(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】顎支持装置
(51)【国際特許分類】
A61C 19/00 20060101AFI20240507BHJP
A61G 15/12 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
A61C19/00 H
A61C19/00 E
A61G15/12
(21)【出願番号】P 2020572519
(86)(22)【出願日】2019-06-28
(86)【国際出願番号】 US2019039930
(87)【国際公開番号】W WO2020006480
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-04-27
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515041125
【氏名又は名称】ザ レストフル ジョー カンパニー、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】シフマン、エリック
(72)【発明者】
【氏名】ハイソフ、アナ
(72)【発明者】
【氏名】ポングラッツ、トロイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェストン、マイケル
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-264007(JP,A)
【文献】米国特許第06419321(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0202638(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0253150(US,A1)
【文献】実開昭47-011188(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/0231105(US,A1)
【文献】国際公開第2016/036997(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0124748(US,A1)
【文献】米国特許第07730563(US,B1)
【文献】国際公開第01/49223(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 1/00-5/00;5/40-5/68;5/90-7/36;19/00-19/10;A61G15/14-15/18
A61B 90/14
A61G 13/12;15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顎支持装置であって、
歯科用椅子のヘッドレストに取り付けるように構造化および構成されたヘッドレストマウントアセンブリと、
第1のロック機構
、分割球体ボールを収容する分割球体ハウジング、およびアーム延長部を備える分割球体アセンブリであって、前記ヘッドレストマウントアセンブリに
前記分割球体ハウジングが
直接的に取り付けられ、
第2のロック機構
、およびボールジョイントボールを収容するボールジョイントハウジングを備えるボールジョイントアセンブリであって、前記分割球体アセンブリに接続するボールジョイントアセンブリと、
前記ボールジョイントアセンブリに取り付けるように構造化構成された顎レストアセンブリと、を備え
、
前記分割球体ハウジングは、前記ヘッドレストマウントアセンブリへの取付位置で水平配置および垂直配置の間において回転可能であり、
前記垂直配置では、前記アーム延長部は垂直に直立し、格納するために前記分割球体ハウジングを通って下向きにスライドすることができ、
前記アーム延長部は、中空チューブアームであって、前記中空チューブアームの空洞内に配線を有し、
前記配線は、一方の端部で前記分割球体アセンブリのボールジョイント電気接続部に接続し、他方の端部で前記ボールジョイントハウジングに接続する、ことを特徴とする顎支持装置。
【請求項2】
前記分割球体ボール
が、2つの別々の半分どうしからなり、
前記分割球体ハウジングが、前記分割球体ボールを完全に収容し、
前記第1のロック機構が、前記アーム延長部を所定の位置にロックするように構造化および構成されており、
前記ボールジョイントアセンブリが、前記アーム延長部を介して前記分割球体アセンブリに接続し、
前記第2のロック機構が、前記顎レストアセンブリを所定の位置にロックするように構造化および構成されて
おり、
前記第1ロック機構および前記第2ロック機構は、単一の作動手段を用いて同時にアクティブ化および非アクティブ化される、ことを特徴とする請求項1に記載の顎支持装置。
【請求項3】
前記分割球体ボール
の前記2つの別々の半分どうしは上半分および下半分
であり、
前記上半分および前記下半分が、それぞれ、ドーム型であり、
前記分割球体ボールがその中心を通る円筒形開口を有し、
前記アーム延長部が、前記円筒形開口内に収まる、
ことを特徴とする請求項2に記載の顎支持装置。
【請求項4】
前記分割球体ハウジングは円筒形であり、開口がない平坦で頑丈な上面および底面、ならびに湾曲部分をもち、
前記分割球体ハウジングが
、前記湾曲部分の前面部分に前部開口
と、
前記湾曲部分の背面部分に後部開口
とを有し、
前記分割球体ボールの前記円筒形開口が、
前記分割球体ハウジングの前記前部開口および前記後部開口と位置合わせ
し、
前記アーム延長部は、前記分割球体ハウジングの前記前部開口および前記後部開口の外に伸長し、
前記第1ロック機構の作動によって、前記分割球体ボールの前記上半分と前記下半分を前記アーム延長部にクランプダウンして所定の位置にロックし、
前記分割球体ハウジングの垂直配置において、前記歯科用椅子のヘッドレストに対して、前記前部開口は上向きに対面し、前記後部開口は下向きに対面する、ことを特徴とする請求項3に記載の顎支持装置。
【請求項5】
分割球体ピストンが前記分割球体ハウジング内の前記分割球体ボールの下方に配置されており、
分割球体空気空洞が前記分割球体ハウジング内の前記分割球体ピストンの下方に配置され、
前記第1のロック機構の作動
によって、
前記分割球体ボールの前記下半分の底部に対して前記分割球体ピストンを押し上げ、前記分割球体ボールの前記上半分に向かって動かし、前記分割球体ボールの前記上半分および前記下半分を前記アーム延長部にクランプダウンさせ、それを所定の位置にロックさせる、
ことを特徴とする請求項3に記載の顎支持装置。
【請求項6】
前記ボールジョイントボールが、ボールジョイントロッドを含み、
前記ボールジョイントハウジングは、円筒形であって、前記ジョイントボールの前記ボールジョイントロッドが開口を通って突出する前記開口をもつ内面と、湾曲した外面と、前記湾曲した外面の一部から突出するチューブアームコネクタとを有し、
前記アーム延長部は、前記ボールジョイントハウジングの前記チューブアームコネクタに接続し、
前記顎レストアセンブリは、頑丈な本体をもつ顎レストと、顎レストコネクタと、前記頑丈な本体の少なくとも片側を覆うパッド付き表面とから構成され、
前記ボールジョイントロッドは、前記顎レストアセンブリの顎レストコネクタに接続し、
前記第2のロック機構の作動
によって、前記ボールジョイントボールを所定の位置にロックさせ
、次に前記顎レストアセンブリを所定の位置にロックさせる、
ことを特徴とする請求項
5に記載の顎支持装置。
【請求項7】
ボールジョイントピストンが、前記ボールジョイントハウジング内の前記ボールジョイントボールの下方に配置されている、請求項6に記載の顎支持装置。
【請求項8】
前記顎レストアセンブリが、顎レストを含み、前記顎レストが、
前記顎レストを前記ボールジョイントアセンブリに接続する第1の端部を有する顎レス
トコネクタと、
前記顎レストコネクタの第2の端部に接続する本体と、
前記本体の少なくとも片側を覆うパッド付き表面と、を有する、請求項
1に記載の顎支持装置。
【請求項9】
前記第1のロック機構および前記第2のロック機構が、空気圧式空気ロック機構である、請求項
1に記載の顎支持装置。
【請求項10】
前記第1のロック機構および前記第2のロック機構が、磁気式ロック機構である、請求項
1に記載の顎支持装置。
【請求項11】
前記第1のロック機構および前記第2のロック機構が、電気式ロック機構である、請求項
1に記載の顎支持装置。
【請求項12】
さらに、
第2の分割球体アセンブリであって、
2つの別々の半分どうしからなる第2の分割球体ボールと、
前記第2の分割球体ボールを完全に収容する第2の分割球体ハウジング
と、
第2のアーム延長部と、
前記第2のアーム延長部を所定の位置にロックするように構造化および構成された第3のロック機構と、を備え、
前記第2の分割球体
ハウジングが、前記ヘッドレストマウントアセンブリに
直接取り付けられる、前記第2の分割球体アセンブリと、
第2のボールジョイントアセンブリであって、
第2のボールジョイントハウジング内の第2のボールジョイントボールと、
第4のロック機構と、を備え、
前記第2のボールジョイントアセンブリが、前記第2のアーム延長部に接続する、第2のボールジョイントアセンブリと、
前記第2のボールジョイントアセンブリに取り付けるように構造化構成された第2の顎レストアセンブリであって、前記第4のロック機構が、前記第2の顎レストアセンブリを所定の位置にロックするように構造化および構成されている、第2の顎レストアセンブリと、を備え
、
前記第3のロック機構および前記第4のロック機構は、単一の作動手段を用いて同時にアクティブ化および非アクティブ化される、ことを特徴とする請求項
1に記載の顎支持装置。
【請求項13】
前記ヘッドレストマウントアセンブリが、第1の端部および第2の端部を有し、
前記分割球体
ハウジングが、前記ヘッドレストマウントアセンブリの前記第1の端部に取り付けられ、
前記第2の分割球体
ハウジングが、前記ヘッドレストマウントアセンブリの前記第2の端部に取り付けられ
、
前記第1,第2、第3および第4のロック機構は、前記単一の作動手段を用いて同時にアクティブ化および非アクティブ化される、ことを特徴とする請求項
12に記載の顎支持装置。
【請求項14】
顎支持装置であって、
歯科用椅子のヘッドレストに取り付けるように構造化および構成されたヘッドレストマウントアセンブリと、
分割球体アセンブリであって、
分割球体ハウジング内
に完全に収容される分割球体ボールであって、上半分および下半分を有する分割球体ボールと、
前記分割球体ボールの前記上半分と前記下半分との間に配置されたアーム延長部と、
前記分割球体ボールの前記上半分および前記下半分内に前記アーム延長部をロックするように構造化および構成された第1のロック機構と、を備え、
前記分割球体
ハウジングが、前記ヘッドレストマウントアセンブリに
直接的に取り付けられる、分割球体アセンブリと、
ボールジョイントアセンブリであって、
ボールジョイントハウジング内のボールジョイントボールと、
第2のロック機構と、を備え、
前記ボールジョイントアセンブリが、前記アーム延長部を介して前記分割球体アセンブリに接続する、ボールジョイントアセンブリと、
前記ボールジョイントアセンブリに取り付けるように構造化
および構成された顎レストアセンブリであって、前記第2のロック機構が、前記顎レストアセンブリを所定の位置にロックするように構造化および構成された、顎レストアセンブリと、を備え
、
前記第1のロック機構および前記第2のロック機構は、単一の作動手段を用いて、同時にアクティブ化および非アクティブ化され、
前記分割球体ハウジングは、その取付位置で水平配置および垂直配置の間において、前記ヘッドレストマウントアセンブリに対して回転可能であり、
前記垂直配置において、前記アーム延長部は垂直に直立し、格納するために前記分割球体ハウジングを通って下向きにスライドすることができる、ことを特徴とする顎支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示された発明は、歯科処置中に患者の顎を支持するために使用される医療装置に関する。より具体的には、装置は、下向きの力が怪我のリスクを生み出し、患者が受けている処置に逆効果である状況で、患者の顎を安定させることができる。
【背景技術】
【0002】
顎関節症(TMD)の個人は、顎関節(TMJ)と顎の筋肉内およびその周辺の痛み、頭痛、口の開閉の制限、TMJノイズ、および耳と首の痛みを含む他の多くの症状を含む様々な症状に苦しんでいる。TMDにはいくつかの仮説的な原因があるが、TMDの人々の歯科治療は、既に経験している顎の痛みと、患者が顎を休める時間を与えるために、歯科医が処置中に患者に提供する必要がある余分な時間のために困難な可能性がある。
【0003】
さらに、歯科治療中の顎への過度の伸展または大きな力は、TMDの主な原因であり、TMDの症状は、補償のない術後ケアをもたらす。現在、人口の約5から12%がTMDまたはTMDのような症状に苦しんでいる。これらの人々のほとんどは、18歳から45歳までの女性である。
【0004】
TMDに苦しんでいない患者であっても、歯科治療は、口を長く開けすぎたり、広げすぎたり、顎に下向きの力をかけすぎたりすると、顎の痛み、不快感および倦怠感を引き起こす可能性がある。歯科治療中に下向きの力が患者の顎に加えられると、患者は、下向きの力に対抗するために顎の筋肉を緊張させる必要があり、この作用は、大抵の場合、顎の痛みや怪我の一因となる。さらに、患者が鎮静されている場合、患者は、下向きの力が使用されていることを知る方法がなく、下向きの力に対抗するために顎の筋肉を緊張させることができず、顎を過度に伸ばして怪我をするリスクを高める。患者の怪我は、以下の結果をもたらす可能性がある:(1)歯科医が症状のある患者を管理するための時間の損失、(2)患者の苦しみと怪我、および(3)潜在的な法医学的問題。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
歯科市場の現在の医療装置は、口を開くのを支えるために存在するが(すなわち、バイトブロック)、これらは、下向きの力が加えられたときに顎を支持しない。さらに、歯科医は、患者の顎を自分の手または助手の手で支えたり、処置時間を制限したり、患者が痛みを訴えた場合に処置を終了したり、または処置中に休憩を取ったりすることによって、患者の安全に対処しようとする。しかしながら、これらの現在の方法は、常に効果的であるとは限らず、処置を混乱させる可能性がある。したがって、下向きの力が加えられたときに顎を支え、顎の過度の伸展を防ぎ、歯科処置中の顎の痛みと倦怠感を最小限に抑え、治療時間を短縮する新たな装置が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示された顎支持装置は、患者の顎を1つの位置に保持し、歯科医が最小限の顎の動きおよびより少ない患者の休憩で複雑な歯科処置を行うための安定性を提供することができる。より具体的には、顎支持装置は、患者の顎を固定された相対位置に保持するための1つ以上の顎レストを含む。顎支持装置自体は、歯科、口腔外科、または他の医療専門家の椅子(例えば、耳鼻咽喉科)に取り付けられることができる1つ以上のアームなどの追加の機構を使用して、その固定位置において支持される。顎支持装置は、患者の顎を支持するために使用される。
【0007】
一例では、顎支持装置は、歯科用椅子のヘッドレストに取り付けるように構造化および構成されたヘッドレストマウントアセンブリと、分割球体ボールおよびアーム延長部を有する分割球体アセンブリであって、ヘッドレストマウントアセンブリに取り付けられる分割球体アセンブリと、ボールジョイントボールを有するボールジョイントアセンブリであって、アーム延長部に接続するボールジョイントアセンブリと、ボールジョイントアセンブリに取り付けるように構成された顎レストアセンブリと、を含み、分割球体ボールが、アーム延長部を所定の位置にロックするように加圧されるように構造化および構成され、ボールジョイントボールが、顎レストアセンブリを所定の位置にロックするように加圧されるように構造化および構成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、使用中の開示された顎支持装置の一実施形態の斜視背面図である。
【
図2】
図2は、使用中の開示された顎支持装置の斜視左側面図である。
【
図3】
図3は、開示された顎支持装置の分割球体アセンブリのハウジングおよび内部構成要素の分解図である。
【
図4】
図4は、開示された顎支持装置のボールジョイントアセンブリの分解図である。
【
図5】
図5は、開示された顎支持装置の一実施形態の分割球体アセンブリ、ボールジョイントアセンブリ、および顎レストアセンブリの斜視背面内面図である。
【
図6】
図6は、
図5の開示された顎支持装置の斜視正面外観図である。
【
図7】
図7は、パッド付き表面が取り付けられていない顎レストの本体を示す
図5の顎支持装置の斜視正面内面図である。
【
図8】
図8は、パッド付き表面が取り付けられた顎レストの本体を示す
図5の顎支持装置の斜視正面内面図である。
【
図11】
図11は、開示された顎支持装置の一実施形態の分割球体アセンブリ、ボールジョイントアセンブリ、および顎レストアセンブリの側面図である。
【
図15】
図15は、使用中の開示された顎支持装置の一実施形態の正面図である。
【
図16】
図16は、開示された顎支持装置の一実施形態の分割球体アセンブリ、ボールジョイントアセンブリ、および顎レストアセンブリの斜視正面図である。
【
図17】
図17は、開示された顎支持装置の一実施形態のボールジョイントアセンブリの斜視背面図である。
【
図18】
図18は、使用中の開示された顎支持装置の一実施形態の背面右斜視図である。
【
図19】
図19は、使用中の開示された顎支持装置の一実施形態の右側面図であり、顎レストの様々な位置を示している。
【
図20】
図20は、使用中の開示された顎支持装置の一実施形態の平面図である。
【
図21】
図21は、使用中の開示された顎支持装置の一実施形態の平面図であり、患者の顎を30度の角度で保持する顎支持装置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
様々なユーザインターフェースおよび実施形態が、図面を参照して詳細に説明され、同様の参照符号は、いくつかの図全体を通して、同様の部品およびアセンブリを表す。様々な実施形態への言及は、本明細書に添付される特許請求の範囲を限定するものではない。さらに、本明細書に記載されたあらゆる実施例は、限定することは意図されず、添付された特許請求の範囲の多くの可能な実施形態のうちのいくつかを単に記載するに過ぎない。状況が示唆し得るかまたは適切にされ得るように、均等物の様々な省略および置換が企図されるが、これらは、添付された特許請求の範囲の本質または範囲から逸脱することなく、適用または実施形態を網羅することが意図されることが理解される。また、本明細書で使用される表現および用語は、説明を目的とし、限定的であると見なされるべきではないことを理解されたい。
【0010】
顎支持装置は、患者の顎に取り付けられ、多くの場合には歯科専門家である訓練を受けたユーザによって取り付けられ、患者の顎の痛みを軽減し、歯科処置中および処置後の倦怠感を軽減する際に支援する。顎の動きの制限を最小限に抑え、歯科術野への侵入を最小限に抑えながら、必要な顎の支持を提供するように設計されることができる。
【0011】
顎支持装置は、顎を支持し、下向きの力が加えられたときに患者が歯科医からの圧力に積極的に抵抗することを控えることを可能にすることによって、歯科処置中の痛みおよび倦怠感を軽減することができる。これは、歯科医が、顎に痛みを与えたり、顎を過度に伸ばしたり、患者を休ませるために休憩を取ったり、顎の筋肉やTMJの痛みをケアしたりすることを心配せずに、顎に必要な量の圧力をかけることを可能にする。
【0012】
いくつかのタイプの患者は、開示された装置から以下の利益を得ることができる:(1)長い処置を受けている患者-特に下顎弓、(2)下顎の歯を含む下顎の歯列弓に大きな力がかかる任意の処置を受けている患者、(3)症候性のTMJ/TMD患者、(4)TMDの兆候を示す無症候性の患者、(5)顎の過度の伸展またはロック開放を経験する患者、(6)遅発性ジスキネジー、パーキンソン病、多発性硬化症などの運動障害のある患者、(7)および老人患者。
【0013】
装置は、いくつかの実施形態では、歯科用椅子などの椅子に取り付けられることができ、患者の顎に快適にフィットするように調整されることができる。1つ以上の顎レストとすることができる顎の支持体は、例えば、歯科処置椅子のヘッドレストまたはポストに取り付けることができるアームに取り付けられることができる。顎レストは、弾力性および柔軟性があり、患者の顎を顎レストに快適に置くことを可能にする、1つ以上のフォーム層(圧縮性フォームなど)または任意の他の適度に固いが粘弾性のある材料から作製されたパッドを含むことができる。顎レストは、顎を適切に支持することを確実にするように調整可能とすることができる。いくつかの実施形態では、それは、全ての方向への調整可能性および回転を可能にするボールジョイント上に配置されることができる。
【0014】
アセンブリが歯科用椅子に組み込まれている場合、顎支持装置は、アームおよび顎レストの少なくとも2つの主要部分を有することができる。顎支持装置が歯科用椅子に組み込まれていない場合、アーム、顎レスト、およびアームを既存の歯科用椅子に接続することができるヘッドレストアタッチメントピースの少なくとも3つの主要部分を有することができる。これらの実施形態の利点は、歯科用椅子が顎支持装置を支持するということである。
【0015】
アームは、いくつかの方法で操作されることができる。一実施形態では、アームは、ピボットヒンジを介して接続された2つ以上のロッドまたは他の剛性支持構造を含む関節アームとすることができる。第1のロッドは、歯科用椅子またはヘッドレストアタッチメントピースに接続することができる。第1のロッドの他端は、第2のロッドに接続することができる。第2のロッドは、その他端において、顎レストまたは第3のアームのいずれかに接続されることができる。これらの接続は、任意の数のロッドを含むように継続することができる。この構造は、ユーザが顎支持装置を患者にカスタムフィットさせることを可能にする。さらに、この実施形態では、顎支持装置は、椅子の後ろまたは椅子の側面に折り畳むことができる。
【0016】
別の実施形態では、アームは、回転ジョイントを備えた直線または湾曲した伸縮アームとすることができる。例えば、伸縮アームは、複数のロッドを含むことができ、それぞれが、保管のためにその隣のロッドに滑り込むことができる。歯科用椅子に最も近い第1の伸縮ロッドは、歯科用椅子に直接的に接続することも、ヘッドレストアタッチメントピースを介して歯科用椅子に間接的に接続することもできる。椅子から最も遠く且つ患者の顎に最も近い最後の伸縮ロッドは、一端において顎レストに直接的に接続することができ、第2の端部において、第1の伸縮ロッドに直接的に接続するかまたは1つ以上の内側伸縮ロッドを介して第1の伸縮ロッドに間接的に接続することができる。使用中、ユーザは、1つ以上のロッドを互いにスライドさせて引き出し、各ジョイントの所定の位置にそれらをロックすることができる。ロッドはまた、互いにスライドするときに所定の位置にロックされることもできる。例えば、第2のロッドを伸ばして第1のロッドにロックし、第3のロッドをスライドさせて第2のロッドにロックすることができる。このように、アームの長さは、ユーザのニーズに基づいて変えることができる。各ロックはまた、回転ジョイントを含むこともでき、ユーザが顎支持装置を患者にカスタムフィットすることを可能にする。各ジョイントのロックは、例えば、手動ロックまたは電気もしくは空気圧ロックとすることができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、上述したように、顎支持装置は、
図1に示されるように、2つのアームを有することができる。この実施形態では、各アームの一端は、歯科用椅子に直接的に接続することも、ヘッドレストアタッチメントピースを介して歯科用椅子に間接的に接続することもできる。したがって、第1のアームは、歯科用椅子の左側から突出することができ、第2のアームは、歯科用椅子の右側から突出することができる。次に、第1および第2のアームは、歯科用椅子において患者のそれぞれの側を包み込むことができる。いくつかの実施形態では、アームは、患者の前で、アーム間ロック機構を使用して互いに接続することができる。この実施形態は、第1および第2のアームの関節へのストレスを軽減することができる。他の実施形態では、
図1および
図20-
図21に示されるように、アームは、互いにロックしない。
【0018】
いくつかの実施形態では、顎支持装置は、
図1-
図2に示されるように、ヘッドレストマウントアセンブリ100、分割球体アセンブリ200、ボールジョイントアセンブリ300、および顎レストアセンブリ400を含むことができる。一般に、顎支持装置は、4つの主要アセンブリ100、200、300、および400のそれぞれを使用して、患者の顎を正確に支持するように構成されることができる。より具体的には、ヘッドレストマウントアセンブリ100を使用して、患者の頭に対して装置の所望の幅を構成することができ、分割球体アセンブリ200を使用して、患者の頭に対して装置の幅および高さを細かくすることができ、装置が各患者に対してどれだけ前方に配置されるべきかを判定するために、ボールジョイントアセンブリ300は、各患者に対してより具体的に顎レストアセンブリ400を配置することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、顎レストアセンブリ400はまた、特に患者の顎の輪郭に合わせて構成するために可撓性を有する。装置が所望の位置に配置されると、(例えば、空気圧や磁気を介して)装置をアクティブ化すると、装置を所定の位置にロックすることができる。より具体的には、場合によっては、空気圧式空気制御、磁気レオロジー流体と組み合わせた電流のアクティブ化は、分割球体アセンブリ200およびボールジョイントアセンブリ300を所定の位置にロックすることができる。磁気レオロジー流体の代わりに他の流体を使用することもできる。いくつかの実施形態では、空気ホースは、空気供給または空気圧縮機を分割球体アセンブリ200およびボールジョイントアセンブリ300に接続することができる。一般に、空気ホースは、以下により詳細に説明するように、クイック切断フィッティングを使用して装置に取り付けることができる。他の場合には、配線(電源コード内など)は、電源を分割球体アセンブリ200およびボールジョイントアセンブリ300に接続することができる。
【0020】
顎支持装置は、ヘッドレストマウントアセンブリ100を介して、
図2に示されるように、歯科用または他の椅子のヘッドレストステム108に接続することができる。より具体的には、ヘッドレストマウントアセンブリ100は、ヘッドレストマウント中央ブリッジ102、幅調整器104、内側ヘッドレストマウントチューブ106、幅ロック110、および中央ブリッジノブ112を備えることができる。いくつかの実施形態では、ヘッドレストマウントアセンブリ100は、
図1に示されるように、ヘッドレストマウントアセンブリが左右の分割球体アセンブリ200、ボールジョイントアセンブリ300、および顎レストアセンブリ400を支持することができるように、ヘッドレストステム108の反対側に、追加の幅調整器104、内側ヘッドレストマウントチューブ106、および幅ロック110を備えることができる。
【0021】
図1-
図2に示されるように、ヘッドレストマウント中央ブリッジ102は、中央開口を有することができ、ヘッドレストステム108は、中央ブリッジ102の上部および下部を介して挿入されて椅子に固定されることができる。より具体的には、中央ブリッジ102がヘッドレストステム108上に配置されると、中央ブリッジノブ112は、それを固定することができる。中央ブリッジノブ112は、ノブ、トグルロック、または処置中に中央ブリッジ102および顎支持装置の残りの部分が望ましくない動きをするのを防ぐ任意の他のタイプの固定装置とすることができる。例えば、中央ブリッジノブ112は、ノブハンドルを人間が操作することにより、ねじ付きポストがヘッドレストステムに対して圧縮されるウェッジプレートに近付くように、ノブハンドルに結合されたねじ付きポストを有することができる。顎支持装置を所定の位置に保持するのに十分な量の圧力をねじ付きポストがヘッドレストステムにかけると、装置は、椅子にロックされていると見なすことができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、中央ブリッジ102の一方または各側から突出するものは、内側ヘッドレストマウントチューブ106を取り囲む幅調整器104とすることができる。内側ヘッドレストマウントチューブ106の遠位端は、分割球体アセンブリ200に直接的に接続することができ(例えば、ねじ部分によって)、分割球体アセンブリ200が回転するときに回転することができる。
【0023】
幅調整器104は、第1の軸に沿って伸縮して、分割球体アセンブリ200、ボールジョイントアセンブリ300、および顎レストアセンブリ400が椅子の中心から外向きに、または椅子の中心に向かって内向きにシフトすることを可能にすることができる。この特徴は、追加の幅調整を可能にし、例えば、個人の肩が広いまたは狭い場合に役立つことができる。
【0024】
顎支持装置が保管される場合、または患者が椅子に乗り降りする必要がある場合、ユーザは、分割球体アセンブリ200、ボールジョイントアセンブリ300、および顎レストアセンブリ400を患者の頭部領域から離して移動したい場合がある。したがって、ユーザは、アームアセンブリ200、300、400が直立するまで、分割球体アセンブリ200を後方に回転させることができる。いくつかの実施形態では、ヘッドレストマウントアセンブリは、アームアセンブリ200、300、400が直立した後、分割球体アセンブリ200のさらなる回転を防止する機構を含むことができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、各幅調整器104は、幅ロック110を含むことができる。幅調整器104および内側ヘッドレストマウントチューブ106が所望の位置にあると、幅ロック110は、幅調整器および/またはマウントチューブ、したがって、分割球体アセンブリ200の位置を所定の位置に固定することができる。幅ロック110は、中央ブリッジノブ112と同様に、ノブ、トグルロック、または処置中に分割球体アセンブリ200が第1の軸または第2の軸に沿って移動するのを防ぐ任意の他のタイプの固定装置とすることができる。
【0026】
空気圧式空気ロック機構を含むいくつかの実施形態では、
図3および
図5-
図10に示されるように、分割球体アセンブリ200は、上部202aおよび下部202bを有する分割球体ハウジング202、分割球体ボール204、分割球体ピストン206、分割球体空気弁208、分割球体ハウジング空気空洞210、中空チューブアーム212およびチューブアームホース214を含むアーム延長部、およびボールジョイント空気弁216を備えることができる。電気ロック機構を含む他の実施形態では、
図11-
図13に示されるように、分割球体アセンブリ200は、上部202aおよび下部202bを有する分割球体ハウジング202、分割球体ボール204、分割球体ピストン206、分割球体電気接続部224、磁気レオロジー流体を貯蔵することができる分割球体ハウジング流体空洞230、空洞228内に配線226を有する中空チューブアーム212を含むアーム延長部、およびボールジョイント電気接続部222を備えることができる。上記のように、分割球体アセンブリ200を使用して、装置の幅および高さを細かくし、各患者に対して装置をどれだけ前方に配置すべきかを判定することができる。
【0027】
分割球体ハウジング202は、分割球体アセンブリ200のホームベースとして動作することができ、事実上、ヘッドレストマウントアセンブリ100をボールジョイントアセンブリ300に接続することができる。より具体的には、内側ヘッドレストマウントチューブ106は、分割球体ハウジング202の外面に直接的に接続することができ、分割球体ハウジング202は、分割球体ボール204を収容することができ、中空チューブアーム212およびチューブアームホース214は、分割球体ハウジング202の前面を介して且つ分割球体ボール204の中央空洞を介して取り付けることができ、
図5に示すように、遠位端においてボールジョイントアセンブリ300に接続することができる。
【0028】
分割球体ハウジング202は、ほぼ円筒形とすることができ、上外面および底外面は比較的平坦であり、ハウジング202の湾曲部分の前面および背面に面する部分は、それぞれ、広い開口を含む。回転すると、上述したように、分割球体ハウジング202の下部および上部は、それぞれ前方および後方を向くことができ、
図1に示すように、前部の広い開口は、上向きとすることができ、後部の広い開口は、歯科用椅子に対して下向きとすることができる。
【0029】
内側ヘッドレストマウントチューブ106に加えて、分割球体ハウジング202の外側部分に、分割球体空気弁208または分割球体電気接続部224を取り付けることができる。内側ヘッドレストマウントチューブ106は、
図1に示されるように、分割球体ハウジング202の内向きの外側曲面に取り付けることができる。分割球体空気弁208または分割球体電気接続部224は、
図10および
図13に示されるように、分割球体ハウジング202の底外面に取り付けることができる。場合によっては、追加のチューブの第1の端部は、分割球体空気弁208に取り付けることができ、この追加のチューブの第2の端部は、部屋の空気供給または椅子の近くに配置された自立型空気圧縮機のいずれかに取り付けることができる。磁気式ロック機構の場合、電源コードの第1の端部は、分割球体電気接続部224に取り付けることができ、電源コードの第2の端部は、コンセント、バッテリ、または発電機などの電源に取り付けることができる。
【0030】
分割球体ハウジング202内に配置されることができる分割球体ボール204は、ほぼ球形であり、それぞれがドーム型である上半分204aおよび下半分204bと、その中心を通る円筒形開口とを含み、
図3に示すように、開口の半分は、ドーム型の上半分から切り出され、開口の半分は、ドーム型の下半分から切り出されている。使用中、円筒形開口は、
図1-
図2に示されるように、分割球体ハウジング202の前部および後部の広い開口と位置合わせし、それから外側を向くことができる。いくつかの実施形態では、分割球体ボール204の上半分204aおよび下半分204bは、互いに離れる方向および互いに向かう方向に移動する可撓性を有し、それによって、
図2に示されるように、それらの間に適合する中空チューブアーム212に様々な量の圧力を加える。
【0031】
分割球体ハウジング202内に且つ分割球体ボール204の下方に配置されることができる分割球体ピストン206は、
図3、
図10および
図13に示されるように、分割球体ピストンの外面の中心円周の周りに空洞を有するほぼ円筒形とすることができる。中央に配置された空洞は、
図3に示されるように、分割球体ピストン206のために上唇および下唇を形成することができ、例えば、分割球体ハウジング202内の空気漏れを防止する安全な空気シールを形成することができるOリング220を収容することができる。
【0032】
分割球体ピストン206の下方、および分割球体ハウジング202内には、
図10に示されるように、分割球体ハウジング空気空洞210を配置することができる。この空気空洞210はまた、分割球体ハウジング202の下部202bの底部を介して、分割球体空気弁208が取り付けられることができる開口を有することができる。上述したように、分割球体空気弁208は、下部202bの底部外面に取り付けることができる。空気弁208は、直角に曲がることができ、押し込み接続継手、ホースバーブ、または他の任意の形態の空気弁とすることができる。
【0033】
空気弁208が作動すると、空気空洞210内に空気圧が発生し、これにより、分割球体ピストン206が分割球体ボール204に対して上方に押し付けられる。上述したように、分割球体ボール204の上半分および下半分は、互いに離れておよび互いに向かって移動する可撓性を有するため、それが分割球体ボール204と接触して押し込むように、空気弁208の作動および対応する分割球体ピストン206を上方に移動させることにより、分割球体ボールの下半分204aを上半分204aに向かって移動させる。次に、上半分204aは、分割球体ハウジング202の上部の内面と接触し、それ以上移動できなくなるまで上方に移動する。分割球体ボール204の双方の半分が可能な限り上方に移動すると、それらは事実上、それらの間に中空チューブアーム212を挟み、それを所定の位置にロックする。
【0034】
いくつかの実施形態では、分割球体ハウジング202の下部202bは、
図13に示されるように、分割球体ハウジング流体空洞230を含むことができ、磁気レオロジー流体が貯蔵されることができる。この流体空洞230はまた、空気空洞210と同様に、分割球体電気接続部224が取り付けられることができる下部202bを通る開口を有することもできる。分割球体空気弁208と同様に、分割球体電気接続部224は、下部202bの底部外面に取り付けられることができる。電気接続部224はまた、
図11に示されるように、直角ベンドを含むことができる。
【0035】
空気作動式ロック機構と同様に、磁気式ロック機構が作動すると、磁気レオロジー流体が粘度を上昇させて粘弾性固体になり、分割球体ボール204を所定の位置に保持させる。分割球体ボール204を所定の位置に本質的に固定することにより、分割球体ボールは、中空チューブアーム212を所定の位置にロックさせる。
【0036】
中空チューブアーム212は、上で簡単に説明したように、分割球体アセンブリ200をボールジョイントアセンブリ300に接続する円筒形の中空チューブとすることができる。より具体的には、中空チューブアーム212の一部は、
図4に示されるように、分割球体ボール204の円筒形開口内に配置されることができ、中空チューブアーム212の遠位端は、
図1および
図5-
図13に示されるように、ボールジョイントアセンブリ300に接続することができる。
【0037】
中空チューブアーム212は、患者の顔の正面に到達するのに適した長さとすることができる。しかしながら、患者の顔の正面に対する中空チューブアームの長さは調整可能とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、中空チューブアーム212は、分割球体ボール204の円筒形開口を通って前後にスライドすることができる。これは、装置が患者の身体のサイズの変化に対応することを可能にし、また、
図1に示されるように、装置が不要になったときに歯科用椅子に沿って押し込むことを可能にする。
【0038】
チューブアームホース214は、中空チューブアーム212と同様に、円筒形の中空チューブとすることができる。それは、
図10に示されるように、中空チューブアーム212内に配置されることができ、中空チューブアーム212とほぼ同じ長さである。いくつかの実施形態では、チューブアームホース214は、その近位端においてボールジョイント空気弁216に接続し、その遠位端においてボールジョイントハウジング302に接続する。
【0039】
ボールジョイント空気弁216は、分割球体空気弁208と同様に、押し込み接続継手、ホースバーブ、または任意の他の形態の空気弁とすることができる。いくつかの実施形態では、ボールジョイント空気弁216は、チューブアームホース214の近位端においてプラグとして機能し、したがって、空気がチューブアームホース214から逃げるのを防ぐ。さらに、ボールジョイント空気弁216はまた、チューブアームホース214が分割球体ボール204全体から滑り落ちるのを防ぐためのストップとして動作することができる。あるいは、チューブアームホース214およびボールジョイント空気弁216を収容するためにその中心を貫通する孔を有する中空チューブアーム212のために別個のストッパを使用することができる。分割球体空気弁208と同様に、追加のチューブの第1の端部は、ボールジョイント空気弁216に取り付けることができ、この追加のチューブの第2の端部は、室内の空気供給もしくは自立型空気圧縮機または椅子の近くに配置されたタンクのいずれかに取り付けることができる。
【0040】
チューブアームホース214の代わりに、中空チューブアーム212は、
図13に示されるように、中空チューブアームの空洞228内に配線226を有することができる。配線226は、中空チューブアーム212とほぼ同じ長さとすることができる。いくつかの実施形態では、配線226は、その近位端においてボールジョイント電気接続部222に接続し、その遠位端においてボールジョイントハウジング302に接続することができる。ボールジョイント電気接続部222は、電源への接続を有する電源コードにさらに接続することができる。
【0041】
したがって、分割球体電気接続部224と同様に、電源コードの第1の端部は、ボールジョイント電気接続部222に取り付けることができ、電源コードの第2の端部は、電源に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、ボールジョイント電気接続部222は、チューブアームホース214の近位端においてプラグとして機能する。さらに、ボールジョイント電気接続部222はまた、配線226が分割球体ボール204全体から滑り落ちるのを防ぐためのストップとして動作することができる。あるいは、配線226およびボールジョイント電気接続部222を収容するためにその中心を通る孔を有する中空チューブアーム212のために別個のストッパを使用することができる。
【0042】
空気圧式空気ロック機構を含むいくつかの実施形態では、
図4-
図10に示されるように、ボールジョイントアセンブリ300は、ボールジョイントハウジング302、ボールジョイントボール304、ボールジョイントピストン306、ボールジョイントハウジング空気空洞308、ボールジョイントロッド310、およびチューブアームコネクタ312を備えることができる。磁気式ロック機構を含む他の実施形態では、
図11-
図13に示されるように、ボールジョイントアセンブリ300は、ボールジョイントハウジング302、ボールジョイントボール304、ボールジョイントピストン306、磁気レオロジー流体が貯蔵されることができるボールジョイントハウジング流体空洞320、ボールジョイントロッド310、およびチューブアームコネクタ312を備えることができる。上記のように、ボールジョイントアセンブリ300を使用して、顎レストアセンブリ400をより具体的に各患者の顎に配置することができる。
【0043】
ボールジョイントハウジング302は、ボールジョイントアセンブリ300のホームベースとして動作することができ、分割球体アセンブリ200を顎レストアセンブリ400に接続することができる。より具体的には、中空チューブアーム212およびチューブアームホース214または配線226は、ボールジョイントハウジング302に(例えば、ハウジングの外面で)取り付けることができ、ボールジョイントハウジング302は、ボールジョイントボール304を収容することができ、ボールジョイントロッド310は、
図6に示されるように、その近位端においてボールジョイントボール304に、およびその遠位端において顎レストアセンブリ400に取り付けることができる。
【0044】
ボールジョイントハウジング302は、ほぼ円筒形とすることができ、内面および外面は比較的平坦であり、ハウジング302の比較的平坦な面の少なくとも1つは、開口316を含む。開口は、場合によっては、
図4に示されるように円形とすることができる。いくつかの実施形態では、ボールジョイントハウジング302は、ボールジョイントアセンブリ300の組み立ておよび分解を可能にするために、ボールジョイントハウジングカバー318を含むことができる。
図4、
図10および
図13に示されるように、ボールジョイントハウジング302は、その湾曲した外面上に、中空チューブアーム212およびチューブアームホース214または配線226が結合することができるチューブアームコネクタ312を含むことができる。したがって、いくつかの実施形態では、中空チューブアーム212およびチューブアームホース214または配線226がそれらの中心回転軸の周りを回転またはスピンするとき、ボールジョイントハウジング302の内面および外面は、それに応じて回転の角度および方向に対応する面方向に回転することができる。他の実施形態では、中空チューブアーム212は、ボールジョイントハウジング302にしっかりと接続されておらず、したがって、ボールジョイントハウジング302を直接的に回転させない。例えば、チューブアームホース214または配線226は、ボールジョイントハウジング302にしっかりと接続することができるが、中空チューブアーム212と比較して自由に回転する。
【0045】
ボールジョイントハウジング302内に配置されることができるボールジョイントボール304は、いくつかの実施形態では球形であり(円錐形または楕円形であってもよい)、ボールジョイントボール304の少なくとも一部は、ボールジョイントハウジング302の開口316から突出することができる。しかしながら、ボールジョイントハウジング302の開口316の開口の少なくとも1つの部分は、ボールジョイントボール304の少なくとも1つの断面部分よりも小さく、したがって、ボールジョイントボール304は、ボールジョイントハウジング302内にしっかりと収容されたままとすることができる。例えば、ボールジョイントボール304が球体である場合、少なくともその直径は、開口316の一部よりも広い。
ボールジョイントハウジング302内に且つボールジョイントボール304の開口316の反対側に配置されることができるボールジョイントピストン306は、
図4、
図10および
図13に示されるように、中心円周の周りに空洞を有し且つ上面が平坦であり且つ底面が平坦であるほぼ円筒形とすることができる。中央に配置された空洞は、ボールジョイントピストン306の上唇および下唇を形成することができ、例えば、ボールジョイントハウジング302からの空気漏れを防ぐ安全な空気シールを形成することができるOリング314を収容することができる。いくつかの実施形態では、ボールジョイントボール304およびボールジョイントピストン306は、ボールジョイントハウジング302内に移動するための余分な空間を有する。これは、ユーザがボールジョイントボール304を所望の位置に回転させることを可能にする。
【0046】
ボールジョイントピストン306とボールジョイントハウジング302の比較的平坦な外面部分との間に配置されるものは、
図10に示されるように、ボールジョイントハウジング空気空洞308とすることができる。この空気空洞308は、ボールジョイントハウジング302の側面にあるチューブアームホース214の接続点に対して開くことができる。したがって、ボールジョイントハウジング302内の空気圧の変化は、最初はボールジョイントハウジング空気空洞308内で起こることができる。
【0047】
より具体的には、チューブアームホース214の近位端にあるボールジョイント空気弁216が作動すると、空気空洞308内に空気圧を生じさせ、ボールジョイントピストンの平坦面がボールジョイントボールと接触するように、ボールジョイントピストン306をボールジョイントボール304に向かって上方に押し上げることができる。ボールジョイントボール304およびボールジョイントピストン306は、上述したように、ハウジング302内に余分な空間を有するため、空気弁216の作動およびボールジョイントボールの方向へのボールジョイントピストン306の対応する動きは、ボールジョイントピストンおよびボールジョイントボールが接触していると、ボールジョイントボール304がボールジョイントハウジング302の内面に押し付けられるまで、開口316に向かって移動するようなものである。ボールジョイントハウジング302の内面は、開口316の外側境界を画定するため、ボールジョイントボールがボールジョイントハウジングの内面と接触し、ボールジョイントピストン306とも接触するとき、それは、したがって、ロック位置にあり、ボールジョイントロッド310を所定の位置にロックさせる。
いくつかの実施形態では、磁気式ロック機構が使用される場合、ボールジョイントハウジング302は、
図13に示されるように、ボールジョイントハウジング流体空洞320を含むことができ、磁気レオロジー流体が貯蔵されることができる。この流体空洞320はまた、空気空洞308と同様に、ボールジョイントハウジング302の側面にある配線226の接続点に対しても開くことができる。したがって、ボールジョイントハウジング302内の磁気レオロジー流体のアクティブ化は、ボールジョイントハウジング流体空洞320内で起こることができる。
【0048】
より具体的には、配線226の近位端にあるボールジョイント電気接続部222が作動すると、磁気レオロジー流体が粘度を上昇させることができ、これは、ボールジョイントボール304を所定の位置に保持させる。ボールジョイントボール304を所定の位置に本質的に固定することにより、ボールジョイントボールは、ボールジョイントロッド310も所定の位置にロックさせる。
【0049】
ボールジョイントロッド310は、上で簡単に説明したように、ボールジョイントアセンブリ300を顎レストアセンブリ400に接続する短い円筒形チューブとすることができる。より具体的には、ボールジョイントロッド310の近位端は、
図4および
図6に示されるように、ボールジョイントボール304に、またはその一部に取り付けられることができ、ボールジョイントロッド310の遠位端は、
図6に示されるように、顎レストアセンブリ400に接続することができる。この接続は、例えば、
図4に示されるように、顎レストアセンブリ400の下側から突出しているねじ付きポストと、ボールジョイントロッド310の端部のボルトとの間とすることができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、
図6-
図9および
図11-
図12に示されるように、顎レストアセンブリ400は、顎レストコネクタ404と、両側顎レスト402などの1つ以上の顎レストとを備えることができる。第2の実施形態では、
図15に示されるように、顎レストアセンブリ400は、顎レストコネクタ412と、顎の前部(すなわち、顎先)の下方に配置される顎レスト410とを備えることができる。第3の実施形態では、
図16に示されるように、顎レストアセンブリ400は、顎レストコネクタ412と、片側顎レスト414などの1つ以上の顎レストとを備えることができる。第4の実施形態では、
図17に示されるように、顎レストアセンブリ400は、垂直支持体416、水平支持体418、および顎レスト420、ならびに顎レストコネクタ422を備える顎レストを含むことができる。顎レストアセンブリ400は、各患者の顎の曲率に関係なく、最適な適合を形成するように操作されることができる。
【0051】
上述したように、顎レストコネクタ404、412、422およびボールジョイントロッド310は、一体に接合されることができ、ボールジョイントアセンブリ300を顎レストアセンブリ400に接続することができる。より具体的には、いくつかの実施形態では、
図6-
図7および
図17に示されるように、顎レストコネクタ404は、ボールジョイントロッド310に取り付けることができる。例えば、顎レストコネクタ404は、ボールジョイントロッド310に適合し、様々な手段(例えば、六角ナット)を使用してそれに固定することができる、短い、完全にまたは部分的にねじ付きのポストとすることができる。各アセンブリ300、400でコネクタを使用することにより、ユーザは、患者のニーズに応じて、顎レストアセンブリ400の異なるバリエーションを切り替えることができる。
【0052】
図1-
図2、
図5-
図9、および
図11-
図12に示される、顎レストアセンブリ400の第1の実施形態は、1つ以上の両側顎レスト402を含むことができ、各両側顎レストは、例えば、金属またはプラスチックフレームから構成され、顎レストコネクタ404に取り付けられることができ、各両側顎レスト402は、平坦とすることができるかまたは湾曲することができる。湾曲した両側顎レスト402の一実施形態が
図2および
図5-
図6に示されている。両側顎レスト402は、
図7に示されるように、剛性フレーム(例えば、金属またはプラスチック)から構成される広く滑らかな本体406を含むように構造化および構成されることができる。顎レストコネクタ404は、ボールジョイントアセンブリに接続された第1の端部と、本体406に接続された第2の端部とを有する細長ロッドとすることができる。
【0053】
パッド付き表面408は、
図2、
図5-
図6、
図8-
図9、および
図11-
図12に示されるように、患者の顎の側面が載るように、滑らかな本体406の少なくとも1つの側面(例えば、上部)に取り付けおよび/または覆うことができる。2つの両側顎レスト402が使用される場合、一方は、ボールジョイントアセンブリ300のそれぞれに取り付けることによって患者の顎の両側に使用されることができ、したがって、顎の左側および右側は、顎支持装置によって支持されることができる。いくつかの使用例では、両側顎レスト402は、患者の第1の側に実装されることができ、例えば、顎レスト410を有する顎レストアセンブリ400の異なる実施形態は、患者の顎を正確且つ徹底的に支持するように、患者の第2の側に実装されることができる。
【0054】
図15に示される、顎レストアセンブリ400の第2の実施形態は、顎レストコネクタ412に取り付けられた顎レスト410を含むことができる。このバージョンの顎レストは、顎の前部(すなわち、顎先)の下方に配置されることによって幅広い支持を提供する。顎レスト410は、例えば、金属またはプラスチックのフレームと、患者の顎先が載るためのパッド付き表面とから構成された、広くて僅かに湾曲した本体を含むことができる。顎レストコネクタ412は、2つの部分の間に90度の角度を形成するようにそれらの端部において接続された、水平および垂直部分、または構成要素から構成されることができる。
図15に示されるように、顎レスト410は、垂直部分の上端または第1の端部に接続することができ、水平部分は、垂直部分の下端または第2の端部に接続することができ、患者の顎を左右に回転させることができる。第1の実施形態と同様に、顎支持装置は、2つの側面を有することができ、したがって、いくつかの実施形態では、顎レストコネクタ412に接続された顎レスト410を有する顎レストアセンブリ400の第2の実施形態は、患者の第1の側に実装されることができ、例えば、両側顎レスト402を有する顎レストアセンブリ400の異なる実施形態は、患者の第2の側に実装されることができる。
【0055】
図16に示される、顎レストアセンブリ400の第3の実施形態は、顎レストコネクタ412に取り付けられた片側顎レスト414を含むことができる。このバージョンは、処置中に患者の頭が片側に傾いたときに患者に対する支持を提供する。より具体的には、片側顎レスト414は、顎レスト410と同様に、患者の顎の周りに湾曲を提供するように構造化および構成されることができるが、一方の側が他方よりも細長い。例えば、片側顎レスト414は、広くて僅かに湾曲した本体および細長側面セクションを含むことができ、本体および側面セクションは、双方とも、金属またはプラスチックフレームから構成されることができ、患者の顎が載るためのパッド付き表面を含むことができる。この設計は、顎レスト410よりも完全に患者の顎を包み込み、それによって患者の頭のより極端な傾斜を可能にして、患者の口の届きにくい部分によりよくアクセスできるため有用である。
【0056】
したがって、ユーザが処置中に患者の頭を右側に傾けたい場合(例えば、ユーザが左利きであり、第3大臼歯にアクセスするために患者をさらに右側に回転させる必要があるため)、ユーザは、顎レストアセンブリ400を右側ボールジョイントアセンブリ300に取り付けることによって、装置によって右側の患者の顎を支持するのを助けることができ、これは、片側顎レスト414の長い側を患者の顔の右側に配置する。同様に、ユーザが処置中に患者の頭を左側に傾けたい場合(例えば、ユーザが右利きであり、第3大臼歯にアクセスするために患者をさらに左側に回転させる必要があるため)、ユーザは、顎レストアセンブリ400を左側ボールジョイントアセンブリ300に取り付けることによって、装置によって左側の患者の顎を支持するのを助けることができ、これは、片側顎レスト414の長い側を患者の顔の左側に配置する。
【0057】
顎レストアセンブリ400の第4の実施形態は、
図17に示されるように、垂直支持体416、水平支持体418、および顎支持体420を含むことができる。これらの3つの構成要素は、組み合わせられる別個のピースとすることができ、または1つの連続したピースとして形成されることもできる。場合によっては、3つの構成要素は、変形しない1つの剛性内部(例えば、金属またはプラスチック)とすることができる。圧縮可能なフォームの外層を剛性内部の上に配置して、それを覆い、患者の顎に正確にフィットさせるための可撓性を可能にすることができる。この外層は、使い捨てとすることができ、様々な顎のサイズの患者に対応するために様々なサイズで利用可能とすることができる。
【0058】
垂直支持体416は、顎の後ろに配置され、顎の後ろの近くで上向きに角度を付けられて、顎の後ろの周りに引っ掛かることができ(例えば、それはy軸に沿って延びることができる)、ユーザが患者の顎を前方に引っ張って気道を開く必要がある場合に有用である。水平支持体418は、地面にほぼ平行な直線部分と、顎の底部に沿って静止する顎線とすることができ(例えば、それはz軸に沿って延びることができる)、下向きの力が加えられた場合に顎を支持するように動作することができる。顎支持体420は、地面にほぼ平行であり且つ顎の底部に沿って静止する顎にほぼ垂直である直線部分とすることができる(例えば、x軸に沿って延びることができる)。したがって、3つのピース全てが一体になって、患者の顎に対する完全な支持を提供する。上述したように、顎支持装置は、患者の顎の両側を完全に支持することができるように、分割球体アセンブリ200、ボールジョイントアセンブリ300、および顎レストアセンブリ400の2つのセットを有することができる。さらに、垂直支持体416、水平支持体418、および顎レストコネクタ422に接続された顎支持体420を有する顎レストアセンブリ400の第4の実施形態は、患者の第1の側に実装されることができ、例えば、両側顎レスト402を有する顎レストアセンブリ400の異なる実施形態は、患者の第2の側に実装されることができる。
【0059】
例示的な使用例では、ユーザが顎支持装置を作動させて患者の顎を所定の位置に保持したい場合、開示された装置を作動させて、1つまたは2つのロックプロセスにおいてロックすることができる。ロック解除段階では、ロック機構はアクティブ化されず、ユーザは、目的の患者の一般的な位置に装置を配置することができる。ユーザがロック機構を作動させると(例えば、空気をオンにするか、フットスイッチを使用して磁気レオロジー流体を作動させることによって)、装置の2ロック実施形態は、分割球体アセンブリ200およびボールジョイントアセンブリ300をほぼ所定の位置に保持するが、ある程度の抵抗はあるものの、ユーザが様々な構成要素を移動することを引き続き可能にするソフトロックを実施することによってソフトロック段階に移行することができる。したがって、ユーザは、様々な構成要素を正確な位置に配置するまで細かく調整し、完全なロック機構をアクティブにすることができ(例えば、空気圧を80PSIに高めることによって)、装置は、完全なロックが解除されるまで、分割球体ボール204およびボールジョイントボール304、したがって全ての構成要素を所定の位置に保持するハードロックを実施することによってハードロック段階に移行する。
【0060】
ワンロックの実施形態では、ユーザが空気をオンにするか、または磁気レオロジー流体をアクティブ化すると、装置は、分割球体アセンブリ200およびボールジョイントアセンブリ300を所定の位置にしっかりと保持するハードロック段階に直接移行する。したがって、分割球体ボール204およびボールジョイントボール304は、完全な空気圧または磁気レオロジー流体が解放されるまで動かないように保持される。
【0061】
装置の片側の位置決め中に、ユーザは、幅調整器104を第1の軸に沿って左または右に動かすことにより、分割球体アセンブリ200、ボールジョイントアセンブリ300、および顎レストアセンブリ400をグループとして、患者の頭からさらに外側に(または逆に、患者の頭により近くに)動かすことができる。上述したように、幅ロック110は、幅調整器104を所定の位置にロックし、分割球体アセンブリ200が処置中に第1の軸に沿って移動するのを防ぐことができる。
【0062】
次に、ユーザは、分割球体ボール204内での接続のために移動可能且つ回転可能である中空チューブアーム212を調整して、ボールジョイントアセンブリ300および顎レストアセンブリ400を患者に向かってまたは患者から離れるようにさらに正確に回転させることができる。例えば、分割球体ボール204が球体であり、中空チューブアーム212が分割球体ボールの前部および後部の双方から出るように構成されているという性質により、ユーザは、上述したように、中空チューブアームを3つの軸に沿って移動し、追加の構成のために中央回転軸の周りに回転させることにより、アセンブリ300、400の調整を行うことができる。例えば、上述したように、ユーザは、左右の動きに対応する第1の軸、上下の動きに対応する第2の軸、および前後の動きに対応する第3の軸に沿ってアセンブリ300、400を調整することができ、中空チューブアームは、アームが多かれ少なかれ分割球体ボールの前に配置されるように、分割球体ボールを通って前後にスライドすることができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、第1のロック構成要素(例えば、分割球体空気弁208)は、第2のロック構成要素(例えば、ボールジョイント空気弁216)とは別個の作動で動作する。したがって、中空チューブアーム212および分割球体ボール204が所望の位置にあるとき、ユーザは、分割球体空気弁208を作動させることができ、これは、分割球体ピストン206を分割球体ボール204に押し付け、アーム延長部(例えば、中空チューブアーム212)をクランプダウンするように分割球体ボール204の上半分および下半分204a、204bを強制する。このクランプ動作は、分割球体ボール204およびアーム延長部を所定の位置に保持するためのハードロックを形成する一方で、ユーザがボールジョイントアセンブリ300および顎レストアセンブリ400の一部を移動および構成することをさらに可能にする。しかしながら、他の実施形態では、分割球体空気弁208およびボールジョイント空気弁216は、同じ作動で動作し、したがって、単一のロック機構が双方を同時にロックする。その実施形態では、ユーザは、ボールジョイントボール304および顎レストアセンブリ400もまた適切に配置されるまで、分割球体空気弁208を作動させたくないであろう。上述したように、同様の機構は、それぞれ、分割球体電気接続部224およびボールジョイント電気接続部222を介して、分割球体ハウジング202およびボールジョイントハウジング302内の磁気レオロジー流体をアクティブ化することによって起こることができる。
【0064】
位置決めの残りを確定するために(双方のロック機構が同時に作動する前、または別々に作動する場合はロック機構の作動の間に)、ユーザは、顎レストアセンブリ400を引っ張って、ボールジョイントボール304への接続のために所望の位置に回転させることができる。顎レストアセンブリ400が所望の位置に回転したとき、ユーザは、双方のロック機構(作動が同時の場合)または第1のロック機構(作動が別個の場合)のみを作動することができ、これは、ボールジョイントピストン306をボールジョイントボール304に対して押すか、または分割球体ハウジング202内の磁気レオロジー流体の粘度を増加させることによって、ボールジョイントボール304を固定位置に強制する。この圧力は、最終的な位置決めステップであり、ボールジョイントボール304を所定の位置に保持するためのハードロックを形成する。場合によっては、顎レストアセンブリ400が垂直支持体416、水平支持体418、および/または顎支持体420を含む場合(
図17を参照)、ロック機構の作動は、支持の調整可能性に影響を与えず、ユーザが3つの顎支持構成要素の非常に正確な角度を移動および構成することを可能にすることができる。
【0065】
上述したように、空気式ロック機構の代わりに、顎支持装置は、
図14Cに示されるように、プリント回路基板によって制御される代替のロック機構(例えば、磁気式または電気式ロック機構)を使用してロックすることができる。例えば、分割球体ハウジング202およびボールジョイントハウジング302は、それぞれ、対応する分割球体ピストン206またはボールジョイントピストン306の代わりに、またはそれに加えて、それらのベースに静電磁石を有することができる。分割球体ボール204およびボールジョイントボール304は、それぞれのハウジング202、302内に封入または部分的に封入されることができ、磁気レオロジー流体は、分割球体ボール/ボールジョイントボールと内部軸受面上のそれらのそれぞれのハウジングとの間の潤滑剤として作用することができる。
【0066】
図14Aに示される空気圧制御ボックス、および
図14B-
図14Cに示されるプリント回路基板は、歯科用椅子の背面に配置されて、容易なアクセス可能性を保持することができる。いくつかの実施形態では、プリント回路基板エンクロージャは、顎支持装置と一体化されることができ、したがって、ヘッドレストにより近くすることができる。
【0067】
磁気レオロジー流体を制御するために、顎支持装置は、電磁石および適切な制御を含むことができる。したがって、磁気レオロジー流体が電磁石によって生成された磁場にさらされると、流体の粘度は、粘弾性固体になるまで増加する。粘弾性固体のために磁気レオロジー流体になると、分割球体ボール204およびボールジョイントボール304は、所定の位置に効果的にロックされる。歯科または口腔処置が完了した後、電磁石から電流を取り除くと、磁場を非アクティブ化することができ、磁気レオロジー流体は、流動性の液体状態に戻ることができる。これは、それらのそれぞれのハウジング202、302内の分割球体ボール204およびボールジョイントボール304が再び自由に動くことを可能にする。いくつかの実施形態では、顎レストアセンブリ400はまた、磁気レオロジー流体を含み、同様に調整可能である。他の実施形態では、磁気レオロジー流体のアクティブ化は、顎レストアセンブリ400の動きに影響を与えない。
【0068】
一実施形態では、電流は、適切な制御を使用して、外科医、歯科医、または助手によってアクティブ化および非アクティブ化されることができる。例えば、ユーザは、フットコントロールペダルまたはハンドスイッチを使用して作動を制御することができる。このクイックリリースは、処置または手術中に患者の体位を変えるのに望ましく、また、停電や緊急事態の場合にも役立つ。
【0069】
顎支持装置がもはや必要とされないとき(例えば、処置が完了したとき)、ユーザは、フットスイッチまたは他の空気アクティブ化/非アクティブスイッチを使用して、分割球体空気弁208およびボールジョイント空気弁216をオフにすることができる。同様に、磁気式ロック機構が使用される場合、フットスイッチまたは他のアクティブ化/非アクティブ化スイッチは、電流をアクティブ化および非アクティブ化して、磁気レオロジー流体の粘度を増加または減少させることができる。これは、全ての構成要素を最大限に動かすことを可能にし、ユーザは、装置を保管位置に置くことができる。より具体的には、ユーザは、ボールジョイントボール304を回転させ、したがって、顎レストアセンブリ400を移動させることによって、顎レストアセンブリ400を患者の顎から引き離すことができる。ユーザはまた、回転可能な分割球体ボール204への接続のために、中空チューブアーム212に力を加え、ボールジョイントアセンブリ300および顎レストアセンブリ400とともにそれを外側に回転させることができる。
【0070】
そして、ユーザは、必要に応じて、幅調整器104を第1の軸に沿って内側に押すことができ、次に分割球体ハウジング202を上方に回転させることができるため、分割球体ハウジングの広い開口が上下を向く。空気または電流がオフ/非アクティブ化されると、中空チューブアーム212は、
図1に示されるように、ボールジョイントアセンブリ300が分割球体ハウジング202の前部の広い開口に対して静止するまで、分割球体ボール204の円筒形開口を介してスライドすることができる。この配置は、患者が顎支持装置をぶつけることなく椅子に容易に乗り降りすることを可能にし、必要のないときに顎支持装置を便利な保管位置に保持することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、顎支持装置は、
図18に示されるように、1つ以上の顎レスト1802、調整可能アーム1804、および調整可能とすることができ且つ異なるサイズのヘッドレストポストとともに使用されることができるヘッドレストアタッチメント1806を含むことができる。調整可能アーム1804は、一方の側で調整可能ヘッドレストアタッチメント1806に取り付けられ、他方の側で顎レスト1802に取り付けられることができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、顎支持装置は、
図20-
図21に示されるように、両側の顎の後ろを支持する2つの顎レスト1802から構成される。顎レストの形状は、患者の顎の側面の下方および後方にそれぞれを配置することと組み合わせて、患者の顎を前方位置に動かし、患者の気道を開くことができ、これは、中程度の/深い鎮静または全身麻酔状態で発生する可能性のある低酸素症の問題に対処する。
【0073】
図18-
図19に示されるように、2つの顎レスト1802の一方または双方がL字型構造を有することができる。これらの顎レストは、剛性のあるコアと、圧縮可能なフォームやその他の固いがさらに粘弾性のある材料などのパッドとから構成されることができる。あるいは、顎レストは、完全に固い粘弾性材料から構成されることができる。さらに、顎レストは、調整可能とすることができるか、または異なる顎サイズに対応するためにいくつかのサイズで利用可能とすることができる。顎レスト1802は、ボールジョイントに取り付けることができ、したがって、調整可能とすることができ、これは、顎レスト1802を、異なる顎の形状およびサイズに対応するように配置することを可能にする。
【0074】
顎レスト1802は、顎線の下方および後方に引っ掛かることができるように成形されることができ、これは、
図19に示されるように、歯科処置または手術中に患者の顎を前方に押すことを可能にし、顎レスト1802は、そのアクティブ位置と非アクティブ位置との間で移行することが示されている。顎レスト1802が前方に押されると、それらは、処置中に患者の気道が開いたままにすることを確実にし、これは、中程度/深い鎮静または全身麻酔中に発生する可能性のある低酸素の問題に起因する緊急事態のリスクを軽減する。
【0075】
いくつかの実施形態では、
図18-
図21に示されるように、調整可能アーム1804は、全範囲の動きを可能にするために一連のボールジョイント1808から構成されることができる。例えば、各調整可能アーム1804は、互いに一列に接続された4つのボールジョイント1808から構成されることができ、調整可能アームの近位端は、ヘッドレストマウント1806に取り付けられる第1のボールジョイントから構成され、調整可能アームの遠位端は、顎レスト1802に直接的にまたは間接的に取り付けられる最後のボールジョイントから構成される。この実施形態は、患者の顎および顔のサイズの変動性を説明する。いくつかの実施形態では、各ボールジョイント1808は、そのベースに静電磁石を有することができる。ボールジョイント1808は、ボールソケット1810内に封入または部分的に封入されることができ、磁気レオロジー流体は、ボールジョイントと内側ベアリング表面上のボールソケットとの間の潤滑剤として作用することができる。
【0076】
上述したように、磁気レオロジー流体を制御するために、顎支持装置は、電磁石および適切な制御を含むことができる。したがって、磁気レオロジー流体が電磁石によって生成された磁場にさらされると、流体の粘度は、粘弾性固体になるまで増加する。粘弾性固体のために磁気レオロジー流体になると、ボールジョイント1808は、効果的に所定の位置にロックされる。歯科または口腔処置が完了した後、電磁石から電流を取り除くと、磁場を非アクティブ化することができ、磁気レオロジー流体は、流動性の液体状態に戻ることができる。これは、ボールソケット1810内のボールジョイント1808が再び自由に動くことを可能にする。いくつかの実施形態では、顎レスト1802はまた、磁気レオロジー流体を含み、同様に調整可能である。他の実施形態では、磁気レオロジー流体のアクティブ化は、顎レストの動きに影響を与えない。上述したように、電流は、適切な制御を使用して、外科医、歯科医、または助手によってアクティブ化および非アクティブ化されることができる。例えば、ユーザは、フットコントロールペダルまたはハンドスイッチを使用してアクティブ化を制御することができる。
【0077】
上記のように、調整可能アーム1804は、調整可能ヘッドレストマウント1806を介して歯科用椅子に取り付けられることができる。調整可能ヘッドレストマウント1806は、歯科用椅子のヘッドレストのネック部分に取り付けられることができるか、またはヘッドレストの背面に直接取り付けられることができる。いくつかの実施形態では、調整可能ヘッドレストマウント1806は、ノブによって制御されることができる摩擦ロックを使用して、歯科用椅子のより高い位置またはより低い位置に配置されることができる。したがって、ノブが一方向に回転されると、ロックを緩め、ヘッドレストマウント1806がネック部分またはヘッドレストに沿って移動することを可能にする。ノブが反対方向に回転されると、ロックを締め、ヘッドレストマウント1806を所定の位置に保持することができる。いくつかの実施形態では、ヘッドレストマウント1806はまた、調整可能アーム1804のそれぞれのための第1のボールジョイントおよびボールソケットを含むことができる。
【0078】
したがって、一実施形態では、
図18-
図21に示されるように、顎支持装置は、その端部に取り付けられた2つの調整可能アーム1804を有する調整可能ヘッドレストマウントを含むことができ、各調整可能アーム1804は、第1の近位ボールジョイントおよびボールソケット、第1のボールジョイントおよびボールソケットに取り付けられ且つ第3のボールジョイントおよびボールソケットに取り付けられた第2のボールジョイントおよびボールソケット、ならびに第3のボールジョイントおよびボールソケットならびに顎レスト1802に取り付けられた第4の遠位ボールジョイントおよびボールソケットから構成される。
【0079】
上述の種々の実施形態は、単なる例示によって与えられ、これに添付する特許請求の範囲を限定すると解釈すべきではない。当業者は、以下の特許請求の範囲の真の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に示され、記載される例となる実施形態および用途に従うことなくなされてもよい種々の改変および変更を容易に認識するであろう。