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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】筋肉量の測定方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20240507BHJP
   A61B 6/50 20240101ALI20240507BHJP
【FI】
A61B6/03 560C
A61B6/03 560D
A61B6/50 500Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022198507
(22)【出願日】2022-12-13
(65)【公開番号】P2023109150
(43)【公開日】2023-08-07
【審査請求日】2022-12-13
(31)【優先権主張番号】111103422
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】502250743
【氏名又は名称】國立成功大學
【氏名又は名称原語表記】NATIONAL CHENG KUNG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】蔡 依珊
(72)【発明者】
【氏名】頼 兪▲旋▼
(72)【発明者】
【氏名】王 博
(72)【発明者】
【氏名】頼 政詩
(72)【発明者】
【氏名】陳 昭芸
(72)【発明者】
【氏名】呉 孟珍
(72)【発明者】
【氏名】郭 柏村
(72)【発明者】
【氏名】李 宗翰
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/107500(WO,A1)
【文献】特表2015-530155(JP,A)
【文献】特開2017-202311(JP,A)
【文献】特開2016-087222(JP,A)
【文献】特表2020-519348(JP,A)
【文献】特開2004-081394(JP,A)
【文献】特表平04-505863(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0333238(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ断層撮影スキャン画像を提供し、且つウィンドウ幅が300 HU乃至500 HUの間の範囲であり、ウィンドウレベルが40 HU乃至50 HUの間の範囲である条件において、第一フレーム選択情報を取得するように前記コンピュータ断層撮影スキャン画像上で第一筋膜領域をフレーム選択し、前記第一筋膜領域の選択範囲内には第二フレーム選択情報を取得するように第一筋肉及び第二筋膜領域を含み、前記第二筋膜領域の選択範囲内には第二筋肉を含む第一選択ステップと、
前記コンピュータ断層撮影スキャン画像のHU値が-29 HU乃至150 HUの間の範囲である条件において、前記第一筋肉の第一筋肉情報を取得するように前記フレーム選択した第一筋膜領域内の画素値を計算して、前記第二筋肉の第二筋肉情報を取得するように前記フレーム選択した第二筋膜領域内の画素値を計算する第二選択ステップと、を含むことを特徴とする筋肉量の測定方法。
【請求項2】
前記コンピュータ断層撮影スキャン画像は第三椎骨の水平コンピュータ断層撮影スキャン画像または第四椎骨の水平コンピュータ断層撮影スキャン画像であり、
前記第一筋肉または前記第二筋肉は腹横筋、腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋、腰筋、腰方形筋、傍脊柱筋群、またはそれらの組み合わせからなる群から選択されていることを特徴とする請求項1に記載の筋肉量の測定方法。
【請求項3】
前記第一選択ステップの後に、前記第一フレーム選択情報及び前記第二フレーム選択情報を記録モジュールに保存し、前記第二選択ステップの後に、前記第一筋肉情報及び前記第二筋肉情報を前記記録モジュールに保存する記録ステップを更に含むことを特徴とする請求項に記載の筋肉量の測定方法。
【請求項4】
前記第一選択ステップにおいて、分析モジュールを利用して前記コンピュータ断層撮影スキャン画像上で前記第一筋膜領域及び前記第二筋膜領域を自動的にフレーム選択し、前記分析モジュールはフレーム選択参照物を受信し、且つ前記フレーム選択参照物がフレーム選択した範囲内の詳細な特徴を整理、帰納し、且つ前記詳細な特徴により前記第一フレーム選択情報及び前記第二フレーム選択情報を取得するように前記コンピュータ断層撮影スキャン画像上で前記詳細な特徴と同じ部分をフレーム選択することを特徴とする請求項に記載の筋肉量の測定方法。
【請求項5】
前記記録ステップの後に、演算モジュールを利用して前記第一筋肉情報及び前記第二筋肉情報を数字化する方式で前記第一筋肉及び前記第二筋肉の質量、密度、または分布を表示するインテリジェント演算ステップを更に含み、前記演算モジュールは前記第一筋肉情報及び前記第二筋肉情報を受信するように前記記録モジュールに信号を接続することを特徴とする請求項に記載の筋肉量の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出方法に関し、より詳しくは、コンピュータ断層撮影スキャンを使用して筋肉量を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「サルコペニア」は筋肉の疾病の一種であり、全身の普遍的な骨格筋の重量及び機能が持続的に減少し、骨格筋の筋肉量の減少に伴って、歩行が遅くなり、握力が低下し、行動が困難になり、転倒し易くなり、体重が減少する等し、生活品質が重大な影響を受け、障害を負うことにもなった。サルコペニアは通常老化や慢性疾患に伴って発症し、早期に発見できずに障害の初期に適切な治療を受けれなければ、軽症だったものが手足に力が入らなくなり、転倒が増えることになり、重症になって障害のために寝たきりになり、失うものが多くなった。
【0003】
従来の特許文献では、例えば、下記特許文献1には、「被験者が乗り物から立ち上がった後、物品の周りを所定の距離歩き、物品の周りを歩くのにかかった時間を計算することで、被験者がサルコペニアを患っているかどうか判断する、機能的体力測定によりサルコペニアをスクリーニングする方法」が開示されている。しかしながら、人体の身体能力及び運動能力は、測定時に毎回一定の誤差が生じ、且つ疲労と測定回数の累積により体力が徐々に低下する。体力測定の結果に影響する外的要因が多いため、体力でサルコペニアの実際の状況を判断するのは難しく、誤判断が発生することもある。また、例えば、下記特許文献2には、「被験者の歩行速度値及び握力値を測定することで被験者がサルコペニア罹患者であるかどうかを判定する、サルコペニアの簡易検査方法及びシステム」が開示されている。当然ながら、前記案で使用する検査方法及び特許文献1が提供するスクリーニング方法は同様に、結果及び精確性に影響する誤差または外的要因が存在するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】台湾特許出願公開第646943号公告
【文献】台湾特許出願公開第652039号公告
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、上記目的を達成するために本発明者が鋭意検討したところ、サルコペニア患者が治療のゴールデンタイムを逃さないようにするために、筋肉量を精確に検査可能な方法を提供し、上記技術課題を解決し得ることを見出し、本知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、上述のような問題点を解決することを課題の一例とする。すなわち、本発明は、コンピュータ断層撮影スキャン画像上で筋膜領域を自動的にフレーム選択し、適合するHU値に調整することでフレーム選択領域内の筋肉量を強調し、人体の筋肉の質量を検査する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、本発明は筋肉量の測定方法が提供される。本発明に係る筋肉量の測定方法は、コンピュータ断層撮影スキャン画像を提供し、且つウィンドウ幅が300 HU乃至500 HUの間の範囲であり、ウィンドウレベルが40 HU乃至50 HUの間の範囲である条件において、フレーム選択情報を取得するように前記コンピュータ断層撮影スキャン画像上で筋膜領域をフレーム選択し、前記筋膜領域の選択範囲内には筋肉を含む第一選択ステップと、前記コンピュータ断層撮影スキャン画像のHU値が29 HU乃至150 HUの間の範囲である条件において、前記筋肉の筋肉情報を取得するように前記フレーム選択した筋膜領域内の画素値を計算する第二選択ステップと、を含む。
【0008】
また、本発明は筋肉量の測定方法をさらに提供する。本発明に係る筋肉量の測定方法は、コンピュータ断層撮影スキャン画像を提供し、且つウィンドウ幅が300 HU乃至500 HUの間の範囲であり、ウィンドウレベルが40 HU乃至50 HUの間の範囲である条件において、第一フレーム選択情報を取得するように前記コンピュータ断層撮影スキャン画像上で第一筋膜領域をフレーム選択し、第二フレーム選択情報を取得するように第一筋肉及び第二筋膜領域を含み、前記第二筋膜領域の選択範囲内には第二筋肉を含む第一選択ステップと、前記コンピュータ断層撮影スキャン画像のHU値が-29 HU乃至150 HUの間の範囲である条件において、前記第一筋肉の第一筋肉情報を取得するように前記フレーム選択した第一筋膜領域内の画素値を計算し、前記第二筋肉の第二筋肉情報を取得するように前記フレーム選択した第二筋膜領域内の画素値を計算する第二選択ステップと、を含む。
【0009】
より好ましくは、前記コンピュータ断層撮影スキャン画像は第三椎骨の水平コンピュータ断層撮影スキャン画像または第四椎骨の水平コンピュータ断層撮影スキャン画像であり、前記筋肉は、腹横筋、腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋、腰筋、腰方形筋、傍脊柱筋群、またはそれらの組み合わせからなる群から選択されている。
【0010】
より好ましくは、前記コンピュータ断層撮影スキャン画像は第三椎骨の水平コンピュータ断層撮影スキャン画像または第四椎骨の水平コンピュータ断層撮影スキャン画像であり、前記第一筋肉または前記第二筋肉は腹横筋、腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋、腰筋、腰方形筋、傍脊柱筋群、またはそれらの組み合わせからなる群から選択されている。
【0011】
より好ましくは、前記第一選択ステップの後に、前記フレーム選択情報を記録モジュールに保存し、前記第二選択ステップの後に、前記筋肉情報を前記記録モジュールに保存する記録ステップを更に含む。
【0012】
より好ましくは、前記第一選択ステップの後に、前記第一フレーム選択情報及び前記第二フレーム選択情報を記録モジュールに保存し、前記第二選択ステップの後に、前記第一筋肉情報及び前記第二筋肉情報を前記記録モジュールに保存する記録ステップを更に含む。
【0013】
より好ましくは、前記第一選択ステップにおいて、分析モジュールを利用して前記コンピュータ断層撮影スキャン画像上で前記筋膜領域を自動的にフレーム選択し、前記分析モジュールはフレーム選択参照物を受信し、且つ前記フレーム選択参照物がフレーム選択した範囲内の詳細な特徴を整理、帰納し、且つ前記フレーム選択情報を取得するように前記コンピュータ断層撮影スキャン画像上で前記詳細な特徴と同じ部分をフレーム選択する。
【0014】
より好ましくは、前記記録ステップの後に、演算モジュールを利用して前記筋肉情報を数字化する方式により前記筋肉の質量、密度、または分布を表示するインテリジェント演算ステップを更に含み、前記演算モジュールは前記筋肉情報を受信するように前記記録モジュールに信号を接続する。
【0015】
より好ましくは、前記第一選択ステップにおいて、分析モジュールを利用して前記コンピュータ断層撮影スキャン画像上で前記第一筋膜領域及び前記第二筋膜領域を自動的にフレーム選択し、前記分析モジュールはフレーム選択参照物を受信し、且つ前記フレーム選択参照物がフレーム選択した範囲内の詳細な特徴を整理、帰納し、且つ前記詳細な特徴により前記第一フレーム選択情報及び前記第二フレーム選択情報を取得するように前記コンピュータ断層撮影スキャン画像上で前記詳細な特徴と同じ部分をフレーム選択する。
【0016】
より好ましくは、前記記録ステップの後に、演算モジュールを利用して前記第一筋肉情報及び前記第二筋肉情報を数字化する方式で前記第一筋肉及び前記第二筋肉の質量、密度、または分布を表示するインテリジェント演算ステップを更に含み、前記演算モジュールは前記第一筋肉情報及び前記第二筋肉情報を受信するように前記記録モジュールに信号を接続する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0018】
本発明は体力測定方式でサルコペニアを判定するのではなく、コンピュータ断層撮影スキャン技術を使用して精確な筋肉量データを獲得し、精確に判定する効果を達成し、後続の治療やリハビリ段階で筋肉を追跡し、筋肉量の増加効果を記録する。また、本発明はコンピュータ断層撮影スキャンを使用して筋肉量を検査する際に、検査する筋膜領域を自動的にフレーム選択し。従来のように医療者が手動でフレーム選択する訳ではないため、毎回フレーム選択をする際に、全ての筋肉表層の筋膜部分を漏らさずフレーム選択できる。HU値を調整することで、筋肉部分がコンピュータ断層撮影スキャン画像上で強調され、精確な筋肉量のデータを獲得する。
【0019】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る筋肉量の測定方法の流れを説明するための一連のブロック図である。
図2】本発明に係る筋肉量の測定方法の流れを説明するための一連のブロック図である。
図3】本発明に係る筋肉量の測定方法の流れを説明するための一連のブロック図である。
図4】本発明に係る筋肉量の測定方法の流れを説明するための一連のブロック図である。
図5A】本発明の筋肉群をフレーム選択する流れを説明するための一連のコンピュータ断層撮影スキャンの概略図である。
図5B】本発明の筋肉群をフレーム選択する流れを説明するための一連のコンピュータ断層撮影スキャンの概略図である。
図5C】本発明の筋肉群をフレーム選択する流れを説明するための一連のコンピュータ断層撮影スキャンの概略図である。
図5D】本発明の筋肉群をフレーム選択する流れを説明するための一連のコンピュータ断層撮影スキャンの概略図である。
図5E】本発明の筋肉群をフレーム選択する流れを説明するための一連のコンピュータ断層撮影スキャンの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
【0022】
まず、図を参照しながら、本発明の第一実施形態について説明する。
【0023】
<第一実施形態>
【0024】
図1は本発明に係る筋肉量の測定方法の流れを説明するための一連のブロック図である。コンピュータ断層撮影スキャン画像を提供し、且つウィンドウ幅が300 HU(Hounsfield unit)乃至500 HUの間の範囲であり、ウィンドウレベルが40 HU乃至50 HUの間の範囲である条件において、フレーム選択情報を取得するように前記コンピュータ断層撮影スキャン画像上で筋膜領域をフレーム選択し、前記筋膜領域の選択範囲内には筋肉を含む第一選択ステップ(1)と、前記コンピュータ断層撮影スキャン画像のHU値が-29 HU乃至150 HUの間の範囲である条件において、前記筋肉の筋肉情報を取得するように前記フレーム選択した筋膜領域内の画素値を計算する第二選択ステップ(2)と、を含む。本発明の好ましい実施例では、腰椎の傍脊柱筋群の筋肉量を測定し、サルコペニアの症状または重症度を検視するため、前記コンピュータ断層撮影スキャン画像は第三椎骨の水平コンピュータ断層撮影スキャン画像または第四椎骨の水平コンピュータ断層撮影スキャン画像でありるが、これらに限られない。本発明の他の好ましい実施例では、前記筋肉は腰椎の傍脊柱筋群の一部分であり、腹横筋、腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋、腰筋、腰方形筋、傍脊柱筋群、或いは上述の筋肉の組み合わせを含むが、これらに限られない。本発明のさらに他の好ましい実施例では、前記筋肉量または分布の密度を識別するため、前記第二選択ステップ(2)において、前記コンピュータ断層撮影スキャン画像のHU値が-29 HU乃至150 HUの間の範囲である条件において、筋肉分布図を形成する。本発明のなお別の他の好ましい実施例では、ウィンドウ幅の設定は300 HU乃至500 HUの間の範囲に限らない。ウィンドウレベルの設定も40 HU乃至50 HUの間の範囲に限らない。HU値の設定も-29 HU乃至150 HUの間の範囲に限らない。
【0025】
より好ましくは、図2に示す如く、前記フレーム選択情報及び前記筋肉情報を記録するか、またはそれらにアクセスするために、前記第一選択ステップ(1)の後に、前記フレーム選択情報を記録モジュールに保存し、前記第二選択ステップ(2)の後に、前記筋肉分布図及び前記筋肉情報を前記記録モジュールに保存する記録ステップ(3)を更に含む。本発明の好ましい実施例では、図3に示す如く、前記第二選択ステップ(2)を実行した日時及び時間点に基づいて前記筋肉分布図を順番に並び替え、前記第二選択ステップ(2)を実行した日時及び時間点に基づいて前記筋肉分布図を順番に並び替え、順番に並び替えた前記筋肉分布図を動画として編集し、観察者が筋肉の変化をより理解し易くし、或いは前記筋肉分布図を3次元立体画像として統合する編集ステップ(4)を更に含む。
【0026】
より好ましくは、筋肉量検査の速度及び品質を高めるため、或いは判断を補助するための基準を提供するため、前記第一選択ステップ(1)において、分析モジュールを利用して前記コンピュータ断層撮影スキャン画像上で前記筋膜領域を自動的にフレーム選択する。前記分析モジュールはフレーム選択参照物を受信し、且つ前記フレーム選択参照物がフレーム選択した範囲内の詳細な特徴を整理、帰納し、且つ前記詳細な特徴により前記フレーム選択情報を取得するように前記コンピュータ断層撮影スキャン画像上で前記詳細な特徴と同じ部分をフレーム選択する。本発明の好ましい実施例では、前記詳細な特徴は方位、明暗程度、質感、凹凸、または相対的位置を含むが、これらに限られない。ちなみに、従来のコンピュータースキャンのフレーム選択方式では手動でフレーム選択を行うため、フレーム選択者の経験値と観察感度が重要になる。また、人の眼の識別能力には限界があり、手動でフレーム選択する方式では誤差が生じやすく、最終的なコンピュータ断層撮影スキャンの測定結果が不精確になった。本発明は「インテリジェント学習」方式によりコンピュータ断層撮影スキャン画像を判定し、且つ検査する症状のタイプに基づいて使用するフレーム選択参照物の種類を調整することで、異なる使用状況に対応する。具体的には、本発明の一目的は、サルコペニアの症状に対し検査及び判定を行うことであり、よって、まず第三椎骨の水平コンピュータ断層撮影スキャン画像または第四椎骨の水平コンピュータ断層撮影スキャン画像を取得した後、上述のコンピュータ断層撮影スキャン画像中のサルコペニアに関連する筋肉群をフレーム選択し、フレーム選択した範囲内の筋肉量に基づいて被験者にサルコペニアの症状があるかどうかを判定する。コンピュータ断層撮影スキャン画像を提供する際に、前記分析モジュールがサルコペニアに関連する筋肉を自動的にフレーム選択し、使用する前記フレーム選択参照物はサルコペニアに関連する筋肉をフレーム選択した少なくとも1つのコンピュータ断層撮影スキャン画像であり、前記分析モジュールがフレーム選択するための基準とする。ちなみに、サルコペニアに関連する筋肉をフレーム選択する目的は、サルコペニア症状の分析または判断を利便に行うことであり、本発明の目的は、筋肉量の検査を行うことで、人体の異なる部位の筋肉、組織、或いは骨格のコンピュータ断層撮影(Computed Tomography)画像に基づいて調整し、検査する人体の部位の詳細な情報を取得する。よって、フレーム選択する部分はサルコペニアに関連する筋肉に限られない。
【0027】
より好ましくは、図4に示す如く、前記筋肉の筋肉量をより容易に判読可能にするため、または後続の研究の基準とするため、前記記録ステップ(3)の後に、演算モジュールを利用して前記筋肉情報を数字化する方式で前記筋肉の質量、密度、または分布を表示するインテリジェント演算ステップ(5)を更に含み、前記演算モジュールは前記筋肉情報を受信するように前記記録モジュールに信号を接続する。
【0028】
より好ましくは、図5B図5C図5Eは一連のコンピュータ断層撮影スキャンを示す概略図である。図5Bは一般的なコンピュータ断層撮影スキャン画像の結果である。図5Cは本発明が前記断層スキャン図に対し筋膜に沿ってフレーム選択した結果である。図5Eは、前記第二選択ステップ(2)において、HU値の調整を完了した後の筋肉分布図の概略図を示す。本発明の好ましい実施例では、図5Cはウィンドウ幅が450 HUであり、ウィンドウレベルが45 HUである条件において取得したコンピュータ断層撮影図である。本発明の他の好ましい実施例では、図5Cに示す如く、各色の線でフレーム選択した範囲は、前記分析モジュールにより前記フレーム選択参照物の情報を参照し、且つ前記フレーム選択参照物中の詳細な特徴に基づいて選択している。ちなみに、この自動フレーム選択メカニズムは、手動でフレーム選択する場合の経験値が不要であり、誤差を減少させ、人力を減らし、筋肉の診断効率を高める。本発明のさらなる他の好ましい実施例では、図5Eに示す如く、前記第二フレーム選択ステップにおいて、コンピュータ断層撮影スキャンのHU値を調整することで、前記筋肉分布図中で筋肉部分と非筋肉部分とのコントラストを増加させ、人体または機械が前記筋肉分布図中の筋肉データをより容易に判別可能になる。
【0029】
次は、図を参照しながら、本発明の第二実施形態について説明する。
【0030】
<第二実施形態>
【0031】
また、本発明は筋肉量の測定方法をさらに提供する(図1参照)。コンピュータ断層撮影スキャン画像を提供し、且つウィンドウ幅が300 HU乃至500 HUの間の範囲であり、ウィンドウレベルが40 HU乃至50 HUの間の範囲である条件において、第一フレーム選択情報を取得するように前記コンピュータ断層撮影スキャン画像上で第一筋膜領域をフレーム選択し、第二フレーム選択情報を取得するように第一筋肉及び第二筋膜領域を含み、前記第二筋膜領域の選択範囲内には第二筋肉を含む第一選択ステップ(1)と、前記コンピュータ断層撮影スキャン画像のHU値が-29 HU乃至150 HUの間の範囲である条件において、前記第一筋肉の第一筋肉情報を取得するように前記フレーム選択した第一筋膜領域内の画素値を計算し、前記第二筋肉の第二筋肉情報を取得するように前記フレーム選択した第二筋膜領域内の画素値を計算する第二選択ステップ(2)と、を含む。本発明の好ましい実施例では、腰椎の傍脊柱筋群の筋肉量を測定し、サルコペニアの症状または重症度を検視するため、前記コンピュータ断層撮影スキャン画像は第三椎骨の水平コンピュータ断層撮影スキャン画像または第四椎骨の水平コンピュータ断層撮影スキャン画像でありるが、これらに限られない。本発明の他の好ましい実施例では、前記第一筋肉は腰椎の傍脊柱筋群の一部分であり、腹横筋、腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋、腰筋、腰方形筋、傍脊柱筋群、または上述の筋肉の組み合わせを含むが、これらに限られない。前記第二筋肉は腰椎の傍脊柱筋群の一部分であり、腹横筋、腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋、腰筋、腰方形筋、傍脊柱筋群、または上述の筋肉の組み合わせを含むが、これらに限られない。本発明のさらなる他の好ましい実施例では、前記第一筋肉及び前記第二筋肉の量または分布の密度を識別するため、前記第二選択ステップ(2)において、前記コンピュータ断層撮影スキャン画像のHU値が-29 HU乃至150 HUの間の範囲である条件において、筋肉分布図を形成する。
【0032】
本発明のなお別の他の好ましい実施例では、図2に示す如く、前記フレーム選択情報及び前記筋肉情報を記録するか、それらにアクセスするため、前記第一選択ステップ(1)の後に、前記第一フレーム選択情報及び前記第二フレーム選択情報を記録モジュールに保存し、前記第二選択ステップ(2)の後に、前記第一筋肉情報及び前記第二筋肉情報を前記記録モジュールに保存する記録ステップ(3)を更に含む。本発明の好ましい実施例では、図3に示す如く、編集ステップ(4)を更に含み、前記第二選択ステップ(2)を実行した日時及び時間点に基づいて前記筋肉分布図を順番に並び替え、前記第二選択ステップ(2)を実行した日時及び時間点に基づいて前記筋肉分布図を順番に並び替え、順番に並び替えた前記筋肉分布図を動画として編集し、観察者が筋肉の変化をより理解し易くし、或いは前記筋肉分布図を3次元立体画像として統合する。
【0033】
より好ましくは、前記第一選択ステップ(1)において、分析モジュールを利用して前記コンピュータ断層撮影スキャン画像上で前記第一筋膜領域及び前記第二筋膜領域を自動的にフレーム選択する。前記分析モジュールはフレーム選択参照物を受信し、且つ前記フレーム選択参照物がフレーム選択した範囲内の詳細な特徴を整理、帰納し、且つ前記詳細な特徴により前記第一フレーム選択情報及び前記第二フレーム選択情報を取得するように前記コンピュータ断層撮影スキャン画像上で前記詳細な特徴と同じ部分をフレーム選択する。自動フレーム選択メカニズムに関しては本発明の第一実施態様と略同じであるため、その説明を省略する。
【0034】
より好ましくは、図4に示す如く、前記記録ステップ(3)の後に、演算モジュールを利用して前記第一筋肉情報及び前記第二筋肉情報を数字化する方式で前記第一筋肉及び前記第二筋肉の質量、密度、または分布を表示するインテリジェント演算ステップ(5)を更に含み、前記演算モジュールは前記第一筋肉情報及び前記第二筋肉情報を受信するように前記記録モジュールに信号を接続する。
【0035】
より好ましくは、図5AはAIを使用してコンピュータ断層撮影スキャン画像上の筋肉群を自動的に分類した後にフレーム選択した結果であり、AIを使用して自動的にフレーム選択する際に、前記コンピュータ断層撮影スキャン画像上で各筋肉群の筋肉表層の筋膜をそれぞれフレーム選択する。具体的には、図5Aに示す如く、前記第一フレーム選択情報及び前記第二フレーム選択情報を取得するように、異なる筋肉群の筋肉表層の筋膜に対し異なる色でフレーム選択する。こうすることで、後続の特定の筋肉群に対する筋肉の質量の分析を行うことができる。図5Bは一般的なコンピュータ断層撮影スキャン画像のスキャン結果である。図5C図5Bのコンピュータ断層撮影スキャン画像を使用し、且つ第一選択ステップ(1)において、ウィンドウ幅が440 HUであり、ウィンドウレベルが45 HUである条件において、コンピュータ断層撮影スキャン画像上で各筋肉群筋肉表層の筋膜をフレーム選択した結果である。具体的には、図5Cにおいて5種類の色により5種類の筋肉群の筋膜部分をそれぞれフレーム選択する。図5Dは第二選択ステップ(2)においてHU値を調整した後に得られた結果であり、具体的には、HU値を-29乃至150 HUの間の範囲に調整し、筋膜により被覆される筋肉部分を顕示させ、後続の筋肉の質量またはデータの計算に利用する。図5E図5Dにおいてフレーム選択した範囲内の筋肉ブロックを定量した結果である。本発明の好ましい実施例では、図5Cないし図5Eに示す如く、各色の線でフレーム選択した範囲は、前記分析モジュールにより前記フレーム選択参照物の情報を参照し、且つ前記フレーム選択参照物の詳細な特徴に基づいて選択したものである。ちなみに、この自動フレーム選択メカニズムは、手動でフレーム選択する場合の経験値が不要であり、且つ誤差を減少させ、人力を減らし、筋肉の診断効率を高めている。本発明の他の好ましい実施例では、図5Dに示す如く、前記第二フレーム選択ステップにおいて、コンピュータ断層撮影スキャンのHU値を調整することで、前記コンピュータ断層撮影スキャン画像中の筋肉部分と非筋肉部分とのコントラストを増加させ、人体または機械が前記筋肉分布図中の筋肉データを更に容易に判別可能にしている。本発明のさらなる他の好ましい実施例では、更に多くのフレーム選択情報を含み、ちなみに、フレーム選択情報の数量は筋肉群の数量に対応し、且つ数字によって並び替えているが、この限りではない。
【0036】
より好ましくは、第二選択ステップ(2)において、設定したHU値の大きさに基づいて人体の筋肉、組織、または骨格を測定する。具体的には、表1に示すように、HU値の範囲を-29HU乃至150HUの間の範囲に設定し、コンピュータ断層撮影図上に骨格筋の筋肉分布状況、筋肉の密度、筋肉の質量を表示する。ちなみに、検査する人体の部位に基づいて適切なHU値を設定し、検査は骨格筋に限られない。
【0037】
<表1>
【0038】
より好ましくは、一般的な人体の測定方法は、生体インピーダンス法(BIA)、コンピュータ断層撮影スキャン法(CT)、核磁気共鳴画像法(MRI)、二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)、超音波エコー法、または、肉眼観察法を含むが、これらに限られない。コンピュータ断層撮影スキャン(Computed Tomography)は、デジタル幾何学処理後に再構成される3次元放射線医学画像を利用し、或いはX線技術とコンピューター演算とを結合した医療診断ツールである。前記技術は主に単一の軸面の光線を回転させながら物品に照射し、材質の違いによる光線の吸収能力または不透過性の違いにより、3次元コンピューターグラフィックス技術により断層面の画像を再構成する。本発明の好ましい実施例では、コンピュータ断層撮影スキャン検査前に、先に造影剤を使用して組織間のコントラストを強調する。造影剤は静脈から体内に注入し、血管の分布に従って身体の組織に侵入する物質であり、組織の画像を撮影する際にコントラストを変化させ、血管、腫瘍、臓器、或いは筋肉等の構造を明晰で判読し易いように変化させる。本発明の他の好ましい実施例では、ウィンドウ幅とは、コンピュータ断層撮影画像に含まれるコンピュータ断層撮影値範囲を指す。ウィンドウレベルとはウィンドウ幅の上限及び下限の平均値を指し、ウィンドウ幅及びウィンドウレベルを処理することにより、人体の組織に対応する断層画像を生成する。本発明のさらなる他の好ましい実施例では、断層画像を積層させることで立体画像を形成し、人体の全身の各組織、器官、骨格、または筋肉の3D画像をクリアに表現し、医療者が身体の症状を診断または治療するための重要な根拠とする。コンピュータ断層撮影スキャンは非侵襲性であり、且つ人体の体内の3D画像を適宜高速に再現できるため、身体の多くの部位の状況を表示でき、疾病の診断の精確性を大きく向上させる。よって、本発明はコンピュータ断層撮影スキャンを使用して筋肉量の検査を行う。
【0039】
より好ましくは、異なる筋肉の疾病または症状を検視するため、前記筋肉、前記第一筋肉、或いは前記第二筋肉は人体の筋肉群の部分である。人体の筋肉群は、腰椎の傍脊柱筋群、大腿の筋肉群、胸部の筋肉群、背中の筋肉群、腹部の筋肉群、二頭筋筋肉群、三頭筋筋肉群、或いは深層筋の筋肉群を含むが、これらに限られない。本発明の好ましい実施例では、腰椎の傍脊柱筋群は、横突間筋、腰方形筋、多裂筋、腰腸肋筋、最長筋、及び大腰筋を含むが、これらに限られない。本発明の他の好ましい実施例では、人体の大腿の筋肉群は大腿筋肉群及び腓腹の筋肉群を含むが、これらに限られない。大腿の筋肉群は、縫工筋(sartorius)、大腿四頭筋(quadriceps)、または大腿筋膜張筋(tensor fasciae latae)を含む大腿前部の筋肉群を含むが、これらに限られない。大腿後部の筋肉群は、大腿二頭筋(Biceps Femoris)、半腱様筋(Semitendinosus)、または半膜様筋(Semimembranosus)を含むが、これらに限られない。大腿内側の筋肉群は、恥骨筋(Pectineus)、長内転筋(Adductor Longus)、短内転筋(Adductor Brevi)、大内転筋(Adductor Magnus)、または薄筋(Gracilis)を含むが、これらに限られない。腓腹の筋肉群は、前脛骨筋(tibialis anterior)、長趾伸筋(extensor longus digitorum)、または長母指伸筋(extensor longus pollicis)を含む腓腹前側の筋肉群を含むが、これらに限られない。腓腹外側の筋肉群は、長腓骨筋(peronaeus longus)または短腓骨筋(peronaeus brevis)を含むが、これらに限られない。腓腹後側の筋肉群は、下腿三頭筋(triceps surae)、長趾屈筋(flexor digitorum longus)、長母指屈筋(flexor pollicis longus)、または後脛骨筋(tibialis posterior)を含むが、これらに限られない。本発明のさらなる他の好ましい実施例では、人体胸部の筋肉群は、大胸筋、小胸筋、前鋸筋、または肋間筋を含むが、これらに限られない。本発明のさらなる他の好ましい実施例では、人体の背中の筋肉群は、僧帽筋、広背筋、大円筋、小円筋、脊柱起立筋、または菱形筋を含むが、これらに限られない。本発明のなお別の好ましい実施例では、人体腹部の筋肉群は、腹直筋、内腹斜筋、腹横筋、または外腹斜筋を含むが、これらに限られない。本発明のなお別の好ましい実施例では、人体の肩の筋肉群は、三角筋前部、三角筋中部、または三角筋後部を含むが、これらに限られない。本発明のなお別の好ましい実施例では、人体の深層筋の筋肉群は横隔膜以下から骨盤底までの間にある腰部、腹部、及び体幹中央部を取り巻く筋肉群を指し、腹横筋(transverse abdominis)、多裂筋(lumber multifidi)、内腹斜筋(internal obliques)、外腹斜筋(external oblique)、腹直筋(rectus abdominis)、腰方形筋(quadratus lumborum)、脊柱起立筋(erector spinae)、横隔(respiratory diaphragm)、及び骨盤底筋(pelvic floor)を含むが、これらに限られない。本発明のなお別の好ましい実施例では、前記筋肉、前記第一筋肉、または前記第二筋肉は1種類または1種類以上の筋肉群を含むが、これらに限られない。
【0040】
より好ましくは、筋肉の疾病はサルコペニア、筋萎縮、または筋肉炎を含むが、これらに限られない。「サルコペニア」は全身の普遍的な骨格筋の重量及び機能が持続的に減少する症状であり、骨格筋の筋肉量の減少に伴って、歩行が遅くなり、握力が低下し、行動が困難になり、転倒し易くなり、体重が減少する等し、生活品質が重大な影響を受け、障害を負うことにもなった。サルコペニアは通常老化や慢性疾患に伴って発症し、早期に発見できずに障害の初期に適切な治療を受けれなければ、軽症だったものが手足に力が入らなくなり、転倒が増えることになり、重症になって障害のために寝たきりになり、失うものが多くなった。筋萎縮(Muscle wasting)とは筋肉の品質が徐々に失われ、或いは筋肉が徐々に弱化及び退化することを指す。本発明はサルコペニアの症状に対し測定を行うのみならず、人体の特定の部位の筋肉群に対してもコンピュータ断層撮影スキャンを行って、他の筋肉の疾病があるかどうか観察し、筋肉の疾病を予防または制御する。或いは、筋肉の再生を促進し、何らかの原因により減少した筋肉量を元の水準まで回復させる。もしくは、何らかの原因により減少した筋力を元の水準まで回復させる。
【0041】
より好ましくは、筋肉の質量を有効的に評価し、サルコペニアや筋内脂肪変性等の症状を即時に処理または予防し、CTスキャンを利用して腹筋の総面積(Total abdominal muscle area;TAMA)、筋肉間脂肪組織領域(Intermuscular adipose tissue area;IMAT)、または骨格筋領域(skeletal muscle area;SMA)を測定する。CTスキャン測定で獲得した筋肉の総面積は、正常な筋肉減衰領域(normal attenuation muscle area;NAMA)及び低い筋肉減衰領域(low attenuation muscle area;LAMA)を含む。具体的には、NAMAは脂肪の浸潤の発生は少なく、優良な筋肉領域である。LAMAは筋肉繊維中に脂肪細胞が容易に発見される低品質な筋肉領域であり、通常は身体の欠陥や代謝不良の指標として用いられる。また、LAMA中の脂肪の含有量が高いため、CT画像上の密度が低くなっている。椎骨L3は全身の筋肉の質量と高い相関性があるため、その断層スキャン画像は筋肉の質量を診断する根拠として適している。本発明の好ましい実施例では、CTスキャンは、Somatom Definition(Siemens Healthineers, Erlangen, Germany)、Discovery CT750HD(GE Healthcare, Milwaukee, WI, USA)、或いはLightSpeed VCT scanner(GE Healthcare)を使用して実行している。CTスキャンで設定するパラメーターは、120 kVp、自動薬剤調製(CareDose 4D, Siemens Healthineers; automA and smartmA, GE Healthcare)、512 X 512のマトリクス、0.625 mmの視準、または上述の組み合わせを含むが、これらに限られない。本発明の他の好ましい実施例では、CTスキャンにより取得した画像データは「軟組織フィルタ補正逆投影技術(B30f kernel; Siemens Healthineers; Standard kernel, GE Healthcare)」を使用して再構成し、切片の厚さを構成し、前記切片の厚さは5 mmが好ましいが、これに限られない。本発明のさらなる他の好ましい実施例では、コントラストを増強する場合、100e150 Mlのイオプロミド(Ultravist 370 or Ultravist 300; Bayer Schering Pharma, Berlin, Germany)を使用する。自動静脈注射器を使用する場合、注入速度2.5e3mL/秒の自動注入器を使用する。或いは、造影剤を注射した後、固定遅延70秒でスキャンするが、これらに限られない。ちなみに、CTスキャンを実行する脊椎部分は椎骨L3に限らず、他の部分の脊椎骨を選択して切片を作成してもよい。本発明のなお別の好ましい実施例では、CT画像は、Matlabを使用して記述された半自動計算画像処理システムであるAnalytic Morphomicsにより処理する。獲得したCT画像はDICOM形式で符号化し、且つ空間データベースに保存する。本発明のなお別の好ましい実施例では、医学画像分析ソフトウェアを使用してCT画像を分割し、具体的には、第三脊椎骨のCT画像を例にすると、自動識別すると共に筋肉、骨格、SAT(皮下脂肪組織)、及びVAT(内臓脂肪組織)領域を自動識別すると共に分割する。本発明のなお別の好ましい実施例では、使用する医学画像分析ソフトウェアはsliceOmaticであるが、これに限られない。
【0042】
より好ましくは、完全畳み込みネットワーク(FCN)分割技術を使用し、椎骨L3の軸方向CT切片を自動選択し、総境界腹筋領域(TAMA)、内臓脂肪領域、及び皮下脂肪領域の選択したCT画像セグメントを自動的に生成する。具体的には、TAMAは選択した画像上の全ての筋肉を含み、大腰筋、傍脊柱筋群、腹横筋、腹直筋、腰方形筋、内腹斜筋、及び外腹斜筋を含む。筋肉の質量評価を行う際には、筋肉群及び筋肉繊維間の脂肪組織を表示するIMAT(CT画像に設定したHU値が-190-30HUである場合に顕現する)、健康な筋肉を表示するNAMA(CT画像に設定したHU値が30~150HUである場合に顕現する)、及び不健康な筋肉を表示するLAMA(CT画像に設定したHU値が-29~29HUである場合に顕現する)の3つの部分にTAMAを分ける。本発明の好ましい実施例では筋肉の質量の分析を行う際に、SASソフトウェア(SAS Institute, Inc., Cary, NC, USA)またはRソフトウェア(R Foundation for Statistical Computing, Vienna, Austria)を使用して実行する。本発明のさらなる他の好ましい実施例では、SMA、TAMA減衰及びNAMA/TAMAインデックスはPearson相関係数により評価する。筋肉の質量が正常な水準であるか具体的に評価するため、特異性T値の大きさを参照し、
【0043】
であり、T値>-1、LAMA値<1、またはIMAT値<1と測定された場合、筋肉が正常であり、潜在的な危険性がないと見なす。T値範囲が、-1.0≧T値≧-2.0、T値<-2、2≧T値>1、LAMA値>2、或いはIMAT値>2と測定された場合、筋肉の状況が不正常であり、筋内脂肪変性やサルコペニアが発症している可能性があるため、さらなる検査が必要である。
【0044】
より好ましくは、Pearson相関係数またはTukey’sを使用して腰椎の水平の差を評価する。先行の研究によれば、SMAのCT測定は健康な成人の全身の筋肉の質量と相関することが証明されている。平均骨格筋放射減衰(SMRA)も筋肉脂肪含有量及び身体機能と相関することが証明されている。SMRAの計算方式は、SMA中に含まれる全ての画素の平均値(HU値)及び骨格筋インデックス
である。本発明の好ましい実施例では、椎骨L3のCT切片を作成する場合、女性のサルコペニアのSMA、SMI及びSMRAの臨界値は順に92.2 cm2、34.4 cm2/m2及び34.3 HUとなり、男性では順に144.3 cm2、45.4 cm2/m2及び38.5 HUとなるため、サルコペニアの症状を発症しているか否かの根拠として上述の臨界点を参照する。
【0045】
本発明は先行技術と比較すると、その効果は、本発明は体力測定方式でサルコペニアを判定するのではなく、CTスキャン技術を使用して精確な筋肉量データを獲得するため、判定を精確にする効果を達成し、後続の治療やリハビリ段階において、筋肉を追跡し、筋肉量の増加を記録する効果も達成する。また、本発明はCTスキャンを使用して筋肉量を検査する際に、従来のように医療者が手動でフレーム選択するのとは違い、検査する筋膜領域を自動的にフレーム選択するため、毎回フレーム選択を行う際に、全ての筋肉表層の筋膜部分を漏れなくフレーム選択できる。また、HU値を調整することで、CTスキャン画像上で筋肉部分を強調し、精確な筋肉量のデータを獲得する。
【0046】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0047】
1 第一選択ステップ
2 第二選択ステップ
3 記録ステップ
4 編集ステップ
5 インテリジェント演算ステップ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E