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  • 特許-蓋付き容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】蓋付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/24 20060101AFI20240507BHJP
   B65D 41/04 20060101ALI20240507BHJP
   B65D 43/08 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B65D51/24
B65D41/04 100
B65D43/08 100
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017167959
(22)【出願日】2017-08-31
(65)【公開番号】P2019043615
(43)【公開日】2019-03-22
【審査請求日】2020-03-02
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 孝之
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 浩通
【合議体】
【審判長】藤原 直欣
【審判官】金丸 治之
【審判官】西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-107946(JP,U)
【文献】実開平3-11649(JP,U)
【文献】実開昭59-115754(JP,U)
【文献】実開昭61-161250(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00 - 55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の開口部の外周面に形成されたねじ部にねじ止めされ、該容器本体を密封保持する蓋体を備えた容器であって、
該容器本体の開口部の外周面にリブを設け、該リブに対向する該蓋体の内周面に該蓋体の装着完了時および該蓋体の取り外し開始時に該リブを乗り越えて復元するとき音を発する凸部を設け、
前記リブは、前記ねじ部のねじピッチと同等のピッチで、かつ、ねじ部に沿う向きでねじ部の下方に設けられ、頂部を境にして両側に傾斜が付された山形断面をなす環状リブからなり、
前記凸部は、弾性変形可能な薄肉の舌片からなる、ことを特徴とする蓋付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋付き容器、とくにねじ込み式の蓋体を備えた容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内容物の取り出し口が大きく開放された開口部を有する、例えば、ジャータイプの容器等では、特許文献1に見られるように、ねじ込み式の蓋体を用いて容器本体を密封するのが一般的である。
【0003】
ところで、この種の容器は、蓋体を開け始めるとき、あるいは蓋体を閉じたときに、蓋体が開け始め状態に移行したか、あるいは蓋体が完全に閉まった状態になったのかその判別が容易でなく、この点に関して改善の余地が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-164082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、蓋体の開閉時に手指に伝わる感覚により開閉状況が把握できるだけでなく、音鳴りによっても蓋体の開閉状況が確認できる蓋付き容器を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、容器本体の開口部の外周面に形成されたねじ部にねじ止めされ、該容器本体を密封保持する蓋体を備えた蓋付き容器であって、
該容器本体の開口部の外周面リブを設け、該リブに対向する該蓋体の内周面に該蓋体の装着完了時および該蓋体の取り外し開始時に該リブを乗り越えて復元するとき音を発する凸部を設け、
前記リブは、前記ねじ部のねじピッチと同等のピッチで、かつ、ねじ部に沿う向きでねじ部の下方に設けられ、頂部を境にして両側に傾斜が付された山形断面をなす環状リブからなり、
前記凸部は、弾性変形可能な薄肉の舌片からなる、ことを特徴とする蓋付き容器である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の蓋付き容器によれば、蓋体の開閉時に該凸部がリブを乗り超える際の手指の感覚を得ることができるだけでなく、それと同時に音を発することから、蓋体が開状態あるいは閉状態になったことを確実に把握することができる。
【0009】
また、本発明にしたがう蓋付き容器においては、蓋体が閉状態におかれたとき、凸部が蓋体の回転を防止するストッパとして機能するため、容器の落下や他の物品との接触等により蓋体に所期しない力が作用しても簡単に緩むことがない。
【0010】
また、本発明の蓋付き容器によれば、リブおよび凸部を、ねじピッチと同等のピッチでねじに沿う向きに配置するとともに、該リブを、環状リブからなるものとし、凸部を、弾性変形可能な薄肉の舌片とすることにより、蓋体の開閉時に確実に音を鳴らすることができる。
【0011】
さらに、本発明の蓋付き容器によれば、リブを、頂部を境にして両側に傾斜が付された山形断面を有するものにて構成するようにしたため、凸部がリブに当接しながらその傾斜を移動するため蓋体の回転がスムーズになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明にしたがう蓋付き容器の実施の形態をその側面について模式的に示した図である(中心線を境にして右側半分を断面表示)。
図2図1のA-A矢視を蓋体の内周面について示した図である。
図3】蓋体の取り外し開始時における凸部の変形状況を要部について示した図である。
図4】蓋体の装着完了時における凸部の変形状況を要部について示した図である。
図5】本発明にしたがう蓋付き容器の要部を拡大して示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明にしたがう蓋付き容器の実施の形態をその側面について模式的に示した図であり(中心線を境にして右側半分を断面表示)、図2は、図1のA-A矢視を蓋体の内周面について示した図である。なお、本発明にしたがう蓋付き容器は、蓋体を含め、容器の全体が合成樹脂によって構成することができるものである。
【0014】
図における符号1は、内容物の充填空間Mを有する容器本体である。容器本体1は、底壁1aと、該底壁1aの縁部に一体連結して立ち上がり、その内側に該底壁1aと協同して内容物の充填空間Mを区画形成する周壁1bから構成されており、周壁1bの上部には、内容物を取り出すための開口部1cが形成されている。
【0015】
また、2は、開口部1cの外周面に設けられたねじ部、3は、容器本体1を開口部1cにおいて密封保持する蓋体である。蓋体3は、開口部1cの上面に位置する天板3aと、該天板3aの縁部に垂下保持され、開口部1cを取り囲む周壁3bとから構成されており、周壁3bの内周面には、開口部1cの外周壁に設けられたねじ部2に係合可能なねじ部3cが設けられている。
【0016】
また、4は、ねじ部2の下方で開口部1cの外周面に設けられたリブである。リブ4は、開口部1cの周りを周回する環状リブが適用される。リブ4としては、頂部4aを境にして傾斜4b、4cが付された山形断面をなす横向姿勢(径方向外向き)で構成されたものが好適であり、ねじ部2のねじピッチPと同等のピッチで、かつ、該ねじ部2に沿う向きに設けられる。リブ4は、間隔をあけて開口部1cの周りに断続的に環状に配列される複数の突起で構成されるもの、あるいは、長さの短い単一の突起(短尺の周方向リブ)を適用することも可能である。複数の突起で構成されたリブ4あるいは、単一の突起で構成されたリブ4を適用する場合、これらは、蓋体3を閉じた際に、後述する凸部(符号5)に確実に当接する位置に設けられる。
【0017】
また、符号5は、蓋体3の周壁3bの内周面で、ねじ部3cのねじピッチPと同等のピッチにしてねじ部3cに沿う向きに設けられた凸部である。凸部5は、リブ4と対向するように蓋体3の周壁3bに設けられるものであって、蓋体3の装着完了時および蓋体3の取り外し開始時に該リブ4を乗り越えることによって音を発する音出し部材として機能する。凸部5は、ここでは弾性変形が可能な薄肉の舌片を例として示しているが、音を確実に発することができるものであれば図示のような舌片に限定はされることはない。凸部5は蓋体3の軸芯O(図2参照)に対して直交するように設けることができる(水平配置)。
【0018】
凸部5の周方向長さH(図2参照)は、2.0mm未満では、強度が不足し破損することが懸念される一方、8.0mmを超えるとそれ自体が変形し難くなり音を発することが困難となることも想定される。このため、本発明では、凸部5の周方向長さHは、2.0~8.0mm程度に設定するのが好ましい。凸部5の周方向長さHは、4.0mmに設定するのが最もよい。さらに、6は、蓋体3の天板3aの裏面に設けられたシール部材(パッキン)である。
【0019】
図3は、蓋体3の取り外し開始時における凸部5の変形状況を要部について示した図であり、図4は、蓋体3の装着完了時における凸部5の変形状況を要部について示した図である。
【0020】
本発明の蓋付き容器は、蓋体3の開閉時には凸部5がリブ4を乗り越える際に図3図4に示すように変形するため、手指に伝わる感覚だけでなく、音を発することとなるため、開閉状況を確実に把握することができる。また、蓋体3を閉じた状態(図1参照)では、凸部5がリブ4を乗り越えない限り蓋体3は緩むことがないため、蓋体3が不用意に開放されることがない利点を有している。
【0021】
本発明の実施の形態では、リブ4を容器本体1の開口部1cの外周面に設け、凸部5を蓋体3の周壁3bの内周面に設けた場合について示したが、リブ4を蓋体3の周壁3bの内周面に設け、凸部5を容器本体1の開口部1cの外周面に設けてもよいのはいうまでもない。リブ4、凸部5は、上下に沿う向きに複数設けることもできる。
【0022】
図5は、凸部5の、リブ4に対する重複代(係合代)L、厚さt、長さWを示した図である。蓋体3の開閉時に凸部5を確実に弾性変形させるため、周方向長さHを、上述の如く2.0~8.0mm程度に設定することに加え、重複代Lについては0.2~2.0mm程度、厚さtについては0.5~1.5mm程度、長さWは、1.5~4.0mm程度とするのが好ましい。とくに長さWについては、1.5mm未満であると、リブ4を径方向外方へ向けて突出させる必要がでてくるため、蓋体3の内周面との間の隙間が狭くなり、蓋体3をスムーズに回転させるのが困難となるおそれがある。一方、長さWが4.0mmを超えると、蓋体3と開口部1cの外周面との間の隙間が大きくなるため、蓋体3のガタツキが大きくなることが懸念される。このため、凸部5の長さWは、1.5~4.0mm程度とするのが好ましい。重複代Lは、1.0mm、厚さtは、0.8mm、長さWは、3.0mmとするのが最もよい。
【0023】
本発明にしたがう蓋付き容器は、ボトルの口頚部にねじ止めされるキャップあるいはポンプ付き容器の、ポンプと容器とをつなぐねじ止めキャップに適用することも可能であり、ジャータイプの容器にのみ限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明によれば、蓋体の開閉状況が手指に伝わる感覚のみならず、音によっても明瞭に把握し得る蓋付き容器が提供できる。
【符号の説明】
【0025】
1 容器本体
1a 底壁
1b 周壁
1c 開口部
2 ねじ部
3 蓋体
3a 天板
3b 周壁
3c ねじ部
4 リブ
4a 頂部
4b、4c 傾斜
5 凸部
6 シール部材(パッキン)
図1
図2
図3
図4
図5