(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
G06V 40/18 20220101AFI20240507BHJP
【FI】
G06V40/18
(21)【出願番号】P 2021554440
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(86)【国際出願番号】 JP2019043285
(87)【国際公開番号】W WO2021090366
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】荻野 有加
(72)【発明者】
【氏名】蝶野 慶一
【審査官】鈴木 圭一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/016846(WO,A1)
【文献】特開2004-167046(JP,A)
【文献】特開2018-109935(JP,A)
【文献】特開2002-122899(JP,A)
【文献】特開2017-151556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 40/18
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証対象者の顔を撮像する可視光カメラと、
前記可視光カメラが収容された筺体において垂直方向の異なる高さに配置され、前記認証対象者の虹彩を含む両目の画像を撮像する複数の赤外光カメラと、
複数の前記赤外光カメラの各々の受光面を覆いつつ、前記可視光カメラの受光面を覆わないように前記筺体に設けられ、赤外域に通過帯域を有し、可視域に阻止帯域を有する光学フィルタと、
前記複数の赤外光カメラから前記認証対象者の目の領域を撮像するための赤外光カメラを選択し、
前記複数の赤外光カメラにそれぞれ対応する高さに設置された複数の視線誘導部のうち前記選択された赤外光カメラに対応する視線誘導部の発光を制御し、前記選択された赤外光カメラに対応する視線誘導部を見るよう表示部の表示を制御し、前記認証対象者の両目間の距離と目の通常の大きさとに基づいて、
前記選択
された赤外光カメラにおいて高速で読み出すべき注視領域を決定し、前記注視領域に前記虹彩が含まれるように
前記選択
された赤外光カメラの撮像処理を制御する制御装置と、
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記光学フィルタは、前記可視域の光を反射する鏡面を有する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
複数の前記赤外光カメラの各々の受光面は、一つの前記光学フィルタによって、纏めて覆われる、
請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記可視光カメラの受光面を覆うように設けられたハーフミラーを更に備える、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記ハーフミラーは、前記認証対象者側から入射する前記可視域の光の一部を反射しつつ他の部分を前記可視光カメラ側に透過する、
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
複数の前記赤外光カメラは、前記認証対象者の両目の前記虹彩を同時に撮像する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
虹彩認証に関する情報を表示する表示部を更に備える、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
装置の稼動状況を示すインジケータを更に備える、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
複数の前記赤外光カメラは、鉛直方向に並んで配置されている、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載された撮像装置と、
前記赤外光カメラで撮像された虹彩画像に基づいて前記認証対象者の虹彩認証を実行する認証装置と、
を備える、虹彩認証システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、虹彩認証に用いられる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、認証対象者の通行経路の傍に遠方から虹彩を撮影できる虹彩カメラを鉛直方向に複数個並べて配置しておき、認証装置が当該虹彩カメラで撮像された虹彩画像を用いて認証対象者の虹彩認証を行う虹彩認証システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に例示されている虹彩認証システムにおいては、認証対象者の視線が、複数の虹彩カメラのうち、虹彩画像の撮像に最適な高さに配置されている虹彩カメラ以外のカメラに向いてしまうと、虹彩認証の精度低下を招く可能性があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑み、虹彩認証の精度を向上できる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、認証対象者の顔を撮像する可視光カメラと、前記可視光カメラが収容された筺体において垂直方向の異なる高さに配置され、前記認証対象者の虹彩を含む両目の画像を撮像する複数の赤外光カメラと、複数の前記赤外光カメラの各々の受光面を覆いつつ、前記可視光カメラの受光面を覆わないように前記筺体に設けられ、赤外域に通過帯域を有し、可視域に阻止帯域を有する光学フィルタと、前記複数の赤外光カメラから前記認証対象者の目の領域を撮像するための赤外光カメラを選択し、前記複数の赤外光カメラにそれぞれ対応する高さに設置された複数の視線誘導部のうち前記選択された赤外光カメラに対応する視線誘導部の発光を制御し、前記選択された赤外光カメラに対応する視線誘導部を見るよう表示部の表示を制御し、前記認証対象者の両目間の距離と目の通常の大きさとに基づいて、前記選択された赤外光カメラにおいて高速で読み出すべき注視領域を決定し、前記注視領域に前記虹彩が含まれるように前記選択された赤外光カメラの撮像処理を制御する制御装置と、を備える撮像装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、虹彩認証の精度を向上できる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態における虹彩認証システムの全体構成例を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態における撮像装置の斜視図である。
【
図3】第1実施形態における撮像装置の正面図である。
【
図4】第1実施形態における撮像装置の透過側面図である。
【
図5】第1実施形態における撮像装置の鉛直方向における視野範囲を説明する図である。
【
図6】第1実施形態における制御装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図7】第1実施形態における認証装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図8】第1実施形態における虹彩認証システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図9】第2実施形態における撮像装置の斜視図である。
【
図10】第2実施形態における虹彩認証システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図11】第3実施形態における撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【
図12】変形実施形態における撮像装置の正面図である。
【
図13】変形実施形態における撮像装置の斜視図である。
【
図14】変形実施形態における撮像装置の正面図である。
【
図15】変形実施形態における撮像装置の正面図である。
【
図16】変形実施形態における撮像装置の正面図である。
【
図17】変形実施形態における撮像装置の正面図である。
【
図18】変形実施形態における撮像装置の正面図である。
【
図19】変形実施形態における撮像装置の正面図である。
【
図20】変形実施形態における撮像装置の正面図である。
【
図21】変形実施形態における撮像装置の正面図である。
【
図22】変形実施形態における撮像装置の正面図である。
【
図23】変形実施形態における撮像装置の正面図である。
【
図24】変形実施形態における撮像装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の例示的な実施形態を説明する。図面において同様の要素又は対応する要素には同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化することがある。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、虹彩認証システム1の全体構成例を示すブロック図である。虹彩認証システム1は、認証対象者であるユーザUの虹彩を撮像し、撮像画像と登録されている虹彩画像とを照合することにより認証を行う。虹彩の模様は、万人不同かつ終生不変である。そのため、認証処理時に取得した虹彩の模様と、データベースに予め登録されている虹彩画像とを照合することにより本人確認が可能である。
【0011】
本実施形態における虹彩認証システム1は、例えば、各種施設への入退場のための本人確認、空港・海港・国境における入出国のための本人確認、行政機関における本人確認等に適用され得る。
【0012】
図1に示されるように、虹彩認証システム1は、撮像装置10、制御装置20及び認証装置30を備える。各装置は、LAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークNWに接続されている。
【0013】
撮像装置10は、制御装置20から入力された制御情報に基づいて認証領域に存在するユーザUを撮像し、撮像した画像を制御装置20へ出力する。本実施形態における撮像装置10は、可視光カメラ11、虹彩撮像用カメラ12、バンドパスフィルタ13、ハーフミラー14及び表示部15を備える。
【0014】
可視光カメラ11は、ユーザUの顔、目等の画像を可視光により撮像する撮像装置である。可視光カメラ11は、認証対象者の顔の少なくとも一部を含む全体画像(第1画像)を撮像する。可視光カメラ11には、制御装置20における画像処理に適するように、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等を用いたデジタルカメラが用いられ得る。なお、可視光カメラ11は、ユーザUに向けて照明光を照射する光源を更に備え得る。
【0015】
虹彩撮像用カメラ12は、赤外光照射装置12a及び赤外光カメラ12bからなる撮像装置であり、ユーザUの眼の画像(第2画像)を赤外光により撮像する。すなわち、本実施形態における撮像装置10は、異なる波長域の光でユーザUをそれぞれ撮像する2種類のカメラを有している。
【0016】
赤外光照射装置12aは、赤外光LED等の赤外光を発する発光素子を含む。赤外光照射装置12aから照射される赤外光の波長は、例えば、800nm程度の近赤外領域であり得る。
【0017】
赤外光カメラ12bは、赤外光に対して感度を有するように構成された受光素子を含む。赤外光カメラ12bは、CMOSメージセンサ、CCDイメージセンサ等を用いたデジタルカメラが用いられ得る。赤外光照射装置12aから赤外光をユーザUの目に照射し、虹彩で反射した赤外光を赤外光カメラ12bで撮像することにより、虹彩認証に用いられる虹彩画像を含む目の画像を取得する。赤外光により撮像された虹彩画像を取得することにより、虹彩の色によらず高コントラストな画像が得られ、かつ角膜による反射の影響を低減することができる。
【0018】
バンドパスフィルタ13は、赤外域に通過帯域を有し、可視域に阻止帯域を有する光学フィルタである。すなわち、バンドパスフィルタ13は、ユーザU側から入射する可視光を透過させず、所望の波長の赤外光を選択的に透過させることができる。
【0019】
ハーフミラー14は、ユーザU側から入射する可視光の一部を反射しつつ、可視光の他の部分を透過する。また、本実施形態におけるバンドパスフィルタ13及びハーフミラー14は、可視光を反射する鏡面を有している。これにより、ユーザUは、バンドパスフィルタ13及びハーフミラー14の鏡面に映っている自身の顔を確認できる。
【0020】
表示部15は、液晶ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等であって、動画、静止画、文字等により虹彩認証に関連する情報を表示する。表示部15の表示態様は、例えば、「通行可」、「通行不可」等の文字、「丸印」、「X印」等の図形、「赤色」、「緑色」等の色等により進入の可否を示すものであり得るが、特に限定されない。
【0021】
制御装置20は、撮像装置10における各種の処理を制御するサーバ等のコンピュータである。具体的には、制御装置20は、可視光カメラ11で撮像された全体画像に基づいてユーザU(認証対象者)の目の位置を検出し、ユーザUの目の高さに応じた赤外光カメラ12bを選択し、ユーザUの虹彩を撮像させる。
【0022】
また、制御装置20は、赤外光カメラ12bで撮像された目の画像から虹彩画像を抽出するとともに、当該虹彩画像に基づく虹彩認証の実行を認証装置30に要求する。そして、制御装置20は、認証装置30における認証結果を表示部15に表示する。なお、表示部15に文字等が表示されている状態においては、ユーザUの視線が表示部15の方に誘導され易いことから、制御装置20は赤外光カメラ12bによってユーザUの虹彩を撮像する前に表示部15を非表示に制御すると好適である。
【0023】
認証装置30は、制御装置20からの認証要求に応じて認証処理を実行するサーバ等のコンピュータである。具体的には、認証装置30は、赤外光カメラ12bによって撮像された虹彩画像(あるいは特徴量)と、生体情報データベース31に登録された登録虹彩画像(あるいは特徴量)との照合処理を実行し、その照合結果に基づいてユーザUの認証を行う。
【0024】
生体情報データベース31は、登録者の生体情報を記憶するデータベースである。具体的には、生体情報データベース31は、登録者の左右の目の画像、目の画像から検出された虹彩画像、虹彩画像から算出された虹彩の特徴量等を登録者のIDと関連付けて記憶する。なお、生体情報データベース31は、認証装置30から独立した別の装置として構成される場合もあり得る。
【0025】
続いて、
図2乃至
図4を参照しながら、撮像装置10の構造について説明する。
図2は、撮像装置10の斜視図である。
図3は、撮像装置10の正面図である。
図4は、撮像装置10の透過側面図である。
【0026】
図2では、バンドパスフィルタ13、ハーフミラー14及び表示部15は、筺体16の同一面側に配置されている。バンドパスフィルタ13は、鉛直方向においてハーフミラー14の上方に配置されている。一方、表示部15は、鉛直方向においてハーフミラー14の下方に配置されている。なお、筺体16の内部には、上述した可視光カメラ11及び虹彩撮像用カメラ12が収容される(
図3及び
図4参照)。
【0027】
また、筺体16の底部は、支柱17の上端部に接続されている。支柱17の長さは、認証対象者の身長の範囲に応じて適宜変更され得る。また、支柱17には、可視光カメラ11、虹彩撮像用カメラ12(赤外光照射装置12a/赤外光カメラ12b)及び表示部15の電源ケーブル(不図示)を中心軸に沿って通せる内部空間が形成されていると好適である。支柱17の下端部は、円盤形状の支持台18に接続されている。
【0028】
図3では、バンドパスフィルタ13と、ハーフミラー14と、表示部15の前面を覆うカバー15a(
図4参照)とを筺体16から取り外した状態が示されている。
図3及び
図4に示されるように、正面視で筺体16の左側には、4台の赤外光照射装置12aが鉛直方向、かつ、一直線上に並んで配置されている。また、4台の赤外光照射装置12aの右側には、3台の赤外光カメラ12bが鉛直方向、かつ、一直線上に並んで配置されている。
【0029】
図4に示されるように、バンドパスフィルタ13は、複数の赤外光カメラ12bの各々の受光面を覆いつつ、可視光カメラ11の受光面を覆わないように筺体16に1つのみ設けられている。このため、所定の波長の赤外光のみが赤外光カメラ12bに選択的に入射できる。また、筺体16への取り付けが容易であり、かつ、製造コストも抑制できる利点がある。
【0030】
一方、ハーフミラー14は、可視光カメラ11の受光面を覆うように設けられている。赤外光は可視光カメラ11へ入射されないため、制御装置20は全体画像の中からユーザUの顔(特に、目)を高精度で検出できる。
【0031】
また、可視光カメラ11は、赤外光カメラ12b及びバンドパスフィルタ13の下方に配置されている。このため、可視光カメラ11は、赤外光カメラ12b及びバンドパスフィルタ13の上方に配置される場合よりもユーザUの顔を撮像し易くなる。
【0032】
また、3台の赤外光カメラ12bは、鉛直方向において一定の間隔D1で配置されている。これにより、撮像対象となるユーザUの目の高さ位置(あるいは身長の範囲)と虹彩の撮像に用いる赤外光カメラ12bとの対応付けが、容易になっている。なお、最も低い位置にある赤外光カメラ12bと可視光カメラ11との間隔D2は、間隔D1と異なる長さでもよいし、同じ長さでもよい。
【0033】
また、表示部15の前面には、アクリル樹脂等から形成された透明なカバー15aが設けられている。なお、カバー15aの代わりにハーフミラー14を設けてもよい。
【0034】
更に、3台の赤外光カメラ12bの各々の受光面は、鉛直方向において異なる高さの位置で一直線上に並んでいる。これにより、複数の赤外光カメラ12bの各々の焦点位置は、鉛直方向において一直線上に揃う。
【0035】
なお、複数の赤外光カメラ12bの各々は、ユーザUの両目の虹彩を同時に撮像することができるように画角の設定がなされていることが望ましい。この場合、一度の撮像で片目だけを撮像する場合と比べて多くの特徴を取得することができる。
【0036】
図5は、撮像装置10の鉛直方向における視野範囲を説明する図である。ここでは、撮像装置10が配置されている位置P0から焦点距離FLにある位置P1までユーザUが移動したときに、3台の赤外光カメラ12bのいずれかによって撮像処理が行われる場合が示されている。また、鉛直方向に並んでいる3台の赤外光カメラ12bの視野範囲は、それぞれ破線により示されている。視野範囲AとB、BとCは、位置P1において一部の領域がそれぞれ重なり合っている。そして、3つの視野範囲A、B、Cは、全体として1つの大きな視野範囲を形成する。当該視野範囲の鉛直方向における長さは、符号Hにより示されている。なお、当該視野範囲の水平方向の長さは、3台の赤外光カメラ12bの間で共通であるものとする。また、可視光カメラ11の視野範囲Dは、ユーザUの全身を撮像できるように広く設定されている。例えば、可視光カメラ11から焦点距離FLだけ離れた位置において、視野範囲Dは、鉛直方向に、地面から約3mの高さまでを含むように、可視光カメラ11の画角が設定される。これにより、ユーザUが赤外光カメラ12bの焦点距離FLにいるとき、可視光カメラ11は、ユーザUの身長によらずにユーザUの足元から頭部までを概ね撮像できる。
【0037】
一般に、虹彩認証を高精度で行うためには、ユーザUが被写界深度に存在する間に高フレームレートで高解像度の画像を撮像する必要がある。しかし、汎用のカメラ1台によって要求される撮像画像の水準を満たすことは困難である。
【0038】
これに対し、本実施形態の撮像装置10では、赤外光カメラ12bを鉛直方向に3台並べて配置するとともに、ユーザUの目領域を撮像する赤外光カメラ12bを選択する。この際、制御装置20は、選択した赤外光カメラ12bにおいて高速に読み出す注視領域も決定する。注視領域は、例えば水平方向に並ぶ両目の距離及び一般的な目の大きさを考慮して決定される。制御装置20は、注視領域内に虹彩が含まれるように撮像装置10の撮像処理を制御する。これにより、制御装置20は、高解像度の虹彩画像を取得できる。すなわち、汎用の赤外光カメラ12bを用いる場合でも、虹彩認証において要求される撮像画像の水準を満たすことができる。
【0039】
図6は、制御装置20のハードウェア構成例を示すブロック図である。制御装置20は、演算、制御及び記憶を行うコンピュータとして、CPU(Central Processing Unit)201、RAM(Random Access Memory)202、ROM(Read Only Memory)203、HDD(Hard Disk Drive)204、通信I/F(インターフェース)205、表示装置206及び入力装置207を備える。CPU201、RAM202、ROM203、HDD204、通信I/F205、表示装置206及び入力装置207は、バス208等を介して相互に接続される。
【0040】
CPU201は、ROM203及びHDD204に記憶されたプログラムに従って所定の動作を行うとともに、制御装置20の各部を制御する機能を有するプロセッサである。RAM202は、揮発性記憶媒体から構成され、CPU201の動作に必要な一時的なメモリ領域を提供する。ROM203は、不揮発性記憶媒体から構成され、制御装置20の動作に用いられるプログラム等の必要な情報を記憶する。HDD204は、不揮発性記憶媒体から構成され、処理に必要なデータ、制御装置20の動作用プログラム等の記憶を行う記憶装置である。
【0041】
通信I/F205は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、4G等の規格に基づく通信インターフェースであり、他の装置との通信を行うためのモジュールである。
【0042】
表示装置206は、液晶ディスプレイ、OLEDディスプレイ等であって、動画、静止画、文字等の表示に用いられる。
【0043】
入力装置207は、キーボード、ポインティングデバイス、ボタン等であって、制御装置20の管理者による操作を受け付ける。表示装置206及び入力装置207は、タッチパネルとして一体に形成されていてもよい。
【0044】
図7は、認証装置30のハードウェア構成例を示すブロック図である。認証装置30は、CPU301、RAM302、ROM303、HDD304、通信I/F305、表示装置306及び入力装置307を備える。CPU301、RAM302、ROM303、HDD304、通信I/F305、表示装置306及び入力装置307は、バス308等を介して相互に接続される。認証装置30の各装置の機能は、上述した制御装置20と同様である。
【0045】
なお、
図6及び
図7に示されているハードウェア構成は一例であり、これら以外の装置が追加されていてもよく、一部の装置が設けられていなくてもよい。また、一部の装置が同様の機能を有する別の装置に置換されていてもよい。また、本実施形態の一部の機能がネットワークNWを介して他の装置により提供されてもよく、本実施形態の機能が複数の装置に分散されて実現されてもよい。このように、
図7及び
図8に示されているハードウェア構成は適宜変更可能である。
【0046】
図8は、本実施形態における虹彩認証システム1の処理の一例を示すシーケンス図である。
【0047】
先ず、可視光カメラ11は、認証領域に存在するユーザUを撮像すると(ステップS101)、ユーザUの全体画像を制御装置20へ出力する(ステップS102)。ステップS101及びステップS102の処理は、一定周期で繰り返し行われる。
【0048】
次に、制御装置20は、可視光カメラ11から受信した全体画像の中からユーザUの顔を検出すると(ステップS103)、ユーザUの目の高さ位置を算出する(ステップS104)。
【0049】
次に、制御装置20は、複数の赤外光カメラ12bのうちから、ステップS104において算出された目の高さに応じた赤外光カメラ12bを1台選択する(ステップS105)。
【0050】
次に、制御装置20は、ステップS105において選択した赤外光カメラ12bに対してユーザUの虹彩を撮像させる撮像制御情報を出力する(ステップS106)。すなわち、制御装置20は、ユーザUの顔に向けて複数の赤外光照射装置12aから赤外光を照射させるとともに、ユーザUの目の高さ位置を視野範囲に含む赤外光カメラ12bにユーザUの目を撮像させる制御を行う。
【0051】
なお、赤外光は、複数の赤外光照射装置12aのうち、少なくともユーザUの目の高さ位置に応じた赤外光照射装置12aからユーザUの顔方向に照射される。例えば、
図3の例では、最も高い位置にある赤外光カメラ12bで撮像処理を行う場合には、当該撮像処理と同期して、最も高い位置と中央の位置の一方あるいは両方の赤外光照射装置12aからユーザUの顔方向に赤外光を照射するとよい。
【0052】
次に、赤外光カメラ12bは、制御装置20から受信した撮像制御情報に基づいてユーザUの目を撮像すると(ステップS107)、目の画像を制御装置20へ出力する(ステップS108)。なお、本実施形態において複数の赤外光カメラ12bの各々が撮像する目の画像の大きさは、1画像に両目を含むように設定されている。ステップS107及びステップS108の処理は、所定のフレームレートで繰り返し実行される。
【0053】
次に、制御装置20は、赤外光カメラ12bからユーザUの目の画像を取得すると、当該目の画像において両目の虹彩の位置を特定し、両目分の虹彩画像を抽出する(ステップS109)。
【0054】
次に、制御装置20は、ユーザUの両目分の虹彩画像に基づく認証要求を認証装置30へ送信する(ステップS110)。
【0055】
認証装置30は、制御装置20から認証要求を受信すると、ユーザUの両目分の虹彩画像と、生体情報データベース31に予め記憶されている登録者の虹彩画像とを照合する。認証装置30は、当該照合処理の照合結果に基づいて虹彩認証を実行し(ステップS111)、制御装置20へ認証結果を送信する(ステップS112)。
【0056】
制御装置20は、認証装置30から認証結果を受信すると、表示部15に認証結果を表示させる表示制御情報を出力する(ステップS113)。表示部15は、制御装置20から入力された表示制御情報に基づいて認証結果を画面表示する(ステップS114)。
【0057】
一般に虹彩認証等の画像を用いた認証方法では、ユーザの顔を正面から撮像した画像を用いることで認証精度が向上する。しかし、ユーザUが外部から複数のカメラを視認できる状態の場合には、ユーザUは虹彩画像の撮像に最適な高さにあるカメラ以外のカメラの方を見てしまう問題が生じ得る。
【0058】
これに対し、本実施形態では、複数の赤外光カメラ12bの各々の受光面は、一つのバンドパスフィルタ13(光学フィルタ)によって、纏めて覆われる。すなわち、本実施形態の撮像装置10は、ユーザUが複数の赤外光カメラ12bを外部から視認できない構成であるため、ユーザUは撮像装置10に対して自然と正面を向くようになり、上述のような問題は生じない。以上により、本実施形態によれば、撮像装置10はユーザUの顔を正面に位置する赤外光カメラ12bによって撮像できるため、認証装置30はユーザUの虹彩認証をより高精度に行うことができる。
【0059】
特に、本実施形態におけるバンドパスフィルタ13は、ユーザU側から見たときに鏡面として視認される。バンドパスフィルタ13にはユーザUの像が映る。ユーザUは、バンドパスフィルタ13に映る自身の顔を直視するため、撮像装置10に対して自然と正対する。このように、ユーザUが自身の顔を鏡面上で確認し易く構成されているため、虹彩認証の精度を更に向上させることができる。
【0060】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態における虹彩認証システム1について説明する。以下では主として第1実施形態との相違点について説明するものとし、共通部分については説明を省略又は簡略化する。
【0061】
図9は、本実施形態における撮像装置10の斜視図である。
図9に示されるように、本実施形態における撮像装置10は、バンドパスフィルタ13の面内に3つの視線誘導部101を更に備えている。3つの視線誘導部101は、
図3に示す3つの赤外光カメラ12bの位置と対応する高さに配置されている。視線誘導部101は、複数の赤外光カメラ12bのいずれかの高さにユーザUの視線を誘導するための部材である。
【0062】
また、撮像装置10は、筺体16の側面にインジケータ102を更に備えている。インジケータ102は、装置の稼動状況を示す部材である。視線誘導部101及びインジケータ102としては、例えば複数種の色で発光可能なLED等が用いられると好適である。
【0063】
制御装置20は、例えば、最も高い位置にある赤外光カメラ12bにおいて撮像処理を実行させる場合には、最も高い位置にある視線誘導部101のみを発光させることでユーザUの視線を所望の方向に誘導できる。また、インジケータ102は、例えば、「赤色」により「装置の停止中」、「緑色」により「装置の稼働中」の稼働状況を示すものであり得るが、特に限定されない。
【0064】
図10は、本実施形態における虹彩認証システム1の処理の一例を示すシーケンス図である。
【0065】
先ず、可視光カメラ11は、認証領域に存在するユーザUを撮像すると(ステップS201)、ユーザUの全体画像を制御装置20へ出力する(ステップS202)。ステップS201及びステップS202の処理は、一定周期で繰り返し行われる。
【0066】
次に、制御装置20は、可視光カメラ11から受信した全体画像の中からユーザUの顔を検出すると(ステップS203)、ユーザUの目の高さ位置を算出する(ステップS204)。
【0067】
次に、制御装置20は、複数の赤外光カメラ12bのうちから、ステップS204において算出された目の高さに応じた赤外光カメラ12b及び視線誘導部101をそれぞれ1つ選択する(ステップS205)。
【0068】
次に、制御装置20は、ステップS205において選択した視線誘導部101に対してユーザUの視線方向を誘導させるために点灯制御情報を出力する(ステップS206)。これにより、ステップS205で選択された視線誘導部101は、制御装置20からの点灯制御情報に基づいて点灯する(ステップS207)。すなわち、制御装置20は、ユーザUの目の高さ位置に対して正面方向に位置する赤外光カメラ12bに向けてユーザUの視線を誘導するために、選択された赤外光カメラ12bに対応する視線誘導部101のみを点灯させる制御を行う。
【0069】
次に、制御装置20は、ユーザUに対して虹彩認証に関する案内メッセージを表示するために、表示部15に表示制御情報を出力する(ステップS208)。表示部15は、制御装置20からの表示制御情報に基づいて案内メッセージを画面表示する(ステップS209)。表示部15には、例えば「認証を開始しますので、鏡に映っている顔を見てください。」、「点灯中のLEDの方向を見てください。」等の案内メッセージが表示されるが、これに限定されない。制御装置20は、全体画像の画像解析結果(すなわち上述したステップS203又はS204における処理の結果)に基づいて「認証処理に失敗しました。目を撮影しますので、正面を向いてください。」、「サングラスを外してください。」等のエラーメッセージを表示部15に表示させてもよい。
【0070】
次に、制御装置20は、ステップS205において選択した赤外光カメラ12bに対してユーザUの虹彩を撮像させる撮像制御情報を出力する(ステップS210)。すなわち、制御装置20は、ユーザUの顔に向けて複数の赤外光照射装置12aから赤外光を照射させるとともに、ユーザUの目の高さ位置を視野範囲に含む赤外光カメラ12bにユーザUの目を撮像させる制御を行う。
【0071】
次に、赤外光カメラ12bは、制御装置20から受信した撮像制御情報に基づいてユーザUの目を撮像すると(ステップS211)、目の画像を制御装置20へ出力する(ステップS212)。なお、本実施形態において複数の赤外光カメラ12bの各々が撮像する目の画像の大きさは、1画像に両目を含むように設定されている。ステップS211及びステップS212の処理は、所定のフレームレートで繰り返し実行される。
【0072】
次に、制御装置20は、赤外光カメラ12bからユーザUの目の画像を取得すると、当該目の画像において両目の虹彩の位置を特定し、両目分の虹彩画像を抽出する(ステップS213)。
【0073】
次に、制御装置20は、ユーザUの両目分の虹彩画像に基づく認証要求を認証装置30へ送信する(ステップS214)。
【0074】
認証装置30は、制御装置20から認証要求を受信すると、ユーザUの両目分の虹彩画像と、生体情報データベース31に予め記憶されている登録者の虹彩画像とを照合する。認証装置30は、当該照合処理の照合結果に基づいて虹彩認証を実行し(ステップS215)、制御装置20へ認証結果を送信する(ステップS216)。
【0075】
制御装置20は、認証装置30から認証結果を受信すると、表示部15に認証結果を表示させる表示制御情報を出力する(ステップS217)。表示部15は、制御装置20から入力された表示制御情報に基づいて認証結果を画面表示する(ステップS218)。
【0076】
本実施形態によれば、鉛直方向において異なる高さに配置されている複数の赤外光カメラ12bに対応する複数の視線誘導部101を更に備えている。これにより、第1実施形態の場合よりもユーザUの視線を所望の方向に誘導できるため、虹彩認証の精度を更に高めることができる。
【0077】
[第3実施形態]
図11は、第3実施形態における撮像装置100の構成例を示すブロック図である。撮像装置100は、可視光カメラ100A、複数の赤外光カメラ100B及び光学フィルタ100Cを備える。可視光カメラ100Aは、ユーザの顔を撮像する。複数の赤外光カメラ100Bは、可視光カメラ100Aと同一の筺体に設けられ、ユーザの虹彩を撮像する。光学フィルタ100Cは、複数の前記赤外光カメラ100Bの各々の受光面を覆いつつ、可視光カメラ100Aの受光面を覆わないように筺体に設けられ、赤外域に通過帯域を有し、可視域に阻止帯域を有する。本実施形態によれば、虹彩認証の精度を向上できる。
【0078】
[変形実施形態]
本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態である。
【0079】
上述した実施形態では、制御装置20は、可視光カメラ11において撮像された全体画像からユーザUの目の高さを算出し、異なる高さの複数の赤外光カメラ12bのうち、目の高さに応じた1台の赤外光カメラ12bを選択していた。しかし、複数の赤外光カメラ12bによる撮像処理と、可視光カメラ11による撮像処理を並列に行うように構成することもできる。
【0080】
制御装置20は、例えば、複数の赤外光カメラ12bからそれぞれ入力された画像の中から、全体画像に基づいて算出された目の高さに応じた最適な目の画像を選択し、虹彩画像を抽出すればよい。この場合、全体画像の撮像時間と目の画像の撮像時間とを同期させることができるので、ユーザUの目の高さが時間的に揺らいでいる場合(例えばユーザUが歩行中)であっても、全体画像に基づいて算出された目の高さに応じた最適な目の画像を選択できる。また、隣接している2台の赤外光カメラ12bの視野範囲が重複する領域内にユーザUの目が位置する場合には、2つの虹彩画像のうちから、より適切な虹彩画像を選択して認証に用いることが可能になる。
【0081】
上述した実施形態では、可視光カメラ11は、鉛直方向に並ぶ複数の赤外光カメラ12b及びバンドパスフィルタ13の下方に配置されていた。しかし、可視光カメラ11と複数の赤外光カメラ12bの位置関係は、特に限定されない。可視光カメラ11は、例えば、鉛直方向に並ぶ複数の赤外光カメラ12bの側方に配置されてもよい。
図12及び
図13は、変形実施形態における撮像装置10の正面図及び斜視図である。
図12では、可視光カメラ11は、中央に位置する赤外光カメラ12bの右側に配置されている。
図13では、
図12に示される可視光カメラ11の配置に対応して、ハーフミラー14がバンドパスフィルタ13の右側に配置されている。この場合、可視光カメラ11と複数の赤外光カメラ12bの高さを近付けることができるため、複数の赤外光カメラ12bの中から、適切な赤外光カメラ12bを選択可能になる。
【0082】
図14乃至
図23は、変形実施形態における撮像装置10の正面図である。各図に示されるように、筺体16の同一面側における複数の赤外光照射装置12a、複数の赤外光カメラ12b及び表示部15の位置関係は、特に限定されない。また、各装置の台数や形状も特に限定されない。
【0083】
例えば、表示部15は、上述の実施形態(
図3参照)とは異なり、鉛直方向において複数の赤外光照射装置12a及び複数の赤外光カメラ12bの上方に配置されてもよい(
図14及び
図15参照)。また、表示部15は、横方向(水平方向)よりも縦方向(鉛直方向)に長い形状でもよく、縦方向の長さを適宜変更してもよい(
図16及び
図17参照)。
【0084】
また、可視光カメラ11は、表示部15が鉛直方向において複数の赤外光照射装置12a及び複数の赤外光カメラ12bの上方に配置されている場合、表示部15と複数の赤外光カメラ12bの間に配置されてもよい(
図15参照)。
【0085】
【0086】
また、可視光カメラ11は、複数の赤外光カメラ12bの左側に配置されてもよいし(
図18参照)、複数の赤外光カメラ12bの上方に配置されてもよい(
図15、
図19、
図20参照)。
【0087】
また、複数の赤外光照射装置12a及び複数の赤外光カメラ12bは、鉛直方向において一直線上、かつ、交互に配置されてもよい(
図16及び
図17参照)。この場合、表示部15及び可視光カメラ11は、複数の赤外光照射装置12a及び複数の赤外光カメラ12bの右側に配置されてもよい(
図16及び
図17参照)。また、複数の赤外光カメラ12bは、その一部が複数の赤外光照射装置12aの下方に配置されてもよい(
図20参照)。
【0088】
また、赤外光照射装置12a及び赤外光カメラ12bのそれぞれの台数は、増減してもよい(
図21、
図22、
図23参照)。
図21の例では、赤外光カメラ12bは、4台の赤外光照射装置12aを中心として左右対称に3台ずつ、合計6台設けられている。また、左右2列に分かれている赤外光カメラ12bの配置に対応するように、2台の可視光カメラ11が左右に並んで設けられている。逆に、
図22の例では、赤外光照射装置12aは、3台の赤外光カメラ12bを中心として左右対称に4台ずつ、合計8台設けられている。また、複数の赤外光カメラ12bが鉛直方向の異なる軸線上に分かれて配置されてもよい。
図23の例では、4台の赤外光照射装置12aと4台の赤外光カメラ12bが左右方向(水平方向)において2列に分かれ、かつ、左右方向及び上下方向(鉛直方向)において交互に配置されている。
【0089】
上述した実施形態では、認証装置30は、虹彩画像に基づく一要素認証を行っていた。しかし、認証装置30は、顔画像及び虹彩画像の両方を用いて照合を行い、両者の結果を統合して認証を行う二要素認証を行ってもよい。制御装置20は、例えば、可視光カメラ11から入力された全体画像の中からユーザUの顔画像を検出し、赤外光カメラ12bから取得した虹彩画像とともに顔画像を認証装置30へ送信してもよい。
【0090】
上述した実施形態では、撮像装置10の支持台18から筺体16までの高さが一定である構成について説明したが、高さを変更できるように構成してもよい。
図24は、変形実施形態における撮像装置10の斜視図である。ここでは、支柱17の下部に、鉛直方向に筺体16を駆動可能な駆動装置103を更に備える構成が示されている。制御装置20は、例えば、全体画像に基づいてユーザUの目の高さを算出すると、目の高さに合わせて筺体16を昇降させる駆動制御情報を駆動装置103に出力し得る。駆動装置103は、駆動制御情報に基づいて、筺体16の高さを調整する。例えば、駆動装置103はモータを備え、モータが発生する駆動力によって、鉛直方向に筺体16を駆動する。この場合、複数の認証対象者の身長に柔軟に対応することが可能になる。
【0091】
虹彩認証システム1の構成は一例であり、撮像装置10、制御装置20及び認証装置30以外の装置を更に備えていてもよい。例えば、認証装置30における認証結果に基づいて開閉する開閉部材(例えば扉)とユーザUの移動経路を画定するガイド部材(例えばロープ、フェンス、誘導灯)とを有するゲート装置を更に備えてもよい。また、ユーザUの身長を推定するために、可視光カメラ11及び赤外光カメラ12b以外の別のカメラを更に備えてもよい。これにより、虹彩認証によるゲートシステムを容易に構築できる。
【0092】
また、撮像装置10及び制御装置20は同一の装置内に一体に設けられていてもよく、離れた場所に設けられていてもよい。同様に、制御装置20と認証装置30は同一の装置内に一体に設けられていてもよく、離れた場所に設けられていてもよい。
【0093】
上述の実施形態の機能を実現するように該実施形態の構成を動作させるプログラムを記録媒体に記録させ、該記録媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記録媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のプログラムが記録された記録媒体はもちろん、そのプログラム自体も各実施形態に含まれる。
【0094】
該記録媒体としては例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード等を用いることができる。また該記録媒体に記録されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作して処理を実行するものも各実施形態の範疇に含まれる。
【0095】
上述の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0096】
(付記1)
ユーザの顔を撮像する可視光カメラと、
前記可視光カメラと同一の筺体に設けられ、前記ユーザの虹彩を撮像する複数の赤外光カメラと、
複数の前記赤外光カメラの各々の受光面を覆いつつ、前記可視光カメラの受光面を覆わないように前記筺体に設けられ、赤外域に通過帯域を有し、可視域に阻止帯域を有する光学フィルタと、
を備える撮像装置。
【0097】
(付記2)
前記光学フィルタは、前記可視域の光を反射する鏡面を有する、
付記1に記載の撮像装置。
【0098】
(付記3)
複数の前記赤外光カメラの各々の受光面は、一つの前記光学フィルタによって、纏めて覆われる、
付記1又は2に記載の撮像装置。
【0099】
(付記4)
前記可視光カメラの受光面を覆うように設けられたハーフミラーを更に備える、
付記1乃至3のいずれかに記載の撮像装置。
【0100】
(付記5)
前記ハーフミラーは、前記ユーザ側から入射する前記可視域の光の一部を反射しつつ他の部分を前記可視光カメラ側に透過する、
付記4に記載の撮像装置。
【0101】
(付記6)
複数の前記赤外光カメラは、前記ユーザの両目の前記虹彩を同時に撮像する、
付記1乃至5のいずれかに記載の撮像装置。
【0102】
(付記7)
虹彩認証に関する情報を表示する表示部を更に備える、
付記1乃至6のいずれかに記載の撮像装置。
【0103】
(付記8)
装置の稼動状況を示すインジケータを更に備える、
付記1乃至7のいずれかに記載の撮像装置。
【0104】
(付記9)
複数の前記赤外光カメラは、鉛直方向に並んで配置されている、
付記1乃至8のいずれかに記載の撮像装置。
【0105】
(付記10)
複数の前記赤外光カメラは、一定の間隔で配置されている、
付記9に記載の撮像装置。
【0106】
(付記11)
複数の前記赤外光カメラのいずれかの高さに前記ユーザの視線を誘導する視線誘導部を更に備える、
付記9又は10に記載の撮像装置。
【0107】
(付記12)
前記可視光カメラは、鉛直方向に並ぶ複数の前記赤外光カメラの下方に配置されている、
付記9乃至11のいずれかに記載の撮像装置。
【0108】
(付記13)
前記可視光カメラは、鉛直方向に並ぶ複数の前記赤外光カメラの側方に配置されている、
付記9乃至11のいずれかに記載の撮像装置。
【0109】
(付記14)
付記1乃至13のいずれかに記載された撮像装置と、
前記可視光カメラにおいて撮像された前記ユーザの前記顔を含む全体画像に基づいて前記撮像装置を制御する制御装置と、
前記赤外光カメラで撮像された虹彩画像に基づいて前記ユーザの虹彩認証を実行する認証装置と、
を備える虹彩認証システム。
【0110】
(付記15)
前記制御装置は、複数の前記赤外光カメラのうち、前記全体画像から得られた前記ユーザの目の高さに応じた前記赤外光カメラに前記虹彩を撮像させる、
付記14に記載の虹彩認証システム。
【0111】
(付記16)
前記認証装置は、複数の前記赤外光カメラでそれぞれ撮像された前記虹彩画像のうち、前記全体画像から得られた前記ユーザの目の高さに応じた前記赤外光カメラで撮像された前記虹彩画像に基づいて前記虹彩認証を実行する、
付記14に記載の虹彩認証システム。
【0112】
(付記17)
前記筺体を鉛直方向に駆動する駆動装置を更に備え、
前記制御装置は、前記全体画像から得られた前記ユーザの目の高さ位置に基づいて前記駆動装置の駆動を制御する、
付記14に記載の虹彩認証システム。
【0113】
(付記18)
前記認証装置は、前記全体画像に基づいて前記ユーザの顔認証を実行し、前記顔認証及び前記虹彩認証の結果に基づいて前記ユーザを認証する、
付記15に記載の虹彩認証システム。
【符号の説明】
【0114】
NW・・・ネットワーク
1・・・虹彩認証システム
10・・・撮像装置
11・・・可視光カメラ
12・・・虹彩撮像用カメラ
12a・・・赤外光照射装置
12b・・・赤外光カメラ
13・・・バンドパスフィルタ
14・・・ハーフミラー
15・・・表示部
15a・・・カバー
16・・・筺体
17・・・支柱
18・・・支持台
101・・・視線誘導部
102・・・インジケータ
103・・・駆動装置
20・・・制御装置
30・・・認証装置
31・・・生体情報データベース