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特許7482444導光板、面光源装置、照明装置、建築部材及び導光板の製造方法
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  • 特許-導光板、面光源装置、照明装置、建築部材及び導光板の製造方法 図1
  • 特許-導光板、面光源装置、照明装置、建築部材及び導光板の製造方法 図2
  • 特許-導光板、面光源装置、照明装置、建築部材及び導光板の製造方法 図3
  • 特許-導光板、面光源装置、照明装置、建築部材及び導光板の製造方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】導光板、面光源装置、照明装置、建築部材及び導光板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240507BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
F21S2/00 431
F21V33/00 200
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020217869
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022102865
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】内藤 卓郎
(72)【発明者】
【氏名】内山 修平
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0022813(US,A1)
【文献】特開2015-076124(JP,A)
【文献】特開2009-047909(JP,A)
【文献】特開2001-324609(JP,A)
【文献】特開2010-066664(JP,A)
【文献】特開2011-145476(JP,A)
【文献】特開2006-150751(JP,A)
【文献】特開2013-206834(JP,A)
【文献】特開平04-328206(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0040959(US,A1)
【文献】特開2012-178345(JP,A)
【文献】特開2004-050685(JP,A)
【文献】特開2013-058334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面及び前記第1主面に背向する第2主面を有する透光性基板を備え、
前記透光性基板の少なくとも前記第1主面側に、各々が凸状の複数のプリズムが配置されており、
前記第1主面を平面視したときに、前記複数のプリズムのうち任意に指定された矩形領域に含まれる複数のプリズムの最大高さ粗さの10点平均値が50μm以上である、
導光板。
【請求項2】
第1主面及び前記第1主面に背向する第2主面を有する透光性基板を備え、
前記透光性基板の少なくとも前記第1主面側に複数のプリズムが配置されており、
前記第1主面を平面視したときに、前記複数のプリズムのうち任意に指定された1mm×1mmの矩形領域に含まれる複数のプリズムの平均高さが20μm以上である、
導光板。
【請求項3】
前記複数のプリズムが形成された面のヘイズが30%以上である、
請求項1又は2に記載の導光板。
【請求項4】
前記複数のプリズムの算術平均粗さが7μm以上である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の導光板。
【請求項5】
前記複数のプリズムにおいて、隣り合う2つのプリズムの平均距離が50μm以下である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の導光板。
【請求項6】
前記第1主面に撥液層が形成されており、
前記複数のプリズムは、前記撥液層の表面に形成されている、
請求項1~5のいずれか1項に記載の導光板。
【請求項7】
前記複数のプリズムは、紫外線硬化樹脂によって構成されている、
請求項6に記載の導光板。
【請求項8】
さらに前記透光性基板の前記第2主面側にも複数のプリズムが形成されている、
請求項1~7のいずれか1項に記載の導光板。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の導光板と、
前記導光板に入射する光を出射する光源と、を備える、
面光源装置。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の導光板と、
前記導光板に入射する光を出射する光源と、を備える、
照明装置。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載の導光板を備える、
建築部材。
【請求項12】
透光性基板の第1主面に向けて樹脂材料をミストにしてスプレー塗布することで前記透光性基板の第1主面側にプリズムを形成する導光板の製造方法であって、
前記ミストの平均ミスト径は、100μm以下である、
導光板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板、面光源装置、照明装置、建築部材及び導光板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、導光板を用いた種々の製品が知られている。例えば、導光板を用いた製品の一つとして、エッジライト型の照明装置が知られている。エッジライト型の照明装置は、透光性基板からなる導光板と、導光板の端面に対向して配置された光源とを備える。
【0003】
この種の照明装置に用いられる導光板として、特許文献1には、光出射面と光出射面と背向する背面とを有する透光性基板である透光性樹脂シートと、透光性樹脂シートの背面に設けられた各々が凸状の複数のプリズム(反射ドット)とを有する導光板が開示されている。これにより、導光板が面発光する照明装置を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-178345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された導光板では、インクジェット印刷により凸状のプリズムを形成している。しかしながら、インクジェット印刷により凸状のプリズムを形成すると、高密度で複数のプリズムを形成することが難しい。
【0006】
しかも、凸状のプリズムをインクジェット印刷で形成すると、プリズムの厚さが薄くなってしまう。例えば、インクジェット印刷で形成されたプリズムの厚さは、20μm以下になってしまう。この場合、厚塗りすることでインクジェット印刷でもプリズムの厚さを高くすることは可能ではあるが、厚塗りしてプリズムを形成すると、製造時間が長くなったり製造コストが高くなったりする。
【0007】
このように、特許文献1に開示された導光板では、インクジェット印刷により凸状のプリズムがドット状に複数形成されているので、その複数のプリズムは、厚さが薄くて低い密度で形成されている。このため、プリズムが形成された面(プリズム面)は、凸状のプリズムが複数形成されているものの、凹凸があまり感じられず、人が見た場合には平滑面に見える。したがって、特許文献1に開示された導光板は、立体的な質感を有するものではなく、意匠性に優れていない。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、面発光することができ且つ立体的な質感を有する導光板及び導光板の製造方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る導光板の一態様は、第1主面及び前記第1主面に背向する第2主面を有する透光性基板を備え、前記透光性基板の少なくとも前記第1主面側に、各々が凸状の複数のプリズムが配置されており、前記第1主面を平面視したときに、前記複数のプリズムのうち任意に指定された矩形領域に含まれる複数のプリズムの最大高さ粗さの10点平均値が50μm以上である。
【0010】
また、本発明に係る導光板の他の一態様は、第1主面及び前記第1主面に背向する第2主面を有する透光性基板を備え、前記透光性基板の少なくとも前記第1主面側に複数のプリズムが配置されており、前記第1主面を平面視したときに、前記複数のプリズムのうち任意に指定された1mm×1mmの矩形領域に含まれる複数のプリズムの平均高さが20μm以上である。
【0011】
また、本発明に係る面光源装置の一態様は、上記の導光板と、前記導光板に入射する光を出射する光源と、を備える。
【0012】
また、本発明に係る照明装置の一態様は、上記の導光板と、前記導光板に入射する光を出射する光源と、を備える。
【0013】
また、本発明に係る建築部材の一態様は、上記の導光板を備える。
【0014】
また、本発明に係る導光板の製造方法の一態様は、透光性基板の第1主面に向けて樹脂材料をミストにしてスプレー塗布することで前記透光性基板の第1主面側にプリズムを形成する導光板の製造方法であって、前記ミストの平均ミスト径は、100μm以下である。
【発明の効果】
【0015】
面発光することができ且つ立体的な質感のある導光板及びこの導光板を備える面光源装置等を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施の形態に係る照明装置の斜視図である。
図2図2は、実施の形態に係る照明装置の断面図である。
図3図3は、実施の形態に係る導光板の製造方法を説明するための図である。
図4図4は、実施の形態に係る導光板についての5つのサンプルの各々における凹凸面の凹凸状態を調べるために行った実験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びにステップ(工程)等は、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0018】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0019】
(実施の形態)
まず、実施の形態に係る照明装置1の構成について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、実施の形態に係る照明装置1の斜視図である。図2は、同照明装置1の断面図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、照明装置1は、発光する面光源装置の一例であり、光を導光する導光板10と、導光板10に導光させる光を出射する光源20と、光源20を保持する筐体30とを備える。
【0021】
導光板10は、光源20から出射した光を導光して導光板10の外部に出射する光学部材である。導光板10の平面視形状は、略矩形状であるが、これに限らない。本実施の形態において、導光板10は、透光性基板11と、撥液層12とを有する。
【0022】
透光性基板11は、少なくとも可視光領域において透光性を有する光学部材である。つまり、透光性基板11は、可視光を透過する光特性を有する。透光性基板11の透過率は、高い方がよく、少なくとも50%以上であるとよい。具体的には、透光性基板11は、可視光に対して透明な透明基板であるとよい。透明基板である透光性基板11は、向こう側が透けて見える程度に高い透過率を有している。この場合、透明基板である透光性基板11の可視光に対する透過率は70%以上であり、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。なお、透光性基板11は、可視光領域だけではなく、近赤外領域にも透光性を有していてもよい。つまり、透光性基板11は、可視光領域と近赤外領域とに透光性を有していてもよい。
【0023】
透光性基板11は、透光性を有する材料によって構成されている。透光性基板11は、例えば、透明樹脂材料によって構成された透明樹脂基板又は透明ガラス材料によって構成されたガラス基板等、可視光に対して透明な透明基板である。透明樹脂基板としては、アクリル樹脂によって構成されたアクリル基板、又は、ポリカーボネート樹脂によって構成されたポリカーボネート基板を用いることができる。なお、透明樹脂基板としては、フレキシブル性を有さないリジッド基板であってもよいし、フレキシブル性を有するフレキシブル基板であってもよい。本実施の形態では、透光性基板11として、リジッドで透明なアクリル基板を用いている。
【0024】
透光性基板11は、板状の基板である。具体的には、透光性基板11は、平面視形状が矩形状で平板状の基板である。一例として、透光性基板11の各々の厚みは、数mm~数cm程度であるが、これに限らない。
【0025】
透光性基板11は、第1端面11aと、第1端面11aとは反対側に位置する第2端面11bと、第1主面11cと、第1主面11cに背向する第2主面11dとを有する。
【0026】
第1端面11a及び第2端面11bの各々は、透光性基板11の複数の側面のうちの一つである。本実施の形態において、透光性基板11は、平面視形状が矩形状で平板状の基板であるので、第1端面11a及び第2端面11bの各々は、4つの側面のうちの一つであり、長尺矩形状である。第1端面11aと第2端面11bとは、透光性基板11の厚み方向と直交する方向において対向している。つまり、第2端面11bは、第1端面11aに背向している。一例として、第1端面11a及び第2端面11bは、各々が平坦面であって、略平行である。なお、第1端面11a及び第2端面11bは、平坦面に限るものではなく、凹状又は凸状に湾曲した湾曲面であってもよい。また、第1端面11a及び第2端面11bは、傾斜面であってもよい。
【0027】
第1主面11c及び第2主面11dは、平板状の透光性基板11を平面視したときに見える面である。本実施の形態において、透光性基板11は、平面視の形状が略矩形であるので、第1主面11c及び第2主面11dの形状は、略矩形である。また、第1主面11cと第2主面11dとは、平板状の透光性基板11の厚み方向において対向している。本実施の形態において、第1主面11c及び第2主面11dは、各々が平面であって、略平行である。
【0028】
また、透光性基板11は、導光板10としての導光機能を有する。つまり、透光性基板11に入射した光は、透光性基板11の内部を導光して進行し、透光性基板11から外部に出射する。したがって、透光性基板11は、光が入射する光入射面(入光面)と、光入射面から入射した光が外部に出射する光出射面(出光面)とを有する。
【0029】
本実施の形態において、透光性基板11の第1端面11aは、光源20から出射した光が入射する光入射面である。具体的には、第1端面11aは、光源20に対向している。つまり、第1端面11aは、光源20側の面であり、第2端面11bは、光源20側とは反対側の面である。
【0030】
また、透光性基板11の第2主面11dは、透光性基板11の内部を導光した光が透光性基板11の外部に出射する光出射面である。このため、第2主面11dは、透光性基板11を導光する光が外部に出射することで疑似的に発光する発光面となる。つまり、第2主面11dは、導光板10から光を取り出すための光取り出し面であり、照明装置1の正面(オモテ面)となる。したがって、照明装置1では、第2主面11dから照明光が照射される。なお、第1主面11cは、照明装置1の背面(ウラ面)となる。
【0031】
なお、透光性基板11の光出射面は、第2主面11dのみに限るものではない。つまり、第1端面11a以外の面も光出射面になってもよい。例えば、透光性基板11において、第2主面11dだけではなく、第1主面11c及び第2端面11bも光出射面になってもよい。
【0032】
透光性基板11の第1主面11cには、透光性を有する撥液層12が形成されている。撥液層12は、撥水性及び撥油性を有する撥水撥油膜である。撥液層12は、例えば、フッ素等の撥液性材料を含む透明樹脂材料によって構成されている。本実施の形態では、撥液層12は、フッ素系の透明樹脂材料によって構成されている。一例として、撥液層12の水接触角は、100°以上、より好ましくは110°以上であるが、これに限るものではない。
【0033】
撥液層12は、透光性基板11の第1主面11cの全面に形成されている。なお、撥液層12は、第1主面11cの全面に形成されていなくてもよい。例えば、撥液層12は、第1主面11cにおけるプリズム10aを付与する部分にのみ形成されていてもよい。
【0034】
図2に示すように、透光性基板11の少なくとも第1主面11c側に、各々が凸状の複数のプリズム10aが配置されている。本実施の形態において、複数のプリズム10aは、撥液層12の表面に形成されている。
【0035】
複数のプリズム10aは、各々が凸形状の複数の凸プリズムである。つまり、導光板10における第1主面11c側の表面は、複数のプリズム10aが形成された凸プリズム面である。このように、導光板10は、凸プリズムであるプリズム10aが複数形成された凸プリズム導光板である。
【0036】
複数のプリズム10aは、導光板10の内部を導光する光を反射する機能を有する。具体的には、複数のプリズム10aは、透光性基板11の内部を導光して撥液層12を透過した光を透光性基板11の第2主面11d側に向けて反射させる反射面(光制御面)を有する。このプリズム10aの反射面は、各プリズム10aにおける空気層との界面となる外表面である。このように、複数のプリズム10aの各々は、導光板10の内部を導光する光を反射させて導光板10の外部に取り出すための反射プリズムである。つまり、複数のプリズム10aは、光取り出し用の反射プリズムである。複数のプリズム10aが付与された導光板10の外表面は、プリズム付与面である。
【0037】
各プリズム10aはドーム状であり、各プリズム10aの外表面は、湾曲面又は球面等の曲面である。各プリズム10aは、一例として略半球形状又は略半楕円形状である。したがって、導光板10の厚み方向と平行な平面で切断したときに、各プリズム10aの断面形状は、半円形又は半楕円形である。なお、各プリズム10aは、厳密に半球形状又は半楕円形状でなくてもよく、半球形状又は楕円形状の一部が変形したものであってもよい。つまり、各プリズム10aは、半球形状又は半楕円形状に見えるものであればよい。
【0038】
複数のプリズム10aは、透光性樹脂材料によって構成されている。具体的には、複数のプリズム10aは、アクリル樹脂等の透明樹脂材料によって構成されている。本実施の形態において、複数のプリズム10aは、透明な紫外線硬化樹脂又は透明な熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂によって構成されている。本実施の形態において、複数のプリズム10aは、アクリル系のモノマー又はオリゴマーと光重合剤とからなる紫外線硬化樹脂によって構成されている。また、本実施の形態における複数のプリズム10aは、スプレー塗布により形成されている。詳細は後述するが、例えば、液状の硬化性樹脂をミスト噴霧して硬化することで複数のプリズム10aを形成することができる。
【0039】
このように形成される複数のプリズム10aは、ドット状に点在する反射ドットである。具体的には、複数のプリズム10aは、ランダムに密接して配置されている。つまり、複数のプリズム10aは、互いにランダムな位置関係で密集しており、高い密度分布で撥液層12の全面に形成されている。この場合、透光性基板11の第1主面11c側に形成された全てのプリズム10aにおいて、隣り合う2つのプリズム10aの平均距離は50μm以下になっているとよい。なお、隣り合う2つのプリズム10aは、連結していないことが好ましいが、複数のプリズム10aの中には、隣り合う2つのプリズム10aが連結しているものが含まれていてもよい。
【0040】
また、透光性基板11の第1主面11c側に形成された複数のプリズム10aの中は、互いの大きさが一定ではなく、上面視の大きさ(面積)及び高さが均一になっていないものが含まれていてもよい。つまり、導光板10に形成される複数のプリズム10aには、異なる大きさのプリズム10aが無数に含まれていてもよい。本実施の形態では、ほぼ全てのプリズム10aは互いに大きさが異なっている。つまり、ほぼ全てのプリズム10aは、直径及び高さが異なっている。
【0041】
このように、導光板10における第1主面11c側の表面は、無数のプリズム10aが敷き詰められた凹凸面(プリズム面)になっている。なお、本実施の形態において、導光板10における第2主面11d側の面は、プリズムが形成されていない面(非プリズム面)であって、平坦面になっている。具体的には、導光板10における第2主面11d側の面は、透光性基板11の第2主面11dである。
【0042】
光源20は、導光板10に入射させる光を出射する。光源20は、導光板10に向けて光を出射する。具体的には、光源20は、透光性基板11の第1端面11aに向けて光を出射する。したがって、透光性基板11の第1端面11aには、光源20から出射した光が入射する。本実施の形態において、光源20の光軸は、透光性基板11の第1端面11aに対して垂直であり、また、透光性基板11の第1主面11cと平行である。
【0043】
光源20は、導光板10の側方に配置されている。本実施の形態において、光源20は、導光板10の透光性基板11の第1端面11aに対向して配置されており、光源20の光出射面は、透光性基板11の第1端面11aに対面している。つまり、照明装置1は、エッジライト型の照明装置である。本実施の形態において、光源20の光軸は、透光性基板11の第1端面11aに対して垂直であり、また、透光性基板11の第1主面11cと平行である。
【0044】
光源20は、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)を含むLEDモジュールである。本実施の形態において、光源20は、白色光を出射する。したがって、光源20から放射した白色光は、透光性基板11の光入射面である第1端面11aに入射する。
【0045】
光源20は、発光素子21と、発光素子21が実装された実装基板22とを有する。実装基板22には、1個又は複数の発光素子21が実装されている。本実施の形態では、複数の発光素子21が実装基板22に実装されている。実装基板22は、長尺状の基板であり、例えば金属配線が所定のパターンで形成された配線基板である。実装基板22のベース基板としては、樹脂基板、セラミック基板又は絶縁被膜された金属基板等を用いることができる。
【0046】
発光素子21は、LEDによって構成されたLED光源である。具体的には、発光素子21は、白色光を放射する白色LED光源である。発光素子21は、例えば、個々にパッケージ化された表面実装(SMD:Surface Mount Device)型のLED素子であり、凹部を有する樹脂製又はセラミック製の白色の容器(パッケージ)と、容器の凹部の底部に一次実装された1つ以上のLEDチップと、容器の凹部内に充填されてLEDチップを封止する封止部材とを備える。封止部材は、例えばシリコーン樹脂等の透光性樹脂材料で構成されている。封止部材は、蛍光体等の波長変換材が含有された蛍光体含有樹脂であってもよい。
【0047】
LEDチップは、所定の直流電力により発光する半導体発光素子の一例であって、単色の可視光を発するベアチップである。LEDチップは、例えば、通電されれば青色光を発する青色LEDチップである。この場合、白色光を得るために、封止部材には、青色LEDチップからの青色光を励起光として蛍光発光するYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)等の黄色蛍光体が含有される。
【0048】
このように、本実施の形態における発光素子21は、青色LEDチップと黄色蛍光体とによって構成された白色LED素子である。具体的には、黄色蛍光体は青色LEDチップが発した青色光の一部を吸収して励起されて黄色光を放出し、この黄色光と黄色蛍光体に吸収されなかった青色光とが混ざって白色光となる。なお、封止部材には、黄色蛍光体だけに限らず、赤色蛍光体及び緑色蛍光体が含まれていてもよい。
【0049】
複数の発光素子21は、実装基板22の長手方向に沿って実装基板22にライン状に配列されている。ライン状に配列された複数の発光素子21は、ライン状に光を発するライン光源として機能する。本実施の形態において、複数の発光素子21は、実装基板22の長手方向に沿ってほぼ等間隔で一列に実装されている。なお、各発光素子21は、主発光面が、透光性基板11の第1端面11a(光入射面)に対向するように実装基板22に配置されている。
【0050】
なお、光源20は、SMDタイプのLEDモジュールではなく、COB(Chip On Board)タイプのLEDモジュールであってもよい。光源20がCOBタイプのLEDモジュールである場合、LEDチップである発光素子が実装基板22に直接実装される。この場合、例えば、発光素子として青色LEDチップを用いて、この青色LEDチップを実装基板22に一列に複数実装して、黄色蛍光体が含有されたシリコーン樹脂からなる封止部材によって青色LEDチップを個々に又は一括に封止すればよい。
【0051】
また、光源20とは別に又は光源20の一部として、必要に応じて、光源20から出射する光の配光を変更するレンズ等の配光可変機構、光源20から出射する光の波長を制御するフィルタ、又は、光源20から出射する光を散乱透過させる拡散板等の光学部材が設けられていてもよい。
【0052】
光源20は、図示しない電源ユニットから供給される電力によって駆動される。電源ユニットは、例えば、複数の回路部品が実装された回路基板からなる電源(電源回路)と電源を収納する筐体とを有する。電源は、電源ユニットが受電した電力を所定の電力に変換して、光源20に電力を供給する。これにより、光源20が駆動されて発光する。電源ユニットは、照明装置1が備えていてもよいし、照明装置1とは別置されていてもよい。つまり、照明装置1は、電源内蔵型であってもよいし、外部電源から電力を供給するものであってもよい。
【0053】
光源20は、筐体30に配置されている。筐体30は、例えば、開口部を有する有底筒状の箱型の収納部材である。筐体30は、例えば、金属材料又は樹脂材料によって構成されている。光源20は、筐体30の底部に配置される。この場合、光源20の実装基板22が筐体30の底面に載置される。なお、光源20と筐体30とは、光源ユニットとして一体に構成されていてもよい。また、本実施の形態において、筐体30の開口部は、導光板10の第1端面11aによって塞がれているが、これに限らない。
【0054】
次に、本実施の形態における照明装置1の光学作用について、図2を参照して説明する。
【0055】
本実施の形態における照明装置1では、光源20から出射した光は、導光板10の光源20側の端面から導光板10の内部に入射する。具体的には、光源20から出射した光は、導光板10の透光性基板11の第1端面11aから入射して透光性基板11の内部に入射する。
【0056】
透光性基板11に入射した光源20の光は、導光板10における第1主面11c側の表面と第2主面11d側の表面とで全反射を繰り返しながら、透光性基板11の第1端面11aから第2端面11bに向かって導光板10内を導光する。
【0057】
そして、導光板10内を導光する光の一部は、透光性基板11の第1主面11cから撥液層12を介してプリズム10aに到達する。プリズム10aに到達した光の一部又は全部は、プリズム10aと空気層との界面で全反射して反射光となる。この反射光は、透光性基板11の第2主面11dに向かって進行することになり、導光板10の第2主面11d側の外面から導光板10の外部に出射する。
【0058】
このように、照明装置1では、導光板10に入射した光を、透光性基板11の第1主面11c側に形成されたドット状の複数のプリズム10aによって反射させて、非プリズム面である導光板10の光取り出し面(本実施の形態では透光性基板11の第2主面11d)から導光板10の外部に取り出すことができる。つまり、照明装置1では、導光板10の端面から入射させた光源20の光を面状の照明光として取り出すことができる。
【0059】
次に、本実施の形態に係る照明装置1に用いられる導光板10の製造方法について、図3を用いて説明する。図3は、実施の形態に係る導光板10の製造方法を説明するための図である。
【0060】
本実施の形態に係る導光板10の製造方法では、まず、図3の(a)に示すように、透光性基板11を準備する。透光性基板11としては、例えば、平面視形状が矩形のアクリル板を用いることができる。
【0061】
次に、図3の(b)に示すように、透光性基板11の表面に撥液処理を施す。具体的には、透光性基板11の第1主面11cの表面に撥液層12を形成する。撥液層12は、例えば、透光性基板11の第1主面11cに撥液層12となる樹脂材料を塗布することで形成することができる。
【0062】
次に、図3の(c)に示すように、透光性基板11の第1主面11cに向けて、プリズム10aを形成するための樹脂塗料をミスト100にしてスプレー塗布する。つまり、プリズム10aを形成するための樹脂塗料のミスト100を透光性基板11の第1主面11cに向けて噴霧する。ミスト100をスプレー塗布する場合、例えば、スプレーガン等のミスト噴霧装置2を備えるスプレー設備を用いることができる。
【0063】
本実施の形態では、透光性基板11の第1主面11cに撥液層12が形成されているので、プリズム10aを形成するための樹脂塗料をミスト100にして撥液層12の表面に向けてスプレー塗布する。なお、本実施の形態において、樹脂塗料は、スプレー塗布できる程度の粘度(例えば100mPa・s以下程度)を有する無溶剤の樹脂を単独で用いたものであるが、これに限るものではなく、樹脂塗料には溶剤が含まれていてもよい。例えば、樹脂塗料として、樹脂固形分が溶剤中に含有されたものを用いてもよい。つまり、スプレー塗布することができる樹脂塗料であれば、その樹脂塗料には、溶剤が含まれていなくてもよいし、溶剤が含まれていてもよい。
【0064】
なお、本実施の形態において、プリズム10aの材料は、透光性基板11と同じ樹脂系材料を用いている。具体的には、透光性基板11は、アクリル基板であるので、プリズム10aの材料もアクリル系樹脂材料を用いている。本実施の形態では、プリズム10aの材料として、アクリル系樹脂と光重合剤とからなる透明な紫外線硬化樹脂を用いている。したがって、プリズム10aを形成するための樹脂塗料としては、紫外線硬化樹脂塗料を用いている。なお、プリズム10aの材料と透光性基板11の材料とは、同じでなくてもよい。例えば、プリズム10aの材料をアクリル系樹脂材料とし、透光性基板11の材料をガラスとしてもよい。
【0065】
このように、プリズム10aを形成するための樹脂塗料をミスト100にして撥液層12の表面に向けてスプレー塗布することで、図3の(d)に示すように、この樹脂塗料のミスト100が撥液層12の表面全体にドット状に複数形成される。このとき、ミスト100は、撥液層12による表面張力によって濡れ広がることが抑制されて各々が略半球状となり、厚さが20μmを超える厚い厚さで形成される。つまり、ミスト100は、全体として粒々が感じられる状態で撥液層12の表面にランダム且つ高密度で密集して付与される。この場合、上述した大きさ及び高い密度分布で複数のプリズム10aを形成するには、ミスト100の平均ミスト径は、100μm以下であるとよい。
【0066】
なお、プリズム10aを形成するための樹脂塗料のミスト100をスプレー塗布する際、ミスト噴霧装置として、回転霧化方式のスプレー塗布装置を用いるとよい。これにより、霧状の樹脂塗料を基材表面(本実施の形態では撥液層12の表面)にランダム且つ高密度に容易に塗着させることができる。
【0067】
その後、ミスト100を硬化させる。本実施の形態では、ミスト100は、紫外線硬化樹脂塗料であるので、ミスト100が付与された透光性基板11に紫外線を照射する。これにより、ミスト100が硬化して、図2に示されるように、複数のプリズム10aが形成された導光板10が完成する。このようにして製造された導光板10は、スプレー塗布によりプリズム10aが形成された塗布型導光板である。
【0068】
このように、本実施の形態における導光板10では、スプレー塗布によりドット状のプリズム10aを形成しているので、厚さが厚いプリズム10aを高密度且つランダムな配置で容易に形成することができる。
【0069】
このため、複数のプリズム10aが形成された面(プリズム面)は、立体的に凹凸が感じられ、人が見た場合には凹凸面に見える。したがって、本実施の形態に係る導光板10は、立体的な質感を有する独特なものとなり、意匠性に優れている。これにより、本実施の形態のように、この導光板10が外観として露出している形態の照明装置である場合、意匠性に優れたものとなる。
【0070】
また、本実施の形態では、複数のプリズム10aを付与することで凹凸が立体的に感じられる凹凸面を形成することができるので、グレアレスの表面を有する導光板10を実現することができる。これにより、この導光板10が外観として露出している形態の照明装置1では、グレアレスを実現することもできる。
【0071】
ここで、スプレー塗布により形成された複数のプリズム10aからなる凹凸面の凹凸状態について実験を行った。その実験結果を図4に示す。図4は、実施の形態に係る導光板10についての5つのサンプル(実施例)の各々における凹凸面(プリズム面)の凹凸状態を調べるために行った実験の結果を示す図である。5つのサンプル(導光板)については、いずれもスプレー塗布によりドット状のプリズム10aからなる凹凸面を形成しているが、スプレー塗布によるミスト100の塗布量(噴霧量)を変更することで凹凸面の凹凸状態を変更した。ミスト100の塗布量(噴霧量)は、例えば、スプレー設備からの樹脂塗料の吐出量を調整することで変更することができる。
【0072】
なお、図4では、各サンプルにおける第1主面11c側の凹凸面(プリズム面)についての、外観、算術平均粗さRa、最大高さ粗さRzの10点平均値、プリズムの平均高さ、ヘイズ、面発光及び質感を示している。ここで、図4において、「面発光」とは、サンプルの端面から光を入射させたときに、サンプルが面発光する場合を「〇」とし、サンプルが面発光しなかった場合を「×」とした。また、「質感」は、凹凸が立体的に感じられる場合を「〇」とし、凹凸が立体的に感じられない場合を「×」とした。
【0073】
その結果、図4に示すように、塗布量が最も少ないサンプル1については、プリズム面の外観写真に見られるように、プリズム10aが少なくまばらになっている(つまり低密度で分布している)。このため、サンプル1については、プリズム10aは少なすぎて基材表面(本実施の形態では撥液層12の表面)の多くが露出しているので、プリズム面はほぼ平滑面になっていた。したがって、サンプル1では、凹凸面の質感が悪く、凹凸が立体的に感じられなかった。また、プリズム10aが少なかったからであると推測されるが、サンプル1ではプリズム10aが反射プリズムとして所望に機能せず、サンプル1は面発光しなかった。
【0074】
なお、サンプル1において、プリズム面の算術平均粗さRaは1μmであり、プリズム10aの最大高さ粗さRzの10点平均値は12.9μmであり、プリズム10aの平均高さは7.3μmであり、プリズム面のヘイズは19.9%であった。
【0075】
また、塗布量が最も多いサンプル5については、プリズム面の外観写真に見られるように、逆にプリズム10aが多すぎたために、プリズム面の全領域において隣り合う2つのプリズム10a同士が連結してしまい、この結果、プリズム面が平滑な面に近づいてしまった。したがって、サンプル5についても、凹凸面の質感が悪く、凹凸が立体的に感じられなかった。また、ほとんどのプリズム10aにおいて隣り合う2つのプリズム10a同士が連結してしまったからであると推測されるが、サンプル5でもプリズム10aが反射プリズムとして所望に機能せず、サンプル5も面発光しなかった。
【0076】
なお、サンプル5において、プリズム面の算術平均粗さRaは5μmであり、プリズム10aの最大高さ粗さRzの10点平均値は19.7μmであり、プリズム10aの平均高さは20μm未満であり、プリズム面のヘイズは30%未満であった。
【0077】
このように、サンプル1、5の結果から分かるように、プリズム10aを形成する際のスプレー塗布による樹脂塗料の塗布量が少なすぎたり多すぎたりすると、樹脂塗布面の凹凸が立体的に感じられずに人が見た場合には平滑面に見えてしまうとともに、面発光させることができなくなる。つまり、サンプル1、5の導光板は、意匠性が悪いので導光板が露出する形態の照明装置に適しておらず、しかも、端面から光を入射しても面発光しないのでエッジライト型の照明装置にも適していない。
【0078】
これに対して、サンプル2については、プリズム面の外観写真に見られるように、プリズム10aが緻密で高密度に形成されており、また、凹凸面の質感がよく、凹凸が立体的に感じられた。また、サンプル3については、サンプル2と比べてプリズム10aの密度分布がやや粗かったものの、凹凸面の質感がよく、凹凸が立体的に感じられた。同様に、サンプル4については、サンプル2と比べてプリズム10aの密度分布が粗かったものの、凹凸面の質感がよく、凹凸が立体的に感じられた。
【0079】
しかも、サンプル2、3、4については、プリズム10aが適切な大きさ及び適切な密度分布で形成されているので、プリズム10aが反射プリズムとして所望に機能し、いずれも面発光した。
【0080】
なお、サンプル2において、プリズム面の算術平均粗さRaは11.4μmであり、プリズム10aの最大高さ粗さRzの10点平均値は90.2μmであり、プリズム10aの平均高さは25.9μmであり、プリズム面のヘイズは62.6%であった。
【0081】
また、サンプル3において、プリズム面の算術平均粗さRaは20.3μmであり、プリズム10aの最大高さ粗さRzの10点平均値は153.2μmであり、プリズム10aの平均高さは47.1μmであり、プリズム面のヘイズは76.4%であった。
【0082】
また、サンプル4において、プリズム面の算術平均粗さRaは34.4μmであり、プリズム10aの最大高さ粗さRzの10点平均値は178μmであり、プリズム10aの平均高さは53.3μmであり、プリズム面のヘイズは77.7%であった。
【0083】
そして、本願発明者らがさらに実験を繰り返して、面発光することができ且つ立体的な質感を有する導光板を得るためのプリズム10aの条件を検討した結果、以下の態様でプリズム10aが形成されていることで、面発光することができ且つ立体的な質感を有する導光板を得ることが分かった。
【0084】
すなわち、導光板10におけるプリズム10aが形成された凹凸面(プリズム面)において、第1主面11cを平面視したときに、複数のプリズム10aのうち任意に指定された矩形領域に含まれる複数のプリズム10aの最大高さ粗さ(Rz)の10点平均値が50μm以上になっているとよい。これにより、面発光することができ且つ立体的な質感を有する導光板10を得ることができる。なお、複数のプリズム10aの最大高さ粗さ(Rz)の10点平均値は、好ましくは90μm以上であり、より好ましくは150μm以上である。また、複数のプリズム10aのうち任意に指定された矩形領域に含まれる複数のプリズム10aの最大高さ粗さ(Rz)の10点平均値の上限値は、特に限定されるものではないが、一例として、200μmである。つまり、複数のプリズム10aのうち任意に指定された矩形領域に含まれる複数のプリズム10aの最大高さ粗さ(Rz)の10点平均値は、200μm以下であるとよい。
【0085】
また、導光板10におけるプリズム10aが形成された凹凸面(プリズム面)において、第1主面11cを平面視したときに、複数のプリズム10aのうち任意に指定された1mm×1mmの矩形領域に含まれる複数のプリズム10aの平均高さは、20μm以上になっているとよい。これにより、面発光することができ且つ立体的な質感を有する導光板10を得ることができる。なお、複数のプリズム10aの平均高さは、好ましくは45μm以上であり、より好ましくは50μm以上である。また、複数のプリズム10aの平均高さの上限値は、特に限定されるものではないが、一例として、80μmである。つまり、複数のプリズム10aの平均高さは、80μm以下であるとよい。
【0086】
また、導光板10のプリズム10aが形成された凹凸面(プリズム面)における複数のプリズム10aの算術平均粗さRaは、7μm以上であるとよい。これにより、面発光することができ且つ立体的な質感を有する導光板10を得ることができる。なお、複数のプリズム10aの算術平均粗さRaは、好ましくは10μm以上であり、より好ましくは20μm以上であり、より好ましくは30μm以上である。また、複数のプリズム10aの算術平均粗さRaの上限値は、特に限定されるものではないが、一例として、50μmである。つまり、複数のプリズム10aの算術平均粗さRaは、50μm以下であるとよい。
【0087】
以上の条件は、少なくとも一つ満たしていればよいが、複数条件を満たすことで、面発光することができ且つ立体的な質感を有する導光板10がより得られやすくなる。
【0088】
また、導光板10におけるプリズム10aが形成された凹凸面(プリズム面)のヘイズは、30%以上であるとよい。つまり、導光板10のプリズム面側のヘイズは、30%以上であるとよい。これにより、面発光することができ且つ立体的な質感を有する導光板10を容易に得ることができる。なお、導光板10の凹凸面のヘイズは、好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに70%以上であるとよい。また、導光板10の凹凸面のヘイズの上限値は、特に限定されるものではないが、一例として、90%である。
【0089】
また、導光板10におけるプリズム10aが形成されていない面(非プリズム面)の拡散反射率は、9%以上であるとよい。例えば、人の比視感度が最も高い波長は555nmであるので、導光板10の透光性基板11の第2主面11d(非プリズム面)にハロゲンランプを光源とする測定光を照射したときの555nmにおける拡散反射率が9%以上であるとよい。これにより、面発光することができ且つ立体的な質感を有する導光板10を容易に得ることができる。
【0090】
また、導光板10に付与された複数のプリズム10aは、高密度に密接しているとよい。この場合、複数のプリズム10aにおいて、隣り合う2つのプリズムの平均距離が50μm以下であるとよい。これにより、面発光することができ且つ立体的な質感を有する導光板10を一層容易に得ることができる。
【0091】
(変形例)
以上、本発明に係る照明装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0092】
例えば、上記実施の形態における導光板10では、透光性基板11の第1主面11c側のみに複数のプリズム10aが形成されていたが、これに限らない。つまり、透光性基板11の第1主面11c側だけではなく、透光性基板11の第2主面11d側にも複数のプリズム10aが形成されていてもよい。つまり、透光性基板11の第1主面11c側と第2主面11d側との両面に複数の凸状のプリズム10aが形成されていてもよい。
【0093】
この場合、撥液層12も透光性基板11の片面ではなく透光性基板11の両面に形成してもよい。つまり、撥液層12は、透光性基板11の第1主面11cだけではなく第2主面11dにも形成されていてもよい。なお、上記実施の形態のように、透光性基板11の第1主面11c側のみに複数のプリズム10aが形成されている場合であっても、透光性基板11に撥液処理を施す際に透光性基板11の両面全面に撥液層12を形成してもよい。
【0094】
また、上記実施の形態において、導光板10は、撥液層12を有していたが、必ずしも撥液層12を形成する必要はない。つまり、複数のプリズム10aは、透光性基板11の第1主面11cに直接形成されていてもよい。ただし、撥液層12を形成することで、厚さが厚いプリズム10aを容易に形成することができる。つまり、立体的に感じられる凹凸面を容易に形成することができる。
【0095】
また、上記実施の形態において、導光板10は、照明装置又は面光源装置に用いる場合について説明したが、これに限らない。例えば、上記実施の形態に係る導光板10は、建築部材等の他の製品に用いられていてもよい。例えば導光板10を建築部材に組み込むことで、質感があって意匠性が高く導光機能を有する建築部材を実現することができる。
【0096】
また、上記実施の形態において、光源20は、青色LEDチップと黄色蛍光体とによって白色光を放出するように構成したが、これに限らない。例えば、黄色蛍光体を用いずに、赤色蛍光体及び緑色蛍光体を含有する蛍光体含有樹脂を用いて、これと青色LEDチップとを組み合わせることによりに白色光を放出するように構成してもよい。
【0097】
また、上記実施の形態において、光源20の発光素子21は、青色光を発する青色LEDチップを用いたものであったが、これに限らない。例えば、発光素子21は、青色以外の色を発光するLEDチップを用いたものであってもよい。例えば、発光素子21は、紫外光を発するLEDチップを用いたものであってもよい。この場合、蛍光体粒子としては、三原色(赤色、緑色、青色)に発光する各色蛍光体を組み合わせたものを用いることができる。さらに、波長変換材として蛍光体を用いたが、蛍光体以外の波長変換材を用いてもよい。例えば、波長変換材として、半導体、金属錯体、有機染料、顔料など、ある波長の光を吸収し、吸収した光とは異なる波長の光を発する物質を含んでいる材料を用いてもよい。
【0098】
また、上記実施の形態において、光源20は、白色光を出射したが、これに限らない。例えば、光源20の光色は、赤色光、青色光、緑色光、黄色光又は紫色光等のカラー光を出射するように構成されていてもよい。また、光源20の色温度及び明るさについても、特に限定されるものではない。
【0099】
また、上記実施の形態において、光源20は、LEDを用いたLEDモジュールとしたが、これに限るものではない。例えば、光源20は、半導体レーザ又は有機EL(Electro Luminescence)等、LED以外の固体発光素子を用いたものであってもよいし、冷陰極管(CCFL)等の蛍光ランプであってもよい。
【0100】
その他、上記実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0101】
1 照明装置
10 導光板
10a プリズム
11 透光性基板
11c 第1主面
11d 第2主面
12 撥液層
100 ミスト
図1
図2
図3
図4