(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】ウイルス検査のための被検査者用検体道具
(51)【国際特許分類】
G01N 1/12 20060101AFI20240507BHJP
A41D 13/11 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
G01N1/12 B
A41D13/11 E
A41D13/11 Z
(21)【出願番号】P 2022570634
(86)(22)【出願日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 KR2021005989
(87)【国際公開番号】W WO2021235768
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】10-2020-0059759
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522451447
【氏名又は名称】パク,ヨン ナム
【氏名又は名称原語表記】PARK, Yong Nam
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨン ナム
【審査官】目黒 大地
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-120647(JP,A)
【文献】登録実用新案第3205818(JP,U)
【文献】特開2021-165649(JP,A)
【文献】登録実用新案第3155829(JP,U)
【文献】特許第7167383(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00- 1/44
A41D 13/00-13/12
A62B 7/00-33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査者の顔面または顔面の一部を遮蔽させるマスク;
前記マスクを着用した被検査者の口または鼻に挿入されて検体を採取する検体採取綿棒;
前記マスクに形成され、検体採取綿棒が出入りすることができる直径の通路を持つ綿棒出入孔部;及び
前記綿棒出入孔部に脱着されることができるように構成され、前記検体採取綿棒を前記綿棒出入孔部の通路にガイドするために開放される開放手段が形成された脱着キャップ;を含み、
前記開放手段は前記綿棒出入孔部に向かって一方向にのみ開放され
、
前記検体採取綿棒には検体採取綿棒の直径より大きい直径を有し、綿棒出入孔部に挿入された後抜けて出ながら前記開放手段を干渉して、検体が脱着キャップに接触されないように脱着キャップを分離させることができる干渉板が形成されたことを特徴とする、ウイルス検査のための被検査者用検体道具。
【請求項2】
前記綿棒出入孔部は、被検査者の口/鼻に対応される視窓に形成され、視窓は本体から前方に向かって突出された透明材質からなることを特徴とする、請求項1に記載のウイルス検査のための被検査者用検体道具。
【請求項3】
前記口に対応される視窓には舌押さえ部がさらに設けられ、舌押さえ部は鼻に対応される綿棒出入孔部から離隔されて被検査者の舌を収容する収容溝を形成し、
前記舌押さえ部と鼻に対応される視窓の間には舌圧子が挿入されることができるようにガイド溝が形成され、
前記口に対応される綿棒出入孔部は前記ガイド溝に形成され、
検査者が舌圧子をガイド溝に挿入し、前記収容溝に収容された被検査者の舌を制圧できるようにしたことを特徴とする、請求項2に記載のウイルス検査のための被検査者用検体道具。
【請求項4】
前記綿棒出入孔部はマスクから突出され、突出された方向に向かって段々直径が狭くなるように形成され、
前記脱着キャップは前記綿
棒出入孔部
にはめ込むことができる中空の形態で構成されたことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のウイルス検査のための被検査者用検体道具。
【請求項5】
前記綿棒出入孔部はマスクから突出され、綿棒出入孔部の先端部は綿棒出入孔部の直径に比べて大きく形成されて直径差による段差を形成し、
前記脱着キャップは前記段差にかかって結合されることができる係止部を構成したことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のウイルス検査のための被検査者用検体道具。
【請求項6】
前記脱着キャップは復元力を持つ樹脂物で提供され、
前記開放手段は脱着キャップの一部に設けられた切開線で構成され、
検体採取綿棒の挿入時に外力によって切開されて切開片を形成し、切開片が脱着キャップの中に巻きこまれながら脱着キャップの気密が維持されるように構成されたことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のウイルス検査のための被検査者用検体道具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス検査のための被検査者用検体道具に係り、より詳しくは、着用した状態でウイルス検査のための検体採取中、被検査者より汚染源がマスクの外に漏れないようにしたウイルス検査のための被検査者用検体道具に関する。
【背景技術】
【0002】
マスクは人の鼻と口を覆って防寒効果を提供したり、特定の有害環境に露出されている専門家に防塵のための用途で使われてきた。この他にも産業発達の影響により、化石燃料の使用が急増してオゾン層が破壊されたことで紫外線指数が高くなり、人々は高い指数の紫外線を遮断するための用途でマスクを使用している。
【0003】
前記用途以外にもマスクは伝染病予防のための用途で使われ、特に、最近はコロナウイルス感染症(COVID‐19)の大流行(Pandemic)により、世界的に多数の感染者と死亡者が発生していて、感染及び伝染を予防するためのマスク着用が必須な状況である。
【0004】
一方、感染疑い者に対する検体採取過程で、検査者である医療関係者及び次の被検査者への伝染防止のために検体採取場所の環境汚染を防ぐ必要性が重要な問題となっている。正確なウイルス検査のためには、医療関係者が上気道(口咽頭スワブ、鼻咽頭スワブ、鼻腔スワブなど)検体を十分な量で採取することが重要であり、上気道検体採取は被検査者がマスク着用を解除した状態で検査者が被検査者の口咽頭(口)と鼻咽頭(鼻)から採取することによって行われる。この時、口または鼻から検体採取の際、医療関係者は必ず滅菌された綿棒を利用しなければならず、患者がやや不快だとしても鼻咽頭後壁と口咽頭後壁を数回スワブ(swab)して十分な検体を得なければならない。このような検体採取過程で、被検査者は反射神経部位の刺激によって、くしゃみや咳を誘発する可能性が非常に高く、被検査者のくしゃみや咳によって検体採取場所の飛沫及びエアロゾル伝播形態などの広範囲空間汚染はもとより、検査者である医療関係者の伝染可能性がとても高い問題に直面していて、実際に感染疑い者を検査する医療関係者の感染事例が多数発生している。
【0005】
したがって、被検査者に対する検体採取過程で、被検査者のくしゃみによる飛沫及びエアロゾルなどの排出、そして呼吸による汚染源の排出など汚染源の管理がとても重要な問題として台頭されている実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国公開特許第10‐2012‐0058658号公報
【文献】韓国登録特許第10‐1765474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記問題を解決するために考案されたものであり、本発明の目的は被検査者の顔面鼻口腔内で検体採取綿棒のスワブ及び採取が行われる過程で被検査者の顔面気密が維持されるようにすることで、ウイルス検査中に検体採取場所の汚染及び検査者への感染が防止できるようにした、ウイルス検査のための被検査者用検体道具を提供しようとしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するために、被検査者の顔面または顔面の一部を遮蔽させるマスクにおいて、前記マスクに形成され、検体採取綿棒が出入りできる直径の通路を有する綿棒出入孔部及び前記綿棒出入孔部に脱着できるように構成され、前記検体採取綿棒を前記綿棒出入孔部の通路にガイドするために開放される開放手段が形成された脱着キャップを含み、前記開放手段は前記綿棒出入孔部に向かって一方向にのみ開放されることを特徴とする、ウイルス検査のための被検査者用検体道具を提供する。
【0009】
この時、前記綿棒出入孔部は被検査者の口/鼻に対応される視窓に形成され、視窓は本体から前方に向かって突出された透明材質からなることが好ましい。
【0010】
前記の綿棒出入孔部はマスクから前方に向かって突出され、前方に向かって段々直径が狭くなるように形成され、前記脱着キャップは前記綿棒出入孔部に無理やりはめ込むことができる中空の形態で構成されたことが好ましい。
【0011】
また、前記綿棒出入孔部はマスクから前方に向かって突出され、綿棒出入孔部の先端部は綿棒出入孔部の直径に比べて大きく形成されて直径差による段差を形成し、前記着脱キャップは前記段差にかかって結合できる係止部を構成したことが好ましい。
【0012】
また、前記開放手段は復元力を有する樹脂物で提供され、脱着キャップの中央を中心として複数に切開され、検体採取綿棒の挿入時に脱着キャップの中に巻き込まれるように構成された切開片からなることが好ましい。
【0013】
また、前記本体のうち、被検査者の口に対応する部位には舌押さえ板がさらに設けられ、前記舌押さえ板は柔軟な材質で構成され、検査者が舌圧子を舌押さえ板に当てて被検査者の口腔に舌圧子と舌押さえ板を一緒に押し込めるように構成されたことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるウイルス検査のための被検査者用検体道具は、次のような効果がある。
【0015】
ウイルス検査のための被検査者用検体道具は被検査者の鼻と口に対応される部位に検体採取綿棒が出入りできる綿棒出入孔部を形成し、前記綿棒出入孔部を覆って遮蔽させることができる脱着キャップを綿棒出入孔部に脱着できるように構成するが、脱着キャップに検体採取綿棒の挿入をガイドする開放手段が一方向にのみ開放されるようにした。これによって、本発明は検体採取過程で被検査者の顔面気密が維持されることができるので、被検査者の呼吸及び飛沫による検査場所周辺の汚染を防ぐことができることをもちろん、検査者である医療関係者の感染を防ぐことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の好ましい実施例によるウイルス検査のための被検査者用検体道具を示す図面である。
【
図2a】本発明の好ましい実施例によるウイルス検査のための被検査者用検体道具の着用前を示す図面である。
【
図2b】本発明の好ましい実施例によるウイルス検査のための被検査者用検体道具の着用後を示す図面である。
【
図3a】本発明の好ましい実施例によるウイルス検査のための被検査者用検体道具の着用後、被検査者の口及び鼻に検体採取綿棒を挿入する過程を示す図面である。
【
図3b】本発明の好ましい実施例によるウイルス検査のための被検査者用検体道具の着用後、被検査者の口及び鼻に検体採取綿棒を挿入する過程を示す図面である。
【
図4】本発明の好ましい実施例によるウイルス検査のための被検査者用検体道具使用のための検体採取綿棒を示す図面である。
【
図5a】本発明の好ましい実施例によるウイルス検査のための被検査者用検体道具の脱着キャップが検体採取綿棒によって脱去される過程を示す図面である。
【
図5b】本発明の好ましい実施例によるウイルス検査のための被検査者用検体道具の脱着キャップが検体採取綿棒によって脱去される過程を示す図面である。
【
図6】本発明の好ましい実施例によるウイルス検査のための被検査者用検体道具の脱着キャップ設置構造の変形例を示す図面である。
【
図7】本発明の好ましい実施例によるウイルス検査のための被検査者用検体道具の脱着キャップ設置構造の変形例を示す図面である。
【
図8a】本発明の他の実施例によるウイルス検査のための被検査者用検体道具を示す図面である。
【
図8b】本発明の他の実施例によるウイルス検査のための被検査者用検体道具を示す図面である。
【
図9a】本発明のまた他の実施例によるウイルス検査のための被検査者用検体道具を示す図面である。
【
図9b】本発明のまた他の実施例によるウイルス検査のための被検査者用検体道具を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味で限定して解釈されず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に即して本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈しなければならない。
【0018】
以下、添付された
図1~
図7を参照して本発明の好ましい実施例によるウイルス検査のための被検査者用検体道具(以下、「検体道具」という)について説明する。
【0019】
検体道具は被検査者が着用した状態でも検査者が検体採取綿棒で検体をスワブできるようにし、被検査者の呼吸や飛沫が外に漏れることを最小化して周辺環境が汚染されることを防止し、検査者への感染を防ぐことができるようにした。検体道具は
図1に示されたように、マスク100と、綿棒出入孔部200と、脱着キャップ300と、検体採取綿棒400とを含む。
【0020】
マスク100は検体道具の一部を構成し、少なくとも被検査者の鼻と口を遮蔽させることができるように構成される。説明の便宜上、マスク100が人の鼻と口を覆う大きさで示したが、マスク100は人の顔面全体を遮蔽させることができるように構成することもできる。マスク100は透明な樹脂物で提供されることが好ましい。マスク100は人の呼吸のための用途よりは着用者の呼吸が外に漏れることを防ぐための用途であるため、樹脂物で提供されることが好ましい。もちろん、マスク100の材質が樹脂物のみに限定されることではなく、布素材、ウレタンなど多様に適用されることもできる。マスク100は着用者の呼吸空間を確保し、着用者の顔面の大きさに柔軟に対応できるように、シワ部110を通じて伸縮されることができるように用意されることが好ましい。すなわち、
図2aに示されたように、普段はマスク100の体積を減らしておいて、着用の際にはシワ部110を通じてマスク100が伸びることができるので、保管または携帯及び着用に対する効率性を高めることができる。
【0021】
マスク100には着用者の呼吸を少しでも円滑にさせるために、マスク100の上端部に呼吸フィルター120が取り付けられることもできる。マスク100の材質の特性上、着用者が高齢者や幼児の場合呼吸が困ることがあるので、マスク100は呼吸フィルター120を設けて着用者の呼吸に役立つことができる。また、呼吸フィルター120はマスクの着用中、マスク100の内側面に湯気が立ちこめることを最小化する役目も兼ねることができる。もちろん、マスク100の曇り止めは、他にもマスク100の内側面に曇り止めコーティングをすることもできる。マスク100の上端部、つまり、着用者の鼻などに対応される部位にはワイヤーを取り付けて気密維持力を高めることができる。一方、マスク100の周りに沿って顔面接触部130が設けられることが好ましい。顔面接触部130は着用者の顔に触れる部位として着用感を高め、気密維持力を高めるための構成である。顔面接触部130は柔軟で伸縮性のある材質であることが好ましい。また、マスク100には着用ストラップ140が取り付けられて着用が容易である。
【0022】
マスク100の中央部位には視窓150が構成されることが好ましい。視窓150は綿棒出入孔部200が構成される部位で、検査者が検体採取綿棒400を被検査者の口の中や鼻の中に挿入する時に視野を確保してくれる構成である。視窓150は歪曲現象が発生しないように平たい前面を持つように形成され、その材質は透明に提供される。視窓150の形態は特定されないが、
図1に示されたように、マスク100から突出された円形であることが好ましい。
【0023】
綿棒出入孔部200は検体採取綿棒が着用者の呼吸器に向かって出入りされる通路を提供し、視窓150に形成される。綿棒出入孔部200の個数は一つ以上であり、
図3a及び
図3に示されたように通常検体採取綿棒400が着用者の鼻の中または口の中に挿入されることを考慮すると、綿棒出入孔部200の個数は2つであることが好ましい。綿棒出入孔部200は脱着キャップ300を通じて開閉され、脱着キャップ300との嵌め込み結合のために傾くように形成されることが好ましい。すなわち、綿棒出入孔部200は視窓150から前方に向かって突出して形成され、前方に行くほど綿棒出入孔部200の直径が段々狭くなるように形成されたものである。このような綿棒出入孔部200の構成は脱着キャップ300を無理やりはめ込むことに効果的である。
【0024】
脱着キャップ300は綿棒出入孔部200を覆って綿棒出入孔部200の通路を閉鎖させ、綿棒出入孔部200に脱着されることができるように提供され、樹脂物で提供される。脱着キャップ300は綿棒出入孔部200に無理やりはめ込まれるように構成されることが好ましく、
図1及び
図5aに示されたように、傾斜面を持つように形成されることが好ましい。脱着キャップ300は一側が開口された中空の形態からなって、脱着キャップ300の他側面には開放手段310が形成される。開放手段310は検体採取綿棒400を綿棒出入孔部200への挿入をガイドするための構成であり、綿棒出入孔部200に向かって一方向にのみ開放されるように構成される。このような構成により、脱着キャップ300は検体採取綿棒400が開放手段310を通じて脱着キャップ300の中に挿入されても気密を維持することができる。開放手段310は構成が特定されるように限定されることではないが、
図1に示されたように、脱着キャップ300の他側面を四方に切開することができる切開線310で形成されることが好ましい。切開線310の厚さは脱着キャップ300の厚さに比べて薄く形成されたラインで提供され、検体採取綿棒400に外力を加える時、切開されるように構成されたものである。これによって、開放手段310は脱着キャップ300の材質の特性上、検体採取綿棒400が通過される瞬間、
図5aに示されたように、綿棒出入孔部200に向かって切開されて一方向に開かれながら切開片311を形成するようにしたものである。勿論、切開線310は既に切開された状態で提供されることもできる。また、示されてはいないが、切開線310の形態は多様に提供されることができる。例えば、切開線310は一側のみ固定された円形で形成されて検体採取綿棒400に力を加えた時、一側を中心にして円形の切開片が巻き込まれるように構成されることもできる。
【0025】
一方、被検査者の検体を採取するための検体採取綿棒400が提供され、検体採取綿棒400は
図4に示されたように、切断部410と、干渉板420と、取っ手430とを含む。切断部410は検体採取綿棒400と取っ手430との分離のための構成で、検体採取綿棒400及び取っ手430の直径に比べて小さく形成される。干渉板420は検体採取綿棒400が綿棒出入孔部200を通じて被検査者の特定の身体部位をスワブ(swab)した後、マスク100の外に抜けて出る過程で検体が脱着キャップ300に接触されないように脱着キャップ300を干渉して綿棒出入孔部200から脱着キャップ300を脱去させるための構成である。干渉板420は取っ手430の直径に比べて大きい直径を持つように形成され、綿棒出入孔部200の直径に比べては小さい直径を持つように形成される。取っ手430は検査者が把持することができるようにバー(bar)の形態で提供される。一方、示されてはいないが、干渉板420はシワ部で構成され、前記円形の切開片を形成する開放手段とセットをなして提供されることもできる。すなわち、検体採取綿棒400は切開線310を切開して通過して、検査者が検体採取綿棒400を引っ張ることでシワ部の凹溝に位置された切開線310を干渉して脱着キャップ300を取り除くことができるように提供されることもできる。
【0026】
以下、前記構成からなる被検査者用マスクを被検査者が着用した後、検査者によって検体が採取される過程について説明する。
【0027】
被検査者は着用ストラップ140を利用してマスク100を顔面に着用する。この時、顔面接触部130は着用者の顔面に密着されて呼吸空間(顔面空間)の気密を維持させることができる。
【0028】
次に、検査者は検体採取綿棒400を
図3a及び
図3bに示されたように被検査者の口の中または鼻の中に挿入してスワブを実施する。このために、検査者が検体採取綿棒400を脱着キャップ300の開放手段310に押し入れる。この時、検体採取綿棒400は
図5aに示されたように、開放手段である切開線310を切開して開けながら挿入され、綿棒出入孔部200の通路を通じて呼吸空間に挿入される。この過程で、開かれた切開片311は復元しながら検体採取綿棒400の取っ手430に密着される。これによって、被検査者の呼吸空間は気密が維持されることができ、たとえ被検査者がくしゃみをして呼吸空間内に圧力が発生しても、切開片310が外側に開かれることは発生しないため、呼吸や飛沫などがマスク100の外に漏れることは発生しなくなる。
【0029】
以後、検査者は視窓150及びマスク100を通じて被検査者の顔面を確認しながら、検体採取綿棒400でスワブを実施し、スワブが完了すれば検体採取綿棒400をマスク100の外に取り出す。
【0030】
検査者が検体採取綿棒400をマスク100の外に引っ張ると、検体採取綿棒400は図面上右側に移動され、干渉板420が切開片310を干渉して脱着キャップ300に脱去圧力が作用する。以後、検体採取綿棒400は
図5bに示されたように、脱着キャップ300を綿棒出入孔部200より分離させる。以後、検査者は外部に露出された検体採取綿棒400の切断部410を切断し、検査キットを通じてウイルス診断を実施する。
【0031】
一方、脱着キャップ300と綿棒出入孔部200との間の結合構造は多様に提供されることができる。前述したように、傾斜面の構造を通じて綿棒出入孔部200に脱着キャップ300が無理やりはめ込まれることもあり、
図6に示されたように結合されることもある。
図6は脱着キャップ300と綿棒出入孔部200との結合に対する変形例として、綿棒出入孔部200の先端部210は直径が綿棒出入孔部200の直径に比べて大きく形成されて段差を形成する。また、脱着キャップ300には綿棒出入孔部200の段差210にかかって結合されることができるように係止部320を形成する。このような構成によって、脱着キャップ300は係止部320が段差210によって開かれた後復元され、段差210にかかって支持されることで綿棒出入孔部200と結合される。以後、検体採取綿棒400を利用したスワブ後の採取過程に対する一連の過程は、前述した過程と同一であるため詳細な説明は省略する。
【0032】
図7は脱着キャップ300と綿棒出入孔部200との結合に対する他の変形例として、脱着キャップ300と綿棒出入孔部200は互いにねじ結合されることができるように構成することもできる。脱着キャップ300の内周面には雌ねじを形成し、綿棒出入孔部200の外周面には雄ねじを形成して互いにねじ結合させることができるようにしたものである。
【0033】
一方、検査者が被検査者の口の中で検体を採取する過程で、被検査者の舌は無意識的に気道を遮って検査者の検体採取を難しくすることがあるので、本発明の検体道具は気密が維持された状態で舌圧子が口の中に流入されることができるように構成することもできる。これを本発明の他の実施例で提示し、
図8a及び
図8bを参照して説明する。説明する前に、好ましい実施例と同一な構成に対しては符号を併記する。
【0034】
図8aに示されたように、マスク100の視窓150に被検査者の鼻の中をスワブすることができる綿棒出入孔部200及び脱着キャップ300が構成され、その下部には舌押さえ部160が構成される。舌押さえ部160は視窓150の下部に取り付けられ、被検査者がマスク100を着用した時、被検査者の口に対応される。舌押さえ部160は鼻に対応される綿棒出入孔部200が設けられた視窓150から下方に離隔された位置に形成され、被検査者の舌を収容できる収容溝161を形成する。舌押さえ部160が鼻に対応される綿棒出入孔部200が設けられた視窓150から離隔されることにより、
図8aに示されたように舌押さえ部160と前記視窓150の間にはガイド溝170が形成される。ガイド溝170は検査者の舌圧子を収容するための空間として、ガイド溝170の構成を通じて舌圧子は舌押さえ部160の収容溝161に収容された被検査者の舌を制圧することができる。この時、ガイド溝170の内側には口の中で検体採取のための綿棒出入孔部200が構成される。
【0035】
以後、被検査者は前記のように構成されたマスク100を着用し、検査者は
図8bに示されたように舌圧子で舌押さえ部160を上方から加圧して収容溝161に収容された被検査者の舌を制圧する。この時、検査者がマスク100の外で舌圧子を被検査者の口の中に挿入しても、舌圧子は舌押さえ部160を通じて被検査者の舌を間接的に制圧するので、マスク100の中の呼吸空間は気密が引き続き維持されることができる。以後、検査者はガイド溝170に位置した脱着キャップ300に検体採取綿棒400を押し入れて検体を採取する。このように、検査者が舌圧子を利用することができるので、口の中の検体採取作業の便宜性を高めることができる。以後、検査者は検体採取綿棒400をマスク100の外に取り出した後、舌圧子もマスク100の外に取り出す。この時、舌押さえ部160は復元されて元の位置に戻る。
【0036】
一方、被検査者に対する検体採取が完了すれば、脱着キャップ300が分離されて綿棒出入孔部200が開放された状態であることは理解可能である。この時、検体採取を終えた被検査者の呼吸が綿棒出入孔部200を通じて漏れることがあって、被検査者がくしゃみをする場合、飛沫が綿棒出入孔部200を通じてマスク100の外に漏れることがある。このように、検体採取完了後に被検査者から汚染源がマスク100の外に漏れることを防ぐために遮蔽カバー500がさらに設けられることができる。これを本発明のまた他の実施例として提示し、添付された
図9a及び
図9bを参照して説明する。説明する前に、前述した実施例と同一な構成に対しては符号を併記する。
【0037】
図9a及び
図9bに示されたように、遮蔽カバー500はそれぞれの綿棒出入孔部200を遮蔽させることができるように提供される、本明細書では綿棒出入孔部200が2つ提供されているので、遮蔽カバー500は2つが提供される。この時、一側の遮蔽カバー500は
図9bに示されたように、視窓150の上端部に軸結合されて下方に向かって回動されながら綿棒出入孔部200を開閉し、他側の遮蔽カバー500は視窓150の下端部に軸結合されて上方に向かって回動されながら綿棒出入孔部200を開閉するものである。このような構成の遮蔽カバー500は脱着キャップ300が分離された綿棒出入孔部200を開閉させることができる構成である。この時、示されてはいないが、各遮蔽カバー500には固定手段が設置されることが好ましい。固定手段は遮蔽カバー500が綿棒出入孔部200を閉めた時、遮蔽カバー500の動きを拘束するためである。固定手段は特定の構成に限定されず、ホック、ボタンなど多様な構成で提供されることができる。一方、遮蔽カバー500は図面上、上下方向に回動されることができるように構成されたことを例にしたが、これに限らずに遮蔽カバー500はマスク100の左右方向に回動されることができるように構成されることもできる。
【0038】
このような構成によって、被検査者に対する検査が完了してもマスク100は遮蔽カバー500を利用して綿棒出入孔部200を遮蔽させることができるので、マスクの中の空気がマスク100の外に漏れることを防ぐことができることはもとより、被検査者がくしゃみをしても飛沫がマスク100の外に漏れることを防ぐことができるので、汚染源を根本的に遮断することができる。
【0039】
これまで説明したように、本発明によるウイルス検査のための被検査者用検体道具は、被検査者が着用した状態でも検体採取が行われるようにし、検体採取綿棒がマスクの中に挿入されても外部との気密が維持されるようにすることで、被検査者から発生することができる汚染源を根本的に遮断することができて、検査場所周辺の環境汚染及び検査者への感染を防ぐことができる。
【0040】
以上、本発明は記載された具体例について詳しく説明されたが、本発明の技術思想の範囲内で多様な変形及び修正が可能であることは当業者にとって自明なことであり、このような変形及び修正は添付された特許請求範囲に属することは当然のことである。