(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】コンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法
(51)【国際特許分類】
F01K 23/10 20060101AFI20240502BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
F01K23/10 G
F01D25/00 R
(21)【出願番号】P 2023505578
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(86)【国際出願番号】 JP2022010016
(87)【国際公開番号】W WO2022191189
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-07-18
(31)【優先権主張番号】P 2021040565
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】植田 竜樹
(72)【発明者】
【氏名】桑鶴 一成
(72)【発明者】
【氏名】藤村 大輝
(72)【発明者】
【氏名】五島 礎洋
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-153005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 1/00-21/06
F01D 25/00
F02C 1/00- 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンと、
前記ガスタービンから排気された排気ガスの熱を利用して蒸気を発生可能な排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラからの蒸気で駆動可能な蒸気タービンと、
前記蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻すことができる復水器と、
前記復水器からの水を昇圧可能な復水ポンプと、
前記排熱回収ボイラで発生した蒸気を前記蒸気タービンに導くことができる主蒸気ラインと、
前記主蒸気ラインに設けられ、前記蒸気タービンへの蒸気の流入を止めることが可能な蒸気止め弁と、
前記主蒸気ライン中で前記蒸気止め弁よりも前記排熱回収ボイラの側の位置から分岐して、前記復水器に接続されているバイパスラインと、
前記バイパスラインに設けられているバイパス弁と、
前記復水器内の水を前記復水ポンプに導くことができる復水ラインと、
前記復水ポンプで昇圧された水を前記排熱回収ボイラに導くことができる給水ラインと、
を備えるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、
間欠運転処理工程と、前記間
欠運転処理工程後に行う試運転処理工程と、を実行し、
前記間欠運転処理工程は、
前記蒸気止め弁及び前記バイパス弁が閉状態で、前記ガスタービンに燃料を供給し、前記ガスタービンを無負荷運転する無負荷運転工程と、
前記無負荷運転工程中に、前記ガスタービンからの排気ガスの熱を利用して、前記排熱回収ボイラで蒸気を発生させ、前記主蒸気ライン中で前記蒸気止め弁よりも排熱回収ボイラ側の部分及び前記バイパスライン中で前記バイパス弁よりも前記排熱回収ボイラの側の部分である蓄圧領域に蒸気を溜める蓄圧工程と、
前記蓄圧工程後に、前記ガスタービンへの燃料供給を停止し、前記バイパス弁を開けて、前記蓄圧領域内の蒸気を前記復水器内に流入させる間欠ブロー工程と、
前記間欠ブロー工程後に、前記復水器内及び前記復水ライン内の異物を除去する間欠ブロー後異物除去工程と、
を含み、
前記試運転処理工程は、
前記蒸気止め弁が閉状態で前記バイパス弁が開状態で、前記ガスタービンに燃料を供給し、前記ガスタービンを試運転する試運転工程と、
前記試運転工程中に、前記ガスタービンからの排気ガスの熱を利用して、前記排熱回収ボイラで蒸気を発生させ、前記主蒸気ラインの一部及び前記バイパスラインを介して、前記排熱回収ボイラからの蒸気を前記復水器内に流入させる連続ブロー工程と、
前記試運転工程後に、前記ガスタービンへの燃料供給を停止してから、前記復水器内及び前記復水ライン内の異物を除去する試運転後異物除去工程と、
を含む、
コンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法。
【請求項2】
請求項1に記載のコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、
前記間欠運転処理工程を前記試運転工程前に複数回実行する、
コンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、
前記試運転処理工程は、部分負荷試運転処理工程を含み、
前記部分負荷試運転処理工程は、前記試運転工程の一部である部分負荷試運転工程と、前記連続ブロー工程の一部である部分負荷連続ブロー工程と、前記試運転後異物除去工程の一部である部分負荷後異物除去工程と、を含み、
前記部分負荷試運転工程では、前記蒸気止め弁が閉状態で前記バイパス弁が開状態で、前記ガスタービンに燃料を供給し、前記ガスタービンを部分負荷試運転し、
前記部分負荷連続ブロー工程では、前記部分負荷試運転工程中に、前記ガスタービンからの排気ガスの熱を利用して、前記排熱回収ボイラで蒸気を発生させ、前記主蒸気ラインの一部及び前記バイパスラインを介して、前記排熱回収ボイラからの蒸気を前記復水器内に流入させ、
前記部分負荷試運転工程後に、前記ガスタービンへの燃料供給を停止してから、前記部分負荷後異物除去工程を実行し、
前記部分負荷後異物除去工程では、前記復水器内及び前記復水ライン内の異物を除去する、
コンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法。
【請求項4】
請求項3に記載のコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、
前記部分負荷試運転処理工程を複数回実行する、
コンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法。
【請求項5】
請求項4に記載のコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、
前記蒸気タービンの定格運転時における前記主蒸気ライン内での蒸気により異物を吹き払う力に対して、前記間欠ブロー工程及び前記連続ブロー工程におけるブロー中における前記主蒸気ライン及び前記バイパスライン内での蒸気により異物を払う力の比をクリーニングフォース率とした場合、
複数回実行する前記部分負荷試運転処理工程のうち、少なくとも、最後に実行する部分負荷試運転処理工程中の前記部分負荷連続ブロー工程では、前記バイパス弁の動作を調節して、前記クリーニングフォース率を1以上にする、
コンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法。
【請求項6】
請求項5に記載のコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、
前記間欠ブロー工程では、前記バイパス弁の動作を調節して、前記クリーニングフォース率を1未満にする、
コンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、
前記試運転処理工程は、部分負荷試運転処理工程を含み、
前記部分負荷試運転処理工程は、第一負荷試運転処理工程と、前記第一負荷試運転処
理工程後に実行する第二負荷試運転処理工程を含み、
前記第一負荷試運転処理工程は、前記試運転工程の一部である第一負荷試運転工程と、前記連続ブロー工程の一部である第一負荷連続ブロー工程と、前記試運転後異物除去工程の一部である第一負荷後異物除去工程と、を含み、
前記第一負荷試運転工程では、前記蒸気止め弁が閉状態で前記バイパス弁が開状態で、前記ガスタービンに燃料を供給し、前記ガスタービンを定格負荷よりも小さい第一負荷で試運転し、
前記第一負荷連続ブロー工程では、前記第一負荷試運転工程中に、前記ガスタービンからの排気ガスの熱を利用して、前記排熱回収ボイラで蒸気を発生させ、前記主蒸気ラインの一部及び前記バイパスラインを介して、前記排熱回収ボイラからの蒸気を前記復水器内に流入させ、
前記第一負荷試運転工程後に、前記ガスタービンへの燃料供給を停止してから、前記第一負荷後異物除去工程を実行し、
前記第一負荷後異物除去工程では、前記復水器内及び前記復水ライン内の異物を除去し、
前記第二負荷試運転処理工程は、前記試運転工程の一部である第二負荷試運転工程と、前記連続ブロー工程の一部である第二負荷連続ブロー工程と、前記試運転後異物除去工程の一部である第二負荷後異物除去工程と、を含み、
前記第二負荷試運転工程では、前記蒸気止め弁が閉状態で前記バイパス弁が開状態で、前記ガスタービンに燃料を供給し、前記ガスタービンを前記第一負荷よりも大きく且つ前記定格負荷よりも小さな第二負荷で試運転し、
前記第二負荷連続ブロー工程では、前記第二負荷試運転工程中に、前記ガスタービンからの排気ガスの熱を利用して、前記排熱回収ボイラで蒸気を発生させ、前記主蒸気ラインの一部及び前記バイパスラインを介して、前記排熱回収ボイラからの蒸気を前記復水器内に流入させ、
前記第二負荷試運転工程後に、前記ガスタービンへの燃料供給を停止してから、前記第二負荷後異物除去工程を実行し、
前記第二負荷後異物除去工程では、前記復水器内及び前記復水ライン内の異物を除去する、
コンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法。
【請求項8】
請求項7に記載のコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、
前記蒸気タービンの定格運転時における前記主蒸気ライン内での蒸気により異物を吹き払う力に対して、前記間欠ブロー工程及び前記連続ブロー工程におけるブロー中における前記主蒸気ライン及び前記バイパスライン内での蒸気により異物を払う力の比をクリーニングフォース率とした場合、
前記第二負荷連続ブロー工程では、前記バイパス弁の動作を調節して、前記クリーニングフォース率を1以上にする、
コンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法。
【請求項9】
請求項8に記載のコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、
前記間欠ブロー工程、及び前記第一負荷連続ブロー工程では、前記バイパス弁の動作を調節して、前記クリーニングフォース率を1未満にする、
コンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法。
【請求項10】
請求項3から9のいずれか一項に記載のコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、
前記試運転処理工程は、前記部分負荷試運転処理工程前に実行する無負荷試運転処理工程を含み、
前記無負荷試運転処理工程は、前記試運転工程の一部である無負荷試運転工程と、前記連続ブロー工程の一部である無負荷連続ブロー工程と、前記試運転後異物除去工程の一部であ
る無負荷後異物除去工程と、を含み、
前記無負荷試運転工程では、前記蒸気止め弁が閉状態で前記バイパス弁が開状態で、前記ガスタービンに燃料を供給し、前記ガスタービンを無負荷試運転し、
前記無負荷連続ブロー工程では、前記無負荷試運転工程中に、前記ガスタービンからの排気ガスの熱を利用して、前記排熱回収ボイラで蒸気を発生させ、前記主蒸気ラインの一部及び前記バイパスラインを介して、前記排熱回収ボイラからの蒸気を前記復水器内に流入させ、
前記無負荷試運転工程後に、前記ガスタービンへの燃料供給を停止してから、前記無負荷後異物除去工程を実行し、
前記無負荷後異物除去工程では、前記復水器内及び前記復水ライン内の異物を除去する、
コンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法。
【請求項11】
請求項10に記載のコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、
前記無負荷試運転処理工程を複数回実行する、
コンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、
前記蒸気タービンの定格運転時における前記主蒸気ライン内での蒸気により異物を吹き払う力に対して、前記連続ブロー工程におけるブロー中における前記主蒸気ライン及び前記バイパスライン内での蒸気により異物を払う力の比をクリーニングフォース率とした場合、
前記無負荷連続ブロー工程では、前記バイパス弁の動作を調節して、前記クリーニングフォース率を1未満にする、
コンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法に関する。
本願は、2021年3月12日に、日本国に出願された特願2021-040565号に基づき優先権を主張し、この内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
コンバインドサイクルプラントは、ガスタービンと、ガスタービンからの排気ガスの熱を利用して蒸気を発生させる排熱回収ボイラと、排熱回収ボイラからの蒸気で駆動する蒸気タービンと、蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻す復水器と、復水ポンプや給水ポンプ等の各種ポンプと、ボイラで発生した蒸気を蒸気タービンに導く主蒸気ラインと、主蒸気ラインに設けられている蒸気止め弁と、復水器内の水を復水ポンプや給水ポンプ等を介してボイラに導く水ラインと、主蒸気ライン中で蒸気止め弁よりもボイラ側の位置から分岐して復水器に接続されているバイパスラインと、バイパスラインに設けられているバイパス弁と、を備える。
【0003】
コンバインドサイクルプラントの建設後、このコンバインドサイクルプラントの配管内や各種機器内には、溶接スラグや研削屑等の異物が残る。このため、以上のようなコンバインドサイクルプラントでは、その建設後や修理後に、異物を除去するため、ブローイングアウト(又はフラッシング)が行われる。
【0004】
配管等のクリーニング方法に関しては、例えば、以下の特許文献1に開示されている。
【0005】
この特許文献1に開示されているクリーニング方法では、連続ブロー法、又は間欠ブロー法を実行する旨が開示されている。連続ブロー法では、蒸気止め弁を閉状態にし、仮設バイパス弁を開状態にして、主蒸気ライン及びバイパスライン等を介して、排熱回収ボイラからの蒸気を復水器に導く。間欠ブロー法では、蒸気止め弁及び仮設バイパス弁を閉状態にし、排熱回収ボイラからの蒸気を主蒸気ライン及びバイパスライン等に溜めてから、仮設バイパス弁を開き、バイパスライン等を介して、溜まっていた蒸気を復水器に導く。
【0006】
この特許文献1に開示されているクリーニング方法では、配管内に残った異物を蒸気と共に大気に放出されないため、プラント周りの汚染や蒸気の大気放出時の騒音を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
コンバインドサイクルプラントでは、その建設工事が終了してから、蒸気タービンに蒸気を通気するまでの期間を短くすることが望まれる。
【0009】
そこで、本開示は、コンバインドサイクルプラントの建設工事が終了してから、蒸気タービンに蒸気を通気するまでの期間を短くすることができる、クリーニング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するための一態様としてのコンバインドサイクルプラントのクリーニング方法は、以下のコンバインドサイクルプラントに適用される。
このコンバインドサイクルプラントは、ガスタービンと、前記ガスタービンから排気された排気ガスの熱を利用して蒸気を発生可能な排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラからの蒸気で駆動可能な蒸気タービンと、前記蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻すことができる復水器と、前記復水器からの水を昇圧可能な復水ポンプと、前記排熱回収ボイラで発生した蒸気を前記蒸気タービンに導くことができる主蒸気ラインと、前記主蒸気ラインに設けられ、前記蒸気タービンへの蒸気の流入を止めることが可能な蒸気止め弁と、前記主蒸気ライン中で前記蒸気止め弁よりも前記排熱回収ボイラの側の位置から分岐して、前記復水器に接続されているバイパスラインと、前記バイパスラインに設けられているバイパス弁と、前記復水器内の水を前記復水ポンプに導くことができる復水ラインと、前記復水ポンプで昇圧された水を前記排熱回収ボイラに導くことができる給水ラインと、を備える。
クリーニング方法では、間欠運転処理工程と、前記間欠運転処理工程後に行う試運転処理工程と、を実行する。
前記間欠運転処理工程は、前記蒸気止め弁及び前記バイパス弁が閉状態で、前記ガスタービンに燃料を供給し、前記ガスタービンを無負荷運転する無負荷運転工程と、前記無負荷運転工程中に、前記ガスタービンからの排気ガスの熱を利用して、前記排熱回収ボイラで蒸気を発生させ、前記主蒸気ライン中で前記蒸気止め弁よりも排熱回収ボイラ側の部分及び前記バイパスライン中で前記バイパス弁よりも前記排熱回収ボイラの側の部分である蓄圧領域に蒸気を溜める蓄圧工程と、前記蓄圧工程後に、前記ガスタービンへの燃料供給を停止し、前記バイパス弁を開けて、前記蓄圧領域内の蒸気を前記復水器内に流入させる間欠ブロー工程と、前記間欠ブロー工程後に、前記復水器内及び前記復水ライン内の異物を除去する間欠ブロー後異物除去工程と、を含む。
前記試運転処理工程は、前記蒸気止め弁が閉状態で前記バイパス弁が開状態で、前記ガスタービンに燃料を供給し、前記ガスタービンを試運転する試運転工程と、前記試運転工程中に、前記ガスタービンからの排気ガスの熱を利用して、前記排熱回収ボイラで蒸気を発生させ、前記主蒸気ラインの一部及び前記バイパスラインを介して、前記排熱回収ボイラからの蒸気を前記復水器内に流入させる連続ブロー工程と、前記試運転工程後に、前記ガスタービンへの燃料供給を停止してから、前記復水器内及び前記復水ライン内の異物を除去する試運転後異物除去工程と、を含む。
【0011】
本態様では、配管等を仮設せずに、蒸気系統をクリーニングするので、クリーニングコストを抑えることができる。また、本態様では、蒸気ブローで吹き飛ばされた異物が蒸気と共に復水器内に流入するので、プラント周りの汚染や蒸気の大気放出時の騒音を抑えることができる。
【0012】
本態様では、間欠ブロー工程を実行して、蒸気系統をクリーニングした後、連続ブロー工程を実行して、さらに蒸気系統をクリーニングするので、効率的に蒸気系統をクリーニングすることができる。
【0013】
また、本態様では、ガスタービンの試運転中に発生する蒸気を利用して、この試運転中に連続ブロー工程を実行して、蒸気系統をクリーニングする。このため、本態様では、ガスタービンの試運転と蒸気系統のクリーニングのためのブローとを別々に実行する場合よりも、コンバインドサイクルプラントの建設工事が終了してから、蒸気タービンに蒸気を通気するまでの期間を短くすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示の一態様におけるクリーニング方法では、コンバインドサイクルプラントの建設工事が終了してから、蒸気タービンに蒸気を通気するまでの期間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示に係る一実施形態におけるコンバインドサイクルプラントの系統図である。
【
図2】本開示に係る一実施形態におけるコンバインドサイクルプラントの建設工事終了後からコンバインドサイクルプラントの全体試運転を実行するまでの複数の工程の実行順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示に係るコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法の実施形態について説明する。
【0017】
「コンバインドサイクルプラント」
本実施形態のコンバインドサイクルプラントについて、
図1を参照して説明する。
【0018】
本実施形態のコンバインドサイクルプラントは、ガスタービン10と、ガスタービン発電機18と、排熱回収ボイラ20と、蒸気タービン25と、蒸気タービン発電機28と、復水器30と、復水ライン31と、ストレーナ32と、復水ポンプ33と、給水ライン34と、給水ポンプ35と、給水弁34vと、主蒸気ライン36と、蒸気止め弁37と、蒸気加減弁38と、バイパスライン39と、バイパス弁39vと、を備える。
【0019】
ガスタービン10は、空気Aを圧縮する圧縮機13と、圧縮機13で圧縮された空気中で燃料Fを燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器14と、燃焼ガスにより駆動するタービン15と、を有する。圧縮機13は、軸線Argを中心に回転可能な圧縮機ロータ13rと、圧縮機ロータ13rを覆う圧縮機ケーシング13cと、吸気量調節機(以下、IGV(inlet guide vane)とする)13iと、を有する。IGV13iは、圧縮機ケーシング13c中の吸気口側に設けられ、圧縮機ケーシング13c内に吸い込まれる空気Aの流量を調節することができる。タービン15は、軸線Argを中心として回転可能なタービンロータ15rと、タービンロータ15rを覆うタービンケーシング15cと、を有する。
【0020】
ガスタービン10は、さらに中間ケーシング12を有する。この中間ケーシング12は、軸線Argが延びている方向で、圧縮機ケーシング13cとタービンケーシング15cとの間に配置され、圧縮機ケーシング13cとタービンケーシング15cとを接続する。
燃焼器14は、この中間ケーシング12に設けられている。燃焼器14には、燃料ライン16が接続されている。この燃料ライン16には、燃料ライン16を流れる燃料の流量を調節する燃料調節弁17が設けられている。
【0021】
圧縮機ロータ13rとタービンロータ15rとは、同一軸線Arg上に位置して互いに接続されてガスタービンロータ11を成す。このガスタービンロータ11には、ガスタービン発電機18のロータが接続されている。ガスタービン発電機18は、変圧器19t及び遮断器19bを介して、外部電力系統PSと電気的に接続可能である。
【0022】
排熱回収ボイラ20は、水入口20iと、蒸気出口20oとを有する。この排熱回収ボイラ20は、水入口20iから流入した水をガスタービン10から排気された排気ガスの熱を利用して蒸気にする。この蒸気は、蒸気出口20oから流出する。
【0023】
蒸気タービン25は、軸線Arsを中心として回転可能な蒸気タービンロータ25rと、蒸気タービンロータ25rを覆う蒸気タービンケーシング25cと、を有する。蒸気タービンケーシング25cには、蒸気入口25iと排気口25oとが形成されている。蒸気タービンロータ25rには、蒸気タービン発電機28のロータが接続されている。蒸気タービン発電機28は、変圧器29t及び遮断器29bを介して、外部電力系統PSと電気的に接続可能である。
【0024】
以上のように、本実施形態では、ガスタービンロータ11にガスタービン発電機18のロータが接続され、蒸気タービンロータ25rに蒸気タービン発電機28のロータが接続されている。つまり、本実施形態のコンバインドサイクルプラントは、二軸コンバインドサイクルプラントである。しかしながら、ガスタービンロータ11と蒸気タービンロータ25rとが接続され、このロータに対して一つの発電機が接続されていてもよい。つまり、コンバインドサイクルプラントは、一軸コンバインドサイクルプラントであってもよい。
【0025】
蒸気タービンケーシング25cの排気口25oには、復水器30が接続されている。復水器30は、蒸気タービン25からの蒸気を冷却媒体CMと熱交換させ、この蒸気を冷却して水にする。
【0026】
復水器30の底には、復水ライン31の一端が接続されている。この復水ライン31の他端は、復水ポンプ33の吸込口に接続されている。復水ポンプ33は、復水器30からの水を昇圧することができる。復水ライン31には、この復水ライン31を流れる水中に含まれる異物を除去可能なストレーナ32が設けられている。
【0027】
復水ポンプ33の吐出口には、給水ライン34の一端が接続されている。この給水ライン34の他端は、排熱回収ボイラ20の水入口20iに接続されている。給水ライン34には、給水ポンプ35と給水弁34vとが設けられている。給水ポンプ35は、復水ライン31からの水を昇圧し、給水ライン34を介して、この水を排熱回収ボイラ20に送ることができる。
【0028】
排熱回収ボイラ20の蒸気出口20oには、主蒸気ライン36の一端が接続されている。この主蒸気ライン36の他端は、蒸気タービンケーシング25cの蒸気入口25iに接続されている。この主蒸気ライン36には、蒸気止め弁37及び蒸気加減弁38が設けられている。主蒸気ライン36中で、蒸気止め弁37及び蒸気加減弁38よりも排熱回収ボイラ20側の位置には、バイパスライン39の一端が接続されている。このバイパスライン39の他端は、復水器30に接続されている。バイパスライン39には、バイパス弁39vが設けられている。
【0029】
「蒸気系統のクリーニング方法」
本実施形態のコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法について、
図2に示すフローチャートに従って説明する。
【0030】
蒸気
系統のクリーニング方法は、
図1を用いて説明したコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統に適用させる。なお、ここでの蒸気系統は、主蒸気ライン36、バイパスライン39、復水器30を含む。
【0031】
コンバインドサイクルプラントの建設工事が終了すると、初着火工程S10が実行される。その後、ガスタービン10の間欠運転処理工程S20、ガスタービン10の試運転処理工程S30、全体試運転工程S50が順次実行される。本実施形態のクリーニング方法は、ガスタービン10の間欠運転処理工程S20及びガスタービン10の試運転処理工程S30で実行される。
【0032】
初着火工程S10では、燃焼器14に燃料を供給して、この燃焼器14内で燃焼ガスを生成させて、タービン15を駆動する。この初着火工程S10では、燃焼器14内での燃料の燃焼及びタービン15の駆動が行われるか否かが確認される。
【0033】
初着火工程S10後に、ガスタービン10の間欠運転処理工程S20が実行される。この間欠運転処理工程S20は、無負荷運転工程S21、蓄圧工程S22、間欠ブロー工程S23、間欠ブロー後異物除去工程S24、判断工程S25が実行される。
【0034】
無負荷運転工程S21では、蒸気止め弁37及びバイパス弁39vが閉状態で、ガスタービン10に燃料を供給し、ガスタービン10を無負荷運転する。この無負荷運転工程S21では、給水弁34vが開状態で、復水ポンプ33及び給水ポンプ35を駆動する。なお、無負荷運転とは、ガスタービン発電機18が外部系統と電気的に接続されていない状態、つまり遮断器19b,29bが開いている状態でのガスタービン10の運転である。
【0035】
蓄圧工程S22は、無負荷運転工程S21中に実行される。この蓄圧工程S22では、ガスタービン10からの排気ガスの熱を利用して、排熱回収ボイラ20で蒸気を発生させ、主蒸気ライン36中で蒸気止め弁37よりも排熱回収ボイラ20側の部分及びバイパスライン39中でバイパス弁39vよりも前記排熱回収ボイラ20の側の部分である蓄圧領域に蒸気を溜める。
【0036】
蓄圧工程S22の実行で、蓄圧領域内の圧力が所定圧力以上になると、ガスタービン10への燃料供給を停止し、無負荷運転工程S21及び蓄圧工程S22を終了する。この際、給水弁34vを閉じ、復水ポンプ33及び給水ポンプ35を停止する。間欠ブロー工程S23は、無負荷運転工程S21及び蓄圧工程S22後に実行される。この間欠ブロー工程S23では、バイパス弁39vを開けて、蓄圧領域内の蒸気を一気に復水器30内に流入させる。この間欠ブロー工程S23の実行で、蓄圧領域、及びバイパスライン39中でバイパス弁39vから復水器30までの間の異物の一部が蒸気と共に復水器30内に流入する。
【0037】
間欠ブロー後異物除去工程S24は、間欠ブロー工程S23後に実行される。この間欠ブロー後異物除去工程S24では、復水器30内及び復水ライン31内の異物を除去する。具体的に、例えば、作業員が復水器30内に入って、この復水器30内の異物を除去する。さらに、作業員が、復水ライン31に設けられているストレーナ32に溜まった異物を除去する。
【0038】
判断工程S25は、間欠ブロー後異物除去工程S24後に実行される。この判断工程S25では、作業員が、間欠運転処理の終了条件を満たしたか否かを判断する。ここで、間欠運転処理の終了条件とは、例えば、間欠運転処理工程S20の実行回数が予め定められた回数になったこと、又は、間欠ブロー後異物除去工程S24で除去した異物の量が予め定められた量以下になったこと等、である。
【0039】
作業員が間欠運転処理の終了条件を満たしていないと判断した場合には、再び、以上で説明した無負荷運転工程S21、蓄圧工程S22、間欠ブロー工程S23、間欠ブロー後異物除去工程S24、判断工程S25が実行される。すなわち、本実施形態では、間欠運転処理工程S20を複数回実行する場合がある。このように、間欠運転処理工程S20を複数回実行する場合、各間欠運転処理工程S20中に間欠ブロー工程S23を実行するので、蒸気系統内の異物の除去効率を高めることができる。
【0040】
また、作業員が間欠運転処理の終了条件を満たしていると判断した場合には、ガスタービン10の試運転処理工程S30が実行される。
【0041】
このガスタービン10の試運転処理工程S30は、無負荷試運転処理工程S31と、この無負荷試運転処理工程S31後に実行される部分負荷試運転処理工程S41とを含む。
【0042】
無負荷試運転処理工程S31は、無負荷試運転工程S32と、無負荷連続ブロー工程S33と、無負荷後異物除去工程S34と、判断工程S35と、を含む。
【0043】
無負荷試運転工程S32では、蒸気止め弁37が閉状態でバイパス弁39vが開状態で、ガスタービン10に燃料を供給し、ガスタービン10を無負荷試運転する。この無負荷試運転工程S32では、給水弁34vが開状態で、復水ポンプ33及び給水ポンプ35を駆動する。ここで、試運転とは、ガスタービン10の制御系を調整する工程を含む運転である。具体的には、制御系統の調整とは、ガスタービン10の運転で得られたデータに基づき、例えば、IGV13iや燃料調節弁17の制御パラメータ等を調整することである。なお、前述の間欠運転処理工程S20での無負荷運転工程S21では、ガスタービン10の制御系を調整しない。よって、無負荷運転工程S21でのガスタービン10の運転は、試運転ではない。
【0044】
無負荷連続ブロー工程S33は、無負荷試運転工程S32中に実行される。この無負荷連続ブロー工程S33では、無負荷試運転工程S32中に、ガスタービン10からの排気ガスの熱を利用して、排熱回収ボイラ20で蒸気を発生させ、主蒸気ライン36の一部及びバイパスライン39を介して、排熱回収ボイラ20からの蒸気を復水器30内に流入させる。この無負荷連続ブロー工程S33の実行で、主蒸気ライン36の一部及びバイパスライン39中の異物の一部が蒸気と共に復水器30内に流入する。
【0045】
無負荷試運転工程S32後に、ガスタービン10への燃料供給を停止し、給水弁34vを閉じ、復水ポンプ33及び給水ポンプ35を停止してから、無負荷後異物除去工程S34が実行される。この無負荷後異物除去工程S34では、前述の間欠ブロー後異物除去工程S24と同様に復水器30内及び復水ライン31内の異物を除去する。
【0046】
判断工程S35は、無負荷後異物除去工程S34後に実行される。この判断工程S35では、作業員が、無負荷試運転処理の終了条件を満たしたか否かを判断する。ここで、無負荷試運転処理の終了条件とは、例えば、無負荷試運転工程S32での制御系の調整が完了したこと、又は、無負荷試運転工程S32での制御系の調整が完了し且つ無負荷後異物除去工程S34で除去した異物の量が予め定められた量以下になったこと等、である。
【0047】
作業員が無負荷試運転処理の終了条件を満たしていないと判断した場合には、再び、以上で説明した無負荷試運転工程S32、無負荷連続ブロー工程S33、無負荷後異物除去工程S34、判断工程S35が実行される。すなわち、本実施形態では、無負荷試運転処理工程S31を複数回実行する場合がある。このように、無負荷試運転処理工程S31を複数回実行する場合、各無負荷試運転処理工程S31中に無負荷連続ブロー工程S33を実行するので、蒸気系統内の異物の除去効率を高めることができる。
【0048】
また、作業員が無負荷試運転処理の終了条件を満たしていると判断した場合には、ガスタービン10の部分負荷試運転処理工程S41が実行される。
【0049】
この部分負荷試運転処理工程S41は、第一負荷試運転処理工程S41aと、この第一負荷試運転処理工程S41a後に実行される第二負荷試運転処理工程S41bと、を含む。
【0050】
第一負荷試運転処理工程S41aは、第一負荷試運転工程S42aと、第一負荷連続ブロー工程S43aと、第一負荷後異物除去工程S44aと、判断工程S45aと、を含む。
【0051】
第一負荷試運転工程S42aでは、蒸気止め弁37が閉状態でバイパス弁39vが開状態で、ガスタービン10に燃料を供給し、ガスタービン10を第一負荷で試運転する。この第一負荷試運転工程S42aでは、給水弁34vが開状態で、復水ポンプ33及び給水ポンプ35を駆動する。ここで、第一負荷は、ガスタービン10の定格負荷を100%とした場合、例えば、20%~40%の負荷である。
【0052】
第一負荷連続ブロー工程S43aは、第一負荷試運転工程S42a中に実行される。この第一負荷連続ブロー工程S43aでは、第一負荷試運転工程S42a中に、ガスタービン10からの排気ガスの熱を利用して、排熱回収ボイラ20で蒸気を発生させ、主蒸気ライン36の一部及びバイパスライン39を介して、排熱回収ボイラ20からの蒸気を復水器30内に流入させる。この第一負荷連続ブロー工程S43aの実行で、主蒸気ライン36の一部及びバイパスライン39中の異物の一部が蒸気と共に復水器30内に流入する。
【0053】
第一負荷試運転工程S42a後に、ガスタービン10への燃料供給を停止し、給水弁34vを閉じ、復水ポンプ33及び給水ポンプ35を停止してから、第一負荷後異物除去工程S44aが実行される。この第一負荷後異物除去工程S44aでは、前述の間欠ブロー後異物除去工程S24と同様に復水器30内及び復水ライン31内の異物を除去する。
【0054】
判断工程S45aは、第一負荷後異物除去工程S44a後に実行される。この判断工程S45aでは、作業員が、負荷変更条件を満たしたか否かを判断する。ここで、負荷変更条件とは、例えば、第一負荷試運転工程S42aでの制御系の調整が完了したこと、又は、第一負荷試運転工程S42aでの制御系の調整が完了し且つ第一負荷後異物除去工程S44aで除去した異物の量が予め定められた量以下になったこと等、である。
【0055】
作業員が負荷変更条件を満たしていないと判断した場合には、再び、以上で説明した第一負荷試運転工程S42a、第一負荷連続ブロー工程S43a、第一負荷後異物除去工程S44a、判断工程S45aが実行される。すなわち、本実施形態では、第一負荷試運転処理工程S41aを複数回実行する場合がある。このように、第一負荷試運転処理工程S41aを複数回実行する場合、各第一負荷試運転処理工程S41a中に第一負荷連続ブロー工程S43aを実行するので、蒸気系統内の異物の除去効率を高めることができる。
【0056】
また、作業員が負荷変更を満たしていると判断した場合には、ガスタービン10の第二負荷試運転処理工程S41bが実行される。
【0057】
第二負荷試運転処理工程S41bは、第二負荷試運転工程S42bと、第二負荷連続ブロー工程S43bと、第二負荷後異物除去工程S44bと、判断工程S45bと、を含む。
【0058】
第二負荷試運転工程S42bでは、蒸気止め弁37が閉状態でバイパス弁39vが開状態で、ガスタービン10に燃料を供給し、ガスタービン10を第一負荷より大きな第二負荷で試運転する。この第二負荷試運転工程S42bでは、給水弁34vが開状態で、復水ポンプ33及び給水ポンプ35を駆動する。ここで、第二負荷は、ガスタービン10の定格負荷を100%とした場合、例えば、45%~70%の負荷である。
【0059】
第二負荷連続ブロー工程S43bは、第二負荷試運転工程S42b中に実行される。この第二負荷連続ブロー工程S43bでは、第二負荷試運転工程S42b中に、ガスタービン10からの排気ガスの熱を利用して、排熱回収ボイラ20で蒸気を発生させ、主蒸気ライン36の一部及びバイパスライン39を介して、排熱回収ボイラ20からの蒸気を復水器30内に流入させる。この第二負荷連続ブロー工程S43bの実行で、主蒸気ライン36の一部及びバイパスライン39中の異物の一部が蒸気と共に復水器30内に流入する。
【0060】
第二負荷試運転工程S42b後に、ガスタービン10への燃料供給を停止し、給水弁34vを閉じ、復水ポンプ33及び給水ポンプ35を停止してから、第二負荷後異物除去工程S44bが実行される。この第二負荷後異物除去工程S44bでは、前述の間欠ブロー後異物除去工程S24と同様に復水器30内及び復水ライン31内の異物を除去する。
【0061】
判断工程S45bは、第二負荷後異物除去工程S44b後に実行される。この判断工程S45bでは、作業員が、第二負荷試運転処理の終了条件を満たしたか否かを判断する。ここで、第二負荷試運転処理の終了条件とは、例えば、第二負荷試運転工程S42bでの制御系の調整が完了したこと、又は、第二負荷試運転工程S42bでの制御系の調整が完了し且つ第二負荷後異物除去工程S44bで除去した異物の量が予め定められた量以下になったこと等、である。
【0062】
作業員が第二負荷試運転処理の終了条件を満たしていないと判断した場合には、再び、以上で説明した第二負荷試運転工程S42b、第二負荷連続ブロー工程S43b、第二負荷後異物除去工程S44b、判断工程S45bが実行される。すなわち、本実施形態では、第二負荷試運転処理工程S41bを複数回実行する場合がある。このように、第二負荷試運転処理工程S41bを複数回実行する場合、各第二負荷試運転処理工程S41b中に第二負荷連続ブロー工程S43bを実行するので、蒸気系統内の異物の除去効率を高めることができる。
【0063】
また、作業員が第二負荷試運転処理の終了条件を満たしていると判断した場合には、ガスタービン10の第二負荷試運転処理工程S41bが終了する。従って、この場合には、ガスタービン10の試運転処理工程S30が終了する。この試運転処理工程S30の終了で、本実施形態におけるクリーニング方法が完了する。
【0064】
ガスタービン10の試運転処理工程S30が終了すると、全体試運転工程S50が実行される。この全体試運転工程S50では、蒸気止め弁37が閉状態でバイパス弁39vが開状態で、ガスタービン10に燃料を供給し、ガスタービン10を例えば定格負荷で試運転する。この全体試運転工程S50では、給水弁34vが開状態で、復水ポンプ33及び給水ポンプ35を駆動する。この試運転の初期段階では、排熱回収ボイラ20からの蒸気が、主蒸気ライン36及びバイパスライン39を介して、復水器30に流入する。そして、この初期段階中に、排熱回収ボイラ20からの蒸気がタービン供給条件を満たすと、バイパス弁39vを閉る一方で、蒸気止め弁37及び蒸気加減弁38を開ける。この結果、排熱回収ボイラ20からの蒸気は、蒸気タービン25内に流入し始める。そして、蒸気加減弁38の開度を徐々に大きくして、蒸気タービン25を例えば定格負荷で試運転する。
【0065】
以上で説明した各工程において、無負荷試運転工程S32、第一負荷試運転工程S42a、及び第二負荷試運転工程S42bは、それぞれ、試運転処理工程S30における試運転工程S32,S42a,S42bの一部である。また、第一負荷試運転工程S42a、及び第二負荷試運転工程S42bは、それぞれ、部分負荷試運転処理工程S41における部分負荷試運転工程S42a,S42bの一部である。無負荷連続ブロー工程S33、第一負荷連続ブロー工程S43a、及び第二負荷連続ブロー工程S43bは、それぞれ、試運転処理工程S30における連続ブロー工程S33,S43a,S43bの一部である。第一負荷連続ブロー工程S43a、及び第二負荷連続ブロー工程S43bは、それぞれ、部分負荷連続ブロー工程S43a,S43bの一部である。無負荷後異物除去工程S34、第一負荷後異物除去工程S44a、及び第二負荷後異物除去工程S44bは、それぞれ、試運転処理工程S30における試運転後異物除去工程S34,S44a,S44bの一部である。第一負荷後異物除去工程S44a、及び第二負荷後異物除去工程S44bは、それぞれ、部分負荷後異物除去工程S44a,S44bの一部である。
【0066】
以上のように、本実施形態では、配管等を仮設せずに、蒸気系統をクリーニングするので、クリーニングコストを抑えることができる。また、本実施形態では、蒸気ブローで吹き飛ばされた異物が蒸気と共に復水器30内に流入するので、プラント周りの汚染や蒸気の大気放出時の騒音を抑えることができる。
【0067】
また、本実施形態では、間欠ブロー工程S23を実行して、蒸気系統をクリーニングした後、連続ブロー工程S33,S43a,S43bを実行して、さらに蒸気系統をクリーニングするので、効率的に蒸気系統をクリーニングすることができる。
【0068】
さらに、本実施形態では、ガスタービン10の試運転中に発生する蒸気を利用して、この試運転中に連続ブロー工程S33,S43a,S43bを実行して、蒸気系統をクリーニングする。このため、本実施形態では、ガスタービン10の試運転と蒸気系統のクリーニングのための蒸気ブローとを別々に実行する場合よりも、コンバインドサイクルプラントの建設工事が終了してから、蒸気タービン25に蒸気を通気するまでの期間を短くすることができる。
【0069】
ここで、蒸気により、配管内の異物を吹き払う力は、クリーニングフォースFと呼ばれる。このクリーニングフォースFは、以下の式(1)に示すように、配管内の動圧Pに、この配管内を流れる蒸気の流量Qを乗じた値である。
F=P×Q (1)
【0070】
配管内の動圧Pは、以下の式(2)で表すことができる。
P=(γ/2g)×V (2)
なお、γは蒸気の比重量、gは重力加速度、Vは流速である。
【0071】
また、蒸気の流量Qは、以下の式(3)で表すことができる。
Q=A・V (3)
なお、Aは配管の断面積である。
【0072】
式(2)で表される配管内の動圧P及び式(3)で表される蒸気の流量Qを式(1)に代入すると、クリーニングフォースFは、以下の式(4)のように表すことができる。
F=P×Q
=((γ/2g)×V)×A・V
=(γ/2g)×A・V2 (4)
【0073】
蒸気タービン25の定格運転時における主蒸気ライン36内でのクリーニングフォースを定格時クリーニングフォースFnとし、以上で説明した間欠ブロー工程S23及び連続ブロー工程S33,S43a,S43bにおけるブロー中における主蒸気ライン36及びバイパスライン39内でのクリーニングフォースをブロー時クリーニングフォースFbとする。さらに、定格時クリーニングフォースFnに対するブロー時クリーニングフォースFbをクリーニングフォース率R(=Fb/Fn)とする。
【0074】
本実施形態では、間欠ブロー工程S23、無負荷連続ブロー工程S33、及び第一負荷連続ブロー工程S43aにおいて、バイパス弁39vの動作を調節して、クリーニングフォース率Rを1未満にする。また、本実施形態では、第二負荷連続ブロー工程S43bにおいて、バイパス弁39vの動作を調節して、クリーニングフォース率Rを1以上にする。
【0075】
本実施形態では、以上のように、間欠ブロー工程S23、無負荷連続ブロー工程S33、及び第一負荷連続ブロー工程S43aでのクリーニングフォース率Rを1未満にして、これらの工程において、配管内で相対的に吹き払い易い異物を吹き払うと共に、配管内で相対的に吹き払い難い異物を吹き払い易くする。そして、これらの工程後の第二負荷連続ブロー工程S43bでのクリーニングフォース率Rを1以上にして、先の工程で吹き払うことができなかった異物をこの第二負荷連続ブロー工程S43bで吹き払う。従って、本実施形態では、この観点からも、効率的に蒸気系統をクリーニングすることができる。
【0076】
なお、間欠ブロー工程S23、無負荷連続ブロー工程S33、及び第一負荷連続ブロー工程S43aでのクリーニングフォース率Rは、1以上になる場合があってもよい。
【0077】
以上、本開示の実施形態について詳述したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲において、種々の追加、変更、置き換え、部分的削除等が可能である。
【0078】
「付記」
以上の実施形態におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法は、例えば、以下のように把握される。
【0079】
(1)第一態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法は、以下のコンバインドサイクルプラントに適用される。
このコンバインドサイクルプラントは、ガスタービン10と、前記ガスタービン10から排気された排気ガスの熱を利用して蒸気を発生可能な排熱回収ボイラ20と、前記排熱回収ボイラ20からの蒸気で駆動可能な蒸気タービン25と、前記蒸気タービン25から排気された蒸気を水に戻すことができる復水器30と、前記復水器30からの水を昇圧可能な復水ポンプ33と、前記排熱回収ボイラ20で発生した蒸気を前記蒸気タービン25に導くことができる主蒸気ライン36と、前記主蒸気ライン36に設けられ、前記蒸気タービン25への蒸気の流入を止めることが可能な蒸気止め弁37と、前記主蒸気ライン36中で前記蒸気止め弁37よりも前記排熱回収ボイラ20の側の位置から分岐して、前記復水器30に接続されているバイパスライン39と、前記バイパスライン39に設けられているバイパス弁39vと、前記復水器30内の水を前記復水ポンプ33に導くことができる復水ライン31と、前記復水ポンプ33で昇圧された水を前記排熱回収ボイラ20に導くことができる給水ライン34と、を備える。
クリーニング方法では、間欠運転処理工程S20と、前記間欠運転処理工程後に行う試運転処理工程S30と、を実行する。
前記間欠運転処理工程S20は、前記蒸気止め弁37及び前記バイパス弁39vが閉状態で、前記ガスタービン10に燃料を供給し、前記ガスタービン10を無負荷運転する無負荷運転工程S21と、前記無負荷運転工程S21中に、前記ガスタービン10からの排気ガスの熱を利用して、前記排熱回収ボイラ20で蒸気を発生させ、前記主蒸気ライン36中で前記蒸気止め弁37よりも排熱回収ボイラ20側の部分及び前記バイパスライン39中で前記バイパス弁39vよりも前記排熱回収ボイラ20の側の部分である蓄圧領域に蒸気を溜める蓄圧工程S22と、前記蓄圧工程S22後に、前記ガスタービン10への燃料供給を停止し、前記バイパス弁39vを開けて、前記蓄圧領域内の蒸気を前記復水器30内に流入させる間欠ブロー工程S23と、前記間欠ブロー工程S23後に、前記復水器30内及び前記復水ライン31内の異物を除去する間欠ブロー後異物除去工程S24と、を含む。
前記試運転処理工程S30は、前記蒸気止め弁37が閉状態で前記バイパス弁39vが開状態で、前記ガスタービン10に燃料を供給し、前記ガスタービン10を試運転する試運転工程S32,S42a,S42bと、前記試運転工程S32,S42a,S42b中に、前記ガスタービン10からの排気ガスの熱を利用して、前記排熱回収ボイラ20で蒸気を発生させ、前記主蒸気ライン36の一部及び前記バイパスライン39を介して、前記排熱回収ボイラ20からの蒸気を前記復水器30内に流入させる連続ブロー工程S33,S43a,S43bと、前記試運転工程S32,S42a,S42b後に、前記ガスタービン10への燃料供給を停止してから、前記復水器30内及び前記復水ライン31内の異物を除去する試運転後異物除去工程S34,S44a,S44bと、を含む。
【0080】
本態様では、配管等を仮設せずに、蒸気系統をクリーニングするので、クリーニングコストを抑えることができる。また、本態様では、蒸気ブローで吹き飛ばされた異物が蒸気と共に復水器30内に流入するので、プラント周りの汚染や蒸気の大気放出時の騒音を抑えることができる。
【0081】
本態様では、間欠ブロー工程S23を実行して、蒸気系統をクリーニングした後、連続ブロー工程S33,S43a,S43bを実行して、さらに蒸気系統をクリーニングするので、効率的に蒸気系統をクリーニングすることができる。
【0082】
また、本態様では、ガスタービン10の試運転中に発生する蒸気を利用して、この試運転中に連続ブロー工程S33,S43a,S43bを実行して、蒸気系統をクリーニングする。このため、本態様では、ガスタービン10の試運転と蒸気系統のクリーニングのためのブローとを別々に実行する場合よりも、コンバインドサイクルプラントの建設工事が終了してから、蒸気タービン25に蒸気を通気するまでの期間を短くすることができる。
【0083】
(2)第二態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法は、
前記第一態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、前記間欠運転処理工程S20を前記試運転工程S32,S42a,S42b前に複数回実行する。
【0084】
本態様では、間欠運転処理工程S20を複数回実行して、各間欠運転処理工程S20中に間欠ブロー工程S23を実行するので、蒸気系統内の異物の除去効率を高めることができる。
【0085】
(3)第三態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法は、
前記第一態様又は前記第二態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、前記試運転処理工程S30は、部分負荷試運転処理工程S41を含む。前記部分負荷試運転処理工程S41は、前記試運転工程S32,S42a,S42bの一部である部分負荷試運転工程S42a,S42bと、前記連続ブロー工程S33,S43a,S43bの一部である部分負荷連続ブロー工程S43a,S43bと、前記試運転後異物除去工程S34,S44a,S44bの一部である部分負荷後異物除去工程S44a,S44bと、を含む。前記部分負荷試運転工程S42a,S42bでは、前記蒸気止め弁37が閉状態で前記バイパス弁39vが開状態で、前記ガスタービン10に燃料を供給し、前記ガスタービン10を部分負荷試運転する。前記部分負荷連続ブロー工程S43a,S43bでは、前記部分負荷試運転工程S42a,S42b中に、前記ガスタービン10からの排気ガスの熱を利用して、前記排熱回収ボイラ20で蒸気を発生させ、前記主蒸気ライン36の一部及び前記バイパスライン39を介して、前記排熱回収ボイラ20からの蒸気を前記復水器30内に流入させる。前記部分負荷試運転工程S42a,S42b後に、前記ガスタービン10への燃料供給を停止してから、前記部分負荷後異物除去工程S44a,S44bを実行する。前記部分負荷後異物除去工程S44a,S44bでは、前記復水器30内及び前記復水ライン31内の異物を除去する。
【0086】
本態様では、部分負荷試運転処理工程S41中に部分負荷連続ブロー工程S43a,S43bを実行するので、無負荷で連続ブローするよりも、蒸気系統内の異物の除去効率を高めることができる。
【0087】
(4)第四態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法は、
前記第三態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、前記部分負荷試運転処理工程S41(S41a,S41b)を複数回実行する。
【0088】
本態様では、部分負荷試運転処理工程S41(S41a,S41b)を複数回実行して、各部分負荷試運転処理工程S41a,41b中に部分負荷連続ブロー工程S43a,S43bを実行するので、蒸気系統内の異物の除去効率を高めることができる。
【0089】
(5)第五態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法は、
前記第四態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、前記蒸気タービン25の定格運転時における前記主蒸気ライン36内での蒸気により異物を吹き払う力Fnに対して、前記間欠ブロー工程S23及び前記連続ブロー工程S33,S43a,S43bにおけるブロー中における前記主蒸気ライン36及び前記バイパスライン39内での蒸気により異物を払う力Fbの比をクリーニングフォース率Rとした場合、複数回実行する前記部分負荷試運転処理工程S41のうち、少なくとも、最後に実行する部分負荷試運転処理工程S41中の前記部分負荷連続ブロー工程S43bでは、前記バイパス弁39vの動作を調節して、前記クリーニングフォース率Rを1以上にする。
【0090】
本態様では、少なくとも、最後に実行する部分負荷試運転処理工程S41b中の部分負荷連続ブロー工程S43bの前に行われるブロー工程で、蒸気系統内で相対的に吹き払い易い異物を吹き払うと共に、蒸気系統内で相対的に吹き払い難い異物を吹き払い易くする。そして、このブロー工程後の部分負荷連続ブロー工程S43bでのクリーニングフォース率を1以上にして、先のブロー工程で吹き払うことができなかった異物をこの部分負荷連続ブロー工程S43bで吹き払う。従って、本態様では、効率的に蒸気系統をクリーニングすることができる。
【0091】
(6)第六態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法は、
前記第五態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、前記間欠ブロー工程S23では、前記バイパス弁39vの動作を調節して、前記クリーニングフォース率Rを1未満にする。
【0092】
(7)第七態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法は、
前記第一態様又は前記第二態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、前記試運転処理工程S30は、部分負荷試運転処理工程S41を含む。前記部分負荷試運転処理工程S41は、第一負荷試運転処理工程S41aと、前記第一負荷試運転処理工程S41a後に実行する第二負荷試運転処理工程S41bを含む。前記第一負荷試運転処理工程S41aは、前記試運転工程S32,S42a,S42bの一部である第一負荷試運転工程S42aと、前記連続ブロー工程S33,S43a,S43bの一部である第一負荷連続ブロー工程S43aと、前記試運転後異物除去工程S34、S44a,S44bの一部である第一負荷後異物除去工程S44aと、を含む。前記第一負荷試運転工程S42aでは、前記蒸気止め弁37が閉状態で前記バイパス弁39vが開状態で、前記ガスタービン10に燃料を供給し、前記ガスタービン10を定格負荷よりも小さい第一負荷で試運転する。前記第一負荷連続ブロー工程S43aでは、前記第一負荷試運転工程S42a中に、前記ガスタービン10からの排気ガスの熱を利用して、前記排熱回収ボイラ20で蒸気を発生させ、前記主蒸気ライン36の一部及び前記バイパスライン39を介して、前記排熱回収ボイラ20からの蒸気を前記復水器30内に流入させる。前記第一負荷試運転工程S42a後に、前記ガスタービン10への燃料供給を停止してから、前記第一負荷後異物除去工程S44aを実行する。前記第一負荷後異物除去工程S44aでは、前記復水器30内及び前記復水ライン31内の異物を除去する。前記第二負荷試運転処理工程S41bは、前記試運転工程S32,S42a,S42bの一部である第二負荷試運転工程S42bと、前記連続ブロー工程S33,S43a,S43bの一部である第二負荷連続ブロー工程S43bと、前記試運転後異物除去工程S34、S44a,S44bの一部である第二負荷後異物除去工程S44bと、を含む。前記第二負荷試運転工程S42bでは、前記蒸気止め弁37が閉状態で前記バイパス弁39vが開状態で、前記ガスタービン10に燃料を供給し、前記ガスタービン10を前記第一負荷よりも大きく且つ前記定格負荷よりも小さな第二負荷で試運転する。前記第二負荷連続ブロー工程S43bでは、前記第二負荷試運転工程S42b中に、前記ガスタービン10からの排気ガスの熱を利用して、前記排熱回収ボイラ20で蒸気を発生させ、前記主蒸気ライン36の一部及び前記バイパスライン39を介して、前記排熱回収ボイラ20からの蒸気を前記復水器30内に流入させる。前記第二負荷試運転工程S42b後に、前記ガスタービン10への燃料供給を停止してから、前記第二負荷後異物除去工程S44bを実行する。前記第二負荷後異物除去工程S44bでは、前記復水器30内及び前記復水ライン31内の異物を除去する。
【0093】
本態様では、部分負荷試運転処理工程S42a,S42bを複数回実行して、各部分負荷試運転工程S42a,S42b中に部分負荷連続ブロー工程S43a,S43bを実行するので、蒸気系統内の異物の除去効率を高めることができる。
【0094】
(8)第八態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法は、
前記第七態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、前記蒸気タービン25の定格運転時における前記主蒸気ライン36内での蒸気により異物を吹き払う力Fnに対して、前記間欠ブロー工程S23及び前記連続ブロー工程S33,S43a,S43bにおけるブロー中における前記主蒸気ライン36及び前記バイパスライン39内での蒸気により異物を払う力Fbの比をクリーニングフォース率Rとした場合、前記第二負荷連続ブロー工程S43bでは、前記バイパス弁39vの動作を調節して、前記クリーニングフォース率Rを1以上にする。
【0095】
本態様では、第二負荷試運転処理工程S41b中の第二負荷連続ブロー工程S43bの前に行われるブロー工程で、蒸気系統内で相対的に吹き払い易い異物を吹き払うと共に、蒸気系統内で相対的に吹き払い難い異物を吹き払い易くする。そして、このブロー工程後の第二負荷連続ブロー工程S43bでのクリーニングフォース率Rを1以上にして、先のブロー工程で吹き払うことができなかった異物をこの部分負荷連続ブロー工程S43bで吹き払う。従って、本態様では、効率的に蒸気系統をクリーニングすることができる。
【0096】
(9)第九態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法は、
前記第八態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、前記間欠ブロー工程S23、及び前記第一負荷連続ブロー工程S43aでは、前記バイパス弁39vの動作を調節して、前記クリーニングフォース率Rを1未満にする。
【0097】
(10)第十態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法は、
前記第三態様から前記第九態様のうちのいずれか一態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、前記試運転処理工程S30は、前記部分負荷試運転処理工程S41前に実行する無負荷試運転処理工程S31を含む。前記無負荷試運転処理工程S31は、前記試運転工程S32,S42a,S42bの一部である無負荷試運転工程S32と、前記連続ブロー工程S33,S43a,S43bの一部である無負荷連続ブロー工程S33と、前記試運転後異物除去工程の一部である無負荷後異物除去工程S34と、を含む。前記無負荷試運転工程S32では、前記蒸気止め弁37が閉状態で前記バイパス弁39vが開状態で、前記ガスタービン10に燃料を供給し、前記ガスタービン10を無負荷試運転する。前記無負荷連続ブロー工程S33では、前記無負荷試運転工程S32中に、前記ガスタービン10からの排気ガスの熱を利用して、前記排熱回収ボイラ20で蒸気を発生させ、前記主蒸気ライン36の一部及び前記バイパスライン39を介して、前記排熱回収ボイラ20からの蒸気を前記復水器30内に流入させる。前記無負荷試運転工程S32後に、前記ガスタービン10への燃料供給を停止してから、前記無負荷後異物除去工程S34を実行する。前記無負荷後異物除去工程S34では、前記復水器30内及び前記復水ライン31内の異物を除去する。
【0098】
本態様では、部分負荷試運転処理工程S41前に実行する無負荷試運転処理工程S31でも、連続ブロー工程S33を実行するので、蒸気系統内の異物の除去効率を高めることができる。
【0099】
(11)第十一態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法は、
前記第十態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、前記無負荷試運転処理工程S31を複数回実行する。
【0100】
本態様では、無負荷試運転処理工程S31を複数回実行して、各無負荷試運転工程S31中に無負荷連続ブロー工程S33を実行するので、蒸気系統内の異物の除去効率を高めることができる。
【0101】
(12)第十二態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法は、
前記第十態様又は前記第十一態様におけるコンバインドサイクルプラントにおける蒸気系統のクリーニング方法において、前記蒸気タービン25の定格運転時における前記主蒸気ライン36内での蒸気により異物を吹き払う力Fnに対して、前記連続ブロー工程S33,S43a,S43bにおけるブロー中における前記主蒸気ライン36及び前記バイパスライン39内での蒸気により異物を払う力Fbの比をクリーニングフォース率Rとした場合、前記無負荷連続ブロー工程S33では、前記バイパス弁39vの動作を調節して、前記クリーニングフォース率Rを1未満にする。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本開示の一態様におけるクリーニング方法では、コンバインドサイクルプラントの建設工事が終了してから、蒸気タービンに蒸気を通気するまでの期間を短くすることができる。
【符号の説明】
【0103】
10:ガスタービン
11:ガスタービンロータ
12:中間ケーシング
13:圧縮機
13r:圧縮機ロータ
13c:圧縮機ケーシング
13i:吸気量調節機(IGV)
14:燃焼器
15:タービン
15r:タービンロータ
15c:タービンケーシング
16:燃料ライン
17:燃料調節弁
18:ガスタービン発電機
19t:変圧器
19b:遮断器
20:排熱回収ボイラ
20i:水入口
20o:蒸気出口
25:蒸気タービン
25r:蒸気タービンロータ
25c:蒸気タービンケーシング
25i:蒸気入口
25o:排気口
28:蒸気タービン発電機
29t:変圧器
29b:遮断器
30:復水器
31:復水ライン
32:ストレーナ
33:復水ポンプ
34:給水ライン
34v:給水弁
35:給水ポンプ
36:主蒸気ライン
37:蒸気止め弁
38:蒸気加減弁
39:バイパスライン
39v:バイパス弁
Arg,Ars:軸線
PS:外部電力系統