(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】プリント回路基板及び該プリント回路基板を備える電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
H05K1/02 C
(21)【出願番号】P 2022579877
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(86)【国際出願番号】 CN2021097790
(87)【国際公開番号】W WO2021259021
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】202010595816.9
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】謝 智 芬
(72)【発明者】
【氏名】李 琴
(72)【発明者】
【氏名】于 海 丹
(72)【発明者】
【氏名】張 健
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110730558(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110087383(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続フットプリントが設けられた基板と、
前記接続フットプリントに設けられ、第1信号孔と第2信号孔を含み、信号孔
の物理的配置が行列的であるように形成する少なくとも2つの差動信号孔ペアと、
前記接続フットプリントに設けられ、前記少なくとも2つの差動信号孔ペアと互いに間隔を空けて設けられ、第1接続孔と第2接続孔を含む少なくとも2つの第1接続孔群と、を含み、
各前記差動信号孔ペアの前記第1信号孔と前記第2信号孔との間の結び線と、各前記第1接続孔群の前記第1接続孔と前記第2接続孔との間の結び線が鋭角をなすプリント回路基板。
【請求項2】
前記差動信号孔ペアとその両側に隣り合う前記第1接続孔群とは信号孔群を形成し、前記接続フットプリントは複数の前記信号孔群を含み、2つの隣り合う前記信号孔群は1つの前記第1接続孔群を共用する請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項3】
前記基板に複数の前記接続フットプリントが設けられ、2つの隣り合う前記接続フットプリントのうち前記差動信号孔ペアの位置が対応して配置される請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項4】
複数の第3接続孔をさらに含み、前記複数の第3接続孔は第2接続孔群として配列され、前記接続フットプリントの両側のいずれにも前記第2接続孔群が設けられる請求項3に記載のプリント回路基板。
【請求項5】
2つの隣り合う前記接続フットプリントは同一の前記第2接続孔群を共用する請求項4に記載のプリント回路基板。
【請求項6】
各前記第1接続孔群の前記第1接続孔と前記第2接続孔との間
の結び線に第4接続孔が設けられる請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項7】
前記鋭角は0度よりも大きく45度よりも小さい請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項8】
前記差動信号孔ペアに電気的に接続された信号トレースをさらに含み、隣り合う前記差動信号孔ペアと前記第1接続孔群との間に配線領域が形成され、前記信号トレースは前記配線領域から前記差動信号孔ペアに延在している請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項9】
前記信号トレースは2つの隣り合う前記接続フットプリントの間から前記基板の縁部に延在している請求項8に記載のプリント回路基板。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のプリント回路基板を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は出願番号が202010595816.9、出願日が2020年6月24日の中国特許出願に基づいて提出されており、当該中国特許出願の優先権を主張しており、当該中国特許出願の全内容は参照として本願に組み込まれている。
【0002】
本願の実施例は電子の技術分野に関するが、これに限定されず、特にプリント回路基板及び該プリント回路基板を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
高速伝送電気コネクタは、通常、通信装置、ネットワーク、サーバ、データ記憶などのシステムで使用されている。一般に、上記システムをプリント回路基板(PCB)のような電子部品に製造することは、より容易であり、より費用対効果が高い。上記の別個の電子部品では、2つのプリント回路基板が電気コネクタによって相互接続され得る。いくつかのプリント基板を接続するための既存の手段の1つは、1つのプリント基板をバックプレーンとして使用し、他のプリント基板(マザーボード又はドーターカードと呼ばれる)をバックプレーンを介して接続することであり、もう1つの既存の手段は、バックプレーンを介することなく、2つのプリント回路基板を直交コネクタを介して接続することである。
【0004】
データ伝送帯域幅に対する需要の高まりに伴い、コネクタの端子の密度に対する要求がより高くなり、機能がより複雑になっている。現在の市場で広く応用されている高速伝送電子コネクタとPCBの接続方式は圧入式の実装プロセスを使用しており、導電トレース又は接地/電源層への電気的接続を図るために、このプロセスでは、PCBの上に孔を開ける必要があり、コネクタの圧入式コンタクトはPCBの孔に締まり嵌めによって接続され、PCBは信号ビアと接地ビアを含む。これらの孔(「ビア」とも呼ばれる)は金属で充填されるか、又は電気メッキされ、これにより、ビアはそれが貫通する1つ又は複数の層又は導電性電気トレースを介してそれらに電気的に接続される。
【0005】
システムの相互接続において、電気コネクタシステムの電気的性能は部分的にプリント回路基板の電気コネクタの接続フットプリント(このプリント回路基板に含まれる導電トレース、接地面、及びビアの構造を含む)に依存する。特に高速・高密度電気コネクタとこれらが回路基板に実装されたフットプリントに対しては、PCBのレイアウトと設計は複雑である。
【0006】
現在の既存のコネクタPCBフットプリントの設計に以下の問題がよくある。1つは配線空間が限られて、信号孔の配線に差動配線の方式を採用するのが難しく、1段の単端配線を行ってから差動信号に再結合しなければならず、このように、差動対内配線の非対称性を引き起こし、それによって、挿入損失、戻り損失、SDCや時間遅延差などの指標の悪化を引き起こすことである。もう1つは、差動対内配線を等長さにするために、1本の線が大回りしてもう1本の線が小回りすることになり、外部信号線のラジアンが大きくなり、信号が外部信号線上を伝送する速度が更に速くなり、遅延時間差が大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下は本明細書で詳細に説明される主題の概要である。本概要は請求項の特許範囲を制限するものではない。
【0008】
本願の実施例はプリント回路基板及び該プリント回路基板を備える電子機器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1態様では、本願の実施例は、
接続フットプリントが設けられた基板と、
前記接続フットプリントに設けられ、第1信号孔と第2信号孔を含み、信号孔マトリックスを形成する少なくとも2つの差動信号孔ペアと、
前記接続フットプリントに設けられ、前記少なくとも2つの差動信号孔ペアと互いに間隔を空けて設けられ、第1接続孔と第2接続孔を含む少なくとも2つの第1接続孔群と、を含み、
各前記差動信号孔ペアの前記第1信号孔と前記第2信号孔との間の結び線と、各前記第1接続孔群の前記第1接続孔と前記第2接続孔との間の結び線が鋭角をなすプリント回路基板を提供する。
【0010】
第2態様では、本願の実施例は、本願の第1態様の実施例に記載のプリント回路基板を備える電子機器を提供する。
【0011】
本願の他の特徴及び利点は後述する明細書において説明され、しかも、その一部は明細書から明らかになったり、本願を実施することにより把握されたりする。本願の目的及び他の利点は明細書、特許請求の範囲及び図面に特に記載される構造により実現、取得されてもよい。
【0012】
図面は本願の技術案をさらに理解するために提供されるものであり、明細書の一部となり、本願の実施例とともに本願の技術案を解釈し、本願の技術案を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本願の実施例1によるプリント回路基板の概略図である。
【
図2】本願の実施例2によるプリント回路基板の概略図である。
【
図3】本願の実施例3によるプリント回路基板の概略図である。
【
図4】本願の実施例4によるプリント回路基板の概略図である。
【
図5】本願の実施例5によるプリント回路基板の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照して、本願についてさらに詳細に説明する。なお、ここで説明する具体的な実施例は本願を解釈するためにのみ使用され、本願を限定するものではない。
【0015】
なお、装置の概略図において機能モジュールが分割され、フローチャーにおいて論理順序が示されているが、場合によっては、装置の機能モジュール分割やフローチャーにおける順序と異なるものに従って、示される又は説明されるステップを実行してもよい。明細書、特許請求の範囲又は上記図面において「第1」、「第2」などの用語は類似の対象を区分するためのものであり、必ずしも特定の順序又は優先順位を示すわけではない。
【0020】
以下、図面を参照して、本願の実施例についてさらに説明する。
図1に示すように、
図1は本願の一実施例によるプリント回路基板の概略図である。
【0021】
図1の例では、プリント回路基板100は、基板200と、基板200上に設けられた差動信号孔ペア300及び第1接続孔群400と、を含み、基板200は1層又は複数の層の基材を有し、差動信号孔ペア300及び第1接続孔群400は少なくとも部分的に基材を貫通し、基板200に接続フットプリント210が設けられる。
【0022】
接続フットプリント210には少なくとも2つの差動信号孔ペア300が設けられ、
図1の実施例では、2つの差動信号孔ペア300が例示されており、差動信号孔ペア300は第1信号孔310と第2信号孔320を含み、2つの差動信号孔ペア300は2
×2信号孔マトリックスを形成する。
【0023】
接続フットプリント210には少なくとも2つの第1接続孔群400がさらに設けられ、
図1の実施例では、3つの第1接続孔群400が例示されており、3つの第1接続孔群400は2つの差動信号孔ペア300と互に間隔を空けて設けられ、第1接続孔群400は第1接続孔410と第2接続孔420を含む。各差動信号孔ペア300の第1信号孔310と第2信号孔320との間の結び線と、各第1接続孔群400の第1接続孔410と第2接続孔420との間の結び線とが鋭角をなす。
図1に示すように、第1信号孔310と第2信号孔320との間の第1結び線350と、各第1接続孔群400の第1接続孔410と第2接続孔420との間の第2結び線450とが鋭角をなす。
【0024】
本実施例では、第1接続孔群400と差動信号孔ペア300は互いに間隔を空けて設けられ、差動信号孔ペア300の信号孔の結び線と第1接続孔群400の接地孔の結び線とが鋭角をなし、このように、第1接続孔群400と差動信号孔ペア300は互いに傾斜して設けられ、両方の間にある配線領域は一方の側が広く他方の側が狭いものとなり、これにより、広い側に信号孔差動配線が設けられることができ、広い側には大きな配線空間があり、また、2つの信号経路の対称性がより確保されやすく、差動線の密結合が維持され、配線を等長さにするのが容易であり、遅延時間差がより確実に制御される。
【0025】
なお、第1接続孔群400は接地孔として機能してもよいし、コネクタの圧着孔として機能してもよい。
【0026】
また、第1接続孔410と第2接続孔420が互いにずれているので、第1接続孔410と第2接続孔420はより広く配置されることができ、これにより、接続フットプリント210の占有空間を増大することなく電気コネクタの設計の利便性を向上させることができる。
【0027】
一実施例では、
図1及び
図2に示すように、差動信号孔ペア300とその両側に隣り合う第1接続孔群400とは信号孔群500を形成し、接続フットプリント210は複数の信号孔群500を含み、2つの隣り合う信号孔群500は1つの第1接続孔群400を共用する。1つの信号孔群500では、差動信号孔ペア300の両側にある第1接続孔群400は差動信号孔ペア300を取り囲むことで電気シールドを行い、差動信号孔ペア300の信号が干渉を受けないようにする。2つの隣り合う信号孔群500が1つの第1接続孔群400を共用することにより、第1接続孔群400が多く設けられて、不必要な空間占有を起こすことを回避し、プリント回路基板100の空間利用率を高く確保する。
【0028】
一実施例では、
図3に示すように、基板200に複数の接続フットプリント210が設けられ、2つの隣り合う接続フットプリント210のうち差動信号孔ペア300の位置が対応して配置される。具体的には、複数の差動信号孔ペア300は水平方向に整列して信号孔行600として配置され、これに対して、複数の第1接続孔群400は水平方向に整列して接続孔行700として配置され、各信号孔行600の上下両側のいずれにも接続孔行700が設けられて、信号孔行600に対して電気シールドを行う。
【0029】
一実施例では、
図4に示すように、プリント回路基板100に複数の第3接続孔800がさらに設けられ、複数の第3接続孔800は第2接続孔群900として配列され、接続フットプリント210の両側のいずれにも第2接続孔群900が設けられる。なお、第3接続孔800は接地孔として機能してもよいし、コネクタの圧着孔として機能してもよい。第3接続孔800が接地孔として機能する場合、接続フットプリント210の両側に第2接続孔群900が設けられて、2つの隣り合う接続フットプリント210同士の信号干渉をシールドする。第3接続孔800がコネクタの圧着孔として機能する場合、コネクタ自体に対して確実なシールド効果を付与し、各列同士のクロストークを低減し、斜め対角にある信号ペア同士のクロストーク共振をなくすることができる。
【0030】
2つの隣り合う接続フットプリント210は同一の第2接続孔群900を共用する。このような構成によれば、基板200において多くの第2接続孔群900が設けられることを回避し、基板200の空間の無駄を避ける。
【0031】
一実施例では、
図5に示すように、各第1接続孔群400の第1接続孔410と第2接続孔420との間に第4接続孔430が設けられ、これによって、第1接続孔群400の電気シールド効果がさらに向上する。第4接続孔430のサイズは実際の状況に応じて設定されてもよく、例えば第1接続孔410と第2接続孔420との間の空間が小さい場合、第4接続孔430は小さく設定されてもよい。
【0032】
一実施例では、差動信号孔ペア300の信号孔の結び線と第1接続孔群400の接地孔の結び線とがなす鋭角は0度よりも大きく45度よりも小さい。鋭角が大きいほど、第1接続孔群400の第1接続孔410と第2接続孔420の位置が大きくずれるようになり、その結果として、占有空間が大きくなり、プリント回路基板100の空間利用率が低下し、プリント回路基板100の小型化に不利であり、鋭角が0度よりも大きく45度よりも小さく制限されると、配線空間を十分に提供するとともに、プリント回路基板100の空間利用率を確保する。
【0033】
一実施例では、
図5に示すように、差動信号孔ペア300に電気的に接続された信号トレース330をさらに含み、隣り合う差動信号孔ペア300と第1接続孔群400との間に配線領域340が形成され、信号トレース330は配線領域340から差動信号孔ペア300に延在している。第1接続孔群400と差動信号孔ペア300は互いに傾斜して設けられ、両方の間にある配線領域340は一方の側が広く他方の側が狭いものとなり、
図5では、配線領域340は略台形をしており、また略三角形としてもよい。理解できるものとして、信号トレース330が配線領域340の広い側から差動信号孔ペア300に延在することにより、2つの信号経路の対称性がより確保されやすく、配線を等長さにするのが容易になり、遅延時間差がより確実に制御される。
【0034】
図5に示すように、信号トレース330は2つの隣り合う接続フットプリント210の間から基板200の縁部に延在している。信号トレース330は1つの接続フットプリント210に完全に含まれてもよく、一部が1つの接続フットプリント210に含まれるとともに、残りが隣り合う接続フットプリント210に含まれてもよく、或いは、2つの隣り合う接続フットプリント210の間に隙間や空間が存在する場合、信号トレース330は当該隙間や空間に配置される。また、2つの隣り合う接続フットプリント210の間に信号トレース330と第2接続孔群900の両方が存在する場合、第2接続孔群900は信号トレース330同士の干渉をシールドするために複数組の信号トレース330の間に配置されてもよい。
【0035】
本願の別の態様の実施例はまた、上記実施例に記載のプリント回路基板を備える電子機器を提供する。該機器には、ルータ、データメモリ、サーバ、携帯電話、タブレット、携帯電話など、高速伝送を必要とする通信機器が含まれるが、これに限定されるものではない。該通信機器のプリント回路基板は接続フットプリント210を介して電気コネクタに接続され、他の電子機器とのデータ高速伝送を可能とする。
【0036】
本願の実施例による形態では、第1接続孔群と差動信号孔ペアは互いに間隔を空けて設けられ、差動信号孔ペアの信号孔の結び線と第1接続孔群の接地孔の結び線とが鋭角をなし、このように、第1接続孔群と差動信号孔ペアは互いに傾斜して設けられ、両方の間にある配線領域は一方の側が広く他方の側が狭いものとなり、これにより、広い側に信号孔差動配線が設けられることができ、このように大きな配線空間があり、また、2つの信号経路の対称性がより確保されやすく、配線を等長さにするのが容易であり、遅延時間差がより確実に制御される。
【0037】
以上は本願の実施例を具体的に説明したが、本願は上記実施形態に限定されるものではなく、当業者であれば、本願の趣旨を逸脱することなく様々な同等変形や置換を行うこともでき、これらの同等変形や置換は全て本願の特許請求の範囲により定められる範囲内に含まれるものとする。