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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】髪色処理方法
(51)【国際特許分類】
   A45D 44/00 20060101AFI20240507BHJP
   G06T 11/80 20060101ALI20240507BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
A45D44/00 A
G06T11/80 A
G06T1/00 340Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019107095
(22)【出願日】2019-06-07
(65)【公開番号】P2020199008
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-03-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】池田 浩
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-110416(JP,A)
【文献】特表2018-500628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 44/00
G06T 11/80
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像において毛髪を示す領域に指定された指定色を着色する髪色処理方法であって、
前記画像上の着色対象となる着色領域の指定を受け付ける領域受付工程と、
前記着色領域の一部と、前記着色領域における前記一部と異なる他の一部との間で前記指定色の色合成強度が相違するように前記着色領域に着色する着色工程と、を含み、
前記着色工程は、前記着色領域の少なくとも一方向の大きさに応じて前記指定色の色合成強度の前記相違の傾向を決定して着色し、さらに、
前記着色工程においては、前記色合成強度が最大の濃色部と、前記色合成強度が最小の淡色部と、前記色合成強度が最大と最小との間にある中間色部とが形成されて、前記淡色部及び前記中間色部は、前記濃色部を中心とする周辺に形成される、髪色処理方法。
【請求項2】
画像において毛髪を示す領域に指定された指定色を着色する髪色処理方法であって、
前記画像上の着色対象となる着色領域の指定を受け付ける領域受付工程と、
前記着色領域の一部と、前記着色領域における前記一部と異なる他の一部との間で前記指定色の色合成強度が相違するように前記着色領域に着色する着色工程と、を含み、
前記着色工程は、前記着色領域の少なくとも一方向の大きさに応じて前記指定色の色合成強度の前記相違の傾向を決定して着色し、さらに、
前記指定色の色相に応じて前記指定色の色合成強度を決定する、髪色処理方法。
【請求項3】
画像において毛髪を示す領域に指定された指定色を着色する髪色処理装置であって、
前記画像上の着色対象となる着色領域の指定を受け付ける領域受付部と、
前記着色領域の一部と、前記着色領域における前記一部と異なる他の一部との間で前記指定色の色合成強度が相違するように前記着色領域に着色する着色部と、を備え、
前記着色部は、前記着色領域の少なくとも一方向の大きさに応じて前記指定色の色合成強度の前記相違の傾向を決定して着色し、さらに、
前記着色部においては、前記色合成強度が最大の濃色部と、前記色合成強度が最小の淡色部と、前記色合成強度が最大と最小との間にある中間色部とが形成されて、前記淡色部及び前記中間色部は、前記濃色部を中心とする周辺に形成される、髪色処理装置。
【請求項4】
画像において毛髪を示す領域に指定された指定色を着色する髪色処理装置であって、
前記画像上の着色対象となる着色領域の指定を受け付ける領域受付部と、
前記着色領域の一部と、前記着色領域における前記一部と異なる他の一部との間で前記指定色の色合成強度が相違するように前記着色領域に着色する着色部と、を備え、
前記着色部は、前記着色領域の少なくとも一方向の大きさに応じて前記指定色の色合成強度の前記相違の傾向を決定して着色し、さらに、
前記指定色の色相に応じて前記指定色の色合成強度を決定する、髪色処理装置。
【請求項5】
画像において毛髪を示す領域に指定された指定色を着色する髪色処理装置に実行される髪色処理プログラムであって、
コンピュータに、
着色領域の一部と、前記着色領域における前記一部と異なる他の一部との間で前記指定色の色合成強度が相違するように前記着色領域に着色する着色機能を実現させ、
前記着色機能は、前記着色領域の少なくとも一方向の大きさに応じて前記指定色の色合成強度の前記相違の傾向を決定して着色し、さらに、
前記着色機能においては、前記色合成強度が最大の濃色部と、前記色合成強度が最小の淡色部と、前記色合成強度が最大と最小との間にある中間色部とが形成されて、前記淡色部及び前記中間色部は、前記濃色部を中心とする周辺に形成される、髪色処理プログラム。
【請求項6】
画像において毛髪を示す領域に指定された指定色を着色する髪色処理装置に実行される髪色処理プログラムであって、
コンピュータに、
着色領域の一部と、前記着色領域における前記一部と異なる他の一部との間で前記指定色の色合成強度が相違するように前記着色領域に着色する着色機能を実現させ、
前記着色機能は、前記着色領域の少なくとも一方向の大きさに応じて前記指定色の色合成強度の前記相違の傾向を決定して着色し、さらに、
前記指定色の色相に応じて前記指定色の色合成強度を決定する、髪色処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髪色処理方法、髪色処理装置及び髪色処理プログラムに関する
【背景技術】
【0002】
現在、撮影された顔画像を加工するアプリケーションが多数実用化されている。このようなアプリケーションの公知例は、例えば、特許文献1、非特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の画像プリント作成装置は、利用者が化粧入力を行い、予め決定された画像処理方法により化粧入力に対応する化粧画像データを作成する。そして、撮影画像データと化粧画像データとを合成して合成画像データを作成するものである。
また、非特許文献1に開示されたアプリケーションは、端末装置の画面に表示されるアイコンを使って所望の髪色を選択し、画面に表示されている人物画像の髪の少なくとも一部を選択された色により着色することができる。
【0003】
このような画像処理装置やアプリケーションは、所望の髪色に画像を加工した加工画像を作成し、実際に染毛等する場合の髪色を決定するためのシミュレーションに利用することができる。また、このような画像処理装置やアプリケーションは、実際に染毛することなく様々な髪色の加工画像を作成し、SNS(Social Networking Service)等に提供することができる。
髪色決定のシミュレーション、SNS画像の作成のいずれにあっても、加工画像は染毛された髪を自然な状態を示していることが望ましい。なお、ここでいう「自然な状態」は、画像処理により着色加工された髪の画像が、実際に染毛された人の髪に見える状態をいうものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-69404号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】えりなっち、2018年7月27日、「カラコン・髪色を変える!自撮りカメラアプリまとめ、気になる色も加工なら無料で試せちゃう」、<https://apptopi.jp/2018/07/27/haircolor-colorcontact-app/>、2019年3月28日アクセス
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、髪色の処理のバリエーションとして、髪全体を着色するものの他、髪の一部のみを着色することが考えられる。上記特許文献1の図8には、髪の一部に色を塗るヘアマスカラ処理の画像処理として、色の濃淡を有するブラシライン、ライン幅太めの条件が設定されている。このような特許文献1に記載の画像処理によれば、ヘアマスカラの処理においては常に太めのブラシにより着色がされるので、太めのブラシの色の濃い部分の幅が大きいと、画像においてこの部分の髪が自然な状態でなくなることが考えられる。
また、非特許文献1には、髪に二色以上の色を着色することは記載されているものの、髪の一部にのみ着色することは記載されていない。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、毛髪の一部にのみ着色するように画像を加工する場合に、実際に染毛された毛髪に近い状態の画像を作成することが可能な髪色処理方法、髪色処理装置及び髪色処理プログラムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の髪色処理方法は、画像において毛髪を示す領域に指定された指定色を着色する髪色処理方法であって、前記画像上の着色対象となる着色領域の指定を受け付ける領域受付工程と、前記着色領域の一部と他の一部との間で前記指定色の色合成強度が相違するように前記着色領域に着色する着色工程と、を含み、前記着色工程は、前記着色領域の少なくとも一方向の大きさに応じて前記指定色の色合成強度の前記相違の傾向を決定して着色する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、毛髪の一部にのみ着色するように画像を加工する場合に、実際に染毛された毛髪に近い状態の画像を作成することが可能な髪色処理方法、髪色処理装置及び髪色処理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態の髪色処理方法を説明するためのフローチャートである。
図2図1のフローチャートを実行する髪色処理装置の機能ブロック図である。
図3図2に示す受付部を説明するための図である。
図4】(a)はぼかし強度100%、(b)はぼかし強度60%、(c)はぼかし強度0%を示す図である。
図5】着色領域のライン幅とぼかし強度との関係を説明するための図であり、(a)はライン幅が中幅に指定された場合を示し、(b)はライン幅が太幅に指定された場合を示している。
図6】ディスプレイ画面における画像の大きさを一定にするための処理を説明するための図である。
図7】ディスプレイ画面における着色領域の位置を検出する処理を説明するための図である。
図8】本実施形態の実施例を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面と共に説明する。なお、本実施形態の図面は、いずれも本発明の技術思想、構成及び動作を説明するためのものであり、その構成を具体的に限定するものではない。
[髪色処理方法]
図1は、本実施形態の髪色処理方法を説明するためのフローチャートである。本実施形態は、画像において毛髪を示す領域に、指定された指定色を着色する髪色処理方法である。ここで、画像とは、画像の濃度を示す画素値と、この画素値の位置座標とを組み合わせたデータ(以下、「画像データ」とも記す)をいい、画像データの出力先は紙媒体であってもディスプレイ画面であってもよい。画像が複数の色成分で構成される場合、画素値は色成分ごとに定められる。
【0011】
毛髪は、頭髪(以下、単に「髪」とも記す)及び体毛を含む。また、毛髪は、人の毛髪に限定されず、動物の体毛や羽毛をも含む。上記の領域は、領域の長手方向の長さと、この長手方向と直交する方向の長さ(以下、「幅」とも記す)とにより指定される。領域の幅は、例えば、予め設定されている複数の幅から少なくとも一つを選択することによって指定することができる。また、領域の長さは、画像上で指定された線に基づいて決定される。領域は、このような幅と長さとによって決定される閉領域を指す。本実施形態は、このような領域を着色対象とするものであるから、以降この領域を「着色領域」と記す。
ただし、本実施形態は、着色領域の幅を予め設定する構成に限定されるものではない。着色領域の幅は、例えば、ディスプレイ画面に表示された画像に接する圧力を公知の技術によって検出し、圧力の大きさに比例して決定するようにしてもよい。また、本実施形態は、画像に指やペン等によって接触することにより線を指定する場合、画像に接触した幅方向の長さを着色領域の幅としてもよいし、接触した幅方向の長さに予め設定されている所定の長さをプラスした、あるいはマイナスした長さを着色領域の幅としてもよい。
【0012】
さらに、本実施形態は、着色領域の長さを点によって指定することも可能である。着色領域の長さを点により指定する場合、着色領域の始点と終点とを指定するものであってもよいし、毛髪の流れに沿う複数の互いに離間した点を指定するものであってもよい。
指定色は、髪色処理方法により髪色を変化させる操作者が指定した色をいう。色の指定は、操作者が任意に指定した色であっても良いし、予め設定されている複数の色から指定するものであってもよい。
以上の条件の下、本実施形態は、人の髪色を処理の対象にし、ペンを画像に接触させながら移動させることによって着色領域の長さを指定し、着色領域の幅を予め設定された複数の幅の中から選択する例を挙げて髪色処理方法及び髪色処理装置を説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の髪色処理方法は、画像上の着色領域の指定を受け付ける領域受付工程(ステップS103)と、着色領域の一部と、この着色領域における前述した一部と異なる他の一部との間で指定色の色合成強度が相違するように着色領域に着色する着色工程(ステップS104-S106)と、を含んでいる。そして、着色工程(ステップS104-S106)は、着色領域の少なくとも一方向の大きさに応じて指定色の色合成強度の相違の傾向を決定して着色するように処理している。
さらに、本実施形態の髪色処理方法は、画像取込み工程(ステップS101)と、指定色選択受付工程(ステップS102)と、着色領域指定受付工程(ステップS103)と、を含んでいる。
【0014】
上記において、「着色領域の一部と、着色領域における一部と異なる他の一部との間で指定色の色合成強度が相違する」とは、一つの着色領域内で互いに色合成強度が相違する部分が存在することを指す。「着色領域の少なくとも一方向」とは、着色領域の縦方向、横方向、高さ方向、長さ方向及び幅方向等の定性的に定められる方向をいい、x,y座標等により規定される方向ではない。本実施形態では、着色領域がライン形状を有し、このような着色領域の長さ方向に直交する幅方向の大きさ(以下、単に「幅」と記す)に応じて色合成強度の傾向を決定して着色する。「色合成強度」は、着色領域における指定色の濃度をいい、具体的には後述する着色後の着色領域における指定色の画素の割合をいう。着色領域において指定色の画素の割合が多いほど合成強度は高く、また、着色領域において指定色の画素の割合が少ないほど合成強度は低い。このような合成強度の「相違」は、単に合成強度の高さの相違ばかりでなく、指定色の濃度の変化傾向や濃度と着色領域の画像における位置との関係の相違をいう。相違の傾向は、例えば、濃度の変化割合や濃度が一定の領域の大きさ(幅)等をいう。さらに、画像における位置も基づく相違の傾向は、例えば、画像における着色領域の位置に関連して指定色の濃度が変化することをいう。
さらに、指定色の濃度を着色領域における指定色の画素の割合で表す場合、相違の傾向は、指定色の画素の実数や密度の変化の仕方(減少の割合、増加の割合)等を指す。
【0015】
画像取込み工程は、髪色を処理する対象者の画像を取り込む工程である。指定色選択受付工程は、髪色処理装置を使用する操作者により選択された髪色の入力を受付ける工程である。
着色工程は、ラインのぼかし強度選択工程(ステップS104)と、色合成強度設定工程(ステップS105)と、画像加工工程(ステップS106)と、を含んでいる。また、着色工程においては、ステップS106の終了後、ステップS102において受付けた指定色以外の色を使った処理を行うか否かを判断し(ステップS107)、他の色により髪色を処理する場合には(ステップS107:Yes)、再度ステップS102において指定色の選択を受付ける。
図1に示すフローチャートのうち、破線Aで示す領域に含まれる処理は、髪色処理装置により自動的に行われる処理である。
【0016】
[髪色処理装置]
図2図3は、図1のフローチャートに示す髪色処理方法を実行する髪色処理装置1を説明するための図である。図2は、髪色処理装置1の機能ブロック図である。図3は、図2に示す受付部10を説明するための図である。
図2に示す髪色処理装置1は、画像において毛髪を示す領域に指定された指定色を着色する髪色処理装置である。髪色処理装置1は、画像上の着色領域の指定を受け付ける領域受付部である受付部10と、受付部10によって受け付けられた着色領域の一部と、この着色領域における前述した一部と異なる他の一部との間で指定色の色合成強度が相違するように着色領域に着色する着色部20と、を備えている。着色部20は、ぼかし強度選択部21と、色合成強度設定部22と、毛束抽出部23と、画像加工部24と、を備えている。着色部20は、着色領域の幅に応じて指定色の色合成強度の相違の傾向を決定して着色する。
着色部20により着色された画像12は、受付部10のディスプレイ画面30に表示される。着色部20は、このような構成により、着色領域の幅方向の大きさに応じて指定色の色合成強度の相違の傾向を決定して着色する。
【0017】
[髪色処理プログラム]
着色部20は、画像において毛髪を示す領域に指定された指定色を着色する髪色処理装置に実行される髪色処理プログラムである。着色部20は、コンピュータに、画像上の着色対象となる着色領域の一部と、この着色領域における前述した一部と異なる他の一部との間で指定色の色合成強度が相違するように着色領域に着色する着色機能を実現させる。このとき、着色部20は、着色領域の幅に応じて指定色の色合成強度の相違の傾向を決定して着色する。
ここで、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)、CPUの演算処理に使用されるメモリ、データの入出力に使用されるインターフェース等を備えて髪色処理プログラムを実行する演算装置であればどのようなものであってもよい。例えば、コンピュータに汎用的なパーソナルコンピュータを使用し、パーソナルコンピュータに着色部20と共に画像処理用のプログラムをインストールして一体的な髪色処理装置1を構成することも可能である。本実施形態では、受付部10として使用されるタブレット端末をコンピュータとして使用している。
以下、上記構成を順次説明する。
【0018】
(受付部)
受付部10は、図1の指定色選択受付工程(ステップS102)と、着色領域指定受付(ステップS103)工程を実行する。
図3に示すように、本実施形態の受付部10は、ディスプレイ画面30を有するタブレット端末装置として構成される。ディスプレイ画面30は、画像12を表示すると共に、ディスプレイ画面30に接触するタッチペン3の範囲に基づいて画像12上の領域の指定の入力を受付ける。また、受付部10には髪に着色される色の選択を受付ける髪色選択パネル13、着色の状態の選択を受付ける着色選択パネル14、着色操作の選択を受付ける操作パネル15が設けられている。
【0019】
髪色選択パネル13は複数の選択ボタン131を含み、複数の選択ボタン131には各々ナチュラルピンク(NP)、脱色(BLEACH)といった色が割り当てられている。このような選択ボタン131は、いずれも画像12の髪の部分に塗布される色を指定するためのボタンである。髪色選択パネル13はタッチパネルであり、選択ボタン131はタッチパネル上に表示されるアイコンであってもよい。また、本実施形態は、髪色選択パネル13をタッチパッドとしてもよい。
操作者は、選択ボタン131の中から所望の指定色に対応する選択ボタン131を選択する。なお、選択ボタン131に割り当てられる指定色の名称は、赤、緑といった色そのものを表すものであってもよいし、染毛材に付された名称であってもよい。本実施形態は、選択ボタン131が指定色で表されるようにしてもよい。このようにすれば、操作者は選択ボタン131を見て指定色を直感的に選択することができる。
【0020】
着色選択パネル14は、着色を行う際のライン幅、ぼかしの程度及び色の濃度(彩度)の選択を受付けるため、複数の選択ボタン141を備えている。選択ボタン141は、ライン幅について細幅(Narrow)、中幅(Middle)、太幅(Wide)の選択に使用される。また、選択ボタン141は、ぼかし強度については低(Hard)、中(Middle)、高(Soft)の選択に使用され、色の濃度については弱(Weak)、中(Middle)、強(Strong)の選択に使用される。なお、本実施形態では、基本的にぼかし強度がライン幅に応じて決定される。ぼかし強度についての選択ボタン141は、ライン幅に応じて決定したぼかし強度を、さらに微調整することに使用される。選択ボタン141を設けることにより、本実施形態は、ライン幅に応じて大まかに決定されたぼかし強度をさらに個人の感性により好ましい状態にすることができる。
【0021】
(着色領域)
着色領域は、画像12上の二点と、この二点を始点及び終点とするラインの幅(ライン幅)とによって受け付けられる。ライン幅は、タッチペン3により一回に選択される着色領域の幅である。すなわち、本実施形態では、ラインを描画するようタッチペン3を動かして着色領域を指定するように操作者に推奨する。このとき、着色領域は、選択ボタン141によって選択された細幅、中幅、太幅のいずれかの幅を持ち、タッチペン3の軌跡に沿うラインの始点から終点までの長さを持つ領域として指定される。
【0022】
さらに、操作パネル15は、処理の取り消し(UNDO)や、やり直し(REDO)といった操作の指示を受付ける。操作パネル15には「UNDO」等の操作名が記されたタッチボンが設けられていて、所望の操作名にタッチすることによってディスプレイ画面30に表示されている画像12の着色に係る操作を入力することができる。
タブレット端末装置である受付部10は、カメラ機能が搭載されていて、操作者が撮影した顔を含む画像12をディスプレイ画面30に表示するものであってもよいし、図示しないメモリ等に保存されている画像12を読み出して表示するものであってもよい。さらに、受付部10は、通信機能を有し、インターネット回線を通じて画像を取得してディスプレイ画面30に表示するものであってもよい。操作者は、髪色選択パネル13や着色選択パネル14を操作してディスプレイ画面30に表示された画像の髪の着色領域に着色する。
【0023】
(ぼかし強度選択部)
ぼかし強度選択部21は、図1のラインのぼかし強度を設定する工程(ステップS104)を実行する。
ぼかし強度は、画像12における着色前の髪の色(以下、「地色」と記す)に対する指定色の状態を表す指標である。本実施形態の着色は、地色の画素を指定色の画素で置き換える処理によって行われる。本実施形態では、この処理を色合成と記し、指定色に置き換えられる画素の割合を色合成強度と記す。
なお、本実施形態では、地色の画素を指定色の画素に置き換えることに限定されず、地色の画素を地色と指定色とを混合した確定色の画素で置き換えるようにしてもよい。地色と指定色とから確定色を作る処理は、例えば、アルファブレンド等の方法により行われる。
【0024】
色合成は、例えば、画素によって表されるドットの大きさに大小を設けることにより指定色の画素に粗密を設けるハーフトーニングによって行うものであってもよい。ハーフトーニングによれば、二値(例えば画素値0と画素値256)によって中間色部を表現することができる。
指定色の画素に粗密を設けると、指定色の画素が密である部分は指定色が濃く、指定色の画素が疎である部分は指定色から地色が透けて見えるように表現される。本実施形態では、地色が透けて見える度合いを以降「透明度」で示し、全ての画素が指定色の画素になって地色が見えない部分を「透明度が0%」とする。また、全ての画素が地色の画素になって指定色が見えない部分を「透明度が100%」とする。さらに、地色の画素と指定色の画素とが混在している部分は、地色の画素と指定色の画素との割合に応じて透明度が決定する。
本実施形態では、透明度が0%の部分を画像12の濃色部、透明度が100%(着色がされていない)部分を淡色部、透明度が0%よりも大きく、100%よりも小さい部分を中間色部と記す。
【0025】
また、本実施形態は、画素に粗密を設けることによって画像の透明度を表現することに限定されず、二値以上の画素値(例えば画素値0から画素値256)により指定色の透明度を表現するグラデーション(ぼかし)を用いるものであってもよい。グラデーションにより中間色を表現する場合、上記のアルファブレンドにより確定色を決定すると、指定色の画素値が小さいほど確定色における地色の成分が大きくなって指定色の透明度が高くなる。また、反対に、指定色の画素値が大きいほど確定色における地色の成分が少なくなって指定色の透明度が低くなる。
【0026】
ぼかし強度選択部21では、色合成強度が最高の濃色部と、色合成強度が最低の淡色部と、色合成強度が最大と最小との間にある中間色部とが形成されて、淡色部及び中間色部は、濃色部を中心とする周辺に形成される。
図4(a)、図4(b)及び図4(c)は、ぼかし強度を説明するための図であって、いずれもグラデーション(地色は白色)を使って中間色部を表している。図4(a)、図4(b)、図4(c)に示す着色領域は、図中の横方向に延びるライン形状を有している。4(a)、図4(b)、図4(c)では、ラインの中心Cから上側の縁部Etまでと、ラインの中心から下側の縁部Ebまでとの二つの領域の合計における濃色部が占める割合によってぼかし強度を規定している。図4(a)は、透明度0%の部分が中心線C上にのみ存在する例を示し、このような例をぼかし強度100%と規定する。図4(b)は、透明度0%の部分dが中心から上側と下側とにそれぞれ幅方向の30%まで延びる例を示し、このような例をぼかし強度60%と規定する。図4(c)は、ラインの全体が透明度0%の部分dである例を示し、このような例はぼかし強度0%であると規定される。
【0027】
なお、図4(a)、図4(b)、図4(c)のいずれにあっても、濃色部から淡色部に向かう中間色部の濃度は、透明度0%から一定の傾きで透明度100%に向かって変化する。このため、図4(b)の中間色部の濃度は、図4(a)の中間色部の濃度よりも急峻に変化している。
ただし、本実施形態は、中間色部の濃度を一定の割合で変化させることに限定されず、任意の態様で変化させることができる。
【0028】
着色領域がライン形状で指定される本実施形態は、着色部20によって行われる着色工程において、着色領域のうち幅方向の大きさが異なる二つの着色領域(第一着色領域、第二着色領域:第一着色領域の幅は第二着色領域の幅よりも大きいとする)がある場合、第一着色領域の淡色部及び中間色部の濃色部に対する面積割合を、第二着色領域の淡色部及び中間色部の濃色部に対する面積割合よりも大きくする。
すなわち、ぼかし強度選択部21は、受付部10から指定されたライン幅を受け取る。ぼかし強度選択部21には予めライン幅に応じたぼかし強度が設定されていて、この設定においてライン幅が相対的に大きいときにぼかし強度が高くなるように定められている。
なお、本実施形態は、着色領域の幅(ライン幅)に応じてぼかし強度を設定しているが、本実施形態は、このような構成に限定されず、例えば、着色領域の長さ方向の大きさ(長さ)に応じてぼかし強度を設定するものであってもよい。さらに、本実施形態は、繰り返しライン状の着色領域を指定することによってできた最終的な着色領域の幅及び長さ(面積)によりぼかし強度を設定してもよい。
【0029】
図5(a)、図5(b)は、着色領域のライン幅とぼかし強度との関係を説明するための図である。図5(a)は、受付部10において中幅のライン幅が指定された場合を示し、図5(b)は受付部10において太幅のライン幅が指定された場合を示している。図5(a)では、タッチペン3がラインL1を描画し、ラインL1に基づいて着色領域Lb1が規定される。図5)では、タッチペン3がラインL2を描画し、ラインL2に基づいて着色領域Lb1よりも幅広の着色領域Lb2が規定される。
本実施形態は、例えば、予め細幅にぼかし強度0%を割り当てておくようにしてもよい。また、中幅にはぼかし強度30%、太幅にはぼかし強度60%を割り当てるようにしてもよい。ぼかし強度選択部21は、ライン幅に応じたぼかし強度を設定し、設定された情報を色合成強度設定部22に送る。
【0030】
色合成強度設定部22は、ぼかし強度に応じて色合成強度を設定する(ステップS105)。色合成強度の設定は、画像12上の着色領域の中心から縁部に向けて地色の画素中の指定色の画素の割合及びその変化の仕方を設定することによって行われる。
このとき、毛束抽出部23は、着色領域中の画像12の連続する画素を検出し、連続する画素により毛髪の束(毛束)の流れを検出する処理を行う。
【0031】
画像加工部24は、色合成強度設定部22、毛束抽出部23の処理の結果に基づいて画像12に着色するよう画像を加工する(ステップS106)。このとき、画像加工部24は、抽出された毛束に沿って指定色を着色領域に着色する。
画像加工部24は、毛束抽出部23によって検出された毛束のうち、図5に示すラインL1、L2が、着色領域Lb1、Lb2のそれぞれ中心になるように着色領域Lb1、Lb2を決定する。そして、着色領域Lb1、Lb2の内部を、色合成強度設定部22によって設定された色合成強度により着色するよう加工する。加工後の画像12は、髪色処理装置1のディスプレイ画面30に出力される。
【0032】
なお、上記の処理において、本実施形態は、タッチペン3が毛束を横切るように動いて着色領域を指定した場合、例えば、タッチペン3が横切った複数の毛束のうちの中央の毛束が中心になるようにライン状の着色領域を決定するようにしてもよい。このような処理は、例えば、タッチペン3が横切った複数の毛束のうち、中央に位置する毛束をラインとして画像加工部24が特定する。そして、画像加工部24は、ラインを中心にして両方向にライン幅の1/2だけずれた位置にある画素をラインの始点から終点まで特定する。特定された画素の集合は、着色領域の外縁を形成する。
また、本実施形態は、二点を指定して着色領域を指定する処理において異なる二つの毛束上の二点が指定された場合、例えば、二つの毛束のうちのいずれか長い方の毛束をラインであると特定するようにしてもよい。
【0033】
着色領域の選定にあたり、慎重にラインを描画しなければならない構成は、髪色処理装置の取り扱いに慣れた操作者が対象者の希望を聞いて操作をしなければならない。しかし、上記の本実施形態の髪色処理装置1は、ラインをラフに操作しても髪が正確に毛束に沿って着色されて、画像品質の高い加工画像を得ることができる。このことにより、本実施形態は、対象者が自身で受付部10を操作して画像を加工することができるので、対象者に高い満足度を与えることができる。
【0034】
上記の構成により、本実施形態は、相対的に広い着色領域のぼかし強度を、相対的に狭い着色領域よりも高めることができる。画像12において広い領域は、多くの場合狭い領域よりも凹凸や曲面を含んでいるので、ぼかしをかけずに一定の濃度で着色すると画像12の印象が不自然になる。このような点を考慮し、本実施形態は、着色領域が大きくなるに連れてぼかし強度を高くして、画像12の印象を実際に髪に着色を行って撮影した画像に近付けている。
このような本実施形態は、指定色で髪を実際に着色した場合の印象に近い印象を与える画像を作成することができる。このため、本実施形態によれば、操作者は所望の指定色により髪が着色された画像を参照してシミュレーションを行い、実際の着色時に満足のいく仕上がり状態を得ることができる。
【0035】
ところで、上記本実施形態においては、受付部10に取り込まれる画像(ディスプレイ画面に表示される画像)12の大きさを任意とすると、着色領域のライン幅が画像12に占める大きさが一定にならず、画像12ごとに変化することになる。本実施形態は、このような点に考慮して、ディスプレイ画面30における画像12の大きさを一定にしている。
図6は、ディスプレイ画面30における画像12の大きさを一定にするための処理を説明するための図である。図6に示す受付部10は、ディスプレイ画面30にフレーム121を表示する。フレーム121は、形態学顔高に基づいて決定されたサイズの枠を示す画像であって、髪色処理方法を実行するためのアプリケーションを起動することよって表示される。
【0036】
ここで、形態学顔高に基づいて決定されたサイズとは、青年期の女性の平均的なセリオンから頤までの長さhに基づいて決定される。本実施形態では、セリオンを通る水平線121aと、頤点を通る水平線121bと、この二つの水平線121a、121bと交わる二つの垂直線121c、121dで規定される。なお、セリオンとは、耳眼面を水平にした状態で、側面から見た場合の鼻根が最も窪んだ正中線上の点をいう。頤点は、耳眼面を水平にした状態で、正中線上における下顎骨の最下点をいう。なお、垂直線121c、121dは、例えば、青年期の女性の平均的な両耳の間の距離を隔てた平行線であってもよい。
このようなフレーム121は、画像12とは独立にディスプレイ画面30に表示されるものであり、ディスプレイ画面30がズーム機能を有する場合にもズーム機能とは無関係に一定のサイズで表示される。
【0037】
操作者は、例えば、自身の顔画像を撮影して取り込む場合、自身のセリオンをと121aとを合わせ、自身の頤を121bに合わせてから撮影してもよい。また、ディスプレイ画面30のズーム機能を利用して、撮影等によって予め取り込まれた画像12をフレーム121に合わせてもよい。
上記処理により、本実施形態は、画像12を、その大きさによらずディスプレイ画面30において凡そ一定の領域及び範囲に表示することができる。このため、本実施形態は、サイズの異なる画像12間でラインが占める割合がばらつくことを抑えることができる。
【0038】
さらに、本実施形態は、実際に髪に着色した状態に画像12の印象を近づけるため、例えば着色部20が、受付部10により受け付けられた着色領域の画像12における位置を判定するようにしてもよい。そして、着色部20は、判定された位置に応じて色合成強度の相違の傾向を決定するようにしてもよい。
着色領域の位置の判定は、例えば、上記のフレーム121を基準にして行うことができる。このような場合、画像加工部24は、受付部10において指定された着色領域とフレーム121の例えば中心点との位置関係を判定する。位置関係の判定は、例えば、中心点を通る水平線または垂直線と着色領域との距離を算出することによって実現できる。
【0039】
より具体的には、例えば、着色部20は、画像12から顔部分(顔画像)を抽出する。そして、着色部20は、着色領域の位置が顔画像を基準にして相対的に上方にある着色領域の指定色の色合成強度を、相対的に下方にある着色領域の指定色の色合成強度よりも小さくするようにしてもよい。
【0040】
顔画像の抽出は、例えば、上記したフレーム121に含まれる範囲を顔画像とすることによって実現することができる。本実施形態では、指定された着色領域の所定の点とフレーム121の中心等との距離とに応じて予めぼかし強度の補正係数を設定しておき、ぼかし強度選択部21が、ライン幅に応じたぼかし強度を補正係数により補正する。このとき、補正係数は、着色領域がフレーム121に対して上方にあるほどぼかし係数が大きくなるように設定される。
【0041】
図7は、着色領域のディスプレイ画面30における位置を検出する処理の一例を説明するための図である。
着色領域の上方の程度は、例えば、図7に示すように、ディスプレイ画面30の最も下のx軸が原点o1を通るように定め、着色領域a1、a2における所定の点(例えば最も下の点)のy座標を求めることによって実現できる。このような場合、着色領域は、y座標の値が大きいほど顔画像に対して上方にあることになり、着色領域a1は着色領域a2よりも上方にあることが分かる。
また、このような場合、y座標に対して多段階に閾値を設定し、段階的にぼかし強度が高まるように補正係数を定めてもよい。
色合成強度設定部22は、最終的なぼかし強度にしたがって色合成強度を設定し、着色領域内の画素の色を地色または指定色に設定する。
【0042】
人物に対する照射光は、多くの場合、人物の上方から照射される。このため、人物のポートレート等の画像では、人物の頭の上方が下方よりも光が当たっているように表現すると自然な印象を与えることができる。上記処理は、このような点に考慮してなされたものであり、画像12において髪の上方から光が当たっている自然な印象の画像を形成することができる。
【0043】
また、本実施形態の着色部20は、顔画像から相対的に遠いと判定された着色領域における指定色の色合成強度を、顔画像に相対的に近いと判定された着色領域の指定色の色合成強度よりも小さくするようにしてもよい。
このような処理は、例えば、図7に示すように、フレーム121の中心を原点o2に定め、着色領域における所定の点(例えば中心点)のx座標を求めることによって実現できる。このような場合、着色領域は、x座標の値の絶対値が大きいほど顔画像に対して遠い位置にあることになり、着色領域a4は着色領域a3よりも顔画像に近いことが分かる。このような場合、本実施形態では、x座標の絶対値が大きいほどぼかし強度が高まるように補正係数を設定し、ライン幅に応じて決定したぼかし強度を補正した後に合成強度を設定する。
【0044】
人物に対する照射光は、多くの場合、人物に対して外部から照射される。このため、人物のポートレート等の画像では、人物の外側が内側よりも光が当たっているように表現すると自然な印象を与えることができる。上記処理は、このような点に考慮してなされたものであり、画像12において髪に対して外部から光が当たっている自然な印象の画像を形成することができる。
【0045】
さらに、本実施形態は、着色部20が、指定色の色相に応じて指定色の色合成強度を決定するようにしてもよい。このような処理は、染毛していない人間の毛髪の色としてあり得ない緑色等の色相の色を指定色とすると、赤や青といった茶色や黒色に近い色相の指定色よりも印象が強くなるという人の目の特性を考慮して行うものである。つまり、緑色と赤色とは着色領域のライン幅が等しくてぼかし強度が同じであっても、合成強度を等しくすると緑色の印象が強くなる。本実施形態は、指定色の色相に応じて合成強度を調整することにより、指定色の色相によらず好適な仕上がり状態の画像を生成することができる。
【実施例
【0046】
次に、以上説明した実施形態の実施例について説明する。本実施例は、ライン状の着色領域の幅に応じた適正なぼかし強度を官能実験により決定したものである。官能実験は、人物の画像の髪のライン状の着色領域に指定色を着色し、観測者が適正であると感じたライン幅とぼかし強度の組み合わせを回答することによって行った。
図7は、このような官能実験の結果を示すグラフであって、縦軸はぼかし強度を示し、横軸はライン幅を示している。図7に示した例では、5ピクセルから100ピクセルまでの幅を有するラインのそれぞれに、ぼかし強度を0%から82%まで変化させて着色を行っている。
【0047】
図7から明らかなように、観測者が適正であると感じるぼかし強度は、ライン幅が広くなるにしたがって高くなり、変化率が鈍化する。このような結果は、広い範囲を一定の濃度で着色すると、下地の髪色や毛束が視認し難くなって頭髪が不自然に見えるために生じるものと考える。また、このような結果は、同一の色であっても着色面積が大きい領域は、着色面積が小さい領域よりも強い印象を観測者に与えることによるものであると考えられる。
【符号の説明】
【0048】
1・・・髪色処理装置
3・・・タッチペン
10・・・受付部
12・・・画像
13・・・髪色選択パネル
14・・・着色選択パネル
15・・・操作パネル
20・・・着色部
21・・・ぼかし強度選択部
22・・・色合成強度設定部
23・・・毛束抽出部
24・・・画像加工部
30・・・ディスプレイ画面
121・・・フレーム
121a、121b・・・水平線
121c、121d・・・垂直線
131、141・・・選択ボタン
141・・・選択ボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8