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特許7482593ワイパーブレード及びワイパーブレード用結合部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】ワイパーブレード及びワイパーブレード用結合部材
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/38 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
B60S1/38 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020175043
(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公開番号】P2022066108
(43)【公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000230515
【氏名又は名称】株式会社デンソーワイパシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【弁理士】
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】久保田 修
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/089312(WO,A1)
【文献】特開2005-022594(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0207311(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0014223(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被払拭面を払拭する払拭部材と、
前記払拭部材に組み込まれた補強部材と、
前記補強部材に取り付けられ、ワイパーアームとの連結部を構成する結合部材と
を備えたワイパーブレードにおいて、
前記結合部材は、前記補強部材の一方の側部に嵌合する第1の嵌合部と、前記第1の嵌合部から前記補強部材の長手方向に間隔をおいて配置され前記補強部材の他方の側部に嵌合する第2の嵌合部とを備え
前記第1及び第2の嵌合部は、それぞれ上壁部と下壁部の間に形成されており、前記第1及び第2の嵌合部に前記補強部材が嵌合したとき、前記補強部材の幅全体が前記上壁部と前記下壁部の間に挟持されるようになっているワイパーブレード。
【請求項2】
前記結合部材は、中央部と、前記中央部から延び出す第1の端部と、前記中央部から前記第1の端部と反対側に延び出す第2の端部とを備え、
前記第1の嵌合部は、前記第1の端部に設けられ、
前記第2の嵌合部は、前記第2の端部に設けられる請求項1に記載のワイパーブレード。
【請求項3】
前記第1の嵌合部と第2の嵌合部は、前記中央部よりも低い位置に配置されている請求項2に記載のワイパーブレード。
【請求項4】
前記補強部材は、前記第1の嵌合部と第2の嵌合部の少なくとも一方と嵌合する切り欠き部を備え、
前記結合部材は、前記第1の嵌合部と第2の嵌合部の少なくとも一方と切り欠き部の嵌合により前記補強部材の長手方向への動きが規制されるようになっている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のワイパーブレード。
【請求項5】
前記第1の嵌合部と第2の嵌合部の各々に、前記補強部材の脱落を防止するための保持爪部を設け
前記第1及び第2の嵌合部に前記補強部材が嵌合したとき、前記第1の嵌合部に設けられた保持爪部は、前記補強部材の前記他方の側部を抱え込むように保持し、前記第2の嵌合部に設けられた保持爪部は、前記補強部材の前記一方の側部を抱え込むように保持するようになっている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワイパーブレード。
【請求項6】
前記補強部材は、前記第1の嵌合部の保持爪部と第2の嵌合部の保持爪部の少なくとも一方と嵌合する保持爪部用切り欠き部を備えた請求項5に記載のワイパーブレード。
【請求項7】
ワイパーブレードの払拭部材に組み込まれた補強部材に取り付けられ、前記ワイパーブレードとワイパーアームを結合するワイパーブレード用結合部材において、
前記補強部材の一方の側部に嵌合する第1の嵌合部と、
前記第1の嵌合部から前記補強部材の長手方向に間隔をおいて配置され前記補強部材の他方の側部に嵌合する第2の嵌合部と
を備え
前記第1及び第2の嵌合部は、それぞれ上壁部と下壁部の間に形成されており、前記第1及び第2の嵌合部に前記補強部材が嵌合したときには、前記補強部材の幅全体が前記上壁部と前記下壁部の間に挟持されるようになっているワイパーブレード用結合部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ワイパー装置に用いられるワイパーブレード及びワイパーブレード用結合部材に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ワイパー装置に用いられるワイパーブレードとしては、従来、ゴム製の払拭部材(ブレードラバー)を支持部材(例えば複数のレバー部材)で支持するタイプのワイパーブレード(いわゆるトーナメント式ワイパーブレード)が用いられてきたが、近年では、払拭部材と支持部を一体に構成したラバー部材のみを備えたワイパーブレード(いわゆるフラットブレード)も多く用いられるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-105515
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなフラットブレードにおいては、ワイパーラバーに対して組み込まれた補強部材であるバーティブラを備え、このバーティブラに対して、ワイパーアームとの連結のための結合部材を取り付けるようにしたものがある。
【0005】
図10及び図11には、このような従来のワイパーブレードの一例を示す。図示されるように、ワイパーブレード101は、ブレード本体102と、ブレード本体102に装着された結合部材110とを備えている。ブレード本体102は、ゴム製の払拭部材であるブレードラバー103と、ブレードラバー103内に組み込まれたバーティブラ104(図11参照)とを備えている。なお、バーティブラ104は、ブレードラバー103と略同一長さを持つ長尺の金属製板部材である。
【0006】
図11に示すように、結合部材110は、バーティブラ104を両側から抱え込む爪部111及び112によって、バーティブラ104に対して取り付けられる。この取り付けは、バーティブラ104の端部から結合部材110を嵌めこんでいき、結合部材110をバーティブラ104の長手方向中央部まで移動させていくことによりなされる。このため、結合部材110のバーティブラ104への装着は、手間のかかる作業となっていた。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、払拭部材に組み込まれる補強部材に対して結合部材を取り付けるワイパーブレードにおいて、結合部材の取り付け作業を効率化できるワイパーブレードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被払拭面を払拭する払拭部材と、前記払拭部材に組み込まれた補強部材と、前記補強部材に取り付けられ、ワイパーアームとの連結部を構成する結合部材とを備えたワイパーブレードにおいて、前記結合部材は、前記補強部材の一方の側部に嵌合する第1の嵌合部と、前記第1の嵌合部から前記補強部材の長手方向に間隔をおいて配置され前記補強部材の他方の側部に嵌合する第2の嵌合部とを備え、前記第1及び第2の嵌合部は、それぞれ上壁部と下壁部の間に形成されており、前記第1及び第2の嵌合部に前記補強部材が嵌合したとき、前記補強部材の幅全体が前記上壁部と前記下壁部の間に挟持されるようになっている
【0009】
前記結合部材は、中央部と、前記中央部から延び出す第1の端部と、前記中央部から前記第1の端部と反対側に延び出す第2の端部とを備え、前記第1の嵌合部は、前記第1の端部に設けられ、前記第2の嵌合部は、前記第2の端部に設けられてもよい。
【0010】
前記第1の嵌合部と第2の嵌合部は、前記中央部よりも低い位置に配置されていてもよい。
【0011】
前記補強部材は、前記第1の嵌合部と第2の嵌合部の少なくとも一方と嵌合する切り欠き部を備え、前記結合部材は、前記第1の嵌合部と第2の嵌合部の少なくとも一方と切り欠き部の嵌合により前記補強部材の長手方向への動きが規制されるようになっていてもよい。
【0012】
前記第1の嵌合部と第2の嵌合部の各々に、前記補強部材の脱落を防止するための保持爪部を設け、前記第1及び第2の嵌合部に前記補強部材が嵌合したとき、前記第1の嵌合部に設けられた保持爪部は、前記補強部材の前記他方の側部を抱え込むように保持し、前記第2の嵌合部に設けられた保持爪部は、前記補強部材の前記一方の側部を抱え込むように保持するようになっていてもよい
【0013】
前記補強部材は、前記第1の嵌合部の保持爪部と第2の嵌合部の保持爪部の少なくとも一方と嵌合する保持爪部用切り欠き部を備えてもよい。
【0014】
また、本発明は、ワイパーブレードの払拭部材に組み込まれた補強部材に取り付けられ、前記ワイパーブレードとワイパーアームを結合するワイパーブレード用結合部材において、前記補強部材の一方の側部に嵌合する第1の嵌合部と、前記第1の嵌合部から前記補強部材の長手方向に間隔をおいて配置され前記補強部材の他方の側部に嵌合する第2の嵌合部とを備え、前記第1及び第2の嵌合部は、それぞれ上壁部と下壁部の間に形成されており、前記第1及び第2の嵌合部に前記補強部材が嵌合したときには、前記補強部材の幅全体が前記上壁部と前記下壁部の間に挟持されるようになっている
【発明の効果】
【0015】
本発明のワイパーブレード(例えばワイパーブレード1)によれば、結合部材(例えば結合部材10)に、補強部材(例えばバーティブラ4)の一方の側部に嵌合する第1の嵌合部(例えば嵌合溝部16E)と、第1の嵌合部から補強部材の長手方向に間隔をおいて配置され、補強部材の他方の側部に嵌合する第2の嵌合部(例えば嵌合溝部17E)を備えるようにしたので、補強部材に対して結合部材を回転させるようにすれば、第1及び第2の嵌合部を補強部材に嵌合させることができ、結合部材の補強部材への装着を行うことができる。したがって、結合部材の補強部材への装着作業は、補強部材の装着位置において全ての工程を完結させることができ、また簡単な作業で極めて効率的に行うことができる。また、結合部材は、補強部材の両側から嵌合するので、片側に脱落し易くなってしまうことはない。
【0016】
結合部材に、中央部(例えば中央部13)と、第1の嵌合部が設けられる一方の端部(例えば前側端部16)と、第2の嵌合部が設けられる他方の端部(例えば後側端部17)とを備えるようにすれば、補強部材に対して回転させることにより装着を行える結合部材を合理的に構成できる。また、結合部材を小型化したとしても、第1と第2の嵌合部の間に、回転による装着作業を適切に行うために十分な間隔を設けることができる。
【0017】
第1及び第2の嵌合部を、中央部よりも低い位置に配置すれば、装着作業時に、第1及び第2の嵌合部と補強部材の側部を同じ高さにできるので、第1及び第2の嵌合部を補強部材の側部に対して真横からスムーズに嵌合させることができる。
【0018】
補強部材に、第1の嵌合部と第2の嵌合部の少なくとも一方と嵌合する切り欠き部(例えば切り欠き部6)を設け、嵌合部と切り欠き部の嵌合により補強部材の長手方向における結合部材の動きが規制されるようにすれば、結合部材を補強部材の長手方向の適切な位置に堅固に固定することができる。また、装着作業時においては、第1の嵌合部と第2の嵌合部の少なくとも一方が切り欠き部に嵌合するように、結合部材の位置決めをすることができるので、結合部材を所定位置に適切に装着することができる。
【0019】
第1の嵌合部と第2の嵌合部の各々に、補強部材の脱落を防止するための保持爪部(例えば保持爪部16F及び保持爪部17F)を設ければ、結合部材が装着時と反対方向に回転して補強部材から脱落してしまうことを適切に防止できる。
【0020】
補強部材に、第1の嵌合部の保持爪部と第2の嵌合部の保持爪部の少なくとも一方と嵌合する保持爪部用切り欠き部(例えば切り欠き部7)を備えれば、保持爪部と保持爪部用切り欠き部の嵌合によっても結合部材の補強部材の長手方向への動きを規制でき、結合部材をより確実に補強部材に固定することができる。
【0021】
また、本発明の結合部材(例えば結合部材10)によれば、補強部材(例えばバーティブラ4)の一方の側部に嵌合する第1の嵌合部(例えば嵌合溝部16E)と、第1の嵌合部から補強部材の長手方向に間隔をおいて配置され、補強部材の他方の側部に嵌合する第2の嵌合部(例えば嵌合溝部17E)を備えるようにしたので、補強部材に対して結合部材を回転させるようにすれば、第1及び第2の嵌合部を補強部材に嵌合させることができ、結合部材の補強部材への装着を行うことができる。したがって、結合部材の補強部材への装着作業は、補強部材の装着位置において全ての工程を完結させることができ、また簡単な作業で極めて効率的に行うことができる。また、結合部材は、補強部材の両側から嵌合するので、片側に脱落し易くなってしまうことはない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態におけるワイパーブレードの全体構成を示す斜視図である。
図2】同じく結合部材を示す斜視図である。
図3】同じく結合部材の正面図である。
図4】同じく結合部材の背面図である。
図5】同じくバーティブラへの結合部材の装着手順を示す斜視図である。
図6】同じくバーティブラへの結合部材の装着手順を示す平面図である。
図7】同じくバーティブラへの結合部材の装着手順を示す平面図である。
図8】同じくバーティブラに対して結合部材が装着された状態を示す斜視図である。
図9】同じくバーティブラに対して結合部材が装着された状態を示す平面図である。
図10】従来のワイパーブレードの全体構成を示す斜視図である。
図11】従来のワイパーブレードにおいてバーティブラに結合部材が装着された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
図1には、本発明の実施形態におけるワイパーブレード1の全体構成を示す。図示されるように、ワイパーブレード1は、長尺部材であるブレード本体2と、ブレード本体2の長手方向略中央部に装着された結合部材10とを備えている。なお、本実施形態においては、説明の便宜上、図1におけるワイパーブレード1の左側を前側、右側を後側としている。
【0024】
ブレード本体2は、被払拭面(例えば自動車のガラス面)を払拭する払拭部材であるブレードラバー3と、ブレードラバー3に対して装着された補強部材であるバーティブラ4と、ブレードラバー3の長手方向両端に装着されるキャップ部材5とを備えている。ブレードラバー3は、上側の本体部3Aと、下側の払拭部3Bとを備えている。
【0025】
払拭部3Bは、ブレードラバー3の下端部を構成する部分であり、ワイパーブレード1の全長にわたって延びている。この払拭部3Bの下端縁が、図示されない被払拭面(例えば自動車のガラス面)に接触することにより、被払拭面が払拭部3Bにより払拭されるようになっている。
【0026】
本体部3Aは、ブレードラバー3の上側部分を構成する部分であり、その内側にバーティブラ4が組み込まれるようになっている。本体部3Aの長手方向中央部分には、結合部材10が装着されるための切り欠き部分である装着部3Cが形成されており、本体部3Aの装着部3Cの長手方向両側部分は、それぞれ前側半部3D及び後側半部3Eとなっている。これにより、ブレードラバー3に組み込まれたバーティブラ4は、装着部3Cにおいてブレードラバー3の外側に露出した状態となり、このバーティブラ4の露出部分に、結合部材10が装着されるようになっている。
【0027】
バーティブラ4は、ブレードラバー3を補強するための長尺の板部材であり、例えば金属から形成されている。バーティブラ4は、ブレードラバー3(本体部3A)の長手方向全長にわたって形成された装着溝(図示せず)に組み込まれ、ブレードラバー3の長手方向全長にわたって長手方向に沿って配置されている。なお、ブレードラバー3の両側端部に装着されたキャップ部材5によって、バーティブラ4のブレードラバー3(本体部3A)からの脱落が防止されるようになっている。
【0028】
また、バーティブラ4の所定位置(後述する結合部材10の嵌合溝部16Eに対して整合する位置)には、左側側部4Aに切り欠き部6が、また右側側部4Bに切り欠き部7が、それぞれ形成されている(図5及び図6参照)。詳しくは後述するように、結合部材10のバーティブラ4への装着時には、切り欠き部6に対して結合部材10の嵌合溝部16Eが嵌合するようになっている。
【0029】
結合部材10は、ワイパーブレード1をワイパーアーム(図示せず)に結合するための部材であり、図2から図4にも詳細に示すように、基部11と、基部11に対して回動可能に取り付けられたクリップ部材12とを備えている。このクリップ部材12に対して、ワイパーアーム(図示せず)の結合部(例えばU字型に湾曲したフック部)が連結されることにより、ワイパーアームに対してワイパーブレード1が回動可能に連結されるようになっている。なお、結合部材10(基部11及びクリップ部材12)は、例えばプラスチックから形成されている。
【0030】
基部11は、ブレード本体2(バーティブラ4)に装着される部分であり、ブレード本体2の長手方向に沿って延びる中央部13と、中央部13の左右両側から上方に延び出す両側の側壁部14、15と、中央部13の前後から延び出す前側端部16と後側端部17を備えている。クリップ部材12は、中央部13と両側側壁部14、15で囲まれた空間内に配置され、両側の側壁部14、15に対して回動可能に取り付けられている。
【0031】
基部11の前側端部16は、中央部13からブレード本体2の長手方向の前方に向けて延び出しており、中央部13の上面の前端からわずかに斜め下方に傾いて延び出す傾斜部16Aと、傾斜部16Aから前方に水平に延び出す上壁部16Bと、上壁部16Bの左側辺から下方に延び出す連結部16Cと、連結部16Cの下端から右方に延び出す下壁部16Dとを備えている。
【0032】
連結部16Cと下壁部16Dは、上壁部16Bの下側に回り込むL字型断面形状を有しており、下壁部16Dは、上壁部16Bの下側に平行に配置されている。これにより、上壁部16Bと下壁部16Dの間には、基部11の右側と前後方向に開口した嵌合溝部16Eが形成されている。なお、上壁部16Bの下面には、嵌合溝部16E内に配置されるように、下壁部16D側に突出した保持爪部16Fが形成されている。
【0033】
一方、基部11の後側端部17は、前側端部16を前後方向と左右方向で反転させた形状を有している。すなわち、基部11の後側端部17は、中央部13からブレード本体2の長手方向の後方に向けて延び出しており、中央部13の上面の後端からわずかに斜め下方に傾いて延び出す傾斜部17Aと、傾斜部17Aから後方に水平に延び出す上壁部17Bと、上壁部17Bの右側辺から下方に延び出す連結部17Cと、連結部17Cの下端から左方に延び出す下壁部17Dとを備えている。
【0034】
連結部17Cと下壁部17Dは、上壁部17Bの下側に回り込むL字型断面形状を有しており、下壁部17Dは、上壁部17Bの下側に平行に配置されている。これにより、上壁部17Bと下壁部17Dの間には、基部11の左側と前後方向に開口した嵌合溝部17Eが形成されている。また、上壁部17Bの下面には、嵌合溝部17E内に配置されるように、下壁部17D側に突出した保持爪部17Fが形成されている。
【0035】
このような構成により、結合部材10(基部11)は、嵌合溝部16E及び嵌合溝部17E内にバーティブラ4を挟持した状態で、ブレード本体2の装着部3Cに取り付けられるようになっている(図8参照)。この場合、基部11における嵌合溝部16Eと嵌合溝部17Eは、互いに左右反対側に開口しているので、左右反対側からバーティブラ4に嵌合することになる。すなわち、嵌合溝部16Eはバーティブラ4の左側側部4Aに対して、また嵌合溝部17Eはバーティブラ4の右側側部4Bに対して、それぞれ嵌合する。このように、結合部材10は、バーティブラ4に対して左右両側から嵌合しているので、左右どちらにも脱落し難いようになっている。
【0036】
また、嵌合溝部16E及び嵌合溝部17E内に嵌合したバーティブラ4は、それぞれ保持爪部16F及び保持爪部17Fにより、反対側から抱え込まれた状態となる。すなわち、嵌合溝部16E内の保持爪部16Fは、バーティブラ4を右側側部4B側から、嵌合溝部17E内の保持爪部17Fは、バーティブラ4を左側側部4A側から、それぞれ抱え込むように保持する。これにより、バーティブラ4は、嵌合溝部16E及び嵌合溝部17E内に確実に保持され、結合部材10が、バーティブラ4への嵌合方向と反対方向に動いて脱落してしまわないようになっている。
【0037】
嵌合溝部16Eの幅L1は、バーティブラ4の切り欠き部6、7が形成された箇所の幅W1(図6参照)に適合するように、また嵌合溝部17Eの幅L2は、バーティブラ4の(切り欠き部6、7以外の部分の)幅W2(図6参照)に適合するように、それぞれ形成されている(結果として、嵌合溝部16Eに隣接する連結部16Cの幅は、嵌合溝部17Eに隣接する連結部17Cの幅よりも大きくなっている)。また、嵌合溝部16E内の保持爪部16Fも、幅W1に適合するように、嵌合溝部16Eの中央部側まで延びている(結果として、保持爪部16Fの幅は、嵌合溝部17E内に保持爪部17Fの幅よりも大きくなっている)。
【0038】
結合部材10のバーティブラ4への装着時には、嵌合溝部16Eが切り欠き部6に対してちょうど嵌合するとともに、連結部16Cの前端部が切り欠き部6の前端縁6Aに、また連結部16Cの後端部が切り欠き部6の後端縁6Bに、それぞれ当接する。また、嵌合溝部16E内の保持爪部16Fは、反対側の切り欠き部7に対してちょうど嵌合し、保持爪部16Fの前端部が切り欠き部7の前端縁7Aに、また保持爪部17Fの後端部が切り欠き部7の後端縁7Bに、それぞれ当接する。これにより、結合部材10のバーティブラ4の長手方向への動きが適切に規制されるようになっている。
【0039】
なお、本実施形態では、バーティブラ4の切り欠き部6、7を、嵌合溝部16E側にのみ設けているが、嵌合溝部17E側にも設けるようにしてもよい。この場合、嵌合溝部17Eの幅L2及び保持爪部17Fの幅は、切り欠き部の幅に適合するように調整されることになる。
【0040】
次に、図5から図9にしたがって、バーティブラ4に対する結合部材10の装着方法について説明する。なお、本実施形態では、バーティブラ4に対して結合部材10を組み付けた後に、ブレードラバー3に対してバーティブラ4を組み込むことにより、ワイパーブレード1が完成する。
【0041】
装着作業に際しては、まず図5及び図6に示すように、結合部材10を、バーティブラ4に対して垂直方向に向くように、バーティブラ4の装着位置の上に配置する。この場合、結合部材10の基部11の前側端部16がバーティブラ4の左側に、また後側端部17がバーティブラの右側に、それぞれ配置されるようにする。
【0042】
この状態から、結合部材10の中央部13をバーティブラ4上に摺接させながら、結合部材10を、矢印A1及びA2で示される方向に(時計回転方向に)回転させる。これにより、図7にも途中の状態を示すように、結合部材10の嵌合溝部16Eの開口がバーティブラ4の切り欠き部6に、また嵌合溝部17Eの開口が(中央部13から見て)バーティブラ4の切り欠き部6と(長手方向の)反対側の部分に、それぞれ近づいていく。
【0043】
このようにして、嵌合溝部16E及び17Eがバーティブラ4まで達すると、嵌合溝部16E及び17Eがバーティブラ4に対して嵌合して、結合部材10がバーティブラ4に対して組み付けられる。この場合、嵌合溝部16Eが、ちょうどバーティブラ4の切り欠き部6に嵌合するようにする。これにより、結合部材10のバーティブラ4の長手方向に対する位置合わせがなされるので、結合部材10は、バーティブラ4の所定位置(装着位置)に適切に装着される。
【0044】
また、上壁部16Bと中央部13との間には傾斜部16A及び17Aが設けられ、また、上壁部16Bの下側に配置された下壁部16Dとの間に嵌合溝部16E及び17Eが形成されるようになっているので、嵌合溝部16E及び17Eの位置は、中央部13よりも低く、バーティブラ4とほぼ同レベルに配置されている。よって、嵌合溝部16E及び17Eは、バーティブラ4に対して真横からスムーズに嵌合することができる。
【0045】
なお、結合部材10のバーティブラ4への装着後には、結合部材10の中央部13は、傾斜部16A及び17Aの分だけ、バーティブラ4の上面から浮いた状態となり、中央部13とバーティブラ4の間に隙間が形成される。これにより、バーティブラ4は、この隙間内に向けて適切に撓むことができる。
【0046】
このように、本実施形態のワイパーブレード1によれば、結合部材10をバーティブラ4上で回動させるようにして、バーティブラに対する結合部材10の結合を容易に行うことができる。したがって、従来のワイパーブレードのように、結合部材10はバーティブラ4上の所定位置における簡単な作業でバーティブラ4に取り付けることができ、従来技術のような結合部材をバーティブラの長手方向に移動させる手間も無くなるので、結合部材10のバーティブラ4への取り付け作業を効率的に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
1 ワイパーブレード
2 ブレード本体
3 ブレードラバー
3A 本体部
3B 払拭部
3C 装着部
3D 前側半部
3E 後側半部
4 バーティブラ
5 キャップ部材
6 バーティブラの切り欠き部
7 バーティブラの切り欠き部
10 結合部材
11 基部
12 クリップ部材
13 基部の中央部
14 基部の側壁部
15 基部の側壁部
16 基部の前側端部
16A 傾斜部
16B 上壁部
16C 連結部
16D 下壁部
16E 嵌合溝部
16F 保持爪部
17 基部の後側端部
17A 傾斜部
17B 上壁部
17C 連結部
17D 下壁部
17E 嵌合溝部
17F 保持爪部
図1
図2
図3
図4
図5
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図9
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図11