(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】光触媒製品
(51)【国際特許分類】
B01J 23/30 20060101AFI20240502BHJP
B01J 35/39 20240101ALI20240502BHJP
B01J 31/02 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
B01J23/30 M
B01J35/39
B01J31/02 102M
(21)【出願番号】P 2023116684
(22)【出願日】2023-07-18
(62)【分割の表示】P 2019192159の分割
【原出願日】2019-10-21
【審査請求日】2023-07-18
(31)【優先権主張番号】P 2019051293
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江崎 元昭
(72)【発明者】
【氏名】千草 尚
(72)【発明者】
【氏名】荻原 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】菅原 繁
(72)【発明者】
【氏名】太田 英男
(72)【発明者】
【氏名】横田 昌広
(72)【発明者】
【氏名】小野 修
(72)【発明者】
【氏名】猪又 宏貴
(72)【発明者】
【氏名】矢野 琢真
【審査官】若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-137711(JP,A)
【文献】特開2010-270543(JP,A)
【文献】特開2001-200202(JP,A)
【文献】国際公開第2011/118780(WO,A1)
【文献】特開2018-171620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
B32B 1/00-43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質基材と、
前記多孔質基材上に設けられた表面処理部とを備え、
前記表面処理部は、前記多孔質基材上の炭酸ジルコニウムアンモニウム層、及び前記炭酸ジルコニウムアンモニウム層上の酸化タングステンを含有する光触媒層を含む光触媒製品。
【請求項2】
前記多孔質基材は、不織布である請求項1に記載の光触媒製品。
【請求項3】
前記多孔質基材は、壁紙である請求項1または2に記載の光触媒製品。
【請求項4】
前記多孔質基材は、壁布である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光触媒製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光触媒製品に関する。
【背景技術】
【0002】
光触媒は、光によって励起された電子と正孔を生じ、強い酸化力を有する。この酸化力は、触媒作用として、有害有機分子の分解除去や殺菌、基材の親水性維持等に利用される。光触媒をガラス基材などの無機基材に適用した場合には、周囲雰囲気に対し触媒作用を発揮することができる。一方、不織布壁紙や布製品等には化学薬剤で処理されたり、染色を施される等されるため、様々な有機物成分が多く含まれている。そのため、不織布等の有機基材に光触媒を適用すると、有機基材からの有害有機分子を多く吸着して分解するため、周囲雰囲気に対する触媒作用が低下するという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5481629号公報
【文献】国際公開第2015/056486号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、周囲雰囲気に対する触媒作用が良好な光触媒製品を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、多孔質基材と、
前記多孔質基材上に設けられた表面処理部とを備え、
前記表面処理部は、前記多孔質基材上の炭酸ジルコニウムアンモニウム層、及び前記炭酸ジルコニウムアンモニウム層上の酸化タングステンを含有する光触媒層を含む光触媒製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態にかかる光触媒製品の構成を表すモデル図である。
【
図2】第1実施形態にかかる光触媒製品の他の構成を表すモデル図である。
【
図3】第1実施形態にかかる光触媒製品の他の構成を表すモデル図である。
【
図4】第1実施形態にかかる光触媒製品の他の構成を表すモデル図である。
【
図5】第2実施形態にかかる光触媒製品の構成を表すモデル図である。
【
図6】実施形態にかかる光触媒製品の触媒作用を示すグラフ図である。
【
図7】実施形態にかかる光触媒製品の他のサンプルの触媒作用を示すグラフ図である。
【
図8】比較の光触媒製品の触媒作用を示すグラフ図である。
【
図9】実施形態にかかる光触媒製品の触媒作用を示すグラフ図である。
【
図10】比較の光触媒製品の触媒作用を示すグラフ図である。
【
図11】実施形態に使用される多孔質基材の表面のSEM写真である。
【
図12】実施形態にかかる光触媒製品の表面のSEM写真である。
【
図13】実施形態にかかる光触媒製品の転着試験の結果を表す黒布表面の写真である。
【
図14】実施形態にかかる光触媒製品の光触媒の転着試験の結果を表す黒布表面の写真である。
【
図15】光照射時間とアセトアルデヒド残存率との関係を表すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態にかかる光触媒製品は、多孔質基材と、多孔質基材上に設けられた表面処理部とを含む。表面処理部は、スメクタイトを含む粘土鉱物、または炭酸ジルコニウムアンモニウムのうち少なくとも1つと、酸化タングステンを含有する光触媒とを含む。
実施形態によれば、表面処理部に、スメクタイトを含む粘土鉱物、または炭酸ジルコニウムアンモニウムのうち少なくとも1つを用いることにより、多孔質基材として例えば有機基材を用いる場合、有機基材からのガス放出を防止することができる。また、光触媒と有機基材中の有機物成分が接触して光触媒反応することにより発生する例えばアルデヒド系のガス放出を防ぐことができる。これにより、光触媒の周囲雰囲気に対する触媒作用が良好な状態が得られる。また、多孔質基材として有機多孔質基材、特に不織布壁紙や布製品を用いた場合の光触媒作用に対して有効である。
【0008】
実施形態にかかる光触媒製品は、以下の第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態にかかる光触媒製品に分けることができる。
第1実施形態にかかる光触媒製品は、多孔質基材と、多孔質基材上に設けられ、スメクタイトを含む粘土鉱物、及び酸化タングステンを含有する光触媒を含む表面処理部とを備える。
スメクタイトは、層状の結晶構造を有するケイ酸塩鉱物である。実施形態に使用できるスメクタイトとして、例えば、サポナイト、ヘクトナイト、モンモリロナイト、及びスティブンサイト等があげられる。高アスペクト比で、薄膜状の結晶が積層した形状を有するもの、透明性が高いものを使用できる。
【0009】
第1実施形態によれば、多孔質基材を、薄膜状の結晶が積層した形状を有するスメクタイトを用いて表面処理することにより、有機物成分に対する多孔質基材のバリアー性が良好となる。例えばアクリルエマルジョンを分散した水性染料を塗布された有機基材に光触媒を用いる場合、有機基材からアクリルエマルジョンの成分である有機物が溶出し、光触媒を覆う。これに対し、有機基材にスメクタイト処理を施せば溶出した有機物と光触媒との接触を防止し、光触媒性能劣化や有機物と光触媒との反応に伴うアルデヒド系またはカルボン酸系のガス放出を防止することができる。また、光触媒と有機基材が直接接触して反応することを防ぐことができる。これにより、周囲雰囲気に対する触媒作用が良好な光触媒製品が得られる。
【0010】
図1に、第1実施形態にかかる光触媒製品の構成を表すモデル図を示す。
図示するように、第1実施形態にかかる光触媒製品10は、例えば多孔質基材1と、多孔質基材1上に設けられた表面処理部4とを含む。表面処理部4は、多孔質基材1上に順に形成された粘土鉱物層2及び光触媒層3を含む。多孔質基材1として不織布など表面が不均一な基材を使用した場合、粘土鉱物層2は、一様な層である必要はなく、基材表面に点在し得る。同様に、光触媒層3も一様な層である必要はなく、基材表面に点在し得る。なお、多孔質基材1が粘土鉱物を吸収する場合には、粘土鉱物層2は基材に染み込んでいても構わない。
【0011】
表面処理部4にはスメクタイトを含む粘土鉱物が豊富な領域、光触媒が豊富な領域、及び粘土鉱物と光触媒の両方が混在する領域が存在し得る。触媒作用を示すのは、表面処理部4上に露出している光触媒である。
多孔質基材としては、布製品、不織布、織物、樹脂フィルム、樹脂シート等の有機基材、また、有機物を含む塗料または染料、顔料、バインダー、糊、油剤等が含まれる有機物基材及びそれらのうち少なくとも1つを用いた製品などを使用することができる。
多孔質基材に対するスメクタイトの使用量は、固形分として1.0~6.0g/m2にすることができる。6.0g/m2を超えると、基材の質感や、柔軟性が失われる状態となったり、その上に固定化する光触媒粒子が取れやすくなり、1.0g/m2未満であると、不均一塗布となることにより十分に効果が出なくなる傾向があるが、多孔質基材の目付や表面積、製造履歴等により異なり、多孔質基材に応じて適切な範囲が決定される。
【0012】
粘土鉱物層2は、例えば、スメクタイトを含む塗付液をディップコート、グラビアコート、スピンコート、バーコート、あるいはロータリースクリーンコート等の塗付方法を用いて塗付することにより、形成することができる。例えばディップコートのように多孔質基材の両面に適用すると、例えば多孔質基材が有機基材であり、光触媒製品をロール状で、あるいはスタックして保管する場合に、有機基材の裏面からのガス放出を防止することができる。また、光触媒と有機基材が接触して反応することを防ぐことができる。
【0013】
実施形態に用いられる光触媒としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化ニオブ、酸化スズなどからなる少なくとも1種の金属酸化物があげられる。また、光触媒には、酸化ジルコニウム、白金、ルテニウム、または銅等のうち少なくとも1つを添加することができる。
【0014】
多孔質基材に対する光触媒の使用量は、固形分として0.2~2.0g/m2にすることができる。2.0g/m2を超えると、色調の変化等および粒子が取れやすくなることが問題となり、0.2g/m2未満であると、触媒作用不足となる傾向があるが、多孔質基材の目付や表面積、製造履歴等により異なり、多孔質基材に応じて適切な範囲が決定される。
光触媒層3は、例えば、光触媒を含むスラリーをディップコート、グラビアコート、スピンコート、バーコート、あるいはロータリースクリーンコート等の塗付方法を用いて塗付することにより、形成することができる。
【0015】
表面処理部は、少なくとも炭酸ジルコニウムアンモニウムまたはアジピン酸ジヒドラジドのうち1つをさらに含むことができる。
炭酸ジルコニウムアンモニウムは、多孔質基材に含まれる有機物を架橋させる架橋剤として使用されると考えられる。炭酸ジルコニウムアンモニウムを多孔質基材例えば不織布のような有機基材中の水溶性高分子のカルボキシル基や水酸基と反応させて、不溶化(固定化)することにより、不必要なガスの放出やブリードを防止することができる。実施形態によれば、表面処理部に炭酸ジルコニウムアンモニウムをさらに含むことにより、周囲雰囲気に対する触媒作用がより良好な光触媒製品が得られる。
【0016】
多孔質基材に対する炭酸ジルコニウムアンモニウムの使用量は、ZrO2換算で固形分として0.1~10.0g/m2にすることができる。10.0g/m2を超えると、基材の柔軟性が失われた状態となり、0.1g/m2未満であると、固定化不足となる傾向があるが、多孔質基材の目付や表面積、製造履歴等により異なり、好ましい範囲は限定されるものではない。
なお、ここでは、ZrO2換算とは、まず、炭酸ジルコニウムアンモニウム溶液を秤量したのち完全蒸発乾固し、蒸発乾固した重量を(NH4)2[Zr(CO3)2(OH)2]の分子量281.33で除し、ZrO2の分子量123.22で乗することにより、蒸発乾固した炭酸ジルコニウムアンモニウムのZrO2への重量換算値を求めることをいう。この重量換算値を固形分の重量として、単位面積当たりの固着量(固形分量)を算出することができる。
【0017】
アジピン酸ジヒドラジドは、ホルムアルデヒド等の有害有機分子を吸着する吸着剤として使用される。実施形態によれば、表面処理部にアジピン酸ジヒドラジドを用いることにより、周囲雰囲気に対する触媒作用がより良好な光触媒製品が得られる。
多孔質基材に対するアジピン酸ジヒドラジドの使用量は、固形分として0.5~15.0g/m2にすることができる。15.0g/m2を超えると、粉状物の発生原因となり、0.1g/m2未満であると、十分な効果が得られない状態となる傾向があるが、多孔質基材の目付や表面積、製造履歴等により異なり、好ましい範囲は限定されるものではない。
【0018】
図2ないし
図4に、第1実施形態にかかる光触媒製品の他の構成を表すモデル図を示す。
炭酸ジルコニウムアンモニウムを適用する場合、例えば、
図2に示すように、多孔質基材1上に粘土鉱物層2を形成する前に、炭酸ジルコニウムアンモニウムを含む架橋剤層5を形成することができる。得られた光触媒製品20は、表面処理部4-1として、多孔質基材1上に順に形成された、架橋剤層5、粘土鉱物層2、及び光触媒層3を含む。
なお、多孔質基材1が架橋剤や粘土鉱物を吸収する場合には、架橋剤層5や粘土鉱物層2は多孔質基材に染み込んでいても構わない。
【0019】
アジピン酸ジヒドラジドを適用する場合、例えば、
図3に示すように、多孔質基材上に粘土鉱物層を形成する前に、アジピン酸ジヒドラジドを含む吸着剤層6を形成することができる。得られた光触媒製品30は、表面処理部4-2として、多孔質基材1上に順に形成された吸着剤層6、粘土鉱物層2、及び光触媒層3を含む。なお、多孔質基材1が吸着剤や粘土鉱物を吸収する場合には、吸着剤層6や粘土鉱物層2は多孔質基材に染み込んでいても構わない。
架橋剤層と吸着剤層の両方を適用する場合には、例えば、
図4に示すように、多孔質基材1上に、粘土鉱物層を形成する前に、架橋剤層5、及び吸着剤層6の順、あるいは吸着剤層6、架橋剤層5の順に形成することができる。得られた光触媒製品40は、多孔質基材1上に、表面処理部4-3として、架橋剤層5、吸着剤層6、粘土鉱物層2、及び光触媒層3が順に積層されている。なお、多孔質基材1が架橋剤、吸着剤や粘土鉱物を吸収する場合には、架橋剤層5や吸着剤層6、粘土鉱物層2は多孔質基材に染み込んでいても構わない。
【0020】
架橋剤層は多孔質基材中の水溶性高分子のカルボキシル基や水酸基などと反応させるため、吸着剤層よりも多孔質基材の近くに設けることができる。炭酸ジルコニウムアンモニウムとアジピン酸ジヒドラジドとをさらに含むことにより、周囲雰囲気に対する触媒作用がさらにまた良好な光触媒製品が得られる。また、架橋剤層5の架橋反応により、多孔質基材に吸着剤層6が含浸しにくくなる場合には、吸着剤層6、架橋剤層5の順に形成することができる。
【0021】
架橋剤層と吸着剤層は、それぞれ架橋剤を含む塗付液、及び吸着剤を含む塗付液を例えば、ディップコート、グラビアコート、スピンコート、バーコート、あるいはスプレーコート等の塗付方法を用いて塗付することにより、形成することができる。例えばディップコートのように多孔質基材の両面に適用すると、例えば多孔質基材が有機基材であり、光触媒製品をロール状で、あるいはスタックして保管する場合に、有機基材の裏面からのガス放出を抑制することができる。また、光触媒と有機基材が接触して反応することを抑制することができる。
【0022】
図5に、第2実施形態にかかる光触媒製品の構成を表すモデル図を示す。
第2実施形態にかかる光触媒製品50は、多孔質基材1と、多孔質基材1上に設けられた表面処理部4-4として、架橋剤層5、及び酸化タングステンを含有する光触媒層3が順に積層されている。多孔質基材1として不織布など表面が不均一な基材を使用した場合、架橋剤層5は、一様な層である必要はなく、基材表面に点在し得る。同様に、光触媒層3も一様な層である必要はなく、基材表面に点在し得る。なお、多孔質基材が架橋剤を吸収する場合には、架橋剤層5は多孔質基材に染み込んでいても構わない。
表面処理部4には炭酸ジルコニウムアンモニウムが豊富な領域、光触媒が豊富な領域、及び炭酸ジルコニウムアンモニウムと光触媒の両方が混在する領域が存在し得る。触媒作用を示すのは、表面処理部4上に露出している光触媒である。
【0023】
第2実施形態によれば、炭酸ジルコニウムアンモニウムを含む架橋剤を用いると、多孔質基材例えば有機基材中の水溶性高分子のカルボキシル基や水酸基などを炭酸ジルコニウムアンモニウムと反応させて、不溶化することにより、多孔質基材の不必要なガスの放出やブリードを防止することができる。このようにして光触媒と多孔質基材が反応することを防ぐことにより、周囲雰囲気に対する触媒作用が良好な光触媒製品が得られる。
【0024】
第2実施形態に使用される多孔質基材、表面処理部、架橋剤層、及び酸化タングステンを含有する光触媒層等の部材は、各々、第1実施形態に使用される部材と同様である。また、多孔質基材に対する炭酸ジルコニウムアンモニウム及び光触媒層等の使用量は、第1実施形態と同様である。
【0025】
第3実施形態にかかる光触媒製品は、多孔質基材と、多孔質基材上に設けられた表面処理部とを含み、表面処理部は、スメクタイトを含む粘土鉱物、及び酸化タングステンを含有する光触媒を含む。さらに、この光触媒製品は、チャンバーの容積が0.5Lであり、白色蛍光灯FL20SWから光照射し、クラレックスUVカットフィルターN-169(日東樹脂工業)で380nm以下のUV光をカットし、照度6000ルクスとし、常温、常圧、湿度20%の条件で、10ppmの濃度のアセトアルデヒドを2時間で60%以上削減することができる。
【0026】
第3実施形態によれば、周囲雰囲気に対する触媒作用が良好な光触媒製品が得られる。
第3実施形態に使用される多孔質基材、及び表面処理部の部材は、各々、第1実施形態に使用される部材と同様である。また、多孔質基材に対する光触媒層等の使用量は、第1実施形態と同様である。
実施形態にかかる光触媒製品は、いずれも、光触媒、アジピン酸ジヒドラジド、炭酸ジルコニウムアンモニウム、あるいはスメクタイトなどの部材を含む粘土鉱物を含有する塗付液を多孔質基材に塗布することにより、作製することができる。塗付液の塗布により多孔質基材に固着する部材の状態は、多孔質基材の材質に影響される。例えば多孔質基材が樹脂フィルム、あるいは樹脂シートである場合には、塗布液が染み込みにくく、塗布液中の部材は、多孔質基材表面を覆うように固着され得る。一方、多孔質基材が、布製品、不織布、あるいは織物である場合には、塗布液が染み込みやすく、塗布液中の部材は、多孔質基材を構成する1本1本の繊維を覆うように固着され得る。このようなことから、実施形態にかかる光触媒製品の製造工程において、塗布液の濃度、及び塗付量は、使用される多孔質基材のそれぞれについて、塗付液の染み込みやすさを考慮して調整することができる。
【0027】
多孔質基材に対する塗付液の染み込みやすさの目安として、使用する多孔質基材ついて、予め、多孔質基材が単位面積あたりに純水を吸水できる最大吸水量を測定することができる。このとき、各塗付液の多孔質基材への固着量(固形分量)FW(g/m2)は、下記式(1)で表すことができる。
FW=K/100×WA×C/100×(D/D0)…(1)
FW:固形分の固着量(g/m2)K:0を超え100以下の任意の値
WA:純水を吸水できる最大吸水量(g/m2)
C:塗付液の固形分濃度(重量%)
D:塗布液の比重(g/cm3)
D0:水の比重(g/cm3)
式中、WAは、多孔質基材が単位面積あたりに純水を吸水できる最大吸水量(g/m2)、Kは、塗布の方法や塗布液の塗布状態によって選択される、0を超え100以下の任意の値、Cは、塗付液の固形分濃度(重量%)、Dは、塗布液の比重(g/cm3)、D0は水の比重(g/cm3)である。
【0028】
各塗付液の固形分濃度C(重量%)は、塗付液に使用される部材によって異なる。スメクタイトの場合は0~5重量%である。スメクタイトを含む塗付液の固形分濃度Cは、5重量%を超えると、粘度が高くなり、水分散が困難になる傾向があることから、5重量%以下にすることができる。炭酸ジルコニウムアンモニウムの場合は、ZrO2換算で0~20重量%である。炭酸ジルコニウムアンモニウム(AZC)を含む塗付液の固形分濃度Cは、20重量%(ZrO2換算)を超えると、アンモニア臭が強くなり、作業環境を悪化させる傾向があるため、20重量%以下にすることができる。アジピン酸ジヒドラジドの場合は0~11重量%にすることができる。アジピン酸ジヒドラジド(ADH)の水に対する溶解度は、30℃で11重量%であることから、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)を含む塗付液の固形分濃度Cは11重量%以下にすることができる。
固形分濃度Cは、好ましくは、スメクタイトの場合1~3重量%、炭酸ジルコニウムアンモニウムの場合ZrO2換算で0.1~10重量%、アジピン酸ジヒドラジドの場合0.1~8重量%にすることができる。
【0029】
以下、実施例を示し、実施形態を具体的に説明する。
【実施例】
【0030】
実施例1
粘土鉱物塗付液1の調製
スターラーで撹拌した純水にスメクタイト粉末を2.8重量%となるように投入し5分間撹拌した後、ホモジナイザーで15分間処理し24時間放置した。これを再度スターラーで撹拌し均一化させ、粘土鉱物層塗付液1としてのスラリーを得た。
【0031】
光触媒塗付液1の調製
10重量%WO3および10重量%TiO2を含むスラリーを用意し、純水で総固形分が2.5重量%となるように希釈した。
【0032】
サンプル作製
50×100mmに切り出した不織布壁紙について、純水を吸水できる最大吸水量を測定したところ0.964gであったことから、1m2当たりの最大吸水量WAを192.8g/m2と見積もった。
この不織布壁紙に、粘土鉱物塗布液1を、ディップコートにより、199g/m2(このとき、Kが100,塗布液の比重Dは1.03g/cm3)塗布し、150℃で5分間乾燥させ、不織布壁紙基材に5.6g/m2のスメクタイトを固着した。
更に、1.25重量%WO3、および1.25重量%TiO2を含む光触媒塗布液1をディップコートで40g/m2塗布し、150℃で5分間乾燥し、光触媒を1.0g/m2固着させて、光触媒製品としての不織布壁紙を得た。
作製した不織布壁紙は、20W/m2となるように調整した紫外線ランプFL20SBLで、24時間の前処理を行い、サンプルとした。また、別途、紫外線による前処理を行わないサンプルも用意した。
【0033】
試験方法
アセトアルデヒドガス除去試験は、5L容積のチャンバーにサンプルを入れ、25℃、湿度20%となるように予め換気し調整した後、アセトアルデヒドガスを、濃度が10ppmとなるように、チャンバーにシリンジで注入した。除去試験には、紫外線シャープカットフィルター(クラレックスUVカットフィルターN-169)を灯具とチャンバーの間に挟み込み、380nm以下のUV光をカットしながら白色蛍光灯FL20SWを用いてサンプル面上で6000lxとなるように光照射を行い、アセトアルデヒドガスの濃度測定を、光音響マルチガスモニターINNOVA1412i(LumaSense Technologies社製)を用いて、2時間行った。
【0034】
図6は、実施形態にかかる光触媒製品の触媒作用を示すグラフ図であり、光の照射時間とアセトアルデヒド残存率との関係を示す。
図7は、実施形態にかかる光触媒製品の他のサンプルの触媒作用を示すグラフ図であり、光の照射時間とアセトアルデヒド残存率との関係を示す。
実施例1の結果を
図6にグラフ101として示す。
また、紫外線による前処理を行わないサンプルについて同様にアセトアルデヒドガス除去試験を行った結果を
図7にグラフ506として示す。
図6及び
図7より、表面処理部にスメクタイトと光触媒を適用した場合、紫外線による前処理を行なったサンプルでは、アセトアルデヒドガス残存率が2時間で10%以下となり、良好な触媒作用があることがわかった。しかしながら、紫外線による前処理を行なわないサンプルでは、アセトアルデヒドガス残存率が2時間で70%以上となり、十分な触媒作用は確認できなかった。
【0035】
実施例2
架橋剤塗付液1の調製
架橋剤塗付液は、ZrO2換算で19%炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液を純水で1.9重量%に希釈し、スターラーで撹拌して作製した。
粘土鉱物塗付液1の調製
実施例1と同様にして、粘土鉱物層塗付液1のスラリーを得た。
光触媒塗付液1の調製
実施例1と同様にして、光触媒塗付液1のスラリーを得た。
【0036】
サンプル作製
50×100mmに切り出した不織布壁紙について、純水を吸水できる最大吸水量を測定したところ0.964gであったことから、1m2当たりの最大吸水量WAを192.8g/m2と見積もった。
この不織布壁紙に、架橋剤塗布液1を、ディップコートにより、199g/m2(このとき、Kが100、塗付液の比重Dは1.033g/cm3)を塗布し、150℃で5分間乾燥させ、炭酸ジルコニウムアンモニウムを固定化した。このようにして、不織布壁紙基材に、炭酸ジルコニウムアンモニウムの固形分量(ZrO2換算)として、3.8g/m2を固着させた。
【0037】
次に、実施例1と同様の粘土鉱物塗布液1を、ディップコートにより、199g/m2(このとき、Kが100,液比重Dは1.04g/cm3)を塗布し、150℃で5分間乾燥させ、不織布壁紙基材に5.6g/m2のスメクタイトを固着した。
【0038】
更に、1.25重量%WO3、および1.25重量%TiO2を含む光触媒塗布液1をディップコートで40g/m2塗布し、150℃で5分間乾燥し、光触媒を1.0g/m2固着させて、光触媒製品としての不織布壁紙を得た。
作製した不織布壁紙は、20W/m2となるように調整した紫外線ランプFL20SBLで、24時間の前処理を行い、サンプルとした。また、別途、前処理を行わないサンプルも用意した。
【0039】
試験方法
実施例1と同様にして、アセトアルデヒドガスの濃度測定を2時間行った。
得られた結果を
図6にグラフ102として示す。
また、紫外線による前処理を行わないサンプルについて同様にアセトアルデヒドガス除去試験を行った結果を
図7にグラフ503として示す。
図6及び
図7より、表面処理部にスメクタイトと光触媒と架橋剤を使用した場合、紫外線による前処理を行なったサンプルでは、アセトアルデヒドガス残存率が2時間で10%以下となり、良好な触媒作用があることがわかった。紫外線による前処理を行なわないサンプルでは、アセトアルデヒドガス残存率が2時間で20%以下となり、触媒効果があることが確認できた。
【0040】
実施例3
吸着剤塗付液1の調製
吸着剤塗付液1は、純水中にアジピン酸ジヒドラジド粉末を添加してスターラーで撹拌して作製した。この時の濃度は0.4重量%とした。
粘土鉱物塗付液1の調製
実施例1と同様にして、粘土鉱物層塗付液1のスラリーを得た。
光触媒塗付液1の調製
実施例1と同様にして、光触媒塗付液1のスラリーを得た。
【0041】
サンプル作製
50×100mmに切り出した不織布壁紙について、純水を吸水できる最大吸水量を測定したところ0.964gであったことから、1m2当たりの最大吸水量WAを192.8g/m2と見積もった。
この不織布壁紙に、吸着剤塗付液1を、ディップコートにより、192.8g/m2(このとき、Kが100、塗布液の比重Dは1.000g/cm3)を塗布し、150℃で5分間乾燥させ、アジピン酸ジヒドラジドを固定化した。このようにして、不織布壁紙基材に、アジピン酸ジヒドラジドの固形分量として、0.8g/m2を固着させた。
【0042】
次に、実施例1と同様の粘土鉱物塗布液1を、ディップコートにより、199g/m2(このとき、比率Kが100,塗布液の比重Dは1.04g/cm3)を塗布し、150℃で5分間乾燥させ、不織布壁紙基材に5.6g/m2のスメクタイトを固着した。
更に、1.25重量%WO3、および1.25重量%TiO2を含む光触媒塗布液1をディップコートで40g/m2塗布し、150℃で5分間乾燥し、光触媒を1.0g/m2固着させて、光触媒製品としての不織布壁紙を得た。
作製した不織布壁紙は、20W/m2となるように調整した紫外線ランプFL20SBLで、24時間の前処理を行い、サンプルとした。また、別途、前処理を行わないサンプルも用意した。
【0043】
試験方法
実施例1と同様にして、アセトアルデヒドガスの濃度測定を2時間行った。
得られた結果を
図6にグラフ103として示す。
また、紫外線による前処理を行わないサンプルについて同様にアセトアルデヒドガス除去試験を行った結果を
図7にグラフ502として示す。
図6及び
図7より、表面処理部にスメクタイトと光触媒と吸着剤を使用した場合、紫外線による前処理を行なったサンプルでは、アセトアルデヒドガス残存率が2時間で10%以下となり、良好な触媒作用があることがわかった。紫外線による前処理を行なわないサンプルでも、アセトアルデヒドガス残存率が2時間で10%以下となり、十分な触媒効果があることが確認できた。
【0044】
実施例4
吸着剤塗付液1の調製
実施例3と同様にして吸着剤塗付液1を調製した。
架橋剤塗付液1の調製
実施例2と同様にして架橋剤塗付液を調製した。
粘土鉱物塗付液1の調製
実施例1と同様にして、粘土鉱物層塗付液1のスラリーを得た。
光触媒塗付液1の調製
実施例1と同様にして、光触媒塗付液1のスラリーを得た。
【0045】
サンプル作製
50×100mmに切り出した不織布壁紙について、純水を吸水できる最大吸水量を測定したところ0.964gであったことから、1m2当たりの最大吸水量WAを192.8g/m2と見積もった。
この不織布壁紙に、吸着剤塗付液1を、ディップコートにより、192.8g/m2(このとき、Kが100、塗布液の比重Dは1.000g/cm3)を塗布し、150℃で5分間乾燥させ、アジピン酸ジヒドラジドを固定化した。このようにして、不織布壁紙基材に、アジピン酸ジヒドラジドの固形分量として、0.8g/m2を固着させた。
【0046】
次に、この不織布壁紙に、架橋剤塗布液1を、ディップコートにより、199g/m2(このとき、Kが100、塗布液の比重Dは1.033g/cm3)を塗布し、150℃で5分間乾燥させ、炭酸ジルコニウムアンモニウムを固定化した。このようにして、不織布壁紙基材に、炭酸ジルコニウムアンモニウムの固形分量(ZrO2換算)、アジピン酸ジヒドラジドの固形分量として、3.8g/m2を固着させた。
続いて、実施例1と同様の粘土鉱物塗布液1を、ディップコートにより、199g/m2(このとき、比率Kが100,塗布液の比重Dは1.04g/cm3)を塗布し、150℃で5分間乾燥させ、不織布壁紙基材に5.6g/m2のスメクタイトを固着した。
【0047】
更に、1.25重量%WO3、および1.25重量%TiO2を含む光触媒塗布液1をディップコートで40g/m2塗布し、150℃で5分間乾燥し、光触媒を1.0g/m2固着させて、光触媒製品としての不織布壁紙を得た。
作製した不織布壁紙は、20W/m2となるように調整した紫外線ランプFL20SBLで、24時間の前処理を行い、サンプルとした。また、別途、前処理を行わないサンプルも用意した。
【0048】
試験方法
実施例1と同様にして、アセトアルデヒドガスの濃度測定を2時間行った。
得られた結果を
図6にグラフ104として示す。
また、紫外線による前処理を行わないサンプルについて同様にアセトアルデヒドガス除去試験を行った結果を
図7にグラフ504として示す。
図6及び
図7より、表面処理部にスメクタイトと光触媒と架橋剤と吸着剤を使用した場合、紫外線による前処理を行なったサンプルでは、アセトアルデヒドガス残存率が2時間で10%以下となった。紫外線による前処理を行なわないサンプルでは、アセトアルデヒドガス残存率が2時間で10%以下となり、良好な触媒効果があることが確認できた。
【0049】
実施例5
架橋剤塗付液1の調製
実施例2と同様にして架橋剤塗付液を調製した。
光触媒塗付液1の調製
実施例1と同様にして、光触媒塗付液1のスラリーを得た。
【0050】
サンプル作製
50×100mmに切り出した不織布壁紙について、純水を吸水できる最大吸水量を測定したところ0.964gであったことから、1m2当たりの最大吸水量WAを192.8g/m2と見積もった。
この不織布壁紙に、架橋剤塗布液1を、ディップコートにより、199g/m2(このとき、Kが100、塗布液の比重Dは1.033g/cm3)を塗布し、150℃で5分間乾燥させ、炭酸ジルコニウムアンモニウムを固定化した。このようにして、不織布壁紙基材に、炭酸ジルコニウムアンモニウムの固形分量(ZrO2換算)として、3.8g/m2を固着させた。
【0051】
次に、1.25重量%WO3、および1.25重量%TiO2を含む光触媒塗布液1をディップコートで40g/m2塗布し、150℃で5分間乾燥し、光触媒を1.0g/m2固着させて、光触媒製品としての不織布壁紙を得た。
作製した不織布壁紙は、20W/m2となるように調整した紫外線ランプFL20SBLで、24時間の前処理を行い、サンプルとした。
【0052】
試験方法
実施例1と同様にして、アセトアルデヒドガスの濃度測定を2時間行った。
得られた結果を
図6にグラフ105として示す。
【0053】
実施例6
架橋剤と吸着剤の混合塗付液1の調製
19%炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液を純水で希釈し、アジピン酸ジヒドラジド粉末を添加してスターラーで撹拌して作製した。この時の濃度は、それぞれ1.9重量%、0.4重量%とした。
粘土鉱物塗付液1の調製
実施例1と同様にして、粘土鉱物層塗付液1のスラリーを得た。
光触媒塗付液1の調製
実施例1と同様にして、光触媒塗付液1のスラリーを得た。
【0054】
サンプル作製
基材として不織布壁紙を用意した。使用した多孔質基材のSEM写真を
図11に示す。
図11は、不織布壁紙基材表面を観察したものであり、図示するように、天然繊維にポリエステル繊維を含有した不織布基材に、フィラー(鱗片状の片)を含む染料が装飾のために施されている。
50×100mmに切り出した不織布壁紙について、純水を吸水できる最大吸水量を測定したところ0.964gであったことから、1m
2当たりの最大吸水量WAを192.8g/m
2と見積もった。
【0055】
この不織布壁紙に、架橋剤と吸着剤の混合塗布液1を、ディップコートにより、196.1g/m2(このとき、Kが100、塗布液の比重Dは1.017g/cm3)を塗布し、150℃で5分間乾燥させ、炭酸ジルコニウムアンモニウムと、アジピン酸ジヒドラジドを固定化した。このようにして、不織布壁紙基材に、炭酸ジルコニウムアンモニウムの固形分量(ZrO2換算)として、3.7g/m2、アジピン酸ジヒドラジドの固形分量として、0.8g/m2を固着させた。
【0056】
次に、実施例1と同様の粘土鉱物塗布液1を、ディップコートにより、199g/m2(このとき、比率Kが100,液比重Dは1.04g/cm3)を塗布し、150℃で5分間乾燥させ、不織布壁紙基材に5.6g/m2のスメクタイトを固着した。
更に、1.25重量%WO3、および1.25重量%TiO2を含む光触媒塗布液1をディップコートで40g/m2塗布し、150℃で5分間乾燥し、光触媒を1.0g/m2固着させて、光触媒製品としての不織布壁紙を得た。
【0057】
得られた光触媒製品の表面を電子顕微鏡で観察したSEM写真を
図12に示す。図示するように、この光触媒製品では、多孔質基材表面から染み込んだ架橋剤、吸着剤、及び光触媒が、それぞれの天然繊維およびポリエステル繊維の上に設けられている。
作製した不織布壁紙は、20W/m
2となるように調整した紫外線ランプFL20SBLで、24時間の前処理を行い、サンプルとした。また、別途、前処理を行わないサンプルも用意した。
【0058】
試験方法1(初期値)
実施例1と同様にして、アセトアルデヒドガスの濃度測定を2時間行った。
得られた結果を
図6にグラフ106として示す。
また、紫外線による前処理を行わないサンプルについて同様にアセトアルデヒドガス除去試験を行った結果を
図7にグラフ501として示す。
図6及び
図7より、表面処理部にスメクタイトと光触媒と架橋剤と吸着剤を使用した場合、紫外線による前処理を行なったサンプルでは、アセトアルデヒドガス残存率が2時間で10%以下となった。紫外線による前処理を行なわないサンプルでは、アセトアルデヒドガス残存率が2時間で10%以下となり、良好な触媒効果があることが確認できた。
【0059】
試験方法2
ホルムアルデヒド除去試験として、アセトアルデヒドガスの代わりにホルムアルデヒドガスを注入すること、および5Lのガスバックと使うこと以外は実施例1の試験方法と同様にして、紫外線前処理を行ったサンプルについて、ホルムアルデヒドガスの濃度測定を、48時間行った。
その結果、48時間後のホルムアルデヒド残存率が10%未満であり、良好な触媒効果があることが確認できた。
【0060】
試験方法3
トルエン除去試験として、アセトアルデヒドガスの代わりにトルエンガスを注入すること、および5Lのガスバックを使うこと以外は実施例1の試験方法と同様にして、紫外線前処理を行ったサンプルについて、トルエンガスの濃度測定を、48時間行った。
その結果、48時間後のトルエン残存率が59%であった。トルエンの分解に関しては、残存率が65%以下であり、触媒作用があると認められる。
【0061】
比較例1-1
光触媒塗付液1の調製
実施例1と同様にして、光触媒塗付液1のスラリーを得た。
サンプル作製
50×100mmに切り出した不織布壁紙に、光触媒塗付液1を固形分が1.0g/m2となるようにディップコートにより塗布し、120℃の乾燥炉中で5分間乾燥させる。作製した不織布壁紙は、20W/m2となるように調整した紫外線ランプFL20SBLで、24時間の前処理を行い、サンプルとした。また、別途、前処理を行わないサンプルも用意した。
【0062】
試験方法1
実施例1と同様にして、アセトアルデヒドガスの濃度測定を2時間行った。
得られた結果を
図6に、グラフ107として示す。
また、紫外線による前処理を行わないサンプルについて同様にアセトアルデヒドガス除去試験を行った結果を
図7にグラフ505として示す。
図6及び
図7より、表面処理部に光触媒のみを適用した場合、紫外線による前処理を行なったサンプルでは、アセトアルデヒド残存率が2時間で25%程度であるが、紫外線による前処理を行なわないサンプルでは、アセトアルデヒドガス残存率が2時間で80%程度であり、十分な触媒効果が得られないことが確認できた。
【0063】
試験方法2
実施例6の試験方法2と同様にして、ホルムアルデヒド除去試験を48時間行なった。
その結果、48時間後のホルムアルデヒド残存率が250%以上に増加した。
ホルムアルデヒドの増加は有機基材から発生したものと考えられる。有機基材上に光触媒層を塗布しただけでは、有機基材から発生するホルムアルデヒドを抑制することができないことから、十分な触媒作用が得られないものと考えられる。
【0064】
試験方法3
実施例6の試験方法3と同様にして、トルエン除去試験を48時間行なった。
その結果、48時間後のトルエン残存率が95%であった。
トルエンは殆ど分解しなかったものと考えられる。有機基材上に光触媒層を塗布しただけでは、トルエンを減少させることができないことから、十分な触媒作用が得られないものと考えられる。
【0065】
比較例2
光触媒塗付液1の調製
実施例1と同様にして、光触媒塗付液1のスラリーを得た。
サンプル作製
50×100mmに切り出した不織布壁紙の代わりに、多孔質基材ではない50×100mmのガラスを使用すること以外は、比較例1と同様にしてサンプルを作製した。また、別途、前処理を行わないサンプルも用意した。
【0066】
試験方法
実施例1と同様にして、アセトアルデヒドガスの濃度測定を2時間行った。
得られた結果を
図8にグラフ108として示す。
また、紫外線による前処理を行わないサンプルについて同様にアセトアルデヒドガス除去試験を行った結果を
図7にグラフ507として示す。
図6及び
図7より、表面処理部に光触媒のみを適用した場合、紫外線による前処理を行なったサンプルでも、紫外線による前処理を行なわないサンプルでも、アセトアルデヒドガス残存率が2時間で10%程度であり、ガラス基材では光触媒塗付液1のみであっても十分な触媒効果が得られる。
【0067】
また、実施例1~6,比較例1,2について、表面処理部の塗布液濃度と固着量と、アセトアルデヒドガス及びその他のガスの濃度測定の評価を下記表1-1及び表1-2に示す。なお、表中、固着量(g/m2)は、塗布液濃度(重量%)の下にカッコ書きで示した。また、評価は、2時間後にアセトアルデヒドガスの残存率が20%以下の場合を○、20%を超える場合は×とした。さらに、48時間後のホルムアルデヒドガスの残存率が20%以下の場合を○、20%を超える場合は×とした。トルエンガスの場合は48時間後の残存率が60%以下の場合を○とした。60%を超える場合は×とした。
【0068】
表1-1に示すように、実施例1~6の光触媒製品は、いずれも2時間後にアセトアルデヒドガスの残存率が20%以下となり、有機基材を使用しても周囲雰囲気に対する触媒作用が良好であることがわかった。また、紫外線による前処理を行わないサンプルについては、実施例4及び6に示すように、表面処理部にスメクタイトと光触媒と架橋剤と吸着剤を使用した場合には良好な触媒作用が確認できた。また、実施例2及び3に示すように、表面処理部にスメクタイトと光触媒と架橋剤または吸着剤のうち一方とを用いた場合にも、十分な触媒作用が確認できた。しかしながら、実施例1に示すように、表面処理部にスメクタイトと光触媒と架橋剤を用いた場合には十分な触媒作用は確認できなかった。
【0069】
また、
図8は、比較の光触媒製品の触媒作用を示すグラフ図であり、光の照射時間とアセトアルデヒド残存率との関係を示す。
【0070】
比較例1は有機基材の例として、
図8にグラフ107として示した。
図8に示すように、有機基材上に直接光触媒を適用すると、有機基材からの有害有機分子を多く吸着して分解するため、グラフ107に示すように、周囲雰囲気に対する見かけの触媒作用が低下する。これに対し、ガラス基材上に直接光触媒を適用しても、グラフ108に示すようにガラス基材からは有害有機分子が発生しないので、周囲雰囲気に対する触媒作用が低下しない。また、グラフ108は、実施例1~6とほぼ同等であることから、実施例1~6の光触媒製品においては、有機基材における有害有機分子の発生を、有害有機分子が発生しないガラス基材並みに低減できると考えられる。
【0071】
【0072】
【表2】
実施例7
架橋剤と吸着剤の混合塗付液2の調製
19%炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液を純水で希釈し、アジピン酸ジヒドラジド粉末を添加してスターラーで撹拌して作製した。この時の濃度は、それぞれ3.5重量%、5重量%とした。
粘土鉱物塗付液1の調製
実施例1と同様にして、粘土鉱物層塗付液1のスラリーを得た。
光触媒塗付液1の調製
実施例1と同様にして、光触媒塗付液1のスラリーを得た。
【0073】
サンプル作製
50×100mmに切り出した不織布壁紙について、純水を吸水できる最大吸水量を測定したところ0.964gであったことから、1m2当たりの最大吸水量WAを192.8g/m2と見積もった。
この不織布壁紙に、架橋剤と吸着剤の混合塗布液2を、ディップコートにより、199.2g/m2(このとき、Kが100、塗布液の比重Dは1.033g/cm3)を塗布し、150℃で5分間乾燥させ、炭酸ジルコニウムアンモニウムと、アジピン酸ジヒドラジドを固定化した。このようにして、不織布壁紙基材に、炭酸ジルコニウムアンモニウムの固形分量(ZrO2換算)として、7.0g/m2、アジピン酸ジヒドラジドの固形分量として、10.0g/m2を固着させた。
【0074】
次に、実施例1と同様の粘土鉱物塗布液1を、ディップコートにより、199g/m2(このとき、比率Kが100,液比重Dは1.04g/cm3)を塗布し、150℃で5分間乾燥させ、不織布壁紙基材に5.6g/m2のスメクタイトを固着した。
更に、1.25重量%WO3、および1.25重量%TiO2を含む光触媒塗布液1をディップコートで40g/m2塗布し、150℃で5分間乾燥し、光触媒を1.0g/m2固着させて、光触媒製品としての不織布壁紙を得た。
【0075】
試験方法1(初期値)
実施例1と同様にして、アセトアルデヒドガスの濃度測定を2時間行った。
図9は、実施形態にかかる光触媒製品の触媒作用を示すグラフ図であり、光の照射時間とアセトアルデヒド残存率との関係を示す。
得られた結果を
図9にグラフ301として示す。
試験方法2(7日間後)
初期値を測定したサンプルを、白色蛍光灯が設置された人の出入りのある事務所内の机上に7日間放置し、実空間試験とした。サンプル面上の照度は約350lxであり、夜間・休日は消灯した。アセトアルデヒドガス除去試験は試験法1と同じ条件で実施し、7日間実空間放置後データーとした。
得られた結果を
図9にグラフ302として示す。
試験方法3(15日間後)
7日間実空間放置試験を実施したサンプルを、試験方法2と同条件で、更に8日間放置して、アセトアルデヒドガス除去試験は試験法1と同じ条件で実施し、15日間実空間放置後データーとした。
【0076】
得られた結果を
図9にグラフ303として示す。
比較例1-2
比較例1-1と同様のサンプルを用意し、実施例7と同様にして、初期、7日間後、15日間後についてアセトアルデヒドガス除去試験を行った。
図10は、比較の光触媒製品の触媒作用を示すグラフ図であり、光の照射時間とアセトアルデヒド残存率との関係を示す。
初期値をグラフ401、7日間後をグラフ402、15日間後をグラフ403に示す。
図9に示すように、実施例7にかかる光触媒製品は、7日間後、15日間後であっても、いずれも2時間後にアセトアルデヒドガスの残存率が30%以下となり、周囲雰囲気に対する触媒作用が十分であり、ライフ特性が良好であることがわかった。
これに対し、
図10に示すように、比較例1にかかる光触媒製品では、7日間後、15日間後は、いずれも2時間後にアセトアルデヒドガスの残存率が80%を超え、周囲雰囲気に対する触媒作用が低下し、ライフ特性が悪いことがわかった。
【0077】
実施例8-1,8-2
架橋剤と吸着剤の混合塗付液3の調製
19%炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液を純水で希釈し、アジピン酸ジヒドラジド粉末を添加してスターラーで撹拌して作製した。この時の濃度は、それぞれ5重量%(ZrO2換算)、7.5重量%とした。
粘土鉱物塗付液2の調製
スターラーで撹拌した純水にスメクタイト粉末を4重量%となるように投入し、5分間撹拌した後、ホモジナイザーで15分間処理し24時間放置した。これを再度スターラーで撹拌し均一化させ、粘土鉱物層塗付液2としてのスラリーを得た。
【0078】
光触媒塗付液2の調製
純水にWO3を10重量%含むスラリーを用意し、スラリーの重量に対し、TiO2光触媒を10重量%添加した。これを純水で総固形分量が4.5重量%になるように希釈して光触媒塗付液2を調製した。
【0079】
サンプル作製
50×100mmに切り出した不織布壁紙について、この基材の純水を吸水できる最大吸水量を予め測定したところ0.964gであったことから、1m2当たりの基材吸水量WAは192.8g/m2と見積もった。
この不織布壁紙に、混合塗布液3を、ディップコートにより、28.9g/m2(このとき、Kが14.3、塗布液の比重Dは1.049g/cm3)を塗布し、170℃で3分間乾燥させ炭酸ジルコニウムアンモニウムと、アジピン酸ジヒドラジドを固定化した。不織布壁紙基材には、炭酸ジルコニウムアンモニウムの固形分量(ZrO2換算)として、1.45g/m2、アジピン酸ジヒドラジドの固形分量として、2.17g/m2を固着させた。
【0080】
次に、粘土鉱物塗付液2を、スキージにより、62.3g/m2(このとき、Kが31、塗布液の比重Dは1.043g/cm3)を塗布し、170℃で4分間乾燥させスメクタイトを固定化した。このようにして不織布壁紙に2.5g/m2のスメクタイトを固着した。
更に、上記不織布壁紙に光触媒塗付液2をスキージで26.5g/m2塗布し、120℃で3分間乾燥させ、光触媒を1.2g/m2固着させて実施例8-1の不織布壁紙を作製した。
【0081】
また、実施例8-2として、光触媒塗付液2をスキージで45g/m2塗布した不織布壁紙を作製した。乾燥温度は120℃、乾燥時間を5分とした。この時の光触媒量は2.0g/m2であった。
実施例8-1及び実施例8-2の不織布壁紙について、20W/m2となるように調整した紫外線ランプFL20SBLで、24時間の前処理を行い、サンプルを得た。
【0082】
試験方法
アセトアルデヒドガス除去試験
実施例1と同様にして、アセトアルデヒドガスの濃度測定を2時間行った。実施例8-1では、アセトアルデヒドガス残存率が10%以下、実施例8-2では5%以下であり、いずれも良好な触媒作用があることがわかった。
【0083】
黒布転着試験法
上記サンプル作製と同様にして別途作製した不織布壁紙の表面を、羊毛の黒い布で擦り、黒布に転着する色を観察した。平板上に置いた不織布壁紙の上に、黒布を置き、その上から直径17mmの円形の面上に3kgfの荷重をかけて、そのまま10cm移動させることにより、不織布壁紙と黒布を擦った。この時の圧力は13.2g/mm2であった。
【0084】
図13に、実施例8-1の不織布壁紙の転着試験の結果を表す黒布表面の写真、
図14に、実施例8-2の不織布壁紙の転着試験の結果を表す黒布表面の写真を、各々示す。
【0085】
実施例8-1では、黒布はほとんど変化がなかったが、実施例8-2では、白く変化した。白色の原因は、ハンディー型蛍光X線測定装置(オリンパス株式会社製 商品名 ハンドヘルド蛍光X線分析計 DELTA Professional)で確認した結果、光触媒成分であることが確認された。この多孔質基材の例では、1.2g/m2の光触媒の固着量は適正であったが、2.0g/m2では光触媒の固着量が多少過剰となる傾向があることがわかった。
【0086】
実施例9及び比較例3
架橋剤塗付液2の調製
19重量%(ZrO2換算)炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液を純水で希釈し、0.75重量%濃度(ZrO2換算)の水溶液を作製した。
光触媒塗付液3の調製
10重量%のWO3を分散させたスラリーを純水で希釈し、固形分量が0.5重量%wになるように調整した。
【0087】
サンプル作製
50×100mmに切り出したモケット生地について、純水を吸水できる最大吸水量を測定したところ7.94gであったことから、1m2当たりの基材吸水量WAは1588g/m2と見積もった。
このモケット生地に、架橋剤塗付液2を、ディップコートにより、200g/m2(このとき、Kが12.4、塗布液の比重Dは1.013g/cm3)を塗布し、150℃で3分間乾燥させ炭酸ジルコニウムアンモニウムを固定化した。モケット生地には、炭酸ジルコニウムアンモニウムの固形分量(ZrO2換算)として、1.5g/m2が固着された。
【0088】
次に、上記モケット生地に光触媒塗付液3を、簡易的なグラビア試験機で200g/m2塗布し、120℃で3分間乾燥させ、WO3光触媒を1.0g/m2固着させ、実施例_9のモケット生地とした。
また、比較例3として、架橋剤塗付液2を塗布しないこと以外は実施例9と同様にして、モケット生地を作製した。
実施例9と比較例3のモケット生地、および全く処理をしていないBlank用のモケット生地について、20W/m2となるように調整した紫外線ランプFL20SBLで、12時間の前処理を行い、サンプルを作製した。
【0089】
アセトアルデヒド除去試験方法
アセトアルデヒドガス除去試験は、1.5L容積のチャンバーにサンプルを入れ、25℃、湿度20%となるように予め換気し調整した後、アセトアルデヒドガスを、濃度が10ppmとなるように、チャンバーにシリンジで注入した。除去試験には、紫外線シャープカットフィルター(クラレックスUVカットフィルターN-169)を灯具とチャンバーの間に挟み込み、380nm以下のUV光をカットしながら白色蛍光灯FL20SWを用いてサンプル面上で6000lxとなるように光照射を行い、アセトアルデヒドガスの濃度測定を、光音響マルチガスモニターINNOVA1412i(LumaSense
Technologies社製)を用いて1時間行った。得られた結果を
図15に示す。
【0090】
図15は、光照射時間とアセトアルデヒド残存率との関係を表すグラフ図である。
図中、501はブランク用のモケット生地、502は比較例3、503は実施例9の結果を各々示す。502に示すように、光触媒のみを塗布した比較例3のモケット生地は、アセトアルデヒド残存率が90%以上であり、触媒作用はなかったが、503に示すように、炭酸ジルコニウムアンモニウムと光触媒を塗布した実施例9のモケット生地は、アセトアルデヒドガス残存率が50%以下であり、炭酸ジルコニウムアンモニウムで処理したことにより、良好な触媒作用があることがわかった。
また、上記表1-1及び表1-2には、実施例7,8-1,8-2,9、比較例3についても、表面処理部の塗布液濃度と固着量と、アセトアルデヒドガスの濃度測定の評価を示した。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
多孔質基材と、
前記多孔質基材上に設けられ、スメクタイトを含む粘土鉱物、及び酸化タングステンを含有する光触媒を含む表面処理部とを備えた光触媒製品。
[2]
前記表面処理部は、少なくとも炭酸ジルコニウムアンモニウムまたはアジピン酸ジヒドラジドのうち1つをさらに含む[1]に記載の光触媒製品。
[3]
前記表面処理部は、前記多孔質基材上に設けられた前記粘土鉱物を含む粘土鉱物層と、
前記粘土鉱物層上に設けられた、前記光触媒を含む光触媒層とを含む[1]または[2]に記載の光触媒製品。
[4]
前記表面処理部と前記多孔質基材との間に、炭酸ジルコニウムアンモニウムを含む層、またはアジピン酸ジヒドラジドを含む層をさらに含む[3]に記載の光触媒製品。
[5]
多孔質基材と、
前記多孔質基材上に設けられ、炭酸ジルコニウムアンモニウム、及び酸化タングステンを含有する光触媒を含む表面処理部とを備えた光触媒製品。
[6]
多孔質基材と、前記多孔質基材上に設けられ、スメクタイトを含む粘土鉱物、及び酸化タングステンを含有する光触媒を含む表面処理部とを備え、
10ppmの濃度のアセトアルデヒドを導入した容積0.5lのチャンバー内で、白色蛍光灯FL20SWを用い、紫外線カットフィルターにより380nm以下の光をカットしながら、6000ルクスの照度で光照射され、常温、常圧、湿度20%で2時間放置されたとき、60%以上のアセトアルデヒドを削減する光触媒製品。
[7]
前記多孔質基材は、不織布である[1]ないし[6]のいずれか1項に記載の光触媒製品。
[8]
前記多孔質基材は、壁紙である[1]ないし[7]のいずれか1項に記載の光触媒製品。
[9]
前記多孔質基材は、壁布である[1]ないし[6]のいずれか1項に記載の光触媒製品。
【符号の説明】
【0092】
1…多孔質基材、2…粘土鉱物層、3…光触媒層、4,4-1,4-2,4-3…表面処理部、5…架橋剤層、6…吸着剤層、10,20,30,40,50…光触媒製品