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  • 特許-無線機のアンテナ接続構造及び接続方法 図1
  • 特許-無線機のアンテナ接続構造及び接続方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】無線機のアンテナ接続構造及び接続方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/20 20060101AFI20240507BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20240507BHJP
   H01R 12/58 20110101ALI20240507BHJP
【FI】
H01Q1/20
H01Q1/24 A
H01R12/58
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020130198
(22)【出願日】2020-07-31
(65)【公開番号】P2022026634
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】植田 健一郎
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-206025(JP,A)
【文献】特開2007-013638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/20
H01Q 1/24
H01R 12/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線機のアンテナ接続構造であって、
無線機に取付けられたアンテナユニットと、
基板と、
前記基板に実装され、前記アンテナユニットのアンテナ芯線を当該基板の回路に接続するための弾性導電素材で成る接続金具と、を備え、
前記接続金具は、前記基板に固定されると共に回路に接続される固定部と、前記固定部から延設された弾性支持部と、前記弾性支持部の先端側にあって前記アンテナ芯線と弾性接触して電気導通状態を保持する電極部と、前記弾性支持部の変位を規制するための弾性突出部と、を有し、
前記電極部が前記アンテナ芯線に対して直交する方向から当該アンテナ芯線に弾性接触され、前記弾性支持部が所定量以上に変位したとき前記弾性突出部が前記基板に当接する、ことを特徴とする無線機のアンテナ接続構造。
【請求項2】
前記アンテナ芯線と前記基板の回路接続位置とは、同一線上にあり、
前記接続金具は、前記固定部が前記基板の縁近くに固定され、前記電極部が前記基板と干渉しない位置に配置され、前記弾性突出部が、前記固定部と前記電極部との間に前記弾性支持部から延設されている、ことを特徴とする請求項1記載の無線機のアンテナ接続構造。
【請求項3】
前記接続金具の前記電極部は、前記弾性支持部から前記アンテナ芯線に対して直交する方向に延設された対向する一対の弾性片から成り、
前記対向する一対の弾性片は、前記アンテナ芯線を導入するため先端間隔が拡がった自由端部と、前記自由端部に連なり間隔が狭くなった中途部と、前記中途部を乗り越えて嵌まり込んだアンテナ芯線をホールドする保持部と、を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無線機のアンテナ接続構造。
【請求項4】
無線機のアンテナ接続方法であって、
無線機は、アンテナユニットと、基板と、前記アンテナユニットのアンテナ芯線を当該基板の回路に接続するための弾性導電素材で成る接続金具と、を備え、
前記接続金具は、前記基板に固定されると共に回路に接続される固定部と、前記固定部から延設された弾性支持部と、前記弾性支持部の先端側にあって前記アンテナ芯線と弾性接触して電気導通状態を保持する電極部と、前記弾性支持部の変位を規制するための弾性突出部と、を有し、
前記接続金具を実装した前記基板を、無線機内に組み立てるとき、前記接続金具を上方から押し込み、前記電極部を前記アンテナ芯線に対して直交する方向から当該アンテナ芯線に弾性接触させ、
前記弾性支持部が所定量以上に変位したとき前記弾性突出部が前記基板に当接してストッパーとなる、ことを特徴とする無線機のアンテナ接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線機のアンテナ接続構造及び接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線機のアンテナユニットのアンテナ芯線と基板との電気的接続は、半田付けで行っていた。図6は、従来のアンテナ接続構造を示し、無線機のシャーシユニット102に取付けられたアンテナユニット103のアンテナ芯線131と、シャーシユニット102に取付けられた基板104の回路とを半田付け(A部)により接続していた。この半田付け接続では、基板の回路の隙間に不用意に半田が落ちるようなことがあるため、ロボットによる組立を行うことが困難であった。
【0003】
そこで、半田付けを用いずに、アンテナ芯線と基板を接続するための弾性接続金具を用いるアンテナ接続構造が知られている(例えば特許文献1参照)。この接続構造においては、接続金具が実装された基板を、アンテナ芯線の下部へ潜らせ、接続金具をアンテナ芯線へ触れさせた状態で押し上げることによって組み立てる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-906025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示される接続構造にあっては、接続金具が実装された基板を回動して接続金具を押し上げて接続金具をアンテナ芯線へ結合するものであって、上方へ部材を積み上げていくものではないため、ロボットにより組立を行うことは困難である。
【0006】
そこで、本発明は、アンテナ芯線と基板との接続を、ロボットを用いて容易に行えるようにして、組立工程の簡素化、メンテナンス性の向上が図れる無線機のアンテナ接続構造及び接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、無線機のアンテナ接続構造であって、
無線機に取付けられたアンテナユニットと、
基板と、
前記基板に実装され、前記アンテナユニットのアンテナ芯線を当該基板の回路に接続するための弾性導電素材で成る接続金具と、を備え、
前記接続金具は、前記基板に固定されると共に回路に接続される固定部と、前記固定部から延設された弾性支持部と、前記弾性支持部の先端側にあって前記アンテナ芯線と弾性接触して電気導通状態を保持する電極部と、前記弾性支持部の変位を規制するための弾性突出部と、を有し、
前記電極部が前記アンテナ芯線に対して直交する方向から当該アンテナ芯線に弾性接触され、前記弾性支持部が所定量以上に変位したとき前記弾性突出部が前記基板に当接する、ことを特徴とする。
【0008】
上記アンテナ接続構造において、前記アンテナ芯線と前記基板の回路接続位置とは、同一線上にあり、前記接続金具は、前記固定部が前記基板の縁近くに固定され、前記電極部が前記基板と干渉しない位置に配置され、前記弾性突出部が、前記固定部と前記電極部との間に前記弾性支持部から延設されていてもよい。
【0009】
上記アンテナ接続構造において、前記接続金具の前記電極部は、前記弾性支持部から前記アンテナ芯線に対して直交する方向に延設された対向する一対の弾性片から成り、前記対向する一対の弾性片は、前記アンテナ芯線を導入するため先端間隔が拡がった自由端部と、前記自由端部に連なり間隔が狭くなった中途部と、前記中途部を乗り越えて嵌まり込んだアンテナ芯線をホールドする保持部と、を備えていてもよい。
【0010】
また、本発明は、無線機のアンテナ接続方法であって、
無線機は、アンテナユニットと、基板と、前記アンテナユニットのアンテナ芯線を当該基板の回路に接続するための弾性導電素材で成る接続金具と、を備え、
前記接続金具は、前記基板に固定されると共に回路に接続される固定部と、前記固定部から延設された弾性支持部と、前記弾性支持部の先端側にあって前記アンテナ芯線と弾性接触して電気導通状態を保持する電極部と、前記弾性支持部の変位を規制するための弾性突出部と、を有し、
前記接続金具を実装した前記基板を、無線機内に組み立てるとき、前記接続金具を上方から押し込み、前記電極部を前記アンテナ芯線に対して直交する方向から当該アンテナ芯線に弾性接触させ、
前記弾性支持部が所定量以上に変位したとき前記弾性突出部が前記基板に当接してストッパーとなる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アンテナ芯線と基板との接続を、半田付けでなく、基板に実装した接続金具の電極部をアンテナ芯線に上から押し込み弾性接触させることにより行うので、ロボットを用いた組立も容易に可能となり、しかも必要以上に電極部を押し込むことが防止され、組立工程の簡素化、メンテナンス性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る無線機のアンテナ接続構造を示す斜視図。
図2】同アンテナ接続構造の組立途上の状態を示す斜視図。
図3】同アンテナ接続構造の要部拡大斜視図。
図4】同アンテナ接続構造における接続金具の斜視図。
図5】(a)(b)(c)は同アンテナ接続構造の接続方法を時系列に示す斜視図。
図6】従来のアンテナ接続構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る無線機のアンテナ接続構造及び方法について図面を参照して説明する。図1は、無線機のアンテナ接続構造を示し、図2は、同接続構造の組立途上の状態を示す。アンテナ接続構造は、無線機1のシャーシユニット2に取付けられたアンテナユニット3と、シャーシユニット2に取付けられた基板4と、アンテナユニット3のアンテナ芯線31を基板4の回路に接続するための接続金具5と、を備える。シャーシユニット2は、基板4を囲むような形状とされ、電磁シールド機能を有する金属素材で成り、無線機1の筐体(図示なし)内に固定される。接続金具5は、アンテナスプリングとも称され、金属板などの弾性導電素材で成り、基板4に実装される。
【0014】
接続金具5は、基板4に固定される固定部51と、固定部51からクランク状に延設された弾性支持部52と、アンテナ芯線31と弾性接触する電極部53と、弾性支持部52の変位を規制するための弾性突出部54と、を有する。固定部51は基板4の回路に電気接続される。電極部53は、弾性支持部52の先端側にあってアンテナ芯線31と電気導通状態を保持する。
【0015】
基板4のシャーシユニット2への組み込みに際しては、図2の矢印Bで示すように、予め接続金具5を実装した基板4を、シャーシユニット2に上から嵌め込むようにして装入する。これにより、接続金具5の電極部53が、アンテナ芯線31に対して直交する方向からアンテナ芯線31に弾性接触される。
【0016】
このように、アンテナ芯線31と基板4との接続を半田付けでなく、基板4に実装した接続金具5の電極部53をアンテナ芯線31に押し込み弾性接触させることにより接続するので、組立工程の簡素化、脱着容易でメンテナンス性の向上が図れる。
【0017】
図3はアンテナ接続構造の要部を示す。アンテナ芯線31と基板4の回路接続位置とは同一線上にあり、接続金具5はその線上に沿うように配置される。接続金具5は、固定部51が基板4の縁近くに固定され、電極部53が基板4と干渉しない位置に配置され、弾性突出部54が固定部51と電極部53との間に弾性支持部52から斜め下方に延設されている。弾性突出部54の下端は基板4に対向する。本実施形態では、基板4の縁に上記線上に対応して切り欠き41が設けられ、この切り欠き41の部位に電極部53が配置される。これにより、電極部53は、平面視で基板4から外れた位置になり、基板4と干渉しないものとなる。また、アンテナ芯線31は基板4の切り欠き41の部位に臨む。
【0018】
接続金具5の固定部51には、固定足51a、51b、51c(図4)が設けられ、基板4には、切り欠き41から上記線上に沿った内方に、孔4a、4b、4cが設けられている。孔4a、4b、4cは基板4のアンテナ回路端子部にある。固定部51は、固定足51a、51b、51cが孔4a、4b、4cに挿入されて基板4に固定されると共に電気的接続が成される。
【0019】
図4は接続金具5を示す。接続金具5は、弾性金属板を打ち抜き及び折り曲げにより形成される。弾性支持部52は、平面状の固定部51からL字クランク状に立ち上げ延設され、この弾性支持部52の延設方向の左右縁から垂れ下がるように一対の弾性突出部54及び電極部53が設けられている。一対の弾性突出部54は、各下端間隔が拡がるように斜めに設けられている。一対の電極部53は、組み込み状態において弾性支持部52からアンテナ芯線31に対して直交する方向に延設された対向する弾性片53a、53bから成る。
【0020】
これら弾性片53a、53bは、アンテナ芯線31を導入するため先端(下端)間隔が拡がった自由端部531と、自由端部531に連なり間隔が狭くなった中途部532と、中途部532を乗り越えて嵌まり込んだアンテナ芯線31をホールドする保持部533と、を備えている。保持部533は、接続金具5が基板4に固定された状態で、アンテナ芯線31と基板4の回路接続位置と同一線上に位置する。
【0021】
再び、図3を参照して説明する。基板4がシャーシユニット2に組み込まれるとき、接続金具5の電極部53にアンテナ芯線31を嵌め込むために、図3の矢印Cに示すように、接続金具5の上から電極部53をアンテナ芯線31に押し込む。このとき、接続金具5は、アンテナ芯線31を先端間隔が拡がった自由端部531から受け入れ、アンテナ芯線31は自由端部531に連なる間隔が狭くなった中途部532を乗り越え、保持部533に嵌まり込む。これにより、クリック感を持ってアンテナ芯線31を電極部53の保持部533にホールドさせることができる。
【0022】
このとき、接続金具5を押し込み過ぎて所定の固定位置を越え、弾性支持部52が所定量以上に変位しようとしても、弾性突出部54が基板4に当接する。これにより、弾性突出部54がストッパーとなって、接続金具5の電極部53が必要以上に沈み込むことを防止でき、従って、作業者の熟練性など必要なく、作業性良く、確実に適正な位置にアンテナ芯線31をホールドすることができる。なお、弾性突出部54は、基板4に当接することによりストッパーとなる形態であれば、上記のように下端間隔が広がるように斜めに設けられている必要はなく、折り曲げ角度は問わない。
【0023】
また、アンテナ芯線31と基板4とが同一線上にあることで、機器の厚み方向の薄型化に好適である。本実施形態では、基板4の切り欠き41により電極部53が基板4と干渉せず、切り欠き41の部位にアンテナ芯線31が臨むので、省スペースとなり、しかも接続金具5の上から電極部53をアンテナ芯線31に押し込む動作を容易かつ確実に行うことができる。
【0024】
図5(a)(b)(c)は、アンテナ接続構造の接続方法を時系列に示す。これらの図に示すように、接続金具5を実装した基板4をシャーシユニット2にその上方から嵌め込むようにして組み立てるとき、接続金具5を矢印で示すように上方から押し込み、電極部53をアンテナ芯線31に対して直交する方向からアンテナ芯線31に弾性接触させ、接続金具5の形状によりクリック感を持ってアンテナ芯線31を電極部53にホールドさせることができる。また、接続金具5の弾性支持部52が所定量以上に変位したとき、弾性突出部54が基板4に当接してストッパーとなる。そのため、接続金具5はアンテナ芯線31を適切な位置でホールドする。
【0025】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。例えば、アンテナユニット3および基板4は、シャーシユニット2に取り付ける形態について示したが、これに限られたものではなく、例えば、無線機の筐体に直接取り付けられるものであってもよい。また、接続金具5は、固定部51からクランク状に延設された弾性支持部52を持つ形態を示したが、弾性支持部52は、弾性により電極部53が変位可能となる形態であれば、任意の形態を採用し得る。また、基板4の縁に切り欠き41が設けられ、この切り欠き41の部位に電極部53及びアンテナ芯線31が配置される形態を示したが、必ずしも切り欠き41が設けられている形態に限られない。
【符号の説明】
【0026】
1 無線機
2 シャーシユニット
3 アンテナユニット
31 アンテナ芯線
4 基板
4a、4b、4c 孔
41 切り欠き
5 接続金具
51 固定部
51a、51b、51c 固定足
52 弾性支持部
53 電極部
53a、53b 弾性片
531 自由端部
532 中途部
533 保持部
54 弾性突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6