(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】薬剤送達装置のための挿入機構
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
A61M5/142 522
(21)【出願番号】P 2023039347
(22)【出願日】2023-03-14
(62)【分割の表示】P 2019548661の分割
【原出願日】2018-03-09
【審査請求日】2023-03-24
(32)【優先日】2017-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アダム・ビー・マッカロー
(72)【発明者】
【氏名】エーリヒ・コイナー
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ディー・ペイン
【審査官】星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/164645(WO,A1)
【文献】特表2016-530016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着式薬剤送達装置であって、
主ハウジングと、
前記主ハウジング内に配置された容器と、
前記主ハウジング内に配置された挿入機構と、
前記容器と前記挿入機構との間に滅菌流体流路を画定する流体経路コネクタと、
を含む装着式薬剤送達装置において、
前記挿入機構は、
トロカール又は中空送達針と、
近位端と遠位端を有する挿入機構ハウジングと、
前記トロカール又は中空送達針を担持するハブであって、前記挿入機構ハウジングに対して、前記挿入機構ハウジングの前記近位端の付近の第一のハブ位置と前記挿入機構ハウジングの前記遠位端の付近の第二のハブ位置との間で移動可能であるハブと、
回転運動を生じさせるように構成された動力源と、
前記動力源及び前記ハブを動作的に接続する運動変換機構であって、前記動力源の前記回転運動を前記ハブの直線運動に変換するように構成された運動変換機構と、
を含み、
前記動力源の動作により、前記運動変換機構の少なくとも一部が回転軸の周囲で回転し、
前記回転軸は、前記運動変換機構の少なくとも一部の回転中に、前記挿入機構ハウジングに対して実質的に静止している、装着式薬剤送達装置。
【請求項2】
前記ハブに取外し可能に取り付けられたカニューレガイドであって、前記流体経路コネクタと流体連通し、前記挿入機構ハウジングに関して、前記挿入機構ハウジングの前記近位端の付近の第一のカニューレガイド位置と前記挿入機構ハウジングの前記遠位端の付近の第二のカニューレガイド位置との間で移動可能であるカニューレガイドを含む、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項3】
中空の内部を有し、前記トロカール又は中空送達針と軸方向に整列するカニューレを含み、前記カニューレガイドは、前記カニューレの前記中空の内部と前記流体経路コネクタを流体接続するように構成されている、請求項2に記載の薬剤送達装置。
【請求項4】
前記カニューレガイドは、前記流体経路コネクタと流体連通し、前記挿入機構ハウジングに関して前記挿入機構ハウジングの前記近位端の付近の第一のマニホルド位置と前記挿入機構ハウジングの前記遠位端の付近の第二のマニホルド位置との間で移動可能なマニホルドである、請求項3に記載の薬剤送達装置。
【請求項5】
前記運動変換機構はピンとヨークを含み、前記ピンは前記ヨークに形成されたスロットの中にスライド可能に受けられる、請求項1~4の何れか1項に記載の薬剤送達装置。
【請求項6】
前記ピンは、前記動力源に動作的に接続されて、前記動力源からの回転運動を受け、前記ピンの第一の円弧にわたる第一の回転方向への回転によって、前記ヨークは遠位方向に直線運動し、前記ピンの第二の円弧にわたる前記第一の回転方向への回転によって、前記ヨークは近位方向に直線運動する、請求項5に記載の薬剤送達装置。
【請求項7】
前記ヨークは、前記ハブに剛体接続されるか、又はそれと一体に形成され、それによって前記ハブとヨークは相互に共同で移動する、請求項6に記載の薬剤送達装置。
【請求項8】
前記運動変換機構は、前記ヨークに形成された穴を通って延びるガイドポストを含み、前記ヨークは前記ガイドポストに関して移動可能である、請求項7に記載の薬剤送達装置。
【請求項9】
前記運動変換機構の少なくとも一部は、前記動力源により前記回転軸の周囲で回転可能な回転可能部材を含み、前記ピンは前記回転軸からずれた位置において前記回転可能部材から延びる、請求項5~7の何れか1項に記載の薬剤送達装置。
【請求項10】
前記ハブは、前記ハブがまず前記第一のハブ位置から前記第二のハブ位置へと移動して、前記トロカール又は中空針を前記挿入機構ハウジングから伸展させる第一の行程と、前記ハブがその後、前記第二のハブ位置から前記第一のハブ位置へと移動して、前記トロカール又は中空針を前記挿入機構ハウジングの中に引き込む第二の行程を有する、請求項2に記載の薬剤送達装置。
【請求項11】
前記ハブは、前記第一の行程中に前記カニューレガイドを前記第一のカニューレガイド位置から前記第二のカニューレガイド位置へと搬送する、請求項10に記載の薬剤送達装置。
【請求項12】
前記挿入機構ハウジングに接続され、前記カニューレガイドが前記第二のカニューレガイド位置にあるときに、前記カニューレガイドの近位方向を向く面と係合するように構成されるキャッチ部材を含む、請求項11に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項13】
前記ハブは、前記第二の行程中に前記キャッチ部材によって前記カニューレガイドから切断され、それによって前記キャッチ部材は、前記ハブが前記第一のハブ位置に戻る間に、前記カニューレガイドを前記第二のカニューレガイド位置に保持する、請求項12に記載の薬剤送達装置。
【請求項14】
前記キャッチ部材は、前記第一の行程中に弾性変形して、前記カニューレガイドが前記第二のカニューレガイド位置に移動できるように構成される、請求項12又は13に記載の薬剤送達装置。
【請求項15】
前記キャッチ部材は、当初は拡張状態を有するばねクリップを含み、前記ばねクリップは、前記第一の行程中に前記カニューレガイドにより圧縮され、その後、前記カニューレガイドが前記第二のカニューレガイド位置に到達すると前記拡張状態に戻る、請求項12~14の何れか1項に記載の薬剤送達装置。
【請求項16】
前記回転可能部材と選択的に係合し、その回転を防止するように構成されたロック部材を含む、請求項9に記載の薬剤送達装置。
【請求項17】
前記回転可能部材は、円形部分と非円形部分を含む外面を有し、前記ロック部材は、前記回転可能部材の回転中に前記円形部分に沿ってスライドするように構成され、前記ロック部材が前記非円形部分と係合すると、前記回転可能部材がそれ以上回転しないようにする、請求項16に記載の薬剤送達装置。
【請求項18】
薬剤送達装置のための挿入機構であって、
トロカール又は中空送達針と、
近位端と遠位端を有するハウジングと、
前記トロカール又は中空送達針を担持するハブであって、前記ハウジングに関して、前記ハウジングの前記近位端の付近の第一のハブ位置と前記ハウジングの前記遠位端の付近の第二のハブ位置との間で移動可能なハブと、
回転運動を生成するように構成された動力源と、
前記動力源及び前記ハブを動作的に接続する運動変換機構であって、前記動力源の前記回転運動を前記ハブの直線運動に変換するように構成された運動変換機構と、
を含み、
前記動力源の動作により、前記運動変換機構の少なくとも一部が回転軸の周囲で回転し、
前記回転軸は、前記運動変換機構の少なくとも一部の回転中に、前
記ハウジングに対して実質的に静止している、薬剤送達装置のための挿入機構。
【請求項19】
前記ハブに取外し可能に接続されたカニューレガイドを含み、前記カニューレガイドは、前記ハウジングに関して、前記ハウジングの前記近位端の付近の第一のカニューレガイド位置と前記ハウジングの前記遠位端の付近の第二のカニューレガイド位置との間で移動可能である、請求項18に記載の挿入機構。
【請求項20】
中空の内部を有し、前記トロカール又は中空送達針と軸方向に整列されるカニューレを含み、前記カニューレガイドは、前記カニューレの前記中空の内部と流体経路コネクタを流体接続するように構成される、請求項19に記載の挿入機構。
【請求項21】
前記カニューレガイドは、前記流体経路コネクタと流体連通し、前記ハウジングに関して前記ハウジングの前記近位端の付近の第一のマニホルド位置と前記ハウジングの前記遠位端の付近の第二のマニホルド位置との間で移動可能なマニホルドである、請求項20に記載の挿入機構。
【請求項22】
前記運動変換機構はピンとヨークを含み、前記ピンは前記ヨークに形成されたスロットの中にスライド可能に受けられる、請求項18~21の何れか1項に記載の挿入機構。
【請求項23】
前記ピンは、前記動力源に動作的に接続されて、前記動力源からの回転運動を受け、前記ピンの第一の円弧にわたる第一の回転方向への回転によって、前記ヨークは遠位方向に直線運動し、前記ピンの第二の円弧にわたる前記第一の回転方向への回転によって、前記ヨークは近位方向に直線運動する、請求項22に記載の挿入機構。
【請求項24】
前記ヨークは、前記ハブに剛体接続されるか、又は前記ハブと一体に形成され、それによって前記ハブとヨークは相互に共同で移動する、請求項23に記載の挿入機構。
【請求項25】
前記運動変換機構は、前記ヨークに形成された穴を通って延びるガイドポストを含み、前記ヨークは前記ガイドポストに関して移動可能である、請求項24に記載の挿入機構。
【請求項26】
前記運動変換機構は、前記動力源により回転軸の周囲で回転可能な回転可能部材を含み、前記ピンは前記回転軸からずれた位置において前記回転可能部材から延びる、請求項22~25の何れか1項に記載の挿入機構。
【請求項27】
前記ハブは、前記ハブがまず前記第一のハブ位置から前記第二のハブ位置へと移動して、前記トロカール又は中空針を前記ハウジングから伸展させる第一の行程と、前記ハブがその後、前記第二のハブ位置から前記第一のハブ位置へと移動して、前記トロカール又は中空針を前記ハウジングの中に引き込む第二の行程を有する、請求項19に記載の挿入機構。
【請求項28】
前記ハブは、前記第一の行程中に前記カニューレガイドを前記第一のカニューレガイド位置から前記第二のカニューレガイド位置へと搬送する、請求項27に記載の挿入機構。
【請求項29】
前記ハウジングに接続され、前記カニューレガイドが前記第二のカニューレガイド位置にあるときに、前記カニューレガイドの近位方向を向く面と係合するように構成されるキャッチ部材を含む、請求項28に記載の挿入機構。
【請求項30】
前記ハブは、前記第二の行程中に前記キャッチ部材によって前記カニューレガイドから切断され、それによって前記キャッチ部材は、前記ハブが前記第一のハブ位置に戻る間に、前記カニューレガイドを前記第二のカニューレガイド位置に保持する、請求項29に記載の挿入機構。
【請求項31】
前記キャッチ部材は、前記第一の行程中に弾性変形して、前記カニューレガイドが前記第二のカニューレガイド位置に移動できるように構成される、請求項29又は30に記載の挿入機構。
【請求項32】
前記キャッチ部材は、当初は拡張状態を有するばねクリップを含み、前記ばねクリップは、前記第一の行程中に前記カニューレガイドにより圧縮され、その後、前記カニューレガイドが前記第二のカニューレガイド位置に到達すると前記拡張状態に戻る、請求項29~31の何れか1項に記載の挿入機構。
【請求項33】
前記回転可能部材と選択的に係合し、その回転を防止するように構成されたロック部材を含む、請求項26に記載の挿入機構。
【請求項34】
前記回転可能部材は、円形部分と非円形部分を含む外面を有し、前記ロック部材は、前記回転可能部材の回転中に前記円形部分に沿ってスライドするように構成され、前記ロック部材が前記非円形部分と係合すると、前記回転可能部材がそれ以上回転しないようにする、請求項33に記載の挿入機構。
【請求項35】
前記動力源は、前記回転可能部材に動作的に連結されたねじりばねであり、前記ねじりばねは当初付勢状態にある、請求項26又は34に記載の挿入機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
2017年3月9日に出願された米国仮特許出願第62/469,226号の優先権を主張するものであり、同仮出願の全体を参照によって本願に援用する。
【0002】
本開示は一般に薬剤送達装置に関し、より詳しくは、薬剤送達装置のトロカール又は中空送達針を、薬剤送達装置内に貯蔵された体積の薬剤を患者に送達できるように患者に挿入するための機構と方法に関する。
【背景技術】
【0003】
装着型インジェクタ等、一部の薬剤送達装置は、注射針又は他の何れかの手段を通じて薬剤を長時間にわたって送達するために、一時的に患者に取り付けられてよい。薬剤送達装置は、患者の腹部、大腿部、腕、又は患者の体の他の何れかの部分の組織に取り付けられてよい。
【0004】
場合により、薬剤送達装置は、薬剤注入中に数分又は数時間にわたって患者により着用されてよい。例えば、生物製剤等の高粘性の薬剤は、薬剤送達装置からそれを押し出すために必要な力から、注入時間が長くかかる可能性がある。さらに、一部の薬剤送達装置は診療所で患者に取り付けられて、患者が自宅に戻ってから薬剤が患者に送達されるように構成される。これら及びその他の理由により、剛体の注入部材が患者の体内に実質的な時間にわたって残されるかもしれず、これは患者に不快や不安を与え得る。
【0005】
この問題に対処するために、薬剤送達装置の中には、薬剤を患者に届けるための柔軟な材料からなるカニューレが組み込まれたものがある。このようなカニューレは、患者の体の動きに合わせて曲げることができ、したがって、剛体の針より快適であるかもしれない。しかしながら、その柔軟性によって、カニューレは挿入時に患者の皮膚を貫通するのが難しいかもしれない。そのため、イントロデューサニードル又はトロカールを使って、最初に皮膚を穿刺し、カニューレのための通路を作ることがある。その後、トロカールは抜かれ、カニューレの一部が患者の体に刺入されたまま残り得る。
【0006】
トロカール及び/又はカニューレの挿入及び/又は引込運動は、薬剤送達装置内に配置された挿入機構を取り入れることによって実現されてよい。しかしながら、このような挿入機構により、薬剤送達装置の全体的な大きさ、複雑さ、及び/又は費用が増大するかもしれない。
【0007】
本開示は、本明細書に記載されている課題又はニーズのうちの1つ又は複数に対処するほか、その他の利益と利点を提供するかもしれないような、既存の挿入機構と方法の有利な代替案を実現する挿入機構及び関連する方法を提示する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一の態様によれば、装着式薬剤送達装置は、主ハウジングと、主ハウジング内に配置された容器と、主ハウジング内に配置された挿入機構と、容器と挿入機構との間に滅菌流体流路を画定する流体経路コネクタと、を含んでいてもよい。挿入機構は、トロカール又は中空送達針と、近位端と遠位端を有する挿入機構ハウジングと、を含んでいてもよい。さらに、挿入機構はマニホルドを含んでいてもよく、これは流体経路コネクタと流体連通し、挿入機構ハウジングに関して挿入機構ハウジングの近位端の付近の第一のマニホルド位置と挿入機構ハウジングの遠位端の付近の第二のマニホルド位置との間で移動可能である。トロカール又は中空送達針を担持するハブはマニホルドに取外し可能に接続されてもよく、ハブは挿入機構ハウジングに関して、挿入機構ハウジングの近位端の付近の第一のハブ位置と挿入機構ハウジングの遠位端の付近の第二のハブ位置との間で移動可能である。さらに、動力源は回転運動を起こさせるように構成されてもよく、運動変換機構は、動力源とハブに動作的に接続されて、動力源の回転運動をハブの直線運動に変換するように構成されてもよい。
【0009】
第二の態様によれば、挿入機構は、トロカール又は中空送達針と、近位端と遠位端を有するハウジングと、を含んでいてもよい。さらに、挿入機構は、ハウジングに関してハウジングの近位端の付近の第一のマニホルド位置とハウジングの遠位端の付近の第二のマニホルド位置との間で移動可能なマニホルドを含んでいてもよい。トロカール又は中空送達針を担持するハブはマニホルドに取外し可能に接続されてもよく、ハブはハウジングに関して挿入機構ハウジングの近位端の付近の第一のハブ位置とハウジングの遠位端の付近の第二のハブ位置との間で移動可能である。さらに、動力源は、回転運動を生じさせるように構成されてよく、運動変換機構は、動力源とハブに動作的に接続されて、動力源の回転運動をハブの直線運動に変換するように構成されてもよい。
【0010】
第三の態様によれば、方法は、容器と、容器内に配置された薬剤と、挿入機構と、容器と挿入機構との間に滅菌流体流路を画定する流体経路コネクタと、を含み、挿入機構が挿入機構ハウジングと、ハブと、ハブに固定されたトロカール又は中空送達針と、流体経路と流体連通し、ハブにより担持されるマニホルドと、回転運動を生じさせる動力源と、動力源とハブを動作的に接続して、動力源の回転運動をハブの直線運動に変換するように構成された回転部材を有する運動変換機構と、を含むような装着式薬剤送達装置を提供するステップを含んでいてもよい。次に、方法は、装着式薬剤送達装置を患者の皮膚と接触した状態に配置するステップと、動力源を作動させて、ハブ、トロカール又は中空送達針、及びマニホルドを遠位方向に直線運動させて、トロカール又は中空送達針が患者の皮膚を穿刺するようにするステップと、を含んでいてよい。それに続いて、方法は、ハブを近位方向に移動させることによって、トロカール又は中空送達針を患者から引き込むステップを含む。方法は、流体経路コネクタを通じて、患者に皮下送達するために薬剤を容器から押し出すステップを含んでいてもよい。
【0011】
上記の第一及び第二の態様と方法のうちの何れか1つ又は複数によれば、薬剤送達装置のための挿入機構及び方法は以下の形態又は方法ステップのうちの何れか1つ又は複数を含んでいてもよい。
【0012】
1つの形態において、挿入機構は、中空の内部を有し、トロカール又は中空送達針と軸方向に整列するカニューレを含んでいてもよい。マニホルドは、カニューレの中空内部と流体経路コネクタを流体接続するように構成されてもよい。
【0013】
1つの形態において、運動変換機構は、ピンとヨークを含んでいてもよく、ピンはヨーク内に形成されたスロット内にスライド可能に受け入れられる。
【0014】
1つの形態において、ピンは動力源に動作的に接続され、それからの回転運動を受けていてよい。ピンが第一の回転方向に第一の円弧にわたって回転すると、ヨークは遠位方向に直線運動し得、ピンが第一の回転方向に第二の円弧にわたって回転すると、ヨークは近位方向に直線運動し得る。
【0015】
1つの形態において、ヨークはハブに剛体的に接続されるか、一体に形成されてよく、それによってハブとヨークは一緒に共同で移動する。
【0016】
1つの形態において、運動変換機構は、ヨークに形成された穴を通って延びるガイドポストを含んでいてよく、ヨークはガイドポストに関して移動可能である。
【0017】
1つの形態において、運動変換機構は、動力源によって回転軸の周囲で回転可能な回転可能部材を含んでいてもよい。ピンは、回転軸からずれた位置において回転可能部材から延びていてよい。
【0018】
1つの形態において、ハブは第一の行程を有していてもよく、その中でハブはまず、第一のハブ位置から第二のハブ位置へと移動して、トロカール又は中空針を挿入機構ハウジングから伸展させる。ハブは第二の行程をさらに含んでいてもよく、その中でハブは続いて第二のハブ位置から第一のハブ位置へと移動して、トロカール又は中空針を挿入機構ハウジングの中に引き込む。
【0019】
1つの形態において、ハブは、第一の行程中に第一のマニホルド位置から第二のマニホルド位置へとマニホルドを輸送してよい。
【0020】
1つの形態において、挿入機構はキャッチ部材を含んでいてもよく、これは挿入機構ハウジングに接続され、マニホルドが第二のマニホルド位置にあるときにマニホルドの近位方向を向く面と係合するように構成される。
【0021】
1つの形態において、ハブは第二の行程中にキャッチ部材によってマニホルドから切断されてもよく、それによってキャッチ部材は、ハブが第一のハブ位置に戻る間にマニホルドを第二のマニホルド位置に保持できる。
【0022】
1つの形態において、キャッチ部材は、第一の行程中に弾性変形して、マニホルドが第二のマニホルド位置へと移動可能となるように構成されてよい。
【0023】
1つの形態において、キャッチ部材は、当初は拡張状態を有するばねクリップを含み得、ばねクリップは第一の行程中、マニホルドによって圧縮され、その後、マニホルドが第二のマニホルド位置に到達すると、拡張状態へと戻る。
【0024】
1つの形態において、挿入機構はロック部材を含んでいてもよく、これは回転部材と選択的に係合し、その回転を防止するように構成される。
【0025】
1つの形態において、回転可能部材は、円形部分と非円形部分を含む外面を有していてよく、ロック部材は、回転部材の回転中に円形の部分に沿ってスライドし、ロック部材が非円形部分と係合すると、回転可能部材がそれ以上回転しないよう構成される。
【0026】
方法の1つの形態において、動力源を作動させるステップは、マニホルドに固定されたカニューレを遠位方向へと直線運動させて、トロカール及びカニューレが患者の皮膚を穿刺するようにするステップを含んでいてよい。
【0027】
方法の1つの形態において、トロカール又は中空送達針を引き込むステップは、ハブが近位方向に移動してトロカールを患者から引き込むときに、ハブをマニホルドから切断するステップをさらに含んでいてよい。
【0028】
方法の1つの形態において、薬剤を押し出すステップは、薬剤を容器から流体経路コネクタを通じて、患者に皮下送達するためにカニューレの中へと押し出すステップを含んでいてよい。
【0029】
1つの形態において、方法は、運動変換機構を作動させるステップを含んでいてもよく、回転変換機構の回転部材はヨークを含み、回転可能部材はピンを含み、ピンはヨークに形成されたスロットの中にスライド可能に受けられる。
【0030】
1つの形態において、方法は、回転可能部材とピンを回転させるステップを含んでいてよく、回転可能部材は動力源に動作的に接続され、回転可能部材の回転によってピンは第一の回転方向に第一の円弧にわたって回転し、それによってヨークは遠位方向に直線運動し、また、回転可能部材の回転はピンを第一の回転方向に第二の円弧にわたって回転させ、それによってヨークは近位方向に直線運動する。
【0031】
1つの形態において、方法は、運動変換機構によってヨークをガイドポストに沿ってスライドさせるステップを含んでいてもよく、ガイドポストはヨークに形成された穴を通って延び、ヨークはガイドポストに関して移動可能である。
【0032】
1つの形態において、動力源を作動させるステップは、第一の行程中にハブを挿入機構ハウジングの近位端の付近の第一のハブ位置から挿入機構ハウジングの遠位端の付近の第二のハブ位置へと移動させて、トロカール又は中空針を挿入機構ハウジングから伸展させるステップを含んでいてもよい。
【0033】
方法の1つの形態において、トロカール又は中空送達針を引き込むステップは、第二の行程中にハブを第二のハブ位置から第一のハブ位置へと移動させるステップを含んでいてもよい。
【0034】
1つの形態において、方法は、第一の行程中にハブによってマニホルドを挿入機構ハウジングの近位端の付近の第一のマニホルド位置から挿入機構ハウジングの遠位端の付近の第二のマニホルド位置へと搬送するステップを含んでいてもよい。
【0035】
方法の1つの形態において、マニホルドが第二のマニホルド位置にあるときに、挿入機構ハウジングに接続されたキャッチ部材によってマニホルドの近位方向を向く面と係合させるステップ。
【0036】
方法の1つの形態において、トロカール又は中空送達針を引き込むステップは、第二の行程中にキャッチ部材によってハブをマニホルドから切断し、ハブが第一のハブ位置に戻る間にキャッチ部材がマニホルドを第二のマニホルド位置に保持するようにするステップを含んでいてもよい。
【0037】
方法の1つの形態において、マニホルドの近位方向を向く面と係合させるステップは、キャッチ部材を、マニホルドがキャッチ部材を通過して遠位方向へと移動したときにまず変形した後に初期の拡張状態に戻すステップを含んでいてもよい。
【0038】
方法の1つの形態において、動力源を作動させるステップは、運動変換機構の回転可能部材に動作的に連結された、付勢されたねじりばねを解放するステップを含んでいてもよい。
【0039】
1つの形態において、方法は回転可能部材の一部を阻止縁と係合させて、回転可能部材が回転しないようにするステップを含んでいてもよい。
【0040】
方法の1つの形態において、回転可能部材の一部を係合させるステップは、ハブが近位方向に移動する前にロック部材を回転可能部材に向かって回転させるステップを含んでいてもよく、ロック部材は阻止縁を有し、回転可能部材と選択的に係合し、その回転を阻止するように構成される。
【0041】
方法の1つの形態において、回転可能部材の一部を係合させるステップは、回転可能部材の非円形部分を、阻止縁を含む挿入機構ハウジングと係合させるステップを含んでいてもよく、非円形部分は、ハブが近位方向に移動した後に阻止縁と係合する。
【0042】
本開示は、添付の図面と共に読まれる以下の説明からよりよく理解されると思われる。図面のいくつかは、他の要素をより明瞭に示すことを目的として、選択された要素を省くことによって簡略化されているかもしれない。幾つかの図面におけるこのような要素の省略は、それに対応する説明文の中に明記されていないかぎり、必ずしもその例示的実施形態の何れかにおける特定の要素の有無を示しているわけではない。また、図面の何れも、必ずしも正確な縮尺によっているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本開示の教示による挿入機構を有する薬剤送達装置の1つの実施形態の略図である。
【
図2】本開示の教示にしたがって組み立てられた、発射前の状態にある挿入機構の1つの実施形態の斜視図である。
【
図4】
図2の線F-Fに沿った、挿入機構の断面図を示す。
【
図7】
図2~6の挿入機構のハブ、トロカール、マニホルド、カニューレ、及び流体経路コネクタの断面図を示す。
【
図8】本開示の教示にしたがって構成された第四の例示的な挿入機構の断面図を示し、挿入機構は発射前の状態にある。
【
図10】本開示の教示にしたがって構成された第二の例示的な挿入機構の部分図を示し、挿入機構は挿入状態にある。
【
図11】
図10の挿入機構のハブ及びカニューレガイドアセンブリを示す。
【
図12】本開示の教示にしたがって構成された第二の例示的な薬剤送達装置の断面図を示す。
【
図13】
図12の第三の例示的な挿入機構のハブ、中空針、カニューレガイド、カニューレ、及び流体経路コネクタの断面図を示す。
【
図14】本開示の教示にしたがって構成された第五の例示的な挿入機構を示し、挿入機構は発射前の状態にある。
【
図17】
図14~16の挿入機構のハブ及びカニューレガイドを示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本開示による薬剤送達装置10の1つの実施形態を示す。少なくとも1つの実施形態において、薬剤送達装置10は、装着型インジェクタ等、装着式薬剤送達装置として構成されてよく、これは患者の組織12(例えば、患者の皮膚)に取り付けて、投薬治療を行う。薬剤送達装置10は、一定の、又は患者/オペレータが設定可能な量の薬剤の皮下注射を制御された、又は選択された期間にわたって自動的に送達する。薬剤送達装置10は、患者による自己投与用であっても、また介護士や正式な訓練を受けた医療関係者によって注入を行うために使用されてもよい。
【0045】
薬剤送達装置10は、容器14、挿入機構18、流体経路コネクタ22、駆動機構24、及びコントローラ26を含んでいてもよく、その各々は薬剤送達装置10の主ハウジング30の中に配置されてよい。アクチュエータ28(例えば、押しボタン)が主ハウジング30の外部に配置されて、挿入機構18、駆動機構24、及び/又はコントローラ26を機械的及び/又は電気的手段(
図1においては破線で示されている)を介して作動させることによって薬剤送達装置10の動作を開始するように構成されてもよい。流体経路コネクタ22は、容器14と挿入機構18との間の滅菌流体流路38を画定する。流体経路コネクタ22は容器アクセス機構29を含んでいてもよく、これは、例えばアクチュエータ28を介して薬剤送達装置10が作動されたことに応答して、容器の針27を容器14に関連付けられた隔壁32に穿刺して容器14と滅菌流体流路38との間の流体連通を確立させるように構成される。主ハウジング30は、釈放可能に患者の皮膚12に取り付けられる(例えば、接着剤により接着される)底壁36と、1つ又は複数の表示ランプ42及び/又は容器14を見るための窓(図示せず)を含む上壁40を含んでいてもよい。開口44が底壁36に形成されてもよく、任意選択により、隔壁48は開口44にわたって延び、使用前に主ハウジング30の内部が密閉された状態であるようにしてもよい。挿入機構18の外部は、主ハウジング30とは別の挿入機構ハウジング50により画定されてもよい。
【0046】
薬剤送達装置10を作動させると、挿入機構18はカニューレ34及び/又はトロカール(又は中空送達針)66を開口44から隔壁48を貫通して患者の組織12へと挿入してもよい。その後、トロカール66は患者の組織12から抜き取られて、挿入機構ハウジング50の中に再び引っ込み、その一方でカニューレ34は患者の組織12中に留置されたまま残る。それと同時に、又はその後、薬剤送達装置10は、容器14と流体経路コネクタ22との間の流体連通を確立するために必要な接続を可能にし、接続し、又は開通させて良い。次に、駆動機構24は、容器14内に貯蔵された薬剤46を、患者に皮下送達するために、流体経路コネクタ22の滅菌流体流路38を通ってカニューレ34へと押し出してもよい。
【0047】
図2~7は、
図1の挿入機構18の1つの実施形態に対応する挿入機構100を示す。挿入機構100は、
図1に示される薬剤送達装置10等の薬剤送達装置に組み込まれてよい。挿入機構100は、挿入機構ハウジング102と、トロカール106と、軸方向に整列されて当初はトロカール106を取り囲む中空内部112を有するカニューレ110と、を含む。さらに、挿入機構100は、カニューレ110を担持すカニューレガイド114とトロカール106を担持するハブ116を含む。挿入機構100は、動力源118と、動力源118とハブ116を動作的に接続する運動変換機構122と、作動部材170と、を有する。
【0048】
挿入機構100の機能と動作を、3つの状態、すなわち
図2及び4に示される、トロカール106とカニューレ110が留置される前である発射前の状態、
図5に示される、トロカール106とカニューレ110の両方がハウジング102から延びて、薬剤送達のための流体経路を確立している挿入状態、及び
図6に示される、トロカール106がハウジング102に再び引き戻され、カニューレ110はハウジングから伸展して薬剤送達のための位置にとどまっている引込状態について説明する。
図7において、マニホルド114は流体経路コネクタ22と流体連通しており、カニューレ110の中空内部112と流体経路コネクタ22とを流体接続するように構成される。カニューレガイド114は、ハウジング102に関して、
図2及び4に示されるハウジング102の近位端126の付近の第一のカニューレガイド位置と
図3及び6に示されるハウジング102の遠位端130の付近のカニューレガイドマニホルド位置との間で移動可能である。ハブ116は、カニューレガイド114に取外可能に接続され、ハウジング102に関して、
図2、4、及び6に示されるハウジング102の近位端126の付近の第一のハブ位置と
図5に示されるハウジング102の遠位端130の付近の第二のハブ位置との間で移動可能である。この例において、カニューレガイドはマニホルド114である。
【0049】
幾つかの実施形態において、トロカール106は、鋭利な、又は斜めの遠位先端を有していてもよく、それによってトロカール106は患者の組織12を穿刺して、カニューレ110を患者の体内に導入することができる。トロカール106は、イントロデューサニードルとも呼ばれてよい。幾つかの実施形態において、トロカール106は中実であってもよく、それゆえ中空の中央を持たない。この導入機能を容易にするために、トロカール106はカニューレ110より硬質材料で製作されてよい。幾つかの実施形態において、トロカール106は金属製であってよく、それに対してカニューレ110はプラスチック製であってよい。さらに、カニューレ110の相対的柔軟性によって、カニューレ110は、数分間、数時間、又は数日にわたって患者の体内に、患者に実質的な不快感を与えることなく留置されるのに適したものとなる。他の実施形態において、トロカール106及びカニューレ110は、中空の送達針に置き換えられても、又はトロカール106が中空のカニューレ110の中に配置された中空の送達針に置き換えられてもよい。
【0050】
図2及び3に示されるように、挿入機構100の動力源118はねじりばね134を含んでいてもよく、運動変換機構122は動力源118に動作的に連結されたスコッチヨーク機構であってよい。運動変換機構122は、動力源118の回転運動をハブ116及びマニホルド114の往復直線運動に変換して、トロカール106とカニューレ110を患者の組織12に挿入するように構成される。動力源118に障害や干渉を加えることなく、運動変換機構122は、360度の回転が完了する前に、ハブ116を第二のハブ位置から第一のハブ位置へと移動させることによって、患者の組織12からトロカール106を引き続き引き込むことができる。ハウジング102に取り付けられたキャッチ部材138は変形して、マニホルド114が第一のマニホルド位置(すなわち、第一のカニューレガイド位置)から第二のマニホルド位置(すなわち、第二のカニューレガイド位置)へと移動できるようにする。マニホルド114が第二のマニホルド位置にあると、キャッチ部材138はその初期形状に戻ってマニホルド114と係合し、カニューレ110は留置状態のまま、トロカール106はハウジング102の中に引き戻される。運動変換機構122のピン150が1回スムーズに回転する間に、挿入機構100はトロカール106とカニューレ110の両方を挿入して、薬剤送達路を確立し、その後、患者又は医療従事者が追加のステップをとることなく、トロカール106を自動的に引き抜いてよい。スコッチヨーク機構122のスムーズな回転により、詳しくは後述するように、患者にとってスムーズで快適な挿入が行われるかもしれず、薬剤送達のために柔軟なカニューレだけが挿入されたままとされる。
【0051】
図2及び3において、運動変換機構122と動力源118は、挿入機構100のハウジング102の中の、カバー140と基底部142との間に収容されている。動力源118と運動変換機構122をまずハウジング102の基底部142に取り付けてから、カバー140を基底部142に取り付けて、この系が薬剤送達装置の残りの部分とは別に取り囲まれるようにしてもよい。この実施形態において、ハウジング102のカバー140と基底部142は別々に製造され、その後、ハウジング102のそれぞれの角において複数の固定具144により一体に固定される。作動部材170はカバー140に、作動部材170がハウジング102の外から操作できるように動作的に接続され、発射前の状態で、ハウジング102内の動力源118と係合するように構成される。基底部142は、仕切り壁146を含み、これは運動変換機構122と動力源118を異なるハウジングコンパートメントに分ける。仕切り壁146は、支持構造を提供して、運動変換機構122と動力源118との組立と動作的接続を容易にする。動力源118は運動変換機構122に仕切り壁146を介して動作的に接続され、これは回転軸Bの周囲での動力源118と運動変換機構122の同軸配列を助ける。それに加えて、仕切り壁146により形成される別々のコンパートメントにより、動力源118と運動変換機構122の系は隣接する系を妨害せずに、協働して動作することが可能となる。薬剤送達装置の中の挿入機構100が突然動いた場合、又は構成部品が故障した場合でも、各系の動いた部品はそれぞれのコンパートメント内に保持され、隣接するコンパートメントの中に入ってさらに機能停止及び/又は故障を引き起こすということが起こりえない。さらに、異なるコンパートメントが基底部142に取り付けた後にカバー140を組み立てることは簡単であり、複雑な組立に伴うコストが削減される。その他の実施形態において、ハウジング102は別々の基底部及びカバー構成部品を持たない一体の構成部品であってもよい。
【0052】
ハウジングの前側コンパートメントの中で、運動変換機構122は回転可能部材148と、回転可能部材148から延びるピン150と、ヨーク152と、第一及び第二のガイドポスト154a及び154bと、を含む。運動変換部材122のピン150の均一な回転速さにより、ヨーク152の単純な調和運動が得られ、それによってトロカール106をスムーズに挿入し、引き込むことができる。
図2及び3では見えないが、ヨーク152はピン150をスライド可能に受けるスロット186を含む。スロットは、貫通穴でも、ヨーク152を完全に貫通する前に終わる溝であってもよい。ピン150は、回転可能部材148の回転軸Bからずれた位置において、回転可能部材148の非円形部分160から延びる。ヨーク152は、第一及び第二の穴158a及び158bを含み、その中にそれぞれのガイドポスト154a及び154bの各々が延びる。図の実施形態において、ヨーク152はハブ116に剛体的に接続されるか、それと一体に形成され、ハブ116とヨーク152は、ガイドポスト154a及び154bに沿った、それと平行な遠位及び近位方向D及びEに単体として共同で移動する。
【0053】
仕切り壁を通じて、動力源118と回転可能部材148は動作的に接続される。ピン150も動力源118に動作的に接続されて、動力源118からの回転運動を、回転可能部材148を介して受け取る。動力源118はマンドレル162を含み、これは回転可能部材148をハウジング102内で支持し、回転可能部材148を回転軸Bと整列した状態に保ち、ねじりばね134の回転力を運動変換機構122に伝え、挿入機構100が発射前の状態にある時にねじりばね134を付勢された状態に保持する役割を果たす。マンドレル162は一端が回転可能部材148の中央部分164と固定具によって螺合されてよい。反対の端で、マンドレル162はフランジ166を含み、これは作動部材170を受ける大きさのキースロット168を有する。マンドレル162は、ねじりばね134に動作的に連結されて、マンドレル162が解放されると、ねじりばね134がマンドレル162を回転させる。発射前の状態では、マンドレル162のフランジ166が作動部材170と係合して、ねじりばね134を付勢された状態に保つ。作動された作動部材170はマンドレルのフランジ166から外れ、それによってねじりばね134はマンドレル152、ピン150、及び回転可能部材148を回転軸Bの周囲で方向Cに回転させる。マンドレル162とねじりばね134は、付勢されるパッケージの中に提供して、組立中にばねが解放される可能性を低減させてもよい。各端がハウジング102の基底部142に固定されてから、運動変換機構122が提供される。カバー140が基底部142に取り付けられると、動力源118は作動部材170が作動されたときに動力源118を解放できる状態をとるかもしれない。他の実施形態において、動力源118は、加圧ガス機構、電気モータ、弾性膜、ねじりばね、板ばね、及び/又は運動変換機構122に関連付けられる構成部品を回転させるためのエネルギーをためて、解放するための他の何れか適当な機構により画定されてもよい。
【0054】
図3に示されるように、作動部材170は、ロッカ172と、フランジ166のキースロット168と係合する大きさのキー174と、付勢部材176と、ピン178と、を含む。ピン178は、ロッカ172内の孔177、キー174の孔、及びカバー140の孔179を通って、ロッカ172とキー174をカバー140に旋回可能に接続する。作動部材170は、ハウジング102のカバー140に形成された穴180内に配置され、付勢部材176はカバー140内に配置され、一部は穴180の中へと伸びる。挿入機構100が組み立てられると、作動部材170はハウジング102の外から操作可能であり、その一方で、ハウジング102内に配置された動力源118と係合し、これを作動させるように構成される。発射前の状態では、付勢部材176がロッカ172を付勢して、第一のロッカ位置となるようにし、この位置ではキー174の前部分182aは付勢部材176から離れるように移動し、キー174の後ろ部分182bはカバー140の穴180を通って配置され、マンドレル166のキースロット168内に配置される。作動部材170を作動させるために、ロッカ172が押され、ロッカ172とキー174がピン178の周囲で旋回又は回転し、それによってキー174の前部分182aが付勢部材176に押し付けられ、後ろ部分182bはマンドレル162のキースロット168と接触しなくなる。それと同時に、又はその後、マンドレル162は解放されて、ねじりばね134がマンドレル162に一定のねじり負荷をかけ、マンドレル162、ピン150、及び回転可能部材148を回転軸Bの周囲で回転させる。幾つかの実施形態において、挿入機構100の作動部材170は、
図1の薬剤送達装置10のアクチュエータ28に機械的に接続されてもよく、それによって患者又は医療従事者がアクチュエータ28を手で動かすと、挿入機構100が作動させられてもよい。他の実施形態において、作動部材170の移動は、患者又は医療従事者がアクチュエータ28を移動させたことに応答して、コントローラ26により操作される電磁的特徴により実現されてもよい。
【0055】
ここで、挿入機構100について、
図4~6に示される時系列を参照しながら説明する。これらの図中、回転可能部材148は透明であり、明瞭を期して、挿入機構の構成部品の動きを示すために、動力源118は隠されている。まず
図4を見ると、挿入機構100の運動変換機構122は発射前の状態で示されている。回転可能部材148は、ハウジング102のカバー140と基底部142との間に配置され、ページの中へと入る回転軸Bの周囲で回転方向Cに回転可能である。回転可能部材148は、回転軸Bからピン150の中心点へと延びる曲率半径R
1の非円形部分160と、回転軸Bから回転可能部材148の円周面190へと延びる曲率半径R
2の円形部分188と、を有する。非円形部分160の尖端185はハウジング102のカバー140から下方へと突出して尖端185の円周経路187内に配置された阻止縁194と接触する。ピン150は、ヨーク152に形成されたスロット186の中に配置され、ここでスロット186は第一の端196aから第二の端196bへとハウジング102の縦軸Aに垂直な、又はそれ以外に平行でない方向に延びる溝により画定される。幾つかの実施形態において、スロット186は、線形又は実質的に線形の形状を有していてもよい。ピン150は、回転軸Bからずれた地点から、それと平行な方向に延び、回転可能部材148の非円形部分160に配置される。発射前の状態で、ピン150はスロット186の第二の端196bの付近の近位側に配置され、その後、それが回転方向Cに回転しながら第二の端196bに近付く。回転可能部材148が方向Cに回転すると、ピン150は回転軸Bの周囲で、半径R
1により画定される外周経路151に沿って回転し、それによってヨーク152は遠位方向Eにスライドする。
【0056】
発射前の状態で示されているように、ハブ116はハウジング102の近位端126の第一のハブ位置にあり、カバー140に関してマニホルド114の上方に配置され、マニホルド114は第一のマニホルド位置にある。ハブ116とマニホルド114は、ハブ116が遠位方向Eに移動すると取外し可能に接続されてよく、ハブ116とマニホルド114がそのそれぞれの第二の位置に到達するまでトロカール106をカニューレ110の中空内部112の中に配置された状態に保つ。ハブ116とマニホルド114は、摩擦、結合剤、接着剤、又はその他、マニホルド114がキャッチ部材138によってハブ116から外されるまでマニホルド114をハブ116に接続された状態に保持するのに適した機械的取付手段により接続されるか、又は取外し可能に取り付けられてもよい。ヨーク152は、第一及び第二のガイドポスト154a及び154bをスライド可能に受けるような大きさの2つの平行な穴158a及び158bを含み、マニホルド114は、ガイドポスト154a及び154bの周囲にフィットする大きさと形状の2つのアーチ状の縁165a及び165bを含む。回転可能部材148の回転中、第一及び第二のガイドポスト154a及び154bは、ヨーク152の運動を、長さ方向軸Aに平行又は実質的に平行な直線又は実質的に直線方向に制約してもよい。ハブ116は、ヨーク152のスロット186の背後で、穴158a及び158b間に鼻部分198を含み、これは
図2及び3に示されている。鼻部分198は、マニホルド114の前部分200に隣接し、そこに取外し可能に取り付けられてよい。鼻部分198は幅W
Hを有し、前部分200は、鼻部分198と前部分200の両方がキャッチ部材138より画定される空間202間でスライドできるような大きさの幅W
Mを有する。マニホルド114の前部分200は、
図1の薬剤送達装置10の流体コンジット22を受けるように構成される。
【0057】
図2、3、及び4に示されるように、キャッチ部材138は、マニホルド114の経路内でハウジング102に取り付けられた、又はそれ以外に固定された第一及び第二のばねクリップ204a及び204bを含む。そのように構成されると、各ばねクリップ204a及び204bは、マニホルド114の前部分200が空間202を通ると変形し、その後、弾性によりその当初の位置に戻ってマニホルド114を挿入状態にロックする。各ばねクリップ204a及び204bは、ハウジング102に固定された穴付きフランジ206a及び206bと、ハウジング102内に配置され、穴付きフランジ206a及び206bに関して外側に広がるアーム208a及び208bを含む。各フランジ206a及び206bは、複数の固定具144のうちの1つを受け、ハウジング102のカバー140と基底部142との間に固定される。各アーム208a及び208bは、それぞれのフランジ206a及び206bから延びて、関節部210a及び210bにおいて下方に曲がる。各アーム208a及び208bは、関節部210a及び210bから外側に延びる遠位端212a及び212bを有し、それによって遠位端212a及び212bは、ハウジング102の長さ方向軸Aに関して内側に配置される。キャッチ部材138により形成される空間202は、ばねクリップがその拡張状態にあるときに、関節部間の距離D
Jと遠位端間の距離D
Eにより画定される。キャッチ部材138は弾性変形し、それによって遠位端間の距離D
Eは少なくともマニホルド114の前部分200の幅W
Mと等しくなるまで広がり、それによってマニホルド114は第二のマニホルド位置に移動できる。キャッチ部材138は、マニホルド114が第二のマニホルド位置に至ると当初の形状に戻り、マニホルド114の近位方向を向く面214と係合する。ハブの鼻部分198の幅W
Hはキャッチ部材138が拡張したときの距離D
Eより小さいため、鼻部分198はハブ116が第一のハブ位置に戻ると、スライドしてキャッチ部材138を通過する。
【0058】
図10及び11に示される他の例において、第二の例示的挿入機構101は異なるキャッチ部材138を含んでいてもよく、これは、ハブ117とカニューレガイド113が挿入状態へと移動するとカニューレガイド113と係合するように構成される。運動変換機構123はヨーク153と回転可能部材149を含み、これによってヨーク152と、したがってハブ117とカニューレガイド113は、回転可能部材149が回転すると直線運動する。カニューレガイド113は、マニホルド114と同様であってよく、カニューレ109を担持し、ハブ117は中空送達針105を薬剤送達のための挿入位置へと搬送する。カニューレガイド113とカニューレ109は、ハブ117と中空送達針105が第一のハブ位置に戻る際に、第二の、挿入位置にとどまる。キャッチ部材138は、ハウジング103の基底部143にしっかりと取り付けられた柔軟クリップ139を含む。
図11に示されるように、カニューレガイド113から外側に延びる肩部121は、カニューレガイド113が挿入位置へと移動するときにクリップ139をカニューレガイド113と反対に曲げるように配置される。カニューレガイド113が挿入状態にあるとき、クリップ139は肩部121に形成された溝141にパチンとはまり、カニューレガイド113を
図10に示される位置にロックする。このようにして、クリップ139はカニューレガイド113をハブ117から分離するのに役立ち、それによってハブ117と中空針105はその初期ハブ位置に戻ることができる。引込位置では、中空送達針105は流体送達経路125をカニューレ109に流体接続して、薬剤を排出する。
【0059】
次に、
図5を見ると、第一の例示的な挿入機構100の運動変換機構122が挿入状態で示されている。ハブ116の第一の行程の終わりに、ハブ116は第二のハブ位置にあり、マニホルド114は第二のマニホルド位置にある。第一の行程は、挿入機構100の発射前の状態と挿入状態との間のハブ116の移動経路として定義されてよい。代替的に、第一の行程は、挿入機構100の作動から挿入機構100が挿入状態に到達するまでの時間の長さとして定義されてもよい。第一の行程中、ハブ116は第一のハブ位置から第二のハブ位置へと移動して、トロカール106又は中空針を挿入機構ハウジング102から伸展させる。それと同時に、ハブ116は、マニホルド114を第一のマニホルド位置から第二のマニホルド位置へと遠位方向Eに搬送する。第一の行程中に、マニホルド114はキャッチ部材138のアーム208a及び208bを圧縮し、最終的にマニホルド114が第二のマニホルド位置に到達し、その地点で、キャッチ部材138の遠位端212a及び212bは拡張状態に戻る。ピン150は
図4に示されるその初期位置からハウジング102の基底部142の付近の位置まで第一の回転方向Cに回転する。ピン150の円周経路151に続き、運動変換機構122のピン150は第一の円弧216にわたって回転し、それによってヨーク152は遠位方向Eへと直線運動する。
【0060】
図6において、挿入機構100の運動変換機構122は引込状態にある。第二の行程の終わりに、ハブ116は第一のハブ位置にあり、マニホルド114は第二のマニホルド位置にとどまる。第二の行程は、挿入機構100の挿入状態と引込状態との間のハブ116の移動経路により定義されてよい。代替的に、第二の行程は、第一の行程の終了から挿入機構100が引込状態に到達するまでにかかる時間の長さにより定義されてもよい。第二の行程中、ハブ116は第二のハブ位置から第一のハブ位置へと移動して、トロカール106又は中空針を挿入機構ハウジング102の中へと引き込む。また、第二の行程中、キャッチ部材138はハブ116をマニホルド114から切り離して、マニホルド114を第二のマニホルド位置に保持し、その一方でハブ116は第一のハブ位置に戻る。
図6に示されるように、キャッチ部材138の遠位端212a及び212bは、マニホルド114の近位方向を向く面214間に配置される。運動変換機構122のピン150は、円周経路216の第二の円弧218にわたってその第一の回転方向Cに回転し、それによってヨーク152は近位方向Dへと直線運動する。
【0061】
図7に示されるように、流体経路コネクタ22とカニューレ110はマニホルド114に接続され、それによってカニューレ110と流体経路コネクタ22は、挿入機構100が作動されるとハウジング102に関して移動できる。流体経路コネクタ22は、マニホルド114の内部チャンバ220と流体連通する柔軟流体コンジット218を含む。柔軟流体コンジット218は、
図1に示される滅菌流体流路38の一部又は全部を画定してもよい。
図2に示されるように、カバー140と基底部142により画定される縦のチャネル又は開口222によって、流体経路コネクタ22と柔軟流体コンジット218は、マニホルド114が第一のマニホルド位置と第二のマニホルド位置との間で移動するときにハウジング102に関して移動できる。マニホルド114は、マニホルド114の内部チャンバ220内に配置された隔壁224を含む。トロカール106は、挿入機構100が発射前及び挿入状態のどちらにあるときも、隔壁224を貫通して配置される。トロカール106がハブ116と共に第一のハブ位置に戻ると、トロカール106はハウジング102に関して近位方向Dに移動し、それによって内部チャンバ220、隔壁224、及びマニホルド114の近位方向を向く面214の開口226を通る。隔壁224は開口226を塞ぎ、流体は薬剤送達中に開口226から漏出しえない。幾つかの実施形態において、トロカール106は、マニホルド114とカニューレ110が第二のマニホルド位置に配置されたときに内部チャンバ220から引っ込んでもよく、それによってトロカール106は薬剤送達中に滅菌流体流路38から隔離される。他の実施形態において、挿入機構100はカニューレ110を含んでいなくてもよく、その代わりにマニホルド114を介して流体経路コネクタ22と流体連通する中空送達針を含む。この場合、中空送達針は、薬剤送達が終了するまで患者の体内に残る、患者の組織12を貫通できる硬質材料である。中空送達針は挿入機構100のためのイントロデューサと薬剤送達コンジットの両方として機能するため、マニホルドとハブは一体に形成されてもよい。他の実施形態において、挿入機構100は、より小型であってよく、それによってトロカール106が隔壁224及び開口226の中に引き込まれ、内部チャンバ220から十分に除かれて流体が流れる。
【0062】
図12に示される第二の例示的な薬剤送達装置11において、薬剤(図示せず)を保持する容器、第三の例示的な挿入機構19、流体経路コネクタ23、駆動機構25、及びコントローラは、薬剤送達装置11の主ハウジング31内に配置される。アクチュエータ(例えば、押しボタン)は、主ハウジング31の外部に配置され、挿入機構19、駆動機構25、及び/又はコントローラを機械的及び/又は電気的手段を介して作動させることによって、薬剤送達装置11の動作を開始するように構成されてもよい。流体経路コネクタ23は、容器と挿入機構19との間の滅菌流体流路39を画定する。流体経路コネクタ23は、容器アクセス機構(図示せず)を含んでいてもよく、これは、例えばアクチュエータを介して薬剤送達装置11が作動されたことに応答して、容器針を容器に関連付けられた隔壁に挿入して、容器と滅菌流体流路39との間に流体連通を確立させるように構成される。主ハウジング31は、患者の皮膚に解放可能に取り付けられる(例えば、接着剤で接着される)ことになる底壁37と、1つ又は複数の表示ランプ及び/又は容器を見るための窓(図示せず)を含む上壁41と、を含んでいてもよい。開口45が底壁37に形成されてもよい。挿入機構19は運動変換機構21を含み、これは第一の例示的な挿入機構100の運動変換機構122と同様に動作するように構成されてよい。
【0063】
第一の例示的な挿入機構100との比較として、
図12及び13の第三の例示的な挿入機構19は、流体経路コネクタ23に流体接続される中空針107を含む。この場合、挿入機構19は、薬剤が収容されている容器との流体接続のためのマニホルド114を含まない。その代わりに、流体路219は、
図13に示されるように、中空針107の反矢じり端127に直接接続され、中空針107は、薬剤送達のために薬剤をカニューレ111へと排出するように構成される。動作中、マニホルド114と同様であってもよいカニューレガイド115は、カニューレ111を薬剤送達のためにハブ119と共に第二の位置へと搬送し、ハブ119が第一のハブ位置に戻るとき、第二の位置にとどまる。ハブ119が第一のハブ位置に再び引き戻されると、薬剤は容器から、流体経路コネクタ23と流体路219を通って中空針107の中に、そして最後に患者に送達するためにカニューレ111の中へと押し出されてよい。シール225、例えばOリングは、カニューレガイド115内の中空針107の外径の周囲に配置されて、流体送達のためのシールされた経路を提供する。カニューレガイド115はマニホルド114のようにハブ119に取外し可能に接続されてよく、又はカニューレガイド115は他の機構によってハブ119に取外し可能に接続されてもよい。
【0064】
図8及び9において、本開示の他の実施形態による第四の例示的な挿入機構300が示されている。第四の例示的な挿入機構300は、前述の第一の例示的な挿入機構100と同様であるが、運動変換機構322の構成が異なる。追加的に、本実施形態の挿入機構300はカニューレを持たず、その代わりにイントロデューサは中空送達針306である。
図8及び9の挿入機構300の中の、挿入機構100の要素と同様のその他の要素は、同じ参照番号に200を足したもので示されている。これらの要素の多くの説明は、簡潔にするために簡略化されるか、さらには省略されている。さらに、挿入機構300は、
図1に示される薬剤送達装置10又は
図12に示される薬剤送達装置11のような薬剤送達装置に組み込まれてよい。
【0065】
挿入機構300は
図8及び9において、
図2の挿入機構100の断面
図F-Fと同様の視点から示されている。ここで、マニホルド314とハブ316は固定して取り付けられ、それによってこれらは、第二の行程中にハブ316が近位方向Dに移動して中空送達針306を引き込む際に外れないかもしれない。むしろ、ハブ316とマニホルド314は、ヨーク352と一体に形成されてよく、それによってヨーク352、マニホルド314、及びハブ316は、相互に共同で単体として発射前、挿入、及び引込状態間で移動する。発射前状態では、ピン350はハウジング302の近位端326でヨーク352のスロット386の中に配置される。ピン350の第一の円弧416にわたる第一の行程中に、ハブ316はマニホルド314を搬送し、それによってマニホルドは
図8の第一のマニホルド位置から
図9の第二のマニホルド位置へと移動する。同様に、ハブ316とヨーク352は第一のハブ位置から第二のハブ位置へと遠位方向Eにスライドし、中空送達針306をハウジング302の遠位端330から挿入する。
【0066】
それと同時に、又はその後、阻止縁494を有するばね付勢ロック部材500は回転可能部材348の非円形部分360と係合する。この実施形態の非円形部分360は角のある凹み506を含み、これは回転可能部材348の円周面490内に急激なコーナ504を形成する。角のある凹み506は、ばね付勢ロック部材500の阻止縁494をコーナ504の中へと案内するような形状であり、それによって阻止縁494はやがて、ピン350が第一の円弧416にわたって移動し終えたときに、回転可能部材348が回転するのを止める。ピン350が円周経路351において回転すると、ばね付勢ロック部材500の阻止縁494は回転可能部材348の円形部分388の円周面390に当接しながらスライドする。ばね付勢ロック部材500は、近位方向Eにわずかに付勢されてよく、それによってこれは第一の行程中、回転可能部材348に向かって内側に回転し、円周面390の円形部分361と連続的に接触する。回転可能部材348の非円形部分360が阻止縁494と接触すると、ロック部材500は回転可能部材348に向かって内側に移動し、最終的に阻止縁494がコーナ504に引っかかり、回転可能部材348がそれ以上回転しないようにする。第一の行程は、阻止縁494が非円形部分360のコーナ504に引っかかると終了してよい。
【0067】
図9の挿入状態で、ピン350は、第一の円弧416にわたって移動した後にハウジングの遠位端330にある。マニホルド314は流体経路コネクタ22と流体連通していてもよく、中空送達針306の中空内部312と流体経路コネクタ22とを流体接続するように構成される。ばね付勢ロック部材500が回転可能部材348と係合すると、容器アクセス機構29は、中空送達針306を通じた流体送達となるように作動されてよい。薬剤送達が完了すると、ロック部材500は遠位方向Eに付勢されて、阻止縁494を非円形部分360のコーナ504から外し、ピン350が円弧418にわたって引き続きC方向に回転できるようにする。薬物送達が完了した後、第二の行程中に、ピン350は第二の円弧418にわたって移動し、中空送達針306をハウジング302の中に引き込む。他の実施形態において、ハブ316とマニホルド314は、ハブ316がキャッチ部材338によって近位方向Dに移動すると外れてよい。この場合、動力源318と運動変換機構322は、中空送達針306を担持するハブ316が近位方向Eへと戻るのを防止するように構成される。
【0068】
開示されている実施形態において、ヨーク152及び352の変位は、ピン150及び350の位置に応じている。すなわち、トロカール106又は中空送達針306の最大深度で、ピンはその最も低い位置まで回転する。ねじりばね134及び334は、それがピン150及び350の0~360度のすべての位置についてシステムトルクより大きいか、又はそれと等しいトルクを供給するように提供されてよい。ピン150及び350が360度回転する場合、たわみ角が360度のねじりばねが提供されてよい。第二の行程中にばねのトルクを維持するために、ばねの角位置はピン150及び350の位置に関してずらす必要がある。そのように構成されると、ピン150及び350が360度のマークの最終位置に到達したとき、ばね134及び334は依然としてトルクを供給する。好ましい実施形態において、0.01sの挿入時間、8mmの注入深さ、及び25mmの装置高さを実現するために、ピンの角開始位置は20度であり、ピンの半径R1は5.16mmであり、可動マニホルド114及びハブ116の質量は0.286gであり、ねじりばね134のねじりばね定数は0.096N-m/度であり、360度での最大トルクは34.7N-mである。
【0069】
図14~16において、第五の例示的な挿入機構600が本開示の教示にしたがって構成されている。第五の例示的な挿入機構600は、上述の第四の例示的な挿入機構300と同様であるが、運動変換機構622の回転可能部材648の動作が異なる。挿入機構600はまた、中空送達針606、カニューレ610、及び流体送達のためのカニューレガイド614を含めることによっても、第四の例示的な挿入機構300と異なる。
図14~16の第五の例示的な挿入機構600の中の、第四の例示的な挿入機構300の要素と同様のその他の要素は、同じ参照番号に300を足したもので示されている。これらの要素の多くの説明は、簡潔にするために簡略化されるか、さらには省略されている。さらに、挿入機構600は、
図1に示される薬剤送達装置10又は
図12に示される薬剤送達装置11のような薬剤送達装置に組み込まれてよい。
【0070】
挿入機構600はカニューレガイド614とハブ616を提供し、これらは取外し可能に取り付けられて、ハブ616が近位方向Dに移動して中空送達針606を引き込むときに外れるようになっている。
図14において、運動変換機構622は、装填前状態で示され、回転可能部材648は方向Gに回転してカニューレ610を装填する。停止ブロック651は、ハウジング602に形成された半円形の溝(図示せず)の中で移動するように構成され、回転可能部材648の表面に関してスライドする。停止ブロック651は
図14において第一の位置にあり、それによって後端631はハウジング602の内壁に当接し、停止ブロック651はG方向にそれ以上回転できない。そのため、挿入機構600が装填されていて、回転可能部材648がG方向に回転されると、停止ブロック651の先端633は回転可能部材648の後端635と当接し、回転可能部材648がG方向にそれ以上回転しないようにする。
図15に示される装填状態で、トリガ(図示せず、ただし
図8及び9のトリガ500と同様)は作動されるまで回転可能部材538のコーナ804を保持する。この状態で、回転可能部材の後縁635は、停止ブロック651の先端633から離れている。
【0071】
トリガが回転可能部材648を解放すると、回転可能部材648はH方向に回転して、停止ブロック651と相対的に移動し、最終的に回転可能部材648の前縁637は停止ブロック661の後端631と接触する。前縁637が停止ブロック651と接触すると、回転可能部材648は停止ブロック651をH方向に回転して搬送し、最終的に停止ブロック651の先端633の突出部分がハウジング602の内壁(図示せず)と接触して、回転可能部材648がさらにH方向に回転するのを防止する。ハウジングの内壁は停止ブロック651の移動経路を画定し、回転可能部材648が回転する際、停止ブロック651の突出部分と係合するが、回転可能部材648とは係合しない大きさである。
図16において、回転可能部材648はH方向に360度回転し終えているか、又は第一及び第二の行程を、第一及び第二の行程間で停止することなく完了している。第二の行程の終わりに、停止ブロック651の先端633の突出部分とハウジング602の内壁が係合して、回転可能部材648がH方向にさらに回転するのを防止する。
【0072】
運動変換機構622は回転可能部材648の回転運動をスコッチヨーク機構を介してハブ616及びカニューレガイド614の直線運動に変換してよい。図示されていないが、回転可能部材648は、ピン又はその他の連結部材を含んでいてもよく、それがヨーク652のスロット686内に、
図8及び9の運動変換機構322のスコッチヨーク機構と同様の方法で係合する。
図8及び9の運動変換機構322と対照的に、
図14~16の挿入機構600の運動変換機構622により、回転可能部材648は、カニューレ610と中空送達針606を患者に挿入し、中空送達針606をその第二のハブ位置に引き込むために、少なくとも360度の完全な1回転、すなわち第一及び第二の行程を終えることができる。約180度回転する第一の行程中、ハブ616とカニューレガイド614は単体として一緒に遠位方向Eに移動して、中空針(図示せず)とカニューレ610を患者に挿入する。回転の中間点で、すなわち、第一の行程が終わると、ハブ616は第二のハブ位置にあり、カニューレガイド614は第二のカニューレガイド位置(図示せず)にある。回転可能部材648を停止させることなく、ハブ616とカニューレガイド614は分離し、カニューレガイド614は第二のカニューレガイド位置にとどまり、その一方でハブ616は引き続き近位方向Dに進み、第一のハブ位置に戻る。この例により、よりコンパクトな設計が可能となり、様々な長さのカニューレ610及び中空針606で動作するように構成されてよい。カニューレ610と中空針606が患者の体内に移動できる距離は、回転可能部材648のドラムの直径とピンの位置によって決まるかもしれない。
【0073】
図17において、カニューレガイド614とハブ616は、発射前の状態にある。この例では、カニューレガイド614は第一及び第二の変形可能アーム649、651を含み、これらはハウジング602に形成されたトラック659の第一及び第二の側面655、657によって案内される。カニューレガイド614が第一のカニューレガイド位置から第二のカニューレガイド位置へと移動すると、変形可能アーム649、653は、それぞれトラック659の第一及び第二の側面655、657に当たってスライドし、それによって各アーム649、653は、カニューレガイド614が遠位方向Eに移動すると内側に曲がる。カニューレ挿入時点で、又はその前に、変形可能アーム649、653はトラック659の各側面655、657の屈曲部661、663で外側にたわむ。各屈曲部661、663は、ハブ616が初期ハブ位置に戻る際にカニューレガイド614のアーム649、653と係合して、カニューレガイド614が近位方向Dに移動できないようにする。この例において、トラック659はハウジング602の平坦面から外側に突出しているが、他の例では、トラック659はカニューレガイド614の各アーム649、653の一部を受ける溝であってもよい。
【0074】
ハブ616が第一のハブ位置に戻るとき、中空針606は、患者に挿入されたままのカニューレ610へと薬剤を送達する位置にある。挿入機構600は、
図13に関して上で説明し、例示したものと同じ又は同様の方法で薬剤を患者に送達してよい。
【0075】
以下に、
図2~7、10及び11、12及び13、8及び9、並びに14~17に示される挿入機構100、101、19、300、及び600を組み込んだ
図1に示される薬剤送達装置及び
図12の薬剤送達装置11等の薬剤送達装置の動作方法の実施形態を説明する。方法は、患者又は医療従事者(例えば、介護士、看護師、医師等)に装着式薬剤送達装置10、11を提供するステップから始まってよい。次に、患者又は医療従事者は、薬剤送達装置10、11の底壁36、37を患者の組織12と接触させて配置し、薬剤送達装置10、11の底壁36、37を患者の組織12に接着させるか、又はその他の方法で一時的に取り付けてよい。挿入機構100、101、19、300、及び600を作動させるために、患者又は医療従事者はアクチュエータ28を押してよく、それによって今度は作動部材170が変位して、作動部材170は動力源118を外し、又は解放する。その結果、動力源118のねじりばね134が解放され、それが運動変換機構122、123、21、322、及び622に回転運動を提供する。回転運動は運動変換機構122、123、21、322、及び622によって変換されて、ハブ116、117、119、316、及び616トロカール106又は中空送達針105、107、306、606及びマニホルド114又はカニューレガイド113、115、614を遠位方向Eへと直線運動させ、トロカール106又は中空送達針105、107、306、606は患者の皮膚を穿刺する。
【0076】
方法は、動力源に動作的に連結された回転部材148、149、348、648を回転させることによって、運動変換機構122、123、21、322、及び622を作動させるステップを含んでいてもよい。回転部材148、149、348、及び648を回転方向C又はHに回転させることによって、ヨーク152、153、352、及び652に形成されたスロット186、386、及び686の中にスライド可能に受けられているピン150及び350は第一の円弧216及び416又は180度にわたって回転し、それによってヨーク152及び352は遠位方向Eに直線運動する。回転可能部材148、149、348、及び648が引き続き回転方向Cに回転すると、ピン150及び350は第二の円弧218及び418又はあと180度にわたり回転し、それによってヨーク152、153、352、及び652は近位方向Dに直線運動し、トロカール106又は中空送達針105、107、306、606を移動させる。
【0077】
他の実施形態において、流体送達が完了するまで、中空送達針306は患者の体内に残ってよく、ハブ316とマニホルド314はハウジング302の遠位端にとどまってよい。中空送達針306を挿入した後、又はそれと同時に、方法は、(a)容器アクセス機構29を作動させて、容器針27を隔壁32に挿入して、容器14と流体コネクタ22の滅菌流体流路18との間の流体連通を確立させるステップと、(b)駆動機構24を作動させて、薬剤446を容器14から流体経路コネクタ22を通り、患者に送達されるように中空送達針306へと押し出すステップと、を含んでいてもよい。
【0078】
異なる実施形態において、中空カニューレ110も患者の組織12に挿入されて、送達路が導入されてもよい。その後、ハブ116がマニホルド114から切断されて、カニューレ110を患者の組織12に挿入されたままにしてよく、トロカール106は、ハブ116を近位方向Dに移動させることによって患者から引き込まれてよい。カニューレ110の挿入の後、又はそれと同時に、方法は、(a)容器アクセス機構29を作動させて容器針27を隔壁32に挿入して、容器14と流体コネクタ22の滅菌流体流路18との間の流体連通を確立させるステップと、(b)駆動機構24を作動させて、薬剤46を容器14から、流体経路コネクタ22を通って、患者に送達するためにカニューレ110の中へと排出するステップと、を含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、挿入機構54、容器アクセス機構29、及び/又は駆動機構24を作動させるステップは、アクチュエータ28を1回押すことを通じて実現されてもよい。ハブ116とマニホルド114を切断するために、キャッチ部材138はマニホルド114の近位方向を向く面214と係合し、ハブ116が第一のハブ位置116に戻る間に、マニホルド114を第二のマニホルド位置に保持する。
【0079】
また別の例において、中空カニューレ109、111、及び610は患者の体内に残ってもよく、カニューレガイド113、115、614はハウジングの遠位端にとどまってもよく、ハブ117、119、及び616並びに中空送達針105、107、306、606は第一のハブ位置に戻ってもよい。この位置において、中空送達針105、107、306、606はカニューレ109、111、610と流体連通する。方法は、(a)容器アクセス機構を作動させて、容器針を隔壁に挿入して、容器と流体コネクタ23の滅菌流体流路19との間の流体連通を確立させるステップと、(b)駆動機構25を作動させて、薬剤を容器から、流体経路コネクタ23を通り、患者に送達するためにカニューレ109、111、610の中に押し出すステップと、を含んでいてもよい。
【0080】
方法は、回転可能部材148、149、及び348を阻止縁194及び494と係合させて、回転可能148、149、及び348が回転しないようにするステップを含んでいてもよい。1つの例において、回転可能部材148、149、及び348を係合させるステップは、阻止縁494を有するばね付勢ロック部材500を回転可能部材148、149、及び348に向かって回転させて、回転可能部材148、149、及び348の非円形部分160及び360と係合させるステップを含む。他の実施形態において、ハウジング102は阻止縁194及び494を含んでいてもよく、これらは回転可能部材148及び348の非円形部分160及び360と係合し、回転可能部材148、149、及び348が引き続き回転するのを止めるように構成される。他の例において、回転可能部材648が作動されてよく、停止ブロック651と係合して、回転可能部材648が引き続き回転するのを止めてよい。
【0081】
本明細書に記載の方法と機構は、既知の挿入装置に対して、より単純な設計、信頼性の向上、患者の不快感と不安の軽減、精度の向上、及び製造コストと時間の削減等の利点を提供する。さらに、本開示の挿入機構100、101、19、300、及び600は、多くの異なる装着式薬剤送達装置に使用するように容易に適応されてよく、具体的な患者層に合わせてカスタム化されてもよい。挿入機構100、101、19、300、及び600は、各種の駆動機構と共に構成され、各種の形態と大きさを有し、各種の薬剤を含む様々な装着式薬剤送達装置において実装されてよい。挿入機構100、101、19、300、及び600と、特に動力源118並びに運動変換機構122、123、21、322、及び622の動作は、駆動機構24、25、作動機構170又は270による動作若しくは機能、又は薬剤送達装置10、11の形態に限定されない。さらに、挿入機構100、101、19、300、及び600は、特定の患者及び患者層にとっての痛みを軽減させるように適応され、又はカスタム化されてもよい。例えば、マニホルド114及び314、カニューレガイド113、115、614、及びハブ116、117、119、316の発射前の状態と挿入状態のとの間の移動が最小化されるかもしれない。マニホルド114及び314とカニューレガイド113、115、614の質量が減少して、患者に加えられる挿入の衝撃力が軽減されるかもしれない。
【0082】
挿入機構100、101、19、300、及び600はまた、患者の快適さを増大させ、患者の不安の可能性を低減化させるかもしれない。例えば、挿入機構100は自動的に動作してもよく、また、ハブ116はカニューレ110が患者に挿入されるとトロカール106を直ちに引き込むように構成されてもよく、それによってトロカール106が患者の体内に配置されている時間が最小化される。従来の方法と機構では、患者はトロカール又は剛体針を、装置のボタンを押しながら自分で挿入しなければならないかもしれない。この種の挿入機構は患者にとっての不安と怖さの原因となるかもしれず、それは、患者がボタンを押しながらトロカールの挿入を制御するからである。それに加えて、既知の方法と機構は、患者が装着式装置を取り外すときに患者の皮膚内に残るかもしれない、外部安全ガードと組み合わされた剛体針を含む。それに対して、開示されている装着式薬剤送達装置は、より小さい注射部位を有していてもよく、患者が装着式装置を取り外す前にトロカール106又は中空送達針306を引き込むように構成できる。
【0083】
図8及び9の挿入機構300の運動変換機構322と運動変換機構622は、有利な点として、より少ない可動部品、より少ない点数の構成部品、及びコンパクトな設計によって、より単純な動作を提供する。例えば、挿入機構300は、ハウジング302がより単純であり、ハブ316、マニホルド314、及びヨーク352は一体の構成部品を形成し、挿入機構300はカニューレを必要としないため、より少ない部品しか必要としない。より少ない構成部品とより単純な設計により、提供される挿入機構300の製造及び組立コストは削減されるかもしれない。しかしながら、本開示の範囲はこれら又は本明細書に記載されている他の何れの利益と利点にも限定されず、開示されている実施形態及び本開示の原理にしたがってそこに加えられるあらゆる改変から、他の利益と利点が得られるかもしれない。
【0084】
薬剤情報
上記の説明は、薬剤送達装置と共に使用するための様々なシステムと方法を述べている。システム、薬剤送達装置、又は方法は、後述の薬剤の使用をさらに含むことができる点を明確にすべきであるが、以下のリストは網羅的でも限定的でもないと考えるべきではないことに留意されたい。薬剤は、貯蔵器内に収容される。幾つかの例において、貯蔵器はその薬剤での治療のために充填又は事前充填された一次容器である。一次容器は、カートリッド又はプレフィルドシリンジとすることができる。
【0085】
例えば、薬剤送達装置又は、より具体的には装置の貯蔵器には、コロニ刺激因子、例えば顆粒球コロニ刺激因子(G-CSF)が充填されてよい。このようなG-CSF剤には、Neupogen(登録商標)(フィラグラスチム)及びNeulasta(登録商標)(ペグフィグラスチム)が含まれるが、これらに限定されない。他の各種の実施形態において、薬剤送達装置は様々な医薬製品、例えば赤血球造血刺激因子剤(ESA)等に使用されてもよく、これは液体又は凍結乾燥状態であってもよい。ESAは、赤血球造血を刺激するあらゆる分子であり、例えばEpogen(登録商標)(エポチエンアルファ)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Mircera(登録商標)(メチオキシポリエチレングリコールエポエチンベータ)、Hematide(登録商標)、MRK-2578、INS-22、Retacrit(登録商標)(エポエチンゼータ)、Neorecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Silapo(登録商標)(エポエチンゼータ)、Binocrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、エポエチンアルファHexal、Abseamed(登録商標)(エポエチンアルファ)、Ratioepo(登録商標)(エポエチンシータ)、Eporatio(登録商標)(エポエチンシータ)、Biopoin(登録商標)(エポエチンシータ)、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンゼータ、エポエチンシータ、及びエポエチンデルタのほか、各々、その全体が参照によって本願に援用される下記の特許又は特許出願において開示されている分子又はそのバリアント若しくは類似体である:米国特許第4,703,008号明細書、同第5,441,868号明細書、同第5,547,933号明細書、同第5,618,698号明細書、同第5,621,080号明細書、同第5,756,349号明細書、同第5,767,078号明細書、同第5,773,569号明細書、同第5,955,422号明細書、同第5,986,047号明細書、同第6,583,272号明細書、同第7,084,245号明細書、及び同第7,271,689号明細書、並びにPCT出願公開番号国際公開第91/05867号パンフレット、同第95/05465号パンフレット、同第96/40772号パンフレット、同第00/24893号パンフレット、同第01/81405号パンフレット、及び同第2007/136752号パンフレット。
【0086】
ESAは赤血球造血刺激たんぱく質とすることができる。本明細書で使用されるかぎり、「赤血球造血刺激たんぱく質」とは、例えば受容体と結合し、二量体化を引き起こすことによって、エリスロポエチン受容体を直接又は間接に活性化させるあらゆるたんぱく質を意味する。エリスロポエチン刺激たんぱく質には、エリスロポエチン受容体と結合し、これを活性化させるエリスロポエチン及びそのバリアント、類似体、又は誘導体、エリスロポエチン受容体と結合し、受容体を作動させる抗体、又はエリスロポエチン受容体と結合し、これを活性化させるペプチドが含まれる。エリスロポエチン刺激たんぱく質には、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンデルタ、エポエチンオメガ、エポエチンイオタ、エポエチンゼータ、及びその類似体、ペグ化エリスロポエチン、カルバミル化エリスロポエチン、擬似ペプチド(EMP1/メマタイドを含む)、及び擬似抗体が含まれるが、これらに限定されない。例示的な赤血球造血刺激たんぱく質には、エリスロポエチン、ダルベポエチン、エリスロポエチンアゴニストバリアント、及びエリスロポエチン受容体と結合してこれを活性化させる(及び、各々、その全体が本願に援用される米国特許出願公開第2003/0215444号明細書及び同第2006/0040858号明細書において報告されている化合物を含む)ペプチド又は抗体のほか、各々、その全体が本願に援用される以下の特許又は特許出願において開示されているエリスロポエチン分子又はそのバリアント若しくは類似体が含まれる:米国特許第4,703,008号明細書、同第5,441,868号明細書、同第5,547,933号明細書、同第5,618,698号明細書、同第5,621,080号明細書、同第5,756,349号明細書、同第5,767,078号明細書、同第5,773,569号明細書、同第5,955,422号明細書、同第5,830,851号明細書、同第5,856,298号明細書、同第5,986,047号明細書、同第6,030,086号明細書、同第6,310,078号明細書、同第6,391,633号明細書、同第6,583,272号明細書、同第6,586,398号明細書、同第6,900,292号明細書、同第6,750,369号明細書、同第7,030,226号明細書、同第7,084,245号明細書、及び同第7,217,689号明細書、並びに米国特許出願公開第2002/0155998号明細書、同第2003/0077753号明細書、同第2003/0082749号明細書、同第2003/0143202号明細書、同第2004/0009902号明細書、同第2004/0071694号明細書、同第2004/0091961号明細書、同第2004/0143857号明細書、同第2004/0157293号明細書、同第2004/0175379号明細書、同第2004/0175824号明細書、同第2004/0229318号明細書、同第2004/0248815号明細書、同第2004/0266690号明細書、同第2005/0019914号明細書、同第2005/0026834号明細書、同第2005/0096461号明細書、同第2005/0107297号明細書、同第2005/0107591号明細書、同第2005/0124045号明細書、同第2005/0124564号明細書、同第2005/0137329号明細書、同第2005/0142642号明細書、同第2005/0143292号明細書、同第2005/0153879号明細書、同第2005/0158822号明細書、同第2005/0158832号明細書、同第2005/0170457号明細書、同第2005/0181359号明細書、同第2005/0181482号明細書、同第2005/0192211号明細書、同第2005/0202538号明細書、同第2005/0227289号明細書、同第2005/0244409号明細書、同第2006/0088906号明細書、及び同第2006/0111279号明細書、並びにPCT出願公開番号国際公開第91/05867号パンフレット、同第95/05465号パンフレット、同第99/66054号パンフレット、同第00/24893号パンフレット、同第01/81405号パンフレット、同第00/61637号パンフレット、同第01/36489号パンフレット、同第02/014356号パンフレット、同第02/19963号パンフレット、同第02/20034号パンフレット、同第02/49673号パンフレット、同第02/085940号パンフレット、同第03/029291号パンフレット、同第2003/055526号パンフレット、同第2003/084477号パンフレット、同第2003/094858号パンフレット、同第2004/002417号パンフレット、同第2004/002424号パンフレット、同第2004/009627号パンフレット、同第2004/024761号パンフレット、同第2004/033651号パンフレット、同第2004/035603号パンフレット、同第2004/043382号パンフレット、同第2004/101600号パンフレット、同第2004/101606号パンフレット、同第2004/101611号パンフレット、同第2004/106373号パンフレット、同第2004/018667号パンフレット、同第2005/001025号パンフレット、同第2005/001136号パンフレット、同第2005/021579号パンフレット、同第2005/025606号パンフレット、同第2005/032460号パンフレット、同第2005/051327号パンフレット、同第2005/063808号パンフレット、同第2005/063809号パンフレット、同第2005/070451号パンフレット、同第2005/081687号パンフレット、同第2005/084711号パンフレット、同第2005/103076号パンフレット、同第2005/100403号パンフレット、同第2005/092369号パンフレット、同第2006/50959号パンフレット、同第2006/02646号パンフレット、及び同第2006/29094号パンフレット。
【0087】
装置に使用するその他の医薬製品の例には、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xgeva(商標)(デノスマブ)、及びProlia(商標)(デノスマブ)等の抗体、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF-受容体/Fc融合たんぱく質、TNFブロッカ)、Neulasta(登録商標)(ペグフィグラスチム、ペグ化フィルグラチム、ペグ化G-CSF、ペグ化hu-Met-G-CSF)、Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CS、hu-MetG-CSF)、及びNplate(登録商標)(ロミプロスチム)等のその他の生物学的薬剤、Sensipa(登録商標)(シナカルセト)等の低分子薬剤が含まれていてもよいが、これらに限定されない。装置はまた、治療用抗体、ポリペプチド、たんぱく質、又は鉄等のその他の化学物質、例えばフェルモキシトール、デキストラン鉄、グリコン酸鉄、及びスクロース鉄等であってもよい。医薬製品は、液体でも、凍結乾燥状態から還元されてもよい。
【0088】
特定の例示的なたんぱく質の中には下記の具体的なたんぱく質があり、これにはその融合体、フラグメント、類似体、バリアント、又は誘導体も含まれる:
【0089】
OPGL特異抗体及び抗体関連たんぱく質、特にその中に記載されている配列を有するものに関してその全体が本願に援用されるPCT出願公開番号国際公開第03/002713号パンフレットに記載された抗体を含むがこれに限定されない、完全ヒト化及びヒトOPGL特異抗体、特に完全ヒト化モノクローナル抗体を含むOPGL特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他(RANKL特異抗体、ペプチボディ、及びその他とも呼ばれる)、各々、個別に、明確に、上記公開文献において開示されているように、その全体が参照によって本願に援用される、その中の
図2に示されている配列番号2の軽鎖及び/又はその中の
図4に示されている配列番号4の重鎖の何れかを有するOPGL特異抗体を含む9H7、18B2、2D8、2E11、16E1、及び22B3。
【0090】
myostatin特異ペプチボディ、特に、特にmyostatin特異ペプチボディに関する部分においてその全体が参照によって本願に援用される米国特許出願公開第2004/0181033号明細書及びPCT特許公開番号国際公開第2004/058988号パンフレットに記載されているものを含むmyostatin結合たんぱく質であって、各々、個別に、明確に、上記公開文献において開示されているように、その全体が参照によって本願に援用される、配列番号305~351のものを含むmTN8-19ファミリ、例えばTN8-19-1~TN8-19-40、TN8-19 con1及びTN8-19 con2、配列番号357~383のmL2ファミリのペプチボディ、配列番号384~409のmL15ファミリ、配列番号410~438のmL17ファミリ、配列番号439~446のmL20ファミリ、配列番号447~452のmL21ファミリ、配列番号453~454のmL24ファミリ、及び配列番号615~631のそれらを含むがこれらに限定されない。
【0091】
IL-4受容体特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他、特にIL-4及び/又はIL-13を受容体に結合することによって媒介される活性を阻害するものであって、特にIL-4受容体特異抗体に関する部分においてその全体が参照によって本願に援用されるPCT出願公開番号国際公開第2005/047331号パンフレット又はPCT出願PCT/US2004/37242号及び米国特許出願公開第2005/112694号明細書に記載されているもの、特にその中に記載された抗体、特に、これらに限定されないが、各々、個別に、明確に、上記公開文献において開示されているように、その全体が参照によって本願に援用される、L1H1、L1H2、L1H3、L1H4、L1H5、L1H6、L1H7、L1H8、L1H9、L1H10、L1H11、L2H1、L2H2、L2H3、L2H4、L2H5、L2H6、L2H7、L2H8、L2H9、L2H10、L2H11、L2H12、L2H13、L2H14、L3H1、L4H1、L5H1、L6H1とその中て指定されているものを含む。
【0092】
インタロイキン1-受容体(「IL1-R1」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他であって、その全体、IL1-R1特異結合たんぱく質、特にモノクローナル抗体に関する部分においてその全体が参照によって本願に援用される米国特許出願公開第2004/097712号明細書に記載されているもの、特に、これらに限定されないが、各々、個別に、明確に、上記公開文献において開示されているように、その全体が参照によって本願に援用される、15CA、26F5、27F2、24E12、及び10H7とその中で指定されているものが含まれるが、これらに限定されない。
【0093】
Ang2特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他であって、各々、特にAng2特異抗体及びペプチボディ並びにその他に関する部分においてその全体が参照によって本願に援用されるPCT出願公開番号国際公開第03/057134号パンフレット及び米国特許出願公開第2003/0229023号明細書に記載されているもの、特にその中に記載された配列の、L1(N)、L1(N)WT、L1(N)1K WT、2xL1(N)、2xL1(N)WT、Con(N)、Con4(N)1K WT、2xCon4(N)1K、L1C、L1C 1K、2xL1C、Con4C、Con4C 1K、2xCon4C 1K、Con4-L1(N)、Con4-L1C、TN-12-9(N)、C17(N)、TN8-8(N)、TN8-14(N)、Con 1(N)を含むがこれらに限定されず、また、それに関してその全体が参照によって本願に援用されるPCT出願公開番号国際公開第2003/030833号パンフレットに記載されているもの等の抗Ang2抗体及び製剤、特に、各々、個別に、明確に、上記公開文献において開示されているように、その全体が参照によって本願に援用される、その中に記載されたその様々な置換配列のAb526、Ab528、Ab531、Ab533、Ab535、Ab536、Ab537、Ab540、Ab543、Ab544、Ab545、Ab546、A551、Ab553、Ab555、Ab558、Ab559、Ab565、AbF1AbFD、AbFE、AbFJ、AbFK、AbG1D4、AbGC1E8、AbH1C12、AbIA1、AbIF、AbIK、AbIP、及びAbIPが含まれるが、これらに限定されない。
【0094】
NGF特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他であって、特に、この点においてNGF特異抗体及び関連たんぱく質に関してその全体が参照によって本願に援用される米国特許出願公開第2005/0074821号明細書及び米国特許第6,919,426号明細書に記載されているものを含むがこれらに限定されず、特に、各々、個別に、明確に、上記公開文献において開示されているように、その全体が参照によって本願に援用される、4D4、4G6、6H9、7H2、14D10、及び14D11とその中で指定されるNGF特異抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
CD22特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他、例えばCD22特異抗体及び関連たんぱく質についてその全体が参照によって本願に援用される米国特許第5,789,554号明細書に記載されているもの、特にヒトCD22特異抗体、例えば、これらに限定されないが、ヒト化された、及び完全なヒト抗体であって、ヒト化された、及び完全なヒトモノクローナル抗体を含むがこれに限定されず、特に、ヒトCD22特異IgG抗体、例えばヒト-マウスモノクローナルhLL2カッパ鎖に架橋されたヒト-マウスモノクローナルhLL2ガンマ鎖ジスルフィドの二量体で、例えばエプラツズマブ、CAS登録番号501423-23-0のヒトCD22特異完全ヒト化抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0096】
IGF-1受容体特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他、例えばIGF-1受容体特異抗体及び関連たんぱく質に関してその全体が本願に援用されるPCT出願公開番号国際公開第06/069202号パンフレットに記載されているものであって、各々、個別に、明確に、上記公開文献において開示されているように、その全体が参照によって本願に援用されるL1H1、L2H2、L3H3、L4H4、L5H5、L6H6、L7H7、L8H8、L9H9、L10H10、L11H11、L12H12、L13H13、L14H14、L15H15、L16H16、L17H17、L18H18、L19H19、L20H20、L21H21、L22H22、L23H23、L24H24、L25H25、L26H26、L27H27、L28H28、L29H29、L30H30、L31H31、L32H32、L33H33、L34H34、L35H35、L36H36、L37H37、L38H38、L39H39、L40H40、L41H41、L42H42、L43H43、L44H44、L45H45、L46H46、L47H47、L48H48、L49H49、L50H50、L51H51、L52H52並びにIGF-1R結合フラグメント及びその誘導体と指定されるIGF-1特異抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0097】
また、本発明の方法及び組成物の中で使用するための抗IGF-1R抗体の非限定的な例の中には、以下の中に記載される各々及び全部が含まれる:
(i)米国特許出願公開第2006/0040358号明細書(2006年2月23日公開)、同第2005/0008642号明細書(2005年1月13日公開)、同第2004/0228859号明細書(2004年11月18日公開)で、その中に記載されている抗体1A(DSMZ寄託番号DSM ACC 2586)、抗体8(DSMZ寄託番号DSM ACC 2589)、抗体23(DSMZ寄託番号DSM ACC 2588)、及び抗体18が含まれるが、これらに限定されない。
(ii)PCT出願公開番号国際公開第06/138729号パンフレット(2006年12月28日公開)及び同第05/016970号パンフレット(2005年2月24日公開)、及びLu et al.(2004),J.Biol.Chem.279:2856-2865で、その中に記載されている抗体2F8、A12、及びIMC-A12が含まれるが、これらに限定されない。
(iii)PCT出願公開番号国際公開第07/012614号パンフレット(2007年2月1日公開)、同第07/000328号パンフレット(2007年1月4日公開)、同第06/013472号パンフレット(2006年2月9日公開)、同第05/058967号パンフレット(2005年6月30日公開)、及び同第03/059951号パンフレット(2003年7月24日公開)。
(iv)米国特許出願公開第2005/0084906号明細書(2005年4月21日公開)で、その中に記載されている抗体7C10、キメラ抗体C7C10、抗体h7C10、抗体7H2M、キメラ抗体*7C10、抗体GM 607、ヒト化抗体7C10バージョン1、ヒト化抗体7C10バージョン2、ヒト化抗体7C10バージョン3、及び抗体7H2HMが含まれるが、これらに限定されない。
(v)米国特許出願公開第2005/0249728号明細書(2005年11月10日公開)、同第2005/0186203号明細書(2005年8月25日公開)、同第2004/0265307号明細書(2004年12月30日公開)、及び同第2003/0235582号明細書(2003年12月25日公開)、及びMaloney et al.(2003),Cancer Res.63:5073-5083で、その中に記載されている抗体EM164、再表面形成された抗体EM164、ヒト化EM164、huEM164 v1.0、huEM164 v1.1、huEM164 v1.2、及びhuEM164 v1.3が含まれるが、これらに限定されない。
(vi)米国特許第7,037,498号明細書(2006年5月2日発行)、米国特許出願公開第2005/0244408号明細書(2005年11月30日公開)、及び同第2004/0086503号明細書(2004年5月6日公開)、及びCohen,et al.(2005),Clinical Cancer Res.11:2063-2073、例えば抗体CP-751,871で、これらに記載されているATCCアクセション番号PTA-2792、PTA-2788、PTA-2790、PTA-2791、PTA-2789、PTA-2793を有する雑種細胞により生成される抗体及び抗体2.12.1、2.13.2、2.14,3、3.1.1、4.9.2、及び4.17.3の各々が含まれるが、これらに限定されない。
(vii)米国特許出願公開第2005/0136063号明細書(2005年6月23日公開)及び同第2004/0018191号明細書(2004年1月29日公開)であり、これらに記載されている、抗体19D12及び、ATCCに番号PTA-5214で寄託された、プラスミド15H12/19D12 HCA(γ4)によりコード化される重鎖と、ATCCに番号PTA-5220で寄託された、プラスミド15H12/19D12 LCF(Κ)のポリヌクレオチドによりコード化される軽鎖を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
(viii)米国特許出願公開第2004/0202655号明細書(2004年10月14日公開)で、その中に記載されている抗体PINT-6A1、PINT-7A2、PINT-7A4、PINT-7A5、PINT-7A6、PINT-8A1、PINT-9A2、PINT-11A1、PINT-11A2、PINT-11A3、PINT-11A4、PINT-11A5、PINT-11A7、PINT-11A12、PINT-12A1、PINT-12A2、PINT-12A3、PINT-12A4、及びPINT-12A5が含まれるが、これらに限定されず、これらの各々及び全部は、特にIGF-1受容体を標的とする上記の抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他に関して、その全体が参照によって本願に援用される。
【0098】
B7関連たんぱく質1特異抗体、ペプチボディ、関連たんぱく質並びにその他(「B7RP-1」、又は文献ではB7H2、ICOSL、B7h、及びCD275とも呼ばれる)、特にB7RP-特異完全ヒトモノクローナルIgG2抗体、特にB7RP-1の第一免疫グロブリン様ドメイン内のエピトープと結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体、特に活性T細胞上の天然受容体ICOSとのB7RP-1の相互作用を阻害するもの、特に、上記の点のすべてにおいて、このような抗体及び関連たんぱく質に関してその全体が参照によって本願に援用される米国特許出願公開第2008/0166352号明細書及びPCT出願公開番号国際公開第07/011941号パンフレットにおいて開示されているもので、その中で、各々が個別に、明確に、上記公開文献の中に開示されているように、その全体が参照によって本願に援用される16H(その中のそれぞれ、軽鎖可変部及び重鎖可変部配列、配列番号1及び配列番号7を有する)、5D(その中のそれぞれ、軽鎖可変部及び重鎖可変部配列、配列番号2及び配列番号9を有する)、2H(その中のそれぞれ、軽鎖可変部及び重鎖可変部配列、配列番号3及び配列番号10を有する)、43H(その中のそれぞれ、軽鎖可変部及び重鎖可変部配列、配列番号6及び配列番号14を有する)、41H(その中のそれぞれ、軽鎖可変部及び重鎖可変部配列、配列番号5及び配列番号13を有する)、及び15H(その中のそれぞれ、軽鎖可変部及び重鎖可変部配列、配列番号4及び配列番号12を有する)として指定された抗体が含まれるがこれらに限定されない。
【0099】
IL-15特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他、例えば、特にヒトモノクローナル抗体、特に各々が、ペプチボディを含むIL-15特異抗体及び関連たんぱく質に関してその全体が参照によって本願に援用される米国特許出願公開第2003/0138421号明細書、同第2003/023586号明細書、同第2004/0071702号明細書、及び米国特許第7,153,507号明細書において開示されているもので、特に例えば、HuMax IL-15抗体及び関連たんぱく質、例えば146B7が含まれるが、これに限定されない。
【0100】
IFNガンマ特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他、特にヒトIFNガンマ特異抗体、特に完全ヒト抗IFNガンマ抗体、例えばIFNガンマ特異抗体に関してその全体が参照によって本願に援用される米国特許出願公開第2005/0004353号明細書に記載されているもの、特に例えば、その中で1118、1118*、1119、1121、及び1121*と指定された抗体。これらの抗体の各々の重鎖及び軽鎖の全体的配列のほか、それらの重鎖及び軽鎖可変領域と相補性決定領域の配列は、各々、個別に、明確に、上記の公開文献及びThakur et al.(1999),Mol.Immunol.36:1107-1115において開示されているようにその全体が参照によって本願に援用される。それに加えて、上記の公開文献において提供されるこれらの抗体の特性の説明もまた、その全体が参照によって本願に援用される。具体的な抗体には、上記の公開文献において開示されているような、配列番号17の重鎖と配列番号18の軽鎖を有するもの、配列番号6の重鎖可変領域と配列番号8の軽鎖可変領域を有するの、配列番号19の重鎖と配列番号20の軽鎖を有するもの、配列番号10の重鎖可変領域と配列番号12の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号32の重鎖と配列番号20の軽鎖を有するもの、配列番号30の重鎖可変領域と配列番号12の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号21の重鎖配列と配列番号22の軽鎖配列を有するもの、配列番号14の重鎖可変領域と配列番号16の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号21の重鎖と配列番号33の軽鎖を有するもの、及び配列番号14の重鎖可変領域と配列番号31の軽鎖可変領域を有するものが含まれる。上記の米国特許出願公開の中で開示され、その中で開示されているような配列番号17の完全重鎖を有し、その中に開示されているような配列番号18の完全軽鎖を有する抗体1119である。
【0101】
TALL-1特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他と、TALL特異結合たんぱく質、例えば各々がTALL-1結合たんぱく質に関してその全体が参照によって本願に援用される米国特許出願公開第2003/0195156号明細書及び同第2006/0135431号明細書に記載されているもの、特にその各々が、完全に上記の公開文献の中で開示されているようにその全体が参照によって本願に援用される表4及び5Bの分子。
【0102】
副甲状腺ホルモン(「PTH」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他、例えば、特にPTHと結合するたんぱく質に関してその全体が参照によって本願に援用される米国特許第6,756,480号明細書に記載されているもの。
【0103】
トロンボポエチン受容体(「TPO-R」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他、例えば、特にTPO-Rと結合するたんぱく質に関してその全体が参照によって本願に援用される米国特許第6,835,809号明細書に記載されているもの。
【0104】
肝細胞増殖因子(「HGF」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他であり、HGF/SF:cMet軸(HGF/SF:c-Met)を標的とするもの、例えば各々が、特にHGFと結合するたんぱく質に関する部分においてその全体が参照によって本願に援用される、米国特許出願公開第2005/0118643号明細書及びPCT出願公開番号国際公開第2005/017107号パンフレットに記載されている、肝細胞増殖因子/分散因子(HGF/SF)を中性化する完全ヒトモノクローナル抗体、米国特許第7,220,410号明細書に記載されているhuL2G7、及び米国特許第5,686,292号明細書及び同第6,468,529号明細書並びにPCT出願公開番号国際公開第96/38557号パンフレットに記載されているOA-5d5が含まれる。
【0105】
TRAIL-R2特異抗体、ペプチボディ、関連たんぱく質及びその他、例えば、特にTRAIL-R2と結合するたんぱく質に関する部分においてその全体が参照によって本願に援用される米国特許第7,521,048号明細書に記載されているもの。
【0106】
アクチビンA特異抗体、ペプチボディ、関連たんぱく質、及びその他であり、アクチビンAと結合するたんぱく質に関する部分においてその全体が参照によって本願に援用される米国特許出願公開第2009/0234106号明細書に記載されているものが含まれるが、これに限定されない。
【0107】
TGF-ベータ特異抗体、ペプチボディ、関連たんぱく質、及びその他であり、TGF-ベータと結合するたんぱく質に関する部分においてその全体が参照によって本願に援用される米国特許第6,803,453号明細書及び米国特許出願公開第2007/0110747号明細書に記載されているものが含まれるが、これらに限定されない。
【0108】
アミロイドベータたんぱく質特異抗体、ペプチボディ、関連たんぱく質、及びその他であり、特にアミロイドベータたんぱく質と結合するたんぱく質に関する部分においてその全体が参照によって本願に援用されるPCT出願公開番号国際公開第2006/081171号パンフレットに記載されているものが含まれるが、これに限定されない。考えられる1つの抗体は、上記の公開文献において開示されている配列番号8を含む重鎖可変領域と配列番号6を有する軽鎖可変領域を有する抗体である。
【0109】
c-Kit特異抗体、ペプチボディ、関連たんぱく質、及びその他であり、特にc-Kit及び/又はその他の幹細胞因子受容体と結合するたんぱく質に関する部分においてその全体が参照によって本願に援用される米国特許出願公開第2007/0253951号明細書に記載されているものが含まれるが、これに限定されない。
【0110】
OX40L特異抗体、ペプチボディ、関連たんぱく質、及びその他であり、特にOX40L及び/又はOX40受容体のその他のリガンドと結合するたんぱく質に関する部分においてその全体が参照によって本願に援用される米国特許出願公開第2006/0002929号明細書に記載されているものが含まれるが、これに限定されない。
【0111】
Activase(登録商標)(アルテプラーゼ、tPA)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチン)、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ、又はエリスロポエチン)、GLP-1、Avonex(登録商標)(インタフェロンベータ1a)、Bexxar(登録商標)(トシツモマブ、抗CD22モノクローナル抗体)、Betaseron(登録商標)(インタフェロン-ベータ)、Campath(登録商標)(アレムツズマブ、抗CD52モノクローナル抗体)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、MLN0002(抗α4β7 mAb)、MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体mAb)、Enbrel(エタネルセプト、TNF-受容体/Fc融合たんぱく質、TNFブロッカ)、Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ)、Erbitux(登録商標)(セツキシマブ、抗EGFR/HER1/c-ErbB-1)、Genotropin(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ、抗HER2/neu(erbB2)受容体mAb)、Humatrope(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Humira(登録商標)(アダリムマブ)、インスリン溶液、Infergen(登録商標)(インタフェロンアルファコン-1)、Natrecor(登録商標)(ネシリチド、組み換えヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP)、Kineret(登録商標)(アナキンラ)、Leukine(登録商標)(サルガモスチム、rhuGM-CSF)、LymphoCide(登録商標)(エプラツズマブ、抗CD22 mAb)、Benlysta(商標)(lymphostat B、ベリムマブ、抗BlySmAb)、Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ、t-PA類似体)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコールエポエチンベータ)、Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン)、Raptiva(登録商標)(エファリズマブ)、Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル、CDP 870)、Soliris(商標)(エクリズマブ)、ペキセリズマブ(抗C5補体)、Numax(登録商標)(MEDI-524)、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)、Panorex(登録商標)(17-1A、エドレコロマブ)、Trabio(登録商標)(lerdelimumab)、TheraCim hR3(ニモツズマブ)、Omnitarg(ペルツズマブ、2C4)、Osidem(登録商標)(IDM-1)、OvaRex(登録商標)(B43.13)、Nuvion(登録商標)(ビジリズマブ)、cantuzumab mertansine(huC242-DM1)、NeoRecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Neumega(登録商標)(オプレルベキン、ヒトインタロイキン-11)、Neulasta(登録商標)(ペグ化フィルガストリム、ペグ化G-CSF、ペグ化hu-Met-G-CSF)、Neupogen(登録商標)(フィラグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)、Orthoclone OKT3(登録商標)(ムロモナブ-CD3、抗CD3モノクローナル抗体)、Procrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ、抗TNFαモノクローナル抗体)、Reopro(登録商標)(アブシキシマブ、抗GP llb/llia受容体モノクローナル抗体)、Actemra(登録商標)(抗IL6受容体mAb)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax-CD4(ザノリムマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ、抗CD20 mAb)、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Roferon-A(登録商標)-(インタフェロンアルファ-2a)、Simulect(登録商標)(バシリキシマブ)、Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ)、Synagis(登録商標)(パリビズマブ)、146B7-CHO(抗IL 15抗体、米国特許第7,153,507号明細書参照)、Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ、抗α4integrin mAb)、Valortim(登録商標)(MDX-1303、抗B、炭そ菌防御抗原mAb)、ABthrax(商標)、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xolair(登録商標)(オマリズマブ)、ETI211(抗MRSA mAb)、IL-1トラップ(ヒトIgG1のFc部及び両IL-1受容体成分(I型受容体と受容体補助たんぱく質)の細胞外ドメイン)、VEGFトラップ(IgG1 Fcに融合されたVEGFR1のIgドメイン)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ、抗IL-2Rα mAb)、Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン)、Zetia(登録商標)(エゼチミブ)、Orencia(登録商標)(アタシセプト、TACI-Ig)、抗CD80モノクローナル抗体(ガリキシマブ)、抗CD23 mAb(ルミリキシマブ)、BR2-Fc(huBR3/huFc融合たんぱく質、可溶性BAFFアンタゴニスト)、CNTO 148(ゴリムマブ、抗TNFα mAb)、HGS-ETR1(マパツムマブ、ヒト抗TRAIL受容体-1 mAb)、HuMax-CD20(オクレリズマブ、抗CD20ヒトmAb)、HuMax-EGFR(ザルツムマブ)、M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンmAb)、MDX-010(イピリムマブ、抗CTLA-4 mAb及びVEGFR-1(IMC-18F1)、抗BR3 mAb、抗C、ディフィシルトキシンA及びトキシンB C mAbs MDX-066(CDA-1)及びMDX-1388)、抗CD22 dsFv-PE38コンジュゲート(CAT-3888及びCAT-8015)、抗CD25 mAb(HuMax-TAC)、抗CD3 mAb(NI-0401)、アデカツムマブ、抗CD30 mAb(MDX-060)、MDX-1333(抗IFNAR)、抗CD38 mAb(HuMax CD38)、抗CD40L mAb、抗Cripto mAb、抗CTGF突発性肺線維症フェーズIフィブロゲン(FG-3019)、抗CTLA4 mAb、抗エオタキシン1 mAb(CAT-213)、抗FGF8 mAb、抗ガングリオシドGD2 mAb、抗ガングリオシドGM2 mAb、抗GDF-8ヒトmAb(MYO-029)、抗GM-CSF受容体mAb(CAM-3001)、抗HepC mAb(HuMax HepC)、抗IFNα mAb(MEDI-545、MDX-1103)、抗IGF1R mAb、抗IGF-1R mAb(HuMax-Inflam)、抗IL12 mAb(ABT-874)、抗IL 12/IL23 mAb(CNTO 1275)、抗IL 13 mAb(CAT-354)、抗IL2Ra mAb(HuMax-TAC)、抗IL5受容体mAb、抗インテグリン受容体mAb(MDX-018、CNTO 95)、抗IP10潰瘍性大腸炎mAb(MDX-1100)、抗LLY抗体、BMS-66513、抗マンノース受容体/hCGβ mAb(MDX-1307)、抗メソテリンdsFv-PE38コンジュゲート(CAT-5001)、抗PD1 mAb(MDX-1106(ONO-4538))、抗PDGFRα抗体(IMC-3G3)、抗TGFβmAb(GC-1008)、抗TRAIL受容体2ヒトmAb(HGS-ETR2)、抗TWEAK mAb、抗VEGFR/Flt-1 mAb、抗ZP3 mAb(HuMax-ZP3)、NVS抗体#1、及びNVS抗体#2を含む他の例示的なたんぱく質。
【0112】
また、スクレロスチン抗体も含めることができ、これは例えばロモソズマブ、ビオソズマブ、又はBPS 804(Novartis)であるが、これらに限定されない。さらに、リロツムマブ、ビキサロマ、トレバナニブ、ガニツマブ、コナツムマブ、モテサニブジフォスファート、ブロダルマブ、ビズピプラント、パニツムマブ、デノスマブ、NPLATE、PROLIA、VECTIBIX又はXGEVA等の治療薬を含めることができる。それに加えて、装置には、ヒトProprotein Convertase Subtilisin/Kexin Type 9(PCSK9)と結合するモノクローナル抗体(IgG)を含めることができ、例えば、米国特許第8,030,547号明細書、米国特許出願公開第2013/0064825号明細書、国際公開第2008/057457号パンフレット、同第2008/057458号パンフレット、同第2008/057459号パンフレット、同第2008/063382号パンフレット、同第2008/133647号パンフレット、同第2009/100297号パンフレット、同第2009/100318号パンフレット、同第2011/037791号パンフレット、同第2011/053759号パンフレット、同第2011/053783号パンフレット、同第2008/125623号パンフレット、同第2011/072263号パンフレット、同第2009/055783号パンフレット、同第2012/0544438号パンフレット、同第2010/029513号パンフレット、同第2011/111007号パンフレット、同第2010/077854号パンフレット、同第2012/088313号パンフレット、同第2012/101251号パンフレット、同第2012/101252号パンフレット、同第2012/101253号パンフレット、同第2012/109530号パンフレット、同第2001/031007号パンフレットである。
【0113】
また、悪性黒色腫やその他のがんの治療のための腫瘍溶解性免疫療法薬又は他の腫瘍溶解性HSVを含めることもできる。腫瘍溶解性HSVの例には、腫瘍溶解性免疫療法薬(米国特許第7,223,593号明細書及び同第7,537,924号明細書)、OncoVEXGALV/CD(米国特許第7,981,669号明細書)、OrienX010(Lei et al.(2013),World J. Gastroenterol,19:5138-5143)、G207、1716、NV 1020、NV12023、NV1034、及びNV1042(Vargehes et al.(2002)、Cancer Gene Ther.,9(12):967-978)が含まれるが、これらに限定されない。
【0114】
また、TIMPも含められる。TIMPは、内在性組織メタロプロテアーゼ阻害物質(TIMP=tissue inhibitors of metalloproteinase)であり、多くの自然のプロセスにおいて重要である。TIMP-3は、様々な細胞により作られ、細胞外マトリクス内に存在し、軟骨を変性させる主要なメタロプロテアーゼのすべてを阻害して、関節リウマチや骨関節炎のほか、がん及び心血管の状態を含む結合組織の多くの変性疾患において役割を果たすかもしれない。TIMP-3のアミノ酸配列及びTIMP-3をコード化するDNAの拡散配列は、2003年5月13日に発行された米国特許第6,562,596号明細書において開示されており、その開示を参照によって本願に援用する。TIMP変異説明は、米国特許出願公開第2014/0274874号明細書及びPCT出願公開番号国際公開第2014/152012号パンフレットにおいて見出すことができる。
【0115】
また、CGRP受容体及びその他の頭痛ターゲットを標的とするヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体及び2種特異性抗体分子のための拮抗抗体も含められる。これらの分子に関するより詳しい情報は、PCT出願番号国際公開第2010/075238号パンフレットにおいて見出すことができる。
【0116】
追加的に、二種特異性T細胞誘導抗体(BiTe)、例えばBlinotumomabをこの装置に使用できる。代替的に、APJ大分子アゴニスト、例えばアペリン又はその類似体を装置内に含めることができる。このような分子に関する情報は、国際出願公開第2014/099984号において見出すことができる。
【0117】
特定の実施形態において、薬剤は治療的に有効な量の抗胸腺間質リンパ球増殖因子(TSLP)又はTSLP受容体抗体を含む。このような実施形態で使用されてよい抗TSLP抗体には、米国特許第7,982,016号明細書及び同第8,232,372号明細書、及び米国特許出願公開第2009/0186022号明細書に記載されているものが含まれるが、これらに限定されない。抗TSLP受容体抗体の例には、米国特許第8,101,182号明細書に記載されたものが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましい実施形態において、薬剤は、治療的に有効な量の、米国特許第7,982,016号明細書においてA5と指定されている抗TSLP抗体を含む。
【0118】
薬剤送達装置、挿入機構、駆動機構、システム、方法、及びそれらの要素は例示的実施形態に関して説明されているが、これらはそれに限定されない。詳細な説明は、例としてのみ解釈されるものとし、考え得るすべての実施形態のひとつひとつを説明することは、不可能ではないとしても非現実的であることから、本発明の考え得るすべての実施形態を説明しているわけではない。現在の技術又は、本特許の出願日以降に開発される技術を使って、数多くの代替的実施形態が実装でき、これらも本発明を定義する特許請求の範囲に含められる。
【0119】
理解すべき点として、本発明の法的範囲は本特許末尾に示されている特許請求項の文言により定義される。付属の特許請求の範囲は、装置、駆動機構、システム、方法、及びそれらの要素の均等物の範囲から逸脱せずに当業者によりなされ得るその他のその変形型と実施形態を含めるように、広く解釈すべきである。