(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】冷凍装置
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
F25B1/00 391
(21)【出願番号】P 2020033215
(22)【出願日】2020-02-28
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島田 賀久
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 雄一
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/030198(WO,A1)
【文献】特開2012-093054(JP,A)
【文献】特開平3-110357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 47/02
F25B 49/02
F25D 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、凝縮器、膨張装置および蒸発器の順に冷媒が循環する冷媒回路を用いて冷却運転を行う冷凍装置であって、
前記圧縮機と、
前記凝縮器と、
前記凝縮器と前記膨張装置との間に配置され、閉状態である場合に前記冷媒の流れを規制するバルブと、
前記冷媒の圧力値を検出する圧力センサと、
前記冷媒の流れを制御する
第1制御装置と、を備え、
前記冷媒の流れを許容する前記膨張装置の開状態及び前記冷媒の流れを規制する前記膨張装置の閉状態は、前記第1制御装置とは別の第2制御装置により制御され、
前記
第1制御装置は、
前記冷却運転が行われていない場合において、
前記膨張装置の開閉状態に関わらず、前記バルブを閉状態にし、前記圧力センサによって検出される前記冷媒の圧力値が第1所定圧力値以上となったとき、前記蒸発器内の前記冷媒の回収を開始し、
前記第1所定圧力値は、前記冷却運転が行われている場合において
前記圧力センサによって検出される
前記冷媒の圧力値の範囲より高い値に設定されている、冷凍装置。
【請求項2】
前記
第1制御装置は、
前記蒸発器内の前記冷媒の回収が実行されている場合において、前記圧力センサによって検出される前記冷媒の圧力値が前記第1所定圧力値より低い第2所定圧力値以下となったとき、前記蒸発器内の前記冷媒の回収を停止する請求項1に記載の冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷媒が循環する冷媒回路を用いて冷却運転が行われる冷凍装置が記載されている。冷凍装置は、例えば店舗に配置されたショーケースや冷凍冷蔵倉庫の内部を冷却する冷却器(蒸発器)に発生した霜を取り除く除霜運転を行う。除霜運転が行われる間、冷凍装置内にある圧縮機は運転せず、冷媒は循環しない。また、ショーケースや冷凍冷蔵倉庫等が十分に冷却された場合、或いはなんらかの事由により冷却を必要としない場合も、圧縮機は運転せず、冷媒は循環しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷却運転の停止中に行われる除霜運転は、一般的に、電気ヒータやホットガスを用いて蒸発器を加熱することによって霜が溶かされている。除霜の際の加熱により、蒸発器に残っている冷媒が蒸発して、蒸発器内の圧力が増加することが考えられる。また、冷却運転が長期間行われていないときに、外気温が上昇した場合においても、蒸発器に残っている冷媒が蒸発して、蒸発器内の圧力が増加することが考えられる。これらによって、蒸発器内の圧力が比較的大きくなる場合、蒸発器の破損等の不具合が発生することが考えられる。
【0005】
本開示は、冷却運転が行われていない場合に、蒸発器内の圧力を抑制できる冷凍装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本開示における冷凍装置は、圧縮機、凝縮器、膨張装置および蒸発器の順に冷媒が循環する冷媒回路を用いて冷却運転を行う冷凍装置であって、圧縮機と、凝縮器と、凝縮器と膨張装置との間に配置され、閉状態である場合に冷媒の流れを規制するバルブと、冷媒の圧力値を検出する圧力センサと、冷媒の流れを制御する第1制御装置と、を備え、冷媒の流れを許容する膨張装置の開状態及び冷媒の流れを規制する膨張装置の閉状態は、第1制御装置とは別の第2制御装置により制御され、第1制御装置は、冷却運転が行われていない場合において、膨張装置の開閉状態に関わらず、バルブを閉状態にし、圧力センサによって検出される冷媒の圧力値が第1所定圧力値以上となったとき、蒸発器内の冷媒の回収を開始し、第1所定圧力値は、冷却運転が行われている場合において前記圧力センサによって検出される前記冷媒の圧力値の範囲より高い値に設定されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の冷凍装置によれば、冷却運転が行われていない場合に、蒸発器内の圧力を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態に係る冷凍装置の概要図である。
【
図2】
図1に示す制御装置が実行するプログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の冷凍装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下には本開示の冷凍装置について好適な実施形態を説明するが、これに限定されることなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良が可能である。
【0010】
図1は、冷凍装置1の概要図である。冷凍装置1は、圧縮機10、ガスクーラ20、電動膨張弁30および蒸発器40の順に冷媒(不図示)が循環する冷媒回路50を用いて冷却運転を行うものである。ガスクーラ20は、「凝縮器」の一例である。電動膨張弁30は、「膨張装置」の一例である。
【0011】
冷媒は、二酸化炭素である。なお、潤滑油としてのオイルは、例えば鉱物油(ミネラルオイル)、アルキルベンゼン油、エーテル油、エステル油、PAG(ポリアルキルグリコール)等、既存のオイルが使用される。但し、オイルの種類はこれに限定されない。
【0012】
冷凍装置1は、圧縮機10およびガスクーラ20を備えている。圧縮機10およびガスクーラ20は、筐体1aに収納されている。なお、圧縮機10とガスクーラ20とが別の筐体に配置されてもよい。また、筐体1aには、インタークーラ52a、オイルセパレータ53a、3つの膨張弁53b,56a,57a、タンク21、スプリット熱交換器54a、バルブ54b、圧力センサ51aおよび制御装置60(それぞれ後述する)が収納されている。なお、バルブ54bについては、本実施形態の変形例の構成であるため、後述する。
【0013】
電動膨張弁30および蒸発器40は、筐体1aの外側に配置されている。筐体1aの外側には、ショーケース2が配置されている。ショーケース2は、スーパーマーケットの店舗等などに配置され、冷凍装置1によって内部が冷却されるものである。電動膨張弁30は、ショーケース2の外側に配置されている。蒸発器40は、ショーケース2に収容されている。
【0014】
冷媒回路50は、4つの主配管51~54および3つの副配管55~57を備えている。第1の主配管51は、蒸発器40と圧縮機10の第1吸入口10aとを接続するものである。蒸発器40から流出した低圧の冷媒が、第1の主配管51を介して、圧縮機10に流入する。
【0015】
圧縮機10は、内部中間型2段圧縮式ロータリコンプレッサである。圧縮機10は、第1圧縮部11および第2圧縮部12を備えている。第1圧縮部11および第2圧縮部12は、ロータリコンプレッサである。
【0016】
第1圧縮部11は、第1吸入口10aから吸入した低圧の冷媒を中間圧まで昇圧して、第1吐出口10bから第2の主配管52に吐出するものである。第2の主配管52は、第1吐出口10bと圧縮機10の第2吸入口10cとを接続するものである。第2の主配管52には、インタークーラ52aが配置されている。
【0017】
インタークーラ52aは、第1圧縮部11から吐出された冷媒を空冷するものである。インタークーラ52aによって空冷された中間圧の冷媒は、第2の主配管52を介して、第2吸入口10cから第2圧縮部12に吸入される。
【0018】
第2圧縮部12は、第2吸入口10cから吸入した中間圧の冷媒を高温高圧まで圧縮して、第2吐出口10dから第3の主配管53に吐出するものである。なお、圧縮機10は、例えばレシプロ圧縮機やスクリュー圧縮機でもよい。また、圧縮機10は、多段式でなくてもよく、この場合、インタークーラ52aは構成されない。
【0019】
第3の主配管53は、圧縮機10と、タンク21の上部に配置された流入口21aとを接続するものである。第3の主配管53には、圧縮機10側からタンク21側に向けてオイルセパレータ53a、ガスクーラ20および第1の膨張弁53bが、この順に配置されている。
【0020】
オイルセパレータ53aは、圧縮機10から吐出された冷媒に含まれるオイルを分離するものである。冷媒から分離されたオイルは、オイルセパレータ53aから、第1の副配管55を介して、圧縮機10に戻される。なお、冷凍装置1がオイルセパレータ53aを備えないようにしてもよい。
【0021】
ガスクーラ20は、圧縮機10ひいてはオイルセパレータ53aから流出した高温高圧の冷媒を冷却して凝縮する凝縮器である。ガスクーラ20の近傍には、第1送風機20aが配置されている。第1送風機20aは、ガスクーラ20を空冷するものである。第1送風機20aは、制御装置60によって制御される。本実施形態においては、ガスクーラ20およびインタークーラ52aが、並べて配置されており、共に第1送風機20aによって空冷される。
【0022】
第1の膨張弁53bは、ガスクーラ20から流出した冷媒を絞って膨張させるとともに、第1の膨張弁53bから上流側の冷媒の圧力を調整するものである。第1の膨張弁53bから流出した冷媒は、タンク21に流入口21aから流入する。
【0023】
タンク21は、所定容積の空間を内部に有する容積体である。タンク21は、タンク21よりも上流側の冷媒の圧力を調整する役割や、冷媒の単位時間当たりの流量の変動を吸収する役割を有する。また、タンク21に流入した冷媒は、気体と液体とに分離され、液体の冷媒がタンク21の底部に貯留される。タンク21の底部に貯留された液状の冷媒の温度より、タンク21の上部に滞留するガス状の冷媒の温度の方が低くなっている。
【0024】
タンク21の上部に滞留するガス状の冷媒は、第1流出口21bから第2の副配管56に流出する。第2の副配管56は、第1流出口21bと、第2の主配管52におけるインタークーラ52aと第2吸入口10cとの間に設けられた第1接続部52bとを接続するものである。第2の副配管56には、タンク21側から第1接続部52bに向けて、第2の膨張弁56aおよびスプリット熱交換器54aがこの順に配置されている。
【0025】
第2の膨張弁56aは、第1流出口21bから流出したガス状の冷媒を絞る役割、および、タンク21内の圧力を調整する役割を有する。第2の膨張弁56aから流出した冷媒は、スプリット熱交換器54aに流入する。
【0026】
スプリット熱交換器54aは、第2の副配管56を通って流入した冷媒を用いて、もう一方の配管(後述する第4の主配管54)を流れる冷媒を冷却する熱交換器である。スプリット熱交換器54aから第2の副配管56を通って流出した冷媒は、第1接続部52bから第2の主配管52に流入する。
【0027】
一方、タンク21の底部に貯留されている液状の冷媒は、第2流出口21cおよび第3流出口21dから流出する。
【0028】
第2流出口21cから流出した冷媒は、第3の副配管57を流れる。第3の副配管57は、第2の副配管56における第2の膨張弁56aとスプリット熱交換器54aとの間に設けられた第2接続部56bと、第2流出口21cとを接続するものである。第3の副配管57には、第3の膨張弁57aが配置されている。第2流出口21cから流出した冷媒は、第3の膨張弁57aによって絞られて、第2接続部56bから第2の副配管56に流入して蒸発する。
【0029】
一方、第3流出口21dから流出した冷媒は、第4の主配管54を流れる。第4の主配管54は、第2流出口21cと蒸発器40とを接続するものである。第4の主配管54には、タンク21側から蒸発器40側に向けて、スプリット熱交換器54aおよび電動膨張弁30が、この順に配置されている。
【0030】
スプリット熱交換器54aに、第4の主配管54を通って流入した冷媒は、もう一方の配管(上述した第2の副配管56)を流れる冷媒によって冷却されて、電動膨張弁30に向けて流出する。なお、冷凍装置1が、スプリット熱交換器54aを備えないようにしてもよい。この場合、冷凍装置1が、タンク21、3つの膨張弁53b,56a,57a、および、第4の主配管54を備えないようにしてもよい。またこの場合、第3の主配管53が圧縮機10と蒸発器40とを接続し、圧縮機10側から蒸発器40側に向けて、オイルセパレータ53a、ガスクーラ20、および、電動膨張弁30が、この順に配置される。
【0031】
電動膨張弁30は、スプリット熱交換器54aから流出した冷媒を絞るものである。電動膨張弁30は、蒸発器40における冷媒の過熱度が適正値となるように、その開度が制御装置60とは別の制御装置(不図示)によって制御される。この別の制御装置は、ショーケース2の内部の温度を制御するものである。
【0032】
蒸発器40は、ショーケース2の内部を冷却するものである。蒸発器40は、プレートフィンチューブ型であり、冷媒が流れるチューブ(不図示)および冷媒の熱を放出するフィン(不図示)を備えている。蒸発器40の近傍には、フィンとチューブにショーケース2内の空気を送風する第2送風機41が配置されている。第2送風機41は、上述した別の制御装置によって制御される。蒸発器40に流入した冷媒が蒸発することにより、第2送風機41によって送風された空気ひいてはショーケース2の内部が冷却される。
【0033】
蒸発器40から流出した冷媒は、第1の主配管51を介して圧縮機10に吸入される。第1の主配管51には、圧力センサ51aが配置されている。
【0034】
圧力センサ51aは、冷媒の圧力値を検出するものである。圧力センサ51aは、冷媒回路50における蒸発器40と圧縮機10との間に配置されている。この場合、圧力センサ51aは、第1の主配管51内の圧力値を検出する。圧力センサ51aの検出結果は、制御装置60に出力される。
【0035】
また、蒸発器40には、除霜装置42が配置されている。除霜装置42は、蒸発器40内の除霜を実行するものである。除霜装置42は、上述した別の制御装置によって制御される。除霜装置42は、電気ヒータ方式である。除霜装置42は、電気ヒータ(不図示)および温度センサ(不図示)を備えている。
【0036】
電気ヒータは、通電されることにより熱を発生させるものである。電気ヒータは、シーズヒータである。電気ヒータは、蒸発器40のチューブの近傍に配置されている。温度センサは、蒸発器40内の温度を検出するものである。温度センサの検出結果は、上述した別の制御装置に出力される。
【0037】
制御装置60は、冷凍装置1を総括制御するものである。制御装置60は、冷媒の流れを制御して冷却運転を行う。冷却運転が行われている場合、圧縮機10の運転が行われて、冷媒回路50を冷媒が循環する。さらに、冷却運転が行われている場合、上述した別の制御装置によって電動膨張弁30の開度および第2送風機41が制御されてショーケース2の内部が冷却される。
【0038】
また、制御装置60は、蒸発器40内の冷媒を回収する冷媒回収制御を行う。
【0039】
以下、制御装置60が行う冷媒回収制御について、
図2に示すフローチャートを用いて説明する。冷媒回収制御は、冷却運転が行われていない場合に実行される。冷却運転が行われていない場合、制御装置60によって、圧縮機10の運転が停止されている。これにより、冷媒回路50における冷媒の循環が停止する。また、冷却運転が行われていない場合、上述した別の制御装置は、電動膨張弁30を閉じるとともに、第2送風機41の駆動を停止する。
【0040】
制御装置60は、S10にて、圧力センサ51aによって検出される圧力値(以下、検出圧力値と記載する。)が、第1所定圧力値以上であるか否かを判定する。
【0041】
第1所定圧力値は、冷却運転が行われている場合における検出圧力値の範囲より高い値に設定されている。具体的には、第1所定圧力値は、冷媒が冷媒回路50を循環してショーケース2の内部が正常に冷却されている場合における検出圧力値より、高い圧力値に設定されている。さらに、第1所定圧力値は、蒸発器40が故障する可能性がある圧力値よりも低い圧力値に設定されている。
【0042】
検出圧力値が第1所定圧力値より低い場合、制御装置60は、S10にてNOと判定し、S10を繰り返し実行する。この場合、圧縮機10の運転が停止している状態が継続される。
【0043】
冷却運転が停止されているときに外気温が上昇した場合、蒸発器40内の温度が上昇する。また冷却運転が停止されて除霜運転が行われている場合には電気ヒータが通電されるため、蒸発器40内の温度が上昇する。この温度上昇によって冷媒が蒸発するため、冷媒の圧力ひいては検出圧力値が上昇する。
【0044】
これにより、検出圧力値が第1所定圧力値以上となった場合、制御装置60はS10にてYESと判定し、S11にて圧縮機10の運転を開始する。圧縮機10の運転が開始されると、蒸発器40内の冷媒が第1の主配管51に流出する。このとき、上述したように、電動膨張弁30が閉じられているため、冷媒が蒸発器40に流入しない。よって、蒸発器40内の冷媒が、冷媒回路50における蒸発器40より圧縮機10側(下流側)に回収される。このように、圧縮機10の運転によって、蒸発器40内の冷媒が回収される。
【0045】
続けて、制御装置60は、S12にて、検出圧力値が第2所定圧力値以下であるか否かを判定する。第2所定圧力値は、第1所定圧力値よりも低い圧力値に設定されている。また、第2所定圧力値は、冷却運転が行われている場合における検出圧力値の範囲より高い値に設定されている。
【0046】
検出圧力値が第2所定圧力値より高い場合、制御装置60は、S12にてNOと判定し、S12を繰り返し実行する。この場合、圧縮機10の運転が継続される。
【0047】
圧縮機10の運転によって蒸発器40内の冷媒が回収されることにより、蒸発器40内の冷媒の量が少なくなる。このため、冷媒の圧力ひいては検出圧力値が低下する。これにより、検出圧力値が第2所定圧力値以下となった場合、制御装置60は、S12にてYESと判定し、S13にて圧縮機10の運転を停止する。圧縮機10の運転が停止されると、蒸発器40内の冷媒の回収が停止される。続けて、制御装置60は、プログラムをS10に戻す。
【0048】
このように、制御装置60は、冷却運転が行われていない場合、検出圧力値に基づいて圧縮機10の運転を制御して、蒸発器40内の冷媒の回収を開始または停止する。
【0049】
上述した実施形態の冷凍装置1は、圧縮機10、ガスクーラ20、電動膨張弁30および蒸発器40の順に冷媒が循環する冷媒回路50を用いて冷却運転を行う冷凍装置である。冷媒の圧力値を検出する圧力センサ51aと、冷媒の流れを制御する制御装置60と、を備えている。制御装置60は、冷却運転が行われていない場合において、圧力センサ51aによって検出される冷媒の圧力値が第1所定圧力値以上となったとき、蒸発器40内の冷媒の回収を開始し、第1所定圧力値は、冷却運転が行われている場合において圧力センサ51aによって検出される圧力値の範囲より高い値に設定されている。
【0050】
これによれば、冷凍装置1は、冷却運転が行われていない場合に、蒸発器40内の圧力を抑制できる。また、冷媒の圧力値が第1所定圧力値よりも低い場合は、冷媒の回収を開始しないため、圧縮機10を駆動させるエネルギや時間を抑制できる。
【0051】
また、制御装置60は、蒸発器40内の冷媒の回収が実行されている場合において、圧力センサ51aによって検出される冷媒の圧力値が第1所定圧力値より低い第2所定圧力値以下となったとき、蒸発器40内の冷媒の回収を停止する。
【0052】
これによれば、冷媒の回収が開始された後、冷媒の圧力値が第2所定圧力値以下となったときに圧縮機10の運転が停止される。このため、圧縮機10を駆動させるエネルギや時間をさらに抑制できる。
【0053】
以上、一つまたは複数の態様に係る冷凍装置1について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0054】
上述した実施形態では冷凍装置1は、バルブ54bを備えるように構成してもよい。バルブ54bは、冷媒回路50におけるガスクーラ20と蒸発器40との間に配置され、開状態である場合に冷媒の流れを許容し、閉状態である場合に冷媒の流れを規制するものである。バルブ54bは、具体的には、冷媒回路50におけるスプリット熱交換器54aと電動膨張弁30との間に配置されている。制御装置60は、冷却運転が停止されている場合においてバルブ54bを閉状態にする。
【0055】
これによれば、バルブ54bが閉状態になることにより、蒸発器40にガスクーラ20側から冷媒が流入することが確実に規制される。よって、冷媒回収制御において、圧縮機10の運転により、蒸発器40内の冷媒が確実に回収される。
【0056】
また、上述した実施形態の電動膨張弁30をキャピラリチューブに変更してもよい。
【0057】
また、上述した実施形態では、圧力センサ51aは、冷媒回路50における蒸発器40と圧縮機10との間に配置されているが、これに代えて、冷媒回路50における他の部位に配置してもよい。また、圧力センサ51aを蒸発器40内に配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、冷凍装置に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 冷凍装置
10 圧縮機
20 ガスクーラ(凝縮器)
30 電動膨張弁(膨張装置)
40 蒸発器
42 除霜装置
50 冷媒回路
51a 圧力センサ
54b バルブ
60 制御装置