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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】パワー半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240502BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20240502BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022572635
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 CN2021080899
(87)【国際公開番号】W WO2021248954
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】202010535948.2
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】320003600
【氏名又は名称】無錫利普思半導体有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【弁理士】
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】梁 小广
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/079600(WO,A1)
【文献】特開平03-096257(JP,A)
【文献】特開平09-286845(JP,A)
【文献】特開2010-050395(JP,A)
【文献】特開2003-051560(JP,A)
【文献】特開2008-294362(JP,A)
【文献】特開2019-054146(JP,A)
【文献】特開2019-220648(JP,A)
【文献】国際公開第2015/111691(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/00 -25/16
H10B 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属底板(1)と、絶縁放熱材料層(2)と、チップ(3)と、バンド板(4)と、シリカゲル(5)と、ケース(6)とを含み、
前記バンド板(4)は、孔が形成されていない一つの銅板(7)と、底面視において前記銅板(7)と完全に重なるように溶接により前記銅板(7)に接続された複数の銅帯(8)とを含み、
前記バンド板(4)は、各部品の回路に接続されるために用いられ、
前記金属底板(1)は、半田により前記絶縁放熱材料層(2)に接続され、
前記チップ(3)は、半田により前記絶縁放熱材料層(2)に接続され、
一部の前記銅帯(8)は、前記チップ(3)と一つの前記銅板(7)とを接続し、他部の前記銅帯(8)は、一つの前記銅板(7)と前記絶縁放熱材料層(2)とを接続し、
一つの前記銅板(7)は、前記ケース(6)と接触しないように、複数の前記銅帯(8)を介して前記絶縁放熱材料層(2)及び前記チップ(3)のみに支持されている、
パワー半導体モジュール。
【請求項2】
前記ケース(6)は、前記金属底板(1)にディスペンスプロセスにより接続される、
請求項1に記載のパワー半導体モジュール。
【請求項3】
前記シリカゲル(5)は、前記ケース(6)内に充填され、防腐性と防潮性があり、内部回路を保護し、内部の各部品を高圧で遮断する、
請求項1に記載のパワー半導体モジュール。
【請求項4】
前記銅板(7)は、レーザ溶接、超音波溶接により前記銅帯(8)に接続される、
請求項1に記載のパワー半導体モジュール。
【請求項5】
前記チップ(3)は、溶接又は焼結により前記銅帯(8)に接続され、
前記銅帯(8)は、溶接又は焼結により前記絶縁放熱材料層(2)に接続される、
請求項4に記載のパワー半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワー半導体モジュールのパッケージの技術分野に関し、具体的にはパワー半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電源、電力電子変換器の用途では、パワー半導体(IGBT、MOSFET、SiC、GaNなど)デバイスが広く採用されており、パワーが比較的に大きい場合、モジュールのパッケージ形式が一般的に使用される。図2図3に示すように、パワーモジュールは、主に金属底板、溶接層、DBC(両面銅被覆セラミックス基板)、AMB(箔がろう付けされた銅被覆セラミックス基板)、絶縁放熱樹脂薄膜又はその他の絶縁放熱材料、銅枠、ケース及びシリカゲルなどからなる。銅の導電能力が高いことで、導通抵抗と寄生インダクタンスを減少させることができ、また、銅枠は、チップとの接触面積が大きく、そして熱膨張係数が16.9×10-6/Kであり、アルミニウム(熱膨張係数が23×10-6/Kである)よりもはるかに低く、チップ(熱膨張係数が2×10-6/K~4×10-6/Kである)により近く、このように、パワーサイクル寿命を伸ばすことができる。銅枠による結合の方式は、一連の欠点があり、第1に、銅枠は、一般的に、専用金型を使用してプレス製造され、コストが高い。第2に、導通抵抗を小さくするためには、比較的に厚い銅枠を使用しなければならないが、比較的に厚い銅枠のチップとの接触面が冷たさや熱さにより変化すると、チップに比較的に大きい機械的応力をもたらし、深刻な場合、チップの破裂損傷を引き起こす可能性がある。第3に、複数のチップがDBC又は他の絶縁放熱材料に接続されると、各チップがある位置には偏差が生じる可能性があるが、銅枠は加工されると各接触面の位置を調整できず、加工時に位置ずれが生じ、不良品をもたらす可能性があり、不良を減らすために正確なチップと枠の位置決めプロセスが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来技術に存在する、比較的に厚い銅枠がパワー半導体モジュールのパッケージに応用され、冷たさや熱さにより変化すると、チップに与える機械的応力の問題を解決するためのパワー半導体モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記技術課題を解決するために、本発明は、金属底板と、絶縁放熱材料層と、チップと、バンド板と、シリカゲルと、ケースとを含むパワー半導体モジュールを提供し、前記バンド板は、銅板と、銅帯とを含み、前記銅板は、溶接により銅帯に接続され、前記バンド板は、各部品の回路に接続されるために用いられ、前記金属底板は、半田により絶縁放熱材料層に接続され、前記チップは、半田により絶縁放熱材料層に接続され、前記チップは、銅帯に接続され、前記銅帯は、絶縁放熱材料層に接続される。
【0005】
前記ケースは、金属底板にディスペンスプロセスにより接続される。
【0006】
前記シリカゲルは、ケース内に充填され、防腐性と防潮性があり、内部回路を保護し、内部の各部品を高圧で遮断する。
【0007】
前記銅板は、レーザ溶接、超音波溶接により銅帯に接続される。
【0008】
前記チップは、溶接又は焼結により銅帯に接続され、前記銅帯は、溶接又は焼結により絶縁放熱材料層に接続される。
【発明の効果】
【0009】
本発明による有益な効果は、以下のとおりである。第1に、従来技術と比較すると、本発明のパワー半導体モジュールでは、チップと接触する銅帯が冷たさや熱さにより変化しても、チップに与える機械的応力が小さく、チップの破裂損傷を引き起こすことなく、回路の大部分の電流が比較的に厚い銅板を流れ、導通抵抗を大幅に減少させ、寄生インダクタンスも低減させる。第2に、チップの偏差位置に基づいて、銅帯の位置を調節することで、チップの位置偏差を補償することができ、位置決め技術に対する要求を低減し、加工プロセスを簡略化するとともに、製品生産の良率を高めることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施例によるパワー半導体モジュールの全体構造概略図である。
図2図2は、銅枠を使用するパワー半導体モジュールの全体構造概略図である。
図3図3は、銅枠を使用するパワー半導体モジュールの概略図である。
図4図4は、本発明の実施例によるパワー半導体モジュールの部分構造概略図のその一である。
図5図5は、本発明の実施例によるバンド板の構造概略図のその一である。
図6図6は、本発明の実施例によるバンド板の構造概略図のその二である。
図7図7は、本発明の実施例によるパワー半導体モジュールの部分構造概略図のその二である。
図8図8は、本発明の実施例4によるパワー半導体モジュールの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の目的、技術案と利点をより明確にするために、以下に添付図面及び具体的な実施例を結び付けながら、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0012】
実施例1
図1図4図5に示すように、本発明は、金属底板1と絶縁放熱材料層2とチップ3とバンド板4とシリカゲル5とケース6とを含むパワー半導体モジュールを提供し、前記バンド板4は、銅板7と、銅帯8とを含み、前記銅板7は、溶接により銅帯8に接続され、前記バンド板4は、各部品の回路に接続されるために用いられ、前記金属底板1は、半田により絶縁放熱材料層2に接続され、前記チップ3は、半田により絶縁放熱材料層2に接続され、前記チップ3は、銅帯8に接続され、前記銅帯8は、絶縁放熱材料層2に接続される。
【0013】
さらに、前記ケース6は、金属底板1にディスペンスプロセスにより接続される。
【0014】
さらに、前記シリカゲル5は、ケース6内に充填され、防腐性と防潮性があり、内部回路を保護し、内部の各部品を高圧で遮断する。
【0015】
さらに、前記銅板7は、レーザ溶接、超音波溶接により銅帯8に接続される。
【0016】
さらに、前記チップ3は、溶接又は焼結により銅帯8に接続され、前記銅帯8は、溶接又は焼結により絶縁放熱材料層2に接続される。
【0017】
前記銅板7の厚さは、1mm-2mmであり、前記銅帯8の厚さは、0.3mm-0.8mmである。
【0018】
実施例2
図1図6に示すように、本発明は、金属底板1と絶縁放熱材料層2とチップ3とバンド板4とシリカゲル5とケース6とを含むパワー半導体モジュールを提供し、前記バンド板4は、銅板7と、銅帯8とを含み、前記銅板7は、溶接により銅帯8に接続され、前記バンド板4は、各部品の回路に接続されるために用いられ、前記金属底板1は、半田により絶縁放熱材料層2に接続され、前記チップ3は、半田により絶縁放熱材料層2に接続され、前記チップ3は、銅帯8に接続され、前記銅帯8は、絶縁放熱材料層2に接続される。
【0019】
さらに、前記ケース6は、金属底板1にディスペンスプロセスにより接続される。
【0020】
さらに、前記シリカゲル5は、ケース6内に充填され、防腐性と防潮性があり、内部回路を保護し、内部の各部品を高圧で遮断する。
【0021】
さらに、前記銅板7は、レーザ溶接、超音波溶接により銅帯8に接続される。
【0022】
さらに、前記チップ3は、溶接又は焼結により銅帯8に接続され、前記銅帯8は、溶接又は焼結により絶縁放熱材料層2に接続される。
【0023】
前記銅板7の厚さは、1mm-2mmであり、前記銅帯8の厚さは、0.5mm-1mmである。
【0024】
前記銅帯8のチップ3と接触する面を研磨し、偏差を解消し、銅帯8とチップ3とが接触する面積を大きくする。同時に、チップ3と接触する面の銅帯8の厚さをさらに薄くすることで、銅帯8とチップ3との結合時の機械的応力を緩め、さらに信頼性を高める。
【0025】
実施例3
図1図7に示すように、本発明は、金属底板1と絶縁放熱材料層2とチップ3とバンド板4とシリカゲル5とケース6とを含むパワー半導体モジュールを提供し、前記バンド板4は、銅板7と、銅帯8とを含み、前記銅板7は、溶接により銅帯8に接続され、前記バンド板4は、各部品の回路に接続されるために用いられ、前記金属底板1は、半田により絶縁放熱材料層2に接続され、前記チップ3は、半田により絶縁放熱材料層2に接続され、前記チップ3は、銅帯8に接続され、前記銅帯8は、絶縁放熱材料層2に接続される。
【0026】
さらに、前記ケース6は、金属底板1にディスペンスプロセスにより接続される。
【0027】
さらに、前記シリカゲル5は、ケース6内に充填され、防腐性と防潮性があり、内部回路を保護し、内部の各部品を高圧で遮断する。
【0028】
さらに、前記銅板7は、レーザ溶接、超音波溶接により銅帯8に接続される。
【0029】
さらに、前記チップ3は、溶接又は焼結により銅帯8に接続され、前記銅帯8は、溶接又は焼結により絶縁放熱材料層2に接続される。
【0030】
前記銅板7の厚さは、1mm-2mmであり、前記銅帯8の厚さは、0.3mm-0.8mmである。
【0031】
前記銅板7を主電極端子と一体構造に形成する。
【0032】
図4において、銅板7と、外部回路に接続されるための電極端子とは、別々の構造であり、このような構造は、さらなる抵抗と寄生インダクタンスをもたらす。本実施例において、銅板7を主電極端子と一体構造に形成することにより、さらに抵抗と寄生インダクタンスを減少させる。
【0033】
実施例4
図8に示すように、本発明は、金属底板1と絶縁放熱材料層2とチップ3とバンド板4とを含むパワー半導体モジュールを提供し、前記バンド板4は、銅板7と、銅帯8とを含み、前記銅板7は、溶接により銅帯8に接続され、前記バンド板4は、各部品の回路に接続されるために用いられ、前記金属底板1は、半田により絶縁放熱材料層2に接続され、前記チップ3は、半田により絶縁放熱材料層2に接続され、前記チップ3は、銅帯8に接続され、前記銅帯8は、絶縁放熱材料層2に接続される。
【0034】
さらに、前記銅板7は、レーザ溶接、超音波溶接により銅帯8に接続される。
【0035】
さらに、前記チップ3は、溶接又は焼結により銅帯8に接続され、前記銅帯8は、溶接又は焼結により絶縁放熱材料層2に接続される。
【0036】
前記銅板7の厚さは、1mm-2mmであり、前記銅帯8の厚さは、0.3mm-0.8mmである。
【0037】
半導体モジュールのパッケージ形態として樹脂材料の封止方式を採用し、外形及びパラメータ設計の必要に応じて、専用の金型を使用して、樹脂をその中に注入し、半導体モジュールのチップ3と、絶縁放熱材料層2と、バンド板4とをパッケージして固定し、即ち図1における5と6の代わりに、一体化された樹脂材料を使用し、この一体化封止方法は、シリカゲルとケースを省き、生産工程を簡略化し、生産効率がより高く、製品信頼性がより良い。
【0038】
以上のように、第1に、本発明のパワー半導体モジュールでは、チップと接触する銅帯が冷たさや熱さにより変化すると、チップにもたらす機械的応力が小さく、チップの破裂損傷を引き起こすことがなく、回路の大部分の電流が比較的に厚い銅板を流れ、導通抵抗を大幅に減少させ、寄生インダクタンスも低減させる。第2に、チップの偏差位置に基づいて、銅帯の位置を調節することで、チップの位置偏差を補償することができ、位置決め技術に対する要求を低減し、加工プロセスを簡略化するとともに、製品生産の良率を高めることを意味する。
【0039】
以上説明したのは本発明の実施例にすぎず、本発明を限定するためには使用されず、当業者にとって、本発明は、種々の修正及び変更が可能である。本発明の精神と原理の範囲内において行ったいかなる修正、等価置換や改良などは、本発明の特許請求の範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0040】
1 金属底板
2 絶縁放熱材料層
3 チップ
4 バンド板
5 シリカゲル
6 ケース
7 銅板
8 銅帯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8