IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

特許7482370三次元造形装置及び三次元造形物の製造方法
<>
  • 特許-三次元造形装置及び三次元造形物の製造方法 図1
  • 特許-三次元造形装置及び三次元造形物の製造方法 図2
  • 特許-三次元造形装置及び三次元造形物の製造方法 図3
  • 特許-三次元造形装置及び三次元造形物の製造方法 図4
  • 特許-三次元造形装置及び三次元造形物の製造方法 図5
  • 特許-三次元造形装置及び三次元造形物の製造方法 図6
  • 特許-三次元造形装置及び三次元造形物の製造方法 図7
  • 特許-三次元造形装置及び三次元造形物の製造方法 図8
  • 特許-三次元造形装置及び三次元造形物の製造方法 図9
  • 特許-三次元造形装置及び三次元造形物の製造方法 図10
  • 特許-三次元造形装置及び三次元造形物の製造方法 図11
  • 特許-三次元造形装置及び三次元造形物の製造方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】三次元造形装置及び三次元造形物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20240507BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20240507BHJP
   B29C 64/295 20170101ALI20240507BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240507BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240507BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240507BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/106
B29C64/295
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020051225
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021146694
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】今福 茂
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-086829(JP,A)
【文献】特開平05-345359(JP,A)
【文献】特表2017-523063(JP,A)
【文献】特開2019-051555(JP,A)
【文献】特開2020-138535(JP,A)
【文献】特表2007-531641(JP,A)
【文献】特開2017-165012(JP,A)
【文献】特開2016-147447(JP,A)
【文献】国際公開第2015/049834(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
造形材料を用いて層を積層して積層体を造形する三次元造形装置であって、
前記積層体が造形されるテーブルと、
前記造形材料を吐出するノズルと、
前記ノズルから吐出された前記造形材料の温度を検出する第1センサー、及び、前記ノズルから吐出された前記造形材料の吐出状態を検出する第2センサー、の少なくとも一方を有するセンサーと、
前記センサーの検出結果に基づいて前記三次元造形装置の駆動を制御するフィードバック処理を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記積層体のうちの第1部分を造形する場合は、第1制御で前記フィードバック処理を実行し、
前記積層体のうちの第1部分とは異なる第2部分を造形する場合は、第2制御で前記フィードバック処理を実行し、
前記第1制御と前記第2制御とで、前記フィードバック処理の実行頻度を異ならせ
前記センサーとして前記第1センサーを備え、
前記ノズルから吐出された前記造形材料を加熱する第1加熱部を備え、
前記制御部は、前記第1センサーによる検出結果に応じて、前記第1加熱部による加熱温度を制御する前記フィードバック処理を実行することを特徴とする三次元造形装置。
【請求項2】
請求項に記載の三次元造形装置において、
材料を加熱して前記造形材料を生成する可塑化部を備え、
前記センサーとして前記第2センサーを備え、
前記可塑化部は、駆動モーター、前記駆動モーターによって回転するスクリュー及び第2加熱部を有し、前記材料を前記第2加熱部で加熱しつつ前記スクリューを回転することで前記造形材料を生成し、
前記制御部は、前記第2センサーによる検出結果に応じて、前記第2加熱部による加熱温度及び前記スクリューの回転の少なくとも一方を制御して前記フィードバック処理を実行することを特徴とする三次元造形装置。
【請求項3】
請求項に記載の三次元造形装置において、
前記可塑化部は、溝が形成された溝形成面を有する前記スクリューと、前記溝形成面に対向する対向面を有し、前記ノズルに連通する連通孔が設けられたバレルと、を有し、
前記第2加熱部による加熱と前記スクリューの回転によって、前記スクリューと前記バレルとの間に供給された前記材料を加熱しつつ前記連通孔に向けて搬送し、前記造形材料を生成することを特徴とする三次元造形装置。
【請求項4】
造形材料を用いて層を積層して積層体を造形する三次元造形装置であって、
前記積層体が造形されるテーブルと、
前記造形材料を吐出するノズルと、
前記ノズルから吐出された前記造形材料の温度を検出する第1センサー、及び、前記ノズルから吐出された前記造形材料の吐出状態を検出する第2センサー、の少なくとも一方を有するセンサーと、
前記センサーの検出結果に基づいて前記三次元造形装置の駆動を制御するフィードバック処理を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記積層体のうちの第1部分を造形する場合は、第1制御で前記フィードバック処理を実行し、
前記積層体のうちの第1部分とは異なる第2部分を造形する場合は、第2制御で前記フィードバック処理を実行し、
前記第1制御と前記第2制御とで、前記フィードバック処理の実行頻度を異ならせ
材料を加熱して前記造形材料を生成する可塑化部を備え、
前記センサーとして前記第2センサーを備え、
前記可塑化部は、駆動モーター、前記駆動モーターによって回転するスクリュー及び第2加熱部を有し、前記材料を前記第2加熱部で加熱しつつ前記スクリューを回転することで前記造形材料を生成し、
前記制御部は、前記第2センサーによる検出結果に応じて、前記第2加熱部による加熱温度及び前記スクリューの回転の少なくとも一方を制御して前記フィードバック処理を実行することを特徴とする三次元造形装置。
【請求項5】
請求項に記載の三次元造形装置において、
前記可塑化部は、溝が形成された溝形成面を有する前記スクリューと、前記溝形成面に対向する対向面を有し、前記ノズルに連通する連通孔が設けられたバレルと、を有し、
前記第2加熱部による加熱と前記スクリューの回転によって、前記スクリューと前記バレルとの間に供給された前記材料を加熱しつつ前記連通孔に向けて搬送し、前記造形材料を生成することを特徴とする三次元造形装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の三次元造形装置において、
前記第1部分と前記第2部分とは異なる層であり、
前記制御部は、層ごとに前記第1部分か前記第2部分かを判断し、層ごとに前記フィードバック処理の実行頻度を異ならせることを特徴とする三次元造形装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の三次元造形装置において、
前記第1部分と前記第2部分とは同じ層内の異なる部位であり、
同じ層内の異なる部位ごとに前記第1部分か前記第2部分かを判断し、同じ層内の異なる部位ごとに前記フィードバック処理の実行頻度を異ならせることを特徴とする三次元造形装置。
【請求項8】
請求項1からのいずれか1項に記載の三次元造形装置において、
前記制御部は、前記センサーによる検出頻度を前記第1制御と前記第2制御とで異ならせることで、前記フィードバック処理の実行頻度を異ならせることを特徴とする三次元造形装置。
【請求項9】
請求項に記載の三次元造形装置において、
前記第1部分は、前記第2部分よりも高い造形精度が求められる部分であり、
前記制御部は、前記第1制御における前記検出頻度を前記第2制御における前記検出頻度よりも高くすることを特徴とする三次元造形装置。
【請求項10】
請求項に記載の三次元造形装置において、
前記制御部は、前記第2制御においては前記センサーによる検出を行わせないことを特徴とする三次元造形装置。
【請求項11】
請求項1からのいずれか1項に記載の三次元造形装置において、
前記制御部は、前記センサーによる検出結果の採用頻度を前記第1制御と前記第2制御とで異ならせることで、前記フィードバック処理の実行頻度を異ならせることを特徴とする三次元造形装置。
【請求項12】
請求項11に記載の三次元造形装置において、
前記第1部分は、前記第2部分よりも高い造形精度が求められる部分であり、
前記制御部は、前記第1制御における前記採用頻度を前記第2制御における前記採用頻度よりも高くすることを特徴とする三次元造形装置。
【請求項13】
請求項12に記載の三次元造形装置において、
前記制御部は、前記第2制御においては前記センサーによる検出結果の採用をしないことを特徴とする三次元造形装置。
【請求項14】
ノズルから吐出された造形材料の温度を検出する第1センサーと、前記ノズルから吐出された前記造形材料を加熱する第1加熱部と、を備える三次元造形装置を用いて積層体を造形する三次元造形物の製造方法であって、
吐出された前記造形材料の温度、及び、吐出された前記造形材料の吐出状態のうち少なくとも一方を検出する検出工程と、
前記検出工程で検出された検出結果に基づいて、前記第1センサーによる検出結果に応じて、前記第1加熱部による加熱温度を制御するフィードバック処理を実行するフィードバック処理工程と、を有し、
前記フィードバック処理工程は、
前記積層体のうちの第1部分を造形する場合は、第1制御で前記フィードバック処理を実行し、
前記積層体のうちの第1部分とは異なる第2部分を造形する場合は、第2制御で前記フィードバック処理を実行し、
前記第1制御と前記第2制御とで、前記フィードバック処理の実行頻度を異ならせることを特徴とする三次元造形物の製造方法。
【請求項15】
材料を加熱して造形材料を生成する可塑化部と、ノズルから吐出された前記造形材料の吐出状態を検出する第2センサーと、を備え、前記可塑化部は、駆動モーター、前記駆動モーターによって回転するスクリュー及び第2加熱部を有し、前記材料を前記第2加熱部で加熱しつつ前記スクリューを回転することで前記造形材料を生成する三次元造形装置を用いて積層体を造形する三次元造形物の製造方法であって、
吐出された前記造形材料の温度、及び、吐出された前記造形材料の吐出状態のうち少なくとも一方を検出する検出工程と、
前記検出工程で検出された検出結果に基づいて、前記第2センサーによる検出結果に応じて、前記第2加熱部による加熱温度及び前記スクリューの回転の少なくとも一方を制御するフィードバック処理を実行するフィードバック処理工程と、を有し、
前記フィードバック処理工程は、
前記積層体のうちの第1部分を造形する場合は、第1制御で前記フィードバック処理を実行し、
前記積層体のうちの第1部分とは異なる第2部分を造形する場合は、第2制御で前記フィードバック処理を実行し、
前記第1制御と前記第2制御とで、前記フィードバック処理の実行頻度を異ならせることを特徴とする三次元造形物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元造形装置及び三次元造形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、テーブルに向けてノズルから造形材料を吐出することで層を積層して積層体を造形する三次元造形装置が使用されている。このうち、三次元造形物の造形精度の低下を抑制するため、センサーで造形中の三次元造形物に関する様々な情報を検出し、その検出結果をフィードバックしながら三次元造形物を造形する三次元造形装置がある。例えば、特許文献1には、直前に積層された溶着ビード層の表層の温度を温度センサーで検出し、温度センサーの検出結果に基づいて積層構造物の造形動作を制御する溶接ロボットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-51555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フィードバック処理を行うことで三次元造形物の造形時間は長くなる。造形する三次元造形物の形状などによっては、高い造形精度を必要としない部分を有する場合があるが、特許文献1に開示される三次元造形装置では、このような三次元造形物を造形する場合でも造形時間が長くなっていた。三次元造形物の造形時間が長くなると、三次元造形物の生産性が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の三次元造形装置は、造形材料を用いて層を積層して積層体を造形する三次元造形装置であって、前記積層体が造形されるテーブルと、前記造形材料を吐出するノズルと、前記ノズルから吐出された前記造形材料の温度を検出する第1センサー、及び、前記ノズルから吐出された前記造形材料の吐出状態を検出する第2センサー、の少なくとも一方を有するセンサーと、前記センサーの検出結果に基づいて前記三次元造形装置の駆動を制御するフィードバック処理を実行する制御部と、を備え、前記制御部は、前記積層体のうちの第1部分を造形する場合は、第1制御で前記フィードバック処理を実行し、前記積層体のうちの第1部分とは異なる第2部分を造形する場合は、第2制御で前記フィードバック処理を実行し、前記第1制御と前記第2制御とで、前記フィードバック処理の実行頻度を異ならせることを特徴とする。
【0006】
また、上記課題を解決するための本発明の三次元造形物の製造方法は、三次元造形装置を用いて積層体を造形する三次元造形物の製造方法であって、吐出された造形材料の温度、及び、吐出された前記造形材料の吐出状態のうち少なくとも一方を検出する検出工程と、前記検出工程で検出された検出結果に基づいて、前記三次元造形装置の駆動を制御するフィードバック処理を実行するフィードバック処理工程と、を有し、前記フィードバック処理工程は、前記積層体のうちの第1部分を造形する場合は、第1制御で前記フィードバック処理を実行し、前記積層体のうちの第1部分とは異なる第2部分を造形する場合は、第2制御で前記フィードバック処理を実行し、前記第1制御と前記第2制御とで、前記フィーバック処理の実行頻度を異ならせることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態の三次元造形装置の構成を示す概略断面図。
図2】本発明の一実施形態の三次元造形装置におけるフラットスクリューの構成を示す概略斜視図。
図3】本発明の一実施形態の三次元造形装置におけるバレルの構成を示す概略平面図。
図4】本発明の一実施形態の三次元造形装置におけるノズルの周辺部分の構成を示す概略断面図。
図5】本発明の一実施形態の三次元造形装置を用いて造形される積層体の一例を表す概略斜視図。
図6】本発明の一実施形態の三次元造形装置を用いて造形される積層体の一例であって、図5の積層体とは異なる積層体を表す概略斜視図。
図7図6の積層体を異なる角度から見た概略斜視図。
図8】本発明の一実施形態の三次元造形装置を用いて造形される積層体の一例であって、図5の積層体及び図6の積層体とは異なる積層体を表す概略斜視図。
図9】本発明の一実施形態の三次元造形装置を用いて実行される三次元造形物の製造方法の一実施例のフローチャート。
図10】本発明の一実施形態の三次元造形装置を用いて実行される三次元造形物の製造方法の一実施例のフローチャートであって、図9のフローチャートとは別の三次元造形物の製造方法の一実施例のフローチャート。
図11】本発明の一実施形態の三次元造形装置を用いて実行される三次元造形物の製造方法の一実施例のフローチャートであって、図9及び図10のフローチャートとは別の三次元造形物の製造方法の一実施例のフローチャート。
図12】本発明の一実施形態の三次元造形装置を用いて実行される三次元造形物の製造方法の一実施例のフローチャートであって、図9から図12のフローチャートとは別の三次元造形物の製造方法の一実施例のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
最初に、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の三次元造形装置は、造形材料を用いて層を積層して積層体を造形する三次元造形装置であって、前記積層体が造形されるテーブルと、前記造形材料を吐出するノズルと、前記ノズルから吐出された前記造形材料の温度を検出する第1センサー、及び、前記ノズルから吐出された前記造形材料の吐出状態を検出する第2センサー、の少なくとも一方を有するセンサーと、前記センサーの検出結果に基づいて前記三次元造形装置の駆動を制御するフィードバック処理を実行する制御部と、を備え、前記制御部は、前記積層体のうちの第1部分を造形する場合は、第1制御で前記フィードバック処理を実行し、前記積層体のうちの第1部分とは異なる第2部分を造形する場合は、第2制御で前記フィードバック処理を実行し、前記第1制御と前記第2制御とで、前記フィードバック処理の実行頻度を異ならせることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、第1部分を造形する場合と第2部分を造形する場合とでフィードバック処理の実行頻度を異ならせる。このため、一定の頻度でフィードバック処理を行いながら造形動作する場合と比較して、三次元造形物の造形動作全体でのフィードバック処理の実行頻度を低くすることができ、造形時間を短縮することができる。
【0010】
本発明の第2の態様の三次元造形装置は、前記第1の態様において、前記第1部分と前記第2部分とは異なる層であり、前記制御部は、層ごとに前記第1部分か前記第2部分かを判断し、層ごとに前記フィードバック処理の実行頻度を異ならせることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、層ごとに前記第1部分か前記第2部分かを判断し、層ごとに前記フィードバック処理の実行頻度を異ならせる。このため、フィードバック処理を簡単にすることができ、三次元造形物の造形時間を特に短縮することができる。
【0012】
本発明の第3の態様の三次元造形装置は、前記第1の態様において、前記第1部分と前記第2部分とは同じ層内の異なる部位であり、同じ層内の異なる部位ごとに前記第1部分か前記第2部分かを判断し、同じ層内の異なる部位ごとに前記フィードバック処理の実行頻度を異ならせることを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、同じ層内で異なる部位ごとに第1部分と第2部分とを判断し、同じ層内で異なる部位ごとにフィードバック処理の実行頻度を異ならせる。このため、高い造形精度を必要とする部分と高い造形精度を必要としない部分とを詳細に判断でき、三次元造形物の造形精度の低下を効果的に抑制することができる。
【0014】
本発明の第4の態様の三次元造形装置は、前記第1から第3のいずれか1つの態様において、前記制御部は、前記センサーによる検出頻度を前記第1制御と前記第2制御とで異ならせることで、前記フィードバック処理の実行頻度を異ならせることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、センサーによる検出頻度を第1制御と第2制御とで異ならせることで、フィードバック処理の実行頻度を異ならせる。このため、センサーによる検出頻度を減らして、三次元造形物の造形動作全体でのフィードバック処理の実行頻度を低くすることができる。
【0016】
本発明の第5の態様の三次元造形装置は、前記第4の態様において、前記第1部分は、前記第2部分よりも高い造形精度が求められる部分であり、前記制御部は、前記第1制御における前記検出頻度を前記第2制御における前記検出頻度よりも高くすることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、第2部分よりも高い造形精度が求められる第1部分について検出頻度を高くする。このため、効率的に三次元造形物の造形精度の低下を抑制しつつ造形時間を短縮することができる。
【0018】
本発明の第6の態様の三次元造形装置は、前記第5の態様において、前記制御部は、前記第2制御においては前記センサーによる検出を行わせないことを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、高い造形精度が求められていない第2部分についてはセンサーによる検出を行わせない。このため、三次元造形物の造形動作全体でのフィードバック処理の実行頻度を特に効率的に低くすることができる。
【0020】
本発明の第7の態様の三次元造形装置は、前記第1から第3のいずれか1つの態様において、前記制御部は、前記センサーによる検出結果の採用頻度を前記第1制御と前記第2制御とで異ならせることで、前記フィードバック処理の実行頻度を異ならせることを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、センサーによる検出結果の採用頻度を第1制御と第2制御とで異ならせることで、フィードバック処理の実行頻度を異ならせる。このため、センサーによる検出結果の採用頻度を減らして、三次元造形物の造形動作全体でのフィードバック処理の実行頻度を低くすることができる。
【0022】
本発明の第8の態様の三次元造形装置は、前記第7の態様において、前記第1部分は、前記第2部分よりも高い造形精度が求められる部分であり、前記制御部は、前記第1制御における前記採用頻度を前記第2制御における前記採用頻度よりも高くすることを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、第2部分よりも高い造形精度が求められる第1部分についてセンサーによる検出結果の採用頻度を高くする。このため、効率的に三次元造形物の造形精度の低下を抑制しつつ造形時間を短縮することができる。
【0024】
本発明の第9の態様の三次元造形装置は、前記第8の態様において、前記制御部は、前記第2制御においては前記センサーによる検出結果の採用をしないことを特徴とする。
【0025】
本態様によれば、高い造形精度が求められていない第2部分についてはセンサーによる検出結果を採用しない。このため、三次元造形物の造形動作全体でのフィードバック処理の実行頻度を特に効率的に低くすることができる。
【0026】
本発明の第10の態様の三次元造形装置は、前記第1から第9のいずれか1つの態様において、前記センサーとして前記第1センサーを備え、前記ノズルから吐出された前記造形材料を加熱する第1加熱部を備え、前記制御部は、前記第1センサーによる検出結果に応じて、前記第1加熱部による加熱温度を制御する前記フィードバック処理を実行することを特徴とする。
【0027】
本態様によれば、造形中の積層体の造形材料の温度に応じて第1加熱部による加熱温度を制御するフィードバック処理を実行する。このため、造形中の積層体の温度に応じてフィードバック処理を実行することができる。
【0028】
本発明の第11の態様の三次元造形装置は、前記第1から第10のいずれか1つの態様において、材料を加熱して前記造形材料を生成する可塑化部を備え、前記センサーとして前記第2センサーを備え、前記可塑化部は、駆動モーター、前記駆動モーターによって回転するスクリュー及び第2加熱部を有し、前記材料を前記第2加熱部で加熱しつつ前記スクリューを回転することで前記造形材料を生成し、前記制御部は、前記第2センサーによる検出結果に応じて、前記第2加熱部による加熱温度及び前記スクリューの回転の少なくとも一方を制御して前記フィードバック処理を実行することを特徴とする。
【0029】
本態様によれば、第2加熱部による加熱温度及びスクリューの回転の少なくとも一方を制御してフィードバック処理を実行する。このため、簡単な方法でフィードバック処理を実行することができる。
【0030】
本発明の第12の態様の三次元造形装置は、前記第11の態様において、前記可塑化部は、溝が形成された溝形成面を有する前記スクリューと、前記溝形成面に対向する対向面を有し、前記ノズルに連通する連通孔が設けられたバレルと、を有し、前記第2加熱部による加熱と前記スクリューの回転によって、前記スクリューと前記バレルとの間に供給された前記材料を加熱しつつ前記連通孔に向けて搬送し、前記造形材料を生成することを特徴とする。
【0031】
本態様によれば、可塑化部は、所謂フラットスクリューとバレルとを有する。このため、効率的に材料を可塑化して造形材料を生成することができる。
【0032】
本発明の第13の態様の三次元造形物の製造方法は、三次元造形装置を用いて積層体を造形する三次元造形物の製造方法であって、吐出された造形材料の温度、及び、吐出された前記造形材料の吐出状態のうち少なくとも一方を検出する検出工程と、前記検出工程で検出された検出結果に基づいて、前記三次元造形装置の駆動を制御するフィードバック処理を実行するフィードバック処理工程と、を有し、前記フィードバック処理工程は、前記積層体のうちの第1部分を造形する場合は、第1制御で前記フィードバック処理を実行し、前記積層体のうちの第1部分とは異なる第2部分を造形する場合は、第2制御で前記フィードバック処理を実行し、前記第1制御と前記第2制御とで、前記フィーバック処理の実行頻度を異ならせることを特徴とする。
【0033】
本態様によれば、第1部分を造形する場合と第2部分を造形する場合とでフィードバック処理の実行頻度を異ならせる。このため、三次元造形物の造形動作全体でのフィードバック処理の実行頻度を低くすることができ、造形時間を短縮することができる。
【0034】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。なお、以下の図はいずれも概略図であり、一部構成部材を省略または簡略化して表している。また、各図中のX軸方向は水平方向であり、Y軸方向は水平方向であるとともにX軸方向と直交する方向であり、Z軸方向は鉛直方向である。
【0035】
最初に、本発明の1実施形態である三次元造形装置1の全体構成について図1から図4を参照して説明する。本実施形態の三次元造形装置1は、造形台としてのテーブル14に造形材料の層を積層して三次元造形物を造形する三次元造形装置である。なお、本明細書における「三次元造形」とは、いわゆる立体造形物を形成することを示すものであって、例えば、平板状、例えば1層分の層で構成される形状のように、いわゆる二次元形状の形状であっても厚さを有する形状を形成することも含まれる。
【0036】
図1で表されるように、本実施形態の三次元造形装置1は可塑化部27を備えている。可塑化部27は、三次元造形物を構成する固形材料としてのペレット19を収容するホッパー2を備えている。ホッパー2に収容されたペレット19は、供給管3を介して、駆動モーター6の駆動力によりZ軸方向を回転軸として回転する略円柱状のフラットスクリュー4の材料流入口45に供給される。なお、本実施形態の三次元造形装置1は、フラットスクリュー4を用いて造形材料を生成しつつ該造形材料を吐出可能な構成であるが、このような構成に限定されない。所謂インラインスクリューを用いて造形材料を生成しつつ該造形材料を吐出可能な構成や、フィラメント状の固形材料を溶解しつつ吐出する所謂FDM(Fused Deposition Modeling)方式の構成などであってもよい。
【0037】
図2で表されるように、フラットスクリュー4の溝形成面41の中央部42は、溝44の一端が接続されている凹部として構成されている。中央部42は、図1及び図3に示すバレル5の連通孔51に対向する。フラットスクリュー4の溝44は、いわゆるスクロール溝で構成され、中央部42からフラットスクリュー4の外周面側に向かって弧を描くように渦状に形成されている。溝44は、螺旋状に構成されていてもよい。溝形成面41には、溝44の側壁部を構成し、各溝44に沿って延びている凸状部43が設けられている。
【0038】
本実施例におけるフラットスクリュー4の溝形成面41には、3つの溝44と3つの凸状部43とが形成されているが、3つに限らず、1つまたは2つ以上の任意の数の溝44と凸状部43とがそれぞれ形成されていてもよい。また、溝44の数に合わせて任意の数の凸状部43が設けられてもよい。また、本実施例におけるフラットスクリュー4の外周面には、3つの材料流入口45が周方向に沿って等間隔に並んで形成されている。なお、3つに限らず、1つまたは2つ以上の任意の数の材料流入口45が形成されていてもよく、等間隔に限らず互いに異なる間隔で並んで形成されていてもよい。
【0039】
図3で表されるように、バレル5は、略円板状の外観形状を有し、フラットスクリュー4の溝形成面41と対向して配置されている。バレル5には、材料を加熱するための加熱部である円形のヒーター7が埋め込まれている。バレル5には、連通孔51が形成されている。連通孔51は、造形材料をノズル10へと導く流路として機能する。連通孔51は、対向面52の中心に形成されている。対向面52には、連通孔51に接続され、連通孔51から外周に向かって渦状に延びる複数の案内溝53が形成されている。複数の案内溝53は、フラットスクリュー4の中央部42に流入した造形材料を連通孔51に導く機能を有する。なお、造形材料を効率良く連通孔51へと導くために、バレル5には案内溝53が形成されていると好ましいが、案内溝53が形成されていなくてもよい。
【0040】
フラットスクリュー4とバレル5とがこのような構成をしていることにより、フラットスクリュー4を回転させることで、溝44の位置に対応するとともにフラットスクリュー4の溝形成面41とバレル5の対向面52との間に形成される空間部分にペレット19は供給され、ペレット19は材料流入口45から中央部42に移動する。なお、ペレット19が溝44による空間部分を移動する際、ペレット19は、ヒーター7の熱により溶融される。また、ペレット19は、狭い空間部分を移動することに伴う圧力で加圧される。こうして、ペレット19は、可塑化され、連通孔51を介してノズル10に供給されて吐出口10aから射出される。なお、本実施例では、ヒーター7がバレル5に埋め込まれているが、ペレット19が溶融されればヒーター7はどこに配置されていても良く、例えばヒーター7はフラットスクリュー4に埋め込まれていても良い。
【0041】
また、図1で表されるように、ノズル10は、連通孔51と接続され、先端部分に吐出口10aを有する流路10bが形成されている。すなわち、連通孔51と流路10bとで、可塑化部27で生成された造形材料の移動経路を構成している。そして、ノズル10の周囲には、流路10bを流れる造形材料を加熱するヒーター9と、流路10bの内部圧力を測定する圧力測定部11と、流路10bを流れる造形材料の流量調節機構12と、流路10bの内部圧力を開放する吸引部13と、が設けられている。
【0042】
図4で表されるように、流量調節機構12は、バタフライバルブ121と、バルブ駆動部122と、駆動軸123と、を備える。流量調節機構12は、流路10bに設けられており、流路10bを移動する造形材料の流量を制御する。バタフライバルブ121は、駆動軸123の一部が板状に加工された板状部材である。バタフライバルブ121は、流路10b内において回転可能に配される。駆動軸123は、流路10bと垂直となるように備えられた軸状部材であり、流路10bと垂直に交わっている。駆動軸123は、バタフライバルブ121の位置が、この駆動軸123と流路10bとが交わる位置になるように、備えられている。
【0043】
バルブ駆動部122は、駆動軸123を回転させる機構を有する駆動部である。バルブ駆動部122が発生させる駆動軸123の回転駆動力によって、バタフライバルブ121が回転される。具体的には、バタフライバルブ121は、駆動軸123が回転されることによって、流路10b内における造形材料の移動方向(-Z方向)とバタフライバルブ121の面方向とが略垂直となる第1位置と、流路10b内における造形材料の移動方向とバタフライバルブ121の面方向とが略平行となる第2位置と、流路10b内における造形材料の移動方向とバタフライバルブ121の面方向とが0度より大きく90度より小さい角度のうちいずれかの角度となる第3位置と、のいずれかの位置になるように回転される。図4では、バタフライバルブ121の位置が第1位置である状態が示されている。
【0044】
バタフライバルブ121の回転により、流路10b中に形成される開口の面積が調節される。この開口の面積が調節されることによって、流路10bを移動する造形材料の流量が調節される。また、この開口の面積がゼロの状態(バタフライバルブ121が流路10bの流路を塞いだ状態)とすることによって、流路10bを移動する造形材料の流量がゼロの状態とすることもできる。すなわち、流量調節機構12は、流路10bを移動する造形材料の流通の開始および停止と、造形材料の流量の調節とを制御することができる。
【0045】
吸引部13は、流路10bにおいてバタフライバルブ121と吐出口10aとの間に接続されている。吸引部13は、ノズル10からの造形材料の停止時に、流路10b中の造形材料を一時的に吸引することによって、造形材料がノズル10から糸を引くように垂れる尾引きを抑制する。本実施形態において、吸引部13は、プランジャーにより構成されている。吸引部13は、制御部23による制御下において、吸引部駆動部132によって駆動される。吸引部駆動部132は、例えば、ステッピングモーターや、ステッピングモーターの回転力をプランジャーの並進運動に変換するラックアンドピニオン機構等によって構成される。
【0046】
送出口133は、流路10bに設けられた開口である。送出路131は、直線状に延びて流路10bに交差する貫通孔によって構成されている。送出路131は、吸引部駆動部132と送出口133とに接続された、気体の流路である。吸引部駆動部132から送出された気体は、送出路131を通って、送出口133から流路10b内に送り込まれる。流路10b内に供給された気体は、吸引部駆動部132からさらに気体が連続的に供給されることによって、流路10b内に残留した造形材料を吐出口10a側へ圧送する。圧送された造形材料は、吐出口10aから吐出される。
【0047】
このような構成により、本実施形態の三次元造形装置1は、流路10b内の造形材料を吐出口10aから迅速に吐出させることができる。また、吐出口10aからの造形融材料の吐出を迅速に停止させることができる。なお、流路10bに接続される送出口133の開口の形状は、流路10b内の造形材料の移動方向に垂直な断面の形状に対して小さい。これにより、流路10b内を移動する造形材料が、送出口133から流入して送出路131 の内部を逆流することを防止している。
【0048】
本実施形態の三次元造形装置1は、上記のように可塑化部27やノズル10などを備えており、これらを吐出ユニット100としてX軸方向及びY軸方向に沿って移動可能である。吐出ユニット100は、制御部23が制御することにより、X軸方向及びY軸方向に沿って移動する。そして、吐出口10aと対向する位置には、三次元造形物を造形するためのテーブル14が設けられている。なお、テーブル14は、制御部23が制御することにより、移動機構15を介してZ軸方向に沿って移動可能である。
【0049】
また、図1で表されるように、本実施形態の三次元造形装置1は、テーブル14に例えば図5などで表される造形中の三次元造形物の積層体Oを加熱することが可能なヒーター25が設けられている。ヒーター25による加熱温度を変えることで、造形中の積層体Oにおける一番上の層の加熱調整をすることができる。例えば、N層目の層を形成しているときにヒーター25により積層体Oを加熱することで、N層よりも1層分下の層であるN-1層目の層の造形材料の粘度を変更でき、N-1層目の層に対するN層目の層の密着性などを調整することができる。なお、本実施形態のヒーター25は、赤外線ヒーターであるが、その他の種類の加熱部としてもよい。
【0050】
また、図1で表されるように、本実施形態の三次元造形装置1は、テーブル14の三次元造形物の積層体Oの造形面14aの温度及び造形面14aに造形される三次元造形物の積層体Oの温度を計測可能な非接触式の温度センサー26Aと、造形面14a及び造形面14aに造形される三次元造形物の積層体Oの画像を取得可能なビデオカメラ26Bと、を有している。そして、温度センサー26Aとビデオカメラ26Bとでセンサー部26を構成している。なお、センサー部26は吐出ユニット100に設けられてもよいが、センサー部26と吐出ユニット100とが別々に設けられてもよい。
【0051】
本実施形態の三次元造形装置1は制御部23を備えているが、制御部23は三次元造形装置1の各種駆動を制御する。制御部23は、吐出ユニット100、移動機構15、ヒーター25及びセンサー部26と電気的に接続されている。制御部23の制御により、三次元造形装置1の各構成部材は駆動され、造形処理などが実行される。詳細は後述するが、造形処理は、センサー部26による検出結果に基づいて、三次元造形装置1の駆動を制御するフィードバック処理を実行しつつ行われる。フィードバック処理としては造形材料の温度調整や吐出量の調整、吐出ユニット100の移動速度を調整することによる積層体Oの造形速度の調整、などがある。フィードバック処理を実行することで積層体Oを高精度に造形する造形処理が可能になるが、制御部23の制御負荷は大きくなる。このため、フィードバック処理を実行することによる制御部23の制御負荷をなるべく減らしつつ、積層体Oにおける特に高精度な造形が求められる部位の造形処理を行っている際に、適切にフィードバック処理を実行することが望ましい。
【0052】
次に、本実施形態の三次元造形装置1を用いて実行される三次元造形物の製造方法の実施例について図5から図10を参照して説明する。なお、上記のように、本実施形態の三次元造形装置1は、造形材料を用いて層を積層して積層体Oを造形する三次元造形装置であって、積層体Oが造形されるテーブル14と、造形材料を吐出するノズル10と、を備えている。また、ノズル10から吐出された造形材料の温度を検出する第1センサーとしての温度センサー26Aと、ノズル10から吐出された造形材料の画像に基づいて造形材料の吐出状態を検出する第2センサーとしてのビデオカメラ26Bと、を有するセンサー部26を備えている。さらに、センサー部26の検出結果に基づいて積層体Oの造形の際における三次元造形装置1の駆動を制御するフィードバック処理を実行する制御部23を備えている。
【0053】
最初に、図9のフローチャートで表される三次元造形物の製造方法の実施例について図5を参照して説明する。図9のフローチャートで表される三次元造形物の製造方法は、層を積層して積層体Oを造形する際に、1層分の層を形成するごとにセンサー部26の制御方法を変えて積層体Oを造形する方法である。
【0054】
本実施例の三次元造形物の製造方法を開始すると、最初に、ステップS110において、制御部23は、造形する積層体Oの1層分のデータに基づいて、積層体Oのうちの高い造形品質が要求される部位である造形品質要確認部位と、積層体Oのうちの高い造形品質が要求されない部位である造形品質確認不要部位と、を判断する。そして、該1層分のデータから造形品質要確認部位の総面積を計算する。
【0055】
次に、ステップS120において、制御部23は、ステップS110で計算した造形品質要確認部位の総面積がゼロであるか否かを判断する。制御部23が造形品質要確認部位の総面積がゼロであると判断した場合はステップS130に進み、制御部23が造形品質要確認部位の総面積がゼロではないと判断した場合はステップS140に進む。なお、本実施例においては、造形品質要確認部位の総面積がゼロか否かを判断したが、判断基準をゼロ以外の所定の閾値としてもよい。
【0056】
ステップS130では、センサー部26をオフとし、センサー部26をオフとした状態で造形処理を行う。すなわち、センサー部26の検出結果に基づくフィードバック処理をすることなく造形処理を行う。ここで、造形処理とは、制御部23により吐出ユニット100及びテーブル14を制御して、ノズル10から造形材料を吐出させてテーブル14の造形面14a上に該造形材料の層を形成する処理を意味する。そして、センサー部26をオフとした状態での1層分のデータに基づく造形処理が終了すると、ステップS180に進む。
【0057】
ここで、図5で表される積層体O1は、ユーザーによる造形目的である三次元造形物としての三次元造形物領域110と、三次元造形物領域110を支持する支持台領域105と、を有している。ここで、「支持する」とは、下側から支持する場合の他、場合によっては、横側から支持する場合や、上側から支持する場合も含む意味である。支持台領域105は、積層体O1の完成後に三次元造形物領域110から切り離される。造形面14a上に支持台領域105を形成し、その上に三次元造形物領域110を形成することで、直接、造形面14a上に三次元造形物領域110を形成するよりも三次元造形物領域110を高精度に形成できる。造形面14aの凹凸の影響を回避できることや、造形中に三次元造形物領域110が造形面14aに対してずれることを回避できることなどのためである。
【0058】
支持台領域105は、積層体O1の完成後に三次元造形物領域110から切り離されるので、高精度に造形される必要はない。そこで、例えば、図5で表される積層体O1を形成する場合、支持台領域105を形成する際、制御部23は、ステップS110及びステップS120で、上記1層分のデータから支持台領域105に対応する部位を造形品質確認不要部位と判断する。そして、支持台領域105に対応する部位のみを有する層に関しては、ステップS130により、センサー部26をオフとした状態で造形処理を実行する。
【0059】
一方、ステップS140では、センサー部26をオンとし、センサー部26をオンとした状態で造形処理を行う。すなわち、センサー部26の検出結果に基づいてフィードバック処理をしつつ造形処理を行う。そして、センサー部26をオンとした状態での1層分のデータに基づく造形処理が終了すると、ステップS180に進む。
【0060】
例えば、図5で表される積層体O1を形成する場合、三次元造形物領域110を形成する際、制御部23は、ステップS110及びステップS120で、上記1層分のデータから三次元造形物領域110に対応する部位を造形品質要確認部位と判断する。そして、三次元造形物領域110に対応する部位を有する層に関しては、ステップS140により、センサー部26をオンとした状態で造形処理を実行する。
【0061】
そして、ステップS180では、制御部23は、造形する積層体Oに関する全層分、すなわち、三次元造形装置1が入力した全データ分の造形処理が終了したか否かを判断する。造形する積層体Oに関する全層分の造形処理が終了していないと判断した場合は、ステップS110に戻り、造形する積層体Oに関する全層分の造形処理が終了するまでステップS110からステップS180を繰り返す。そして、造形する積層体Oに関する全データ分の造形処理が終了したと判断した場合は、本実施例の三次元造形物の製造方法を終了する。
【0062】
次に、図10のフローチャートで表される三次元造形物の製造方法の実施例について図5から図8を参照して説明する。図10のフローチャートで表される三次元造形物の製造方法も、図9のフローチャートで表される三次元造形物の製造方法と同様、層を積層して積層体Oを造形する際に、1層分の層を形成するごとにセンサー部26の制御方法を変えて積層体Oを造形する方法である。
【0063】
なお、図10のフローチャートで表される三次元造形物の製造方法は、ステップS110からステップS130及びステップS180は、図9のフローチャートで表される三次元造形物の製造方法におけるステップS110からステップS130及びステップS180と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0064】
本実施例の三次元造形物の製造方法においては、ステップS120で造形品質要確認部位がゼロではないと判断すると、ステップS150に進む。そして、ステップS150では、制御部23は、造形品質重要確認部位の総面積が5%以上であるか否かを判断する。具体的には、制御部23は、造形する積層体Oの1層分のデータに基づいて、造形品質要確認部位のうちの特に高い造形品質が要求される部位である造形品質重要確認部位と、それ以外の部位と、を判断する。そして、制御部23は、該1層分のデータから造形品質重要確認部位の総面積を計算し、計算した造形品質重要確認部位の総面積が造形品質要確認部位のうちの5%以上であるか否かを判断する。
【0065】
ステップS150においては、制御部23が造形品質重要確認部位の総面積が5%以上であると判断した場合はステップS160に進み、制御部23が造形品質要確認部位の総面積が5%以上ではないと判断した場合はステップS170に進む。なお、本実施例においては、造形品質要確認部位の総面積が所定の閾値としての5%か否かを判断したが、判断基準を5%以外の閾値またはゼロか否かとしてもよい。
【0066】
ステップS160では、センサー部26をオンとし、センサー部26の検出結果に基づいて、高頻度でフィードバック処理をしつつ造形処理を行う。そして、高頻度でフィードバック処理をしつつ1層分のデータに基づく造形処理が終了すると、ステップS180に進む。
【0067】
ここで、図5で表される積層体O1は、三次元造形物領域110として輪郭領域113と該輪郭領域113に囲まれた内側の領域である内側領域115とがある。このうち、輪郭領域113は三次元造形物の形状を決める領域であるので高精度に造形を行う必要がある。また、図6及び図7で表される積層体O2は、三次元造形物領域110に、輪郭領域113及び内側領域115に加えて、オーバーハング領域111を有している。ここで、オーバーハング領域111とは、下層によって支持されない領域である。オーバーハング領域111は、重力により変形しやすいので、高精度に造形を行う必要がある。また、図8で表される積層体O3は、三次元造形物領域110に、輪郭領域113及び内側領域115に加えて、幅の狭いアーチ状の薄壁状領域114を有している。ここで、薄壁状領域114は、幅が狭く変形しやすいので、高精度に造形を行う必要がある。このため、本実施例においては、輪郭領域113、オーバーハング領域111及び薄壁状領域114を造形品質重要確認部位としている。ただし、造形品質重要確認部位として、これ以外の領域を設定してもよい。
【0068】
一方、ステップS170では、センサー部26をオンとし、センサー部26の検出結果に基づいて、ステップS160でのフィードバック処理の頻度よりも低頻度でフィードバック処理をしつつ造形処理を行う。そして、低頻度でフィードバック処理をしつつ1層分のデータに基づく造形処理が終了すると、ステップS180に進む。
【0069】
次に、図11のフローチャートで表される三次元造形物の製造方法の実施例について図5を参照して説明する。図11のフローチャートで表される三次元造形物の製造方法は、層を積層して積層体Oを造形する際に、三次元造形装置1が入力したデータに基づいて、1層分の層のうちの部位ごとにセンサー部26の制御方法を変えて積層体Oを造形する方法である。
【0070】
本実施例の三次元造形物の製造方法を開始すると、最初に、ステップS210において、制御部23は、造形する積層体Oの1層分のデータに基づいて、造形を開始するN層目において、積層体Oのうちの高い造形品質が要求される部位である造形品質要確認部位と、積層体Oのうちの高い造形品質が要求されない部位である造形品質確認不要部位と、の情報を取得する。
【0071】
ここで、上記のように、図5で表される積層体O1は、三次元造形物領域110として輪郭領域113と該輪郭領域113に囲まれた内側の領域である内側領域115とがある。このうち、輪郭領域113は三次元造形物の形状を決める領域であるので高精度に造形を行う必要がある。そこで、図11のフローチャートで表される三次元造形物の製造方法の実施例においては、輪郭領域113を造形品質要確認部位とし、内側領域115を造形品質確認不要部位として、1層分の層のうちの部位ごとにセンサー部26の制御方法を変えて積層体Oを造形する。
【0072】
次に、ステップS220において、制御部23は、ステップS210で取得した部位情報に基づいて、センサー部26による現在の検出位置の部位が造形品質要確認部位(輪郭領域113)か否(内側領域115)かを判断する。制御部23によって現在の検出位置の部位が造形品質要確認部位ではないと判断した場合はステップS230に進み、制御部23によって現在の検出位置の部位が造形品質要確認部位であると判断した場合はステップS240に進む。なお、センサー部26による検出位置は、なるべくノズル10からの吐出位置に近いことが好ましい。
【0073】
ステップS230では、センサー部26をオフとし、センサー部26をオフとした状態で造形処理を行う。すなわち、センサー部26の検出結果に基づくフィードバック処理をすることなく造形処理を行う。例えば、図5で表される積層体O1を形成する場合、センサー部26の検出位置が内側領域115に対応する場合は、センサー部26をオフとした状態で造形処理を行う。
【0074】
一方、ステップS240では、センサー部26をオンとし、センサー部26をオンとした状態で造形処理を行う。すなわち、センサー部26の検出結果に基づいてフィードバック処理をしつつ造形処理を行う。例えば、図5で表される積層体O1を形成する場合、センサー部26の検出位置が輪郭領域113に対応する場合は、センサー部26をオンとした状態で造形処理を行う。
【0075】
なお、ステップS210からステップS240までのステップは、N層に対応する1層分のデータに基づいて、1層分の造形処理が終了するまで繰り返し連続して行われる。そして、N層の造形処理が終了すると、ステップS280に進む。
【0076】
そして、ステップS280では、制御部23は、造形する積層体Oに関する全層分、すなわち、三次元造形装置1が入力した全データ分の造形処理が終了したか否かを判断する。造形する積層体Oに関する全層分の造形処理が終了していないと判断した場合は、ステップS210に戻り、次の層であるN+1層目の造形を開始する。すなわち、造形する積層体Oに関する全層分の造形処理が終了するまでステップS210からステップS280を繰り返す。そして、造形する積層体Oに関する全データ分の造形処理が終了したと判断した場合は、本実施例の三次元造形物の製造方法を終了する。
【0077】
次に、図12のフローチャートで表される三次元造形物の製造方法の実施例について図8を参照して説明する。図12のフローチャートで表される三次元造形物の製造方法も、図11のフローチャートで表される三次元造形物の製造方法と同様、層を積層して積層体Oを造形する際に、三次元造形装置1が入力したデータに基づいて、1層分の層のうちの部位ごとにセンサー部26の制御方法を変えて積層体Oを造形する方法である。
【0078】
なお、図12のフローチャートで表される三次元造形物の製造方法は、ステップS210からステップS230及びステップS280は、図11のフローチャートで表される三次元造形物の製造方法におけるステップS210からステップS230及びステップS280と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0079】
本実施例の三次元造形物の製造方法においては、ステップS220でセンサー部26による現在の検出位置の部位が造形品質要確認部位であると判断すると、ステップS250に進む。そして、ステップS250では、制御部23は、センサー部26の現在の検出位置の部位が造形品質重要確認部位であるか否かを判断する。具体的には、制御部23は、造形する積層体Oの1層分のデータに基づいて、造形品質要確認部位のうちの特に高い造形品質が要求される部位である造形品質重要確認部位と、それ以外の部位と、を判断する。そして、制御部23は、該1層分のデータからセンサー部26の現在の検出位置の部位が造形品質重要確認部位であるか否かを判断する。
【0080】
ここで、上記のように、図8で表される積層体O3は、三次元造形物領域110に、輪郭領域113及び内側領域115に加えて、幅の狭いアーチ状の薄壁状領域114を有している。このうち、輪郭領域113と薄壁状領域114は三次元造形物の形状を決める領域であるので高精度に造形を行う必要がある。そこで、図12のフローチャートで表される三次元造形物の製造方法の実施例においては、輪郭領域113と薄壁状領域114を造形品質要確認部位とし、内側領域115を造形品質確認不要部位として、1層分の層のうちの部位ごとにセンサー部26の制御方法を変えて積層体Oを造形する。また、造形品質要確認部位としての輪郭領域113と薄壁状領域114においては、薄壁状領域114のほうがさらに高精度に造形を行う必要がある。そこで、図12のフローチャートで表される三次元造形物の製造方法の実施例においては、薄壁状領域114を造形品質重要確認部位とし、輪郭領域113をそれ以外の部位として、1層分の層のうちの部位ごとにセンサー部26の制御方法を変えて積層体Oを造形する。
【0081】
ステップS260では、センサー部26をオンとし、センサー部26の検出結果に基づいて、高頻度でフィードバック処理をしつつ造形処理を行う。例えば、図8で表される積層体O3を形成する場合、センサー部26の検出位置が薄壁状領域114に対応する場合は、センサー部26をオンとして高頻度でフィードバック処理をしつつ造形処理を行う。
【0082】
一方、ステップS270では、センサー部26をオンとし、センサー部26の検出結果に基づいて、ステップS260でのフィードバック処理の頻度よりも低頻度でフィードバック処理をしつつ造形処理を行う。例えば、センサー部26の検出位置が輪郭領域113に対応する場合は、センサー部26をオンとして低頻度でフィードバック処理をしつつ造形処理を行う。フィードバック処理を高頻度で行うか低頻度で行うかは、センサー部26による検出回数を変えることで行ってもよいが、センサー部26による検出回数は共通にしてフィードバック処理で使用する検出結果の採用回数を変えることで行ってもよい。
【0083】
なお、ステップS210からステップS270は、造形する積層体Oの1層分のデータに基づいて、N層目の造形中、所定の造形単位としての部位ごとに連続して行われる。そして、N層の造形処理が終了すると、ステップS280に進む。
【0084】
上記のように、本実施形態の三次元造形装置1は、制御部23の制御により、センサー部26の検出結果に基づいて積層体Oの造形の際における三次元造形装置1の駆動を制御するフィードバック処理を、積層体Oのうちの第1部分としての造形品質要確認部位を造形する場合は第1制御(ステップS140及びステップS240)としてのフィードバック処理を行う制御で実行し、積層体Oのうちの第1部分とは異なる第2部分(造形品質確認不要部位)を造形する場合はフィードバック処理を行わない第2制御(ステップS130及びステップS230)で実行することができる。
【0085】
また、別の表現をすると、本実施形態の三次元造形装置1は、制御部23の制御により、センサー部26の検出結果に基づいて積層体Oの造形の際における三次元造形装置1の駆動を制御するフィードバック処理を、積層体Oのうちの第1部分としての造形品質重要確認部位を造形する場合は第1制御(ステップS160及びステップS260)としての高頻度でフィードバック処理を行う制御で実行し、積層体Oのうちの第1部分とは異なる第2部分(造形品質要確認部位のうちの造形品質重要確認部位以外の部位)を造形する場合は第1制御とは異なる第2制御(ステップS170及びステップS270)で実行し、第1制御と第2制御とで、フィードバック処理の実行頻度を異ならせることができる。
【0086】
このように、本実施形態の三次元造形装置1は、第1部分を造形する場合と第2部分を造形する場合とでフィードバック処理の実行頻度を異ならせることができる。すなわち、高い造形精度を必要とする部分を造形する場合はフィードバック処理の実行頻度を高くし、高い造形精度を必要としない部分を造形する場合はフィードバック処理の実行頻度を低くすることができる。このため、本実施例の三次元造形装置1は、三次元造形物の造形動作全体でのフィードバック処理の実行頻度を低くすることができ、三次元造形物の造形精度の低下を抑制しつつ造形時間を短縮することができる。
【0087】
図9及び図10のフローチャートで表されるように、本実施形態の三次元造形装置1は、制御部23の制御により、層ごとに異なるフィードバック処理をしつつ造形処理を実行することができる。別の表現をすると、制御部23は、層ごとに第1部分か第2部分かを判断し、層ごとにフィードバック処理の実行頻度を異ならせることができる。このため、本実施形態の三次元造形装置1は、フィードバック処理を簡単にすることができ、三次元造形物の造形時間を特に短縮することができる。
【0088】
一方、図11及び図12のフローチャートで表されるように、本実施形態の三次元造形装置1は、同じ層内の異なる部位ごとに異なるフィードバック処理をしつつ造形処理を実行することができる。別の表現をすると、本実施形態の三次元造形装置1は、第1部分と第2部分とを同じ層内の異なる部位として、同じ層内で異なる部位ごとに第1部分か第2部分かを判断し、同じ層内の異なる部位ごとにフィードバック処理の実行頻度を異ならせることができる。このため、本実施形態の三次元造形装置1は、高い造形精度を必要とする部分と高い造形精度を必要としない部分とを詳細に判断でき、三次元造形物の造形精度の低下を効果的に抑制することができる。
【0089】
図9から図12のフローチャートで表される三次元造形物の製造方法においては、造形処理におけるフィードバック処理の頻度を層ごとまたは部位ごとに変えている。ここで、本実施形態の三次元造形装置1においては、制御部23は、センサー部26による検出頻度を第1制御と第2制御とで異ならせることで、フィードバック処理の実行頻度を異ならせることができる。このため、本実施形態の三次元造形装置1は、センサー部26による検出頻度を減らして、三次元造形物の造形動作全体でのフィードバック処理の実行頻度を低くすることができる。
【0090】
さらに詳細には、上記のように、本実施形態の三次元造形装置1は、第1部分を第2部分よりも高い造形精度が求められる部分として、制御部23の制御により、第1制御における検出頻度を第2制御における検出頻度よりも高くすることができる。このため、本実施形態の三次元造形装置1は、効率的に三次元造形物の造形精度の低下を抑制しつつ造形時間を短縮することができる。
【0091】
ここで、本実施形態の三次元造形装置1においては、図9から図12のフローチャートにおけるステップS130及びステップS230で表されるように、制御部23は、第2制御においてはセンサー部26による検出を行わせないようにすることができる。このため、本実施形態の三次元造形装置1は、三次元造形物の造形動作全体でのフィードバック処理の実行頻度を特に効率的に低くすることができる。
【0092】
一方で、本実施形態の三次元造形装置1においては、制御部23は、センサー部26による検出頻度を第1制御と第2制御とで異ならせるのではなく、センサー部26による検出結果の採用頻度を第1制御と第2制御とで異ならせることで、フィードバック処理の実行頻度を異ならせることもできる。すなわち、例えば、センサー部26による検出頻度を第1制御と第2制御とで同じ頻度とした状態で、センサー部26による検出結果の採用頻度を第1制御と第2制御とで異ならせることで、フィードバック処理の実行頻度を異ならせることもできる。このため、本実施形態の三次元造形装置1は、センサー部26による検出結果の採用頻度を減らして、三次元造形物の造形動作全体でのフィードバック処理の実行頻度を低くすることができる。なお、センサー部26による検出頻度を第1制御と第2制御とで異ならせるとともに、センサー部26による検出結果の採用頻度を第1制御と第2制御とで異ならせてもよい。
【0093】
さらに詳細には、上記のように、本実施形態の三次元造形装置1は、第1部分を第2部分よりも高い造形精度が求められる部分として、制御部23の制御により、第1制御におけるセンサー部26による検出結果の採用頻度を第2制御におけるセンサー部26による検出結果の採用頻度よりも高くすることができる。このため、本実施形態の三次元造形装置1は、効率的に三次元造形物の造形精度の低下を抑制しつつ造形時間を短縮することができる。
【0094】
ここで、本実施形態の三次元造形装置1においては、図9から図12のフローチャートにおけるステップS130及びステップS230で表されるように、制御部23は、第2制御においてはセンサー部26による検出を行わせないようにすることができる。このため、本実施形態の三次元造形装置1は、三次元造形物の造形動作全体でのフィードバック処理の実行頻度を特に効率的に低くすることができる。
【0095】
上記のように、本実施形態の三次元造形装置1は、センサー部26が有するセンサーとして第1センサーとしての温度センサー26Aと、ノズル10から吐出された造形材料を加熱する第1加熱部としてのヒーター25と、を備えている。そして、制御部23は、温度センサー26Aによる検出結果に応じて、ヒーター25による加熱温度を制御するフィードバック処理を実行することができる。このため、本実施形態の三次元造形装置1は、造形中の積層体の温度に応じてフィードバック処理を実行することができる。
【0096】
また、上記のように、本実施形態の三次元造形装置1は、固形材料を加熱して造形材料を生成する可塑化部27と、センサー部26が有するセンサーとして第2センサーとしてのビデオカメラ26Bと、を備えている。そして、可塑化部27は、駆動モーター6、駆動モーター6によって回転するスクリューであるフラットスクリュー4及び第2加熱部としてのヒーター7を有し、固形材料であるペレット19をヒーター7で加熱しつつフラットスクリュー4を回転することで造形材料を生成する。ここで、制御部23は、ビデオカメラ26Bによる検出結果に応じて、ヒーター7による加熱温度及びフラットスクリュー4の回転の少なくとも一方を制御してフィードバック処理を実行することができる。このため、本実施形態の三次元造形装置1は、簡単な方法でフィードバック処理を実行することができる。なお、本実施形態の三次元造形装置1では第2センサーとしてビデオカメラ26Bを備える構成としたが、第2センサーはノズル10から吐出された造形材料の吐出状態を検出することが可能な構成であればビデオカメラ26Bに限定されない。
【0097】
なお、本実施形態の三次元造形装置1における可塑化部27は、溝44が形成された溝形成面41を有するフラットスクリュー4と、溝形成面41に対向する対向面52を有し、ノズル10に連通する連通孔51が設けられたバレル5と、を有している。そして、可塑化部27は、ヒーター7による加熱とフラットスクリュー4の回転によって、フラットスクリュー4とバレル5との間に供給された固形材料を加熱しつつ連通孔51に向けて搬送し、造形材料を生成することができる。このため、本実施形態の三次元造形装置1は、効率的に固形材料を可塑化して造形材料を生成することができる。
【0098】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0099】
1…三次元造形装置、2…ホッパー、3…供給管、4…フラットスクリュー、
5…バレル、6…駆動モーター、7…ヒーター(第2加熱部)、9…ヒーター、
10…ノズル、10a…吐出口、10b…流路、11…圧力測定部、
12…流量調節機構、13…吸引部、14…テーブル、14a…造形面、
15…移動機構、19…ペレット、23…制御部、25…ヒーター(第1加熱部)、
26…センサー部(センサー)、26A…温度センサー(第1センサー)、
26B…ビデオカメラ(第2センサー)、27…可塑化部、41…溝形成面、
42…中央部、43…凸状部、44…溝、45…材料流入口、51…連通孔、
52…対向面、53…案内溝、100…吐出ユニット、105…支持台領域、
110…三次元造形物領域、111…オーバーハング領域、113…輪郭領域、
114…薄壁状領域、115…内側領域、121…バタフライバルブ、
122…バルブ駆動部、123…駆動軸、131…送出路、132…吸引部駆動部、
133…送出口、O…積層体、O1…積層体、O2…積層体、O3…積層体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12