(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】マイクロ鉗子
(51)【国際特許分類】
A61C 5/46 20170101AFI20240507BHJP
A61C 3/14 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
A61C5/46
A61C3/14
(21)【出願番号】P 2020066355
(22)【出願日】2020-04-02
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】511116465
【氏名又は名称】有限会社 角野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】林 正規
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-261355(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0050696(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0219927(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 5/46
A61C 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状記憶合金により形成された本体部を有し、
該本体部の先端部には被捕捉物を取り囲む凹状部が設けられ、
該凹状部の周囲には、前記本体部の先端部を軸方向に沿って複数に分割するスリットが設けられ、
分割された前記本体部の先端部の先端面には、それぞれ中心軸を中心とした回転により切削可能な切れ刃が設けられ、
該切れ刃は、中心軸を中心とした左回りあるいは右回りのいずれかの回転により切削可能に構成され、
加温により前記凹状部が収縮して被捕捉物を捕捉可能に構成されていることを特徴とするマイクロ鉗子。
【請求項2】
前記本体部の先端部は、前記スリットにより3分割あるいは4分割されている請求項1に記載のマイクロ鉗子。
【請求項3】
前記凹状部内の入口開口側には先端側に向かって徐々に拡径するテーパー部が設けられている請求項1または2に記載のマイクロ鉗子。
【請求項4】
前記加温は、湯を前記本体部にかけることにより行われる請求項1ないし3のいずれかに記載のマイクロ鉗子。
【請求項5】
前記本体部の基端側には操作用把持部が設けられている請求項1ないし4のいずれかに記載のマイクロ鉗子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば歯科の根管治療において根幹内にて破折し残留した破折ファイルを除去する際などに使用して好適なマイクロ鉗子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、歯科におけるう蝕(虫歯)は、その進行度によってC0~C4に分類され、その中でC3ならびに一部のC4のう蝕では、いわゆる「神経を取る(抜髄・感染根管処置)」操作、すなわち「根管治療」を必要とする。この根管治療の具体的な手順は、1.虫歯除去、2.冠部歯髄の除去、3.根管口の明示、4.根管拡大・形成、5.根管消毒、6.根管貼薬および7.根管充填などのステップに分けられる。
【0003】
これらのステップのうち、ステップ4の根管拡大・形成は、ファイルと呼ばれる細径で軸周囲に刃部を有する歯内治療器具を用いて根管内をクラウンダウンやステップバックなどの方法で切削することにより根管を少しずつ拡大してテーパーを付与していくステップである。このファイルによる根管拡大・形成を行うステップでは、
図17に示すように、根管100は根尖部101にいくほど湾曲しているケースが多いため、根管100内でファイルの先端が破折して、破折ファイルFが残留してしまうことが懸案となっている。
【0004】
この問題を解決するものとして、破折ファイルを把持する部位に鋸歯状の段差を形成して挟持するペンチ型除去器具、二本の分離した挟持部材を組み合わせて破折ファイルを挟持して除去する挟持器具、先端部に等角度離隔して設けられた3本の把持部にて破折ファイルを把持して除去する除去器具、またはマグネットにて破折ファイルを引き付けて摘出する除去器具(特開2017-213329号公報)など様々な破折ファイル除去器具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、根管内に残留した破折ファイルの直径は通常φ0.1~0.3程度で細いものはφ0.06程のものもあり、上記従来の除去器具では根管に残留する破折ファイルを容易かつ確実に除去することが困難な場合があり、そのような場合は根管内に残留させたまま根管治療を終えることもあって、新たな破折ファイル除去器具が嘱望されている。
【0007】
そこで、本発明の課題は、例えば歯科の根管治療において根幹内にて破折し残留した破折ファイルを除去する際などに使用して好適で、根管に残留する破折ファイルのような微小なものでも、より容易かつより確実に捕捉することができるマイクロ鉗子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するものは、形状記憶合金により形成された本体部を有し、該本体部の先端部には被捕捉物を取り囲む凹状部が設けられ、該凹状部の周囲には、前記本体部の先端部を軸方向に沿って複数に分割するスリットが設けられ、分割された前記本体部の先端部の先端面には、それぞれ中心軸を中心とした回転により切削可能な切れ刃が設けられ、該切れ刃は、中心軸を中心とした左回りあるいは右回りのいずれかの回転により切削可能に構成され、加温により前記凹状部が収縮して被捕捉物を捕捉可能に構成されていることを特徴とするマイクロ鉗子である(請求項1)。
【0009】
前記本体部の先端部は、前記スリットにより3分割あるいは4分割されていることが好ましい(請求項2)。前記凹状部内の入口開口側には先端側に向かって徐々に拡径するテーパー部が設けられていることが好ましい(請求項3)。前記加温は、湯を前記本体部にかけることにより行われることが好ましい(請求項4)。前記本体部の基端側には操作用把持部が設けられていることが好ましい(請求項5)。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載したマイクロ鉗子によれば、例えば歯科の根管治療において根幹内にて破折し残留した破折ファイルを除去する際などに使用して好適で、根管に残留する破折ファイルのような微小なものでも、より容易かつより確実に捕捉することができる。
また、前記凹状部の周囲には、前記本体部の先端部を軸方向に沿って複数に分割するスリットが設けられることにより、凹状部が容易に収縮して被捕捉物を捕捉することができる。
さらに、分割された前記本体部の先端部の先端面には、それぞれ中心軸を中心とした回転により切削可能な切れ刃が設けられ、該切れ刃は、中心軸を中心とした左回りあるいは右回りのいずれかの回転により切削可能に構成されることにより、被捕捉物の周囲や到達部位までに障害物が存在する場合でも、回転により障害物を切削しながら被捕捉物を取り囲むことができると共に、使用者によって回転させ易い方向のマイクロ鉗子を選択することができる。
請求項2に記載したマイクロ鉗子によれば、凹状部がより容易に収縮して被捕捉物を捕捉することができる。
請求項3に記載したマイクロ鉗子によれば、根管内に本体部の先端部がより侵入し易くなると共に、破折ファイルも凹状部内により侵入し易くなる。
請求項4に記載したマイクロ鉗子によれば、お湯をかけるのみで凹状部が収縮して被捕捉物を捕捉することができる。
請求項5に記載したマイクロ鉗子によれば、操作用把持部を把持することによって、操作がより容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のマイクロ鉗子の一実施例の側面図である。
【
図2】
図1に示したマイクロ鉗子の先端部付近の拡大図である。
【
図3】
図1に示したマイクロ鉗子の先端面の拡大図である。
【
図4】
図1に示したマイクロ鉗子の作用を説明するための斜視図である。
【
図5】
図1に示したマイクロ鉗子の作用を説明するための側面図である。
【
図6】
図1に示したマイクロ鉗子の作用を説明するための斜視図である。
【
図7】
図1に示したマイクロ鉗子の作用を説明するための側面図である。
【
図8】
図1に示したマイクロ鉗子の回転作用を説明するための側面図である。
【
図9】本発明のマイクロ鉗子の他の実施例の回転作用を説明するための側面図である。
【
図10】
図10(1)は、本発明のマイクロ鉗子の他の実施例を説明するための斜視図であり、
図10(2)は、
図10(1)に示したマイクロ鉗子の作用を説明するための正面図である。
【
図11】
図11(1)は、本発明のマイクロ鉗子の他の実施例を説明するための斜視図であり、
図11(2)は、
図11(1)に示したマイクロ鉗子の作用を説明するための正面図である。
【
図12】
図12(1)は、本発明のマイクロ鉗子の他の実施例を説明するための斜視図であり、
図12(2)は、
図12(1)に示したマイクロ鉗子の作用を説明するための正面図である。
【
図13】
図13(1)は、本発明のマイクロ鉗子の他の実施例を説明するための斜視図であり、
図13(2)は、
図13(1)に示したマイクロ鉗子の作用を説明するための正面図である。
【
図14】
図14(1)は、本発明のマイクロ鉗子の他の実施例を説明するための斜視図であり、
図14(2)は、
図14(1)に示したマイクロ鉗子の作用を説明するための正面図である。
【
図15】
図15(1)は、本発明のマイクロ鉗子の他の実施例を説明するための斜視図であり、
図15(2)は、
図15(1)に示したマイクロ鉗子の作用を説明するための正面図である。
【
図16】
図16(1)は、本発明のマイクロ鉗子の他の実施例を説明するための斜視図であり、
図16(2)は、
図16(1)に示したマイクロ鉗子の作用を説明するための正面図である。
【
図17】根管内に残留した破折ファイルを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明では、形状記憶合金により形成された本体部2を有し、本体部2の先端部には被捕捉物Fを取り囲む凹状部3が設けられ、加温により凹状部3が収縮して被捕捉物Fを捕捉可能に構成されていることで、例えば歯科の根管治療において根幹内にて破折し残留した破折ファイルを除去する際などに使用することができ、根管に残留する破折ファイルのような微小なものでも、より容易かつより確実に捕捉することができるマイクロ鉗子1を実現した。
【実施例1】
【0013】
本発明のマイクロ鉗子を
図1ないし
図8に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例のマイクロ鉗子1は、形状記憶合金により形成された本体部2を有し、本体部2の先端部には被捕捉物(この実施例では虫歯の根管内に残留してしまった破折ファイル)Fを取り囲む凹状部3が設けられ、加温により凹状部3が収縮して被捕捉物Fを捕捉可能に構成されている。以下、各構成について順次詳述する。
【0014】
この実施例のマイクロ鉗子1は、歯科における根管治療に使用される破折ファイル除去器具として使用されるものであるが、本発明のマイクロ鉗子の用途はこれに限定されるものではなく、ミクロな被捕捉物を保持する用途に広く使用することが可能で、例えば医科における手術や治療などで使用することも可能である。また、本発明の名称である「マイクロ鉗子」のうち、「マイクロ」は単位を表すμ(マイクロ)ではなく微小なもの(ミクロ)を意味するものであり、本願における「マイクロ鉗子」は微小なものを取り扱う(捕捉、牽引等)する鉗子を意味する概念である。
【0015】
本体部2は、先端部にて被捕捉物を捕捉するためのものであり、形状記憶合金により形成されている。具体的には、この実施例の本体部2は、Ni-Ti合金の形状記憶合金にて形成された長尺状(長手方向が25mm)の円柱体(φ0.8)に形成されている。
【0016】
本体部2の先端部には、
図2または
図3に示すように、本体部2の中心部を軸方向に沿って延在し、被捕捉物Fを取り囲むための凹状部3が設けられている。この実施例の凹状部3は、長尺状(長手方向が1.2mm)の円筒状空間(φ0.8)に形成されている。また、凹状部3の先端側(入口開口側)には、
図2に示すように、先端側に向かって徐々に拡径するテーパー部3a(この実施例では本体部の軸方向に対して45°に交差するテーパー部)が設けられている。これにより、根管100内に本体部2の先端部が侵入し易くなると共に、破折ファイルFが凹状部3内に侵入し易くなるよう構成されている。
【0017】
凹状部3の周囲には、
図3に示すように、本体部2の先端部を軸方向に沿って複数(この実施例では4本)に分割するスリット4がそれぞれ設けられている。これらにより、凹状部3がより容易に収縮して被捕捉物(この実施例では、破折ファイルF)を捕捉することができるように構成されている。
【0018】
本体部2の先端部の先端面には、
図2または
図3に示すように、本体部2の中心軸gを中心とした回転により切削可能な切れ刃5が設けられている。これにより、被捕捉物Fの周囲や到達部位までに障害物が存在する場合でも、回転により障害物を切削しながら被捕捉物Fを取り囲むことができる。
【0019】
これらの切れ刃5は、中心軸gを中心とした左右いずれの回転により切削可能な切れ刃であってもよい。具体的には、この実施例のマイクロ鉗子1では、
図8(1)~(5)に示すように、図中左回り(反時計回り)に回転させることにより、障害物を切削する切れ刃5が設けられている。他方、
図9(1)~(5)に示した他の実施例のマイクロ鉗子10では、図中右回り(時計回り)に回転させることにより、障害物を切削する切れ刃15が設けられている。このように、左右いずれかの回転により切削可能な切れ刃を備えたマイクロ鉗子を構成することにより、使用者によって回転させ易い方向のマイクロ鉗子を適宜選択することができる。
【0020】
本体部2の基端側には、
図1に示すように、操作用把持部6が設けられている。具体的には、この実施例では、樹脂材料にて形成された操作用把持部6が、本体部2の基端側に取り付けられている。これにより、操作用把持部6を把持してより容易に操作することができる。
【0021】
そして、マイクロ鉗子1は、加温により凹状部3が収縮して被捕捉物Fを捕捉可能に構成されている。具体的には、マイクロ鉗子1の本体部2は、前述したように、形状記憶合金にて形成されており、常温では変形した状態(凹状部3が拡張した状態:変形マルテンサイト相の結晶構造)となっており、一定の温度(形状回復温度:この実施例では45℃に設定されている。)以上に加熱すると元の形状(凹状部3が収縮した状態:オーステナイト相の結晶構造)に回復すること(形状記憶効果)で被捕捉物Fを捕捉可能に構成されている。
【0022】
なお、この実施例における加温は本体部2にお湯をかけることにより行われるが、これに限定されるものではなく、他の方法(例えば本体部に電気を通電させて加温する方法やレーザーで加温する方法等)により加温してもよい。また、この実施例のマイクロ鉗子1の本体部2は、元の形状(凹状部3が収縮した状態:オーステナイト相という結晶構造)に回復した状態に、水等をかけるなどして冷却し、15℃になると変形した状態(凹状部3が拡張した状態:変形マルテンサイト相という結晶構造)となるように設定されている。
【0023】
つぎに、本発明のマイクロ鉗子1の使用方法を、図面に示した破折ファイル除去器具として使用する場合を例に説明する。
本発明のマイクロ鉗子1を破折ファイル除去器具として使用する場合は、
図2に示した操作用把持部6を指で把持して、
図17に示した破折ファイルFが残留する根管100内に凹状部3が設けられた先端部側から挿入して行く(
図4または
図5の状態)。
【0024】
破折ファイルFに到達するまでに、根管100や被捕捉物Fの周囲に障害物が存在する場合は、
図8の(1)~(5)のように、左回りにマイクロ鉗子1を回転させ障害物を切削しながら挿入して行き、被捕捉物Fを凹状部3にて取り囲む(
図6または
図7に示した状態)。
【0025】
この状態で、本体部2にお湯をかけることにより、元の形状(凹状部3が収縮した状態:オーステナイト相の結晶構造)に回復して、被捕捉物(破折ファイル)Fを捕捉する。被捕捉物(破折ファイル)Fを捕捉したら、逆回り(右回り)に回転させながら、根管100から引き抜いていくことにより、本体部2の先端部に設けられた凹状部3にて被捕捉物(破折ファイル)Fが捕捉および牽引されて根管100内から除去される。そして、水をかけて冷却すると変形した状態(凹状部3が拡張した状態:変形マルテンサイト相という結晶構造)となり、凹状部3から被捕捉物(破折ファイル)Fが離脱する。
【0026】
さらに、
図10ないし
図16に示した本発明のマイクロ鉗子の他の実施例について順次説明する。
図10に示したマイクロ鉗子20と前述したマイクロ鉗子1との相違は、マイクロ鉗子20の先端面21が、
図10(1)軸方向に直交する方向に延在する平面に形成されており、マイクロ鉗子1のように、テーパー部3aおよび切れ刃5が設けられていない点であり他は同様である。マイクロ鉗子1と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。なお、凹部3の周囲には、マイクロ鉗子1と同様、等角度(90°)離隔して4本のスリット4が設けられているため、
図10(2)に示すように、例えば断面が正四角形の破折ファィルFと噛合して捕捉し易い形態となっている。このように、本発明のマイクロ鉗子の範疇には、テーパー部または切れ刃が設けられていないものも包含される。
【0027】
図11に示したマイクロ鉗子30と前述したマイクロ鉗子20との相違は、マイクロ鉗子30には、
図11(1)に示すように、凹部3の周囲に、等角度(120°)離隔して3本のスリット31が設けられている点のみであり他は同様である。マイクロ鉗子20と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。このように、マイクロ鉗子30は等角度(120°)離隔して設けられた3本のスリット31を有しているため、
図11(2)に示すように、例えば断面が正三角形の破折ファィルFと噛合して捕捉し易い形態となっている。
【0028】
図12に示したマイクロ鉗子40と前述したマイクロ鉗子20との相違は、マイクロ鉗子40には、
図12(1)に示すように、凹部3の周囲に、等角度(180°)離隔して2本のスリット41が設けられている点のみであり他は同様である。マイクロ鉗子20と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。このように、マイクロ鉗子40は等角度(180°)離隔して設けられた2本のスリット41を有しているため、
図12(2)に示すように、例えば断面が長方形の破折ファィルFと噛合して捕捉し易い形態となっている。
【0029】
図13に示したマイクロ鉗子50と前述したマイクロ鉗子40との相違は、マイクロ鉗子50が、
図13(1)に示すように、凹部51が本体部2の先端部を縦断するスリットにて形成されている点であり他は同様である。マイクロ鉗子40と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。このように、マイクロ鉗子50は凹部51が本体部2の先端部を縦断するスリットにて形成されているため、
図13(2)に示すように、例えば断面が長方形の破折ファィルFと噛合して捕捉し易い形態となっている。
【0030】
図14に示したマイクロ鉗子60と前述したマイクロ鉗子20(
図10)との相違は、
図14(1)に示すように、凹状部2の周囲に設けられ凹状部2と連通するスリット61が、本体部2の先端部を分割していない点のみであり他は同様である。マイクロ鉗子20と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。なお、凹部3の周囲には、マイクロ鉗子20と同様、等角度(90°)離隔して4本のスリット61が設けられている
ため、
図14(2)に示すように、例えば断面が正四角形の破折ファィルFと噛合して捕捉し易い形態となっている。このように、本発明のマイクロ鉗子の範疇には、スリットが本体部の先端部を分割していないものも包含される。
【0031】
図15に示したマイクロ鉗子70と前述したマイクロ鉗子30(
図11)との相違は、
図15(1)に示すように、凹状部2の周囲に設けられ凹状部2と連通するスリット71が、本体部2の先端部を分割していない点のみであり他は同様である。マイクロ鉗子30と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。このように、マイクロ鉗子70は等角度(120°)離隔して設けられた3本のスリット71を有しているため、
図15(2)に示すように、例えば断面が正三角形の破折ファィルFと噛合して捕捉し易い形態となっている。
【0032】
図16に示したマイクロ鉗子80と前述したマイクロ鉗子40(
図12)との相違は、マイクロ鉗子40には、
図16(1)に示すように、凹状部2の周囲に設けられ凹状部2と連通するスリット81が、本体部2の先端部を分割していない点のみであり他は同様である。マイクロ鉗子40と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。このように、マイクロ鉗子40は等角度(180°)離隔して設けられた2本のスリット81を有しているため、
図16(2)に示すように、例えば断面が長方形の破折ファィルFと噛合して捕捉し易い形態となっている。
【符号の説明】
【0033】
1 マイクロ鉗子(破折ファイル除去器具)
2 本体部
3 凹状部
4 スリット
5 切れ刃
6 操作用把持部
F 被捕捉物(破折ファイル)