IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社システックの特許一覧

<>
  • 特許-ルート・飛行直下映像合成提供システム 図1
  • 特許-ルート・飛行直下映像合成提供システム 図2
  • 特許-ルート・飛行直下映像合成提供システム 図3
  • 特許-ルート・飛行直下映像合成提供システム 図4
  • 特許-ルート・飛行直下映像合成提供システム 図5
  • 特許-ルート・飛行直下映像合成提供システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】ルート・飛行直下映像合成提供システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 11/60 20060101AFI20240507BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
G06T11/60 300
G09B29/00 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021072947
(22)【出願日】2021-04-23
(65)【公開番号】P2022167257
(43)【公開日】2022-11-04
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】396020132
【氏名又は名称】株式会社システック
(72)【発明者】
【氏名】香高 孝之
(72)【発明者】
【氏名】大城 巧
(72)【発明者】
【氏名】太田 偉喜
【審査官】岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-221108(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2161917(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 11/60
G09B 29/00
G06T 1/00
G06F 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行手段と、前記飛行手段に搭載され制御及び測定及び映像撮影を行う、第一制御手段と前記飛行手段の位置を測定する第一位置測定手段と前記飛行手段の地表からの高さを測定する地表高さ測定手段と前記飛行手段の向く方位を測定する方向測定手段と前記飛行手段の水平からの角度である傾斜度を測定する傾斜度測定手段と前記飛行手段から直下の映像を撮影するカメラと、を搭載する飛行撮影体を有する直下映像データ取得装置と、
少なくとも、ルート上を飛行し前記映像を取得する前記飛行手段の位置と前記地表からの高さと前記方位のデータと、前記カメラが撮影した前記映像データとを関連付けて格納する位置・映像・補正値データメモリと、通行者が通行するためのルートを表すルートデータメモリと、前記ルートが関係する地図データを格納する地図データメモリと、前記通行者が通行するルートの選択指定を行え、前記通行の現場で実行させることで、前記通行者が通行する前記ルート上の各位置での前記映像と前記ルートを前記ルートが見えるように重ね合成し表示するルート/映像合成手段と、を有する映像データ提供装置と、
前記通行に際して前記通行者の位置を測定する第二位置測定手段と、プログラム・データ導入・計画・実行手段と、前記表示のための表示手段と報知のための音声出力手段と、前記第二位置測定手段と前記プログラム・データ導入・計画・実行手段と前記表示手段と前記音声出力手段を制御する第二制御手段と、前記表示又は/及び前記報知のための実績データを格納する実績データメモリと、を有するユーザー端末装置と、
を備え、前記プログラム・データ導入・計画・実行手段は、
前記映像データ提供装置から前記ルートに関する前記地図データ、前記ルートのルートデータ、前記通行者の位置に関する前記映像の映像データと各位置での前記映像と前記ルートを前記ルートが見えるように重ね合成し表示するルート/映像合成手段を導入し、前記ルートの選択指定と前記現場で実行を行わせるものであることを特徴とするルート・飛行直下映像合成提供システム。
【請求項2】
前記直下映像データ取得装置は、更に、条件設定手段と地図・ルートデータメモリと飛行経路データメモリと撮影位置・高さ・方向・傾斜データメモリとを備え、前記条件設定手段は、前記地図・ルートデータメモリから提供される前記地図と前記ルートのデータの表示を参照して、前記撮影の為に飛行する前記飛行手段の飛行経路と前記撮影の位置・高さ・方向・傾斜といった前記飛行及び前記撮影の条件を予め設定又は撮影される現場で操作指示するためのものであり、前記設定又は前記操作指示した条件は、各々、前記飛行経路データメモリと前記撮影位置・高さ・方向・傾斜データメモリに蓄えられ、前記飛行と前記撮影の制御に供されるものであることを特徴とする請求項1記載のルート・飛行直下映像合成提供システム。
【請求項3】
前記映像と前記ルートの重ね合わせの場合に、前記直下の映像との前記重ね合わせ以外に少なくとも1点以上の地点での前記重ねあわせを行うか、前記位置での前記映像と隣の位置で撮影した前記映像とを繋ぐように重ね合わせるか、複数の前記位置での前記映像に共通して映った被写体の位置を重ね合わせるか、予め設置した目印を用いて重ね合わせるか、のいずれかであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のルート・飛行直下映像合成提供システム。
【請求項4】
前記通行者がいる前記位置での地上の傾斜角を考慮して、前記飛行手段が撮影した直下の前記映像上に前記通行者の前記位置を表示する場合に、
前記映像の中心から前記傾斜角に起因する補正量だけ移動して表示をするか、又は、前記補正量だけ移動して表示した点を中心になるように前記映像の長い側を削除して表示することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のルート・飛行直下映像合成提供システム。
【請求項5】
前記映像データ提供装置に、前記補正量を求める傾斜補正値作成手段を有し、
前記ユーザー端末装置側で使用する前記補正量は、前記ユーザー端末装置に前記傾斜補正値作成手段をダウンロードして計算するか、又は、前記映像データ提供装置側の前記傾斜補正値作成手段が前記ルート内の各位置で求め、前記位置・映像・補正値データメモリに格納しておいた計算済みの補正値を導入するか、いずれかであることを特徴とする請求項4記載のルート・飛行直下映像合成提供システム。
【請求項6】
前記ルート/映像合成手段は、前記地図又は前記ルートの全体に対する映像を画素数の少ない(粗い映像)ものにし、地点の地点枠の映像を画素数の多い(精細な映像)にして表示をすることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載のルート・飛行直下映像合成提供システム。
【請求項7】
前記ルート/映像合成手段は、前記通行者の進行方向の現在位置より先の地点の前記映像を表示するための次点映像切り替え機能、又は、前記現在位置の前記映像と前記先の地点の前記映像を同時に表示する次点映像同時表示機能、を備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載のルート・飛行直下映像合成提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図上の予め設定したルートに沿って通行する通行者の現在地に対応した位置の上空から見た映像とルートを両者が見えるように合成し、通行者の携帯端末に通行者の位置を地図に代わって映像上に表示することで現実感を与えるシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地図上にルートを線で示したり、実際に移動した軌跡をGPSで取得したデータを示したりすることは行われているが、地図上の等高線の表示は、利用する者に取って、現実感を感じない。これに代わって、人間は上から俯瞰してみた映像は、実際見てなくとも現実感・臨場感を感じる。例えば、上空が見えないほどの樹木で覆われた下を通過している人間は、実際は見ていなくても、上空から樹木とその周辺の景色の映像を見ると現実感・臨場感を感じ、その樹木の領域にルートが示され、どのあたりに自分がいるという印を見るだけで、より大きな現実感・臨場感をもって楽しむことができる。このような観点では、従来のものは、要望を満たしていないといえる。特許文献を以下に追って記述する。
特許文献1は、スポット空中写真のデータと平面地図のデータと地上の高所から撮影した地上写真のデータを総合して俯瞰地図を作成する方法を提示するものであるが、上記のような地上の通行者に現実感・臨場感を与えるものではない。
特許文献2は、地図上の走行軌跡を配置する合成を行って表示するものであり、車のコース誘導・ナビゲーション用であるが、上記のような観点を満たす要素はない。
特許文献3は、ウェブサイトにおいて、観光地や景勝地の航空動画映像と、その位置を地図上に示した情報を疑似・模擬体験として提供するものである。これも、観光案内を有効にするものではあるが、上記のような観点を満たす要素はない。
特許文献4は、地点に対応して予め撮影した画像と付属情報を表示するものであり、例えば、GPSで取得したある地点は、交差点で、左に建物があり、右に橋がある場合、この地点を含む地図が表示され、表示画面内の別枠に建物と橋の映像が示され、これらの付属情報が与えられるものであるが、現地案内には便利であるが、上記のような観点を満たす要素はない。
特許文献5は、パイロットの判断のため、航空機の緯度、経度、高度の位置データを地形データと合成して表示を提供するものであるが、操縦のための補助や指示には便利であるが、安全航行のためなので、所謂上空からの眺めの良さで現実感を与えるものではない。地形図自体が、飛行体から取った映像ではなく、その代り、三次元的な表示の地形図になっている。上記のような地上の通行者に現実感・臨場感を与える目的には不都合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-280519
【文献】特開昭58-201016
【文献】特開2007-109193
【文献】特許第4210309号
【文献】特開2002-298161
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の課題は、通行者の携帯端末装置に、通行しているルートと、飛行体が撮影した現在位置を上から俯瞰した直下の映像と、現在位置とを重ねて表示することで、地上の通行者に現実感・臨場感を与えるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下請求項に沿い記述する。
請求項1記載の発明は、ルート・飛行直下映像合成提供システムであって、
飛行手段と、前記飛行手段に搭載され制御及び測定及び映像撮影を行う、第一制御手段と前記飛行手段の位置を測定する第一位置測定手段と前記飛行手段の地表からの高さを測定する地表高さ測定手段と前記飛行手段の向く方位を測定する方向測定手段と前記飛行手段の水平からの角度である傾斜度を測定する傾斜度測定手段と前記飛行手段から直下の映像を撮影するカメラと、を搭載する飛行撮影体を有する直下映像データ取得装置と、
少なくとも、ルート上を飛行し前記映像を取得する前記飛行手段の位置と前記地表からの高さと前記方位のデータと、前記カメラが撮影した前記映像データとを関連付けて格納する位置・映像・補正値データメモリと、通行者が通行するためのルートを表すルートデータメモリと、前記ルートが関係する地図データを格納する地図データメモリと、前記通行者が通行するルートの選択指定を行え、前記通行の現場で実行させることで、前記通行者が通行する前記ルート上の各位置での前記映像と前記ルートを前記ルートが見えるように重ね合成し表示するルート/映像合成手段と、を有する映像データ提供装置と、
前記通行に際して前記通行者の位置を測定する第二位置測定手段と、プログラム・データ導入・計画・実行手段と、前記表示のための表示手段と報知のための音声出力手段と、前記第二位置測定手段と前記プログラム・データ導入・計画・実行手段と前記表示手段と前記音声出力手段を制御する第二制御手段と、前記表示又は/及び前記報知のための実績データを格納する実績データメモリと、を有するユーザー端末装置と、
を備え、前記プログラム・データ導入・計画・実行手段は、
前記映像データ提供装置から前記ルートに関する前記地図データ、前記ルートのルートデータ、前記通行者の位置に関する前記映像の映像データと各位置での前記映像と前記ルートを前記ルートが見えるように重ね合成し表示するルート/映像合成手段を導入し、前記ルートの選択指定と前記現場で実行を行わせるものであることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のルート・飛行直下映像合成提供システムにおいて、
前記直下映像データ取得装置は、更に、条件設定手段と地図・ルートデータメモリと飛行経路データメモリと撮影位置・高さ・方向・傾斜データメモリとを備え、前記条件設定手段は、前記地図・ルートデータメモリから提供される前記地図と前記ルートのデータの表示を参照して、前記撮影の為に飛行する前記飛行手段の飛行経路と前記撮影の位置・高さ・方向・傾斜といった前記飛行及び前記撮影の条件を予め設定又は撮影される現場で操作指示するためのものであり、前記設定又は前記操作指示した条件は、各々、前記飛行経路データメモリと前記撮影位置・高さ・方向・傾斜データメモリに蓄えられ、前記飛行と前記撮影の制御に供されるものであることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のルート・飛行直下映像合成提供システムにおいて、
前記映像と前記ルートの重ね合わせの場合に、前記直下の映像との前記重ね合わせ以外に少なくとも1点以上の地点での前記重ねあわせを行うか、前記位置での前記映像と隣の位置で撮影した前記映像とを繋ぐように重ね合わせるか、複数の前記位置での前記映像に共通して映った被写体の位置を重ね合わせるか、予め設置した目印を用いて重ね合わせるか、のいずれかであることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のルート・飛行直下映像合成提供システムにおいて、
前記通行者がいる前記位置での地上の傾斜角を考慮して、前記飛行手段が撮影した直下の前記映像上に前記通行者の前記位置を表示する場合に、
前記映像の中心から前記傾斜角に起因する補正量だけ移動して表示をするか、又は、前記補正量だけ移動して表示した点を中心になるように前記映像の長い側を削除して表示することを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のルート・飛行直下映像合成提供システムにおいて、
前記映像データ提供装置に、前記補正量を求める傾斜補正値作成手段を有し、
前記ユーザー端末装置側で使用する前記補正量は、前記ユーザー端末装置に前記傾斜補正値作成手段をダウンロードして計算するか、又は、前記映像データ提供装置側の前記傾斜補正値作成手段が前記ルート内の各位置で求め、前記位置・映像・補正値データメモリに格納しておいた計算済みの補正値を導入するか、いずれかであることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか1つに記載のルート・飛行直下映像合成提供システムにおいて、
前記地図又は前記ルートの全体に対する映像を画素数の少ない(粗い映像)ものにし、地点の地点枠の映像を画素数の多い(精細な映像)にして表示をすることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか1つに記載のルート・飛行直下映像合成提供システムにおいて、
前記ルート/映像合成手段は、前記通行者の進行方向の現在位置より先の地点の前記映像を表示するための次点映像切り替え機能、又は、前記現在位置の前記映像と前記先の地点の前記映像を同時に表示する次点映像同時表示機能、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上の様に構成されているので、本発明によるルート・飛行直下映像合成提供システムでは、通行者が、携帯端末装置の表示を見ることで、現在どの地点にいて、上空から見た景色や地形がどのようになっているかを明瞭に把握しながら通行し、更に周囲にどのようなものがあるかが広い視界(樹木の中の道では、通常視界が小さい)で見ることができるので、通行者に現実感・臨場感を持たせた案内が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明にかかるルート・飛行直下映像合成提供システムの構成の一実施態様を示す図である。
図2】本発明にかかるルート・飛行直下映像合成提供システムの主に直下映像データ取得装置の役割の一実施態様を説明する図である。
図3】本発明にかかるルート・飛行直下映像合成提供システムのユーザー端末装置での動作の一実施態様を示す図である。
図4】本発明にかかるルート・飛行直下映像合成提供システムの傾斜補正手段の役割の一実施態様を示す図である。
図5】本発明にかかるルート・飛行直下映像合成提供システムの傾斜補正手段の補正に関する量的関係の例を示す図である。
図6】本発明にかかるルート・飛行直下映像合成提供システムの動作フローの一実施態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明にかかるルート・飛行直下映像合成提供システムの構成の一実施態様を示す図である。ルート・飛行直下映像合成提供システム1000は、直下映像データ取得装置100と映像データ提供装置200とユーザー端末装置300を備えている。
直下映像データ取得装置100は、飛行撮影体110と条件設定手段120と地図・ルートデータメモリ130と飛行経路データメモリ140と撮影位置・高さ・方向・傾斜データメモリ150とを備えている。条件設定手段120において、地図・ルートデータメモリ130から提供される地図とルートのデータの表示を参照して、撮影の為に飛行する飛行経路と撮影位置・高さ・方向・傾斜という飛行及び撮影の条件を予め設定する。設定した条件は、各々、飛行経路データメモリ140と撮影位置・高さ・方向・傾斜データメモリ150に蓄えられる。
【0015】
飛行撮影体110は、飛行経路データメモリ140と撮影位置・高さ・方向・傾斜データメモリ150からのデータを用いて、第一制御手段117により、
ドローンやバルーン、飛行船、ヘリコプター、飛行機などの飛行手段111と飛行手段に搭載した、GPS(グローバル位置測位システム)等の第一位置測定手段112と地表高さ測定手段113と方向測定手段114と傾斜度測定手段115と撮影のためのカメラ116を駆動し、ルート上空を定められた条件で飛行し、定められた条件で直下の俯瞰映像の撮影を行う。地表高さ測定手段113としては、レーザ距離計や赤外線距離計、超音波距離計などが使用できる。また、GPSで取得した飛行手段111の高度とその位置の地図上の地表高度との差から、飛行手段111の地表高さを求めることもできる。
方向測定手段114としては、ジャイロコンパス、磁針等が使用できる。傾斜度測定手段115としては、水準器又は水平角度測定器が用いられる。
尚、条件設定手段120での設定は、飛行・撮影前に予め行っても良いが、予めの設定を省いて、飛行撮影体110を飛ばしながら、操作者の手元の制御端末で随時の指示操作により行ってもよい。その場合は、操作者は、制御端末の表示で示される飛行撮影体110の位置・地表高さ・方向・傾斜度と、出来ればカメラの情報を見ながら、飛行撮影体110を操縦し撮影を行う。尚、通行者が操作者となる(操作者兼通行者)、例えば、ドローン等の飛行撮影体を通行者が所持して、通行しながら、上空からの映像を撮影し、そのデータを映像データ提供装置200側に提供し、他の通行者にそのデータを使用してもらう場合も可能であり、その場合の通行者は、操作者の役割を果たし、直下映像データ取得装置100を使用して、映像のデータを取得する。この場合でも操作者の手元の制御端末で随時の指示操作により行うことも可能である。通行者が操作者となる場合の例は、よくあり、例えば、映像データ提供装置200は会員制のサイトが運営し、通行者であるその会員が、自分も有する飛行撮影体により通行と同時に真上から映像を撮影し、それをサイトに記録として載せ、他の会員がその映像データを利用することになり、会員同士のデータの有効利用が促進される。
又、飛行・撮影前に予め設定した条件設定手段120での設定は、実際に飛行させ映像を撮影する段階で、映像や測定データを見ながら、位置、高度、方向、傾斜、撮影倍率などの諸条件を現場で調整することが可能であり、より映像に現実感・臨場感を与えることができる。
【0016】
次に、映像データ提供装置200を説明する。映像データ提供装置200は、通行者が通行するであろうルート(既知のルート、他の通行者が通行した実績ルート)のデータを格納するルートデータメモリ210と位置・映像・補正値データメモリ220と等高線を有する通常の地図のデータを格納する地図データメモリ230と、ルート/映像合成手段241と傾斜補正値作成手段242とを有するプログラムメモリ240を備えている。位置・映像・補正値データメモリ220は、直下映像データ取得装置100により取得した位置・高さ・方向・傾斜のデータと取得した映像と後述する補正値を関連付けて保存する。
ルート/映像合成手段241は、基本的には、通行者のユーザー端末装置にダウンロードされて使用されるもので、通行するルートの選択指定(必要に応じ通行順も含む)が行え、通行の現場で実行させることで、ユーザー端末装置の位置測定装置と連動して、各位置において、通行者の位置と通行するルートデータとルート上の各位置に対応し直上から撮影し俯瞰した直下映像のデータとをルートが見えるように重ね合わせ合成し、表示する手段である。従って、通行者は、通行者の現在位置に対応してルートと俯瞰した直下映像と現在位置をユーザー端末装置300上で見ることができ、現実感・臨場感を持った案内を得ることができる。地図データ上の各部分は緯度・経度が既知であり、通行者の現在位置は測定され、直下映像データも位置データと関連がついているので、位置データを基に三者は後述する補正をして重ね合わせ合成される。
【0017】
傾斜補正値作成手段242は、後述するとして、先にユーザー端末装置300を説明する。
ユーザー端末装置300は、通行者がルート上を通行の際に携帯する端末(携帯電話等の端末)であり、プログラム・データ導入・計画・実行手段310とGPS等の第二位置測定手段320と表示手段330と音声出力手段340とこれらを制御する第二制御手段350を備える。通行者は、予め、ユーザー端末装置300のプログラム・データ導入・計画・実行手段310を用い、映像データ提供装置200の各メモリから、通行するルートに関する地図データ、ルートデータ、位置・映像・補正値データとルート/映像合成手段241(ソフトウェア)を求め(ダウンロード)、格納し、ルートに沿った通行の計画を作成できる。
ルート/映像合成手段(ソフトウェア)241を通行の現場で計画を実行させると、第二位置測定手段320が測定する現在位置に対して、通行者の現在位置に対応してルートと俯瞰した直下映像と現在位置が重ね合わせ合成されて表示手段330に表示される。必要な場合は、音声出力手段340で音声出力される。尚、通行者の現在位置に対応してルートと俯瞰した直下映像と現在位置のデータは、ユーザー端末装置300の第二制御手段350により、実績データメモリ351に格納され、後での見分や記録としての保存に供される。
尚、傾斜補正値作成手段(ソフトウェア)242を導入して補正計算をユーザー端末装置300側で行ってもよいが、補正計算を映像データ提供装置200側で予め行って、各位置に対応する補正値として、位置・映像・補正値データメモリ220に格納し、ユーザー端末装置300側は、映像データ提供装置200側から位置に対応する計算済みの補正値データを貰う方が好ましい。尚、ルート/映像合成手段(ソフトウェア)241の機能として、通行者の進行方向の現在位置より少し先の地点の映像を表示するための次点映像切り替え機能、又は、現在位置の映像と少し先の地点の映像を同時に表示する次点映像同時表示機能、を備えると好都合である。これにより案内機能が更に有効になる。
尚、映像と地図やルートとの重ね合わせの場合には、ルート/映像合成手段241が有する付属機能として、以下の補正機能(重ねの機能)が好ましい。
直下位置での重ね合わせはよくとも、直下から離れるにつれ、ずれがでる場合がある。対応として、映像とルートの重ね合わせの場合に、直下の映像との重ね合わせ以外に少なくとも1点(できれば2点)以上の地点での重ねあわせを行うか、位置での映像と隣の位置で撮影した映像とを繋ぐように重ね合わせるか、複数の位置での映像に共通して映った被写体(例えば、よく見えて目立ちやすい岩場など)の位置を重ね合わせるか、予め設置した、見やすい目印を用いて重ね合わせるか、が可能である。このようにすることで映像の倍率の補正も可能となる。
【0018】
図2は、本発明にかかるルート・飛行直下映像合成提供システムの主に直下映像データ取得装置の役割の一実施態様を説明する図である。直下映像データ取得装置100の条件設定手段120において、地図・ルートデータメモリ130から提供される地図とルートのデータの表示を参照して、撮影の為に飛行する飛行経路と撮影位置・高さ・方向・傾斜という飛行及び撮影の条件を予め設定すると前述したが、地図データは、例えば、図2の2-1のように等高線等や、記述はないが、適当な位置で、緯度、経度、高度等のデータを保有(4隅だけでも可能)し、ルート図データは、図2の2-2のように、地図データと同じ枠でルートデータを保有している。ルートデータは、既に明確に知られたものや、多くの通行者の携帯するGPSにより取得されたルートデータ等が使用できる。条件設定手段120では、これらに基づいて、図2の2-3に示すルート全体枠、或いは、図2の2-5に示す、ルートに沿った各地点枠、について上空からの直下映像を取得したい。映像取得の結果、ルートデータ2-2、地図データ2-1と合成することで、ルート全体枠では、2-4の様な全体合成映像の作成が可能となり、ルートに沿った各地点枠では、通行者の各現在位置毎に各地点枠の合成映像の作成が可能となる。そのために、飛行撮影手段は、各位置でカメラ116により、直下の映像を取得し、データを位置・映像・補正値データメモリ220に送付する。
【0019】
図3は、本発明にかかるルート・飛行直下映像合成提供システムのユーザー端末装置での動作(表示)の一実施態様を示す図である。
図3の3-1では、通行者の所有するユーザー端末装置300には、通行によりGPS等の第二位置測定手段320で得た現在位置に対応して、その位置にもっとも近い位置の上空の飛行手段111が予め撮影した直下映像と通行者の現在位置とルートデータと必要の場合は地図データが、少なくともルートデータが見えるように重ね合わせて表示される。
尚、ルート/映像合成手段241は、地図やルート全体に対する映像を画素数の少ない(粗い映像)ものにして、各地点枠の映像を画素数の多い(精細な映像)にするのも表示にメリハリが出来て好都合である。
実際の現場では、通行者は、この例では樹林相地の中を通行しているので、樹林に視界が閉ざされ、周りが見えないのであるが、ユーザー端末装置300の表示を見ると、直下映像を俯瞰しながら通行し、自分がどの位置にいるか、周りにどのようなもの(展望の岩相地や、水相地に近づく砂相地など)があるかとか、を現実感・臨場感をもって認識し、満足或いは、把握により安心した通行を可能とする。
尚、図3の3-2では、予め、ユーザー端末装置300のプログラム・データ導入・計画・実行手段310で、通行計画の作成において、例えば、B→C→Aの順に訪れる計画では、
現在地から先ず、Bの砂相地への案内が矢印や点滅などで顕示的に表示され、Bが終るとCの岩相地への案内が顕示的に表示される。尚、行き先での見どころ案内が有ってもよい。例えば、訪れても実際には見れない断崖斜面や洞窟等の映像も関連情報として有効である。
【0020】
最後に、図4を用いて、傾斜補正値作成手段242を説明する。図4は、本発明にかかるルート・飛行直下映像合成提供システムの傾斜補正手段の役割の一実施態様を示す図である。4-1では、地図上の三角で示す位置に通行者の現在地があるとして、その位置は、地図の等高線データからγの傾斜角(水平からの角度)を有しているとする。4-2には、その現在地の上空から水平状態のカメラが真下を撮影している状態を示し、カメラの画角がθである状態を示す。θの値は、望遠、標準、広角などレンズの特性により決まる。水平線に対してγの傾斜面(太線)を撮影した平面的映像(写真)は、点p1と点p2の間となり、長さv1+長さv2の範囲であり、映像の中心点は、点p3であり、カメラの直下の点p0とは、s1の差異がある。直下にいる通行人にとっては、映像の中心点にいるとの錯覚が生じるので、この差異を補正した位置を示すことが好ましい。実映像は、更に、点p1と点p2を結ぶ線を水平面上に投射した値であり、s1の差異にcosγを掛け算したs2の値になる。これら状況と算定式が、図4に示されている。
表示地図上にs2の距離だけ映像の中心から移動した点に現在地の表示をするか、又は、映像の中心を現在地にする為に、v2側の長さをs2だけ削除して、v1と同じ長さにして通行者の携帯端末装置に表示する(表示倍率補正を行うことは当然である)ことで、補正ができる。
尚、補正は、携帯端末装置300に傾斜補正値作成手段242をダウンロードして行ってもよいし、映像データ提供装置200側の傾斜補正値作成手段242で予めルート内の各位置で求めた補正値を位置・映像・補正値データメモリに格納しておいて、計算済みの補正値を導入してもよい。この方が、計算処理が少なくてよい。
尚、計算式のみ以下に記述しておく。h0は撮影時のカメラの地上からの高さである。
s1は、p0とp3間の距離差である。s2は、s1を水平に投影した距離である。
w=2h0*tan(θ/2)
α1=90°-θ/2+γ
α2=90°-θ/2-γ
v1=h0*sin(θ/2)/sin(α1)
v2=h0*sin(θ/2)/sin(α2)
撮影時の画像中心位置とカメラ直下位置の差異s1=(v1+v2)/2-v1=(v2-v1)/2
実画像中の差異s2=s1*cosγ

尚、通行者の真上の映像データが無くて、直近の位置の映像データで表示する場合は、ユーザー端末装置からの現在位置と直近の位置の差異s3を考慮して、補正量をs2±s3とする。±の符号は、現在位置と直近の位置の位置関係により決まる。例えば、4-2で左側を正方向として見た場合、直近のカメラの位置が現在位置p0より正方向にあった場合を考えると、映像は正方向にずれるので、逆に現在位置は、映像上では負の方向にあることになり、s1は、正の方向だったのに対して、s3は反対の向きであり、「-」の符号をとる。
【0021】
図5は、本発明にかかるルート・飛行直下映像合成提供システムの傾斜補正手段の補正に関する量的関係の例を示す図である。上記の計算式を用いて、傾斜角12°の例で、カメラ画角30°、45°、60°、撮影のカメラ高さ50m、100mの場合の補正量に関する一例を示す。補正量s2に示すような値になる。
【0022】
図6は、本発明にかかるルート・飛行直下映像合成提供システムの動作フローの一実施態様を示す図である。
6-1は、飛行直下映像取得フローであり、(A)において、撮影のためのルート設定と撮影条件設定が条件設定手段120を介して行われる。
(B)において、飛行撮影体110を介して行われるものであり、飛行手段111と第一位置測定手段112が移動・位置取得を行い、設定位置かを確認し、地表高さ測定手段113、方向測定手段114,傾斜度測定手段115が、地表高さ・方向・傾斜度を測定、飛行手段に調整させ、カメラ116が位置対応直下映像取得をおこない、繰り返し、撮影予定が完了すれば、取得データを映像データ提供装置200側に送付する。
6-2は、ユーザー端末での実行フローであり、(a)において、取得データを映像データ提供装置200側から、システムプログラムの導入としてルート/映像合成手段(ソフトウェア)241のダウンロードを行う。(b)において、次に、実行に先立ち、ルート/映像合成手段(ソフトウェア)241を用いて、ルート設定・必要データの取り込みを行う。次に、(c)において、現地を通行する場合であり、ユーザー端末装置で実行を行うと、現地案内実行がなされる。具体的には、ユーザー端末装置の第二位置測定手段320により位置取得が行われ、現在位置に対応して、ルートと映像と現在位置(映像上で位置が補正されて)が合成表示される。
【産業上の利用可能性】
【0023】
以上のように本発明にかかるルート・飛行直下映像合成提供システムは、通行しているルート、飛行体が撮影した現在位置を上から俯瞰した映像と、現在位置とを重ねて表示することで、地上の通行者に現実感・臨場感を与えた案内システムを提供するので産業上利用して極めて好都合である。
【0024】
100 直下映像データ取得装置
110 飛行撮影体
111 飛行手段
112 第一位置測定手段
113 地表高さ測定手段
114 方向測定手段
115 傾斜度測定手段
116 カメラ
117 第一制御手段
120 条件設定手段
130 地図・ルートデータメモリ
140 飛行経路データメモリ
150 撮影位置・高さ・方向・傾斜データメモリ
200 映像データ提供装置
210 ルートデータメモリ
220 位置・映像・補正値データメモリ
230 地図データメモリ
240 プログラムメモリ
241 ルート/映像合成手段
242 傾斜補正値作成手段
300 ユーザー端末装置
310 プログラム・データ導入・計画・実行手段
320 第二位置測定手段
330 表示手段
340 音声出力手段
350 第二制御手段
351 実績データメモリ
1000 ルート・飛行直下映像合成提供システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6