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特許7482441情報処理方法、制御方法及び情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】情報処理方法、制御方法及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240507BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20240507BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240507BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240507BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240507BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20240507BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20240507BHJP
   B60L 58/16 20190101ALI20240507BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
H02J7/00 P
H01M10/42 P
H01M10/48 P
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/66
B60L58/16
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020117638
(22)【出願日】2020-07-08
(65)【公開番号】P2022015038
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】西原 恵司
(72)【発明者】
【氏名】工藤 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】橋本 誠
(72)【発明者】
【氏名】鷹尾 宏
(72)【発明者】
【氏名】嶽肩 正顕
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-072490(JP,A)
【文献】特許第6066330(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 10/42
H01M 10/48
B60L 3/00
B60L 50/60
B60L 53/14
B60L 53/66
B60L 58/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
電動の移動体の車体にかかる負荷に関する第1データを取得し、
前記移動体に搭載される電池の稼動に関する第2データを取得し、
前記第1データに基づいて前記車体の残寿命を算出し、
前記第2データに基づいて前記電池の残寿命を算出し、
前記車体の残寿命と前記電池の残寿命とを比較し、
前記車体の残寿命が前記電池の残寿命より短い場合、前記移動体における電力を用いる複数の機能のうちの使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を指示する、
情報処理方法。
【請求項2】
指示において、使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を提示装置に提示させ、提示に対する応答に基づいて起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方を決定し、決定した機能の起動及び決定した機能の性能の向上の少なくとも一方を指示する、
請求項1記載の情報処理方法。
【請求項3】
提示において、前記移動体の種別、前記移動体の利用形態の種別、及び前記移動体の利用実績の少なくとも1つを取得し、取得した前記移動体の種別、前記利用形態の種別、及び前記利用実績の少なくとも1つにしたがって起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方の候補を決定し、決定した前記候補を前記提示装置に提示させる、
請求項2記載の情報処理方法。
【請求項4】
提示において、前記電池の残寿命と前記車体の残寿命との差分を算出し、前記差分にしたがって起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方の候補を決定し、決定した前記候補を前記提示装置に提示させる、
請求項2又は3記載の情報処理方法。
【請求項5】
提示において、前記移動体の種別、前記移動体の利用形態の種別、及び前記移動体の利用実績の少なくとも1つを取得し、取得した前記移動体の種別、前記利用形態の種別、及び前記利用実績の少なくとも1つにしたがって起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方の提示の優先度を決定し、決定した前記優先度にしたがって使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を前記提示装置に提示させる、
請求項2~4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
指示において、前記電池の残寿命と前記車体の残寿命との差分を算出し、前記差分にしたがって起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方を決定し、決定した機能の起動及び決定した機能の性能の向上の少なくとも一方を指示する、
請求項1記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記車体の残寿命及び前記電池の残寿命は、前記移動体が走行可能な残走行距離で表される、
請求項1~6のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記機能は、前記移動体における走行制御機能を含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記機能は、前記移動体における視認補助機能を含む、
請求項1~8のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記機能は、前記移動体における空間制御機能を含む、
請求項1~9のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記機能は、前記移動体の外部への給電機能を含む、
請求項1~10のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記機能は、前記移動体における通信機能、又は前記通信機能を用いた外部連携機能を含む、
請求項1~11のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記第1データは、前記移動体の走行距離及び前記移動体が受ける衝撃の少なくとも一方を含み、
前記車体の残寿命の算出において、前記移動体の統計的な寿命と、前記移動体の走行距離及び前記移動体が受ける衝撃の少なくとも一方とに基づいて、前記車体の残寿命を算出する、
請求項1~12のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記第2データは、前記電池の充電、放電、充電容量、及び温度の少なくとも1つの履歴を含み、
前記電池の残寿命の算出において、前記電池の寿命と、前記電池の履歴から算出される前記電池の劣化度とに基づいて、前記電池の残寿命を算出する、
請求項1~13のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項15】
電動の移動体に搭載される制御装置であって、
前記移動体の車体にかかる負荷に関する第1データを送信し、前記移動体に搭載される電池の稼動に関する第2データを送信し、前記第1データに基づいて算出される前記車体の残寿命が、前記第2データに基づいて算出される前記電池の残寿命より短い場合、前記移動体における電力を用いる複数の機能のうちの使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を指示する通知を受信する通信部と、
受信した前記通知にしたがって、使用していない前記機能の起動及び使用している前記機能の性能の向上の少なくとも一方を実行する制御部と、
を備える制御装置。
【請求項16】
電動の移動体の車体にかかる負荷に関する第1データを取得する第1データ取得部と、
前記移動体に搭載される電池の稼動に関する第2データを取得する第2データ取得部と、
前記第1データに基づいて前記車体の残寿命を算出する車体残寿命算出部と、
前記第2データに基づいて前記電池の残寿命を算出する電池残寿命算出部と、
前記車体の残寿命と前記電池の残寿命とを比較する比較部と、
前記車体の残寿命が前記電池の残寿命より短い場合、前記移動体における電力を用いる複数の機能のうちの使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を指示する指示部と、
を備える情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動の移動体の車体の残寿命と、移動体に搭載された電池残寿命とを管理する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、二次電池を搭載した車両が普及している。そして、車両の寿命と、車両に搭載された二次電池の寿命とを予測するシステムが開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1に示す再利用二次電池供給予測システムは、車両に搭載された二次電池の性能情報および車両の状態情報を受信する通信部と、車両の状態情報の履歴を用いてその車両の寿命を予測し、二次電池の性能情報の履歴を用いて、その車両の寿命時の二次電池の性能を予測する電池性能予測部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6066330号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、移動体の電池の残寿命と移動体の車体の残寿命との差に起因して問題が生じるおそれがあった。
【0006】
本開示は、上記の問題を解決するためになされたもので、移動体の電池の残寿命を移動体の車体の残寿命に近づけることができる技術を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、電動の移動体の車体にかかる負荷に関する第1データを取得し、前記移動体に搭載される電池の稼動に関する第2データを取得し、前記第1データに基づいて前記車体の残寿命を算出し、前記第2データに基づいて前記電池の残寿命を算出し、前記車体の残寿命と前記電池の残寿命とを比較し、前記車体の残寿命が前記電池の残寿命より短い場合、前記移動体における電力を用いる複数の機能のうちの使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を指示する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、移動体の電池の残寿命を移動体の車体の残寿命に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施の形態1における情報処理システムの全体構成を示す図である。
図2】本開示の実施の形態1における移動体の構成の一例を示す図である。
図3】本開示の実施の形態1におけるサーバの構成の一例を示す図である。
図4】本開示の実施の形態1における情報端末の構成の一例を示す図である。
図5】本開示の実施の形態1における電池残寿命を算出する処理を説明するためのフローチャートである。
図6】本開示の実施の形態1における車体残寿命を算出する処理を説明するためのフローチャートである。
図7】本開示の実施の形態1における複数の機能それぞれの寿命短縮効果を推定する処理を説明するためのフローチャートである。
図8】本開示の実施の形態1における車体残寿命と電池残寿命とを比較する処理を説明するための第1のフローチャートである。
図9】本開示の実施の形態1における車体残寿命と電池残寿命とを比較する処理を説明するための第2のフローチャートである。
図10】本開示の実施の形態1における機能提示情報の一例を示す図である。
図11】本開示の実施の形態1の変形例1における機能提示情報の一例を示す図である。
図12】本開示の実施の形態1の変形例2における機能提示情報の一例を示す図である。
図13】本開示の実施の形態2における情報処理システムの全体構成を示す図である。
図14】本開示の実施の形態2におけるサーバの構成の一例を示す図である。
図15】本開示の実施の形態2における車体残寿命と電池残寿命とを比較する処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見)
車両の寿命が、車両に搭載された二次電池の寿命より短い場合、二次電池が充分に使用可能であるにも拘わらず、車両とともに二次電池が廃棄されてしまうおそれがある。そこで、二次電池の残寿命を車両の残寿命に近づけるように車両が制御されることにより、二次電池が無駄に廃棄されないようにすることが可能である。
【0011】
しかしながら、上記の従来技術では、いつ、どの程度の性能の再利用可能な二次電池が、どの程度の量供給されるのかを予測することを目的としている。そのため、上記の従来技術では、車両の残寿命が二次電池の残寿命よりも短いと予測された場合に、二次電池の残寿命を車両の残寿命に近づけるように車両を制御することについては考慮されていない。
【0012】
以上の課題を解決するために、本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、電動の移動体の車体にかかる負荷に関する第1データを取得し、前記移動体に搭載される電池の稼動に関する第2データを取得し、前記第1データに基づいて前記車体の残寿命を算出し、前記第2データに基づいて前記電池の残寿命を算出し、前記車体の残寿命と前記電池の残寿命とを比較し、前記車体の残寿命が前記電池の残寿命より短い場合、前記移動体における電力を用いる複数の機能のうちの使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を指示する。
【0013】
この構成によれば、車体の残寿命が電池の残寿命より短い場合、移動体における電力を用いる複数の機能のうちの使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方が指示される。したがって、移動体の電池の残寿命を移動体の車体の残寿命に近づけることができる。その結果、寿命が残っている電池が、寿命がなくなった車体とともに廃棄されるのを防止することができる。また、使用していない機能が起動されること、又は使用している機能の性能が向上されることにより、運転者の利便性を向上させることができる。言い換えると、移動体の電池の寿命を有効的に消費しながら移動体の電池の残寿命を移動体の車体の残寿命に近づけることができる。
【0014】
また、上記の情報処理方法において、指示において、使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を提示装置に提示させ、提示に対する応答に基づいて起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方を決定し、決定した機能の起動及び決定した機能の性能の向上の少なくとも一方を指示してもよい。
【0015】
この構成によれば、使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方が提示装置によって提示される。したがって、移動体の管理者は、起動する所望の機能及び性能を向上させる所望の機能の少なくとも一方を選択することができる。
【0016】
また、上記の情報処理方法において、提示において、前記移動体の種別、前記移動体の利用形態の種別、及び前記移動体の利用実績の少なくとも1つを取得し、取得した前記移動体の種別、前記利用形態の種別、及び前記利用実績の少なくとも1つにしたがって起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方の候補を決定し、決定した前記候補を前記提示装置に提示させてもよい。
【0017】
この構成によれば、移動体の種別ごとに、起動する機能又は性能を向上させる機能の候補を異ならせることができる。そのため、移動体の種別に適した電池の寿命の消費が可能となる。また、移動体の利用形態の種別ごとに、起動する機能又は性能を向上させる機能の候補を異ならせることができる。そのため、利用形態の種別に適した電池の寿命の消費が可能となる。また、移動体の利用実績ごとに、起動する機能又は性能を向上させる機能の候補を異ならせることができる。そのため、実際の利用に適した電池の寿命の消費が可能となる。
【0018】
また、上記の情報処理方法において、提示において、前記電池の残寿命と前記車体の残寿命との差分を算出し、前記差分にしたがって起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方の候補を決定し、決定した前記候補を前記提示装置に提示させてもよい。
【0019】
この構成によれば、使用していない機能を起動したことにより短縮される電池の残寿命、及び使用している機能の性能を向上したことにより短縮される電池の残寿命の少なくとも一方が、電池の残寿命と車体の残寿命との差分を超えないように、起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方の候補を決定することができる。言い換えると、電池の寿命の消費を促進させすぎることを抑制できる。
【0020】
また、上記の情報処理方法において、提示において、前記移動体の種別、前記移動体の利用形態の種別、及び前記移動体の利用実績の少なくとも1つを取得し、取得した前記移動体の種別、前記利用形態の種別、及び前記利用実績の少なくとも1つにしたがって起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方の提示の優先度を決定し、決定した前記優先度にしたがって使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を前記提示装置に提示させてもよい。
【0021】
この構成によれば、移動体の種別、移動体の利用形態の種別、及び移動体の利用実績の少なくとも1つにしたがって起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方の提示の優先度が決定される。したがって、例えば、起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方が優先度の高い順に提示されることにより、管理者は、起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方を容易に選択することができる。
【0022】
また、上記の情報処理方法において、指示において、前記電池の残寿命と前記車体の残寿命との差分を算出し、前記差分にしたがって起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方を決定し、決定した機能の起動及び決定した機能の性能の向上の少なくとも一方を指示してもよい。
【0023】
この構成によれば、起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方が自動的に指示されるので、移動体は、指示された機能の起動及び指示された機能の性能の向上の少なくとも一方を自動的に実行することができる。
【0024】
また、上記の情報処理方法において、前記車体の残寿命及び前記電池の残寿命は、前記移動体が走行可能な残走行距離で表されてもよい。
【0025】
この構成によれば、車体の残寿命及び電池の残寿命は、移動体が走行可能な残走行距離で表されるので、車体の残寿命と電池の残寿命とを容易に比較することができる。
【0026】
また、上記の情報処理方法において、前記機能は、前記移動体における走行制御機能を含んでもよい。
【0027】
この構成によれば、移動体において、使用していない走行制御機能を起動させることができるとともに、使用している走行制御機能の性能を向上させることができ、運転者の利便性を向上させることができる。
【0028】
また、上記の情報処理方法において、前記機能は、前記移動体における視認補助機能を含んでもよい。
【0029】
この構成によれば、移動体において、使用していない視認補助機能を起動させることができるとともに、使用している視認補助機能の性能を向上させることができ、運転者の利便性を向上させることができる。
【0030】
また、上記の情報処理方法において、前記機能は、前記移動体における空間制御機能を含んでもよい。
【0031】
この構成によれば、移動体において、使用していない空間制御機能を起動させることができるとともに、使用している空間制御機能の性能を向上させることができ、運転者の利便性を向上させることができる。
【0032】
また、上記の情報処理方法において、前記機能は、前記移動体の外部への給電機能を含んでもよい。
【0033】
この構成によれば、移動体において、使用していない外部への給電機能を起動させることができ、運転者の利便性を向上させることができる。
【0034】
また、上記の情報処理方法において、前記機能は、前記移動体における通信機能、又は前記通信機能を用いた外部連携機能を含んでもよい。
【0035】
この構成によれば、移動体において、使用していない通信機能、又は通信機能を用いた外部連携機能を起動させることができ、運転者の利便性を向上させることができる。
【0036】
また、上記の情報処理方法において、前記第1データは、前記移動体の走行距離及び前記移動体が受ける衝撃の少なくとも一方を含み、前記車体の残寿命の算出において、前記移動体の統計的な寿命と、前記移動体の走行距離及び前記移動体が受ける衝撃の少なくとも一方とに基づいて、前記車体の残寿命を算出してもよい。
【0037】
この構成によれば、移動体の走行距離及び移動体が受ける衝撃の少なくとも一方が取得されることにより、車体の残寿命をより正確に算出することができる。
【0038】
また、上記の情報処理方法において、前記第2データは、前記電池の充電、放電、充電容量、及び温度の少なくとも1つの履歴を含み、前記電池の残寿命の算出において、前記電池の寿命と、前記電池の履歴から算出される前記電池の劣化度とに基づいて、前記電池の残寿命を算出してもよい。
【0039】
この構成によれば、電池の充電劣化、放電劣化、保存劣化に関わる電池の充電、放電、充電容量、及び温度の少なくとも1つの履歴が取得されることにより、電池の残寿命をより正確に算出することができる。
【0040】
本開示の他の態様に係る制御装置は、電動の移動体に搭載される制御装置であって、前記移動体の車体にかかる負荷に関する第1データを送信し、前記移動体に搭載される電池の稼動に関する第2データを送信し、前記第1データに基づいて算出される前記車体の残寿命が、前記第2データに基づいて算出される前記電池の残寿命より短い場合、前記移動体における電力を用いる複数の機能のうちの使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を指示する通知を受信する通信部と、受信した前記通知にしたがって、使用していない前記機能の起動及び使用している前記機能の性能の向上の少なくとも一方を実行する制御部と、を備える。
【0041】
この構成によれば、車体の残寿命が電池の残寿命より短い場合、移動体における電力を用いる複数の機能のうちの使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を指示する通知が受信される。そして、受信された通知にしたがって、使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方が実行される。したがって、移動体の電池の残寿命を移動体の車体の残寿命に近づけることができる。その結果、寿命が残っている電池が、寿命がなくなった車体とともに廃棄されるのを防止することができる。また、使用していない機能が起動されること、又は使用している機能の性能が向上されることにより、運転者の利便性を向上させることができる。言い換えると、移動体の電池の寿命を有効的に消費しながら移動体の電池の残寿命を移動体の車体の残寿命に近づけることができる。
【0042】
本開示の他の態様に係る情報処理システムは、電動の移動体の車体にかかる負荷に関する第1データを取得する第1データ取得部と、前記移動体に搭載される電池の稼動に関する第2データを取得する第2データ取得部と、前記第1データに基づいて前記車体の残寿命を算出する車体残寿命算出部と、前記第2データに基づいて前記電池の残寿命を算出する電池残寿命算出部と、前記車体の残寿命と前記電池の残寿命とを比較する比較部と、前記車体の残寿命が前記電池の残寿命より短い場合、前記移動体における電力を用いる複数の機能のうちの使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を指示する指示部と、を備える。
【0043】
この構成によれば、車体の残寿命が電池の残寿命より短い場合、移動体における電力を用いる複数の機能のうちの使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方が指示される。したがって、移動体の電池の残寿命を移動体の車体の残寿命に近づけることができる。その結果、寿命が残っている電池が、寿命がなくなった車体とともに廃棄されるのを防止することができる。また、使用していない機能が起動されること、又は使用している機能の性能が向上されることにより、運転者の利便性を向上させることができる。言い換えると、移動体の電池の寿命を有効的に消費しながら移動体の電池の残寿命を移動体の車体の残寿命に近づけることができる。
【0044】
以下添付図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0045】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1における情報処理システムの全体構成を示す図である。
【0046】
図1に示す情報処理システムは、移動体1、サーバ2及び情報端末3を備える。
【0047】
移動体1は、例えば、電動キックボード(電動スクータ)、電動自転車、ドローンなどの無人飛行体、掃除ロボット、又は電動自動車であり、蓄電池に充電された電力を電気モータへ供給することで移動する。移動体1は、個人のユーザにより使用されたり、複数のユーザによりシェアされたり、ある企業の複数の社員によりシェアされたりする。特に、電動キックボードは、車体の寿命が蓄電池の寿命よりも短い傾向にある。
【0048】
移動体1は、サーバ2とネットワーク4を介して互いに通信可能に接続されている。ネットワーク4は、例えばインターネットである。
【0049】
サーバ2は、例えば、Webサーバである。サーバ2は、移動体1及び情報端末3から種々の情報を受信するとともに、移動体1及び情報端末3へ種々の情報を送信する。サーバ2は、移動体1の車体又は筐体の残寿命を算出するとともに、電池の残寿命を算出する。そして、サーバ2は、車体又は筐体の残寿命と電池の残寿命とを比較し、車体又は筐体の残寿命が電池の残寿命より短い場合、移動体1における電力を用いる複数の機能のうちの使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を指示する。
【0050】
情報端末3は、例えば、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、パーソナルコンピュータ、又は移動体1に搭載された端末であり、移動体1の管理者により利用される。移動体1が個人のユーザに利用される場合、個人のユーザが移動体1の管理者である。また、移動体1が複数のユーザにシェアされる場合、移動体1のシェアサービスを運営する会社の者が移動体1の管理者である。また、移動体1がある企業の複数の社員にシェアされる場合、ある企業の者が移動体1の管理者である。情報端末3は、サーバ2とネットワーク4を介して互いに通信可能に接続されている。
【0051】
図2は、本開示の実施の形態1における移動体の構成の一例を示す図である。
【0052】
移動体1は、運転操作部11、駆動部12、前照灯13、蓄電池14、プロセッサ15、電池筐体振動センサ16、車体振動センサ17、メモリ18及び通信部19を備える。
【0053】
運転操作部11は、運転者による移動体1の運転操作を受け付ける。運転操作部11は、例えば、アクセルグリップを含む。運転操作部11は、アクセルグリップが運転者により回されると、アクセルグリップのアクセル開度を検出し、検出したアクセル開度を含む加速要求をプロセッサ15へ出力する。
【0054】
駆動部12は、例えば、インバータ、電気モータ及びトランスミッションであり、運転制御部151による制御に従って、移動体1を移動させる。
【0055】
前照灯13は、移動体1の前面に取り付けられており、移動体1の前方を照明する。
【0056】
蓄電池14は、例えば、リチウムイオン二次電池であり、充電により電力を蓄えるとともに、放電により電力を駆動部12へ供給する。蓄電池14は、電池の一例である。
【0057】
電池筐体振動センサ16は、蓄電池14の筐体に設けられる。電池筐体振動センサ16は、蓄電池14の機械的負荷を測定する。電池筐体振動センサ16は、例えば、蓄電池14の筐体の振動回数を測定する。電池筐体振動センサ16は、測定した蓄電池14の筐体の振動回数をメモリ18に記憶する。
【0058】
車体振動センサ17は、移動体1の車体に設けられる。車体振動センサ17は、移動体1の車体の機械的負荷を測定する。車体振動センサ17は、例えば、移動体1の車体の振動回数を測定する。車体振動センサ17は、測定した移動体1の車体の振動回数をメモリ18に記憶する。
【0059】
プロセッサ15は、例えば、中央演算処理装置(CPU)であり、移動体1全体を制御する。プロセッサ15により、運転制御部151、照明制御部152、電池状態取得部153、車体負荷送信制御部154、電池負荷送信制御部155、及び消費電力実測値測定部156が実現される。
【0060】
運転制御部151は、運転操作部11による運転者の運転操作に応じて駆動部12を制御し、移動体1を移動させる。運転制御部151は、運転操作部11からの加速要求に基づいて、目標速度及び目標速度に達するまでの加速時間を算出し、算出した目標速度及び加速時間に応じて移動体1を加速させる。
【0061】
照明制御部152は、前照灯13の輝度を制御する。通常時においては、照明制御部152は、前照灯13の輝度を、予め決められている基準輝度に設定する。
【0062】
電池状態取得部153は、蓄電池14の充放電回数をメモリ18から取得する。例えば、容量が0%の状態から100%の状態に充電された場合、充放電回数は1回とカウントされる。また、例えば、容量が20%の状態から60%の状態に充電された場合、充放電回数は0.4回とカウントされる。
【0063】
なお、本実施の形態1において、電池状態取得部153は、サーバ2において蓄電池14の残寿命を算出するために、充放電回数を取得しているが、本開示は特にこれに限定されない。電池状態取得部153は、蓄電池14の残寿命を算出するために必要な蓄電池14の稼動に関する種々の情報を取得してもよい。例えば、電池状態取得部153は、蓄電池14のSOC(State Of Charge)、SOH(State Of Health)、温度又は総放電量を取得してもよい。
【0064】
車体負荷送信制御部154は、電動の移動体1の車体にかかる負荷に関する車体負荷データ(第1データ)を、通信部19を介してサーバ2へ送信する。車体負荷データは、例えば、車体振動センサ17によって測定された移動体1の車体の振動回数を含む。車体負荷送信制御部154は、移動体1の車体の振動回数をメモリ18から取得する。
【0065】
電池負荷送信制御部155は、移動体1搭載される蓄電池(電池)14の稼動に関する電池負荷データ(第2データ)を、通信部19を介してサーバ2へ送信する。電池負荷データは、電池筐体振動センサ16によって測定された蓄電池14の筐体の振動回数と、電池状態取得部153によって取得された蓄電池14の充放電回数とを含む。電池負荷送信制御部155は、蓄電池14の筐体の振動回数をメモリ18から取得する。
【0066】
メモリ18は、例えば、Random Access Memory(RAM)、Solid State Drive(SSD)又はフラッシュメモリ等の各種情報を記憶可能な記憶装置である。
【0067】
通信部19は、移動体1の車体にかかる負荷に関する車体負荷データ(第1データ)をサーバ2へ送信する。また、通信部19は、移動体1搭載される蓄電池(電池)14の稼動に関する電池負荷データ(第2データ)をサーバ2へ送信する。
【0068】
通信部19は、車体負荷データ(第1データ)に基づいて算出される車体の残寿命が、電池負荷データ(第2データ)に基づいて算出される蓄電池(電池)14の残寿命より短い場合、移動体1における電力を用いる複数の機能のうちの使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を指示する通知を受信する。
【0069】
運転制御部151は、通信部19によって受信された通知にしたがって、使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を実行する。
【0070】
ここで、移動体1における電力を用いる機能について説明する。
【0071】
機能は、移動体1における走行制御機能を含む。走行制御機能は、例えば、加速制御機能、静粛性制御機能、及び運転支援制御機能を含む。使用している加速制御機能の性能の向上を指示する通知が受信された場合、運転制御部151は、使用している加速制御機能の性能を向上させる。例えば、運転制御部151は、目標速度をより速くすること及び加速時間をより短くすることの少なくとも一方により、移動体1の加速制御機能の性能を向上させる。
【0072】
また、使用していない静粛性制御機能の起動を指示する通知が受信された場合、運転制御部151は、使用していない静粛性制御機能を起動させる。例えば、運転制御部151は、アクティブサスペンション制御機能を起動することにより、移動体1の静粛性制御機能を起動させる。
【0073】
また、使用していない運転支援制御機能の起動を指示する通知が受信された場合、運転制御部151は、使用していない運転支援制御機能を起動させる。例えば、運転制御部151は、オートクルーズ制御機能を起動することにより、移動体1の運転支援制御機能を起動させる。
【0074】
また、機能は、移動体1における視認補助機能を含む。視認補助機能は、例えば、輝度制御機能、曇り防止機能、及び解氷機能を含む。使用している輝度制御機能の性能の向上を指示する通知が受信された場合、運転制御部151は、使用している輝度制御機能の性能を向上させる。例えば、運転制御部151は、前照灯13の輝度を基準輝度よりも高くすることにより、移動体1の輝度制御機能の性能を向上させる。
【0075】
また、使用していない曇り防止機能の起動を指示する通知が受信された場合、運転制御部151は、使用していない曇り防止機能を起動させる。例えば、運転制御部151は、曇っているフロントガラスに空調機器で除湿された空気を送風することにより、移動体1の曇り防止機能を起動させる。
【0076】
また、使用していない解氷機能の起動を指示する通知が受信された場合、運転制御部151は、使用していない解氷機能を起動させる。例えば、運転制御部151は、凍結しているフロントガラスに空調機器で除湿された空気を送風することにより、移動体1の解氷機能を起動させる。
【0077】
また、機能は、移動体1における空間制御機能を含む。空間制御機能は、例えば、冷房機能、暖房機能、加湿機能、除湿機能、及び空気清浄機能を含む。電動自動車が、主に空間制御機能を有している。使用していない冷房機能、暖房機能、加湿機能、除湿機能、及び空気清浄機能のいずれかの起動を指示する通知が受信された場合、運転制御部151は、使用していない冷房機能、暖房機能、加湿機能、除湿機能、及び空気清浄機能のいずれかを起動させる。
【0078】
また、使用している冷房機能、暖房機能、加湿機能、除湿機能、及び空気清浄機能のいずれかの性能の向上を指示する通知が受信された場合、運転制御部151は、使用している冷房機能、暖房機能、加湿機能、除湿機能、及び空気清浄機能のいずれかの性能を向上させる。
【0079】
また、機能は、移動体1の外部への給電機能を含む。使用していない外部への給電機能の起動を指示する通知が受信された場合、運転制御部151は、使用していない外部への給電機能を起動させる。例えば、運転制御部151は、移動体1に設けられたUSB(Universal Serial Bus)ポートに給電することにより、移動体1の外部への給電機能を起動させる。
【0080】
また、機能は、移動体1における通信機能、又は通信機能を用いた外部連携機能を含む。使用していない通信機能の起動を指示する通知が受信された場合、運転制御部151は、使用していない通信機能を起動させる。例えば、運転制御部151は、無線通信による移動体1と外部機器との通信を許可することにより、移動体1の通信機能を起動させる。
【0081】
また、使用していない通信機能を用いた外部連携機能の起動を指示する通知が受信された場合、運転制御部151は、使用していない通信機能を用いた外部連携機能を起動させる。例えば、運転制御部151は、無線通信による移動体1と外部機器との通信を許可し、移動体1と外部機器とを連携して動作させることにより、移動体1の通信機能を用いた外部連携機能を起動させる。例えば、外部機器がドアホンである場合、ドアホンは、撮影した画像を移動体1へ送信し、運転制御部151は、受信した画像を不図示のディスプレイに表示する。
【0082】
消費電力実測値測定部156は、移動体1における電力を用いる複数の機能のうちの使用していない機能が起動された場合の消費電力を測定する。また、消費電力実測値測定部156は、移動体1における電力を用いる複数の機能のうちの使用している機能の性能が向上された場合の消費電力を測定する。
【0083】
例えば、消費電力実測値測定部156は、移動体1の使用している加速制御機能の性能を実際に向上させ、移動体1を加速させた際の消費電力を測定する。なお、消費電力実測値測定部156は、移動体1の加速制御機能の性能を向上させる前の消費電力を測定するとともに、移動体1の加速制御機能の性能を向上させた後の消費電力を測定してもよい。そして、消費電力実測値測定部156は、移動体1の加速制御機能の性能を向上させた後の消費電力と、移動体1の加速制御機能の性能を向上させる前の消費電力との差分を算出してもよい。
【0084】
また、例えば、消費電力実測値測定部156は、移動体1の使用していない静粛性制御機能を起動させ、静粛性制御機能を動作させた際の消費電力を測定する。なお、消費電力実測値測定部156は、移動体1の静粛性制御機能を起動させる前の消費電力を測定するとともに、移動体1の静粛性制御機能を起動させた後の消費電力を測定してもよい。そして、消費電力実測値測定部156は、移動体1の静粛性制御機能を起動させた後の消費電力と、移動体1の静粛性制御機能を起動させる前の消費電力との差分を算出してもよい。
【0085】
通信部19は、消費電力実測値測定部156によって測定された各機能の消費電力実測値をサーバ2へ送信する。
【0086】
図3は、本開示の実施の形態1におけるサーバの構成の一例を示す図である。
【0087】
図3に示すサーバ2は、通信部21、プロセッサ22及びメモリ23を備える。
【0088】
通信部21は、移動体1によって送信された車体負荷データを受信する。通信部21は、移動体1によって送信された電池負荷データを受信する。通信部21は、移動体1によって送信された各機能の消費電力実測値を受信する。
【0089】
メモリ23は、例えば、RAM、HDD(Hard Disk Drive)、SSD又はフラッシュメモリ等の各種情報を記憶可能な記憶装置である。メモリ23により、充放電履歴記憶部231、電池機械的負荷履歴記憶部232、化学的電池残寿命記憶部233、機械的電池残寿命記憶部234、電池残寿命記憶部235、移動体基本情報記憶部236、車体初期寿命記憶部237、車体機械的負荷履歴記憶部238、車体残寿命記憶部239、消費電力記憶部240、消費電力実測値記憶部241及び寿命短縮効果記憶部242が実現される。
【0090】
充放電履歴記憶部231は、移動体1の蓄電池14の充放電履歴を記憶する。充放電履歴記憶部231は、移動体1の蓄電池14の充放電回数の履歴を記憶する。
【0091】
なお、本実施の形態1において、充放電履歴記憶部231は、蓄電池14の残寿命を算出するために、充放電回数の履歴を記憶しているが、本開示は特にこれに限定されず、蓄電池14の残寿命を算出するために必要な蓄電池14の稼動に関する種々の情報を記憶してもよい。例えば、充放電履歴記憶部231は、蓄電池14のSOC、SOH、温度又は総放電量を記憶してもよい。また、上記履歴は、充電又は放電される電流を計測することにより生成されてもよく、電池のSOC及びOCV(Open Circuit Voltage)特性の計測により生成されてもよい。
【0092】
電池機械的負荷履歴記憶部232は、移動体1の蓄電池14の機械的負荷の履歴を記憶する。機械的負荷は、例えば、移動体1の蓄電池14の筐体の振動回数である。電池機械的負荷履歴記憶部232は、移動体1の蓄電池14の筐体の振動回数の履歴を記憶する。
【0093】
化学的電池残寿命記憶部233は、蓄電池14の充放電履歴に基づいて算出された化学的電池残寿命を記憶する。
【0094】
機械的電池残寿命記憶部234は、蓄電池14の機械的負荷に基づいて算出された機械的電池残寿命を記憶する。
【0095】
電池残寿命記憶部235は、蓄電池14の残寿命を示す電池残寿命を記憶する。
【0096】
移動体基本情報記憶部236は、移動体1の種別、移動体1の利用形態の種別、及び移動体1の利用実績を含む移動体基本情報を記憶する。移動体1の種別は、移動体1が電動キックボード、電動自転車又は電動自動車のいずれであるかを示す情報である。移動体1の利用形態の種別は、移動体1が個人のユーザに使用されるのか、複数のユーザによりシェアされるのか、ある企業の複数の社員によりシェアされるのかを示す情報である。移動体1の利用実績は、移動体1が使用される地域又は国を示す情報である。道路状態は、地域又は国によって異なる。そのため、移動体1がどの地域又は国で使用されるかによって、移動体1の車体の寿命が異なるおそれがある。そこで、例えば、移動体1が使用される地域又は国を示す情報が、移動体1の車体の残寿命を算出するのに用いられる。
【0097】
なお、移動体1の管理者は、情報端末3を用いて、移動体1の種別、移動体1の利用形態の種別、及び移動体1の利用実績を移動体基本情報記憶部236に登録する。
【0098】
車体初期寿命記憶部237は、移動体1の種別、移動体1の利用形態の種別、及び移動体1の利用実績に基づいて算出される移動体1の車体の初期寿命を記憶する。
【0099】
車体機械的負荷履歴記憶部238は、移動体1の車体の機械的負荷の履歴を記憶する。機械的負荷は、例えば、移動体1の車体の振動回数である。車体機械的負荷履歴記憶部238は、移動体1の車体の振動回数の履歴を記憶する。
【0100】
車体残寿命記憶部239は、移動体1の車体の残寿命を示す車体残寿命を記憶する。
【0101】
消費電力記憶部240は、移動体1における電力を用いる複数の機能それぞれの消費電力を記憶している。なお、消費電力記憶部240は、移動体1における電力を用いる複数の機能それぞれの消費電力の規格値を、消費電力の初期値として予め記憶している。消費電力の規格値は、例えば、移動体1の製造メーカから提供される。消費電力記憶部240に記憶されている消費電力は、消費電力の実測値により更新される。
【0102】
消費電力実測値記憶部241は、移動体1における電力を用いる複数の機能それぞれの消費電力の実測値を予め記憶している。
【0103】
寿命短縮効果記憶部242は、移動体1における電力を用いる複数の機能それぞれの寿命短縮効果を記憶する。
【0104】
プロセッサ22は、例えば、CPUである。プロセッサ22により、車体負荷取得部221、電池負荷取得部222、車体残寿命算出部223、電池残寿命算出部224、消費電力実測値取得部225、寿命短縮効果推定部226、残寿命比較部227及び指示部228が実現される。
【0105】
車体負荷取得部221は、通信部21を介して、移動体1によって送信された車体負荷データを取得する。車体負荷取得部221は、電動の移動体1の車体にかかる負荷に関する車体負荷データ(第1データ)を取得する。車体負荷取得部221は、取得した車体負荷データに含まれる移動体1の車体の振動回数を車体機械的負荷履歴記憶部238に記憶する。
【0106】
電池負荷取得部222は、通信部21を介して、移動体1によって送信された電池負荷データを取得する。電池負荷取得部222は、移動体1に搭載される蓄電池(電池)14の稼動に関する電池負荷データ(第2データ)を取得する。電池負荷取得部222は、取得した電池負荷データに含まれる蓄電池14の充放電回数を充放電履歴記憶部231に記憶するとともに、取得した電池負荷データに含まれる蓄電池14の筐体の振動回数を電池機械的負荷履歴記憶部232に記憶する。
【0107】
車体残寿命算出部223は、車体負荷取得部221によって取得された車体負荷データ(第1データ)に基づいて車体の残寿命を算出する。車体残寿命算出部223は、移動体基本情報記憶部236に記憶されている移動体1の種別、移動体1の利用形態の種別、及び移動体1の利用実績に基づいて、移動体1の車体の初期寿命を算出する。メモリ23は、移動体1の種別、移動体1の利用形態の種別、及び移動体1の利用実績の組み合わせと、初期寿命とを対応付けたテーブルを予め記憶している。車体残寿命算出部223は、移動体1の種別、移動体1の利用形態の種別、及び移動体1の利用実績の組み合わせに対応付けられている初期寿命をメモリ23から読み出す。なお、初期寿命は、統計データに基づいて設定される。車体残寿命算出部223は、移動体1の車体の残寿命を最初に算出する際に、移動体1の車体の初期寿命を算出する。車体残寿命算出部223は、算出した移動体1の車体の初期寿命を車体初期寿命記憶部237に記憶する。
【0108】
また、車体残寿命算出部223は、車体初期寿命記憶部237に記憶されている車体の初期寿命を取得するとともに、車体機械的負荷履歴記憶部238に記憶されている車体の振動回数の履歴を取得し、取得した初期寿命及び車体の振動回数の履歴に基づいて車体残寿命を算出する。メモリ23は、移動体1の車体の振動回数と寿命減算値との関係を示す関数を予め記憶している。車体残寿命算出部223は、車体機械的負荷履歴記憶部238から取得した振動回数から寿命減算値を算出し、車体の初期寿命から寿命減算値を減算した値を車体残寿命として算出する。車体残寿命は、電力量で表されてもよいし、移動体1が走行可能な残走行距離で表されてもよい。また、車体残寿命は、移動体1が走行可能な残時間で表されてもよい。車体残寿命算出部223は、算出した車体残寿命を車体残寿命記憶部239に記憶する。
【0109】
なお、本実施の形態1では、車体残寿命算出部223は、車体の初期寿命及び車体の振動回数に基づいて車体残寿命を算出しているが、本開示は特にこれに限定されず、車体の振動回数のみに基づいて車体残寿命を算出してもよい。メモリ23は、移動体1の車体の振動回数と車体残寿命との関係を示す関数を予め記憶している。
【0110】
また、本実施の形態1では、車体残寿命算出部223は、移動体1の車体の初期寿命(移動体1の統計的な寿命)と、車体の振動回数(移動体1が受ける衝撃)とに基づいて車体の残寿命を算出しているが、本開示は特にこれに限定されない。車体負荷データ(第1データ)は、移動体1の走行距離及び移動体1が受ける衝撃の少なくとも一方を含んでもよい。車体残寿命算出部223は、移動体1の車体の初期寿命(移動体1の統計的な寿命)と、移動体1の走行距離及び車体の振動回数(移動体1が受ける衝撃)の少なくとも一方とに基づいて車体の残寿命を算出してもよい。
【0111】
電池残寿命算出部224は、電池負荷データ(第2データ)に基づいて蓄電池(電池)14の残寿命を算出する。電池残寿命算出部224は、充放電履歴記憶部231に記憶されている充放電回数の履歴を取得し、取得した充放電回数の履歴に基づいて蓄電池14の化学的電池残寿命を算出する。充放電回数と蓄電池14の満充電容量とには相関があり、充放電回数が増加すると満充電容量は低下する。メモリ23は、充放電回数と満充電容量との関係を示す関数を予め記憶している。電池残寿命算出部224は、充放電履歴記憶部231から取得した充放電回数から蓄電池14の現在の満充電容量を算出する。車体残寿命算出部223は、算出した現在の満充電容量と、寿命と判断可能な満充電容量との差分を化学的電池残寿命として算出する。寿命と判断可能な満充電容量は、例えば、初期の満充電容量の60%である。電池残寿命算出部224は、算出した化学的電池残寿命を化学的電池残寿命記憶部233に記憶する。
【0112】
なお、蓄電池14の化学的残寿命は、移動体1が走行可能な残走行距離で表されてもよい。すなわち、車体残寿命算出部223は、算出した現在の満充電容量と、寿命と判断可能な満充電容量との差分を残走行距離に換算し、換算した残走行距離を化学的電池残寿命として算出してもよい。この場合、メモリ23は、満充電容量と残走行距離との関係を示す関数を予め記憶している。また、化学的残寿命は、移動体1が走行可能な残時間で表されてもよい。
【0113】
また、本実施の形態1では、電池残寿命算出部224は、充放電回数を用いて化学的電池残寿命を算出しているが、本開示は特にこれに限定されない。電池残寿命算出部224は、蓄電池14のSOC、SOH、温度又は総放電量などの蓄電池14の稼動に関する他の情報を用いて化学的電池残寿命を算出してもよい。
【0114】
また、電池残寿命算出部224は、電池機械的負荷履歴記憶部232に記憶されている蓄電池14の筐体の振動回数を取得し、取得した振動回数に基づいて蓄電池14の機械的電池残寿命を算出する。メモリ23は、蓄電池14の筐体の振動回数と機械的電池残寿命との関係を示す関数を予め記憶している。電池残寿命算出部224は、電池機械的負荷履歴記憶部232から取得した振動回数から蓄電池14の機械的電池残寿命を算出する。機械的電池残寿命は、化学的電池残寿命と同じ単位で表される。機械的電池残寿命は、電力量で表されてもよいし、移動体1が走行可能な残走行距離で表されてもよい。また、機械的電池残寿命は、移動体1が走行可能な残時間で表されてもよい。電池残寿命算出部224は、算出した機械的電池残寿命を機械的電池残寿命記憶部234に記憶する。
【0115】
電池残寿命算出部224は、化学的電池残寿命記憶部233に記憶されている化学的電池残寿命と、機械的電池残寿命記憶部234に記憶されている機械的電池残寿命とのうちの短い方を電池残寿命として算出し、電池残寿命記憶部235に記憶する。
【0116】
なお、本実施の形態1では、電池残寿命算出部224は、化学的電池残寿命と機械的電池残寿命とに基づいて電池残寿命を算出しているが、本開示は特にこれに限定されず、化学的電池残寿命のみを電池残寿命として算出してもよく、機械的電池残寿命のみを電池残寿命として算出してもよい。電池負荷データ(第2データ)は、蓄電池(電池)14の充電、放電、充電容量、及び温度の少なくとも1つの履歴を含む。電池残寿命算出部224は、蓄電池(電池)14の寿命と、蓄電池(電池)14の履歴から算出される蓄電池(電池)14の劣化度とに基づいて、蓄電池(電池)14の残寿命を算出してもよい。
【0117】
消費電力実測値取得部225は、通信部21を介して、移動体1によって送信された各機能の消費電力の実測値を取得する。消費電力実測値取得部225は、取得した各機能の消費電力の実測値を消費電力実測値記憶部241に記憶する。
【0118】
寿命短縮効果推定部226は、消費電力記憶部240から各機能の消費電力を読み出すとともに、消費電力実測値記憶部241から各機能の消費電力の実測値を読み出し、各機能の消費電力の実測値を用いて各機能の消費電力を補正する。例えば、寿命短縮効果推定部226は、各機能の消費電力を各機能の消費電力の実測値に変更する。また、例えば、寿命短縮効果推定部226は、各機能の消費電力と各機能の消費電力の実測値との平均値を算出し、算出した平均値に各機能の消費電力を変更してもよい。寿命短縮効果推定部226は、補正した各機能の消費電力を消費電力記憶部240に記憶する。
【0119】
なお、寿命短縮効果推定部226は、移動体1と種別が同じである他の移動体から取得した各機能の消費電力の実測値を用いて各機能の消費電力を補正してもよい。この場合、通信部21は、移動体1と種別が同じである他の移動体によって測定された各機能の消費電力の実測値を取得する。
【0120】
また、寿命短縮効果推定部226は、各機能の消費電力に基づいて各機能の寿命短縮効果を推定する。寿命短縮効果とは、使用していない機能を起動した場合に、又は使用している機能の性能を向上させた場合に、短縮することが可能な寿命の長さを示す。メモリ23は、消費電力と寿命短縮効果とを対応付けた関数を予め記憶する。寿命短縮効果推定部226は、当該関数を用いて、各機能の消費電力から各機能の寿命短縮効果を推定する。寿命短縮効果推定部226は、推定した各機能の寿命短縮効果を寿命短縮効果記憶部242に記憶する。
【0121】
なお、寿命短縮効果推定部226は、消費電力記憶部240に記憶されている各機能の消費電力を、消費電力実測値記憶部241に記憶されている各機能の消費電力の実測値を用いて補正しているが、本開示は特にこれに限定されない。寿命短縮効果推定部226は、消費電力実測値記憶部241に記憶されている各機能の消費電力の実測値のみに基づいて各機能の寿命短縮効果を推定してもよい。この場合、サーバ2は各機能の消費電力の規格値を予め記憶しなくてもよく、メモリ23の記憶容量を削減することができる。また、寿命短縮効果推定部226は、消費電力記憶部240に記憶されている各機能の消費電力の規格値のみに基づいて各機能の寿命短縮効果を推定してもよい。この場合、移動体1は各機能の消費電力の実測値を測定しなくてもよく、移動体1及びサーバ2の処理負荷を軽減することができる。
【0122】
残寿命比較部227は、車体の残寿命と蓄電池(電池)14の残寿命とを比較する。残寿命比較部227は、車体残寿命記憶部239に記憶されている車体残寿命と、電池残寿命記憶部235に記憶されている電池残寿命とを比較する。
【0123】
指示部228は、車体の残寿命が蓄電池(電池)14の残寿命より短い場合、移動体1における電力を用いる複数の機能のうちの使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を指示する。
【0124】
指示部228は、機能提示部251、機能決定部252及び指示通知部253を備える。
【0125】
機能提示部251は、使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を情報端末3(提示装置)に提示させる。
【0126】
より具体的には、機能提示部251は、移動体1の種別、移動体1の利用形態の種別、及び移動体1の利用実績の少なくとも1つを取得する。機能提示部251は、取得した移動体1の種別、利用形態の種別、及び利用実績の少なくとも1つにしたがって起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方の候補を決定する。このとき、機能提示部251は、蓄電池(電池)14の残寿命と車体の残寿命との差分を算出し、差分にしたがって起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方の候補を決定してもよい。そして、機能提示部251は、決定した候補を情報端末3(提示装置)に提示させる。機能提示部251は、決定した候補のリストを情報端末3へ送信する。
【0127】
また、機能提示部251は、取得した移動体1の種別、利用形態の種別、及び利用実績の少なくとも1つにしたがって起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方の提示の優先度を決定してもよい。機能提示部251は、決定した優先度にしたがって使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を情報端末3(提示装置)に提示させてもよい。
【0128】
機能提示部251は、通信部21を介して、起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方の候補のリストを示す機能提示情報を情報端末3へ送信する。また、通信部21は、情報端末3によって送信された提示に対する応答を受信する。
【0129】
機能決定部252は、提示に対する応答に基づいて起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方を決定する。
【0130】
指示通知部253は、通信部21を介して、決定した機能の起動及び決定した機能の性能の向上の少なくとも一方を指示する通知を移動体1へ送信する。
【0131】
図4は、本開示の実施の形態1における情報端末の構成の一例を示す図である。
【0132】
図4に示す情報端末3は、通信部31、プロセッサ32、表示部33、入力部34及びメモリ35を備える。
【0133】
通信部31は、情報をサーバ2へ送信するとともに、情報をサーバ2から受信する。通信部31は、起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方の候補のリストを示す機能提示情報をサーバ2から受信する。また、通信部31は、移動体1の管理者によって選択された起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方を示す応答情報をサーバ2へ送信する。
【0134】
表示部33は、例えば、液晶表示装置であり、機能提示情報を表示する。
【0135】
メモリ35は、例えば、RAM、SSD又はフラッシュメモリ等の各種情報を記憶可能な記憶装置である。
【0136】
プロセッサ32は、例えば、CPUである。プロセッサ32により、機能提示制御部321及び応答制御部322が実現される。
【0137】
機能提示制御部321は、通信部31によって受信された機能提示情報を表示部33に表示させる。管理者は、起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方の候補のリストの中から、所望の機能を選択する。
【0138】
入力部34は、例えば、タッチパネルであり、管理者による種々の情報の入力を受け付ける。入力部34は、起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方の候補のリストの中から、起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方の管理者による選択を受け付ける。
【0139】
応答制御部322は、通信部21を介して、管理者によって選択された起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方を示す応答情報をサーバ2へ送信する。
【0140】
続いて、本開示の実施の形態1における電池残寿命を算出する処理について説明する。
【0141】
図5は、本開示の実施の形態1における電池残寿命を算出する処理を説明するためのフローチャートである。
【0142】
まず、ステップS1において、移動体1の電池状態取得部153は、蓄電池14の充放電回数をメモリ18から取得する。充放電回数は、移動体1が製造されてから現在までの充放電回数の累積値である。メモリ18は、蓄電池14の充放電回数を記憶している。電池状態取得部153は、所定のタイミングで蓄電池14の充放電回数をメモリ18から取得する。所定のタイミングは、例えば、1分ごと又は10分ごとなどである。
【0143】
次に、ステップS2において、電池負荷送信制御部155は、蓄電池14の筐体の振動回数をメモリ18から取得する。振動回数は、移動体1が製造されてから現在までの蓄電池14の筐体の振動回数の累積値である。メモリ18は、蓄電池14の筐体の振動回数を記憶している。
【0144】
次に、ステップS3において、電池負荷送信制御部155は、移動体1搭載される蓄電池14の稼動に関する電池負荷データを、通信部19を介してサーバ2へ送信する。なお、電池負荷データは、蓄電池14の充放電回数と、蓄電池14の筐体の振動回数とを含む。
【0145】
次に、ステップS11において、サーバ2の通信部21は、移動体1によって送信された電池負荷データを受信する。
【0146】
次に、ステップS12において、電池負荷取得部222は、通信部21によって受信された電池負荷データを取得する。
【0147】
次に、ステップS13において、電池負荷取得部222は、取得した電池負荷データに含まれる蓄電池14の充放電回数を充放電履歴記憶部231に記憶する。
【0148】
次に、ステップS14において、電池負荷取得部222は、取得した電池負荷データに含まれる蓄電池14の筐体の振動回数を電池機械的負荷履歴記憶部232に記憶する。
【0149】
次に、ステップS15において、電池残寿命算出部224は、充放電履歴記憶部231に記憶されている蓄電池14の充放電回数の履歴を取得する。
【0150】
次に、ステップS16において、電池残寿命算出部224は、取得した充放電回数の履歴に基づいて蓄電池14の化学的電池残寿命を算出する。
【0151】
次に、ステップS17において、電池残寿命算出部224は、算出した化学的電池残寿命を化学的電池残寿命記憶部233に記憶する。
【0152】
次に、ステップS18において、電池残寿命算出部224は、電池機械的負荷履歴記憶部232に記憶されている蓄電池14の筐体の振動回数を取得する。
【0153】
次に、ステップS19において、電池残寿命算出部224は、取得した蓄電池14の筐体の振動回数に基づいて蓄電池14の機械的電池残寿命を算出する。
【0154】
次に、ステップS20において、電池残寿命算出部224は、算出した機械的電池残寿命を機械的電池残寿命記憶部234に記憶する。
【0155】
次に、ステップS21において、電池残寿命算出部224は、化学的電池残寿命記憶部233に記憶されている化学的電池残寿命と、機械的電池残寿命記憶部234に記憶されている機械的電池残寿命とのうちの短い方を電池残寿命として算出する。
【0156】
次に、ステップS22において、電池残寿命算出部224は、算出した電池残寿命を電池残寿命記憶部235に記憶する。
【0157】
続いて、本開示の実施の形態1における車体残寿命を算出する処理について説明する。
【0158】
図6は、本開示の実施の形態1における車体残寿命を算出する処理を説明するためのフローチャートである。
【0159】
まず、ステップS31において、車体負荷送信制御部154は、移動体1の車体の振動回数をメモリ18から取得する。振動回数は、移動体1が製造されてから現在までの車体の振動回数の累積値である。メモリ18は、移動体1の車体の振動回数を記憶している。車体負荷送信制御部154は、所定のタイミングで移動体1の車体の振動回数をメモリ18から取得する。所定のタイミングは、例えば、1分ごと又は10分ごとなどである。
【0160】
次に、ステップS32において、車体負荷送信制御部154は、電動の移動体1の車体にかかる負荷に関する車体負荷データを、通信部19を介してサーバ2へ送信する。なお、車体負荷データは、移動体1の車体の振動回数を含む。
【0161】
次に、ステップS41において、サーバ2の通信部21は、移動体1によって送信された車体負荷データを受信する。
【0162】
次に、ステップS42において、車体負荷取得部221は、通信部21によって受信された車体負荷データを取得する。
【0163】
次に、ステップS43において、車体負荷取得部221は、取得した車体負荷データに含まれる移動体1の車体の振動回数を車体機械的負荷履歴記憶部238に記憶する。
【0164】
次に、ステップS44において、車体残寿命算出部223は、移動体基本情報記憶部236から移動体基本情報を取得する。移動体基本情報は、移動体1の種別、移動体1の利用形態の種別、及び移動体1の利用実績を含む。
【0165】
次に、ステップS45において、車体残寿命算出部223は、移動体基本情報記憶部236から取得した移動体1の種別、移動体1の利用形態の種別、及び移動体1の利用実績に基づいて、移動体1の車体の初期寿命を算出する。
【0166】
次に、ステップS46において、車体残寿命算出部223は、算出した移動体1の車体の初期寿命を車体初期寿命記憶部237に記憶する。
【0167】
なお、ステップS44~ステップS46の処理は、最初に車体残寿命が算出される際に行われればよく、2回目以降に車体残寿命が算出される際には行われなくてもよい。
【0168】
次に、ステップS47において、車体残寿命算出部223は、車体初期寿命記憶部237に記憶されている車体の初期寿命を取得するとともに、車体機械的負荷履歴記憶部238に記憶されている車体の振動回数の履歴を取得する。
【0169】
次に、ステップS48において、車体残寿命算出部223は、取得した車体の初期寿命及び車体の振動回数の履歴に基づいて車体残寿命を算出する。
【0170】
次に、ステップS49において、車体残寿命算出部223は、算出した車体残寿命を車体残寿命記憶部239に記憶する。
【0171】
続いて、本開示の実施の形態1における複数の機能それぞれの寿命短縮効果を推定する処理について説明する。
【0172】
図7は、本開示の実施の形態1における複数の機能それぞれの寿命短縮効果を推定する処理を説明するためのフローチャートである。
【0173】
まず、ステップS61において、移動体1の運転制御部151は、寿命短縮効果を推定するために、使用していない機能の起動又は使用している機能の性能の向上を実行する。運転制御部151は、例えば、電力を用いる複数の機能のうち、使用している加速制御機能の性能を向上させる。
【0174】
なお、運転制御部151は、消費電力の実測値を得るための測定モードにおいて、使用していない機能の起動又は使用している機能の性能の向上を実行することが好ましい。例えば、運転制御部151は、測定モードにおいて、起動させる機能又は性能を向上させる機能の運転者による選択を受け付け、選択された機能の起動又は選択された機能の性能の向上を実行することが好ましい。
【0175】
次に、ステップS62において、消費電力実測値測定部156は、使用していない機能が起動された場合の消費電力、又は使用している機能の性能が向上された場合の消費電力を測定する。消費電力実測値測定部156は、例えば、使用している加速制御機能の性能が向上された場合の消費電力を測定する。
【0176】
次に、ステップS63において、通信部19は、起動された機能又は性能が向上された機能を特定するための情報と、消費電力実測値測定部156によって測定された消費電力の実測値とをサーバ2へ送信する。
【0177】
次に、ステップS71において、サーバ2の通信部21は、移動体1によって送信された、起動された機能又は性能が向上された機能を特定するための情報と、消費電力の実測値とを受信する。
【0178】
次に、ステップS72において、消費電力実測値取得部225は、通信部21によって受信された、起動された機能又は性能が向上された機能を特定するための情報と、消費電力の実測値とを取得する。
【0179】
次に、ステップS73において、消費電力実測値取得部225は、起動された機能又は性能が向上された機能を特定するための情報と、消費電力の実測値とを対応付けて消費電力実測値記憶部241に記憶する。
【0180】
次に、ステップS74において、寿命短縮効果推定部226は、消費電力の実測値を測定する際に起動又は性能を向上させた機能、すなわち、寿命短縮効果を推定する機能の消費電力を消費電力記憶部240から取得する。
【0181】
次に、ステップS75において、寿命短縮効果推定部226は、消費電力の実測値を測定する際に起動又は性能を向上させた機能、すなわち、寿命短縮効果を推定する機能の消費電力の実測値を消費電力実測値記憶部241から取得する。
【0182】
次に、ステップS76において、寿命短縮効果推定部226は、寿命短縮効果を推定する機能の消費電力の実測値を用いて、寿命短縮効果を推定する機能の消費電力を補正する。
【0183】
次に、ステップS77において、寿命短縮効果推定部226は、補正した消費電力を消費電力記憶部240に記憶する。
【0184】
次に、ステップS78において、寿命短縮効果推定部226は、補正した消費電力に基づいて寿命短縮効果を推定する。
【0185】
次に、ステップS79において、寿命短縮効果推定部226は、推定した寿命短縮効果を、起動された機能又は性能が向上された機能を特定するための情報に対応付けて寿命短縮効果記憶部242に記憶する。
【0186】
なお、寿命短縮効果が記憶された後、複数の機能のうち、寿命短縮効果が推定されていない機能が存在する場合、ステップS61に処理が戻ってもよい。そして、全ての機能の寿命短縮効果が推定されるまで、ステップS61~ステップS79の処理が繰り返し行われてもよい。
【0187】
続いて、本開示の実施の形態1における車体残寿命と電池残寿命とを比較する処理について説明する。
【0188】
図8は、本開示の実施の形態1における車体残寿命と電池残寿命とを比較する処理を説明するための第1のフローチャートであり、図9は、本開示の実施の形態1における車体残寿命と電池残寿命とを比較する処理を説明するための第2のフローチャートである。
【0189】
まず、ステップS91において、サーバ2の残寿命比較部227は、現在時刻が、車体残寿命と電池残寿命とを比較する比較開始時刻であるか否かを判断する。比較開始時刻は、例えば、1か月に1回の所定の時刻、又は移動体1のメンテナンス開始時刻である。
【0190】
ここで、現在時刻が比較開始時刻ではないと判断された場合(ステップS91でNO)、ステップS91に処理が戻り、現在時刻が比較開始時刻になるまで、ステップS91の判断処理が繰り返し行われる。
【0191】
一方、現在時刻が比較開始時刻であると判断された場合(ステップS91でYES)、ステップS92において、残寿命比較部227は、車体残寿命記憶部239に記憶されている車体残寿命を取得する。
【0192】
次に、ステップS93において、残寿命比較部227は、電池残寿命記憶部235に記憶されている電池残寿命を取得する。
【0193】
次に、ステップS94において、残寿命比較部227は、車体残寿命と電池残寿命とを比較し、車体残寿命が電池残寿命より短いか否かを判断する。
【0194】
ここで、車体残寿命が電池残寿命より短くない、すなわち、車体残寿命が電池残寿命以上であると判断された場合(ステップS94でNO)、ステップS91に処理が戻る。
【0195】
一方、車体残寿命が電池残寿命より短いと判断された場合(ステップS94でYES)、ステップS95において、機能提示部251は、各機能の寿命短縮効果を寿命短縮効果記憶部242から取得する。
【0196】
次に、ステップS96において、機能提示部251は、移動体基本情報記憶部236から移動体基本情報を取得する。移動体基本情報は、移動体1の種別、移動体1の利用形態の種別、及び移動体1の利用実績を含む。
【0197】
次に、ステップS97において、機能提示部251は、車体残寿命と電池残寿命との差分を算出する。
【0198】
次に、ステップS98において、機能提示部251は、寿命短縮効果、移動体基本情報及び車体残寿命と電池残寿命との差分に基づいて、起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方の候補を決定する。
【0199】
このとき、機能提示部251は、複数の機能の中から、移動体基本情報に含まれる移動体の種別に応じた機能を選択する。次に、機能提示部251は、選択した機能の中から、利用形態の種別に応じた機能を選択する。すなわち、利用形態の種別によっては、使用を許可する機能と、使用を許可しない機能とがある。そこで、機能提示部251は、選択した機能の中から、利用形態の種別に応じた機能をさらに選択する。次に、機能提示部251は、選択した機能の中から、寿命短縮効果が車体残寿命と電池残寿命との差分よりも短い機能を選択する。機能提示部251は、選択した機能を候補として決定する。
【0200】
次に、ステップS99において、機能提示部251は、移動体基本情報に含まれる移動体1の種別、利用形態の種別、及び利用実績の少なくとも1つにしたがって起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方の提示の優先度を決定する。例えば、利用実績は、移動体1がどのように利用されているかを示す情報を含む。前照灯13を点灯させる回数が少ない移動体1については、前照灯13の輝度を向上させる機能の優先度は低くなる。また、所定の速度以上にスピードを出さない移動体1については、加速性能を向上させる機能の優先度は低くなる。また、移動体の種別又は移動体の利用形態の種別に応じて各機能の優先度が予め決められていてもよい。
【0201】
次に、ステップS100において、機能提示部251は、通信部21を介して、起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方の候補のリストを示す機能提示情報を情報端末3へ送信する。
【0202】
次に、ステップS111において、情報端末3の通信部31は、サーバ2によって送信された機能提示情報を受信する。
【0203】
次に、ステップS112において、機能提示制御部321は、通信部31によって受信された機能提示情報を表示部33に表示する。
【0204】
図10は、本開示の実施の形態1における機能提示情報の一例を示す図である。
【0205】
表示部33は、起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方の候補のリストを示す機能提示情報を表示する。移動体1の利用形態の種別が、複数のユーザによりシェアされる利用形態である場合、図10に示す機能提示情報が表示される。サーバ2の機能提示部251は、輝度制御機能、通信機能及び加速制御機能を選択している。また、輝度制御機能の優先度が最も高く、通信機能の優先度が2番目に高く、加速制御機能の優先度が3番目に高くなっている。輝度制御機能、通信機能及び加速制御機能は、優先度が高い順に上から表示されている。
【0206】
また、機能提示情報は、輝度制御機能の性能が向上された場合の消費電力、通信機能が起動された場合の消費電力及び加速制御機能が向上された場合の消費電力を含む。表示部33は、消費電力が高い順に輝度制御機能、通信機能及び加速制御機能を表示してもよい。さらに、機能提示情報は、起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも1つの管理者による選択を受け付けるためのチェックボックス331を含む。管理者により所望の機能に対応するチェックボックス331がタッチされると、表示部33は、チェックボックス331内にチェックマークを表示させる。
【0207】
図11は、本開示の実施の形態1の変形例1における機能提示情報の一例を示す図である。
【0208】
移動体1の利用形態の種別が、企業の複数の社員によりシェアされる利用形態である場合、図11に示す機能提示情報が表示される。サーバ2の機能提示部251は、輝度制御機能及び加速制御機能を選択している。また、輝度制御機能の優先度が最も高く、加速制御機能の優先度が2番目に高くなっている。輝度制御機能及び加速制御機能は、優先度が高い順に上から表示されている。
【0209】
また、機能提示情報は、輝度制御機能の性能が向上された場合の消費電力及び加速制御機能が向上された場合の消費電力を含む。表示部33は、消費電力が高い順に輝度制御機能及び加速制御機能を表示してもよい。さらに、機能提示情報は、性能を向上させる機能の管理者による選択を受け付けるためのチェックボックス331を含む。管理者により所望の機能に対応するチェックボックス331がタッチされると、表示部33は、チェックボックス331内にチェックマークを表示させる。
【0210】
図12は、本開示の実施の形態1の変形例2における機能提示情報の一例を示す図である。
【0211】
移動体1の利用形態の種別が、個人のユーザに使用される利用形態である場合、図12に示す機能提示情報が表示される。サーバ2の機能提示部251は、輝度制御機能、加速制御機能及び給電機能を選択している。また、輝度制御機能の優先度が最も高く、加速制御機能の優先度が2番目に高く、給電機能の優先度が3番目に高くなっている。輝度制御機能、加速制御機能及び給電機能は、優先度が高い順に上から表示されている。
【0212】
また、機能提示情報は、輝度制御機能の性能が向上された場合の消費電力、加速制御機能が向上された場合の消費電力、及び給電機能が起動された場合の消費電力を含む。表示部33は、消費電力が高い順に輝度制御機能、加速制御機能及び給電機能を表示してもよい。さらに、機能提示情報は、起動させる機能及び性能を向上させる機能の少なくとも1つの管理者による選択を受け付けるためのチェックボックス331を含む。管理者により所望の機能に対応するチェックボックス331がタッチされると、表示部33は、チェックボックス331内にチェックマークを表示させる。
【0213】
図9に戻って、次に、ステップS113において、機能提示制御部321は、管理者による機能の選択を受け付ける。管理者は、入力部34を用いて、起動させる機能及び性能を向上させる機能の少なくとも1つを選択する。なお、複数の機能が選択可能であるが、機能提示制御部321は、複数の機能の寿命短縮効果の合計が、車体残寿命と電池残寿命との差分より大きい場合、複数の機能の選択を受け付けず、複数の機能の寿命短縮効果の合計が、車体残寿命と電池残寿命との差分以下である場合、複数の機能の選択を受け付ける。
【0214】
次に、ステップS114において、応答制御部322は、通信部31を介して、選択された機能を特定するための応答情報をサーバ2へ送信する。
【0215】
次に、ステップS101において、サーバ2の通信部21は、情報端末3によって送信された応答情報を受信する。
【0216】
次に、ステップS102において、機能決定部252は、応答情報に基づいて、起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方を決定する。
【0217】
次に、ステップS103において、指示通知部253は、通信部21を介して、機能決定部252によって決定された機能の起動及び決定した機能の性能の向上の少なくとも一方を指示する通知を移動体1へ送信する。
【0218】
次に、ステップS121において、移動体1の通信部19は、サーバ2によって送信された通知を受信する。
【0219】
次に、ステップS122において、運転制御部151は、通信部19によって受信された通知にしたがって、使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を実行する。
【0220】
本実施の形態1によれば、車体の残寿命が電池の残寿命より短い場合、移動体1における電力を用いる複数の機能のうちの使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方が指示される。したがって、移動体1の蓄電池14の残寿命を移動体1の車体の残寿命に近づけることができる。その結果、寿命が残っている蓄電池14が、寿命がなくなった車体とともに廃棄されるのを防止することができる。また、使用していない機能が起動されること、又は使用している機能の性能が向上されることにより、運転者の利便性を向上させることができる。言い換えると、移動体1の蓄電池14の寿命を有効的に消費しながら移動体1の蓄電池14の残寿命を移動体1の車体の残寿命に近づけることができる。
【0221】
なお、本実施の形態1では、サーバ2が、機能の起動及び決定した機能の性能の向上の少なくとも一方を指示する通知を移動体1へ送信しているが、本開示は特にこれに限定されない。情報端末3が、機能の起動及び決定した機能の性能の向上の少なくとも一方を指示する通知を移動体1へ送信してもよい。
【0222】
(実施の形態2)
上記の実施の形態1では、機能提示部251が、使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を情報端末3に提示させている。これに対し、実施の形態2では、使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方が情報端末3に提示されず、起動する機能及び性能向上させる機能の少なくとも一方が決定され、決定された機能の起動及び決定された機能の性能の向上の少なくとも一方を指示する通知が移動体1へ送信される。
【0223】
図13は、本開示の実施の形態2における情報処理システムの全体構成を示す図である。
【0224】
図13に示す情報処理システムは、移動体1及びサーバ2Aを備える。実施の形態2における情報処理システムは、情報端末3を備えていない。なお、本実施の形態2において、実施の形態1と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0225】
サーバ2Aは、例えば、Webサーバである。サーバ2Aは、移動体1から種々の情報を受信するとともに、移動体1へ種々の情報を送信する。サーバ2Aは、移動体1の車体の残寿命を算出するとともに、電池の残寿命を算出する。そして、サーバ2Aは、車体の残寿命と電池の残寿命とを比較し、車体の残寿命が電池の残寿命より短い場合、移動体1における電力を用いる複数の機能のうちの使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を指示する。サーバ2Aは、移動体1とネットワーク4を介して互いに通信可能に接続されている。
【0226】
図14は、本開示の実施の形態2におけるサーバの構成の一例を示す図である。
【0227】
図14に示すサーバ2Aは、通信部21、プロセッサ22A及びメモリ23を備える。
【0228】
プロセッサ22Aは、例えば、CPUである。プロセッサ22Aにより、車体負荷取得部221、電池負荷取得部222、車体残寿命算出部223、電池残寿命算出部224、消費電力実測値取得部225、寿命短縮効果推定部226、残寿命比較部227及び指示部228Aが実現される。
【0229】
指示部228Aは、車体の残寿命が蓄電池(電池)14の残寿命より短い場合、移動体1における電力を用いる複数の機能のうちの使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を指示する。
【0230】
指示部228Aは、差分算出部254、機能決定部252A及び指示通知部253Aを備える。
【0231】
差分算出部254は、蓄電池(電池)14の残寿命と車体の残寿命との差分を算出する。
【0232】
機能決定部252Aは、差分算出部254によって算出された差分にしたがって起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方を決定する。機能決定部252Aは、使用していない機能を起動した場合の消費電力に基づいて、使用していない機能を起動したことにより短縮される蓄電池14の残寿命を算出する。また、機能決定部252Aは、使用している機能の性能を向上した場合の消費電力に基づいて、使用している機能の性能を向上したことにより短縮される蓄電池14の残寿命を算出する。機能決定部252Aは、使用していない機能を起動したことにより短縮される蓄電池14の残寿命、及び使用している機能の性能を向上したことにより短縮される蓄電池14の残寿命の少なくとも一方が、蓄電池14の残寿命と車体の残寿命との差分を超えないように、起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方を決定する。
【0233】
指示通知部253Aは、機能決定部252Aによって決定された機能の起動及び決定した機能の性能の向上の少なくとも一方を指示する。
【0234】
なお、本開示の実施の形態2において、電池残寿命を算出する処理、車体残寿命を算出する処理、及び複数の機能それぞれの寿命短縮効果を推定する処理は、実施の形態1と同じであるので説明を省略する。
【0235】
続いて、本開示の実施の形態2における車体残寿命と電池残寿命とを比較する処理について説明する。
【0236】
図15は、本開示の実施の形態2における車体残寿命と電池残寿命とを比較する処理を説明するためのフローチャートである。
【0237】
なお、ステップS131~ステップS134の処理は、図8に示すステップS91~ステップS94の処理と同じであるので説明を省略する。
【0238】
車体残寿命が電池残寿命より短いと判断された場合(ステップS134でYES)、ステップS135において、差分算出部254は、車体残寿命と電池残寿命との差分を算出する。
【0239】
次に、ステップS136において、機能決定部252Aは、各機能の寿命短縮効果を寿命短縮効果記憶部242から取得する。
【0240】
次に、ステップS137において、機能決定部252Aは、移動体基本情報記憶部236から移動体基本情報を取得する。移動体基本情報は、移動体1の種別、移動体1の利用形態の種別、及び移動体1の利用実績を含む。
【0241】
次に、ステップS138において、機能決定部252Aは、寿命短縮効果、移動体基本情報及び車体残寿命と電池残寿命との差分に基づいて、起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方を決定する。
【0242】
このとき、機能決定部252Aは、複数の機能の中から、移動体基本情報に含まれる移動体の種別に応じた機能を選択する。次に、機能決定部252Aは、選択した機能の中から、利用形態の種別に応じた機能を選択する。すなわち、利用形態の種別によっては、使用を許可する機能と、使用を許可しない機能とがある。そこで、機能決定部252Aは、選択した機能の中から、利用形態の種別に応じた機能をさらに選択する。次に、機能決定部252Aは、選択した機能の中から、寿命短縮効果が車体残寿命と電池残寿命との差分よりも短い機能を、起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方として決定する。なお、機能決定部252Aは、寿命短縮効果が車体残寿命と電池残寿命との差分よりも短い複数の機能が存在する場合、最も寿命短縮効果が大きい機能を決定してもよい。
【0243】
なお、機能決定部252Aは、移動体基本情報に含まれる移動体1の種別、利用形態の種別、及び利用実績の少なくとも1つにしたがって起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方の優先度を決定してもよい。そして、機能決定部252Aは、寿命短縮効果が車体残寿命と電池残寿命との差分よりも短い複数の機能が存在する場合、複数の機能のうちの最も優先度が高い機能を、起動する機能又は性能を向上させる機能として決定してもよい。
【0244】
次に、ステップS139において、指示通知部253Aは、通信部21を介して、機能決定部252Aによって決定された機能の起動及び決定した機能の性能の向上の少なくとも一方を指示する通知を移動体1へ送信する。
【0245】
次に、ステップS141において、移動体1の通信部19は、サーバ2Aによって送信された通知を受信する。
【0246】
次に、ステップS142において、運転制御部151は、通信部19によって受信された通知にしたがって、使用していない機能の起動及び使用している機能の性能の向上の少なくとも一方を実行する。
【0247】
本実施の形態2によれば、起動する機能及び性能を向上させる機能の少なくとも一方が自動的に指示されるので、移動体1は、指示された機能の起動及び指示された機能の性能の向上の少なくとも一方を自動的に実行することができる。
【0248】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。また、プログラムを記録媒体に記録して移送することにより、又はプログラムをネットワークを経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムによりプログラムが実施されてもよい。
【0249】
本開示の実施の形態に係る装置の機能の一部又は全ては典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0250】
また、本開示の実施の形態に係る装置の機能の一部又は全てを、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。
【0251】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。
【0252】
また、上記フローチャートに示す各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、同様の効果が得られる範囲で上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0253】
本開示にかかる技術は、移動体の電池の残寿命を移動体の車体の残寿命に近づけることができるので、電動の移動体の車体の残寿命と、移動体に搭載された電池残寿命とを管理する技術に有用である。
【符号の説明】
【0254】
1 移動体
2,2A サーバ
3 情報端末
4 ネットワーク
11 運転操作部
12 駆動部
13 前照灯
14 蓄電池
15,22,22A,32 プロセッサ
16 電池筐体振動センサ
17 車体振動センサ
18,23,35 メモリ
19,21,31 通信部
33 表示部
34 入力部
151 運転制御部
152 照明制御部
153 電池状態取得部
154 車体負荷送信制御部
155 電池負荷送信制御部
156 消費電力実測値測定部
221 車体負荷取得部
222 電池負荷取得部
223 車体残寿命算出部
224 電池残寿命算出部
225 消費電力実測値取得部
226 寿命短縮効果推定部
227 残寿命比較部
228,228A 指示部
231 充放電履歴記憶部
232 電池機械的負荷履歴記憶部
233 化学的電池残寿命記憶部
234 機械的電池残寿命記憶部
235 電池残寿命記憶部
236 移動体基本情報記憶部
237 車体初期寿命記憶部
238 車体機械的負荷履歴記憶部
239 車体残寿命記憶部
240 消費電力記憶部
241 消費電力実測値記憶部
242 寿命短縮効果記憶部
251 機能提示部
252,252A 機能決定部
253,253A 指示通知部
254 差分算出部
321 機能提示制御部
322 応答制御部
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