(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】燃料電池装置の制御方法、制御装置および発電システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04858 20160101AFI20240507BHJP
H01M 8/0438 20160101ALI20240507BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20240507BHJP
H01M 8/04313 20160101ALI20240507BHJP
H01M 8/04701 20160101ALI20240507BHJP
H01M 8/04694 20160101ALI20240507BHJP
F24H 15/395 20220101ALN20240507BHJP
F24H 15/225 20220101ALN20240507BHJP
F24H 15/258 20220101ALN20240507BHJP
F24H 15/355 20220101ALN20240507BHJP
F24H 1/00 20220101ALN20240507BHJP
【FI】
H01M8/04858
H01M8/0438
H01M8/0432
H01M8/04313
H01M8/04701
H01M8/04694
F24H15/395
F24H15/225
F24H15/258
F24H15/355
F24H1/00 631A
(21)【出願番号】P 2024507892
(86)(22)【出願日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 JP2023039127
【審査請求日】2024-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2022189911
(32)【優先日】2022-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023179010
(32)【優先日】2023-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊瀬 豪彦
(72)【発明者】
【氏名】金子 泰
(72)【発明者】
【氏名】田中 良和
(72)【発明者】
【氏名】吉原 康通
(72)【発明者】
【氏名】田口 良文
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-77863(JP,A)
【文献】特開2010-86917(JP,A)
【文献】特開2015-18729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04-8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素貯蔵器の水素量が低下すると、前記水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の出力を低下させるステップと、
前記燃料電池装置の排熱を回収する熱媒体の温度が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させるステップと、
前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させるステップと、の少なくとも2つを備え、
前記少なくとも2つのステップがともに実行されるとき、各ステップにおいて実行される前記燃料電池装置の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう前記燃料電池装置の出力を低下させる、燃料電池装置の制御方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つのステップが、
水素貯蔵器の水素量が低下すると、前記水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の出力を低下させるステップと、
前記燃料電池装置の排熱を回収する熱媒体の温度が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させるステップであり、
前記水素貯蔵器の水素量の低下による前記燃料電池装置の出力低下と前記熱媒体の温度上昇による前記燃料電池装置の出力低下とをともに実行するとき、前記水素貯蔵器の水素量の低下による前記燃料電池装置の出力低下量と前記熱媒体の温度上昇による前記燃料電池装置の出力低下量とのうち大きい方の出力低下量になるよう前記燃料電池装置の出力を低下させる、請求項1に記載の燃料電池装置の制御方法。
【請求項3】
前記少なくとも2つのステップが、
水素貯蔵器の水素量が低下すると、前記水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の出力を低下させるステップと、
前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させるステップであり、
前記水素貯蔵器の水素量の低下による前記燃料電池装置の出力低下と前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による前記燃料電池装置の出力低下とをともに実行するとき、前記水素貯蔵器の水素量の低下による前記燃料電池装置の出力低下量と前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による前記燃料電池装置の出力低下量とのうち大きい方の出力低下量になるよう前記燃料電池装置の出力を低下させる、請求項1に記載の燃料電池装置の制御方法。
【請求項4】
前記少なくとも2つのステップが、
前記燃料電池装置の排熱を回収する熱媒体の温度が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させるステップと、
前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させるステップであり、
前記熱媒体の温度上昇による前記燃料電池装置の出力低下と前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による前記燃料電池装置の出力低下とをともに実行するとき、前記熱媒体の温度上昇による前記燃料電池装置の出力低下量と前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による前記燃料電池装置の出力低下量とのうち大きい方の出力低下量になるよう前記燃料電池装置の出力を低下させる、請求項1に記載の燃料電池装置の制御方法。
【請求項5】
前記少なくとも2つのステップが、
水素貯蔵器の水素量が低下すると、前記水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の出力を低下させるステップと、
前記燃料電池装置の排熱を回収する熱媒体の温度が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させるステップと、
前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させるステップであり、
前記水素貯蔵器の水素量の低下による前記燃料電池装置の出力低下と前記熱媒体の温度上昇による前記燃料電池装置の出力低下と前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による前記燃料電池装置の出力低下とをともに実行するとき、前記水素貯蔵器の水素量の低下による前記燃料電池装置の出力低下量と前記熱媒体の温度上昇による前記燃料電池装置の出力低下量と前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による前記燃料電池装置の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう前記燃料電池装置の出力を低下させる、請求項1に記載の燃料電池装置の制御方法。
【請求項6】
水素貯蔵器の水素量が低下すると、前記水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の出力を低下させるステップと、
前記燃料電池装置の排熱を蓄える蓄熱器の蓄熱量が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させるステップと、
前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させるステップと、の少なくとも2つを備え、
前記少なくとも2つのステップがともに実行されるとき、各ステップにおいて実行される前記燃料電池装置の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう前記燃料電池装置の出力を低下させる、燃料電池装置の制御方法。
【請求項7】
前記少なくとも2つのステップが、
水素貯蔵器の水素量が低下すると、前記水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の出力を低下させるステップと、
前記燃料電池装置の排熱を蓄える蓄熱器の蓄熱量が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させるステップであり、
前記水素貯蔵器の水素量の低下による前記燃料電池装置の出力低下と前記蓄熱器の蓄熱量上昇による前記燃料電池装置の出力低下とをともに実行するとき、前記水素貯蔵器の水素量の低下による前記燃料電池装置の出力低下量と前記蓄熱器の蓄熱量上昇による前記燃料電池装置の出力低下量とのうち大きい方の出力低下量になるよう前記燃料電池装置の出力を低下させる、請求項6の燃料電池装置の制御方法。
【請求項8】
前記少なくとも2つのステップが、
前記水素貯蔵器の水素量が低下すると、前記水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の出力を低下させるステップと、
前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させるステップであり、
前記水素貯蔵器の水素量の低下による前記燃料電池装置の出力低下と前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による前記燃料電池装置の出力低下とをともに実行するとき、前記水素貯蔵器の水素量の低下による前記燃料電池装置の出力低下量と前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による前記燃料電池装置の出力低下量とのうち大きい方の出力低下量になるよう前記燃料電池装置の出力を低下させる、請求項6に記載の燃料電池装置の制御方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つのステップが、
前記燃料電池装置の排熱を蓄える蓄熱器の蓄熱量が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させるステップと、
前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させるステップであり、
前記蓄熱器の蓄熱量上昇による前記燃料電池装置の出力低下と前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による前記燃料電池装置の出力低下とをともに実行するとき、前記蓄熱器の蓄熱量上昇による前記燃料電池装置の出力低下量と前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による前記燃料電池装置の出力低下量とのうち大きい方の出力低下量になるよう前記燃料電池装置の出力を低下させる、請求項6に記載の燃料電池装置の制御方法。
【請求項10】
前記少なくとも2つのステップが、
水素貯蔵器の水素量が低下すると、前記水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の出力を低下させるステップと、
前記燃料電池装置の排熱を蓄える蓄熱器の蓄熱量が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させるステップと、
前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させるステップであり、
前記水素貯蔵器の水素量の低下による前記燃料電池装置の出力低下と前記蓄熱器の蓄熱量上昇による前記燃料電池装置の出力低下と前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による前記燃料電池装置の出力低下とをともに実行するとき、前記水素貯蔵器の水素量の低下による前記燃料電池装置の出力低下量と前記蓄熱器の蓄熱量上昇による前記燃料電池装置の出力低下量と前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による前記燃料電池装置の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう前記燃料電池装置の出力を低下させる、請求項6に記載の燃料電池装置の制御方法。
【請求項11】
前記水素貯蔵器の水素量が第1の閾値以下になると前記水素貯蔵器の水素の補充を促すことを示す情報を表示器に通知し、前記水素貯蔵器の水素量が第1の閾値よりも小さい第2の閾値以下になると前記燃料電池装置の出力を低下させる、請求項2、3、5、7、8および10のいずれか1項に記載の燃料電池装置の制御方法。
【請求項12】
前記熱媒体の温度が第3の閾値以上になると、前記熱媒体の流量の上昇を促すことを示す情報を表示器に通知し、前記熱媒体の温度が第3の閾値よりも大きい第4の閾値以上になると、前記燃料電池装置の出力を低下させる、請求項2、4および5のいずれか1項に記載の燃料電池装置の制御方法。
【請求項13】
前記蓄熱器の蓄熱量が第5の閾値以上になると、前記蓄熱器の熱利用を促すことを示す情報を表示器に通知し、前記蓄熱器の蓄熱量が第5の閾値よりも大きい第6の閾値以上になると、前記燃料電池装置の出力を低下させる、請求項7、9および10のいずれか1項に記載の燃料電池装置の制御方法。
【請求項14】
前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が第7の閾値以上になると、前記燃料電池装置が高温異常であることを示す情報を表示器に通知し、前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が第7の閾値よりも大きい第8の閾値以上になると、前記燃料電池装置の出力を低下させる、請求項3-5、8-10のいずれか1項に記載の燃料電池装置の制御方法。
【請求項15】
水素貯蔵器の水素量を示す情報、前記水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の排熱を回収する熱媒体の温度を示す情報および前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温を示す情報の少なくとも2つを受信する通信器と、
前記水素貯蔵器の水素量が低下すると、前記燃料電池装置の出力を低下させる制御、前記熱媒体の温度が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させる制御、および前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させる制御の少なくとも2つを実行する制御器と、
を備え、
前記制御器は、前記少なくとも2つの制御をともに実行するとき、前記各制御において実行される前記燃料電池装置の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう前記燃料電池装置の出力を低下させる、制御装置。
【請求項16】
水素貯蔵器の水素量を示す情報、前記水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の排熱を蓄える蓄熱器の蓄熱量、および前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温を示す情報の少なくとも2つを示す情報を受信する通信器と、
前記水素貯蔵器の水素量が低下すると、前記燃料電池装置の出力を低下させる制御、前記蓄熱器の蓄熱量が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させる制御および前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させる制御の少なくとも2つを実行する制御器と、
を備え、
前記制御器は、前記少なくとも2つの制御をともに実行するとき、前記各制御において実行される前記燃料電池装置の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう前記燃料電池装置の出力を低下させる、制御装置。
【請求項17】
燃料電池装置と、
請求項15または16に記載の制御装置と、を備える、発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池装置の制御方法、制御装置および発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水素タンク内のガス圧が低下すると、燃料電池の出力を制限することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、一例として、従来と異なり、水素貯蔵器の水素量だけでなく、燃料電池装置の排熱を回収する熱媒体の温度、燃料電池装置の排熱を蓄える蓄熱器の蓄熱量、または燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温も考慮して、燃料電池装置の出力を適切に制御させ得る、燃料電池装置の制御方法、制御装置および発電システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本開示の一態様(aspect)の燃料電池装置の制御方法は、水素貯蔵器の水素量が低下すると、前記水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の出力を低下させるステップと、前記燃料電池装置の排熱を回収する熱媒体の温度が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させるステップと、前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させるステップと、の少なくとも2つを備え、前記少なくとも2つのステップがともに実行されるとき、各ステップにおいて実行される前記燃料電池装置の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう前記燃料電池装置の出力を低下させる。
【0006】
また、本開示の一態様(aspect)の燃料電池装置の制御方法は、水素貯蔵器の水素量が低下すると、前記水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の出力を低下させるステップと、前記燃料電池装置の排熱を蓄える蓄熱器の蓄熱量が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させるステップと、前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させるステップと、の少なくとも2つを備え、前記少なくとも2つのステップがともに実行されるとき、各ステップにおいて実行される前記燃料電池装置の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう前記燃料電池装置の出力を低下させる。
【0007】
また、本開示の一態様の制御装置は、水素貯蔵器の水素量を示す情報、前記水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の排熱を回収する熱媒体の温度を示す情報および前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温を示す情報の少なくとも2つを受信する通信器と、前記水素貯蔵器の水素量が低下すると、前記燃料電池装置の出力を低下させる制御、前記熱媒体の温度が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させる制御、および前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させる制御の少なくとも2つを実行する制御器と、を備え、前記制御器は、前記少なくとも2つの制御をともに実行するとき、前記各制御において実行される前記燃料電池装置の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう前記燃料電池装置の出力を低下させる。
【0008】
また、本開示の一態様の制御装置は、水素貯蔵器の水素量を示す情報、前記水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の排熱を蓄える蓄熱器の蓄熱量を示す情報および前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温を示す情報の少なくとも2つを受信する通信器と、前記水素貯蔵器の水素量が低下すると、前記燃料電池装置の出力を低下させる制御、前記蓄熱器の蓄熱量が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させる制御、および前記燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、前記燃料電池装置の出力を低下させる制御の少なくとも2つを実行する制御器と、を備え、前記制御器は、前記少なくとも2つの制御をともに実行するとき、前記各制御において実行される前記燃料電池装置の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう前記燃料電池装置の出力を低下させる。
【0009】
また、本開示の一態様の発電システムは、燃料電池装置と、上記の制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様の燃料電池装置の制御方法、制御装置および発電システムは、従来と異なり、水素貯蔵器の水素量だけでなく、燃料電池装置の排熱を回収する熱媒体の温度、燃料電池装置の排熱を蓄える蓄熱器の蓄熱量、または燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温も考慮して、燃料電池装置の出力を適切に制御させ得る、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態の発電システムの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。
【
図4A】
図4Aは、第1実施形態の第1実施例の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。
【
図4B】
図4Bは、第1実施形態の第2実施例の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。
【
図4C】
図4Cは、第1実施形態の第3実施例の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。
【
図4D】
図4Dは、第1実施形態の第4実施例の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第2実施形態の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。
【
図6A】
図6Aは、第2実施形態の第1実施例の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。
【
図6B】
図6Bは、第2実施形態の第2実施例の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。
【
図6C】
図6Cは、第2実施形態の第3実施例の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。
【
図6D】
図6Dは、第2実施形態の第4実施例の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。
【
図7A】
図7Aは水素貯蔵器の水素量を導出するためのセンサの一例を示す図である。
【
図7B】
図7Bは水素貯蔵器の水素量を導出するためのセンサの一例を示す図である。
【
図7C】
図7Cは水素貯蔵器の水素量を導出するためのセンサの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第3実施形態の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。
【
図9A】
図9Aは熱媒体の温度を導出するためのセンサの一例を示す図である。
【
図9B】
図9Bは熱媒体の温度を導出するためのセンサの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、第4実施形態の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は蓄熱器の蓄熱量を導出するためのセンサの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、第5実施形態の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。
【
図13A】
図13Aは燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温を導出するためのセンサの一例を示す図である。
【
図13B】
図13Bは燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温を導出するためのセンサの一例を示す図である。
【
図14】
図14は、第6実施形態の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、第7実施形態の発電システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
特許文献1では、水素貯蔵器の水素量に応じて燃料電池装置の出力を制御することについて検討されているが、燃料電池装置の排熱を回収する熱媒体の温度、燃料電池装置の排熱を蓄える蓄熱器の蓄熱量、または燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温も考慮して、燃料電池装置の出力を制御することは検討されていない。
【0013】
本開示の第1態様の燃料電池装置の制御方法は、水素貯蔵器の水素量が低下すると、水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の出力を低下させるステップと、燃料電池装置の排熱を回収する熱媒体の温度が上昇すると、燃料電池装置の出力を低下させるステップと、燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、燃料電池装置の出力を低下させるステップと、の少なくとも2つを備え、少なくとも2つのステップがともに実行されるとき、各ステップにおいて実行される燃料電池装置の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させる。
【0014】
上記によると、本態様の燃料電池装置の制御方法は、従来と異なり、水素貯蔵器の水素量の低下だけでなく、燃料電池装置の排熱を回収する熱媒体の温度上昇、または燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇も考慮して燃料電池装置の出力を適切に低下させ得る。
【0015】
ここで、水素貯蔵器の水素量が低下するほど、燃料電池装置の発電に必要な水素が欠乏する可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置の出力を低下させる必要がある。また、燃料電池装置の動作温度には適温範囲が存在するが、熱媒体の温度が上昇するほど、熱媒体によって燃料電池装置の排熱を適切に回収することが困難になる。すると、燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。また、燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇するほど、燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。よって、これらの場合、燃料電池装置の出力を低下させる必要がある。
【0016】
そこで、本態様の燃料電池装置の制御方法は、上記各ステップにおいて実行される燃料電池装置の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させることで、これらの出力低下量の大小関係を考慮せずに燃料電池装置の出力を制御する場合に比べて、燃料電池装置の発電に必要な水素が欠乏する可能性および燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性をともに低減することができる。
【0017】
本開示の第2態様の燃料電池装置の制御方法は、第1態様の燃料電池装置の制御方法において、上記少なくとも2つのステップが、水素貯蔵器の水素量が低下すると、水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の出力を低下させるステップと、燃料電池装置の排熱を回収する熱媒体の温度が上昇すると、燃料電池装置の出力を低下させるステップであってもよく、水素貯蔵器の水素量の低下による燃料電池装置の出力低下と熱媒体の温度上昇による燃料電池装置の出力低下とをともに実行するとき、水素貯蔵器の水素量の低下による燃料電池装置の出力低下量と熱媒体の温度上昇による燃料電池装置の出力低下量とのうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させてもよい。
【0018】
ここで、水素貯蔵器の水素量が低下するほど、燃料電池装置の発電に必要な水素が欠乏する可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置の出力を低下させる必要がある。また、燃料電池装置の動作温度には適温範囲が存在するが、熱媒体の温度が上昇するほど、熱媒体によって燃料電池装置の排熱を適切に回収することが困難になる。すると、燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置の出力を低下させる必要がある。
【0019】
そこで、本態様の燃料電池装置の制御方法は、上記2つのステップにおいて実行される燃料電池装置の出力低下量のうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させることで、これらの出力低下量の大小関係を考慮せずに燃料電池装置の出力を制御する場合に比べて、燃料電池装置の発電に必要な水素が欠乏する可能性および燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性をともに低減することができる。
【0020】
本開示の第3態様の燃料電池装置の制御方法は、第1態様の燃料電池装置の制御方法において、上記少なくとも2つのステップが、水素貯蔵器の水素量が低下すると、水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の出力を低下させるステップと、燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、燃料電池装置の出力を低下させるステップであってもよく、水素貯蔵器の水素量の低下による燃料電池装置の出力低下と燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置の出力低下とをともに実行するとき、水素貯蔵器の水素量の低下による燃料電池装置の出力低下量と燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置の出力低下量とのうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させてもよい。
【0021】
ここで、水素貯蔵器の水素量が低下するほど、燃料電池装置の発電に必要な水素が欠乏する可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置の出力を低下させる必要がある。また、燃料電池装置の動作温度には適温範囲が存在するが、燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇するほど、燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置の出力を低下させる必要がある。
【0022】
そこで、本態様の燃料電池装置の制御方法は、上記2つのステップにおいて実行される燃料電池装置の出力低下量のうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させることで、これらの出力低下量の大小関係を考慮せずに燃料電池装置の出力を制御する場合に比べて、燃料電池装置の発電に必要な水素が欠乏する可能性および燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性をともに低減することができる。
【0023】
本開示の第4態様の燃料電池装置の制御方法は、第1態様の燃料電池装置の制御方法において、上記少なくとも2つのステップが、燃料電池装置の排熱を回収する熱媒体の温度が上昇すると、燃料電池装置の出力を低下させるステップと、燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、燃料電池装置の出力を低下させるステップであってもよく、熱媒体の温度上昇による燃料電池装置の出力低下と燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置の出力低下とをともに実行するとき、熱媒体の温度上昇による燃料電池装置の出力低下量と燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置の出力低下量とのうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させてもよい。
【0024】
ここで、燃料電池装置の動作温度には適温範囲が存在するが、熱媒体の温度が上昇するほど、熱媒体によって燃料電池装置の排熱を適切に回収することが困難になる。すると、燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。また、燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇するほど、燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。よって、これらの場合、燃料電池装置の出力を低下させる必要がある。
【0025】
そこで、本態様の燃料電池装置の制御方法は、上記2つのステップにおいて実行される燃料電池装置の出力低下量のうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させることで、これらの出力低下量の大小関係を考慮せずに燃料電池装置の出力を制御する場合に比べて、燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性を低減することができる。
【0026】
本開示の第5態様の燃料電池装置の制御方法は、第1態様の燃料電池装置の制御方法において、上記少なくとも2つのステップが、水素貯蔵器の水素量が低下すると、水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の出力を低下させるステップと、燃料電池装置の排熱を回収する熱媒体の温度が上昇すると、燃料電池装置の出力を低下させるステップと、燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、燃料電池装置の出力を低下させるステップであってもよく、水素貯蔵器の水素量の低下による燃料電池装置の出力低下と熱媒体の温度上昇による燃料電池装置の出力低下と燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置の出力低下とをともに実行するとき、水素貯蔵器の水素量の低下による燃料電池装置の出力低下量と熱媒体の温度上昇による燃料電池装置の出力低下量と燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させてもよい。
【0027】
ここで、水素貯蔵器の水素量が低下するほど、燃料電池装置の発電に必要な水素が欠乏する可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置の出力を低下させる必要がある。また、燃料電池装置の動作温度には適温範囲が存在するが、熱媒体の温度が上昇するほど、熱媒体によって燃料電池装置の排熱を適切に回収することが困難になる。すると、燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。また、燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇するほど、燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。よって、これらの場合、燃料電池装置の出力を低下させる必要がある。
【0028】
そこで、本態様の燃料電池装置の制御方法は、上記3つのステップにおいて実行される燃料電池装置の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させることで、これらの出力低下量の大小関係を考慮せずに燃料電池装置の出力を制御する場合に比べて、燃料電池装置の発電に必要な水素が欠乏する可能性および燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性をともに低減することができる。
【0029】
本開示の第6態様の燃料電池装置の制御方法は、水素貯蔵器の水素量が低下すると、水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の出力を低下させるステップと、燃料電池装置の排熱を蓄える蓄熱器の蓄熱量が上昇すると、燃料電池装置の出力を低下させるステップと、燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、燃料電池装置の出力を低下させるステップと、の少なくとも2つを備え、少なくとも2つのステップがともに実行されるとき、各ステップにおいて実行される燃料電池装置の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させる。
【0030】
上記によると、本態様の燃料電池装置の制御方法は、従来と異なり、水素貯蔵器の水素量の低下だけでなく、燃料電池装置の排熱を蓄える蓄熱器の蓄熱量上昇、または燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇も考慮して燃料電池装置の出力を適切に低下させ得る。
【0031】
ここで、水素貯蔵器の水素量が低下するほど、燃料電池装置の発電に必要な水素が欠乏する可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置の出力を低下させる必要がある。また、燃料電池装置の動作温度には適温範囲が存在するが、蓄熱器の蓄熱量が上昇し、満蓄になると、燃料電池装置の排熱を適切に回収することが困難になる。すると、燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。また、燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇するほど、燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。よって、これらの場合、燃料電池装置の出力を低下させる必要がある。
【0032】
そこで、本態様の燃料電池装置の制御方法は、上記各ステップにおいて実行される燃料電池装置の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させることで、これらの出力低下量の大小関係を考慮せずに燃料電池装置の出力を制御する場合に比べて、燃料電池装置の発電に必要な水素が欠乏する可能性および燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性をともに低減することができる。
【0033】
本開示の第7態様の燃料電池装置の制御方法は、第6態様の燃料電池装置の制御方法にいて、上記少なくとも2つのステップが、水素貯蔵器の水素量が低下すると、水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の出力を低下させるステップと、燃料電池装置の排熱を蓄える蓄熱器の蓄熱量が上昇すると、燃料電池装置の出力を低下させるステップであってもよく、水素貯蔵器の水素量の低下による燃料電池装置の出力低下と蓄熱器の蓄熱量上昇による燃料電池装置の出力低下とをともに実行するとき、水素貯蔵器の水素量の低下による燃料電池装置の出力低下量と蓄熱器の蓄熱量上昇による燃料電池装置の出力低下量とのうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させてもよい。
【0034】
ここで、水素貯蔵器の水素量が低下するほど、燃料電池装置の発電に必要な水素が欠乏する可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置の出力を低下させる必要がある。また、燃料電池装置の動作温度には適温範囲が存在するが、蓄熱器の蓄熱量が上昇し、満蓄になると、燃料電池装置の排熱を適切に回収することが困難になる。すると、燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。この場合、燃料電池装置の出力を低下させる必要がある。
【0035】
そこで、本態様の燃料電池装置の制御方法は、上記2つのステップにおいて実行される燃料電池装置の出力低下量のうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させることで、これらの出力低下量の大小関係を考慮せずに燃料電池装置の出力を制御する場合に比べて、燃料電池装置の発電に必要な水素が欠乏する可能性および燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性をともに低減することができる。
【0036】
本開示の第8態様の燃料電池装置の制御方法は、第6態様の燃料電池装置の制御方法にいて、上記少なくとも2つのステップが、水素貯蔵器の水素量が低下すると、水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の出力を低下させるステップと、燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、燃料電池装置の出力を低下させるステップであってもよく、水素貯蔵器の水素量の低下による燃料電池装置の出力低下と燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置の出力低下とをともに実行するとき、水素貯蔵器の水素量の低下による燃料電池装置の出力低下量と燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置の出力低下量とのうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させてもよい。
【0037】
ここで、水素貯蔵器の水素量が低下するほど、燃料電池装置の発電に必要な水素が欠乏する可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置の出力を低下させる必要がある。また、燃料電池装置の動作温度には適温範囲が存在するが、燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇するほど、燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置の出力を低下させる必要がある。
【0038】
そこで、本態様の燃料電池装置の制御方法は、上記2つのステップにおいて実行される燃料電池装置の出力低下量のうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させることで、これらの出力低下量の大小関係を考慮せずに燃料電池装置の出力を制御する場合に比べて、燃料電池装置の発電に必要な水素が欠乏する可能性および燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性をともに低減することができる。
【0039】
本開示の第9態様の燃料電池装置の制御方法は、第6態様の燃料電池装置の制御方法にいて、上記少なくとも2つのステップが、燃料電池装置の排熱を蓄える蓄熱器の蓄熱量が上昇すると、燃料電池装置の出力を低下させるステップと、燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、燃料電池装置の出力を低下させるステップであってもよく、蓄熱器の蓄熱量上昇による燃料電池装置の出力低下と燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置の出力低下とをともに実行するとき、蓄熱器の蓄熱量上昇による燃料電池装置の出力低下量と燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置の出力低下量とのうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させてもよい。
【0040】
ここで、燃料電池装置の動作温度には適温範囲が存在するが、蓄熱器の蓄熱量が上昇し、満蓄になると、燃料電池装置の排熱を適切に回収することが困難になる。すると、燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。また、燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇するほど、燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。よって、これらの場合、燃料電池装置の出力を低下させる必要がある。
【0041】
そこで、本態様の燃料電池装置の制御方法は、上記2つのステップにおいて実行される燃料電池装置の出力低下量のうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させることで、これらの出力低下量の大小関係を考慮せずに燃料電池装置の出力を制御する場合に比べて、燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性を低減することができる。
【0042】
本開示の第10態様の燃料電池装置の制御方法は、第6態様の燃料電池装置の制御方法にいて、上記少なくとも2つのステップが、水素貯蔵器の水素量が低下すると、水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の出力を低下させるステップと、燃料電池装置の排熱を蓄える蓄熱器の蓄熱量が上昇すると、燃料電池装置の出力を低下させるステップと、燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、燃料電池装置の出力を低下させるステップであってもよく、水素貯蔵器の水素量の低下による燃料電池装置の出力低下と蓄熱器の蓄熱量上昇による燃料電池装置の出力低下と燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置の出力低下とをともに実行するとき、水素貯蔵器の水素量の低下による燃料電池装置の出力低下量と蓄熱器の蓄熱量上昇による燃料電池装置の出力低下量と燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させてもよい。
【0043】
ここで、水素貯蔵器の水素量が低下するほど、燃料電池装置の発電に必要な水素が欠乏する可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置の出力を低下させる必要がある。また、燃料電池装置の動作温度には適温範囲が存在するが、蓄熱器の蓄熱量が上昇し、満蓄になると、燃料電池装置の排熱を適切に回収することが困難になる。すると、燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。また、燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇するほど、燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。よって、これらの場合、燃料電池装置の出力を低下させる必要がある。
【0044】
そこで、本態様の燃料電池装置の制御方法は、上記3つのステップにおいて実行される燃料電池装置の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させることで、これらの出力低下量の大小関係を考慮せずに燃料電池装置の出力を制御する場合に比べて、燃料電池装置の発電に必要な水素が欠乏する可能性および燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性をともに低減することができる。
【0045】
本開示の第11態様の燃料電池装置の制御方法は、第2態様、第3態様、第5態様、第7態様、第8態様および第10態様のいずれか一つの燃料電池装置の制御方法において、水素貯蔵器の水素量が第1の閾値以下になると水素貯蔵器の水素量の補充を促すことを示す情報を表示器に通知し、水素貯蔵器の水素量が第1の閾値よりも小さい第2の閾値以下になると燃料電池装置の出力を低下させてもよい。
【0046】
上記によると、本態様の燃料電池装置の制御方法は、水素貯蔵器の水素量が第1の閾値以下になると水素貯蔵器の水素の補充を促すことを示す情報を表示器に通知することで、かかる情報を表示器に通知しない場合に比べて、燃料電池装置の発電に必要な水素補充を適時に行うことができる。これにより、燃料電池装置の出力を制限する可能性が低減する。
【0047】
また、本態様の燃料電池装置の制御方法は、水素貯蔵器の水素量が第1の閾値よりも小さい第2の閾値以下になると燃料電池装置の出力を低下させることで、かかる出力低下を行わない場合に比べて、燃料電池装置の発電に必要な水素が欠乏する可能性を低減することができる。
【0048】
本開示の第12態様の燃料電池装置の制御方法は、第2態様、第4態様および第5態様のいずれか一つの燃料電池装置の制御方法において、熱媒体の温度が第3の閾値以上になると、熱媒体の流量の上昇を促すことを示す情報を表示器に通知し、熱媒体の温度が第3の閾値よりも大きい第4の閾値以上になると、燃料電池装置の出力を低下させてもよい。
【0049】
ここで、燃料電池装置の排熱を回収する熱媒体の流量が上昇するほど、熱媒体による燃料電池装置の排熱の回収量が増えるので、燃料電池装置の動作温度を適温範囲内に維持しやすくなる。
【0050】
よって、本態様の燃料電池装置の制御方法は、熱媒体の温度が第3の閾値以上になると、熱媒体の流量の上昇を促すことを示す情報を表示器に通知することで、かかる情報を表示器に通知しない場合に比べて、燃料電池装置の動作温度を適温範囲内に維持しやすくなる。これにより、燃料電池装置の出力を制限する可能性が低減する。
【0051】
また、本態様の燃料電池装置の制御方法は、熱媒体の温度が第3の閾値よりも大きい第4の閾値以上になると、燃料電池装置の出力を低下させることで、かかる出力低下を行わない場合に比べて、燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性を低減することができる。
【0052】
本開示の第13態様の燃料電池装置の制御方法は、第7態様、第9態様および第10態様のいずれか一つの燃料電池装置の制御方法において、蓄熱器の蓄熱量が第5の閾値以上になると、蓄熱器の熱利用を促すことを示す情報を表示器に通知し、蓄熱器の蓄熱量が第5の閾値よりも大きい第6の閾値以上になると、燃料電池装置の出力を低下させてもよい。
【0053】
ここで、蓄熱器の熱利用が促進されるほど、蓄熱器において、燃料電池装置の排熱を蓄える余地が増えるので、燃料電池装置の動作温度を適温範囲内に維持しやすくなる。
【0054】
よって、本態様の燃料電池装置の制御方法は、蓄熱器の蓄熱量が第5の閾値以上になると、蓄熱器の熱利用を促すことを示す情報を表示器に通知することで、かかる情報を表示器に通知しない場合に比べて、燃料電池装置の動作温度を適温範囲内に維持するための蓄熱器の熱利用促進を適時に行うことができる。これにより、燃料電池装置の出力を制限する可能性が低減する。
【0055】
また、本態様の燃料電池装置の制御方法は、蓄熱器の蓄熱量が第5の閾値よりも大きい第6の閾値以上になると、燃料電池装置の出力を低下させることで、かかる出力低下を行わない場合に比べて、燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性を低減することができる。
【0056】
本開示の第14態様の燃料電池装置の制御方法は、第3態様から第5態様、および、第8態様から第10態様のいずれか一つの燃料電池装置の制御方法において、燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が第7の閾値以上になると、燃料電池装置が高温異常であることを示す情報を表示器に通知し、燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が第7の閾値よりも大きい第8の閾値以上になると、燃料電池装置の出力を低下させてもよい。
【0057】
上記によると、本態様の燃料電池装置の制御方法は、燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が第7の閾値以上になると、燃料電池装置が高温異常であることを示す情報を表示器に通知することで、かかる情報を表示器に通知しない場合に比べて、燃料電池装置の動作温度を適温範囲内に維持するための燃料電池装置の冷却動作を適時に行うことができる。これにより、燃料電池装置の出力を制限する可能性が低減する。
【0058】
また、本態様の燃料電池装置の制御方法は、燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が第7の閾値よりも大きい第8の閾値以上になると、燃料電池装置の出力を低下させることで、かかる出力低下を行わない場合に比べて、燃料電池装置の動作温度が適温範囲を上回る可能性を低減することができる。
【0059】
本開示の第15態様の制御装置は、水素貯蔵器の水素量を示す情報、水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の排熱を回収する熱媒体の温度を示す情報および燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温を示す情報の少なくとも2つを受信する通信器と、水素貯蔵器の水素量が低下すると、燃料電池装置の出力を低下させる制御、熱媒体の温度が上昇すると、燃料電池装置の出力を低下させる制御、および燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、燃料電池装置の出力を低下させる制御の少なくとも2つを実行する制御器と、を備え、制御器は、上記少なくとも2つの制御をともに実行するとき、各制御において実行される燃料電池装置の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させる。
【0060】
かかる構成によると、本態様の制御装置は、従来と異なり、水素貯蔵器の水素量の低下だけでなく、燃料電池装置の排熱を回収する熱媒体の温度上昇、または燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇も考慮して燃料電池装置の出力を適切に低下させ得る。なお、本態様の制御装置が奏する作用効果の詳細は、上記の作用効果の内容から容易に理解することができるので説明を省略する。
【0061】
本開示の第16態様の制御装置は、水素貯蔵器の水素量を示す情報、水素貯蔵器からの水素を用いて発電する燃料電池装置の排熱を蓄える蓄熱器の蓄熱量を示す情報および燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温を示す情報の少なくとも2つを受信する通信器と、水素貯蔵器の水素量が低下すると、燃料電池装置の出力を低下させる制御、蓄熱器の蓄熱量が上昇すると、燃料電池装置の出力を低下させる制御、および燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、燃料電池装置の出力を低下させる制御の少なくとも2つを実行する制御器と、を備え、制御器は、上記少なくとも2つの制御をともに実行するとき、各制御において実行される燃料電池装置の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させる。
【0062】
かかる構成によると、本態様の制御装置は、従来と異なり、水素貯蔵器の水素量の低下だけでなく、燃料電池装置の排熱を蓄える蓄熱器の蓄熱量上昇、または燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇も考慮して燃料電池装置の出力を適切に低下させ得る。なお、本態様の制御装置が奏する作用効果の詳細は、上記の作用効果の内容から容易に理解することができるので説明を省略する。
【0063】
本開示の第17態様の発電システムは、燃料電池装置と、第15態様または第16態様の制御装置と、を備える。
【0064】
かかる構成によると、本態様の発電システムは、従来と異なり、水素貯蔵器の水素量の低下だけでなく、燃料電池装置の排熱を回収する熱媒体の温度上昇、または燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇も考慮して燃料電池装置の出力を適切に低下させ得る。なお、本態様の発電システムが奏する作用効果の詳細は、上記の作用効果の内容から容易に理解することができるので説明を省略する。
【0065】
また、本態様の発電システムは、従来と異なり、水素貯蔵器の水素量の低下だけでなく、燃料電池装置の排熱を蓄える蓄熱器の蓄熱量上昇、または燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温上昇も考慮して燃料電池装置の出力を適切に低下させ得る。なお、本態様の発電システムが奏する作用効果の詳細は、上記の作用効果の内容から容易に理解することができるので説明を省略する。
【0066】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の上記態様の具体例を説明する。以下で説明する具体例は、いずれも本開示の上記態様の一例を示すものである。よって、以下で示される形状、数値、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、請求項に記載されていない限り、請求項の範囲を限定するものではない。
【0067】
また、以下に説明する構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面において、同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合がある。図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状および寸法比などについては正確な表示ではない場合がある。
【0068】
さらに、装置の動作においては、必要に応じて、工程の順番を入れ替えてもよいし、公知の工程を追加してもよい。
【0069】
(第1実施形態)
[装置構成]
図1は、第1実施形態の発電システムの一例を示す図である。
図2は、
図1の制御装置の一例を示す図である。
【0070】
本実施形態の発電システム10は、
図1に示す如く、燃料電池装置15と、制御装置20と、を備える。
【0071】
燃料電池装置15は、水素貯蔵器40からの水素を用いて発電する発電ユニットを備える。水素貯蔵器40として、例えば、水素タンクを挙げることができるが、これに限定されない。
【0072】
ここで、燃料電池装置15の動作温度には適温範囲が存在する。このため、蓄熱器50からの熱媒体が、燃料電池装置15に含まれる発電ユニット内の燃料電池スタックを通過するように循環している。これにより、熱媒体が、燃料電池装置15の排熱を回収することで、燃料電池装置15の動作温度が適温に維持される。
【0073】
本例では、蓄熱器50が発電システム10に併設されている。これにより、蓄熱器50は、燃料電池装置15の排熱を適切に蓄えることができる。蓄熱器50として、上記熱媒体の一例である水を貯える貯湯タンクを挙げることができるが、これに限定されない。熱媒体は、例えば、不凍液であってもよい。なお、熱媒体が流れる流路には、図示されない、熱媒体を送出する送出器(例えば、ポンプ)が設けられる。
【0074】
なお、燃料電池装置15は、単一の発電ユニットを備えてもよいし、複数の発電ユニットを備えてもよい。ここで、後者の場合、発電システム10は、例えば、電力系統に大電力を供給するシステムであってもよい。つまり、後者の場合、発電システム10は、燃料電池スタックを含む複数の発電ユニットからなる発電ユニット群を備え、燃料電池装置15は、発電ユニット群を分割した各グループに対応する。このような発電システム10の詳細な構成は、第7実施形態で説明する。
【0075】
図2に示すように、制御装置20は、通信器21と、制御器23と、を備える。
【0076】
通信器21は、水素貯蔵器40の水素量を示す情報、水素貯蔵器40からの水素を用いて発電する燃料電池装置15の排熱を回収する熱媒体の温度を示す情報および燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温を示す情報の少なくとも2つを受信する受信器である。例えば、通信器21は、通信ネットワークを介して、水素貯蔵器40の水素量を示す情報、熱媒体の温度を示す情報および燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温を示す情報の少なくとも2つを所定の時間毎に受信してもよい。かかる情報は。発電システム10の適宜の表示器に通知されてもよい。「表示器」として、例えば、発電システム10で発電する電力供給のサービスを受けている需要者の情報端末、メンテナンス会社の表示装置などを挙げることができるが、これらに限定されない。水素貯蔵器40の水素量は、例えば、適宜のセンサで計測されてもよい。かかるセンサの詳細は第3実施形態で説明する。熱媒体の温度は、適宜のセンサで計測されてもよい。かかるセンサの詳細は第4実施形態で説明する。燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温は、適宜のセンサで計測されてもよい。かかるセンサの詳細は第6実施形態で説明する。
【0077】
制御器23は、水素貯蔵器40の水素量が低下すると、燃料電池装置15の出力を低下させる制御、熱媒体の温度が上昇すると、燃料電池装置15の出力を低下させる制御、および燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、燃料電池装置15の出力を低下させる制御の少なくとも2つを実行する。また、制御器23は、上記少なくとも2つの制御をともに実行するとき、各制御において実行される燃料電池装置15の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させる。なお、「燃料電池装置15の出力を低下させる」とは、燃料電池装置15の出力の上限値を低下させることを含む。換言すれば、「燃料電池装置15の出力を低下させる」とは、燃料電池装置15の出力を制限することを含む。
【0078】
燃料電池装置15が、燃料電池スタックを含む複数の発電ユニットを備える場合、燃料電池装置15の出力低下は、複数の発電ユニットの一部の運転が停止することで実現されてもよいし、複数の発電ユニットのうちの一部または全部の出力を下げることで実現されてもよい。ただし、前者の場合、発電ユニットの出力を定格出力で一定に維持できるので、発電ユニットの発電効率および長寿命化において、後者の場合に比べて有利である。
【0079】
燃料電池装置15が、単一の発電ユニットで構成される場合、燃料電池装置15の出力低下は、当該単一の発電ユニットの出力を下げることで実現される。
【0080】
なお、以上の「燃料電池装置15の出力低下」には、燃料電池装置15の出力がゼロになる燃料電池装置15の運転停止が含まれる。
【0081】
制御器23は、制御機能を有するものであればよく、演算処理部(図示せず)と制御プログラムを記憶する記憶部と、を備える。演算処理部が、記憶部に記憶された制御プログラムを読み出して実行することによって、制御器23において、所定の制御が行われる。演算処理部として、例えば、マイクロプロセッサが例示される。記憶部としては、例えば、メモリが例示される。なお、制御器23を備える制御装置20は、燃料電池装置15内の発電ユニットの出力を含む動作を直接制御してもよい。また、発電ユニット内に出力を含め自身の動作を制御する、図示されない制御装置が設けられている場合は、制御装置20は、この制御装置を介して、燃料電池装置15内の発電ユニットの出力を含む動作を間接的に制御してもよい。
【0082】
以上の発電システム10の構成は、例示であって、本例に限定されない。例えば、
図1に示す例では、水素貯蔵器40および蓄熱器50は、発電システム10の外部に設けられているが、これらの水素貯蔵器40および蓄熱器50は、発電システム10内に設けられていてもよい。また、蓄熱器50を設けず、燃料電池装置15の排熱を回収した熱媒体を外部(例えば、下水道)に廃棄してもよいし、図示しない放熱器で冷却してもよい。
【0083】
[動作]
図3は、第1実施形態の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。以下の動作は、例えば、制御器23の演算処理部が、制御器23の記憶部から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器23で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。以下の例では、制御器23により動作を制御する場合について、説明する。
【0084】
まず、発電システム10の発電中に、ステップS1で、水素貯蔵器40の水素量が低下すると、燃料電池装置15の出力を低下させるステップと、燃料電池装置15の排熱を回収する熱媒体の温度が上昇すると、燃料電池装置15の出力を低下させるステップと、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、燃料電池装置15の出力を低下させるステップのうちの少なくとも2つのステップが実行される。
【0085】
ここで、ステップS2で、ステップS1の「少なくとも2つのステップ」がともに実行されるとき、各ステップにおいて実行される燃料電池装置15の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0086】
以上に説明した本実施形態によれば、従来と異なり、水素貯蔵器40の水素量の低下だけでなく、燃料電池装置15の排熱を回収する熱媒体の温度上昇、または燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温上昇も考慮して燃料電池装置15の出力を適切に低下させ得る。
【0087】
ここで、水素貯蔵器40の水素量が低下するほど、燃料電池装置15の発電に必要な水素が欠乏する可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置15の出力を低下させる必要がある。また、燃料電池装置15の動作温度には適温範囲が存在するが、熱媒体の温度が上昇するほど、熱媒体によって燃料電池装置15の排熱を適切に回収することが困難になる。すると、燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。また、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が上昇するほど、燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。よって、これらの場合、燃料電池装置15の出力を低下させる必要がある。
【0088】
そこで、本実施形態によれば、上記各ステップにおいて実行される燃料電池装置15の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させることで、これらの出力低下量の大小関係を考慮せずに燃料電池装置15の出力を制御する場合に比べて、燃料電池装置15の発電に必要な水素が欠乏する可能性および燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性をともに低減することができる。
【0089】
(第1実施例)
本実施例の燃料電池装置15の制御方法は、以下に説明する制御器23の制御内容以外は、第1実施形態と同様である。
【0090】
図4Aは、第1実施形態の第1実施例の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。以下の動作は、例えば、制御器23の演算処理部が、制御器23の記憶部から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器23で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。以下の例では、制御器23により動作を制御する場合について、説明する。
【0091】
まず、発電システム10の発電中に、ステップS10Aで、水素貯蔵器40の水素量が低下すると、燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0092】
また、発電システム10の発電中に、ステップS10Bで、燃料電池装置15の排熱を回収する熱媒体の温度が上昇すると、燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0093】
ここで、ステップS20で、水素貯蔵器40の水素量の低下による燃料電池装置15の出力低下(ステップS10Aの動作)と熱媒体の温度上昇による燃料電池装置15の出力低下(ステップS10Bの動作)とをともに実行するとき、水素貯蔵器40の水素量の低下による燃料電池装置15の出力低下量と熱媒体の温度上昇による燃料電池装置15の出力低下量とのうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0094】
なお、以上の制御装置20の動作は、例示であって、本例に限定されない。例えば、ステップS10Aの動作のタイミングとステップS10Bの動作のタイミングとは、同時であってもよいし、順序が逆であってもよい。
【0095】
以上に説明した本実施例によれば、従来と異なり、水素貯蔵器40の水素量の低下だけでなく、燃料電池装置15の排熱を回収する熱媒体の温度上昇も考慮して燃料電池装置15の出力を適切に低下させ得る。
【0096】
水素貯蔵器40の水素量が低下するほど、燃料電池装置15の発電に必要な水素が欠乏する可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置15の出力を低下させる必要がある。また、燃料電池装置15の動作温度には適温範囲が存在するが、熱媒体の温度が上昇するほど、熱媒体によって燃料電池装置15の排熱を適切に回収することが困難になる。すると、燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置15の出力を低下させる必要がある。
【0097】
そこで、本実施例によれば、上記2つのステップにおいて実行される燃料電池装置15の出力低下量のうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させることで、これらの出力低下量の大小関係を考慮せずに燃料電池装置15を制御する場合に比べて、燃料電池装置15の発電に必要な水素が欠乏する可能性および燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性をともに低減することができる。
【0098】
本実施例の燃料電池装置15の制御方法、制御装置20および発電システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態と同様であってもよい。
【0099】
(第2実施例)
本実施例の燃料電池装置15の制御方法は、以下に説明する制御器23の制御内容以外は、第1実施形態と同様である。
【0100】
図4Bは、第1実施形態の第2実施例の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。以下の動作は、例えば、制御器23の演算処理部が、制御器23の記憶部から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器23で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。以下の例では、制御器23により動作を制御する場合について、説明する。
【0101】
まず、発電システム10の発電中に、ステップS11Aで、水素貯蔵器40の水素量が低下すると、燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0102】
また、発電システム10の発電中に、ステップS11Bで、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0103】
ここで、ステップS21で、水素貯蔵器40の水素量の低下による燃料電池装置15の出力低下(ステップS11Aの動作)と燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置15の出力低下(ステップS11Bの動作)とをともに実行するとき、水素貯蔵器40の水素量の低下による燃料電池装置15の出力低下量と燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置15の出力低下量とのうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0104】
なお、以上の制御装置20の動作は、例示であって、本例に限定されない。例えば、ステップS11Aの動作のタイミングとステップS11Bの動作のタイミングとは、同時であってもよいし、順序が逆であってもよい。
【0105】
水素貯蔵器40の水素量が低下するほど、燃料電池装置15の発電に必要な水素が欠乏する可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置15の出力を低下させる必要がある。また、燃料電池装置15の動作温度には適温範囲が存在するが、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が上昇するほど、燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置15の出力を低下させる必要がある。
【0106】
そこで、本実施例によれば、上記2つのステップにおいて実行される燃料電池装置の出力低下量のうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させることで、これらの出力低下量の大小関係を考慮せずに燃料電池装置15の出力を制御する場合に比べて、燃料電池装置15の発電に必要な水素が欠乏する可能性および燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性をともに低減することができる。
【0107】
本実施例の燃料電池装置15の制御方法、制御装置20および発電システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態または第1実施形態の第1実施例と同様であってもよい。
【0108】
(第3実施例)
本実施例の燃料電池装置15の制御方法は、以下に説明する制御器23の制御内容以外は、第1実施形態と同様である。
【0109】
図4Cは、第1実施形態の第3実施例の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。以下の動作は、例えば、制御器23の演算処理部が、制御器23の記憶部から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器23で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。以下の例では、制御器23により動作を制御する場合について、説明する。
【0110】
まず、発電システム10の発電中に、ステップS12Aで、燃料電池装置15の排熱を回収する熱媒体の温度が上昇すると、燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0111】
また、発電システム10の発電中に、ステップS12Bで、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0112】
ここで、ステップS22で、熱媒体の温度上昇による燃料電池装置15の出力低下(ステップS12Aの動作)と燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置15の出力低下(ステップS12Bの動作)とをともに実行するとき、熱媒体の温度上昇による燃料電池装置15の出力低下量と燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置15の出力低下量とのうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0113】
なお、以上の制御装置20の動作は、例示であって、本例に限定されない。例えば、ステップS12Aの動作のタイミングとステップS12Bの動作のタイミングとは、同時であってもよいし、順序が逆であってもよい。
【0114】
燃料電池装置15の動作温度には適温範囲が存在するが、熱媒体の温度が上昇するほど、熱媒体によって燃料電池装置15の排熱を適切に回収することが困難になる。すると、燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。また、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が上昇するほど、燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。よって、これらの場合、燃料電池装置15の出力を低下させる必要がある。
【0115】
そこで、本実施例によれば、上記2つのステップにおいて実行される燃料電池装置15の出力低下量のうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させることで、これらの出力低下量の大小関係を考慮せずに燃料電池装置15の出力を制御する場合に比べて、燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性を低減することができる。
【0116】
本実施例の燃料電池装置15の制御方法、制御装置20および発電システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態および第1実施形態の第1実施例-第2実施例のいずれかと同様であってもよい。
【0117】
(第4実施例)
本実施例の燃料電池装置15の制御方法は、以下に説明する制御器23の制御内容以外は、第1実施形態と同様である。
【0118】
図4Dは、第1実施形態の第4実施例の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。以下の動作は、例えば、制御器23の演算処理部が、制御器23の記憶部から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器23で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。以下の例では、制御器23により動作を制御する場合について、説明する。
【0119】
まず、発電システム10の発電中に、ステップS13Aで、水素貯蔵器40の水素量が低下すると、燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0120】
また、発電システム10の発電中に、ステップS13Bで、燃料電池装置15の排熱を回収する熱媒体の温度が上昇すると、燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0121】
また、発電システム10の発電中に、ステップS13Cで、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0122】
ここで、ステップS23で、水素貯蔵器40の水素量の低下による燃料電池装置15の出力低下(ステップS13Aの動作)と熱媒体の温度上昇による燃料電池装置15の出力低下(ステップS13Bの動作)と燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置15の出力低下(ステップS13Cの動作)とをともに実行するとき、水素貯蔵器40の水素量の低下による燃料電池装置15の出力低下量と熱媒体の温度上昇による燃料電池装置15の出力低下量と燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置15の出力低下量とのうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0123】
なお、以上の制御装置20の動作は、例示であって、本例に限定されない。例えば、ステップS13Aの動作のタイミングとステップS13Bの動作のタイミングとステップS13Cの動作のタイミングとは、同時であってもよいし、これらの動作が
図4Dの順序とは異なっていてもよい。
【0124】
水素貯蔵器40の水素量が低下するほど、燃料電池装置15の発電に必要な水素が欠乏する可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置15の出力を低下させる必要がある。また、燃料電池装置15の動作温度には適温範囲が存在するが、熱媒体の温度が上昇するほど、熱媒体によって燃料電池装置15の排熱を適切に回収することが困難になる。すると、燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。また、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が上昇するほど、燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。よって、これらの場合、燃料電池装置15の出力を低下させる必要がある。
【0125】
そこで、本実施例にとれば、上記3つのステップにおいて実行される燃料電池装置15の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させることで、これらの出力低下量の大小関係を考慮せずに燃料電池装置15の出力を制御する場合に比べて、燃料電池装置15の発電に必要な水素が欠乏する可能性および燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性をともに低減することができる。
【0126】
本実施例の燃料電池装置15の制御方法、制御装置20および発電システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態および第1実施形態の第1実施例-第3実施例のいずれかと同様であってもよい。
【0127】
(第2実施形態)
本実施形態の発電システム10は、以下に説明する制御装置20の構成および制御内容以外は、第1実施形態の発電システム10と同様である。
【0128】
通信器21は、水素貯蔵器40の水素量を示す情報、水素貯蔵器40からの水素を用いて発電する燃料電池装置15の排熱を蓄える蓄熱器50の蓄熱量を示す情報および燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温を示す情報の少なくとも2つを示す情報を受信する受信器である。例えば、通信器21は、通信ネットワークを介して、水素貯蔵器40の水素量を示す情報、蓄熱器50の蓄熱量を示す情報および燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温を示す情報の少なくとも2つを所定の時間毎に受信してもよい。かかる情報は、発電システム10の適宜の表示器に通知されてもよい。「表示器」として、例えば、発電システム10で発電する電力供給のサービスを受けている需要者の情報端末、メンテナンス会社の表示装置などを挙げることができるが、これらに限定されない。水素貯蔵器40の水素量は、例えば、適宜のセンサで計測されてもよい。かかるセンサの詳細は第3実施形態で説明する。蓄熱器50の蓄熱量は、例えば、適宜のセンサなどで計測されてもよい。かかるセンサの詳細は第5実施形態で説明する。燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温は、適宜のセンサで計測されてもよい。かかるセンサの詳細は第6実施形態で説明する。
【0129】
制御器23は、水素貯蔵器40の水素量が低下すると、燃料電池装置15の出力を低下させる制御、蓄熱器50の蓄熱量が上昇すると、燃料電池装置15の出力を低下させる制御、および燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、燃料電池装置15の出力を低下させる制御の少なくとも2つを実行する。また、制御器23は、上記少なくとも2つの制御をともに実行するとき、各制御において実行される燃料電池装置15の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させる。なお、「燃料電池装置15の出力を低下させる」とは、第1実施形態と同様であるので説明を書略する。また、制御器23は、制御機能を有するものであればよく、演算処理部(図示せず)と制御プログラムを記憶する記憶部と、を備える。かかる制御器23の構成は、第1実施形態と同様であるので詳細な説明を書略する。
【0130】
図5は、第2実施形態の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。以下の動作は、例えば、制御器23の演算処理部が、制御器23の記憶部から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器23で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。以下の例では、制御器23により動作を制御する場合について、説明する。
【0131】
まず、発電システム10の発電中に、ステップS101で、水素貯蔵器40の水素量が低下すると、燃料電池装置15の出力を低下させるステップと、蓄熱器50の蓄熱量が上昇すると、燃料電池装置15の出力を低下させるステップと、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、燃料電池装置15の出力を低下させるステップのうちの少なくとも2つのステップが実行される。
【0132】
ここで、ステップS102で、ステップS101の「少なくとも2つのステップ」がともに実行されるとき、各ステップにおいて実行される燃料電池装置15の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0133】
以上に説明した本実施形態によれば、従来と異なり、水素貯蔵器40の水素量の低下だけでなく、燃料電池装置15の排熱を蓄える蓄熱器50の蓄熱量上昇、または燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温上昇も考慮して燃料電池装置15の出力を適切に低下させ得る。
【0134】
水素貯蔵器40の水素量が低下するほど、燃料電池装置15の発電に必要な水素が欠乏する可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置15の出力を低下させる必要がある。また、燃料電池装置15の動作温度には適温範囲が存在するが、蓄熱器50の蓄熱量が上昇し、満蓄になると、燃料電池装置15の排熱を適切に回収することが困難になる。すると、燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。また、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が上昇するほど、燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。よって、これらの場合、燃料電池装置15の出力を低下させる必要がある。
【0135】
そこで、本実施形態によれば、上記各ステップにおいて実行される燃料電池装置15の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させることで、これらの出力低下量の大小関係を考慮せずに燃料電池装置15の出力を制御する場合に比べて、燃料電池装置15の発電に必要な水素が欠乏する可能性および燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性をともに低減することができる。
【0136】
本実施形態の燃料電池装置15の制御方法、制御装置20および発電システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態および第1実施形態の第1実施例-第4実施例のいずれかと同様であってもよい。
【0137】
(第1実施例)
本実施例の燃料電池装置15の制御方法は、以下に説明する制御器23の制御内容以外は、第2実施形態と同様である。
【0138】
図6Aは、第2実施形態の第1実施例の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。以下の動作は、例えば、制御器23の演算処理部が、制御器23の記憶部から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器23で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。以下の例では、制御器23により動作を制御する場合について、説明する。
【0139】
まず、発電システム10の発電中に、ステップS110Aで、水素貯蔵器40の水素量が低下すると、燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0140】
また、発電システム10の発電中に、ステップS110Bで、燃料電池装置15の排熱を蓄える蓄熱器50の蓄熱量が上昇すると、燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0141】
ここで、ステップS120で、水素貯蔵器40の水素量の低下による燃料電池装置15の出力低下(ステップS110Aの動作)と蓄熱器50の蓄熱量上昇による燃料電池装置15の出力低下(ステップS110Bの動作)とをともに実行するとき、水素貯蔵器40の水素量の低下による燃料電池装置15の出力低下量と蓄熱器50の蓄熱量上昇による燃料電池装置15の出力低下量とのうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0142】
なお、以上の制御装置20の動作は、例示であって、本例に限定されない。例えば、ステップS110Aの動作のタイミングとステップS110Bの動作のタイミングとは、同時であってもよいし、順序が逆であってもよい。
【0143】
以上に説明した本実施例によれば、従来と異なり、水素貯蔵器40の水素量の低下だけでなく、燃料電池装置15の排熱を蓄える蓄熱器50の蓄熱量上昇も考慮して燃料電池装置15の出力を適切に低下させ得る。
【0144】
水素貯蔵器40の水素量が低下するほど、燃料電池装置15の発電に必要な水素が欠乏する可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置15の出力を低下させる必要がある。また、燃料電池装置15の動作温度には適温範囲が存在するが、蓄熱器50の蓄熱量が上昇し、満蓄になると、燃料電池装置15の排熱を適切に回収することが困難になる。すると、燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置15の出力を低下させる必要がある。
【0145】
そこで、本実施例によれば、水素貯蔵器40の水素量の低下による燃料電池装置15の出力低下量と蓄熱器50の蓄熱量上昇による燃料電池装置15の出力低下量とのうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させることで、これらの出力低下量の大小関係を考慮せずに燃料電池装置15の出力を制御する場合に比べて、燃料電池装置15の発電に必要な水素が欠乏する可能性および燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性をともに低減することができる。
【0146】
本実施例の燃料電池装置15の制御方法、制御装置20および発電システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の第1実施例-第4実施例および第2実施形態のいずれかと同様であってもよい。
【0147】
(第2実施例)
本実施例の燃料電池装置15の制御方法は、以下に説明する制御器23の制御内容以外は、第2実施形態と同様である。
【0148】
図6Bは、第2実施形態の第2実施例の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。以下の動作は、例えば、制御器23の演算処理部が、制御器23の記憶部から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器23で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。以下の例では、制御器23により動作を制御する場合について、説明する。
【0149】
まず、発電システム10の発電中に、ステップS111Aで、水素貯蔵器40の水素量が低下すると、燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0150】
また、発電システム10の発電中に、ステップS111Bで、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0151】
ここで、ステップS121で、水素貯蔵器40の水素量の低下による燃料電池装置15の出力低下(ステップS111Aの動作)と燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置15の出力低下(ステップS111Bの動作)とをともに実行するとき、水素貯蔵器40の水素量の低下による燃料電池装置15の出力低下量と燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置15の出力低下量とのうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0152】
なお、以上の制御装置20の動作は、例示であって、本例に限定されない。例えば、ステップS111Aの動作のタイミングとステップS111Bの動作のタイミングとは、同時であってもよいし、順序が逆であってもよい。
【0153】
水素貯蔵器40の水素量が低下するほど、燃料電池装置15の発電に必要な水素が欠乏する可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置15の出力を低下させる必要がある。また、燃料電池装置15の動作温度には適温範囲が存在するが、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が上昇するほど、燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置15の出力を低下させる必要がある。
【0154】
そこで、本実施例によれば、上記2つのステップにおいて実行される燃料電池装置15の出力低下量のうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させることで、これらの出力低下量の大小関係を考慮せずに燃料電池装置15の出力を制御する場合に比べて、燃料電池装置15の発電に必要な水素が欠乏する可能性および燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性をともに低減することができる。
【0155】
本実施例の燃料電池装置15の制御方法、制御装置20および発電システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の第1実施例-第4実施例、第2実施形態および第2実施形態の第1実施例のいずれかと同様であってもよい。
【0156】
(第3実施例)
本実施例の燃料電池装置15の制御方法は、以下に説明する制御器23の制御内容以外は、第2実施形態と同様である。
【0157】
図6Cは、第2実施形態の第3実施例の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。以下の動作は、例えば、制御器23の演算処理部が、制御器23の記憶部から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器23で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。以下の例では、制御器23により動作を制御する場合について、説明する。
【0158】
まず、発電システム10の発電中に、ステップS112Aで、燃料電池装置15の排熱を蓄える蓄熱器50の蓄熱量が上昇すると、燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0159】
また、発電システム10の発電中に、ステップS112Bで、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0160】
ここで、ステップS122で、蓄熱器50の蓄熱量上昇による燃料電池装置15の出力低下(ステップS112Aの動作)と燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置15の出力低下(ステップS112Bの動作)とをともに実行するとき、蓄熱器50の蓄熱量上昇による燃料電池装置15の出力低下量と燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置15の出力低下量とのうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0161】
なお、以上の制御装置20の動作は、例示であって、本例に限定されない。例えば、ステップS112Aの動作のタイミングとステップS112Bの動作のタイミングとは、同時であってもよいし、順序が逆であってもよい。
【0162】
燃料電池装置15の動作温度には適温範囲が存在するが、蓄熱器50の蓄熱量が上昇し、満蓄になると、燃料電池装置15の排熱を適切に回収することが困難になる。すると、燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。また、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が上昇するほど、燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。よって、これらの場合、燃料電池装置15の出力を低下させる必要がある。
【0163】
そこで、本実施例によれば、上記2つのステップにおいて実行される燃料電池装置15の出力低下量のうち大きい方の出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させることで、これらの出力低下量の大小関係を考慮せずに燃料電池装置15の出力を制御する場合に比べて、燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性を低減することができる。
【0164】
本実施例の燃料電池装置15の制御方法、制御装置20および発電システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の第1実施例-第4実施例、第2実施形態および第2実施形態の第1実施例-第2実施例のいずれかと同様であってもよい。
【0165】
(第4実施例)
本実施例の燃料電池装置15の制御方法は、以下に説明する制御器23の制御内容以外は、第2実施形態と同様である。
【0166】
図6Dは、第2実施形態の第4実施例の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。以下の動作は、例えば、制御器23の演算処理部が、制御器23の記憶部から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器23で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。以下の例では、制御器23により動作を制御する場合について、説明する。
【0167】
まず、発電システム10の発電中に、ステップS113Aで、水素貯蔵器40の水素量が低下すると、燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0168】
また、発電システム10の発電中に、ステップS113Bで、燃料電池装置15の排熱を蓄える蓄熱器50の蓄熱量が上昇すると、燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0169】
また、発電システム10の発電中に、ステップS113Cで、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0170】
ここで、ステップS123で、水素貯蔵器40の水素量の低下による燃料電池装置15の出力低下(ステップS113Aの動作)と蓄熱器50の蓄熱量上昇による燃料電池装置15の出力低下(ステップS113Bの動作)と燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置15の出力低下(ステップS113Cの動作)とをともに実行するとき、水素貯蔵器40の水素量の低下による燃料電池装置15の出力低下量と蓄熱器50の蓄熱量上昇による燃料電池装置15の出力低下量と燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置15の出力低下量とのうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させる。
【0171】
なお、以上の制御装置20の動作は、例示であって、本例に限定されない。例えば、ステップS113Aの動作のタイミングとステップS113Bの動作のタイミングとステップS113Cの動作のタイミングとは、同時であってもよいし、これらの動作が
図6Dの順序とは異なっていてもよい。
【0172】
水素貯蔵器40の水素量が低下するほど、燃料電池装置15の発電に必要な水素が欠乏する可能性が高くなる。よって、この場合、燃料電池装置15の出力を低下させる必要がある。また、燃料電池装置15の動作温度には適温範囲が存在するが、蓄熱器50の蓄熱量が上昇し、満蓄になると、燃料電池装置15の排熱を適切に回収することが困難になる。すると、燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。また、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が上昇するほど、燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性が高くなる。よって、これらの場合、燃料電池装置15の出力を低下させる必要がある。
【0173】
そこで、本実施例にとれば、上記3つのステップにおいて実行される燃料電池装置15の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させることで、これらの出力低下量の大小関係を考慮せずに燃料電池装置15の出力を制御する場合に比べて、燃料電池装置15の発電に必要な水素が欠乏する可能性および燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性をともに低減することができる。
【0174】
本実施例の燃料電池装置15の制御方法、制御装置20および発電システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の第1実施例-第4実施例、第2実施形態および第2実施形態の第1実施例-第3実施例のいずれかと同様であってもよい。
【0175】
(第3実施形態)
本実施形態の燃料電池装置15の制御方法は、以下に説明する制御器23の制御内容以外は、第1実施形態または第2実施形態の燃料電池装置15の制御方法と同様である。
【0176】
本実施形態の燃料電池装置15の制御方法は、水素貯蔵器40の水素量が閾値A以下になると水素貯蔵器40の水素の補充を促すことを示す情報を表示器に通知する。閾値Aは、本開示の「第1の閾値」の一例である。
【0177】
ここで、水素貯蔵器40が高圧ガスタンクである場合、水素貯蔵器40の水素量は、水素ガスの圧力から導くことができる。かかる水素ガスの圧力は、
図7Aに示す如く、水素貯蔵器40から燃料電池装置15に延伸する水素ガス流路に設けられた圧力センサ41Aで計測されてもよいし、
図7Bに示す如く、水素貯蔵器40に設けられた圧力センサ41Bで計測されてもよい。
【0178】
水素貯蔵器40が液体水素タンクである場合、水素貯蔵器40の水素量は、
図7Cに示す如く、水素貯蔵器40に設けられた液面レベルセンサ41Cで計測されてもよい。
【0179】
また、本実施形態の燃料電池装置15の制御方法は、水素貯蔵器40の水素量が閾値Aよりも小さい閾値B以下になると燃料電池装置15の出力を低下させる。閾値Bは、本開示の「第2の閾値」の一例である。
【0180】
図8は、第3実施形態の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。以下の動作は、例えば、制御器23の演算処理部が、制御器23の記憶部から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器23で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。以下の例では、制御器23により動作を制御する場合について、説明する。
【0181】
まず、発電システム10の発電中に、ステップS210で、水素貯蔵器40の水素量が閾値A以下であるか否かが判定される。
【0182】
水素貯蔵器40の水素量が閾値A以下になると(ステップS210で「yes」の場合)、ステップS211で、水素貯蔵器40の水素の補充を促すことを示す情報が表示器にアラート通知される。
【0183】
次に、発電システム10の発電中に、ステップS212で、水素貯蔵器40の水素量が、閾値Aよりも小さい閾値B以下であるか否かが判定される。
【0184】
水素貯蔵器40の水素量が閾値B以下になると(ステップS212で「yes」の場合)、ステップS213で、燃料電池装置15の出力を低下させる。本ステップS213において、水素貯蔵器40の水素量に基づいて、燃料電池装置15の出力を低下させるように発電システム10の発電計画が修正されてもよい。例えば、燃料電池装置15が、燃料電池スタックを含む複数の発電ユニットを備える場合、水素貯蔵器40の水素量が所定量以下となったときは、発電中の発電ユニットの台数を所定数だけ減らすように当該発電計画が修正されてもよい。また、水素貯蔵器40の水素量がゼロになったときは、発電中の発電ユニットの台数がゼロになるように当該発電計画が修正されてもよい。
【0185】
なお、ステップS210で水素貯蔵器40の水素量が閾値A以下でない場合(ステップS210で「no」の場合)、および、ステップS212で水素貯蔵器40の水素量が閾値B以下でない場合(ステップS212で「no」の場合)、適時に、ステップS210以降の動作が再実行される。
【0186】
以上に説明した本実施形態によれば、水素貯蔵器40の水素量が閾値A以下になると水素貯蔵器40の水素の補充を促すことを示す情報を表示器に通知することで、かかる情報を表示器に通知しない場合に比べて、燃料電池装置15の発電に必要な水素補充を適時に行うことができる。これにより、燃料電池装置15の出力を制限する可能性が低減する。
【0187】
また、水素貯蔵器の水素量が閾値Aよりも小さい閾値B以下になると燃料電池装置15の出力を低下させることで、かかる出力低下を行わない場合に比べて、燃料電池装置15の発電に必要な水素が欠乏する可能性を低減することができる。
【0188】
本実施形態の燃料電池装置15の制御方法、制御装置20および発電システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の第1実施例-第4実施例、第2実施形態および第2実施形態の第1実施例-第4実施例のいずれかと同様であってもよい。
【0189】
(第4実施形態)
本実施形態の燃料電池装置15の制御方法は、以下に説明する制御器23の制御内容以外は、第1実施形態の燃料電池装置15の制御方法と同様である。
【0190】
本実施形態の燃料電池装置15の制御方法は、燃料電池装置15の排熱を回収する熱媒体(以下、熱媒体)の温度が閾値C以上になると、熱媒体の流量の上昇を促すことを示す情報を表示器に通知する。閾値Cは、本開示の「第3の閾値」の一例である。
【0191】
ここで、熱媒体の温度は、
図9Aに示す如く、燃料電池装置15から排熱を回収した熱媒体が流れる熱媒体流路に設けられた温度センサ51Aで計測されてもよいし、
図9Bに示す如く、かかる蓄熱器50に設けられた温度センサ51Bで計測されてもよい。発電システム10に蓄熱器50が設けられない場合、熱媒体の温度として、温度センサ51Aで計測された温度が用いられる。温度センサ51Aおよび温度センサ51Bとして、例えば、サーミスタ、熱電対などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0192】
また、本実施形態の燃料電池装置15の制御方法は、熱媒体の温度が閾値Cよりも大きい閾値D以上になると燃料電池装置15の出力を低下させる。閾値Dは、本開示の「第4の閾値」の一例である。
【0193】
図10は、第4実施形態の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。以下の動作は、例えば、制御器23の演算処理部が、制御器23の記憶部から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器23で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。以下の例では、制御器23により動作を制御する場合について、説明する。
【0194】
まず、発電システム10の発電中に、ステップS220で、熱媒体の温度が閾値C以上であるか否かが判定される。
【0195】
熱媒体の温度が閾値C以上になると(ステップS220で「yes」の場合)、ステップS221で、熱媒体の流量の上昇を促すことを示す情報が表示器にアラート通知される。
【0196】
次に、発電システム10の発電中に、ステップS222で、熱媒体の温度が、閾値Cよりも大きい閾値D以上であるか否かが判定される。
【0197】
熱媒体の温度が閾値D以上になると(ステップS222で「yes」の場合)、ステップS223で、燃料電池装置15の出力を低下させる。本ステップS223において、熱媒体の温度に基づいて、燃料電池装置15の出力を低下させるように発電システム10の発電計画が修正されてもよい。例えば、燃料電池装置15が、燃料電池スタックを含む複数の発電ユニットを備える場合、熱媒体の温度が所定温度以上になったときは、発電中の発電ユニットの台数を所定数だけ減らすように当該発電計画が修正されてもよい。さらに、水素貯蔵器40の水素量の低下による燃料電池装置15の出力低下量(第3実施形態)と熱媒体の温度上昇による燃料電池装置15の出力低下量(本実施形態)とが比較され、これらの出力低下量のうちの大きい方の出力低下量となるように発電システム10の発電計画が修正されてもよい。
【0198】
なお、ステップS220で熱媒体の温度が閾値C以上でない場合(ステップS220で「no」の場合)、および、ステップS222で熱媒体の温度が閾値D以上でない場合(ステップS222で「no」の場合)、適時に、ステップS220以降の動作が再実行される。
【0199】
燃料電池装置15の排熱を回収する熱媒体の流量が上昇するほど、熱媒体による燃料電池装置15の排熱の回収量が増えるので、燃料電池装置15の動作温度を適温範囲内に維持しやすくなる。
【0200】
よって、本実施形態の燃料電池装置15の制御方法は、熱媒体の温度が閾値C以上になると、熱媒体の流量の上昇を促すことを示す情報を表示器に通知することで、かかる情報を表示器に通知しない場合に比べて、燃料電池装置15の動作温度を適温範囲内に維持しやすくなる。これにより、燃料電池装置15の出力を制限する可能性が低減する。
【0201】
また、本実施形態の燃料電池装置15の制御方法は、熱媒体の温度が閾値Cよりも大きい閾値D以上になると、燃料電池装置15の出力を低下させることで、かかる出力低下を行わない場合に比べて、燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性を低減することができる。
【0202】
本実施形態の燃料電池装置15の制御方法、制御装置20および発電システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の第1実施例-第4実施例、第2実施形態、第2実施形態の第1実施例-第4実施例および第3実施形態のいずれかと同様であってもよい。
【0203】
(第5実施形態)
本実施形態の燃料電池装置15の制御方法は、以下に説明する制御器23の制御内容以外は、第2実施形態の燃料電池装置15の制御方法と同様である。
【0204】
本実施形態の燃料電池装置15の制御方法は、燃料電池装置15の排熱を蓄える蓄熱器50の蓄熱量が閾値E以上になると、蓄熱器50の熱利用を促すことを示す情報を表示器に通知する。閾値Eは、本開示の「第5の閾値」の一例である。
【0205】
ここで、蓄熱器50が、熱媒体の一例である水を貯える貯湯タンクである場合、蓄熱器50の蓄熱量は、
図11に示す如く、貯湯タンク内の水の温度を計測する温度センサ52で導くことができる。具体的には、貯湯タンクは、一般的に、常温の水を下部から取り出す。この水は、熱媒体流路を通じて燃料電池装置15内に供給されるとき、燃料電池装置15の排熱を回収することで温められる。そして、温水は、熱媒体流路を通じて貯湯タンクの上部に戻される。よって、貯湯タンクの側部に所定間隔毎に配された複数の温度検知器を用いて貯湯タンク内の水の温度を計測することで、蓄熱器50の蓄熱量を知ることができる。なお、「蓄熱器50の熱利用を促すこと」とは、蓄熱器50が上記貯湯タンクである場合、貯湯タンクから熱需要者が利用する熱利用機器に給湯を促すことに相当する。温度センサ52として、例えば、サーミスタ、熱電対などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0206】
また、本実施形態の燃料電池装置15の制御方法は、蓄熱器50の蓄熱量が閾値Eよりも大きい閾値F以上になると燃料電池装置15の出力を低下させる。閾値Fは、本開示の「第6の閾値」の一例である。
【0207】
図12は、第5実施形態の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。以下の動作は、例えば、制御器23の演算処理部が、制御器23の記憶部から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器23で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。以下の例では、制御器23により動作を制御する場合について、説明する。
【0208】
まず、発電システム10の発電中に、ステップS230で、蓄熱器50の蓄熱量が閾値E以上であるか否かが判定される。
【0209】
蓄熱器50の蓄熱量が閾値E以上になると(ステップS230で「yes」の場合)、ステップS231で、蓄熱器50の熱利用を促すことを示す情報が表示器にアラート通知される。
【0210】
次に、発電システム10の発電中に、ステップS232で、蓄熱器50の蓄熱量が、閾値Eよりも大きい閾値F以上であるか否かが判定される。
【0211】
蓄熱器50の蓄熱量が閾値F以上になると(ステップS232で「yes」の場合)、ステップS233で、燃料電池装置15の出力を低下させる。本ステップS233において、蓄熱器50の蓄熱量に基づいて、燃料電池装置15の出力を低下させるように発電システム10の発電計画が修正されてもよい。例えば、燃料電池装置15が、燃料電池スタックを含む複数の発電ユニットを備える場合、蓄熱器50の蓄熱量が所定量以上になったときは蓄熱器50に排熱を蓄えられている、発電中の発電ユニットの台数を所定数だけ減らすように当該発電計画が修正されてもよい。また、蓄熱器50の蓄熱量が満蓄状態であるときは、蓄熱器50に排熱を蓄えられている、発電中の発電ユニットの台数がゼロになるように当該発電計画が修正されてもよい。さらに、水素貯蔵器40の水素量の低下による燃料電池装置15の出力低下量(第3実施形態)と蓄熱器50の蓄熱量上昇による燃料電池装置15の出力低下量(本実施形態)とが比較され、これらの出力低下量のうちの大きい方の出力低下量となるように発電システム10の発電計画が修正されてもよい。
【0212】
なお、ステップS230で蓄熱器50の蓄熱量が閾値E以上でない場合(ステップS230で「no」の場合)、および、ステップS232で蓄熱器50の蓄熱量が閾値F以上でない場合(ステップS232で「no」の場合)、適時に、ステップS230以降の動作が再実行される。
【0213】
蓄熱器50の熱利用が促進されるほど、蓄熱器50において、燃料電池装置15の排熱を蓄える余地が増えるので、燃料電池装置15の動作温度を適温範囲内に維持しやすくなる。
【0214】
よって、本実施形態の燃料電池装置15の制御方法は、蓄熱器50の蓄熱量が閾値E以上になると、蓄熱器50の熱利用を促すことを示す情報を表示器に通知することで、かかる情報を表示器に通知しない場合に比べて、燃料電池装置15の動作温度を適温範囲内に維持するための蓄熱器50の熱利用促進を適時に行うことができる。これにより、燃料電池装置15の出力を制限する可能性が低減する。
【0215】
また、本実施形態の燃料電池装置15の制御方法は、蓄熱器50の蓄熱量が閾値Eよりも大きい閾値F以上になると、燃料電池装置15の出力を低下させることで、かかる出力低下を行わない場合に比べて、燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る能性を低減することができる。
【0216】
本実施形態の燃料電池装置15の制御方法、制御装置20および発電システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の第1実施例-第4実施例、第2実施形態、第2実施形態の第1実施例-第4実施例、第3実施形態および第4実施形態のいずれかと同様であってもよい。
【0217】
(第6実施形態)
本実施形態の燃料電池装置15の制御方法は、以下に説明する制御器23の制御内容以外は、第1実施形態または第2実施形態の燃料電池装置15の制御方法と同様である。
【0218】
本実施形態の燃料電池装置15の制御方法は、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が閾値G以上になると、燃料電池装置15が高温異常であることを示す情報を表示器に通知する。閾値Gは、本開示の「第7の閾値」の一例である。閾値Gとして、例えば、約40℃程度を挙げることができるが、これに限定されない。
【0219】
ここで、燃料電池装置15の筐体内の気温は、
図13Aに示す如く、筐体内の適所に設けられた温度センサ16Aで計測されてもよい。燃料電池装置15の筐体外の気温は、
図13Bに示す如く、筐体外の適所に設けられた温度センサ16Bで計測されてもよい。温度センサ16Aは、例えば、筐体の床面付近に設置された凍結予防のための温度センサを用いることができるが、これに限定されない。温度センサ16Bは、例えば、外気監視のための温度センサを用いることができるが、これに限定されない。燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温は、複数の温度センサで計測されたデータの平均値であってもよい。温度センサ16Aおよび温度センサ16Bとして、例えば、サーミスタ、熱電対などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0220】
また、本実施形態の燃料電池装置15の制御方法は、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が閾値Gよりも大きい閾値H以上になると、燃料電池装置15の出力を低下させる。閾値Hは、本開示の「第8の閾値」の一例である。閾値Hとして、例えば、約43℃程度を挙げることができるが、これに限定されない。
【0221】
図14は、第6実施形態の発電システムにおける制御装置の動作(燃料電池装置の制御方法)の一例を示すフローチャートである。以下の動作は、例えば、制御器23の演算処理部が、制御器23の記憶部から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器23で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。以下の例では、制御器23により動作を制御する場合について、説明する。
【0222】
まず、発電システム10の発電中に、ステップS240で、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が熱媒体の温度が閾値G以上であるか否かが判定される。
【0223】
燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が閾値G以上になると(ステップS240で「yes」の場合)、ステップS241で、燃料電池装置15が高温異常であることを示す情報が表示器にアラート通知される。
【0224】
次に、発電システム10の発電中に、ステップS242で、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が、閾値Gよりも大きい閾値H以上であるか否かが判定される。
【0225】
燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が閾値H以上になると(ステップS242で「yes」の場合)、ステップS243で、燃料電池装置15の出力を低下させる。本ステップS243において、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温に基づいて、燃料電池装置15の出力を低下させるように発電システム10の発電計画が修正されてもよい。例えば、燃料電池装置15が、燃料電池スタックを含む複数の発電ユニットを備える場合、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が所定温度以上になったときは、発電中の発電ユニットの台数を所定数だけ減らすように当該発電計画が修正されてもよい。さらに、水素貯蔵器40の水素量の低下による燃料電池装置15の出力低下量(第3実施形態)と燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置15の出力低下量(本実施形態)とが比較され、これらの出力低下量のうちの大きい方の出力低下量となるように発電システム10の発電計画が修正されてもよい。また、水素貯蔵器40の水素量の低下による燃料電池装置15の出力低下量(第3実施形態)と熱媒体の温度上昇による燃料電池装置15の出力低下量(第4実施形態)と燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置15の出力低下量(本実施形態)とが比較され、これらの出力低下量のうちの最も大きい出力低下量となるように発電システム10の発電計画が修正されてもよい。また、水素貯蔵器40の水素量の低下による燃料電池装置15の出力低下量(第3実施形態)と蓄熱器50の蓄熱量上昇による燃料電池装置15の出力低下量(第5実施形態)と燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置15の出力低下量(本実施形態)とが比較され、これらの出力低下量のうちの最も大きい出力低下量となるように発電システム10の発電計画が修正されてもよい。
【0226】
なお、ステップS240で燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が閾値G以上でない場合(ステップS240で「no」の場合)、および、ステップS242で燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が閾値H以上でない場合(ステップS242で「no」の場合)、適時に、ステップS240以降の動作が再実行される。
【0227】
以上に説明した本実施形態によれば、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が閾値G以上になると、燃料電池装置15が高温異常であることを示す情報を表示器に通知することで、かかる情報を表示器に通知しない場合に比べて、燃料電池装置15の動作温度を適温範囲内に維持するための燃料電池装置15の冷却動作を適時に行うことができる。これにより、燃料電池装置15の出力を制限する可能性が低減する。
【0228】
また、燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温が閾値Gよりも大きい閾値H以上になると、燃料電池装置15の出力を低下させることで、かかる出力低下を行わない場合に比べて、燃料電池装置15の動作温度が適温範囲を上回る可能性を低減することができる。
【0229】
本実施形態の燃料電池装置15の制御方法、制御装置20および発電システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の第1実施例-第4実施例、第2実施形態、第2実施形態の第1実施例-第4実施例、第3実施形態、第4実施形態および第5実施形態のいずれかと同様であってもよい。
【0230】
(第7実施形態)
図15は、第7実施形態の発電システムの一例を示す図である。
図15には、便宜上、第1実施形態(
図1)における水素貯蔵器40および蓄熱器50の図示が省略されている。
【0231】
本実施形態の発電システム10は、
図15に示す如く、燃料電池装置15(
図1参照)と、制御装置20と、制御装置30A~30Eと、を備える。ここで、制御装置20内の構成は、第1実施形態と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0232】
図15に示す例では、発電システム10は、燃料電池スタックを含む複数の発電ユニットからなる発電ユニット群を備える。この発電ユニット群は、複数の発電ユニットによってグループ化されている。なお、図示を省略するが、これらの発電ユニットはそれぞれ、燃料電池スタック、燃料電池スタックで発電された直流電力を交流電力に変換して電力系統に出力するための直交変換装置、および、これらの機器の動作を制御する制御装置などで構成されている。
【0233】
本例では、発電ユニット群は、グループAに属する発電ユニットa1~an、グループBに属する発電ユニットb1~bn、グループCに属する発電ユニットc1~cn、グループDに属する発電ユニットd1~dn、および、グループEに属する発電ユニットe1~enのそれぞれにグループ化されている。一つのグループに属する全ての発電ユニットを、単に「グループ内の発電ユニット」ともいう。
【0234】
但し、以上の発電ユニット群の構成は例示であって、本例に限定されない。例えば、発電ユニット群は、単一クループの発電ユニットによってグループ化されていてもよい。また、グループ内の発電ユニットの個数は、1個であってもよい。
【0235】
制御装置30A~30Eはそれぞれ、グループAの発電ユニットa1~an、グループBの発電ユニットb1~bn、グループCの発電ユニットc1~cn、グループDの発電ユニットd1~dn、および、グループEの発電ユニットe1~enのそれぞれに対して設けられており、グループ内の発電ユニットのそれぞれの動作を制御する。
【0236】
例えば、制御装置30Aは、通信ネットワークを介して、グループAに属する発電ユニットa1~anの効率的な動作(例えば、寿命の最適化)が可能になるように、これら発電ユニットa1~anのそれぞれの出力を制御する。なお、発電ユニットに、制御装置は設けられずに、制御装置30A~30Eにより、各グループに属する発電ユニットの動作が直接制御されてもよい。
【0237】
制御装置30A~30Eは、制御機能を有するものであればよく、演算処理部(図示せず)と制御プログラムを記憶する記憶部と、通信器と、を備える。演算処理部が、記憶部に記憶された制御プログラムを読み出して実行することによって、制御装置30A~30Eにおいて、所定の制御が行われる。演算処理部として、例えば、マイクロプロセッサが例示される。記憶部としては、例えば、メモリが例示される。
【0238】
制御装置20の制御器23(
図2参照)が、上記のとおり、水素貯蔵器40の水素量の低下による燃料電池装置15の出力低下量と熱媒体の温度上昇による燃料電池装置15の出力低下量と燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置15の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させるが、これに限定されない。制御装置20の制御器23以外の制御装置(例えば、制御装置30A~30E)が、このような燃料電池装置15の出力低下を実行してもよい。
【0239】
また、制御装置20の制御器23(
図2参照)が、上記のとおり、水素貯蔵器40の水素量の低下による燃料電池装置15の出力低下量と蓄熱器50の蓄熱量上昇による燃料電池装置15の出力低下量と燃料電池装置15の筐体内または筐体外の気温上昇による燃料電池装置15の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置15の出力を低下させるが、これに限定されない。制御装置20の制御器23以外の制御装置(例えば、制御装置30A~30E)が、このような燃料電池装置15の出力低下を実行してもよい。
【0240】
本実施形態の発電システム10が奏する作用効果は、第1実施形態または第2実施形態に記載の作用効果と同様であるので説明を省略する。
【0241】
以上の発電システム10の構成は例示であって、本例に限定されない。例えば、制御装置20が、制御装置30A~30Eと一体となって、換言すれば、制御装置30A~30Eの制御機能を搭載して、直接、グループ内の発電ユニットのそれぞれの動作を制御してもよい。
【0242】
本実施形態の燃料電池装置15の制御方法、制御装置20および発電システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の第1実施例-第4実施例、第2実施形態、第2実施形態の第1実施例-第4実施例、第3実施形態、第4実施形態、第5実施形態および第6実施形態のいずれかと同様であってもよい。
【0243】
第1実施形態、第1実施形態の第1実施例-第4実施例、第2実施形態、第2実施形態の第1実施例-第4実施例、第3実施形態、第4実施形態、第5実施形態、第6実施形態および第7実施形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせても構わない。上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良および他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0244】
本開示の一態様は、従来と異なり、水素貯蔵器の水素量だけでなく、燃料電池装置の排熱を回収する熱媒体の温度、燃料電池装置の排熱を蓄える蓄熱器の蓄熱量、または燃料電池装置の筐体内または筐体外の気温も考慮して燃料電池装置の出力を適切に制御させ得る、燃料電池装置の制御方法、制御装置、および、発電システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0245】
10 :発電システム
15 :燃料電池装置
16A :温度センサ
16B :温度センサ
20 :制御装置
21 :通信器
23 :制御器
30A :制御装置
30B :制御装置
30C :制御装置
30D :制御装置
30E :制御装置
40 :水素貯蔵器
41A :圧力センサ
41B :圧力センサ
41C :液面レベルセンサ
50 :蓄熱器
51A :温度センサ
51B :温度センサ
52 :温度センサ
a1~an:発電ユニット
b1~bn:発電ユニット
c1~cn:発電ユニット
d1~dn:発電ユニット
e1~en:発電ユニット
【要約】
燃料電池装置の制御方法は、水素貯蔵器の水素量が低下すると、燃料電池装置の出力を低下させるステップと、燃料電池装置の排熱を回収する熱媒体の温度が上昇すると、燃料電池装置の出力を低下させるステップと、電池装置の筐体内または筐体外の気温が上昇すると、燃料電池装置の出力を低下させるステップと、の少なくとも2つを備える。本制御方法は、少なくとも2つのステップがともに実行されるとき、各ステップにおいて実行される燃料電池装置の出力低下量のうち最も大きい出力低下量になるよう燃料電池装置の出力を低下させる。