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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
B41J2/01 109
B41J2/01 129
B41J2/01 303
B41J2/01 307
B41J2/01 305
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019219458
(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公開番号】P2021088108
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日向 亮二
(72)【発明者】
【氏名】阿部 敬行
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英博
(72)【発明者】
【氏名】中川 亨
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 信
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-024408(JP,A)
【文献】特開2016-016653(JP,A)
【文献】特開2001-239652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲面を有するワークに対して液滴を吐出することで所定の画像を印刷する印刷装置であって、
前記ワークの表面に液滴を吐出するヘッド部を有する印刷ユニットと、
前記ワークの姿勢を変更して、該ワークの表面と前記ヘッド部との距離を調整するワーク駆動ユニットとを備え、
前記ワーク駆動ユニットは、少なくとも5軸の駆動機構を有し、
前記5軸の駆動機構のうち少なくとも3軸は、回転機構で構成され、
前記印刷ユニットは、液滴の吐出方向に延びるC’軸を中心に、前記ヘッド部を少なくとも90°回転させるC’軸回転機構を有し、
前記ヘッド部には、1列に並ぶ複数のノズルを有するノズル列が設けられ、
前記C’軸回転機構は、前記ヘッド部を、前記ノズル列と印刷方向とが直交した姿勢となるように回転させる印刷装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記C’軸回転機構は、前記ヘッド部を少なくとも180°回転させる印刷装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記印刷ユニットは、前記ヘッド部を主走査方向に移動させる主走査直動機構と、1軸の回転機構とを有する印刷装置。
【請求項4】
請求項1乃至のうち何れか1つにおいて、
前記ワーク駆動ユニットは、
主走査方向であるX方向に直交するY方向に前記ワークを移動させるY軸直動機構と、
前記Y軸直動機構に設けられ、前記X方向及びY方向に直交するZ方向に前記ワークを移動させるZ軸直動機構と、
前記Z軸直動機構に設けられ、前記X方向に延びるA軸を中心に前記ワークを回転させるA軸回転機構と、
前記A軸回転機構に設けられ、前記Y方向に延びるB軸を中心に前記ワークを回転させるB軸回転機構と、
前記B軸回転機構に設けられ、前記Z方向に延びるC軸を中心に前記ワークを回転させるC軸回転機構とを有する印刷装置。
【請求項5】
曲面を有するワークに対して液滴を吐出することで所定の画像を印刷する印刷装置であって、
前記ワークの表面に液滴を吐出するヘッド部を有する印刷ユニットと、
前記ワークの姿勢を変更して、該ワークの表面と前記ヘッド部との距離を調整するワーク駆動ユニットとを備え、
前記ワーク駆動ユニットは、少なくとも5軸の駆動機構を有し、
前記5軸の駆動機構のうち少なくとも3軸は、回転機構で構成され、
前記ワーク駆動ユニットは、
主走査方向であるX方向に直交するY方向に前記ワークを移動させるY軸直動機構と、
前記Y軸直動機構に設けられ、前記X方向及びY方向に直交するZ方向に前記ワークを移動させるZ軸直動機構と、を有し、
前記Y軸直動機構は、前記ワークを保持する保持体を挟んで前記X方向の両側にそれぞれ設けられ、
前記Z軸直動機構は、前記保持体を挟んで前記X方向の両側にそれぞれ設けられる印刷装置。
【請求項6】
請求項において、
前記Z軸直動機構に設けられ、前記X方向に延びるA軸を中心に前記ワークを回転させるA軸回転機構を備え、
前記A軸回転機構は、前記保持体を挟んで前記X方向の両側にそれぞれ設けられる印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、インクジェットを用いて、曲面を有するワークに印刷する印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、インクジェットヘッドの主走査方向を軸方向とする筒状体のワークの側面に対して、副走査方向にノズル列を傾けてインク滴を吐出するようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6426038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の発明では、印刷可能なワークの断面形状が筒状体のものに限定されている。そこで、筒状体のワークに限定されることなく、任意の三次元の曲面を有するワークに対しても、高精度に印刷することが可能な印刷装置が望まれていた。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、三次元の曲面を有するワークに対して精度良く印刷できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、曲面を有するワークに対して液滴を吐出することで所定の画像を印刷する印刷装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明は、前記ワークの表面に液滴を吐出するヘッド部を有する印刷ユニットと、
前記ワークの姿勢を変更して、該ワークの表面と前記ヘッド部との距離を調整するワーク駆動ユニットとを備え、
前記ワーク駆動ユニットは、少なくとも5軸の駆動機構を有し、
前記5軸の駆動機構のうち少なくとも3軸は、回転機構で構成されている。
【0009】
第1の発明では、ワーク駆動ユニットが少なくとも5軸の駆動機構を有し、そのうちの少なくとも3軸を回転機構で構成している。
【0010】
これにより、ワークの姿勢の調整幅を広げることができ、ワークの曲面に応じた姿勢調整を高速化するとともに、ワークに対して精度良く印刷することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、
前記印刷ユニットは、少なくとも1軸の駆動機構を有する。
【0012】
第2の発明では、印刷ユニットが少なくとも1軸の駆動機構を有している。これにより、例えば、凹面や凸面を有するワークに対しても、自由度の高い印刷を行うことができる。
【0013】
第3の発明は、第2の発明において、
前記印刷ユニットは、前記ヘッド部を主走査方向に移動させる主走査直動機構と、1軸の回転機構とを有する。
【0014】
第3の発明では、印刷ユニットが主走査直動機構と回転機構とを有している。これにより、ヘッド部を主走査方向に移動させながら、ワークに対するヘッド部のノズル位置を回転機構によって微調整することができる。
【0015】
例えば、ヘッド部の副走査方向に沿って1列に並ぶ複数のノズルの列を、主走査方向に対して斜めに傾けた姿勢とすることで、ノズル間のピッチを小さくして、印刷解像度を高めることができる。
【0016】
また、ヘッド部のノズルの列を、主走査方向に対して90°回転させ、印刷方向を変更することで、インクの着弾精度を高めることができる。
【0017】
第4の発明は、第2の発明において、
前記印刷ユニットは、複数の前記ヘッド部と、該複数のヘッド部を主走査方向に移動させる主走査直動機構と、該複数のヘッド部のうち少なくとも1つを該主走査方向と交差する副走査方向に移動させる副走査直動機構とを備えている。
【0018】
第4の発明では、複数のヘッド部のうち少なくとも1つが副走査方向に移動可能となっている。このように、印刷対象となる色のヘッド部のみをワークに近付けて印刷することで、その他のヘッド部がワークに干渉するのを避けることができる。これにより、ワークの姿勢調整動作の自由度を高めることができる。
【0019】
第5の発明は、第2の発明において、
前記印刷ユニットは、複数の前記ヘッド部と、該複数のヘッド部を主走査方向に移動させる主走査直動機構と、該複数のヘッド部のうち少なくとも1つを前記ワークに対して進退させる進退直動機構とを有する。
【0020】
第5の発明では、複数のヘッド部のうち少なくとも1つをワークに対して進退させる。このように、印刷対象となる色のヘッド部のみをワークに近付けて印刷することで、その他のヘッド部がワークに干渉するのを避けることができる。これにより、ワークの姿勢調整動作の自由度を高めることができる。
【0021】
第6の発明は、第1乃至第5の発明のうち何れか1つにおいて、
前記ワーク駆動ユニットは、
主走査方向であるX方向に直交するY方向に前記ワークを移動させるY軸直動機構と、
前記Y軸直動機構に設けられ、前記X方向及びY方向に直交するZ方向に前記ワークを移動させるZ軸直動機構と、
前記Z軸直動機構に設けられ、前記X方向に延びるA軸を中心に前記ワークを回転させるA軸回転機構と、
前記A軸回転機構に設けられ、前記Y方向に延びるB軸を中心に前記ワークを回転させるB軸回転機構と、
前記B軸回転機構に設けられ、前記Z方向に延びるC軸を中心に前記ワークを回転させるC軸回転機構とを有する。
【0022】
第6の発明では、ワーク駆動ユニットを、2軸の直動機構と3軸の回転機構とで構成している。これにより、ワークの姿勢の調整幅を広げることができ、ワークの曲面に応じた姿勢調整を高速化するとともに、ワークに対して精度良く印刷することができる。
【0023】
第7の発明は、第1乃至第5の発明のうち何れか1つにおいて、
前記ワーク駆動ユニットは、
主走査方向であるX方向に直交するY方向に前記ワークを移動させるY軸直動機構と、
前記Y軸直動機構に設けられ、前記X方向及びY方向に直交するZ方向に延びるC軸を中心に前記ワークを回転させるC軸回転機構と、
前記C軸回転機構に設けられ、前記Z方向に前記ワークを移動させるZ軸直動機構と、
前記Z軸直動機構に設けられ、前記X方向に延びるA軸を中心に前記ワークを回転させるA軸回転機構と、
前記A軸回転機構に設けられ、前記Y方向に延びるB軸を中心に前記ワークを回転させるB軸回転機構とを有する。
【0024】
第7の発明では、ワーク駆動ユニットを、2軸の直動機構と3軸の回転機構とで構成している。これにより、ワークの姿勢の調整幅を広げることができ、ワークの曲面に応じた姿勢調整を高速化するとともに、ワークに対して精度良く印刷することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、三次元の曲面を有するワークに対して精度良く印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態1に係る印刷装置の概略構成を示す正面図である。
図2】印刷装置の概略構成を示す側面図である。
図3】印刷装置の概略構成を示す平面図である。
図4】インクジェット部の構成を示す平面図である。
図5】ヘッド部を印刷方向に対して傾けた状態を示す平面図である。
図6】枠状の画像を印刷する際のヘッド部の向きを説明する平面図である。
図7】インクジェット部の別の構成を示す平面図である。
図8】インクジェット部の別の構成を示す平面図である。
図9】印刷装置の別の概略構成を示す平面図である。
図10】ヘッド部のノズルとワークの表面との距離を示す図である。
図11】ワークの姿勢を変更したときの、ヘッド部のノズルとワークの表面との距離を示す図である。
図12】ワークと塗布線との関係を示す斜視図である。
図13】ワークの印刷座標にノズルを対向させた状態を示す側面図である。
図14】ワークの次の印刷座標にノズルを対向させた状態を示す側面図である。
図15】ワークの曲面における第1領域を示す斜視図である。
図16】ワークの曲面における第1領域及び第2領域を示す斜視図である。
図17】本実施形態2に係る印刷装置の概略構成を示す正面図である。
図18】本実施形態3に係る印刷装置の概略構成を示す正面図である。
図19】本実施形態4に係る印刷装置の概略構成を示す正面図である。
図20】本実施形態5に係る印刷装置の概略構成を示す正面図である。
図21】印刷装置の概略構成を示す側面図である。
図22】本実施形態6に係る印刷装置の概略構成を示す側面図である。
図23】本実施形態7に係る印刷装置の概略構成を示す側面図である。
図24】本実施形態8に係る印刷装置の概略構成を示す側面図である。
図25】本実施形態9に係る印刷装置の概略構成を示す側面図である。
図26】本実施形態10に係る印刷装置の概略構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0028】
《実施形態1》
図1図3に示すように、印刷装置1は、三次元の曲面を有するワークWに対して液滴を吐出して所定の画像を印刷するものである。ワークWは、例えば、樹脂成形品で構成されている。
【0029】
印刷装置1は、印刷ユニット10と、ワーク駆動ユニット30と、制御部15とを備えている。印刷装置1は、架台2と、架台2から立設した門型のガントリー3とを有する。架台2には、ワーク駆動ユニット30が設けられている。ガントリー3には、印刷ユニット10が設けられている。
【0030】
〈印刷ユニット〉
印刷ユニット10は、ワークWの印刷面よりも上方に配置されている。印刷ユニット10は、2軸の駆動機構と、インクジェット部20とを有する。2軸の駆動機構は、X軸直動機構11(主走査直動機構)と、C’軸回転機構38とを有する。
【0031】
X軸直動機構11は、ガントリー3に取り付けられている。C’軸回転機構38は、X軸直動機構11に取り付けられている。インクジェット部20は、C’軸回転機構38を介してX軸直動機構11に取り付けられている。C’軸回転機構38は、上下方向に延びるC’軸を中心にインクジェット部20のヘッド部21を水平方向に回転させる。
【0032】
インクジェット部20は、X軸直動機構11によって、主走査方向(図1で左右方向)に移動する。インクジェット部20は、主走査方向に移動しながらワークWに向かって液滴25を吐出することで、ワークWの表面に画像を印刷する。このとき、ワーク駆動ユニット30によって、インクジェット部20に対してワークWを相対移動させることで、主走査方向に直交する副走査方向(図2で左右方向)にも画像を印刷することができる。
【0033】
図4に示すように、インクジェット部20は、ヘッド部21を有する。ヘッド部21には、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色に対応して4つのノズル列が設けられている。
【0034】
ノズル列は、副走査方向に沿って1列に並ぶ複数のノズル22を有する。ここで、隣接するノズル22間のピッチP1は、例えば、150~1200dpiに設定されている。なお、ノズル22を副走査方向に沿って2列以上、並べて配置した構成としてもよい。
【0035】
なお、図4に示す例では、ノズル22間のピッチについて分かりやすく説明するために、4つのノズル列における複数のノズル22を、印刷方向から見て同じ位置に並べて配置しているが、この形態に限定するものではない。例えば、4つのノズル列における複数のノズル22を、印刷方向から見て互いに重なり合わない位置にずらして配置してもよい。
【0036】
インクジェット部20は、ピエゾ方式であり、制御部15から供給される駆動信号に応じて、ノズル22から鉛直下方に向かって、所定量の液滴25を吐出する。
【0037】
ここで、図5に示すように、ワークWに対して印刷を行う際に、C’軸回転機構38によって、ヘッド部21を印刷方向に対して斜めに傾けた姿勢とすればよい。これにより、ノズル列におけるノズル22間のピッチP2が、ヘッド部21を傾ける前のピッチP1(図4参照)よりも小さくなる。
【0038】
このように、ヘッド部21を印刷方向に対して斜めに傾けた姿勢とすることで、印刷解像度を高めることができる。
【0039】
また、図6に示すように、ワークWに対して矩形枠状の画像(図6に仮想線で記載)を印刷する際には、C’軸回転機構38によって、ヘッド部21を、ノズル列と印刷方向とが直交した姿勢とする。
【0040】
具体的に、図6で左上隅部から右側に向かって印刷する際には、ヘッド部21を、ノズル列が図6で上下方向に延びた姿勢で右上隅部まで移動させる。
【0041】
ヘッド部21が図6で右上隅部に到達した後、ヘッド部21を時計回り方向に90°回転させる。これにより、ヘッド部21は、ノズル列が図6で左右方向に延びた姿勢となる。その後、ヘッド部21を、図6で右上隅部から右下隅部まで移動させる。
【0042】
そして、図6で右下隅部に到達したヘッド部21を時計回り方向に90°回転させ、ノズル列が図6で上下方向に延びた姿勢とする。その後、ヘッド部21を、図6で右下隅部から左側に移動させる。
【0043】
そして、図6で左下隅部に到達したヘッド部21を時計回り方向に90°回転させ、ノズル列が図6で左右方向に延びた姿勢とする。その後、ヘッド部21を、図6で左下隅部から上側に移動させ、矩形枠状の画像を完成させる。
【0044】
このように、ヘッド部21のノズル列を、主走査方向に対して90°回転させ、印刷方向を変更することで、インクの着弾精度を高めることができる。
【0045】
なお、図4に示すインクジェット部20では、1つのヘッド部21が設けられているが、複数のヘッド部21が設けられていてもよい。この場合、全てのヘッド部21が異なる色である必要はなく、同じ色が複数あってもよい。
【0046】
また、インクジェット部20には、ヘッド部21のみが単体で設けられているが、この形態に限定するものではない。例えば、図7に示すように、インクジェット部20は、ヘッド部21と、硬化部23とを有していてもよい。
【0047】
具体的に、インクジェット部20は、ヘッド部21と、ヘッド部21の印刷方向(図7で左右方向)の両側に配置された2つの硬化部23とを有する。なお、インクジェット部20は、ヘッド部21と、1つの硬化部23とを有する構成としてもよい(図8参照)。
【0048】
硬化部23は、インクや塗料を硬化させるものである。硬化部23は、塗布するインクや塗料の種類によって選択される。例えば、硬化部23として、メタルハライドランプやUV-LED等の紫外線光源、ハロゲンランプや赤外線レーザーダイオード、赤外線レーザー等の赤外線光源、ヒーターによる熱源等を用いることができる。
【0049】
ここで、2つの硬化部23が、ヘッド部21の印刷方向の両側にそれぞれ配置されているので、インクジェット部20の往復動作中に、2つの硬化部23を用いて、液滴25を硬化させることができる。
【0050】
また、図8に示すように、インクジェット部20は、ヘッド部21と、距離測定部24とを有する構成としてもよい。
【0051】
距離測定部24は、インクジェット部20とワークWとの距離を測定する。距離測定部24は、ワークWを構成する材料の種類によって選択される。例えば、距離測定部24として、接触式のプローブを用いることができる。また、レーザ変位計や超音波変位計、LED等の光をワークWに照射してから受光素子(図示省略)に返ってくるまでの時間に基づいて距離を測定する非接触方式のものを用いることができる。
【0052】
ここで、ワークWに液滴25を吐出して印刷する前に、距離測定部24によって、ワークWと印刷ユニット10との距離を測定するようにしている。
【0053】
具体的に、樹脂成形品によってワークWが構成されている場合には、製品の設計CADデータに対して、±1mm以上の寸法差が生じることとなる。
【0054】
そこで、インクジェット部20とワークWとの距離を事前に測定しておくことで、印刷時に、インクジェット部20とワークWとが衝突することなく、且つ液滴が確実に届く距離間である印刷ギャップを適切に設定することができる。
【0055】
なお、距離測定部24によって、ワークWの形状を測定し、測定データに基づいて、ワークWのサーフェスデータに変換するようにしても良い。これにより、ワークWのサーフェスデータを印刷に使用することができる。また、印刷するエリアの代表点のみを測定して、印刷ギャップを変更しても良い。
【0056】
このような作業は、印刷する部品の全数でも取得してもよいし、抜き取りでも良い。なお、このような距離測定のための手順は、寸法の安定性に優れた材料であれば、特に実施する必要はない。
【0057】
なお、インクジェット部20は、ヘッド部21、硬化部23、及び距離測定部24を有する構成としてもよい。
【0058】
ここで、各色のインク又は塗料は、紫外線(UV)で硬化する材料で構成されている。なお、プライマーやクリアー等は、紫外線タイプのものでもよいし、溶剤型でもよい。また、メタリック調の材料も、紫外線タイプや溶剤型でもよい。
【0059】
なお、各色のインク又は塗料は、紫外線(UV)で硬化するものが望ましいが、溶剤タイプのものでもよい。
【0060】
〈ワーク駆動ユニット〉
図1図3に示すように、ワーク駆動ユニット30の先端には、固定治具40が取り付けられている。固定治具40には、ワークWが固定されている。ワーク駆動ユニット30は、固定治具40に固定されたワークWを、印刷ユニット10の下方に搬送する。
【0061】
ワーク駆動ユニット30は、5軸の駆動機構を有する。5軸の駆動機構のうち2軸は、Y軸直動機構31及びZ軸直動機構32である。5軸の駆動機構のうち3軸は、A軸回転機構35、B軸回転機構36、及びC軸回転機構37である。
【0062】
Y軸直動機構31は、架台2に載置されている。Y軸直動機構31は、ワークWを副走査方向に移動させる。
【0063】
Z軸直動機構32は、Y軸直動機構31に取り付けられている。Z軸直動機構32は、ワークWを上下方向に移動させる。
【0064】
A軸回転機構35は、Z軸直動機構32に取り付けられている。A軸回転機構35は、X方向に延びるA軸を中心にワークWを旋回させる。
【0065】
B軸回転機構36は、上方が開口した箱状の保持体42を介してA軸回転機構35に取り付けられている。B軸回転機構36は、Y方向に延びるB軸を中心にワークWを旋回させる。
【0066】
C軸回転機構37は、支持アーム41を介してB軸回転機構36に取り付けられている。C軸回転機構37には、固定治具40が取り付けられている。C軸回転機構37は、Z方向に延びるC軸を中心にワークWを旋回させる。
【0067】
ワーク駆動ユニット30は、Y軸直動機構31、Z軸直動機構32、A軸回転機構35、B軸回転機構36、及びC軸回転機構37を動作させることで、インクジェット部20の下方にワークWを移動させる。このとき、ワーク駆動ユニット30によって、ワークWの位置及び姿勢が調整される。
【0068】
ここで、図3に示すように、B軸回転機構36及びC軸回転機構37を介してワークWを保持している保持体42は、A軸回転機構35によって片持ち支持されている。そのため、特に、ワークWの重量が大きい場合には、A軸回転機構35に加わる応力が大きくなってしまう。
【0069】
そこで、図9に示すように、保持体42を挟んで左右両側に、Y軸直動機構31、Z軸直動機構32、A軸回転機構35をそれぞれ配置して、保持体42を両端支持するようにしてもよい。
【0070】
これにより、A軸回転機構35に加わる応力を分散させ、ワークWをスムーズに回転させることができる。
【0071】
〈制御部〉
図1に示すように、制御部15は、例えば、パソコンやPLC(Programmable Logic Controller)で構成されている。制御部15は、印刷ユニット10及びワーク駆動ユニット30の動作を制御する。
【0072】
制御部15は、印刷ユニット10に対して、X軸直動機構11及びC’軸回転機構38を動作させるための制御や、ヘッド部21から液滴25を吐出させるための制御を行う。
【0073】
制御部15は、ワーク駆動ユニット30に対して、Y軸直動機構31、Z軸直動機構32、A軸回転機構35、B軸回転機構36、及びC軸回転機構37を動作させるための制御を行う。
【0074】
〈印刷する際のワークの姿勢と向き〉
図10に示すように、インクジェット部20の複数のノズル22のうち中央付近のノズル22aからワークWの表面に向かって下ろした垂線と、ワークWの表面とが交差した点を、交点75とする。
【0075】
なお、ヘッド部21のX方向の中心線及びY方向の中心線が交差する点(図4参照)からワークWの表面に向かって下ろした垂線と、ワークWの表面とが交差した点を、交点75としてもよい。
【0076】
交点75におけるワークWの表面に対する接線76は、インクジェット部20の下面(ノズル22が配置された面)と平行である。ここで、ノズル22とワークWの表面との距離をDとする。
【0077】
制御部15は、Z軸直動機構32、Y軸直動機構31、A軸回転機構35、B軸回転機構36、及びC軸回転機構37を駆動させることで、中央付近のノズル22aとワークWの表面の交点75との距離D1が略一定となるように、ワークWの姿勢と向きを調整する。
【0078】
ここで、距離D1は、0.3~7mmの範囲で任意の値に設定される。なお、この範囲は、上述したように、液滴25を安定して塗布できる範囲である。なお、ワークWの曲面や印刷精度など、必要に応じて変更すればよい。
【0079】
ところで、中央付近のノズル22aとワークWの表面の交点75との距離D1を略一定にしても、ワークWの表面には曲率の異なる箇所が存在するため、ノズル22とワークWの表面との距離が変わってしまう。
【0080】
そして、ノズル22とワークWとの距離Dが所定値よりも長い部分では、液滴25がワークWに到達する時間が長くなるため、周囲の気流の影響を受けやすくなる。そのため、液滴25の着弾位置がずれてしまい、にじみやかすれ、色ずれなどの現象が生じる。つまり、ワークWの表面における三次元の曲面上の所定の位置に液滴25を精度良く配置させなければ、印刷画像が低画質となるおそれがある。
【0081】
具体的に、図11で左端のノズル22とワークWとの距離は、図10で左端のノズル22とワークWとの距離よりも長くなっている。そのため、液滴25を高精度に配置するためには、ノズル列の塗布幅を、ワークWの表面の曲率に応じて変える必要がある。
【0082】
制御部15は、CAD等のデータに基づいて、以下の手順で塗布領域を設定する。その後、インクジェット部20は、塗布領域ごとに、ワークWの表面に液滴25を塗布する。
【0083】
具体的に、図12に示すように、ワークWの表面上に塗布線50を設定する。塗布線50は、ワークWの表面における最も曲率が小さな平面に近い部分に設定するのがよい。
【0084】
次に、図13にも示すように、塗布線50上に、等しいピッチ51に分割した複数の印刷座標52を設定する。印刷座標52は、必要な印刷解像度に応じてCADデータから算出する。例えば、印刷座標52は、印刷解像度のピッチで設定するのが好ましい。また、印刷座標52は、印刷解像度の整数倍のピッチで設定してもよい。
【0085】
そして、塗布線50上で、インクジェット部20をワークWに対して相対的に移動させる。具体的に、インクジェット部20のヘッド部21における中央付近のノズル22aからワークWの表面に向かって下ろした垂線が、印刷座標52と一致するように、インクジェット部20をワークWに対して相対的に移動させる。このとき、ノズル22とワークWの表面との距離Dが略一定となるように、ワークWの姿勢と向きを調整する。
【0086】
次に、図14に示すように、ノズル22に対向している印刷座標52と、次の印刷座標52とを繋ぐ線分53の傾きが、0の近傍(ノズル面と平行及び水平)になるように、ワークWを移動及び回転させる。
【0087】
これにより、ワークWは、図13に示す状態から図14に示す状態となる。図13及び図14では、各々の印刷座標52での曲面の接線と、ノズル面とは平行である。ここで、印刷座標52での曲面の接線は、塗布線50に垂直である。
【0088】
次に、塗布線50上の全ての印刷座標52に対して、インクジェット部20を相対的に移動させる。そして、複数のノズル22のうち、印刷座標52において、ノズル22とワークWの表面との距離Dが一定の範囲D2であるノズル22のみを選定する(図10及び図11参照)。例えば、距離Dが5mm以内のノズル22のみを選定すればよい。
【0089】
図15に示すように、選定されたノズル22で塗布可能な領域を、第1領域55とする。第1領域55は、塗布線50に平行な2つの線で挟まれた領域に設定する。
【0090】
第1領域55を設定した後、第1領域55に隣接する位置に、次の塗布線54を設定する。そして、上述したプロセスを繰り返すことで、第2領域56を設定する(図16参照)。
【0091】
このようなプロセスを、ワークWの必要な塗布領域について繰り返す。その後、設定した領域ごとに、インクジェット部20で液滴25を塗布する。
【0092】
ここで、各領域の表面の曲率が異なると、領域の幅が異なり、選定されるノズル22の数も異なることとなる。そこで、ノズル22とワークWの表面との間の距離Dを一定の範囲内とすることで、液滴25を精度良く塗布することができる。
【0093】
また、ワークWの塗布領域を複数の領域に分ける際には、各領域間に隙間が生じない方がよい。例えば、塗布線54を、第1領域55の端部とすれば、第1領域55と第2領域56との間に隙間が生じることはない。しかしながら、隙間が生じる場合でも、別途、隙間が生じた部分に別の領域を設けて、液滴25を塗布すればよい。
【0094】
なお、ノズル22とワークWの表面との距離Dを設定する際に、中央付近のノズル22aを基準にしたが、別のノズル22を基準としてもよい。特に、領域を隙間無く設定したり、広く領域設定するために、ノズル列の両端部に配置されたノズル22を基準にしてもよい。さらに、領域設定時と塗布時とで、異なるノズル22を使用してもよい。
【0095】
なお、ワークWの表面の曲率が大きい場合には、使用回数が少ないノズル22が生じることとなる。そこで、一定時間使用されないノズル22については、クリーニングのためにダミー塗布を行うのがよい。
【0096】
これにより、曲面を有するワークWに対して高精度にパターンを描画することができる。このように、印刷装置1は、製品外観のデザイン形成や三次元表面の配線パターン描画等に利用可能である。
【0097】
《実施形態2》
図17は、本実施形態2に係る印刷装置の概略構成を示す平面図である。以下、前記実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0098】
図17に示すように、印刷ユニット10は、2軸の駆動機構と、インクジェット部20とを有する。2軸の駆動機構は、X軸直動機構11と、C’軸回転機構38とを有する。
【0099】
ワーク駆動ユニット30は、5軸の駆動機構を有する。5軸の駆動機構のうち2軸は、Y軸直動機構31及びZ軸直動機構32である。5軸の駆動機構のうち3軸は、A軸回転機構35、B軸回転機構36、及びC軸回転機構37である。
【0100】
Y軸直動機構31は、架台2に載置されている。Y軸直動機構31は、ワークWを副走査方向に移動させる。
【0101】
C軸回転機構37は、Y軸直動機構31に取り付けられている。C軸回転機構37は、Z方向に延びるC軸を中心にワークWを旋回させる。
【0102】
Z軸直動機構32は、C軸回転機構37に取り付けられている。Z軸直動機構32は、ワークWを上下方向に移動させる。
【0103】
A軸回転機構35は、Z軸直動機構32に取り付けられている。A軸回転機構35は、X方向に延びるA軸を中心にワークWを旋回させる。
【0104】
B軸回転機構36は、保持体42を介してA軸回転機構35に取り付けられている。固定治具40は、支持アーム41を介してB軸回転機構36に取り付けられている。B軸回転機構36は、Y方向に延びるB軸を中心にワークWを旋回させる。
【0105】
このような構成とすれば、ワークWの姿勢の調整幅を広げることができ、ワークWの曲面に応じた姿勢調整を高速化するとともに、ワークWに対して精度良く印刷することができる。
【0106】
《実施形態3》
図18に示すように、印刷ユニット10は、2軸の駆動機構と、インクジェット部20とを有する。2軸の駆動機構は、X軸直動機構11と、C’軸回転機構38とを有する。
【0107】
ワーク駆動ユニット30は、5軸の駆動機構を有する。5軸の駆動機構のうち2軸は、Y軸直動機構31及びZ軸直動機構32である。5軸の駆動機構のうち3軸は、A軸回転機構35、B軸回転機構36、及びC軸回転機構37である。
【0108】
Y軸直動機構31は、架台2に載置されている。Y軸直動機構31は、ワークWを副走査方向に移動させる。
【0109】
Z軸直動機構32は、Y軸直動機構31に取り付けられている。Z軸直動機構32は、ワークWを上下方向に移動させる。
【0110】
C軸回転機構37は、第1アーム61を介してZ軸直動機構32に取り付けられている。C軸回転機構37は、Z方向に延びるC軸を中心にワークWを旋回させる。
【0111】
A軸回転機構35は、第2アーム62を介してC軸回転機構37に取り付けられている。A軸回転機構35は、X方向に延びるA軸を中心にワークWを旋回させる。
【0112】
B軸回転機構36は、第3アーム63を介してA軸回転機構35に取り付けられている。固定治具40は、B軸回転機構36に取り付けられている。B軸回転機構36は、Y方向に延びるB軸を中心にワークWを旋回させる。
【0113】
このような構成とすれば、ワークWの姿勢の調整幅を広げることができ、ワークWの曲面に応じた姿勢調整を高速化するとともに、ワークWに対して精度良く印刷することができる。
【0114】
《実施形態4》
図19に示すように、印刷ユニット10は、2軸の駆動機構と、複数のインクジェット部20とを有する。2軸の駆動機構は、X軸直動機構11と、複数のC’軸回転機構38とを有する。
【0115】
複数のインクジェット部20は、複数のC’軸回転機構38を介してX軸直動機構11にそれぞれ取り付けられている。C’軸回転機構38は、上下方向に延びるC’軸を中心にインクジェット部20のヘッド部21を水平方向に回転させる。
【0116】
X軸直動機構11は、リニアモータ式の駆動機構で構成され、複数のインクジェット部20をX方向にそれぞれ別々に駆動させる。なお、X軸直動機構11は、ベルト式の駆動機構で構成してもよい。これにより、印刷に関与するインクジェット部20のみをワークWの表面に対向させるとともに、印刷に関与しないインクジェット部20をワークWから退避させることができる。
【0117】
ワーク駆動ユニット30は、5軸の駆動機構を有する。5軸の駆動機構のうち2軸は、Y軸直動機構31及びZ軸直動機構32である。5軸の駆動機構のうち3軸は、A軸回転機構35、B軸回転機構36、及びC軸回転機構37である。
【0118】
このような構成とすれば、印刷対象の材料を含むインクジェット部20のみをワークWに近付けて印刷することで、その他のインクジェット部20がワークWに干渉するのを避けることができる。その結果、ワークWの姿勢調整動作の自由度を高めることができる。
【0119】
《実施形態5》
図20及び図21に示すように、印刷ユニット10は、1軸の駆動機構であるX軸直動機構11と、インクジェット部20とを有する。インクジェット部20は、X軸直動機構11に取り付けられている。
【0120】
ワーク駆動ユニット30は、5軸の駆動機構を有する。5軸の駆動機構のうち2軸は、Y軸直動機構31及びZ軸直動機構32である。5軸の駆動機構のうち3軸は、A軸回転機構35、B軸回転機構36、及びC軸回転機構37である。
【0121】
Y軸直動機構31は、架台2に載置されている。Y軸直動機構31は、ワークWを副走査方向に移動させる。
【0122】
C軸回転機構37は、Y軸直動機構31に取り付けられている。C軸回転機構37は、Z方向に延びるC軸を中心にワークWを旋回させる。
【0123】
Z軸直動機構32は、C軸回転機構37に取り付けられている。Z軸直動機構32は、ワークWを上下方向に移動させる。
【0124】
B軸回転機構36は、Z軸直動機構32に取り付けられている。B軸回転機構36は、X方向に延びるB軸を中心にワークWを上下方向に旋回させる。
【0125】
A軸回転機構35は、支持アーム41を介してB軸回転機構36に取り付けられている。A軸回転機構35は、Z方向に延びるA軸を中心にワークWを旋回させる。
【0126】
このような構成とすれば、ワークWの姿勢の調整幅を広げることができ、ワークWの曲面に応じた姿勢調整を高速化するとともに、ワークWに対して精度良く印刷することができる。
【0127】
《実施形態6》
図22は、本実施形態6に係る印刷装置の概略構成を示す側面図である。以下、前記実施形態5と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0128】
図22に示すように、印刷ユニット10は、2軸の駆動機構と、インクジェット部20とを有する。2軸の駆動機構は、X軸直動機構11と、C’軸回転機構38とを有する。
【0129】
C’軸回転機構38は、X軸直動機構11に取り付けられている。インクジェット部20は、C’軸回転機構38を介してX軸直動機構11に取り付けられている。C’軸回転機構38は、上下方向に延びるC’軸を中心にヘッド部21を水平方向に回転させる。
【0130】
ワーク駆動ユニット30は、5軸の駆動機構を有する。5軸の駆動機構のうち2軸は、Y軸直動機構31及びZ軸直動機構32である。5軸の駆動機構のうち3軸は、A軸回転機構35、B軸回転機構36、及びC軸回転機構37である。
【0131】
このような構成とすれば、X軸直動機構11によって、ヘッド部21を主走査方向に移動させるとともに、C’軸回転機構38によって、ワークWに対するヘッド部21のノズル22の位置を微調整することができる。これにより、印刷ピッチを変えて、ワークWに画像を印刷することができる。
【0132】
《実施形態7》
図23に示すように、印刷ユニット10は、2軸の駆動機構と、インクジェット部20とを有する。2軸の駆動機構は、X軸直動機構11と、Y’軸直動機構13(副走査直動機構)とを有する。
【0133】
Y’軸直動機構13は、X軸直動機構11に取り付けられている。インクジェット部20は、Y’軸直動機構13を介してX軸直動機構11に取り付けられている。
【0134】
インクジェット部20は、複数のヘッド部21を有する。Y’軸直動機構13は、複数のヘッド部21のうち少なくとも1つを副走査方向に移動させる。例えば、複数のヘッド部21のうち、印刷対象の材料(色や素材など)を含むヘッド部21のみを副走査方向に移動させる。
【0135】
ワーク駆動ユニット30は、5軸の駆動機構を有する。5軸の駆動機構のうち2軸は、Y軸直動機構31及びZ軸直動機構32である。5軸の駆動機構のうち3軸は、A軸回転機構35、B軸回転機構36、及びC軸回転機構37である。
【0136】
このような構成とすれば、印刷対象の材料を含むヘッド部21のみをワークWに近付けて印刷することで、その他のヘッド部21がワークWに干渉するのを避けることができる。その結果、ワークWの姿勢調整動作の自由度を高めることができる。
【0137】
《実施形態8》
図24に示すように、印刷ユニット10は、2軸の駆動機構と、インクジェット部20とを有する。2軸の駆動機構は、X軸直動機構11と、Z’軸直動機構14(進退直動機構)とを有する。
【0138】
Z’軸直動機構14は、X軸直動機構11に取り付けられている。インクジェット部20は、Z’軸直動機構14を介してX軸直動機構11に取り付けられている。
【0139】
インクジェット部20は、複数のヘッド部21を有する。Z’軸直動機構14は、複数のヘッド部21のうち少なくとも1つをワークWに対して進退させる。例えば、複数のヘッド部21のうち、印刷対象の材料(色や素材など)を含むヘッド部21のみを下方に移動させる。
【0140】
ワーク駆動ユニット30は、5軸の駆動機構を有する。5軸の駆動機構のうち2軸は、Y軸直動機構31及びZ軸直動機構32である。5軸の駆動機構のうち3軸は、A軸回転機構35、B軸回転機構36、及びC軸回転機構37である。
【0141】
このような構成とすれば、印刷対象の材料を含むヘッド部21のみをワークWに近付けて印刷することで、その他のヘッド部21がワークWに干渉するのを避けることができる。その結果、ワークWの姿勢調整動作の自由度を高めることができる。
【0142】
また、ワークWの表面に凹部がある場合でも、ヘッド部21を凹部に近付けて液滴25を吐出することができ、ワークWに対して高精度にパターンを描画することができる。
【0143】
《実施形態9》
図25に示すように、印刷ユニット10は、2軸の駆動機構と、インクジェット部20とを有する。2軸の駆動機構は、X軸直動機構11と、Z’軸直動機構14とを有する。
【0144】
ワーク駆動ユニット30は、5軸の駆動機構を有する。5軸の駆動機構のうち2軸は、Y軸直動機構31及びZ軸直動機構32である。5軸の駆動機構のうち3軸は、A軸回転機構35、B軸回転機構36、及びC軸回転機構37である。
【0145】
Y軸直動機構31は、架台2に載置されている。Y軸直動機構31は、ワークWを副走査方向に移動させる。
【0146】
Z軸直動機構32は、Y軸直動機構31に取り付けられている。Z軸直動機構32は、ワークWを上下方向に移動させる。
【0147】
C軸回転機構37は、Z軸直動機構32に取り付けられている。C軸回転機構37は、水平方向に延びるC軸を中心にワークWを上下方向に旋回させる。
【0148】
B軸回転機構36は、第1アーム61を介してC軸回転機構37に取り付けられている。B軸回転機構36は、第1アーム61の長手方向に沿って延びるB軸を中心にワークWを旋回させる。
【0149】
A軸回転機構35は、第2アーム62を介してB軸回転機構36に取り付けられている。A軸回転機構35は、第2アーム62の長手方向に沿って延びるA軸を中心にワークWを旋回させる。
【0150】
このような構成とすれば、ワーク駆動ユニット30の駆動機構の数を増やすことで、ワークWの姿勢の調整幅をさらに広げることができる。
【0151】
なお、印刷ユニット10は、X軸直動機構11と、ヘッド部21を副走査方向に移動させるY’軸直動機構とを有する構成であってもよい。
【0152】
《実施形態10》
図26に示すように、印刷ユニット10は、2軸の駆動機構と、インクジェット部20とを有する。2軸の駆動機構は、X軸直動機構11と、Z’軸直動機構14とを有する。
【0153】
ワーク駆動ユニット30は、7軸の駆動機構を有する。7軸の駆動機構のうち1軸は、Y軸直動機構31である。7軸の駆動機構のうち6軸は、A軸回転機構35、B軸回転機構36、C軸回転機構37、D軸回転機構66、E軸回転機構67、及びF軸回転機構68である。
【0154】
Y軸直動機構31は、架台2に載置されている。Y軸直動機構31は、ワークWを副走査方向に移動させる。
【0155】
F軸回転機構68は、Y軸直動機構31に取り付けられている。F軸回転機構68は、上下方向に延びるF軸を中心にワークWを水平方向に旋回させる。
【0156】
E軸回転機構67は、第1アーム61を介してF軸回転機構68に取り付けられている。E軸回転機構67は、X方向に延びるE軸を中心にワークWを旋回させる。
【0157】
D軸回転機構66は、第2アーム62を介してE軸回転機構67に取り付けられている。D軸回転機構66は、X方向に延びるD軸を中心にワークWを旋回させる。
【0158】
C軸回転機構37は、第3アーム63を介してD軸回転機構66に取り付けられている。C軸回転機構37は、第3アーム63の長手方向に沿って延びるC軸を中心にワークWを旋回させる。
【0159】
B軸回転機構36は、第4アーム64を介してC軸回転機構37に取り付けられている。B軸回転機構36は、X方向に延びるB軸を中心にワークWを旋回させる。
【0160】
A軸回転機構35は、第5アーム65を介してB軸回転機構36に取り付けられている。A軸回転機構35は、第5アーム65の長手方向に沿って延びるA軸を中心にワークWを旋回させる。
【0161】
このような構成とすれば、ワークWの姿勢の調整幅を広げることができ、ワークWの曲面に応じた姿勢調整を高速化するとともに、ワークWに対して精度良く印刷することができる。
【0162】
なお、印刷ユニット10は、X軸直動機構11と、ヘッド部21を副走査方向に移動させるY’軸直動機構とを有する構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0163】
以上説明したように、本発明は、三次元の曲面を有するワークに対して精度良く印刷することができるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0164】
1 印刷装置
10 印刷ユニット
11 X軸直動機構(主走査直動機構)
12 ヘッド回転機構
13 Y’軸直動機構(副走査直動機構)
14 Z’軸直動機構(進退直動機構)
21 ヘッド部
25 液滴
30 ワーク駆動ユニット
31 Y軸直動機構
32 Z軸直動機構
35 A軸回転機構
36 B軸回転機構
37 C軸回転機構
38 C’軸回転機構
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26