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特許7482532サイクロセリン化合物の製剤およびそれらの用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】サイクロセリン化合物の製剤およびそれらの用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/42 20060101AFI20240507BHJP
   A61K 9/28 20060101ALI20240507BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240507BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240507BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240507BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240507BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240507BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240507BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240507BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20240507BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240507BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240507BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240507BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240507BHJP
   A23L 33/00 20160101ALI20240507BHJP
【FI】
A61K31/42
A61K9/28
A61K47/12
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/44
A61K47/02
A61K47/20
A61K47/34
A61K47/10
A61P25/00
A61P31/04
A23L33/00
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021513838
(86)(22)【出願日】2019-09-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 CN2019105635
(87)【国際公開番号】W WO2020052643
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】16/130,747
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518343246
【氏名又は名称】シニュークス インターナショナル(タイワン)コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100134784
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和美
(72)【発明者】
【氏名】クオチョアン エミル ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン チン-チョン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン シン-シン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ シュアン-アン
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0026218(KR,A)
【文献】特表2006-525287(JP,A)
【文献】国際公開第2017/167997(WO,A1)
【文献】特表2009-504796(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0302132(US,A1)
【文献】国際公開第2005/016319(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/030903(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/024129(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/017585(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0018349(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0205682(US,A1)
【文献】特表2005-504763(JP,A)
【文献】Drug Delivery System,2015年,30(2),pp.92-99(同上)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体剤形であって、
(i)サイクロセリン化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む、内部コア、ここで、前記薬学的に許容される賦形剤が、充填剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、担体、分散試薬、抗沈降試薬、増強剤、徐放性試薬、またはそれらの混合物を含み、前記内部コアはマンニトールを含まず、pH調整剤を含まない、
(ii)前記内部コアに付着した、ポリメタクリレート、フタル酸塩、セルロースエステル、シェラック、アルギン酸塩、またはそれらの混合物を含む腸溶層、
を含み、
前記固体剤形が、約10mg~約1500mgの前記サイクロセリン化合物を含有
前記固体剤形において、前記腸溶層の含量が、前記内部コアの含量の10%~14%(w/w)である、固体剤形。
【請求項2】
(iii)前記内部コアと前記腸溶層との間の単離層をさらに含み、前記単離層が、セルロースポリマーを含む、請求項に記載の固体剤形。
【請求項3】
前記内部コアにおいて、
(a)前記充填剤が、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、リン酸カルシウム、微結晶性セルロース、およびそれらの混合物からなる群から選択され、
(b)前記結合剤が、カルボキシメチルセルロース、微結晶性セルロース(MCC)、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、アカシア、およびそれらの混合物からなる群から選択され、
(c)前記崩壊剤が、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)、クロスカルメロース、クロスポビドン、炭酸ナトリウム、およびそれらの混合物からなる群から選択され、ならびに/または
(d)前記潤滑剤が、ステアリン酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸カルシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項または請求項に記載の固体剤形。
【請求項4】
前記内部コア中の前記薬学的に許容される賦形剤が、約50~500mgの前記充填剤、約10~100mgの前記結合剤、約10~200mgの前記崩壊剤、および約5~100mgの前記潤滑剤を含む、請求項のいずれか一項に記載の固体剤形。
【請求項5】
前記充填剤が、微結晶性セルロース(MCC)pH102を含み、前記結合剤が、ヒドロキシルプロピルセルロース(HPC)を含み、前記崩壊剤が、クロスカルメロースを含み、前記潤滑剤が、ステアリン酸マグネシウムを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の固体剤形。
【請求項6】
前記腸溶層が、
(a)モル比1:1のポリ(メタクリル酸-co-エチルアクリレート)、モル比1:1のポリ(メタクリル酸-co-メチルメタクリレート)、モル比1:2のポリ(メタクリル酸-co-メチルメタクリレート)、およびモル比7:3:1のポリ(メチルアクリレート-co-メチルメタクリレート-co-メタクリル酸)からなる群から選択される、ポリメタクリレート、
(b)ポリ酢酸ビニルフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、フタル酸ジエチル、および酢酸フタル酸セルロースからなる群から選択される、フタレート、ならびに/または
(c)酢酸トリメリト酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、および酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される、セルロースエステルを含む、請求項のいずれか一項に記載の固体剤形。
【請求項7】
前記腸溶層が、1:1の比の90.5重量%~98.49重量%のポリ(メタクリル酸-co-エチルアクリレート)、0.5重量%~2重量%のラウリル硫酸ナトリウム、0.01重量%~2.5重量%のクエン酸トリエチル、0.5重量%~2.5重量%のコロイド状二酸化ケイ素、および0.5重量%~2.5重量%のタルクを含む、請求項のいずれか一項に記載の固体剤形。
【請求項8】
前記セルロースポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である、請求項のいずれか一項に記載の固体剤形。
【請求項9】
前記HPMCが、50,000~125,000ダルトンの平均分子量を有する、請求項に記載の固体剤形。
【請求項10】
前記単離層が、95.5重量%~99.49重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.5重量%~2.5重量%のタルク、および0.01重量%~2重量%のトリアセチンを含む、請求項のいずれか一項に記載の固体剤形。
【請求項11】
約10mg~約300mgの前記腸溶層および/または約10mg~約100mgの前記単離層を含む、請求項10のいずれか一項に記載の固体剤形。
【請求項12】
前記薬学的に許容される賦形剤が、MCC pH102、クロスカルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、およびステアリン酸マグネシウムを含み、前記腸溶層が、ポリメタクリレートを含み、前記単離層が、50,000~125,000ダルトンの分子量を有するHPMCを含む、請求項11のいずれか一項に記載の固体剤形。
【請求項13】
前記サイクロセリン化合物が、ナノ結晶形態である、請求項1~12のいずれか一項に記載の固体剤形。
【請求項14】
前記サイクロセリン化合物が、約0.05μm~約500μmの範囲のD90値を有する粒子形態である、請求項1~13のいずれか一項に記載の固体剤形。
【請求項15】
前記サイクロセリン化合物が、D-サイクロセリンもしくはL-サイクロセリン、またはそれらの薬学的に許容される塩である、請求項1~14のいずれか一項に記載の固体剤形。
【請求項16】
薬学的組成物、栄養補助食品組成物、健康食品、または医療食品である、請求項1~14のいずれか一項に記載の固体剤形。
【請求項17】
神経精神疾患または結核に関連する症状を緩和するための請求項1~16のいずれか一項に記載の固体剤形。
【請求項18】
前記神経精神障害が、統合失調症、精神病性障害、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、血管性認知症、レヴィー小体型認知症、老年性認知症、軽度認知障害、良性健忘症、運動失調症状、脊髄小脳変性症、閉鎖性頭部損傷、自閉症スペクトラム障害、アスペルガー障害、特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)、脆弱性X症候群、注意欠陥多動性障害、注意欠陥障害、強迫性障害、チック障害、小児期学習障害、月経前症候群、うつ病、大うつ病性障害、無快感症、自殺念慮および/または行動、双極性障害、不安障害、パニック障害、神経性食欲不振症、恐怖症、広場恐怖症、閉所恐怖症、心的外傷後ストレス障害、慢性軽度および予測不可能なストレス、摂食障害、嗜癖障害、人格障害、パーキンソン障害、ハンチントン障害、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、トゥレット症候群、夜尿症、非てんかん発作、眼瞼けいれん、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、脳卒中、慢性疼痛、痛覚過敏および異痛症を含む神経因性疼痛、糖尿病性多発神経障害、ならびに慢性疼痛症候群からなる群から選択される、請求項17に記載の固体剤形
【請求項19】
前記固体剤形が、前記対象に1日3回~3ヶ月に1回投与される、請求項17または18に記載の固体剤形
【請求項20】
前記対象が、前記神経精神障害の追加の治療を受けているか、または前記対象が、結核の追加の治療を受けている、請求項17~19のいずれか一項に記載の固体剤形
【請求項21】
前記神経精神障害または結核を治療するための追加の治療薬を、前記対象に投与することをさらに含む、請求項17~20のいずれか一項に記載の固体剤形
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月13日に出願された「Formulations of Cycloserine Compounds and Applications Thereof」と題する米国特許出願第16/130,747号の利益を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
D-サイクロセリン(すなわち、4-アミノ-3-イソキサゾリジノン)は、Streptomyces orchidaceusおよびStreptomyces garyphalusの天然産物であり、細菌の細胞壁の1つの成分であるD-アラニンの競合的アンタゴニストとして作用する。D-サイクロセリンは、アラニンラセマーゼおよびアラニンシンテターゼを阻害し、D-アラニンの欠乏により細菌の細胞壁に損傷を与える。D-サイクロセリンは、1950年代後半から抗生物質として知られており、ゼラチンカプセルの形態でSeromycin(登録商標)というブランド名で販売されている。それは、多剤耐性結核(MDR-TB)の治療のための二次治療薬として世界保健機関の必須医薬品リストに分類された。しかしながら、D-サイクロセリンは、酸性および/または水性条件下で不安定であることがわかり、ゼラチンカプセル形態は、そのような不安定性を改善することができず、胃腸管でのより好ましくない吸収をもたらす。
【0003】
抗生物質であることに加えて、D-サイクロセリンは、N-メチル-D-アスパラギン酸塩(NMDA)受容体のグリシン/D-セリン共アゴニスト部位の部分アゴニスト/アンタゴニストであることがわかり、末梢投与後に中枢神経系(CNS)で容易に利用できる。選択的な部分的NMDAアゴニストとして、D-サイクロセリンが学習過程に関連すると考えられる神経メカニズムである、長期増強(LTP)を改善することが後に証明された。D-サイクロセリンは、NMDA受容体の調節において二重の機能を果たし、低用量では正のモジュレーターとして作用するが、高用量では負のモジュレーターとして作用する。D-サイクロセリンの過剰投与は、不全麻痺、発作、および昏睡をもたらす場合がある。D-サイクロセリンの不適切な投与に関連する他の副作用には、頭痛、眠気、うつ病、めまい、空間識失調、錯乱、知覚異常、異痛症、過刺激性、精神病、けいれん、および震え(振戦)が含まれる。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、少なくとも部分的に、例えば、湿気および/または酸性環境(例えば、胃腸管)で安定な、優れた予想外の特徴、疎水性膜(ヒトの皮膚状態を模倣する)を透過することができる中性pH条件(例えば、pH6.8)での優れた溶解効率、および/または生物学的利用能の増強を示したサイクロセリン化合物を含む固体剤形(例えば、腸内製剤および経皮パッチ)の開発に基づく。
【0005】
したがって、本開示の一態様は、(i)サイクロセリン化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む内部コア、(ii)内部コアに(例えば、直接または間接的に)付着した外層、および任意に(iii)内部コアと外層との間の単離層を含む、固体剤形を提供する。薬学的に許容される賦形剤は、充填剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、担体、pH調整剤、分散剤試薬、抗沈降試薬、増強剤、徐放性試薬、またはそれらの混合物を含み得る。
【0006】
少なくともいくつかの実施形態において、外層は、腸溶層である。いくつかの例では、腸溶層は、ポリメタクリレート、フタル酸塩、セルロースエステル、シェラック、アルギン酸塩、またはそれらの混合物を含み得る。あるいは、またはさらに、単離層は、セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含む。いくつかの実施形態において、固体剤形は、約10mg~約1500mgのサイクロセリン化合物を含有する。いくつかの実施形態において、サイクロセリン化合物(例えば、D-サイクロセリン、L-サイクロセリン、またはそれらの薬学的塩)は、約0.05μm~約500μmの範囲のD90値を有する粒子形態であり得る。
【0007】
いくつかの実施形態において、固体剤形は、経皮パッチであり、外層は、経皮パッチの裏打ち層であり得る。いくつかの例では、裏打ち層は、ポリエチレン、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、テレフタレート、またはそれらの混合物のポリマーを含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される固体剤形のうちのいずれかの内部コアにおける薬学的賦形剤は、1つ以上の充填剤、1つ以上の結合剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の潤滑剤、1つ以上の担体、1つ以上のpH調整剤、1つ以上の分散試薬、1つ以上の抗沈降試薬、1つ以上の増強剤、1つ以上の徐放性試薬、および/またはそれらの混合物を含み得る。
【0009】
充填剤の例には、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、リン酸カルシウム、微結晶性セルロース、またはそれらの混合物が含まれる。結合剤の例には、カルボキシメチルセルロース、微結晶性セルロース(MCC)(例えば、MCC pH102またはMCC pH112)、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、アカシア、またはそれらの混合物が含まれる。
【0010】
例示的な崩壊剤には、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)、クロスカルメロース、クロスポビドン、炭酸ナトリウム、またはそれらの混合物が含まれる。
【0011】
例示的な潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸カルシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、またはそれらの混合物が含まれる。
【0012】
例示的な担体には、プロピレングリセロール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリセロール、テトラチレングリコールモノメチルエーテル、アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマーまたはそれらのエステル(例えば、Eudragitシリーズ、およびKollicoat MAE 30DP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(例えば、PVP K30)、酢酸フタル酸セルロース、酢酸セルロース、重合ロジン、架橋ポリアクリル酸ポリマー(例えば、Carbopol 934NF、Carbopol 940NF)、アクリレートコポリマー、ポリイソブチレン、キサンタンガム、シリコンガム、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0013】
例示的なpH調整剤には、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、または他の薬学的に許容される塩基が含まれる。
【0014】
例示的な分散試薬には、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール(PEG)400、PEG1000、PEG4000、ドデシル硫酸ナトリウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0015】
例示的な抗沈降試薬には、コーン油、ユーカリ油、ペパーミント油、安息香酸ベンジル、ゴマ油、またはそれらの組み合わせが含まれる。例示的な増強剤には、テルペン、脂肪酸、エステル、ピロリドン、精油、マンニトール、2-ピロリドン、1-メチル-2-ピロリドン、ビタミンE、またはそれらの組み合わせが含まれる。例示的な徐放性試薬には、PVP、EC、HPMC、ポリアクリレート、またはそれらの組み合わせが含まれる。任意に、PVPは、ポビドンK12である。
【0016】
いくつかの例では、内部コア中の薬学的に許容される賦形剤は、約50~500mgの充填剤、約10~100mgの結合剤、約10~200mgの崩壊剤、および約5~100mgの潤滑剤を含み得る。いくつかの例では、本明細書に記載される固体投与量は、MCC pH102を含む充填剤、ヒドロキシルプロピルセルロース(HPC)を含む結合剤、クロスカルメロースを含む崩壊剤、およびステアリン酸マグネシウムを含む潤滑剤を含み得る。
【0017】
いくつかの実施形態において、固体剤形の腸溶層は、(a)モル比1:1のポリ(メタクリル酸-co-アクリル酸エチル)、モル比1:1のポリ(メタクリル酸-co-メチルメタクリレート)、モル比1:2のポリ(メタクリル酸-co-メチルメタクリレート)、もしくはモル比7:3:1のポリ(メチルアクリレート-co-メチルメタクリレート-co-メタクリル酸)、(b)フタル酸酢酸ポリビニル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、フタル酸ジエチル、もしくはフタル酸酢酸セルロースであり得る、フタル酸塩、および/または(c)トリメリト酸酢酸セルロース、コハク酸酢酸セルロース、またはコハク酸酢酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースであり得る、セルロースエステルを含み得る。いくつかの例では、腸溶層は、1:1の比の90.5重量%~98.49重量%のポリ(メタクリル酸-co-エチルアクリレート)、0.5重量%~2重量%のラウリル硫酸ナトリウム、0.01重量%~2.5重量%のクエン酸トリエチル、0.5重量%~2.5重量%のコロイド状二酸化ケイ素、および0.5重量%~2.5重量%のタルクを含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、単離層は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含み得、これは、50,000~125,000ダルトンの平均分子量を有し得る。いくつかの例では、単離層は、95.5重量%~99.49重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.5重量%~2.5重量%のタルク、および0.01重量%~2重量%のトリアセチンを含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、約10mg~約300mgの腸溶層および/または約10mg~約100mgの単離層を含む、請求項2に記載の固体剤形。
【0020】
一例では、本明細書に記載される固体剤形は、(a)サイクロセリン化合物(例えば、D-サイクロセリン、L-サイクロセリン、またはそれらの薬学的に許容される塩)、ならびにMCC pH102、クロスカルメロース、HPC、およびステアリン酸マグネシウムを含む薬学的に許容される賦形剤を含む内部コアと、(b)ポリメタクリレートを含む腸溶層と、(c)50,000~125,000ダルトンの分子量を有するHPMCを含む単離層と、を含む。単離層は、内部コアと腸溶層との間に位置する。
【0021】
一例では、固体剤形は、(a)サイクロセリン化合物(例えば、D-サイクロセリン、L-サイクロセリン、またはそれらの薬学的に許容される塩)、ならびに担体、pH調整剤、分散試薬、抗沈降試薬、増強剤、および徐放性試薬を含む薬学的に許容される賦形剤を含む内部コアと、(b)裏打ち層と、を含む。
【0022】
本明細書に記載される固体剤形のいずれも、薬学的組成物、栄養補助食品組成物、健康食品、または医療食品であり得る。
【0023】
別の態様では、本開示は、神経精神疾患または結核に関連する症状を緩和するための方法を提供し、この方法は、それを必要とする対象(例えば、ヒト患者)に、有効量の本明細書に記載される固体剤形のうちのいずれかを投与することを含む。例示的な神経精神障害には、統合失調症、精神病性障害、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、血管性認知症、レヴィー小体型認知症、老年性認知症、軽度認知障害、良性健忘症、運動失調症状、脊髄小脳変性症、閉鎖性頭部損傷、自閉症スペクトラム障害、自閉症、アスペルガー障害、特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)、脆弱性X症候群、注意欠陥多動性障害、注意欠陥障害、強迫性障害、チック障害、小児期学習障害、月経前症候群、うつ病、大うつ病性障害、無快感症、自殺念慮および/または行動、双極性障害、不安障害、パニック障害、神経性食欲不振症、恐怖症、広場恐怖症、閉所恐怖症、心的外傷後ストレス障害、慢性軽度および予測不可能なストレス、摂食障害、嗜癖障害、人格障害、パーキンソン障害、ハンチントン障害、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、トゥレット症候群、夜尿症、非てんかん発作、眼瞼けいれん、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、脳卒中、慢性疼痛、痛覚過敏および異痛症を含む神経因性疼痛、糖尿病性多発神経障害、ならびに慢性疼痛症候群が含まれる。
【0024】
いくつかの実施形態において、固体剤形は、対象に1日3回~3ヶ月に1回投与される。いくつかの実施形態において、対象は、神経精神障害の追加の治療を受けているか、または結核の追加の治療を受けている。いくつかの実施形態において、この方法は、神経精神障害または結核を治療するための追加の治療薬を対象に投与することをさらに含み得る。
【0025】
本明細書に記載される神経精神疾患もしくは結核の治療に使用するため、または標的障害の治療に使用するための医薬品を製造するための、本明細書に記載される固体剤形のいずれもまた、本開示の範囲内である。
【0026】
本開示の1つ以上の実施形態の詳細は、本明細書に記載されている。本開示の他の特徴、目的、および利点は、詳細な説明、実施例、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】0.1N HClに2時間曝露した後の、D-サイクロセリン(製剤19、20、および22)、および賦形剤のみ(製剤21)を含む腸溶性コーティングされたカプセルを示す写真。
図2】本開示の例示的な実施形態による、パッチ製剤C~Gの放出曲線および放出動態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示は、少なくとも部分的に、酸性環境での安定性、中性pHでの効率的な溶解、疎水性膜を透過する能力、および/または高い生物学的利用能を示す、固体サイクロセリン化合物製剤(例えば、錠剤、カプセル、もしくは経皮パッチ形式)の開発に基づく。したがって、本明細書に記載される固体製剤は、神経精神障害および結核などの細菌感染症に対するサイクロセリン化合物の治療効果を有意に増強するであろう。
【0029】
したがって、本明細書で提供されるのは、サイクロセリン化合物の固体剤形、および本明細書に記載される標的疾患の治療またはその1つ以上の症状の緩和におけるその使用である。
【0030】
サイクロセリン化合物の製剤
本明細書に開示されるサイクロセリン化合物の製剤(例えば、固体製剤)は、サイクロセリン化合物(有効成分)を含有する内部コア、および内部コアに直接または間接的に付着され得る外層を含み得る。場合によっては、製剤は、内部コアと外層との間に位置し得る単離層をさらに含み得る。
【0031】
内部コアは、サイクロセリン化合物、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含み得る。「サイクロセリン化合物」という用語は、サイクロセリン(D型もしくはL型またはDL型のラセミ混合物)、それらの薬学的に許容される塩もしくはエステル、またはそれらの機能的誘導体を指す。いくつかの実施形態において、サイクロセリン化合物は、ナノ結晶D-サイクロセリンであり得る。いくつかの実施形態において、サイクロセリン化合物は、ナノ結晶L-サイクロセリンであり得る。他の実施形態では、サイクロセリン化合物は、ナノ結晶形態のDL-サイクロセリンのラセミ混合物であり得る。サイクロセリンの化学構造を以下に提供する:
【0032】
【化1】
【0033】
サイクロセリンの機能的誘導体は、1つ以上の置換基、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、および/またはハロゲンを有するサイクロセリンの同じコア構造を有する化合物であり得る。
【0034】
場合によっては、サイクロセリン化合物は、薬学的に許容されるサイクロセリンの塩である。薬学的に許容される塩は、無機塩または有機塩のいずれかであり得る。「塩」という用語は、酸と塩基との中和反応から生じるイオン性化合物を指す。塩は、1つ以上の「カチオン」(正に帯電したイオン)および1つ以上の「アニオン」(負に帯電したイオン)で構成されているため、塩は電気的に中性である(正味電荷なし)。本明細書に記載される塩は、本明細書に開示される好適な有機酸、例えば、ジカルボン酸に由来するものを含み得る。有機酸および無機酸の例には、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、ギ酸、フマル酸、没食子酸、グルコン酸、乳酸、ラウリン酸、メタンスルホン酸、ニコニチン酸、シュウ酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、L-酒石酸、D-酒石酸、メソ酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、ステアリン酸、ペンテチン酸、プロピン酸、p-トルエンスルホン酸、ウンデカン酸、吉草酸、エチレンジアミン四酢酸、ホウ酸、塩酸、臭化水素酸、クロム酸、硝酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、硫酸、およびスルホン酸が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの例において、サイクロセリン化合物の塩は、式[A][B]を有し、式中、[A]は、サイクロセリン化合物のカチオン形態であり、[B]は、式(I)の化合物のアニオン形態である。
【0035】
【化2】
【0036】
式(I)において、
Xは、-NHまたは-OHであり、
およびLの各々は、独立して、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、もしくはC2~6アルキニレンであるか、または原子価が許すように、LおよびLの一方が、N、O、もしくはSであり、他方が、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、もしくはC2~6アルキニレンであり、
【0037】
【化3】
【0038】
は、単結合または二重結合のいずれかであり、
塩中の[A]と[B]との比が、10:1~1:10の範囲である。
【0039】
いくつかの実施形態において、Xは、-NHである。いくつかの実施形態において、Xは、-OHである。
【0040】
いくつかの実施形態において、LおよびLの各々は、独立して、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、もしくはC2~6アルキニレンであるか、または原子価が許すように、LおよびLの一方が、N、O、もしくはSであり、他方が、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、もしくはC2~6アルキニレンである。いくつかの実施形態において、LおよびLの各々は、独立して、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、またはC2~6アルキニレンであり、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、またはC2~6アルキニレンの各々。いくつかの実施形態において、LおよびLの各々は、独立して、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、またはC2~6アルキニレンである。いくつかの実施形態において、原子価が許す限り、LおよびLの一方は、N、O、またはSであり、他方は、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、またはC2~6アルキニレンである。いくつかの実施形態において、LおよびLの少なくとも一方は、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、またはC2~6アルキニレンである。本明細書に開示されるように、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、またはC2~6アルキニレンは、非置換であるか、またはハロゲン、-CN、-NO、-OH、-O(C1~6アルキル)、-NH、または-Nで任意に置換され得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、LおよびLの少なくとも一方は、C1~6アルキレンであり、これは、置換または非置換のC1~6アルキレンであり得る。いくつかの実施形態において、LおよびLの少なくとも一方は、メチレンであり、これは、置換または非置換のメチレンであり得る。いくつかの実施形態において、LおよびLの少なくとも一方は、メチレンである。本明細書で使用される場合、メチレンは、非置換であるか、またはハロゲン、-CN、-NO、-OH、-O(C1~6アルキル)、または-NHで任意に置換され得る。いくつかの実施形態において、LおよびLのうちの少なくとも1つは、メチレンである。いくつかの実施形態において、LおよびLの各々は、ハロゲン、-CN、-NO、-OH、-O(C1~6アルキル)、または-NH置換されたメチレンである。いくつかの実施形態において、LおよびLの各々は、-OHで置換されたメチレンである。いくつかの実施形態において、LおよびLの少なくとも一方は、非置換メチレンである。いくつかの実施形態において、LおよびLの両方は、メチレンであり、これら両方が置換メチレンであり得るか、または両方が非置換メチレンであり得る。いくつかの実施形態において、LおよびLの少なくとも一方は、C2~6アルケニレンであり、これは、置換または非置換のC2~6アルケニレンであり得る。いくつかの実施形態において、LおよびLの少なくとも一方は、C2~6アルキニレンであり、これは、置換または非置換のC2~6アルキニレンであり得る。
【0042】
いくつかの実施形態において、Xは、-OHであり、
【0043】
【化4】
【0044】
は、単結合である。いくつかの実施形態において、Xは、-OHであり、
【0045】
【化5】
【0046】
は、単結合であり、LおよびLの各々は、-OHで置換されたメチレンである。いくつかの実施形態において、Xは、-OHであり、
【0047】
【化6】
【0048】
は、二重結合であり、LおよびLの各々は、任意に置換されたメチレンである。
【0049】
いくつかの実施形態において、原子価が許す限り、LおよびLの少なくとも一方は、N、O、またはSであり、他方は、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、またはC2~6アルキニレンである。いくつかの実施形態において、原子価が許す限り、LおよびLの少なくとも一方は、Nであり、他方は、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、またはC2~6アルキニレンである。いくつかの実施形態において、原子価が許す限り、LおよびLの少なくとも一方は、置換Nであり、他方は、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、またはC2~6アルキニレンである。いくつかの実施形態において、原子価が許す限り、LおよびLの少なくとも一方は、Oであり、他方は、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、またはC2~6アルキニレンである。いくつかの実施形態において、原子価が許す限り、LおよびLの少なくとも一方は、Sであり、他方は、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、またはC2~6アルキニレンである。
【0050】
いくつかの実施形態において、
【0051】
【化7】
【0052】
は、単結合である。いくつかの実施形態において、
【0053】
【化8】
【0054】
は、二重結合である。
【0055】
いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、10:1~1:10、9:1~1:9、8:1~1:8、7:1~1:7、6:1~1:6、5:1~1:5、4:1~1:4、3:1~1:3、2:1~1:2、または2:1~1:1の範囲であり、[A]は、サイクロセリン化合物のカチオン形態であり、[B]は、式(I)の化合物のアニオン形態である。
【0056】
【化9】
【0057】
いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、10:1~1:10の範囲である。いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、9:1~1:9の範囲である。いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、8:1~1:8の範囲である。いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、7:1~1:7の範囲である。いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、6:1~1:6の範囲である。いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、5:1~1:5の範囲である。いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、4:1~1:4の範囲である。いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、3:1~1:3の範囲である。いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、2:1~1:2の範囲である。いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、2:1~1:1の範囲である。いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、または1:1である。
【0058】
いくつかの実施形態において、サイクロセリン化合物は、式
【0059】
【化10】
【0060】
の化合物である。
【0061】
いくつかの実施形態において、サイクロセリン化合物は、
【0062】
【化11】
【0063】
である。
【0064】
いくつかの実施形態において、サイクロセリン化合物は、
【化12】
である。
【0065】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式
【0066】
【化13】
【0067】
の化合物であり、
式中、AおよびBの各々は、独立して、-NH、-OH、または-Hであり、
【0068】
【化14】
【0069】
は、C-CまたはC=Cである。
【0070】
いくつかの実施形態において、AおよびBの少なくとも一方は、-NHである。いくつかの実施形態において、AおよびBの少なくとも一方は、-OHである。いくつかの実施形態において、AおよびBの両方が-OHである。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、コハク酸、D-酒石酸、L-酒石酸、メソ酒石酸、フマル酸、マレイン酸、またはリンゴ酸である。
【0071】
いくつかの実施形態において、式(Ia)の化合物は、式
【0072】
【化15】
【0073】
の化合物であり、
式中、AおよびBの各々は、独立して、-OHまたは-Hである。いくつかの実施形態において、AおよびBの少なくとも一方は、-OHである。いくつかの実施形態において、AおよびBの両方が-OHである。
【0074】
いくつかの実施形態において、式(Ib)の化合物は、
【0075】
【化16】
【0076】
である。
【0077】
いくつかの実施形態において、式(Ib)の化合物は、コハク酸、D-酒石酸、およびL-酒石酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、式(Ib)の化合物は、コハク酸、D-酒石酸、L-酒石酸、およびメソ酒石酸からなる群から選択され、[A]と[B]との間の比は、5:1~1:1の範囲である。いくつかの実施形態において、式(Ib)の化合物は、
【0078】
【化17】
【0079】
であり、[A]と[B]との間の比は、4:1である。いくつかの実施形態において、式(Ib)の化合物は、
【0080】
【化18】
【0081】
であり、[A]と[B]との間の比は、2:1である。いくつかの実施形態において、式(Ib)の化合物は、
【化19】
【0082】
であり、[A]と[B]との間の比は、1:1である。
【0083】
いくつかの実施形態において、式(Ia)の化合物は、式(Ic)
【0084】
【化20】
【0085】
の化合物であり、
式中、AおよびBの各々は、独立して、-OHまたは-Hである。いくつかの実施形態において、AおよびBの少なくとも一方は、-OHである。いくつかの実施形態において、AおよびBの両方が-OHである。
【0086】
いくつかの実施形態において、式(Ic)の化合物は、
【0087】
【化21】
【0088】
から選択される。いくつかの実施形態において、式(Ic)の化合物は、フマル酸である。いくつかの実施形態において、式(Ic)の化合物は、マレイン酸である。いくつかの実施形態において、式(Ic)の化合物は、
【0089】
【化22】
【0090】
であり、本明細書に記載される[A]と[B]との間の比は、1:1である。
【0091】
特定の官能基および化学用語の定義については、以下でより詳しく説明する。化学元素は、元素周期表、CAS版、Handbook ofChemistry and Physics、第75版、表紙裏に従って識別され、特定の官能基は一般にそこに記載の通りに定義される。さらに、有機化学の一般原則、ならびに特定の官能部分および反応性は、Thomas Sorrell,Organic Chemistry,University Science Books,Sausalito,1999、Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry,5th,John Wiley&Sons,Inc.,New York,2001、Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCHPublishers,Inc.,New York,1989、およびCarruthers,Some Modern Methods of Organic Synthesis,3rd Edition,Cambridge University Press,Cambridge,1987に記載されている。本開示は、本明細書に記載される置換基の例示列挙によって、いかなる方法でも限定されることを意図するものではない。
【0092】
本明細書に記載の化合物は、1つ以上の不斉中心を含むことができ、したがって、様々な異性体型、例えば、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマーで存在することができる。例えば、本明細書に記載の化合物は、個々のエナンチオマー、ジアステレオマーまたは幾何異性体の形態であり得る、またはラセミ混合物および1つ以上の立体異性体に富む混合物を含む立体異性体の混合物の形態であり得る。異性体は、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)ならびにキラル塩の形成および結晶化を含む、当業者に知られる方法によって混合物から単離することができ、または好ましい異性体は、不斉合成によって調製することができる。たとえば、Jacques et al.,Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience,New York,1981)、Wilen et al.,Tetrahedron 33:2725(1977)、Eliel,Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill,NY,1962)、およびWilen,Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel,Ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN1972)を参照のこと。本開示はさらに、他の異性体を実質的に含まない個々の異性体として、あるいは、様々な異性体の混合物として、本明細書に記載の化合物を包含する。
【0093】
値の範囲が列挙される場合、それは範囲内の各値および部分範囲を包含することを意図している。例えば、「C1~6」は、C、C、C、C、C、C、C1~6、C1~5、C1~4、C1~3、C1~2、C2~6、C2~5、C2~4、C2~3、C3~6、C3~5、C3~4、C4~6、C4~5、およびC5~6を包含することを意図する。
【0094】
「アルキル」という用語は、1~10個の炭素原子を有する直鎖または分岐の飽和炭化水素基のラジカル(「C1~10アルキル」)を指す。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~9個の炭素原子を有する(「C1~9アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~8個の炭素原子を有する(「C1~8アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~7個の炭素原子を有する(「C1~7アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~6個の炭素原子を有する(「C1~6アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~5個の炭素原子を有する(「C1~5アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~4個の炭素原子を有する(「C1~4アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~3個の炭素原子を有する(「C1~3アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~2個の炭素原子を有する(「C1~2アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1個の炭素原子(「Cアルキル」)を有する。いくつかの実施形態において、アルキル基は、2~6個の炭素原子を有する(「C2~6アルキル」)。C1~6アルキル基の例には、メチル(C)、エチル(C)、プロピル(C)(例えば、n-プロピル、イソプロピル)、ブチル(C)(例えば、n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソブチル)、ペンチル(C)(例、n-ペンチル、3-ペンタニル、アミル、ネオペンチル、3-メチル-2-ブタニル、第三級アミル)、およびヘキシル(C)(例:n-ヘキシル)が含まれる。アルキル基の追加例には、n-ヘプチル(C)、n-オクチル(C)などが含まれる。特に明記しない限り、アルキル基の各インスタンスは、独立して、非置換(「非置換アルキル」)であるか、または1つ以上の置換基(例えば、Fなどのハロゲン)で置換される(「置換アルキル」)。特定の実施形態において、アルキル基は、非置換のC1~10アルキル(例えば、非置換のC1~6アルキル、例えば、-CH)である。特定の実施形態において、アルキル基は、置換のC1~10アルキル(例えば、置換のC1~6アルキル、例えば、-CF)である。
【0095】
「アルケニル」は、2~20個の炭素原子、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有し、三重結合を有さない直鎖または分岐の炭化水素基のラジカルを指す(「C2~20アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~10個の炭素原子を有する(「C2~10アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~9個の炭素原子を有する(「C2~9アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~8個の炭素原子を有する(「C2~8アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~7個の炭素原子を有する(「C2~7アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~6個の炭素原子を有する(「C2~6アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~5個の炭素原子を有する(「C2~5アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~4個の炭素原子を有する(「C2~4アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~3個の炭素原子を有する(「C2~3アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2個の炭素原子(「Cアルケニル」)を有する。1つ以上の炭素-炭素二重結合は、内部(2-ブテニルなど)または末端(1-ブテニルなど)であり得る。C2~4アルケニル基の例には、エテニル(C)、1-プロペニル(C)、2-プロペニル(C)、1-ブテニル(C)、2-ブテニル(C)、ブタジエニル(C)などが含まれる。C2-6アルケニル基の例には、前述のC2-4アルケニル基、ならびにペンテニル(C)、ペンタジエニル(C)、ヘキセニル(C)などが含まれる。アルケニルの追加例には、ヘプテニル(C)、オクテニル(C)、オクタトリエニル(C)などが含まれる。特に明記しない限り、アルケニル基の各インスタンスは、独立して、任意で置換される、すなわち、非置換(「非置換アルケニル」)、または1つ以上の置換基で置換(「置換アルケニル」)される。特定の実施形態において、アルケニル基は、非置換のC2~10アルケニルである。特定の実施形態において、アルケニル基は、置換されたC2~10アルケニルである。アルケニル基では、立体化学が指定されていないC=C二重結合(例えば、-CH=CHCHまたは
【0096】
【化23】
【0097】
は、(E)-または(Z)-二重結合であり得る。
【0098】
「アルキニル」は、2~20個の炭素原子、1つ以上の炭素-炭素三重結合、および任意で1つ以上の二重結合(「C2-20アルキニル」)を有する直鎖または分岐の炭化水素基のラジカルを指す。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2~10個の炭素原子を有する(「C2~10アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2~9個の炭素原子を有する(「C2~9アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2~8個の炭素原子を有する(「C2~8アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2~7個の炭素原子を有する(「C2~7アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2~6個の炭素原子を有する(「C2~6アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2~5個の炭素原子を有する(「C2~5アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2~4個の炭素原子を有する(「C2~4アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2~3個の炭素原子を有する(「C2~3アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2個の炭素原子(「Cアルキニル」)を有する。1つ以上の炭素-炭素三重結合は、内部(2-ブチニルなど)または末端(1-ブチニルなど)であり得る。C2~4アルキニル基の例には、エチニル(C)、1-プロピニル(C)、2-プロピニル(C)、1-ブチニル(C)、2-ブチニル(C)などが含まれるが、これらに限定されない。C2~6アルケニル基の例には、前述のC2~4アルキニル基、ならびにペンチニル(C)、ヘキシニル(C)などが含まれる。アルキニルの追加例には、ヘプチニル(C)、オクチニル(C)などが含まれる。特に明記しない限り、アルキニル基の各インスタンスは、独立して、任意で置換される、すなわち、非置換(「非置換アルキニル」)または1つ以上の置換基で置換(「置換アルキニル」)される。特定の実施形態において、アルキニル基は、非置換のC2~10アルキニルである。特定の実施形態において、アルキニル基は、置換されたC2~10アルキニルである。
【0099】
二価の架橋基であるアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、接尾辞-エン、例えば、アルキレン、アルケニレン、およびアルキニレンを使用してさらに参照される。
【0100】
「置換された」という用語は、有機化合物のすべての許容される置換基、安定な化合物の形成をもたらす本明細書に記載の置換基のいずれかによる置換を含むことを企図する。本開示は、安定な化合物に到達するために、そのようなすべての組み合わせを企図している。本開示の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満たし、安定な部分の形成をもたらす、本明細書に記載の水素置換基および/または任意の適切な置換基を有し得る。特定の実施形態では、置換基は炭素原子置換基である。特定の実施形態では、置換基は窒素原子置換基である。特定の実施形態では、置換基は酸素原子置換基である。特定の実施形態では、置換基は硫黄原子置換基である。
【0101】
本明細書に開示される固体製剤中のサイクロセリン化合物は、例えば、約0.05~500μm(例えば、約0.05~300μm、約0.05~200μm、約0.05~100μm、約0.05~50μm、約0.05~20μm、約0.05~10μm、約0.05~5μm、約0.05~2μm、約0.05~1μm、約5~200μm、約100~300μm、または約100~250μm)の範囲のD90値を有する粒子形態であり得る。D値(D10、D50またはD90)は、一般に、集団における粒径(直径)分布を反映するために使用される。D90値は、上記の範囲内にある直径を有する集団の粒子の≧90%を指す。
【0102】
本明細書に開示される固体製剤の内部コアにおける薬学的に許容される担体または賦形剤は、充填剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、またはそれらの組み合わせを含み得る。例示的な充填剤には、ラクトース、微結晶性セルロース、リン酸水素カルシウム、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。微結晶性セルロースは、安定剤および防湿剤として使用することができ、これは、セルロースの誘導体、デンプン、リン酸カルシウム二塩基性無水物、およびそれらの混合物で置き換えることができる。
【0103】
例示的な結合剤には、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、微結晶性セルロース(MCC)、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、アカシア、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0104】
例示的な潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸カルシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。例示的な崩壊剤(崩壊剤)には、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)、クロスカルメロース、クロスポビドン、炭酸ナトリウム、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0105】
場合によっては、薬学的に許容される賦形剤または担体はまた、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルアルコール、およびモノステアリン酸グリセロール)、溶液遅延剤(例えば、パラフィン)、吸収促進剤(例えば、第四級アンモニウム化合物)、ならびに吸収剤(例えば、カオリンおよびベントナイト粘土)のうちの1つ以上を含み得る。あるいは、またはさらに、固体製剤はまた、クエン酸ナトリウムおよび/またはリン酸二カルシウムを含有し得る。場合によっては、固体製剤は、不活性希釈剤、分散剤および/または造粒剤、界面活性剤および/または乳化剤、防腐剤、緩衝剤および/またはpH調整剤、徐放性試薬、抗沈降剤、油、またはそれらの混合物を含み得る。カカオバターおよび坐剤ワックス、着色剤、コーティング剤、甘味料、香味料、および芳香剤などの賦形剤もまた、組成物中に存在し得る。
【0106】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるサイクロセリンの固体剤形は、1つ以上の腸溶性材料から構成され得る腸溶層(本明細書に開示される外層として)を含む固体腸溶製剤(例えば、錠剤またはカプセル形式)であり得る。場合によっては、固体剤形は、約10~500mg(例えば、約30~400mg、約30~300mg、約30~200mg、約30~150mg、約50~150mg、約50mg~125mg、または約75~100mg)の腸溶性材料を含有し得る。腸溶層または腸溶性コーティングは、典型的に、胃の環境での薬物の溶解または崩壊を防ぐ、経口薬物にコーティングされたポリマーベースのバリアを指す。
【0107】
本明細書に記載される固体剤形を作製する際に使用するための例示的な腸溶性材料には、ポリメタクリレートベースのコーティング材料、フタレートベースのコーティング材料、セルロースエステルベースのコーティング材料、シェラック、アルギン酸ナトリウム、またはそれらの混合物が含まれる。
【0108】
いくつかの実施形態において、ポリメタクリレートベースのコーティング材料は、モル比1:1のポリ(メタクリル酸-co-エチルアクリレート)(すなわち、Eudragit L 100-55、Eudragit L30 D-55、Eastacryl 30 Dシリーズ、Kollicoat MAE 30 DP、Kollicoat MAE 100P、Acryl-EZE93シリーズ、およびAcryl-EZEMPシリーズ)、モル比1:1のポリ(メタクリル酸-co-メチルメタクリレート)(すなわち、Eudragit L100、Eudragit L12,5、Eudragit L12,5P、およびOpadry 94シリーズ)、モル比1:2のポリ(メタクリル酸-co-メチルメタクリレート)(すなわち、Eudragit S100、EudragitS12,5、Eudragit S12,5P、およびOpadry 95シリーズ)、ならびにモル比7:3:1のポリ(メチルアクリレート-co-メチルメタクリレート-co-メタクリル酸(すなわち、Eudragit FS30D)であり得る。
【0109】
いくつかの実施形態において、フタレートベースのコーティング材料は、フタル酸酢酸ポリビニル(すなわち、Opadry 91シリーズ、およびSuretericシリーズ)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(すなわち、HPmcp-HPグレードシリーズ)、フタル酸ジエチル、およびフタル酸酢酸セルロース(すなわち、Eastman(商標)C-A-P)であり得る。
【0110】
いくつかの実施形態において、セルロースエステルベースのコーティング材料は、トリメリト酸酢酸セルロース、コハク酸酢酸セルロース、およびコハク酸酢酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(すなわち、AQOAT ASシリーズ、およびENTERACT(商標)HPMCAS)であり得る。
【0111】
いくつかの例において、固体剤形中の腸溶性材料は、モル比1:1の(重量で)90.5%~98.49%のポリ(メタクリル酸-co-エチルアクリレート)、0.5%~2%のラウリル硫酸ナトリウム、0.01%~2.5%のクエン酸トリエチル、0.5%~2.5%のコロイド状二酸化ケイ素、および0.5%~2.5%のタルクを含み得る。いくつかの実施形態において、腸溶層中のモル比1:1のポリ(メタクリル酸-co-エチルアクリレート)の量は、(重量で)91%~98%、92%~97.5%、93%~97%、94%~96.5%、95%~96%、または95%~95.5%であり得る。
【0112】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される固体剤形は、内部コアと外層または腸溶層との間に位置し得る単離層をさらに含み得る。単離層は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースベースのコーティング材料などの材料を含み得る。いくつかの例では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの平均分子量は、約50,000ダルトン~125,000ダルトンであり得る。他の市販の単離層材料もまた、本明細書に記載される固体剤形で使用することができる。一例では、固体剤形は、約10~100mgの単離層、例えば、約15~95mg、約15~80mg、約20~60mg、約20~50mg、約25~40mg、または約25~30mgを含有し得る。一例では、単離層は、(重量で)95.5%~99.49%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.5%~2.5%のタルク、および0.01%~2%のトリアセチンを含み得る。いくつかの実施形態において、単離層に含まれるヒドロキシプロピルメチルセルロースの量は、(重量で)96%~99%、または97%~98%であり得る。
【0113】
特定の実施形態において、本明細書に記載される固体剤形は、約10~1500mg、約50~1000mg、約100~800mg、250~600mg、300~550mg、350~500mg、または400~450mgのサイクロセリン化合物(例えば、本明細書に記載されるD-サイクロセリンまたはその許容される塩)を含有し得る。サイクロセリン化合物は、約50~500mgの充填剤(例えば、MCC pH102)、約10~100mgの結合剤(例えば、HPC)、約10~200mgの崩壊剤(例えば、クロスカルメロース)、および約5~100mgの潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)を含有する薬学的に許容される賦形剤と混合することができる。
【0114】
本明細書に記載される固体剤形は、本明細書に記載されるものなどの1つ以上の腸溶性材料を、約50~150mg、約50~100mg、約55~95mg、約60~90mg、約65~85mg、約70~80mg、または約70~75mgの量でさらに含有し得る。腸溶性材料は、モル比1:1の(重量で)90.5%~98.49%のポリ(メタクリル酸-co-エチルアクリレート)、0.5%~2%のラウリル硫酸ナトリウム、0.01%~2.5%のクエン酸トリエチル、0.5%~2.5%のコロイド状二酸化ケイ素、および0.5%~2.5%のタルクを含み得る。
【0115】
任意に、固体剤形は、約10~50mgの単離層、例えば、約15~45mg、約20~35mg、約25~30mg、または約35~40mgの単離層をさらに含み得る。単離層は、(重量で)95.5%~99.49%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.5%~2.5%のタルク、および0.01%~2%のトリアセチンを含み得る。
【0116】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される固体製剤は、好適な経路を介して治療を必要とする対象に送達する準備ができている組成物を指す、剤形(単位用量としても知られる)である。剤形は、典型的に、特定の構成(例えば、錠剤、カプセル、経皮パッド、顆粒、粉末、小袋等)の有効成分と不活性成分(賦形剤)との混合物を含み、特定の用量に配分される。「単位用量」は、所定量の有効成分を含む薬学的組成物の離散量である。有効成分の量は、一般に、対象に投与される有効成分の投与量、および/またはそのような投与量の2分の1または3分の1などのそのような投与量の便利な画分に等しい。
【0117】
本明細書に記載される固体剤形は、経口投与用であり得、カプセルまたは錠剤の形態であり得る。ここでは、硬質および軟質ゼラチンカプセル、HPMCカプセルなどを含む、すべての市販のカプセルを、固体剤形を作製するために使用することができる。カプセルを作製するための市販のものを含む例示的な材料には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ゼラチン、メチルパラベン(すなわち、メチル-4-ヒドロキシベンゾエート)、プロピルパラベン(すなわち、プロピル-4-ヒドロキシベンゾエート)、ラウリル硫酸ナトリウム、ブリリアントブルーFCF、新しいコクシン、二酸化チタン、サンセットイエローFCF、タートラジン、水、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0118】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される固体剤形は、腸溶性錠剤の形態である。そのような腸溶性錠剤は、サイクロセリン(例えば、D-サイクロセリン)、MCC pH102、クロスカルメロースナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムを含み得る。任意に、腸溶性錠剤は、HPCをさらに含み得る。いくつかの例において、本明細書に開示される腸溶性錠剤は、マンニトールを実質的に含まなくてもよい。いくつかの実施形態において、腸溶性錠剤は、腸溶性錠剤の内部コアの総重量の約2.0重量%~約6.0重量%、または約2.5重量%~約5.0重量%、または約3.0重量%~約5.0重量%、または約3.5重量%~約5.0重量%の単離層コーティング重量を有する。いくつかの実施形態において、腸溶性錠剤は、腸溶性錠剤の内部コアの総重量の約10重量%~約15重量%、または約10重量%~約14重量%、または約12重量%~約15重量%の範囲の腸溶層コーティング重量を有する。
【0119】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される固体剤形は、腸溶性コーティングされ得るカプセルの形態である。例えば、本明細書に開示されるカプセル固体形態は、サイクロセリンおよび特定の賦形剤(例えば、本明細書に開示されるもの)の混合物を含む内部コアと、外部腸溶層とを含み得る。いくつかの実施形態において、賦形剤の混合物は、ラクトースを含む。いくつかの実施形態において、腸溶性コーティングされたカプセルおよび/または腸溶性コーティングされたカプセルの内部コアは、マンニトールを実質的に含まなくてもよい。いくつかの実施形態において、腸溶性コーティングされたカプセルの内部コアは、ラクトースを含む充填剤を含み、および/またはマンニトールを実質的に含まない充填剤を含む。いくつかの実施形態において、腸溶性コーティングされたカプセルは、腸溶性コーティングされたカプセルの総重量の約20重量%~約40重量%、または約25重量%~約35重量%、または約27重量%~約33重量%の量のラクトースを含む。
【0120】
本明細書に開示されるカプセル製剤は、カプセルの表面に腸溶性コーティングを含み得る。すべての市販の腸溶性コーティングは、本明細書に記載されるカプセル製剤のためにカプセルの表面に適用することができる。いくつかの例では、腸溶性コーティングは、メタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマー、例えば、Kollicoat(登録商標)MAE 30DP(BASF)から構成することができる。場合によっては、コポリマー中のメタクリル酸とアクリル酸エチルとのモル比は1:1であり、固形分は(重量で)30%である。いくつかの例において、腸溶性コーティングは、本明細書に開示される同じ腸溶性材料を含み得る。コーティングの目的で、腸溶性コーティングの材料は、有機溶媒、例えば、プロピレングリコールで分解することができる。
【0121】
いくつかの例では、本明細書に開示されるカプセル製剤で使用されるサイクロセリン化合物は、ナノ結晶形態であり得る。そのようなナノ結晶形態のサイクロセリンは、約0.05μm~約500μmの範囲のD90値を有し得る。
【0122】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される固体剤形は、例えば、経皮パッチとして配合される、局所投与に適した形式であり得る。親水性薬物であるD-サイクロセリンの経皮送達は、皮膚の疎水性およびコンパクトな構造のために困難である。驚くべきことに、本明細書に開示される経皮送達システムは、D-サイクロセリンの経皮送達に効果的であることが示されている。特に、以下の実施例7に示されるように、ナノ結晶D-サイクロセリンを含む、本明細書に開示される経皮パッチ製剤は、優れた皮膚浸透および薬物動態特性を示す。
【0123】
本明細書に開示される経皮製剤において、本明細書に開示されるサイクロセリン化合物を含む内部コアは、パッチを得るために、不浸透性支持体であり得る本明細書に開示される外層上に広げられ得る。固体剤形が経皮パッチである場合、固体剤形の外層は、経皮パッチの裏打ち層である。裏打ち層は、内部コアに付着させることができ、例えば、内部コアを裏打ち層上に広げることができる。少なくともいくつかの例では、裏打ち層は、ポリエチレン、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、テレフタレート、またはそれらの混合物のポリマーを含み得る。
【0124】
いくつかの例では、経皮パッチで使用される不浸透性支持体は、マトリックスシステム(例えば、マトリックス分散システムおよび薬物溶解型粘着剤)、リザーバーパッチシステム、またはマイクロリザーバーシステムの支持体である。そのような例では、不浸透性支持体は、内部コアをコーティングする裏打ち層を備えた薬物リザーバー内に内部コアを含み得る。いくつかの実施形態では、内部コアは、液体またはゲルである。いくつかの実施形態では、経皮パッチは、保護剥離ストリップおよび/または制御膜をさらに含み得る。
【0125】
経皮パッチのサイクロセリン含有内部コアは、担体、分散試薬、抗沈降試薬、増強剤、徐放性試薬、pH調整剤、またはそれらの混合物を含み得る。
【0126】
本明細書に開示される経皮パッチで使用される担体は、安定性、生物薬剤学的プロファイル、外観および患者の受容性などの製品属性、ならびに製品の製造の容易さに寄与する可能性がある。例には、プロピレングリセロール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリセロール、テトラチレングリコールモノメチルエーテル、アクリル酸およびメタクリル酸またはエステルのコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酢酸フタル酸セルロース、酢酸セルロース、重合ロジン、架橋ポリアクリル酸ポリマー、アクリレートコポリマー、ポリイソブチレン、キサンタンガム、およびシリコンガム、またはそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。場合によっては、経皮製剤は、約0.1~1gの担体、例えば、約0.1~0.8g、約0.2~0.6g、または約0.2~0.5gを含有し得る。
【0127】
例示的な分散試薬には、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウム、および臭化セチルトリメチルアンモニウム、ならびにそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。場合によっては、経皮製剤は、約0.1~2gの分散試薬、例えば、約0.3~1.5g、約0.5~1.0g、または約0.4~0.8gを含有し得る。
【0128】
例示的な抗沈降試薬には、コーン油、ユーカリ油、ペパーミント油、安息香酸ベンジル、およびゴマ油、ならびにそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。場合によっては、経皮製剤は、約0.1~1gの抗沈降試薬、例えば、約0.1~0.8g、約0.1~0.5g、または約0.2~0.6gを含有し得る。
【0129】
本明細書で使用される増強剤は、例えば、皮膚を通る活性物質の浸透を改変することができる、経皮パッチ中の活性物質(複数可)(例えば、サイクロセリン)の生物学的利用能を促進し、したがって経皮製剤のインビボ性能に著しい影響を及ぼし得る成分であり得る。特定の例において、本明細書で使用される増強剤は、治療効果のために必要な数時間または数日にわたる活性物質の一定かつ持続的な放出に寄与することができる。例示的な増強剤には、テルペン、脂肪酸、エステル、精油、ピロリドン、マンニトール、2-ピロリドン、1-メチル-2-ピロリドン、およびビタミンE、ならびにそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、経皮製剤は、約0.1~1000mg、約0.1~1mg、約1~10mg、約10~100mg、または約100~1000mgの増強剤を含み得る。
【0130】
徐放性試薬は、PVP、EC、HPMC、ポリアクリレート、およびそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、経皮製剤は、約1~100mg、約5~50mg、約5~20mg、または約5~10mgの徐放性試薬を含み得る。
【0131】
本明細書で使用されるpH調整剤は、薬学的に許容される塩基であり得る。例には、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、または重炭酸ナトリウムが含まれる。いくつかの実施形態において、経皮製剤は、約0.01~10mL、約0.01~0.1mL、約0.1~0.3mL、約0.3~1mL、約1~3mL、または約3~10mLのpH調整剤を含み得る。場合によっては、pH調整剤の濃度は、約0.1~10N、約0.1~0.3N、約0.3~1N、約1~3N、または約3~10Nであり得る。
【0132】
経皮パッチで使用されるサイクロセリン化合物は、ナノ結晶形態であり得る。場合によっては、経皮パッチで使用されるサイクロセリン化合物は、約0.05μm~約500μmの範囲のD90値を有する粒子形態であり得る。
【0133】
特定の例において、本明細書に開示される(例えば、単位剤形の)経皮製剤(例えば、パッチ)のうちのいずれかの内部コアは、約15~30mgの量のサイクロセリン(例えば、ナノ結晶形態であり得るD-サイクロセリン)、約0.2~0.6gの量の担体としてのジプロピレングリコール(DPG)、pH調整剤(例えば、1~5~2.0N NaOH)、約0.5~1.0gの量の分散試薬としてのPEG、約0.15~0.45gの量の抗沈降試薬としてのコーン油、および約10mgの量の徐放性試薬としてのポビドンを含み得る。任意に、経皮製剤の内部コアは、約5mgの量の増強剤としてマンニトールをさらに含み得る。
【0134】
本明細書に開示される固体剤形のいずれにおいても、サイクロセリン化合物、薬学的に許容される賦形剤、単離層および腸溶層材料、ならびに/または本明細書に記載される組成物中の任意の追加の成分の相対量は、治療される対象の同一性、サイズ、および/または状態に応じて、さらには組成物が投与される経路に依存に応じて変化し得る。組成物は、0.1%~99.5%(w/w)の有効成分を含み得る。
【0135】
本明細書に開示される固体形態のうちのいずれかなどのサイクロセリン化合物を含む組成物は、薬学的組成物、栄養補助食品組成物、健康食物もしくは健康食品、または医療食品であり得る。
【0136】
特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、健康食物または健康食品であり得る。「健康食物」または「健康食品」という用語は、ヒトおよび動物に栄養を与えるため、基本的な行動機能、多動、不安、うつ病、自殺念慮および/もしくは行動、感覚運動ゲーティング、疼痛閾値、記憶および/もしくは認知機能、体重を改善するため、または本明細書に記載される標的疾患のうちのいずれかの治療を容易にするために使用されるあらゆる種類の液体および固体/半固体材料を指す。「栄養補助食品組成物」という用語は、食品に見られる基本的な栄養価に加えて、食品源からの成分を含み、追加の健康上の利益を与える組成物を指す。
【0137】
健康食物または健康食品は、ヒトおよび動物に栄養を与えるため、基本的な行動機能、多動、不安、うつ病、感覚運動ゲーティング、疼痛閾値、記憶および/または認知機能を改善するため、または本明細書に記載される標的疾患(例えば、本明細書に記載されるものを含む、神経精神障害)のうちのいずれかの治療を促進するために使用される任意の種類の液体および固体/半固体材料であり得る。健康食品は、食品(例えば、茶ベースの飲料、ジュース、清涼飲料、コーヒー、牛乳、ゼリー、クッキー、シリアル、チョコレート、スナックバー、ハーブ抽出物、乳製品(例えば、アイスクリーム、およびヨーグルト))、食品/栄養補助食品、または栄養製剤であり得る。そのような液体形態の健康食品は、本明細書に開示される固体製剤のうちのいずれかを好適な溶液に溶解することによって調製することができる。
【0138】
本明細書に記載される健康食品は、有効成分に加えて、1つ以上の食用担体を含み得る。食用担体は、本明細書に記載されるように、製品に1つ以上の利点を与えることができる。食用担体の例には、デンプン、シクロデキストリン、マルトデキストリン、メチルセルロース、カーボンメトキシセルロース、キサンタンガム、およびそれらの水溶液が含まれる。他の例には、溶媒、分散媒体、コーティング、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、安定剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、染料、当業者に知られているような材料およびそれらの組み合わせなどが含まれる。いくつかの例では、本明細書に記載される健康食品は、魚油、亜麻仁油、および/または安息香酸塩などの神経保護食品をさらに含み得る。
【0139】
いくつかの例では、健康食品は、栄養補助食品組成物であり、これは、食品に見られる基本的な栄養価に加えて、食品源からの成分を含み、追加の健康上の利益を与える組成物を指す。本明細書に記載される栄養補助食品組成物は、有効成分としてのサイクロセリン化合物、および本明細書に記載される他の成分、例えば、良好な健康を促進し、かつ/またはサイクロセリン化合物の安定性および生物活性を増強する、薬学的に許容される担体もしくは賦形剤、腸溶層、および/または単離層を含み得る。
【0140】
栄養補助食品組成物は、例えば、栄養補助食品または医薬製剤として、食用材料に含まれ得る。栄養補助食品として、ビタミン、ミネラル、またはアミノ酸などの追加の栄養素が含まれている場合がある。組成物はまた、飲料または食品、例えば、茶、清涼飲料、ジュース、牛乳、コーヒー、クッキー、シリアル、チョコレート、およびスナックバーであり得る。必要に応じて、組成物は、ソルビトール、マルチトール、水素化グルコースシロップおよび水素化デンプン加水分解物、高フルクトース・コーン・シロップ、サトウキビ糖、甜菜糖、ペクチン、またはスクラロースなどの甘味料を添加することによって甘味付けすることができる。
【0141】
栄養補助食品組成物はまた、粉末、ペースト、ゼリー、カプセル、または錠剤の形態であり得る。乳糖およびコーンスターチは、カプセルの希釈剤または錠剤の担体として一般的に使用される。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤は、通常、錠剤を形成するために添加される。
【0142】
健康食品は、適切な投与経路、例えば経口投与用に製剤化することができる。
【0143】
特定の実施形態において、組成物(例えば、本明細書に記載される固体製剤)は、医療食品である。医療食品は、経腸的に消費または投与されるように配合された食品である。そのような食品は、通常、本明細書に記載されているものなどの標的疾患の特定の食事管理のために医師の監督下で使用される。場合によっては、そのような医療食品組成物は、治療を必要とする患者(例えば、病気に苦しむヒト患者、または特定の食事管理を介して疾患または状態を緩和するための主要な活性剤としての製品の使用を必要とするヒト患者)のために特別に製剤化および加工(自然状態で使用される天然に存在する食品の対語として)される。いくつかの例では、本明細書に記載の医療食品組成物は、症状を管理するため、または疾患もしくは状態のリスクを低減するために、全体的な食事の一部として医師によって単に推奨されるものの1つではない。
【0144】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される医療食品組成物は、天然に存在するかまたは合成(非天然に存在する)のいずれかであり得る少なくとも1つの成分を含み得、組成物中のサイクロセリン化合物に1つ以上の利益、例えば、安定性、生物学的利用能、および/または生物活性を与える。本明細書に記載される担体、腸溶性材料、および/または単離層のいずれも、医療用食品組成物を作製するために使用することができる。いくつかの実施形態において、医療用食品組成物は、天然フレーバー、人工フレーバー、主要な微量および超微量ミネラル、ミネラル、ビタミン、オート麦、ナッツ、スパイス、牛乳、卵、塩、小麦粉、レシチン、キサンタンガムおよび/または甘味料を含むがこれらに限定されない群から選択される1つ以上の追加の成分をさらに含み得る。医療食品組成物は、適切な容器に入れることができ、これは、本明細書に記載されるものなどの少なくとも追加の治療薬をさらに含み得る。
【0145】
本明細書に記載される固体製剤などの組成物のいずれも、有効量のサイクロセリン化合物を含有し得る。本明細書に記載されるサイクロセリン化合物の「有効量」は、所望の生物学的応答を誘発する、すなわち、状態を治療するのに十分な量を指す。当業者によって理解されるように、本明細書に記載されるサイクロセリンの有効量は、所望の生物学的エンドポイント、サイクロセリン化合物の薬物動態、治療される状態、投与様式、ならびに対象の年齢および健康などの要因に応じて変化し得る。特定の実施形態において、有効量は、治療上有効な量である。特定の実施形態において、有効量は、予防上有効な量である。
【0146】
固体剤形などの組成物は、ヒトでの使用に好適であり得る。そのような組成物はまた、動物での使用に好適であり得る。様々な動物への投与に好適な組成物にするためのヒトへの投与に好適な薬学的組成物の修飾はよく理解されており、通常の熟練した獣医薬理学者は、通常の実験でそのような修飾を設計および/または実施することができる。
【0147】
本明細書に記載される薬学的組成物は、薬理学の分野で知られている任意の方法によって調製することができる。一般に、そのような調製方法は、D-サイクロセリンなどのサイクロセリン化合物または本明細書に記載されるその許容される塩(すなわち、「有効成分」)を1つ以上の担体または賦形剤(単離層および/もしくは腸溶層材料)、ならびに/または1つ以上の他の付属成分と会合させること、次いで、必要および/または望ましい場合、製品を所望の単一または複数用量単位に成形および/または包装することを含む。
【0148】
本明細書に記載される組成物は、投与を容易にし、投与量を均一にするために、単位剤形で配合することができる。しかしながら、本明細書に記載される組成物の毎日の総使用量は、健全な医学的判断の範囲内で医師によって決定されることが理解されよう。任意の特定の対象または生物に対する特定の治療上有効な用量レベルは、治療される疾患および障害の重症度;用いられる特定の有効成分の活性;用いられる特定の組成物;対象の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、および食事;投与時間、投与経路、および用いられる特定の有効成分の排泄率;治療期間;用いられる特定の有効成分と組み合わせて、または同時に使用される薬物を含む様々な要因、ならびに医療分野で周知の同様の要因に依存するであろう。
【0149】
カプセルの場合、有効成分をカプセルのシェルにカプセル化することができる。場合によっては、本明細書に開示されるような有効成分は、いかなる賦形剤または担体とも混合されない。他の例では、有効成分は、本明細書に開示されるように、好適な賦形剤または担体と混合される。本明細書に開示される腸溶層などの外層のいずれも、カプセルシェルの表面にコーティングすることができる。
【0150】
同様のタイプの固体組成物(例えば、本明細書に開示される内部コア)は、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤として用いることができる。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、および顆粒の固体剤形は、単離層コーティング、腸溶性コーティング、放出制御コーティング、および薬理学の分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルで調製することができる。それらは、任意に乳白剤を含み得、それらが有効成分(複数可)のみを放出するか、または優先的に、消化管の特定の部分において、任意に遅延して放出する組成物であり得る。使用できるカプセル化組成物の例には、高分子物質およびワックスが含まれる。同様のタイプの固体組成物は、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセルの充填剤として用いることができる。
【0151】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される固体剤形は、経皮薬物送達システムであり得る。いくつかの実施形態では、経皮薬物送達システムは、パッチである。いくつかの実施形態では、経皮薬物送達システムは、薬物リザーバー内の内部コアおよび裏打ち層を含む。いくつかの実施形態において、経皮薬物送達システムは、保護ピールストリップおよび/または制御膜をさらに含む。いくつかの実施形態では、内部コアは、液体またはゲルである。
【0152】
有効成分は、上記のように1つ以上の賦形剤を含むマイクロカプセル化された形態であり得る。そのような固体剤形において、有効成分は、スクロース、ラクトース、またはデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混和することができる。そのような剤形は、通常の慣行として、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、錠剤化潤滑剤およびステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースなどの他の錠剤化助剤を含み得る。カプセル、錠剤、および丸薬の場合、剤形は、緩衝剤を含み得る。それらは、任意に乳白剤を含み得、それらが有効成分(複数可)のみを放出するか、または優先的に、消化管の特定の部分において、任意に遅延して放出する組成物であり得る。使用できる封入剤の例には、高分子物質およびワックスが含まれるが、これらに限定されない。
【0153】
キット
また、本明細書に記載される固体剤形などの薬学的組成物、および組成物を配置するための容器(例えば、バイアル、アンプル、ボトル、注射器、および/またはディスペンサーパッケージ、または他の好適な容器)を含み得るキット(例えば、医薬品パック)も本開示に包含される。そのようなキットは、神経精神障害または結核を治療する、および/またはそのリスクを低減することを必要とする対象において、それを行うのに有用であり得る。
【0154】
特定の実施形態において、本明細書に記載されるキットは、キットに含まれる本明細書に記載される組成物を使用するための説明書をさらに含み得る。本明細書に記載されるキットには、アメリカ食品医薬品局(FDA)などの規制当局が要求する情報も含まれ得る。特定の実施形態では、キットに含まれる情報は、処方情報である。特定の実施形態では、キットおよび説明書は、神経精神障害または結核を治療する、および/またはそのリスクを低減するために提供される。
【0155】
本明細書に記載されるキットは、別個の組成物として本明細書に記載される1つ以上の追加の医薬品を含み得る。
【0156】
治療の方法
サイクロセリン化合物を含む組成物(例えば、固体剤形)のいずれも、例えば、神経精神障害を有するか、またはそのリスクがあるヒト対象における基本的な行動機能、多動性、不安、うつ病、自殺念慮および/または行動、感覚運動ゲーティング、疼痛閾値、記憶および/または認知機能を改善した患者における短期または長期健康目的を達成するのを助け得る。
【0157】
したがって、本明細書ではまた、治療を必要とする対象において、有効量の本明細書に記載される組成物(例えば、固体剤形)を投与することによって、神経精神障害(例えば、中枢神経系障害)または細菌感染症(例えば、結核)を治療するための方法も提供される。組成物の有効量は、治療上有効な量または予防上有効な量であり得る。
【0158】
本明細書に記載される組成物の「治療上有効な量」は、状態の治療において治療上の利益を提供するため、または状態に関連する1つ以上の症状を遅延もしくは最小化するために十分な量である。本明細書に記載される組成物の治療上有効な量は、単独で、または他の療法と組み合わせて、状態の治療において治療上の利益を提供する治療薬の量を意味する。「治療上有効な量」という用語は、全体的な治療を改善し、症状、兆候、または状態の原因を低減または回避し、および/または別の治療薬の治療効果を高める量を包含することができる。場合によっては、組成物中のサイクロセリン化合物の量は、神経精神障害のある対象においてN-メチル-D-アスパラギン酸受容体aを調節するのに有効である。
【0159】
本明細書に記載される組成物の「予防上有効な量」とは、状態、もしくは状態に関連する1つ以上の症状を予防する、またはその再発を予防するのに十分な量である。本明細書に記載される組成物の予防上有効な量とは、単独で、または他の薬剤と組み合わせて、状態の予防において予防上の利益を提供する治療薬の量を意味する。「予防上有効な量」という用語は、全体的な予防を改善する量、または別の予防剤の予防効果を高める量を包含することができる。
【0160】
神経疾患または精神障害またはCNS障害のいずれかを含む「神経精神障害」という用語は、器質性脳障害によって引き起こされる精神症状または症候群のいずれかを伴う障害を指す。神経精神症状の主な特徴には、様々な精神症状の発生、認知障害、神経症状、または初期の脳発達症状の可能性が含まれる。
【0161】
いくつかの実施形態において、神経精神障害は、統合失調症、精神病性障害、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、血管性認知症、レヴィー小体型認知症、老年性認知症、軽度認知障害、良性健忘症、運動失調症状、脊髄小脳変性症、閉鎖性頭部損傷、自閉症スペクトラム障害、自閉症、アスペルガー障害、特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)、脆弱性X症候群、注意欠陥多動性障害、注意欠陥障害、強迫性障害、チック障害、小児期学習障害、月経前症候群、うつ病、大うつ病性障害、無快感症、自殺念慮および/または行動、双極性障害、不安障害、パニック障害、神経性食欲不振症、恐怖症、広場恐怖症、閉所恐怖症、心的外傷後ストレス障害、慢性軽度および予測不可能なストレス、摂食障害、嗜癖障害、人格障害、パーキンソン障害、ハンチントン障害、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、トゥレット症候群、夜尿症、非てんかん発作、眼瞼けいれん、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、脳卒中、慢性疼痛、痛覚過敏および異痛症を含む神経因性疼痛、糖尿病性多発神経障害、または慢性疼痛症候群であり得る。
【0162】
本明細書に記載される組成物は、神経精神障害または結核などの細菌感染症を治療および/または予防するのに有用である。本明細書に記載される方法を実施するために、有効量の固体剤形を、好適な経路(例えば、経口投与または局所投与)を介して治療を必要とする対象に投与することができる。意図された効果を達成するために必要な、本明細書に記載されるD-サイクロセリンまたはその許容可能な塩などのサイクロセリン化合物の正確な量は、例えば、対象の種、年齢、および一般的な健康状態、副作用または障害の重症度、本明細書に記載されるサイクロセリン化合物の同一性、投与様式などに応じて、対象ごとに異なり得る。
【0163】
有効量のサイクロセリン化合物は、単一用量(例えば、単一経口用量)または複数用量(例えば、複数経口用量)に含まれ得る。特定の実施形態において、複数用量が対象に投与される場合、複数用量の任意の2つの用量は、本明細書に記載される異なるまたは実質的に同じ量のサイクロセリン化合物を含み得る。サイクロセリン化合物を含む組成物は、1日3回~3ヶ月に1回の頻度で対象に与えられ得る。特定の実施形態において、サイクロセリン化合物を含む組成物は、1日2回~毎月1回の頻度で対象に与えられ得る。特定の実施形態において、サイクロセリン化合物を含む組成物は、1日1回~毎週1回の頻度で対象に与えられ得る。
【0164】
特定の実施形態において、複数用量が対象に投与される場合、複数用量を対象に投与する頻度は、1日3用量、1日2用量、1日1用量、隔日1用量、3日に1用量、毎週1用量、隔週1用量、毎月1用量、隔月1用量、または3ヶ月に1用量であり得る。特定の実施形態において、対象に複数用量を投与するか、または組織もしくは細胞に複数用量を適用する頻度は、1日あたり1用量である。特定の実施形態において、対象に複数用量を投与する頻度は、1日あたり2用量であり得る。
【0165】
特定の実施形態において、固体剤形は、経皮薬物送達システムである。特定の実施形態において、経皮薬物送達システムは、徐放性薬物送達システムである。特定の実施形態では、徐放性薬物送達システムは、皮膚上に配置され、4~12時間、12~24時間、1~3日、3~5日、または5~7日間放置される。
【0166】
複数用量が対象に投与される場合、複数用量の最初の用量と最後の用量との間の期間は、4時間、8時間、12時間、24時間、1日、2日、4日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4か月、または6ヶ月であり得る。
【0167】
特定の実施形態において、D-サイクロセリンなどのサイクロセリン化合物またはその薬学的に許容される塩などの単一用量は、1mg~3mgの間、3mg~10mgの間、10mg~30mgの間、30mg~100mgの間、100mg~300mgの間、300mg~1,000mgの間、または1g~10gの間(両端を含む)であり得る。特定の実施形態において、サイクロセリン化合物の用量は、100mg~1500mgの間(両端を含む)、または300mg~1000mgの間(両端を含む)であり得る。
【0168】
本明細書に記載される用量範囲は、成人のヒト患者で使用するためのものであり得る。例えば、子供または青年に投与される量は、開業医または当業者によって決定され得、そして成人に投与される量よりも少ないかまたは同じであり得る。
【0169】
本明細書に記載される組成物は、神経精神障害または結核などの細菌感染症を治療する、ならびに/またはそのリスクを低減するのに有用な1つ以上の追加の医薬品(例えば、治療上および/もしくは予防上活性な薬剤)と組み合わせて投与され得る。組成物は、活性(例えば、神経精神障害または結核を治療する、および/もしくはそのリスクを低減することを必要とする対象において、それを行うことにおける活性(例えば、効力および/もしくは有効性))を改善する、生物学的利用能を改善する、安全性を改善する、薬物耐性を低減する、代謝を低減および/もしくは修飾する、排泄を阻害する、ならびに/または対象、生体試料、組織、もしくは細胞における分布を修正する、1つ以上の追加の医薬品と組み合わせて投与され得る。用いられる療法が同じ障害に対して所望の効果を達成し得る、および/またはそれが異なる効果を達成し得ることもまた理解されよう。
【0170】
本明細書に記載される組成物(例えば、固体剤形)は、標的疾患を治療するための1つ以上の追加の医薬品と同時に、前に、または後に投与することができる。
【0171】
予防的に活性な薬剤を含む追加の医薬品は、任意のタイプ、例えば、小有機分子、ペプチド、タンパク質(例えば、抗体、核タンパク質、リポタンパク質、ムコタンパク質、糖タンパク質)、炭水化物(例えば、単糖類、オリゴ糖類、または多糖類類)リポタンパク質、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)などの小分子コンジュゲートタンパク質、ステロイド、核酸(例えば、DNA、RNA、ヌクレオチド、ヌクレオシド、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのオリゴヌクレオチド)、脂質、ホルモン、ビタミン、および細胞であり得る。
【0172】
追加の各医薬品は、その医薬品について決定された用量および/またはタイムスケジュールで投与することができる。追加の医薬品はまた、互いに一緒に、および/または本明細書に記載される組成物と一緒に単一用量で投与され得るか、または異なる用量で別々に投与され得る。レジメンで用いる特定の組み合わせは、本明細書に記載される組成物と追加の医薬品(複数可)との適合性、ならびに/または達成されるべき所望の治療および/もしくは予防効果を考慮に入れる。一般に、追加の医薬品(複数可)を組み合わせて、それらが個々に利用されるレベルを超えないレベルで利用されることが期待される。いくつかの実施形態において、組み合わせて利用されるレベルは、個々に利用されるレベルよりも低いであろう。
【0173】
特定の実施形態において、本明細書に記載される追加の医薬品は、抗精神病薬、抗うつ薬、精神刺激薬、気分安定薬、抗不安薬、注意欠陥多動性障害(ADHD)を治療するための薬剤、またはアルツハイマー病(AD)を治療するための薬剤であり得る。
【0174】
抗精神病薬の例には、ブチロフェノン、ハロペリドール、フェノチアジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、チオリダジン、トリフルオペラジン、メソリダジン、プロマジン、トリフルプロマジン、レボメプロマジン、プロメタジン、チオキサンテン、クロルプロチキセン、フルペンチキソール、チオチキセン、ズクロペンチキソール、クロザピン、ノルクロザミン、オランザピン、リスペリドン、ケチアピン、ジプラシドン、アミスルプリド、アセナピン、パリペリドン、アリピプラゾール、ラモトリジン、カンナビジオール、LY2140023、ドロペリドール、ピモジド、ブタペラジン、カルフェナジン、レモキシプリド、ピペラセタジン、スルピリド、アカンプロサート、およびテトラベナジンが含まれるが、これらに限定されない。
【0175】
抗うつ薬は、モノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOI)、三環式抗うつ薬(TCA)、四環式抗うつ薬(TeCA)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、ノルアドレナリン作動性および特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NASSA)、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害薬、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)、またはセロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害薬(SNDRI)であり得る。抗うつ薬の例には、フルオキセチン、パロキセチン、エスシタロプラム、シタロプラム、セルトラリン、フルボキサミン、ベンラファキシン、ミルナシプラン、デュロキセチン、ミルタザピン、ミアンセリン、レボキセチン、ブプロピオン、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、デシプラミン、トリミプラミン、アモキサピン、ブプロピオン、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、イソカルボキサジド、トラニルシプロミン、トラゾドン、ネファゾドン、フェネルジン、ラマトロジン、リチウム、トピラメート、ガバペンチン、カルバマゼピン、オキシカルバゼピン、バルプロエート、マプロチリン、ブロファロミン、ゲピロン、モクロベミド、イソニアジド、およびイプロニアジドが含まれるが、これらに限定されない。
【0176】
特定の実施形態では、追加の医薬品は、結核などの細菌感染症を治療する、および/またはそのリスクを低減するための薬剤である。例には、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、ピラジンアミド、リファブチン、リファペンチン、カプレオマイシン、カナマイシン、アミカシン、ストレプトマイシン、フルオロキノロン抗生物質(例えば、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、オフロキサシン、ガチフロキサシン)、プロチオンアミド、パラ-アミノサリチル酸、エチオナミド、テリザドン、クロファジミン、クラリスロマイシン、リネゾリド、アモキシシリン-クラブラン酸塩、チアセタゾン、ベダキリン、デラマニド、カルバペンメム抗生物質(例えば、イミペネム、メロペネム、およびドリペネム)、カプレオマイシン、ビオマイシン、エンビオマイシン、リファブチン、マクロライド、チオリダジン、アルギニン、ビタミンD、およびベダキリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0177】
特定の実施形態において、追加の医薬品は、5-ヒドロキシトリプトファン(5-HTP)、イデベノン、アマンタジン、フィゾスチグミン、L-カルニチンまたは誘導体、トリメトプリム/スルファメトキサゾール、ビガバトリン、ホスファチジルコリン、アセタゾラミド、4-アミノピリジン、ブスピロン、Q10、ビタミンE、およびN-アセチル-ロイシンからなる群から選択される。
【0178】
さらなる詳細なしに、当業者が、上記の説明に基づいて、本発明を最大限に利用することができると考えられる。したがって、本明細書で提供される特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなる方法であれ、本開示の残りの部分を限定するものではない。本明細書で引用されるすべての刊行物は、本明細書で参照される目的または主題のために参照により組み込まれる。
【実施例
【0179】
実施例1:市販のD-サイクロセリンの安定性試験
1.D-サイクロセリンの安定性試験のストレス試験は、Macleods Pharmaから市販されているD-サイクロセリン500mgを用いて行い、開封して室温で高湿度(>90%RHまたは75%RH)、高温(40℃もしくは60℃)、または光条件で10日間保存した。結果は、表1に示されるように、D-サイクロセリンが高湿度に敏感であり、光に比較的敏感であり、40℃および60℃で比較的安定していることを示す。以下の実験では、D-サイクロセリンの安定性を確認するために総不純物を設定した。
【0180】
【表1】
【0181】
2.D-サイクロセリンを含む組成物、および様々な賦形剤の安定性
湿度はD-サイクロセリンの安定性に影響を与える主要な事実であるため、ストレス条件下(75%RHおよび40℃)での安定性への影響を試験するために、いくつかの添加剤を選択した。結果を以下の表2に示す。ラクトースおよび微結晶性セルロースpH-102(MCC pH-102、別名Avicel pH-102、3~5%の含水量を有する微結晶性セルロース)(試料1)またはマンニトールおよび微結晶性セルロースpH-102(試料2)、微結晶性セルロースpH-102単独(試料3)は、組成物中のD-サイクロセリンを安定化するのにより良い効果を有する。調査結果は、試料2および3が安定性試験でより良いパフォーマンスを示すことを明らかにする。
【0182】
【表2】
【0183】
実施例2:D-サイクロセリンを含む腸溶性コーティング錠の調製
腸溶性コーティング錠の調製には3つのステップがある。最初のステップは、S250スマートタブレットプレス機で圧縮されたコア錠を調製することである。第2のステップは、P MINI LABコーティング機によって単離層材料でコーティングされたコア錠を調製することである。最後のステップは、P MINI LABコーティング機によって腸溶層材料でコーティングされた単離層錠剤を調製することである。
【0184】
1.圧縮
有効成分(例えば、D-サイクロセリン化合物のうちのいずれか)を60メッシュスクリーンによってふるいにかけ、賦形剤を30メッシュのスクリーンによって別々にふるいにかけた。ふるいにかけた粉末をブレンディング機で5分間混合して混合物1を形成した。次いで、混合物1を潤滑剤としてのステアリン酸マグネシウムとおよそ5分間ブレンドし、そのブレンドをS250スマートタブレットプレス機によって圧縮して錠剤にした。得られたコア錠と呼ばれる錠剤を秤量し、それらの硬度、破砕性、および崩壊時間を試験した。溶解放出時間は、腸溶性コーティングプロセス後に試験される。
【0185】
2.単離層コーティング
2.1.単離層コーティング材料溶液の調製
7493.2gの精製水および9894.8gの95%エタノールを秤量し、容器に入れて52.47%のエタノール溶液を得た。次いで、単離層コーティング材料(Shanghai Colorcon Coating Technology Ltd.から購入したOpadry(登録商標)295K680002)を、52.47%のエタノール溶液にゆっくり添加し、室温で45分間撹拌して、8%の固形分を有する単離コーティング溶液を得た。単離コーティング溶液は、コーティングプロセス中に継続的に撹拌する必要があった。
【0186】
2.2単離層コーティング
P MINI LABコーティング機は、入口空気温度を40℃~60℃に設定し、パン速度を2rpmに設定することによって予熱した。次いで、コア錠を、排気温度が約42℃に達するまでコーティング機に入れ、次いで、表3に示されるパラメータの下で、単離コーティング溶液をコア錠にスプレーした。コーティングの重量増加が3.0±0.5%の目標範囲に達したとき、スプレーおよび加熱プロセスを停止した。
【0187】
2.3冷却
スプレーおよび加熱プロセスを停止した後、コーティングパン速度を5rpmに調整し、入口空気流を200~500m/hに調整して5分間冷却し、次いで単離層でコーティングされた錠剤を排出した。
【0188】
3.腸溶層コーティング
3.1腸溶層コーティング材料溶液の準備
腸溶性コーティング材料(Shanghai Colorcon Coating Technology Ltd.から購入したAcryl-EZE(登録商標)93O640017)を精製水に溶解し、腸溶性コーティング溶液を得るために、室温で少なくとも45分間継続して撹拌した。腸溶性コーティング溶液の最終濃度は、20重量%である。腸溶性コーティング溶液は、コーティングプロセス中にデジタルオーバーヘッド撹拌機で継続して撹拌する必要があった。
【0189】
3.2腸溶層コーティング
P MINI LABコーティング機は、入口空気温度を40℃~60℃に設定し、パン速度を2rpmに設定することによって予熱した。次いで、単離層でコーティングされた錠剤を、排気温度が約35℃に達するまでコーティング機に入れ、次いで、表3に示されるパラメータの下で、腸溶性コーティング溶液を、単離層でコーティングされた錠剤にさらにスプレーした。コーティングプロセスを注意深く監視して、パンの温度およびスプレーの品質が十分であり、付着する錠剤が観察されないことを確認する必要がある。コーティングの重量増加が12.36±0.5%の目標範囲に達したときに、スプレーおよび加熱プロセスを停止した。
【0190】
3.3冷却
スプレーおよび加熱プロセスを停止した後、コーティングパン速度を5rpmに調整し、入口空気流を200~500m/hに調整して、5分間冷却した後、腸溶性コーティング錠を排出した。
【0191】
【表3】
【0192】
4.硬度試験
得られた錠剤を硬度試験に供し、試験した錠剤を破壊するのに必要な力(N)を記録した。錠剤の硬度は、120~160Nの間で制御された。
【0193】
5.破砕性試験
10個の錠剤を錠剤破砕装置に入れ、25±1rpmで100回転させた。試験した錠剤のうちのいずれかが壊れた場合、試験は失敗したと判断された。錠剤が壊れなかった場合は、秤量して重量減少(%)を計算した。重量減少(%)は、1%未満である必要がある。
【0194】
6.崩壊試験
6個の錠剤を37±2℃の水に入れた。これらの錠剤が30分以内に崩壊しなかった場合、試験は失敗したと判断された。これらの錠剤の崩壊時間(分)を記録した。
【0195】
7.溶解試験
溶解試験は、酸段階および緩衝液段階を含む遅延放出剤形の溶解のためのUSP法に基づいて実施した。酸段階では、6個の錠剤を容器内の最初の溶解媒体(0.1N塩酸、pH2.0)に加え、溶解試験に供した。溶解媒体の容量は900mLであり、回転速度は100rpmであった。腸溶性コーティングは、胃の酸性環境に抵抗するため、これらの錠剤が120分以内に溶解した場合、試験は失敗したと判断された。酸段階でのこれらの錠剤の溶解時間(分)を記録した。
【0196】
0.1N塩酸で2時間操作した後、容器内の液体を抜き取り、第2の溶解媒体(リン酸緩衝液、pH6.8)と交換し、緩衝液段階の指示に従って直ちに処理した。緩衝液段階では、第2の溶解媒体の容量は900mLであり、回転速度は100rpmであった。これらの錠剤が0.1N HCl酸に溶解した場合、および/または45分でラベル含有量(すなわち、D-サイクロセリン)の80%以下に溶解しなかった場合、試験は失敗したと判断された。緩衝液段階でのこれらの錠剤の溶解時間(分)を記録した。
【0197】
実施例3:D-サイクロセリンを含むコア錠剤の調製
表4に示されるように、いくつかの製剤を使用してコア錠剤を調製した。微結晶性セルロースpH-102(MCC pH-102)、微結晶性セルロースpH-112(MCC pH-112、別名Avicel pH-112、1.5%未満の含水量を有する微結晶性セルロース)、デンプン 1500、およびアルファ化デンプンを、製剤中の希釈剤として使用した。MCC pH-112およびデンプン1500を含む製剤2、ならびにMCC pH-112およびアルファ化デンプンを含む製剤3は、製剤1よりも低い硬度およびより大きな破砕性を示した。
【0198】
【表4】
【0199】
さらに、表5に示すように、コア錠用の他の配合も調製した。これらのコア錠を、溶解試験の第2の部分(緩衝液段階)にも供して、それらが適切に崩壊され得るかどうかを判断し、溶解試験のために、コア錠を第2の溶解媒体(リン酸緩衝液、pH6.8)に直接添加した。
【0200】
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)およびPovidone K30は、低い硬度および高い破砕性という欠陥を改善することができる結合剤である。製剤4~6では、HPCが、硬度を高める優れた能力を示したため、HPCを選択して硬度を高めた。製剤7~10において、製剤7および10は、より短く、満足のいく溶解時間を示したが、大量のHPCを含有するコア錠製剤8~9は、はるかに長い溶解時間を示した。したがって、コア錠製剤8~9は、溶解試験に失敗したと判断された。
【0201】
【表5】
【0202】
実施例4:D-サイクロセリンを含む腸溶性錠剤製剤の調製
腸溶性錠剤は、実施例2に従って調製した。単離層および腸溶層は、胃の酸性環境から薬学的有効成分を保護した。したがって、表6に示されるように、単離層材料および腸溶層材料の量を調査した。
【0203】
製剤11~13は、腸溶層のコーティング量を増やしても耐酸性を示さなかった。コア錠はまた、耐酸性に関与している可能性もある。単離層の含有量については、製剤14~17において2.5~5.0%の範囲の単離層コーティング重量が提案された。腸溶層の含有量については、製剤14、15、および17に示されるように、腸溶性錠剤が胃の酸性環境に抵抗するのに10~14%の範囲で十分であった。製剤16の腸溶性錠剤は、ほとんど水を吸収せず、錠剤の形状が変化した(すなわち、膨らんだ)。これは、腸溶層のコーティング重量が少ないことが原因であり得る。対照的に、製剤14、15、17、および18は、pH6.8での優れた耐酸性ならびに優れた溶解効率を含むより良い結果を示した。要約すると、単離層、腸溶層、およびそれらの組み合わせの両方が、良好な耐酸性製剤に重要である。
【0204】
【表6】
【0205】
実施例5:動物モデルにおけるナノ結晶D-サイクロセリンおよび市販のD-サイクロセリンを含む腸溶性カプセルの薬物動態(PK)研究
1.ナノ結晶D-サイクロセリンの調製
プロセスA:
100mgの粗D-サイクロセリン粉末(Stride Shasunから購入)を1mLの脱イオン水に溶解して、飽和D-サイクロセリン水溶液を調製した。10mLの飽和D-サイクロセリン溶液を、20mLのtert-ブタノールまたはエタノール中の70%メチルエチルケトン(MEK)またはエタノール中の90% MEKにゆっくりと添加し、40Hzで1分間の超音波処理によって同時に粉砕した。溶液を、0.2μmフィルター膜を使用した吸引濾過によって濾過した。濾過した溶液を、10,000rpmで10分間遠心分離した。収集物を真空乾燥させて、ナノ結晶D-サイクロセリンを得た(平均収率:40.9%)。プロセスAによって調製したナノ結晶D-サイクロセリンを、以下の実験および試験に使用した。
【0206】
プロセスB:
D-サイクロセリンの飽和水溶液を、スプレー乾燥機によって乾燥させ、スプレー乾燥したD-サイクロセリン粉末を、遊星ボールミルによって粉砕した。粉砕したD-サイクロセリン粉末の直径は、0.2μm未満であった。
【0207】
プロセスC:
D-サイクロセリンの飽和水溶液をスプレー乾燥機によって乾燥させ、スプレー乾燥したD-サイクロセリン粉末を、プロセスAに示したのと同じステップでD-サイクロセリンの第2の飽和水溶液に調製した。D-サイクロセリンの第2飽和水溶液10mLを、エタノール中の70%メチルエチルケトン50mLにゆっくりと添加し、プロペラ撹拌機によって150rpmで10分間撹拌し、D-サイクロセリンを沈殿させた。沈殿したD-サイクロセリンを真空濾過によって収集し、真空乾燥オーブンによって70℃で一晩乾燥させた。得られたD-サイクロセリンを、遊星ボールミルによって粉砕した。粉砕したD-サイクロセリン粉末の直径は、0.2μm未満であった。
【0208】
2.ナノ結晶D-サイクロセリンおよび市販のD-サイクロセリンのカプセル製剤の調製
カプセル製剤の調製:
(1)製剤A:サイズ9の社内腸溶性カプセルのナノ結晶D-サイクロセリン。5.66gのKollicoat(登録商標)腸溶性コーティング材料を、開いたサイズ9の空のブタ硬質ゼラチンカプセル(Torpac)の表面に均一にブラッシングした後、コーティングされたカプセルが硬く乾燥するまで空気乾燥させた。コーティングステップおよび乾燥ステップを5回繰り返した後、開いたカプセルをそのまま閉じて使用できるようにした。各カプセルにおよそ10mgのナノ結晶D-サイクロセリンを充填した。
【0209】
(2)製剤B:サイズ9の社内腸溶性カプセルの市販のD-サイクロセリン(直径73μm)。製剤Bは、ナノ結晶D-サイクロセリンが市販のD-サイクロセリン(Strides Shasunから購入)で置換されたことを除いて、製剤Aを調製するための方法によって調製した。
【0210】
(3)ラットモデルでのPK研究:8週齢のSprague-Dawleyラットを異なるグループに分け、各グループに3匹のラットを入れた。試験品を投与する前に、すべてのラットを一晩絶食させ、水を自由に摂取させた。これらのラットには、それぞれ経口投与によって製剤AからBの単一用量を与えた。各実験における経口投与後の異なる時点で、血液試料を収集した。各動物から収集された血液の量は、300μL超であり、これらの血液試料を処理して、その後の分析のための血漿(150μL超)を得た。血漿試料をLC-MS法によって分析して、D-サイクロセリンの量を測定した。血液試料を得た後、脳を採取し、直ちに凍結させ、使用するまで-70°Cで保存した。
【0211】
(4)LC-MS/MS分析:
2μLの各血漿試料を、96ウェルプレートのウェルに移した。アセトニトリル中の0.1ng/μLのIS(Piracetam)100μLを各ウェルに添加して、タンパク質を沈殿させた。96ウェルプレートを1分間ボルテックスした後、3000rpmで5分間遠心分離した。上清を、LC-MS/MSによって分析する。
【0212】
血漿試料のD-サイクロセリン分析は、LC-MS/MSによって開発された。使用したクロマトグラフィーカラムは、Atlantis HIPIC Silica 100A 3.0×50mm、3μmであった。移動相は、(A)アセトニトリル/ギ酸(100/0.5(v/v))および(B)DI水/ギ酸(100/0.5(v/v))で構成され、勾配条件は表7に示される通りであった。流量は、0.6mL/分であった。オートサンプラーの温度は、25℃で維持し、注入量は、3μLで維持した。総LC実行時間は、5.5分であった。分析物のイオン化および検出は、三連四重極型質量分析計で正イオンモードで実施した。定量は、MRMモードを使用して、ナノ結晶D-サイクロセリンの場合、m/z 103.1→75.0のプロトン化前駆体→生成物イオン遷移を監視し、内部標準としてのピラセタムの場合、m/z 143.2→97.8のプロトン化前駆体→生成物イオン遷移を監視した。PKの結果を表8に示した。
【0213】
【表7】
【0214】
【表8】
【0215】
ナノ結晶D-サイクロセリンを腸内カプセルに負荷した場合、表8に示されるように、PKパラメータの主な違いは、CmaxおよびAUCであった。ナノ結晶D-サイクロセリンを含む腸溶性カプセルのCmaxおよびAUCは、市販のD-サイクロセリンを含む腸溶性カプセルの対応する値と比較して、それぞれ26%および10%高い。これらのデータは、ナノ結晶D-サイクロセリンが薬物動態においてより優れた吸着速度、例えば市販のD-サイクロセリンと比較してより大きな表面積を有することを示す。
【0216】
実施例6:D-サイクロセリンを含む腸溶性コーティングカプセルの調製
腸溶性コーティングされたkangke 0 HPMCカプセルは、Shaoxing Comco capsule Co.Ltdから入手した。最初に、API(サイクロセリン)およびすべての他の賦形剤を、40メッシュのふるいに通した。第2に、API、微結晶性セルロース、マンニトールまたはラクトース、およびクロスカルメロースナトリウムをそれぞれビニール袋に量り入れ、手動で3分間混合して混合物1を得た。第3に、ステアリン酸マグネシウムを秤量し、混合物1と複合し、手動で1分間混合して混合物2を得た。最後に、混合物2を腸溶性コーティングされたカプセルに直接充填し、耐酸性溶解試験を行った。
【0217】
4つの製剤を調製した。表9に示されるように、製剤19および20は、D-サイクロセリンおよび示された賦形剤を含み、一方、製剤21は、製剤19で使用されたものと同じ賦形剤を含むが、D-サイクロセリンを含まなかった。酸性溶液中で2時間(0.1N HCl、2時間、模擬胃液中)インキュベートした後、製剤19および20のカプセルを破壊し、カプセル内の成分を湿らせたが、製剤21は図1に示されるように、破壊せず、カプセル内の成分は乾燥したままであった。Jiangsu lifan capsule Co.,Ltd.およびDah Feng capsule industry Co.,Ltd.から入手したカプセルを使用しても同様の結果が観察された。この例は、D-サイクロセリンの吸湿性のために、D-サイクロセリン腸溶性コーティングカプセルを作製することが困難であることを示している。最後に、製剤22が酸性溶液中で安定であることが発見された。
【0218】
【表9】
【0219】
実施例7:パッチ製剤の調製およびナノ結晶D-サイクロセリンのインビトロ経皮送達
1.パッチ製剤の調製
(1)パッチ製剤C:最初に、10mgのポビドンを、0.05mLのNaOH溶液に添加した。次いで、ポビドン溶液に、0.5mLのジプロピレングリコール、0.6mLのPEG400、および0.2mLのコーン油を添加して、ボルテックスおよび超音波処理によってエマルジョン溶液を形成した。15mgのナノ結晶D-サイクロセリンを、1.35mLのエマルジョン溶液に撹拌条件で添加した。ナノ結晶D-サイクロセリンがエマルジョン溶液に十分に懸濁されると、最終製剤が得られ、次いで経皮送達試験のためにフランツ拡散セルシステムのドナーコンパートメントに添加された。製剤および試験結果を表11に示す。
【0220】
(2)パッチ製剤D:最初に、5mgのマンニトールおよび10mgのポビドンを、0.05mLのNaOH溶液に添加した。次いで、このマンニトール/ポビドン溶液に、0.2mLのジプロピレングリコール、0.8mLのPEG400、および0.3mLのコーン油を添加して、ボルテックスおよび超音波処理によってエマルジョン溶液を形成した。30mgのナノ結晶D-サイクロセリンを、1.35mLのエマルジョン溶液に撹拌条件で添加した。D-サイクロセリンナノ結晶がエマルジョン溶液に十分に懸濁されると、最終製剤が得られ、次いで経皮送達試験のためにフランツ拡散セルシステムのドナーコンパートメントに添加された。製剤および試験結果を表11に示す。
【0221】
(3)パッチ製剤E:最初に、5mgのマンニトールおよび10mgのポビドンを、0.05mLのNaOH溶液に添加した。次いで、このマンニトール/ポビドン溶液に、0.2mLのジプロピレングリコール、0.8mLのPEG400、および0.3mLのコーン油を添加して、ボルテックスおよび超音波処理によってエマルジョン溶液を形成した。30mgのナノ結晶D-サイクロセリンを、1.35mLのエマルジョン溶液に撹拌条件で添加した。D-サイクロセリンナノ結晶がエマルジョン溶液に十分に懸濁されると、最終製剤が得られ、次いで経皮送達試験のためにフランツ拡散セルシステムのドナーコンパートメントに添加された。製剤および試験結果を表11に示す。
【0222】
(4)パッチ製剤F:最初に、5mgのマンニトールおよび10mgのポビドンを、0.05mLのNaOH溶液に添加した。次いで、このマンニトール/ポビドン溶液に、0.2mLのジプロピレングリコール、0.8mLのPEG400、および0.3mLのコーン油を添加して、ボルテックスおよび超音波処理によってエマルジョン溶液を形成した。30mgのD-サイクロセリン市販製品(Stride Shasunから購入)を、1.35mLのエマルジョン溶液に撹拌条件で添加した。D-サイクロセリン市販製品がエマルジョン溶液に十分に懸濁されると、最終製剤が得られ、次いでフランツ拡散セルシステムのドナーコンパートメントに添加された。製剤および試験結果を表11に示す。
【0223】
(5)パッチ製剤G:最初に、10mgのポビドンを、0.05mLのNaOH溶液に添加した。次いで、ポビドン溶液に、0.5mLのジプロピレングリコール、0.6mLのPEG400、および0.2mLのコーン油を添加して、ボルテックスおよび超音波処理によってエマルジョン溶液を形成した。15mgのD-サイクロセリン市販製品(Stride Shasunから購入)を、1.35mLのエマルジョン溶液に撹拌条件で添加した。D-サイクロセリン市販製品がエマルジョン溶液に十分に懸濁されると、最終製剤が得られ、次いでフランツ拡散セルシステムのドナーコンパートメントに添加された。製剤および試験結果を表11に示す。
【0224】
2.インビトロ経皮送達実験
450nmの細孔サイズを有するSTART-M(登録商標)膜(Merckから購入)を、フランツ拡散セル(PermeGear,Riegelsville,PA,USAから購入)に装着した。受容体コンパートメントには、8mLのDI水が含まれていた。1~1.35mLの上述の製剤を、それぞれドナーコンパートメントを横切って1cmの領域の面積にわたって膜に適用した。ドナーコンパートメントを周囲温度に曝露し、蒸発を防ぐためにパラフィルムで覆った後、膜に適用した製剤が受容体コンパートメントの脱イオン水に拡散した。受容体コンパートメント内の溶液(すなわち、放出媒体)を、テフロンコーティングされた磁気棒を用いて32°Cで継続して撹拌した。6、24、48、72、96、120、および144時間後に、試料(0.2mL)を製剤C~Gの放出媒体から取り出し、等量のDI水で置き換えて浸漬状態を維持した。別の試料セット(0.2mL)を取り出し、メタノールで希釈した後、LC-MS/MSによって分析した。
【0225】
3.LC-MS/MS分析
D-サイクロセリンの分析は、LC-MS/MS法によって開発されている。LC-MS/MS分析に使用したクロマトグラフィーカラムは、Thermo Fisher ScientificからのC18カラムであった。移動相は、(A)アセトニトリル中の0.1%トリフルオロ酢酸および(B)DI水中の0.1%トリフルオロ酢酸で構成され、勾配条件は、表10に示される通りであった。流量は、0.5mL/分であった。オートサンプラーの温度は、4℃で維持し、注入量は、5μLで維持した。総LC実行時間は、20分であった。分析物のイオン化および検出は、三連四重極型質量分析計、API-2000で正イオンモードで実行した。プロトン化した前駆体から生成物イオン(m/z 103.1から75.0)への遷移を監視するために、MRMモードを使用して定量を行った。
【0226】
【表10】
【0227】
4.インビトロでの長期経皮放出動態の計算
各製剤の長期経皮放出動態をシミュレートし、非線形方程式によって計算した。各製剤の理想的な最大放出量およびT1/2(受容体コンパートメントに放出される最大半量D-サイクロセリンでの時間)を表11に示し、各製剤の放出動態を図2に示す。
【0228】
【表11】
【0229】
表11および図2に示されるように、本実施例に開示されるナノ結晶D-サイクロセリンパッチ製剤は、市販のD-サイクロセリン(Stride Shasunから購入)を含む製剤と比較して、インビトロ経皮送達システムにおいてより優れた透過能力を示す。市販のD-サイクロセリンをインビトロ経皮送達実験用の製剤に適用した場合、6日間の実験後にSTART-M(登録商標)膜上に明らかなケーキが得られることがわかった。しかしながら、ナノ結晶D-サイクロセリンを含有する製剤では、同じ現象は観察されなかった。したがって、本明細書に開示されるナノ結晶D-サイクロセリンパッチ製剤は、ヒトの皮膚を介してより優れた透過を示す。
【0230】
さらに、皮膚は人体の最大の器官であり、有害な微生物種および異物が体内に侵入することに対する優れた保護バリアを構成する。バリア機能は、最外皮層の疎水性の高い性質およびコンパクトな構造の結果であり、親水性薬物、例えば、D-サイクロセリンの経皮送達を困難にする(log p=-1.72)。本明細書に開示される結果は、ナノ結晶D-サイクロセリンパッチ製剤C~Eが、非常に疎水性であったSTART-M(登録商標)膜を透過できることを示した。これらの結果は、本明細書に開示されるナノ結晶D-サイクロセリンパッチ製剤が疎水性膜を透過することができ、それによってヒトの皮膚の疎水性境界を低減することを示唆している。
【0231】
要約すると、この実施例は、本明細書に開示されるパッチ製剤が、D-サイクロセリン経皮送達のためのリザーバーパッチシステムまたは他の経皮送達システムでの使用に好適であることを実証している。
【0232】
同等物および範囲
特許請求の範囲において、「a」、「an」、および「the」などの冠詞は、反対に示されない限り、または文脈から明らかでない限り、1つまたは2つ以上を意味し得る。グループの1つ以上のメンバー間に「または」を含む特許請求の範囲または説明は、グループメンバーのうちの1つ、2つ以上、もしくはすべては、反対に示されない限り、または文脈から明らかでない限り、所与の生成物もしくはプロセスに存在する、用いられる、またはそうでなければ関連する場合に満たされているとみなされる。本発明は、グループの正確に1つのメンバーが、所与の生成物もしくはプロセスに存在する、用いられる、またはそうでなければ関連する実施形態を含む。本発明は、2つ以上またはすべてのグループメンバーが、所与の生成物もしくはプロセスに存在する、用いられる、またはそうでなければ関連する実施形態を含む。
【0233】
さらに、本発明は、リストされた特許請求の範囲のうちの1つ以上からの1つ以上の制限、要素、節、および説明用語が別の特許請求の範囲に導入されるすべての変形、組み合わせ、および順列を包含する。例えば、別の特許請求の範囲に依存する任意の特許請求の範囲は、同じ基本の特許請求の範囲に依存する任意の他の特許請求の範囲に見られる1つ以上の制限を含めるように修正することができる。要素がリストとして提示される場合、例えばマーカッシュグループ形式では、要素の各サブグループも開示され、任意の要素(複数可)をグループから削除することができる。一般に、本発明または本発明の態様が特定の要素および/または特徴を含むと言及される場合、本発明の特定の実施形態または本発明の態様は、そのような要素および/もしくは特徴からなるか、または本質的になることを理解されたい。簡単にするために、これらの実施形態は、本明細書にこれらの言葉で具体的に記載されていない。「含む」および「含有する」という用語は、オープンであることを意図しており、追加の要素またはステップを含めることを可能にすることにも留意されたい。範囲が指定されている場合、エンドポイントが含まれる。さらに、反対に示されない限り、または文脈および当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表される値は、文脈により別途明らかに指示されない限り、その範囲の下限の単位の10分の1まで、本発明の異なる実施形態における記載された範囲内の任意の特定の値またはサブ範囲を想定することができる。
【0234】
本出願は、様々な発行された特許、公開された特許出願、ジャーナル記事、および他の刊行物を指し、これらはすべて、参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれた参考文献のうちのいずれかと本明細書との間に矛盾がある場合は、明細書が優先するものする。さらに、先行技術に該当する本発明の任意の特定の実施形態は、特許請求の範囲のうちのいずれか1つ以上から明示的に除外することができる。そのような実施形態は、当業者に知られているとみなされるため、除外が本明細書に明示的に記載されていなくても、それらは除外され得る。本発明の任意の特定の実施形態は、先行技術の存在に関連するかどうかにかかわらず、理由を問わず、任意の特許請求の範囲から除外することができる。
【0235】
当業者は、本明細書に記載される特定の実施形態と等価なものを日常的な実験だけで多く認識するか、または確認することができるであろう。本明細書に記載される本実施形態の範囲は、上記の説明に限定されることを意図するものではなく、添付の特許請求の範囲に記載されている通りである。当業者は、以下の特許請求の範囲で定義されるように、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、この説明に対する様々な変更および修正を行うことができることを理解するであろう。
【0236】
本明細書で使用される「約(about)」または「およそ(approximately)」という用語は、当業者によって決定される特定の値の許容可能な誤差範囲内を意味し、これは、値がどのように測定または決定されるかに部分的に依存し、すなわち、測定システムの限界である。例えば、「約」は、当技術分野の慣行に従って、許容可能な標準偏差内を意味することができる。あるいは、「約」は、所与の値の最大±20%、好ましくは最大±10%、より好ましくは最大±5%、より好ましくは最大±1%の範囲を意味し得る。あるいは、特に生物学的系または過程に関して、この用語は、値の1桁以内、好ましくは2倍以内を意味することができる。特定の値が本出願および特許請求の範囲に記載されている場合、特に明記しない限り、「約」という用語は暗黙的であり、これに関連して、特定の値の許容可能な誤差範囲内を意味する。
【0237】
本明細書および特許請求の範囲で本明細書で使用される「および/または」という句は、そのように結合された要素、すなわち、ある場合には結合的に存在し、他の場合には分離的に存在する要素の「いずれかまたは両方」を意味すると理解されるべきである。「および/または」で列挙される複数の要素は、同じ方法で、すなわち、そのように結合された要素の「1つ以上」と解釈されるべきである。「および/または」節によって具体的に識別される要素以外の他の要素は、具体的に識別される要素に関連するか否かにかかわらず、任意で存在し得る。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む」などの制限のない言語と組み合わせて使用される場合、一実施形態では、Aのみを指し(任意で、B以外の要素を含む)、別の実施形態では、Bのみを指し(任意でA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、AおよびBの両方等を指す(任意で他の要素を含む)。
【0238】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「または」は、上記で定義された「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。たとえば、リスト内の項目を区切る場合、「または」または「および/または」は包括的であると解釈され、すなわち、要素の数またはリスト、および任意で追加のリスト項目のうちの少なくとも1つを含むが、2つ以上を含むと解釈される。「ただ1つ」または「正確に1つ」、または特許請求の範囲で使用される場合は「からなる」など、反対に明確に示される用語のみが、要素の数またはリストのうち正確に1個の要素を含むことを指すだろう。一般に、本明細書で使用される「または」という用語は、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つだけ」、または「のうちの正確に1つ」など、排他性の用語が先行する場合、排他的選択肢(すなわち、「どちらか一方であり、両方ではない」)を示すものとして解釈されるべきである。「本質的にからなる」は、特許請求の範囲で使用される場合、特許法の分野で使用される通常の意味を有するべきである。
【0239】
本明細書の明細書および特許請求の範囲で使用される場合、1つ以上の要素のリストに関連する「少なくとも1つ」という句は、要素のリスト内の任意の1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであるが、要素のリスト内に具体的に列挙されるありとあらゆる要素のうちの少なくとも1つを含む必要はなく、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを除外するものではない。この定義はまた、「少なくとも1つ」という句が言及する要素のリスト内で具体的に識別される要素以外の要素が、具体的に識別される要素に関連するか否かにかかわらず、任意で存在し得ることを可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または、同等に、「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または同等に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つのA(任意で2つ以上のAを含む)と、Bが存在しないこと(および任意でB以外の要素を含む)、別の実施形態では、少なくとも1つのB(任意で2つ以上のBを含む)と、Aが存在しないこと(および任意でA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、少なくとも1つのA(任意で2つ以上のAを含む)および少なくとも1つのB(任意で2つ以上のBを含む)(および任意で他の要素を含む)等について言及し得る。
図1
図2