IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タカラトミーの特許一覧

<>
  • 特許-発射装置 図1
  • 特許-発射装置 図2
  • 特許-発射装置 図3
  • 特許-発射装置 図4
  • 特許-発射装置 図5
  • 特許-発射装置 図6
  • 特許-発射装置 図7
  • 特許-発射装置 図8
  • 特許-発射装置 図9
  • 特許-発射装置 図10
  • 特許-発射装置 図11
  • 特許-発射装置 図12
  • 特許-発射装置 図13
  • 特許-発射装置 図14
  • 特許-発射装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】発射装置
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/18 20060101AFI20240502BHJP
   A63H 29/00 20060101ALI20240502BHJP
   A63H 31/00 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
A63H33/18 A
A63H29/00 A
A63H31/00 C
A63H33/18 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023176936
(22)【出願日】2023-10-12
【審査請求日】2024-02-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 翔平
(72)【発明者】
【氏名】本河 明広
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-86608(JP,A)
【文献】特開2013-223588(JP,A)
【文献】特開2006-181266(JP,A)
【文献】特表2018-533456(JP,A)
【文献】特開平10-127952(JP,A)
【文献】特許第5308579(JP,B1)
【文献】米国特許第5316514(US,A)
【文献】米国特許第4498886(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に、対象物を発射させる発射機構と、前記対象物の発射の際に平面に接地される接地面と、上下方向に往復動作可能で前記接地面が前記平面に接地されたときに前記平面に接地して前記発射機構のロックを解除するロック部材と、が設けられた発射装置であって、
前記装置本体は、前記接地面と段差を有し前記接地面が前記平面に接地したときに前記平面と接地しない非接地部を備え、
前記ロック部材は、前記非接地部に対して入出可能に設けられ、先端が前記接地面を超えて延出する位置と、先端が前記接地面に達しない位置との間で往復動作可能に構成されるとともに、人指による押込みが可能に構成され、押込みによって先端が前記接地面に達しない位置まで動作可能に構成され、
前記ロック部材は、前記先端が前記接地面と合致した位置にあるときだけ前記発射機構のロック解除を行い、前記先端が前記接地面と合致しない位置にあるときには前記発射機構をロックする、
ことを特徴とする発射装置。
【請求項2】
前記ロック部材は、前記発射機構の一部の部品の動き止めることで前記発射機構をロックし、前記一部の部品の動きを許容することにより前記発射機構のロック解除を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の発射装置。
【請求項3】
前記発射機構は、前記対象物を打撃する打撃部材と、前記打撃部材を打撃方向に付勢する付勢部材と、前記打撃部材を打撃準備状態に係止する係止部材と、操作部の操作によって前記係止部材による前記打撃部材の係止を解除させる係止解除部材と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の発射装置。
【請求項4】
同じ前記発射装置の前記装置本体同士を連結する連結部が設けられている、ことを特徴とする請求項3に記載の発射装置。
【請求項5】
同じ前記発射装置の前記係止解除部材同士を連結する連結部が設けられている、ことを特徴とする請求項4に記載の発射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物を発射する発射装置に、発射機構の誤動作を防止するため、ロック機構を設けることが行われている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3140464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ロック部材は接地面から出没可能となっており、接地面が接地したときに装置本体に没する構造であることから、発射装置を持ち上げて人手によって装置本体にロック部材を没しさせれば発射機構のロックが解除され、誤った使い方により、対象物が誤発射される恐れがあった。
本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、誤動作を可及的に防止できる発射装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段は、
装置本体に、対象物を発射させる発射機構と、前記対象物の発射の際に平面に接地される接地面と、上下方向に往復動作可能で前記接地面が前記平面に接地されたときに前記平面に接地して前記発射機構のロックを解除するロック部材と、が設けられた発射装置であって、
前記装置本体は、前記接地面と段差を有し前記接地面が前記平面に接地したときに前記平面と接地しない非接地部を備え、
前記ロック部材は、前記非接地部に対して入出可能に設けられ、先端が前記接地面を超えて延出する位置と、先端が前記接地面に達しない位置との間で往復動作可能に構成されるとともに、人指による押込みが可能に構成され、押込みによって先端が前記接地面に達しない位置まで動作可能に構成され、
前記ロック部材は、前記先端が前記接地面と合致した位置にあるときだけ前記発射機構のロック解除を行い、前記先端が前記接地面と合致しない位置にあるときには前記発射機構をロックする、
ことを特徴とする発射装置である。
ここで、「接地面」とは、発射装置の下面の凹凸がある場合には実際に接地される部分を連ねて形成される面をいう。
【0006】
第2の手段は、第1の手段であって、
前記ロック部材は、前記発射機構の一部の部品の動き止めることで前記発射機構をロックし、前記一部の部品の動きを許容することにより前記発射機構のロック解除を行う、ことを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、第2の手段であって、
前記発射機構は、前記対象物を打撃する打撃部材と、前記打撃部材を打撃方向に付勢する付勢部材と、前記打撃部材を打撃準備状態に係止する係止部材と、操作部の操作によって前記係止部材による前記打撃部材の係止を解除させる係止解除部材と、を備えることを特徴とする。
【0008】
第4の手段は、第3の手段であって、
同じ前記発射装置の前記装置本体同士を連結する連結部が設けられている、ことを特徴とする。
【0009】
第5の手段は、第4の手段であって、
同じ前記発射装置の前記係止解除部材同士を連結する連結部が設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1の手段によれば、ロック部材は、押込みによって先端が接地面に達しない位置まで動作するように構成されている。したがって、発射玩具を接地させない状態でも、ロック部材を押し込むことができるが、押込みによって、先端を接地面に合致する位置に合わせることが難しいため、誤発射を可及的に防止することができる。
【0011】
第2及び第3の手段によれば、発射機構の一部の部品、例えば係止解除部材の動きを止めることで、対象物を発射させる発射装置の誤発射を可及的に防止することができる。
【0012】
第4の手段によれば、複数の発射装置から対象物を同じ方向に同時に対象物を発射させることができる。
【0013】
第5の手段によれば、1つの発射装置の操作によって他の発射装置が連動するので、複数の発射装置から対象物を簡単に同時発射させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る車輪走行玩具の斜視図である。
図2】車輪走行玩具の下面側斜視図である。
図3】車輪走行玩具の分解斜視図である。
図4】車体フレームの分解斜視図である。
図5】切替え機構の分解斜視図である。
図6】車輪走行玩具の進み方の一例を示す上面図である。
図7】実施形態に係る発射装置の斜視図である。
図8】発射装置の分解斜視図である。
図9】装置本体の内部構造の斜視図である。
図10】打撃部材及び係止部材の上面図である。
図11】打撃部材及び係止部材の下面図である。
図12】操作ボタンと係止解除部材とを示す斜視図である。
図13】発射装置の下面側斜視図である。
図14】ロック部材の斜視図である。
図15】発射装置の連結状態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
《車輪走行玩具100の概略構成》
図1は、実施形態の車輪走行玩具100の斜視図、図2は、車輪走行玩具100の下面図である。なお、車輪走行玩具100の説明において、上下、左右、前後は、運転席から見た場合の上下、左右、前後を言うものとする(図1参照)。
車輪走行玩具100の玩具本体10には、ダミーの前二輪10a及び後二輪10bの4輪が設けられている。この前二輪10a及び後二輪10bは飾りの車輪であり路面に接地しない。
玩具本体10の下側の幅方向内側には、上記前二輪10aとは別の前二輪11aと、後一輪11bとが設けられている。この前二輪11a及び後一輪11bはリアル車輪となっていて路面に接地する。
また、玩具本体10の後部には、例えば発射装置200(図7参照)によって打撃される被打撃部12が設けられている。
また、被打撃部12は、同時に摘まみとなっていて、被打撃部12を摘まんで、被打撃部12を玩具本体10に対して左右に動かすと、前二輪11a及び後一輪11bが連動しその向きを変えて固定される。この前二輪11a及び後一輪11bの向きを変え被打撃部12を発射装置200によって打撃することで、発射された車輪走行玩具100がその走行態様を変化させる。
【0017】
《細部構成》
図3は、車輪走行玩具100の分解斜視図である。
(車輪走行玩具100の外観)
車輪走行玩具100の玩具本体10の外観は、車体下部フレーム20a及び車体上部フレーム20bからなる車体フレーム20と、前部カバー22と、後部カバー23とから構成されている。
【0018】
(前二輪11a及び後一輪11b)
車体フレーム20には、前二輪11aが、支持体25に支持され、且つ、車体下部フレーム20aの孔21aから下方に突出した状態で取り付けられている。支持体25は、上下方向に延在する軸25aを中心に回動可能となっている。
また、車体フレーム20には、後一輪11bが、支持体26に支持され、車体フレーム20の孔21bから下方に突出した状態で取り付けられている。支持体26は、上下方向に延在する軸26aを中心に回動可能となっている。
この場合、後一輪11bの少なくとも外周は、前二輪11aよりも路面に対する摩擦力が大きくなるように形成されていることが好ましい。例えば、全ての車輪がプラスチックで形成され、後一輪11bの外周に摩擦力の大きいゴムが被せられていることが好ましい。或いは、前二輪11aがプラスチックで形成され、後一輪11bは摩擦力の大きいゴムで形成されていることが好ましい。
【0019】
(操作レバー27)
図4は、車体フレーム20の分解斜視図、図5は、切替え機構の分解斜視図である。
車体フレーム20の後部には、操作レバー27が設けられている。操作レバー27は、前後方向中間部で、上下方向に延在する軸27aを中心に回動可能に車体フレーム20に取り付けられている。操作レバー27の一部は車体フレーム20の後方に突出している。そして、操作レバー27のその突出部分には被打撃部12が形成されている。被打撃部12は、操作レバー27の本体から上下に張り出していて、その張出し部には、向きが異なる3つの被打撃面12a、12b、12cが形成されている。3つの被打撃面12a、12b、12cのいずれかが前二輪11a及び後一輪11bの各切替え位置で真後ろを向く。これにより、車輪走行玩具100は操作レバー27の切替え位置によらず同じ方向(直進方向)に発射させることができる。
【0020】
(切替え機構30)
車体フレーム20の内部には、上記操作レバー27を含んで構成され、上記操作レバー27の操作によって前二輪11a及び後一輪11bの向きを切り替えて固定する切替え機構30が設けられている。
【0021】
切替え機構30は、操作レバー27に係合する支持体26と、支持体26に係合する中間回動体31と、中間回動体31に係合する支持体25とを備えている。このうち中間回動体31は、上下方向に延在する軸31aを中心に回動可能に車体フレーム20に取り付けられている。
【0022】
操作レバー27と支持体26との係合は、操作レバー27の前端側下面に形成した溝27bに支持体26の上面に形成した凸部26bを入れ込むことによってなされている。
また、支持体26と中間回動体31との係合は、支持体26の下面に形成した凸部26cを中間回動体31の上面に形成した溝31bに入れ込むことによってなされている。
さらに、中間回動体31と支持体25との係合は、中間回動体31の上面に形成した凸部31cを支持体25の下面に形成した溝25bに入れ込むことによってなされている。
【0023】
また、切替え機構30は、切替え位置で前二輪11aの向きを固定する固定手段を含んでいる、この固定手段は、支持体25に設けられた突起25cと、車体上部フレーム20bに設けられ各切替え位置で突起25cに係合する係合部(図示せず)とから構成されている。
【0024】
さらに、切替え機構30は、各切替えの際にクリック感を醸し出す弾性部材28を備えている。弾性部材28は、後一輪11bが前を向いた状態(中立状態)で支持体26の前端部を2つの弾性片28aで挟み込み、後一輪11bが左右に向きを変える際に、支持体26の前端部が対応する弾性片28aを弾いて乗り越える。また、後一輪11bが左又は右の向きから前となる場合には、支持体26の前端部が対応する弾性片28aを弾いて乗り越え中立状態に戻る。
【0025】
《実施形態の車輪走行玩具100の動作》
この車輪走行玩具100によれば、前二輪11a及び後一輪11bが前方を向いている状態では、発射装置200により発射されると、概ね、前方に向けて直進する。
また、前二輪11a及び後一輪11bの向きを左方又は右方とした場合には、発射装置200により発射された車輪走行玩具100は、発射の勢いで車輪走行玩具100が前二輪11a及び後一輪11bを滑らせながら、図6に示すように、先ずは前方に向けて直進し、勢いが弱まった所で、後一輪11bにブレーキがかかり、前二輪11aの向きに車輪走行玩具100が進むことになる。この場合、後一輪11bの摩擦力が大きいと、ブレーキがかかった後一輪11bを中心に前二輪11bの向きに車輪走行玩具100が進もうとするので、あたかも、ドリフト走行しているかの様相を呈する。
【0026】
《車輪走行玩具100の変形例》
上記車輪走行玩具100では、回動体(操作レバー27、支持体26、中間回動体31及び支持体25)において、隣り合う回動体同士を凸部と溝によって係合させ、操作レバー27の動力を支持体25、26に伝達するように構成したが、歯車機構その他の機構を介して支持体25、26に操作レバー27の動力を支持体25、26に伝達するように構成してもよい。
【0027】
また、上記車輪走行玩具100では、被打撃部12を打撃することにより発射されるようにしたが、車輪走行玩具100は駆動ローラによって発射されるものであっても、発射装置を用いずに人手によって発射させるものでもよい。要は、何らかの外部の付勢力によって付勢されて走行するものであればよい。
【0028】
また、上記車輪走行玩具100では、旋回時の操舵輪として前二輪11a、制動部として機能する後一輪11bを設けたが、制動部は走行時に接地するリブであってもよい。このリブは固定されていてもよい。また、車両走行玩具100の前側がリブで後輪が操舵輪であってもよい。この場合、後輪(操舵輪)は一輪であってもよい。
【0029】
さらに、上記車輪走行玩具100では、旋回時の操舵輪として前二輪11a、制動部として機能する後一輪11bを設けたが、制動部として前一輪、旋回時の操舵輪として後二輪を設けてもよい。
【0030】
また、上記車輪走行玩具100では、外力による付勢力によって走行するようになっていたが、フライホイールを内蔵し、外力によるフライホイールの回転によって付勢される車両走行玩具にも実施形態に係る車輪走行玩具100の技術を適用できる。
【0031】
《発射装置200の概要》
図7は、発射装置200の斜視図である。なお、発射装置200の説明において、上下、左右、前後は、同図に示した方向を言うものとする。
発射装置200の装置本体50の前部に設けられている打撃部材52を装置本体50内に所定量だけ押し込む。次に、装置本体50の前部の載置台51の上に車輪走行玩具100の後部を位置させる。
次に、装置本体50上の操作ボタン54を押下する。すると、車輪走行玩具100の後部の被打撃部12が発射装置200の打撃部材52によって打撃され、車輪走行玩具100が所定方向に発射される。
この場合、発射装置200がテーブルや床等に置かれていない場合には、操作ボタン54の押下が阻止される。
【0032】
また、複数の発射装置200を横に並べて連結し、各打撃部材52を装置本体50内に所定量だけ押し込むとともに、各装置本体50の前部の載置台51の上に車輪走行玩具100の後部を位置させた後、いずれか1つの発射装置200の操作ボタン54を押すと、各車輪走行玩具100の後部の被打撃部12が各発射装置200の打撃部材52によって打撃され、複数の車輪走行玩具100が所定方向に一斉に発射される。
この場合、発射装置200がテーブルや床等に置かれていない場合には、操作ボタン54の押下自体が阻止される点は上記と同じである。
【0033】
《詳細》
(打撃部材52)
図8は、発射装置200の分解斜視図、図9は、発射装置200の内部構造を示す斜視図である。また、図10は、打撃部材52及び係止部材56の上面図、図11は、打撃部材52及び係止部材56の下面図である。
打撃部材52は、前後方向に往復動作可能に装置本体50に取り付けられている。打撃部材52は、コイルばね55によって前方に向けて付勢され、前端側の一部が装置本体50を貫通し、装置本体50の前方まで延出されている。なお、装置本体50の外郭は下部フレーム50aと上部フレーム50bから構成されている。
打撃部材52において、装置本体50内に位置する部分の左側面には、所定間隔で、上面視略鋸歯状の被係止爪53a、53b、53cが左方に張り出すようにして形成されている。被係止爪53(被係止爪53a、53b、53cの総称)は、上面視で、前側が打撃部材52から直立し、後側が傾斜している。
【0034】
(係止部材56)
また、打撃部材52の左隣には、係止部材56が設けられている。係止部材56は、上下方向に延在する軸56aを中心に回動可能に係止解除部材60の上に設けられている。この係止部材56の先端には爪56bが形成され、爪56bは、ばね部材57によって、打撃部材52に当接する方向(上面視時計方向)に付勢されている。
そして、打撃部材52が装置本体50に押し込まれた際に、被係止爪53の傾斜部が係止部材56の爪56bに当接される。すると、係止部材56がばね部材57の付勢力に抗して打撃部材52から離間する方向に回動する。そして、被係止爪53が爪56bを乗り越えると、係止部材56がばね部材57の付勢力によって初期位置に復帰する。この状態で打撃部材52から手を離すと、打撃部材52はコイルばね55の付勢力によって初期位置に戻ろうとするが、被係止爪53の直立部が係止部材56の爪56bに当たり、打撃部材52がその場所に保持される。これによって、打撃準備段階に至る。
【0035】
(係止解除部材60)
図12は、係止解除部材60の斜視図である。
係止解除部材60は、係止部材56による打撃部材52の係止を解除するものである。
係止解除部材60は、左右方向に長尺に構成されている。この係止解除部材60左右両端部は装置本体50から突出している。係止解除部材60は、コイルばね61によって右方に付勢され、常態では、右方位置(初期位置)にある。
【0036】
係止解除部材60には、上述のように係止部材56が設けられている。したがって、係止解除部材60が初期位置から左方に動作したときに、係止部材56も左方に移動し、係止部材56の爪56bが打撃部材52から離間する。これにより、係止部材56による打撃部材52の係止が解除される。
【0037】
係止解除部材60の上側には、発射のトリガとなる操作ボタン54と係合する鋸歯状の突出部60bが上方に突出して形成されている。突出部60bは、左側が直立部、右側が傾斜部となっている。一方、操作ボタン54の下端には、上記突出部60bに当接する鋸歯状の突出部54aが下方に突出して形成されている。突出部54aは、左側が傾斜部、右側が直立部となっている。そして、係止解除部材60の初期位置では、突出部60b及び突出部54aの先端部の傾斜部同士が当接している。これによって、初期状態で、操作ボタン54は上方に押し上げられている。そして、操作ボタン54を押下することで、突出部60b及び突出部54aの傾斜部同士が摺接し、係止解除部材60が左方に動作(移動)する。
【0038】
なお、この係止解除部材60は、打撃部材52、係止部材56及び操作ボタン54を含んで発射機構を構成している。
【0039】
(ロック部材70)
図13は、発射装置200の下面側斜視図、図14は、ロック部材70の斜視図である。
ロック部材70は、発射機構をロックし、発射装置200が平面上に載置された時だけ発射機構のロックを解除して車輪走行玩具100の発射を許容するものである。
【0040】
ロック部材70は、装置本体50に対して所定範囲で上下動可能に設けられ、その下端側の一部が被入出部72から下方に突出して設けられている。
すなわち、装置本体50は、使用の際にテーブルと床等の平面に接する接地部71と段差を有し接地部71が当該平面に設置したときに当該平面と接地しない被入出部72を備えている。ロック部材70は、被入出部72の箇所で被入出部72に対して入出可能に設けられ、先端が接地部71を超えて延出する位置と、先端が接地部71に達しない位置との間で往復動作可能に構成され、コイルばね(図示せず)によって、被入出部72から突出する方向に付勢されている。このロック部材70は、人指による押込みが可能に構成され、押込みによって先端が接地部71に達しない位置まで動作するように構成されている。
このロック部材70は、発射装置200が平面上に載置されたとき、ロック部材70の下端が当該所定の平面に接触することになる。
なお、以下の説明では、ロック部材70が接地する突出位置を所定突出位置と言う。
【0041】
ロック部材70は、装置本体50の内部で、係止解除部材60に係合している。
係止解除部材60には、突起部である被係止部60cが形成されている。一方、ロック部材70には、被係止部60cが当接可能な係止部70aが設けられている。係止部70aには、穴70bが形成されている。
ロック部材70は、所定突出位置以外にあるときに被係止部60cが係止部70aの穴70bの外側の縁部分に当接して係止解除部材60の左方への移動を阻止し、ロック部材70が所定突出位置にあるときには、被係止部60cが穴70bに入り込み当接を解除して係止解除部材60の左方への移動を許容する。
【0042】
(装置本体50の連結構造)
発射装置200には、隣り合う発射装置200の装置本体50同士を連結するための連結構造が設けられている。
【0043】
装置本体50の左壁には、同一高さ位置に、左方に突出する膨出部50cが前後に1つずつ形成され、各膨出部50cの上側には穴50dが形成されている。一方、装置本体50の右壁には、膨出部50cよりも一段高い位置に、右方に突出する膨出部50eが前後に1つずつ形成され、各膨出部50eの下側には突起50fが形成されている。この突起50fと穴50dとが上下方向から嵌合されることにより、隣り合う発射装置200の装置本体50同士が連結される(図15)。
【0044】
(係止解除部材60の連結構造)
発射装置200には、隣り合う係止解除部材60同士を連結させる連動構造が設けられている。この連結構造は、連結した複数の発射装置200からの車輪走行玩具100の発射を1つの操作ボタン54の操作によって行うためのものである。
【0045】
係止解除部材60の左端部は右端部よりも一段低くなっている。そして、係止解除部材60の左端部の上側には突起60dが形成され、右端部には、突起60dと嵌合可能な切欠き60eが形成されている。この切欠き60eと突起60dとが上下方向から嵌合されることにより、隣り合う発射装置200の係止解除部材60同士が連結される。この連結によって発射装置200が機能上で連結される(図15)。
【0046】
《実施形態の効果》
ロック部材70は、発射装置200がテーブル等の平面に載置されていない状態では、所定突出位置よりもロック部材70の先端が大きく突出するので、係止解除部材60の動作が阻止される。また、ロック部材70は、人手による押込みによって、所定突出位置を超えない位置まで動作するので、当該押込みによって所定突出位置でロック部材70を停止させるのは難しいことから、誤操作の恐れが少なくなる。
【0047】
また、発射装置200を並べて連結することができるので、車輪走行玩具100を一斉に発射させることができ、車輪走行玩具100間での競争を楽しむことができる。
【0048】
さらに、打撃部材52が3段階で係止されることから、遊びの幅を拡げることができる。
【0049】
《発射装置200の変形例》
上記発射装置200では、係止部材56を係止解除部材60上に設けたが、係止部材56を係止解除部材60とは独立して設けてもよい。
【0050】
また、上記発射装置200では、ロック部材70をコイルばね(図示せず)により突出方向に付勢したが、発射装置200の接地部71を下側にした場合にロック部材70の自重によってロック部材70が下動する構成としてもよい。
【0051】
さらに、上記発射装置200では、係止解除部材60を別体の操作ボタン(操作部)54の押下によって動作させるようにしたが、係止解除部材200の一部を操作部としてもよい。
【0052】
また、上記発射装置200で発射される対象を車輪走行玩具としたが、球体や、ペットボトルの蓋その他の発射装置にも適用可能である。
【0053】
また、上記発射装置200では、係止解除部材60の動きを止めることで発射機構をロックし、係止解除部材60の動きを許容することで発射機構のロックを解除するようにしたが、係止解除部材60以外の部品、つまり、発射機構中のいずれかの部品(例えば、打撃部材52、コイルばね61、係止部材56又は操作ボタン54)の動作を止めることで、発射機構をロックし、係止解除部材60の動きを許容することで発射機構のロックを解除するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 玩具本体
11a 前二輪
11b 後一輪
12 被打撃部
12a、12b、12c 被打撃面
25、26 支持体
27 操作レバー
50c 膨出部
50d 穴
50e 膨出部
50f 突起
52 打撃部材
53a、53b、53c 被係止爪
54 操作ボタン
54a 突出部
56 係止部材
56b 爪
60 係止解除部材
60c 被係止部
60d 突起
60e 切欠き
70 ロック部材
70a 係止部
70b 穴
71 接地部
72 被入出部
100 車輪走行玩具
200 発射装置
【要約】
【課題】誤動作を可及的に防止できる発射装置を提供すること。
【解決手段】装置本体50に、対象物を発射させる発射機構と、対象物の発射の際に平面に接地される接地面71と、上下方向に往復動作可能で接地面71が平面に接地されたときに平面に接地して発射機構のロックを解除するロック部材70と、が設けられ、装置本体50は、接地面71と段差を有し接地面71が平面に接地したときに平面と接地しない非接地部72を備え、ロック部材70は、非接地部72に対して入出可能に設けられ、先端が接地面71を超えて延出する位置と、先端が接地面71に達しない位置との間で往復動作可能に構成されるとともに、人指による押込みによって先端が接地面71に達しない位置まで動作可能とされ、接地面とロック部材が同じ平面に同時に接地したときにロック解除を行う。
【選択図】図9
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15