパーの回転に伴い、重力とホッパーの傾斜角の共同作用により、徐々にドラム内に滑り込み、ドラム化処理を行い、高粘度のスラグまたは固体スラグがドラムに滑り込む速さは、ドラムによって決められ、
ホッパーの容積が、スラグタンク内の全ての溶融スラグを収容し、高温の鋼スラグがドラム処理チャンバおよび鋼球上に堆積して爆発することを回避するように、スラグタンクの容積の2~3倍になっており、ホッパーの鋼スラグがドラムの回転に伴ってゆっくりドラム内に滑り込み、ゆっくり鋼球と接触し、鋼球によって運ばれて冷却・破砕され、
流動性の良い高温の製鋼スラグをホッパーの内壁で急速に冷却硬化させることを特徴とする多相の製鋼スラグの効率的な処理方法。
【請求項8】
当該方法は、タンクを引っ繰り返した後、傾動装置がリセットして次のスラグタンクを受け、この過程で、ドラムが停止されず、連続運転状態にあることをさらに含むことを特徴とする請求項に記載の多相の製鋼スラグの効率的な処理方法。
【請求項9】
当該方法は、供給シュート内に製鋼スラグが積み上げられたり接着されたりした場合、シュートの上方に設置されたスラグ清掃機のロボットハンドによって機械的な清掃を行い、供給シュートが空いているのを確保することをさらに含むことを特徴とする請求項に記載の多相の製鋼スラグの効率的な処理方法。
【請求項10】
当該方法は、ドラム内に多くの大塊の冷鋼が堆積すると、短時間で停止し、漏斗を含む供給シュートを退避させ、鋼整理機を起動し、鋼整理機のロボットアームとその端部の電磁石を作動させることにより、大塊の冷鋼をドラムからホッパーを介して迅速に除去することをさらに含むことを特徴とする請求項に記載の多相の製鋼スラグの効率的な処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冶金スラグの処理方法および装置に関わるものであり、特に多相の高温製鋼スラグの効率的なドラム処理方法および装置に関わるものである。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼製造プロセスで生じる大口副産物の1つである製鋼スラグは、粗鋼生産量の約10~30%を占め、製鋼スラグは、主にカルシウム、マグネシウム、ケイ素、アルミニウム、鉄等の金属酸化物とリン、イオウの非金属酸化物および各種の高融点重合体を含む複雑な混合物からなり、同時に粒度が異なる金属鉄も1~10%だけ混入され、出湯直後の製鋼スラグは、1500℃程度の高温で溶融状態にあることが多く、ある程度の流動性を有するが、温度の低下に伴い、製鋼スラグの粘度が急速に上昇して大量の熱を放出する。各製鋼所の製鋼プロセスの違いにより、製錬過程で発生する製鋼スラグ成分や温度は、異なり、ある高温の製鋼スラグの流動性が良く、水のように放り掛けることができるが、ある高温の製鋼スラグの流動性が悪く、スラグタンク(高温の製鋼スラグを収納して移送する容器、スラグバッグともいう。)から簡単に排出することが困難であり、機械的な外力によりまたはスラグタンクを逆さにして、スラグタンクから排出しなければならない。また、スラグタンクの実用寿命を延長し、注入時に高温の製鋼スラグがスラグタンクの底部を洗い流すことを避けるために、転炉からスラグを受入れる時に、空スラグタンクの底部に一部の冷スラグを設ける必要があり、高温の製鋼スラグが注入されると、この部分の冷スラグが接触する高温の製鋼スラグと混ざり合い、スラグタンクの内壁の製鋼スラグと共に、数トンまたは十数トン程度で製鋼スラグの総量の約4分の1から2分の1程度の大きなスラグ塊を形成し、この部分のスラグは、タンク底のスラグとも呼ばれる。製鋼スラグ成分の複雑さや形態の多様性は、製鋼スラグの処理やその後の利用に対して極めて困難をもたらす。
【0003】
最も一般的な製鋼スラグの処理プロセスは、高温スプラッシュと後処理であり、すなわち高温の製鋼スラグをスラグ処理場所にぶっかけて自然冷却し、その後、冷却された製鋼スラグに対して破砕、磁選、分級選別を行い、回収された冷鋼を生産工程に戻して利用し、分級選別された尾鉱を粒度および性状に応じて再利用または社会販売する。製鋼スラグは、珪酸質材料にまとめることができ、自体の熱伝導性が悪く、自然冷却速度が極めて遅い。製鋼スラグの冷却処理効率を向上させ、冷却処理場所を減少させるために、スラグ処理工場では、機械的な攪拌、冷却水の散布などの対策がしばしば施され、粉塵や廃蒸気が飛散し、作業環境が悪く、周囲の環境粉塵は、基準値を大幅に超え、ちょっとした不注意で爆発の危険も発生する。環境保護の要求が厳しくなっている今日、短プロセス、迅速、安全、環境保護化による高温の製鋼スラグの処理技術は、鉄鋼企業の切実な探索の焦点となっている。ある鉄鋼企業が開発したドラム法の製鋼スラグ処理技術は、このような背景の下で生まれた密閉、高速、資源化の製鋼スラグの熱処理の新技術であり、一つの密閉容器の中で高温の冶金溶融スラグを動的、連続、急速に冷却して粒度が50mmより小さい粒子状の製品スラグに破砕する機能を実現し、プロセス過程で発生する含塵排ガスが煙道で捕集、浄化処理された後に煙突から基準を達成して排出されるので、その他の処理プロセスによる無秩序排出の現状が徹底的に変えられ、汚水の循環利用、ゼロ排出が達成された。この技術は、プロセスが短く、投資が削減されるだけでなく、操作が便利、安全且つ確実であり、処理された製鋼スラグを直接的に資源化利用できるので、世に出ると、業界に認められ、プロセス技術と装備レベルは、工業化の実施と商業化に伴って、益々向上し、急速発展を遂げている。しかし、これまで、技術発展の限界に鑑み、従来のドラムプロセスは、単体の設備において流動性の良い製鋼スラグしか処理できず、スラグタンク傾動機構やスラグ掻き機による補助があっても、一部の粘稠な固体製鋼スラグを定量的にドラム内に掻き込むことしかできず、効率が悪く、処理周期が長く、大塊状のタンク底のスラグの場合、しばしば地面にかけたり、タンクを逆さにしたりして処理する必要があり、しかも、スラグ掻き機を用いてスラグを入れる効率が低い。
【0004】
中国特許CN200420107540.1とCN200810207918.8は、「傾斜式ドラム法の冶金スラグ処理装置」および「傾斜式ドラム法の高温溶融スラグの処理プロセスおよび装置」を提案しており、主にドラムの本体構造と一定の流動性を有する溶融スラグがドラム内で順次に多媒体によって急速に冷却され、破砕されて装置外に搬送されることに関わるものであり、このタイプのドラムは、流動性を持たない固体スラグ、特に大塊状のタンク底のスラグについてはまだ処理できない。
【0005】
CN201210159321.7には、「製鋼スラグの全ドラム処理プロセスおよびスラグを清掃する装置」が開示されており、スラグ剥離機構のノック作用によりスラグタンクの壁やスラグのの底部の付着スラグをほぐし、その後、小塊の製鋼スラグをスラグ掻き機により掻き出す。この方法では、高粘度のスラグまたはタンク底のスラグに対する処理効率が悪いばかりでなく、スラグタンクの壁に付着した高粘度のスラグをきれいに清掃することも困難である。
【0006】
201510365716.6には、ドラム法の製鋼スラグの全フロー処理システムおよびプロセスが開示されている。このシステムは、主として、供給を補助するための傾動機構およびスラグ掻き装置、製鋼スラグに対するコア処理用のドラム、製品搬送装置、振動選別装置、バケットリフト装置、オンライン磁選装置、ストック装置、除塵装置、水システム装置および電気制御装置からなる。走行占有率を低減することができ、ドラムにより処理された製鋼スラグに対してオンライン選別および予備磁気選別を行うことができ、材料を高位ホッパーで貯蔵することができ、製品スラグの二回ないし多数回の積み降ろしによる環境汚染を回避することができる。
【0007】
上記の技術は、スラグ掻き装置を用いる必要があるので、効率が低下する。また、タンクを逆さにする時にドラム処理チャンバおよび鋼球に同時に流入する大量の高温の製鋼スラグにより、大量の高温の製鋼スラグが瞬時に堆積するので、爆発しやすく、連続操作ができない。
【0008】
理想的なドラム法の製鋼スラグ処理プロセスおよび装置は、運転の信頼性、安全性、環境保全を満たすだけではなく、投資と運転コストが低いという特徴を備えるべきであり、このようなプロセス技術は、高温製鋼スラグの連続処理技術に係わり、同一ドラムの全スラグ量対応(流動性の良い高温の溶融スラグを処理することができ、スラグタンクの壁に接着する高粘度のスラグと流動性を持たない固体スラグ、特に大塊状のタンク底のスラグを安全に処理することもできる。)、連続化を可能にするとともに、自動化の操作要求を満たし、人工作業による安全性の懸念とミスを減少させるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示は、上記の問題点を克服するためになされたものであって、その目的は、製鋼スラグ処理の全量化、連続化、効率化および自動化の目標を実現し、流動性の良い高温の溶融スラグを処理することができ、スラグタンクの壁に接着する高粘度のスラグと流動性を持たない固体スラグ、特に大塊状のタンク底のスラグを安全に処理することもでき、同時に自動化の操作要求を満たし、人工作業による安全性の懸念とミスを減少させる多相の製鋼スラグの効率的な処理方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示によれば、スラグタンク傾動機構の補助で、ドラムの前部と供給シュートとの間に傾斜的に設置され緩衝移行部として機能するホッパーにより、スラグ掻き装置を使用する必要がなく、各種の製鋼スラグに対する安全且つ環境保護化のドラムプロセス処理を実現することができ、処理効率が従来のドラムの倍以上になる。ドラムの連続運転が達成されたため、ドラムの温度変動が小さく、運転寿命が長く、メンテナンスコストが低い、同時に機械的な冷鋼整理装置を装備したため、ドラムの停止時間がさらに低減され、ドラム法による製鋼スラグの処理の作業率が向上する。
【0011】
上記技術目的を達成するために、本開示は、以下の技術案を採用する。
多相の製鋼スラグの効率的な処理方法であって、前記製鋼スラグは、多相の高温製鋼スラグであり、流動性の良いスラグおよび流動性の悪い高粘度のスラグまたは固体スラグの製鋼スラグを含み、前記方法は、次のようなステップを順次に含み、
製鋼スラグの供給-製鋼スラグのドラム法処理-排ガスの排出・浄化-冷却水の循環と冷鋼の整理を含む多相の製鋼スラグの効率的な処理方法において、
一.製鋼スラグの供給
スラグタンク傾動機構により、多相の高温製鋼スラグが収容されたスラグタンクを抱き締めてスラグ供給位置に移動させ、スラグタンクを傾動させて、スラグタンク中の流動性の良い高温の製鋼スラグを供給シュートを介して、設定された傾動速度で制御可能に、ドラムの前部と供給シュートとの間に傾斜設置されドラムに伴って回転し続けるホッパーに供給し、高温の製鋼スラグは、ホッパーの内壁で急速に冷却されて固化し、重力により、ホッパーの回転に伴って、ホッパーの内壁から徐々に剥離し、かつ、ホッパーの傾斜方向に沿って、制御可能に徐々に滑り落ち、回転するドラム内に移動して入り、ドラム化処理を行う。
【0012】
二.タンクの引っ繰り返し
スラグタンク内に残った高粘度のスラグまたは固体スラグが流動性が小さいため流出できない場合に、スラグタンクを引き続き傾動させて、タンク内の全ての製鋼スラグを傾斜的に設置された供給シュートの漏斗内に引っ繰り返して入れ、高粘度のスラグまたは固体スラグは、重力により供給シュートの漏斗を通じて供給シュートと回転するホッパー内に滑り込み、ドラムおよびホッパーの回転に伴い、重力とホッパーの傾斜角の共同作用により、徐々にドラム内に滑り込み、ドラム化処理を行い、高粘度のスラグまたは固体スラグがドラムに滑り込む速さは、ドラムによって決められる。
【0013】
三.傾動装置のリセット
タンクを引っ繰り返した後、傾動装置は、リセットして、次のスラグタンクを受け、この過程で、ドラムは停止されず、連続運転状態にある。
【0014】
四.スラグ清掃機のスラグ清掃
供給シュート内に製鋼スラグが積み上げられたり接着されたりした場合、シュートの上方に設置されたスラグ清掃機のロボットハンドによって機械的な清掃を行い、供給シュートが空いているのを確保する。
【0015】
五.鋼整理機の鋼整理
ドラム内に多くの大塊の冷鋼が堆積すると、短時間で停止し、供給漏斗を含む供給シュートを退避させ、鋼整理機を起動し、鋼整理機のロボットアームとその端部の電磁石を作動させることにより、大塊の冷鋼をドラムからホッパーを介して迅速に除去する。
【0016】
従来、ドラムの後部には、貯留タンクが設けられるが、当該貯留タンクは、鋼球により冷却・破砕された製鋼スラグを収集し、掬い板により排出シュートに排出するためのものである。本開示のホッパーは、ドラム鋼球処理チャンバの前部に配置され、主に、タンクを逆さにする際に流入する大量の製鋼スラグを受け取り、高温の製鋼スラグがドラム処理チャンバおよび鋼球上に堆積する場合に爆発するのを防止するためのものであり、すなわち、本開示のホッパーは、安全と緩衝の役割を果たす。
【0017】
従来とは異なり、本開示によれば、漏斗からホッパーに入る製鋼スラグは、掻き込まれるのではなく、重力によって滑り込んだものである。
【0018】
本開示に係る多相の製鋼スラグの効率的な処理方法は、ホッパーの水平面に対する傾斜角が0~25°、好ましくは8~12°であり、且つ、ホッパーがドラムと固着し、ホッパーの容積が、スラグタンク内の全ての溶融スラグを収容し、高温の製鋼スラグがドラム処理チャンバおよび鋼球上に堆積して爆発することを回避するように、スラグタンクの容積の2~3倍になっており、ホッパーの製鋼スラグがドラムの回転に伴ってゆっくりドラム内に滑り込み、ゆっくり鋼球と接触し、鋼球によって運ばれて冷却・破砕されることを特徴とする。
【0019】
ホッパーの傾斜角度は、一般的に10°程度であるので、ホッパーからのドラムに入る製鋼スラグは、ゆっくりと滑り込み、ゆっくり鋼球と接触し、鋼球によって運ばれて冷却・破砕される。
【0020】
本開示によれば、ホッパーは、円柱または円錐形を呈し、一端が漏斗付きのシュートの下部開口端の寸法と一致し、両者によりゆるい機械的なシールが形成され、他端がドラムの処理チャンバのフランジに固着され、ドラムの軸線と同軸に形成され、傾斜角が0°~25°、好ましくは8°~12°であり、漏斗からの高温の製鋼スラグをドラムの回転に伴ってドラムの処理チャンバに漸次送り込み、ドラムの軸線が水平面に対して傾斜角を有する。
【0021】
さらに、本開示によれば、ホッパーの外周に補強リブ板が設けられ、リブ板の外側に環状の冷却用シャワー管が円周に沿って設けられ、シャワー管がホッパーの軸方向に均一に配置され、冷却用水管の外側に外ハウジングが設けられ、当該外ハウジングは、地盤に固着されて、冷却用水管のシャワー水を収集して排出し、冷却用水管は、ハウジングに固定される。
【0022】
本開示に係る多相の製鋼スラグの効率的な処理方法は、ドラムの外筒体のスラグ排出領域に、処理過程に水溜りがないことを確保するために、水車式掬いチャンバーを設置し、当該チャンバーは、外筒体の円周に沿って均一に配置され、チャンバー間の仕切板の角度は、製鋼スラグを受け入れる漏斗の開角度と一致することを特徴とする。
【0023】
本開示によれば、鋼整理機は、揺動、走行、ロボットアーム伸縮機構を備え、ロボットアームの端部に電磁石が設けられる。
【0024】
ホッパーの水平面に対する傾斜角が0~25°、好ましくは8~12°であり、且つ、ホッパーがドラムと固着し、ホッパーの容積が、スラグタンク内の全ての溶融スラグを収容し、高温の製鋼スラグがドラム処理チャンバおよび鋼球上に堆積して爆発することを回避するように、スラグタンクの容積の2~3倍になっており、ホッパーからドラムに入る製鋼スラグは、ドラムの回転に伴ってゆっくり滑り込み、ゆっくり鋼球と接触し、鋼球によって運ばれて冷却・破砕される。
【0025】
本開示に係る多相の製鋼スラグの効率的な処理方法は、ホッパーの内壁が水冷壁であり、前記水冷壁が溶融スラグに対して冷却固化の作用を有し、かつ重力と回転の協働の下で、冷却された大塊のスラグがホッパーの内壁から剥離し、ホッパーが円柱または円錐状の開口筒体であり、一端が漏斗付きのシュートの下部開口端と隙間嵌合を形成し、他端がドラムの処理チャンバーと接続し、かつドラム軸線と同軸であり、ホッパーの外周に補強リブ板が設置され、リブ板の外側に環状の冷却用シャワー管が円周に沿って設けられ、シャワー管がホッパーの軸方向に均一に配置され、冷却用水管の外側に外ハウジングが設置され、当該外ハウジングが地盤に固着されて、冷却用水管のシャワー水を収集して排出し、冷却用水管がハウジングに固定されることを特徴とする。
【0026】
好ましくは、ホッパーの内壁の水冷壁は、具体的に、ホッパーの外壁の円周に沿って環状の冷却用シャワー管が設置され、シャワー管がホッパーの軸方向に沿って均一に配置される構造となっている。
【0027】
本開示に係る多相の製鋼スラグの効率的な処理方法は、供給漏斗が鉄鋼構造のプラットフォーム上に配置され、上方開口の寸法および形状がスラグタンクの口部の寸法と一致し、下部開口端がホッパーの端部開口と隙間嵌合を形成することを特徴とする。
【0028】
本開示に係る多相の製鋼スラグの効率的な処理方法は、交換と点検を容易にするために、漏斗の上下の2部分が取外し可能に連結され、連結形式がフランジまたは差込式の構造を採用し、シュートの傾斜角が30°~70°の範囲にあり、最適値が45°~60°であることを特徴とする。
【0029】
好ましくは、ホッパーの下半部において高温スラグによる擦りを受ける部分には、水冷装置が設けられ、供給シュートは、外側面で水冷する形の水ジャケットまたはコイル構造を採用し、水冷機構によりシュート壁面の冷却を行う。
【0030】
本開示によれば、漏斗の上部の材料受入区域は、円弧による過度なラッパ構造を採用し、下部のスラグ受入区域のシュートは、水冷構造を採用し、シュートの断面は、滑らかに遷移する楕円形である。
【0031】
「下部開口端がホッパーの端部開口の寸法と一致する」とは、例えば、漏斗付きのシュートの下部開口端が円形であり、ホッパーの端部開口と隙間嵌合を形成することである。
【0032】
前記方法は、製鋼スラグのドラム処理を含み、ドラム8は、二重、マルチチャンバー構造となっており、その内に、鋼球やプロセス冷却水などの複数の冷却媒体を有し、その中に入った高温の製鋼スラグに対してボール冷却、破砕、スプレー冷却、水浸冷却を順次行うことができ、冷却・破砕された尾鉱は、筒体の回転に伴ってバッチ式にドラムから導出され、後続の搬送装置に入る。
【0033】
本開示に係る多相の製鋼スラグの効率的な処理装置は、製鋼スラグ供給装置-製鋼スラグを処理するドラム-排ガスの排出・浄化装置-冷却水の循環装置および冷鋼整理装置をこの順に有し、
製鋼スラグ供給装置は、スラグタンク傾動装置と、その前側の水冷式の供給シュートとを含み、前記スラグタンク傾動機構は、スラグタンク口の供給シュートからの水平位置を調整するように、油圧機構により駆動されて水平軌道に沿って進退することができ、
前記スラグタンク傾動機構は、油圧駆動により0~180度の角度で回転可能な2つのタンクアームを有し、スラグタンク内の溶融スラグを制御可能に傾斜または引っ繰り返して排出するように、スラグタンクを持ち上げてその回転を制御し、
水冷式の供給シュートとドラムとの間にホッパーが設置され、
前記ホッパーは、円柱または円錐状の開口筒体であり、一端が漏斗付きのシュートの下部開口端と隙間嵌合を形成し、他端がドラムの処理チャンバーと接続し、かつドラム軸線と同軸であり、ホッパーの外周に補強リブ板が設置され、リブ板の外側に環状の冷却用シャワー管が円周に沿って設けられ、シャワー管がホッパーの軸方向に均一に配置され、冷却用水管の外側に外ハウジングが設置され、当該外ハウジングが地盤に固着されて、冷却用水管のシャワー水を収集して排出し、冷却用水管は、ハウジングに固定される。
【0034】
本開示に係る多相の製鋼スラグの処理装置は、前記水冷式の供給シュートは、上が大きくて下が小さく、上方開口の寸法および形状がスラグタンクの口部の寸法と一致し、下部開口端がホッパーの入口端部と隙間嵌合を形成することを特徴とする。
【0035】
本開示に係る多相の製鋼スラグの処理装置は、ドラムの軸線が水平面に対して傾斜夾角Bを有し、傾斜夾角Bの範囲が0°~25°であり、最適値が5°~15°であることを特徴とする。
【0036】
本開示に係る多相の製鋼スラグの処理装置は、ホッパーとドラムとの結合部位がフランジ構造であり、ボルトとピンにより固着されることを特徴とする。
【0037】
本開示に係る多相の製鋼スラグの処理装置は、ドラムの外筒体のスラグ排出領域に、処理過程に水溜りがないことを確保するために、水車式水掬いチャンバーが設置され、当該チャンバーが外筒体の円周に沿って均一に配置され、チャンバー間の仕切板の角度がスラグを受け入れる漏斗の開角度と一致することを特徴とする。
【0038】
本開示に係る多相の製鋼スラグの処理装置は、ホッパーとドラムとの結合部位がフランジ構造であり、ボルトとピンにより固着されることを特徴とする。
【0039】
これにより、強固でありながら交換・点検が容易になる。
本開示によれば、ホッパーの外壁には、井桁状の補強筋板が設けされ、ホッパーの剛性および強度を高めるとともに、放熱面積を大きくする。
【0040】
本開示に係る多相の製鋼スラグ処理装置によれば、漏斗の上部の材料受入区域は、円弧による過度なラッパ構造を採用し、下部のスラグ受入区域のシュートは、水冷構造を採用し、シュートの断面は、滑らかに遷移する楕円形である。
【0041】
本開示に係る多相の製鋼スラグ処理装置は、ホッパーの水平に対する傾斜角が5~15°、好ましくは8~12°であり、且つ、ホッパーがドラムと固着し、ホッパーの容積が、スラグタンク内の全ての溶融スラグを収容するように、スラグタンクの容積の2~3倍になっていることを特徴とする。
【0042】
本開示によれば、大塊状の冷鋼をドラムからを迅速的に除去するための鋼整理機をさらに備える。
【0043】
前記方法は、製鋼スラグのドラム処理を含み、ドラムは、二重、マルチチャンバー構造となっており、その内に、鋼球やプロセス冷却水などの複数の冷却媒体を有し、その中に入った高温の製鋼スラグに対してボール冷却、破砕、スプレー冷却、水浸冷却を順次行うことができ、冷却・破砕された尾鉱は、筒体の回転に伴ってバッチ式にドラムから導出され、後続の搬送装置に入る。
【0044】
本開示によれば、上述ドラムの支持パレットは、位置決め機能を有する共通台座に配置される。
【0045】
本開示によれば、上記のドラムの冷却水循環システムは、機械側旋流井戸の形式を採用し、井戸は、円錐形であり、上部に循環水ポンプを設置し、底部にスクリュー式スラグ排出機構を設置する。
【0046】
本開示によれば、スラグタンク傾動機構の補助で、ドラムの前部と供給シュートとの間に傾斜的に設置され緩衝移行部として機能するホッパーにより、スラグ掻き装置を使用する必要がなく、各種の製鋼スラグに対する安全且つ環境保護化のドラムプロセス処理を実現することができ、処理効率が従来のドラムの倍以上である。また、ドラムの連続運転が達成されたため、ドラムの温度変動が小さく、運転寿命が長く、メンテナンスコストが低い、同時に機械的な冷鋼整理装置を装備したため、ドラムの停止時間がさらに低減され、ドラム法による製鋼スラグの処理の作業率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は、本開示に係る全量製鋼スラグの処理に好適なドラム法処理プロセスを示すフローチャートである。
図2-1】図2-1は、ホッパーの構造を示す模式図である。
図2-2】図2-2は、図2-1のD矢視図である。
図3図3は、ドラム部分の断面模式図である。
図4図4は、図3のB-B矢視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、図面と具体的な実施例に基づいて本開示をさらに説明する。
全量製鋼スラグのドラム法処理に適する多相の製鋼スラグの効率的な処理装置であって、スラグタンク傾動機構1、漏斗42が配置された供給シュート4、ホッパー7、ホッパー冷却システム、ドラム、粒子状スラグ輸送・貯蔵システム、排ガス排出・浄化システム、冷却水循環システム、スラグ清掃機6および冷鋼整理機構などを備え、いくつかのシステムは、有機的に1つの完全な製鋼スラグの全量化ドラム法処理プロセスを構成する。
【0049】
前記スラグタンク傾動機構1は、ドラム8の供給シュート4側の上方に配置されており、供給シュート4からのスラグタンク口の水平位置を調整するように、油圧機構により水平軌道に沿って進退することができる。スラグタンク傾動機構1は、スラグタンク2内の溶融スラグ3を制御可能に傾斜または引っ繰り返して排出しやすくなるように、スラグタンク2を持ち上げてスラグタンク2の回転を制御して0~180度だけ回転させることができる、油圧で回転駆動される2つのタンクアームを有している。
【0050】
ドラム8には、ガス収集フード16、前支持パレット装置12、後支持パレット装置15、伝動機構14、位置決め機能を有する共通台座13などの機構および部品が設けられている。ドラム8の軸線が水平面に対して傾斜夾角Bを有し、傾斜夾角Bの範囲が0°~25°であり、最適値が5°~15°である。
【0051】
前記供給シュート4は、鉄鋼構造のプラットフォーム5上に配置され、製鋼スラグを受ける衝撃力を地盤に直接伝達できる。供給シュート4は、直通式キャビティ構造であり、上が大きくて下が小さく、上方開口の寸法および形状がスラグタンクの口部の寸法と一致し、供給シュート4の下部開口端41の寸法がホッパー7の端部開口と一致し、両者が緩いすきまばめを形成する。図1に示すように、下部開口端41がホッパー7の左端内に挿入され、スラグ漏れを効果的に防止する。供給シュート4は、外側面で水冷する形の水ジャケットまたはコイル構造を採用し、水冷機構10によりシュート壁面の冷却を行う。供給シュート4の側壁の水平傾斜角Aは、30°~70°の範囲にあり、最適値は、45°~60°である。
【0052】
前記ホッパー7は、円柱形または円錐形の開口筒体であり、単層または多層の複合構造である。ホッパー7は、一端が供給シュート4の下方開口の寸法と一致し、両者が緩いすきまばめを形成し、供給シュート4から送られてきた高温の製鋼スラグを受けるようになっており、他端がドラム8と固着して同軸であり、ドラムの回転に伴って高温の製鋼スラグをドラム8の処理チャンバ内に順次送り込むようになっている。ホッパー7の内壁は、滑らかな円柱または円錐構造であり、ドラム8との接合部がフランジ構造であり、ボルトとピンにより締結され、強固でありながら交換・点検が容易である。また、ホッパー7の外壁には、井桁状の補強リブ板が設けられており、ホッパーの剛性や強度を増すとともに放熱面積を大きくしている。
【0053】
前記ドラム8は、二重、マルチチャンバー構造となっており、その内に、鋼球やプロセス冷却水などの複数の冷却媒体を有し、その中に入った高温の製鋼スラグに対してボール冷却、破砕、スプレー冷却、水浸冷却を順次行うことができ、冷却・破砕された尾鉱は、筒体の回転に伴ってバッチ式にドラムから導出され、後続の搬送装置に入る。
【0054】
前記前支持パレット装置12は、2組のパレットとパレットホルダからなり、八字状をなしてドラム8の前端のバッキングリングと係合する。前記後支持パレット装置15は、2組のパレットとパレットホルダからなり、八字状をなしてドラム8の後端のバッキングリングに係合する。前支持パレット装置12および後支持パレット装置15は、共同作用して、支持ドラム8およびホッパー7を軸線に沿って自在に回転させる。前支持パレット装置12および後支持パレット装置15は、共通台座13上に配置されており、位置決め装置によって固定されるとともに、筒体軸線角度Bが正確で且つ各組のパレットが対応するバッキングリングと密接に係合することを確保するように、実際の需要に応じて必要な調整を行うことが可能である。
【0055】
前記位置決め機能を有する共通台座13は、前支持パレット装置12および後支持パレット装置15が面一で且つ支持面が地盤沈下によって傾斜しないことを確保するように、一定の剛性および強度を有する一体的な鋼構造のプラットフォームになっている。共通台座13には、支持パレット装置の位置決め装置が設けられ、前支持パレット装置12および後支持パレット装置15の調整や位置決めを容易に行うことができる。
【0056】
前記伝動機構14は、主に駆動モータ、カップリング、減速機、カルダン軸、小セレーション軸、大リングギヤ、およびベースから構成され、小セレーション軸が、ドラグ機構を介してドラムの大リングギヤに柔軟に懸架され、カルダン軸および小セレーション軸の懸架機構によりドラムの柔軟な伝動が実現され、小セレーション軸と大リングギヤとの良好な噛み合いを確保するとともに、ドラムの振動による歯面の損傷を回避する。
【0057】
前記粒子状スラグ輸送・貯蔵システムは、主にユニットコンベア21、第1振動スクリーン22、製鋼スラグトロリー23、バケットエレベータ24、第2振動スクリーン25、除鉄器26、仮置きスラグバンカー27、仮置き製鋼スラグバンカー28、輸送トラック29などから構成されている。ユニットコンベア21は、エプロンコンベヤとスクレーパコンベヤとを組み合わせて構成され、上部のエプロンコンベヤは、ほとんどの粒子状スラグの搬送を担い、下部のスクレーパコンベヤは、エプロンコンベヤの隙間から逃げる細い粒子状スラグの搬送を担い、両者は、一緒に固着され、ハウジング内に密封され、簡潔で清潔なものとなる。第1振動スクリーン22は、大粒子の製鋼スラグを分離して、製鋼スラグトロリー23で運び去り、資源化効率を高め、大粒子の製鋼スラグの後続設備への衝撃、目詰まりを回避し、また、初歩的に篩分けされたスラグを比較的均一にバケットエレベータ24に送ることができる。第2振動スクリーン25と除鉄器26は、スラグの篩分けおよびスラグと鉄の分離作用を担い、オンライン式で製鋼スラグを磁選、篩い分けして、対応する仮置きスラグバンカー27と仮置き製鋼スラグバンカー28にそれぞれ送る。仮置きスラグバンカー27内の製品尾鉱と仮置き製鋼スラグバンカー28内の製鋼スラグは、定時の排出により、輸送トラック29により直接的にユーザーに送られ、スラグの着地しない環境保護化、資源化処理が図られる。
【0058】
前記排ガス排出・浄化システムは、ガス収集フード16、除塵塔17、排ガス浄化装置18、ファン19および煙突20のいくつかの部分から構成されている。ガス収集フード16は、ドラム8の尾部に位置し、高温の製鋼スラグのドラム法処理において発生する粉塵および水蒸気を含む排ガスを収集する役割を果たし、除塵塔17と排ガス浄化装置18は、排ガスの除塵浄化および消色処理を担っており、浄化処理された排ガスは、ファン19によって吸引、加圧され、煙突20から基準を達成して排出される。
【0059】
前記冷却水循環システムは、機械側旋流井戸30、スクリュー式スラグ排出機構31、循環水ポンプ32および対応する配管、表示計器、流量制御弁からなる。機械側旋流井戸30は、円錐形であり、上部に循環水ポンプ32が設置され、底部にスクリュー式スラグ排出機構31が設置されている。ドラム8や排ガス浄化装置18から溢流した汚水は、全て機械側旋流井戸30に合流し、簡単な沈殿浄化を行った後、循環水ポンプ32により再びドラム8や排ガス浄化装置18にポンプされて循環使用される。循環水ポンプ32は、ドラム8および排ガス浄化装置18への給水を司るだけでなく、循環水の一部を供給して旋流井戸の旋流攪拌を行い、井戸の壁面へのスラッジの沈殿、スケール付着を防止する。旋流井戸30の底部に沈んだスラッジは、井戸の底部に設けられたスクリュー式スラグ排出機構31により連続的に排出され、循環水システムでのスラッジのバランスを図っている。蒸発した冷却水は、配管で補給され、排ガス浄化装置18から本装置の冷却水循環システムに入り、水のバランスが図られる。
【0060】
前記スラグ清掃機6は、清掃頭、清掃ロッドおよび油圧駆動機構からなる。清掃頭は、円錐形であり、尾部が、フランジ、ネジ、または係合口によって清掃ロッドに結合されて、交換を容易にする。清掃ロッドは、油圧駆動機構により上下方向の伸縮、前後方向の揺動、左右方向の移動を柔軟に行い、供給シュート4の側壁を清掃する。
【0061】
前記冷鋼整理機構は、油圧制御式の鋼整理機9と、冷鋼を装填する冷鋼トロリー11とを備え、冷鋼整理機は、伸縮アーム、ベース、電磁石および対応する電気制御システムからなる。伸縮アームは、ベースに設置され、油圧制御システムにより前後に伸縮、上下、左右に揺動可能であり、端部の電磁石を駆動してドラム内の大塊状の冷鋼を冷鋼トロリー11内に搬送し、遠隔制御によりドラム内の冷鋼を機械的に整理する機能を実現する。
【0062】
実施例1:
宝鋼のある製鋼所での300トンの転炉製鋼プロセスは、出鋼後にスラグコーティング措置を用いて炉の内張りの寿命を延長し、スラグの排出温度が低く、流動性が悪くて、流動性がない場合さえある。炉ごとに30トン程度のスラグを排出し、溶融スラグは、33mのスラグタンクで輸送する。
【0063】
上記のような多相の製鋼スラグの効率的な処理装置を用いることで、スラグタンク2がスラグ処理工場に到着した後、走行クレインによりスラグタンク2を傾動機構1上まで吊り上げ、傾動機構によりスラグタンク2を強固に抱き締めて傾動台に固定し、適宜な位置まで前後移動させ、スラグタンクの傾動によるスラグ供給作業に備える。
【0064】
スラグタンク傾動機構1によりスラグタンク2を徐々に傾斜させ、流動性を少し有する製鋼スラグを供給シュート4を介して緩衝移行部としてのホッパー7に供給し、ドラムの回転に伴ってホッパー7を介して製鋼スラグがドラム8内に流入する。
【0065】
ホッパーは、水平面に対する傾斜角が0~25°、好ましくは8~12°である。また、ホッパーは、ドラムと固着し、その容積は、スラグタンク内の全ての溶融スラグを収容し、高温の製鋼スラグがドラム処理チャンバおよび鋼球の上に堆積して爆発することを回避するように、スラグタンクの容積の2~3倍となっている。ホッパーからドラムに入る製鋼スラグは、ドラムの回転に伴ってゆっくり滑り込み、ゆっくり鋼球と接触し、鋼球によって運ばれて冷却・破砕される。
【0066】
スラグタンク2を傾き続け、スラグタンクの傾斜角を150°以上に徐々に増加させると、スラグタンク内に残存する流動性を有しない製鋼スラグ(高粘度のスラグおよびタンク底のスラグ)は、スラグタンク内からブロックごとに、ひいては全体的に脱落し、供給シュート4に突入してホッパー7に滑落するので、スラグ掻き装置を使用する必要がない。スラグタンクの反転が完了すると、スラグタンク傾動機構1がリセットされ、スラグタンク2は、タンク口を上方に向けた水平なフリー状態に戻り、走行クレインにより吊り上げ、再びスラグ受けの循環状態となる。供給シュート4は、タンクを逆さにしてスラグを出す瞬間に大きな衝撃力を受けるが、この衝撃力は、供給シュートを支持する固定ブラケット5を介して地盤に直接リリースされる。
【0067】
ホッパー7に引っ繰り返して供給された製鋼スラグ(供給シュート4の下部に少量ある可能性がある。)は、ドラム8の回転と重力により下方へ絶えず下降移動し、ドラム8内に順次進入してその中の鋼球により急冷・破砕されるとともに、冷却水によりシャワーされて浸され、要求に合った低温の(100℃より低い)粒子状スラグとして筒体から排出される。
【0068】
ドラム8から排出された粒子状スラグは、ユニットコンベヤ21により第1振動スクリーン22上に引き上げられ、粒度の大きい(例えば50mmより大きい)製鋼スラグは、選別されて下方の製鋼スラグトロリー23に送られ、残りの製鋼スラグは、バケットエレベータ24のホッパーに均一に送られる。第1振動スクリーン22で選別された部分の製鋼スラグの品位(金属純度)は、90%以上で、製鋼スラグ総量の約3%程度を占め、そのまま製鋼プロセスに戻って再利用される。
【0069】
バケットエレベータ24により引き上げられた製鋼スラグが、第2振動スクリーン25のスクリーン上に入り、その上に設置された除鉄器26により磁気選別処理され、製鋼スラグのうちの粒子鋼および少量の磁性スラグが、分離されて下方の仮置き製鋼スラグバンカー28に送られ、残りの製鋼スラグが、第2振動スクリーン25により篩い分けられて対応する仮置きスラグバンカー27に送られる。仮置き製鋼スラグバンカー28および仮置きスラグバンカー27内の材料は、所定のタイミングで輸送トラック29によってユーザーまで送られ、製鋼スラグの資源化利用が図られる。
【0070】
タンクを逆さにしてから10~15分後に、ドラム内の製鋼スラグは、全て処理され、後続の設備を経て仮置きバンカーに入り、1缶の製鋼スラグは、1台のドラムで全て処理される。ドラムは、次の缶の製鋼スラグの処理を開始し、上記の処理工程を繰り返す。
【0071】
ドラム内の冷鋼を整理する場合に、ドラム8の運転を停止し、供給シュート4を取り出し、リモコンで鋼整理機9を操作し、伸縮アームにより電磁石をホッパー7のチャンバ内からドラム8内に挿入し、大塊の冷鋼を1個ずつ冷鋼トロリー11に移す。鋼球表面の冷鋼整理が完了すると、整理機の伸縮アームを退避させ、ドラムを低速で3~5周回転させて、鋼球の内部に埋め込まれる大塊の冷鋼を露出させ、鋼整理機9を引き続き操作して、これらの大塊の冷鋼を整理する。何度か繰り返すことで、ドラム8内の大塊の冷鋼をほぼ全て整理することができる。この方法を用いることで、2時間以内に15トンの大塊の冷鋼を整理することができ、この部分の冷鋼の品位は、95%以上であり、そのまま転炉に戻して利用される。
【0072】
本開示の製鋼スラグ処理のドラム法処理プロセスおよび処理装置は、ドラム法製鋼スラグ処理の補助供給システム、ドラム本体プロセス構造、製品スラグの輸送・貯蔵システム、排ガス浄化・排出システム、水循環システムおよび大塊の冷鋼の機械的な整理システムを含み、1つの完全なドラム法製鋼スラグ(流動性の良い製鋼スラグと流動性を持たない固体製鋼スラグ、例えばタンク底のスラグなどを含む。)処理プロセスを構成し、いくつかのシステムが協力して作業し、製鋼スラグの全量化の制御可能なスラグ供給、ドラムの安全粒化、スラグの着地しない輸送・貯蔵、排ガスの基準達成・排出、汚水の循環利用、大塊の冷鋼の機械的な整理を実現する。赤熱の高温製鋼スラグのドラムへの傾斜排出/引っ繰り返し供給からスラグおよび鋼の分離、ないし常温の粒子状スラグのホッパーへの進入と仮貯蔵までの処理サイクルの全体は、5分を超えず、製鋼スラグ鋼および製品スラグは、オンラインでの分離、選別により直接的にユーザーへ送られて資源化利用されることができ、排ガスが基準に達して排出され、冷却水が循環利用されてゼロ排出が達成されるので、溶融スラグの全量化、短プロセス、安全、環境保護、資源化処理が真に達成される。
【0073】
本開示によれば、前記処理方法および処理装置は、製鋼スラグ処理の全量化、連続化、効率化および自動化の目標を実現し、流動性の良い高温の溶融スラグを処理することができ、スラグタンクの壁に接着された高粘度のスラグと流動性を持たない固体スラグ、特に大塊状のタンク底のスラグを安全に処理することもでき、同時に自動化の操作要求を満たし、人工作業による安全性の懸念とミスを減少させる。
【0074】
本開示によれば、スラグタンク傾動機構の補助で、ドラムの前部と供給シュート4との間に傾斜的に設置され緩衝移行部として機能するホッパーにより、スラグ掻き装置を使用する必要がなく、各種の製鋼スラグに対する安全且つ環境保護化のドラムプロセス処理を実現することができ、処理効率が従来のドラムの倍以上にある。ドラムの連続運転が達成されたため、ドラムの温度変動が小さく、運転寿命が長く、メンテナンスコストが低い、同時に機械的な冷鋼整理装置を装備したため、ドラムの停止時間がさらに低減され、ドラム法による製鋼スラグの処理の作業率が向上する。
【符号の説明】
【0075】
1 スラグタンク傾動機構、2 スラグタンク、3 製鋼スラグ(溶融スラグおよび固体製鋼スラグ)、4 供給シュート、5 供給シュート固定ブラケット、6 スラグ清掃機、7 ホッパー、7-1 補強装置、7-2 連結フランジ、7-3 締結孔、8 ドラム、8-1 ひご、8-2 鋼球、8-3 水車式水掬いチャンバーの仕切板、8-4 支持板、8-5 排出シュート、8-6 水車式抄水チャンバー、9 鋼整理機、10 供給シュート水冷機構、11 冷鋼トロリー、12 前支持パレット装置、13 位置決め機能を有する共通台座、14 伝動機構、15 後支持パレット装置、16 ガス収集フード、17 除塵塔、18 排ガス浄化装置、19 ファン、20 煙突、21 ユニットコンベヤ、22 第一振動スクリーン、23 製鋼スラグトロリー、24 バケットエレベータ、25 第2振動スクリーン、26 除鉄器、27 仮置きスラグバンカー、28 仮置き製鋼スラグバンカー、29 輸送トラック、30 機械側旋流井戸、31 スクリュー式スラグ排出機構、32 循環水ポンプ、33 ホッパーシャワー冷却機構、34 冷却水収集装置。
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4