(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】電子キー端末
(51)【国際特許分類】
H05K 7/14 20060101AFI20240507BHJP
H05K 5/00 20060101ALI20240507BHJP
E05B 19/00 20060101ALI20240507BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H05K7/14 E
H05K5/00 A
E05B19/00 J
H05K5/02 V
(21)【出願番号】P 2022006534
(22)【出願日】2022-01-19
【審査請求日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2021128996
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】清水 崇史
(72)【発明者】
【氏名】末廣 優一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 康一
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-8474(JP,A)
【文献】特開平11-280313(JP,A)
【文献】特開2017-95884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14
H05K 5/00
E05B 19/00
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の面に沿って配置された第1面状部を有した第1筐体と、
前記所定の面に沿って配置された第2面状部を有し、少なくとも一部が前記第1筐体と接する第2筐体と、
少なくとも一部が前記第1面状部と前記第2面状部の間において前記所定の面に沿って配置され
、所定の弾性率を有する弾性部材で構成された第3面状部と、
前記第3面状部の周囲の少なくとも一部に前記第1面状部から前記第2面状部への方向へ突出した壁部と、を有し
、
前記第1筐体及び前記第2筐体によって収容され、少なくとも一部が前記第3面状部と前記第2面状部の間において前記所定の面に沿って配置された電子基板と、を備え、
前記第2面状部から前記第1面状部への方向に見た平面視において、前記第3面状部の形は、第1辺と、前記第1辺と向かい合う第2辺を有し、
前記第3面状部の前記第1辺の前記壁部の一部は、前記第1辺から前記第2辺に向かって突出した第1突出部を有し、
前記第3面状部の前記第1辺の前記壁部において、前記第1辺から前記第2辺に向かって突出するのは、前記第1突出部のみであり、
前記第3面状部の前記第2辺の前記壁部の一部は、前記第2辺から前記第1辺に向かって突出した第2突出部を有し、
前記第3面状部の前記第2辺の前記壁部において、前記第2辺から前記第1辺に向かって突出するのは、前記第2突出部のみであり、
前記電子基板は、第1辺と、前記第1辺と向かい合う第2辺と、を有する所定の平板形状を呈し、
前記電子基板の前記第1辺に面した、前記電子基板の第1の部分が、前記第3面状部と前記第1突出部の間に配置され、
前記電子基板の前記第1辺に面し、前記電子基板の前記第1の部分と異なる第2の部分が、前記第3面状部と前記第1突出部の間に配置されず、
前記電子基板の前記第2辺に面した、前記電子基板の第3の部分が、前記第3面状部と前記第2突出部の間に配置され、
前記電子基板の前記第2辺に面し、前記電子基板の前記第3の部分と異なる第4の部分が、前記第3面状部と前記第2突出部の間に配置されない、
電子キー端末。
【請求項2】
請求項1に記載の電子キー端末であって、
前記第3面状部の前記形は、前記第1辺の一端部と前記第2辺の一端部を繋いだ第3辺と、前記第1辺の他端部と前記第2辺の他端部を繋いだ第4辺とを有し、
前記第3面状部の前記第3辺の前記壁部の一部は、前記第3辺から前記第4辺に向かって突出した第3突出部を有し、
前記第3面状部の前記第4辺の前記壁部の一部は、前記第4辺から前記第3辺に向かって突出した第4突出部を有し、
前記第3突出部の第3突出長は、前記第1突出部の第1突出長より短く、かつ前記第2突出部の第2突出長より短く、
前記第4突出部の第4突出長は、前記第1突出部の第1突出長より短く、かつ前記第2突出部の第2突出長より短い、
電子キー端末。
【請求項3】
請求項2に記載の電子キー端末であって、
前記第3突出部の前記第3突出長は0(ゼロ)であり、
前記第4突出部の前記第4突出長は0(ゼロ)である、
電子キー端末。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電子キー端末であって、
前記第3面状部の前記形は、長方形であって、
前記第1辺は、前記長方形の第1の長辺であって、
前記第2辺は、前記長方形の第2の長辺である、
電子キー端末。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子キー端末であって、
前記第1突出部と前記第2突出部とは、互いに向かい合って配置された
電子キー端末。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電子キー端末であって、
前記第1突出部は、前記第1辺の第1中点を含む一部に配置され、
前記第2突出部は、前記第2辺の第2中点を含む一部に配置された、
電子キー端末。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電子キー端末であって、
前記第1突出部は、前記第1辺において第1区間に渡って配置され、
前記第2突出部は、前記第2辺において第2区間に渡って配置され、
前記第1区間の長さは、前記第1辺の長さの4分の1以上かつ4分の3以下の長さであり、
前記第2区間の長さは、前記第2辺の長さの4分の1以上かつ4分の3以下の長さである、
電子キー端末。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電子キー端末であって、
前記第1突出部は、前記第1辺に沿った方向について一端部と他端部を備え、
前記第1突出部の前記一端部の第1突出長は、前記第1辺に沿って、徐々に小さくなり、
前記第1突出部の前記他端部の第1突出長は、前記第1辺に沿って、徐々に小さくなり、
前記第2突出部は、前記第2辺に沿った方向について一端部と他端部を備え、
前記第2突出部の前記一端部の第2突出長は、前記第2辺に沿って、徐々に小さくなり、
前記第2突出部の前記他端部の第2突出長は、前記第2辺に沿って、徐々に小さくなる、
電子キー端末。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電子キー端末であって、
前記第1突出部は、
前記第1辺から前記第2辺に向かって突出した第1突出面と、
前記第1突出面と前記第1辺の前記壁部の一部を繋ぎ、前記第3面状部側の第1突出側面と、
前記第1突出面と前記第1辺の前記壁部の一部を繋ぎ、前記第1突出側面を基準に、前記第3面状部と反対に配置された第2突出側面と、を有し、
前記第2突出部は、
前記第2辺から前記第1辺に向かって突出した第1突出面と、
前記第1突出面と前記第2辺の前記壁部の一部を繋ぎ、前記第3面状部側の第1突出側面と、
前記第1突出面と前記第2辺の前記壁部の一部を繋ぎ、前記第1突出側面を基準に、前記第3面状部と反対に配置された第2突出側面と、を有する、
電子キー端末。
【請求項10】
請求項9に記載の電子キー端末であって、
前記第1突出部の前記第2突出側面は、前記第1突出部の前記第1突出面と前記第1辺の前記壁部の一部との間に斜めに配置され、
前記第2突出部の前記第2突出側面は、前記第2突出部の前記第1突出面と前記第2辺の前記壁部の一部との間に斜めに配置された、
電子キー端末。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載の電子キー端末であって、
前記第3面状部は、前記第1辺の前記壁部の一部の根本に、前記電子基板の前記第1辺に面した前記第1の部分と当接可能な第1当接面を有する第1支持部を有し、
前記第3面状部は、前記第2辺の前記壁部の一部の根本に、前記電子基板の前記第2辺に面した前記第3の部分と当接可能な第2当接面を有する第2支持部を有し、
前記第1突出部の前記第1突出側面と、前記第1支持部の前記第1当接面との間の距離は、前記電子基板の厚さより長く、
前記第2突出部の前記第1突出側面と、前記第2支持部の前記第2当接面との間の距離は、前記電子基板の厚さより長い、
電子キー端末。
【請求項12】
請求項11に記載の電子キー端末であって、
前記第2筐体は、前記第2面状部から前記第1面状部へ向かって突出する基板支持部を有し、
前記電子基板は、少なくとも、
前記第1支持部の前記第1当接面と、
前記第2支持部の前記第2当接面と、
前記基板支持部と、で支持される、
電子キー端末。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の電子キー端末であって、
前記第1筐体及び前記第2筐体はそれぞれ互いに係止する係止部を備え、
前記第1筐体及び前記第2筐体が係止された状態において、前記第1辺の前記壁部の少なくとも一部と、前記第2辺の前記壁部の少なくとも一部とは、前記第2筐体の前記第2面状部に密接する、
電子キー端末。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の電子キー端末であって、
前記弾性部材の弾性率は、前記第1筐体の弾性率よりも小さく、かつ前記第2筐体の弾性率よりも小さい、
電子キー端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子キー端末に関する。
【背景技術】
【0002】
車両と無線通信を行うことにより、車両のドアの開錠又は施錠を行ったり、車両のエンジンの始動を許可したりする車両用の電子キー端末が知られる。
【0003】
特許文献1には、上ケースの開口部と下ケースの開口部とを合わせて一体的に構成されたケースと、このケース内に収納し、内壁部に全周にわたって溝部を形成したシーリングラバーと、このシーリングラバーの内壁部の溝部に嵌合されたプリント基板を備え、プリント基板の外周縁部とケースの内壁部とでシーリングラバーを狭持したことを特徴とするケースのシール構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-8474号公報
【文献】国際公開第2018/158932号
【文献】特開2018-131868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されるシーリングラバーは、開口部の内側の全周にわたって突出部を有する。そのため、基板をシーリングラバーに組付ける際、突出部を手で広げながら基板をシーリングラバーに組付ける必要があり、作業性が良くない。
【0006】
本開示は、上述した状況に鑑みて案出され、ラバーを一例とする弾性部材に基板を簡単に組付けることができる電子キー端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、所定の面に沿って配置された第1面状部を有した第1筐体と、前記所定の面に沿って配置された第2面状部を有し、少なくとも一部が前記第1筐体と接する第2筐体と、少なくとも一部が前記第1面状部と前記第2面状部の間において前記所定の面に沿って配置された第3面状部と、前記第3面状部の周囲の少なくとも一部に前記第1面状部から前記第2面状部への方向へ突出した壁部と、を有し、所定の弾性率を有する弾性部材と、前記第1筐体及び前記第2筐体によって収容され、少なくとも一部が前記第3面状部と前記第2面状部の間において前記所定の面に沿って配置された電子基板と、を備え、前記第1面状部から前記第2面状部への方向に見た平面視において、前記第3面状部の形は、第1辺と、前記第1辺と向かい合う第2辺を有し、前記第3面状部の前記第1辺の前記壁部の少なくとも一部は、前記第1辺から前記第2辺に向かって突出した第1突出部を有し、前記第3面状部の前記第2辺の前記壁部の少なくとも一部は、前記第2辺から前記第1辺に向かって突出した第2突出部を有し、前記第3面状部と前記第1突出部の間に、前記電子基板の第1の一部が配置され、前記第3面状部と前記第2突出部の間に、前記電子機器の第2の一部が配置された、電子キー端末を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、弾性部材に基板を簡単に組付けることができる電子キー端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る車両用の電子キー端末の斜視図
【
図2】実施の形態1に係る車両用の電子キー端末の上面図
【
図3】
図2に示す車両用の電子キー端末のA-A断面図
【
図4】
図2に示す車両用の電子キー端末のB-B断面図
【
図5】
図2に示す車両用の電子キー端末のC-C断面図
【
図6】実施の形態1に係る車両用の電子キー端末を上から見た分解斜視図
【
図7】実施の形態1に係る車両用の電子キー端末を下から見た分解斜視図
【
図8】実施の形態1に係る無線システムの概略構成を示すブロック図
【
図9】実施の形態2に係る金型セットの構造の一例を示す断面図
【
図10】実施の形態3に係る車両用の電子キー端末の斜視図
【
図11】実施の形態3に係る車両用の電子キー端末の上面図
【
図16】実施の形態3に係るシート部のB-B断面図
【
図17】実施の形態3に係るシート部に電子基板を組付けた場合の図
【
図18】実施の形態3に係る車両用の電子キー端末を上から見た分解斜視図
【
図19】実施の形態3に係る車両用の電子キー端末を下から見た分解斜視図
【
図20】実施の形態3に係る無線システムの概略構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を適宜参照して、本開示に電子キー端末を具体的に開示した実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
(実施の形態1)
<実施の形態1に至る経緯>
車両と無線通信を行うことにより、車両のドアの開錠又は施錠を行ったり、車両のエンジンの始動を許可したりする車両用の電子キー端末が知られる。
【0012】
特許文献である国際公開第2016/157792号には、キー筐体の上側を形成する上側ケース部品と、キー筐体の下側を形成する下側ケース部品と、キー筐体内に収容される無線通信機能部品と、上側ケース部品の表面に配置されプッシュ操作可能な操作部とを備え、操作部をプッシュ操作することにより、無線通信によって、車両のドアの施錠、車両のドアの開錠、及び、車両のトランクの開動作を行うことができる車両用電子キーが開示されている。
【0013】
車両用の電子キー端末は、製造コストの低減が求められる。製造コストを低減する方法の一つとして、車両用の電子キー端末を構成する部品点数を削減する方法がある。
【0014】
そこで、以下の実施の形態1では、構成する部品点数を削減することを目的とした車両用の電子キー端末を説明する。
【0015】
<車両用の電子キー端末の構成>
図1は、実施の形態1に係る車両用の電子キー端末の斜視図を示す。
図2は、実施の形態1に係る車両用の電子キー端末の上面図を示す。
図3は、
図2に示す車両用の電子キー端末のA-A断面図である。
図4は、
図2に示す車両用の電子キー端末のB-B断面図である。
図5は、
図2に示す車両用の電子キー端末のC-C断面図である。
図6は、実施の形態1に係る車両用の電子キー端末を上から見た分解斜視図を示す。
図7は、実施の形態1に係る車両用の電子キー端末を下から見た分解斜視図を示す。
【0016】
車両用の電子キー端末1は、所定の無線信号を含む電磁波を送出し、電磁波が車両に伝搬されることによって、車両の挙動を変える。車両は、自動二輪車であってよい。ただし、自動二輪車は一例であり、車両は、自動一輪車、自動三輪車、自動四輪車、又は五輪以上の車輪を備える自動車であってもよい。また、電子キー端末1は、スマートキー又はキーフォブといった他の用語に読み替えられてもよい。
【0017】
例えば、車両は、当該車両の位置から所定の範囲内に存在する電子キー端末1から所定の無線信号を受信した場合、当該車両のハンドルロック開錠及びエンジン始動を許可する。これにより、車両の運転者は、電子キー端末1を所持して車両に近づくだけで、物理的なキーを車両に差し込むことなく、車両のハンドルロック開錠及びエンジン始動を行うことができる。なお、車両は、電子キー端末1から所定の無線信号を受信しない場合、自動的にハンドルロック施錠を行い、エンジン始動を不許可としてよい。
【0018】
図1に示すように、電子キー端末1は、偏平な略直方体の形状を呈する。ただし、電子キー端末1の形状は、略直方体に限られず、例えば、略立方体又は略楕円体等であってもよい。
【0019】
なお、説明の便宜上、図面に示すように、電子キー端末1の短手方向に延びる軸をX軸とし、X軸に垂直かつ電子キー端末1の長手方向に延びる軸をY軸とし、X軸及びY軸に垂直な軸をZ軸とする。また、説明の便宜上、Z軸の正方向を「上」、Z軸の負方向を「下」、X軸の正方向を「右」、X軸の負方向を「左」、Y軸の負方向を「後」、Y軸の正方向を「前」と称する場合がある。なお、これらの方向に係る表現は、説明の便宜上用いられるものであって、当該構造の実使用時における姿勢を限定する意図ではない。
【0020】
電子キー端末1は、第1筐体10、第2筐体20、電子基板30、電池40、第1電池接点50、及び、シート部60を備える。
【0021】
第1筐体10は、電子キー端末1の筐体の上部分を構成する。第1筐体10は、主面を構成する第1面状部11と、側面を構成する第1壁部12とを有する。
【0022】
第2筐体20は、電子キー端末1の筐体の下部分を構成する。第2筐体20は、主面を構成する第2面状部21と、側面を構成する第2壁部22とを有する。
【0023】
第1筐体10と第2筐体20とは、第1面状部11と第2面状部21とが互いに対向するように配置される。
【0024】
第1筐体10の第1壁部12は、第1面状部11の周囲から第2筐体20に向かって(つまり下方に)伸びている。第1壁部12の下端付近である第1端部13には、第1係止部14が設けられる。
【0025】
第2筐体20の第2壁部22は、第2面状部21の周囲から第1筐体10に向かって(つまり上方に)伸びている。第2壁部22の上端付近である第2端部23には、第1係止部14と係止する第2係止部24が設けられる。
【0026】
第1壁部12の第1係止部14と第2壁部22の第2係止部24とを係止することにより、第1筐体10と第2筐体20とは係合組付け状態となる。すなわち、第1筐体10の第1壁部12の少なくとも一部は、第2筐体20と接する。別言すると、第1筐体10の第1壁部12の少なくとも一部は、第2筐体20の第2壁部22の少なくとも一部と当接する。これにより、例えば、第2筐体20を第1筐体10から離間させて電池40を交換し、再度、第2筐体20を第1筐体10に係合組付けすることができる。
【0027】
電子基板30は、略長方形の平板形状を呈し、第1筐体10及び第2筐体20によって収容される。電子基板30は、第1面状部11側の面である表面31(第1面)と、第2面状部21側の面である裏面32(第2面)とを有する。
【0028】
電子基板30の表面31には、スイッチ33と、図示しない電子回路とが設けられる。スイッチ33は、電子回路に接続される。
【0029】
電子回路の裏面32には、アンテナ34と、第2電池接点35とが設けられる。アンテナ34及び第2電池接点35は、電子回路に接続される。
【0030】
第1電池接点50は、電子基板30の裏面32に沿って配置される。第1電池接点50は、電子回路に接続される。
【0031】
電池40は、例えばボタン電池であり、電子基板30の裏面32に沿って第1電池接点50及び第2電池接点35と接するように配置される。ただし、電池40は、電子基板30の表面31に沿って配置されてもよい。電池40は、電子回路に電力を供給する。
【0032】
電子回路は、電池40から供給される電力によって動作し、アンテナ34から電磁波を送出させる。また、アンテナ34は、車両から送信される電磁波を受信してよい。電子キー端末1と車両との間で送受信される無線信号として、Bluetooth(登録商標) LE(Low Energy)が用いられてよい。以下、Bluetooth LEを「BLE」と称する。ただし、BLEは一例であり、電子キー端末1と車両との間で送受信される無線信号として、LF(Low Frequency)信号又はRF(Radio Frequency)信号が用いられてもよい。
【0033】
電子回路は、スイッチ33の押下を検出した場合、当該スイッチ33に割り当てられている所定の機能を実現する。例えば、スイッチ33に電子キー端末1の電源のONとOFFとを切り替える機能が割り当てられている場合、電子回路は当該スイッチ33の押下を検出すると、電子キー端末1の電源がONの状態である場合はOFFに切り替え、電子キー端末1の電源がOFFの状態である場合はONに切り替える。電子キー端末1の電源をOFFにすることにより、電子キー端末1と車両との間の無線通信を停止させることができる。また、例えば、スイッチ33に車両のアンサーバック機能が割り当てられている場合、電子回路は当該スイッチ33の押下を検出すると、車両にアンサーバックを指示する無線信号(電磁波)をアンテナ34から送信する。電子キー端末1からアンサーバックを指示する無線信号を受信した車両は、アンサーバックの動作を行う。アンサーバックの動作の例として、ランプを点滅させる、又は、音を鳴らす等が挙げられる。なお、車両がドアを備える自動車の場合、スイッチ33に車両のドアのロック及びアンロックを切り替える機能が割り当てられてよい。電子回路の構成の詳細については後述する(
図8参照)。
【0034】
シート部60は、防水性能を有し、第1筐体10の第1面状部11と電子基板30のスイッチ33との間に配置される。シート部60は、電子基板30を上から覆うように配置されてよい。これにより、仮に第1筐体10の第1面状部11に貫通するような破損ができたとしても電子基板30が水に濡れることを防止できる。
【0035】
第1面状部11と、第2面状部21と、電子基板30と、シート部60の少なくとも一部とは、所定の面(例えばXY面)に沿って配置される。例えば、第1面状部11と、第2面状部21と、電子基板30と、シート部60の少なくとも一部とは、互いに略平行となるように配置される。
【0036】
第1筐体10の第1面状部11は、電子基板30と反対側の面である上面15(第1面)と、電子基板30側の面である下面16(第2面)とを有する。
【0037】
第2筐体20の第2面状部21は、電子基板30側の面である上面25と、電子基板30側と反対側の面である下面26とを有する。
【0038】
第1筐体10の第1面状部11の下面16には、電子基板30のスイッチ33に向かって突出した凸部17が設けられる。なお、凸部17は、押し子又は押し子ピンといった他の用語に読み替えられてもよい。
【0039】
第2筐体20の第2面状部21の上面25には、電子基板30を支持する基板支持部27が設けられる。基板支持部27は、少なくともスイッチ33の位置に対応して配置されてよい。例えば、スイッチ33及び基板支持部27は、Z軸方向において一列に並ぶように配置されてよい。
【0040】
第1筐体10の第1面状部11と、第1筐体10の第1壁部12の少なくとも一部とは、一様な材料で構成されてよい。例えば、第1筐体10は、弾性樹脂によって構成されてよい。なお、第1筐体10の少なくとも一部は、金属によって構成されてもよい。
【0041】
第2筐体20は、第1筐体10よりも硬い樹脂によって構成されてよい。なお、第2筐体20の少なくとも一部は、金属によって構成されてもよい。
【0042】
例えば、第1筐体10は、エラストマーを材料として構成されてよい。第2筐体20は、ポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートのアロイ材を材料として構成されてよい。シート部60は、シリコンラバーを材料として構成されてよい。すなわち、第1筐体10の第1面状部11の弾性率は、第2筐体20の弾性率よりも小さく、かつ、シート部60の弾性率よりも大きくてよい。例えば、第1筐体10は、第2筐体20よりも約10倍曲がり易くてよい。また、シート部60は、第1筐体10よりも約3倍柔らかくてよい。
【0043】
また、第1筐体10の第1面状部11の凸部17において、第1面状部11の上面15と下面16との間の厚さは、所定の面(例えばXY平面)に沿って連続的に変化してよい。例えば、凸部17は、厚さが最も大きい頂上の部分から厚さが最も薄い裾野の部分に向かってなめらかな曲線となるように形成されてよい。
【0044】
第1筐体10において、第1面状部11の少なくとも一部の厚さは、第1壁部12の厚さよりも薄くてよい。例えば、第1面状部11の凸部17が設けられている部分の厚さは、第1壁部12の厚さよりも薄くてよい。以下、第1面状部11の凸部17が設けられている部分を、ボタン部分18と称する。このように、ボタン部分18及び凸部17は、第1筐体10の第1面状部11の一部として一体的に構成されてよい。これにより、ボタン部分又は凸部を別体として構成する場合と比較して、部品点数を削減でき、電子キー端末1の製造コストを低減することができる。
【0045】
<車両用の電子キー端末における動作>
次に、
図1から
図7に示す車両用の電子キー端末1において、ボタン部分18が押下された場合の動作について説明する。
【0046】
ユーザが第1筐体10の第1面状部11のボタン部分18を押下すると、当該ボタン部分18の周辺の厚みの薄い部分が湾曲し、当該ボタン部分18及び凸部17が下方に押し下げられる。当該ボタン部分18の周辺の部分は、第1面状部11の一部分ではあるものの、上述のとおり、十分に曲がり易い材料によって構成され(つまり弾性率が小さく)、かつ、十分に薄いため、ユーザの力によって簡単に湾曲する。一方、第2筐体20は、上述のとおり、十分に硬い材料によって構成される(つまり弾性率が大きい)ので、ユーザの力によって簡単には湾曲しない。これにより、弾性率の大きい第2筐体20によって電子キー端末1全体の剛性を保ちつつ、弾性率の小さい第1筐体10によってボタン部分18の押下を可能としている。加えて、第1筐体10を十分に曲がり易い材料によって構成しているので、ボタン部分18の度重なる押下によっても第1面状部11にクラックが発生し難い。
【0047】
ボタン部分18と共に押し下げられた凸部17は、シート部60を介して、スイッチ33を押し下げる。ここで、凸部17の厚さは、上述のとおり、頂上の部分から裾野の部分に向かって連続的に(なめらかに)変化しているので、凸部17がシート部60に与える応力は分散される。これにより、ボタン部分18の度重なる押下によっても、押し下げられた凸部17が当接するシート部60の部分が破損し難い。また、シート部60は、上述のとおり、十分に曲がり易い材料によって構成されているので、凸部17の押し下げに応じて変形し、スイッチ33を押し下げることができる。
【0048】
電子基板30の電子回路は、スイッチ33が押し下げられたことを検知し、上述したように、所定の機能を実現してよい。
【0049】
このように、実施の形態によれば、車両用の電子キー端末1の部品点数を削減でき、電子キー端末1の製造コストを低減できる。加えて、防水用のシート部60が破損するリスクを低減できる。
【0050】
<無線システムのブロック構成>
図8は、実施の形態1に係る無線システムの概略構成を示すブロック図である。
【0051】
図8に示すように、無線システム200は、上述した電子キー端末1と、車両に搭載されるECU(Electronic Control Unit)300とを含んで構成される。
【0052】
上述した電子キー端末1は、車両に搭載されるECU300とペアになるように、事前にECU300に登録される。電子キー端末1とECU300との間の通信には、例えば、Bluetooth LE(BLE)が用いられる。BLEで使用される周波数は2.4GHz帯であり、通信距離は100m程度である。
【0053】
<<電子キー端末>>
図8において、電子キー端末1は、電子基板30上に電子回路として、アンテナ34と、フロントエンド部211と、制御回路212とを備える。加えて、電子キー端末1は、電子回路に電力を供給する電池40を備える。
【0054】
アンテナ34は、例えば、1つのダイポールアンテナである。なお、アンテナ34は、ダイポールアンテナに限らず、複数のアンテナ素子からなるものであってもよい。
【0055】
フロントエンド部211は、微弱な信号の増幅、高い周波数から低い周波数への変換、又は、送信信号の受信部側への回り込みの抑制等を行う。
【0056】
制御回路212は、発振器221と、送信部222と、受信部223と、メモリ224と、制御部225とを備える。
【0057】
発振器221は、搬送波信号を生成するローカル発振器である。送信部222は、送信しようとするIQデータ(ベースバンド信号)から電波を生成し、その生成した電波を、フロントエンド部211を介してアンテナ34から送信する。受信部223は、アンテナ34で受信された電波をフロントエンド部211を介して取得し、その取得した電波からIQデータを抽出して電界強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)を検出する。
【0058】
制御部225は、送信部222を通じて電波を送信する制御を行う。また、制御部225は、受信部223を通じて受信した電波の電界強度を検出し、その検出した電界強度をメモリ224に保存する制御を行う。制御部225は、その検出した電波の電界強度に基づいて、車両と電子キー端末1との間の距離を求めてよい。なお、制御部225は、その検出した電波の電界強度を車両のECU300に通知してもよい。これにより、車両のECU300は、電子キー端末1から通知された電波の電界強度を用いて、車両と電子キー端末1との間の距離を求めることができる。
【0059】
なお、制御部225は、図示せぬプロセッサと、プロセッサを制御するためのプログラムを記憶したROM(Read Only Memory)と、プロセッサの動作に用いられるRAM(Random Access Memory)とを有している。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、集積回路、LSI(Large Scale Integrated Circuit)、コントローラ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等と読み替えられてもよい。また、メモリ224は、揮発性メモリ又は不揮発性メモリ(例えばフラッシュメモリ)の何れであってもよい。
【0060】
<<ECU>>
図8において、車両に搭載されるECU300は、アンテナ301と、フロントエンド部302と、制御回路303とを備える。
【0061】
アンテナ301は、例えば、1つのダイポールアンテナである。なお、アンテナ301は、ダイポールアンテナに限らず、複数のアンテナ素子からなるものであってもよい。
【0062】
フロントエンド部302は、上述した電子キー端末1のフロントエンド部211と同様に、微弱な信号の増幅、高い周波数から低い周波数への変換、又は、送信信号の受信部側への回り込みの抑制等を行う。
【0063】
制御回路303は、発振器321と、送信部322と、受信部323と、メモリ324と、制御部325とを備える。
【0064】
発振器321は、上述した電子キー端末1の制御回路212の発振器221と同様に、搬送波信号を生成するローカル発振器である。送信部322は、送信しようとするIQデータ(ベースバンド信号)から電波を生成し、その生成した電波を、フロントエンド部302を介してアンテナ301から送信する制御を行う。受信部323は、アンテナ301で受信された電波をフロントエンド部302を介して取得し、その取得した電波からIQデータを抽出して電界強度(RSSI)を検出する。
【0065】
制御部325は、送信部322を通じて電波を送信する制御を行う。また、制御部325は、受信部323を通じて受信した電波の電界強度を検出し、その検出した電界強度をメモリ324に保存する制御を行う。制御部325は、その受信した電波の電界強度に基づいて、車両と電子キー端末1との間の距離を求めてよい。
【0066】
制御部325は、車両と電子キー端末1との間の距離を算出した後、算出した距離に応じて車両の挙動を変える。例えば、ECU300は、車両と電子キー端末1との間の距離が所定値以上である場合、電子キー端末1の操作を受け付けず、当該距離が所定値以下である場合、電子キー端末1の操作を受け付けてよい。ECU300は、車両と電子キー端末1との間の距離が所定値である場合、電子キー端末1の操作を受け付けてもよいし、受け付けなくてもよい。
【0067】
なお、制御部325は、電子キー端末1の制御部225と同様に、図示せぬプロセッサと、プロセッサを制御するためのプログラムを記憶したROMと、プロセッサの動作に用いられるRAMとを有している。また、メモリ324は、揮発性メモリ又は不揮発性メモリ(例えばフラッシュメモリ)の何れであってもよい。
【0068】
(実施の形態2)
図9は、実施の形態2に係る金型セット100の構造の一例を示す断面図である。
【0069】
実施の形態2に係る金型セット100は、実施の形態1にて説明した第1筐体10を射出成形するための金型のセットである。金型セット100は、上金型101と、下金型102と、金型駒103とを備える。
【0070】
上金型101は、第1筐体10の上面15を成形するための形状を有する金型である。なお、上金型101は、第1金型と読み替えられてもよい。
【0071】
下金型102は、第1筐体10の下面16を成形するための形状を有すると共に、第1筐体10の凸部17に対応する部分に金型駒103をはめ込むための凹部104を有する金型である。なお、下金型102は、第2金型と読み替えられてもよい。
【0072】
金型駒103は、下金型102の凹部104にはめ込むことができ、第1筐体10の凸部17を成形するための形状を有する金型である。
【0073】
図9に示すように、金型駒103は、サイズ及び形状の少なくとも一方が異なる凸部17ごとに用意されてよい。これにより、凹部104にはめ込む金型駒103を交換することにより、サイズ及び形状の少なくとも一方が異なる凸部17を有する第1筐体10を、簡単に射出成形することができる。
【0074】
例えば、ボタン部分18の押し下げの深さが比較的深いものを好むユーザ向けに電子キー端末1を製造する場合は、
図9の(a)に示すように、凸部17の頂上の部分の厚みが比較的薄く形成される金型駒103Aを用いて第1筐体10を製造する。例えば、ボタン部分18の押し下げの深さが比較的浅いものを好むユーザ向けに電子キー端末1を製造する場合は、
図9の(b)に示すように、凸部17の頂上の部分の厚みが比較的厚く形成される金型駒103Bを用いて第1筐体10を製造する。
【0075】
このように、本実施の形態によれば、第1筐体10の凸部17のサイズ及び/又は形状の異なる車両用の電子キー端末1を、金型駒103を交換するだけで簡単に製造することができる。
【0076】
(A-1)
所定の面に沿って配置された第1面状部を有した第1筐体と、
前記所定の面に沿って配置された第2面状部を有し、少なくとも一部が前記第1筐体と接する第2筐体と、
前記所定の面に沿って配置され、前記第1筐体及び前記第2筐体によって収容され、前記第1面状部側の第1面と、前記第2面状部側の第2面を有する電子基板と、
前記電子基板の前記第1面に配置されたスイッチと、を備え、
前記第1筐体の前記第1面状部は、前記電子基板と反対側の第1面と、前記電子基板側の第2面を備え、
前記第1筐体の前記第1面状部の前記第2面は、前記電子基板の前記スイッチに向かって突出した凸部を有し、
前記第1筐体の第1面状部の弾性率は、前記第2筐体の弾性率よりも小さい、
車両用の電子キー端末。
【0077】
(A-2)
(A-1)に記載の車両用の電子キー端末であって、
更に、前記第1筐体の前記第1面状部と前記電子基板の前記スイッチの間に、少なくとも一部が前記所定の面に沿って配置されたシート部を備え、
前記第1筐体の第1面状部の弾性率は、前記第2筐体の弾性率よりも小さく、かつ、前記シート部の弾性率より大きい、
車両用の電子キー端末。
【0078】
(A-3)
(A-1)又は(A-2)に記載の車両用の電子キー端末であって、
前記第1筐体は、前記第1面状部の周囲に、前記第2筐体に向かって伸びる第1壁部を有し、
前記第1筐体の前記第1壁部の少なくとも一部は、前記第2筐体と接する、
車両用の電子キー端末。
【0079】
(A-4)
(A-3)に記載の車両用の電子キー端末であって、
前記第1筐体の前記第1面状部の少なくとも一部の厚さは、前記第1筐体の前記第1壁部の厚さより薄い、
車両用の電子キー端末。
【0080】
(A-5)
(A-3)又は(A-4)に記載の車両用の電子キー端末であって、
前記第2筐体は、前記第2面状部の周囲に、前記第1筐体に向かって伸びる第2壁部を有し、
前記第1筐体の前記第1壁部の少なくとも一部は、前記第2筐体の前記第2壁部の少なくとも一部と接する、
車両用の電子キー端末。
【0081】
(A-6)
(A-5)に記載の車両用の電子キー端末であって、
前記第1筐体の前記第1壁部の第1端部の少なくとも一部は、前記第2筐体の前記第2壁部の第2端部と当接する、
車両用の電子キー端末。
【0082】
(A-7)
(A-6)に記載の車両用の電子キー端末であって、
前記第1壁部の前記第1端部と、前記第2壁部の前記第2端部は、互いに係止する係止部を備える、
車両用の電子キー端末。
【0083】
(A-8)
請求項3から請求項7のいずれか1項に記載の車両用の電子キー端末であって、
前記第1筐体の前記第1面状部と、前記第1筐体の前記第1壁部の少なくとも一部は、一様な材料で構成された、
車両用の電子キー端末。
【0084】
(A-9)
(A-1)から(A-8)のいずれか1項に記載の車両用の電子キー端末であって、
前記第1筐体の前記第1面状部の前記凸部において、前記第1面状部の前記第1面と前記第2面との間の厚さは、前記所定の面に沿って連続的に変化する、
車両用の電子キー端末。
【0085】
(A-10)
(A-1)から(A-9)のいずれか1項に記載の車両用の電子キー端末であって、
前記第2筐体の前記第2面状部は、前記電子基板を支持する支持部を備える、
車両用の電子キー端末。
【0086】
(A-11)
(A-1)から(A-10)のいずれか1項に記載の車両用の電子キー端末であって、
前記電子基板は、前記スイッチが接続された電子回路を備え、
前記電子回路に電力を供給する電池を、前記電子基板の第1面及び/又は第2面に沿って配置された、
車両用の電子キー端末。
【0087】
(A-12)
(A-11)に記載の車両用の電子キー端末であって、
前記電子回路は、アンテナを備え、
前記スイッチの動作に応じて、前記アンテナから電磁波を送出する、
車両用の電子キー端末。
【0088】
(A-13)
(A-12)に記載の車両用の電子キー端末であって、
前記アンテナから送出される電磁波は、車両に伝搬可能である、
車両用の電子キー端末。
【0089】
(A-14)
(A-1)から(A-13)のいずれか1項に記載の車両用の電子キー端末であって、
前記第1筐体は、射出成形され、
前記第1筐体の前記第1面状部の前記第2面の前記凸部のサイズ及び形状の少なくとも一方は、前記射出成形において、前記凸部に対応するサイズ及び形状の少なくとも一方が異なる金型駒を入れ替えることによって変更可能である、
車両用の電子キー端末。
【0090】
(実施の形態3)
<実施の形態3に至る経緯>
車両と無線通信を行うことにより、車両のドアの開錠又は施錠を行ったり、車両のエンジンの始動を許可したりする車両用の電子キー端末が知られる。
【0091】
特許文献1には、上ケースの開口部と下ケースの開口部とを合わせて一体的に構成されたケースと、このケース内に収納し、内壁部に全周にわたって溝部を形成したシーリングラバーと、このシーリングラバーの内壁部の溝部に嵌合されたプリント基板を備え、プリント基板の外周縁部とケースの内壁部とでシーリングラバーを狭持したことを特徴とするケースのシール構造が開示されている。
【0092】
特許文献1に開示されるシーリングラバーは、開口部の内側の全周にわたって突出部を有する。そのため、基板をシーリングラバーに組付ける際、突出部を手で広げながら基板をシーリングラバーに組付ける必要があり、作業性が良くない。
【0093】
そこで、実施の形態3では、ラバーを一例とする弾性部材に基板を簡単に組付けることができる電子キー端末について説明する。
【0094】
<電子キー端末の構成>
図10は、実施の形態3に係る車両用の電子キー端末の斜視図を示す。
図11は、実施の形態3に係る車両用の電子キー端末の上面図を示す。
図12は、
図11に示す車両用の電子キー端末のA-A断面図である。
図13は、
図11に示す車両用の電子キー端末のB-B断面図である。
図14は、
図11に示す車両用の電子キー端末のC-C断面図である。
図15は、
図11に示す車両用の電子キー端末のD-D断面図である。
図16は、実施の形態3に係るシート部のB-B断面図である。
図17は、実施の形態3に係るシート部に電子基板を組付けた場合の図である。
図18は、実施の形態3に係る車両用の電子キー端末を上から見た分解斜視図を示す。
図19は、実施の形態3に係る車両用の電子キー端末を下から見た分解斜視図を示す。
【0095】
車両用の電子キー端末1は、所定の無線信号を含む電磁波を送出し、電磁波が車両に伝搬されることによって、車両の挙動を変える。車両は、自動二輪車であってよい。ただし、自動二輪車は一例であり、車両は、自動一輪車、自動三輪車、自動四輪車、又は五輪以上の車輪を備える自動車であってもよい。また、電子キー端末1は、スマートキー又はキーフォブといった他の用語に読み替えられてもよい。
【0096】
例えば、車両は、当該車両の位置から所定の範囲内に存在する電子キー端末1から所定の無線信号を受信した場合、当該車両のハンドルロック開錠及びエンジン始動を許可する。これにより、車両の運転者は、電子キー端末1を所持して車両に近づくだけで、物理的なキーを車両に差し込むことなく、車両のハンドルロック開錠及びエンジン始動を行うことができる。なお、車両は、電子キー端末1から所定の無線信号を受信しない場合、自動的にハンドルロック施錠を行い、エンジン始動を不許可としてよい。
【0097】
図10に示すように、電子キー端末1は、偏平な略直方体の形状を呈する。ただし、電子キー端末1の形状は、略直方体に限られず、例えば、略立方体又は略楕円体等であってもよい。
【0098】
なお、説明の便宜上、図面に示すように、電子キー端末1の短手方向に延びる軸をX軸とし、X軸に垂直かつ電子キー端末1の長手方向に延びる軸をY軸とし、X軸及びY軸に垂直な軸をZ軸とする。また、説明の便宜上、Z軸の正方向を「上」、Z軸の負方向を「下」、X軸の正方向を「右」、X軸の負方向を「左」、Y軸の負方向を「後」、Y軸の正方向を「前」と称する場合がある。なお、これらの方向に係る表現は、説明の便宜上用いられるものであって、当該構造の実使用時における姿勢を限定する意図ではない。
【0099】
電子キー端末1は、第1筐体10、第2筐体20、電子基板30、電池40、第1電池接点50、及び、シート部60を備える。
【0100】
第1筐体10は、電子キー端末1の筐体の上部分を構成する。第1筐体10は、主面を構成し所定の面に沿って配置された第1面状部11と、側面を構成する第1壁部12とを有する。
【0101】
第2筐体20は、電子キー端末1の筐体の下部分を構成する。第2筐体20は、主面を構成し所定の面に沿って配置された第2面状部21と、側面を構成する第2壁部22とを有する。第2筐体20は、少なくとも一部が第1筐体10と接する。
【0102】
第1筐体10と第2筐体20とは、第1面状部11と第2面状部21とが互いに対向するように配置される。
【0103】
第1筐体10の第1壁部12は、第1面状部11の周囲から第2筐体20に向かって(つまり下方に)伸びている。第1壁部12の下端付近である第1端部13には、第1係止部14が設けられる。
【0104】
第2筐体20の第2壁部22は、第2面状部21の周囲から第1筐体10に向かって(つまり上方に)伸びている。第2壁部22の上端付近である第2端部23には、第1係止部14と係止する第2係止部24が設けられる。
【0105】
第1壁部12の第1係止部14と第2壁部22の第2係止部24とを係止することにより、第1筐体10と第2筐体20とは係合組付け状態となる。すなわち、第1筐体10の第1壁部12の少なくとも一部は、第2筐体20と接する。これにより、例えば、第2筐体20を第1筐体10から離間させて電池40を交換し、再度、第2筐体20を第1筐体10に係合組付けすることができる。
【0106】
シート部60は、少なくとも一部が第1面状部11と第2面状部21の間において所定の面に沿って配置された第3面状部110(
図15、
図16参照)を備える。また、第3面状部110の周囲の少なくとも一部に第1面状部11から第2面状部21への方向へ突出した第3壁部111、112、137、138(
図15、
図16参照)を有する。シート部60は、所定の弾性率を有する。したがって、シート部60は、弾性部材と読み替えられてもよい。なお、シート部60の形状の詳細については後述する。
【0107】
電子基板30は、略長方形の平板形状を呈し、第1筐体10及び第2筐体20によって収容され、少なくとも一部がシート部60の第3面状部110と第2筐体20の第2面状部21の間において所定の面(例えばXY面)に沿って配置される。電子基板30は、第1面状部11側の面である表面31(第1面)と、第2面状部21側の面である裏面32(第2面)とを有する。すなわち、第1面状部11と、第2面状部21と、電子基板30と、シート部60の少なくとも一部とは、互いに略平行に配置されてよい。
【0108】
電子基板30の表面31には、スイッチ33と、図示しない電子回路とが設けられる。スイッチ33は、電子回路に接続される。
【0109】
電子回路の裏面32には、アンテナ34と、第2電池接点35とが設けられる。アンテナ34及び第2電池接点35は、電子回路に接続される。
【0110】
第1電池接点50は、電子基板30の裏面32に沿って配置される。第1電池接点50は、電子回路に接続される。
【0111】
電池40は、例えばボタン電池であり、電子基板30の裏面32に沿って第1電池接点50及び第2電池接点35と接するように配置される。ただし、電池40は、電子基板30の表面31に沿って配置されてもよい。電池40は、電子回路に電力を供給する。
【0112】
電子回路は、電池40から供給される電力によって動作し、アンテナ34から電磁波を送出させる。また、アンテナ34は、車両から送信される電磁波を受信してよい。電子キー端末1と車両との間で送受信される無線信号として、Bluetooth(登録商標) LE(Low Energy)が用いられてよい。以下、Bluetooth LEを「BLE」と称する。ただし、BLEは一例であり、電子キー端末1と車両との間で送受信される無線信号として、LF(Low Frequency)信号又はRF(Radio Frequency)信号が用いられてもよい。
【0113】
電子回路は、スイッチ33の押下を検出した場合、当該スイッチ33に割り当てられている所定の機能を実現する。例えば、スイッチ33に電子キー端末1の電源のONとOFFとを切り替える機能が割り当てられている場合、電子回路は当該スイッチ33の押下を検出すると、電子キー端末1の電源がONの状態である場合はOFFに切り替え、電子キー端末1の電源がOFFの状態である場合はONに切り替える。電子キー端末1の電源をOFFにすることにより、電子キー端末1と車両との間の無線通信を停止させることができる。また、例えば、スイッチ33に車両のアンサーバック機能が割り当てられている場合、電子回路は当該スイッチ33の押下を検出すると、車両にアンサーバックを指示する無線信号(電磁波)をアンテナ34から送信する。電子キー端末1からアンサーバックを指示する無線信号を受信した車両は、アンサーバックの動作を行う。アンサーバックの動作の例として、ランプを点滅させる、又は、音を鳴らす等が挙げられる。なお、車両がドアを備える自動車の場合、スイッチ33に車両のドアのロック及びアンロックを切り替える機能が割り当てられてよい。電子回路の構成の詳細については後述する(
図20参照)。
【0114】
第1筐体10の第1面状部11は、電子基板30と反対側の面である上面15(第1面)と、電子基板30側の面である下面16(第2面)とを有する。
【0115】
第2筐体20の第2面状部21は、電子基板30側の面である上面25と、電子基板30側と反対側の面である下面26とを有する。
【0116】
第1筐体10の第1面状部11の下面16には、電子基板30のスイッチ33に向かって突出した凸部17が設けられる。なお、凸部17は、押し子又は押し子ピンといった他の用語に読み替えられてもよい。
【0117】
第2筐体20は、第2面状部21から第1面状部11へ向かって突出する基板支持部27を有する。基板支持部27は、少なくともスイッチ33の位置に対応して配置されてよい。例えば、スイッチ33及び基板支持部27は、Z軸方向において一列に並ぶように配置されてよい。
【0118】
第1筐体10の第1面状部11と、第1筐体10の第1壁部12の少なくとも一部とは、一様な材料で構成されてよい。例えば、第1筐体10は、弾性樹脂によって構成されてよい。なお、第1筐体10の少なくとも一部は、金属によって構成されてもよい。
【0119】
第2筐体20は、第1筐体10よりも硬い樹脂によって構成されてよい。なお、第2筐体20の少なくとも一部は、金属によって構成されてもよい。
【0120】
例えば、第1筐体10は、エラストマーを材料として構成されてよい。第2筐体20は、ポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートのアロイ材を材料として構成されてよい。シート部60は、シリコンラバーを材料として構成されてよい。すなわち、第1筐体10の第1面状部11の弾性率は、第2筐体20の弾性率よりも小さく、かつ、シート部60の弾性率よりも大きくてよい。例えば、第1筐体10は、第2筐体20よりも約10倍曲がり易くてよい。また、シート部60は、第1筐体10よりも約3倍柔らかくてよい。
【0121】
また、第1筐体10の第1面状部11の凸部17において、第1面状部11の上面15と下面16との間の厚さは、所定の面(例えばXY平面)に沿って連続的に変化してよい。例えば、凸部17は、厚さが最も大きい頂上の部分から厚さが最も薄い裾野の部分に向かってなめらかな曲線となるように形成されてよい。
【0122】
第1筐体10において、第1面状部11の少なくとも一部の厚さは、第1壁部12の厚さよりも薄くてよい。例えば、第1面状部11の凸部17が設けられている部分の厚さは、第1壁部12の厚さよりも薄くてよい。以下、第1面状部11の凸部17が設けられている部分を、ボタン部分18と称する。このように、ボタン部分18及び凸部17は、第1筐体10の第1面状部11の一部として一体的に構成されてよい。これにより、ボタン部分又は凸部を別体として構成する場合と比較して、部品点数を削減でき、電子キー端末1の製造コストを低減することができる。
【0123】
<シート部の詳細>
シート部60の第3面状部110の形は、第2面状部21から第1面状部11への方向に見た平面視において、第1辺120と当該第1辺120と向かい合う第2辺121とを有する。第3面状部110の形は、第1辺120の一端部120aと第2辺121の一端部121aとを繋いだ第3辺122と、第1辺120の他端部120bと第2辺121の他端部121bとを繋いだ第4辺123とを有する。
【0124】
シート部60において、第3面状部110の第1辺120の第3壁部111の少なくとも一部は、第1辺120から第2辺121に向かって突出した第1突出部124を有する。第3面状部110の第2辺121の第3壁部112の少なくとも一部は、第2辺121から第1辺120に向かって突出した第2突出部125を有する。第3面状部110と第1突出部124との間に、電子基板30の第1の一部113が配置され、第3面状部110と第2突出部125との間に、電子基板30の第2の一部114が配置される。
【0125】
シート部60において、第3面状部110の第3辺122の第3壁部137の少なくとも一部は、第3辺122から第4辺123に向かって突出した第3突出部(不図示)を有してよい。第3面状部110の第4辺123の第3壁部138の少なくとも一部は、第4辺123から第3辺122に向かって突出した第4突出部(不図示)を有してよい。
【0126】
第3突出部(不図示)の第3突出長(不図示)は、第1突出部124の第1突出長139より短く、かつ第2突出部125の第2突出長140より短くてよい。なお、第3突出長(不図示)の長さは、
図17に示すように、0(ゼロ)であってもよい。
【0127】
第4突出部(不図示)の第4突出長(不図示)は、第1突出部124の第1突出長139より短く、かつ第2突出部125の第2突出長140より短くてよい。なお、第4突出長(不図示)の長さは、
図17に示すように、0(ゼロ)であってもよい。
【0128】
第3面状部110の形は、長方形であってよい。第3面状部110の形が長方形である場合、第1辺120は、当該長方形の第1の長辺であり、第2辺121は、当該長方形の第2の長辺である。なお、第3面状部110の形は、長方形に限定されず、真円、楕円、正方形または台形等の形でもよい。
【0129】
シート部60において、第1突出部124と第2突出部125とは、互いに向かい合って配置されてよい。
【0130】
シート部60において、第1突出部124は、第1辺120の第1中点128(
図17参照)を含む一部に配置されてよい。第1辺120の第1中点128の位置は、第1辺120を二等分する位置であり、第1辺120の一端部120aから第1中点128までの距離と、第1辺120の他端部120bから第1中点128までの距離とは等しくてよい。第1突出部124は、第1辺120において第1区間126に渡って配置されてよい。第1区間126の長さは、第1辺120の長さの4分の1以上かつ4分の3以下の長さであってよい。なお、この第1区間126の長さは、一例であり限定されない。
【0131】
シート部60において、第2突出部125は、第2辺121の第2中点129(
図17参照)を含む一部に配置されてよい。第2辺121の第2中点129の位置は、第2辺121を二等分する位置であり、第2辺121の一端部121aから第2中点129までの距離と、第2辺121の他端部121bから第2中点129までの距離とは等しくてよい。第2突出部125は、第2辺121において第2区間127に渡って配置されてよい。第2区間127の長さは、第2辺121の長さの4分の1以上かつ4分の3以下の長さであってよい。なお、この第2区間127の長さは、一例であり限定されない。
【0132】
シート部60において、第1突出部124は、第1辺120に沿った方向について一端部124a(Y軸の正方向)と他端部124b(Y軸の負方向)を備える。第1突出部124の一端部124aの第1突出長139aは、第1辺120に沿って、第1辺120の一端部120aに近づくにつれて、徐々に小さくなり、第1突出部124の他端部124bの第1突出長139bは、第1辺120に沿って、第1辺120の他端部120bに近づくにつれて、徐々に小さくなる。
【0133】
シート部60において、第2突出部125は、第2辺121に沿った方向について一端部125a(Y軸の正方向)と他端部125b(Y軸の負方向)を備える。第2突出部125の一端部125aの第2突出長140aは、第2辺121に沿って、第2辺121の一端部121aに近づくにつれて、徐々に小さくなり、第2突出部125の他端部125bの第2突出長140bは、第2辺121に沿って、第2辺121の他端部121bに近づくにつれて、徐々に小さくなる。
【0134】
シート部60において、第1突出部124は、第1辺120から第2辺121に向かって突出した第1突出面133を有する。第1突出部124は、第1突出面133と第1辺120の第3壁部111の少なくとも一部を繋ぎ、第3面状部110側の第1突出側面115を有する。第1突出部124は、第1突出面133と第1辺120の第3壁部111の少なくとも一部を繋ぎ、第1突出側面115を基準に第3面状部110と反対に配置された第2突出側面131を有する。第1突出部124の第2突出側面131は、第1突出部124の第1突出面133と第1辺120の第3壁部111の少なくとも一部との間に斜めに配置される。例えば、第2突出側面131は、
図16に示すように、ZX断面において、下方に向けて広がるテーパー形状を呈する。
【0135】
シート部60において、第2突出部125は、第2辺121から第1辺120に向かって突出した第1突出面134を有する。第2突出部125は、第1突出面134と第2辺121の第3壁部112の少なくとも一部を繋ぎ、第3面状部110側の第1突出側面116を有する。第2突出部125は、第1突出面134と第2辺121の第3壁部112の少なくとも一部を繋ぎ、第1突出側面116を基準に、第3面状部110と反対に配置された第2突出側面132を有する。第2突出部125の第2突出側面132は、第2突出部125の第1突出面134と第2辺121の第3壁部112の少なくとも一部との間に斜めに配置される。例えば、第2突出側面132は、
図16に示すように、ZX断面において、下方に向けて広がるテーパー形状を呈する。
【0136】
シート部60において、第3面状部110は、第1辺120の第3壁部111の少なくとも一部の根本に、電子基板30と当接可能な第1当接面135を有する第1支持部117を有する。
【0137】
シート部60において、第3面状部110は、第2辺121の第3壁部112の少なくとも一部の根本に、電子基板30と当接可能な第2当接面136を有する第2支持部118を有する。
【0138】
シート部60において、第1突出部124の第1突出側面115と、第1支持部117の第1当接面135との間の距離は、電子基板30の厚さより長い。
【0139】
シート部60において、第2突出部125の第1突出側面116と、第2支持部118の第2当接面136との間の距離は、電子基板30の厚さより長い。
【0140】
電子基板30は、少なくともシート部60の第1支持部117の第1当接面135と、シート部60の第2支持部118の第2当接面136と、第2筐体20の基板支持部27と、で支持される。
【0141】
図15に示すように、第1筐体10は、Y軸の正方向側の第1壁部12の下端付近の少なくとも一部に第4係止部141を有し、Y軸の負方向側の第1壁部12の下端付近の少なくとも一部に第4係止部142を有する。第2筐体20は、Y軸の正方向側の第2壁部22の上端付近の少なくとも一部に第5係止部143を有する。シート部60は、Y軸の正方向側の第3壁部137の下端付近の少なくとも一部に第3係止部28を有し、Y軸の負方向側の第3壁部138の下端付近の少なくとも一部に第3係止部29を有する。
【0142】
第1筐体10における第1壁部12の第4係止部141及び第4係止部142と、シート部60における第3壁部137の第3係止部28及び第3壁部138の第3係止部29とをそれぞれ係止することにより、シート部60と第1筐体10とは組付け状態となる。そして、第1筐体10における第1壁部12の第1係止部14及び第4係止部141と、第2筐体20における第2壁部22の第2係止部24及び第5係止部143とをそれぞれ係止することにより第1筐体10と第2筐体20とは係合組付け状態となる。このとき、シート部60における、第1辺120の第3壁部111の少なくとも一部と、第2辺121の第3壁部112の少なくとも一部と、第3辺122の第3壁部137の少なくとも一部と、第4辺123の第3壁部138の少なくとも一部とは、第2筐体20の第2面状部21の上面25に密接する。これにより、電子基板30はシート部60によってシーリングされるので、電子基板30に対する防水機能が実現される。
【0143】
シート部60の弾性率は、第1筐体10の弾性率よりも小さく、かつ第2筐体20の弾性率よりも小さくてよい。
【0144】
<シート部に電子基板を組み付ける方法>
図16を参照して、シート部60に電子基板30を組み付ける方法について説明する。なお、
図16は、シート部60に電子基板30が組み付けられた後の状態を示している。作業者は、例えば、次の手順1~4によって電子基板30をシート部60に組付ける。
【0145】
(手順1)作業者は、シート部60を、第3面状部110を下にして(つまりシート部60の開口部を上にして)作業台に置く。つまり、作業者は、
図16に示すシート部60を上下逆さまにして置く。
【0146】
(手順2)作業者は、シート部60の開口部に電子基板30を仮置きする。つまり、作業者は、電子基板30の長手方向の側面がシート部60の第2突出側面131、132に接するように電子基板30を仮置きする。
【0147】
(手順3)作業者は、電子基板30を下方(つまり第3面状部110に近づく方向)に押し付ける。これにより、電子基板30が、第1突出部124の第2突出側面131の斜面をX軸の負方向に、第2突出部125の第2突出側面132の斜面をX軸の正方向に押し広げながら(つまり第1突出部124及び第2突出部125(第3壁部111、112)を弾性変形させながら)、第3面状部110に近づく。このとき、第2突出側面131、132が斜面になっているので、作業者は、電子基板30をスムーズに第3面状部110に近づく方向に押し付けることができる。
【0148】
(手順4)作業者は、電子基板30をさらに下方に押し付ける。これにより、電子基板30は、第1突出面133、134を通過して、第1突出側面115、116よりも下方(つまり第3面状部110に近い方向)に移動する。電子基板30が第1突出側面115,116よりも下方に移動した段階で、第1突出部124及び第2突出部125(第3壁部111、112)は、弾性力により、元の位置に戻る。このとき、第1突出部124の第1突出側面115と、第1支持部117の第1当接面135との間の距離、並びに、第2突出部125の第1突出側面116と、第2支持部118の第2当接面136との間の距離は、電子基板30の厚さよりも長いので、電子基板30は、
図16に示すように、第1突出部124の第1突出側面115と第1当接面135とによって形成される窪み、並びに、第2突出部125の第1突出側面116と第2当接面136とによって形成される窪みに嵌まる。すなわち、シート部60に電子基板30が組付けられる。加えて、電子基板30は、第1支持部117(第1当接面135)、及び、第2支持部118(第2当接面136)によって支持される。
【0149】
このように、作業者は、電子基板30をシート部60の開口部に仮置きし、電子基板30をシート部60の第3面状部110に向けて押し付けるだけで、簡単に電子基板30をシート部60に組み付けることができる。よって、作業者は、
図18及び
図19に示すように、電子基板30を組付けたシート部60を第2筐体20の内側に載置して、第1筐体10を第2筐体20に係合させることで、簡単に電子キー端末1を組み立てることができる。
【0150】
<無線システムのブロック構成>
図20は、実施の形態3に係る無線システムの概略構成を示すブロック図である。
【0151】
図20に示すように、無線システム200は、上述した電子キー端末1と、車両に搭載されるECU(Electronic Control Unit)300とを含んで構成される。
【0152】
上述した電子キー端末1は、車両に搭載されるECU300とペアになるように、事前にECU300に登録される。電子キー端末1とECU300との間の通信には、例えば、Bluetooth LE(BLE)が用いられる。BLEで使用される周波数は2.4GHz帯であり、通信距離は100m程度である。
【0153】
<<電子キー端末>>
図20において、電子キー端末1は、電子基板30上に電子回路として、アンテナ34と、フロントエンド部211と、制御回路212とを備える。加えて、電子キー端末1は、電子回路に電力を供給する電池40を備える。
【0154】
アンテナ34は、例えば、1つのダイポールアンテナである。なお、アンテナ34は、ダイポールアンテナに限らず、複数のアンテナ素子からなるものであってもよい。
【0155】
フロントエンド部211は、微弱な信号の増幅、高い周波数から低い周波数への変換、又は、送信信号の受信部側への回り込みの抑制等を行う。
【0156】
制御回路212は、発振器221と、送信部222と、受信部223と、メモリ224と、制御部225とを備える。
【0157】
発振器221は、搬送波信号を生成するローカル発振器である。送信部222は、送信しようとするIQデータ(ベースバンド信号)から電波を生成し、その生成した電波を、フロントエンド部211を介してアンテナ34から送信する。受信部223は、アンテナ34で受信された電波をフロントエンド部211を介して取得し、その取得した電波からIQデータを抽出して電界強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)を検出する。
【0158】
制御部225は、送信部222を通じて電波を送信する制御を行う。また、制御部225は、受信部223を通じて受信した電波の電界強度を検出し、その検出した電界強度をメモリ224に保存する制御を行う。制御部225は、その検出した電波の電界強度に基づいて、車両と電子キー端末1との間の距離を求めてよい。なお、制御部225は、その検出した電波の電界強度を車両のECU300に通知してもよい。これにより、車両のECU300は、電子キー端末1から通知された電波の電界強度を用いて、車両と電子キー端末1との間の距離を求めることができる。
【0159】
なお、制御部225は、図示せぬプロセッサと、プロセッサを制御するためのプログラムを記憶したROM(Read Only Memory)と、プロセッサの動作に用いられるRAM(Random Access Memory)とを有している。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、集積回路、LSI(Large Scale Integrated Circuit)、コントローラ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等と読み替えられてもよい。また、メモリ224は、揮発性メモリ又は不揮発性メモリ(例えばフラッシュメモリ)の何れであってもよい。
【0160】
<<ECU>>
図20において、車両に搭載されるECU300は、アンテナ301と、フロントエンド部302と、制御回路303とを備える。
【0161】
アンテナ301は、例えば、1つのダイポールアンテナである。なお、アンテナ301は、ダイポールアンテナに限らず、複数のアンテナ素子からなるものであってもよい。
【0162】
フロントエンド部302は、上述した電子キー端末1のフロントエンド部211と同様に、微弱な信号の増幅、高い周波数から低い周波数への変換、又は、送信信号の受信部側への回り込みの抑制等を行う。
【0163】
制御回路303は、発振器321と、送信部322と、受信部323と、メモリ324と、制御部325とを備える。
【0164】
発振器321は、上述した電子キー端末1の制御回路212の発振器221と同様に、搬送波信号を生成するローカル発振器である。送信部322は、送信しようとするIQデータ(ベースバンド信号)から電波を生成し、その生成した電波を、フロントエンド部302を介してアンテナ301から送信する制御を行う。受信部323は、アンテナ301で受信された電波をフロントエンド部302を介して取得し、その取得した電波からIQデータを抽出して電界強度(RSSI)を検出する。
【0165】
制御部325は、送信部322を通じて電波を送信する制御を行う。また、制御部325は、受信部323を通じて受信した電波の電界強度を検出し、その検出した電界強度をメモリ324に保存する制御を行う。制御部325は、その受信した電波の電界強度に基づいて、車両と電子キー端末1との間の距離を求めてよい。
【0166】
制御部325は、車両と電子キー端末1との間の距離を算出した後、算出した距離に応じて車両の挙動を変える。例えば、ECU300は、車両と電子キー端末1との間の距離が所定値以上である場合、電子キー端末1の操作を受け付けず、当該距離が所定値以下である場合、電子キー端末1の操作を受け付けてよい。ECU300は、車両と電子キー端末1との間の距離が所定値である場合、電子キー端末1の操作を受け付けてもよいし、受け付けなくてもよい。
【0167】
なお、制御部325は、電子キー端末1の制御部225と同様に、図示せぬプロセッサと、プロセッサを制御するためのプログラムを記憶したROMと、プロセッサの動作に用いられるRAMとを有している。また、メモリ324は、揮発性メモリ又は不揮発性メモリ(例えばフラッシュメモリ)の何れであってもよい。
【0168】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0169】
本開示の技術は、基板を有する電子キー端末に有用である。
【符号の説明】
【0170】
1 電子キー端末
10 第1筐体
11 第1面状部
12 第1壁部
13 第1端部
14 第1係止部
15 上面
16 下面
17 凸部
18 ボタン部分
20 第2筐体
21 第2面状部
22 第2壁部
23 第2端部
24 第2係止部
25 上面
26 下面
27 基板支持部
28、29 第3係止部
30 電子基板
31 表面
32 裏面
33 スイッチ
34 アンテナ
35 第2電池接点
40 電池
50 第1電池接点
60 シート部
100 金型セット
101 上金型
102 下金型
103、103A、103B 金型駒
104 凹部
110 第3面状部
111、112、137、138 第3壁部
113 第1の一部
114 第2の一部
115、116 第1突出側面
117 第1支持部
118 第2支持部
119 第3の区間
120 第1辺
120a 一端部
120b 他端部
121 第2辺
121a 一端部
121b 他端部
122 第3辺
123 第4辺
124 第1突出部
124a 一端部
124b 他端部
125 第2突出部
125a 一端部
125b 他端部
126 第1区間
127 第2区間
128 第1中点
129 第2中点
131、132 第2突出側面
133、134 第1突出面
135 第1当接面
136 第2当接面
139、139a、139b 第1突出長
140、140a、140b 第2突出長
141、142 第4係止部
143 第5係止部
200 無線システム
211 フロントエンド部
212 制御回路
221 発振器
222 送信部
223 受信部
224 メモリ
225 制御部
300 ECU
301 アンテナ
302 フロントエンド部
303 制御回路
321 発振器
322 送信部
323 受信部
324 メモリ
325 制御部