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特許7482269金属加工流体中の添加剤としてのマレイン化大豆油誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】金属加工流体中の添加剤としてのマレイン化大豆油誘導体
(51)【国際特許分類】
   C10M 105/38 20060101AFI20240502BHJP
   C10M 173/00 20060101ALI20240502BHJP
   C10N 20/04 20060101ALN20240502BHJP
   C10N 10/02 20060101ALN20240502BHJP
   C10N 40/20 20060101ALN20240502BHJP
   C10N 40/24 20060101ALN20240502BHJP
   C10N 30/06 20060101ALN20240502BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20240502BHJP
【FI】
C10M105/38
C10M173/00
C10N20:04
C10N10:02
C10N40:20
C10N40:24 A
C10N40:24 Z
C10N30:06
C10N30:00 Z
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023015360
(22)【出願日】2023-02-03
(62)【分割の表示】P 2020531167の分割
【原出願日】2018-12-04
(65)【公開番号】P2023041916
(43)【公開日】2023-03-24
【審査請求日】2023-02-03
(31)【優先権主張番号】62/596,334
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591131338
【氏名又は名称】ザ ルブリゾル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】THE LUBRIZOL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】29400 Lakeland Boulevard, Wickliffe, Ohio 44092, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】マーク ジェイ. マクギネス
(72)【発明者】
【氏名】セオドア ハマー
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/153913(WO,A1)
【文献】特表2007-517965(JP,A)
【文献】特開昭48-059260(JP,A)
【文献】特開昭61-060793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M
C10N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマレイン化多価不飽和植物油と、直鎖もしくは分岐状C~C18アルコールである少なくとも1つのアルコール、および少なくとも350の数平均分子量(M)を有するメトキシポリエチレングリコールを含むアルコール混合物との付加物から調製された、組成物であって、ここで、前記少なくとも1つのアルコールは、少なくとも1つの直鎖もしくは分岐状C~C11オキソアルコール、直鎖もしくは分岐状C12~C14脂肪アルコール、またはそれらの組み合わせを含む疎水性アルコールではない、
組成物。
【請求項2】
前記メトキシポリエチレングリコールが、350~550の数平均分子量(M)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記モノマレイン化多価不飽和植物油が、無水マレイン酸および多価不飽和植物油を、1:<2の無水マレイン酸対多価不飽和植物油のモル比で混合することにより調製される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記モノマレイン化多価不飽和植物油対前記アルコール混合物のモル比が、2:1~1:2の範囲である、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記多価不飽和植物油が、大豆油である、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記付加物が、アルカリ金属塩基またはアミンを使用して塩化(salted)される、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記アルカリ金属塩基が、ナトリウムまたはカリウム塩基である、請求項に記載の組成物。
【請求項8】
前記アミンが、第三級アミンである、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記第三級アミンが、第三級アルカノールアミンである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記第三級アルカノールアミンが、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N-ブチルジエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジブチルエタノールアミン、またはそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記第三級アミンが、トリエタノールアミンを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の組成物を含む、水性金属加工流体。
【請求項13】
前記組成物が、前記流体の総重量に基づいて、3重量%未満の量で存在する、請求項12に記載の水性金属加工流体。
【請求項14】
前記流体が、前記流体の総重量に基づいて、少なくとも400ppmのCaCOの硬度を有する場合、前記組成物が、前記流体中に分散したままである、請求項12または13に記載の水性金属加工流体。
【請求項15】
金属構成要素を潤滑する方法であって、前記構成要素を請求項12~14のいずれかに記載の水性金属加工流体と接触させることを含む、方法。
【請求項16】
前記金属構成要素が、アルミニウムまたは鋼である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
金属加工流体の安定性および/または潤滑性を改善する方法であって、請求項1~11のいずれかに記載の組成物を前記金属加工流体に添加することを含む、方法。
【請求項18】
前記組成物が、前記金属加工流体の総重量に基づいて、3重量%未満の量で存在する、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される技術の分野は、概して、マレイン化大豆油誘導体を含む金属加工流体に関する。
【背景技術】
【0002】
金属加工流体は、油性および水性の2つの大きなカテゴリーに分類され得る。油性流体は、概して、さまざまな金属加工作業で、工作物および工具の両方に優れた潤滑および本来の腐食保護を提供する。油性流体は、いくつかの注目すべき欠点も有する。第1に、それらは「汚損」されており、つまり、それらは、工作物上にその後の洗浄作業により除去されなければならない大量の油性残留物を残す。第2に、それらは、基溶剤として、水に比べて油の本質的により高いコストに起因して、水性流体よりも著しく高価である。第3に、油性流体は、水と比較して油の熱容量および熱伝導率がより低いため、工具と工作物との境界面から熱を除去するには水性流体ほど優れていない。
【0003】
水性の金属加工流体は、補足的な一連の欠点を有し、水自体は恐ろしく潤滑性があり、多くの金属の腐食を促進し、表面張力が高いため表面を十分には濡らさず、有害な可能性のある細菌および真菌の増殖培地である。したがって、水性の金属加工流体は、これらの本来の不利益を修正するために、複雑な一連の添加剤を従来的に必要としてきた。
【0004】
業界用語では「クーラント」と呼ばれることもある水性の金属加工流体は、次の3つのカテゴリー:乳化性油(一般的に「可溶性油」とも呼ばれる)、合成、および半合成に細分類され得る。
【0005】
可溶性油は、典型的には乳白色の外観を有する、水中の油および油溶性添加剤のエマルションである。典型的な可溶性油金属加工流体は、水中に分散した約5~10重量%の油相から構成される。この範囲は、適用により多少高くなる場合および低くなる場合がある。乳化した油相の主な機能は、金属加工作業に潤滑性を提供することである(水相では提供されない)。基油だけでは十分な潤滑性が頻繁には提供されないため、補助的な潤滑性添加剤が油相に頻繁に組み込まれる。これらの潤滑性添加剤は、ポリマーまたはオリゴマーエステル、リン酸アルキルなどであり得る。成功とされる可溶性油配合のための1つの重要な要因は、エマルションを安定させるために使用される乳化剤(界面活性剤)パッケージである。乳化剤の組み合わせは、高レベルの硬水、つまり、Ca2+およびMg2+などの水溶性の二価カチオンの存在下でも、この性能を維持しながら、数週間または数カ月にわたって分離しない安定したエマルションを提供する必要がある。金属加工装置のサンプでは、ボイラー効果に起因して、時間と共に水の硬度が増加する傾向がある。二価の金属イオンの存在下で沈殿する傾向がある脂肪酸石鹸などの安価な乳化剤の使用は、可溶性油エマルションの不安定化につながり、油相の分離を引き起こす可能性がある。可溶性油タイプの流体の別の不利益は、それらが「汚損」していると認識されることであり、つまり、完成した部品に著しい油性残留物が残る傾向がある。
【0006】
半合成金属加工流体は、概して、油の含有量が少なく、乳化剤の量が多いことを除いて、可溶性油と類似している。これにより、エマルションの液滴サイズ分布がより小さくなり、その結果、エマルションの安定性が高くなる。乳化剤に対する油の正確な比率および乳化剤パッケージの組成に応じて、半合成金属加工流体は、乳白色からほぼ完全に透明な外観まで変化する可能性があり、半透明または濁った外観が最も典型的である。半合成の最終使用濃度も、典型的には、5~10重量%の範囲である。半合成では乳化剤に対する油の比率がより低いため、得られるエマルションは、典型的には、流体のより長い寿命お
よび硬水の蓄積に対するより高い耐性を有する。半合成は、通常、配合がより少ない安価な基油と、主に乳化剤の形態でより多くの高価な添加剤とを含有する傾向があるという事実に起因して、可溶性油よりも高価である。
【0007】
合成金属加工流体は、油を含有しない。合成金属加工流体中の添加剤は、すべて水溶性である。したがって、得られる流体は、透明である。合成品は、概して、完成した部品に目立たない残留物を残すため、「清潔」な流体であると認識されている。これらの流体には油相がないため、合成流体により提供される潤滑性は、概して、可溶性油および半合成品より劣る傾向がある。合成流体における潤滑性というのは、金属表面に親和性を有する表面活性成分により提供され得る。合成で一般的に用いられる別の潤滑メカニズムは、曇り点現象に基づいている。室温をわずかに超える水性曇り点を有するエチレンオキシド-プロピレンオキシドブロックポリマーなどの添加剤が、この目的で一般的に用いられる。工具と工作物との境界面の摩擦により、局所的な加熱が引き起こされ、曇り点効果に起因して、これらの添加剤の相分離がもたらされる。これにより、工具と工作物との境界面の加熱領域に滑らかな有機相が堆積する。局所的な加熱を受けない流体の大部分は、透明なままである。
【0008】
水性金属加工流体の3つのカテゴリーはすべて、水溶性添加剤を組み込むことで対処しなければならない共通の性能課題を共有している。これらの課題は、すなわち腐食および生物への侵入である。水性金属加工流体中の腐食防止のための第1の防御線は、pHの厳密な制御である。金属加工流体のpHをアルカリ性に保つことにより、鉄系合金の腐食速度が著しく低減され得る。アルカノールアミンなどのさまざまな水溶性アミン、またはアルカリ金属炭酸塩およびホウ酸塩などの無機アルカリは、通常、予備のアルカリ度を提供するために水性金属加工配合物に組み込まれる。
【0009】
鉄合金の機械加工を伴う用途では、約8~10の範囲のpHが一般的に用いられる。しかしながら、アルミニウム合金の場合、pHが約9をはるかに超えると、表面の黒ずみの染色を引き起こし得るため、アルミニウム機械加工用の流体は、典型的には、7.5~8.5の範囲のpHを供給するように配合される。注意深くpHを制御し、予備アルカリ度を提供するための化合物を組み込んでも、水性金属加工流体は、ほぼ例外なく水溶性腐食阻害剤を組み込む。多くの場合、1つ以上のタイプの腐食阻害剤が用いられ、1つは、鉄合金の腐食を阻害し、別のタイプは、アルミニウムまたは黄色の金属(銅含有合金)の腐食を阻害する。
【0010】
すべての水性金属加工流体が直面する第2の主要な問題は、望ましくない生物学的成長の問題である。多くの異なる種の細菌、真菌、およびカビは、添加物および油をそれらの食物源として使用して、水性金属加工流体中で成長し得る。流体が侵入すると、金属加工装置の流体と接触する表面は、通常、付着したバイオフィルムで汚れて、装置の局部的な腐食を引き起こし、チューブ、ライン、およびフィルターを塞ぐ可能性がある。腐食阻害と同様に、pH制御は、水性金属加工流体を生物学的侵入から保護するための第1の防御線である。概して、pHが高くなるほど、流体は微生物にとって快適ではなくなり、非常に高いpH(約10以上)では、生物学的侵入は問題にならない。非常に高いpHは、前述のアルミニウム染色、ならびに作業者に皮膚および目への接触の危険を呈するなど、さまざまな理由で望ましくない。このため、ほとんどの水性金属加工流体は、1つ以上の水溶性殺生物成分を組み込むことになる。
【0011】
したがって、可溶性油および半合成金属加工流体は、本質的に複雑な配合である。水および基油に加えて、そのような配合物は、典型的には、2つ以上の乳化剤、潤滑添加剤、1つ以上の腐食阻害剤、無機アルカリ、予備アルカリ度用のアルカノールアミン、および1つ以上の殺生物剤を必要することになる。したがって、これらのタイプの流体は、(水
に加えて)8つ以上の成分を含有することは珍しくない。
【0012】
US2009/0209441「Maleated Vegetable Oils and Derivatives,as Self-Emulsifying Lubricants in Metalworking」は、大豆油および他の多価不飽和植物油が、無水マレイン酸との反応を介し、続いて、水溶性アルコールまたはアルカノールアミンを用いた無水物部分の開環による自己乳化をどのようにして与えられ得るかを記載している。しかしながら、これらの組成物は、硬水に対する耐性が非常に低いという問題がある。
したがって、可溶性潤滑剤を有し、硬水中で安定しており、複数の成分を必要としない水性金属加工流体が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】米国特許出願公開第2009/0209441号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、金属加工流体に添加されると、必要とされる他の成分の量を低減する多機能組成物が開示される。開示された技術は、可溶性油または半合成金属加工流体としての使用に好適な組成物および金属加工流体を提供する。これらの金属加工流体は、前述の従来の水性金属加工流体のカテゴリーと比較して、著しく単純な配合およびより低い全体的な処理率を有する。また、水性部分の硬度が増加しても本組成物は溶液のままであり、安定した水性金属加工流体をもたらす。
【0015】
本組成物は、モノマレイン化多価不飽和植物油とアルコール混合物との付加物から調製され得る。アルコール混合物は、少なくとも2個の炭素原子を有するアルコールと、少なくとも350の数平均分子量(M)を有するメトキシポリエチレングリコールと、を含み得る。いくつかの実施形態では、メトキシポリエチレングリコールは、少なくとも350~少なくとも550の数平均分子量(M)を有する。
【0016】
モノマレイン化多価不飽和植物油は、無水マレイン酸(MAA)を多価不飽和植物油と、1:<2、1:1.75、1:1.5、1:1.25、または1:1の無水マレイン酸対多価不飽和植物油のモル比で反応させることにより調製され得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、次いで、モノマレイン化多価不飽和植物油は、直鎖または分岐状C~C18アルコールであるアルコールを含むアルコール混合物と反応し得る。他の実施形態では、アルコール混合物は、直鎖または分岐状C~C18アルコール(「脂肪アルコール」)である疎水性アルコールを含み得る。他の実施形態では、疎水性アルコールは、少なくとも1つの直鎖もしくは分岐状C~C11オキソアルコール、直鎖もしくは分岐状C12~C14脂肪アルコール、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0018】
一実施形態では、モノマレイン化多価不飽和植物油対アルコール混合物のモル比は、2:1~1:2の範囲であり得る。さらに別の実施形態では、比率は、1:1であり得る。一実施形態では、本組成物を調製するために使用される多価不飽和植物油は、大豆油であり得る。
【0019】
別の実施形態では、モノマレイン化多価不飽和植物油とアルコール混合物との付加物は、アルカリ金属塩基またはアミンを使用する塩化(salted)による。好適なアルカリ金属塩基には、ナトリウムまたはカリウム塩基が含まれ得るが、これらに限定されない
。好適なアミンは、第三級アルカノールアミンなどの第三級アミンを含む。例示的な第三級アルカノールアミンには、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N-ブチルジエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジブチルエタノールアミン、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。さらに別の実施形態では、第三級アミンは、トリエタノールアミンを含み得る。
【0020】
モノマレイン化多価不飽和植物油とアルコール混合物との付加物から調製された組成物を含む水性金属加工流体組成物も開示される。本組成物は、上記のとおりであり得る。いくつかの実施形態では、本組成物は、流体組成物の総重量に基づいて、3重量%未満の量で存在し得る。いくつかの実施形態では、水が、流体の総重量に基づいて、少なくとも400ppmのCaCOの硬度を有する場合、本組成物は、流体中に分散したままであり得る。
【0021】
さらに他の実施形態では、金属構成要素を潤滑する方法が開示される。本方法は、金属構成要素を、上記のモノマレイン化多価不飽和植物油とアルコール混合物との付加物から調製された組成物を含む水性金属加工流体と接触させることを含み得る。いくつかの実施形態では、金属構成要素は、アルミニウムまたは鋼であり得る。
【0022】
上記の組成物を金属加工流体に添加することにより、金属加工流体の安定性および/または潤滑性を改善する方法も開示される。いくつかの実施形態では、本組成物は、金属加工流体の総重量に基づいて、3重量%未満の量で存在し得る。金属加工流体の安定性および/または潤滑性を改善するための上記の組成物の使用も開示される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
大豆油1モルあたり約1モルの無水マレイン酸と反応した大豆油は、約2:1:1のモル比で疎水性アルコールとメトキシポリエチレングリコールとの組み合わせとさらに反応すると、非常に単純な水性金属加工流体の配合を可能にする多機能材料を供給する中間体を生成する。トリエタノールアミン(TEA)などのアルカノールアミンで中和する場合、マレイン化大豆油誘導体は水分散性であり、金属の切断、ならびに鋼およびアルミニウムの形成用途で優れた潤滑性を示す。したがって、本組成物は、従来の可溶性油または半合成金属加工流体の「単一成分」の代替品として機能し、コストおよび複雑性において著しい低減を供給し得る。これらの「単一成分」金属加工流体は、硬水中で良好な安定性を示し、リン、硫黄、ホウ素、または重金属を含有しない。本組成物または「単一成分」の金属加工濃縮液の有用な処理率は、従来の可溶性油および半合成金属加工濃縮液の5~10重量%の処理率と比較して、金属加工流体の総重量の4重量%未満、または0.5~3重量%、または1~2重量%である。
【0024】
したがって、金属加工流体に添加されると、必要とされる他の成分の量を低減する多機能組成物が開示される。さまざまな特徴および実施形態が、非限定的な例示として以下に記載される。
【0025】
本組成物は、アルコール混合物と反応したモノマレイン化多価不飽和植物油の付加物から調製され得る。アルコール混合物は、少なくとも2個の炭素原子を有するアルコールと、少なくとも350の数平均分子量(M)を有するメトキシポリエチレングリコールと、を含み得る。いくつかの実施形態では、メトキシポリエチレングリコールは、少なくとも350~少なくとも550の数平均分子量(M)を有する。本明細書に記載のメトキシポリエチレングリコール材料の数平均分子量は、末端OH基のヒドロキシル価滴定により測定される。
【0026】
本組成物を作製するための好適な油は、過度に限定されず、平均して少なくとも1つの
多価不飽和脂肪酸テール、例えば、リノール酸またはリノレン酸を有する任意のトリグリセリド油を含む。「トリグリセリド油」という用語は、同じかまたは混合脂肪酸のグリセロールトリエステルを意味する。脂肪酸は、C12~C22の炭素鎖長を有する直鎖モノカルボン酸を指す。
【0027】
例示的なトリグリセリド油には、植物油が含まれる。植物油は、良好な潤滑性を示す安価で入手が容易な再生可能な原材料である。大豆油は、その低コストおよび豊富な商業性に起因して、純粋に経済的な観点から好ましく、本明細書で言及される代替のトリグリセリド油のいずれよりも大豆油を支持する化学的または性能上の根拠はない。本明細書で有用な代替トリグリセリド油は、例えば、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、アマニ油、綿実油、桐油、落花生油、脱水ヒマシ油などである。
【0028】
トリグリセリド油は、概して、水に不溶性であるが、水性の金属加工流体で使用するには、(a)乳化するか、または(b)化学的機能化を介して水溶性もしくは分散性を与える必要がある。植物油(大豆油および関連する不飽和トリグリセリドを含む)の機能化は、高温のディールス・アルダー反応および/またはエン反応を介して達成され得る。
【0029】
これらの反応では、植物油は、電子欠乏アルケンと反応し得る。好適な電子欠乏アルケンには、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、無水ブロモマレイン酸、および無水ジクロロマレイン酸、および無水マレイン酸(MAA)が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、アルケンは、無水マレイン酸である。
【0030】
しかしながら、この技術を単一の理論に限定することなく、開示された多価不飽和植物油および電子欠乏アルケンの付加物は、主にディールス・アルダー反応の付加物であると考えられている。これは、開示された付加物のIRおよび湿式化学分析に基づく。したがって、無水マレイン酸および大豆油のディールス・アルダー付加物のみが、今後の例示の目的で示され、少量のエンタイプの付加物は無視される。
【0031】
無水マレイン酸と大豆油との間の熱反応は、以下に例示される種の混合物を産生する。反応のために使用される大豆油に対する無水マレイン酸のモル比に関係なく、トリグリセリドの脂肪酸テールの各々は互いに独立して反応するため、以下に示される4種の各々がある程度産生される。
【化1】
【0032】
大豆油に対する無水マレイン酸のモル比の変化は、上に示されるこれらの種の相対的比率のみを変化させる。MAA:大豆油の比率がより低いと、未反応の大豆油およびモノマレイン化種の量が増加するが、一方でMAA:大豆油の比率がより高いと、ジマレイン化種およびトリマレイン化種が優先される。しかしながら、MAA:大豆油の比率をより低くして産生された付加物は、金属加工流体に添加するとより高い潤滑性を付与するようで
あり、未反応の大豆油のレベルの増加にかかわらず、モノマレイン化種がより効果的であるという結論に至ることが予想外に判明した。したがって、MAA:大豆油の比率は、モノマレイン化種の産生を促進するために調整され得る。
【0033】
したがって、いくつかの実施形態では、モノマレイン化多価不飽和植物油は、無水マレイン酸を多価不飽和植物油と、1:<2、1:1.75、1:1.5、1:1.25、または1:1の無水マレイン酸対多価不飽和植物油のモル比で反応させることにより調製され得る。約1.2:1などのより高い比率も用いられ得る。
【0034】
次いで、ディールス・アルダー反応の産生物をアルコール混合物と反応させて、付加された無水物部分の環を開く。したがって、いくつかの実施形態では、アルコール混合物は、少なくとも2個の炭素原子を有するアルコールと、少なくとも350の数平均分子量(M)を有するメトキシポリエチレングリコールと、を含み得る。いくつかの実施形態では、メトキシポリエチレングリコールは、350~550の数平均分子量(M)を有する。いくつかの実施形態では、アルコール混合物は、直鎖または分岐状C~C18アルコールであるアルコールを含む。他の実施形態では、アルコールは、直鎖または分岐状C~C18疎水性アルコール(「脂肪アルコール」)であり得る。さらに別の実施形態では、疎水性アルコールは、少なくとも1つの直鎖もしくは分岐状C~C11オキソアルコール、直鎖もしくは分岐状C12~C14脂肪アルコール、またはそれらの組み合わせを含み得る。モノマレイン化多価不飽和植物油とアルコール混合物との反応は、反応物の温度を90~150℃に増加させることにより容易され得る。いくつかの実施形態では、反応温度は、少なくとも135℃である。
【0035】
一実施形態では、モノマレイン化多価不飽和植物油対アルコール混合物のモル比は、2:1~1:2の範囲であり得る。さらに別の実施形態では、モル比は、1:1であり得る。一実施形態では、本組成物を調製するために使用される多価不飽和植物油は、大豆油であり得る。
【0036】
合成プロセスの最終的なステップは、開環反応により形成された半酸/半エステルのカルボン酸の半分の中和を伴う。このカルボン酸は、得られる塩が水中で自己乳化するように、任意の好都合な塩基で中和され得る。一実施形態では、モノマレイン化多価不飽和植物油とアルコール混合物との付加物は、アルカリ金属塩基またはアミンを使用して塩化され得る。いくつかの実施形態では、モノマレイン化多価不飽和植物油とアルコール混合物との付加物は水に分散され得、pHはアルカリ金属水酸化物もしくはアルカリ金属炭酸塩、またはアミンで8~10に調整され得る。
【0037】
好適なアルカリ金属塩基には、ナトリウムまたはカリウム塩基が含まれ得るが、これらに限定されない。例示的なナトリウムまたはカリウム塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、および炭酸カリウムである。好適なアミンは、第三級アルカノールアミンなどの第三級アミンを含む。例示的な第三級アルカノールアミンには、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N-ブチルジエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジブチルエタノールアミン、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。さらに別の実施形態では、第三級アミンは、トリエタノールアミンを含み得る。
【0038】
モノマレイン化多価不飽和植物油とアルコール混合物との付加物から調製された水性金属加工流体も開示される。本組成物は、上記のとおりであり得る。いくつかの実施形態では、本組成物は、水性金属加工流体の総重量に基づいて、3重量%未満の量で存在し得る。いくつかの実施形態では、水が、流体の総重量に基づいて、400ppmのCaCOを超える硬度を有する場合、本組成物は、流体中に均一に分散したままであり得る。
【0039】
さらに他の実施形態では、金属構成要素を潤滑する方法が開示される。本方法は、金属構成要素を、上記のモノマレイン化多価不飽和植物油とアルコール混合物との付加物から調製された組成物を含む水性金属加工流体と接触させることを含み得る。いくつかの実施形態では、金属構成要素は、アルミニウムまたは鋼であり得る。
【0040】
上記の組成物を金属加工流体に添加することにより、金属加工流体の安定性および/または潤滑性を改善する方法も開示される。いくつかの実施形態では、本組成物は、金属加工流体の総重量に基づいて、4重量%未満の量で存在し得る。金属加工流体の安定性および/または潤滑性を改善するための上記の組成物の使用も開示される。
【0041】
金属加工流体
一実施形態では、本組成物は、金属加工流体である。典型的な金属加工流体の用途には、金属除去、金属成形、金属処理、および金属保護が含まれ得る。いくつかの実施形態では、金属加工流体は、金属加工流体の総重量に基づいて、水と、4重量%未満の上記の組成物と、を含み得る。
【0042】
任意の追加の材料が、金属加工流体に組み込まれ得る。典型的な完成した金属加工流体は、摩擦調整剤、脂肪酸およびワックスなどの潤滑助剤(上記の組成物に加えて)、耐摩耗剤、極圧剤、分散剤、腐食阻害剤、正常塩基性および過塩基性洗浄剤、殺生物剤、金属不活性化剤、またはそれらの混合物を含み得る。
【実施例
【0043】
マレイン化大豆油の合成
一般的な手順:無水マレイン酸(「MAA」)の固形ブリケットを1:1のモル比で大豆油(「SYBO」)と組み合わせ、Nのゆっくりとしたパージ下で200~220℃に直接加熱する。MAAの消費を赤外分光法により監視する。MAAの消費は、840cm-1のピークの消失により示される。IRによりMAAが消費されたことが示されると、バッチが冷却され、濃い琥珀色の粘性のある液体が生成される。ろ過または他の精製は必要ないが、クックアウトの最後に表面下の窒素ブローを用いて、任意の未反応の微量のMAAを排除しし得る。収量は、ほぼ定量的である。反応は、典型的には、220℃で実施した場合、約3時間以内に完了する。微量のMAAが完全に消費されるように、反応混合物を最大約6時間まで長く保持しても、悪影響は一切ない。
【0044】
当業者は、マレイン化大豆油とアルコールおよびメトキシポリエチレングリコールとの反応が、マレイン化ステップの直後に、かつ同じ反応容器内で、または不特定の期間の後に、かつ/もしくは異なる反応容器内で進行し得ることを認識するであろう。
【0045】
マレイン化大豆油とアルコールおよびMPEGとの反応
一般的な手順:マレイン化大豆油、アルコール、およびメトキシポリエチレングリコール(「MPEG」)を約20~40℃で混合し、次いで、135℃に加熱する。蒸気空間を通るゆっくりとした窒素パージが維持され、蒸気は還流コンデンサーを通過して排出されて、蒸発による損失を最小限に抑える。約1780cm-1での無水物ピークの消失を監視することによる赤外分光法により、反応の進行を追跡する。このピークが収縮を停止すると、アルコール、MPEG、およびマレイン化大豆油の間の反応が完了する。より低い分子量アルコールを使用する場合、真空をこの時点で有利に適用して、未反応のアルコールを取り除くことができる。これらの反応の産生物は、概して、透明で、適度に粘性のある琥珀色の液体である。ろ過または他の精製は必要ない。収量は、通常、定量に非常に近い。揮発性アルコールのわずかな損失が発生する可能性がある。さまざまな実施例の調製物である「実施例の調製物」を以下の表1に示す。
【表1】
【0046】
上の実施例の調製物の各々を、安定性(「硬水安定性試験」)および潤滑性(「マイクロタップ試験」)の性能について、水性金属加工流体中で試験した。
【0047】
硬水安定性試験
硫酸塩、塩化物、炭酸塩、および重炭酸塩として存在するカルシウムおよびマグネシウムイオンにより水が硬くなる。これらの水溶性の二価金属イオンは、2モルの脂肪カルボン酸アニオンと錯化して、水性金属加工流体から分離し、金属加工装置のライン、フィル
ター、およびノズルの汚れを引き起こし得る、粘着性の水不溶性塩を供給し得る。これらの硬水イオンの濃度は、金属加工装置サンプのボイラー効果に起因して時間と共に増加するため、硬水安定性、または高レベルのカルシウムおよびマグネシウムイオンの存在下で粘着性の堆積物の分離に抵抗する水性金属加工流体の能力が性能基準となる。
【0048】
水の硬度は、一般的に、百万分率(ppm)の炭酸カルシウムとして表され、すべての二価金属イオンを等モルのCa2+に変換し、炭酸塩(CO 2-)が唯一の対アニオンであると仮定する。脱イオン水に適量のCaCl・HOを溶解することにより、200、400、600、800、1000、2000ppmのCaCOの硬度を有するカルシウム硬水原液を調製した。
【0049】
1ガロンあたりの穀物(gpg)は、1アメリカガロンの水(3.785L)に溶解した1粒(64.8ミリグラム)の炭酸カルシウムとして定義される水の硬度の単位である。これは、17.1百万分率の炭酸カルシウム(ppm)に相当する。1ガロンあたり800粒の公称硬度を有する混合カルシウム/マグネシウム硬水濃縮液を、20,000グラムの脱イオン水に322グラムのCaCl・2HOおよび111グラムのMgCl・6HOを溶解することにより調製した。この濃縮液中のカルシウム対マグネシウムのモル比は、4:1である。この800gpgの濃縮液を脱イオン水で希釈して、硬度5、10、20、40、および80gpgの混合Ca/Mg原液を供給した。これらの混合Ca/Mg硬水原液は、一般的に合金中に著しい量のマグネシウムを含有するアルミニウム合金を機械加工するときに一般的に遭遇する条件を模倣することを目的としている。
【0050】
以降、水の硬度がppmの単位で表される場合、カルシウムのみの硬水原液を指すが、一方で水の硬度が1ガロンあたりの粒(gpg)で表される場合、混合カルシウム/マグネシウム硬水原液を指す。希釈された金属加工流体で発生する任意の分離の視覚化を助けるために、少量の水溶性染料を各硬水原液に添加する。
【0051】
実験用および参照用の金属加工流体の濃縮液を硬水の原液に分散する。これらの希釈された混合物を100mLのメスシリンダーに入れ、一晩または3日間放置した後、流体の上部にある油またはクリームの分離について調べる。場合によっては、インキュベーション期間中にメスシリンダーをオーブンに入れることにより、希釈液に40℃の熱ストレスをかける。任意に分離した油またはクリームが穏やかな攪拌で容易に再分散するかどうかが記録される。
【0052】
マイクロタップ試験
マイクロタップ試験では、事前に開けられた穴へのタッピング(ねじ切りまたはねじ部形成)中に生成されるトルクを使用して、実験用および参照用の水性金属加工流体の潤滑性能を金属除去作業において評価する。試験機器は、microtap GmbH in
Munich,Germanyにより製造されたTTTタッピングトルク試験システムである。
【0053】
2つの異なる金属合金、1018鋼および6061アルミニウムでマイクロタップ試験を行う。鋼の試験片を530rpmでフォームタップし、アルミニウムの試験片を660rpmでフォームタップする。タッピングは貫通穴であり、穴は直径5mmであり、フォームタップはM6x1、ねじ深さ75%である。試験が一貫して行われることを保証するために、各実験中、市販の半合成金属加工流体が参照流体として使用される。参照流体を、1018合金鋼の試験では10重量%の処理率に、6061合金アルミニウムの試験では5重量%に希釈する。
【0054】
タッピングトルク測定から金属加工流体を区別するための最も有用な情報を取得するた
めに、統計的分析と共に実験マトリックスを使用する。候補流体および参照流体の実行順序はランダム化されているため、流体の違いは、バーでタッピングが発生する場所の影響を受けない。さまざまな予測変数を使用して一般的な線形モデルを近似する。一般的な線形モデルから、候補流体と参照流体との間の対数変換結果の平均差を推定する。これらの平均差の95%信頼区間は、単一ステップの複数比較手順を使用して取得される。次いで、エラーバーを有する棒グラフを作成して、参照流体に対する候補流体の相対効率を示す。候補流体の相対効率を、平均参照結果に対する平均候補結果の比率として定義する。
【0055】
参照流体を、以降のすべての試験で100%の相対効率に設定する。次いで、以下の式を使用して、候補流体の相対効率を計算する。
相対効率=(参照流体のトルク)/(候補流体のトルク)×100%
【0056】
実施例の調製物のすべての安定性および潤滑性試験についての結果を以下に要約する。
【0057】
例示的な結果
実施例1:調製物8-1.0-MAA SYBO+MPEG350+FOH-9、2:1:1
調製物8の産生物を、0.5重量%のTEAと染料とを含有する変化するCa硬度を有する水に1.0重量%で分散した。これらの水性分散液を40℃で一晩インキュベートし、分離の兆候を調べた。水の硬度レベルは、0、200、400、600、800、および1000ppmであった。硬度0ppmの溶液では約2体積%、200および400ppmでは約1体積%のクリームの分離が観察され、600~1000ppmではクリームの分離は観察されなかった。クリーム層は、簡単に再分散した。6つのすべての希釈液を、クリーム層の再分散後に1018鋼および6061アルミニウム上でマイクロタップにより試験した。マイクロタップ試験の結果を表2に示す。
【表2】
【0058】
実施例2:調製物8-1.0-MAA SYBO+MPEG350+FOH-9、2:1:1
調製物8の産生物を、0.5重量%の5つの異なる第三級アミンを含有する脱イオン水に1.0重量%で分散した。これらの水性分散液をカシオフラスコに入れ、40℃で一晩インキュベートし、分離の兆候を調べた。
【表3】
【0059】
クリーム層は、すべて簡単に再分散した。5つのすべての希釈液を、クリーム層の再分散後に1018鋼および6061アルミニウム上でマイクロタップにより試験した。マイクロタップ試験の結果を表3に示す。
【表4】
【0060】
実施例3:調製物8-1.0-MAA SYBO+MPEG350+FOH-9、2:1:1
調製物8の産生物を、0.5重量%TEAと染料とを含有する水道水(約115ppmの硬度)に1.0重量%で分散した。このブレンドを700グラム調製した。このブレンドを40℃のオーブンに入れ、インキュベートしたままにした。さまざまなタイミングで試料を採取し、マイクロタップで試験した。
A.0日(オーブンに入れる前の試料)
B.40℃で1日
C.40℃で4日
D.40℃で8日
【0061】
試料が熱老化したため、少量の底部ドロップアウトが記録された。このドロップアウトは、穏やかな攪拌で簡単に再懸濁した。マスター試料を振った後に試料B~Dを採取した。参照流体をインキュベートしなかった。インキュベーション後の調製物8の結果を以下の表4に示す。
【表5】
【0062】
実施例4:調製物9-SYBO+MAA+MPEG350+FOH-9、2:2:1:1
調製物9は、アルコールとMPEGとの反応の前に、マレイン化大豆油が分離されないプロセスを示す。調製物9の産生物を、0.25重量%のTEAと、0.20重量%のN,N-メチレンビスモルホリン(殺生物剤)と、染料とを含有する変化する硬度を有する水に1.0重量%で分散した。水の硬度レベルは実施例1と同様であった。これらの水性分散液を室温で一晩放置し、分離の兆候を調べた。クリームの分離は、実施例1と本質的に同じであった。クリーム層は、簡単に再分散した。6つのすべての希釈液を、クリーム層の再分散後に1018鋼および6061アルミニウム上でマイクロタップにより試験した。マイクロタップ試験の結果を表5に示す。
【表6】
【0063】
実施例5:調製物10-調製物6と調製物7との1:1重量ブレンド
調製物6および調製物7の産生物を1:1の重量比で一緒にブレンドして、調製物10を産生した。このブレンドを、0.5重量%のTEAと染料とを含有する変化する硬度を有する水に1.0重量%で分散した。水の硬度レベルは実施例1と同様であった。これらの水性分散液を40℃で一晩インキュベートし、分離の兆候を調べた。参照流体をインキュベートしなかった。クリームの分離は、硬度0ppmおよび200ppmで0.5体積%未満であった。より高い硬度レベルではクリームの分離はなかった。クリーム層は、簡単に再分散した。調製物10は、類似の「反応」産生物である調製物8よりも少ないクリームの分離を示す。すべての希釈液を、クリーム層の再分散後に1018鋼および6061アルミニウム上でマイクロタップにより試験した。調製物10のマイクロタップの結果を表6に示す。
【表7】
【0064】
実施例6:調製物10-調製物6と調製物7との1:1重量ブレンド
これは実施例5の繰り返しで、よりストレスのかかった状態である。2000ppmの追加の水の硬度レベルを加え、40℃のインキュベーション期間を3日に延長した。参照流体をインキュベートしなかった。クリームの分離は、硬度0ppmおよび200ppmで0.5体積%未満であった。400~1000ppmの硬度レベルで、クリームの分離はほとんどなかった。硬度2000ppmで、約1体積%のクリームの分離があった。クリーム層は、簡単に再分散した。6つのすべての希釈液を、クリーム層の再分散後に1018鋼および6061アルミニウム上でマイクロタップにより試験した。結果を以下の表7に示す。
【表8】
【0065】
実施例7:調製物13-1.0-MAA SYBO+MPEG350+FOH-9、2:1:1および調製物14-調製物11と調製物12との1:1重量ブレンドの比較
調製物13および調製物14の産生物を、0.5重量%のTEAと染料とを含有する、0ppm、400ppm、および1000ppmの硬度の水で1重量%のレベルで並べて比較する。これらの水性分散液を40℃で一晩インキュベートし、分離の兆候を調べた。参照流体をインキュベートしなかった。調製物13の分散液は、調製物14の分散液より多くのクリームの分離を示した。調製物14の分散液は、より乳白色の外観も有した。クリーム層は、簡単に再分散した。6つのすべての希釈液を、クリーム層の再分散後に1018鋼および6061アルミニウム上でマイクロタップにより試験し、結果を以下の表8に示す。
【表9】
【0066】
実施例8:調製物15-1.0-MAA SYBO+MPEG450+FOH-1214、2:1:1
調製物15を、0.5重量%のTEAと染料とを含有する最大2000ppmの変化する硬度を有する水に1.0重量%で分散した。これらの水性分散液を40℃で一晩インキュベートし、分離の兆候を調べた。参照流体をインキュベートしなかった。400~2000ppmの硬度レベルで、クリームの分離はほとんどなかった。蒸留水では約2体積%のクリームの分離があり、200ppmの硬度の水では1体積%であった。クリーム層は、簡単に再分散した。7つのすべての希釈液を、クリーム層の再分散後に1018鋼および6061アルミニウム上でマイクロタップにより試験し、以下の表9に示す。
【表10】
【0067】
比較例9:調製物16-1.0-MAA SYBO+TEG-Me+FOH-1214、2:1:1
調製物16(比較)を、0.5重量%のTEAと染料とを含有する最大2000ppmの変化する硬度を有する水に1.0重量%で分散した。これらの水性分散液を40℃で一晩インキュベートし、分離の兆候を調べた。硬度200ppmを超える希釈では、油層の著しい分離が観察された。油の分離に起因して、マイクロタップ試験を行わなかった。164.2の分子量を有するトリエチレングリコールモノメチルエーテルは、必要な硬水安定性を提供するには短すぎるという結論である。
【0068】
実施例10:調製物17-1.0-MAA SYBO+MPEG450+1-ヘキサノール、2:1:1
調製物17を実施例8に従って試験した。クリームの分離は、硬度0の水で約2体積%、硬度200ppmで約1体積%であり、400~2000ppmで微量のクリームが観察された。クリーム層は、簡単に再分散した。7つのすべての希釈液を、クリーム層の再分散後に1018鋼および6061アルミニウム上でマイクロタップにより試験した。調製物17のマイクロタップの結果を表10に示す。
【表11】
【0069】
比較例11:調製物18-1.0-MAA SYBO+TEG-Me+1-ヘキサノール、2:1:1
調製物18を、0.5重量%のTEAと染料とを含有する最大2000ppmの変化する硬度を有する水に1.0重量%で分散した。これらの水性分散液を40℃で一晩インキュベートし、分離の兆候を調べた。すべての希釈液で油層の著しい分離が観察され、油の分離は、600ppmを超える硬度で特に深刻であった。油の分離に起因して、マイクロタップ試験を行わなかった。トリエチレングリコールモノメチルエーテルは、必要な硬水安定性を提供するには短すぎるという結論(実施例9と共に)である。
【0070】
実施例12:調製物13、調製物19、および調製物20
これは、3つの関連物質を並べて比較したもので、アルコール部分の炭素数のみが異なる。
●調製物13=1.0-MAA SYBO+MPEG350+FOH-9、2:1:1
●調製物19=1.0-MAA SYBO+MPEG350+FOH-1214、2:1:1
●調製物20=1.0-MAA SYBO+MPEG350+1-ヘキサノール、2:1:1
【0071】
これらの試料を、0.5重量%のTEAおよび染料を有する0ppm、400ppm、および800ppmの硬水に分散した。水性分散液を40℃で3日間インキュベートし、分離の兆候を調べた。すべての試料のクリーム層は、メスシリンダーを1回反転させるだけで簡単に再分散した。上の流体の安定性の結果を以下の表11に示す。
【表12】
【0072】
すべての試料を、クリームの再分散後に1018鋼および6061アルミニウム上でマイクロタップ潤滑性評価により試験した。結果を以下の表12に示す。
【表13】
【0073】
実施例13:調製物13、調製物19、および調製物20
これは、流体に熱ストレスが加えられなかったことを除いて、実施例12と同様である。これらの試料を、0.5重量%のTEAおよび染料を有する0ppm、400ppm、および800ppmの硬水に分散した。水性分散液を室温で一晩インキュベートし、分離の兆候を調べた。すべての試料のクリーム層は、メスシリンダーを1回反転させるだけで
簡単に再分散した。安定性の結果を以下の表13に示す。
【表14】
【0074】
すべての試料を、再分散後に1018鋼および6061アルミニウム上でマイクロタップ評価により試験した。結果を以下の表14に示す。
【表15】
【0075】
実施例14:調製物21-1.0-MAA SYBO+MPEG350+FOH-9、2:1.05:0.95
調製物21の安定性および潤滑性の試験では、80、40、20、10、および5粒子硬度の混合Ca/Mg硬水を、脱イオン(「DI」)水と共にこの実施例で使用した。調
製物21をこれらの硬度の各々で0.5重量%のTEAと共に1重量%に希釈し、希釈液を40℃のオーブンで一晩インキュベートし、分離の兆候を検査した。DI水中では約2体積%のクリーム、5gpgでは約1体積%、10gpgでは微量のクリーム、および80gpgでは約6体積%のクリームがあった。クリーム層は、簡単に再分散した。6つのすべての希釈液を、クリーム層の再分散後に1018鋼および6061アルミニウム上でマイクロタップにより試験した。マイクロタップの結果を以下の表15に示す。
【表16】
【0076】
実施例15:調製物22-1.0-MAA SYBO+MPEG350+FOH-9、2:0.95:1.05
調製物22を使用して、実施例15の試料を作製した。希釈および熱ストレスは、実施例14に記載されるとおりであった。DI水中では約2体積%のクリーム、5gpgでは約1体積%、10gpgでは微量のクリーム、および80gpgでは約2体積%のクリームがあった。クリーム層は、簡単に再分散した。6つのすべての希釈液を、クリームの再分散後に1018鋼および6061アルミニウム上でマイクロタップにより試験した。結果を以下の表16に示す。
【表17】
【0077】
実施例16:調製物23-SYBO+MAA+MPEG350+FOH-9、2:2:1:1
調製物23は、マレイン化大豆油が事前の分離なしにメトキシポリエチレングリコールと脂肪アルコールとの反応に直接持ち込まれる「ワンポット」の実施例である。調製物23の場合、希釈および熱ストレスは、実施例14で記載されるとおりであった。希釈液中のクリームの分離は、実施例15で見られたものと事実上区別できなかった。クリーム層は、簡単に再分散した。6つのすべての希釈液は、クリームの再分散後に1018鋼および6061アルミニウム上でマイクロタップにより試験した。結果を以下の表17に示す。
【表18】
【0078】
実施例17:調製物24-1.1-MAA SYBO+MPEG350+2-PH(2:1:1)
調製物24では、アルコール混合物中で分岐アルコール(2-プロピルヘプタノール)を使用する。希釈および熱ストレスは、実施例14に記載されるとおりであった。希釈液中のクリームの分離は、80gpgの希釈液中にクリームがなかったことを除いて、実施例15に見られるものと本質的に同じであった。すべての場合においてクリーム層は、簡単に再分散した。6つのすべての希釈液を、1018鋼および6061アルミニウム上でマイクロタップにより試験した。結果を以下の表18に示す。
【表19】
【0079】
比較例18:調製物26-1.0-MAA SYBO+TEA、1:1
調製物26は、US2009/0209441に開示されている組成物の実施例である。調製物26の産生物を、染料を含有する0、200、400、600、800、および1000ppmの硬水に1.5重量%で分散した。これらの水性分散液を40℃で3日間インキュベートし、分離の兆候を調べた。>400ppmの水の硬度で、多かれ少なかれ完全なドロップアウトが発生し、粘着性の残留物は、より高い硬度の希釈液の底に沈んだ。0ppmの希釈は、ほぼ透明であった。0、200、および400ppmの希釈を、クリーム層の再分散後に6061アルミニウムおよび1018鋼上でマイクロタップ評価により試験した。結果を以下の表19に示す。また、室温でさらに数日の期間にわたって、400ppmの硬度希釈液でも沈殿が発生したことが記録された。
【表20】
【0080】
比較例19:調製物7-1.0-MAA SYBO+FOH-9、1:1(MPEGなし)
調製物7は、メトキシポリエチレングリコールを一切有しなかった。調製物7の産生物を、0.5%のTEAを有するDI水に1重量%で容易に分散すると、約1体積%のクリームの分離を示すエマルションを供給した。しかしながら、0.5%のTEAを有する200ppm以上の硬度の水では、材料は分散しないであろう。油相の本質的に完全な分離が、以下のほぼ透明な水で観察された。これは、MPEG部分がなければ、硬水耐性が完全に欠けることを示す。
【0081】
比較例20:調製物12-1.0-MAA SYBO+MPEG350、1:1
調製物12の場合、MPEGのみが使用され、少なくとも9個の炭素原子を有する疎水性アルコール(脂肪アルコール)はなかった。実施例14と同様に、調製物12を0.5重量%のTEAおよび染料と共に1重量%で混合Ca/Mg硬水中に溶解した。希釈液を40℃で一晩、次いで、室温で追加の5日間インキュベートした。試料のいずれにもクリームまたは油の分離はなかった。すべての希釈液は、透明から非常にわずかにかすんでおり、マイクロエマルションを示した。6つのすべての希釈液を、1018鋼および6061アルミニウム上でマイクロタップにより試験した。結果を以下の表20に示す。
【表21】
【0082】
比較例21:調製物25-1.1-MAA SYBO+PEG 1000+FOH-9、2:1:1当量
調製物25では、MPEGの代わりにPEGを使用する。1つではなく2つの-OH基を有するPEGは、2つのマレイン化大豆油分子を一緒に結合し、より高い分子量分布をもたらした。調製物25の産生物は濁っており、最終的に2つの相に分離した。調製物25は、0.5%のTEAを有する水に1重量%で容易に分散しなかった。この実施例は、単機能MPEGが二機能PEGよりも好ましいことを示す。
【0083】
実施例22:調製物27-1.0-MAA SYBO+エタノール+MPEG350、2:1:1
調製物27の場合、非常に低分子量のアルコール(エタノール)をMPEG350と組み合わせて使用して、マレイン化大豆油と反応させた。調製物27を、実施例14と同様に0.5重量%のTEAと共に1重量%で混合Ca/Mg硬水中に溶解した。希釈液を40℃で一晩インキュベートした。6つのすべての希釈液を、1018鋼および6061アルミニウム上でマイクロタップにより試験した。結果を以下の表21に示す。
【表22】
【0084】
実施例23:調製物28-1.0-MAA SYBO+オレイルアルコール+MPEG350、2:1:1
調製物28の場合、より高分子量のアルコール(オレイルアルコール)をMPEG350と組み合わせて使用して、マレイン化大豆油と反応させた。調製物28を、実施例14と同様に0.5重量%のTEAと共に1重量%で混合Ca/Mg硬水中に溶解した。希釈液を40℃で一晩インキュベートした。6つのすべての希釈液を、1018鋼および6061アルミニウム上でマイクロタップにより試験した。結果を以下の表22に示す。
【表23】
【0085】
別段の指示がない限り、本明細書において言及される各化学物質または組成物は、異性体、副生成物、誘導体、および商業グレードに存在すると通常理解される他のそのような材料を含み得る商業グレードの材料であると解釈されるべきである。
【0086】
上記の物質のいくつかは、最終的な製剤で相互作用し得ることが既知であるため、最終的な製剤の成分は最初に添加されるものと異なり得る。例えば、金属イオン(例えば、Ca2+およびMg2+)は、他の分子の他の酸性またはアニオン性部位に移動し得る。それにより形成された生成物は、本発明の組成物をその意図する用途において用いるために形成された生成物を含み、簡単に説明されない場合がある。それにもかかわらず、そのような変性物および反応生成物は全て、本発明の範囲内に含まれ、本発明は、上記の成分を混合することにより調製される組成物を包含する。
【0087】
上で言及された文書のいずれも、上に具体的に列挙されているかどうかにかかわらず、優先権が主張されるあらゆる先行出願を含んで参照により本明細書に組み込まれる。いずれの文書の言及も、あらゆる権限において、そのような文書が先行技術としての資格を有すること、または当業者の一般知識を構成することの承認ではない。実施例を除き、または特に明示的に示されている場合を除き、物質の量、反応条件、分子量、炭素原子の数などを指定するこの説明の全ての数量は、「約」という単語により修正されるものとして理解されたい。本明細書に記載の量、範囲、および比率の上限および下限は、独立して組み合わせることができることを理解されたい。同様に、本発明の各要素の範囲および量は、他の要素のいずれかの範囲または量と共に使用され得る。
【0088】
本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含有する(containing)」、または「を特徴とする(characterized by)」と同
義である「含む(comprising)」という移行性用語は、包括的または無制限であり、追加の、列挙されていない要素または方法ステップを除外しない。しかしながら、本明細書の「含む(comprising)」の各列挙において、この用語は、代替実施形態として、「から本質的になる(consisting essentially of)」および「からなる(consisting of)」という語句も包含することを意図しており、ここで、「からなる(consisting of)」は、指定されていない任意の要素またはステップを除外し、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、考慮されている組成物または方法の基本的および新規の特徴に実質的に影響を与えない追加の引用されていない要素またはステップを含めることを可能にする。
【0089】
主題の発明を説明する目的で、特定の代表的な実施形態および詳細を示してきたが、主題の発明の範囲から逸脱することなくさまざまな変更および修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。これに関して、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によりのみ制限されるものとする。
【0090】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
モノマレイン化多価不飽和植物油と、少なくとも2個の炭素原子を有するアルコールおよび少なくとも350の数平均分子量(M )を有するメトキシポリエチレングリコールを含むアルコール混合物との付加物から調製された、組成物。
(項2)
前記メトキシポリエチレングリコールが、少なくとも350~少なくとも550の数平均分子量(M )を有する、上記項1に記載の組成物。
(項3)
前記モノマレイン化多価不飽和植物油が、無水マレイン酸および多価不飽和植物油を、1:<2、1:1.75、1:1.5、1:1.25、または1:1の無水マレイン酸対多価不飽和植物油のモル比で混合することにより調製される、上記項1または2に記載の組成物。
(項4)
前記アルコールが、直鎖または分岐状C ~C 18 アルコールである、上記項1~3のいずれかに記載の組成物。
(項5)
前記アルコールが、少なくとも1つの直鎖もしくは分岐状C ~C 11 オキソアルコール、直鎖もしくは分岐状C 12 ~C 14 脂肪アルコール、またはそれらの組み合わせを含む疎水性アルコールである、上記項4に記載の組成物。
(項6)
前記モノマレイン化多価不飽和植物油対前記アルコール混合物のモル比が、2:1~1:2の範囲であるか、または1:1である、上記項1~5のいずれかに記載の組成物。
(項7)
前記多価不飽和植物油が、大豆油である、上記項1~6のいずれかに記載の組成物。
(項8)
前記付加物が、アルカリ金属塩基またはアミンを使用して塩化(salted)される、上記項1~7のいずれかに記載の組成物。
(項9)
前記アルカリ金属塩基が、ナトリウムまたはカリウム塩基である、上記項8に記載の組成物。
(項10)
前記アミンが、第三級アミンである、上記項8に記載の組成物。
(項11)
前記第三級アミンが、第三級アルカノールアミンである、上記項10に記載の組成物。
(項12)
前記第三級アミンが、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N-ブチルジエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジブチルエタノールアミン、またはそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む、上記項10または11に記載の組成物。
(項13)
前記第三級アミンが、トリエタノールアミンを含む、上記項10~12のいずれかに記載の組成物。
(項14)
上記項1~13のいずれかに記載の組成物を含む、水性金属加工流体。
(項15)
前記組成物が、前記流体の総重量に基づいて、3重量%未満の量で存在する、上記項14に記載の流体。
(項16)
前記流体が、前記流体の総重量に基づいて、少なくとも400ppmのCaCO の硬
度を有する場合、前記組成物が、前記流体中に分散したままである、上記項14または15に記載の流体。
(項17)
金属構成要素を潤滑する方法であって、前記構成要素を上記項14~16のいずれかに記載の流体と接触させることを含む、方法。
(項18)
前記金属構成要素が、アルミニウムまたは鋼である、上記項17に記載の方法。
(項19)
金属加工流体の安定性および/または潤滑性を改善する方法であって、上記項1~13のいずれかに記載の組成物を前記金属加工流体に添加することを含む、方法。
(項20)
前記組成物が、前記金属加工流体の総重量に基づいて、3重量%未満の量で存在する、上記項19に記載の方法。
(項21)
金属加工流体の安定性および/または潤滑性を改善するための、上記項1~13のいずれかに記載の組成物の使用。
(項22)
前記組成物が、前記金属加工流体の総重量に基づいて、3重量%未満の量で存在する、上記項21に記載の使用。