(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】車両管理装置および車両管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240507BHJP
【FI】
G06Q50/40
(21)【出願番号】P 2019217436
(22)【出願日】2019-11-29
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 隆之
(72)【発明者】
【氏名】星田 昌昭
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特許第6301730(JP,B2)
【文献】特開2011-054048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された電池の劣化状態と、前記車両が走行する複数の地区に関する外的変動要因とを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記電池の劣化状態および前記外的変動要因に基づいて、前記複数の地区に対する前記車両の割当てが定義された車両配備計画を生成する計画部と、
を備え
、
前記取得部は、複数の車両に搭載された複数の電池の劣化状態と、複数の車両が走行する前記複数の地区に関する前記外的変動要因とを取得し、
前記計画部は、前記取得部が取得した前記複数の電池の劣化状態および前記外的変動要因に基づいて、前記車両配備計画を生成し、
前記取得部が取得した前記外的変動要因に基づいて、第1の計画対象期間における前記複数の地区における、走行距離、走行回数、配送時間、前記車両の消費電力、のうち少なくとも1つ以上を推定する推定部、をさらに備え、
前記計画部は、前記取得部が取得した前記電池の劣化状態と、前記推定部によって推定された前記走行距離、前記走行回数、前記配送時間、前記車両の消費電力、のうち少なくとも1つ以上に基づいて、前記車両配備計画を生成し、
前記推定部は、前記第1の計画対象期間よりも長い期間における前記外的変動要因の変化の周期を推定し、推定した変化の周期に基づいて、前記車両の前記複数の地区に対する割当ての変更時期を特定する、
車両管理装置。
【請求項2】
前記外的変動要因は、前記第1の計画対象期間における季節の情報を含み、
前記推定部は、前記複数の地区の内の第1の地区において、前記走行距離、または走行時間に季節性の変動がある場合、季節性の変動がある季節において前記第1の地区の前記車両配備計画を切り替える、
請求項1に記載の車両管理装置。
【請求項3】
前記車両は配送用の車両であり、
前記推定部は、前記取得部が取得した前記外的変動要因に基づいて、前記第1の計画対象期間における各地区の荷物量および配送先の数を推定し、各地区の広さ、推定した各地区の荷物量、および配送先の数から、前記複数の地区の各々における前記走行距離および前記走行回数を推定する、
請求項
1または2に記載の車両管理装置。
【請求項4】
前記車両配備計画は、前記第1の計画対象期間における前記複数の地区ごとに割当てられる前記車両の台数、および割当てられた前記車両に搭載された複数の電池の劣化状態が定義された情報である、
請求項
1から3のいずれか1項に記載の車両管理装置。
【請求項5】
前記外的変動要因は、前記複数の地区の各々の交通情報
、気象情報、イベント情報、人口情報、住空間情報の内の少なくとも1つの情報を含む、
請求項
1から4のいずれか1項に記載の車両管理装置。
【請求項6】
前記車両は、荷物の配送用の車両であり、
前記取得部は、前記複数の地区ごとに、前記第1の計画対象期間よりも短い第2の計画対象期間における荷物量および配送先の情報と、前記第2の計画対象期間における前記外的変動要因を取得し、
前記計画部は、前記取得部によって取得された、荷物量および配送先の情報と、外的変動要因と、前記車両に搭載された複数の電池の劣化状態と、に基づいて、前記複数の地区ごとに、前記第2の計画対象期間における前記車両の配送ルートを計画する、
請求項
1から5のいずれか1項に記載の車両管理装置。
【請求項7】
前記複数の地区は、
第1の面積を有し、前記荷物量が第1の量である第2の地区と、
前記第2の地区とは異なる地区であり、前記第2の地区の第1の面積よりも広い第2の面積を有し、前記荷物量が前記第1の量よりも多い第2の量である第3の地区と、を含み、
前記電池の劣化状態は、SOH(State Of Health)で表され、
前記計画部は、
前記第2の地区において、第1の車両群を割当て、
前記第3の地区において、前記第1の車両群とは異なる第2の車両群を割当て、
前記第1の車両群のSOHの最頻値は、前記第2の車両群のSOHの最頻値よりも低い値である、
請求項6に記載の車両管理装置。
【請求項8】
前記第1の計画対象期間は、未来における数ヶ月から半年の期間であり、
前記第2の計画対象期間は、計画作成処理の翌日の1日である、
請求項6または7に記載の車両管理装置。
【請求項9】
前記計画部は、割当て可能な車両の電池の劣化状態に応じて、前記第1の計画対象期間における前記走行回数を変更する、
請求項1に記載の車両管理装置。
【請求項10】
前記計画部は、前記車両配備計画が作成された後、前記複数の地区の内の各地区に割当てる車両の台数が不足していると判定した場合、不足分の車両の台数、および各車両に要求される電池の劣化状態を特定する、
請求項1から9のいずれか1項に記載の車両管理装置。
【請求項11】
車両に搭載された電池の劣化状態と、前記車両が走行する複数の地区に関する外的変動要因とを取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得された前記電池の劣化状態および前記外的変動要因に基づいて、前記複数の地区に対する前記車両の割当てが定義された車両配備計画を生成する計画ステップと、
を含み、
前記取得ステップにおいて、複数の車両に搭載された複数の電池の劣化状態と、複数の車両が走行する前記複数の地区に関する前記外的変動要因とを取得し、
前記計画ステップにおいて、前記取得ステップで取得した前記複数の電池の劣化状態および前記外的変動要因に基づいて、前記車両配備計画を生成し、
前記取得ステップで取得した前記外的変動要因に基づいて、第1の計画対象期間における前記複数の地区における、走行距離、走行回数、配送時間、前記車両の消費電力、のうち少なくとも1つ以上を推定する推定ステップ、をさらに含み、
前記計画ステップにおいて、前記取得ステップで取得した前記電池の劣化状態と、前記推定ステップで推定された前記走行距離、前記走行回数、前記配送時間、前記車両の消費電力、のうち少なくとも1つ以上に基づいて、前記車両配備計画を生成し、
前記推定ステップにおいて、前記第1の計画対象期間よりも長い期間における前記外的変動要因の変化の周期を推定し、推定した変化の周期に基づいて、前記車両の前記複数の地区に対する割当ての変更時期を特定する処理を、
コンピュータに実行させる車両管理プログラム。
【請求項12】
前記外的変動要因は、前記第1の計画対象期間における季節の情報を含み、
前記推定ステップにおいて、前記複数の地区の内の第1の地区において、前記走行距離、または走行時間に季節性の変動がある場合、季節性の変動がある季節において前記第1の地区の前記車両配備計画を切り替える、
請求項11に記載の車両管理プログラム。
【請求項13】
前記車両は配送用の車両であり、
前記推定ステップにおいて、前記取得ステップで取得した前記外的変動要因に基づいて、前記第1の計画対象期間における各地区の荷物量および配送先の数を推定し、各地区の広さ、推定した各地区の荷物量、および配送先の数から、前記複数の地区の各々における前記走行距離および前記走行回数を推定する、
請求項11または12に記載の車両管理プログラム。
【請求項14】
前記車両配備計画は、前記第1の計画対象期間における前記複数の地区ごとに割当てられる前記車両の台数、および割当てられた前記車両に搭載された複数の電池の劣化状態が定義された情報である、
請求項11から13のいずれか1項に記載の車両管理プログラム。
【請求項15】
前記外的変動要因は、前記複数の地区の各々の交通情報、気象情報、イベント情報、人口情報、住空間情報の内の少なくとも1つの情報を含む、
請求項11から14のいずれか1項に記載の車両管理プログラム。
【請求項16】
前記車両は、荷物の配送用の車両であり、
前記取得ステップにおいて、前記複数の地区ごとに、前記第1の計画対象期間よりも短い第2の計画対象期間における荷物量および配送先の情報と、前記第2の計画対象期間における前記外的変動要因を取得し、
前記計画ステップにおいて、前記取得ステップで取得された、荷物量および配送先の情報と、外的変動要因と、前記車両に搭載された複数の電池の劣化状態と、に基づいて、前記複数の地区ごとに、前記第2の計画対象期間における前記車両の配送ルートを計画する、
請求項11から15のいずれか1項に記載の車両管理プログラム。
【請求項17】
前記複数の地区は、
第1の面積を有し、前記荷物量が第1の量である第2の地区と、
前記第2の地区とは異なる地区であり、前記第2の地区の第1の面積よりも広い第2の面積を有し、前記荷物量が前記第1の量よりも多い第2の量である第3の地区と、を含み、
前記電池の劣化状態は、SOHで表され、
前記計画ステップにおいて、
前記第2の地区において、第1の車両群を割当て、
前記第3の地区において、前記第1の車両群とは異なる第2の車両群を割当て、
前記第1の車両群のSOHの最頻値は、前記第2の車両群のSOHの最頻値よりも低い値である、
請求項16に記載の車両管理プログラム。
【請求項18】
前記第1の計画対象期間は、未来における数ヶ月から半年の期間であり、
前記第2の計画対象期間は、計画作成処理の翌日の1日である、
請求項16または17に記載の車両管理プログラム。
【請求項19】
前記計画ステップにおいて、割当て可能な車両の電池の劣化状態に応じて、前記第1の計画対象期間における前記走行回数を変更する、
請求項11に記載の車両管理プログラム。
【請求項20】
前記計画ステップにおいて、前記車両配備計画が作成された後、前記複数の地区の内の各地区に割当てる車両の台数が不足していると判定した場合、不足分の車両の台数、および各車両に要求される電池の劣化状態を特定する、
請求項11から19のいずれか1項に記載の車両管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両管理装置および車両管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、業務用の電気自動車において、充電時間や充電拠点の位置を考慮した運行計画を作成する技術が知られている。このような従来例では、業務を遂行するために十分な台数の電気自動車が予め配備されていることを前提としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の計画の策定においては、季節や環境等の外的変動要因および車両に搭載された電池の劣化状態が車両の走行距離や走行時間に与える影響が十分に考慮されておらず、高精度な車両の配備計画を生成することが困難な場合があった。
【0005】
本開示は、高精度な車両配備計画を作成することができる車両管理装置および車両管理プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車両管理装置は、取得部と、計画部と、推定部とを備える。取得部は、車両に搭載された電池の劣化状態と、車両が走行する複数の地区に関する外的変動要因とを取得する。計画部は、取得部が取得した電池の劣化状態および外的変動要因に基づいて、複数の地区に対する車両の割当てが定義された車両配備計画を生成する。取得部は、複数の車両に搭載された複数の電池の劣化状態と、複数の車両が走行する複数の地区に関する外的変動要因とを取得する。計画部は、取得部が取得した複数の電池の劣化状態および外的変動要因に基づいて、車両配備計画を生成する。推定部は、取得部が取得した外的変動要因に基づいて、第1の計画対象期間における複数の地区における、走行距離、走行回数、配送時間、車両の消費電力、のうち少なくとも1つ以上を推定する。計画部は、取得部が取得した電池の劣化状態と、推定部によって推定された走行距離、走行回数、配送時間、車両の消費電力、のうち少なくとも1つ以上に基づいて、車両配備計画を生成する。推定部は、第1の計画対象期間よりも長い期間における外的変動要因の変化の周期を推定し、推定した変化の周期に基づいて、車両の複数の地区に対する割当ての変更時期を特定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る車両管理装置および車両管理プログラムによれば、高精度な車両配備計画を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る車両管理装置が運送会社に適用される例について説明する図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る車両管理装置の機能の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る外的変動要因の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るX地区に配備される車両の台数とSOHとの関係の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るY地区に配備される車両の台数とSOHとの関係の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る車両管理装置で実行される車両配備計画処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る車両管理装置で実行される運行計画処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る車両管理装置および車両管理プログラムの実施形態について説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態係る車両管理装置10が運送会社20に適用される例について説明する図である。
【0011】
図1に示すように、車両管理装置10は、運送会社20に設けられたPC(Personal Computer)またはサーバ装置等である。車両管理装置10は、CPU(Central Processing Unit)等の制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶装置(メモリ)と、HDD(Hard Disk Drive)、CDドライブ装置などの外部記憶装置と、ディスプレイ装置などの表示装置と、キーボードやマウスなどの入力装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0012】
運送会社20は、複数の配送対象地区に対して、それぞれ配送用の車両30a~30fを配備している。例えば、
図1に示す例では、X地区の配送拠点201aには、車両30a~30dが配備されている。また、Y地区の配送拠点201bには、車両30e,30fが配備されている。
【0013】
車両30a~30fは、配送用の電気自動車である。車両30a~30fの各々は、充電可能な二次電池等のバッテリから放電される電力で駆動する。バッテリの種類は特に限定されるものではなく、例えば、リチウムイオン電池でも良いし、ニッケル水素電池でも良い。バッテリは、本実施形態における電池の一例である。
【0014】
図1では、配送用の車両は全て電気自動車とするが、配送用の車両の一部がガソリン車等の非電気自動車等でも良いし、ハイブリッドカーでも良い。なお、
図1に示す車両30a~30fの数は一例であり、これに限定されるものではない。以下、車両30a~30fを特に限定しない場合は、単に車両30という。
【0015】
また、車両30は、バッテリに関する電池情報を、無線通信等によってクラウドサーバ装置50に送信する。クラウドサーバ装置50は、インターネット等のネットワーク上のクラウド環境に構築された情報処理装置である。電池情報には、SOHが含まれるものとする。また、車両管理装置10は、クラウドサーバ装置50と無線通信または有線通信で接続可能である。
【0016】
車両管理装置10は、各地区へ車両30の割当が定義された車両配備計画を生成する。
【0017】
より詳細には、車両配備計画は、計画対象期間における複数の地区ごとに割当てられる車両30の台数、および割当てられた車両30に搭載されたバッテリの劣化状態が定義された情報である。車両30に搭載されたバッテリの劣化状態は、車両30に搭載されたバッテリのSOHである。
【0018】
また、車両管理装置10は、車両30の日次の配送業務における各車両30の配送ルートを定義する運行計画も作成する。運行計画は、個々の車両30に積載する荷物、配送先、および走行ルートが定義された情報である。
【0019】
本実施形態においては、車両配備計画の計画対象期間と、運行計画の計画対象期間とを区別して説明する場合には、車両配備計画の計画対象期間を第1の計画対象期間、運行計画の計画対象期間を第2の計画対象期間という。また、車両配備計画の計画対象期間と、運行計画の計画対象期間とを特に区別しない場合には、単に計画対象期間という。第1の計画対象期間は、例えば、未来における数ヶ月~半年等の期間である。また、第2の計画対象期間は、例えば、計画作成処理の翌日の1日である。
【0020】
図2は、本実施形態に係る車両管理装置10の機能の一例を示す図である。
図2に示すように、取得部101と、推定部102と、第1の計画部103と、第2の計画部104と、出力部105とを備える。
【0021】
本実施形態の車両管理装置10で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0022】
また、本実施形態の車両管理装置10で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の車両管理装置10で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。また、本実施形態の車両管理装置10で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0023】
一例として、車両管理装置10のCPUがメモリから当該プログラムを読み出して実行することにより、上記の取得部101、推定部102、第1の計画部103、第2の計画部104、および出力部105に対応する機能を実現する。
【0024】
取得部101は、車両30に搭載された複数の電池の劣化状態と、車両30が走行する複数の地区に関する外的変動要因とを取得する。また、取得部101は、各地区の地理情報も取得する。地理情報は、各地区の面積、高低差、住宅の位置等である。
【0025】
外的変動要因は時期によって変化するため、取得部101は、車両配備計画または運行計画の計画対象期間に応じた外的変動要因を取得する。また、後述の推定部102が車両配備計画の変更時期を決定する処理を行う場合は、取得部101は、車両配備計画の計画対象期間よりも長い期間における外的変動要因を取得する。
【0026】
また、本実施形態において、電池の劣化状態は、SOH(State Of Health)によって表される。本実施形態において、SOHは、初期の満充電容量(Ah)に対して現在の満充電容量(Ah)が占める割合のパーセンテージである。SOHの値が100%に近いほど、劣化の度合は低い。なお、SOHの算出手法はこれに限定されるものではなく、抵抗値から算出されても良い。
【0027】
また、電池の劣化状態および外的変動要因の取得の手法は特に限定されるものではない。例えば、取得部101は、車両30内のBMU等によって算出されたSOHの値を、クラウドサーバ装置50を介して取得しても良い。また、電池の劣化状態と、外的変動要因とは、他の装置からネットワークを介して送信されても良い。また、ユーザが、電池の劣化状態と、外的変動要因とを車両管理装置10の入力装置に手動で入力しても良い。
【0028】
外的変動要因は、車両30を取り巻く外部環境に関する情報であり、例えば、地区における荷物量、配送に要する車両30の走行距離、配送に要する車両30の走行時間、の少なくとも1つに影響を与える因子である。例えば、外的変動要因は計画対象期間における季節を表す季節情報、または、計画対象期間における複数の地区の各々の交通情報等である。また、外的変動要因は、これらに限定されるものではない。
【0029】
また、本実施形態において、車両30の走行距離または走行時間に影響を与えるという場合は、“車両30が配送等の業務のために走行しなければならない走行距離または走行時間に影響を与える”ことと、“車両30が走行可能な走行距離または走行時間に影響を与える”ことの両方を含むものとする。
【0030】
図3は、本実施形態に係る外的変動要因の一例を示す図である。
図3に示すように、外的変動要因は、季節情報、気象情報、イベント情報、交通情報、人口情報、住空間情報の一部または含んでも良い。
【0031】
季節情報は、計画対象期間における配送対象地区の季節であり、例えば、日本の場合は春、夏、秋、または冬である。また、季節の分類は四季に限定されるものではなく、
図3に示すように、梅雨等が含まれても良い。また、夏を1つの季節とするのではなく、“夏休み”や“お盆”等の細かい分類に区分しても良い。冬についても同様に、“冬休み”や“正月”等の細かい分類に区分しても良い。季節情報は、例えば、荷物量に影響を与える。夏はお中元があり、また、冬はお歳暮があるため、地区によっては荷物量が他の時期よりも増加する場合がある。また、季節情報は、走行距離または走行時間にも影響を与える場合がある。降雪地帯では、冬は車両30の車速を低下させて走行するため、他の時期よりも走行時間が長くなる場合がある。また、地区によっては、秋は観光客が増加する時期であるため、渋滞の発生等による走行時間の延長、または渋滞個所を迂回するために走行距離の延長等が発生する場合がある。
【0032】
また、気象情報は、計画対象期間における気象に関する情報である。例えば、気象情報は、天候、気温、湿度に関する情報である。天候は、例えば、雨、雪、晴、台風等である。これらの情報は、リアルタイムの情報でも良いし、計画対象期間の気象の予測結果でも良い。例えば、半年後から開始する3か月間分の車両配備計画の作成のための外的変動要因として、取得部101は、半年後から開始する3ヶ月間分の気象情報を取得する。また、次の日の運行計画の作成のための外的変動要因として、取得部101は、次の日の気象の予測結果、または、現在の気象情報を取得しても良い。
【0033】
イベント情報は、多くの人が集まる何らかのイベントの開催時期および開催場所に関する情報である。イベントは、例えば、コンサートまたはスポーツの試合等の催し物の開催、大学入試試験の実施、祭りの開催等であるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
交通関連情報は、計画対象期間における道路交通に関する情報である。交通情報は、例えば、工事情報、交通情報、交通流等である。工事情報は、道路工事の場所および期間に関する情報である。また、交通情報は、信号機、トラフィック量、または道路規制情報等に関する情報である。また、交通流は、車両台数、車両速度、渋滞情報、または渋滞予測情報等に関する情報である。
【0035】
人口情報は、計画対象期間または現在の各地区における人口に関する情報である。人口情報は、例えば、人口動態状況、人口動態の予測結果、人口分布状況、将来人口分布、または人口構成情報等である。人口構成情報は、例えば、地区における男女比、世代別人口、世帯情報等である。世帯情報は、例えば、単身世帯数、または親族世帯数等であるが、より詳細な世帯構成についての情報であっても良い。
【0036】
住空間情報は、住宅またはマンションの建築状況、または各種施設の建築状況等である。建築状況は、例えば、住宅、マンションまたは各種施設の建築予定地の場所、および完成予定時期等を含む情報である。
【0037】
なお、
図3に示した外的変動要因は一例であり、外的変動要因はこれらに限定されるものではない。また、取得部101は、
図3に示す全ての外的変動要因を取得するとは限らず、これらの一部を取得しても良い。
【0038】
取得部101は、取得した電池の劣化状態と、外的変動要因と、各地区の地理情報とを、推定部102および第2の計画部104に送出する。
【0039】
また、運行計画処理の作成の際には、第2の計画対象期間における既に荷物量および配送先が決定しているため、取得部101は、第2の計画対象期間における荷物量および配送先の情報を取得する。取得部101は、取得した第2の計画対象期間における荷物量および配送先の情報を第2の計画部104に送出する。
【0040】
推定部102は、取得部101が取得した外的変動要因に基づいて、計画対象期間における複数の地区における走行距離および走行回数を推定する。また、本実施形態においては、推定部102は、取得部101が取得した外的変動要因に基づいて、計画対象期間における複数の地区における荷物量および配送先の数も推定する。
【0041】
例えば、推定部102は、取得部101が取得した外的変動要因、および各地区の地理情報に基づいて、計画対象期間における各地区の荷物量および配送先の数を推定する。また、推定部102は、各地区の広さ、推定した各地区の荷物量、および配送先の数から、複数の地区の各々における走行距離および走行回数を推定する。例えば、ある地区の荷物量が1日あたり100個であり、1台の車両30に積載可能な荷物量が10個である場合は、走行回数は10回となる。なお、この時点では、1台の車両30が30回配送を行うか、10台の車両30が1回ずつ配送を行うか、またはその他の数の車両30が分担して配送を行うか、は特定されない。
【0042】
なお、推定部102によって推定される情報は、走行距離と走行回数に限定されるものではない。例えば、推定部102は、取得部101が取得した外的変動要因に基づいて、計画対象期間における複数の地区における、走行距離、走行回数、配送時間、車両30の消費電力、のうち少なくとも1つ以上を推定する。なお、配送時間とは、配送が完了する迄の時間である。
【0043】
例えば、推定部102は、道路のカーブ、勾配、または信号等に関する情報を含む地図情報から勾配情報、信号情報、または渋滞情報等を取得し、取得したこれらの情報に基づいて、車両30の消費電力を推定しても良い。道路のカーブ、勾配、または信号等に関する情報を含む地図情報は、例えば、車両管理装置10のHHD等の記憶装置に予め記憶されているものとする。
【0044】
また、推定部102は、配送経路の距離、車速、および配送件数に基づいて、配送時間を推定する。また、時間指定配達の場合は、推定部102は、さらに、時間指定に基づいて、配送時間を推定する。
【0045】
また、推定部102は、ドライバーの運転情報、地図情報に基づいて、事故の発生確率を推定する。具体的には、推定部102は、ドライバーの運転情報、地図情報に基づいた事故多発地帯に関する情報から事故の発生確率を推定する。また、推定部102は、EV(Electric Vehicle)に充電した電力の発電の由来(例えば、火力発電、原子力発電、再生可能エネルギーなど)と、消費電力量から二酸化炭素の排出量を推定する。また、推定部102は、輸送品によるダメージ量を推定する。ここでダメージ量とは、輸送中の衝撃量または所定範囲以上の温度変化が挙げられる。例えば、医薬品や精密機器を輸送する際のような、温度、湿度、振動等の輸送環境が重要となる場合に用いられる。
【0046】
推定部102は、推定結果を、第1の計画部103に送出する。
【0047】
また、推定部102は、車両配備計画の計画対象期間よりも長い期間における外的変動要因の変化の周期を推定し、推定した変化の周期に基づいて、推奨される車両配備計画の変更時期を特定する。例えば、対象の地区において、荷物量、走行距離、または走行時間に季節性の変動がある場合には、推定部102は、四季ごとに車両配備計画を切り替えることを、推奨される車両配備計画の変更時期として特定する。推定部102は、特定した車両配備計画の変更時期を、出力部105に送出する。
【0048】
図2に戻り、第1の計画部103は、取得部101が取得したバッテリの劣化状態と、外的変動要因とに基づいて、複数の地区に対する車両30の割当てが定義された車両配備計画を生成する。より詳細には、第1の計画部103は、バッテリの劣化状態と、推定部102によって推定された走行距離、走行回数、配送時間、車両30の消費電力、事故の発生確率、二酸化炭素の排出量、輸送品によるダメージ量のうち少なくとも1つ以上に基づいて、車両配備計画を生成する。本実施形態においては、一例として、第1の計画部103は、バッテリの劣化状態と、推定部102によって外的変動要因から推定された走行距離および走行回数とに基づいて、車両配備計画を生成する。
【0049】
例えば、
図1に示すように、車両30に搭載されたバッテリのSOHは、それぞれ異なる場合がある。バッテリの劣化が進んでSOHが低下した状態では、劣化前よりも蓄電容量が減少している。このため、SOHが低いバッテリを搭載している車両30は、SOHが高いバッテリを搭載している車両30よりも、1度に走行可能な走行距離および走行時間が短い。
【0050】
例えば、
図1に示す例では、X地区はY地区よりも面積が狭く、配送先となる住宅の数が多い。また、計画対象期間におけるX地区の荷物4の量は、Y地区よりも多い。この場合、第1の計画部103は、X地区にY地区よりも多くの車両30を配備する。この場合、X地区に配備された車両30の1台当たりの走行距離および走行時間が短くなるため、第1の計画部103は、X地区には、比較的SOHの低い車両30を割当てる。また、Y地区では、少ない数の荷物4を長距離にわたって配送しなければならないため、第1の計画部103は、Y地区には、比較的SOHの高い車両30を割当てる。
【0051】
例えば、
図4は、本実施形態に係るX地区に配備される車両30の台数とSOHとの関係の一例を示す図である。また、
図5は、本実施形態に係るY地区に配備される車両30の台数とSOHとの関係の一例を示す図である。X地区における車両30の台数はY地区よりも多いが、X地区におけるSOHの最頻値は、Y地区におけるSOHの最頻値よりも低い値となる。なお、
図4、5に示す車両30の台数およびSOHの値は一例であり、これらに限定されるものではない。
【0052】
また、電気自動車はバッテリの充電期間が必要なため、第1の計画部103は、バッテリの充電期間を考慮して車両配備計画を生成する。バッテリの充電期間は例えば8時間であり、バッテリの蓄電量が閾値以下になった車両30は、次の配送が可能になるまで8時間を要するものとする。
【0053】
また、第1の計画部103は、割当て可能な車両30のSOHに応じて、推定部102の推定した走行回数を変更しても良い。また、第1の計画部103は、各地区に割当てる車両30の台数が不足している場合、不足分の車両30の台数、および各車両30に要求されるSOHを特定する。例えば、第1の計画部103は、“SOHが90%以上の車両30が2台分不足”等と特定する。
【0054】
第1の計画部103は、生成した車両配備計画を、出力部105に送出する。
【0055】
また、車両30の不足があった場合には、第1の計画部103は、特定した不足分の車両30の台数、および各車両30に要求されるSOHを出力部105に送出する。以下、第1の計画部103によって特定された不足分の車両30の台数、および各車両30に要求されるSOHの情報は、不足車両情報という。
【0056】
図2に戻り、第2の計画部104は、取得部101によって取得された荷物量および配送先の情報と、外的変動要因と、車両30に搭載されたバッテリの劣化状態と、に基づいて、複数の地区ごとに、運行予定期間における車両30の運行計画を計画する。
【0057】
より詳細には、第2の計画部104は、取得部101によって取得された外的変動要因と、車両30に搭載されたバッテリの劣化状態と、第2の計画対象期間における荷物量および配送先の情報と、に基づいて、第2の計画対象期間における、地区ごとの個々の車両30に積載する荷物、配送先、および走行ルートを計画する。第2の計画対象期間は、例えば、運行計画の作成時点の次の日の1日間である。
【0058】
また、第2の計画部104も、第1の計画部103と同様に、車両30のバッテリの充電期間を考慮して運行計画を生成する。
【0059】
なお、“次の日の1日間”は第2の計画対象期間の一例であり、第2の計画対象期間は、計画作成の当日の1日間であっても良いし、次の1週間であっても良い。第2の計画対象期間は、例えば運行計画の作成処理の実行時にユーザによって入力されても良いし、固定の期間が定められていても良い。
【0060】
第2の計画部104は、生成した運行計画を出力部105に送出する。
【0061】
出力部105は、第1の計画部103によって生成された車両配備計画を、車両管理装置10のディスプレイに表示する。また、第1の計画部103によって不足車両情報が生成された場合には、出力部105は、不足車両情報を車両管理装置10のディスプレイに表示する。また、出力部105は、第2の計画部104によって生成された運行計画を、車両管理装置10のディスプレイに表示する。また、出力部105は、推定部102によって推定された車両配備計画の変更時期を、車両管理装置10のディスプレイに表示する。
【0062】
なお、出力部105による出力の形式はディスプレイへの表示に限定されるものではない。例えば、出力部105は、車両配備計画、運行計画、不足車両情報、または車両配備計画の変更時期を他の情報処理装置に送信しても良い。
【0063】
次に、以上のように構成された本実施形態の車両管理装置10で実行される車両配備計画処理の流れについて説明する。
【0064】
図6は、本実施形態に係る車両管理装置10で実行される車両配備計画処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0065】
このフローチャートの処理の前提として、推定部102が、車両配備計画の変更時期を決定しているものとする。このフローチャートは、例えば、推定された車両配備計画の変更時期になったことを第1の計画部103が判定した場合に開始しても良いし、ユーザが推定された車両配備計画の変更時期に応じて手動で実行するものとしても良い。
【0066】
まず、取得部101は、第1の計画対象期間における外的変動要因を取得する(S1)。また、取得部101は、第1の計画対象期間における配備予定の車両30の台数および、各車両30のバッテリのSOHを取得する(S2)。
【0067】
また、取得部101は、計画対象の地区の地理的情報を取得する(S3)。
【0068】
次に、推定部102は、取得部101が取得した外的変動要因に基づいて、第1の計画対象期間における各地区の荷物量および配送先の数を推定する(S4)。
【0069】
そして、推定部102は、推定部102は、各地区の広さ、推定した各地区の荷物量、および配送先の数から、計画対象の複数の地区の各々における走行距離および走行回数を推定する(S5)。推定部102は、推定した走行距離、および走行回数を第1の計画部103に送出する。
【0070】
次に、第1の計画部103は、取得部101が取得した各車両30のバッテリのSOHと、推定部102によって推定された走行距離および走行回数と、に基づいて、計画対象の複数の地区に対する車両30の割当てが定義された車両配備計画を生成する(S6)。第1の計画部103は、生成した車両配備計画を出力部105に送出する。
【0071】
また、第1の計画部103は、各地区に割当てる車両30の台数が不足していると判定した場合、不足分の車両30の台数、および各車両30に要求されるSOHを特定し、不足車両情報を出力部105に送出する。
【0072】
出力部105は、第1の計画部103によって生成された車両配備計画を、ディスプレイに出力する(S7)。また、第1の計画部103によって不足車両情報が生成された場合、出力部105は、不足車両情報を、ディスプレイに出力する。
【0073】
次に、以上のように構成された本実施形態の車両管理装置10で実行される運行計画処理の流れについて説明する。
【0074】
図7は、実施形態に係る車両管理装置10で実行される運行計画処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0075】
まず、取得部101は、第2の計画対象期間の外的変動要因を取得する(S101)。
【0076】
また、取得部101は、このフローチャートの処理の実行時点において配備されている車両30の数およびSOHを取得する(S102)。なお、このフローチャートの処理の実行時点から第2の計画対象期間までに配備される車両30が変更される予定である場合は、取得部101は、第2の計画対象期間において配備される車両30のSOHを取得する。
【0077】
また、取得部101は、計画対象の地区の地理的情報を取得する(S103)。
【0078】
また、取得部101は、第2の計画対象期間における荷物量および配送先の情報を取得する(S104)。取得部101は、取得した外的変動要因、地理的情報、荷物量、および配送先の情報を第2の計画部104に送出する。
【0079】
第2の計画部104は、取得部101によって取得された外的変動要因と、配備された車両30の台数と、各車両30に搭載されたバッテリのSOHと、地理的情報と、第2の計画対象期間における荷物量および配送先の情報とに基づいて、運行計画を作成する(S105)。
【0080】
例えば、第2の計画部104は、外的変動要因と荷物量および配送先と、地理的情報とに基づいて、配達に要する走行距離および走行時間を算出する。そして、第2の計画部104は、車両30に搭載されたバッテリのSOHおよび充電期間に基づいて、各車両30が走行可能な距離、時間、および時期を特定する。そして、第2の計画部104は、各荷物を、該荷物を配送先に配送可能な車両30に割当てる。第2の計画部104は、車両30と荷物の関係を調整して、配送時間内に全ての荷物を配送先に配送可能な荷物と車両30との組み合わせを特定する。荷物と、配送先と、車両30の組み合わせが特定されることにより、個々の車両30に積載する荷物、配送先、および走行ルートが決定する。
【0081】
第2の計画部104は、生成した運行計画を、出力部105に送出する。
【0082】
そして、出力部105は、第2の計画部104によって生成された運行計画を、ディスプレイに出力する(S106)。
【0083】
このように、本実施形態の車両管理装置10は、車両30に搭載されたバッテリの劣化状態、および車両30が走行する地区に関する外的変動要因に基づいて、各地区に対する車両30の割当てが定義された車両配備計画を生成する。このため、本実施形態の車両管理装置10によれば、外的変動要因および電池の劣化状態が車両30の走行距離および走行時間に与える影響を加味した高精度な車両配備計画を作成することができる。
【0084】
また、本実施形態の車両管理装置10は、複数の車両30に搭載された複数のバッテリの劣化状態、および車両30が走行する地区に関する外的変動要因に基づいて、車両配備計画を生成する。このため、本実施形態の車両管理装置10によれば、配備計画の対象となる複数の車両30の各々のバッテリの劣化状態に基づいて、高精度な車両配備計画を作成することができる。
【0085】
また、本実施形態外的変動要因は、第1の計画対象期間における季節、または複数の地区の各々の交通情報である。
【0086】
例えば、従来、外的変動要因によって荷物量、電気自動車の走行距離、または走行時間等が変化することを十分に加味した車両配備計画が作成されていない場合があった。この場合、例えば、季節や交通情報等によって荷物量、電気自動車の走行距離、または走行時間等が変化した場合に、ある地区では配送用の車両30が不足し、他の地区では配送用の車両30が余るという事態が発生する場合があった。これに対して、本実施形態の車両管理装置10によれば、季節や交通情報等の外的変動要因と電池の劣化状態とを加味した車両管理をすることで、効率的に車両30を運用可能な車両配備計画を作成することができる。
【0087】
また、本実施形態の車両管理装置10は、外的変動要因の変化の周期を推定し、推定した変化の周期に基づいて、車両配備計画の変更時期を特定する。このため、本実施形態の車両管理装置10によれば、ユーザが、どのような時期に車両30の運用に影響を与える外的変動要因が変化するかを把握していなくとも、適切な車両配備計画の変更時期を推奨することができる。
【0088】
また、本実施形態の車両管理装置10は、第2の計画対象期間における荷物量および配送先の情報と、外的変動要因と、車両30に搭載されたバッテリの劣化状態と、に基づいて、複数の地区ごとに、運行予定期間における車両30の配送ルートを計画する。このため、本実施形態の車両管理装置10によれば、日々の配送業務においても、効率的に車両30を運用することができる。
【0089】
なお、本実施形態では、各地区の地理情報を外的変動要因とは別の情報としたが、各地区の地理情報も、外的変動要因の一部としても良い。
【0090】
また、本実施形態においては、車両管理装置10は、運送会社20に設けられたPCまたはサーバ装置等としたが、車両管理装置10は、これに限定されるものではない。例えば、クラウドサーバ装置50が、車両管理装置10の機能を備えるものとしても良い。この場合、クラウドサーバ装置50が車両管理装置の一例となる。また、運行計画については、個々の配送拠点201a,201bに設けられたPC等の情報処理装置で作成されても良い。
【0091】
また、本実施形態では、第1の計画部103と第2の計画部104とを別個の機能として説明したが、1つの計画部が、第1の計画部103および第2の計画部104の処理を実行しても良い。また、本実施形態において推定部102が実行するとした処理についても、第1の計画部103、第2の計画部104、またはこれらを統合した計画部が実行するものとしても良い。
【0092】
また、本実施形態においては、車両配備計画処理において、取得部101は、第1の計画対象期間における配備予定の車両30の台数および、各車両30のSOHを取得するとしたが、現在配備されている車両30の台数および、各車両30のSOHを取得しても良い。当該構成を採用する場合、例えば、第1の計画部103は、現時点から第1の計画対象期間におけるまでのバッテリの経年劣化に基づいて、第1の計画対象期間における各車両30のSOHを算出しても良い。
【0093】
また、本実施形態においては、車両30の配送ルートは可変であるものとしたが、車両30は、予め定められた拠点間を往復する拠点間配送車であっても良い。
【0094】
また、本実施形態では、車両30は配送用の電気自動車としたが、車両30はこれに限定されるものではない。例えば、車両30は、電動バイクでも良い。例えば、車両管理装置10の第2の計画部104は、交通情報に道路が通行止めになるという情報が含まれる場合、当該道路の先にある配送先には電動バイクを割当てることにより、細い路地を通って配送先まで到達できるようにしても良い。
【0095】
また、車両30は、EV(Electric Vehicle)バス等の公共交通機関の車両でも良い。また、この場合、車両管理装置10は、公共交通機関のターミナル、営業所、またはバスの基地等に設置されても良い。
【0096】
また、車両30は、地方自治体または企業で使用されるレンタカー、リース車両、または社用車等でも良い。また、この場合、車両管理装置10は、地方自治体の役所等の建物、企業の営業所、視点、工場、または事務所等に設置されても良い。
【0097】
また、車両30は、タクシー、またはライドシェア用の電気自動車でも良い。また、この場合、車両管理装置10は、タクシー会社や、ライドシェア事業者の事務所等に設置されても良い。また、車両30は個人が所有する自家用の電気自動車でも良い。また、この場合、車両管理装置10は、個人のPC、またはスマートフォン等であっても良い。
【0098】
また、本実施形態においては、車両管理装置10が複数の車両30に搭載された複数のバッテリのSOHに基づいて車両配備計画を生成する場合について説明したが、車両30が1台である場合においても、本実施形態の車両管理装置10を適用することができる。
【0099】
なお、本実施形態においては、車両30に搭載された電池のSOHは、車両30に搭載されたBMUによって算出されるものとしたが、クラウドサーバ装置50で算出されても良い。例えば、クラウドサーバ装置50は、車両30から取得したバッテリに関する電池情報から、SOHを算出しても良い。当該構成を採用する場合、車両30からクラウドサーバ装置50に送信されるバッテリに関する電池情報は、例えば、電池の現在の満充電容量(Ah)を含むものとする。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0101】
4 荷物
10 車両管理装置
20 運送会社
30,30a~30f 車両
50 クラウドサーバ装置
101 取得部
102 推定部
103 第1の計画部
104 第2の計画部
105 出力部