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特許7482508調光装置、照明システム、調光方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】調光装置、照明システム、調光方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/155 20200101AFI20240507BHJP
   H05B 47/11 20200101ALI20240507BHJP
   H05B 47/17 20200101ALI20240507BHJP
   H05B 47/20 20200101ALI20240507BHJP
【FI】
H05B47/155
H05B47/11
H05B47/17
H05B47/20
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020117302
(22)【出願日】2020-07-07
(65)【公開番号】P2022014766
(43)【公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】721011659
【氏名又は名称】LightBank株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(72)【発明者】
【氏名】加賀谷 史央
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-259430(JP,A)
【文献】特開2018-147880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/155
H05B 47/11
H05B 47/17
H05B 47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の部屋に設置された2以上の照明と、前記2以上の各照明の明るさを調節する調光装置とを具備する照明システムを構成する調光装置であって、
前記2以上の照明のうち、一の照明が機能しなくなった場合に、前記一の照明の周辺に配置されている1以上の他の照明の明るさを上げることを支援する構成を有する支援部と、
前記1以上の他の照明の明るさを上げる増光部とを具備し、
前記2以上の照明のうちの1以上の照明は、通常モードおよび非通常モードの少なくとも2つのモードにより機能し、
前記支援部は、
前記2以上の照明のうち、一の照明が機能しなくなった前記非通常モードの場合に、前記1以上の他の照明を、前記通常モードの明るさより大きい明るさに上げることを支援し、
前記増光部は、
前記1以上の他の照明の明るさを前記通常モードの明るさより大きい明るさに上げ、
照明を識別する照明識別子に対応付けて、照明に関する情報であり、照明の現在の明るさに関する明るさ情報と、前記通常モードにおける予め決められた最大の明るさを特定する通常最大明るさ情報と、前記通常最大明るさ情報で特定される明るさを超える明るさであり、前記非通常モードにおける予め決められた最大の明るさを特定する非通常最大明るさ情報とを有する2以上の照明情報が格納される照明情報格納部と、
一の照明が機能しなくなったことによる明るさの減少量が格納される減少量格納部とをさらに具備し、
前記支援部は、
前記2以上の照明情報を用いて、前記2以上の照明のうち、一の照明が機能していないことを検知する検知手段と、
前記検知手段が一の照明が機能していないことを検知した場合に、当該一の照明に対応する明るさ情報を用いて、明るさの減少量を取得し、前記減少量格納部に蓄積する減少量取得手段と、
前記減少量格納部に格納されている1以上の減少量を合計し、合計減少量を取得する合計減少量取得手段と、
前記他の1以上の照明ごとに、明るさ情報と非通常最大明るさ情報との差分を取得し、当該取得した1以上の差分を合計し、合計差分を取得する合計差分取得手段と、
前記合計差分が前記合計減少量に満たないか否かを判断し、前記合計差分が前記合計減少量に満たない場合に、前記2以上の照明全体での明るさの維持が困難となった旨のエラー情報を取得するエラー情報取得手段と、
前記エラー情報を出力する出力手段を具備する調光装置。
【請求項2】
前記増光部が明るさを上げるための操作を行う操作パネルであり、操作に応じて移動する移動機構を含む操作パネルを有し、
前記支援部は、
前記操作パネルに表出した目印であり、前記通常モードにおける最大明るさにするための前記移動機構の操作位置を特定する第一目印、および前記非通常モードにおける最大明るさにするための前記移動機構の操作位置を特定する第二目印である請求項記載の調光装置。
【請求項3】
前記増光部が明るさを上げるための操作を行う操作パネルであり、操作に応じて移動する移動機構を含む操作パネルを有し、
前記支援部は、
前記操作パネルに表出した目印、および当該目印に対応する位置を超えて前記移動機構を移動させる操作に応じて前記通常モードにおける最大明るさより大きい明るさにするための機構であり、当該目印に対応する位置を境に、前記移動機構の移動に対する抵抗が増大する抵抗機構である請求項記載の調光装置。
【請求項4】
照明を識別する照明識別子に対応付けて、照明に関する情報であり、照明の現在の明るさに関する明るさ情報を少なくとも有する2以上の照明情報が格納される照明情報格納部をさらに具備し、
前記支援部は、
前記2以上の照明情報を用いて、前記2以上の照明のうち、一の照明が機能していないことを検知する検知手段と、
前記検知手段が前記一の照明が機能していないことを検知した場合に、当該検知した旨を出力する出力手段とを具備する請求項記載の調光装置。
【請求項5】
前記2以上の照明の配置に関する配置情報が格納される配置情報格納部とをさらに具備し、
前記支援部は、
前記配置情報を用いて、前記他の1以上の照明のうち、前記増光部による増光の対象となる1以上の照明を決定し、当該決定した1以上の照明に対応する1以上の照明識別子を取得する増光対象決定手段と、
照明の増光を推薦する情報であり、前記増光対象決定手段が取得した1以上の照明識別子を含む推薦情報を出力する出力手段とを具備し、
前記推薦情報の出力に応じて、照明の増光を指示する増光指示を受け付ける受付部をさらに具備し、
前記増光部は、
前記増光指示に応じて、前記1以上の他の照明の明るさを上げる、請求項記載の調光装置。
【請求項6】
前記2以上の照明の配置に関する配置情報が格納される配置情報格納部をさらに具備し、
前記支援部は、
前記配置情報を用いて、前記他の1以上の照明のうち、前記増光部による増光の対象となる1以上の照明を決定し、当該決定した1以上の照明に対応する1以上の照明識別子を取得する増光対象決定手段と、
前記増光対象決定手段が取得した前記1以上の照明識別子で識別される前記1以上の他の照明の明るさを上げることを前記増光部に指示する制御手段とを具備する請求項記載の調光装置。
【請求項7】
一の部屋に設置された2以上の照明と、請求項1から請求項6いずれか一項に記載の調光装置とを具備する照明システム。
【請求項8】
一の部屋に設置された2以上の照明と、前記2以上の各照明の明るさを調節する調光装置とを具備する照明システムを構成する調光装置が具備する支援部、および増光部によって実現される調光方法であって、
前記支援部が、前記2以上の照明のうち、一の照明が機能しなくなった場合に、前記一の照明の周辺に配置されている1以上の他の照明の明るさを上げることを支援する支援ステップと、
前記増光部が、前記1以上の他の照明の明るさを上げる増光ステップとを具備し、
前記2以上の照明のうちの1以上の照明は、通常モードおよび非通常モードの少なくとも2つのモードにより機能し、
前記支援ステップにおいて、
前記2以上の照明のうち、一の照明が機能しなくなった前記非通常モードの場合に、前記1以上の他の照明を、前記通常モードの明るさより大きい明るさに上げることを支援し、
前記増光ステップにおいて、
前記1以上の他の照明の明るさを前記通常モードの明るさより大きい明るさに上げ、
照明を識別する照明識別子に対応付けて、照明に関する情報であり、照明の現在の明るさに関する明るさ情報と、前記通常モードにおける予め決められた最大の明るさを特定する通常最大明るさ情報と、前記通常最大明るさ情報で特定される明るさを超える明るさであり、前記非通常モードにおける予め決められた最大の明るさを特定する非通常最大明るさ情報とを有する2以上の照明情報が格納される照明情報格納部と、
一の照明が機能しなくなったことによる明るさの減少量が格納される減少量格納部とをさらに具備し、
前記支援ステップは、
前記2以上の照明情報を用いて、前記2以上の照明のうち、一の照明が機能していないことを検知する検知サブステップと、
前記検知サブステップで一の照明が機能していないことを検知した場合に、当該一の照明に対応する明るさ情報を用いて、明るさの減少量を取得し、前記減少量格納部に蓄積する減少量取得サブステップと、
前記減少量格納部に格納されている1以上の減少量を合計し、合計減少量を取得する合計減少量取得サブステップと、
前記他の1以上の照明ごとに、明るさ情報と非通常最大明るさ情報との差分を取得し、当該取得した1以上の差分を合計し、合計差分を取得する合計差分取得サブステップと、
前記合計差分が前記合計減少量に満たないか否かを判断し、前記合計差分が前記合計減少量に満たない場合に、前記2以上の照明全体での明るさの維持が困難となった旨のエラー情報を取得するエラー情報取得サブステップと、
前記エラー情報を出力する出力サブステップとを具備する、調光方法。
【請求項9】
一の部屋に設置された2以上の照明と、前記2以上の各照明の明るさを調節する調光装置とを具備する照明システムを構成する調光装置のコンピュータを、
前記2以上の照明のうち、一の照明が機能しなくなった場合に、前記一の照明の周辺に配置されている1以上の他の照明の明るさを上げることを支援する支援部と、
前記1以上の他の照明の明るさを上げる増光部として機能させるためのプログラムであって、
前記2以上の照明のうちの1以上の照明は、通常モードおよび非通常モードの少なくとも2つのモードにより機能し、
前記支援部は、
前記2以上の照明のうち、一の照明が機能しなくなった前記非通常モードの場合に、前記1以上の他の照明を、前記通常モードの明るさより大きい明るさに上げることを支援し、
前記増光部は、
前記1以上の他の照明の明るさを前記通常モードの明るさより大きい明るさに上げるものとして、前記コンピュータを機能させ、
前記コンピュータは、
照明を識別する照明識別子に対応付けて、照明に関する情報であり、照明の現在の明るさに関する明るさ情報と、前記通常モードにおける予め決められた最大の明るさを特定する通常最大明るさ情報と、前記通常最大明るさ情報で特定される明るさを超える明るさであり、前記非通常モードにおける予め決められた最大の明るさを特定する非通常最大明るさ情報とを有する2以上の照明情報が格納される照明情報格納部と、
一の照明が機能しなくなったことによる明るさの減少量が格納される減少量格納部とにアクセス可能であり、
前記支援部は、
前記2以上の照明情報を用いて、前記2以上の照明のうち、一の照明が機能していないことを検知する検知手段と、
前記検知手段が一の照明が機能していないことを検知した場合に、当該一の照明に対応する明るさ情報を用いて、明るさの減少量を取得し、前記減少量格納部に蓄積する減少量取得手段と、
前記減少量格納部に格納されている1以上の減少量を合計し、合計減少量を取得する合計減少量取得手段と、
前記他の1以上の照明ごとに、明るさ情報と非通常最大明るさ情報との差分を取得し、当該取得した1以上の差分を合計し、合計差分を取得する合計差分取得手段と、
前記合計差分が前記合計減少量に満たないか否かを判断し、前記合計差分が前記合計減少量に満たない場合に、前記2以上の照明全体での明るさの維持が困難となった旨のエラー情報を取得するエラー情報取得手段と、
前記エラー情報を出力する出力手段を具備するものとして、前記コンピュータを機能させるためのプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一の部屋に設置された2以上の照明の明るさを調節する調光装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の照明装置に対して木目細かな調光制御が可能な調光装置が存在した(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-273169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、照明は、長期間の使用による経年劣化やその他の原因で、切れたり明るさが低下したりし、照明として機能しなくなる。
【0005】
従来は、一の照明が機能しなくなる度に、当該機能していない照明を新しい照明と交換していた。特に、例えば、イベントホールや映画館やオフィスや工場など、設置された照明の数が多い部屋において、一の照明が機能しなくなる頻度が高く、照明の交換に多くの手間がかかっていた。
【0006】
そこで、一の部屋に設置された2以上の照明のうちの一部の照明が機能しなくなった場合でも、全体での明るさを維持できる調光装置が所望される。
【0007】
しかし、従来技術において、一の部屋に設置された2以上の照明のうちの一部の照明が機能しなくなった場合でも、当該一の部屋の全体の明るさを適切に維持できる調光装置は存在しなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本第一の発明の調光装置は、一の部屋に設置された2以上の照明と、2以上の各照明の明るさを調節する調光装置とを具備する照明システムを構成する調光装置であって、2以上の照明のうち、一の照明が機能しなくなった場合に、一の照明の周辺に配置されている1以上の他の照明の明るさを上げることを支援する構成を有する支援部と、1以上の他の照明の明るさを上げる増光部とを具備する調光装置である。
【0009】
かかる構成により、一の部屋に設置されている2以上の照明の一部が機能しなくなった場合でも、当該一の部屋の全体の明るさを適切に維持できる。従って、機能していない照明の交換の手間が軽減される。
【0010】
また、本第二の発明の調光装置は、第一の発明に対して、2以上の照明のうちの1以上の照明は、通常モードおよび非通常モードの少なくとも2つのモードにより機能し、支援部は、2以上の照明のうち、一の照明が機能しなくなった非通常モードの場合に、1以上の他の照明を、通常モードの明るさより大きい明るさに上げることを支援し、増光部は、1以上の他の照明の明るさを通常モードの明るさより高い明るさに上げる調光装置である。
【0011】
かかる構成により、一の照明が機能しなくなった場合に、他の1以上の照明の明るさを、通常モードよりも高い非通常モードの明るさに上げることができる。
【0012】
また、本第三の発明の調光装置は、第二の発明に対して、増光部が明るさを上げるための操作を行う操作パネルであり、操作に応じて移動する移動機構を含む操作パネルを有し、支援部は、操作パネルに表出した目印であり、通常モードにおける最大明るさにするための前記移動機構の操作位置を特定する第一目印、および非通常モードにおける最大明るさにするための前記移動機構の操作位置を特定する第二目印である調光装置である。
【0013】
かかる構成により、他の1以上の照明の明るさを、通常モードの最大明るさと非通常モードの最大明るさとの間で変更する操作を的確に行える。
【0014】
また、本第四の発明の調光装置は、第二の発明に対して、増光部が明るさを上げるための操作を行う操作パネルであり、操作に応じて移動する移動機構を含む操作パネルを有し、支援部は、操作パネルに表出した目印、および目印に対応する位置を超えて前記移動機構を移動させる操作に応じて通常モードにおける最大明るさより大きい明るさにするための機構であり、当該目印に対応する位置を境に、前記移動機構の移動に対する抵抗が増大する抵抗機構である調光装置である。
【0015】
かかる構成により、一の部屋の全体の明るさを維持するために、目印の位置を超えて移動機構を移動させる場合に、ユーザが抵抗を感知できることにより、他の1以上の照明の明るさを通常最大明るさを超えて増光させる操作を的確に行える。
【0016】
また、本第五の発明の調光装置は、第二の発明に対して、照明を識別する照明識別子に対応付けて、照明に関する情報であり、照明の現在の明るさに関する明るさ情報を少なくとも有する2以上の照明情報が格納される照明情報格納部をさらに具備し、支援部は、2以上の照明情報を用いて、2以上の照明のうち、一の照明が機能していないことを検知する検知手段と、検知手段が一の照明が機能していないことを検知した場合に、検知した旨を出力する出力手段とを具備する調光装置である。
【0017】
かかる構成により、一の照明が機能しなくなったことを自動的に検知し、通知することにより、他の1以上の照明の明るさを上げる操作を促すことができる。
【0018】
また、本第六の発明の調光装置は、第二の発明に対して、照明を識別する照明識別子に対応付けて、照明に関する情報であり、照明の現在の明るさに関する明るさ情報を少なくとも有する2以上の照明情報が格納される照明情報格納部と、2以上の照明の配置に関する配置情報が格納される配置情報格納部とをさらに具備し、支援部は、2以上の照明情報を用いて、2以上の照明のうち、一の照明が機能していないことを検知する検知手段と、配置情報を用いて、他の1以上の照明のうち、増光部による増光の対象となる1以上の照明を決定し、決定した1以上の照明に対応する1以上の照明識別子を取得する増光対象決定手段と、照明の増光を推薦する情報であり、増光対象決定部が取得した1以上の照明識別子を含む推薦情報を出力する出力手段とを具備し、推薦情報の出力に応じて、照明の増光を指示する増光指示を受け付ける受付部をさらに具備し、増光部は、増光指示に応じて、1以上の他の照明の明るさを上げる、調光装置である。
【0019】
かかる構成により、明るさを上げるべき1以上の照明を決定し、推薦することにより、ユーザによる的確な増光指示を支援できる。
【0020】
また、本第七の発明の調光装置は、第二の発明に対して、照明を識別する照明識別子に対応付けて、照明に関する情報であり、照明の現在の明るさに関する明るさ情報を少なくとも有する2以上の照明情報が格納される照明情報格納部と、2以上の照明の配置に関する配置情報が格納される配置情報格納部とをさらに具備し、支援部は、2以上の照明情報を用いて、2以上の照明のうち、一の照明が機能していないことを検知する検知手段と、配置情報を用いて、他の1以上の照明のうち、増光部による増光の対象となる1以上の照明を決定し、決定した1以上の照明に対応する1以上の照明識別子を取得する増光対象決定手段と、増光対象決定手段が取得した1以上の照明識別子で識別される1以上の他の照明の明るさを上げることを増光部に指示する制御手段とを具備する調光装置である。
【0021】
かかる構成により、一の照明が機能しなくなったことを検知し、他の1以上の照明の明るさを上げる動作を自動的に行える。
【0022】
また、本第八の発明の調光装置は、第二の発明に対して、照明を識別する照明識別子に対応付けて、照明に関する情報であり、照明の現在の明るさに関する明るさ情報と、通常モードにおける予め決められた最大の明るさを特定する通常最大明るさ情報と、通常最大明るさ情報で特定される明るさを超える明るさであり、非通常モードにおける予め決められた最大の明るさを特定する非通常最大明るさ情報とを有する2以上の照明情報が格納される照明情報格納部と、一の照明が機能しなくなったことによる明るさの減少量が格納される減少量格納部とをさらに具備し、支援部は、2以上の照明情報を用いて、2以上の照明のうち、一の照明が機能していないことを検知する検知手段と、検知手段が一の照明が機能しなくなったと判断した場合に、当該一の照明に対応する明るさ情報を用いて、明るさの減少量を取得し、減少量格納部に蓄積する減少量取得手段と、減少量格納部に格納されている1以上の減少量を合計し、合計減少量を取得する合計減少量取得手段と、他の1以上の照明ごとに、明るさ情報と非通常最大明るさ情報との差分を取得し、取得した1以上の差分を合計し、合計差分を取得する合計差分取得手段と、合計差分が合計減少量に満たないか否かを判断し、合計差分が合計低下量に満たない場合に、2以上の照明全体での明るさの維持が困難となった旨のエラー情報を取得するエラー情報取得手段と、エラー情報を出力する出力手段さらに具備する調光装置である。
【0023】
かかる構成により、全体での明るさの維持が困難となった時点で、その旨を通知するので、ユーザは、機能しなくなった1以上の照明を効率的に交換できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、一の部屋に設置されている2以上の照明の一部が機能しなくなった場合でも、全体での明るさを維持できる。従って、機能しなくなった照明の交換の手間が軽減される。かかる軽減効果は、設置されている照明の数が多い部屋において、特に顕著となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施の形態1~4における照明システムの概念図
図2】同調光装置が有する操作パネルの一例を示す図
図3】同調光装置のブロック図
図4】同調光装置の動作を説明するフローチャート
図5】実施の形態2における操作パネルの一例を示す図
図6】同調光装置のブロック図
図7】同調光装置の動作を説明するフローチャート
図8】実施の形態3における調光装置が有する個別操作パネルの一例を示す図
図9】同調光装置のブロック図
図10】同調光装置の動作を説明するフローチャート
図11】実施の形態4における調光装置のブロック図
図12】同調光装置の動作を説明するフローチャート
図13】実施の形態1~4におけるコンピュータシステムの内部構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、調光装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における照明システムAの概念図である。照明システムAは、2以上の照明1、および調光装置2Aを備える。
【0028】
照明システムAを構成する2以上の照明1(以下、単に「2以上の照明1」と記す場合がある)は、一の部屋に設置される。一の部屋に設置される照明1の数は、2以上であれば何個でも良い。調光装置2は、通常、2以上の照明1が設置されている部屋に設置されるが、別の場所に設置されても良く、その設置場所は問わない。
【0029】
部屋は、例えば、イベントホール、オフィス、教室、工場など、多数の照明1が設置される広く、天井が高い部屋が好適であるが、住居のリビング、屋外のテラス等でも良く、照明1を必要とする空間であれば、その種類やサイズは問わない。
【0030】
照明1とは、部屋の内部を光で照らして明るくする器具である。照明1は、例えば、発光素子、および駆動回路を有する。発光素子とは、光を発する素子である。発光素子は、例えば、LEDであるが、白熱灯または蛍光灯などでも良く、その種類は問わない。駆動回路とは、発光素子を駆動する回路である。駆動回路は、例えば、電流駆動型の回路であるが、電圧駆動型の回路でも良く、そのタイプは問わない。
【0031】
また、照明1は、例えば、調光器を有することは好適である。調光器とは、調光を行う器具である。調光とは、光の明るさを調節することである。調光器は、例えば、調光装置2Aからの調光信号に応じて駆動回路を制御し、発光素子に供給される電力を変化させることにより、発光素子が発する光の明るさを調節する。
【0032】
調光信号とは、調光を行うための信号である。調光信号は、例えば、明るさ情報を有する。明るさ情報とは、照明の明るさに関する情報である。明るさは、例えば、照明そのものの明るさであるが、照明からの光に照らされた面の明るさでも良いし、光の強さでも良い。照明そのものの明るさは、例えば、国際単位系(IS)に定められた光束であるが、照明が消費する電力でも良い。照明からの光に照らされた面の明るさは、例えば、ISに定められた照度である。光の強さは、ISに定められた光度である。本実施の形態において、「明るさ」という場合、通常、光束または電力を意味するものとする。
【0033】
明るさ情報は、例えば、照明の明るさを特定する情報である。本実施の形態における明るさ情報は、通常、光束を特定する情報(例えば、Xルーメン等)、または電力を特定する情報(例えば、Yワット等)である。ただし、明るさ情報は、例えば、照度を特定する情報(例えば、Zルクス等)でも良いし、光度を特定する情報(例えば、Zカンデラ等)でも良く、明るさを特定し得る情報であれば、その形式は問わない。光束または電力に関する明るさ情報は、例えば、各照明1の駆動回路から取得される。
【0034】
なお、明るさ情報として、例えば、照度を特定する情報を用いる場合は、2以上の照明1が設置されている室内に、照度計が設置される。照度計からは、2以上の照明1からの光を重ね合わせた合計の照度を特定する情報が取得される。後述する増光部241Aは、例えば、照度計からの情報を用いて、2以上の照明1に対し、一括増光を行っても良い。なお、かかる事項は、他の実施の形態にも当てはまる場合がある。
【0035】
または、調光信号は、発光素子の点滅のタイミングを特定する信号でも良く、その形式は問わない。
【0036】
調光回路は、具体的には、例えば、発光素子を高速に点滅させるトライアックやインバータ等の回路が好適であるが、可変抵抗を用いた回路でも良く、発光素子に供給される電力を変化させ得る回路であれば、そのタイプは問わない。
【0037】
ただし、照明1は、調光器を有さず、後述するように、調光装置2Aが、1または2以上の調光器を有していても良い。
【0038】
2以上の照明1のうちの1以上の照明1は、通常モードおよび非通常モードの少なくとも2つのモードにより機能する。機能することは、照明1が予め決められた条件を満たすほど明るく光ることである。予め決められた条件は、例えば、明るさが閾値以上または閾値より大きいことであるが、発光素子が切れていないことでも良い。
【0039】
通常モードとは、2以上の照明1の全部が機能する状態である。非通常モードとは、2以上の照明1のうち、一部が機能しない状態である。非通常モードとは、2以上の照明1の一部のみが機能する状態である。非通常モードは、例えば、2以上の照明1のうち、一の照明1が機能しなくなり、1以上の他の照明1が、当該機能しなくなった一の照明1を補うように機能するモードである。非通常モードでは、例えば、3以上の照明1のうち、2以上の照明1が機能しなくなり、他の1以上の照明1が、当該機能しなくなった2以上の照明1を補うように機能しても良い。
【0040】
照明1が機能しなくなることは、通常、発光素子が発光しなくなる(例えば、切れる)ことである。ただし、照明1が機能しなくなることは、発光素子が発する光の明るさが、通常モードにおいて、予定している明るさ未満(閾値未満)になることでも良い。閾値は、例えば、後述する通常モードの最大明るさのp倍(ただし、p<1。例えば、p=1/2等)であるが、通常モードの最大明るさとは無関係の定数(例えば、xルーメン等)でも良い。
【0041】
2以上のモードにより機能する照明1については、モードごとに最大明るさが管理される。モードごとの最大明るさとは、例えば、通常モードの最大明るさ、非通常モードの最大明るさなどである。通常モードの最大明るさとは、通常モードにより機能する照明1の最も大きい明るさであり、非通常モードの最大明るさとは、非通常モードにより機能する照明1の最も大きい明るさである。
【0042】
非通常モードの最大明るさは、通常モードの最大明るさよりも大きい。非通常モードの最大明るさは、例えば、通常モードの最大明るさのk倍(ただし、k>1。例えば、k=5/4、k=9/8等)であっても良い。なお、通常モードの最大明るさは、例えば、照明1に対して予め決められた明るさであるが、ユーザや照明1の設置者等により設定可能な明るさであっても良い。また、かかる事項は、非通常モードの最大明るさにも当てはまる。
【0043】
調光装置2Aとは、2以上の照明1の明るさを調節する装置である。調光装置2Aは、通常、図示しない配線を介して、2以上の照明1の各々と接続される。配線は、例えば、電源線および信号線を含む。電源線とは、図示しない電源からの電力を、照明1の駆動回路を介して発光素子に供給するための配線である。電源は、通常、交流電源であるが、直流電源でも良い。信号線とは、調光装置2Aからの調光信号を、照明1の調光器に伝えるための配線である。なお、信号線は、無線でも良い。
【0044】
調光装置2Aは、例えば、2以上の照明1の各々の明るさを個別に調節する個別調光を行うことは好適であるが、2以上の照明1の全体の明るさを調節する全体調光を行っても良い。
【0045】
例えば、各照明1が調光器を有しており、調光装置2Aは、各照明1に、当該照明1への信号線を介して調光信号を送信する。各照明1への調光信号は、例えば、異なる明るさ情報を有する信号(以下、個別調光信号と記す場合がある)であることは好適であるが、同じ明るさ情報を有する信号(以下、全体調光信号)でも良い。
【0046】
ただし、照明1は調光器を有しておらず、調光装置2Aが、例えば、前述した調光回路を、1または2以上、有していても良い。つまり、調光装置2A自身が、2以上の照明1の調光を行っても良い。
【0047】
詳しくは、調光装置2Aは、例えば、2以上の照明1に対応する2以上の調光器を有する。各調光器は、当該調光器に対応する照明1への電源線に接続されており、当該照明1への電力を変化させることにより、当該照明1の明るさを調節する。これにより、2以上の照明1の個別調光が実現される。
【0048】
または、調光装置2Aは、例えば、2以上の照明1に対応する一の調光器を有する。当該一の調光器は、2以上の各照明1への電源線に接続されており、2以上の各照明1への電力を変化させることにより、2以上の各照明1の明るさを調節する。これにより、2以上の照明1の全体調光が実現される。
【0049】
なお、以上のような、照明システムAのハードウェア構成と基本動作は、実施の形態2~4における照明システムB~Dにも共通する。
【0050】
調光装置2Aは、通常、操作パネルを有する。なお、調光装置2Aが操作パネルを有することは、通常、調光装置2Aの本体に操作パネルが設けられることであるが、操作パネルは、調光装置2Aとは別体でも良い。
【0051】
操作パネルとは、2以上の照明1を操作するためのパネルである。操作とは、通常、明るさの調節であるが、例えば、電源のオン/オフなどでも良い。操作パネルは、2以上の照明1の各々を個別に操作可能であることは好適であるが、その全部(ただし、機能しなくなったものは除く)を一括的に操作するものでも良い。
【0052】
操作パネルは、移動機構222aを有する。移動機構222aとは、1または2以上の照明1の明るさを調整する操作に応じて移動する機構である。移動機構222aは、例えば、操作の量に応じて、その操作パネルに対する位置が変化する機構である。移動機構222aは、具体的には、例えば、つまみ、スライダーなどであるが、仮想的なつまみ等を実現するタッチパネルでも良く、その種類は問わない。
【0053】
操作パネルには、通常、1または2以上の目印が表出している。目印とは、操作位置を特定する印である。操作位置とは、操作パネルに対する移動機構222aの位置である。移動機構222aの位置は、例えば、移動機構222aの代表点の位置である。代表点は、通常、移動機構222aに表出している。表出とは、例えば、印刷であるが、刻印でも良く、目印等の表出方法は問わない。
【0054】
また、目印は、例えば、図形であるが、文字列でも良いし、図形と文字列との組でも良い。文字列とは、通常、2以上の文字の配列であるが、単一の文字でも良いし、記号も含んでいても良い。文字列は、例えば、“0”,“1/3”,“3/4”等の数字でも良いし、“H”,“xH”等の略号,“通常最大”,“非通常最大”等の名称でも良く、その表現形式は問わない。図形は、例えば、点、線分、円、多角形などであるが、照明のシンボルマーク等でも良く、その種類は問わない。
【0055】
操作パネルは、通常、2以上の照明1が設置された室内の壁面に設けられる。ただし、操作パネルは、リモコンでも良い。リモコンとは、調光装置2Aの本体に操作信号を送信する送信機である。操作信号とは、操作パネルによって受け付けられた操作に対応する信号である。操作信号は、例えば、明るさを調節する操作に対応する信号、電源をオン/オフする操作に対応する信号などであるが、その種類は問わない。リモコンは、例えば、携帯端末によって実現されても良い。携帯端末とは、例えば、スマートフォン、タブレット端末等であるが、その種類は問わない。
【0056】
なお、以上の事項は、実施の形態2における調光装置Bにも共通する。
【0057】
本実施の形態における操作パネルは、つまみ等の移動機構222aを有し、移動機構222aの移動方向に沿って、第一目印221Aおよび第二目印222Aの少なくとも2つの目印が表出している。移動機構222aの移動方向とは、例えば、移動機構222aが円形のつまみである場合は、つまみの円周方向であり、移動機構222aが線状のスリットに沿って移動するスライダーである場合は、スリットの長さ方向である。
【0058】
第一目印221Aは、通常最大明るさに対応する操作位置を特定する目印である。第二目印222Aは、非通常最大明るさに対応する操作位置を特定する目印である。第一目印221Aは、例えば、矢印と文字列“H”との組であり、第二目印222Aは、例えば、矢印と文字列“xH”との組であるが、その表現形式は問わない。
【0059】
また、操作パネルには、通常、基準目印がさらに表出している。基準目印とは、明るさ0に対応する目印である。なお、明るさ0は、電源オフといっても良い。基準目印は、例えば、矢印と“0”の組であるが、点と“OFF”の組等でも良く、その表現形式は問わない。
【0060】
さらに、操作パネルには、例えば、基準目印と第一目印221Aの間を均等または不均等に分割する1または2以上の他の目印が表出していても良い。1以上の他の目印とは、例えば、1/3目印、3/4目印等であるが、その数、比率、表現形式等は問わない。1/3目印とは、通常最大明るさの1/3倍に対応する目印であり、3/4目印とは、通常最大明るさの3/4倍に対応する目印である。
【0061】
なお、操作パネルには、例えば、第一目印221Aと第二目印222Aの間を不均等に分割する1または2以上のその他の目印を有していても良い。1以上のその他の目印とは、例えば、第二目印222Aに対応する非通常最大明るさが通常最大明るさの9/7倍である場合は、9/8目印であるが、その数、比率、表現形式等は問わない。9/8目印とは、通常最大明るさの9/8倍に対応する目印である。
【0062】
図2は、調光装置Aが有する操作パネルの一例を示す図である。この操作パネルは、2以上の照明1に対し、明るさの調整を行うための円形のつまみを有し、つまみの周囲に、基準目印、第一目印221A、および第二目印222Aの、3つの目印が表出している。
【0063】
なお、図2の例は、2以上の照明1の明るさを一の移動機構222aで一括的に調節する操作パネルであり、以下、「一括操作パネル」と記す場合がある。ただし、調光装置Aが有する操作パネルは、例えば、図8に示すような、個別操作パネルでも良い。個別操作パネルとは、2以上の照明1の明るさを個別に調節する操作パネルである。個別操作パネルは、例えば、2以上の照明1と一対一に対応する2以上の移動機構222aを有する。なお、図8の個別操作パネルについては、実施の形態3で説明する。
【0064】
図3は、調光装置2Aのブロック図である。調光装置2Aは、格納部21A、支援部22A、および調光部24Aを備える。調光部24Aは、増光部241Aを備える。支援部22Aは、操作パネルに表出している3つの目印のうち、第一目印221Aと第二目印222Aである。
【0065】
格納部21Aには、例えば、第一対応情報が格納される。第一対応情報とは、操作位置と明るさとの対応に関する情報である。第一対応情報は、例えば、操作位置と明るさとの対の集合である。操作位置と明るさとの対の集合は、例えば、第一目印221Aに対応する操作位置と通常最大明るさとの対、および第二目印222Aに対応する操作位置と非通常最大明るさとの対を含む。
【0066】
非通常最大明るさは、通常最大明るさより大きい。非通常最大明るさは、例えば、照明1の数をn、通常最大明るさをLとすると、L×{n/(n-m)}である(ただし、mは、1または2以上の整数)。
【0067】
なお、操作位置と明るさとの対の集合は、例えば、基準目印に対応する操作位置と明るさ“0”との対、1/3目印に対応する操作位置と、通常最大明るさの1/3倍の明るさとの対、3/4目印に対応する操作位置と、通常最大明るさの3/4倍の明るさとの対、なども含んでいても良い。または、第一対応情報は、例えば、操作位置をパラメータとする増加関数でも良く、その形式は問わない。
【0068】
支援部22Aは、2以上の照明1のうち、一の照明1が機能しなくなった場合に、当該一の照明1の周辺に配置されている1以上の他の照明1の明るさを上げること(以下では、「増光」と記す場合ある)を支援する構成を有する。
【0069】
周辺とは、例えば、機能しなくなった一の照明1からの距離が閾値以下または閾値未満の範囲(つまり、一の照明1とを中心とする半径rの円内)である。または、周辺は、例えば、一の照明1に隣接する位置でも良い。隣接する位置とは、例えば、一の照明1と隣り合う一の位置でも良いし、一の照明1を挟む一対の位置でも良いし、一の照明1を囲む線(例えば、多角形等)に沿った位置でも良い。ただし、一の照明1の周辺に配置されている1以上の他の照明1とは、例えば、2以上の照明1のうち、当該一の照明1を除く他の全ての照明1でも良い。
【0070】
本実施の形態において、増光を支援する構成とは、調光装置2Aの操作パネルに表出した2以上の目印のうち、第一目印221Aおよび第二目印222Aである。
【0071】
すなわち、支援部22Aは、操作パネルに表出した目印であり、通常モードにおける最大明るさにするための操作位置を特定する第一目印221A、および非通常モードにおける最大明るさにするための操作位置を特定する第二目印222Aである。
【0072】
調光部24Aは、つまみの操作位置に応じて、2以上の照明1の明るさを調節する。調光部24Aは、2以上の各照明1の明るさを、個別に調節しても良いし、2以上の照明1の明るさを一度に調節するものでも良い。
【0073】
調光部24Aは、例えば、つまみの操作位置が変化した場合に、当該変化後のつまみの操作位置を取得し、当該取得した操作位置に対応する明るさを格納部21Aから取得し、1または2以上の照明1の明るさを、当該取得した明るさに調節する。
【0074】
例えば、つまみの操作位置が、基準目印に対応する操作位置から第一目印221Aに対応する操作位置に変更された場合、調光部24Aは、第一目印221Aに対応する操作位置と対になる通常最大明るさを格納部21Aから取得し、2以上の照明1の明るさを通常最大明るさに変更する。
【0075】
調光部24Aを構成する増光部241Aは、2以上の照明1のうち、一の照明1が機能しなくなった場合に、当該一の照明1の周辺に配置されている1以上の他の照明1の明るさを上げる。
【0076】
増光部241Aは、2以上の照明1のうち、一の照明1が機能しなくなった場合に、1以上の他の照明1の明るさを、通常モードの明るさより大きい明るさに上げる。通常モードの明るさより大きい明るさとは、例えば、通常モードの明るさのk倍である。なお、前述したように、k>1であり、例えば、k=5/4、k=9/8等であっても良い。
【0077】
増光部241Aは、例えば、5以上の照明1の全部が機能している通常モードにおいて、一の照明1が機能しなくなった場合に、当該一の照明1の周辺の4つの他の照明1の明るさを、5/4倍に上げても良い。
【0078】
または、増光部241Aは、例えば、9以上の照明1の全部が機能している通常モードにおいて、一の照明1が機能しなくなった場合に、当該一の照明1の周辺の8つの他の照明1の明るさを、9/8倍に上げても良い。
【0079】
一般に、増光部241Aは、例えば、n個(ただし、nは、2以上の整数:以下同様)の照明1の全部が機能している通常モードにおいて、一の照明1が機能しなくなった場合に、当該一の照明1の周辺の(n-1)個の他の照明1の明るさを、{n/(n-1)}倍に上げることは好適である。
【0080】
なお、一の照明1の周辺の他の照明1とは、少なくとも一の照明1に隣接する一つの他の照明1を含む。一の照明1の周辺の他の照明1とは、例えば、一の照明1との距離が閾値以内の他の照明1である。一の照明1の識別子に対応付けて、周辺の1以上の他の照明1の識別子が格納部21Aに格納されていても良い。
【0081】
さらに、上記のようにして、一の照明1が機能しなくなり、他の(n-1)個の照明1の明るさを{n/(n-1)}倍に上げた非通常モードにおいて、別の一の照明1も機能しなくなった場合に、増光部241Aは、例えば、その他の(n-2)個の照明1の明るさを、通常モードの明るさに対して{n/(n-2)}倍に上げても良い。
【0082】
一般に、n個の照明1のうち、m個(ただし、mは、1≦m<nを満たす整数)の照明1が機能しなくなった場合、増光部241Aは、他の(n-m)個の照明1の明るさを、通常最大明るさの{n/(n-m)}倍に上げても良い。
【0083】
ただし、非通常最大明るさが、通常最大明るさの{n/(n-M)}倍である場合、たとえm>Mであっても、増光部241Aは、他の(n-m)個の照明1の明るさを、通常最大明るさの{n/(n-M)}倍までしか、上げない。
【0084】
なお、増光部241Aに関する上記事項は、実施の形態2~4における増光部241B~241Dにも共通する。
【0085】
本実施の形態において、増光部241Aは、操作パネルのつまみの操作に応じて、上記のような増光を行う。
【0086】
例えば、照明1の数がnであり、第一目印221Aに対応する位置と対になる通常最大明るさが“L”であり、第二目印222Aに対応する位置と対になる非通常最大明るさが“L×{n/(n-1)}”である場合を考える。
【0087】
今、n個の照明1の全部が機能している通常モードであり、操作パネルが有する移動機構222aの操作位置は、第一目印221Aに対応する位置にある。このとき、n個の照明1の各々が通常最高輝度Lで発光し、全体での明るさは、n×Lである。
【0088】
かかる通常モードにおいて、一の照明1が機能しなくなったとすると、全体での明るさは、(n-1)×Lに低下する。ユーザは、一の照明1が機能しなくなったことを認知し、移動機構222aの操作位置を、第一目印221Aに対応する位置から、第二目印222Aに対応する位置に移動させる。
【0089】
なお、本実施の形態では、通常、2以上の照明1の明るさは同一(例えば、L)であり、2以上の照明1の明るさを単純に加算したもの(例えば、L×n)を全体の明るさとしているが、例えば、2以上の照明1ごとに明るさが異なっていても良いし、各照明1の明るさに予め決められた係数を乗算し、2以上の乗算結果を合計したもの(例えば、α1×L1+α2×L2+・・・+αn×Ln)を合計の明るさとしても良い。ここで、係数α1,α2・・・αnは、例えば、明るさを計測する地点と、各照明1との位置関係(例えば、距離、方向等)によって決まる定数である。
【0090】
また、一の照明1が機能しなくなった場合における全体の明るさは、当該機能しなくなった一の照明1がどの照明1かによって異なる。さらに、一の照明1が機能しなくなったことで低下した明るさを補うための、1以上の他の照明1の増光量も、機能しなくなった照明1によって変化する。従って、第二目印222Aの位置に対応する非通常最高明るさは、照明1によって異なることが好ましい。
【0091】
しかし、全体の明るさは、一の照明1が機能しなくなる前後で、必ずしも厳密に維持されなくても良く、例えば、一の照明1が機能しなくなる前の明るさに近づくだけでも構わない。そこで、本実施の形態では、一の室内の照明1の数がn個で、その全てが機能している場合における全体の明るさは、近似的に(L×n)であるとする。また、そのうち一の照明1が機能しなくなった場合における全体の明るさは、近似的に{L×(n-1)}であるとする。さらに、第二目印222Aに対応する位置と対になる非通常最大明るさは、近似的に{L×{n/(n-1)}であるとする。なお、かかる事項は、他の実施の形態にも当てはまる場合がある。
【0092】
操作パネルから増光部241Aに、第二目印222Aに対応する位置が通知され、増光部241Aは、第二目印222Aに対応する操作位置と対になる非通常最大明るさ“L×{n/(n-1)}”を格納部21Aから取得し、他の(n-1)個の照明1の明るさを、当該取得した明るさ情報で特定される明るさに変更する。これにより、(n-1)個の照明1の各々の明るさが、Lから“L×{n/(n-1)}”に上昇し、全体での明るさは、(n-1)×〔L×{n/(n-1)}〕となって、一の照明1が機能しなくなる前の明るさ“n×L”に維持される。
【0093】
なお、上記動作は、例えば、一の部屋に設置されている照明1の総数がnであり、機能しなくなった一の照明1を除く他の(n-1)個の照明1の、全部の明るさを上昇させる「全部増光動作」と考えても良い。
【0094】
または、一の部屋に設置されている照明1の総数はnより大きい数(N個:ただし、N>n)であり、N個中の一の照明1が機能しなくなった場合に、当該一の照明1とその周辺に位置する(n-1)個の照明1とを含むn個の照明1のうち、当該一の照明1の周辺に位置する(n-1)個の照明1の明るさのみを上昇させる「周辺増光動作」と考えても良い。ただし、周辺増光動作は、全部増光動作も含むと考えても良い。
【0095】
周辺増光動作を行う場合、支援部22Aは、例えば、増光の対象となる1以上の照明1を決定する増光対象決定手段224をさらに備えることは好適である。なお、増光対象決定手段224については、実施の形態3および4で説明する。
【0096】
さらに、支援部22Aは、例えば、増光対象決定手段224が決定した1以上の照明1に対応する1以上の照明識別子を含む推薦情報を出力する出力手段227、および推薦情報の出力に応じて、照明1の増光を指示する増光指示を受け付ける「受付手段」を有していても良い。なお、出力手段227および受付手段については、実施の形態3で説明する。
【0097】
または、支援部22Aは、例えば、増光対象決定手段224が決定した1以上の照明1の増光を増光部241Aに指示する制御手段225を有していても良い。なお、制御手段225については、実施の形態4で説明する。
【0098】
格納部21Aは、例えば、ハードディスクやフラッシュメモリといった不揮発性の記録媒体が好適であるが、RAMなど揮発性の記録媒体でも実現可能である。なお、格納部21B~21D、照明情報格納部211、配置情報格納部212、および減少量格納部213(いずれも後述)も同様である。
【0099】
格納部21A等に情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して情報が格納部21A等で記憶されるようになっても良く、ネットワークや通信回線等を介して送信された情報が格納部21A等で記憶されるようになっても良く、あるいは、入力デバイスを介して入力された情報が格納部21A等で記憶されるようになっても良い。入力デバイスは、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等、何でも良い。
【0100】
支援部22A、調光部24A、および増光部241Aは、MPUやメモリ等から実現され得る。なお、支援部22B~22D、調光部24B~24D、増光部241B~241D、検知手段223、増光対象決定手段224、制御手段225、減少量取得手段226a、合計減少量取得手段226b、合計差分取得手段226c、エラー情報取得手段226d、および出力手段227も同様である。
【0101】
支援部22A等の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。ただし、処理手順は、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0102】
なお、出力手段227は、ディスプレイやスピーカ等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。出力手段227は、出力デバイスのドライバーソフトによって、または出力デバイスとそのドライバーソフトとで実現され得る。
【0103】
次に、照明システムAの動作について図4のフローチャートを用いて説明する。図4は、調光装置2Aの動作を説明するフローチャートである。
【0104】
(ステップS401)調光部24Aは、“操作位置x=基準位置”であるか否かを判断する。“操作位置x=基準位置”である場合はステップS402に進み、“操作位置x=基準位置”でない場合はステップS403に進む。
【0105】
(ステップS402)調光部24Aは、2以上の照明1の明るさを0にする。これによって、2以上の照明1は消灯する。ステップS401に戻る。
【0106】
(ステップS403)調光部24Aは、“基準位置<x≦第一目印位置”であるか否かを判断する。“基準位置<x≦第一目印位置”である場合はステップS404に進み、“基準位置<x≦第一目印位置”でない場合はステップS405に進む。
【0107】
(ステップS404)調光部24Aは、ステップS703で検知された一の照明1を除く1以上の他の2以上の照明1の明るさを、通常最大明るさ以下の明るさであり、操作位置xに応じた明るさにする。ステップS401に戻る。
【0108】
(ステップS405)調光部24Aを構成する増光部241Aは、“操作位置x=第二目印位置”であるか否かを判断する。“操作位置x=第二目印位置”である場合はステップS406に進み、“操作位置x=第二目印位置”でない場合はステップS401に戻る。
【0109】
(ステップS406)増光部241Aは、2以上の照明1の明るさを、通常最大明るさよりも大きい非通常最大明るさにする。なお、非通常最大明るさは、例えば、一室内の照明1の数をn、通常最大明るさをLとして、“L×{n/(n-1)}”であっても良い。これにより、2以上の照明1のうち一の照明1が機能していなくても、機能している1以上の照明1の明るさが非通常最大明るさとなり、全体での明るさの維持が可能となる。ステップS401に戻る。
【0110】
なお、図4のフローチャートは、基本的に、2以上の照明1の調光を一の移動機構222aで一括的に行う操作パネル(例えば、図3に示した一括操作パネル)の操作に応じた処理に対応している。ただし、2以上の照明1の調光を2以上の移動機構222aで個別に行う操作パネル(例えば、図8に示す個別操作パネル)を用いる場合は、照明1と移動機構222aの組ごとに、図4のフローチャートの処理が実行されても良い。
【0111】
その場合、図4のフローチャートにおいて、例えば、ステップS401の前に実行される下記4つのステップS400a,S400b,S400c,S400eと、ステップS402,ステップS404,およびステップS406の各々の後に実行される下記ステップS400dとの、5つのステップが追加されても良い。なお、追加される5つのステップS400a~S400eは、図10の5つのステップS1001~S1003,S1013,およびS1014に対応するステップである。
【0112】
(ステップS400a)調光部24Aは、変数(i,j)に初期値(1,1)をセットする。変数(i,j)とは、M×N個の照明識別子のうち未選択のものを順番に選択していくための変数である。
【0113】
(ステップS400b)調光部24Aは、“i≦M”であるか否かを判別する。“i≦M”である場合はステップS400cに進み、“i≦M”でない場合はステップS400aに戻る。
【0114】
(ステップS400c)調光部24Aは、“j≦N”であるか否かを判別する。“j≦N”である場合はステップS401に進み、“j≦N”でない場合はステップS400eに進む。
【0115】
(ステップS400d)調光部24Aは、変数(i,j)を構成する“j”をインクリメントする。ステップS400cに戻る。
【0116】
(ステップS400e)調光部24Aは、変数(i,j)を構成する“i”をインクリメントする。ステップS400bに戻る。
【0117】
なお、図4のフローチャートでは、通常最大明るさと非通常最大明るさの間で、明るさが不連続に変化しているが、連続的に変化しても良い。その場合、ステップS405では、“第一目印位置<x≦第二目印位置”であるか否かが判断される。“第一目印位置<x≦第二目印位置”である場合はステップS406に進み、“第一目印位置<x≦第二目印位置”でない場合はステップS401に戻る。ステップS406では、通常最大明るさよりも大きく、かつ非通常照最大明るさ以下の明るさであり、操作位置xに応じた明るさへの増光が行われる。
【0118】
なお、図4のフローチャートにおいて、調光装置2Aの電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0119】
以下、本実施の形態における照明システムAの具体的な動作例について説明する。照明システムAの概念図は図1である。
【0120】
現在、操作パネルの操作位置は、第一目印221Aに対応する位置(第一目印位置)にある。一の室内に設置された9個の照明(1,1)~(3,3)は、各々通常最大明るさLで発光しており、全体での明るさは、L×9である。
【0121】
このとき、一の照明(2,2)が機能しなくなり、その明るさがLから0になったとする。これに伴い、全体での明るさは、L×9からL×8に低下する。ユーザは、かかる明るさの低下を視覚的に認知し、操作パネルの操作位置を、第一目印位置から、第二目印222Aに対応する位置(第二目印位置)に移動させる。なお、ユーザは、第一目印位置よりも、第二目印222Aに近い位置に、移動機構を移動させても良い。かかる場合でも、移動機構に対応する照明の明るさを、通常最大明るさを超える明るさに増光できる。
【0122】
調光装置2Aを構成する格納部21Aには、第二目印位置に対応付けて、非通常最大明るさ情報“{L×{9/8)}”が格納されている。上記のような操作位置の第二目印位置への移動に応じて、増光部241Aは、機能していない一の照明(2,2)を除く他の8個の照明1の明るさを、非通常最大明るさ情報に対応する明るさ{L×(9/8)}に増光する。これにより、全体での明るさは、L×8からL×9に回復する。
【0123】
以上、本実施の形態によれば、一室内の2以上の照明1のうち一の照明1が機能しなくなった場合でも、1以上の他の照明1の明るさを、通常最大明るさを超える明るさに増光することにより、全体での明るさの維持可能となる。
【0124】
なお、本実施の形態において、支援部22Aは、例えば、下記の変形例1のように、一の照明1が機能していないことを検知し、その旨を出力しても良い。
【0125】
(変形例1)
図3の構成において、格納部21Aは、照明情報格納部211を備える。なお、照明情報格納部221は、図6等に示されたものと同じ要素である。支援部22Aは、検知手段223、および出力手段227をさらに備える。なお、検知手段223、および出力手段227は、図9等に示されたものと同じ要素である。
【0126】
照明情報格納部211には、照明識別子に対応付けて、2以上の照明情報が格納される。照明識別子とは、照明1を識別する情報である。照明識別子は、例えば、IDであるが、位置情報でも良く、照明1を識別し得る情報であれば何でも良い。
【0127】
位置情報とは、一の部屋における照明1の位置を特定する情報である。位置情報は、例えば、座標である。座標は、例えば、一の部屋の天井に対応する四辺形の一の頂点を原点として、原点から、四辺形の一の辺に沿って延びる軸をX軸、四辺形の他の一辺に沿って延びる軸をY軸とした、XY座標系における座標(x,y)であっても良い。
【0128】
または、位置情報は、領域識別子でも良い。領域識別子とは、領域を識別する情報である。領域とは、一の部屋の、2以上の照明1が配置される面(通常、天井)を分割して得られる、2以上の各範囲である。領域は、例えば、一の部屋の天井に対応する四辺形を、例えば、図1に示したように、縦(X軸)方向にM分割し(ここでは、M=3)、かつ横(Y軸)方向にN分割した(ここでは、N=3)、(M×N)個の小四辺形の各々のである。なお、MとNは、2以上の整数であり、例えば、一の領域につき1個以下の照明1が含まれるように決定されることは好適である。かかる(M×N)個の領域のうち、縦方向にm番目、横方向にn番目の領域は、2つの整数の組“(m,n)”で識別される。領域識別子は、例えば、“(m,n)”である。ただし、位置情報の形式は問わない。
【0129】
なお、以下では、位置情報として、領域識別子“(m,n)”を用いる場合がある。また、2以上の各照明1を、領域識別子を用いて、例えば、照明(m,n)のように記載する場合がある。ただし、位置情報は、照明情報に含まれていても良い。
【0130】
または、格納部21Aは、配置情報格納部212をさらに有していても良い。配置情報格納部212には、配置情報が格納される。配置情報とは、一の部屋における2以上の照明1の配置に関する情報である。配置情報は、例えば、照明識別子と位置情報の対の集合である。例えば、照明識別子がIDであり、位置情報は、座標(x,y)であっても良い。または、照明識別子が領域識別子(m,n)であり、配置情報は、照明1が配置されている2以上の領域に対応する2以上の領域識別子の集合でも良い。
【0131】
照明情報とは、照明1に関する情報である。照明情報は、明るさ情報を少なくとも有する。照明情報が有する明るさ情報は、照明1の現在の明るさを特定する情報である。明るさ情報は、例えば、調光部24Aによって、2以上の各照明1ごとに、当該照明1を構成する駆動回路から定期的または不定期に取得され、当該照明1を識別する照明識別子に対応付けて照明情報格納部211に蓄積される。照明情報格納部211に格納されている照明情報は、調光部24Aによって新たに取得された明るさ情報で更新される。
【0132】
検知手段223は、照明情報格納部211に格納されている2以上の照明情報を用いて、2以上の照明1のうち、一の照明1が機能していないことを検知する。
【0133】
検知手段223は、例えば、格納されている2以上の各照明情報ごとに、当該照明情報が有する明るさ情報が予め決められた条件を満たすか否かを判断し、いずれか1つの照明情報について、満たさないとの判断結果が得られたことにより、一の照明1が機能していないことを検知しても良い。予め決められた条件は、例えば、輝度情報が0である又は閾値より低い若しくは閾値以下であることであっても良い。
【0134】
検知手段223は、例えば、操作位置が基準位置を離れたこと(電源オンといっても良い)に応じて、機能していない一の照明1を検知する動作を行う。また、検知手段223は、例えば、操作位置が基準位置を離れた後も、一の照明1が機能しなくなったことを検知する動作を定期的または不定期に行っても良く、検知を行うタイミングや回数は問わない。
【0135】
例えば、調光部24Aが、2以上の各照明1ごとに、当該照明1から取得し、照明情報格納部211に蓄積した明るさ情報を、次回、当該照明1から明るさ情報を取得し、蓄積するまで、内部メモリに保持している。検知手段223は、2以上の各照明1ごとに、照明情報格納部211に格納されている照明情報が有する明るさ情報と、調光部24Aの内部メモリに保持されている明るさ情報との差分を取得し、当該取得した差分が、閾値以下または閾値より小の状態から、閾値より大または閾値以上の状態に変化したことに応じて、一の照明1が機能しなくなったことを検知しても良い。
【0136】
検知手段223は、例えば、上記のようにして、一の照明1が機能していないこと又は機能しなくなったことを検知し、当該機能していない一の照明1を識別する照明識別子を取得することは好適である。
【0137】
出力手段227は、検知手段223が、一の照明1が機能していないことを検知した場合に、検知した旨を出力する。検知した旨の出力とは、例えば、操作パネルが報知ランプを有する場合は、報知ランプの点灯でも良いし、操作パネルがディスプレイを有する場合は、「照明が切れています」等の文字列のディスプレイへの表示でも良いし、操作パネルがスピーカを有する場合は、報知音の出力でも良く、その態様は問わない。
【0138】
なお、上記の変形例1は、次に説明する実施の形態2にも適用可能である。
【0139】
以上、変形例1によれば、一の照明1が機能していないことを自動的に検知し、ユーザに通知することにより、他の1以上の照明1の明るさを上げる操作を促すことができる。
【0140】
なお、本実施の形態または変形例1において、支援部22Aは、例えば、下記の変形例2のように、全体での明るさの維持が困難となったことを検知し、その旨を出力しても良い。
【0141】
(変形例2)
図3の構成において、格納部21Aは、照明情報格納部211、および減少量格納部213を備える。なお、照明情報格納部221は、図6等に示されたものと同じ要素であり、減少量格納部213は、図11に示されたものと同じ要素である。支援部22Aは、減少量取得手段226a、合計減少量取得手段226b、合計差分取得手段226c、エラー情報取得手段226d、および出力手段227をさらに備える。なお、減少量取得手段226a、合計減少量取得手段226b、合計差分取得手段226c、エラー情報取得手段226d、および出力手段227は、図11に示されたものと同じ要素である。
【0142】
照明情報格納部211には、照明識別子に対応付けて、2以上の照明情報が格納される。照明情報は、明るさ情報と、通常最大明るさ情報と、非通常最大明るさ情報とを有する。明るさ情報は、変形例1における明るさ情報と同様である。
【0143】
通常最大明るさ情報とは、通常モードにおける予め決められた最大の明るさを特定する情報である。通常最大明るさは、例えば、当該照明1に対して予め定められた定格の明るさ(例えば、800ルーメン、60ワット等)であるが、その数値は問わない。
【0144】
非通常最大明るさ情報とは、通常最大明るさ情報で特定される明るさを超える明るさであり、非通常モードにおける予め決められた最大の明るさを特定する情報である。非通常最大明るさは、例えば、通常最大明るさのk倍(ただし、kは、1以上の正数)の値(例えば、1000ルーメン、75ワット等)であるが、その数値は問わない。
【0145】
減少量格納部213には、1または2以上の減少量が格納される。減少量とは、一の照明1が機能しなくなったことによる明るさの減少量である。
【0146】
減少量取得手段226aは、検知手段223が、2以上の照明1のうち、一の照明1が機能していないことを検知した場合に、当該一の照明1に対応する明るさ情報を用いて、明るさの減少量を取得し、減少量格納部213に蓄積する。 合計減少量取得手段226bは、減少量格納部213に格納されている1以上の減少量を合計し、合計減少量を取得する。
【0147】
合計差分取得手段226cは、他の1以上の照明1ごとに、明るさ情報と非通常最大明るさ情報との差分を取得し、当該取得した1以上の差分を合計し、合計差分を取得する。
【0148】
エラー情報取得手段226dは、合計差分取得手段226cが取得した合計差分が、合計減少量取得手段226bが取得した合計減少量に満たないか否かを判断し、合計差分が合計減少量に満たない場合に、2以上の照明1全体での明るさの維持が困難となった旨のエラー情報を取得する。なお、エラー情報は、例えば、文字列でも良いし、明るさの維持が困難となった旨の警告ランプを発光させる命令等でも良い。エラー情報は、例えば、格納部21Aに予め格納されている。
【0149】
出力手段227は、エラー情報取得手段226dが取得したエラー情報を出力する。
【0150】
以上、変形例2によれば、全体での明るさの維持が困難となった時点で、その旨を通知するので、ユーザは、機能しなくなった1以上の照明1を効率的に交換できる。
【0151】
なお、変形例2は、以下で説明する実施の形態2~4にも適用可能である。
【0152】
さらに、本実施の形態における処理は、ソフトウェアで実現しても良い。そして、このソフトウェアをソフトウェアダウンロード等により配布しても良い。また、このソフトウェアをCD-ROMなどの記録媒体に記録して流布しても良い。なお、このことは、本明細書における他の実施の形態においても該当する。
【0153】
なお、本実施の形態における調光装置2Aを実現するソフトウェアは、例えば、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、一の部屋に設置された2以上の照明1と、前記2以上の各照明1の明るさを調節する調光装置2Aとを具備する照明システムAを構成する調光装置2Aのコンピュータを、前記2以上の照明1のうち、一の照明1が機能しなくなった場合に、前記一の照明1の周辺に配置されている1以上の他の照明1の明るさを上げる支援部22Aと、前記1以上の他の照明1の明るさを上げる増光部241Aとして機能させるためのプログラムである。
【0154】
(実施の形態2)
本実施の形態における照明システムBの概念図は、調光装置2Aに代えて調光装置2Bを具備する点を除き、図1と同様である。調光装置2Bのブロック図は、基本的に、支援部22Aに代えて支援部22Bを具備する点を除き、図3と同様である。実施の形態1に対する相違は、操作パネルの構成、およびそれによって実現される支援部22Bにある。
【0155】
実施の形態における操作パネルは、移動機構222a、目印221B、および抵抗機構222bを有する。移動機構222aは、実施の形態1と同様で良い。目印221Bは、通常モードの最大明るさを特定する印である。つまり、本実施の形態の目印221Bは、実施の形態1の第一目印221Aに相当する要素であり、例えば、「第一目印221B」と呼んでも良い。なお、本実施の形態における操作パネルは、例えば、「第一目印221B」に加えて、実施の形態1の第二目印222Aに相当する要素である「第二目印222B」をさらに有していても良い。
【0156】
抵抗機構222bとは、操作パネルに対する移動機構222aの位置(つまり、操作位置)が、操作パネル上の目印221Bに対応する位置を超えて移動するとき、移動機構222aの移動を妨げる向きに抵抗を加えることにより、通常モードの最大明るさを超えて明るさを上げ難くするための機構である。抵抗機構222bは、例えば、目印221Bの位置を境に、移動する移動機構222aに対する摩擦力が変わるように構成された機構でも良い。
【0157】
具体的には、例えば、移動機構222aが、操作パネルに形成された線状のスリットに沿って移動するスライダーである場合、抵抗機構222bは、当該線状のスリットであり、目印221Bの位置を境にその幅が変化するスリットであっても良い。または、例えば、移動機構222aが回転するつまみである場合は、操作パネル内に設けられ、つまみを回転可能に支持する支持部材であり、目印221Bの位置を境に面の粗さが変化する支持部材であっても良い。ただし、抵抗機構222bは、例えば、目印221Bの位置を境に、移動機構222aに対する電磁力が変化するように構成された機構でも良く、その構造や機能は問わない。
【0158】
また、操作パネルには、例えば、抵抗機構222bの抵抗を解除するためのスイッチが設けられていても良い。かかる操作パネルにおいて、移動機構222aの操作位置が目印221Bの位置を超えている状態で、このスイッチが操作された場合、抵抗機構222bは、当該目印位置を境に増大している電磁力を低下させ、それによって抵抗機構222bの移動に対する抵抗を解除しても良い。
【0159】
図5は、本実施の形態における操作パネルの一例を示す図である。この操作パネルは、第一目印221B、第二目印222B、移動機構222a、および抵抗機構222bを有する。
【0160】
ただし、前述したように、操作パネルは、第二目印222Bを有さず、第一目印221B(目印221B)のみを有していても良い。
【0161】
移動機構222aは、例えば、線状に移動するスライダーであるが、実施の形態1におけるものと同様の、回転するつまみ等でも良く、その移動方向は問わない。抵抗機構222bは、例えば、目印221Bの位置の前後で、スライダーのスライドやつまみの回転等に対する摩擦力が変わるように、スリットのサイズや軸受けの面の粗さを変化させた機構であっても良い。
【0162】
図6は、調光装置2Bのブロック図である。調光装置2Bは、格納部21B、支援部22B、および調光部24Bを備える。調光部24Bは、増光部241Bを備える。支援部22Bは、操作パネルに表出している目印221B、および操作パネルに設けられた移動機構222aと抵抗機構222bである。また、支援部22Bは、変形例1で説明した検知手段223と出力手段227を備える。
【0163】
上記各構成要素の動作は、基本的に、実施の形態1または変形例1と同様である。以下では、実施の形態1または変形例1との差異のみ詳しく説明し、重複する事項の説明は省略または簡略化する。
【0164】
次に、照明システムBの動作について図7のフローチャートを用いて説明する。図7は、調光装置2Bの動作を説明するフローチャートである。なお、このフローチャートは、基本的に、2以上の照明1の調光を一の操作パネルで一括的に行う場合の処理に対応している。ただし、照明1と操作パネルの組が2組以上、存在する場合は、照明1と操作パネルの組ごとに、図7のフローチャートの処理が実行されても良い。
【0165】
(ステップS701)調光部24Bは、“操作位置x≦目印位置”であるか否かを判断する。“操作位置x≦目印位置”である場合はステップS702に進み、“操作位置x≦目印位置”でない場合はステップS703に進む。
【0166】
(ステップS702)調光部24Bは、2以上の照明1の明るさを、通常最大明るさ以下の明るさであり、操作位置xに応じた明るさにする。ステップS701に戻る。
【0167】
(ステップS703)調光部24Bは、検知手段223が一の照明1が機能していないことを検知したか否かを判断する。検知手段223が一の照明1が機能していないことを検知した場合はステップS704に進み、検知していない場合はステップS705に進む。
【0168】
(ステップS704)出力手段227は、一の照明1が機能していないことを検知した旨を出力する。これによって、例えば、操作パネルの報知ランプが点灯する。ステップS701に戻る。
【0169】
(ステップS705)調光部24Bを構成する増光部241Bは、“操作位置x>目印位置”であるか否かを判断する。“操作位置x>目印位置”である場合はステップS706に進み、“操作位置x>目印位置”でない場合はステップS701に戻る。
【0170】
(ステップS706)増光部241Bは、ステップS703で検知された一の照明1を除く1以上の他の照明1の明るさを、通常最大明るさを超える明るさであり、操作位置xに応じた明るさにする。これにより、機能している1以上の照明1の明るさが通常最大明るさを超える明るさとなり、全体での明るさの低下を防ぐことができる。ステップS701に戻る。
【0171】
なお、図7のフローチャートにおいて、調光装置2Aの電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0172】
以下、本実施の形態における照明システムBの具体的な動作例について説明する。照明システムBの概念図は図1である。
【0173】
現在、操作パネルの操作位置は、目印221Bの位置に対して3/4の位置にある。一の室内に設置された9個の照明(1,1)~(3,3)は、各々通常最大明るさLの3/4倍で発光しており、全体での明るさは、L×(3/4)×9である。
【0174】
このとき、一の照明(2,2)が機能しなくなり、その明るさがL×(3/4)から0になったとする。これに伴い、全体での明るさは、L×(3/4)×9からL×(3/4)×8に低下する。
【0175】
調光装置2Bを構成する検知手段223が、かかる明るさの低下を検知し、出力手段227は、報知ランプを点灯させる。ユーザは、報知ランプの点灯によって、かかる明るさの低下を着実に認知し、操作パネルの移動機構222aの操作位置を、目印221Bを超えて移動させる。操作位置が目印221Bを超えた時点で、移動機構222aに対する抵抗機構222bからの抵抗が増大し、ユーザは、1以上の他の照明1の明るさが、通常最大明るさを超えて増光したことを触覚的に認知できる。ユーザは、全体での明るさが、低下前の明るさL×(3/4)×9に回復したと視覚的に感じられる操作位置まで、移動機構222aを移動させる。
【0176】
以上、本実施の形態によれば、一室内の2以上の照明1のうち一の照明1が機能しなくなった場合でも、1以上の他の照明1の明るさを、通常最大明るさを超える明るさに増光することにより、全体での明るさの維持可能となる。
【0177】
また、一の照明1が機能していないことを自動的に検知し、ユーザに通知することにより、他の1以上の照明1の明るさを上げる操作を促すことができる。
【0178】
さらに、他の1以上の照明1の明るさを通常最大明るさを超えて増光させる操作を、目印221Bの位置を境に増大する抵抗を触覚的に感知することにより、的確に行える。
【0179】
なお、本実施の形態における調光装置2Bを実現するソフトウェアは、例えば、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、一の部屋に設置された2以上の照明1と、前記2以上の各照明1の明るさを調節する調光装置2Bとを具備する照明システムBを構成する調光装置2Bのコンピュータを、前記2以上の照明1のうち、一の照明1が機能しなくなった場合に、前記一の照明1の周辺に配置されている1以上の他の照明1の明るさを上げる支援部22Bと、前記1以上の他の照明1の明るさを上げる増光部241Bとして機能させるためのプログラムである。
【0180】
(実施の形態3)
本実施の形態における照明システムCの概念図は、調光装置2Aに代えて調光装置2Cを具備する点を除き、図1と同様である。
【0181】
照明システムCは、2以上の照明1、および調光装置2Cを備える。調光装置2Cは、ディスプレイ付きの個別操作パネルを有する。なお、ディスプレイ付きの個別操作パネルは、例えば、携帯端末のタッチパネル付きディスプレイに表示される仮想的な操作パネルでも良い。
【0182】
図8は、調光装置2Cが有する個別操作パネルの一例を示す図である。個別操作パネルとは、前述したように、2以上の照明1の明るさを個別に調節する操作パネルである。この個別操作パネルは、例えば、図2に示した操作パネル(一括操作パネル)が有する要素群(すなわち、移動機構222a、第一目印221A、第二目印222A等)に対応する要素群を、2以上の照明1と同じ数(M×N個:本例では、3×3=9個)だけ含む。なお、個別操作パネルを構成するM×N個の操作パネルは、一室内に設置されているM×N個の照明1に対応付けて、2次元的に配置されることは好適である。
【0183】
また、M×N個の各操作パネルには、例えば、(1,1),(1,2)・・・(3,3)等の照明識別子が表出(例えば、表示)されることは、より好適である。
【0184】
さらに、個別操作パネルは、例えば、一括増光ボタンを有することは好適である。一括増光ボタンとは、増光対象決定手段224が決定した1以上の照明1を一括的に増光するボタンである。
【0185】
なお、個別操作パネルに表示されているM×N個の照明識別子のうち、増光対象決定手段224が決定した1以上の照明1に対応する1以上の照明識別子は、例えば、太字、着色、拡大等で強調表示されても良い。後述する推薦情報は、例えば、強調表示されている1以上の照明識別子の集合であっても良い。
【0186】
ただし、強調表示の対象は、例えば、増光対象である照明1を識別する照明識別子に対応付いているオブジェクトでも良い。特に、例えば、第二目印222A、または第二目印222Aに付随する文字列(例えば、“xH”)のうち1以上が、強調表示されることは好適である。
【0187】
図9は、調光装置2Cのブロック図である。調光装置2Cは、格納部21C、支援部22C、受付部23、および調光部24Cを備える。格納部21Cは、照明情報格納部211、および配置情報格納部212を備える。支援部22Cは、検知手段223、増光対象決定手段224、および出力手段227を備える。調光部24Cは、増光部241Cを備える。
【0188】
照明システムCを構成する上記要素群のうち、配置情報格納部212と増光対象決定手段224以外の要素は、基本的に、実施の形態1またはその変形例における、対応する要素と同様の動作を行う。以下では、実施の形態1等に対する相違点のみ詳しく説明し、共通する事項の説明は省略または簡略化する。
【0189】
格納部21Cには、例えば、前述した第一対応情報に加えて、画面構成情報がさらに格納される。画面構成情報とは、個別操作パネルを含む画面を構成するための情報である。画面構成情報は、例えば、1または2以上の画像、1または2以上の文字列、およびレイアウト情報などを含む。画像とは、例えば、つまみや各種の目印の画像データである。文字列とは、照明識別子等の文字データである。なお、以下では、画像や文字列といった、画面を構成する要素を、オブジェクトと記す場合がある。
【0190】
レイアウト情報とは、1または2以上のオブジェクトの画面内における配置に関する情報である。レイアウト情報は、例えば、オブジェクトを識別するオブジェクト識別子(例えば、ID等)と座標との対の集合であるが、その構造は問わない。
【0191】
配置情報格納部212には、前述した配置情報が格納される。
【0192】
増光対象決定手段224は、検知手段223が、2以上の照明1のうち、一の照明1が機能していないことを検知した場合に、配置情報格納部212に格納されている配置情報を用いて、増光部241Cによる増光の対象となる1以上の照明1を決定し、当該決定した1以上の照明1に対応する1以上の照明識別子を取得する。
【0193】
増光の対象となる照明1の数は、例えば、予め決められた定数でも良いし、機能していない照明1の数に応じた数でも良い。前者の場合、例えば、格納部21Cに、増光対象数が格納される。増光対象数とは、増光の対象となる照明1の数を示す定数である。増光対象数は、例えば、“4”や“8”等であるが、1以上の整数であれば、その数値は問わない。
【0194】
例えば、格納部21Cに、増光対象数“4”が格納されており、増光対象決定手段224は、一の照明1が機能していないことが検知された場合に、2以上の照明情報および配置情報を用いて、増光の対象となる4個の照明1を決定しても良い。
【0195】
後者の場合、例えば、格納部21Cに、増光対象数決定情報が格納される。増光対象数決定情報とは、増光の対象となる照明1の数を決定するための情報である。増光対象数決定情報は、例えば、非機能数と増光対象数との対の集合であるが、非機能数をパラメータとする減少関数でも良く、その形式は問わない。非機能数とは、機能していない照明1の数である。
【0196】
減少関数は、例えば、増光対象数をs、非機能数をtとして、“s=n-t”(ただし、nは、定数であり、2以上の整数:例えば、n=9など)であっても良い。定数nは、例えば、一の部屋に配置された照明1の総数である。この場合の増光対象は、一の部屋に配置されているn個の照明1のうち、機能していないt個の照明1を除いた残り全ての照明1となる。
【0197】
ただし、定数nは、一の部屋に配置された照明1の総数Nよりも小さい2以上の整数でも良い。この場合の増光対象は、一の部屋に配置されているN個の照明1(ただし、N>n≧2)のうち、機能していないt個の照明1の周辺のn個の照明1となる。
【0198】
例えば、格納部21Cに、増光対象決定情報“s=9-t”が格納されており、増光対象決定手段224は、一の照明1が機能していないことが検知された場合に、例えば、増光対象数s=9-1=8を決定しても良い。その後、さらに、別の一の照明1が機能していないことが検知された場合に、例えば、増光対象数s=9-2=7を決定しても良い。
【0199】
次に、増光対象決定手段224は、配置情報を用いて、機能していない一の照明1から、1以上の各他の照明1までの距離を算出し、当該一の照明1を識別する照明識別子と組になる距離情報を取得する。
【0200】
距離情報とは、一の照明1から、1以上の各他の照明1までの距離に関する情報である。距離情報は、例えば、照明識別子と距離との対の集合である。距離は、一の照明1からの絶対的な距離に限らす、一の照明1に対する相対的な距離でも良い。相対的な距離とは、一の照明1に対する遠近を区別可能な距離である。相対的な距離は、例えば、一の照明1が存在する領域と、当該他の領域が存在する領域との間の距離でも良い。かかる領域間の距離は、例えば、領域識別子(m,n)を座標(m,n)とみなして計算される2点間の距離でも良い。
【0201】
次に、増光対象決定手段224は、上記取得した距離情報を用いて、上記機能していない一の照明1からの距離が短い順に、上記像光対象数に等しい数の他の照明1を決定する。
【0202】
例えば、一の部屋に3×3=9個の照明1が設置されており(n=9,M=3,N=3)、そのうち一の照明1が機能しなくなった場合を考える。本例では、照明識別子として領域識別子を用い、9個の照明1を、領域識別子(m,n)を用いて、照明(1,1)、照明(1,2)、照明(1,3)、照明(2,1)・・・照明(3,3)のように記す。格納部21Cには、例えば、像光対象数“4”が予め格納されている。
【0203】
いま、検知手段223が、一の照明(2,2)が機能していないことを検知したとする。増光対象決定手段224は、格納部21Cから像光対象数“4”を取得する。また、増光対象決定手段224は、照明識別子“(2,2)”と対になる距離情報を取得する。取得される距離情報は、例えば、領域間の距離であっても良い。
【0204】
増光対象決定手段224は、取得した増光対象数“4”と、取得した上記距離情報とを用いて、最短距離である4つの他の照明(2,1),(1,2),(3,2),および(2,3)を増光対象に決定する。そして、増光対象決定手段224は、当該決定した4つの他の照明に対応する4つの照明識別子(例えば、(2,1),(1,2),(3,2),および(2,3))を取得する。
【0205】
なお、最短距離である他の照明の数(最短距離照明数)が増光対象数に満たない場合、増光対象決定手段224は、例えば、増光対象数と最短距離照明数との差分を取得し、最短距離よりも長い距離である1以上の他の照明の中で、距離が最も短い物から順に、当該取得した差分に等しい数の他の照明を、増光対象に決定しても良い。
【0206】
なお、格納部21Cに、例えば、増光対象数決定情報“s=9-t”が格納されており、9個の照明のうちいずれか1つの一の照明(例えば、照明(2,2)が機能していないことが検知された場合、増光対象決定手段224は、増光対象数決定情報“s=9-t”にt=1を代入し、増光対象数“8”を決定する。そして、増光対象決定手段224は、当該一の照明を除く8個の他の照明の全部を増光対象に決定し、当該決定した8個の照明に対応する8個の照明識別子(例えば、(1,1),(2,1),(3,1),(1,2),(3,2),(1,3),(2,3),および(3,3))を取得しても良い。
【0207】
出力手段227は、各種の情報を出力する。各種の情報とは、例えば、推薦情報である。推薦情報とは、照明1の増光を推薦する情報である。推薦情報は、通常、増光対象決定手段224が取得した1以上の照明識別子を含む。ただし、例えば、機能していない一の照明1を除く1以上の他の全ての照明1に対応する1以上の照明識別子が取得された場合、推薦情報は、当該1以上の照明識別子を含まなくても良い。
【0208】
出力手段227は、推薦情報等の情報を、通常、ディスプレイに表示する。ただし、出力手段227の出力は、スピーカからの音出力でも良く、その態様は問わない。
【0209】
受付部23は、各種の情報を受け付ける。各種の情報とは、例えば、増光指示である。増光指示とは、照明1の増光の指示である。増光指示は、例えば、推薦情報に含まれている1以上の照明識別子に対応する1以上の照明識別子を含んでいても良い。
【0210】
または、増光指示は、一括増光指示でも良い。一括増光指示とは、推薦情報に含まれている1以上の照明識別子に対応する1以上の照明1を一括的に増光する指示である。一括増光指示は、通常、1以上の照明識別子を含んでいないが、含んでいても良い。例えば、個別操作パネルの一括増光ボタン(図8参照)が押下されたことに応じて、受付部23は、一括増光指示を受け付ける。
【0211】
増光指示に含まれる1以上の照明識別子の少なくとも一部は、推薦情報に含まれている1以上の照明識別子と異なっていても良い。受付部23は、推薦情報に含まれている1以上のいずれの照明識別子とも異なる照明識別子を受け付けても良い。
【0212】
受付部23は、通常、出力手段227による推薦情報の出力に応じて、増光指示を受け付ける。ただし、増光指示は、推薦情報の出力とは無関係に受け付けられても良く、その受け付けのタイミングは問わない。なお、受付部23は、例えば、通常最大明るさ情報または非通常最大明るさ情報のうち1以上の情報を照明識別子と対に受け付け、当該受け付けた1以上の情報を、当該照明識別子に対応付けて照明情報格納部211に蓄積してもよい。
【0213】
受付部23の受け付けは、例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力デバイスから入力された情報の受け付けであるが、有線もしくは無線の通信回線を介して送信された情報の受信、ディスクや半導体メモリなどの記録媒体から読み出された情報の受け付けなどでも良く、受け付けの態様は問わない。
【0214】
増光部241Cは、受付部23が増光指示を受け付けた場合に、照明1の増光を行う。増光の対象は、通常、増光対象決定手段224が決定した1以上の照明1である。ただし、推薦情報に含まれている1以上のいずれの照明識別子とも異なる照明識別子を含む増光指示が受け付けられた場合、増光部241Cは、当該受け付けられ得た増光指示に含まれる1以上の照明識別子に対応する1以上の照明1を対象として、増光を行っても良い。
【0215】
次に、照明システムCの動作について図10のフローチャートを用いて説明する。図10は、調光装置2Cの動作を説明するフローチャートである。
【0216】
(ステップS1001)支援部22Cは、変数(i,j)に初期値(1,1)をセットする。変数(i,j)とは、M×N個の照明識別子のうち未選択のものを順番に選択していくための変数である。
【0217】
(ステップS1002)支援部22Cは、“i≦M”であるか否かを判別する。“i≦M”である場合はステップS1003に進み、“i≦M”でない場合はステップS1001に戻る。
【0218】
(ステップS1003)支援部22Cは、“j≦N”であるか否かを判別する。“j≦N”である場合はステップS1004に進み、“j≦N”でない場合はステップS1014に進む。
【0219】
(ステップS1004)支援部22Cは、検知手段223が照明(i,j)が機能していないことを検知したか否かを判断する。検知手段223が照明(i,j)が機能していないことを検知した場合はステップS1005に進み、検知していない場合はステップS1009に進む。
【0220】
(ステップS1005)増光対象決定手段224は、増光の対象となる1以上の照明を決定し、当該決定した1以上の照明に対応する1以上の照明識別子を取得する。
【0221】
(ステップS1006)出力手段227は、ステップS1005で取得された1以上の照明識別子を含む推薦情報を出力する。推薦情報を出力することは、例えば、個別操作パネルに表示されているM×N個の照明識別子のうち、取得された1以上の照明識別子を強調表示することでも良い。
【0222】
(ステップS1007)増光部241Cは、受付部23が一括増光指示を受け付けたか否かを判別する。受付部23が一括増光指示を受け付けた場合はステップS1008に進み、受け付けていない場合はステップS1013に進む。
【0223】
(ステップS1008)増光部241Cは、ステップS1005で増光対象に決定された1以上の照明1を非通常最大明るさに一括増光する。処理は終了する。
【0224】
(ステップS1009)調光部24Cは、照明(i,j)に対応する操作パネルの操作位置x(i,j)に関し、“基準位置<x(i,j)≦第一目印位置”であるか否かを判断する。“基準位置<x(i,j)≦第一目印位置”である場合はステップS1010に進み、“基準位置<x(i,j)≦第一目印位置”でない場合はステップS1011に進む。
【0225】
(ステップS1010)調光部24Cは、照明(i,j)の明るさを、通常最大明るさ以下の明るさであり、操作位置(i,j)に応じた明るさにする。ステップS1013に進む。
【0226】
(ステップS1011)増光部241Cは、“x(i,j)=第二目印位置”であるか否かを判断する。“x(i,j)=第二目印位置”である場合はステップS1012に進み、“x(i,j)=第二目印位置”でない場合はステップS1013に進む。
【0227】
(ステップS1012)増光部241Cは、照明(i,j)の明るさを、非通常最大明るさにする。
【0228】
(ステップS1013)支援部22Cは、変数(i,j)を構成する“j”をインクリメントする。ステップS1003に戻る。
【0229】
(ステップS1014)支援部22Cは、変数(i,j)を構成する“i”をインクリメントする。ステップS1002に戻る。
【0230】
以下、本実施の形態における照明システムCの具体的な動作例について説明する。照明システムCの概念図は図1である。
【0231】
現在、個別操作パネルを構成する3×3個の操作パネルの各々の操作位置は、第一目印221Aに対応する位置(第一目印位置)にある。一の室内に設置された9個の照明(1,1)~(3,3)は、各々通常最大明るさLで発光しており、全体での明るさは、L×9である。
【0232】
このとき、一の照明(2,2)が機能しなくなり、その明るさがLから0になったとする。これに伴い、全体での明るさは、L×9からL×8に低下する。調光装置2Cを構成する検知手段223が、一の照明(2,2)が機能しなくなったことを検知し、増光対象決定手段224は、増光対象を決定する。
【0233】
本例では、格納部21Cに、増光対象数“4”が格納されており、増光対象決定手段224は、一の照明(2,2)からの距離が最も近い4つの照明(1,2),(2,1),(2,3),および(3,2)を増光対象に決定する。そして、増光対象決定手段224は、当該決定した4つの照明に対応する4つの照明識別子“(1,2)”,“(2,1)”,“(2,3)”,および“(3,2)”を取得する。
【0234】
出力手段227は、上記取得された4つの照明識別子を含む推薦情報を出力する。これによって、例えば、図8に示したように、個別操作パネルのディスプレイに表示されている9個の聡明識別子のうち、当該4つの照明識別子“(1,2)”,“(2,1)”,“(2,3)”,および“(3,2)”が強調表示される。
【0235】
ユーザは、個別操作パネル上で、増光対象となる4つの照明1を視覚的に認知し、一括増光ボタンを押下する。調光装置2Cにおいて、受付部23が一括増光指示を受け付け、増光部241Cは、4つの照明(1,2),(2,1),(2,3),および(3,2)の明るさを一括増光する。
【0236】
なお、他の照明1を増光した場合、ユーザは、個別操作パネルを構成する3×3個の操作パネルのうち、当該他の照明1に対応する操作パネルの操作位置を、第二目印位置に移動させれば良い。
【0237】
以上、本実施の形態によれば、一室内の2以上の照明1のうち一の照明1が機能しなくなった場合でも、1以上の他の照明1の明るさを、通常最大明るさを超える明るさに増光することにより、全体での明るさの維持可能となる。
【0238】
また、明るさを上げるべき1以上の照明1を決定し、推薦することにより、ユーザによる的確な増光指示を支援できる。
【0239】
なお、本実施の形態における調光装置2Cを実現するソフトウェアは、例えば、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、一の部屋に設置された2以上の照明1と、前記2以上の各照明1の明るさを調節する調光装置2Cとを具備する照明システムCを構成する調光装置2Cのコンピュータを、前記2以上の照明1のうち、一の照明1が機能しなくなった場合に、前記一の照明1の周辺に配置されている1以上の他の照明1の明るさを上げる支援部22Cと、前記1以上の他の照明1の明るさを上げる増光部241Cとして機能させるためのプログラムである。
【0240】
(実施の形態4)
本実施の形態における照明システムDの概念図は、調光装置2Aに代えて調光装置2Dを具備する点を除き、図1と同様である。照明システムDは、2以上の照明1、および調光装置2Dを備える。調光装置2Dは、例えば、ディスプレイまたは警告ランプまたはスピーカ等の出力デバイスを有する。
【0241】
図11は、本実施の形態における調光装置2Dのブロック図である。調光装置2Dは、格納部21D、支援部22D、および調光部24Dを備える。格納部21Dは、照明情報格納部211、配置情報格納部212、および減少量格納部213を備える。支援部22Dは、検知手段223、増光対象決定手段224、制御手段225、減少量取得手段226a、合計減少量取得手段226b、合計差分取得手段226c、エラー情報取得手段226d、および出力手段227を備える。調光部24Dは、増光部241Dを備える。
【0242】
制御手段225は、増光対象決定手段224が取得した1以上の照明識別子で識別される1以上の他の照明1の明るさを上げることを、増光部241Dに指示する。
【0243】
制御手段225は、例えば、増光対象決定手段224が取得した1以上の照明識別子を含む増光指示を、増光部241Dに引きしても良い。
【0244】
増光部241Dは、制御手段225の指示に応じて、増光対象決定手段224が決定した増光対象に対し増光を行う。
【0245】
増光部241Dは、例えば、制御手段225から引き渡された増光指示に応じて、当該増光指示に含まれる1以上の照明識別子に対応する1以上の他の照明1の明るさを、通常最大明るさを超える明るさに増光する。
【0246】
その他の要素は、実施の形態1または変形例1または変形例2、または実施の形態2、または実施の形態3における、対応する要素と同様の動作を行う。
【0247】
次に、照明システムDの動作について図12のフローチャートを用いて説明する。図12は、調光装置2Dの動作を説明するフローチャートである。
【0248】
(ステップS1201)支援部22Dは、変数(i,j)に初期値(1,1)をセットする。
【0249】
(ステップS1202)支援部22Dは、“i≦M”であるか否かを判別する。“i≦M”である場合はステップS1203に進み、“i≦M”でない場合はステップS1201に戻る。
【0250】
(ステップS1203)支援部22Dは、“j≦N”であるか否かを判別する。“j≦N”である場合はステップS1204に進み、“j≦N”でない場合はステップS1216に進む。
【0251】
(ステップS1204)支援部22Dは、検知手段223が照明(i,j)が機能していないことを新規に検知したか否かを判断する。検知手段223が、照明(i,j)が機能していないことを新規に検知した場合はステップS1205に進み、新規に検知していない(つまり、未検知であるか、または再検知である)場合はステップS1009に進む。
【0252】
(ステップS1205)減少量取得手段226aは、照明(i,j)が機能していないことによる明るさの減少量を取得する。
【0253】
(ステップS1206)減少量取得手段226aは、ステップS1205で取得した減少量を減少量格納部213に蓄積する。
【0254】
(ステップS1207)合計減少量取得手段226bは、減少量格納部213に格納されている1以上の減少量を合計し、合計減少量を取得する。
【0255】
(ステップS1208)合計差分取得手段226cは、他の1以上の照明ごとに、明るさ情報と非通常最大明るさ情報との差分を取得し、当該取得した1以上の差分を合計し、合計差分を取得する。
【0256】
(ステップS1209)エラー情報取得手段226dは、ステップS1207で取得された合計減少量と、ステップS1208で取得された合計差分に関し、“合計減少量>合計差分”であるか否かを判断する。“合計減少量>合計差分”でない場合はステップS1210に進み、“合計減少量>合計差分”である場合はステップS1212に進む。
【0257】
(ステップS1210)増光対象決定手段224は、増光の対象となる1以上の照明を決定し、当該決定した1以上の照明1に対応する1以上の照明識別子を取得する。
【0258】
(ステップS1211)制御手段225は、ステップS1210で取得された1以上の照明識別子を含む増光指示を、増光部241Dに引き渡す。
【0259】
(ステップS1212)増光部241Dは、引き渡された増光指示に含まれる1以上の照明識別子に対応する1以上の他の照明1の明るさを、通常最大明るさを超える明るさに増光する。ステップS2015に進む。
【0260】
(ステップS1213)エラー情報取得手段226dは、全体での明るさの維持が困難になった旨のエラー情報を取得する。
【0261】
(ステップS1214)出力手段227は、ステップS1213で取得されたエラー情報を出力する。これにより、例えば、調光装置2Dの警告ランプが点灯する。
【0262】
(ステップS1215)支援部22Dは、変数(i,j)を構成する“j”をインクリメントする。ステップS1203に戻る。
【0263】
(ステップS1216)支援部22Dは、変数(i,j)を構成する“i”をインクリメントする。ステップS1002に戻る。
【0264】
なお、図12のフローチャートにおいて、調光装置2Dの電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0265】
なお、調光装置2Dは、図11に示した構成要素群のうち、減少量格納部213、減少量取得手段226a、合計減少量取得手段226b、合計差分取得手段226c、エラー情報取得手段226d、および出力手段227を備えていなくても良い。その場合、図12のフローチャートにおいて、7つのステップS1205~S1209,S1213,およびS1214は削除され、ステップS1204でYESの場合は、ステップS1210に進むように変更される。
【0266】
以下、本実施の形態における照明システムDの具体的な動作例について説明する。照明システムDの概念図は図1である。
【0267】
調光装置2Dを構成する格納部21Dには、非通常最大明るさ“L×(9/7)”が格納されている。
【0268】
現在、一の室内に設置された9個の照明(1,1)~(3,3)は、各々通常最大明るさLで発光しており、全体での明るさは、L×9である。このとき、一の照明(2,2)が機能しなくなり、その明るさがLから0になったとする。これに伴い、全体での明るさは、L×9からL×8に低下する。
【0269】
調光装置2Dを構成する検知手段223が、一の照明(2,2)が機能しなくなったことを検知し、減少量取得手段226aは、減少量“L”を減少量格納部213に蓄積する。合計減少量取得手段226bは、合計減少量“L”を取得する。合計差分取得手段226cは、{L×(9/7)-L)}×7=L×2を取得する。エラー情報取得手段226dは、合計差分“L×2”が合計減少量“L”以上であることから、エラー情報の取得を行わない。従って、現時点で、調光装置2Dの警告ランプは点灯しない。
【0270】
増光対象決定手段224は、増光対象を決定する。本例では、格納部21Dに、増光対象数決定情報“s=9-t”が格納されており、増光対象決定手段224は、一の照明(2,2)が機能しなくなったことに応じて、光対象数決定情報“s=9-t”にt=1を代入し、増光対象数“8”を取得する。増光対象決定手段224は、9個の照明(1,1)~(3,3)のうち、当該一の照明(2,2)を除く8個の他の照明を増光対象に決定する。増光部241Dは、当該8つの照明(1,1)~(2,1),(2,3)~(3,2)の明るさを、L×(9/8)に増光する。これにより、全体での明るさは、L×(9/8)×8=L×9に回復する。
【0271】
その後、他の一の照明(2,3)が機能しなくなり、その明るさがL×(9/8)から0になったとする。これに伴い、全体での明るさは、L×9からL×7に低下する。
【0272】
調光装置2Dを構成する検知手段223が、他の一の照明(2,3)が機能しなくなったことを検知し、減少量取得手段226aは、減少量“L”を減少量格納部213に蓄積する。合計減少量取得手段226bは、合計減少量“2L”を取得する。合計差分取得手段226cは、{L×(9/7)-L×(9/8)}×7=L×(9/8)を取得する。
【0273】
エラー情報取得手段226dは、合計差分“L×(9/8)”合計減少量“2L”に満たないことから、エラー情報を取得し、出力手段227は、当該取得されたエラー情報を出力する。これにより、例えば、調光装置2Dの警告ランプが点灯する。ユーザは、全体での明るさの維持が困難になったことを認知し、機能していない2つの照明(2,2)および(2,3)の交換を行う。
【0274】
以上、本実施の形態によれば、一室内の2以上の照明1のうち一の照明1が機能しなくなった場合でも、1以上の他の照明1の明るさを、通常最大明るさを超える明るさに増光することにより、全体での明るさの維持可能となる。
【0275】
また、一の照明1が機能しなくなったことを検知し、他の1以上の照明1の明るさを上げる動作を自動的に行える。
【0276】
また、全体での明るさの位置が困難となった場合は、エラー情報を出力することにより、機能していない1以上の照明1の交換をユーザに促すことができる。
【0277】
なお、本実施の形態における調光装置2Dを実現するソフトウェアは、例えば、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、一の部屋に設置された2以上の照明1と、前記2以上の各照明1の明るさを調節する調光装置2Dとを具備する照明システムDを構成する調光装置2Dのコンピュータを、前記2以上の照明1のうち、一の照明1が機能しなくなった場合に、前記一の照明1の周辺に配置されている1以上の他の照明1の明るさを上げる支援部22Dと、前記1以上の他の照明1の明るさを上げる増光部241Dとして機能させるためのプログラムである。
【0278】
図13は、各実施の形態におけるプログラムを実行して、調光装置2A~2Dを実現するコンピュータシステム900の内部構成の一例を示す図である。図13において、コンピュータシステム900は、プログラムを実行するコンピュータであるMPU911と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、およびデータを記憶するストレージ914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915と、外部ネットワークや内部ネットワーク等のネットワークへの接続を提供するネットワークカード916と、メモリカードスロット917と、ディスプレイ918と、ディスプレイ918の表示面に設けられたタッチパネル919とを備える。ストレージ914は、例えば、フラッシュメモリなどである。なお、コンピュータシステム900全体をコンピュータと呼んでも良い。
【0279】
コンピュータシステム900に、調光装置2A~2Dの機能を実行させるプログラムは、例えば、メモリカード920に記憶されて、メモリカードスロット917に挿入され、ストレージ914に転送されても良い。これに代えて、そのプログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム900に送信され、ストレージ914に記憶されても良い。プログラムは、実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、メモリカード920、またはネットワークから直接、ロードされても良い。
【0280】
プログラムは、コンピュータシステム900に、調光装置2A~2Dの機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくても良い。プログラムは、制御された態様で適切な機能やモジュールを呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいても良い。コンピュータシステム900がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
【0281】
ただし、以上は例示であり、調光装置2A~2Dを実現するコンピュータのハードウェア構成は問わない。
【0282】
なお、上記プログラムにおいて、情報を送信する送信ステップや、情報を受信する受信ステップなどでは、ハードウェアによって行われる処理、例えば、送信ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理(ハードウェアでしか行われない処理)は含まれない。
【0283】
また、上記プログラムを実行するコンピュータは、単数であっても良く、複数であっても良い。すなわち、集中処理を行っても良く、あるいは分散処理を行っても良い。
【0284】
また、上記各実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されても良く、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されても良い。
【0285】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0286】
以上のように、本発明にかかる調光装置は、一の部屋に設置されている2以上の照明の一部が機能しなくなった場合でも、全体での明るさを維持できるため、機能していない照明の交換の手間が軽減されるという効果を有し、調光装置等として有用である。
【符号の説明】
【0287】
1 照明
2A~2D 調光装置
21A~21D 格納部
22A~22D 支援部
23 受付部
24A~24D 調光部
211 照明情報格納部
212 配置情報格納部
213 減少量格納部
221A 第一目印
221B 目印
222A 第二目印
222a 移動機構
222b 抵抗機構
223 検知手段
224 増光対象決定手段
225 制御手段
226a 減少量取得手段
226b 合計減少量取得手段
226c 合計差分取得手段
226d エラー情報取得手段
227 出力手段
241A~241D 増光部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13