(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】作業通知方法、作業通知装置及び作業通知システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240507BHJP
【FI】
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2022543903
(86)(22)【出願日】2021-08-11
(86)【国際出願番号】 JP2021029604
(87)【国際公開番号】W WO2022039080
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-04-17
(31)【優先権主張番号】P 2020140022
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 康史
(72)【発明者】
【氏名】天野 博史
【審査官】星野 昌幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-134335(JP,A)
【文献】特開2019-016134(JP,A)
【文献】特開平10-289277(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157303(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 ~ 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが実行する作業通知方法であって、
設備の停止要因毎に、停止した設備を作業者が復旧させる能力である作業スキルを計測する計測ステップと、
前記作業者が復旧作業中の第1設備とは異なる1以上の第2設備が停止した場合に、
(a)前記第1設備の停止要因に対応する前記作業スキルに基づいて、前記第1設備を前記作業者が復旧させることで向上する生産性の程度を示す第1生産性指標を推定する第1推定ステップと、
(b)前記1以上の第2設備の各々を対象設備として、前記対象設備の停止要因に対応する前記作業スキルに基づいて、前記対象設備を前記作業者が復旧させることで向上する生産性の程度を示す第2生産性指標を推定する第2推定ステップと、
前記第1生産性指標と1以上の前記第2生産性指標との比較を行う比較ステップと、
前記比較の結果に基づいて、前記作業者が復旧させた場合に生産性が最も高くなる設備を、復旧作業の作業対象設備として前記作業者に通知する通知ステップと、を含む、
作業通知方法。
【請求項2】
前記第1推定ステップでは、前記作業者による前記第1設備の復旧作業の残り時間である第1作業時間を推定し、前記第1作業時間に基づいて前記第1生産性指標を推定し、
前記第2推定ステップでは、前記対象設備毎に、前記作業者による前記対象設備の復旧作業の作業時間である第2作業時間を推定し、前記第2作業時間に基づいて前記第2生産性指標を推定する、
請求項1に記載の作業通知方法。
【請求項3】
前記第1生産性指標は、前記第1作業時間であり、
前記第2生産性指標は、前記第2作業時間であり、
前記通知ステップでは、前記第1作業時間及び1以上の前記第2作業時間のうち、最も短い作業時間に対応する設備を、前記作業対象設備として前記作業者に通知する、
請求項2に記載の作業通知方法。
【請求項4】
前記第1推定ステップでは、前記第1設備の生産能力と前記第1作業時間とに基づいて、前記第1設備を用いて生産される製品の生産数である第1生産数を、前記第1生産性指標として推定し、
前記第2推定ステップでは、前記対象設備毎に、前記対象設備の生産能力と前記対象設備の前記第2作業時間とに基づいて、前記対象設備を用いて生産される製品の生産数である第2生産数を、前記第2生産性指標として推定し、
前記通知ステップでは、前記第1生産数と1以上の前記第2生産数とのうち、最も多い生産数に対応する設備を、前記作業対象設備として前記作業者に通知する、
請求項2に記載の作業通知方法。
【請求項5】
前記第1推定ステップでは、前記第1設備の復旧作業が品種の切り替え作業である場合、切り替え後の品種の生産数を推定し、
前記第2推定ステップでは、前記対象設備の復旧作業が品種の切り替え作業である場合、切り替え後の品種の生産数を推定する、
請求項4に記載の作業通知方法。
【請求項6】
前記通知ステップでは、さらに、前記作業対象設備の停止要因に基づく作業内容と、前記作業対象設備の前記第1作業時間又は前記第2作業時間である推定作業時間との少なくとも1つを通知する、
請求項2~5のいずれか1項に記載の作業通知方法。
【請求項7】
前記1以上の第2設備の復旧作業を行うことができる作業者が複数人存在する場合に、
(a)前記第2推定ステップでは、少なくとも1つの前記対象設備に対する前記第2作業時間を、前記作業者毎に推定し、
(b)前記通知ステップでは
、少なくとも1つの
前記対象設備の復旧作業を、複数の前記第2作業時間のうち最も短い時間に対応する前記作業者に通知する、
請求項2~6のいずれか1項に記載の作業通知方法。
【請求項8】
前記通知ステップでは、前記作業者が所持する携帯端末に、前記作業対象設備を示す情報を文字、音声又は画像で出力させる、
請求項1~7のいずれか1項に記載の作業通知方法。
【請求項9】
前記通知ステップでは、さらに、前記携帯端末を振動させる、
請求項8に記載の作業通知方法。
【請求項10】
前記通知ステップは、前記第1設備の復旧作業の完了後に行われる、
請求項1~9のいずれか1項に記載の作業通知方法。
【請求項11】
前記通知ステップでは、さらに、前記作業者が前記第1設備の復旧作業を行った実働時間が所定時間を超過した場合、当該所定時間の超過を前記作業者に通知する、
請求項1~10のいずれか1項に記載の作業通知方法。
【請求項12】
前記通知ステップでは、さらに、
前記超過を通知された前記作業者が前記第1設備の復旧作業を継続して行っているか否かを判定し、
前記第1設備の復旧作業を継続して行っていると判定した場合には、前記作業者が前記第1設備の復旧作業を継続して行っていることを前記作業者とは異なる人物に通知する、
請求項11に記載の作業通知方法。
【請求項13】
前記人物への通知では、前記第1設備の復旧作業を継続して行っていると判定し、かつ、前記第2設備が停止している場合には、前記作業者が前記第1設備の復旧作業を継続して行っていることを前記作業者とは異なる人物に通知する、
請求項12に記載の作業通知方法。
【請求項14】
前記通知ステップでは、さらに、前記作業者が前記作業対象設備とは異なる設備に移動した場合に、移動した設備が前記作業対象設備とは異なることを通知する、
請求項1~13のいずれか1項に記載の作業通知方法。
【請求項15】
設備の停止要因毎に、停止した設備
の復旧作業に作業者が
要する作業時間である作業スキルを計測する計測部と、
前記作業者が復旧作業中の第1設備とは異なる1以上の第2設備が停止した場合に、
(a)前記第1設備の停止要因に対応する前記作業スキルに基づいて、前記第1設備を前記作業者が復旧させることで向上する生産性の程度を示す第1生産性指標を推定し、
(b)前記1以上の第2設備の各々を対象設備として、前記対象設備の停止要因に対応する前記作業スキルに基づいて、前記対象設備を前記作業者が復旧させることで向上する生産性の程度を示す第2生産性指標を推定する、推定部と、
前記第1生産性指標と1以上の前記第2生産性指標との比較を行う比較部と、
前記比較の結果に基づいて、前記作業者が復旧させた場合に生産性が最も高くなる設備を、復旧作業の作業対象設備として前記作業者に通知する通知部と、を備える、
作業通知装置。
【請求項16】
請求項15に記載の作業通知装置と、
複数の前記設備と、を備える、
作業通知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業通知方法、作業通知装置及び作業通知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場において生産性を向上させる手段の1つに、作業者による作業の効率化がある。作業の効率化を図るため、作業者に対して行うべき作業を指示する生産ライン管理装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生産性をより高めるためには、複数の設備が停止している場合に、優先して復旧作業を行うべき設備を適切に作業者に通知することが望まれている。
【0005】
そこで、本開示は、複数の設備が停止している場合に、優先して復旧作業を行うべき設備を適切に作業者に通知することができる作業通知方法、作業通知装置及び作業通知システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る作業通知方法は、設備の停止要因毎に、停止した設備を作業者が復旧させる能力である作業スキルを計測する計測ステップと、前記作業者が復旧作業中の第1設備とは異なる1以上の第2設備が停止した場合に、(a)前記第1設備の停止要因に対応する前記作業スキルに基づいて、前記第1設備を前記作業者が復旧させることで向上する生産性の程度を示す第1生産性指標を推定する第1推定ステップと、(b)前記1以上の第2設備の各々を対象設備として、前記対象設備の停止要因に対応する前記作業スキルに基づいて、前記対象設備を前記作業者が復旧させることで向上する生産性の程度を示す第2生産性指標を推定する第2推定ステップと、前記第1生産性指標と1以上の前記第2生産性指標との比較を行う比較ステップと、前記比較の結果に基づいて、前記作業者が復旧させた場合に生産性が最も高くなる設備を、復旧作業の作業対象設備として前記作業者に通知する通知ステップと、を含む。
【0007】
本開示の一態様に係る作業通知装置は、設備の停止要因毎に、停止した設備を作業者が復旧させる能力である作業スキルを計測する計測部と、前記作業者が復旧作業中の第1設備とは異なる1以上の第2設備が停止した場合に、(a)前記第1設備の停止要因に対応する前記作業スキルに基づいて、前記第1設備を前記作業者が復旧させることで向上する生産性の程度を示す第1生産性指標を推定し、(b)前記1以上の第2設備の各々を対象設備として、前記対象設備の停止要因に対応する前記作業スキルに基づいて、前記対象設備を前記作業者が復旧させることで向上する生産性の程度を示す第2生産性指標を推定する、推定部と、前記第1生産性指標と1以上の前記第2生産性指標との比較を行う比較部と、前記比較の結果に基づいて、前記作業者が復旧させた場合に生産性が最も高くなる設備を、復旧作業の作業対象設備として前記作業者に通知する通知部と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る作業通知システムは、上記一態様に係る作業通知装置と、複数の前記設備と、を備える。
【0009】
また、本開示の一態様は、上記作業通知方法をコンピュータに実行させるプログラムとして実現することができる。あるいは、本開示の一態様は、当該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現することもできる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、複数の設備が停止している場合に、優先して復旧作業を行うべき設備を適切に作業者に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る作業通知システムが適用される工場の構成を示す平面図である。
【
図2】
図2は、1時間分の複数の設備の停止データと作業者の移動データとの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る作業通知システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る作業通知システムによる典型的な処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図5】
図5は、設備通知画像の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係る作業通知システムによる時間超過の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図7】
図7は、作業者に通知する超過通知画像の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、作業者とは異なる人物に通知する超過通知画像の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施の形態1に係る作業通知システムによる設備間違い通知処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図11】
図11は、実施の形態1に係る作業通知システムの動作を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、作業時間と生産性との関係を説明するための図である。
【
図13】
図13は、実施の形態1に係る製造設備の構成を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、実施の形態1に係る作業通知装置の構成を示すブロック図である。
【
図15】
図15は、実施の形態1に係る端末装置の構成を示すブロック図である。
【
図16】
図16は、実施の形態1に係る作業通知システムによる機械学習モデルの作成処理を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、実施の形態1に係る作業通知システムによる作業対象設備の決定処理を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、実施の形態1に係る作業通知システムによる作業対象設備の通知処理を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、実施の形態1に係る作業通知システムによる作業時間の計測処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図20】
図20は、1日分の複数の製造設備の停止データと作業者の動線データとの一例を示す図である。
【
図21】
図21は、
図20に示される1台の製造設備の1回の停止に関わる停止データと作業者の動線データとを示す図である。
【
図22】
図22は、実施の形態1に係る作業通知システムによる作業時間及び放置時間の算出処理を示すフローチャートである。
【
図23】
図23は、実施の形態1に係る作業通知装置の記憶部に記憶された作業分析情報の一例を示す図である。
【
図24】
図24は、実施の形態1に係る作業通知装置による復旧開始時刻の推定処理を示すフローチャートである。
【
図25】
図25は、製造設備の周辺の所定範囲と作業者の動線とを示す平面図である。
【
図26】
図26は、実施の形態2に係る作業通知システムによる機械学習モデルの作成処理を示すフローチャートである。
【
図27】
図27は、実施の形態2に係る作業通知システムによる作業対象設備の決定処理を示すフローチャートである。
【
図28】
図28は、2人の作業者についての停止要因毎の平均作業時間を表すパレート図である。
【
図29】
図29は、実施の形態3に係る作業通知システムによる作業対象設備及び作業者の決定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本開示の概要)
本開示の一態様に係る作業通知方法は、設備の停止要因毎に、停止した設備を作業者が復旧させる能力である作業スキルを計測する計測ステップと、前記作業者が復旧作業中の第1設備とは異なる1以上の第2設備が停止した場合に、(a)前記第1設備の停止要因に対応する前記作業スキルに基づいて、前記第1設備を前記作業者が復旧させることで向上する生産性の程度を示す第1生産性指標を推定する第1推定ステップと、(b)前記1以上の第2設備の各々を対象設備として、前記対象設備の停止要因に対応する前記作業スキルに基づいて、前記対象設備を前記作業者が復旧させることで向上する生産性の程度を示す第2生産性指標を推定する第2推定ステップと、前記第1生産性指標と1以上の前記第2生産性指標との比較を行う比較ステップと、前記比較の結果に基づいて、前記作業者が復旧させた場合に生産性が最も高くなる設備を、復旧作業の作業対象設備として前記作業者に通知する通知ステップと、を含む。
【0013】
このように、作業者の作業スキルに基づいて生産性指標を推定するので、推定された生産性指標は、停止設備が復旧した場合に向上する生産性の程度をより正確に表す指標になる。したがって、より正確な(確度の高い)生産性指標に基づいて作業対象設備を決定することができるので、復旧作業を行うのに適切な設備を作業対象設備として作業者に通知することができる。よって、本態様に係る作業通知方法によれば、複数の設備が停止している場合に、優先して復旧作業を行うべき設備を適切に作業者に通知することができ、工場の生産性の向上に貢献することができる。
【0014】
また、例えば、前記第1推定ステップでは、前記作業者による前記第1設備の復旧作業の残り時間である第1作業時間を推定し、前記第1作業時間に基づいて前記第1生産性指標を推定し、前記第2推定ステップでは、前記対象設備毎に、前記作業者による前記対象設備の復旧作業の作業時間である第2作業時間を推定し、前記第2作業時間に基づいて前記第2生産性指標を推定してもよい。
【0015】
復旧作業の作業時間が短い程、設備の稼働時間が長くなるので、生産性が向上する。作業時間をより正確に推定することで、作業対象設備として適切な停止設備を決定することができる。
【0016】
また、例えば、前記第1生産性指標は、前記第1作業時間であり、前記第2生産性指標は、前記第2作業時間であり、前記通知ステップでは、前記第1作業時間及び1以上の前記第2作業時間のうち、最も短い作業時間に対応する設備を、前記作業対象設備として前記作業者に通知してもよい。
【0017】
これにより、最も短い作業時間に対応する設備、すなわち、最も短期間で復旧可能な設備を作業対象設備として通知するので、復旧後の当該設備の稼働時間、すなわち、生産時間を長くすることができる。生産時間が長くなることにより、工場の生産性を向上させることができる。
【0018】
また、例えば、前記第1推定ステップでは、前記第1設備の生産能力と前記第1作業時間とに基づいて、前記第1設備を用いて生産される製品の生産数である第1生産数を、前記第1生産性指標として推定し、前記第2推定ステップでは、前記対象設備毎に、前記対象設備の生産能力と前記対象設備の前記第2作業時間とに基づいて、前記対象設備を用いて生産される製品の生産数である第2生産数を、前記第2生産性指標として推定し、前記通知ステップでは、前記第1生産数と1以上の前記第2生産数とのうち、最も多い生産数に対応する設備を、前記作業対象設備として前記作業者に通知してもよい。
【0019】
これにより、最も多い生産数に対応する設備、すなわち、復旧させた場合の生産数が最も多い設備は、工場の生産性の向上により直接的に貢献する設備である。当該設備を作業対象設備として作業者に通知し、速やかに復旧させることができるので、工場の生産性を向上させることができる。
【0020】
また、例えば、前記第1推定ステップでは、前記第1設備の復旧作業が品種の切り替え作業である場合、切り替え後の品種の生産数を推定し、前記第2推定ステップでは、前記対象設備の復旧作業が品種の切り替え作業である場合、切り替え後の品種の生産数を推定してもよい。
【0021】
これにより、品種の切り替えが行われる場合には切り替え後の品種の生産数を推定するので、復旧させた場合の生産数が最も多い設備をより正確に決定することができる。
【0022】
また、例えば、前記通知ステップでは、さらに、前記作業対象設備の停止要因に基づく作業内容と、前記作業対象設備の前記第1作業時間又は前記第2作業時間である推定作業時間との少なくとも1つを通知してもよい。
【0023】
これにより、作業者は、停止設備に移動する前に事前に作業内容と作業時間とを把握することができる。作業者は、作業内容と作業時間とを予め把握しておくことで、停止設備に移動した時に速やかに復旧作業を行うことができる。
【0024】
また、例えば、前記1以上の第2設備の復旧作業を行うことができる作業者が複数人存在する場合に、(a)前記第2推定ステップでは、少なくとも1つの前記対象設備に対する前記第2作業時間を、前記作業者毎に推定し、(b)前記通知ステップでは、前記少なくとも1つの対象設備の復旧作業を、複数の前記第2作業時間のうち最も短い時間に対応する前記作業者に通知してもよい。
【0025】
これにより、作業スキルの高い作業者に優先して復旧作業を行わせることができるので、生産性をより向上させることができる。
【0026】
また、例えば、前記通知ステップでは、前記作業者が所持する携帯端末に、前記作業対象設備を示す情報を文字、音声又は画像で出力させてもよい。
【0027】
これにより、作業者に分かりやすく通知することができる。
【0028】
また、例えば、前記通知ステップでは、さらに、前記携帯端末を振動させてもよい。
【0029】
これにより、作業者が携帯端末を見なくても振動によって通知が来たことを認知させることができる。
【0030】
また、例えば、前記通知ステップは、前記第1設備の復旧作業の完了後に行われてもよい。
【0031】
これにより、通知が作業者の復旧作業の妨げにならないようにすることができる。
【0032】
また、例えば、前記通知ステップでは、さらに、前記作業者が前記第1設備の復旧作業を行った実働時間が所定時間を超過した場合、当該所定時間の超過を前記作業者に通知してもよい。
【0033】
これにより、作業者が復旧作業に没頭し、復旧させるべき他の停止設備が長時間放置されたままになるのを抑制することができる。
【0034】
また、例えば、前記通知ステップでは、さらに、前記超過を通知された前記作業者が前記第1設備の復旧作業を継続して行っているか否かを判定し、前記第1設備の復旧作業を継続して行っていると判定した場合には、前記作業者が前記第1設備の復旧作業を継続して行っていることを前記作業者とは異なる人物に通知してもよい。
【0035】
これにより、作業者が時間を超過してまで復旧作業に没頭していることを、他の作業者又は管理者などに知らせることができるので、他の作業者又は管理者が作業の支援を行うなどの対策を取ることができる。このため、例えば、作業者が仕掛け中の復旧作業を他の作業者に手伝わせることなどができるので、工場の生産性を向上させることができる。
【0036】
また、例えば、前記人物への通知では、前記第1設備の復旧作業を継続して行っていると判定し、かつ、前記第2設備が停止している場合には、前記作業者が前記第1設備の復旧作業を継続して行っていることを前記作業者とは異なる人物に通知してもよい。
【0037】
これにより、例えば、他の作業者に別の停止設備の復旧作業を行わせることができる。あるいは、他の作業者に仕掛け中の復旧作業を手伝わせることによって、速やかに仕掛け中の復旧作業を終わらせ、別の停止設備の復旧作業に作業者を向かわせることができる。
【0038】
また、例えば、前記通知ステップでは、さらに、前記作業者が前記作業対象設備とは異なる設備に移動した場合に、移動した設備が前記作業対象設備とは異なることを通知してもよい。
【0039】
これにより、作業者が誤った設備に移動した場合に、正しい設備に作業者を誘導することができる。
【0040】
また、本開示の一態様に係る作業通知装置は、設備の停止要因毎に、停止した設備を作業者が復旧させる能力である作業スキルを計測する計測部と、前記作業者が復旧作業中の第1設備とは異なる1以上の第2設備が停止した場合に、(a)前記第1設備の停止要因に対応する前記作業スキルに基づいて、前記第1設備を前記作業者が復旧させることで向上する生産性の程度を示す第1生産性指標を推定し、(b)前記1以上の第2設備の各々を対象設備として、前記対象設備の停止要因に対応する前記作業スキルに基づいて、前記対象設備を前記作業者が復旧させることで向上する生産性の程度を示す第2生産性指標を推定する、推定部と、前記第1生産性指標と1以上の前記第2生産性指標との比較を行う比較部と、前記比較の結果に基づいて、前記作業者が復旧させた場合に生産性が最も高くなる設備を、復旧作業の作業対象設備として前記作業者に通知する通知部と、を備える。
【0041】
これにより、上記作業通知方法と同様の効果を得ることができる。
【0042】
また、本開示の一態様に係る作業通知システムは、上記一態様に係る作業通知装置と、複数の前記設備と、を備える。
【0043】
これにより、上記作業通知方法と同様の効果を得ることができる。
【0044】
以下では、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0045】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0046】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0047】
また、本明細書において、「時間」は、特に断りのない限り、所定の長さの期間を意味する。「時刻」及び「時点」はそれぞれ、特に断りのない限り、所定の瞬間的なタイミングを意味する。
【0048】
(実施の形態1)
[1-1.作業通知システムが適用される工場の一例]
まず、実施の形態に係る作業通知システムが適用される工場の一例について、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る作業通知システムが適用される工場の構成を示す平面図である。
【0049】
図1に示されるように、工場1では、複数の製造設備100が配置されている。複数の製造設備100の各々は、製品の製造(すなわち、生産)の少なくとも1つの工程を実行する。各製造設備100が行う工程は、互いに同じであるが、互いに異なっていてもよい。製造設備100は、例えば、部品実装機又は部品の組立装置などであるが、特に限定されない。なお、製造設備100は、製品の製造に関わる設備であればよく、製品の検査を行う検査装置であってもよい。
【0050】
工場1内では、複数の作業者2A~2Dが従事している。
図1に示される例では、工場1内は4つのブロックA~Dに区分けされており、ブロック毎に作業者が割り当てられている。例えば、作業者2Aは、ブロックAに配置された10台の製造設備100に対する作業を行う。以下では、作業者2Aに関する説明を行うが、作業者2B~2Dについても同様である。
【0051】
作業者2Aが行う作業は、主に、製造設備100の復旧作業である。つまり、作業者2Aは、製造設備100が停止した場合に、停止した製造設備100の復旧作業を行う。このとき、
図1に示されるように、複数の製造設備100a~100cが同時に停止していることが起こりうる。例えば、製造設備100aが停止した場合、作業者2Aは製造設備100aの復旧作業を行うが、製造設備100aの復旧作業が完了する前に、製造設備100b及び100cが停止することが起こりうる。複数の製造設備100が停止した場合に、適切な順序で停止設備を復旧させることにより、工場1全体としての生産性を高めることができる。
【0052】
以下では、工場1内で行われる復旧作業の一例と、その改善すべき点とについて、
図2を用いて説明する。
【0053】
図2は、1時間分の複数の設備の停止データと作業者の移動データとの一例を示す図である。
図2において、横軸は時刻を表し、縦軸は設備の識別番号を表している。「F0001」~「F0008」は、工場1内の複数の製造設備100の各々に割り当てられた固有の識別番号(以下、設備番号)である。以下では、設備番号「F0001」の製造設備100を設備F0001と記載する。他の設備についても同様である。
図1に示される作業者2Aは、10台の設備F0001~設備F0010に対する作業を行う。
図2では、設備F0009及び設備F0010の図示を省略している。
【0054】
図2に示されるように、設備毎に、停止データが横棒グラフで示されている。停止データは、対応する設備が停止している時間を表している。具体的には、横棒グラフの左端は、設備が停止した停止時刻であり、右端は、設備が復旧し、製造を開始した動作開始時刻である。
【0055】
なお、設備の停止要因には、設備の故障及び製品の不具合などの異常な要因と、品種の切り替えなどの正常な要因と、が含まれる。
図2において、格子状の網掛けが付された停止データは、正常な要因に基づく停止を表している。網掛けが付されていない停止データは、異常な要因に基づく停止を表している。
【0056】
移動データは、設備間をまたぐ矢印で示されている。移動データは、作業者2Aの移動方向を表している。具体的には、矢印の起点は、作業者2Aの移動元の設備を表し、終点は、作業者2Aの移動先の設備を表している。なお、
図2では、移動にかかる時間の図示は省略されており、移動先の設備に到着した時刻に矢印を図示している。
【0057】
図2に示される例から、作業者2Aは、設備F0002の復旧作業を完了した後、設備F0008に移動し、2:01に設備F0008の復旧作業を開始したことが分かる。また、2:14から2:33にかけて、作業者2Aが休憩などを取ることによって一時的に不在で、設備の復旧作業を行っていない期間がある。この結果、作業者2Aが復帰した時点で、設備F0003~設備F0008の6台の設備が同時に停止している。ここでは、作業者2Aは、設備F0008→設備F0005→設備F0006→設備F0007→設備F0001→設備F0003→設備F0001→設備F0002→設備F0004の順で復旧作業を行っている。
【0058】
工場1の生産性を向上させるためには、短期間で復旧作業が完了する設備を優先的に復旧させることが望ましい。しかしながら、
図2に示される例では、休憩から復帰した作業者2Aは、設備F0005の復旧作業が1分程の短期間で完了できるにも関わらず、最初に設備F0008の復旧作業を行っている。この作業順序は、生産性の向上という観点から好ましくない作業順序である。
【0059】
これに対して、本実施の形態に係る作業通知システムでは、作業者2Aの作業スキルに応じて、復旧作業を行うべき適切な設備を作業対象設備として決定し、決定した作業対象設備を作業者2Aに通知する。これにより、停止した設備が放置される時間を減らすことができ、生産性を向上させることができる。
【0060】
[1-2.作業通知システム]
続いて、本実施の形態に係る作業通知システムについて説明する。
【0061】
図3は、本実施の形態に係る作業通知システムの構成を示すブロック図である。
図3に示されるように、作業通知システム10は、複数の製造設備100と、作業通知装置200と、複数の端末装置300及び301と、を備える。複数の製造設備100と、作業通知装置200と、複数の端末装置300及び301とは、ネットワーク400を介して互いに通信可能に接続されている。各装置の通信は、有線通信であってもよく、無線通信であってもよい。また、端末装置300及び301の少なくとも一方が作業通知装置200の機能を兼ねてもよい。各装置の具体的な構成例については、後で説明する。
【0062】
[1-2-1.作業通知システムの典型的な処理]
まず、作業通知システム10の典型的な処理の流れについて、
図4を用いて説明する。
図4は、本実施の形態に係る作業通知システム10による典型的な処理の流れを示すシーケンス図である。説明を簡単にするため、
図4では、複数の製造設備100のうち、設備F0001及び設備F0002の2台のみを図示している。また、端末装置300は、複数の製造設備100の復旧作業を行う作業者2Aによって所持されている。
【0063】
まず、作業通知装置200は、停止要因毎に、作業者2Aの作業スキルを計測する(S101)。作業スキルは、対応する停止要因で停止した製造設備を復旧させる能力の程度を示す指標である。例えば、作業スキルは、製造設備の復旧作業に要する作業時間で表される。作業時間の具体的な計測方法は、後で説明する。
【0064】
図4に示される例では、設備F0001が何らかの停止要因で製造を停止する(S102)。設備F0001が停止した場合には、設備F0001から、その停止が作業通知装置200に通知される。設備F0001から送信される停止通知には、停止要因が含まれる。
【0065】
作業通知装置200は、設備F0001からの停止通知を受け取った時点で、他の製造設備が停止していない場合、設備F0001を作業対象設備として決定する(S103)。作業通知装置200は、設備F0001が作業対象設備であることを示す通知情報を作業者2Aが所持する端末装置300に送信する。作業者2Aは、作業通知装置200からの通知によって作業対象設備が設備F0001であることを把握することができるので、停止した設備F0001へ移動し(S104)、復旧作業を行う(S105)。
【0066】
ここで、
図4に示されるように、設備F0001の復旧作業が完了する前に、設備F0002が停止することがある(S106)。設備F0002から、その停止が作業通知装置200に通知される。
【0067】
設備F0002からの停止通知を受け取った時点で、他の製造設備(具体的には、復旧作業中の設備F0001)が停止している。そこで、作業通知装置200は、作業者2Aの作業スキルに基づいて、停止している設備F0001及び設備F0002の各々の生産性指標を推定し、推定した生産性指標に基づいて作業対象設備を決定する(S107)。生産性指標は、停止した設備を復旧させた場合に向上する生産性の程度を示す指標である。例えば、設備F0002を復旧させる場合よりも設備F0001を復旧させた方が、生産性が高い場合、作業通知装置200は、設備F0001を作業対象設備として決定する。作業通知装置200は、設備F0001が作業対象設備であることを示す通知情報を端末装置300に送信する。
【0068】
例えば、端末装置300の表示部315には、
図5に示される設備通知画像が表示される。
図5は、設備通知画像の一例を示す図である。
図5に示されるように、設備通知画像は、作業対象設備の識別番号411と、作業対象設備の停止要因412と、推定作業時間413と、を含んでいる。また、設備通知画像は、同時に停止している設備の台数(ここでは、2台)である同時停止数414を含んでいる。なお、
図5に示される設備通知画像は一例にすぎない。設備通知画像は、識別番号411のみを含んでいてもよく、停止要因412、推定作業時間413及び同時停止数414の少なくとも1つを含んでいなくてもよい。
【0069】
図5に示される設備通知画像によって、作業者2Aは、現在作業中の設備F0001が作業対象設備であることが分かるので、そのまま復旧作業を継続する(S108)。復旧作業を完了すると、設備F0001は製造を開始する(S109)。製造設備F0001は、復旧作業が完了したことを示す復旧完了通知を作業通知装置200に送信する。
【0070】
作業通知装置200は、設備F0001の動作が開始されたので、残りの停止設備である設備F0002を作業対象設備として決定し(S110)、端末装置300に通知する。作業者2Aは、作業通知装置200からの通知によって作業対象設備が設備F0002であることを把握することができるので、停止した設備F0002へ移動し(S111)、復旧作業を行う(S112)。
【0071】
[1-2-2.時間超過処理]
なお、作業者2Aが通知に従って作業対象設備の復旧作業を行う例について、
図4を用いて説明したが、必ずしも作業者2Aが通知に従うとは限らない。作業中設備の復旧作業に没頭し、通知そのものに気付かない場合なども起こりうる。また、何らかの要因によって復旧作業が上手くいかず、予定通りの時間に終わらせることができない場合も起こりうる。
【0072】
以下では、復旧作業の実働時間が所定時間を超過する場合の処理について、
図6を用いて説明する。
図6は、本実施の形態に係る作業通知システム10による時間超過の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0073】
図6に示される例において、作業者2Aが復旧作業を開始するまでの処理(S101~S105)は、
図4に示される例と同じである。ここでは、端末装置300は作業者2Aによって所持されている。端末装置301は、作業リーダー又は管理者などの作業者2Aとは異なる人物によって所持されている。
【0074】
図6に示されるように、作業通知装置200は、復旧作業の実働時間が所定時間を超過したか否かを判定する(S120)。所定時間は、例えば、作業者2Aの作業スキルに基づいて推定された作業時間である。つまり、所定時間は、作業者2Aが本来であれば復旧作業を完了させることができる時間である。復旧作業の実働時間が所定時間を超過している場合、作業通知装置200は、所定時間の超過を作業者2Aに通知する。このとき、作業通知装置200は、所定時間の超過を作業リーダーに通知してもよい。
【0075】
例えば、端末装置300の表示部315には、
図7に示される超過通知画像が表示されてもよい。
図7は、作業者2Aに通知する超過通知画像の一例を示す図である。
【0076】
図7に示されるように、超過通知画像は、作業者2Aの実働時間が所定時間を超過していることを示す警告メッセージ421を含んでいる。このとき、超過通知画像は、さらに、作業者2Aが取るべき次の行動を示す示唆メッセージ422を含んでいてもよい。なお、警告メッセージ421及び示唆メッセージ422の各々の内容も特に限定されない。
【0077】
図6に示される例では、設備F0001の復旧作業が完了する前に、設備F0002が停止している(S106)。設備F0002から、その停止が作業通知装置200に通知されるので、作業通知装置200は、作業者2Aの作業スキルに基づいて、停止している設備F0001及び設備F0002の各々の生産性指標を推定し、推定した生産性指標に基づいて作業対象設備を決定する(S107)。
【0078】
このとき、作業中設備(具体的には、設備F0001)ではない設備F0002が作業対象設備として決定され、作業者2Aに通知される。作業者2Aは、通知に従って設備F0002へ移動するべきであるにも関わらず、設備F0001の復旧作業を継続している(S121)。この場合、作業通知装置200は、作業者2Aが設備F0001の復旧作業を継続して行っているか否かを判定する(S122)。判定は、例えば、設備F0001からの復旧完了通知の受信の有無に基づいて行われる。具体的には、作業通知装置200は、設備F0001から復旧完了通知を受信していない場合に、作業者2Aが設備F0001の復旧作業を継続して行っていると判定する。なお、判定は、カメラで取得された映像、又は、作業者2Aを検知する近接センサ(例えば人感センサ又は測距センサなど)の検知結果に基づいて行われてもよい。
【0079】
設備F0001の復旧作業を継続して行っている場合、すなわち、所定時間を経過しても作業者2Aが設備F0002の復旧作業を開始しない場合、作業通知装置200は、作業者2Aが設備F0001の復旧作業を継続して行っていることを作業リーダーに通知する。具体的には、作業通知装置200は、作業者2Aが設備F0001の復旧作業を継続して行っていることを示す通知情報を端末装置301に送信する。
【0080】
例えば、端末装置301の表示部315には、
図8に示される超過通知画像が表示される。
図8は、作業者2Aとは異なる人物に通知する超過通知画像の一例を示す図である。
図8に示されるように、超過表示画像は、実働時間が所定時間を超過している作業者と当該作業者が作業中の設備とを特定するメッセージ431を含んでいる。また、超過表示画像は、さらに、現在停止したままになっている停止設備のリスト432を含んでいる。なお、
図8に示される超過表示画像は一例にすぎない。超過表示画像は、メッセージ431のみを含み、リスト432を含んでいなくてもよい。また、メッセージ431の内容も特に限定されない。
【0081】
図8に示される通知によって、作業リーダーは、作業者2Aが通知に従うことができていないことが把握できる。このため、作業リーダーは、作業者2Aの補助、又は、他の作業者に対して設備F0002の復旧作業の指示などを行うことができる。これにより、工場1の生産性の向上に貢献することができる。
【0082】
[1-2-3.設備間違い]
また、通知に気付かない場合、及び、復旧作業に没頭している場合以外に、作業対象設備とは異なる設備に作業者2Aが移動してしまうことも起こりうる。工場1内では1人の作業者が多くの設備を担当するので、このような設備の間違いも起こりやすい。
【0083】
図9は、本実施の形態に係る作業通知システムによる設備間違いの通知処理の流れを示すシーケンス図である。
図9に示される例において、作業通知装置200が作業対象設備を決定するまでの処理(S101~S107)は、
図4に示される例と同じである。
【0084】
図9に示される例では、作業中設備(具体的には、設備F0001)ではない設備F0002が作業対象設備として決定され、作業者2Aに通知されている。ここで、作業者2Aは、通知に従って設備F0002へ移動するべきであるにも関わらず、誤って別の設備へ移動している(S130)。
【0085】
この場合に備えて、作業通知装置200は、作業者2Aが誤った設備に移動したか否かを判定する(S131)。判定は、例えば、作業者2Aと各設備との相対的な位置関係(具体的には、作業者2Aがどの設備に対して近接しているか)に基づいて行われる。作業者2Aと設備との近接は、例えば、カメラで取得された映像、又は、作業者2Aを検知する近接センサ(例えば人感センサ又は測距センサなど)の検知結果に基づいて判定される。作業通知装置200は、作業者2Aが作業対象設備とは異なる設備に移動した場合、移動した設備が作業対象設備とは異なることを作業者2Aに通知する。具体的には、作業通知装置200は、作業者2Aが移動した設備が作業対象設備とは異なることを示す通知情報を端末装置300に送信する。
【0086】
例えば、端末装置300の表示部315には、
図10に示される設備間違い画像が表示される。
図10は、設備間違い画像の一例を示す図である。
図10に示されるように、設備間違い画像は、作業者2Aが設備を間違えたことを示す警告メッセージ441と、正しい作業対象設備を示す識別番号442と、を含んでいる。設備間違い画像は、警告メッセージ441のみを含み、識別番号442を含んでいなくてもよい。また、警告メッセージ441及び識別番号442の各々の内容も特に限定されない。
【0087】
[1-3.基本的な動作(作業通知方法)と生産性指標]
続いて、作業通知システム10の基本的な動作(作業通知方法)について、
図11を用いて説明する。
図11は、本実施の形態に係る作業通知システム10の動作を示すフローチャートである。
図11は、主に、作業通知装置200が実行する処理を示している。
【0088】
図11に示されるように、作業通知装置200は、まず、作業者2Aの停止要因毎の作業スキルを計測する(S10)。作業者が複数存在する場合には、作業通知装置200は、作業者毎に、停止要因毎の作業スキルを計測する。
【0089】
次に、複数の設備が停止した場合(S11でYes)、作業通知装置200は、作業者2Aが作業中の停止設備(以下、作業中設備と記載)の停止要因に対応する作業スキルに基づいて、作業中設備に対する生産性指標を推定する(S12)。なお、作業中設備は、第1設備の一例であり、作業中設備に対する生産性指標は、第1生産性指標の一例である。
【0090】
次に、作業通知装置200は、作業中設備とは異なる他の1以上の停止設備の各々を対象設備として、対象設備の停止要因に対応する作業スキルに基づいて、対象設備に対する生産性指標を推定する(S13)。対象設備は、第2設備の一例であり、対象設備に対する生産性指標は、第2生産性指標の一例である。対象設備が複数存在する場合、作業通知装置200は、対象設備毎に生産性指標を推定する。
【0091】
次に、作業通知装置200は、推定した複数の生産性指標の比較を行う(S14)。さらに、作業通知装置200は、比較の結果に基づいて、作業者2Aが復旧させた場合に生産性が最も高くなる設備を、復旧作業の対象設備として作業者2Aに通知する(S15)。
【0092】
本実施の形態に係る生産性指標は、復旧作業の作業時間である。
図12は、作業時間と生産性との関係を説明するための図である。
図12に示される例では、設備F0001が作業中設備であり、設備F0002が作業中ではない停止設備である。
【0093】
例えば、作業通知装置200は、生産性指標として作業時間を推定する。復旧作業中の設備F0001の作業時間は、第1作業時間の一例であり、復旧作業の残り時間である。復旧作業が行われていない設備F0002の作業時間は、第2作業時間の一例であり、復旧作業全体の作業時間である。各々において、復旧作業を完了した後の時間が、製品を生産可能な生産時間である。生産時間が長い程、多くの製品を生産できるので生産性が高くなる。したがって、生産時間は、作業時間が短い程、長くなる。このため、作業通知装置200は、作業時間(残り時間)が短い設備を作業対象設備として決定する。
図12に示される例では、復旧作業中の設備F0001よりも設備F0002の方が、作業時間が短い。つまり、作業者2Aは、設備F0001の復旧作業を中止し、設備F0002の復旧作業を行った方が生産性の向上に貢献することができる。よって、作業通知装置200は、設備F0002を作業対象設備として決定する。
【0094】
このように、複数台の設備が停止した場合には、生産性が最も高くなる設備、具体的には、作業時間が最も短い設備が作業対象設備として作業者2Aに通知される。作業者2Aが作業対象設備に基づいて復旧作業を行うことにより、工場1の生産性を高めることができる。
【0095】
[1-4.具体的な構成]
以下では、本実施の形態に係る作業通知システム10を構成する各装置の具体的な構成について説明する。
【0096】
[1-4-1.製造設備]
まず、製造設備100の構成について、
図13を用いて説明する。
図13は、本実施の形態に係る製造設備100の構成を示すブロック図である。
【0097】
図13に示されるように、製造設備100は、記憶部111と、処理部112と、通信部113と、入力部114と、表示部115と、材料投入部121と、搬送部122と、製造部123と、製品出力部124と、動作開始時刻特定部131と、停止時刻特定部132と、停止要因特定部141と、を備える。製造設備100の各構成要素は、互いに通信可能に接続されている。
【0098】
記憶部111は、製造設備100に関わる情報、データ及びプログラムなどを記憶するためのメモリである。例えば、記憶部111には、製造設備100の識別番号及び製造のログ情報などが記憶される。記憶部111は、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリなどの不揮発性記憶装置で実現される。
【0099】
処理部112は、製造設備100の全体的な動作を制御するための処理を行う。処理部112は、例えばプロセッサで実現される。処理部112は、製造設備100の各構成要素を制御するための命令を生成し、各構成要素に出力する。また、処理部112は、各構成要素で行われる処理の内容及び実行時刻などのログ情報を生成して記憶部111に記憶する。
【0100】
通信部113は、製造設備100が他の機器と通信するための通信インタフェースである。通信部113は、例えば、作業通知装置200と通信を行うことで、停止時刻、停止要因及び動作開始時刻を作業通知装置200に送信する。
【0101】
入力部114は、製造設備100に対する作業者からの操作入力を受け付ける。入力部114は、例えば、物理的な操作ボタンで実現されるが、タッチパネルディスプレイ及び/又は音声入力装置などであってもよい。
【0102】
表示部115は、製造設備100の動作状態などを表示するディスプレイである。表示部115は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electroluminescence)表示装置などで実現される。
【0103】
材料投入部121は、製品の製造に使用する材料を投入する装置である。材料は、例えば、成形前の樹脂若しくは金属材料、成形後の樹脂部品若しくは金属部品、又は、基板、回路部品など、特に限定されない。材料は、気体、液体、固体、粉体、粒状体などである。
【0104】
搬送部122は、材料投入部121によって投入された材料を製造部123に搬送する。また、搬送部122は、製造部123で製造された製品を製品出力部124に搬送する。搬送部122は、例えば、コンベア、アクチュエータ及び/又はモーターなどで実現されるが、特に限定されない。
【0105】
製造部123は、投入された材料を用いて製品の製造を行う。製造部123は、例えば、部品の組み立て、接着、溶着などの製造に関わる少なくとも1つの工程を行う装置である。
【0106】
製品出力部124は、製造部123によって製造された製品を出力する装置である。
【0107】
なお、材料投入部121、搬送部122、製造部123及び製品出力部124はそれぞれ、各部の処理の異常を検知するための1以上のセンサを備えている。センサの出力結果は、処理部112、動作開始時刻特定部131、停止時刻特定部132及び/又は停止要因特定部141に出力される。
【0108】
動作開始時刻特定部131は、製造設備100の動作開始時刻を特定する。具体的には、動作開始時刻特定部131は、各センサの出力結果に基づいて製品の製造が開始された時刻を動作開始時刻として特定する。動作開始時刻特定部131は、製品の製造が開始、及び、停止後に再開される度に動作開始時刻を特定する。
【0109】
停止時刻特定部132は、製造設備100の停止時刻を特定する。具体的には、停止時刻特定部132は、各センサの出力結果に基づいて製品の製造が停止した時刻を停止時刻として特定する。停止時刻特定部132は、製造設備100が停止する度に停止時刻を特定する。
【0110】
停止要因特定部141は、製造設備100の停止要因を特定する。具体的には、停止要因特定部141は、各センサの出力結果に基づいて製造設備100が停止した要因を停止要因として特定する。停止要因特定部141は、製造設備100が停止する度に停止要因を特定する。
【0111】
なお、動作開始時刻特定部131、停止時刻特定部132及び停止要因特定部141はそれぞれ、専用の集積回路などで実現されるが、これに限定されない。動作開始時刻特定部131、停止時刻特定部132及び停止要因特定部141の各々が行う処理は、処理部112が所定のプログラムを実行することによって行われてもよい。
【0112】
また、製造設備100の構成は、
図13に示される例に限定されない。例えば、製造設備100は、動作開始時刻特定部131、停止時刻特定部132及び停止要因特定部141の少なくとも1つを備えなくてもよい。
【0113】
[1-4-2.作業通知装置]
次に、作業通知装置200の構成について、
図14を用いて説明する。
図14は、本実施の形態に係る作業通知装置200の構成を示すブロック図である。
【0114】
図14に示されるように、作業通知装置200は、記憶部211と、処理部212と、通信部213と、入力部214と、表示部215と、作業時間計測部220と、モデル作成部230と、生産性指標推定部240と、比較部250と、通知部260と、を備える。作業通知装置200の各構成要素は、互いに通信可能に接続されている。
【0115】
記憶部211は、作業通知装置200に関わる情報、データ及びプログラムなどを記憶するためのメモリである。例えば、記憶部211には、複数の製造設備100の各々から送信される停止時刻、停止要因及び動作開始時刻などを含むログ情報が記憶される。また、記憶部211には、作業時間計測部220によって計測された作業時間などが記憶される。記憶部211は、HDD又は半導体メモリなどの不揮発性記憶装置で実現される。
【0116】
処理部212は、作業通知装置200の全体的な動作を制御するための処理を行う。処理部212は、例えばプロセッサで実現される。処理部212は、作業通知装置200の各構成要素を制御するための命令を生成し、各構成要素に出力する。
【0117】
通信部213は、作業通知装置200が他の機器と通信するための通信インタフェースである。通信部213は、例えば、複数の製造設備100の各々と通信を行うことで、停止時刻、停止要因及び動作開始時刻を受信する。また、通信部213は、端末装置300及び301と通信することで、通知部260が作成した通知情報を送信する。
【0118】
入力部214は、作業通知装置200に対する作業者又は管理者などからの操作入力を受け付ける。入力部214は、例えば、物理的な操作ボタンで実現されるが、タッチパネルディスプレイ及び/又は音声入力装置などであってもよい。
【0119】
表示部215は、作業通知装置200の処理内容などを表示するディスプレイである。表示部215は、液晶ディスプレイ又は有機EL表示装置などで実現される。
【0120】
作業時間計測部220は、設備の停止要因毎に作業スキルを計測する計測部の一例である。作業スキルが高い程、停止設備を速やかに復旧させることができる。つまり、復旧作業の作業時間は、作業スキルの一例である。作業時間計測部220は、作業者2Aの過去の作業履歴データを用いて、作業者2Aの停止要因毎の作業時間分布を作成する。作業時間分布は、作業時間の確率分布である。作業履歴データは、各製造設備100から送信される製造ログデータ、並びに、作業者2Aの動線データ及び各製造設備100の位置情報などを含む。作業時間計測部220の具体的な処理については、後で説明する。
【0121】
モデル作成部230は、生産性指標の推定を行う機械学習モデルを作成する。機械学習モデルは、例えばベイズ推定による回帰モデルである。具体的には、モデル作成部230は、作業時間の推定を行う作業時間推定モデルを作成する。作業時間推定モデルは、作業者の識別番号と、停止要因と、作業時間計測部220によって計測された作業時間分布(実測データ)とを入力データとして入力した場合に、作業時間分布を推定して出力するモデルである。
【0122】
生産性指標推定部240は、作業中設備とは異なる1以上の設備が停止した場合に、作業中設備の停止要因に対応する作業スキルに基づいて、作業中設備に対する生産性指標(第1生産性指標)を推定する。具体的には、生産性指標推定部240は、作業中設備の復旧作業の残り時間を生産性指標として推定する。
【0123】
また、生産性指標推定部240は、作業中設備とは異なる1以上の設備が停止した場合に、1以上の停止設備の各々を対象設備として、対象設備の停止要因に対応する作業スキルに基づいて、対象設備に対する生産性指標(第2生産性指標)を推定する。具体的には、生産性指標推定部240は、1以上の停止設備の各々の復旧作業の作業時間を生産性指標として推定する。
【0124】
本実施の形態では、生産性指標推定部240は、モデル作成部230によって作成された機械学習モデルを用いて、作業中設備及び停止設備の各々に対する生産性指標を推定する。具体的には、生産性指標推定部240は、作業時間推定モデルを用いて作業者2Aの作業時間を推定する。
【0125】
比較部250は、生産性指標推定部240によって推定された複数の生産性指標の比較を行う。具体的には、比較部250は、作業中設備の残り時間(第1作業時間)と1以上の停止設備の各々の作業時間(第2作業時間)との比較を行う。比較部250は、残り時間及び1以上の作業時間の中から、最も短い時間を選択し、選択した時間に対応する設備を作業対象設備として決定する。
【0126】
通知部260は、比較部250による比較の結果に基づいて、作業者2Aが復旧させた場合に生産性が最も高くなる設備を、復旧作業の作業対象設備として作業者2Aに通知する。具体的には、通知部260は、比較部250によって決定された作業対象設備を示す通知情報を作成し、作業者2Aが所持する端末装置300に送信する。通知情報には、作業対象設備と、作業対象設備の停止要因に基づく作業内容と、作業対象設備の推定作業時間と、の少なくとも1つが含まれる。
【0127】
また、通知部260は、作業者が作業中設備の復旧作業を行った実働時間が所定時間を超過した場合、当該所定時間の超過を作業者2Aに通知する。また、通知部260は、所定時間の超過を受けた作業者2Aが作業中設備の復旧作業を継続して行っているか否かを判定する。通知部260は、作業中設備の復旧作業を継続していると判定し、かつ、他の設備が停止している場合には、作業者2Aが作業中設備の復旧作業を継続して行っていることを作業者2Aとは異なる人物に通知する。なお、他の設備が停止していない場合であっても、通知部260は、作業中設備の復旧作業を継続して行っていると判定した場合に、作業者2Aとは異なる人物に通知してもよい。
【0128】
また、モデル作成部230、生産性指標推定部240、比較部250及び通知部260はそれぞれ、専用の集積回路などで実現されるが、これに限定されない。モデル作成部230、生産性指標推定部240、比較部250及び通知部260の各々が行う処理は、処理部212が所定のプログラムを実行することによって行われてもよい。
【0129】
また、作業通知装置200の構成は、
図14に示される例に限定されない。例えば、作業通知装置200は、モデル作成部230を備えなくてもよい。この場合、生産性指標推定部240は、機械学習ではなく、統計処理に基づいて生産性指標を推定してもよい。
【0130】
[1-4-3.端末装置]
次に、端末装置300の構成について、
図15を用いて説明する。
図15は、本実施の形態に係る端末装置300の構成を示すブロック図である。端末装置300は、作業者2Aが所持する携帯端末の一例である。なお、
図3に示される端末装置301の構成は、端末装置300と同じである。端末装置301は、作業者2A以外の人物(例えば、作業リーダー)が所持する携帯端末の一例である。
【0131】
図15に示されるように、端末装置300は、記憶部311と、処理部312と、通信部313と、入力部314と、表示部315と、音声出力部316と、振動部317と、を備える。端末装置300の各構成要素は、互いに通信可能に接続されている。
【0132】
記憶部311は、端末装置300に関わる情報、データ及びプログラムなどを記憶するためのメモリである。例えば、記憶部311には、作業通知装置200から送信される通知が記憶される。記憶部311は、HDD又は半導体メモリなどの不揮発性記憶装置で実現される。
【0133】
処理部312は、端末装置300の全体的な動作を制御するための処理を行う。処理部312は、例えばプロセッサで実現される。処理部312は、端末装置300の各構成要素を制御するための命令を生成し、各構成要素に出力する。例えば、処理部312は、通信部313を介して取得した通知に基づいて、作業対象設備及び作業時間などを含む設備通知画像を生成する。また、処理部312は、超過通知画像及び設備間違い画像を生成する。あるいは、処理部312は、通知情報に基づいて、設備通知画像、超過通知画像又は設備間違い画像に含まれる情報を含む音声を生成してもよい。また、処理部312は、振動部317を振動させるための制御信号を生成して振動部317に出力する。
【0134】
通信部313は、端末装置300が他の機器と通信するための通信インタフェースである。通信部313は、例えば、作業通知装置200の各々と通信を行うことで、通知部260が作成した通知情報を受信する。
【0135】
入力部314は、端末装置300に対する作業者又は管理者などからの操作入力を受け付ける。入力部314は、例えば、物理的な操作ボタンで実現されるが、タッチパネルディスプレイ及び/又は音声入力装置などであってもよい。
【0136】
表示部315は、作業通知装置200から送信される通知情報に基づいて生成された通知画像などを表示するディスプレイである。表示部315は、液晶ディスプレイ又は有機EL表示装置などで実現される。
【0137】
音声出力部316は、作業通知装置200から送信される通知情報に基づいて生成された音声を出力するスピーカーである。
【0138】
振動部317は、自身が振動することによって、端末装置300を振動させる。振動部317は、振動時間が可変である。具体的には、振動部317は、短期間だけ振動する短振動、及び、短振動より長い期間振動する長振動を選択的に実行することができる。なお、短振動及び長振動の各々の期間は、特に限定されない。
【0139】
なお、端末装置300の構成は、
図15に示される例に限定されない。例えば、端末装置300は、表示部315及び音声出力部316の一方を備えていなくてもよい。また、端末装置300は、振動部317を備えていなくてもよい。
【0140】
[1-5.詳細な動作]
続いて、上述した作業通知システム10の詳細な動作について説明する。
【0141】
[1-5-1.モデル作成]
まず、機械学習モデルの作成に関わる処理について、
図16を用いて説明する。
図16は、本実施の形態に係る作業通知システム10による機械学習モデルの作成処理を示すフローチャートである。
【0142】
図16に示されるように、まず、作業通知装置200の作業時間計測部220は、複数の製造設備100のうちの1つの製造設備が生産した製品の品種、生産数及び生産時間を取得して記憶部211に記憶する(S20)。製造設備100が停止していた場合(S21でYes)、作業時間計測部220は、停止した製造設備100の復旧作業を行った作業者、停止要因、停止時間及び作業時間を取得して記憶する(S22)。全ての製造設備100に対して、ステップS20~S22の処理を繰り返す(S23でNo)。
【0143】
全ての製造設備100に対して各情報の取得及び記憶が終了した場合(S23でYes)、全ての作業者に対して、ステップS20~S23の処理を繰り返す(S24でNo)。
【0144】
次に、作業時間計測部220は、記憶部211に記憶された実測データに基づいて作業時間分布を作成する(S25)。作業時間分布の作成は、停止要因毎、かつ、作業者毎に行われる(S26でNo)。
【0145】
全ての停止要因及び全ての作業者に対して作業時間分布が作成された後(S26でYes)、モデル作成部230は、作業時間推定モデルを機械学習により作成する(S29)。
【0146】
作業時間推定モデルを作成することで、過去の実績のない、又は、まれにしか発生しないような停止要因に対応する必要が生じた場合であっても、あるいは、過去に実績のない作業者が突発的に作業する必要が生じた場合であっても、精度良く作業時間を推定することができる。
【0147】
[1-5-2.作業対象設備の決定]
次に、作業対象設備の決定に関わる処理について、
図17を用いて説明する。
図17は、本実施の形態に係る作業通知システム10による作業対象設備の決定処理を示すフローチャートである。
【0148】
図17に示されるように、まず、作業通知装置200は、製造設備100が停止するまで待機する(S40でNo)。製造設備100が停止した場合(S40でYes)、作業通知装置200の処理部212は、停止設備に対する復旧作業を作業者2Aが行っているか否かを判定する(S41)。作業中であることの判定は、例えば、作業者2Aの現在位置と停止設備の位置とに基づいて作業者2Aが停止設備に近接していることを検出することで行われる。つまり、処理部212は、作業者2Aが停止設備に近接している場合に、作業中であると判定する。
【0149】
作業者2Aが停止設備の復旧作業中ではない場合(S41でNo)、通知部260は、停止設備を作業対象設備として作業者2Aに通知する(S42)。作業者2Aが停止設備の復旧作業中であり(S41でYes)、かつ、他の製造設備100が停止していない場合(S43でNo)も同様に、通知部260は、停止設備を作業対象設備として作業者2Aに通知する。なお、停止設備の作業中である場合は、通知は省略されてもよい。
【0150】
作業者2Aが停止設備の復旧作業中であり(S41でYes)、かつ、他の製造設備100が停止している場合(S43でYes)、生産性指標推定部240は、作業時間推定モデルを用いて作業中設備の復旧作業の残り時間を推定する(S44)。具体的には、生産性指標推定部240は、作業中設備の停止要因、作業者2Aの識別番号、及び、作業者2Aの作業スキル(作業時間)を入力データとして作業時間推定モデルに入力することで、作業中設備の残り時間を推定する。そして、生産性指標推定部240は、作業中設備の作業時間から、復旧作業の開始時刻から現時点までの経過時間を減算することで、残りの作業時間(すなわち、残り時間)を算出する。
【0151】
次に、生産性指標推定部240は、他の停止設備の停止要因、作業者2Aの識別番号、及び、作業者2Aの作業スキルを入力データとして作業時間推定モデルに入力することで、停止設備の作業時間を推定する(S45)。停止設備の作業時間の推定は、停止設備毎に行われる(S46でNo)。
【0152】
全ての停止設備の作業時間が推定された後(S46でYes)、比較部250は、作業中設備の残り時間及び他の1以上の停止設備の作業時間の比較を行う(S47)。比較部250は、比較の結果に基づいて、最も短い作業時間に対応する設備を決定する。
【0153】
最も短い作業時間に対応する設備が作業中設備である場合(S48でYes)、通知を行わずに処理を終了する。最も短い作業時間に対応する設備が作業中設備ではない場合(S48でNo)、通知部260は、最も短い作業時間に対応する設備を作業対象設備として作業者2Aに通知する(S49)。
【0154】
[1-5-3.作業対象設備の通知]
次に、作業対象設備の通知に関わる処理について、
図18を用いて説明する。
図18は、本実施の形態に係る作業通知システム10による作業対象設備の通知処理を示すフローチャートである。
【0155】
図18に示されるように、通知部260は、作業中に通知を行う場合(S50でYes)、端末装置300の振動部317が短振動を行う(S51)。具体的には、通知部260は、通信部213を介して振動部317を短期間だけ振動させるための制御信号を端末装置300に送信し、当該制御信号を受信した処理部312が振動部317を振動させる。
【0156】
作業中に通知を行わない場合(S50でNo)、通知部260は、作業者2Aによる復旧作業が完了するまで待機する(S52でNo)。復旧作業の完了は、例えば、製造設備100の製造が開始されたことによって判定することができる。
【0157】
復旧作業が完了した場合(S52でYes)、振動部317が長振動を行う(S53)。具体的には、通知部260は、通信部213を介して振動部317を長期間、振動させるための制御信号を端末装置300に送信し、当該制御信号を受信した処理部312が振動部317を振動させる。短振動及び長振動はいずれも、作業者2Aに通知を認知させるために行われる。
【0158】
短振動又は長振動が行われた後、端末装置300の表示部315は、例えば
図5に示される設備通知画像を表示する(S54)。次に、作業通知装置200は、作業者2Aの復旧作業の実働時間が所定時間を超過したか否かを判定する(S55)。実働時間が所定時間を超過している場合(S55でYes)、通知部260は、作業者2Aとは異なる人物(例えば、作業リーダー又は管理者)に実働時間の超過を通知する(S56)。これにより、作業リーダーが所持する端末装置301の表示部315には、例えば、
図8に示される超過通知画像が表示される。このとき、通知部260は、作業者2Aに時間超過を通知してもよい。例えば、
図7に示される超過通知画像が、作業者2Aが所持する端末装置300の表示部315に表示されてもよい。
【0159】
次に、作業通知装置200は、作業者2Aが作業対象設備とは異なる設備に移動したか否か、すなわち、移動した設備の間違いの有無を判定する(S57)。移動した設備が作業対象設備とは異なる場合(S57でYes)、振動部317は、短振動を複数回実行する(S58)。具体的には、通知部260は、通信部213を介して振動部317を複数回短振動させるための制御信号を端末装置300に送信し、当該制御信号を受信した処理部312が振動部317を振動させる。
【0160】
次に、通知部260は、設備の誤りを通知する(S59)。これにより、端末装置300の表示部315には、例えば、
図10に示される設備間違い画像が表示される。
【0161】
このように、本実施の形態によれば、作業中又は復旧作業が完了した後に、複数の停止設備の中で最も生産性が高くなる設備が作業対象設備として作業者2Aに通知される。このため、作業者2Aが通知された作業対象設備の復旧作業を行うことで、工場1の生産性を向上させることができる。これにより、本実施の形態に係る作業通知システム10によれば、複数の設備が停止している場合に、優先して復旧作業を行うべき設備を作業者2Aに通知することができる。
【0162】
また、作業者2Aが1つの復旧作業に没頭している場合、及び/又は、作業対象設備を間違った場合、作業者2A及び/又は作業リーダーに通知が行われるので、生産性が低下する悪影響を速やかに抑制することができる。これにより、作業通知システム10によれば、工場1の生産性の向上に貢献することができる。
【0163】
[1-6.作業時間の計測]
ここで、作業時間の計測処理について、
図19~
図25を用いて説明する。
【0164】
[1-6-1.作業時間の計測の概要]
まず、作業時間の計測処理の概要について、
図19を用いて説明する。
【0165】
図19は、本実施の形態に係る作業通知システムによる作業時間の計測処理の流れを示すシーケンス図である。説明を簡単にするため、
図19では複数の製造設備100のうちの1つのみを図示している。
【0166】
まず、製造設備100が何らかの停止要因で製造を停止する(S201)。停止要因には、設備の故障及び製品の不具合などの異常な要因と、品種の切り替えなどの正常な要因と、が含まれる。製造設備100が停止した場合には、製造設備100から、その停止が作業者2A(具体的には、作業者2Aが所持する端末装置300)に通知される。通知は、例えば製造設備100又はその近傍に設置された警報装置の動作(例えば、パトランプの点灯又はアラーム音の発出)によって行われるが、特に限定されない。さらに、製造設備100から停止時刻及び停止要因を示す情報が作業通知装置200に送信される。なお、停止時刻及び/又は停止要因を示す情報は、送信されなくてもよい。
【0167】
作業者2Aは、製造設備100からの通知によって設備の停止を把握することができるので、停止した製造設備100へ移動し(S202)、復旧作業を行う(S203)。このとき、作業通知装置200は、作業者2Aの製造設備100への近接を検知することで、復旧開始時刻を推定する(S204)。作業通知装置200は、復旧開始時刻から停止時刻を減算した差分を放置時間として算出する(S205)。なお、放置時間の算出は行われなくてもよい。
【0168】
作業者2Aが復旧作業を完了すると、製造設備100は製造を開始する(S206)。製造を開始した場合、製造設備100から、動作開始時刻を示す情報が作業通知装置200に送信される。作業通知装置200は、動作開始時刻から復旧開始時刻を減算した差分を作業時間として算出する(S207)。作業通知装置200が算出した放置時間及び作業時間はそれぞれ、記憶部(図示せず)に記憶される。
【0169】
本実施の形態に係る作業通知システム10では、複数の製造設備100の各々に対して、設備が停止する度に作業者2Aが順次、復旧作業を行う。これにより、製造設備毎に、かつ、作業者毎に作業時間及び放置時間を算出することができる。
【0170】
[1-6-2.作業時間及び放置時間]
続いて、作業時間及び放置時間の定義及び算出方法について、
図20及び
図21を用いて説明する。
【0171】
図20は、1日分の複数の製造設備の停止データと作業者の動線データとの一例を示す図である。
図20において、横軸は時刻を表し、縦軸は設備の識別番号を表している。
【0172】
図20に示されるように、製造設備毎に、停止データと動線データとが対応付けられている。停止データは、斜線の網掛けが付された横棒グラフで示されている。動線データは、斜め格子の網掛けが付された横棒グラフで示されている(
図21を参照)。
【0173】
停止データは、製造設備100が停止している停止時間を示すデータである。
図20に示されるように、通常、各製造設備は1日の中で何度も停止する。停止した製造設備100は、作業者2Aによる復旧作業を受けて再び動作(製造)を開始する(復旧する)ことができる。なお、停止要因によっては、作業者2Aが復旧作業をしなくても製造設備100の動作が開始する場合もある。
【0174】
動線データは、作業者2Aが、対応する製造設備100に近接している近接時間を示すデータである。動線データは、作業者2Aが、対応する製造設備100の復旧作業を行っている作業時間を含んでいる。
【0175】
図20に示される停止データと動線データとに基づいて、工場内の製造設備100の稼働率及び作業者2Aの作業スキルを判別することができる。例えば、24時間中の製造設備100毎の停止データの合計時間が製造設備100毎の稼働率である。また、20:00頃及び07:00頃には、8台の製造設備100の全てが停止していることが分かる。この時間の動線データを分析することにより、作業者2Aが停止した製造設備100に対して、どの順序で復旧作業を行おうとしたかが把握できる。つまり、複数の製造設備100が停止している場合に、作業者2Aが適切な順序で復旧作業を行うスキルを有しているか否かを判断することが可能になる。
【0176】
以下では、停止データと動線データとの典型的な関係について、
図21を用いて説明する。
図21は、
図20に示される1台の製造設備の1回の停止に関わる停止データと作業者の動線データとを示す図である。
【0177】
図21に示される例では、設備F0001が時刻t0で停止する。
図19に示したように、設備F0001の停止が作業者2Aに通知されるので、作業者2Aは、設備F0001の停止を把握し、設備F0001を復旧させるため設備F0001に向かって移動し、時刻t1で設備F0001に到着する。つまり、典型的な例では、停止した設備F0001の復旧作業が直ちに開始される訳ではなく、復旧作業が開始されるまでの放置時間が生じる。放置時間は、作業者到着時刻t1から停止時刻t0を減算した差分(t1-t0)である。ここで、作業者到着時刻t1は、動線データの開始時刻、すなわち、作業者2Aが設備F0001に近接した近接時刻である。本実施の形態では、近接時刻が復旧開始時刻である。
【0178】
作業者2Aが設備F0001の復旧作業を行うことにより、時刻t2で復旧が完了する。時刻t2は、復旧完了時刻であり、再び製造を開始する動作開始時刻である。つまり、作業者2Aによる実際の作業時刻は、動作開始時刻t2から復旧開始時刻t1を減算した差分(t2-t1)である。
【0179】
復旧作業が完了した後、時刻t3で作業者2Aは製造設備100から離れる。その後、作業者2Aは、他の製造設備100の復旧又はその他の作業を行う。
【0180】
図21に示されるように、設備F0001が停止していた時間である停止時間は、動作開始時刻t2から停止時刻t0を減算した差分(t2-t0)である。このように、停止時間は、停止データのみから算出することができる。
【0181】
一方で、放置時間及び作業時間は、特殊な場合を除いて復旧開始時刻t1が不明であるので、停止データのみから算出することができない。本実施の形態に係る作業通知システム10では、停止データだけではなく、動線データを利用することにより、放置時間と作業時間とをより正確に推定することができる。具体的には、作業通知システム10は、設備F0001の停止データに基づいて、停止時刻t0と動作開始時刻t2とを特定し、かつ、作業者2Aの動線データに基づいて、復旧開始時刻t1を特定する。これにより、放置時間と作業時間とをより正確に推定することができる。
【0182】
なお、
図21に示される例は典型例であって、停止データと動線データとが常に
図21に示される関係を満たす訳ではない。例えば、設備F0001が停止する前から、作業者2Aが設備F0001に近接している場合も起こりうる。この場合は、停止データのみで作業時間を算出できる特殊な場合に相当し、復旧開始時刻t1は、停止時刻t0とみなすことができる。つまり、動線データの開始時刻が停止時刻t0より前で、かつ、動線データが継続中である場合には、復旧開始時刻t1として停止時刻t0を利用すればよい。
【0183】
また、作業者2Aが設備F0001の復旧作業の途中(すなわち、動作開始時刻t2より前)に、必要に応じて設備F0001から離れる場合も起こりうる。この場合、作業者2Aが再び設備F0001に到着することがあるが、復旧開始時刻t1としては、停止時刻t0以降の最初の到着時刻を用いる。また、復旧作業の完了時刻では作業者2Aが設備F0001から離れていてもよい場合がある。このように、作業者離脱時刻t3は、復旧完了時刻t2以前になることもある。
【0184】
[1-6-3.作業時間及び放置時間の算出処理]
続いて、作業時間及び放置時間の算出処理について、
図22を用いて説明する。
図22は、本実施の形態に係る作業通知システム10による作業時間及び放置時間の算出処理を示すフローチャートである。
図22は、主に、作業通知装置200の作業時間計測部220が実行する処理を示している。
【0185】
図22に示されるように、作業時間計測部220は、製造設備100が停止するまで待機する(S210でNo)。製造設備100が停止した場合(S210でYes)、作業時間計測部220は、製造設備100が停止した停止時刻を取得し(S211)、取得した停止時刻を記憶部211に記憶する(S212)。
【0186】
次に、作業時間計測部220は、作業者2Aが復旧作業を開始した復旧開始時刻を推定し(S213)、推定した復旧開始時刻を記憶部211に記憶する(S214)。復旧開始時刻の推定の具体例については、後で説明する。
【0187】
次に、作業時間計測部220は、製造設備100が復旧されて動作を開始するまで待機する(S215でNo)。製造設備100が動作を開始した場合(S215でYes)、作業時間計測部220は、製造設備100の動作開始時刻を取得し(S216)、取得した動作開始時刻を記憶部211に記憶する(S217)。
【0188】
次に、作業時間計測部220は、復旧開始時刻から停止時刻を減算した差分を製造設備100の放置時間として算出する(S218)。次に、作業時間計測部220は、動作開始時刻から復旧開始時刻を減算した差分を製造設備100に対する作業者2Aの作業時間として算出する(S219)。
【0189】
上述した処理が、工場1内の複数の製造設備100のうちの1つが停止する度に、停止した製造設備100に対して実行される。これにより、記憶部211には、例えば
図23に示される作業分析情報が記憶される。
【0190】
図23は、本実施の形態に係る作業通知装置200の記憶部211に記憶された作業分析情報の一例を示す図である。
図23に示されるように、作業分析情報は、1回の停止毎に、当該停止に関わる情報を含んでいる。具体的には、停止に関わる情報は、製造設備、停止時刻、動作開始時刻、停止時間、停止要因、作業者到着時刻(復旧開始時刻)、放置時間及び作業時間である。なお、複数の作業者が復旧作業を行った場合には、作業者毎に、作業分析情報が生成されて記憶部211に記憶されてもよい。
【0191】
なお、
図22に示される動作は一例に過ぎず、これに限定されない。例えば、放置時間の算出(S218)は、復旧開始時刻の記憶(S214)の後に行われればよいので、製造設備100の動作の開始の待機中(S215でNo)に行われてもよい。また、放置時間の算出(S218)が行われなくてもよい。
【0192】
[1-6-4.復旧開始時刻(近接時刻)の推定]
次に、復旧開始時刻の推定(S213)の具体例について、
図24及び
図25を用いて説明する。
【0193】
図24は、本実施の形態に係る作業通知装置200による復旧開始時刻の推定処理を示すフローチャートである。
図25は、製造設備の周辺の所定範囲と作業者2Aの動線3Aとを示す平面図である。
【0194】
図25に示される製造設備101~104はそれぞれ、
図1に示される製造設備100である。製造設備104が停止設備であり、作業者2Aによる復旧作業の対象である作業対象設備である。ここでは、製造設備101~103は停止しておらず、作業対象設備ではない。
【0195】
復旧開始時刻の推定(S213)では、製造設備104に作業者2Aが近接したか否かの判定を行い、当該判定の結果に基づいて、製造設備104に作業者2Aが近接した近接時刻を復旧開始時刻として決定する。具体的には、
図24に示されるように、作業時間計測部220は、製造設備104の近接範囲104aに作業者2Aが進入したか否かを判定する(S220)。近接範囲104aは、製造設備104の周辺の所定範囲の一例であり、例えば
図25に示されるように、製造設備104を含む所定の大きさの範囲内である。近接範囲104aは、製造設備104の復旧作業を行う際に作業者2Aが滞在する範囲である。例えば、近接範囲104aは、ほぼ中心に製造設備104が位置する、平面視形状が矩形の範囲である。近接範囲104aの形状は特に限定されず、製造設備104を中心とする円形の範囲であってもよい。
【0196】
近接範囲104aへの進入の判定は、人感センサ、カメラ(イメージセンサ)、ToF(Time of Flight)センサ、近接センサ、熱センサ又は無線測位センサなどを用いて行われる。例えば、人感センサの検知範囲が近接範囲104aに一致しており、人感センサが人を検知した場合に、作業時間計測部220は、近接範囲104aに作業者2Aが進入したと判定することができる。あるいは、ToFセンサ又はステレオカメラなどの測距センサによって作業者2Aまでの距離を測定し、測定した距離が所定の閾値以下になった場合に、作業時間計測部220は、近接範囲104aに作業者2Aが進入したと判定することができる。また、作業時間計測部220は、測位センサによって作業者2Aの位置を測定し、記憶部211などに予め記憶しておいた製造設備100の位置と作業者2Aの位置とに基づいて作業者2Aまでの距離を算出してもよい。あるいは、作業時間計測部220は、製造設備100に対する作業者2Aの操作を入力部114が受け付けたことを、近接範囲104aの進入と判定してもよい。
【0197】
図24に示されるように、作業者2Aが近接範囲104aに進入した場合(S220でYes)、作業時間計測部220は、近接範囲104aに進入した状態で所定時間が経過したか否かを判定する(S221)。所定時間は、例えば、数秒以上、十数秒以下の期間である。
【0198】
作業者2Aが近接範囲104a内に所定時間滞在した場合(S221でYes)、作業時間計測部220は、製造設備104に作業者2Aが近接したと判定し、近接時刻を復旧開始時刻として決定する(S222)。
【0199】
製造設備104に対する近接時刻は、近接範囲104aに作業者2Aが最初に進入した進入時刻である。つまり、所定時間経過することで近接したと判定した後に、作業時間計測部220は、近接時刻を、経過時刻より遡った過去の進入時刻として決定する。あるいは、近接時刻は、所定時間経過した経過時刻であってもよい。あるいは、近接時刻は、進入時刻と経過時刻との中央値(平均値)であってもよい。
【0200】
このように、本実施の形態に係る作業時間計測部220は、作業者2Aが製造設備104の近接範囲104aに進入し、かつ、進入してから所定時間経過した時点で、作業者2Aが製造設備104に近接したと判定する。これにより、近接の誤判定の発生を抑制することができる。
【0201】
図25に示されるように、製造設備101~104の各々に対して、近接範囲101a~104aが設定される。製造設備101~104が十分な間隔を空けて配置されていない場合、近接範囲101a~104aには、作業者2Aが意図せず進入することがある。例えば、
図25の動線3Aに示される例では、作業者2Aが製造設備104に向けて移動する場合に、製造設備103の近接範囲103aに進入している。
【0202】
近接範囲103aに進入した時点では製造設備103に近接したと判定しないので、所定時間の長さを適切に設定しておくことで、作業者2Aは、製造設備103に対して近接したと判定されなくすることができる。例えば、所定時間は、作業者2Aの歩行速度と近接範囲103aの大きさとに基づいて、作業者2Aが近接範囲103aを通過する時間より長い時間に設定されていてもよい。
【0203】
なお、近接範囲間のスペースが十分確保されている場合、あるいは、作業者2Aが作業対象設備以外の製造設備の近接範囲に進入する恐れが低い場合には、作業時間計測部220は、近接範囲に進入したことをもって、作業者2Aが作業対象設備に近接したと判定してもよい。つまり、作業時間計測部220は、作業者2Aの滞在時間を計測しなくてもよい。
【0204】
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2について説明する。
【0205】
実施の形態2に係る作業通知システムでは、実施の形態1と比較して、生産性指標が生産数である点が主として相違する。以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0206】
なお、本実施の形態に係る作業通知システムの構成は、実施の形態1と同じである。このため、
図3及び
図13~
図15に示される構成を適宜参照しながら、本実施の形態の主な相違点について説明する。
【0207】
[2.動作]
まず、本実施の形態に係る作業通知システムの具体的な動作について説明する。
【0208】
[2-1.モデル作成]
まず、機械学習モデルの作成に関わる処理について、
図26を用いて説明する。
図26は、本実施の形態に係る作業通知システムによる機械学習モデルの作成処理を示すフローチャートである。
【0209】
図26に示されるように、全ての停止要因及び全ての作業者に対して作業時間分布を作成するまでの処理(S20~S26)は、
図16に示される処理と同じである。本実施の形態では、全ての停止要因及び全ての作業者に対して作業時間分布が作成された後(S26でYes)、作業時間計測部220は、記憶部211に記憶された実測データに基づいて生産数分布を作成する(S27)。生産数分布は、生産数の確率分布である。生産数分布の作成は、設備毎、かつ、品種毎に行われる(S28でNo)。
【0210】
なお、生産数は、設備毎の生産性指標の一例であり、対応する設備を用いて生産時間内に生産される製品の数である。生産数は、設備の生産能力と作業時間とに基づいて算出される。設備の生産能力は、例えば、単位時間あたりの生産数である。単位時間あたりの生産数は、設備の種類及び品種の少なくとも一方に依存して決定される。作業通知装置200は、単位時間あたりの生産数と生産時間との積を生産数として算出する。
【0211】
ここで、生産時間は、
図12に示されるように、作業時間に基づいて算出される。したがって、作業時間分布と設備の種類及び品種とに基づいて、生産数分布を作成することができる。
【0212】
次に、全ての設備及び全ての品種に対して生産数分布が作成された後(S28でYes)、モデル作成部230は、作業時間推定モデルを作成する(S29)。次に、モデル作成部230は、生産数推定モデルを作成する(S30)。
【0213】
生産数推定モデルは、作業時間分布と、設備の識別番号と、品種の特徴量とを入力データとして入力した場合に、生産数を推定して出力するモデルである。なお、生産数推定モデルの入力データには、気温及び湿度などの生産環境が含まれてもよい。
【0214】
生産数推定モデルを作成することで、過去に実績のない停止要因、設備及び品種に対応する必要が生じた場合であっても、精度良く生産数を推定することができる。
【0215】
[2-2.作業対象設備の決定]
次に、作業対象設備の決定に関わる処理について、
図27を用いて説明する。
図27は、本実施の形態に係る作業通知システムによる作業対象設備の決定処理を示すフローチャートである。
【0216】
図27に示されるように、作業中設備の残り時間を推定するまでの処理(S40~S44)は、
図17に示される処理と同じである。本実施の形態では、残り時間の推定の後、処理部212は、作業中設備の停止要因が品種の切り替えであるか否かを判定する(S60)。停止要因が品種の切り替えである場合(S60でYes)、生産性指標推定部240は、切り替え後の品種の生産数を推定する(S61)。具体的には、生産性指標推定部240は、推定された残り時間と、設備の識別番号と、切り替え後の品種の特徴量とを生産数推定モデルに入力することで、切り替え後の品種の生産数(第1生産数)を推定する。
【0217】
停止要因が品種の切り替えではない場合(S60でNo)、生産性指標推定部240は、作業中設備で生産中の品種の生産数を推定する(S62)。具体的には、生産性指標推定部240は、推定された残り時間と、設備の識別番号と、作業中設備で生産中の品種の特徴量とを生産数推定モデルに入力することで、現在生産中の品種の生産数(第1生産数)を推定する。
【0218】
次に、生産性指標推定部240は、他の停止設備の停止要因、作業者2Aの識別番号、及び、作業者2Aの作業スキルを入力データとして作業時間推定モデルに入力することで、停止設備の作業時間を推定する(S45)。作業時間の推定の後、処理部212は、停止設備の停止要因が品種の切り替えであるか否かを判定する(S63)。停止要因が品種の切り替えである場合(S63でYes)、生産性指標推定部240は、切り替え後の品種の生産数を推定する(S64)。具体的には、生産性指標推定部240は、作業時間分布と、設備の識別番号と、切り替え後の品種の特徴量とを生産数推定モデルに入力することで、切り替え後の品種の生産数(第2生産数)を推定する。
【0219】
停止要因が品種の切り替えではない場合(S63でNo)、生産性指標推定部240は、停止設備で生産中の品種の生産数を推定する(S65)。具体的には、生産性指標推定部240は、作業時間分布と、設備の識別番号と、停止設備で生産中の品種の特徴量とを生産数推定モデルに入力することで、停止設備で生産中の品種の生産数(第2生産数)を推定する。
【0220】
停止設備の作業時間の推定及び生産数の推定は、停止設備毎に行われる(S66でNo)。
【0221】
全ての停止設備の作業時間が推定された後(S66でYes)、比較部250は、推定された生産数の比較を行う(S67)。比較部250は、比較の結果に基づいて、最も多い生産数に対応する設備を決定する。
【0222】
最も多い生産数に対応する設備が作業中設備である場合(S68でYes)、通知を行わずに処理を終了する。最も多い生産数に対応する設備が作業中設備ではない場合(S68でNo)、通知部260は、最も多い生産数に対応する設備を作業対象設備として作業者2Aに通知する(S69)。
【0223】
以上のように、本実施の形態に係る作業通知システムでは、生産性指標として、より生産性の向上に直結する指標である生産数を利用する。このため、作業対象設備として決定される設備を作業者2Aが速やかに復旧させることにより、工場1の生産性を向上させることができる。
【0224】
なお、生産性指標は、生産実績であってもよい。生産実績は、製造設備100が実行する工程(以下、本工程と記載)の前後の工程も含めた生産数の合計である。一般的に、工程毎に製品の生産数にばらつきがある。このため、本工程の生産数が多いからといって必ずしも生産性が高いと言えない場合がある。例えば、本工程の生産数が多く、後工程の生産数が低い場合、本工程で製造された製品(仕掛品)を一時的に保管する必要が生じ、保管コストがかかる。この場合、本工程の生産数(仕掛数量)を抑制し、適切な数量にすることにより、生産性を向上させることができる。
【0225】
したがって、作業通知装置200は、仕掛数量が最小になる設備を作業対象設備として決定し、決定した作業対象設備を作業者2Aに通知してもよい。あるいは、作業通知装置200は、生産計画で定められた数量に最も近い生産数になる設備を作業対象設備として決定し、決定した作業対象設備を作業者2Aに通知してもよい。
【0226】
あるいは、生産実績は、生産額の合計であってもよい。生産額の合計は、品種毎の単価と生産数との積和である。作業通知装置200は、生産額の合計が最大になる設備を作業対象設備として決定し、決定した作業対象設備を作業者2Aに通知してもよい。
【0227】
(実施の形態3)
続いて、実施の形態3について説明する。
【0228】
実施の形態3に係る作業通知システムでは、実施の形態1及び2と比較して、製造設備100を複数の作業者が復旧作業を行うことができる点が主として相違する。以下では、実施の形態1及び2との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0229】
なお、本実施の形態に係る作業通知システムの構成は、実施の形態1と同じである。このため、
図3及び
図13~
図15に示される構成を適宜参照しながら、本実施の形態の主な相違点について説明する。
【0230】
[3-1.概要]
本実施の形態では、複数の作業者が複数の製造設備100の各々の復旧作業を行うことができる。例えば、
図1では、工場1を4つのブロックA~Dに区分けした例を示したが、本実施の形態では、4人の作業者2A~2Dの各々が、全ての製造設備100の復旧作業を行うことができる。
【0231】
4人の作業者2A~2Dはそれぞれ、作業スキルが異なっている。つまり、ある停止要因で停止した設備の復旧作業を行う場合にかかる作業時間は、作業者2A~2Dの各々で異なっている。
【0232】
図28は、2人の作業者2A及び2Bについての停止要因毎の平均作業時間を表すパレート図である。
図28の(a)及び(b)の各々のグラフにおいて、縦軸は平均作業時間を表し、横軸は停止要因を表している。なお、停止要因は、予め定められた固有の識別コードで表している。
【0233】
図28の(a)と(b)とを比較することで、作業者の作業スキルの良し悪しを判断することができる。例えば、
図28に示される例では、停止要因毎の平均作業時間の平均値は、作業者2Aの方が作業者2Bよりも短いので、作業者2Aの作業スキルが作業者2Bの作業スキルよりも高いと判断できる。また、停止要因「026」について着目すれば、作業者2Bの平均作業時間が作業者2Aの平均作業時間より短い。つまり、停止要因「026」について停止した設備の復旧作業については、作業者2Aよりも作業者2Bが行った方が好ましい。
【0234】
本実施の形態に係る作業通知システムでは、製造設備100が停止した場合に、複数の作業者の各々の作業時間を推定し、推定した作業時間のうち最も短い時間に対応する作業者に、停止した製造設備100を作業対象設備として通知する。
【0235】
[3-2.動作]
続いて、本実施の形態に係る作業通知システムの動作について説明する。具体的には、作業対象設備及び作業者の決定処理について、
図29を用いて説明する。
図29は、本実施の形態に係る作業通知システムによる作業対象設備及び作業者の決定処理を示すフローチャートである。
【0236】
図29に示されるように、他の設備の停止を判定するまでの処理(S40~S43)は、
図17に示される処理と同じである。本実施の形態では、他の設備が停止している場合(S43でYes)、生産性指標推定部240は、作業時間推定モデルを用いて作業中設備の復旧作業の残り時間を作業者毎に推定する(S74)。具体的には、生産性指標推定部240は、作業中設備の停止要因、作業者の識別番号、及び、作業者の作業スキル(作業時間)を入力データとして作業時間推定モデルに入力することで、作業中設備の作業時間を、作業者毎に推定する。そして、生産性指標推定部240は、作業中設備の作業時間から、復旧作業の開始時刻から現時点までの経過時間を減算することで、残りの作業時間(すなわち、残り時間)を、作業者毎に算出する。
【0237】
次に、生産性指標推定部240は、他の停止設備の停止要因、作業者の識別番号、及び、作業者の作業スキルを入力データとして作業時間推定モデルに入力することで、停止設備の作業時間を作業者毎に推定する(S75)。停止設備の作業時間の推定は、停止設備毎に行われる(S76でNo)。
【0238】
全ての停止設備の作業時間が推定された後(S76でYes)、比較部250は、作業中設備の残り時間及び他の1以上の停止設備の作業時間の比較を行う(S77)。比較部250は、比較の結果に基づいて、最も短い作業時間に対応する設備と作業者とを決定する。
【0239】
最も短い作業時間に対応する設備を、各作業者が作業中である場合(S78でYes)、通知を行わずに処理を終了する。最も短い作業時間に対応する設備が作業中設備ではない場合(S78でNo)、通知部260は、各作業者に、最も短い作業時間に対応する設備を作業対象設備として通知する(S79)。例えば、最も短い作業時間に対応する設備を作業対象設備として作業者2Aに通知した場合、通知部260は、残りの作業者2Bには、作業者2Bの作業時間の中で最も短い設備を作業対象設備として通知する。なお、作業者2Bにとって、現在作業している設備が最も作業時間が短い場合、通知は行わなくてよい。
【0240】
以上のように、本実施の形態に係る作業通知システムでは、一の製造設備100の復旧作業を複数の作業者が行うことができる場合に、作業者間の作業時間を比較し、最も短い作業時間に対応する作業者に、当該一の製造設備100を作業対象設備として通知する。これにより、より作業スキルの高い作業者に復旧作業を行わせることができるので、工場1の生産性をより向上させることができる。
【0241】
(他の実施の形態)
以上、1つ又は複数の態様に係る作業通知方法、作業通知装置及び作業通知システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、及び、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0242】
例えば、各実施の形態に係る作業通知システムでは、時間超過の通知、及び、設備間違いの通知が行われなくてもよい。
【0243】
また、上記実施の形態では、作業者がある設備の作業中に他の設備が停止した場合について説明したが、作業者が作業を行っていないときに、複数台の設備が同時に停止した場合にも適用可能である。この場合は、ある停止設備を作業者が作業開始した直後に、他の設備が停止したとみなすことにより、同じ処理を適用することができる。
【0244】
また、上記実施の形態で説明した装置間の通信方法については特に限定されるものではない。装置間で無線通信が行われる場合、無線通信の方式(通信規格)は、例えば、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、又は、無線LAN(Local Area Network)などの近距離無線通信である。あるいは、無線通信の方式(通信規格)は、インターネットなどの広域通信ネットワークを介した通信でもよい。また、装置間においては、無線通信に代えて、有線通信が行われてもよい。有線通信は、具体的には、電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)又は有線LANを用いた通信などである。
【0245】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよく、あるいは、複数の処理が並行して実行されてもよい。また、作業通知システムが備える構成要素の複数の装置への振り分けは、一例である。例えば、一の装置が備える構成要素を他の装置が備えてもよい。
【0246】
例えば、上記実施の形態において説明した処理は、単一の装置(システム)を用いて集中処理することによって実現してもよく、又は、複数の装置を用いて分散処理することによって実現してもよい。また、上記プログラムを実行するプロセッサは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、又は分散処理を行ってもよい。
【0247】
また、上記実施の形態において、制御部などの構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、あるいは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサなどのプログラム実行部が、HDD又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0248】
また、制御部などの構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0249】
1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)などが含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。
【0250】
また、本開示の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路又はコンピュータプログラムで実現されてもよい。あるいは、当該コンピュータプログラムが記憶された光学ディスク、HDD若しくは半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0251】
また、上記の各実施の形態は、請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0252】
本開示は、複数の設備が停止している場合に、優先して復旧作業を行うべき設備を適切に作業者に通知することができる作業通知方法などとして利用でき、例えば、工場の作業通知システム、管理システム及び製造システムなどに利用することができる。
【符号の説明】
【0253】
1 工場
2A、2B、2C、2D 作業者
3A 動線
10 作業通知システム
100、100a、100b、100c、101、102、103、104 製造設備
101a、102a、103a、104a 近接範囲
111、211、311 記憶部
112、212、312 処理部
113、213、313 通信部
114、214、314 入力部
115、215、315 表示部
121 材料投入部
122 搬送部
123 製造部
124 製品出力部
131 動作開始時刻特定部
132 停止時刻特定部
141 停止要因特定部
200 作業通知装置
220 作業時間計測部
230 モデル作成部
240 生産性指標推定部
250 比較部
260 通知部
300、301 端末装置
316 音声出力部
317 振動部
400 ネットワーク
411、442 識別番号
412 停止要因
413 推定作業時間
414 同時停止数
421、441 警告メッセージ
422 示唆メッセージ
431 メッセージ
432 リスト