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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】組立体およびホルダー
(51)【国際特許分類】
   B42D 5/00 20060101AFI20240507BHJP
   B42D 9/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B42D5/00
B42D9/00 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019055306
(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公開番号】P2020152076
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-03-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】弓座 京子
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3164409(JP,U)
【文献】登録実用新案第3179690(JP,U)
【文献】特開2006-188031(JP,A)
【文献】登録実用新案第3170652(JP,U)
【文献】登録実用新案第3175101(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 5/00
B42D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも複数の付箋が積層された積層体と、
前記積層体を支持する支持部と、
前記支持部を固定する固定部と、を備え、
前記複数の付箋は互いに剥離可能に接着されており、
前記支持部は、底面部と、底面部から折り返された折り返し部とを備え、
前記積層体は、前記付箋の積層方向で一方側の表面と他方側の裏面とを備え、前記裏面は前記折り返し部からはみ出すと共に、前記裏面の一部が前記折り返し部に接着されることにより前記支持部に支持されており、
前記支持部は、前記底面部の前記折り返し部に対面する面とは反対側の面が前記固定部と接着されることにより前記固定部に固定されており、前記底面部と前記固定部とが接着されている第2接着部は、前記底面部と前記固定部との重複領域内で、前記重複領域の周縁の少なくとも一部から離間して配置されている、組立体。
【請求項2】
前記折り返し部は、前記底面部に対して折れ線を介して折り返されており、
前記第2接着部は、前記重複領域の周縁のうち、前記折れ線に沿った一部から前記折れ線に直交する方向に離間して配置されている、請求項記載の組立体。
【請求項3】
前記折り返し部は、前記底面部に対して折れ線を介して折り返されており、
前記第2接着部は、前記重複領域の周縁から前記折れ線の延在方向に離間して配置されている、請求項または記載の組立体。
【請求項4】
前記第2接着部は、前記重複領域の周縁から離間する方向における最大幅を有し、
前記最大幅は、前記重複領域の周縁から前記第2接着部が離間している距離以上である、請求項または記載の組立体。
【請求項5】
前記裏面の一部と前記支持部とが接着されている第1接着部は、前記裏面と前記折り返し部との重複領域内で、前記重複領域の周縁の少なくとも一部から離間して配置されている、請求項のいずれか一項記載の組立体。
【請求項6】
少なくとも複数の付箋が積層された積層体と、
前記積層体を支持する支持部と、
前記支持部を固定する固定部と、を備え、
前記複数の付箋は互いに剥離可能に接着されており、
前記支持部は、底面部と、底面部から折り返された折り返し部とを備え、
前記積層体は、前記付箋の積層方向で一方側の表面と他方側の裏面とを備え、前記裏面は前記折り返し部からはみ出すと共に、前記裏面の一部が前記折り返し部に接着されることにより前記支持部に支持されており、
前記支持部は、前記底面部の前記折り返し部に対面する面とは反対側の面が前記固定部と接着されることにより前記固定部に固定されており、前記底面部と前記固定部とが接着されている第2接着部は、前記底面部と前記固定部との重複領域内で、前記重複領域の周縁の少なくとも一部から離間して配置されており、
前記折り返し部は、前記底面部に対して折れ線を介して折り返されており、
前記固定部は、前記底面部が接着された面とは反対側の面に第3接着部を備え、
前記第3接着部は、前記折れ線の延在方向に沿って設けられている、組立体。
【請求項7】
少なくとも複数の付箋が積層された積層体と、
前記積層体を支持する支持部と、
前記支持部を固定する固定部と、を備え、
前記複数の付箋は互いに剥離可能に接着されており、
前記支持部は、底面部と、底面部から折り返された折り返し部とを備え、
前記積層体は、前記付箋の積層方向で一方側の表面と他方側の裏面とを備え、前記裏面は前記折り返し部からはみ出すと共に、前記裏面の一部が前記折り返し部に接着されることにより前記支持部に支持されており、
前記支持部は、前記底面部の前記折り返し部に対面する面とは反対側の面が前記固定部と接着されることにより前記固定部に固定されており、前記底面部と前記固定部とが接着されている第2接着部は、前記底面部と前記固定部との重複領域内で、前記重複領域の周縁の少なくとも一部から離間して配置されており、
前記折り返し部は、前記底面部に対して折れ線を介して折り返されており、
前記固定部は、前記底面部が接着された面とは反対側の面に第3接着部を備え、
前記第3接着部は、前記折れ線に交差する方向に沿って設けられている、組立体。
【請求項8】
少なくとも複数の付箋が積層された積層体のためのホルダーであって、
前記積層体を支持する支持部と、
前記支持部を固定する固定部と、を備え、
前記支持部は、底面部と、底面部から折り返された折り返し部とを備え、且つ前記折り返し部には積層体支持領域が設けられており、
前記支持部は、前記底面部の前記折り返し部に対面する面とは反対側の面と前記固定部とを接着させることにより前記固定部に固定されており、前記底面部と前記固定部との接着部は、前記底面部と前記固定部との重複領域内で、前記重複領域の周縁の少なくとも一部から離間して配置されている、ホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、少なくとも複数の付箋が積層された積層体を備えた組立体、および付箋の積層体を保持するホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
手帳等に取り付けられて一緒に携帯される付箋帳が知られている(特許文献1参照)。この種の付箋帳では、例えば、手帳等に差し込まれる台紙と台紙に保持された付箋とを備えている。付箋は、複数が剥離可能に積層されてユニット化しており、このユニットの裏面が台紙に接着されて固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-205924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
手帳等を携帯して移動する際、手帳等には様々な方向から負荷がかかって湾曲等する場合がある。この手帳等に付箋帳の台紙を取り付けると、手帳等と一緒に台紙にも負荷がかかる可能性がある。その結果、複数の付箋が積層されて保持されている態様において、一部の付箋の積層体が他の付箋の積層体から剥がれてしまう「割れ」や、「割れ」に成長する前段階の「剥離」が生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面に係る組立体は、少なくとも複数の付箋が積層された積層体と、積層体を支持する支持部と、を備え、複数の付箋は互いに剥離可能に接着されており、支持部は、底面部と、底面部から折り返された折り返し部とを備え、積層体は、付箋の積層方向で一方側の表面と他方側の裏面とを備え、裏面は折り返し部からはみ出すと共に、裏面の一部が折り返し部に接着されることにより支持部に支持されており、裏面の一部と支持部とが接着されている第1接着部は、裏面と折り返し部との重複領域内で、重複領域の周縁の少なくとも一部から離間して配置されている。
【0006】
組立体に対して、例えば湾曲させるような負荷がかかったとしても、この負荷は底面部と折り返し部との開きがバッファとなり吸収される。また、積層体の裏面は、折り返し部からはみ出しており、実質的に積層体の一部分のみが折り返し部によって支持されている。従って、折り返し部に負荷かかかって湾曲しても、積層体の裏面全体を支持している態様に比べて積層体に影響を与え難い。更に、折り返し部と積層体とを接着する第1接着部は、折り返し部と積層体との重複領域内で、重複領域の周縁の少なくとも一部から離間して配置されている。そして、この離間領域では、折り返し部と積層体との間に遊びとなる隙間ができ、この遊びによって湾曲が吸収され、積層体に影響を与え難くなる。以上より、この組立体では、手帳等の湾曲の影響が積層体に現れ難く、積層体に割れや剥離が生じ難くなる。
【0007】
一態様に係る組立体の折り返し部は、底面部に対して折れ線を介して折り返されており、第1接着部は、重複領域の周縁のうち、折れ線に沿った一部から折れ線に直交する方向に離間して配置されていてもよい。折れ線を跨ぐように湾曲するような負荷がかかった場合に、離間領域の隙間によって湾曲を吸収できる。
【0008】
一態様に係る組立体の折り返し部は、底面部に対して折れ線を介して折り返されており、第1接着部は、重複領域の周縁から折れ線の延在方向に離間して配置されていてもよい。折れ線に沿って湾曲するような負荷がかかった場合に、離間領域の隙間によって湾曲を吸収できる。
【0009】
一態様に係る組立体において、重複領域の周縁からの第1接着部の離間方向の最大幅は、重複領域の周縁からの離間距離以上であってもよい。離間領域での湾曲の吸収と第1接着部での接着状態の維持とを両立させ易くなる。
【0010】
本発明の一側面に係る組立体は、少なくとも複数の付箋が積層された積層体と、積層体を支持する支持部と、支持部を固定する固定部と、を備え、複数の付箋は互いに剥離可能に接着されており、支持部は、底面部と、底面部から折り返された折り返し部とを備え、積層体は、付箋の積層方向で一方側の表面と他方側の裏面とを備え、裏面は折り返し部からはみ出すと共に、裏面の一部が折り返し部に接着されることにより支持部に支持されており、支持部は、底面部の折り返し部に対面する面とは反対側の面が固定部と接着されることにより固定部に固定されており、底面部と固定部とが接着されている第2接着部は、底面部と固定部との重複領域内で、重複領域の周縁の少なくとも一部から離間して配置されている。
【0011】
組立体の第2接着部は、底面部と固定部との重複領域内で、重複領域の周縁の少なくとも一部から離間して配置されている。この離間領域では、底面部と固定部との間に遊びとなる隙間ができる。ここで、例えば、組立体に対して湾曲させるような負荷がかかったとしても、この湾曲は、上記の遊びによって吸収され、支持部及び積層体に影響を与え難くなる。更に、積層体は、底面部から折り返された折り返し部に接着されて支持されているため、固定部が湾曲したとしても、この湾曲は底面部と折り返し部との開きがバッファとなり、吸収される。以上より、この組立体では、手帳等の湾曲の影響が積層体に現れ難く、積層体に割れや剥離が生じ難くなる。
【0012】
一態様に係る組立体の折り返し部は、底面部に対して折れ線を介して折り返されており、第2接着部は、重複領域の周縁うち、折れ線に沿った一部から折れ線に直交する方向に離間して配置されていてもよい。折れ線を跨ぐように湾曲するような負荷がかかった場合に、離間領域の隙間によって湾曲を吸収できる。
【0013】
一態様に係る組立体の折り返し部は、底面部に対して折れ線を介して折り返されており、第2接着部は、重複領域の周縁から折れ線の延在方向に離間して配置されていてもよい。折れ線に沿って湾曲するような負荷がかかった場合に、離間領域の隙間によって湾曲を吸収できる。
【0014】
一態様に係る組立体において、重複領域の周縁からの第2接着部の離間方向の最大幅は、重複領域の周縁からの離間距離以上であってもよい。離間領域での湾曲の吸収と接着部での接着状態の維持とを両立させ易くなる。
【0015】
一態様に係る組立体において、裏面の一部と支持部とが接着されている第1接着部は、裏面と折り返し部との重複領域内で、重複領域の周縁の少なくとも一部から離間して配置されていてもよい。積層体の割れを、より効果的に抑制し易くなる。
【0016】
一態様に係る組立体の折り返し部は、底面部に対して折れ線を介して折り返されており、固定部は、底面部が接着された面とは反対側の面に第3接着部を備え、第3接着部は、折れ線の延在方向に沿って設けられていてもよい。折れ線に沿って湾曲するような負荷がかかった場合でも、第3接着部により固定部が所定の場所に安定して保持される。
【0017】
一態様に係る組立体の折り返し部は、底面部に対して折れ線を介して折り返されており、固定部は、底面部が接着された面とは反対側の面に第3接着部を備え、第3接着部は、折れ線に交差する方向に沿って設けられていてもよい。折れ線を跨ぐように湾曲する負荷がかかった場合でも、第3接着部により固定部が所定の場所に安定して保持される。
【0018】
本発明の一側面は、少なくとも複数の付箋が積層された積層体のためのホルダーであって、積層体を支持する支持部と、支持部を固定する固定部と、を備え、支持部は、底面部と、底面部から折り返された折り返し部とを備え、且つ折り返し部には積層体支持領域が設けられている。支持部は、底面部の折り返し部に対面する面とは反対側の面と固定部とを接着させることにより固定部に固定されている。底面部と固定部との接着部は、底面部と固定部との重複領域内で、重複領域の周縁の少なくとも一部から離間して配置されている。このホルダーによれば、積層体の割れや剥離を効果的に抑制し易くなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一側面によれば、複数の付箋が積層された積層体の割れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、一実施形態に係る組立体の分解斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る組立体の斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る組立体の平面図である。
図4図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、図3のV-V線に沿った断面図である。
図6図6は、積層体接着部を拡大して示す仮想的な平面図である。
図7図7は、中間接着部を拡大して示す仮想的な平面図である。
図8図8は、変形例に係る組立体の平面図である。
図9図9は、組立体を手帳等の被貼付物に手に取り付けた状態を示し、(a)の図は被貼付物を閉じた状態を示す説明図であり、(b)の図は被貼付物を開いた状態を示す説明図である。
図10図10は、被貼付物の湾曲に起因して組立体が湾曲した状態を示す図であり、(a)の図は実施形態を示す断面図であり、(b)の図は比較形態を示す断面図である。
図11図11は、実施例、比較例に係る組立体に対して、(a)の図は、支持部の折れ線に沿って湾曲するような負荷をかけた状態を示す説明図であり、(b)の図は、支持部の折れ線を跨ぐように湾曲するような負荷をかけた状態を示す説明図である。
図12図12は、組立体を湾曲させている実験を説明する図であり、(a)の図は横方向に湾曲させている実験を説明する図であり、(b)の図は縦方向に湾曲させている実験を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書における用語「付箋」とは、手帳、書籍、パンフレット等の紙製品、パソコンのデスクトップ、キャビネット、オフィス家具、オフィス製品、OA機器等の金属、木製または樹脂製品、内装材等の様々な被貼付物に貼り付けられて使用されるシート状の部材を広く含む。また、この「付箋」は、メモ書き等が可能な形態に限定されず、また、付箋の材質やデザインに関しても制限はない。さらに、この「付箋」は、単なる目印として使用可能な形態や、栞等として使用可能な形態であってもよい。
【0022】
本明細書における用語「積層体」とは、付箋のみが積層された形態に限定されるものではなく、最下面となる裏面の位置に剥離紙等の付箋以外の部材が積層されて取り付けられた形態や、中間位置に付箋以外の部材が挟み込まれるように積層されている形態等であってもよい。
【0023】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0024】
図1図2及び図3に示されるように、実施形態に係る組立体1は、少なくとも付箋21が積層された積層体2と、積層体2を支持する支持部3と、支持部3を固定する固定部5と、を備えている。なお、本実施形態では、固定部5を備えた形態を説明するが、固定部5を省略した組立体1であってもよい。固定部5を省略した形態では、例えば、支持部3を直接に手帳等に被貼付物100(図9参照)に取り付けて使用してもよい。
【0025】
付箋21は、紙製、樹脂製、その他の材質であってもよく、シート状の部材であれば足りる。付箋21の形状は、長方形、正方形、円形、楕円形などの規則的な形状、あるいは不規則的な形状でもよい。また、付箋21は、特定のキャラクター、動物、または乗り物などの形状を視認者に想起させる形状でもよい。また、積層方向Dxに並んでいる複数の付箋21は同一の形状であっても、異なる形状であってもよい。
【0026】
積層された複数の付箋21は、互いに剥離可能に接着されている。付箋21は、表面21aと裏面21b(図4参照)とを有し、裏面21bの一部分には粘着剤22が塗布されている。付箋21を使用する使用者が付箋21の引き剥がしを楽に行えるように、粘着剤22は、付箋21の裏面21bの全面ではなく、中心から一方向に片寄った一部分に配置されている。例えば、長方形の付箋21の場合、粘着剤22は、長手方向の一方側に片寄って配置されている。例えば、第1の付箋21と第1の付箋21の表面21aに積層された第2の付箋21とを仮定する。この場合、第1の付箋21の表面21aの一部領域は、第2の付箋21の裏面21bに配置された粘着剤22に貼り付いている。また、第2の付箋21を第1の付箋21から剥がした後、第1の付箋21の表面21aには粘着剤22が残らないことが望ましい。
【0027】
付箋21に塗布する粘着剤22としては、例えば、水分散性粘着剤を使用することができる。
【0028】
積層体2は、複数の付箋21の積層方向Dxを基準にして両方の端面を備えており、一方の端部は積層体2の表面2aであり、他方の端部は積層体2の裏面2bである。より具体的に説明すると、積層体2の両方の端部のうち、付箋21の表面21aが出現している端部は積層体2の表面2aであり、反対側の端部は積層体2の裏面2bである。なお、付箋21以外の部材(剥離紙等)が積層体2の反対側の端部に配置されていてもよく、この場合には、付箋21以外の部材によって積層体2の裏面2bが形成されている。
【0029】
支持部3は、紙製、樹脂製、その他の材質であってもよい。支持部3は、断面V字状であり、底面部31と、底面部31から折り返された折り返し部32とを備えている。底面部31と折り返し部32とは直線状の折れ線Lを介して接続されている。折れ線Lとは、底面部31と折り返し部32との実質的な境界線を意味する。折り返し部32は底面部31に対して一定の弾性作用を奏すると好ましい。具体的には、静置状態において折り返し部32と底面部31との間には、対面方向で僅かな隙間が存在し、対面方向に負荷をかけることで隙間が縮小し、負荷を解くと静置状態に復旧する構造であると望ましい。
【0030】
図4及び図5に示されるように、折り返し部32は、底面部31に対面する側の表面(以下、便宜的に「下面」と称する)32aと、反対側の表面(以下、便宜的に「上面」と称する)32bとを有する。折り返し部32の上面32bは積層体支持領域である。折り返し部32の上面32bには積層体2の裏面2bの一部が載置される。図4及び図5に示される態様に基づいてより詳しく説明すると、積層体2は、裏面2bの長手方向の一端側の一部が折り返し部32に積層されるように配置され、他端側は折り返し部32からはみ出している。つまり、積層体2の一端側は固定端として機能し、他端側は自由端として機能することになる。
【0031】
折り返し部32と積層体2の裏面2bとの間には、折り返し部32と積層体2とを接着する接着部7が設けられている。この接着部7を便宜的に「積層体接着部」と称する。積層体接着部7は、第1接着部の一例である。積層体接着部7として、例えば、アクリル系、シリコーン系、ゴム系の粘着剤を使用することができる。積層体接着部7は、付箋21同士を接着している粘着剤22と同等もしくは、それ以上の接着強度を備えている。
【0032】
組立体1を平面視した場合に、折り返し部32と積層体2の裏面2bとが重なり合う部分は、重複領域AR1(図6のハッチング参照)である。積層体接着部7(図6のドット参照)は、折り返し部32と積層体2との重複領域AR1内に配置されている。この重複領域AR1を、説明の便宜上、「第1の重複領域」と称する。本実施形態に係る積層体接着部7は、第1の重複領域AR1の周縁Eの全周から離間して配置されている。
【0033】
より詳しく説明すると、積層体接着部7は、第1の重複領域AR1の周縁Eのうち、少なくとも支持部3の折れ線Lに沿った一部Eaから離間して配置されている。つまり、積層体接着部7は、第1の重複領域AR1の周縁Eの一部Eaから折れ線Lに直交する方向に離間している。この方向は第1の離間方向Daである。第1の離間方向Daでの積層体接着部7の最大幅daは、第1の離間方向Daでの第1の重複領域AR1の周縁Eから積層体接着部7までの距離(離間距離)dx以上である。なお、積層体2の裏面2bや積層体接着部7が平面視で矩形等ではなく、湾曲した外形、あるいは凹凸が入り組んだような外形等を有する場合には、周縁Eの一部Eaと積層体接着部7との間の最も近い距離が離間距離dxとなる。
【0034】
第1の重複領域AR1の周縁Eから積層体接着部7までの離間距離dxは、例えば、2mm以上であり、30mm以下とすることができる。また、離間距離dxは、5mm以上であり、20mm以下とすることができる。また、最大幅deは5mm以上であり、30mm以下とすることができる。また、最大幅deは、10mm以上であり、20mm以下とすることができる。
【0035】
また、第1の重複領域AR1の周縁Eは、折れ線Lの延在方向において対向する側部分Eb(一部)を備え、両方の側部分Ebの間に積層体接着部7が配置されている。本実施形態に係る積層体接着部7は、第1の重複領域AR1の両方の側部分Ebのうち、片方ではなく、両方から離間している。折れ線Lの延在方向は、第2の離間方向Dbである。第2の離間方向Dbでの積層体接着部7の最大幅dbは、第2の離間方向Dbでの第1の重複領域AR1の側部分Ebから積層体接着部7までの距離(離間距離)dy以上である。離間距離dyは、図6に示される一方の距離dyと他方の距離dyの合計で求められる。なお、積層体2の裏面2bや積層体接着部7が平面視で矩形等ではなく、湾曲した外形、あるいは凹凸が入り組んだような外形等を有する場合には、周縁Eの側部分Ebと積層体接着部7との間の最も近い距離が離間距離dyとなる。
【0036】
離間距離dyは、例えば、4mm以上であり、30mm以下とすることができる。また、離間距離dxは、8mm以上であり、20mm以下とすることができる。また、最大幅dbは5mm以上であり、30mm以下とすることができる。また、最大幅dbは、10mm以上であり、20mm以下とすることができる。
【0037】
積層体2を支持する折り返し部32は、第1の離間方向Daにおいて底面部31よりも長くなっている。折り返し部32を底面部31よりも長くすることで積層体2の安定した支持に有利になる。ただし、上述のように、積層体2の裏面は、折り返し部32からはみ出しており、実質的に積層体2の一部分のみが折り返し部32によって支持されている。
【0038】
支持部3の底面部31は、折り返し部32に対面する側の表面31aと、反対側の表面(以下、便宜的に「下面」と称する)31bとを有する。底面部31の下面31bは固定部5に積層されている。
【0039】
固定部5は、例えばシート状であり、支持部3に対面する表面5aと、表面5aの反対側の裏面5bとを備えている。固定部5は、紙製、樹脂製、その他の材質であってもよい。固定部5は、手帳等の被貼付物100(図9参照)に取り付けられる取付部51と、支持部3が固定される台部52とを備えている。台部52の表面(固定部5の表面5a)には、支持部3の底面部31の下面31bが載置される。
【0040】
底面部31と固定部5(例えば、台部52)との間には、底面部31と固定部5とを接着する接着部8が設けられている。この接着部8を便宜的に「中間接着部」と称する。中間接着部8は、第2接着部の一例である。中間接着部8として、例えば、アクリル系、シリコーン系、ゴム系の粘着剤を使用することができる。中間接着部8は、付箋21同士を接着している粘着剤22と同等もしくは、それ以上の接着強度を備えている。
【0041】
組立体1を平面視した場合に、底面部31の下面31bと固定部5とが重なり合う部分は、重複領域AR2(図7のハッチング参照)である。この重複領域AR2を、説明の便宜上、「第2の重複領域」と称する。中間接着部8(図7のドット参照)は、第2の重複領域AR2内に配置されている。本実施形態に係る中間接着部8は、第2の重複領域AR2の周縁Fの全周から離間して配置されている。
【0042】
より詳しく説明すると、中間接着部8は、第2の重複領域AR2の周縁Fのうち、少なくとも支持部3の折れ線Lに沿った一部Faから離間して配置されている。つまり、中間接着部8は、第2の重複領域AR2の周縁Fの一部Faから折れ線Lに直交する方向に離間している。この方向は、上述の通り、第1の離間方向Daである。第1の離間方向Daでの中間接着部8の最大幅dcは、第1の離間方向Daでの第2の重複領域AR2の周縁Fから中間接着部8までの距離(離間距離)ds以上である。なお、支持部3の底面部31や中間接着部8が平面視で矩形等ではなく、湾曲した外形、あるいは凹凸が入り組んだような外形等を有する場合には、周縁Fの一部Faと中間接着部8との間の最も近い距離が離間距離dsとなる。
【0043】
第2の重複領域AR2の周縁Fから中間接着部8までの離間距離dsは、例えば、2mm以上であり、30mm以下とすることができる。また、離間距離dsは、5mm以上であり、20mm以下とすることができる。また、最大幅dcは5mm以上であり、30mm以下とすることができる。また、最大幅dcは、10mm以上であり、20mm以下とすることができる。
【0044】
また、第2の重複領域AR2の周縁Fは、折れ線Lの延在方向において対向する側部分Fbを備え、両方の側部分Fbの間に中間接着部8が配置されている。本実施形態に係る中間接着部8は、第2の重複領域AR2の両方の側部分Fbのうち、片方ではなく、両方から離間している。折れ線Lの延在方向は、上述の通り、第2の離間方向Dbである。第2の離間方向Dbでの中間接着部8の最大幅deは、第2の離間方向Dbでの第2の重複領域AR2の側部分Fbから中間接着部8までの距離(離間距離)dt以上である。離間距離dtは、図7に示されるように一方の距離dtと他方の距離dtの合計で求められる。なお、支持部3の底面部31や中間接着部8が平面視で矩形等ではなく、湾曲した外形、あるいは凹凸が入り組んだような外形等を有する場合には、周縁Fの側部分Fbと中間接着部8との間の最も近い距離が離間距離dtとなる。
【0045】
離間距離dtは、例えば、4mm以上であり、30mm以下とすることができる。また、離間距離dtは、8mm以上であり、20mm以下とすることができる。また、最大幅deは5mm以上であり、30mm以下とすることができる。また、最大幅deは、10mm以上であり、20mm以下とすることができる。
【0046】
固定部5の、台部52と取付部51との間である境界には、柔軟に折り曲げ可能な二本の直線状の溝9が形成されている。二本の溝9は、固定部5の表面5aに設けられており、実質的に平行に配置されている。例えば、組立体1を手帳等に取り付ける場合、溝9により固定部5を内側に折り曲げることで、手帳等からはみ出すことなく組立体1を取り付けた状態で、手帳等を携帯することが可能となる。
【0047】
固定部5の裏面5b、つまり、底面部31が接着された面とは反対側の面には接着部10が設けられている。接着部10は、説明の便宜上、「取付用接着部」と称する。取付用接着部10は「第3接着部」の一例である。取付用接着部10として、例えば、アクリル系、シリコーン系、ゴム系の粘着剤を使用することができる。本実施形態に係る取付用接着部10は、取付部51の裏面に配置されており、支持部3の折れ線Lの延在方向に沿って設けられている。取付用接着部10には、接着面の保護のために剥離紙(図示省略)が貼り付けられていてもよい。また、取付用接着部10は手帳等の被貼付物に対して再剥離可能に取り付けられても良い。
【0048】
図8は、変形例に係る組立体1の平面図である。図8に示されるように、取付用接着部10は、固定部5の裏面5bに配置され、更に、支持部3の折れ線Lに交差する方向(例えば、直交する方向)に沿って設けられていてもよい。なお、支持部3は、折れ線Lが固定部5の外縁に沿うように配置されている。
【0049】
上述の組立体1において、積層体2が省略された形態、つまり固定部5に支持部3が固定され、支持部3の折り返し部32に積層体2が載置されていない形態は、ホルダー6である。つまり、組立体1は、積層体2及び積層体2を支持するホルダー6によって形成されていると説明することもできる。
【0050】
次に、図9及び図10を参照し、実施形態に係る組立体1等の作用、効果について説明する。上述の通り、実施形態に係る組立体1の一側面は、積層体2と、積層体2を支持する支持部3と、を備え、支持部3は、底面部31と、底面部31から折り返された折り返し部32とを備えている。積層体2の裏面2bは折り返し部32からはみ出すと共に、裏面2bの一部が折り返し部32に接着されることにより支持部3に支持されている。更に、裏面2bの一部と支持部3とを接着する積層体接着部7は、裏面2bと折り返し部32との重複領域(第1の重複領域AR1)内で、第1の重複領域AR1の周縁Eの少なくとも一部から離間して配置されている。
【0051】
例えば、組立体1は、固定部5を手帳等(被貼付物100)に取り付けて使用する。なお、固定部5が省略された形態では、支持部3の底面部31を手帳等に取り付けて使用することも可能である。被貼付物100の使用者が、組立体1を取り付けた状態で被貼付物100を持ち運んだり、被貼付物100を開いたりすると、支持部3の底面部31を湾曲させるような負荷がかかる場合がある。しかしながら、その湾曲は、底面部31と折り返し部32との開きがバッファとなって吸収される。
【0052】
また、積層体2の裏面2bは、折り返し部32からはみ出しており、実質的に積層体2の一部分のみが折り返し部32によって支持されている。従って、折り返し部32が仮に湾曲しても、積層体2の裏面2b全体を支持している態様に比べて積層体2に影響を与え難い。更に、折り返し部32と積層体2とを接着する積層体接着部7は、折り返し部32と積層体2との重複領域(第1の重複領域AR1)内で、第1の重複領域AR1の周縁Eの少なくとも一部から離間して配置されている。そして、この離間領域では、折り返し部32と積層体2との間に遊びとなる隙間ができ、この遊びによって湾曲が吸収され、積層体2に影響を与え難くなる。以上より、この組立体1では、手帳等の被貼付物100の湾曲の影響が積層体2に現れ難く、積層体2に「割れ」や「剥離」が生じ難い。
【0053】
この「割れ」とは、付箋21が互いに積層されている積層体2において付箋積層部の一部(上部のみ)がその下の付箋積層部(より折り返し部32に近い部分)から剥がれてしまう現象を指す。また、「剥離」とは、付箋21が互いに積層されている積層体2において、「剥離」とまではいかないが、付箋積層部間に意図しない隙間が生じてしまう現象を指す。さらに使用するに連れて積層体の剥離が大きくなり、最終的には積層体に割れが生じる。
【0054】
これに対し、比較形態に係る組立体101(図10の(b)図参照)は、支持部130の底面部131の下面131aの全面が固定部150に固定されており、折り返し部132と積層体120とを接着する接着部70は、重複領域の全面に配置されており、重複領域の周縁から離間していない。その結果、被貼付物100の湾曲に起因する負荷を吸収する要素が少なくなり、積層体120で負担する必要が生じて割れCが生じ易くなる。
【0055】
また、本実施形態に係る組立体1の折り返し部32は、底面部31に対して折れ線Lを介して折り返されており、積層体接着部7は、第1の重複領域AR1の周縁Eのうち、折れ線Lに沿った一部Eaから第1の離間方向Daに離間して配置されている。その結果、折れ線Lを跨ぐように湾曲するような負荷がかかった場合に、離間領域の隙間によって湾曲を吸収できる。
【0056】
また、本実施形態に係る積層体接着部7は、第1の重複領域AR1の周縁Eから第2の離間方向Dbに離間して配置されていている。その結果、折れ線Lに沿って湾曲するような負荷がかかった場合に、離間領域の隙間によって湾曲を吸収できる。
【0057】
また、本実施形態に係る積層体接着部7の第1の離間方向Daの最大幅daは、第1の重複領域AR1の周縁Eからの第1の離間方向Daの離間距離dx以上になっている。その結果、この離間領域での湾曲の吸収と積層体接着部7での接着状態の維持とを両立させ易くなる。
【0058】
また、本実施形態に係る積層体接着部7の第2の離間方向Dbの最大幅dbは、第1の重複領域AR1の周縁Eからの第2の離間方向Dbの離間距離dy以上になっている。その結果、この離間領域での湾曲の吸収と積層体接着部7での接着状態の維持とを両立させ易くなる。
【0059】
また、本実施形態に係る組立体1の一側面は、積層体2と、積層体2を支持する支持部3と、支持部3を固定する固定部5と、を備え、支持部3は、底面部31と、底面部31から折り返された折り返し部32とを備えている。積層体2の裏面2bは折り返し部32からはみ出すと共に、裏面2bの一部が折り返し部32に接着されることにより支持部3に支持されている。支持部3は、底面部31の下面31bが固定部5と接着されることにより固定部5に固定されている。底面部31と固定部5とを接着している中間接着部8は、底面部31と固定部5との重複領域(第2の重複領域AR2)内で、第2の重複領域AR2の周縁Fの少なくとも一部から離間して配置されている。
【0060】
また、本実施形態に係るホルダー6の一側面は、積層体2を支持する支持部3と、支持部3を固定する固定部5と、を備え、支持部3は、底面部31と、底面部31から折り返された折り返し部32とを備えている。支持部3は、底面部31の下面31bと固定部5とを接着させることにより固定部5に固定されている。底面部31と固定部5とを接着する中間接着部8は、底面部31と固定部5との重複領域(第2の重複領域AR2)内で、第2の重複領域AR2の周縁Fの少なくとも一部から離間して配置されている。
【0061】
第2の重複領域AR2の周縁Fから中間接着部8が離間している離間領域では、底面部31と固定部5との間に遊びとなる隙間ができ、この遊びによって湾曲が吸収され、積層体2に影響を与え難くなる。その結果、この組立体1では、被貼付物100(手帳等)の湾曲の影響が積層体2に現れ難く、積層体2に「割れ」や「剥離」が生じ難い。従って、上記の組立体1やホルダー6によれば、積層体2の割れを効果的に抑制し易くなる。
【0062】
また、本実施形態に係る中間接着部8は、第2の重複領域AR2の周縁Fのうち、折れ線Lに沿った一部Faから第1の離間方向Daに離間して配置されており、折れ線Lを跨ぐように湾曲するような負荷がかかった場合に、離間領域の隙間によって湾曲を吸収できる。
【0063】
また、本実施形態に係る中間接着部8は、第2の重複領域AR2の周縁Fから第2の離間方向Dbに離間して配置されており、折れ線Lに沿って湾曲するような負荷がかかった場合に、離間領域の隙間によって湾曲を吸収できる。
【0064】
また、本実施形態に係る中間接着部8の第1の離間方向Daの最大幅dcは、第1の重複領域AR1の周縁Eからの第1の離間方向Daの離間距離ds以上になっている。その結果、この離間領域での湾曲の吸収と中間接着部8での接着状態の維持とを両立させ易くなる。
【0065】
また、本実施形態に係る中間接着部8の第2の離間方向Dbの最大幅deは、第1の重複領域AR1の周縁Eからの第2の離間方向Dbの離間距離dt以上になっている。その結果、この離間領域での湾曲の吸収と中間接着部8での接着状態の維持とを両立させ易くなる。
【0066】
また、本実施形態に係る組立体1の固定部5は取付用接着部10を備え、取付用接着部10は、支持部3の折れ線Lの延在方向に沿って設けられている。その結果、折れ線Lに沿って湾曲するような負荷がかかった場合でも、取付用接着部10により固定部5が所定の場所に安定して保持される。
【0067】
また、上述の変形例に組立体1の固定部5は取付用接着部10を備え、取付用接着部10は、支持部3の折れ線Lに交差する方向に沿って設けられている。その結果、折れ線Lを跨ぐように湾曲する負荷がかかった場合でも、取付用接着部10により固定部5が所定の場所に安定して保持される。
【実施例
【0068】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。最初に、各実施例及び比較例の共通要素について説明する。固定部として、平面視で角部を湾曲させた略矩形の紙製のカードを使用した。固定部の長辺は108mm、短辺は85mmであった。また、支持部として、平面視で角部を湾曲させた略矩形の紙製のカードを使用した。折り返し部を折り返す前の展開状態において、長辺は79mm、短辺は55mmであった。支持部は、展開状態のカードを折り返して底面部と折り返し部とを形成した。折れ線は展開状態のカードの長辺に略平行となるように形成した。折れ線に直交する方向の底面部の長さ(幅)は25mmであり、同方向の折り返し部の長さ(幅)は30mmであった。
【0069】
支持部は、底面部を固定部に載置し、接着剤で固定した。支持部は、折れ線が固定部の短辺に略平行になるように配置し、更に固定部の短辺に沿った方向の中央に配置した。次に、複数の付箋を積層させた積層体を複数用意し、折り返し部の長手方向(折れ線に沿った方向)に等間隔で並べ、それぞれの裏面を折り返し部の上面に接着剤で固定した。
【0070】
以下、各実施例及び比較例について説明する。下記の実施例1~16、及び比較例1、2については、付箋の長手方向(縦方向)に沿って湾曲させ、その状態で3日間放置した後で割れや剥離を評価した。各実施例及び比較例について、それぞれ同一の構造を複数個用意し、それぞれについて割れや剥離の有無を検証した。なお、比較例では、割れが発生した割合が100%であった。
【0071】
[実施例1]
積層体を形成する付箋として、強粘着タイプのポスト・イット(登録商標)強粘着ノート(3M社製)を使用した。付箋の短辺の長さは13mmであり、長辺の長さは50mmであった。積層体接着部(第1接着部)は付箋の長手方向に沿うように略長方形に配置した。積層体接着部の第1の離間方向における第1の重複領域からの離間距離を5mmとした。積層体接着部の第1の離間方向の最大幅は10mmであった。また、積層体接着部の第2の離間方向における第1の重複領域からの離間距離を5mm(片側2.5mmずつ、左右の合計5mm)とした。さらに、中間接着部の第1の離間方向における第2の重複領域からの離間距離が10mm、中間接着部の第2の離間方向における第2の重複領域からの離間距離が0mmになるようにした。
【0072】
[実施例2]
積層体接着部の第1の離間方向における第1の重複領域からの離間距離を10mmとし、その他は実施例1と同様にした。
【0073】
[実施例3]
積層体を形成する付箋として、通常粘着タイプのポスト・イット(登録商標)ノート(3M社製)を使用した。付箋の短辺の長さは13mmであり、長辺の長さは50mmであった。その他は、実施例1と同様にした。
【0074】
[実施例4]
積層体を形成する付箋として、実施例3と同じ、通常粘着タイプのポスト・イット(登録商標)ノート(3M社製))を使用した。その他は、実施例2と同様にした。
【0075】
[実施例5]
積層体接着部の第2の離間方向における第1の重複領域からの離間距離を0mmとした。その他は、実施例2と同様にした。
【0076】
[比較例1]
積層体を形成する付箋として、強粘着タイプのポスト・イット(登録商標)強粘着ノート(3M社製)を使用した。積層体接着部の第1及び第2の離間方向における第1の重複領域からの離間距離をそれぞれ0mmとした。また、第2の重複領域からの中間接着部の第1の離間方向への離間距離が0mmになるようにした。その他は実施例1と同様にした。
【0077】
【表1】
【0078】
表1に示される通り、実施例1~5によれば、少なくとも割れが生じた割合は20%以下であり、特に、実施例2~5によれば、割れは確認されなかった。一方で、比較例1では、割れが生じた割合は100%であった。
【0079】
[実施例6]
折り返し部の第1の離間方向の長さが15mmになるようにした。底辺部の長さは25mmのままとし、その他は実施例2と同様にした。
【0080】
[実施例7]
折り返し部の第1の離間方向の長さが30mmになるようにした。その他は実施例6と同様にした。
【0081】
[実施例8]
折り返し部の第1の離間方向の長さが60mmになるようにした。その他は実施例6と同様にした。
【0082】
[実施例9]
折り返し部の第1の離間方向の長さが15mmになるようにした。底辺部の長さは25mmのままとし、その他は実施例4と同様にした。
【0083】
[実施例10]
折り返し部の第1の離間方向の長さが30mmになるようにした。その他は実施例9と同様にした。
【0084】
[実施例11]
折り返し部の第1の離間方向の長さが60mmになるようにした。その他は実施例9と同様にした。
【0085】
【表2】
【0086】
表2に示される通り、実施例7~11では割れは確認されなかった。また、実施例6では、割れが確認されたが、割れが生じた割合は13%だった。
【0087】
次に、上記の評価とは異なる実験結果について説明する。図11は、この実験の概略を説明するための説明図であり、(a)の図は付箋の長手方向(縦方向)に直交する方向(横方向)に湾曲させた状態を評価するための実験を示しており、(b)の図は付箋の縦方向に湾曲させた状態を評価するための実験を示している。まず、後述の各実施例等に係るサンプルSPを貼ったPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムPfを用意する。このPETフィルムPfをロールRの周面に沿わせ、往復させて曲げ伸ばしを計50回実施した。サンプルSPを横方向(図11の(a)図)に湾曲させる場合には、サンプルSPの積層体がロールRの軸方向に沿って配置されるように、サンプルSPをPETフィルムPfに貼り付けた。また、サンプルSPを縦方法(図11の(b)図)に湾曲させる場合には、サンプルSPの積層体がロールRの周方向に沿って配置されるように、サンプルSPをPETフィルムPfに貼り付けた。
【0088】
[実施例12]
積層体を形成する付箋として、強粘着タイプのポスト・イット(登録商標)強粘着ノート(3M社製)を使用した。中間接着部は、第1の離間方向において、第2の重複領域の周縁からの離間距離は0mmとした。この離間距離を、便宜上、中間接着部の第1の離間距離と称する。一方で、積層体接着部7(図12の(a)図参照)の第1の離間方向における第1の重複領域の周縁からの離間距離は10mmとした。この離間距離を、便宜上、積層体接着部の第1の離間距離と称する。また、積層体接着部の第2の離間方向における第2の重複領域の周縁からの離間距離8mm(片側4mmずつ、左右の合計8mm)とした。この離間距離を、便宜上、積層体接着部の第2の離間距離と称する。
【0089】
[実施例13]
中間接着部の第1の離間距離は10mmとした。一方で、積層体接着部7(図12の(b)図参照)の第1の重複領域全面に亘って隙間なく配置した。つまり、積層体接着部の第1の離間距離及び第2の離間距離は0mmとなるようにした。その他は、実施例12と同様にした。
【0090】
[実施例14]
中間接着部の第1の離間距離は10mmとした。その他は、実質的に実施例12と同様にした(図12の(a)図参照)。
【0091】
[実施例15]
積層体接着部の第1の離間距離は10mmとした。その他は、実施例13と同様にした(図12の(c)図参照)。
【0092】
[実施例16]
積層体接着部の第1の離間距離は0mmとした。その他は、実施例14と同様にした(図12の(d)図参照)。
【0093】
[比較例2]
積層体接着部の第1の離間距離及び第2の離間距離は0mmとした。また、中間接着部の第1の離間距離は0mmとした。
【0094】
【表3】
【0095】
表3に示されるように、実施例14は積層体接着部の第1の離間距離及び第2の離間距離と、中間接着部の第1の離間距離とを有している。そして実施例14では、縦方向の湾曲及び横方向の湾曲の両方で「割れ」は生じなかった。更に、実施例14では、「割れ」に成長する前段階の「剥離」も生じなかった。つまり、実施例14は、「割れ」及び「剥離」の両方を抑止しており、最も良い評価である「S」とした。
【0096】
表3に示されるように、実施例13、実施例15、及び実施例16では、縦方向の湾曲及び横方向の湾曲の両方で「割れ」は生じなかった。一方で実施例13、実施例15、及び実施例16では、「割れ」は生じないものの、「剥離」を生じていたので「A1」として評価した。以下、実施例13、実施例15、及び実施例16を便宜的に「A1実施例」と称する。
【0097】
表3に示されるように、実施例12は積層体接着部の第1の離間距離及び第2の離間距離を有しているが、中間接着部の第1の離間距離を有していない。そして、実施例12では、縦方向の湾曲で割れが生じたが、横方向の湾曲に対しては割れも剥離も生じなかった。従って、「A2」として評価した。以下、実施例12を便宜的に「A2実施例」と称する。
【0098】
表3に示されるように、比較例2は積層体接着部の第1の離間距離、第2の離間距離及び中間接着部の第1の離間距離を有していない。比較例2では、縦方向のみならず、横方向に湾曲させた場合にも割れが生じた。更に、横方向に湾曲させた場合に割れが発生しなかった4個中、3個には剥離が発生していた。従って、「B」として評価した。
【0099】
ここで、A1実施例とA2実施例とを比較すると、少なくともA1実施例は中間接着部の第1の離間距離を有しおり、これに対し、A2実施例は中間接着部の第1の離間距離を有していない。そしてA2実施例では縦方向の湾曲に対して割れが発生しているのに対し、A1実施例によれば、横方向のみならず縦方向の湾曲に対する割れも抑止している。つまり、中間接着部の第1の離間距離は、横方向や縦方向といった多方向の湾曲に対する割れ防止という点で有利である。
【0100】
次に、A1実施例である実施例13、実施例15、及び実施例16を比較する。ここで、実施例13は中間接着部の第1の離間距離を有しており、実施例15は積層体接着部の第1の離間距離及び中間接着部の第1の離間距離を有しており、実施例16は積層体接着部の第2の離間距離及び中間接着部の第1の離間距離を有している。そして、剥離の抑止という観点では、実施例16、実施例15、実施例13という順番で効果が下がっている。つまり、積層体接着部の離間距離は剥離の抑止という観点で有利である。
【0101】
次に、実施例15と実施例16とを比較する。積層体接着部の第1の離間距離を有する実施例15は、縦方向の湾曲に対する剥離が2個であるのに対し、横方向の湾曲に対する剥離は4個である。つまり、積層体接着部の第1の離間距離は、縦方向の湾曲に対して有利であると言える。また、積層体接着部の第2の離間距離を有する実施例16は、縦方向の湾曲に対する剥離が3個であるのに対し、横方向の湾曲に対する剥離は1個である。つまり、積層体接着部の第2の離間距離は、横方向の湾曲に対して有利であると言える。
【0102】
次に、A2実施例と比較例2とを比較すると、少なくともA2実施例は積層体接着部の第1の離間距離及び第2の離間距離を有しているのに対し、比較例2は積層体接着部の離間距離を有していない。そして比較例2によれば、横方向の湾曲に対して割れが発生しており、更に少なくとも割れが発生しなかった4個中、3個には剥離が発生している。これに対し、A2実施例によれば剥離は発生していない。つまり、積層体接着部の離間距離は、剥離の抑止という観点で有利である。
【符号の説明】
【0103】
1…組立体、2…積層体、2a…積層体の表面、2b…積層体の裏面、21…付箋、3…支持部、31…底面部、31b…下面、32…折り返し部、5…固定部、6…ホルダー、7…積層体接着部(第1接着部)、8…中間接着部、Dx…積層方向、L…折れ線、AR1…第1の重複領域、E…第1の重複領域の周縁、Ea…第1の重複領域の周縁のうち、折れ線に沿った一部、Da…折れ線に直交する方向、Db…折れ線の延在方向、da…積層体接着部の第1の離間方向の最大幅、db…積層体接着部の第2の離間方向の最大幅、AR2…第2の重複領域、F…第2の重複領域の周縁、FA…第2の重複領域の周縁のうち、折れ線に沿った一部、dc…中間接着部の第1の離間方向の最大幅、de…中間接着部の第2の離間方向の最大幅。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12