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特許7482330搭乗橋の遠隔操作システムおよび遠隔操作用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】搭乗橋の遠隔操作システムおよび遠隔操作用プログラム
(51)【国際特許分類】
   B64F 1/305 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
B64F1/305
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023534454
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(86)【国際出願番号】 JP2021026168
(87)【国際公開番号】W WO2023286131
(87)【国際公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土橋 秀章
(72)【発明者】
【氏名】明上 武史
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-526477(JP,A)
【文献】特開昭58-188795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 1/305
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターミナルビルのゲートに接続されたロタンダと、
基端が前記ロタンダに接続され、長手方向に伸縮自在に構成されたトンネル部と、
前記トンネル部の先端に設けられ、先端部が航空機の乗降部に装着されるキャブと、
前記トンネル部または前記キャブに取り付けられて前記トンネル部及び前記キャブを昇降させる昇降装置と、
前記昇降装置の下方に取り付けられて地面を走行する走行装置と、を備えた搭乗橋を遠隔操作するための遠隔操作システムであって、
前記キャブに設けられ、前記キャブの先端部の前方を撮影する第1の撮像装置と、
前記搭乗橋の内部を監視するための内部監視装置と、
前記ゲートに対応して設けられており、オペレータによって前記搭乗橋の動作指令の入力操作が行われる操作部と入力される情報を出力可能な情報出力部とを有する遠隔機器と通信可能に構成され、前記遠隔機器の前記操作部への入力操作に応じた動作指令を前記搭乗橋に与えて前記搭乗橋を遠隔制御するとともに、前記第1の撮像装置で撮影した映像情報及び前記内部監視装置の監視情報を取得して前記遠隔機器へ出力する遠隔制御部と、
前記搭乗橋の内部に設けられ、前記搭乗橋の内部の人に遠隔操作に関する所定情報を報知する報知手段と、
を備え、
前記走行装置及びその周辺をオペレータが直接または間接的に視認可能な状態において、オペレータによる前記遠隔機器の前記操作部の操作が行われるよう構成された、
搭乗橋の遠隔操作システム。
【請求項2】
前記内部監視装置は、
前記搭乗橋の内部を撮影する第2の撮像装置を有し、この撮影した映像情報が前記監視情報である、
請求項1に記載の搭乗橋の遠隔操作システム。
【請求項3】
前記内部監視装置は、
前記搭乗橋の内部の所定領域における人の存否を検出するセンサを有し、この検出結果が前記監視情報である、
請求項1または2に記載の搭乗橋の遠隔操作システム。
【請求項5】
前記走行装置及びその周辺を撮影する第3の撮像装置をさらに備え、
前記遠隔制御部は、前記第3の撮像装置で撮影した映像情報を取得して前記遠隔機器へ出力するよう構成された、
請求項1~3のいずれかに記載の搭乗橋の遠隔操作システム。
【請求項6】
前記遠隔機器は、前記ロタンダの下方に配置された、
請求項1~3,5のいずれかに記載の搭乗橋の遠隔操作システム。
【請求項7】
前記ロタンダの下方に配置され、前記搭乗橋が動作中に前記搭乗橋を非常停止させるための非常停止スイッチをさらに備えた、
請求項1~3,5,6のいずれかに記載の搭乗橋の遠隔操作システム。
【請求項8】
前記遠隔機器は、携帯通信端末である、
請求項1~3,5のいずれかに記載の搭乗橋の遠隔操作システム。
【請求項9】
前記ターミナルビルに複数の前記ゲートが設けられ、
オペレータによる前記遠隔機器の前記操作部の操作によって前記複数のゲートのなかから1つの前記ゲートが選択され、この選択された前記ゲートに対応する前記遠隔制御部と前記遠隔機器との間で通信を行うよう構成された
請求項5に記載の搭乗橋の遠隔操作システム。
【請求項10】
入力操作が行われる操作部と情報を出力可能な情報出力部とを有する携帯通信端末にインストールされ、かつ、前記携帯通信端末を搭乗橋を遠隔制御する遠隔制御部と通信させる搭乗橋の遠隔操作用プログラムであって、
前記搭乗橋は、ターミナルビルのゲートに接続されたロタンダと、基端が前記ロタンダに接続され、長手方向に伸縮自在に構成されたトンネル部と、前記トンネル部の先端に設けられ、先端部が航空機の乗降部に装着されるキャブと、前記トンネル部または前記キャブに取り付けられて前記トンネル部及び前記キャブを昇降させる昇降装置と、前記昇降装置の下方に取り付けられて地面を走行する走行装置と、を備え、前記搭乗橋には、前記キャブに前記キャブの先端部の前方を撮影する第1の撮像装置が設けられるとともに、前記搭乗橋の内部を監視するための内部監視装置が設けられており、前記搭乗橋の内部には、前記搭乗橋の内部の人に遠隔操作に関する所定情報を報知する報知手段が設けられており、前記遠隔制御部は前記第1の撮像装置で撮影した映像情報及び前記内部監視装置の監視情報を取得するよう構成されており、
前記携帯通信端末に、
前記情報出力部に含まれる表示部に前記搭乗橋を遠隔操作するための操作画面を表示させる処理と、
前記表示部に表示される前記操作画面上でオペレータによる前記操作部の操作によって前記搭乗橋の動作指令の入力操作が行われたときに前記入力操作に応じた信号を前記遠隔制御部へ送信する処理と、
前記遠隔制御部から受信する前記第1の撮像装置で撮影した映像情報及び前記内部監視装置の監視情報を前記情報出力部から出力させる処理と、
を行わせるための搭乗橋の遠隔操作用プログラム。
【請求項11】
入力操作が行われる操作部と情報を出力可能な情報出力部とを有する携帯通信端末、及び、搭乗橋を遠隔制御する遠隔制御部との間で通信を行うサーバに記憶される搭乗橋の遠隔操作用プログラムであって、
前記搭乗橋は、ターミナルビルのゲートに接続されたロタンダと、基端が前記ロタンダに接続され、長手方向に伸縮自在に構成されたトンネル部と、前記トンネル部の先端に設けられ、先端部が航空機の乗降部に装着されるキャブと、前記トンネル部または前記キャブに取り付けられて前記トンネル部及び前記キャブを昇降させる昇降装置と、前記昇降装置の下方に取り付けられて地面を走行する走行装置と、を備え、前記搭乗橋には、前記キャブに前記キャブの先端部の前方を撮影する第1の撮像装置が設けられるとともに、前記搭乗橋の内部を監視するための内部監視装置が設けられており、前記搭乗橋の内部には、前記搭乗橋の内部の人に遠隔操作に関する所定情報を報知する報知手段が設けられており、前記遠隔制御部は前記第1の撮像装置で撮影した映像情報及び前記内部監視装置の監視情報を取得するよう構成されており、
前記サーバに、
前記携帯通信端末の前記情報出力部に含まれる表示部に前記搭乗橋を遠隔操作するための操作画面を表示させるための情報を前記携帯通信端末へ送信する処理と、
前記表示部に表示される前記操作画面上でオペレータによる前記操作部の操作によって前記搭乗橋の動作指令の入力操作が行われたときに前記入力操作に応じた信号を前記携帯通信端末から受信し、この受信した前記入力操作に応じた信号を前記遠隔制御部へ送信する処理と、
前記遠隔制御部から受信する前記第1の撮像装置で撮影した映像情報及び前記内部監視装置の監視情報を前記携帯通信端末へ送信する処理と、
を行わせるための搭乗橋の遠隔操作用プログラム。
【請求項12】
入力操作が行われる操作部と情報を出力可能な情報出力部とを有する携帯通信端末との間で通信を行い、かつ、搭乗橋を遠隔制御する遠隔制御部に記憶される搭乗橋の遠隔操作用プログラムであって、
前記搭乗橋は、ターミナルビルのゲートに接続されたロタンダと、基端が前記ロタンダに接続され、長手方向に伸縮自在に構成されたトンネル部と、前記トンネル部の先端に設けられ、先端部が航空機の乗降部に装着されるキャブと、前記トンネル部または前記キャブに取り付けられて前記トンネル部及び前記キャブを昇降させる昇降装置と、前記昇降装置の下方に取り付けられて地面を走行する走行装置と、を備え、前記搭乗橋には、前記キャブに前記キャブの先端部の前方を撮影する第1の撮像装置が設けられるとともに、前記搭乗橋の内部を監視するための内部監視装置が設けられており、前記搭乗橋の内部には、前記搭乗橋の内部の人に遠隔操作に関する所定情報を報知する報知手段が設けられており、前記遠隔制御部は前記第1の撮像装置で撮影した映像情報及び前記内部監視装置の監視情報を取得するよう構成されており、
前記遠隔制御部に、
前記携帯通信端末の前記情報出力部に含まれる表示部に前記搭乗橋を遠隔操作するための操作画面を表示させるための情報を前記携帯通信端末へ送信する処理と、
前記表示部に表示される前記操作画面上でオペレータによる前記操作部の操作によって前記搭乗橋の動作指令の入力操作が行われたときに前記入力操作に応じた信号を前記携帯通信端末から受信する処理と、
前記第1の撮像装置で撮影した映像情報及び前記内部監視装置の監視情報を前記携帯通信端末へ送信する処理と、
を行わせるための搭乗橋の遠隔操作用プログラム。
【請求項13】
ターミナルビルのゲートに接続されたロタンダと、
基端が前記ロタンダに接続され、長手方向に伸縮自在に構成されたトンネル部と、
前記トンネル部の先端に設けられ、先端部が航空機の乗降部に装着されるキャブと、
前記トンネル部または前記キャブに取り付けられて前記トンネル部及び前記キャブを昇降させる昇降装置と、
前記昇降装置の下方に取り付けられて地面を走行する走行装置と、を備えた搭乗橋を遠隔操作するための遠隔操作システムであって、
前記キャブに設けられ、前記キャブの先端部の前方を撮影する第1の撮像装置と、
前記搭乗橋の内部を監視するための内部監視装置と、
前記ゲートに対応して設けられており、オペレータによって前記搭乗橋の動作指令の入力操作が行われる操作部と入力される情報を出力可能な情報出力部とを有する遠隔機器と通信可能に構成され、前記遠隔機器の前記操作部への入力操作に応じた動作指令を前記搭乗橋に与えて前記搭乗橋を遠隔制御するとともに、前記第1の撮像装置で撮影した映像情報及び前記内部監視装置の監視情報を取得して前記遠隔機器へ出力する遠隔制御部と、
を備え、
前記搭乗橋は、オペレータによって前記走行装置及びその周辺に人がいないこと及び前記搭乗橋の内部に人がいないことを確認したことを示す確認操作が前記遠隔機器の前記操作部に行われた後で、動作を開始可能に構成された、
搭乗橋の遠隔操作システム。
【請求項14】
入力操作が行われる操作部と情報を出力可能な情報出力部とを有する携帯通信端末にインストールされ、かつ、前記携帯通信端末を搭乗橋を遠隔制御する遠隔制御部と通信させる搭乗橋の遠隔操作用プログラムであって、
前記搭乗橋は、ターミナルビルのゲートに接続されたロタンダと、基端が前記ロタンダに接続され、長手方向に伸縮自在に構成されたトンネル部と、前記トンネル部の先端に設けられ、先端部が航空機の乗降部に装着されるキャブと、前記トンネル部または前記キャブに取り付けられて前記トンネル部及び前記キャブを昇降させる昇降装置と、前記昇降装置の下方に取り付けられて地面を走行する走行装置と、を備え、前記搭乗橋には、前記キャブに前記キャブの先端部の前方を撮影する第1の撮像装置が設けられるとともに、前記搭乗橋の内部を監視するための内部監視装置が設けられており、前記遠隔制御部は前記第1の撮像装置で撮影した映像情報及び前記内部監視装置の監視情報を取得するよう構成されており、前記搭乗橋は、オペレータによって前記走行装置及びその周辺に人がいないこと及び前記搭乗橋の内部に人がいないことを確認したことを示す確認操作が前記携帯通信端末の前記操作部に行われた後で、動作を開始可能に構成されており、
前記携帯通信端末に、
前記情報出力部に含まれる表示部に前記搭乗橋を遠隔操作するための操作画面を表示させる処理と、
前記表示部に表示される前記操作画面上でオペレータによる前記操作部の操作によって前記確認操作が行われたときに前記確認操作に応じた信号を前記遠隔制御部へ送信する処理と、
前記表示部に表示される前記操作画面上でオペレータによる前記操作部の操作によって前記搭乗橋の動作指令の入力操作が行われたときに前記入力操作に応じた信号を前記遠隔制御部へ送信する処理と、
前記遠隔制御部から受信する前記第1の撮像装置で撮影した映像情報及び前記内部監視装置の監視情報を前記情報出力部から出力させる処理と、
を行わせるための搭乗橋の遠隔操作用プログラム。
【請求項15】
入力操作が行われる操作部と情報を出力可能な情報出力部とを有する携帯通信端末、及び、搭乗橋を遠隔制御する遠隔制御部との間で通信を行うサーバに記憶される搭乗橋の遠隔操作用プログラムであって、
前記搭乗橋は、ターミナルビルのゲートに接続されたロタンダと、基端が前記ロタンダに接続され、長手方向に伸縮自在に構成されたトンネル部と、前記トンネル部の先端に設けられ、先端部が航空機の乗降部に装着されるキャブと、前記トンネル部または前記キャブに取り付けられて前記トンネル部及び前記キャブを昇降させる昇降装置と、前記昇降装置の下方に取り付けられて地面を走行する走行装置と、を備え、前記搭乗橋には、前記キャブに前記キャブの先端部の前方を撮影する第1の撮像装置が設けられるとともに、前記搭乗橋の内部を監視するための内部監視装置が設けられており、前記遠隔制御部は前記第1の撮像装置で撮影した映像情報及び前記内部監視装置の監視情報を取得するよう構成されており、前記搭乗橋は、オペレータによって前記走行装置及びその周辺に人がいないこと及び前記搭乗橋の内部に人がいないことを確認したことを示す確認操作が前記携帯通信端末の前記操作部に行われた後で、動作を開始可能に構成されており、
前記サーバに、
前記携帯通信端末の前記情報出力部に含まれる表示部に前記搭乗橋を遠隔操作するための操作画面を表示させるための情報を前記携帯通信端末へ送信する処理と、
前記表示部に表示される前記操作画面上でオペレータによる前記操作部の操作によって前記確認操作が行われたときに前記確認操作に応じた信号を前記携帯通信端末から受信し、この受信した前記確認操作に応じた信号を前記遠隔制御部へ送信する処理と、
前記表示部に表示される前記操作画面上でオペレータによる前記操作部の操作によって前記搭乗橋の動作指令の入力操作が行われたときに前記入力操作に応じた信号を前記携帯通信端末から受信し、この受信した前記入力操作に応じた信号を前記遠隔制御部へ送信する処理と、
前記遠隔制御部から受信する前記第1の撮像装置で撮影した映像情報及び前記内部監視装置の監視情報を前記携帯通信端末へ送信する処理と、
を行わせるための搭乗橋の遠隔操作用プログラム。
【請求項16】
入力操作が行われる操作部と情報を出力可能な情報出力部とを有する携帯通信端末との間で通信を行い、かつ、搭乗橋を遠隔制御する遠隔制御部に記憶される搭乗橋の遠隔操作用プログラムであって、
前記搭乗橋は、ターミナルビルのゲートに接続されたロタンダと、基端が前記ロタンダに接続され、長手方向に伸縮自在に構成されたトンネル部と、前記トンネル部の先端に設けられ、先端部が航空機の乗降部に装着されるキャブと、前記トンネル部または前記キャブに取り付けられて前記トンネル部及び前記キャブを昇降させる昇降装置と、前記昇降装置の下方に取り付けられて地面を走行する走行装置と、を備え、前記搭乗橋には、前記キャブに前記キャブの先端部の前方を撮影する第1の撮像装置が設けられるとともに、前記搭乗橋の内部を監視するための内部監視装置が設けられており、前記遠隔制御部は前記第1の撮像装置で撮影した映像情報及び前記内部監視装置の監視情報を取得するよう構成されており、前記搭乗橋は、オペレータによって前記走行装置及びその周辺に人がいないこと及び前記搭乗橋の内部に人がいないことを確認したことを示す確認操作が前記携帯通信端末の前記操作部に行われた後で、動作を開始可能に構成されており、
前記遠隔制御部に、
前記携帯通信端末の前記情報出力部に含まれる表示部に前記搭乗橋を遠隔操作するための操作画面を表示させるための情報を前記携帯通信端末へ送信する処理と、
前記表示部に表示される前記操作画面上でオペレータによる前記操作部の操作によって前記確認操作が行われたときに前記確認操作に応じた信号を前記携帯通信端末から受信する処理と、
前記表示部に表示される前記操作画面上でオペレータによる前記操作部の操作によって前記搭乗橋の動作指令の入力操作が行われたときに前記入力操作に応じた信号を前記携帯通信端末から受信する処理と、
前記第1の撮像装置で撮影した映像情報及び前記内部監視装置の監視情報を前記携帯通信端末へ送信する処理と、
を行わせるための搭乗橋の遠隔操作用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搭乗橋の遠隔操作システムおよび遠隔操作用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
空港において、航空機に乗降する際には、ターミナルビルと航空機とを連結する搭乗橋がよく用いられる。
【0003】
特許文献1には、中央制御室において、遠隔集中制御による搭乗橋の自動運転の指示をすることができ、搭乗橋に外部を撮影する3台の監視カメラを設け、中央制御室において、監視カメラの映像をモニターテレビに映し出して監視できることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、搭乗橋の先端円形室に設けた操縦装置からリモコン操作盤を吊り下して、地上から操作できるようにした構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭58-188795号公報
【文献】実公平3-11120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1の構成の場合には、オペレータは、中央制御室にて搭乗橋の自動運転の指示を行う際に、モニターテレビでロタンダの下部に設けられた監視カメラの映像を見ることで搭乗橋の外部の作業者等の人の存否の確認を行うことができる。また、特許文献2の構成の場合には、オペレータは、地上にてリモコン操作盤を操作するので、目視によって搭乗橋の外部の作業者等の人の存否の確認を行うことができる。
【0007】
上記のように、特許文献1,2のいずれの場合も、搭乗橋を遠隔操作する際に、搭乗橋の外部の人の存否の確認を行うことができ、搭乗橋の外部の人との協調性を保つことはできているが、搭乗橋の内部の人の存否の確認までは行われていない。
【0008】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、人との協調性の向上を図って搭乗橋を遠隔操作することができる搭乗橋の遠隔操作システムおよび遠隔操作用プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のある態様に係る搭乗橋の遠隔操作システムは、ターミナルビルのゲートに接続されたロタンダと、基端が前記ロタンダに接続され、長手方向に伸縮自在に構成されたトンネル部と、前記トンネル部の先端に設けられ、先端部が航空機の乗降部に装着されるキャブと、前記トンネル部または前記キャブに取り付けられて前記トンネル部及び前記キャブを昇降させる昇降装置と、前記昇降装置の下方に取り付けられて地面を走行する走行装置と、を備えた搭乗橋を遠隔操作するための遠隔操作システムであって、
前記キャブに設けられ、前記キャブの先端部の前方を撮影する第1の撮像装置と、前記搭乗橋の内部の人の存否を監視するための内部監視装置と、前記ゲートに対応して設けられており、オペレータによって前記搭乗橋の動作指令の入力操作が行われる操作部と入力される情報を出力可能な情報出力部とを有する遠隔機器と通信可能に構成され、前記遠隔機器の前記操作部への入力操作に応じた動作指令を前記搭乗橋に与えて前記搭乗橋を遠隔制御するとともに、前記第1の撮像装置で撮影した映像情報及び前記内部監視装置の監視情報を取得して前記遠隔機器へ出力する遠隔制御部と、を備え、前記走行装置及びその周辺をオペレータが直接または間接的に視認可能な状態において、オペレータによる前記遠隔機器の前記操作部の操作が行われるよう構成されている。
【0010】
この構成によれば、走行装置及びその周辺をオペレータが直接または間接的に視認可能な状態において、搭乗橋の遠隔操作が行われるので、搭乗橋の動作に不都合な(支障がでる)外部の人の存否の確認を行うことができ、搭乗橋の外部の人との協調性を保つことができる。さらに、遠隔機器で内部監視装置の監視情報を取得できるので、搭乗橋の内部の人の存否の確認を行うことができ、搭乗橋の内部の人との協調性を保つことができる。よって、人との協調性の向上を図って搭乗橋を遠隔操作することができる。また、第1の撮像装置で撮影されるキャブの先端部の前方の航空機の映像情報が遠隔機器の情報出力部から出力されることにより、オペレータは航空機の乗降部の映像を見て搭乗橋の遠隔操作を行うことができる。
【0011】
前記内部監視装置は、前記搭乗橋の内部を撮影する第2の撮像装置を有し、この撮影した映像情報が前記監視情報であるようにしてもよい。
【0012】
この構成によれば、第2の撮像装置で撮影される搭乗橋の内部の映像情報が遠隔機器の情報出力部から出力されることにより、オペレータは搭乗橋の内部の人の存否等を監視しながら搭乗橋を遠隔操作することができる。
【0013】
前記内部監視装置は、前記搭乗橋の内部の所定領域における人の存否を検出するセンサを有し、この検出結果が前記監視情報であるようにしてもよい。
【0014】
この構成によれば、センサの検出結果が遠隔機器の情報出力部から出力されることにより、オペレータは搭乗橋の内部の人の存否を把握しながら搭乗橋を遠隔操作することができる。
【0015】
前記搭乗橋の内部に設けられ、前記搭乗橋の内部の人に遠隔操作に関する所定情報を報知する報知手段をさらに備えていてもよい。
【0016】
この構成によれば、搭乗橋の内部の人に、遠隔操作に関する注意喚起や退避を促すための情報を報知することができる。
【0017】
前記走行装置及びその周辺を撮影する第3の撮像装置をさらに備え、前記遠隔制御部は、前記第3の撮像装置で撮影した映像情報を取得して前記遠隔機器へ出力するよう構成されていてもよい。
【0018】
この構成によれば、第3の撮像装置で撮影される走行装置及びその周辺の映像情報が遠隔機器の情報出力部から出力されることにより、オペレータは走行装置及びその周辺を目視できない場所にいても、走行装置及びその周辺を間接的に視認することができるので、走行装置及びその周辺の人の存否等を監視しながら搭乗橋を遠隔操作することができる。
【0019】
前記遠隔機器は、前記ロタンダの下方に配置されていてもよい。
【0020】
この構成によれば、オペレータは、走行装置及びその周辺を目視(直接視認)することができるので、走行装置及びその周辺の人の存否等を監視しながら搭乗橋を遠隔操作することができる。また、オペレータは、広い範囲で搭乗橋の外部を監視することができる。
【0021】
前記ロタンダの下方に配置され、前記搭乗橋が動作中に前記搭乗橋を非常停止させるための非常停止スイッチをさらに備えていてもよい。
【0022】
この構成によれば、搭乗橋の遠隔操作を行っているときに、搭乗橋等に何らかの異常があった場合には、非常停止スイッチを操作して搭乗橋を非常停止させることができる。
【0023】
前記遠隔機器は、携帯通信端末であってもよい。例えば、市販のタブレットやスマートフォン等の携帯通信端末を遠隔機器として用いることができる。
【0024】
前記ターミナルビルに複数の前記ゲートが設けられ、オペレータによる前記遠隔機器の前記操作部の操作によって前記複数のゲートのなかから1つの前記ゲートが選択され、この選択された前記ゲートに対応する前記遠隔制御部と前記遠隔機器との間で通信を行うよう構成されていてもよい。
【0025】
この構成によれば、例えば、ターミナルビルに設けられた中央監視室にいるオペレータが遠隔機器を操作して所望のゲートを選択し、そのゲートに接続された搭乗橋を遠隔操作することができる。
【0026】
また、本発明のある態様に係る搭乗橋の遠隔操作用プログラムは、入力操作が行われる操作部と情報を出力可能な情報出力部とを有する携帯通信端末にインストールされ、かつ、前記携帯通信端末を搭乗橋を遠隔制御する遠隔制御部と通信させる搭乗橋の遠隔操作用プログラムであって、
前記搭乗橋は、ターミナルビルのゲートに接続されたロタンダと、基端が前記ロタンダに接続され、長手方向に伸縮自在に構成されたトンネル部と、前記トンネル部の先端に設けられ、先端部が航空機の乗降部に装着されるキャブと、前記トンネル部または前記キャブに取り付けられて前記トンネル部及び前記キャブを昇降させる昇降装置と、前記昇降装置の下方に取り付けられて地面を走行する走行装置と、を備え、前記搭乗橋には、前記キャブに前記キャブの先端部の前方を撮影する第1の撮像装置が設けられるとともに、前記搭乗橋の内部の人の存否を監視するための内部監視装置が設けられており、前記遠隔制御部は前記第1の撮像装置で撮影した映像情報及び前記内部監視装置の監視情報を取得するよう構成されており、
前記携帯通信端末に、前記情報出力部に含まれる表示部に前記搭乗橋を遠隔操作するための操作画面を表示させる処理と、前記表示部に表示される前記操作画面上でオペレータによる前記操作部の操作によって前記搭乗橋の動作指令の入力操作が行われたときに前記入力操作に応じた信号を前記遠隔制御部へ送信する処理と、前記遠隔制御部から受信する前記第1の撮像装置で撮影した映像情報及び前記内部監視装置の監視情報を前記情報出力部から出力させる処理と、を行わせるための搭乗橋の遠隔操作用プログラムである。
【0027】
この遠隔操作用プログラムを、市販のタブレットやスマートフォン等の携帯通信端末にインストールすることで、携帯通信端末を用いて搭乗橋を遠隔操作することができる。
【0028】
また、本発明の他の態様に係る搭乗橋の遠隔操作用プログラムは、入力操作が行われる操作部と情報を出力可能な情報出力部とを有する携帯通信端末、及び、搭乗橋を遠隔制御する遠隔制御部との間で通信を行うサーバに記憶される搭乗橋の遠隔操作用プログラムであって、
前記搭乗橋は、ターミナルビルのゲートに接続されたロタンダと、基端が前記ロタンダに接続され、長手方向に伸縮自在に構成されたトンネル部と、前記トンネル部の先端に設けられ、先端部が航空機の乗降部に装着されるキャブと、前記トンネル部または前記キャブに取り付けられて前記トンネル部及び前記キャブを昇降させる昇降装置と、前記昇降装置の下方に取り付けられて地面を走行する走行装置と、を備え、前記搭乗橋には、前記キャブに前記キャブの先端部の前方を撮影する第1の撮像装置が設けられるとともに、前記搭乗橋の内部の人の存否を監視するための内部監視装置が設けられており、前記遠隔制御部は前記第1の撮像装置で撮影した映像情報及び前記内部監視装置の監視情報を取得するよう構成されており、
前記サーバに、前記携帯通信端末の前記情報出力部に含まれる表示部に前記搭乗橋を遠隔操作するための操作画面を表示させるための情報を前記携帯通信端末へ送信する処理と、前記表示部に表示される前記操作画面上でオペレータによる前記操作部の操作によって前記搭乗橋の動作指令の入力操作が行われたときに前記入力操作に応じた信号を前記携帯通信端末から受信し、この受信した前記入力操作に応じた信号を前記遠隔制御部へ送信する処理と、前記遠隔制御部から受信する前記第1の撮像装置で撮影した映像情報及び前記内部監視装置の監視情報を前記携帯通信端末へ送信する処理と、を行わせるための搭乗橋の遠隔操作用プログラムである。
【0029】
この構成によれば、市販のタブレットやスマートフォン等の携帯通信端末を用いて、サーバが提供する、例えば搭乗橋の遠隔操作用のウェブサイトにアクセスし、搭乗橋を遠隔操作することができる。
【0030】
また、本発明の別の他の態様に係る搭乗橋の遠隔操作用プログラムは、入力操作が行われる操作部と情報を出力可能な情報出力部とを有する携帯通信端末との間で通信を行い、かつ、搭乗橋を遠隔制御する遠隔制御部に記憶される搭乗橋の遠隔操作用プログラムであって、
前記搭乗橋は、ターミナルビルのゲートに接続されたロタンダと、基端が前記ロタンダに接続され、長手方向に伸縮自在に構成されたトンネル部と、前記トンネル部の先端に設けられ、先端部が航空機の乗降部に装着されるキャブと、前記トンネル部または前記キャブに取り付けられて前記トンネル部及び前記キャブを昇降させる昇降装置と、前記昇降装置の下方に取り付けられて地面を走行する走行装置と、を備え、前記搭乗橋には、前記キャブに前記キャブの先端部の前方を撮影する第1の撮像装置が設けられるとともに、前記搭乗橋の内部の人の存否を監視するための内部監視装置が設けられており、前記遠隔制御部は前記第1の撮像装置で撮影した映像情報及び前記内部監視装置の監視情報を取得するよう構成されており、
前記遠隔制御部に、前記携帯通信端末の前記情報出力部に含まれる表示部に前記搭乗橋を遠隔操作するための操作画面を表示させるための情報を前記携帯通信端末へ送信する処理と、前記表示部に表示される前記操作画面上でオペレータによる前記操作部の操作によって前記搭乗橋の動作指令の入力操作が行われたときに前記入力操作に応じた信号を前記携帯通信端末から受信する処理と、前記第1の撮像装置で撮影した映像情報及び前記内部監視装置の監視情報を前記携帯通信端末へ送信する処理と、を行わせるための搭乗橋の遠隔操作用プログラムである。
【0031】
この構成によれば、市販のタブレットやスマートフォン等の携帯通信端末から遠隔制御部にアクセスし、搭乗橋を遠隔操作することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、以上に説明した構成を有し、人との協調性の向上を図って搭乗橋を遠隔操作することができる搭乗橋の遠隔操作システムを提供することができるという効果を奏する。
【0033】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、本実施形態に係る搭乗橋の遠隔操作システムによって操作される2つの搭乗橋の一例を示す概略平面図である。
図2図2は、本実施形態に係る搭乗橋の一例を示す概略側面図である。
図3図3は、搭乗橋を上方から見た概略平面図である。
図4図4は、航空機に装着されるキャブの先端部分を航空機側から視た図である。
図5図5は、搭乗橋の制御装置と各部との接続関係の概要を示すブロック図である。
図6図6は、2つの搭乗橋についての遠隔操作システムの一例を示すブロック図である。
図7図7は、本実施形態における遠隔操作システムにおいて自動制御によってキャブを航空機へ装着する時の操作及び動作の概略の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、本実施形態における遠隔操作システムにおいて手動制御によってキャブを航空機へ装着する時の操作及び動作の概略の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、携帯通信端末及び遠隔操作システム用のサーバを用いる場合の要部のブロック図である。
図10図10は、中央監視室に遠隔機器が設置されている場合の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状及び寸法比等については正確な表示ではない場合がある。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0036】
(実施形態)
図1は、本実施形態に係る搭乗橋の遠隔操作システムによって操作される2つの搭乗橋の一例を示す概略平面図である。
【0037】
図1に示す2つの搭乗橋1A,1Bは、ターミナルビルの1つのゲート2に設けられた2つの乗降口2a,2bに設置されており、各キャブ6の先端部6aが航空機の乗降部(ドア部分)に取り付けられるものである。なお、2つの搭乗橋1A,1Bは基本的には同一の構成であり、互いに対応する部分には、同一符号を付して説明する。また、特に区別しない場合には、搭乗橋1という。
【0038】
図2は、本実施形態に係る搭乗橋1の一例を示す概略側面図である。この図2では、トンネル部5の全長が伸びた状態が示されている。
【0039】
以下、便宜上、搭乗橋1のトンネル部5の全長が伸縮する方向を前後方向とし、搭乗橋1に重力が作用する方向を上下方向とし、搭乗橋1の幅方向(前後方向および上下方向に直交する方向)を左右方向として説明する。また、図2に示すように、搭乗橋1において、航空機100側を「前」とし、ターミナルビルのゲート2側を「後」として説明する。
【0040】
また、図3は、搭乗橋1を上方から見た概略平面図である。この図3では、トンネル部5の全長が収縮した状態が示されている。また、図4は、航空機に装着されるキャブ6の先端部分を前方(航空機側)から視た図である。
【0041】
本実施形態の搭乗橋1は、ターミナルビルのゲート2の乗降口(2a,2b)に接続されたロタンダ(後方円形室)4と、基端がロタンダ4に接続されて先端が昇降するように上下方向に揺動可能なトンネル部5と、トンネル部5の先端に設けられたキャブ(前方円形室)6と、トンネル部5の先端寄りでトンネル部5を支持するドライブコラム9と、補助階段STと、を備えている。補助階段STは、トンネル部5の内部とエプロンEPの地面とを連絡するように、トンネル部5のサイドに設けられている。補助階段STは、オペレータ等がキャブ6に出入りするのに使用される。
【0042】
ロタンダ4は、支柱3によって所定の回転軸線4C(鉛直線)の周りに正逆回転自在に支持されている。
【0043】
トンネル部5は、乗客の歩行通路を形成し、筒状体の複数のトンネル5a,5bが入れ子式に嵌合されて長手方向に伸縮自在に構成されている。ここでは、2つのトンネル5a,5bによって構成されたトンネル部5が例示されているが、トンネル部5は2つ以上の複数のトンネルによって構成されていればよい。また、トンネル部5の基端部は、ロタンダ4に俯仰自在(上下に揺動自在)に接続されている。
【0044】
また、トンネル部5の先端寄り部分(最も先端側のトンネル5b)には、支持脚としてドライブコラム9が設けられている。なお、ドライブコラム9は、トンネル5bではなくキャブ6に設けられてあってもよい。
【0045】
ドライブコラム9には、キャブ6及びトンネル部5を昇降させる昇降装置10が設けられている。この昇降装置10によってトンネル部5を昇降させることにより、キャブ6及びトンネル部5は、ロタンダ4を基点として上下方向に揺動運動することができる。
【0046】
また、ドライブコラム9には、昇降装置10の下方に、個々に独立して回転駆動可能である一対の走行車輪12を有する走行装置11が設けられている。走行装置11は、2つの走行車輪12の回転駆動によって前進走行及び後退走行が可能で、かつ、走行方向を変更可能に構成されている。走行装置11(走行車輪12)がエプロンEPの地面を走行することにより、トンネル部5をロタンダ4のまわりに回転させるとともにトンネル部5を伸縮させることができる。
【0047】
キャブ6は、トンネル部5の先端に設けられており、キャブ回転装置60(図5)によってキャブ6の床面に垂直な回転軸線6Cの周りに正逆回転可能に構成されている。
【0048】
キャブ6は、トンネル部5の歩行通路とつながる通路を備え、先端部分にクロージャ7を備える。クロージャ7は、前後方向に展開及び収縮可能な蛇腹部を備え、キャブ6の先端部6aを航空機100の乗降部101に装着した後、蛇腹部を前方へ展開することにより、蛇腹部の前端部を航空機100の乗降部101の周囲に当接できる。
【0049】
また、図4に示すように、航空機100に装着されるキャブ6の床61の先端にはバンパー62が設けられ、このバンパー62の左右方向に並んで、キャブ6と航空機100との間の距離を計測する距離センサ63(例えばレーザー距離計)が複数(この例では2つ)取り付けられている。なお、距離センサ63の設置位置は、適宜変更可能であり、例えば、キャブ6の床61の上に配置されていてもよい。
【0050】
また、図4に示すように、キャブ6の先端部分の奥まった位置にキャブ6の先端部6aの前方を撮影するカメラC5,C6(第1の撮像装置)が設置されている。これらのカメラC5,C6は、航空機100の乗降部101を撮影するために設けられ、互いに離れて配置されて航空機100の乗降部101を撮影できれば、設置位置は適宜変更してもよい。また、キャブ6の先端部6aを航空機100に装着する際等に、キャブ6の先端部6aと航空機100との間の隙間部分を撮影するためのカメラC7が、キャブ6の先端部分の側壁の上方に設置されている。
【0051】
また、図2図3に示すように、搭乗橋1の内部には、内部の人を検知するセンサである複数の人感センサ20と、報知手段の一例として放送設備であるアナウンス用の内部スピーカ23とが設置されている。
【0052】
人感センサ20は、内部監視装置の一例であり、搭乗橋1の内部の所定の人検出領域にいる人を検知するためのものであり、例えば、ロタンダ4,トンネル5b及びキャブ6の天井に設置されている。この人感センサ20の設置場所及び設置個数は、適宜変更されてもよい。
【0053】
また、内部スピーカ23は、図2に示すように、例えば、ロタンダ4及びキャブ6の天井に設置されている。搭乗橋1の全ての内部領域にいる人に内部スピーカ23からのアナウンスが聞こえればよく、内部スピーカ23の設置場所及び設置個数は、適宜変更されてもよい。
【0054】
また、搭乗橋1の内部には、内部監視装置の一例として搭乗橋1の内部を撮影するためのカメラC2,C3(第2の撮像装置)が設けられている。一方のカメラC2は、ロタンダ4の天井付近に、ロタンダ4側からキャブ6側に向けて設置され、主にトンネル部5の内部を撮影することができる。他方のカメラC3は、トンネル部5の先端側の天井付近に、キャブ6側からロタンダ4側に向けて設置され、主にトンネル部5の内部を撮影することができる。なお、内部監視装置の一例であるカメラとしては、カメラC2,C3の他、図示しないがトンネル部5の先端側の天井付近またはキャブ6の天井付近に、キャブ6内に向けて設置され、主にキャブ6の内部を撮影することができるカメラが設けられていてもよい。
【0055】
また、搭乗橋1の外部には、外部の人を検知するセンサであるレーザスキャナ21(21a,21b)と、外部報知手段として放送設備であるアナウンス用の外部スピーカ24とが設置されている。
【0056】
レーザスキャナ21a,21bは、走行装置11付近にいる人を検知するためのものである。例えば矩形枠状の支持部材15が走行装置11に水平に取り付けられ、この支持部材15の互いに向かいあうコーナ付近にレーザスキャナ21a,21bが設置されている。各レーザスキャナ21a,21bの検知範囲の角度は270度であり、2つのレーザスキャナ21a,21bによって走行装置11の水平方向全周囲において、人の検知が可能なように構成されている。また、走行装置11からの距離が一定距離以内にいる人を検知できるように、各レーザスキャナ21a,21bの検知可能領域が予め設定されている。
【0057】
また、外部スピーカ24は、例えば、ドライブコラム9の走行装置11あるいはその近傍のトンネル5bの下面側に設置されている。走行装置11付近のエプロンEPにいる人に外部スピーカ24からのアナウンスが聞こえればよく、外部スピーカ24の設置場所及び設置個数は、適宜変更されてもよい。
【0058】
また、搭乗橋1の外部には、カメラC1,C4が設けられている。カメラC1(第3の撮像装置)は、ロタンダ4の下方に設置され、ロタンダ4及びトンネル部5とともにロタンダ4を中心に回転し、走行装置11及びその周辺を常時撮影することができる。このように走行装置11及びその周辺を常時撮影するカメラC1は複数設けられてあってもよい。また、カメラC4は、ドライブコラム9の上部に設置され、キャブ6の上部及び航空機100を撮影することができる。
【0059】
また、搭乗橋1のキャブ6内には、操作装置32及び表示装置33を備えた操作盤31(図3図4)が設置されている。操作装置32には、各種操作スイッチおよび操作レバー等が備えられており、これらを用いて、オペレータが個々の搭乗橋1を直接操作することができる。
【0060】
図5は、搭乗橋1の制御装置と各部との接続関係の概要を示すブロック図である。また、図6は、2つの搭乗橋1についての遠隔操作システムの一例を示すブロック図である。
【0061】
搭乗橋1には、ロタンダ4及びトンネル部5の回転角度α(図1)を検出する第1角度センサ71と、キャブ6の回転角度ω(図1)を検出する第2角度センサ72と、トンネル長さセンサ73と、昇降装置10の昇降量を検出する昇降センサ74などが、適宜な位置に設けられている。トンネル長さセンサ73は、例えば、トンネル部5の長さを測定する距離計等で構成され、その測定値からロタンダ・キャブ中心間距離LA(図1)等を算出することができる。
【0062】
なお、図1に示すように、本例の搭乗橋1では、ロタンダ4がトンネル部5とともに回転するように構成されているが、ロタンダ4が固定された状態で、トンネル部5が回転軸線4Cを中心としてロタンダ4のまわりに回転するよう構成されてあってもよい。いずれの構成の場合も、トンネル部5が回転軸線4Cを中心に回転し、回転角度αは、各ロタンダ4が接続された乗降口(2a,2b)の端面の平行線に対してトンネル部5の中心線5CLがなす角度であり、ロタンダ4を通る所定の回転軸線4Cまわりのトンネル部5の回転角度であると言える。
【0063】
また、本例の搭乗橋1では、トンネル部5に対してキャブ6全体が回転するよう構成されているが、航空機100に装着されるクロージャ7及びキャブ6の先端部6aを含む先端部分のみが回転軸線6Cを中心として回転するよう構成されてあってもよい。いずれの構成の場合も、キャブ6の回転角度ωは、各トンネル部5の中心線5CLに対してキャブ6の回転軸線6Cと先端部6aの所定位置6Pとを結ぶ直線6CLがなす角度であり、キャブ6を通る所定の回転軸線6Cまわりのキャブ6の先端部6aの回転角度であると言える。
【0064】
制御装置50は、例えば、キャブ6(図4に例示)または最も先端側のトンネル5b等に配置されている。制御装置50は、制御機能を有するものであれば、どのような構成でもよい。制御装置50は、例えば、CPU等の演算部と、ROM、RAM等の記憶部とを有している。記憶部には、搭乗橋1の各部を動作させるための制御プログラム及び当該動作に必要な情報が予め記憶されている。演算部(CPU)が制御プログラムを実行することにより、搭乗橋1のキャブ回転装置60、クロージャ7、昇降装置10、及び走行装置11等の各部の動作を制御することができる。搭乗橋1の動作中に記憶される情報も上記記憶部に記憶される。また、制御装置50は、この搭乗橋1の外部装置である遠隔用制御装置80(遠隔制御部)と相互に通信可能に構成されている。この通信は無線及び/又は有線で行われてもよく、通信装置が別途設けられていてもよい。なお、制御装置50は、集中制御する単独の制御装置によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置によって構成されていてもよい。
【0065】
制御装置50には、操作装置32の操作に基づく動作指令等の情報(操作情報)が入力される。制御装置50は、操作装置32の操作に基づいて、搭乗橋1の各部の動作を制御することができる。また、制御装置50は、表示装置33に表示される情報等を出力する。
【0066】
制御装置50には、各センサ20,63,71~74及びレーザスキャナ21からの出力信号が入力される。また、制御装置50には、各カメラC1~C7からの撮影画像データが入力される。制御装置50は、各カメラC1~C7の撮影画像を表示装置33に表示させることができる。また、制御装置50は、必要に応じて内部スピーカ23及び外部スピーカ24に所定のアナウンスを行わせる(音声出力させる)ことができる。アナウンスの内容は、それに応じた音声ファイルを予め記憶部に記憶している。
【0067】
図6に示すように、同一ゲート2に設置された搭乗橋1A,1Bの各制御装置50は、前述のように遠隔用制御装置80と相互に通信可能に構成されている。遠隔用制御装置80は、遠隔機器81と接続されており、遠隔機器81と通信可能である。遠隔用制御装置80及び遠隔機器81は、例えば、図2に示すように、同一ゲート2に設置されたいずれか1つの搭乗橋1のロタンダ4の下方に設けられている。
【0068】
遠隔機器81は、操作装置82(操作部)と、表示装置83と、カメラ用表示装置84と、非常停止スイッチ85と、スピーカ等を有する音声出力装置86とを備えている。非常停止スイッチ85は、操作装置82に備えられていてもよいし、ロタンダ4の支柱3やゲート側建屋などの他の遠隔機器81とは別の位置に配置されてあってもよい。なお、表示装置83にタッチパッドやタッチパネルディスプレイを備え、操作装置82の一部または全部の機能が表示装置83と一体化されて構成されてあってもよい。
【0069】
遠隔用制御装置80は、操作装置82及び非常停止スイッチ85からの信号を入力し、表示装置83とカメラ用表示装置84と音声出力装置86とを制御する制御部と、この制御部と各制御装置50との間の通信を行う通信部とを有している。
【0070】
操作装置82は、搭乗橋1の操作装置32と略同様の構成である。よって、この搭乗橋1では、オペレータがキャブ6内に入って操作装置32を用いて搭乗橋1を直接操作することができるとともに、オペレータが遠隔機器81の操作装置82を用いて遠隔操作対象とする搭乗橋1を選択し、この選択した搭乗橋1を遠隔操作することができる。そして、手動制御の場合、オペレータは、搭乗橋1の各部を動作させるように操作装置32または操作装置82を操作して、搭乗橋1を待機位置から移動させて航空機100の乗降部101に装着することができる。また、自動制御の場合、オペレータは、操作装置32,82に備えられた自動装着開始ボタンを押すことにより、搭乗橋1を待機位置から移動させて航空機100の乗降部101に装着することができる。なお、待機位置は、航空機100がエプロンに到着していないときに搭乗橋1が待機している所定の位置である。また、搭乗橋1を航空機100の乗降部101に装着した状態から離脱させる場合には、オペレータは、操作装置32,82に備えられた自動離脱開始ボタンを押すことによって、自動制御によって搭乗橋1を所定の待機位置へ戻すことができる。
【0071】
遠隔用制御装置80と遠隔操作対象の搭乗橋1の制御装置50とは、遠隔操作する際に必要な情報等を送受信する。例えば、遠隔用制御装置80は、搭乗橋1を遠隔操作するために必要な操作装置82の操作情報(自動装着開始信号など)を、遠隔操作対象の搭乗橋1の制御装置50へ送信する。また、遠隔操作対象の搭乗橋1の制御装置50は、カメラC1~C7の撮影画像データをリアルタイムで遠隔用制御装置80へ送信する。
【0072】
カメラ用表示装置84は、遠隔操作対象の搭乗橋1のカメラC1~C7の撮影画像データを取得し、カメラC1~C7の撮影画像をリアルタイムで表示することができる。表示方法は、画面分割によって複数のカメラの撮影画像を同時に表示できるようにしてもよいし、カメラを選択して切替え表示できるようにしてもよい。
【0073】
また、遠隔用制御装置80は、遠隔操作対象の搭乗橋1の制御装置50から、その搭乗橋1の表示装置33で表示する搭乗橋1の所定部位(キャブ6の先端部6aの所定位置6P、走行装置11の中心位置など)の現在の位置情報を取得し、表示装置83に表示させることができる。なお、各搭乗橋1の制御装置50は、例えば、ロタンダ4の回転軸線4CとエプロンEPの平面との交点を原点とする3次元直交座標系を用いて、リアルタイムで搭乗橋1の所定部位の位置(3次元位置座標)を把握している。制御装置50は、搭乗橋1の所定部位の位置を、第1角度センサ71、第2角度センサ72、トンネル長さセンサ73及び昇降センサ74の検出値等に基づいて算出するよう構成されている。
【0074】
次に、搭乗橋1の動作の一例について説明する。
航空機100がエプロン上の所定の停止位置を目標にして停止した後、搭乗橋1が航空機100の乗降部101に装着される際には、例えば、キャブ6が待機位置から一時停止位置へ移動し、その後、装着位置へ移動することによりキャブ6が乗降部101に装着される。そして、キャブ6が乗降部101から離脱したときには待機位置に戻って停止し、次の航空機の乗降部への装着動作が開始されるまで、待機位置で待機している。なお、キャブ6が航空機100から離脱して待機位置へ戻る際に、走行装置11の目標とする位置(位置座標)は、予め制御装置50に記憶されている。
【0075】
次に、搭乗橋1を遠隔操作する際の自動制御の場合の手順と、手動制御の場合の手順とについて説明する。
【0076】
〔自動制御〕
まず、搭乗橋1が自動制御される場合について説明する。自動制御によってキャブ6を待機位置から移動させて、キャブ6の先端部6aを航空機100の乗降部101に装着する場合、制御装置50は、例えば、キャブ6の先端部分に設置されたカメラC5,C6で乗降部101を撮影し、これらの撮影画像等から乗降部101の3次元位置を把握し、キャブ6の先端部6aが乗降部101に装着される位置(装着位置)を算出し、この装着位置へキャブ6の先端部6aを移動させるように、走行装置11,昇降装置10及びキャブ回転装置60を制御する。また、必要に応じてさらに距離センサ63の検出値も用いて乗降部101の位置を把握してもよい。
【0077】
図7は、本実施形態における遠隔操作システムにおいて自動制御によってキャブ6を待機位置から移動させて航空機100へ装着する時の操作及び動作の概略の一例を示すフローチャートである。
【0078】
図7では、オペレータによる遠隔機器81の操作装置82の操作の手順、遠隔用制御装置80の動作の手順、及び、遠隔操作対象の搭乗橋1の制御装置50の動作の手順の一例の概略を示している。なお、人感センサ20は、その検知範囲を設定することができる。ロタンダ4内に設置されている人感センサ20は、ゲート2側から搭乗橋1へ入ってくる人を検知することができる。トンネル部5のトンネル5bの先端寄りに設置されている人感センサ20は、例えば補助階段STからトンネル5bへ入ってくる人を検知することができる。キャブ6内に設置されている人感センサ20は、キャブ6内の所定の人検出領域にいる人を検知するためのものであり、ここでは、操作盤31付近の所定領域を人検出領域としないように、検知範囲が設定されている。例えば、搭乗橋1のキャブ6に人が乗り込んでいれば、キャブ6を航空機100の乗降部101に装着した後、航空機100のドアをすぐに開けることができる。そこで、ドアを開ける人が操作盤31付近の所定領域にいることで、検知されないようにしている。なお、キャブ6内の人感センサ20が操作盤31付近の人も検知するようにして、操作盤31付近の所定領域にマットスイッチを配置し、キャブ6内の人感センサ20とマットスイッチとの両方で人が検知されている場合には、人検出領域に人が検知されていないと判定するようにしてもよい。
【0079】
まず、オペレータは、ステップS1で、操作装置82を操作して搭乗橋1の遠隔操作モードの設定操作を行う。このとき、本例のように、ゲート2に複数の搭乗橋1が設置されている場合には、遠隔操作の対象とする搭乗橋1を選択し、遠隔操作モードの設定操作を行う。ここで、オペレータは、航空機100に乗降部101が1つしかない場合には、いずれか1つの搭乗橋1を選択し、乗降部101が2つある場合には、2つの搭乗橋1を選択してもよい。なお、航空機によっては乗降部101が3つある場合もあり、そのような航空機に対応して、1つのゲートに3つの搭乗橋1が設置されている場合がある。このような場合、到着した航空機の乗降部101の個数に応じて選択する搭乗橋1の個数を決めればよい。また、1つのゲートに搭乗橋1が1つしか設置されていない場合もあり、このような場合は、搭乗橋1の選択操作を行う必要がなく、遠隔操作モードの設定操作だけを行えばよい。
【0080】
なお、本例の搭乗橋1は、オペレータが搭乗橋1の操作装置32を操作して当該搭乗橋1を動作させる直接操作モードと、遠隔機器81の操作装置82を操作して搭乗橋1を動作させる遠隔操作モードとを有する。各搭乗橋1の操作装置32及び遠隔機器81の操作装置82の操作により、遠隔操作モードと直接操作モードとを切り替えることができる。例えば、操作装置32,82には、遠隔操作モードと直接操作モードとを択一的に設定するモード設定ボタンを備えている。このモード設定ボタンを操作して遠隔操作モードを設定することができる。また、操作装置82には、遠隔操作モードを設定する際に、各搭乗橋1(1A,1B)の選択ボタンが設けられており、いずれか1つの搭乗橋1を選択することもできるし、2つの搭乗橋1を同時に選択することもできる。また、搭乗橋1が例えば3つ設置されたゲートの場合には、いずれか1つの搭乗橋を選択することもできるし、2つまたは3つの搭乗橋を同時に選択することができる。
【0081】
ステップS1でオペレータが遠隔操作対象の搭乗橋1の選択操作及び遠隔操作モードの設定操作を行うと、その操作信号が遠隔用制御装置80に入力される。すると、遠隔用制御装置80は、ステップS11で遠隔操作対象の搭乗橋1の制御装置50へ遠隔操作モード信号を送信する。この遠隔操作モード信号を受信した制御装置50では、遠隔操作モードに設定され(ステップS21)、制御装置50は、表示装置33に遠隔操作モードであることを表示させる。また、遠隔用制御装置80は、ステップS1での操作による操作信号を入力すると、表示装置83に遠隔操作対象の搭乗橋1を示す記号あるいは呼び名と遠隔操作モードであることとを表示させる。
【0082】
制御装置50は、ステップS21で遠隔操作モードに設定されると、人感センサ20、レーザスキャナ21及びカメラC1~C7を起動する。そして、カメラC1~C7からリアルタイムで撮影される映像情報を取得し、遠隔用制御装置80への送信を開始する(ステップS22)。遠隔用制御装置80では、カメラ用表示装置84に、受信したカメラ映像の表示を開始させる(ステップS12)。
【0083】
次に、オペレータは、搭乗橋1の走行装置11及びその周辺を目視して、走行装置11の周辺の人の有無を判断し、人がいない場合には、操作装置82の外部確認ボタンを押す(ステップS2)。これにより操作装置82から遠隔用制御装置80に外部確認信号が入力される(ステップS13)。上記のステップS2で、オペレータは、走行装置11及びその周辺を撮影するカメラC1の映像を見て、人の有無を判断してもよいし、走行装置11及びその周辺を目視するとともにカメラC1の映像を見て、人の有無を判断してもよい。また、走行装置11の周辺に人がいる場合には、オペレータが操作装置82に備えられた遠隔操作開始の外部アナウンスボタンを押す。すると、その操作信号が遠隔用制御装置80から制御装置50へ送信され、制御装置50は、外部スピーカ24に搭乗橋の遠隔操作を開始する旨等をアナウンスさせて遠隔操作に関する注意喚起や退避を促す。なお、制御装置50または遠隔用制御装置80に画像認識機能をもたせておいて、制御装置50または遠隔用制御装置80が、カメラC1の映像情報から搭乗橋1の走行装置11の周辺の人の有無を判断するようにしてもよい。
【0084】
また、オペレータは、カメラ用表示装置84に表示される搭乗橋内部のカメラC2,C3の映像を見て、搭乗橋1内部の人の有無を判断し、人がいない場合には、操作装置82の内部確認ボタンを押す(ステップS3)。これにより操作装置82から遠隔用制御装置80に内部確認信号が入力される(ステップS14)。また、人がいる場合には、オペレータが操作装置82に備えられた遠隔操作開始の内部アナウンスボタンを押す。すると、その操作信号が遠隔用制御装置80から制御装置50へ送信され、制御装置50は、内部スピーカ23に搭乗橋の遠隔操作を開始する旨等をアナウンスさせて遠隔操作に関する注意喚起や退避を促す。なお、制御装置50または遠隔用制御装置80に画像認識機能をもたせておいて、制御装置50または遠隔用制御装置80が、カメラC2,C3の映像情報から搭乗橋1内部の人の有無を判断するようにしてもよい。
【0085】
次に、ステップS4で、オペレータが操作装置82に備えられた自動装着開始ボタンを押す。この操作信号を入力すると、遠隔用制御装置80は、すでに内部確認信号と外部確認信号とが入力されていることを条件として、自動装着開始信号を制御装置50へ送信する(ステップS15)。
【0086】
また、搭乗橋1の制御装置50は、ステップS21で遠隔操作モードに設定されて人感センサ20およびレーザスキャナ21を起動させると、これらの検出結果が随時入力され、人感センサ20およびレーザスキャナ21からの検知信号の入力の有無に基づいて搭乗橋(PBB)の内部および外部で人を検知したか否かを判定する(ステップS23)。制御装置50は、人感センサ20から検知信号が入力されて内部で人を検知していると判定した場合には、内部スピーカ23に搭乗橋の遠隔操作を開始する旨等をアナウンスさせ、レーザスキャナ21から検知信号が入力されて外部で人を検知していると判定した場合には、外部スピーカ24に搭乗橋の遠隔操作を開始する旨等をアナウンスさせる(ステップS24)。
【0087】
制御装置50は、人感センサ20およびレーザスキャナ21で人が検知されていないときに(ステップS23でNoの場合)、遠隔用制御装置80から自動装着開始信号を受信すると(ステップS25でYesの場合)、自動装着(自動制御による航空機へのキャブの装着動作)を開始する(ステップS26)。
【0088】
そして、自動装着が開始された後、人感センサ20で人が検知されると、制御装置50は搭乗橋1の動作を一時停止させ、内部スピーカ23に搭乗橋1が遠隔操作中である旨等をアナウンスさせる。そして人感センサ20で人が検知されなくなると、搭乗橋1の動作を再開させる。また、レーザスキャナ21で人が検知されると、制御装置50は搭乗橋1の動作を一時停止させ、外部スピーカ24に搭乗橋1が遠隔操作中である旨等をアナウンスさせる。そしてレーザスキャナ21で人が検知されなくなると、搭乗橋1の動作を再開させる。
【0089】
また、自動装着が開始された後、オペレータは、非常停止スイッチ85を押すと、非常停止信号が遠隔用制御装置80から搭乗橋1の制御装置50へ送信される。制御装置50は、非常停止信号を受信すると、搭乗橋1の動作を停止させる。これにより、搭乗橋1等に何らかの異常があった場合には、オペレータが搭乗橋1を停止させることができる。
【0090】
また、自動装着が開始された後、搭乗橋1の制御装置50は、遠隔用制御装置80との間の通信が正常であるか否かを検出できるよう構成されており、通信異常を検出すると、搭乗橋1の動作を停止させる。例えば、遠隔用制御装置80は、所定周期で通信異常検出用信号を制御装置50へ送信するよう構成され、制御装置50は、通信異常検出用信号を所定周期で受信できなくなると、通信異常を検出するよう構成されていてもよい。
【0091】
また、同時に複数の搭乗橋1の自動装着が開始された後、いずれかの搭乗橋1に異常が発生し、その異常を制御装置50が検出してその搭乗橋1を停止させた場合、制御装置50は、異常停止信号を遠隔用制御装置80へ送信する。遠隔用制御装置80は、異常停止信号を受信すると、他の遠隔操作対象の搭乗橋1の制御装置50へ非常停止信号を送信し、他の遠隔操作対象の搭乗橋1の動作を停止させる。これにより、異常が発生して停止した搭乗橋1に、他の搭乗橋1が接近しすぎるのを防止できる。
【0092】
また、遠隔操作対象の搭乗橋1の制御装置50に遠隔操作モードが設定された後は、その搭乗橋1の表示装置33に、遠隔機器81の表示装置83と同じ表示画像を表示させるようにしてもよい。これにより、搭乗橋1の操作盤31付近にいる人に遠隔操作されていることを知らせることができる。例えば、搭乗橋1のキャブ6に人が乗り込んでいれば、キャブ6を航空機100の乗降部101に装着した後、すぐに航空機100のドアを開けることができる。
【0093】
なお、制御装置50は、人感センサ20およびレーザスキャナ21で人が検知されているときには、その検知情報を遠隔用制御装置80へ送信するようにしてもよい。この場合、遠隔用制御装置80は、検知情報に基づいて搭乗橋の内部及び/又は外部で人が検知されていることを遠隔機器81の表示装置83及び/又は音声出力装置86でオペレータに報知するようにしてもよい。
【0094】
本例では、カメラ用表示装置84が、遠隔機器81に入力される第1~第3の撮像装置(カメラC1,C2,C3,C5,C6)等で撮影した映像情報を出力する情報出力部として機能する。また、表示装置83及び/又は音声出力装置86を、遠隔機器81に入力される人感センサ20等の検出結果を出力する情報出力部として機能させるようにしてもよい。
【0095】
なお、図7のステップS2とS3との順序(同様にステップS13とS14との順序)は逆でもよい。
【0096】
〔手動制御〕
図8は、本実施形態における遠隔操作システムにおいて手動制御によってキャブ6を待機位置から移動させて航空機100へ装着する時の操作及び動作の概略の一例を示すフローチャートである。図7と同様の部分には同一符号を付し、以下では、図7で説明した自動制御とは異なる部分について説明する。
【0097】
手動制御の場合、操作装置82を用いて、搭乗橋1のキャブ回転装置60、昇降装置10及び走行装置11の個々の動作を制御する操作を行うので、自動制御の場合のように複数の搭乗橋1を遠隔操作の対象に選択することはできない。
【0098】
よって、ステップS1では、オペレータは1つの搭乗橋1を遠隔操作の対象に選択し、遠隔操作モードの設定操作を行う。
【0099】
ステップS2,S3のオペレータの操作、ステップS11~S14の遠隔用制御装置80の処理、及び、ステップS21~S24の搭乗橋1の制御装置50の処理については、図7の自動制御の場合と同様である。
【0100】
オペレータは、ステップS2,S3の外部確認ボタン及び内部確認ボタンを押した後、ステップS40で、操作装置82を操作して搭乗橋1の最初の動作指令の入力操作を行う。このときの操作装置82の操作は、キャブ回転装置60、昇降装置10及び走行装置11のいずれかを動作させるための操作である。
【0101】
遠隔用制御装置80は、すでに内部確認信号と外部確認信号とが入力されていることを条件として、上記入力操作に基づく最初の動作指令を制御装置50へ送信する(ステップS150)。
【0102】
そして、搭乗橋1の制御装置50は、人感センサ20およびレーザスキャナ21で人が検知されていないときに(ステップS23でNoの場合)、遠隔用制御装置80から最初の動作指令を受信すると(ステップS250でYesの場合)、その動作指令に基づく搭乗橋1の動作を開始する(ステップS260)。
【0103】
この後も、オペレータが操作装置82を操作することにより搭乗橋1の動作指令が遠隔用制御装置80から制御装置50へ送信され、動作指令に基づいて搭乗橋1の動作が行われる。一方、搭乗橋1の動作が開始された後、人感センサ20で人が検知されると、制御装置50は搭乗橋1の動作を不可にして一時停止させ、内部スピーカ23に搭乗橋1が遠隔操作中である旨等をアナウンスさせて遠隔操作に関する注意喚起や退避を促す。そして人感センサ20で人が検知されなくなると、搭乗橋1の動作の再開を可能にする。また、レーザスキャナ21で人が検知されると、制御装置50は搭乗橋1の動作を不可にして一時停止させ、外部スピーカ24に搭乗橋1が遠隔操作中である旨等をアナウンスさせて遠隔操作に関する注意喚起や退避を促す。そしてレーザスキャナ21で人が検知されなくなると、搭乗橋1の動作の再開を可能にする。
【0104】
図8においても、ステップS2とS3との順序(同様にステップS13とS14との順序)は逆でもよい。
【0105】
この手動制御による場合、オペレータは、キャブ6に配置されたカメラC5,C6で撮影されるキャブ6の前方の航空機100の乗降部101の撮影映像を、カメラ用表示装置84で見ながら装着操作を行うことができる。
【0106】
また、装着直前には、オペレータは、キャブ6の先端部6aと航空機100との間の隙間部分を撮影するカメラC7の撮影映像を、カメラ用表示装置84で見ながら装着操作を行うことができる。
【0107】
本例では、遠隔機器81がロタンダ4の下方に設置されている。よって、オペレータが搭乗橋1を遠隔操作する際に、走行装置11及びその周辺などの搭乗橋1の外部の状況をオペレータが目視(直接視認)可能な状態において、遠隔操作を行うことができるので、搭乗橋1の動作に不都合な(支障がでる)外部の人の存否の確認を行うことができ、搭乗橋1の外部の人との協調性を保つことができる。さらに、オペレータは遠隔機器81のカメラ用表示装置84で表示される内部のカメラC2,C3の撮影映像を見て、搭乗橋1の内部の人の存否の確認を行うことができ、搭乗橋1の内部の人との協調性を保つことができる。よって、人との協調性の向上を図って搭乗橋1の遠隔操作を行うことができる。また、カメラC5,C6で撮影されるキャブ6の前方の航空機100の映像情報がカメラ用表示装置84から出力されることにより、オペレータは航空機100の乗降部101の映像を見て搭乗橋1の遠隔操作を行うことができる。
なお、遠隔機器81は、ロタンダ4の下端から吊下げられてあってもよい。
【0108】
また、制御装置50は、搭乗橋1の装着動作を開始する前に、人感センサ20及びレーザスキャナ21からの検知信号の入力の有無に基づいて搭乗橋1の内部及び外部で人を検知したか否かを判定し、搭乗橋1の内部及び/または外部で人が検知されている場合には、スピーカ23,24に人に注意喚起や退避を促すアナウンスをさせた後、搭乗橋1の内部及び外部の両方で人が検知されなくなってから搭乗橋1の動作を開始するようにしたことにより、より人との協調性の向上を図ることができる。
【0109】
また、制御装置50は、搭乗橋1の装着動作を開始した後も、人感センサ20及びレーザスキャナ21によって搭乗橋1の内部及び/または外部で人が検知されている場合には、搭乗橋1の動作を一時停止させ、スピーカ23,24に人に注意喚起や退避を促すアナウンスをさせた後、搭乗橋1の内部及び外部の両方で人が検知されなくなってから搭乗橋1の動作を再開可能にしたことにより、より人との協調性の向上を図ることができる。
【0110】
また、オペレータには専用のICカードが付与されており、遠隔機器81には、カードリーダ端末を備え、カードリーダ端末で上記ICカードの情報を読み取ってから、遠隔機器81の操作装置82の操作を可能にするように構成してもよい。これによりセキュリティの向上が図れる。
【0111】
また、遠隔機器81にキースイッチが設けられており、オペレータが貸与されたキーを挿入して回転させることで操作装置82の操作を可能にするように構成してもよい。これによりセキュリティの向上が図れる。
【0112】
また、遠隔機器81に代えて、市販のタブレットまたはスマートフォン等の携帯通信端末M(図6参照)を用いてもよい。この場合、携帯通信端末Mには、搭乗橋の遠隔操作用プログラム(A)が予めインストールされている。携帯通信端末Mは、入力操作が行われる操作部M1と、情報を出力可能な情報出力部M2とを有している。情報出力部M2としては、表示部(ディスプレイ)M21及び音声出力部(スピーカ)M22を備えている。通常、操作部M1及び表示部M21は、これらが一体化されたタッチパネルディスプレイで構成されている。
【0113】
上記の搭乗橋の遠隔操作用プログラム(A)は、携帯通信端末Mにインストールされ、かつ、携帯通信端末Mを遠隔制御部(例えば遠隔用制御装置80)と通信させる搭乗橋の遠隔操作用プログラムであって、携帯通信端末Mに、後述の操作画面表示処理と、操作信号送信処理と、情報出力処理と、を行わせるための遠隔操作用プログラムである。
【0114】
操作画面表示処理は、携帯通信端末Mの表示部M21に搭乗橋を遠隔操作するための操作画面を表示させる処理である。この操作画面表示処理は、携帯通信端末Mにおいて、例えば、遠隔操作用プログラム(A)の起動操作が行われると実施される。
【0115】
操作信号送信処理は、表示部M21に表示される操作画面上でオペレータによる操作部M1の操作によって搭乗橋の動作指令の入力操作が行われたときに入力操作に応じた信号(操作信号)を遠隔用制御装置80へ送信する処理である。
【0116】
情報出力処理は、遠隔用制御装置80から受信する第1の撮像装置(カメラC5,C6)で撮影した映像情報及び内部監視装置の監視情報(第2の撮像装置であるカメラC2,C3で撮影した映像情報及び/または人感センサ20の検出結果)を、情報出力部M2から出力させる処理である。この情報出力処理によって、カメラC5,C6で撮影した映像情報及びカメラC2,C3で撮影した映像情報は、表示部M21で表示出力される。また、人感センサ20の検出結果は、表示部M21で表示出力されてもよいし、音声出力部M22で音声出力されてもよい。
【0117】
ここで、遠隔用制御装置80は、遠隔操作対象の搭乗橋の制御装置50から受信したカメラC1~C7で撮影した映像情報および人感センサ20の検出結果の情報等を、携帯通信端末Mへ送信するよう構成されている。
【0118】
また、携帯通信端末Mの表示部M21に表示される操作画面には、例えば、搭乗橋の動作指令の入力操作を行うための自動装着開始ボタンおよび自動離脱開始ボタンの他、遠隔操作対象にする搭乗橋を選択するための搭乗橋の選択ボタン、遠隔操作モードを設定するためのモード設定ボタン、外部確認ボタン、内部確認ボタン、外部アナウンスボタン、内部アナウンスボタン等のタッチ操作用の各種ボタンが表示される。そして、これらをタッチ操作することにより、遠隔機器81の操作装置82と同様の操作を行うことができる。また、非常停止スイッチ85と同様の機能を有するタッチ操作用の非常停止ボタンが上記操作画面に表示されるようにしてもよい。また、搭乗橋を手動制御するために、キャブ回転装置60、昇降装置10及び走行装置11の各々の動作指令の入力操作を行うためのタッチ操作用の動作ボタン等が、上記操作画面に表示されるようにしてもよい。
【0119】
上記の遠隔操作用プログラム(A)には、携帯通信端末Mに行わせる処理として、前述の処理の他、操作画面に表示される搭乗橋の選択ボタン、遠隔操作モードを設定するためのモード設定ボタン、外部確認ボタン、内部確認ボタン、外部アナウンスボタン、内部アナウンスボタン等がオペレータによってタッチ操作されると、その操作に応じた信号を遠隔用制御装置80へ送信する処理(他の操作信号送信処理)を含んでもよい。
【0120】
上記のような構成の場合、遠隔用制御装置80がアクセスポイントの機能を有し、オペレータが携帯通信端末Mを操作して遠隔操作用プログラムを起動させると、携帯通信端末Mと遠隔用制御装置80との通信が可能になる。ここで、遠隔用制御装置80は、MACアドレスフィルタリング機能を有し、不特定の携帯端末からの不正アクセスを防止することが好ましい。また、遠隔用制御装置80は、複数の携帯通信端末Mからの同時アクセス時には自律的に優先順位を割り当てる機能を有し、複数の携帯通信端末Mから同時に搭乗橋の操作をできないようにすることが好ましい。なお、携帯通信端末Mは、顔認証や指紋認証等の生体認証機能を有し、登録済みのオペレータのみが携帯通信端末Mを操作できるように構成されていることが、セキュリティの観点から好ましい。
【0121】
また、遠隔機器81に代えて、上記の携帯通信端末M及び遠隔操作システム用のサーバ(以下、「サーバV」と記載)を用いるようにしてもよい。この場合の要部のブロック図を図9に示す。この場合、携帯通信端末Mには前述の遠隔操作用プログラム(A)がインストールされておらず、サーバVに、別のプログラムである搭乗橋の遠隔操作用プログラム(B)が記憶されており、それが実行される。サーバVは、インターネット等の外部通信網Nに接続されたコンピュータであり、複数のコンピュータで構成されていてもよいし、クラウドサーバでもよい。また、この場合、遠隔用制御装置80は、外部通信網N等を介してサーバVと相互に通信可能に構成されている。また、サーバVと携帯通信端末Mとの関係においては、サーバVがウェブサーバとして機能し、携帯通信端末Mがウェブブラウザとして機能する。
【0122】
上記の搭乗橋の遠隔操作用プログラム(B)は、携帯通信端末M、及び、搭乗橋を遠隔制御する遠隔制御部(例えば遠隔用制御装置80)との間で通信を行うサーバVに記憶される搭乗橋の遠隔操作用プログラムであって、サーバVに、後述の操作画面送信処理と、操作信号転送処理と、情報送信処理と、を行わせるための遠隔操作用プログラムである。
【0123】
操作画面送信処理は、携帯通信端末Mの表示部M21に搭乗橋を遠隔操作するための操作画面を表示させるための情報を携帯通信端末Mへ送信する処理である。この操作画面送信処理は、携帯通信端末Mが、例えば、サーバVが提供する遠隔操作用のウェブサイトにアクセスすると実施される。この処理により、携帯通信端末Mの表示部M21に操作画面が表示される。
【0124】
操作信号転送処理は、表示部M21に表示される操作画面上でオペレータによる操作部M1の操作によって搭乗橋の動作指令の入力操作が行われたときに入力操作に応じた信号(操作信号)を携帯通信端末Mから受信し、この受信した操作信号を遠隔用制御装置80へ送信する処理である。
【0125】
情報送信処理は、遠隔用制御装置80から受信する第1の撮像装置(カメラC5,C6)で撮影した映像情報及び内部監視装置の監視情報(第2の撮像装置であるカメラC2,C3で撮影した映像情報及び/または人感センサ20の検出結果)を、携帯通信端末Mへ送信する処理である。この情報送信処理によって、カメラC5,C6で撮影した映像情報及びカメラC2,C3で撮影した映像情報は、携帯通信端末Mへ送信され、その表示部M21で表示出力される。また、人感センサ20の検出結果は、携帯通信端末Mへ送信され、その表示部M21で表示出力されてもよいし、音声出力部M22で音声出力されてもよい。
【0126】
ここで、遠隔用制御装置80は、遠隔操作対象の搭乗橋の制御装置50から受信したカメラC1~C7で撮影した映像情報および人感センサ20の検出結果の情報等を、サーバVへ送信するよう構成されている。
【0127】
また、携帯通信端末Mの表示部M21に表示される操作画面には、前述の遠隔操作用プログラム(A)がインストールされている場合の操作画面と同様のタッチ操作用の各種ボタンが表示される。そして、これらをタッチ操作することにより、遠隔機器81の操作装置82と同様の操作を行うことができる。また、非常停止スイッチ85と同様の機能を有するタッチ操作用の非常停止ボタンが上記操作画面に表示されるようにしてもよい。また、搭乗橋を手動制御するために、キャブ回転装置60、昇降装置10及び走行装置11の各々の動作指令の入力操作を行うためのタッチ操作用の動作ボタン等が、上記操作画面に表示されるようにしてもよい。
【0128】
上記の遠隔操作用プログラム(B)には、サーバVに行わせる処理として、前述の処理の他、操作画面に表示される搭乗橋の選択ボタン、遠隔操作モードを設定するためのモード設定ボタン、外部確認ボタン、内部確認ボタン、外部アナウンスボタン、内部アナウンスボタン等がオペレータによってタッチ操作されると、その操作に応じた信号を受信し、この受信した信号を遠隔用制御装置80へ送信する処理(他の操作信号転送処理)を含んでもよい。
【0129】
次に、搭乗橋の遠隔操作用プログラム(C)について説明する。この遠隔操作用プログラム(C)は遠隔用制御装置80に記憶されている。この場合、遠隔機器81にかえて、上記の携帯通信端末Mを用いる。なお、携帯通信端末Mには前述の遠隔操作用プログラム(A)はインストールされていない。この場合、遠隔用制御装置80は、外部通信網N(図9参照)等を介して携帯通信端末Mと相互に通信可能に構成されている。つまり、遠隔用制御装置80と携帯通信端末Mとの間での通信(情報および信号の送受信)は、外部通信網Nを介して行われる。
【0130】
上記の搭乗橋の遠隔操作用プログラム(C)は、携帯通信端末Mとの間で通信を行い、かつ、搭乗橋を遠隔制御する遠隔制御部(例えば遠隔用制御装置80)に記憶される搭乗橋の遠隔操作用プログラムであって、遠隔用制御装置80に、後述の操作画面送信処理と、操作信号受信処理と、情報送信処理と、を行わせるための遠隔操作用プログラムである。
【0131】
操作画面送信処理は、携帯通信端末Mの表示部M21に搭乗橋を遠隔操作するための操作画面を表示させるための情報を携帯通信端末Mへ送信する処理である。この操作画面送信処理は、携帯通信端末Mが、例えば、遠隔用制御装置80にアクセスすると実施される。この処理により、携帯通信端末Mの表示部M21に操作画面が表示される。
【0132】
操作信号受信処理は、表示部M21に表示される操作画面上でオペレータによる操作部M1の操作によって搭乗橋の動作指令の入力操作が行われたときに入力操作に応じた信号(操作信号)を携帯通信端末Mから受信する処理である。なお、遠隔用制御装置80は、受信した操作信号を、遠隔操作対象の搭乗橋の制御装置50へ送信する。
【0133】
情報送信処理は、第1の撮像装置(カメラC5,C6)で撮影した映像情報及び内部監視装置の監視情報(第2の撮像装置であるカメラC2,C3で撮影した映像情報及び/または人感センサ20の検出結果)を、携帯通信端末Mへ送信する処理である。この情報送信処理によって、カメラC5,C6で撮影した映像情報及びカメラC2,C3で撮影した映像情報は、携帯通信端末Mへ送信され、その表示部M21で表示出力される。また、人感センサ20の検出結果は、携帯通信端末Mへ送信され、その表示部M21で表示出力されてもよいし、音声出力部M22で音声出力されてもよい。
【0134】
ここで、遠隔用制御装置80は、遠隔操作対象の搭乗橋の制御装置50から受信したカメラC1~C7で撮影した映像情報および人感センサ20の検出結果の情報等を、上記の情報送信処理等によって携帯通信端末Mへ送信するよう構成される。
【0135】
また、携帯通信端末Mの表示部M21に表示される操作画面には、前述の遠隔操作用プログラム(A)及び(B)の場合と同様、タッチ操作用の各種ボタンが表示される。そして、これらをタッチ操作することにより、遠隔機器81の操作装置82と同様の操作を行うことができる。また、上記操作画面に前述のタッチ操作用の非常停止ボタンが表示されるようにしてもよいし、前述の手動制御の際に用いるタッチ操作用の動作ボタン等が表示されるようにしてもよい。
【0136】
上記の遠隔操作用プログラム(C)には、遠隔用制御装置80に行わせる処理として、前述の処理の他、操作画面に表示される搭乗橋の選択ボタン、遠隔操作モードを設定するためのモード設定ボタン、外部確認ボタン、内部確認ボタン、外部アナウンスボタン、内部アナウンスボタン等がオペレータによってタッチ操作されると、その操作に応じた信号を受信する処理(他の操作信号受信処理)を含んでもよい。
【0137】
(変形例)
この変形例では、ターミナルビルに設けられた中央監視室に遠隔機器が設置されている場合について説明する。図10は、中央監視室に遠隔機器が設置されている場合の一例を示すブロック図である。
【0138】
この例では、ターミナルビルには複数のゲート2が設けられ、各ゲート2に複数の搭乗橋1が設置されている。そして、ターミナルビルの中央監視室200には、遠隔機器81A及びこれと接続された遠隔用制御装置80aが設置されている。
【0139】
遠隔機器81Aは、複数のゲート2に設置された搭乗橋1を遠隔操作可能に構成されている。この遠隔機器81Aは、前述の遠隔機器81同様、操作装置82と、表示装置83と、カメラ用表示装置84と、非常停止スイッチ85と、音声出力装置86とを備えている(図6参照)。この遠隔機器81Aの操作装置82では、ゲート2を選択可能に構成されている点が、前述の遠隔機器81の操作装置82とは異なる。
【0140】
また、中央監視室200の遠隔用制御装置80aと、各ゲート2に対応する遠隔用制御装置80bとは、互いに通信可能に構成されている。遠隔用制御装置80bは、同一ゲート2に接続された搭乗橋1の制御装置50と通信可能に構成されている。1つのゲート2についてみれば、図6の遠隔用制御装置80の機能を、遠隔用制御装置80aと遠隔用制御装置80bとによって実現している。遠隔用制御装置80aと遠隔用制御装置80bとの間の通信は、空港ネットワーク、ローカルネットワーク等を用いてもよい。
【0141】
この変形例の場合、自動制御の場合の図7のステップS1において、また、手動制御の場合の図8のステップS1において、オペレータは、遠隔機器81Aの操作装置82を操作して遠隔操作対象とする搭乗橋1が設置されたゲート2を選択した後、遠隔操作対象とする搭乗橋1を選択し、遠隔操作モードの設定操作を行う。
【0142】
また、中央監視室200にいるオペレータは、目視によって搭乗橋1の走行装置11の周辺の人の有無を確認することはできないので、図7図8のステップS2では、オペレータは走行装置11及びその周辺を撮影するカメラC1の撮影映像をカメラ用表示装置84で見て、人の有無を判断し、人がいない場合には、操作装置82の外部確認ボタンを押す。また、走行装置11の周辺に人がいる場合には、オペレータは操作装置82に備えられた遠隔操作開始の外部アナウンスボタンを押す。
【0143】
上記以外の点については、図7図8を参照して説明したロタンダ4の下方に設置された遠隔機器81を用いる場合と同様である。
【0144】
以上に説明した本実施形態において、遠隔操作を開始する前には、オペレータがカメラ用表示装置84の画面に表示されるカメラ撮影映像を視て、搭乗橋1の内部等を監視していることが好ましい。なお、中央監視室200から遠隔操作する場合はカメラC1の撮影映像も視て搭乗橋1の外部も監視していることが好ましい。そこで、例えば、カメラ用表示装置84の表示画面の周囲等に配置されて人の身体的特徴を示す生体情報(例えば、顔や眼球の虹彩)を撮像するカメラと、このカメラで撮影された生体情報が予め登録済みのオペレータの生体情報と一致しているか否かを判定する判定手段と、を有する生体認証装置(顔認証装置または虹彩認証装置)を設ける。そして、自動制御および手動制御のいずれの場合においても、生体認証装置で認証された場合には、遠隔用制御装置80,80aは、搭乗橋1の動作指令(自動制御の場合は図7のステップS15の自動装着開始信号、手動制御の場合は図8のステップS150の最初の動作指令)を送信可能とし、認証されなかった場合には動作指令を送信不可とするようにしてもよい。
【0145】
このような生体認証装置に代えて、カメラ用表示装置84の表示画面の周囲等に配置されたカメラを有する顔認識装置を用いてもよい。この場合、顔認識装置で人の顔が認識(検知)できている場合には、遠隔用制御装置80,80aは、搭乗橋1の動作指令を送信可能とし、人の顔が認識できていない場合には動作指令を送信不可にするようにしてもよい。顔認識装置の場合には、個人の特定まではできないので、セキュリティの観点からは、生体認証装置の方が優れている。
【0146】
また、手動制御の場合には遠隔操作の最中も、オペレータがカメラ用表示装置84の画面に表示されるカメラ撮影映像を視て、搭乗橋1の前方及び内部等を監視していることが好ましい。なお、中央監視室200から遠隔操作する場合はカメラC1の撮影映像も視て搭乗橋1の外部も監視していることが好ましい。そこで、手動制御の場合において、遠隔操作の最中に、上記の生体認証装置で認証されなくなった場合、または上記の顔認識装置によって人の顔が認識できなくなった場合には、遠隔用制御装置80,80aは搭乗橋1の動作指令を送信不可とし、搭乗橋1の動作を一時停止させるようにしてもよい。
【0147】
また、自動制御の場合でも、遠隔操作の最中に何らかの異常等が生じたときにオペレータが即座に対応できる(例えば、非常停止スイッチ85を押す等)ように、オペレータがカメラ用表示装置84の画面に表示されるカメラ撮影映像を視て、搭乗橋1の前方及び内部等を監視していることが好ましい。なお、中央監視室200から遠隔操作する場合はカメラC1の撮影映像も視て搭乗橋1の外部も監視していることが好ましい。そこで、自動制御の場合において、遠隔操作の最中に、上記の生体認証装置で認証されなくなった場合、または上記の顔認識装置によって人の顔が認識できなくなった場合には、遠隔用制御装置80,80aは搭乗橋1の一時停止指令を送信し、搭乗橋1の動作を一時停止させるようにしてもよい。
【0148】
なお、上記では、生体認証装置または顔認識装置を用いて、オペレータがカメラ用表示装置84の画面に表示されるカメラ撮影映像を視ていることを検出するようにしたが、これに代えて、遠隔機器81,81Aの設置された近傍にマットスイッチ等の人検知センサを配置し、オペレータがカメラ用表示装置84の近くにいることを検出するようにしてもよい。この場合、人検知センサが人を検知しないときには、搭乗橋1を動作させないようにする。つまり、遠隔用制御装置80,80aは、人検知センサが人を検知しなければ、搭乗橋1の動作指令を送信しないようにする。また、自動制御の最中に、人検知センサが人を検知しなくなると搭乗橋1の動作を一時停止させるようにしてもよい。
【0149】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明は、人との協調性の向上を図って搭乗橋を遠隔操作することができる搭乗橋の遠隔操作システムおよび遠隔操作用プログラム等として有用である。
【符号の説明】
【0151】
1 搭乗橋
2 ターミナルビルのゲート
4 ロタンダ
5 トンネル部
6 キャブ
10 昇降装置
11 走行装置
20 人感センサ
23 内部スピーカ
80 遠隔用制御装置
81 遠隔機器
82 操作装置
83 表示装置
84 カメラ用表示装置
85 非常停止スイッチ
86 音声出力装置
C1~C7 カメラ
M 携帯通信端末
V サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10