(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】流体制御装置
(51)【国際特許分類】
G05D 7/06 20060101AFI20240507BHJP
F16K 49/00 20060101ALI20240507BHJP
F16K 27/00 20060101ALI20240507BHJP
F17D 1/02 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
G05D7/06 B
F16K49/00 B
F16K27/00 Z
F17D1/02
(21)【出願番号】P 2021528126
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(86)【国際出願番号】 JP2020022767
(87)【国際公開番号】W WO2020261985
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2019121119
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100183380
【氏名又は名称】山下 裕司
(72)【発明者】
【氏名】栗城 春彦
(72)【発明者】
【氏名】野刈 慎也
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-089798(JP,A)
【文献】特開2000-145979(JP,A)
【文献】特開2002-267100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 7/06
F16K 49/00
F16K 27/00
F17D 1/00
F16L 59/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートと、
前記ベースプレートに設置されるガスラインと、を備え、
前記ガスラインは、
前記ベースプレートに所定の方向に沿って設けられた樹脂部材と、
前記樹脂部材上に設けられた第1ブラケットと、
前記第1ブラケット上に設けられた複数の継手と、
前記複数の継手に設けられた複数の流体制御機器と、
前記複数の継手および前記複数の流体制御機器に装着されたヒータと、を備え、
前記第1ブラケットは、
前記樹脂部材に固定される
4つの第1固定部と、
前記第1固定部から、前記ベースプレートに対して離間する方向へ延びる
4本の第1脚部と、
各第1脚部の前記第1固定部側に対する反対側の端部
に接続され前記所定の方向に延びて前記第1脚部に対し交差するように突出し、前記継手が設置される第1設置部と、を備え
、
前記4つの第1固定部のうち2つの第1固定部及び前記4本の第1脚部のうち2本の第1脚部は、前記第1設置部の一方の端部側に位置し、前記4つの第1固定部のうち残る2つの第1固定部及び前記4本の第1脚部のうち残る2本の第1脚部は、前記第1設置部の他方の端部側に位置する、流体制御装置。
【請求項2】
前記第1脚部および前記第1設置部は、板状をなしている、請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項3】
前記樹脂部材が断熱部材である請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項4】
前記ベースプレートと前記樹脂部材との間に設けられる第2ブラケットをさらに備え、
前記第2ブラケットは、
前記ベースプレートに固定される第2固定部と、
前記第2固定部から、前記ベースプレートに対して離間する方向へ延びる第2脚部と、
前記第2脚部の前記第2固定部側に対する反対側の端部から前記第2脚部に対し交差するように突出し、前記樹脂部材が設置される第2設置部と、を備える、請求項1または請求項2に記載の流体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベースプレート上の集積ユニットに対してヒータブロックを装着して、集積ユニットを所定の温度に加熱する集積弁が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ヒータブロックにより加熱される集積ユニットの温度が高温化の傾向にある。しかし、集積ユニットの温度を高温にしてしまうと、当該集積ユニットに隣接する流体制御機器の温度も上昇し、当該流体制御機器を流れる流体に影響を及ぼしてしまう。
【0005】
そこで本開示は、ガスラインを加熱するヒータの熱による隣接する流体制御機器への影響を抑制可能な流体制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するために、本開示の一態様である流体制御装置は、ベースプレートと、前記ベースプレートに設置されるガスラインと、を備え、前記ガスラインは、前記ベースプレートに所定の方向に沿って設けられた樹脂部材と、前記樹脂部材上に設けられた第1ブラケットと、前記第1ブラケット上に設けられた複数の継手と、前記複数の継手に設けられた複数の流体制御機器と、前記複数の継手および前記複数の流体制御機器に装着されたヒータと、を備え、前記第1ブラケットは、前記樹脂部材に固定される第1固定部と、前記第1固定部から、前記ベースプレートに対して離間する方向へ延びる第1脚部と、前記第1脚部の前記第1固定部側に対する反対側の端部から前記第1脚部に対し交差するように突出し、前記継手が設置される第1設置部と、を備える。
【0007】
前記第1脚部および前記第1設置部は、板状をなしていてもよい。前記樹脂部材が断熱部材であってもよい。
【0008】
前記ベースプレートと前記樹脂部材との間に設けられる第2ブラケットをさらに備え、前記第2ブラケットは、前記ベースプレートに固定される第2固定部と、前記第2固定部から、前記ベースプレートに対して離間する方向へ延びる第2脚部と、前記第2脚部の前記第2固定部側に対する反対側の端部から前記第2脚部に対し交差するように突出し、前記樹脂部材が設置される第2設置部と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ガスラインを加熱するヒータの熱による隣接する流体制御機器への影響を抑制可能な流体制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る流体制御装置の斜視図である。
【
図7】変形例に係る第1ブラケットの斜視図である。
【
図8】変形例に係る第2ブラケットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態に係る流体制御装置について、図面を参照して説明する。以下の説明における上下は、
図1の上下とし、ガスライン3が延びる方向を第1方向D1(所定の方向)とし、ベースプレート2に平行でかつ第1方向D1に直交する方向を第2方向D2とする。
【0012】
図1は、本実施形態に係る流体制御装置1の斜視図である。
図2は、ガスライン3の側面図である。
図3は、流体制御装置1の系統図である。
【0013】
図1~
図3に示すように、流体制御装置1は、ベースプレート2と、複数のガスライン3とを備えている。本実施形態では、ベースプレート2上にガスライン3は3本設けられているが、本数はこれに限らない。
【0014】
ベースプレート2は、ステンレス鋼等の金属材料により構成され、例えば、ガスボックスの底壁を構成するプレートである。ベースプレート2には、複数のリベット孔2a(
図2)が形成されている。各リベット孔2aは、円錐台形状をなしている。
【0015】
各ガスライン3は、複数の樹脂部材4と、複数の第1ブラケット20と、複数の第2ブラケット30と、入口配管5と、出口配管6と、連結配管7、8と、複数の継手9と、複数の流体制御機器10~17と、ヒータ18(
図3)とを備える。なお、ヒータ18は、1本のガスライン3にのみ設けられている。
図1、3において、1本のガスライン3にのみ構成部品の参照番号を付している。ヒータ18は、
図1、2には図示していない。
【0016】
複数の第2ブラケット30は、第1方向D1に沿って、ベースプレート2上に一列に並ぶように設けられている。複数の樹脂部材4は、それぞれ対応する第2ブラケット30上に設けられている。複数の第1ブラケット20は、それぞれ複数の樹脂部材4上に設けられている。第1ブラケット20、樹脂部材4、および第2ブラケット30の詳細な構成については後述する。
【0017】
入口配管5は、ガスライン3における流体の入口となる。出口配管6は、ガスライン3における流体の出口となる。連結配管7は、継手9同士を連結している。連結配管8は、最下流に位置する継手9と出口配管6とを連結している。複数の継手9は、ブロック状をなし、入口配管5と出口配管6との間に位置し、複数の第1ブラケット20上に一列に並ぶように設けられている。各継手9には、ガスの流路が形成されている。各継手9は、図示せぬボルトによって第1ブラケット20に固定されている。
【0018】
複数の流体制御機器10~17は、フィルタを含む手動弁10と、フリーブロック11と、圧力計12と、自動弁(例えば流体駆動式の自動弁)13、14、16と、流量制御機器(例えば、マスフローコントローラ(MFC:Mass Flow Controller))15と、圧力スイッチ17とにより構成されている。
図3に示すように、各流体制御機器10~16は、ボルト19により、対応する継手9に対しそれぞれ固定されている。図の簡略化のため一つのボルト19にのみ参照番号を付している。圧力スイッチ17は、連結配管8に接続されている。
【0019】
ヒータ18は、例えば、リボンヒータであり、3本のガスライン3のうちの1本のガスライン3に対し装着され、当該ガスライン3を所定の温度(例えば、95℃)に加熱する。
【0020】
各樹脂部材4は、断熱性に優れた樹脂材料(例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PEI(ポリエーテルイミド))により構成されている。
図4に示すように、各樹脂部材4は、平面視略矩形の板状をなしている。各樹脂部材4には、ボルト4B(
図2)が挿入されるボルト挿入孔4aが2箇所に形成されている。
【0021】
【0022】
第1ブラケット20は、金属製(例えば、SUS304、SPCC)の平板が曲げ加工されることにより成形され、4つの第1固定部21と、4本の第1脚部22と、第1設置部23とを備える。各第1固定部21には、ボルト4B(
図2)が挿入されるボルト挿入孔21aが形成されている。各第1脚部22は、対応する第1固定部21の内端から、上方向へ延びている。すなわち、各第1脚部22は、対応する第1固定部21から、ベースプレート2に対して離間する方向(離間する側)へ延びている。
【0023】
第1設置部23は、各第1脚部22の上端に接続され、各第1脚部22に対して直交している。すなわち、第1設置部23は、各第1脚部22の第1固定部21側に対する反対側の端部から各第1脚部22に対し交差するように突出している。このため、第1設置部23とベースプレート2との間に空間が形成される。第1設置部23には、継手9を固定するための図示せぬボルトが螺合される複数のボルト螺合孔23aが形成されている。図の簡略化のため一つのボルト螺合孔23aにのみ参照番号を付している。
【0024】
【0025】
第2ブラケット30は、金属製(例えば、SUS304、SPCC)の平板が曲げ加工されることにより成形され、第2固定部31と、第2脚部32と、第2設置部33とを備える。第2固定部31には、リベット2B(
図2)が挿入されるリベット挿入孔31aが2箇所に形成されている。第2脚部32は、第2固定部31の端縁から、上方向へ延びている。すなわち、第2脚部32は、第2固定部31から、ベースプレート2に対して離間する方向(離間する側)へ延びている。
【0026】
第2設置部33は、第2脚部32の上端に接続され、第2脚部32に対して直交している。すなわち、第2設置部33は、第2脚部32の第2固定部31側に対する反対側の端部から第2脚部32に対し交差するように突出している。このため、第2設置部33とベースプレート2との間に空間が形成される。第2設置部33には、ボルト4B(
図2)が螺合されるボルト螺合孔33aが2箇所に形成されている。
【0027】
図2に示すように、各第2ブラケット30の第2固定部31の各リベット挿入孔31a(
図6)およびベースプレート2の各リベット孔2aに、リベット2Bを挿入して、心棒を引張り、切断することにより、第2ブラケット30がベースプレート2に固定されている。
【0028】
各第2ブラケット30の第2設置部33上に、各樹脂部材4が設置され、各樹脂部材4上に、第1ブラケット20の2つの第1固定部21が設置されている。各樹脂部材4のボルト挿入孔4a(
図4)および各第1固定部21のボルト挿入孔21a(
図5)にボルト4Bが挿入され、当該ボルト4Bが各第2設置部33のボルト螺合孔33a(
図6)に螺合されることによって、各樹脂部材4および各第1ブラケット20が、対応する第2ブラケット30に固定される。
【0029】
上記のような流体制御装置1によれば、ガスライン3は、第1方向D1に沿って設けられた樹脂部材4と、樹脂部材4上に設けられた第1ブラケット20と、第1ブラケット20上に設けられた複数の継手9と、複数の継手9に設けられた複数の流体制御機器10~16と、複数の継手9および複数の流体制御機器10~16に装着されたヒータ18と、を備え、第1ブラケット20は、樹脂部材4に固定される第1固定部21と、第1固定部21から、ベースプレート2に対して離間する方向へ延びる第1脚部22と、第1脚部22の第1固定部21側に対する反対側の端部から第1脚部22に対し交差するように突出し、継手9が設置される第1設置部23と、を備える。
【0030】
かかる構成によれば、ヒータ18が装着された複数の継手9および複数の流体制御機器10~16が、第1固定部21、第1脚部22、および第1設置部23からなる第1ブラケット20により、ベースプレート2から離間して配置される。これにより、複数の継手9および複数の流体制御機器10~16とベースプレート2との間に空間が形成されるので、ヒータ18による熱が、ベースプレート2に伝達するのを抑制することができる。その結果、ガスライン3に隣接する流体制御機器、例えば、隣接するガスライン3の流体制御機器への熱の影響を抑制することができる。
【0031】
第1脚部22および第1設置部23は、板状をなしているので、ヒータ18による熱が、ベースプレート2に伝達するのを抑制することができる。
【0032】
ベースプレート2と樹脂部材4との間に設けられる第2ブラケット30をさらに備え、第2ブラケット30は、ベースプレート2に固定される第2固定部31と、第2固定部31から、ベースプレート2に対して離間する方向へ延びる第2脚部32と、第2脚部32の第2固定部31側に対する反対側の端部から第2脚部32に対し交差するように突出し、樹脂部材4が設置される第2設置部33と、を備える。
【0033】
かかる構成によれば、樹脂部材4とベースプレート2との間に空間が形成されるので、ヒータ18による熱が、ベースプレート2に伝達するのをさらに抑制することができる。
【0034】
なお、本開示は、上述した実施形態に限定されない。当業者であれば、本開示の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
【0035】
例えば、第1ブラケット20の構造は、
図5に示した構造に限らず、
図7に示す第1ブラケット120のように、2つの第1固定部21、2本の第1脚部22、および第1設置部23により構成されていてもよい。
図8に示す第1ブラケット220のように、1つの第1固定部21、1本の第1脚部22、および第1設置部23により構成されていてもよい。
【0036】
第2ブラケット30は、リベット2Bによってベースプレート2に固定したが、溶接によってベースプレート2に固定してもよい。ヒータ18のうち、複数の継手9および流体制御機器10~16を加熱する部分は、シートヒータであってもよい。
【0037】
樹脂部材4は、2つの第1固定部21に対し、一つ設けられていたが、各第1固定部21に対し一つの樹脂部材4を設けるようにしてもよい。樹脂部材4は、複数の樹脂部材4により構成したが、第1方向D1に沿って延びる一本の樹脂部材4であってもよい。第1ブラケット20は、一つのガスライン3に2つの第1ブラケット20を設けたが、第1方向D1に沿って延びる一つのブラケット20であってもよいし、流体制御機器の構成に応じて、
図7に示した第1ブラケット120および
図8に示した第1ブラケット220を用いてもよい。第2ブラケット30は、複数の第2ブラケット30により構成したが、第1方向D1に沿って延びる一本の第2ブラケット30であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1:流体制御装置
2:ベースプレート
3:ガスライン
4:樹脂部材
9:継手
10~16:流体制御機器、
18:ヒータ
20:第1ブラケット
21:第1固定部
22:第1脚部
23:第1設置部
30:第2ブラケット
31:第2固定部、
32:第2脚部
33:第2設置部