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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】トイレ装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 5/10 20060101AFI20240507BHJP
   E03D 11/13 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
E03D5/10
E03D11/13
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020144824
(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公開番号】P2022039678
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】小林 基紀
(72)【発明者】
【氏名】立木 翔一
(72)【発明者】
【氏名】正平 裕也
(72)【発明者】
【氏名】川崎 祐一
(72)【発明者】
【氏名】轟木 健太郎
【審査官】川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-139169(JP,A)
【文献】特開2020-066891(JP,A)
【文献】特開2007-138432(JP,A)
【文献】特開2002-081118(JP,A)
【文献】特開2000-282538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00- 7/00
E03D 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器内の水位及び水位に関連する指標の少なくともいずれかを検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて、前記便器の詰まり状態を検知する詰まり検知モードを有する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記詰まり検知モードとは別に、前記検知部の故障を検知する故障検知モードを有し、
前記詰まり検知モードによって詰まりが検知された後の前記制御部の動作は、前記故障検知モードによって故障が検知された後の前記制御部の動作と異なることを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記詰まり検知モードによって詰まりが検知された後の前記制御部の前記動作は、前記便器内への洗浄水の供給を禁止することを含み、
前記故障検知モードによって故障が検知された後の前記制御部の前記動作は、前記便器内への洗浄水の供給を禁止することを含まない、請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記詰まり検知モードによって詰まりが検知された場合の報知方法は、前記故障検知モードによって故障が検知された場合の報知方法と異なることを特徴とする請求項1または2に記載のトイレ装置。
【請求項4】
便器内の水位及び水位に関連する指標の少なくともいずれかを検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて、前記便器の詰まり状態を検知する詰まり検知モードを有する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記詰まり検知モードとは別に、前記検知部の故障を検知する故障検知モードを有し、
前記詰まり検知モードによって詰まりが検知された場合の報知方法は、前記故障検知モードによって故障が検知された場合の報知方法と異なることを特徴とするトイレ装置。
【請求項5】
前記故障検知モードは、便器洗浄中における前記検知部の出力信号に基づいて、故障の有無を判定することを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載のトイレ装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記故障検知モードによって故障を検知した場合、故障原因を判定する故障原因判定モードを実行することを特徴とする請求項5記載のトイレ装置。
【請求項7】
便器内の水位及び水位に関連する指標の少なくともいずれかを検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて、前記便器の詰まり状態を検知する詰まり検知モードを有する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記詰まり検知モードとは別に、前記検知部の故障を検知する故障検知モードを有し、
前記故障検知モードは、便器洗浄中における前記検知部の出力信号に基づいて、故障の有無を判定し、
前記制御部は、前記故障検知モードによって故障を検知した場合、故障原因を判定する故障原因判定モードを実行することを特徴とするトイレ装置。
【請求項8】
前記故障原因判定モードは、前記便器内に洗浄水を供給する第1給水手段とは別に前記便器内に水を供給する第2給水手段によって前記便器内に水を供給した状態における前記検知部の出力信号に基づいて、前記故障原因を判定することを特徴とする請求項6または7に記載のトイレ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、トイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大便器内の異物の詰まり等によって大便器から水が溢れてしまうことを防ぐための溢れ防止装置が知られている。例えば、洗浄弁の開動作により洗浄水を噴出して洗浄を行う水洗式便器において、便器内の水位を検知する水位センサが設置され、水位センサにより所定以上の水位が検出された場合に、溢れ防止装置は、警報を発するとともに、洗浄弁の開動作を不能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-282538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の溢れ防止装置は、便器の詰まりが発生したときにのみ、警報を発したり、洗浄弁の開動作を不能としたりする。そのため、便器の詰まりが発生していない状態では、詰まりを検知するための水位センサなどの検知部が故障していても、管理者等がその故障に気がつかない可能性がある。検知部が故障した状態においては、便器の詰まりが発生しても、詰まりが検知されないため、洗浄弁の開動作を不能とする動作が行われず、洗浄水が便器外に溢れてしまう恐れがある。
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、洗浄水が便器外へ溢れてしまうことを抑制することができるトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、便器内の水位及び水位に関連する指標の少なくともいずれかを検知する検知部と、前記検知部の検知結果に基づいて、前記便器の詰まり状態を検知する詰まり検知モードを有する制御部と、を備え、前記制御部は、前記詰まり検知モードとは別に、前記検知部の故障を検知する故障検知モードを有することを特徴とするトイレ装置である。
【0007】
このトイレ装置によれば、詰まり検知モードとは別の故障検知モードにより、検知部の故障を検知することができる。これにより、検知部が故障したままになることを抑制でき、実際に詰まりが発生したときに検知部が詰まりを検知できずに洗浄水が便器外に溢れてしまうことを抑制できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、洗浄水が便器外へ溢れてしまうことを抑制することができるトイレ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るトイレ装置を例示する模式図である。
図2図2(a)は、検知部による検知結果を例示するグラフ図であり、図2(b)~図2(d)は、便器の状態を表す模式図である。
図3図3(a)は、検知部による検知結果を例示するグラフ図であり、図3(b)~図3(d)は、便器の状態を表す模式図である。
図4図4(a)は、検知部による検知結果を例示するグラフ図であり、図4(b)~図4(d)は、便器の状態を表す模式図である。
図5図5(a)は、検知部による検知結果を例示するグラフ図であり、図5(b)~図5(e)は、便器の状態を表す模式図である。
図6】実施形態に係るトイレ装置の動作を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係るトイレ装置を例示する模式図である。
図1に表したように、実施形態に係るトイレ装置100は、検知部10と制御部12とを備える。この例では、トイレ装置100は、さらに通信部14を備える。トイレ装置100は、便器20(大便器)、第1給水手段21及び第2給水手段22と組み合わせて用いられる。または、トイレ装置100が、便器20、第1給水手段21及び第2給水手段22を備えていても良い。
【0011】
トイレ装置100は、便器20の詰まりを検知する詰まり検知装置である。制御部12は、詰まり判定部12aと故障判定部12bとを有する。通信部14は詰まり報知手段14aと故障報知手段14bとを有する。
【0012】
検知部10は、便器20の内部に設けられている。検知部10の位置は、任意である。図1に表した例では、検知部10は、便器20内に設けられたボウル後方の裏側に取り付けられている。検知部10は、便器20内に水が供給されたことを検知する。例えば、検知部10は、便器20内の水位、または、水位に関連する指標の少なくともいずれかを検知可能なセンサである。この例では、水位に関連する指標は、便器20内の表面の、溢れ面S1より低く且つ封水面S2より高い位置に水が有るか否かである。より具体的には、水位に関連する指標は、便器20のボウル後方の表面20aに水があるか否かである。但し、水位に関連する指標は、これに限ることなく、便器20内に水が供給されたことを検知可能な任意の指標で良い。
【0013】
便器20に詰まり等が無い通常の状態では、便器内の水(封水)の表面は、封水面S2に位置する。便器20内に異物が詰まった状態で洗浄すると、便器20内の水面の位置が封水面S2よりも高くなる。溢れ面S1は、封水面S2よりも高い位置にある。溢れ面S1の位置は、任意である。例えば、溢れ面S1の位置は、次に大便を洗い流すための洗浄水が便器20に供給されたとしても、便器20から水が溢れ出ない上限の位置に設定される。すなわち、便器20内の水面が溢れ面S1よりも高い位置にあると、便器20に洗浄水が供給されたときに便器20から水が溢れる可能性がある。例えば、溢れ面S1は、詰まりが無いときに便器20の洗浄水が流れる水位H1以下である。
【0014】
検知部10は、例えば電波センサ又は静電容量センサである。この場合、検知部10は、表面20aの状態に応じた信号を検知する。例えば、検知部10は、表面20aに水が有る状態と、表面20aに水が無い状態と、で異なる信号を取得する。
【0015】
検知部10として静電容量センサが用いられる場合、検知部10は、検知部10と表面20aの間の静電容量を検知する。表面20aに水が有ると、表面20aに水が無い場合に比べて、静電容量が大きくなる。検知部10は、検知された静電容量を、検知結果として制御部12へ出力(送信)する。
【0016】
検知部10として電波センサが用いられる場合、検知部10は、表面20aに向けて電波を放射する。放射される電波は、ミリ波又はマイクロ波であり、樹脂や陶器などを透過する。検知部10は、放射された電波の反射波の強度を検知する。表面20aに水が有ると、表面20aに水が無い場合に比べて、反射波の強度が大きくなる。検知部10は、反射波強度の検知結果を、制御部12へ出力する。この例では、検知部10として電波センサを用いている。
【0017】
なお、検知部10は、水位センサであっても良い。水位センサは、例えば、2つの電極が浸水した際の電極間の抵抗変化に基づいて水位を検知する電極式のセンサでも良い。検知部10は、電極間の抵抗値(または抵抗値に対応する電流値又は電圧値)を、検知結果として制御部12へ出力する。但し、検知部10は、これらに限らず、便器20内に水が供給されたことを検知可能な任意のセンサで良い。
【0018】
制御部12は、検知部10の検知結果に基づいて便器20の詰まり状態を検知する詰まり検知モードを有する。すなわち、詰まり判定部12aは、便器20の詰まりの有無を判定する詰まり検知モードを実行可能である。
【0019】
制御部12は、詰まり検知モードとは別に、検知部10の故障を検知する故障検知モードを有する。すなわち、故障判定部12bは、検知部10の故障の有無を判定する故障検知モードを実行可能である。
【0020】
また、制御部12は、詰まり検知モードによって便器20の詰まりが有りと判定された場合、詰まり報知手段14aにより、詰まりが有ること等を報知する。例えば、詰まり報知手段14aは、通信機器または通信モジュールなどである。制御部12は、便器20の詰まりが有りと判定されると、通信部14に信号を送信する。通信部14が信号を受信すると、詰まり報知手段14aは、便器20に詰まりが有ることを示す通知を、便器20から離れた管理装置30に送信する。例えば、詰まり報知手段14aは、LAN(Local Area Network)などのネットワークに接続されており、ネットワークを介して管理装置30に向けて情報を送信する。管理装置30は、例えばトイレ装置が設けられた施設や建築物等の管理者又はメンテナンス者(修理業者等)などが、便器の状態を確認し管理するための装置である。管理装置30には、例えば、トイレ装置が設けられたビルの集中管理室等に設けられたサーバ、または管理者等の端末などを用いることができる。
【0021】
詰まり報知手段14aは、光、音又は振動などを発して、便器20の使用者又は管理者等に便器20に詰まりが有ることを報知しても良い。この場合、詰まり報知手段14aは、スピーカやディスプレイ機器、LEDなどを含む。
【0022】
制御部12は、詰まり検知モードの判定結果に基づいて、洗浄ロック(便器20への洗浄水供給の禁止)と、報知と、の少なくともいずれかを行うか否かを判定する。例えば、制御部12は、詰まり検知モードによって便器20の詰まりが有りと判定された場合、洗浄ロックを行う。
【0023】
制御部12は、故障検知モードの判定結果に基づいて、報知を行うか否かを判定する。例えば、制御部12は、故障検知モードによって故障が有りと判定された場合、故障報知手段14bにより、故障があること等を報知する。例えば、故障報知手段14bは、通信機器又は通信モジュールなどである。制御部12は、故障が有りと判定されると、通信部14に信号を送信する。通信部14が信号を受信すると、故障報知手段14bは、故障が有ることを示す通知を、便器20から離れた管理装置30に送信する。例えば、故障報知手段14bは、LAN(Local Area Network)などのネットワークに接続されており、ネットワークを介して管理装置30に向けて情報を送信する。
【0024】
故障報知手段14bは、光、音又は振動などを発して、便器20の使用者又は管理者等に便器20に詰まりが有ることを報知しても良い。この場合、故障報知手段14bは、スピーカやディスプレイ機器、LEDなどを含み、例えば便器20の周囲に配置される。なお、検知部10が故障した場合には、使用者への報知は必ずしも行われなくても良い。
【0025】
制御部12には、例えば、マイコンなどの処理装置(コンピュータ)を用いることができる。この例では、1つの処理装置が、制御部12、詰まり判定部12a及び故障判定部12bとして機能している。但し、これに限らず、制御部12、詰まり判定部12a及び故障判定部12bは、通信可能に接続される複数の装置に分散させて配置しても良い。例えば、検知部10が処理装置を備え、制御部12、詰まり判定部12a及び故障判定部12bの少なくとも一部の機能を検知部10が備えていても良い。制御部12、詰まり判定部12a及び故障判定部12bの構成は、上記に限ることなく、これらの機能を満足し得る任意の構成で良い。
【0026】
第1給水手段21は、便器20内に洗浄水を供給する。第1給水手段21は電磁弁(例えばソレノイドバルブ)を有し、上水道や貯水タンクなどの水源と接続される。第1給水手段21の電磁弁の開閉により、便器20内に洗浄水が供給される状態と、洗浄水が供給されない状態とが、が切り替わる。すなわち、電磁弁が開くと、便器20に洗浄水が供給され、電磁弁が閉じると、便器20に洗浄水が供給されない。第1給水手段21は、この他に、水を圧送するポンプやモータなどを適宜有していても良い。検知部10は、第1給水手段21により便器20内に洗浄水が供給されたことを検知可能である。
【0027】
使用者が不図示のリモコンなどにより便器20を洗浄するための洗浄操作を行うと、制御部12は、その洗浄操作に応じた信号を第1給水手段21へ送信する。制御部12から送信された信号に基づいて第1給水手段21の電磁弁などが動作することで、便器20へ洗浄水が供給される便器洗浄が行われる。
【0028】
例えば、制御部12が洗浄ロックを行うと、使用者等による洗浄操作(リモコンの操作など)が行われても、便器20へ洗浄水を供給するための信号が第1給水手段21へ送信されない。
【0029】
第2給水手段22は、第1給水手段21とは別に便器20内に水を供給する。第2給水手段22は、第1給水手段21の電磁弁とは異なる電磁弁を有し、上水道や貯水タンクなどの水源と接続される。第2給水手段22の電磁弁の開閉により、便器20内に水が供給される状態と、洗浄水が供給されない状態とが、が切り替わる。すなわち、電磁弁が開くと、便器20に水が供給され、電磁弁が閉じると、便器20に水が供給されない。検知部10は、第2給水手段22により便器20内に水が供給されたことを検知可能である。
【0030】
例えば、トイレ装置100は、使用者が便器20の周囲にいること、または、使用者の便器20への着座を検知可能な人体センサ(不図示)を有する。人体センサの検知結果またはリモコンの操作などに応じた信号を、制御部12は、第2給水手段22へ送信する。制御部12から送信された信号に基づいて第2給水手段22の電磁弁などが動作することで、便器20へ水が供給される。
【0031】
この例では、第2給水手段22が供給する水は、ミストである。例えば、使用者が便器20に近づくと、人体センサの検知結果に応じた制御部12からの信号より、第2給水手段22の電磁弁が開き、便器20内にミストが噴霧される。また、例えば、使用者が便器20から離れると、人体センサの検知結果に応じた制御部12からの信号により、第2給水手段22の電磁弁が開き、便器20内にミストが噴霧される。使用者の便器20の使用前または使用後にミストが噴霧されることで、便器20の汚れを抑制することができる。第2給水手段22が供給する水は、例えば次亜塩素酸などを含む除菌水でも良い。
【0032】
但し、第2給水手段22が供給する水は上記に限らない。例えば、第2給水手段22が給水する水とは、ミスト状のみならず、流水状や泡状など任意の形態であっても良い。例えば、第2給水手段22は、使用者の便器20の使用前に、便器20内に泡を吐出する手段であっても良い。また、例えば、トイレ装置は人体局部を洗浄するための洗浄水を吐出するノズル(不図示)を有し、第2給水手段22は、ノズルに洗浄水を供給可能な手段であっても良い。ノズルに供給された水は、便器20内へ流れる。
【0033】
従来の装置は、便器の詰まりが発生したときにのみ洗浄ロックや報知を行うものであるため、通常時は故障が発生しているかどうか分からない。また、例えば、便器の詰まりが発生する頻度は一般的に高くないため、管理者等が検知部の故障に気がつかず、故障したままの状態が長期間続く可能性がある。検知部が故障した状態においては、便器の詰まりが発生しても、洗浄ロックができず、洗浄水が便器外へ溢れてしまう恐れがある。
【0034】
これに対して、実施形態によれば、詰まり検知モードとは別の故障検知モードにより、検知部10の故障を検知することができる。これにより、検知部10の故障が気づかれないままとなることを抑制することができる。したがって、検知部10が故障したままになることを抑制でき、実際に詰まりが発生したときに検知部が詰まりを検知できずに洗浄水が便器外に溢れてしまうことを抑制できる。
【0035】
なお、検知部10の故障を検知する故障検知モードとは、少なくとも検知部10の故障を検知するものであれば良く、検知部10以外のトイレ装置の故障も検知可能であっても良いものとする。例えば、後述するように、故障検知モードが検知する故障は、第1給水手段21の電磁弁の故障を含んでも良い。すなわち、故障検知モードは、検知部10または電磁弁の故障の有無を判定するものでも良い。
【0036】
また、詰まり検知モードによって詰まりが検知された(すなわち詰まり有りと判定された)後の制御部12の動作は、故障検知モードによって故障が検知された(すなわち故障有りと判定された)後の制御部12の動作と異なる。これにより、それぞれの状態に合わせて、好ましい制御を実行できる。例えば、上述したように、詰まりが有りと判定された後の制御部12の動作は、洗浄ロック(便器20への洗浄水供給の禁止)や報知を含む。一方、故障が有りと判定された後の制御部12の動作は、洗浄ロックを含まない。故障が有りと判定された後の制御部12の動作は、後述する故障原因判定モードの実行を含んでも良い。
【0037】
例えば、詰まりが有る場合は、洗浄水が便器20外へ溢れる恐れがあるため便器20を使用できないこと(便器20内への洗浄水の供給を禁止した状態)が好ましい。一方、検知部10の故障が有る場合は、詰まりが無ければ、便器20内に洗浄水を供給しても洗浄水が溢れないため便器20を使用できること(便器20内へ洗浄水を供給できる状態)が好ましい。そこで、上記のように、詰まりが検知された場合は、便器内への洗浄水の供給を禁止することにより、洗浄水が便器20外へ溢れることを防ぐことができる。一方、故障が検知された場合は、便器20内への洗浄水の供給を禁止しないことにより、便器20が詰まっていない状態で便器20が使用できなくなることを防止できる。
【0038】
なお、検知部10の故障と便器20の詰まりとが同時に発生する可能性は極めて低いと考えられる。この例では、故障が検知された場合、管理者等に報知が行われる。これにより、管理者等にメンテナンス(修理)を行うことが促されるため、検知部10の故障と便器20の詰まりとが同時に発生することが抑制される。したがって、洗浄水が便器20外へ溢れることを抑制できる。
【0039】
また、詰まり検知モードによって詰まりが検知された場合の報知方法は、故障検知モードによって故障が検知された場合の報知方法と異なる。これにより、それぞれの状態に合わせて、好ましい報知を実行できる。例えば、詰まりが検知された場合は、管理者やメンテナンス者だけでなく使用者に対しても、詰まりが発生して便器20が使用できないことを報知することが好ましい。一方、検知部10の故障が検知された場合は、管理者やメンテナンス者には故障が発生したことを報知することが好ましいが、便器20が使用できる状態であれば使用者には必ずしも報知しなくても良い。詰まりが検知された場合と故障が検知された場合とで、報知方法が異なることにより、例えば詰まりが発生した場合には使用者に報知し、検知部10の故障時には使用者に報知しないようにすることができる。これにより、検知部10の故障時に使用者に不安を与えることを防止できる。
【0040】
図2図4を参照して、故障検知モード及び詰まり検知モードの例について説明する。 図2(a)、図3(a)及び図4(a)は、検知部による検知結果を例示するグラフ図であり、図2(b)~図2(d)、図3(b)~図3(d)及び図4(b)~図4(d)は、便器の状態を表す模式図である。
図2(a)、図3(a)及び図4(a)において、横軸は時間を表し、縦軸は検知部10による検知結果(出力信号)を表す。この例では、検知部10が電波センサであり、縦軸は検知部10により検知された反射波の強度に対応する。なお、反射波の強度が増した場合、定在波の影響により、縦軸の値は上下両方に変動する可能性がある。実施例では、便器20に詰まりが有る時に上方向に変動するグラフで示しているが、下方向に変動する場合も含んでよい。
【0041】
図2(a)~図2(d)は、便器の詰まりが無く、かつ、検知部10等の故障が無い場合を表す。
図2(b)は、便器洗浄前における便器の状態を表す。図2(b)に表したように、便器洗浄前においては、便器20内の水位は、封水面S2であり、便器20の表面20aには、水が無い。このため、図2(a)に表したように、検知部10の出力信号は、低いレベルで安定している。
【0042】
その後、使用者の洗浄操作などにより、第1給水手段21から便器20内へ洗浄水が供給される便器洗浄が行われる。図2(c)は、便器洗浄中における便器の状態を表す。図2(c)に表したように、便器洗浄中においては、便器20内の水位は、封水面S2よりも高くなり、便器20の表面20aには水が有る。このため、図2(a)に表したように、検知部10の出力信号は、便器洗浄前に比べて大きくなる。
【0043】
制御部12は、便器洗浄中に故障検知モードを実行する。故障検知モードは、便器洗浄前の検知部10の出力信号の大きさと、便器洗浄中の検知部10の出力信号の大きさとを比較する。便器洗浄前の出力信号と便器洗浄中の出力信号との差の絶対値が、所定の閾値よりも大きい場合は、検知部10が便器20内に水が供給されたことを正常に検出していると考えられる。そのため、故障検知モードによる判定結果は、故障無しとなる。この場合、制御部12は、報知や洗浄ロックを行わない。
【0044】
その後、制御部12から第1給水手段21に対して、便器20への洗浄水の供給を停止させる信号が送信されると、洗浄水の供給が停止し、便器洗浄が終了する。図2(d)は、便器洗浄後の便器20の状態を表す。図2(d)に表したように、便器洗浄後において、便器20内に供給された洗浄水が流れ切ると、便器20内の水位は、封水面S2となり、便器20の表面20aに水が無い状態となる。このため、図2(a)に表したように、検知部10の出力信号は、便器洗浄前と同様に、比較的小さな値となる。なお、便器洗浄中に供給された洗浄水によって表面20aが濡れている場合があるが、図2(d)のように便器20に水が供給されていない状態は、表面20aに水が無い状態と称している。
【0045】
制御部12は、便器洗浄が終了すると、詰まり検知モードに遷移する。詰まり検知モードは、便器洗浄中の検知部10の出力信号の大きさと、便器洗浄後の検知部10の出力信号の大きさとを比較する。便器洗浄中の出力信号と便器洗浄後の出力信号との差の絶対値が、所定の閾値よりも大きい場合は、便器20内に供給された洗浄水が正常に流れ切ったと考えられる。そのため、詰まり検知モードによる判定結果は、詰まり無しとなる。
【0046】
図3(a)~図3(d)は、便器20の詰まりが無く、かつ、検知部10等の故障が有る場合を表す。
図3(b)は、便器洗浄前における便器20の状態を表す。図3(b)に表したように、便器洗浄前の状態は、図2(b)と同様である。この例では、検知部10が故障しているため、図3(a)に表したように、便器洗浄前の検知部10の出力信号は、例えば低いレベルである。
【0047】
図3(c)は、便器洗浄中における便器20の状態を表す。図3(c)に表したように、便器洗浄中の状態は、図2(c)と同様である。検知部10が故障しているため、検知部10は、便器20内に供給された洗浄水を検出できない。このため、図3(a)に表したように、便器洗浄中の検知部10の出力信号は、便器洗浄前と同様に低いレベルのままである。
【0048】
制御部12は、便器洗浄中に故障検知モードを実行する。便器洗浄前の出力信号と便器洗浄中の出力信号との差の絶対値が所定の閾値以下の場合は、検知部10が便器20内に水が供給されたことを正常に検出していない可能性がある。そのため、故障検知モードによる判定結果は、故障有りとなる。この場合、制御部12は、報知を行い、洗浄ロックを行わない。
【0049】
図3(d)は、便器洗浄後における便器20の状態を表す。図3(d)に表したように、便器洗浄後の状態は、図2(d)と同様である。検知部10が故障しているため、図3(a)に表したように、便器洗浄後の検知部10の出力信号は、便器洗浄中と同様に低いレベルのままである。
【0050】
故障検知モードによる判定結果が故障有りの場合、制御部12は、詰まり検知モードに遷移しない。この場合、制御部12は、後述する故障原因判定モードを実行しても良い。
【0051】
図4(a)~図4(d)は、便器20の詰まりが有り、かつ、検知部10等の故障が無い場合を表す。
図4(b)は、便器洗浄前における便器20の状態を表す。図4(a)及び図4(b)に表したように、便器洗浄前の状態は、図2(a)及び図2(b)と同様である。
【0052】
図4(c)は、便器洗浄中における便器20の状態を表す。図4(a)及び図4(c)に表したように、便器洗浄中の状態は、図2(a)及び図2(c)と同様である。制御部12は、故障検知モードを実行し、故障検知モードの判定結果は、故障無しとなる。この場合、制御部12は、報知や洗浄ロックを行わない。
【0053】
図4(d)は、便器洗浄後における便器20の状態を表す。この例では、便器20に異物F1が詰まっているため、便器洗浄後において便器20内に供給された洗浄水が流れ切らない。そのため、図4(d)に表したように、便器20内の水位は、封水面S2より高く、便器20の表面20aに水が有る。このため、図4(a)に表したように、検知部10の出力信号は、便器洗浄中と同様に大きいままである。
【0054】
制御部12は、便器洗浄が終了すると、詰まり検知モードに遷移する。便器洗浄中の出力信号と便器洗浄後の出力信号との差の絶対値が、所定の閾値以下の場合は、便器20内に供給された洗浄水が流れ切っていないと考えられる。そのため、詰まり検知モードによる判定結果は、詰まり有りとなる。
【0055】
このように故障検知モードは、便器洗浄中における検知部の出力信号に基づいて、故障の有無を判定する。このため、便器洗浄中の検知部10の出力信号を利用することで、故障の有無を判定することができる。また、トイレ装置100の通常使用で必ず行われる便器洗浄動作を利用して故障検知ができるため、故障検知のための特別な洗浄動作を行う必要がなく、洗浄水を節約できる。
【0056】
例えば、故障検知モードは、使用者が便器洗浄を行ったときに毎回実行される。ただし、使用者による便器洗浄時以外の所定のタイミングに自動で制御部が便器内に水を供給し、故障検知を行っても良い。
【0057】
図5を参照して、故障原因判定モードの例について説明する。
図5(a)は、検知部による検知結果を例示するグラフ図であり、図5(b)~図5(e)は、便器の状態を表す模式図である。
図5(a)は、図3(a)と同様に検知部10の検知結果と時間の関係を表している。
【0058】
図5(b)は、便器洗浄前における便器20の状態を表す。図5(a)及び図5(b)に表したように、便器洗浄前の状態は、図3(a)及び図3(b)と同様である。
【0059】
その後、時刻T1において使用者の洗浄操作などが行われ、制御部12から第1給水手段21に電磁弁の開動作を指示する信号が送信される。制御部12は、時刻T1から所定時間経過後の時刻T2までの間に故障検知モードを実行する。この例では、図5(a)に表したように、時刻T1と時刻T2との間(便宜上、便器洗浄中と称する)の出力信号が、便器洗浄前の出力信号から変化していない。そのため、故障検知モードによる判定結果は、故障有りとなる。このとき、故障原因として、例えば図5(c)に表した状態と図5(d)に表した状態の2通りが考えられる。
【0060】
図5(c)及び図5(d)は、便器洗浄中における便器20の状態を表す。
図5(c)の場合は、検知部10が故障しており、第1給水手段21の電磁弁は正常である。このとき、便器洗浄中には、便器20内に洗浄水が供給され、便器20内の水位は封水面S2より高く、便器20の表面20aに水が有る。しかし、検知部10が故障しているため、便器洗浄中の検知部10の出力信号は、便器洗浄前と同様に低いレベルのままである。
【0061】
一方、図5(d)の場合は、検知部10は正常であり、第1給水手段21の電磁弁が故障している。この場合、使用者の洗浄操作などが行われても、電磁弁が故障しているため、電磁弁が開かず、便器20内に洗浄水が供給されない。そのため、便器20内の水位は封水面S2のままであり、便器20の表面20aには水が無い。この場合、検知部10は正常であっても、便器洗浄中の検知部10の出力信号は、便器洗浄前と同様に低いレベルのままである。
【0062】
このように、故障検知モードによって故障を検知した場合、図5(c)の状態のように検知部10が故障している可能性と、図5(d)の状態のように電磁弁が故障している可能性と、が考えられる。そこで、制御部12は、故障検知モードによって故障を検知した場合、故障原因を判定する故障原因判定モードを実行する。
【0063】
図5(e)は、便器洗浄後(時刻T2の後)の便器20の状態を表す。制御部12は、便器洗浄後に故障原因判定モードに遷移する。故障原因判定モードは、第2給水手段22によって、便器20内に水(この例ではミスト)を供給する。すなわち、制御部12は、故障原因判定モードにおいて、第2給水手段22に電磁弁を開く指令信号を送信する。これにより、便器20の表面20aに水が有る状態となる、または、便器20内の水位が封水面S2よりも高くなる。
【0064】
検知部10が故障し第1給水手段21の電磁弁が正常の場合は、図5(a)に1点鎖線で表したように、第2給水手段22から便器20内に水が供給されても、検知部10の出力信号は、便器洗浄前と同様に低いレベルのままである。一方、第1給水手段21の電磁弁が故障し検知部10が正常の場合は、図5(a)に2点鎖線で表したように、第2給水手段22から便器20内に水が供給されると、検知部10の出力信号は、便器洗浄前よりも大きくなる。
【0065】
故障判定モードは、第2給水手段22によって水を供給した状態における検知部10の出力信号が、便器洗浄前(時刻T1より前)の出力信号よりも所定の閾値以上変化している場合は、検知部10は正常であり、第1給水手段21の電磁弁が故障していると判定する。また、故障判定モードは、第2給水手段22によって水を供給した状態における検知部10の出力信号が、便器洗浄前(時刻T1より前)の出力信号よりも所定の閾値以上変化していない場合は、検知部10が故障しており、第1給水手段21の電磁弁は正常であると判定する。
【0066】
以上説明したように、制御部12は、故障検知モードによって故障を検知した場合、故障原因を判定する故障原因判定モードを実行する。故障原因判定モードにより、故障検知モードで検知された故障の原因を判定することができる。例えば故障の原因が検知部にあるのか電磁弁にあるのかを判定することができる。故障原因判定モードの判定結果を管理者やメンテナンス者に報知することにより、より適切なメンテナンス対応を行うことができる。
【0067】
故障原因判定モードは、第2給水手段22によって便器20内に水を供給した状態における検知部10の出力信号に基づいて、故障原因を判定する。第1給水手段21の電磁弁と、第2給水手段22の電磁弁と、の両方が同時に故障することは希であると考えられる。そこで、第2給水手段22による給水時の検知部10の出力信号を利用することで、故障の原因が検知部10にあるのか第1給水手段21の電磁弁にあるのかを判定することができる。
【0068】
なお、電磁弁の故障という範囲には、電磁弁自体の故障だけでなく、電磁弁を制御する制御部12や、第1給水手段21と制御部12との間の信号の送受信に不具合がある場合を含んでも良い。
【0069】
図6は、実施形態に係るトイレ装置の動作を例示するフローチャートである。
制御部12は、便器洗浄の開始を示す洗浄トリガを検出する(ステップS101)。洗浄トリガは、例えば、使用者の洗浄操作によってリモコンから送信される信号、または、第1給水手段21に電磁弁の開動作を指示する信号などである。
【0070】
制御部12は、洗浄トリガを検出すると、検知部10の検知結果であるセンサ信号(出力信号)の値をV1として保存する(ステップS102)。センサ信号は、便器20内の水位または水位に関連する指標に対応し、例えば便器20内に水が供給されている状態であるか否かによって変化する。その後、制御部12から送信された信号に基づいて第1給水手段21の洗浄弁(電磁弁)が開く(ステップS103)。
【0071】
制御部12は、故障検知モードを開始する(ステップS104)。故障検知モードにおいて、制御部12は、検知部10のセンサ信号の値をV2として保存する(ステップS105)。制御部12は、V2とV1との差の絶対値が閾値Vth1より大きい場合((ステップS106:NO)、故障無しと判定し(ステップS107)、故障検知モードを終了する(ステップS108)。その後、洗浄弁が閉じる(ステップS109)。
【0072】
ステップS109において、洗浄弁が閉じた後、制御部12は、詰まり検知モードを開始する(ステップS110)。詰まり検知モードにおいて、制御部12は、検知部10のセンサ信号の値をV3として保存する(ステップS111)。制御部12は、V3とV2との差の絶対値が閾値Vth2より大きい場合(ステップS112:NO)、便器20内の詰まりは無しと判定し(ステップS113)、詰まりが無いことを管理者に報知し(ステップS114)、詰まり検知モードを終了する(ステップS115)。一方、制御部12は、V3とV2との差の絶対値が閾値Vth2以下の場合(ステップS112:YES)、便器20内の詰まりが有ると判定し(ステップS129)、詰まりが有ることをトイレの使用者、管理者及びメンテナンス者に報知する(ステップS130)。その後、制御部12は、洗浄ロックを行い(ステップS131)、詰まり検知モードを終了する(ステップS115)。
【0073】
一方、制御部12は、V2とV1との差の絶対値が閾値Vth1以下の場合(ステップS106:YES)、故障有りと判定し(ステップS116)、故障検知モードを終了する(ステップS117)。その後、洗浄弁が閉じる(ステップS118)。
【0074】
ステップS118において洗浄弁が閉じた後、制御部12は、故障原因判定モードに遷移する(ステップS119)。故障原因判定モードにおいて、制御部12は、第2給水手段22にミストの噴霧を開始させる(ステップS120)。この状態において、制御部12は、検知部10のセンサ信号の値をV4として保存する(ステップS121)。その後、第2給水手段22によるミストの噴霧が停止する(ステップS122)。
【0075】
制御部12は、V4とV1との差の絶対値が閾値Vth3より小さい場合(ステップS123:NO)、検知部10に故障があり第1給水手段21の電磁弁には故障が無いと判定し(ステップS124)、判定結果である故障状態を管理者及びメンテナンス者に報知し(ステップS125)、故障判定モードを終了する(ステップS126)。一方、制御部12は、V4とV1との差の絶対値が閾値Vth3以上の場合(ステップS123:YES)、検知部10には故障が無く第1給水手段21の電磁弁に故障が有ると判定し(ステップS127)、判定結果である故障状態を使用者、管理者及びメンテナンス者に報知し(ステップS128)、故障判定モードを終了する(ステップS126)。
【0076】
なお、各閾値(Vth1、Vth2及びVth3)は、予め制御部12に設定されている。又は、各閾値は、予めトイレ装置100の管理者等により設定される。又は、各閾値は、検知部10の過去の検知結果などに基づいて設定されても良い。閾値Vth1は、故障の有り無しが区別できるように適宜設定されれば良い。閾値Vth2は、詰まりの有り無しが区別できるように適宜設定されれば良い。閾値Vth3は、故障原因が区別できるように適宜設定されれば良い。
【0077】
以上説明した実施形態に基づくトイレ装置として、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
【0078】
第1の態様は、便器内の水位及び水位に関連する指標の少なくともいずれかを検知する検知部と、前記検知部の検知結果に基づいて、前記便器の詰まり状態を検知する詰まり検知モードを有する制御部と、を備え、前記制御部は、前記詰まり検知モードとは別に、前記検知部の故障を検知する故障検知モードを有することを特徴とするトイレ装置である。
【0079】
このトイレ装置によれば、詰まり検知モードとは別の故障検知モードにより、検知部の故障を検知することができる。これにより、検知部の故障が気づかれないままとなることを抑制することができる。したがって、検知部が故障したままになることを抑制でき、実際に詰まりが発生したときに検知部が詰まりを検知できずに洗浄水が便器外に溢れてしまうことを抑制できる。
【0080】
第2の態様は、第1の態様において、前記詰まり検知モードによって詰まりが検知された後の前記制御部の動作は、前記故障検知モードによって故障が検知された後の前記制御部の動作と異なることを特徴とするトイレ装置である。
【0081】
このトイレ装置によれば、詰まりが検知された場合と故障が検知された場合とで、制御部の動作内容が異なる。これにより、それぞれの状態に合わせて、好ましい制御を実行できる。
例えば、詰まりが有る場合は、洗浄水が便器外へ溢れる恐れがあるため便器を使用できないこと(便器内への洗浄水の供給を禁止した状態)が好ましい。一方、検知部の故障が有る場合は、詰まりが無ければ、便器内に洗浄水を供給しても洗浄水が溢れないため便器を使用できること(便器内へ洗浄水を供給できる状態)が好ましい。詰まりが検知された場合と故障が検知された場合とで、制御部の動作内容が異なることにより、例えば、便器が詰まっていない状態で便器が使用できなくなることを防止できる。
【0082】
第3の態様は、第2の態様において、前記詰まり検知モードによって詰まりが検知された後の前記制御部の前記動作は、前記便器内への洗浄水の供給を禁止することを含み、前記故障検知モードによって故障が検知された後の前記制御部の前記動作は、前記便器内への洗浄水の供給を禁止することを含まない、トイレ装置である。
【0083】
このトイレ装置によれば、詰まりが検知された場合は、便器内への洗浄水の供給を禁止することにより、洗浄水が便器外へ溢れることを防ぐことができる。一方、故障が検知された場合は、便器内への洗浄水の供給を禁止しないことにより、便器が詰まっていない状態で便器が使用できなくなることを防止できる。
【0084】
第4の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記詰まり検知モードによって詰まりが検知された場合の報知方法は、前記故障検知モードによって故障が検知された場合の報知方法と異なることを特徴とするトイレ装置である。
【0085】
このトイレ装置によれば、詰まりが検知された場合と故障が検知された場合とで、報知方法が異なる。これにより、それぞれの状態に合わせて、好ましい報知を実行できる。
例えば、詰まりが検知された場合は、管理者やメンテナンス業者だけでなく使用者に対しても、詰まりが発生して便器が使用できないことを報知することが好ましい。一方、検知部の故障が検知された場合は、管理者やメンテナンス業者には故障が発生したことを報知することが好ましいが、便器が使用できる状態であれば使用者には必ずしも報知しなくても良い。詰まりが検知された場合と故障が検知された場合とで、報知方法が異なることにより、例えば詰まりが発生した場合には使用者に報知し、検知部の故障時には使用者に報知しないようにすることができる。これにより、検知部の故障時に使用者に不安を与えることを防止できる。
【0086】
第5の態様は、第1~第4のいずれか1つの態様において、前記故障検知モードは、便器洗浄中における前記検知部の出力信号に基づいて、故障の有無を判定することを特徴とするトイレ装置である。
【0087】
このトイレ装置によれば、便器洗浄中の検知部の出力信号を利用することで、故障の有無を判定することができる。また、トイレ装置の通常使用で必ず行われる便器洗浄動作を利用して故障検知ができるため、故障検知のための特別な洗浄動作を行う必要がなく、洗浄水を節約できる。
【0088】
第6の態様は、第5の態様において、前記制御部は、前記故障検知モードによって故障を検知した場合、故障原因を判定する故障原因判定モードを実行することを特徴とするトイレ装置である。
【0089】
このトイレ装置によれば、故障原因判定モードにより、故障検知モードで検知された故障の原因を判定することができる。
例えば、便器洗浄中の検知部の出力信号に基づいて故障が有ると判定された場合は、検知部が故障している場合と、電磁弁が故障している場合と、を含む。これに対して、故障原因判定モードにより、例えば故障の原因が検知部にあるのか電磁弁にあるのかを判定することができる。故障原因判定モードの判定結果を管理者やメンテナンス業者に報知することにより、より適切なメンテナンス対応を行うことができる。
【0090】
第7の態様は、第6の態様において、前記故障原因判定モードは、前記便器内に洗浄水を供給する第1給水手段とは別に前記便器内に水を供給する第2給水手段によって前記便器内に水を供給した状態における前記検知部の出力信号に基づいて、前記故障原因を判定することを特徴とするトイレ装置である。
【0091】
このトイレ装置によれば、第2給水手段による給水時の検知部の出力信号を利用することで、故障の原因が検知部にあるのか電磁弁にあるのかを判定することができる。
【0092】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、トイレ装置が備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0093】
10 検知部、 12 制御部、 12a 判定部、 12b 故障判定部、 14 通信部、 14a 報知手段、 14b 故障報知手段、 20 便器、 20a 表面、 21 第1給水手段、 22 第2給水手段、 30 管理装置、 100 トイレ装置、 F1 異物、 H1 水位、 S1 溢れ面、 S101~S128 ステップ、 S2 封水面、 T1、T2 時刻、 T2 時刻、 Vth1~Vth3 閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6