(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/48 20200101AFI20240507BHJP
D06F 34/16 20200101ALI20240507BHJP
【FI】
D06F33/48
D06F34/16
(21)【出願番号】P 2020111515
(22)【出願日】2020-06-29
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】川口 智也
(72)【発明者】
【氏名】永井 孝之
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-113232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/48、34/16、37/12、37/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱水槽と、
前記脱水槽の内周面に対して周方向に等間隔で配置される3つ以上のバッフルと、
各バッフルに個別に調整水を注水可能な注水装置と、
前記脱水槽の振動を検出する加速度検出手段と、
前記脱水槽の回転に応じて回転する被検出部を検出する度にパルス信号を発信する脱水槽位置検出装置と、
前記脱水槽内の偏芯量及び偏芯位置を検出する偏芯検出手段と、
脱水工程において偏芯量が所定の注水用偏芯量閾値に達したとき、偏芯位置に対応する前記バッフルに注水するように前記注水装置を制御する注水制御手段と、
前記3つ以上のバッフルについての基準位置と前記被検出部との位置ずれを補正する補正手段とを備え
、
前記補正手段は、前記脱水槽の周方向における所定位置に偏芯部材を取り付けた状態で前記脱水槽を回転駆動したときに、前記脱水槽位置検出装置が発信するパルス信号と前記加速度検出手段が出力する出力信号とから得られる補正値に基づいて、前記位置ずれを補正することを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
脱水槽と、
前記脱水槽の内周面に対して周方向に等間隔で配置される3つ以上のバッフルと、
各バッフルに個別に調整水を注水可能な注水装置と、
前記脱水槽の振動を検出する加速度検出手段と、
前記脱水槽の回転に応じて回転する被検出部を検出する度にパルス信号を発信する脱水槽位置検出装置と、
前記脱水槽内の偏芯量及び偏芯位置を検出する偏芯検出手段と、
脱水工程において偏芯量が所定の注水用偏芯量閾値に達したとき、偏芯位置に対応する前記バッフルに注水するように前記注水装置を制御する注水制御手段と、
前記3つ以上のバッフルについての基準位置と前記被検出部との位置ずれを補正する補正手段とを備え
、
前記補正手段は、所定のバッフルに注水した状態で前記脱水槽を回転駆動したときに、前記脱水槽位置検出装置が発信するパルス信号と前記加速度検出手段が出力する出力信号とから得られる補正値に基づいて、前記位置ずれを補正することを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
前記補正手段が前記位置ずれを補正する際に使用する補正値は、制御基板に搭載されたEEPROMに保存されることを特徴とする請求項1
または2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記EEPROMのついての異常検出計算は、前記補正値データが保存されたアドレスと、それ以外のアドレスとで別々に行われることを特徴とする請求項
3に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱水槽の回転を継続したまま脱水槽のアンバランスを解消して、脱水時における脱水槽の偏心による振動や騒音を抑制可能な洗濯機に関する。
【0002】
一般家庭あるいはコインランドリーなどに設置される一般的な洗濯機は、多数の通水孔が内周面に形成された脱水槽を有している。そのため、脱水時に脱水槽内の洗濯物から脱水された水は、多数の通水孔を介して脱水槽の外部へ排水される。また、脱水時に洗濯物の偏りが大きい場合、回転時の脱水槽の偏心が大きくなり、回転に大きなトルクが必要となるので脱水運転を開始することができない。
【0003】
そこで、特許文献1には、脱水時に脱水槽内の衣類のアンバランス量およびアンバランス位置を検出し、アンバランスがある場合には、脱水槽の周方向に均等に複数設けられたバッフルへの注水を行うことにより脱水槽のアンバランス状態を積極的に解消しようとする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の洗濯機では、脱水槽のアンバランス状態を解消するために、脱水槽内の衣類のアンバランス位置を検出して、そのアンバランス位置と反対側にあるバッフルに対して、アンバランス量に応じた量の調整水が注水される。そのような制御を行うために、上記洗濯機は、脱水槽の回転位置を検出する脱水槽位置検出装置としての近接スイッチを備えており、脱水槽の回転とともに回転するプーリには、近接スイッチにより検出されるマークが形成されている。そのため、近接スイッチによりマークの通過を検出することで、脱水槽が1回転したことを検出することができる。
【0006】
また、上記洗濯機は、脱水槽の加速度センサを検出する加速度センサを備えている。上記洗濯機において脱水時に洗濯物の偏りが発生した場合に、近接スイッチによりマークを検出したときに出力するパルス信号及び加速度センサの出力に基づいて、アンバランス位置が脱水槽の周方向の何れの位置にあるかを検出する。このようにして、アンバランス位置を検出すると、そのアンバランス位置と反対側にあるバッフルに対して調整水を注水することで、脱水槽のアンバランス状態を解消することができる。
【0007】
そこで、上記洗濯機において、アンバランス位置と反対側にあるバッフルに対して調整水を注水するためには、近接スイッチにより検出されるマークと、脱水槽内のバッフルとの相対位置を把握しておく必要がある。そのため、上記洗濯機では、3つのバッフルについての基準位置(例えば、1つのバッフルAの周方向中央位置と対向する位置)とマークの周方向位置とが一致することが好ましい。
【0008】
しかしながら、洗濯機を製造する際に、3つのバッフルについての基準位置とマークの周方向位置とが一致するように、バッフルを有する脱水槽とマークが形成されたプーリとを組み立てる作業は非常に煩雑である。
【0009】
なお、上記の問題は、脱水槽の回転位置を検出する脱水槽位置検出装置としての近接スイッチ及びその近接スイッチにより検出するマークを有する洗濯機に限らず、例えば脱水槽を回転駆動する軸受け部に、脱水槽の回転位置を検出する脱水槽位置検出装置としてのHall-IC基板及びそのHall-IC基板により検出する磁石を有する洗濯機においても同様に発生する。
【0010】
また、上記の問題は、鉛直方向に沿った回転軸の周りに回転する脱水槽を有する縦型洗濯機に限らず、水平方向または鉛直方向に傾斜する方向に沿った回転軸の周りに回転する脱水槽としてのドラムを有するドラム型洗濯機においても同様に発生する。
【0011】
そこで、本発明は、組み立て作業を容易にし、且つ、脱水槽の回転を継続したまま脱水槽のアンバランスを解消可能な洗濯機を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る洗濯機は、脱水槽と、前記脱水槽の内周面に対して周方向に等間隔で配置される3つ以上のバッフルと、各バッフルに個別に調整水を注水可能な注水装置と、前記脱水槽の振動を検出する加速度検出手段と、前記脱水槽の回転に応じて回転する被検出部を検出する度にパルス信号を発信する脱水槽位置検出装置と、前記脱水槽内の偏芯量及び偏芯位置を検出する偏芯検出手段と、脱水工程において偏芯量が所定の注水用偏芯量閾値に達したとき、偏芯位置に対応する前記バッフルに注水するように前記注水装置を制御する注水制御手段と、前記3つ以上のバッフルについての基準位置と前記被検出部との位置ずれを補正する補正手段とを備え、前記補正手段は、前記脱水槽の周方向における所定位置に偏芯部材を取り付けた状態で前記脱水槽を回転駆動したときに、前記脱水槽位置検出装置が発信するパルス信号と前記加速度検出手段が出力する出力信号とから得られる補正値に基づいて、前記位置ずれを補正することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る洗濯機は、脱水槽と、前記脱水槽の内周面に対して周方向に等間隔で配置される3つ以上のバッフルと、各バッフルに個別に調整水を注水可能な注水装置と、前記脱水槽の振動を検出する加速度検出手段と、前記脱水槽の回転に応じて回転する被検出部を検出する度にパルス信号を発信する脱水槽位置検出装置と、前記脱水槽内の偏芯量及び偏芯位置を検出する偏芯検出手段と、脱水工程において偏芯量が所定の注水用偏芯量閾値に達したとき、偏芯位置に対応する前記バッフルに注水するように前記注水装置を制御する注水制御手段と、前記3つ以上のバッフルについての基準位置と前記被検出部との位置ずれを補正する補正手段とを備え、前記補正手段は、所定のバッフルに注水した状態で前記脱水槽を回転駆動したときに、前記脱水槽位置検出装置が発信するパルス信号と前記加速度検出手段が出力する出力信号とから得られる補正値に基づいて、前記位置ずれを補正することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る洗濯機において、前記補正手段が前記位置ずれを補正する際に使用する補正値は、制御基板に搭載されたEEPROMに保存されることが好適である。
【0016】
本発明に係る洗濯機において、前記EEPROMのついての異常検出計算は、前記補正値データが保存されたアドレスと、それ以外のアドレスとで別々に行われることが好適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、3つ以上のバッフルについての基準位置と脱水槽位置検出装置が検出する被検出部との位置がずれている場合でも、その位置ずれを補正することができる。そのため、洗濯機の製造工程において基準位置と被検出部の位置が一致するように組み立てる必要がなく、洗濯機を容易に組み立てることができる。
また、洗濯機の組み立て時に発生した基準位置と被検出部との位置ずれ量を容易に検知することができる。
【0019】
本発明によれば、3つ以上のバッフルについての基準位置と脱水槽位置検出装置が検出する被検出部との位置がずれている場合でも、その位置ずれを補正することができる。そのため、洗濯機の製造工程において基準位置と被検出部の位置が一致するように組み立てる必要がなく、洗濯機を容易に組み立てることができる。
また、洗濯機の組み立て時に発生した基準位置と被検出部との位置ずれ量を容易に検知することができる。
【0020】
本発明によれば、洗濯機の組み立て時に発生した基準位置と被検出部との位置ずれを補正する際に使用する補正値を、検査工程において確認することができる。
【0021】
本発明によれば、EEPROMのデータ異常を容易に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る洗濯機1の外観を示す斜視図である。
【
図3】
図1の洗濯機1の一部を上方から見た平面図である。
【
図4】
図1の洗濯機1が有する脱水槽2の横断面図である。
【
図5】
図5(a)は、脱水槽2の内周面2a1に形成されるバッフル8を内周側から見た図であり、
図5(b)は、
図5(a)のa
1-a
1線における断面図である。
【
図7】脱水槽位置検出装置56により検出される磁石55の周方向位置と3つのバッフル8について基準位置のとの関係を示す図である。
【
図8】脱水槽2の下端部の構成を示す断面図である。
【
図9】
図1の洗濯機1の製造ラインの組立検査工程の手順を示すフローチャートである。
【
図10】軸受組立50Aを外槽3に組み付ける方法を示す図である。
【
図11】脱水槽組立2Aを外槽3に組み付ける方法を示す図である。
【
図12】脱水槽位置検出装置56が検出する磁石55の周方向位置と3つのバッフル8についての基準位置との位置ずれを説明する図である。
【
図13】脱水槽位置検出装置56が検出する磁石55の周方向位置と3つのバッフル8についての基準位置との位置ずれを補正する補正値を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態の洗濯機1について、図に基づいて詳細に説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る縦型の洗濯機(以下、「洗濯機」と称す。)1の外観を示す斜視図である。
図2は、本実施形態の洗濯機1の構成を示す模式図である。
図3は、本実施形態の洗濯機1の一部を上方から見た平面図である。
図4は、洗濯機1が有する脱水槽2の横断面図である。
【0025】
本実施形態の洗濯機1は、洗濯機本体1aと、脱水槽2と、外槽3と、受水リングユニット5と、注水装置30(ノズルユニット)と、駆動部50と、制御手段60(
図6参照)とを備える。
【0026】
図1に示す洗濯機本体1aは、略直方体形状である。洗濯機本体1aの上面には、脱水槽2に対して洗濯物を出し入れするための開口11が形成されるとともに、この開口11を開閉可能な開閉蓋11aが取り付けられる。
【0027】
外槽3は、洗濯機本体1aの内部に配置された有底筒状の部材であり、内部に洗濯水を貯留可能である。外槽3の底面には、排水口10が形成され、排水口10には、排水配管10aが接続される。
図2に示すように、外槽3の外周面3aには、水平と垂直の2方向の加速度を検出可能な加速度センサ58が取り付けられる。本実施形態では、加速度センサ58により外槽3の加速度が検出されるが、脱水槽2の加速度は、外槽3の加速度と略同一であるとする。
【0028】
脱水槽2は、外槽3内において外槽3と同軸に配置されるとともに、回転自在に支持される有底筒状の部材である。脱水槽2は、内部に洗濯物を収容可能で、その壁面2aに多数の通水孔2t(
図5(a)参照)を有する。
【0029】
このような脱水槽2の底部2c中央には、パルセータ(撹拌翼)4が回転自在に配置される。
図2に示すように、パルセータ4は、略円盤形状のパルセータ本体4aと、パルセータ本体4aの上面に形成される複数の上羽根部4bと、パルセータ本体4aの下面に形成される複数の下羽根部4cとを有する。このようなパルセータ4は、外槽3内に貯留された洗濯水を撹拌して水流を発生させる。
【0030】
図4に示すように、脱水槽2の内周面2a1には、周方向に等間隔(等角度)で通水管部としてのバッフル(注水管)8が3つ設けられる。各バッフル8は、脱水槽2の底部2cから上端部に亘って上下方向に延び、脱水槽2の内周面2a1から軸線S1に向けて突出して形成される。また、各バッフル8は、中空状であり、横断面形状が円弧状に形成される。このように、バッフル8の形状が、脱水槽2の軸線S1への突出が小さく、脱水槽2の周方向に沿って広がる形状であることで、脱水槽2の収容空間が狭くなることを抑制できる。
【0031】
図2に示すように、このようなバッフル8の上端部には、横長の循環水口80が形成される。また、バッフル8の下端部には、脱水槽2の底部2c近傍、より具体的にはパルセータ本体4aよりも下方で開口する開口部81が形成される。
【0032】
そのため、排水バルブ10a
1(
図2参照)が閉じられて外槽3内に洗濯水が貯められた状態にある洗い工程では、
図2において矢印で示すように、パルセータ4の下羽根部4cで撹拌された洗濯水が開口部81より浸入してバッフル8内をかけあがり、循環水口80より吐出され、衣類がシャワー洗いされる。またこの動作が繰り返されることで、洗濯水が脱水槽2内で循環する。すなわち、バッフル8は、洗濯水の循環機能を有する。
【0033】
バッフル8内の上端近傍には、循環水口80から脱水槽2の内周面2a1の近接位置まで延びる仕切片8aが設けられる。仕切片8aは、循環水口80の上端縁から半径方向外側に向かって延びて、その後、下方に湾曲する。このような仕切片8aと脱水槽2の内周面2a1との間には隙間8b(
図2参照)が形成されており、受水リングユニット5から供給される調整水は隙間8bを介して下方に流れ込む。
【0034】
受水リングユニット5は、
図3に示すように、上方に向けて開放された環状の導水樋5a,5b,5cが脱水槽2の軸線S1に向けて径方向に三層重層されて構成されるもので、
図2に示すように脱水槽2の内周面2a1の上端部に固定される。導水樋5a,5b,5cは、バッフル8と同数だけ設けられ、単独で何れかのバッフル8に調整水を流せるように形成される。
【0035】
導水樋5aの下端部には、
図3に示すように、径方向外側に向かって開口する開口5Aが形成されており、導水樋5aとバッフル8の内部とは連通している。導水樋5bの下端部には、径方向外側に向かって開口する開口5Bが形成されており、導水樋5aの下方を通過する通水経路5Baを介して、導水樋5bとバッフル8の内部とは連通している。導水樋5cの下端部には、径方向外側に向かって開口する開口5Cが形成されており、導水樋5a及び導水樋5bの下方を通過する通水経路5Caを介して、導水樋5cとバッフル8の内部とは連通している。
【0036】
受水リングユニット5の外周側には、環状の流体バランサ12が取り付けられている。流体バランサ12は、既知の流体バランサと同様のものである。
【0037】
注水装置30は、このような導水樋5a,5b,5cに個別に調整水を注水するものである。注水装置30は、導水樋5a,5b,5cの上方に配置された3本の注水ノズル30a,30b,30cと、これらの注水ノズル30a,30b,30cにそれぞれ接続される給水バルブ31a,31b,31cとを有する。注水ノズル30a,30b,30cは、導水樋5a,5b,5cと同数だけ設けられ、それぞれ別々の導水樋5a,5b,5cに注水可能な位置に、外槽3の上端部に取り付けられる。なお、本実施形態では調整水として水道水が用いられる。また、給水バルブ31a,31b,31cとしては、方向切換給水バルブを採用することも可能である。
【0038】
図2に示す駆動部50は、モータ51によりパルセータ4に接続された翼軸52を回転させて、パルセータ4に駆動力を与え、パルセータ4を回転させる。また、モータ51により脱水槽2の底部2cに向けて延出する脱水槽軸53を回転させて、脱水槽2に駆動力を与え、脱水槽2を回転させる。脱水槽軸53は、円筒状であり、軸受け53aにより回転可能に支持される。翼軸52は、脱水槽軸53の内側において回転可能に配置される。
【0039】
クラッチ54は、翼軸52が回転駆動され且つ脱水槽軸53が回転駆動されない状態と、翼軸52及び脱水槽軸53が何れも回転駆動される状態とを切り替える。そのため、洗濯機1は、洗い工程では主としてパルセータ4のみを回転させ、脱水工程では脱水槽2とパルセータ4とを一体的に高速で回転させる。
【0040】
また、脱水槽軸53の外周面には、被検出部としての磁石55が取り付けられており、脱水槽軸53の径方向外側には、Hall-IC基板である脱水槽位置検出部56が配置される。脱水槽位置検出部56は、磁石55の通過を検出可能であり、脱水槽軸53が1回転する度に、磁石55を検出してパルス信号を出力する。
【0041】
図5(a)は、脱水槽2の内周面2a1に形成されるバッフル8を内周側から見た図であり、
図5(b)は、
図5(a)のa
1-a
1線における断面図である。
【0042】
バッフル8の内周側壁の下端近傍には、
図5(b)に示すように、径方向内側に突出した突出壁部82を有している。すなわち、バッフル8の内周側壁の一部が径方向内側に向かって突出している。バッフル8の内部には、
図5(a)に示すように、その外周側壁から径方向内側に向かって突出する水受け板85が形成されている。
【0043】
水受け板85は、突出壁部82と同一高さに配置されており、水受け板85の径方向内側端部85aは、突出壁部82の内部に配置される。水受け板85の径方向内側端部85aと突出壁部82の先端内周面との間には、空隙が形成されており、貯水空間8Taに供給された調整水は、その空隙を介して排水空間8Tbに流れ込む。
【0044】
バッフル8の内部空間は、水受け板85が配置された突出壁部82より上方に配置される貯水空間8Taと、突出壁部82より下方に配置される排水空間8Tbとを有している。貯水空間8Taは、導水樋5a,5b,5cからの調整水を貯水する空間であり、排水空間8Tbは、貯水空間8Taから流れ出た調整水を排水する空間である。
【0045】
図5(a)及び
図5(b)に示すように、貯水空間8Taの径方向厚さと排水空間8Tbの径方向厚さとは略同一であるのに対し、排水空間8Tbの上下方向長さは貯水空間8Taの上下方向長さより短い。貯水空間8Taの周方向長さは、排水空間8Tbの周方向長さより長くなるように形成される。そのため、貯水空間8Taの体積は、排水空間8Tbの体積より大きい。
【0046】
バッフル8の貯水空間8Taに注水された調整水は、突出壁部82内に配置された水受け板85により下方に流れないように保持され、水受け板85の上面に沿って突出壁部82内を径方向内側に向かって流れる。脱水槽2が回転した状態でバッフル8の貯水空間8Taに調整水が注水されると、調整水は遠心力により導水樋5a,5b,5cの外周壁に貼りつくため、調整水は貯水空間8Ta内に保持される。
【0047】
図6は、本実施形態の洗濯機1の電気的構成を示すブロック図である。この洗濯機1の動作は、マイクロコンピュータを含む制御手段60によって制御される。制御手段60は、システム全体の制御を司る中央制御部(CPU)61を備え、この制御手段60に種々の設定値などを記憶させたEEPROM62を接続する。また、制御手段60により、制御基板60aに搭載されたEEPROM62に記憶されたプログラムをマイクロコンピュータが実行することにより、予め定められた運転動作が行われるとともに、EEPROM62には、上記プログラムを実行する際に用いられるデータ等が一時的に記憶される。
【0048】
中央制御部61は、回転速度制御部63へ制御信号を出力し、さらにその制御信号をモータ制御部(モータ制御回路)64へ出力してモータ51の回転制御を行う。回転速度制御部63は、モータ51の回転制御を行う。なお、回転速度制御部63は、モータ制御部64からモータ51の回転速度を示す信号を実時間で入力し、制御要素となるようにしている。アンバランス量検出部65には、加速度センサ58を接続するとともに、アンバランス位置検出部66には、加速度センサ58および脱水槽位置検出装置56を接続する。
【0049】
これにより、脱水槽位置検出装置56が磁石55(
図2参照)を検知すると、加速度センサ58からの水平方向の加速度の大きさから、アンバランス量検出部65においてアンバランス量(M)が算出され、このアンバランス量がアンバランス量判定部67へ出力される。アンバランス位置検出部66は、脱水槽位置検出装置56から入力された磁石55の位置を示す信号からアンバランス方向の角度を算出し、アンバランス位置信号を注水制御部68へ出力する。本実施形態では、アンバランス位置検出部66は、アンバランス方向の角度として、脱水槽位置検出装置56により検出される磁石55の周方向位置からの角度を算出する。
【0050】
本実施形態において、3つのバッフル8についての基準位置として、例えば、バッフル8(A)の周方向中央位置と対向する位置が設定されている。よって、
図7に示すように、磁石55の周方向位置が3つのバッフル8についての基準位置と一致する場合に、偏芯位置を適正に検出することができる。
【0051】
アンバランス位置検出部66は、補正部66aを有している。補正部66aは、洗濯機1において、脱水槽位置検出装置56により検出される磁石55の周方向位置と、3つのバッフル8についての基準位置とが一致してない場合に、その位置ずれを補正する。そのため、アンバランス位置検出部66は、アンバランス方向の角度を算出した後、位置ずれの補正が必要な場合、アンバランス方向の角度を補正した後で、補正した後のアンバランス位置信号を注水制御部68へ出力する。
【0052】
注水制御部68は、アンバランス量判定部67およびアンバランス位置検出部66からのアンバランス量とアンバランス位置を示す信号が入力されると、脱水槽2内の何れのバッフル8に給水を行うか及びその給水量を予め格納される制御プログラムに基づいて判断する。そして選定した給水バルブ31a,31b,31cを開き、調整水の注水を開始する。脱水槽2にアンバランスが生じたときは、このアンバランス量の算出に基づいて選定された注水ノズル30a,30b,30cから受水リングユニット5の導水樋5a,5b,5cに調整水の注水を開始し、バッフル8によりアンバランスが解消されたとき、調整水の注水を停止する。
【0053】
注水制御部68は、例えば
図4に示すように、偏芯の要因となっている洗濯物の塊D(X)が脱水槽2のバッフル8(B)とバッフル8(C)の間にある場合は、バッフル8(A)に調整水を供給するように注水装置30を制御する。また、洗濯物の塊D(Y)がバッフル8(A)の近傍にある場合は、バッフル8(B)とバッフル8(C)の両方に調整水を供給するように注水装置30を制御する。
【0054】
上述したように、本実施形態の洗濯機1では、中央制御部61は、偏芯位置(アンバランス方向の角度)として、脱水槽位置検出装置56により検出される磁石55の周方向位置からの角度を算出して、偏芯位置と反対側にあるバッフル8に注水処理を行う。
【0055】
そのため、本実施形態の洗濯機1において、偏芯位置を検出したとしても、その偏芯位置と3つのバッフル8との位置関係が分からないと、偏芯が解消されるように適正に注水処理を行うことが困難である。よって、磁石55の周方向位置と3つのバッフル8についての基準位置との位置関係が適正に設定される必要があり、本実施形態の洗濯機1では、磁石55の周方向位置が3つのバッフル8についての基準位置と一致することが好ましい。
【0056】
しかしながら、洗濯機1の製造工程において、磁石55の周方向位置が3つのバッフル8についての基準位置と一致するように組み立てるのは非常に煩雑な作業である。そのため、本実施形態の洗濯機1では、磁石55の周方向位置が3つのバッフル8についての基準位置と一致するように組み立てられてない場合であっても、磁石55の位置と3つのバッフル8についての基準位置との位置ずれを補正可能になっている。
【0057】
すなわち、洗濯機1の製造ラインの組立検査工程において、磁石55の周方向位置と3つのバッフル8についての基準位置との位置ずれを検出して、その位置ずれを補正するための補正値が、制御基板60aに搭載されたEEPROM62に保存される。よって、脱水工程において、脱水槽2に偏芯が発生した場合、中央制御部61は、その偏芯位置を検出して、その偏芯位置に基づいて注水処理を行う際に、偏芯位置を補正値により補正するため、適正に注水処理を行うことができる。
【0058】
図8は、脱水槽2の下端部の構成を示す断面図である。
【0059】
軸受組立50Aとは、
図8に示すように、駆動部50に含まれる部品が組み立てられたものである。軸受組立50Aの上端部には、外槽3が取り付けられる外槽取付面58aが形成されている。外槽取付面58aからは、パルセータ4に接続される翼軸52と、脱水槽2の底部2cに接続される脱水槽軸53とが、回転可能な状態で上方に向かって突出している。
【0060】
脱水槽軸53の上端近傍には、脱水槽2の底部2cが取り付けられる脱水槽取付面53aが形成されている。脱水槽取付面53aは、脱水槽軸53の外周面から外側に向かって延びている。脱水槽軸53の脱水槽取付面53aは、外槽取付面58aの上方に配置されており、脱水槽取付面53aは、外槽取付面58aから離れて配置される。
【0061】
外槽3の底部3cには、脱水槽軸53が挿入される取付穴3c
1(
図10(a))が形成されている。そのため、外槽3の底部は、軸受組立50Aの脱水槽軸53を外槽3の取付穴3c
1に挿入させた状態で、外槽取付面58aに取り付けられる。
【0062】
脱水槽組立2Aとは、脱水槽2を含む部品が組み立てられたものであり、脱水槽2の底部2cには、取付穴2c
1(
図11(a))が形成されている。そのため、脱水槽2の底部2cにおける取付穴2c
1近傍の部分は、軸受組立50Aの脱水槽軸53を脱水槽2の取付穴2c
1に挿入させた状態で、脱水槽取付面53aに取り付けられる。
【0063】
図9は、洗濯機1の製造ラインの組立検査工程の手順を示すフローチャートである。なお、製造ラインの組立検査工程において、本発明に関する内容についてのみ説明する。
【0064】
<ステップSP11>
ステップSP11では、
図10(a)及び
図10(b)に示すように、軸受組立50Aを外槽3に組み付ける。軸受組立50Aを外槽3に組み付ける際には、軸受組立50Aの脱水槽軸53を外槽3の取付穴3c
1に挿入させた状態で、外槽3の底部を外槽取付面58aに取り付ける。外槽3の底部は、外槽取付面58aに対して、図示しないネジなどにより取り付けられる。
【0065】
<ステップSP12>
ステップSP12では、
図11(a)及び
図11(b)に示すように、脱水槽組立2Aを外槽3に組み付ける。脱水槽組立2Aを外槽3に組み付ける際には、軸受組立50Aの脱水槽軸53を脱水槽2の取付穴2c
1に挿入させた状態で、脱水槽2の底部2cにおける取付穴2c
1近傍の部分を脱水槽取付面53aに取り付ける。脱水槽2の底部2cは、脱水槽取付面53aに対して、図示しないネジなどにより取り付けられる。
【0066】
本実施形態では、ステップSP11及びSP12の後において、
図12に示すように、3つのバッフル8についての基準位置が、脱水槽位置検出装置56が検出する磁石55の周方向位置に対して右周りにα(但し、αは正の数)ずれている状態で、脱水槽2が脱水槽軸53に取り付けられている場合について説明する。
【0067】
<ステップSP13>
ステップSP13では、
図13に示すように、3つのバッフル8についての基準位置と対向する位置にあるバッフル8(A)に一定量の注水を実施する。
【0068】
<ステップSP14>
ステップSP14では、脱水運転を開始する。
【0069】
<ステップSP15>
ステップSP15では、脱水槽2の回転数を500rpmに維持する。
【0070】
<ステップSP16>
ステップSP16では、加速度センサ58の出力と、脱水槽位置検出装置56からのパルス信号とに基づいて、ステップSP13で注水したバッフル8(A)の位置を、偏芯位置として検出する。
【0071】
本実施形態において、3つのバッフル8についての基準位置は、バッフル8(A)の周方向中央位置と対向する位置が設定されているため、3つのバッフル8についての基準位置と脱水槽位置検出装置56が検出する磁石55の周方向位置とが一致していると仮定した場合、バッフル8(A)に注水をして脱水槽2を回転させた場合、偏芯位置は、脱水槽位置検出装置56が検出する磁石55の周方向位置に対して、右周りに180°ずれた位置と検出されるはずである。
【0072】
<ステップSP17>
ステップSP17では、脱水槽2の回転を停止する。
【0073】
<ステップSP18>
ステップSP18では、ステップSP16で検出した偏芯位置に基づいて、脱水槽位置検出装置56が検出する磁石55の周方向位置と3つのバッフル8についての基準位置との位置ずれを補正するための補正値を、制御基板60aに搭載されたEEPROM62の所定アドレスに保存する。
【0074】
すなわち、上述したように、3つのバッフル8についての基準位置と脱水槽位置検出装置56が検出する磁石55の周方向位置とが一致していると仮定した場合、バッフル8(A)に注水をして脱水槽2を回転させた場合、偏芯位置θは、脱水槽位置検出装置56が検出する磁石55の周方向位置に対して、右周りに180°ずれた位置と検出されるはずである。本実施形態では、3つのバッフル8についての基準位置が、脱水槽位置検出装置56が検出する磁石55の周方向位置に対して右周りにαずれているため、
図13に示すように、偏芯位置θは、右周りに180°+αずれた位置と検出される。そのため、脱水槽位置検出装置56が検出する磁石55の周方向位置と3つのバッフル8についての基準位置との位置ずれを補正するための補正値は、-αとなり、その補正値がEEPROM62の所定アドレスに保存される。
【0075】
<ステップSP19>
ステップSP19では、ステップSP18で補正値を保存した所定アドレス以外の全てのアドレスと、所定アドレスとごとに、EEPROM62のチェックサムを実施する。チェックサムとは、EEPROM62に保存されたデータに異常があるか否かを検出する異常検出処理である。
【0076】
よって、本実施形態において、製造ラインの組立検査工程を通過した洗濯機1は、脱水槽位置検出装置56が検出する磁石55の周方向位置と3つのバッフル8についての基準位置との位置ずれを補正するための補正値がEEPROM62に保存された状態になっている。
【0077】
このように本実施形態の洗濯機1は、脱水槽2と、脱水槽2の内周面2a1に対して周方向に等間隔で配置される3つ以上のバッフル8と、各バッフル8に個別に調整水を注水可能な注水装置30と、脱水槽2の振動を検出する加速度検出手段としての加速度センサ58と、脱水槽2の回転に応じて回転する被検出部を検出する度にパルス信号を発信する脱水槽位置検出装置56と、脱水槽2内の偏芯量及び偏芯位置を検出する偏芯検出手段としてのアンバランス量検出部65及びアンバランス位置検出部66と、脱水工程において偏芯量が所定の注水用偏芯量閾値に達したとき、偏芯位置に対応するバッフル8に注水するように注水装置30を制御する注水制御手段としての注水制御部68と、3つ以上のバッフル8についての基準位置と被検出部との位置ずれを補正する補正手段としての補正部66aとを備える。
【0078】
このような構成であると、3つ以上のバッフル8についての基準位置と脱水槽位置検出装置56が検出する被検出部との周方向位置がずれている場合でも、その位置ずれを補正することができる。そのため、洗濯機1の製造工程において基準位置と被検出部の位置が一致するように組み立てる必要がなく、洗濯機1を容易に組み立てることができる。
【0079】
本実施形態の洗濯機1において、補正手段としての補正部66aは、所定のバッフル8(A)に注水した状態で脱水槽2を回転駆動したときに、脱水槽位置検出装置56が発信するパルス信号と加速度センサ58が出力する出力信号とから得られる補正値に基づいて、位置ずれを補正する。
【0080】
このような構成であると、洗濯機1の組み立て時に発生した基準位置と被検出部との位置ずれ量を容易に検知することができる。
【0081】
本実施形態の洗濯機1において、補正部66aが位置ずれを補正する際に使用する補正値は、制御基板に搭載されたEEPROMに保存される。
【0082】
このような構成であると、洗濯機1の組み立て時に発生した基準位置と被検出部との位置ずれを補正する際に使用する補正値を、検査工程において確認することができる。
【0083】
本実施形態の洗濯機1において、EEPROM62のついての異常検出計算は、補正値が保存されたアドレスと、それ以外のアドレスとで別々に行われる。
【0084】
このような構成であると、EEPROM62のデータ異常を容易に検知することができる。
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本実施形態の構成は上述したものに限定されず、種々の変形が可能である。
【0086】
例えば、上記実施形態では、バッフル8(A)に注水することにより位置ずれを補正する補正値を検知しているが、バッフル8(B)またはバッフル8(C)に注水することにより位置ずれを補正する補正値を検知してよい。また、偏芯部材を脱水槽2内に取り付けることにより位置ずれを補正する補正値を検知してよい。
【0087】
本変形例の洗濯機において、補正手段66aは、脱水槽2の周方向における所定位置に偏芯部材を取り付けた状態で脱水槽2を回転駆動したときに、脱水槽位置検出装置56が発信するパルス信号と加速度センサ58が出力する出力信号とから得られる補正値に基づいて、位置ずれを補正する。
【0088】
このような構成であると、洗濯機の組み立て時に発生した基準位置と被検出部との位置ずれ量を容易に検知することができる。
【0089】
上記実施形態において、3つのバッフル8についての基準位置は、バッフル8(A)の周方向中央位置と対向する位置に設定されているが、それに限られない。3つのバッフル8についての基準位置は、脱水槽2の周方向の任意の位置に設定してよい。
【0090】
上記実施形態において、脱水槽2の加速度は、加速度センサ58により検出される外槽3の加速度と略同一であるとしているが、加速度センサを脱水槽2に配置して、加速度センサにより脱水槽2の加速度を検出してよい。また、本発明の洗濯機1は、脱水槽2について、左右方向、上下方向及び前後方向の3方向の加速度を検出可能な加速度センサを有してもよい。
【0091】
上記実施形態では、脱水槽2の回転位置を検出する脱水槽位置検出装置56としてのHall-IC基板及びそのHall-ICにより検出する磁石を有する洗濯機について説明したが、脱水槽2の回転位置を検出するための構成は、それに限られない。例えば、脱水槽の回転位置を検出する脱水槽位置検出装置としての近接スイッチ及びその近接スイッチにより検出するマークを有する洗濯機でもよい。
【0092】
上記実施形態では、鉛直方向に沿った回転軸の周りに回転する脱水槽2有する縦型洗濯機について説明したが、それに限られない。例えば、水平方向または鉛直方向に傾斜する方向に沿った回転軸の周りに回転する脱水槽としてのドラムを有するドラム型洗濯機についても、本発明は適用できる。
【0093】
上記実施形態では、補正部66aが、脱水槽位置検出装置56が検出する磁石55の周方向位置と3つのバッフル8についての基準位置との位置ずれがある場合に、その位置ずれに基づいてアンバランス位置が補正されるが、それに限られない。例えば、アンバランス位置が補正されずに、そのアンバランス位置を解消する際の制御に使用されるパラメータなどが補正されることにより、脱水槽位置検出装置56が検出する磁石55の周方向位置と3つのバッフル8についての基準位置との位置ずれが補正されてよい。
【0094】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 洗濯機
2 脱水槽
8 バッフル
30 注水装置
55 磁石(被検出部)
56 脱水槽位置検出装置
58 加速度センサ(加速度検出手段)
60a 制御基板
62 EEPROM
65 アンバランス量検出部(偏芯検出手段)
66 アンバランス位置検出部(偏芯検出手段)
66a 補正部(補正手段)
68 注水制御部(注水制御手段)