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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】レーザ装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/024 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
H01S5/024
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021567292
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(86)【国際出願番号】 JP2020046646
(87)【国際公開番号】W WO2021131883
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2019231604
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】菱田 光起
【審査官】皆藤 彰吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0136250(US,A1)
【文献】特表2019-526165(JP,A)
【文献】特開2002-204020(JP,A)
【文献】特開2015-056576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射する半導体レーザ素子を備えたレーザ装置であって、
前記半導体レーザ素子の第1電極に電気的に接続された第1ブロックと、
前記半導体レーザ素子における前記第1電極とは反対側の第2電極に電気的に接続された第2ブロックとを備え、
前記第1ブロック及び前記第2ブロックの少なくとも一方における前記レーザ光の出射側の端部には、前記半導体レーザ素子の発光面よりも出射方向の前方に張り出した放熱部が設けられ、
前記放熱部における前記レーザ光に対向する面は、前方に向かうにつれて前記レーザ光の中心線から離れるように傾斜しており、
前記放熱部の傾斜面の傾斜角度aは、前記レーザ光における中心線からの拡がり角bと同じ又は該拡がり角bよりも大きく、
前記放熱部は、平面視で、前記レーザ光の出射方向の前方側における幅方向の片側が少なくとも欠けており、
前記放熱部は、平面視で、前記レーザ光の中心線に対して非線対称形状に形成されているレーザ装置。
【請求項2】
レーザ光を出射する半導体レーザ素子を備えたレーザ装置であって、
前記半導体レーザ素子の第1電極に電気的に接続された第1ブロックと、
前記半導体レーザ素子における前記第1電極とは反対側の第2電極に電気的に接続された第2ブロックとを備え、
前記第1ブロック及び前記第2ブロックの少なくとも一方における前記レーザ光の出射側の端部には、前記半導体レーザ素子の発光面よりも出射方向の前方に張り出した放熱部が設けられ、
前記放熱部における前記レーザ光に対向する面は、前方に向かうにつれて前記レーザ光の中心線から離れるように傾斜しており、
前記放熱部の傾斜面の傾斜角度aは、前記レーザ光における中心線からの拡がり角bと同じ又は該拡がり角bよりも大きく、
前記放熱部は、平面視で、前記レーザ光の出射方向の前方側における幅方向の片側が少なくとも欠けており、
前記放熱部の前端縁は、平面視で、前記発光面における前記レーザ光の出射位置を中心とした同心円に沿った形状に形成されているレーザ装置。
【請求項3】
請求項1乃至のうち何れか1つにおいて、
前記放熱部の前端縁は、平面視で、前記レーザ光の中心線と直交する幅方向の略中央部が、幅方向の端部よりも前方に突出しているレーザ装置。
【請求項4】
請求項1乃至のうち何れか1つにおいて、
前記放熱部は、第1放熱部と、該第1放熱部よりも出射方向の前方に設けられた第2放熱部とを有し、
前記第2放熱部は、板状に形成され且つ板厚方向に間隔をあけて配置された複数のフィン部を有するレーザ装置。
【請求項5】
請求項1乃至のうち何れか1つにおいて、
前記第1ブロック及び前記第2ブロックの少なくとも一方における前記レーザ光の出射側とは反対側の端部には、該反対側の端部から後方に張り出した後方放熱部が設けられているレーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1の電極ブロックと、サブマウントと、絶縁層と、半導体レーザ素子と、バンプと、第2の電極ブロックとが積層された半導体レーザ装置が開示されている。
【0003】
半導体レーザ素子は、正電極から負電極に向かって電流が流れると、発光面からレーザ光が出力される。電極ブロックは、主に銅で構成されており、半導体レーザ素子で生じた熱が電極ブロックから放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2016/103536号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、半導体レーザ素子が高温になると、レーザ出力の低下などの性能劣化が起こるおそれがある。そのため、半導体レーザ素子で生じた熱を効率良く放熱して、半導体レーザ素子の性能をより安定化させたいという要望がある。
【0006】
本開示は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、半導体レーザ素子で生じる熱を効率良く放熱できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、レーザ光を出射する半導体レーザ素子を備えたレーザ装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明は、前記半導体レーザ素子の第1電極に電気的に接続された第1ブロックと、
前記半導体レーザ素子における前記第1電極とは反対側の第2電極に電気的に接続された第2ブロックとを備え、
前記第1ブロック及び前記第2ブロックの少なくとも一方における前記レーザ光の出射側の端部には、前記半導体レーザ素子の発光面よりも出射方向の前方に張り出した放熱部が設けられ、
前記放熱部における前記レーザ光に対向する面は、前方に向かうにつれて前記レーザ光の中心線から離れるように傾斜しており、
前記放熱部の傾斜面の傾斜角度aは、前記レーザ光における中心線からの拡がり角bと同じ又は該拡がり角bよりも大きく、
前記放熱部は、平面視で、前記レーザ光の出射方向の前方側における幅方向の片側が少なくとも欠けており、
前記放熱部は、平面視で、前記レーザ光の中心線に対して非線対称形状に形成されている。
【0009】
第1の発明では、第1ブロック及び第2ブロックの少なくとも一方におけるレーザ光の出射側の端部には、放熱部が設けられる。このように、第1ブロック及び第2ブロックの少なくとも一方に放熱部を設けることで、ブロックの表面積を増やすことができる。これにより、半導体レーザ素子で生じる熱を、放熱部から効率良く放熱させることができる。
【0010】
また、放熱部は、半導体レーザ素子の発光面よりも前方に張り出している。そして、放熱部におけるレーザ光に対向する面が、前方に向かうにつれてレーザ光の中心線から離れるように傾斜している。
【0011】
これにより、半導体レーザ素子の発光面から出射されて放射状に拡がるレーザ光が、放熱部によって遮光されるのを抑えることができる。
【0012】
また、放熱部の傾斜面の傾斜角度aを、レーザ光における中心線からの拡がり角bと同じ又は拡がり角bよりも大きくしている。これにより、半導体レーザ素子から出射されて発光面から放射状に拡がるレーザ光が、放熱部によって遮光されるのを抑えることができる。
【0013】
また、放熱部は、平面視で、レーザ光の出射方向の前方側における幅方向の片側が少なくとも欠けている。
【0014】
これにより、複数のレーザ装置を並べてレーザ光の合成を行う際に、隣接するレーザ装置の放熱部同士が干渉するのを抑えることができる。
【0015】
また、半導体レーザ素子で生じる熱を、放熱部の中央側から相対的に効率良く放熱させることができる。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、
前記放熱部は、平面視で、前記レーザ光の中心線に対して線対称形状に形成されている。
【0017】
第2の発明では、放熱部を、平面視でレーザ光の中心線に対して線対称形状となるように形成している。これにより、半導体レーザ素子で生じる熱を、放熱部から効率良く放熱させることができる。
【0018】
第3の発明は、第1の発明において、
前記放熱部は、平面視で、前記レーザ光の中心線に対して非線対称形状に形成されている。
【0019】
第3の発明では、放熱部を、平面視でレーザ光の中心線に対して非線対称形状となるように形成している。これにより、複数のレーザ装置を並べてレーザ光の合成(レーザ光の波長合成の他、空間合成や偏波合成等)を行う際に、隣接するレーザ装置の放熱部同士が干渉するのを抑えることができる。
【0020】
第4の発明は、第1乃至第3の発明のうち何れか1つにおいて、
前記放熱部の前端縁は、平面視で、前記レーザ光の中心線と直交する幅方向の略中央部が、幅方向の端部よりも前方に突出している。
【0021】
第4の発明では、放熱部の前端縁を、平面視で、レーザ光の中心線と直交する幅方向の略中央部を端部よりも前方に突出させた形状としている。
【0022】
これにより、半導体レーザ素子で生じる熱を、放熱部の中央部分から効率良く放熱させることができる。
【0023】
また、放熱部の中央部分を前方に突出させることで、放熱部の端部がカットされた形状となる。これにより、複数のレーザ装置を並べてレーザ光の合成を行う際に、隣接するレーザ装置の放熱部同士が干渉するのを抑えることができる。
【0024】
第5の発明は、第1乃至第4の発明のうち何れか1つにおいて、
前記放熱部は、第1放熱部と、該第1放熱部よりも出射方向の前方に設けられた第2放熱部とを有し、
前記第2放熱部は、板状に形成され且つ板厚方向に間隔をあけて配置された複数のフィン部を有する。
【0025】
第5の発明では、放熱部は、第1放熱部と、第2放熱部とを有する。第2放熱部は、第1放熱部よりも出射方向の前方に設けられる。第2放熱部は、板状に形成され且つ板厚方向に間隔をあけて配置された複数のフィン部を有する。
【0026】
このように、複数のフィン部を設けることで、第2放熱部の表面積を増やすことができる。これにより、半導体レーザ素子で生じる熱を、第1放熱部及び第2放熱部から効率良く放熱させることができる。
【0027】
第6の発明は、第1乃至第5の発明のうち何れか1つにおいて、
前記放熱部の前端縁は、平面視で、前記発光面における前記レーザ光の出射位置を中心とした同心円に沿った形状に形成されている。
【0028】
第6の発明では、放熱部の前端縁を、平面視で、発光面におけるレーザ光の出射位置を中心とした同心円に沿った形状としている。
【0029】
これにより、半導体レーザ素子で生じる熱を、放熱部から効率良く放熱させることができる。
【0030】
具体的に、半導体レーザ素子で生じた熱は、発光面を中心に放射状に放出されることとなる。そのため、放熱部の前端縁を、平面視で、発光面におけるレーザ光の出射位置を中心とした同心円に沿った形状とすれば、放熱効率を低下させることなく、放熱部の面積を最小化することができる。
【0031】
第7の発明は、第1乃至第6の発明のうち何れか1つにおいて、
前記第1ブロック及び前記第2ブロックの少なくとも一方における前記レーザ光の出射側とは反対側の端部には、該反対側の端部から後方に張り出した後方放熱部が設けられている。
【0032】
第7の発明では、第1ブロック及び第2ブロックの少なくとも一方におけるレーザ光の出射側とは反対側の端部には、後方放熱部が設けられる。これにより、ブロックの表面積を増やすことができる。
【発明の効果】
【0033】
本開示によれば、半導体レーザ素子で生じる熱を効率良く放熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、本実施形態1に係るレーザ装置の構成を示す斜視図である。
図2図2は、レーザ装置の構成を示す平面図である。
図3図3は、図2のA-A矢視断面図である。
図4図4は、レーザ装置の構成を示す側面図である。
図5図5は、本実施形態2に係るレーザ装置の構成を示す平面図である。
図6A図6Aは、複数のレーザ装置を並べたときに放熱部が干渉している状態を示す平面図である。
図6B図6Bは、複数のレーザ装置を並べたときに放熱部が干渉するのを回避している状態を示す平面図である。
図7図7は、本実施形態2の変形例1に係るレーザ装置の構成を示す平面図である。
図8図8は、本実施形態2の変形例2に係るレーザ装置の構成を示す平面図である。
図9図9は、本実施形態2の変形例3に係るレーザ装置の構成を示す平面図である。
図10図10は、本実施形態3に係るレーザ装置の構成を示す平面図である。
図11A図11Aは、複数のレーザ装置を並べたときに放熱部が干渉している状態を示す平面図である。
図11B図11Bは、複数のレーザ装置を並べたときに放熱部が干渉するのを回避している状態を示す平面図である。
図12図12は、本実施形態3の変形例1に係るレーザ装置の構成を示す平面図である。
図13図13は、本実施形態3の変形例2に係るレーザ装置の構成を示す平面図である。
図14図14は、本実施形態4に係るレーザ装置の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0036】
《実施形態1》
図1図3に示すように、レーザ装置1は、第1ブロック10と、第2ブロック20と、絶縁層30と、半導体レーザ素子40と、バンプ45とを有する。
【0037】
第1ブロック10は、導電性を有する。第1ブロック10は、主に銅(Cu)で構成されている。第1ブロック10では、銅製のブロックに対して、ニッケル(Ni)と金(Au)とが順番にメッキされている。
【0038】
第1ブロック10の上面におけるレーザ光の出射方向5(図1に矢印線で示す方向)の側の端部には、凹部11が設けられている。凹部11内には、半導体レーザ素子40が設けられている。半導体レーザ素子40から出射方向5にレーザ光が照射される構成である。
【0039】
第1ブロック10には、第1ネジ孔12と、第2ネジ孔13と、第1端子孔14とが設けられている。第1ネジ孔12及び第2ネジ孔13には、雌ネジが形成されている。第1ネジ孔12は、レーザ光の出射方向5と直交する方向に間隔をあけて2つ設けられている。2つの第1ネジ孔12の間には、凹部11が設けられている。
【0040】
第2ネジ孔13は、レーザ光の出射方向5と直交する方向に間隔をあけて2つ設けられている。第2ネジ孔13は、第1ネジ孔12に対してレーザ光の出射方向5とは反対側に設けられている。
【0041】
第1端子孔14は、第1ブロック10におけるレーザ光の出射方向5とは反対側の端部に設けられている。つまり、第1端子孔14は、第1ブロック10における凹部11とは反対側の端部側に設けられている。第1端子孔14は、ネジ孔で構成されている。第1端子孔14には、電源用の接続端子が接続される。
【0042】
絶縁層30は、絶縁性を有する。絶縁層30は、ポリイミドやセラミックなどで構成されている。絶縁層30は、第1ブロック10の上面において凹部11の周りを囲むように配置されている。
【0043】
半導体レーザ素子40は、下面が正電極41(第1電極)であり、上面が負電極42(第2電極)である。半導体レーザ素子40は、正電極41から負電極42に向かって電流が流れると、発光面(図2で下面)からレーザ光が出力される。
【0044】
半導体レーザ素子40は、凹部11内に配置されている。半導体レーザ素子40の発光面は、第1ブロック10の凹部11の側面と一致している。半導体レーザ素子40の正電極41は、第1ブロック10と電気的に接続されている。第1ブロック10は、半導体レーザ素子40の正電極41と電気的に接続する電極ブロックとしての機能を有する。
【0045】
バンプ45は、導電性を有する。バンプ45は、主に金(Au)で構成されている。バンプ45は、半導体レーザ素子40の負電極42上に複数設けられている。
【0046】
バンプ45は、溶融によって先端が球状になった金ワイヤを負電極42に接触させ、超音波を与えることで負電極42に接合されている。バンプ45は、半導体レーザ素子40の負電極42と電気的に接続されている。
【0047】
第2ブロック20は、導電性を有する。第2ブロック20は、主に銅(Cu)で構成されている。第2ブロック20では、銅製のブロックに対して、ニッケル(Ni)と金(Au)とが順番にメッキされている。
【0048】
第2ブロック20は、半導体レーザ素子40及び絶縁層30の上に設けられている。第2ブロック20は、バンプ45を介して半導体レーザ素子40と電気的に接続されている。第2ブロック20は、半導体レーザ素子40の負電極42と電気的に接続する電極ブロックとしての機能を有する。
【0049】
第2ブロック20は、第2ブロック20の下面であって、半導体レーザ素子40に向かい合う領域以外の領域において、絶縁層30と接着されている。
【0050】
第2ブロック20には、第1貫通孔22と、第2貫通孔23と、第2端子孔24とが設けられている。第1貫通孔22は、第1ブロック10の第1ネジ孔12に対応した位置に設けられている。第1貫通孔22は、第1ブロック10と第2ブロック20とを締結する導電性ネジ35の頭部が入り込めるようにザグリ孔で形成されている。
【0051】
第2貫通孔23は、第1ブロック10の第2ネジ孔13に対応した位置に設けられている。
【0052】
第2端子孔24は、第2ブロック20の中央部に設けられている。第2端子孔24には、電源用の接続端子が接続される。
【0053】
なお、凹部11の深さ(高さ)は、半導体レーザ素子40、バンプ45、及び絶縁層30のそれぞれの厚さを考慮して設定される。
【0054】
第1ブロック10と第2ブロック20とは、導電性ネジ35によって締結されている。導電性ネジ35は、第2ブロック20の第1貫通孔22と、第1ブロック10の第1ネジ孔12とに差し込まれる。
【0055】
導電性ネジ35と第2ブロック20との間には、絶縁部材36が設けられている。これにより、第1ブロック10と第2ブロック20とが、電気的に接続されないようにしている。これにより、第1ブロック10と第2ブロック20とを、互いに電気的に絶縁された状態で締結することができる。
【0056】
また、第1ブロック10と第2ブロック20とは、図示しない絶縁性ネジによって、互いに電気的に絶縁された状態で締結されている。絶縁性ネジは、第2ブロック20の第2貫通孔23と、第1ブロック10の第2ネジ孔13とに差し込まれる。
【0057】
なお、絶縁性ネジの代わりに、導電性ネジ35と絶縁部材36を用いても構わない。また、導電性ネジ35と絶縁部材36の代わりに絶縁性ネジを用いても構わない。
【0058】
このような構成のレーザ装置1では、半導体レーザ素子40の正電極41から負電極42に向かって電流が流れると、半導体レーザ素子40の側面の発光面からレーザ光の出射方向5にレーザ光が出力される。このとき、半導体レーザ素子40で生じた熱は、第1ブロック10及び第2ブロック20へ伝わる。
【0059】
ところで、半導体レーザ素子40が高温になると、レーザ出力の低下などの性能劣化が起こるおそれがある。そのため、半導体レーザ素子40で生じた熱を効率良く伝熱及び放熱して、半導体レーザ素子40の性能をより安定化させたいという要望がある。
【0060】
そこで、本実施形態のレーザ装置1では、半導体レーザ素子40で生じる熱をより効率良く放熱できるような構造としている。
【0061】
具体的に、第1ブロック10には、放熱部50が設けられている。放熱部50は、第1ブロック10におけるレーザ光の出射側の端部に設けられている。放熱部50は、半導体レーザ素子40の発光面よりも出射方向の前方に張り出している。
【0062】
このように、第1ブロック10に放熱部50を設けることで、第1ブロック10の表面積を増やすことができる。これにより、半導体レーザ素子40で生じる熱を、放熱部50から効率良く放熱させることができる。
【0063】
図4にも示すように、放熱部50におけるレーザ光に対向する面は、前方に向かうにつれてレーザ光の中心線Lから離れるように傾斜している。放熱部50の傾斜面の傾斜角度aは、レーザ光における中心線Lからの拡がり角bよりも大きい。
【0064】
なお、加工上及びレーザ照射の光の広がりに問題が無ければ、半導体レーザ素子40の発光面側における放熱部50の傾斜面の根元に、加工の容易化のための段部を設けるようにしてもよい。
【0065】
これにより、半導体レーザ素子40から出射されて発光面から放射状に拡がるレーザ光が、放熱部50によって遮光されるのを抑えることができる。
【0066】
なお、本実施形態では、第1ブロック10に放熱部50を設けるようにしたが、第2ブロック20に放熱部50を設けるようにしてもよい。また、第1ブロック10及び第2ブロック20の両方に放熱部50を設けるようにしてもよい。
【0067】
また、放熱部50の傾斜面の傾斜角度aを、レーザ光における中心線Lからの拡がり角bよりも大きくしているが、傾斜角度aと拡がり角bとを同じ角度としてもよい。
【0068】
また、詳しくは後述するが、放熱部50は、平面視で、レーザ光の出射方向の前方側における幅方向の片側が少なくとも欠けていてもよい。
【0069】
これにより、複数のレーザ装置1を並べてレーザ光の合成を行う際に、隣接するレーザ装置1の放熱部50同士が干渉するのを抑えることができる。
【0070】
また、半導体レーザ素子40で生じる熱を、放熱部50の中央側から相対的に効率良く放熱させることができる。
【0071】
《実施形態2》
以下、前記実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0072】
図5に示すように、第1ブロック10には、放熱部50が設けられている。放熱部50は、第1ブロック10におけるレーザ光の出射側の端部に設けられている。放熱部50は、半導体レーザ素子40の発光面よりも前方に張り出している。
【0073】
放熱部50におけるレーザ光に対向する面は、前方に向かうにつれてレーザ光の中心線Lから離れるように傾斜している。ここで、放熱部50の前端縁は、平面視で、レーザ光の中心線Lと直交する幅方向の略中央部が、幅方向の端部よりも前方に突出している。
【0074】
図5に示す例では、放熱部50の前端縁は、平面視で、半導体レーザ素子40の発光面におけるレーザ光の出射位置を中心Oとした同心円に沿った形状に形成されている。これにより、放熱部50は、平面視で、レーザ光の中心線Lに対して線対称形状に形成されている。
【0075】
このような構成とすれば、半導体レーザ素子40で生じる熱を、放熱部50から効率良く放熱させることができる。
【0076】
具体的に、半導体レーザ素子40で生じた熱は、発光面を中心に放射状に放出されることとなる。そのため、放熱部50の前端縁を、平面視で、発光面におけるレーザ光の出射位置を中心Oとした同心円に沿った形状とすれば、放熱効率を低下させることなく、放熱部50の面積を最小化することができる。
【0077】
また、複数のレーザ装置1を並べてレーザ光の合成を行う際に、隣接するレーザ装置1の放熱部50が干渉するのを抑えることができる。
【0078】
具体的に、図6Aに示すように、複数のレーザ光を回折格子60に集光してレーザ光を合成する場合について検討する。なお、回折格子60の代わりにプリズムであってもよい。
【0079】
図6Aに示す例では、放熱部50が平面視で四角形状に形成されている。ここで、複数のレーザ装置1を、回折格子60への入射角度が互いに異なるように配置すると、隣接するレーザ装置1の放熱部50の角部同士が干渉してしまう(図6Aの黒塗り部分を参照)。
【0080】
これに対し、図6Bに示す例では、放熱部50の角部が円弧状にカットされた形状となっている。
【0081】
そのため、複数のレーザ装置1を、回折格子60への入射角度が互いに異なるように配置しても、隣接するレーザ装置1の放熱部50同士が干渉するのを回避することができる。
【0082】
-実施形態2の変形例1-
図7に示すように、放熱部50の前端縁は、平面視で幅方向の略中央部が、幅方向の端部よりも前方に突出している。図7に示す例では、放熱部50の幅方向の両端部が、平面視で円弧状に形成されている。また、放熱部50の幅方向の中央部が直線状にカットされた形状となっている。
【0083】
これにより、放熱部50の前方に図示しない障害物等が存在している場合であっても、放熱部50の幅方向の中央部のカット形状によって、障害物との干渉を避けることができる。
【0084】
-実施形態2の変形例2-
図8に示すように、放熱部50の前端縁は、平面視で幅方向の略中央部が、幅方向の端部よりも前方に突出している。図8に示す例では、放熱部50の幅方向の両端部が斜めにカットされた形状となっている。
【0085】
このように、放熱部50の周縁部を直線状にカットした形状とすることで、円弧状に形成する場合に比べて、加工性が良好となる。
【0086】
-実施形態2の変形例3-
図9に示すように、放熱部50の前端縁は、平面視で幅方向の略中央部が、幅方向の端部よりも前方に突出している。図9に示す例では、放熱部50は、平面視で幅方向の略中央部が前方に突出した三角形状に形成されている。
【0087】
これにより、半導体レーザ素子40で生じる熱を、放熱部50の幅方向の中央部から効率良く放熱させることができる。また、放熱部50の周縁部を直線状にカットした形状とすることで、円弧状に形成する場合に比べて、加工性が良好となる。
【0088】
《実施形態3》
図10に示すように、第1ブロック10には、放熱部50が設けられている。放熱部50は、第1ブロック10におけるレーザ光の出射側の端部に設けられている。放熱部50は、半導体レーザ素子40の発光面よりも前方に張り出している。
【0089】
放熱部50におけるレーザ光に対向する面は、前方に向かうにつれてレーザ光の中心線Lから離れるように傾斜している。ここで、放熱部50の前端縁は、平面視で、レーザ光の中心線Lと直交する幅方向の略中央部が、幅方向の端部よりも前方に突出している。
【0090】
図10に示す例では、放熱部50の前端縁の一部は、平面視で、半導体レーザ素子40の発光面におけるレーザ光の出射位置を中心Oとした同心円に沿った形状に形成されている。そして、放熱部50の前縁部における図10でレーザ出射方向に対し、図示下側角部が直線状にカットされた形状となっている。これにより、放熱部50は、平面視で、レーザ光の中心線Lに対して非線対称形状に形成されている。
【0091】
このような構成とすれば、複数のレーザ装置1を並べてレーザ光の合成を行う際に、隣接するレーザ装置1の放熱部50が干渉するのを抑えることができる。
【0092】
具体的に、図11Aに示すように、複数のレーザ光を回折格子60に集光してレーザ光を合成する場合について検討する。なお、回折格子60の代わりにプリズムであってもよい。
【0093】
図11Aに示す例では、放熱部50が平面視で四角形状に形成されている。ここで、複数のレーザ装置1を、回折格子60への入射角度が互いに異なるように配置するとともに、前後方向の距離も異なるように配置している。しかしながら、このような配置とすると、レーザ装置1の放熱部50における角部が、隣接するレーザ装置1に干渉してしまう(図11Aの黒塗り部分を参照)。
【0094】
これに対し、図11Bに示す例では、放熱部50の幅方向の一方の角部(図11Bで下側の角部)のみが直線状にカットされた形状となっている。
【0095】
そのため、複数のレーザ装置1を、回折格子60への入射角度が互いに異なり且つ前後方向の距離も互いに異なるように配置しても、レーザ装置1の放熱部50の角部が、隣接するレーザ装置1に干渉するのを回避することができる。
【0096】
-実施形態3の変形例1-
図12に示すように、放熱部50の前端縁は、平面視で幅方向の略中央部が、幅方向の端部よりも前方に突出している。
【0097】
図12に示す例では、放熱部50の幅方向の両端部が斜めにカットされた形状となっている。ここで、放熱部50の幅方向の一端部(図12で下端部)のカット幅は、他端部(図12で上端部)のカット幅よりも大きくなっている。これにより、放熱部50は、平面視で、レーザ光の中心線Lに対して非線対称形状に形成されている。
【0098】
このように、放熱部50の周縁部を直線状にカットした形状とすることで、円弧状に形成する場合に比べて、加工性が良好となる。
【0099】
-実施形態3の変形例2-
図13に示すように、放熱部50の前縁部は、幅方向の一端部(図13で下端部)が直線状にカットされた形状となっている。図13に示す例では、放熱部50は、平面視で幅方向の他端部(図13で上端部)が前方に突出した直角三角形状に形成されている。これにより、放熱部50は、平面視で、レーザ光の中心線Lに対して非線対称形状に形成されている。
【0100】
このように、放熱部50の周縁部を直線状にカットした形状とすることで、円弧状に形成する場合に比べて、加工性が良好となる。
【0101】
《実施形態4》
図14に示すように、第1ブロック10には、放熱部50が設けられている。放熱部50は、第1放熱部51と、第2放熱部52とを有する。第1放熱部51は、第1ブロック10におけるレーザ光の出射側の端部に設けられている。第1放熱部51は、半導体レーザ素子40の発光面よりも前方に張り出している。第2放熱部52は、第1放熱部51よりも出射方向5の前方に設けられている。
【0102】
第1放熱部51及び第2放熱部52におけるレーザ光に対向する面は、前方に向かうにつれてレーザ光の中心線Lから離れるように傾斜している。
【0103】
第2放熱部52は、板状に形成された複数のフィン部53を有する。複数のフィン部53は、板厚方向(図14で左右方向)に間隔をあけて配置されている。複数のフィン部53は、第2放熱部52をスリット状に切削することで形成されている。
【0104】
このように、複数のフィン部53を設けることで、第2放熱部52の表面積を増やすことができる。これにより、半導体レーザ素子40で生じる熱を、第1放熱部51及び第2放熱部52から効率良く放熱させることができる。
【0105】
ここで、第1放熱部51の前端縁、つまり、第1放熱部51と第2放熱部52との境界位置は、平面視で、半導体レーザ素子40の発光面におけるレーザ光の出射位置を中心Oとした同心円C1に沿った形状に形成されている。
【0106】
また、第2放熱部52の前端縁は、平面視で、半導体レーザ素子40の発光面におけるレーザ光の出射位置を中心Oとした同心円C2に沿った形状に形成されている。同心円C2の直径は、同心円C1の直径よりも大きい。
【0107】
これにより、半導体レーザ素子40で生じる熱を、第1放熱部51及び第2放熱部52から効率良く放熱させることができる。
【0108】
具体的に、半導体レーザ素子40で生じた熱は、発光面を中心に放射状に放出されることとなる。そのため、第1放熱部51及び第2放熱部52の前端縁を、平面視で、発光面におけるレーザ光の出射位置を中心とした同心円C1,C2に沿った形状とすれば、放熱効率を低下させることなく、第1放熱部51及び第2放熱部52の面積を最小化することができる。
【0109】
なお、図14に示す例では、フィン部53は、垂直方向に並んだ板状のフィンで構成しているが、水平方向に並んだフィンであっても、フィン部53の表面積を増加可能である。
【0110】
また、第1ブロック10には、後方放熱部54が設けられている。後方放熱部54は、レーザ光の出射側とは反対側の端部に設けられている。後方放熱部54は、レーザ光の出射側とは反対側の端部から後方に張り出している。後方放熱部54の後端縁は、同心円C2に沿った形状に形成されている。これにより、第1ブロック10の表面積を増やすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
以上説明したように、本開示は、半導体レーザ素子で生じる熱を効率良く放熱することができるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0112】
1 レーザ装置
10 第1ブロック
20 第2ブロック
40 半導体レーザ素子
41 正電極(第1電極)
42 負電極(第2電極)
50 放熱部
51 第1放熱部
52 第2放熱部
53 フィン部
54 後方放熱部
C1 同心円
C2 同心円
L 中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14