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特許7482625画像処理装置、画像処理装置の制御方法、及びプログラム
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  • 特許-画像処理装置、画像処理装置の制御方法、及びプログラム 図1
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  • 特許-画像処理装置、画像処理装置の制御方法、及びプログラム 図14
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
H04N1/04 106A
H04N1/12 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019231989
(22)【出願日】2019-12-23
(65)【公開番号】P2021100220
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 康弘
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-161594(JP,A)
【文献】特開2010-141509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04- 1/207
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置であって、
主走査方向の幅が異なる複数の原稿を読み取る第1読取モード及び主走査方向の幅は均一であるがサイズが異なる複数の原稿を読み取る第2読取モードのうちの1つを前記画像処理装置に設定する設定手段と、
原稿を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送された前記原稿を読取サイズで読み取って、読取画像を生成する読取手段と、
前記読取画像の傾きを補正する補正処理を行う補正手段と、
記読取画像に基づいて検出された前記原稿の検出サイズが前記読取サイズより小さい場合に、前記原稿の画像を前記読取画像から切り出す切出処理を実行する切出手段を有し、
前記切出手段は、
前記第1読取モードが設定されている場合には、前記補正手段によって前記補正処理が行われた前記読取画像について前記切出処理を実行し、
前記第2読取モードが設定されている場合には、前記補正手段によって前記補正処理が行われていない前記読取画像について前記切出処理を実行することを特徴とする、
画像処理装置。
【請求項2】
前記切出手段は、前記検出サイズ及び前記原稿の画像の位置に基づいて、前記切出処理を実行することを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理装置は、前記読取画像内の前記原稿のエッジを検出するエッジ検出手段、をさらに有し、
前記検出サイズは、前記エッジ検出手段によって検出された前記エッジに基づいて検出されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理装置は、
前記読取手段及び前記切出手段を備えるスキャナと、
記スキャナの前記切出手段に前記切出処理を実行させる制御手段と、
をさらに有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記スキャナは、前記切出処理によって切り出された前記画像のみを前記制御手段に出力することを特徴とする、請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理装置は、前記検出サイズに適合するサイズのシートへの、前記切出処理により切り出された前記画像に基づく印刷を実行する印刷手段、をさらに有することを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像処理装置の制御方法であって、
主走査方向の幅が異なる複数の原稿を読み取る第1読取モード及び主走査方向の幅は均一であるがサイズが異なる複数の原稿を読み取る第2読取モードのうちの1つを前記画像処理装置に設定することと、
原稿を搬送することと、
読取手段に、搬送された前記原稿を読取サイズで読み取って読取画像を生成させることと、
生成された前記読取画像に基づいて検出された前記原稿の検出サイズが前記読取サイズより小さい場合に、前記原稿の画像を前記読取画像から切り出す切出処理を実行することと、
を含
前記第1読取モードが設定されている場合には、前記切出処理は、前記読取画像の傾きを補正する補正処理が行われた前記読取画像について実行され、
前記第2読取モードが設定されている場合には、前記切出処理は、前記補正処理が行われていない前記読取画像について実行されることを特徴とする、
制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の制御方法を画像処理装置のプロセッサに行わせるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、画像処理装置、画像処理装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナにより原稿を読取る際に原稿が傾いていると、読取画像データにおいて原稿部分の画像が傾く結果となる。原稿の傾きの原因は、例えば、ADF(Automatic Document Feeder)にセットされた原稿の幅に原稿ガイドの幅が適切に合わせられていないこと、又は原稿搬送中の原稿の意図しない動きなどであり得る。
【0003】
特許文献1は、読取画像データにおける原稿部分の傾きを、画像の回転によって補正する技術を開示している。特許文献1により開示された読取装置は、搬送方向と直交する方向に等間隔で並べられた複数のセンサで観測される原稿の到達時点のズレから原稿の傾きを検出し、検出した傾きが軽減されるように読取画像を回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-163168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、原稿の読取りの品質は、原稿の傾きのみならず原稿の位置の偏りによっても低下する。例えば、原稿の幅と比較して原稿ガイドの幅が広すぎる場合、原稿の一部分が定型原稿サイズに合わせた読取範囲から外れ、又は原稿の無い空白部分が読取範囲に入る可能性がある。読取範囲から外れた部分は、読取画像データにおいて欠落する。空白部分の読取りは、読取画像データに無用な余白を生じさせる。特許文献1により開示された読取装置は、定型原稿サイズで原稿を読み取った後に傾き補正のための回転処理を行うため、原稿の位置の偏りに起因する読取品質の低下を十分に解消することができない。
【0006】
そこで、本開示は、読取画像からの画像の切出しを行う際に傾き補正が行われた読取画像から原稿の画像を切り出すか又は傾き補正が行われていない読取画像から原稿の画像を切り出すかを読取りモードの設定に応じて切替えることのできる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある観点によれば、画像処理装置であって、主走査方向の幅が異なる複数の原稿を読み取る第1読取モード及び主走査方向の幅は均一であるがサイズが異なる複数の原稿を読み取る第2読取モードのうちの1つを前記画像処理装置に設定する設定手段と、原稿を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送された前記原稿を読取サイズで読み取って、読取画像を生成する読取手段と、前記読取画像の傾きを補正する補正処理を行う補正手段と、前記読取画像に基づいて検出された前記原稿の検出サイズが前記読取サイズより小さい場合に、前記原稿の画像を前記読取画像から切り出す切出処理を実行する切出手段を有し、前記切出手段は、前記第1読取モードが設定されている場合には、前記補正手段によって前記補正処理が行われた前記読取画像について前記切出処理を実行し、前記第2読取モードが設定されている場合には、前記補正手段によって前記補正処理が行われていない前記読取画像について前記切出処理を実行することを特徴とする、画像処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、読取画像からの画像の切出しを行う際に傾き補正が行われた読取画像から原稿の画像を切り出すか又は傾き補正が行われていない読取画像から原稿の画像を切り出すかを読取りモードの設定に応じて切替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る複合機の構成の一例を示すブロック図。
図2図1に示した複合機のスキャナの物理的な構造の一例を示す模式図。
図3A】原稿の傾き及び位置の偏りについて説明するための第1の説明図。
図3B】原稿の傾き及び位置の偏りについて説明するための第2の説明図。
図4】一実施形態に係るスキャナの機能面の構成の一例を示すブロック図。
図5図4に示した傾き補正部の詳細な構成の一例を示すブロック図。
図6】読取画像からの原稿部分画像の切出しについて説明するための説明図。
図7】一実施形態に係る原稿切出処理の流れの一例を示すフローチャート。
図8】複合機の画面に表示され得るメインメニューの一例を示す説明図。
図9】複合機の画面に表示され得る機能設定用のGUIの一例を示す説明図。
図10】複合機の画面に表示され得る詳細設定用のGUIの一例を示す説明図。
図11】複合機の画面に表示され得る読取モード設定用のGUIの一例を示す説明図。
図12】3種類の読取モードについて説明するための説明図。
図13】用紙の補給を促すメッセージの一例を示す説明図。
図14】一応用例に係る処理の流れの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<<1.装置の概要>>
本節では、本開示に係る技術が複合機(Multi-Function Peripheral(MFP))に適用される例を主に説明する。しかしながら、本開示に係る技術は、概して、複合機に限定されない画像処理装置(例えば、デジタルスキャナ及びコピー機)へ広く適用可能である。また、特に説明の無い限り、以下に説明する装置、デバイス、モジュール及びチップといった構成要素の各々は、単一のエンティティで構成されてもよく、又は物理的に異なる複数のエンティティから構成されてもよい。
【0012】
図1は、一実施形態に係る複合機100の構成の一例を示すブロック図である。図1を参照すると、複合機100は、コントローラ101、スキャナ120、操作部130及びプリンタ140を備える。コントローラ101は、CPU102、RAM103、ROM104、記憶部105、画像処理部106、NW I/F107、バス110、スキャナI/F112、操作I/F113及びプリンタI/F114を含む。
【0013】
CPU(Central Processing Unit)102は、複合機100の機能の全般を制御するプロセッサである。RAM(Random Access Memory)103は、主記憶デバイスであり、CPU102のための一時的な記憶領域を提供する。ROM(Read-Only Memory)104は、複合機100のシステムのブートプログラムを記憶する不揮発性のメモリである。記憶部105は、例えばHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)といった二次記憶デバイスである。記憶部105は、複合機100の様々な機能のためのプログラム(ソフトウェアともいう)、並びに画像データ、ステータスデータ及び設定データといった様々なデータを記憶する。記憶部105により記憶されるプログラムは、RAM103へロードされてCPU102により実行される。画像処理部106は、画像処理に専用のプロセッサであり、スキャナ120により生成される読取画像データ及びプリンタ140により印刷されるべき印刷用画像データについて、符号化、復号及びフォーマット変換といった様々な画像処理を行う。NW I/F(Network Interface)107は、複合機100と他の装置との間のネットワーク(例えば、LAN(Local Area Network))を介する通信のためのインタフェースである。バス110は、CPU102、RAM103、ROM104、記憶部105、画像処理部106、NW I/F107、スキャナI/F112、操作I/F113及びプリンタI/F114を相互に接続する信号線である。スキャナI/F112は、コントローラ101をスキャナ120へ接続するためのインタフェースである。操作I/F113は、コントローラ101を操作部130へ接続するためのインタフェースである。プリンタI/F114は、コントローラ101をプリンタ140へ接続するためのインタフェースである。
【0014】
スキャナ120は、原稿の読取画像データを生成する読取手段である。スキャナ120は、例えば、後述する操作部130を介して読取ジョブが指示された場合に、ADF(図2に示す)又は原稿台(図示せず)にセットされた原稿を読取って、読取画像データを生成する。読取画像データは、RAM103へ書込まれた後、ジョブの種類に依存して、記憶部105により記憶され又はNW I/F107を介して外部の装置へ送信される。
【0015】
操作部130は、複合機100の操作のためのユーザインタフェースを提供する操作手段である。操作部130は、例えば、画像及び情報を表示するディスプレイと、ユーザによる操作を受付ける入力デバイス(例えば、タッチセンサ、ボタン、スイッチ及びキーパッドのうちの1つ以上)とを含む。操作部130は、例えば、CPU102により生成されるGUI(Graphical User Interface)画像をディスプレイの画面上に表示させる。また、操作部130は、入力デバイスにより受付けた操作の内容を示す操作信号をCPU102へ出力する。
【0016】
プリンタ140は、印刷用画像データに基づいて用紙に画像を形成する画像形成手段である。プリンタ140は、例えば、NW I/F107を介して外部の装置から印刷ジョブが受信された場合に、印刷ジョブにより示される設定に従って画像を用紙に印刷する。また、プリンタ140は、操作部130を介してコピージョブが指示された場合に、スキャナ120により生成される原稿の読取画像データに基づいて、原稿の画像を用紙に印刷する。
【0017】
図2は、図1に示した複合機100のスキャナ120の物理的な構造の一例を、特にADFに焦点を当てて示す模式図である。ADFを使用して原稿が読取られる場合、原稿は、原稿トレイ200へ載置される。原稿トレイ200は、一対の原稿ガイド201、載置センサ202及びサイズ検知センサ203を有する。原稿ガイド201は、原稿の搬送方向を上とした場合に原稿の左右にあたる位置にそれぞれ設けられ、搬送される原稿の動きを制限する。載置センサ202は、原稿トレイ200に原稿が載置されているか否かを検知する。サイズ検知センサ203は、原稿トレイ200に載置された原稿のサイズを簡易的に検知する。原稿トレイ200の(搬送方向における)前方上側には、ピックアップローラ204が設けられる。ピックアップローラ204は、原稿トレイ200に載置された原稿を1枚ずつ搬送路へ送出する。搬送路の途中には、通過センサ205及び搬送ローラ206が設けられる。通過センサ205は、原稿が通過したか否か及び通過のタイミングを検知する。搬送ローラ206は、搬送路に沿って原稿を搬送する。搬送路の末端には、排紙ローラ209が設けられる。排紙ローラ209は、搬送路に沿って搬送されて来る原稿を排紙トレイ210へ排出する。排紙トレイ210は、排紙センサ212を有し、排紙センサ212は、排紙トレイ210に原稿が排紙されたことを検知する。図には示していないものの、ピックアップローラ204、搬送ローラ206及び排紙ローラ209は、例えばステッピングモータにより駆動され得る。
【0018】
搬送路の底面には、光を透過させる読取窓207が設けられ、読取窓207の下にイメージセンサ208を含むセンサユニット211が配置される。イメージセンサ208は、例えば、CIS(Contact Image Sensor)又はCCD(Charge Coupled Device)であってよい。読取窓207は、搬送方向に直交する副走査方向(原稿の幅の方向)に一定の幅を有する。イメージセンサ208は、センサユニット211内で、搬送方向と同一の主走査方向、及び副走査方向に移動可能である。イメージセンサ208は、読取窓207の上を通過する原稿を光学的に読取り、光電変換を通じて、原稿を写した読取画像の画像信号を生成する。イメージセンサ208により生成された読取画像信号は、後述するスキャナ120の画像処理機能によってさらに処理される。
【0019】
ここで、原稿の読取りの際に原稿が傾いていると、読取画像において原稿部分が傾く結果となる。原稿の傾きの原因は、図2に示したようなADFにセットされた原稿の幅に原稿ガイド201の幅が適切に合わせられていないこと、又は原稿搬送中の原稿の意図しない動きなどであり得る。加えて、原稿の読取りの品質は、原稿の傾きのみならず原稿の位置の偏りによっても低下する。
【0020】
図3Aは、原稿の傾き及び位置の偏りについて説明するための第1の説明図である。図3Aでは、1枚のシート11がADFの原稿トレイ200にセットされるものとする。シート11は、幅W及び高さHを有する。図3Aの下段には、セットされたシート11と第1原稿ガイド201a及び第2原稿ガイド201bとの間の3通りの位置関係が、原稿トレイ200を上から見た形で例示されている。図中の1点鎖線は、搬送路の中央を搬送方向に伸びる線である。(A-1)の例では、2つの原稿ガイド201a、201bの間の幅Gは、シート11の幅Wに一致する。この場合、読取画像データにおいて原稿部分の傾き及び位置の偏りが生じる可能性は低い(但し、ゼロではない)。(A-2)及び(A-3)の例では、2つの原稿ガイド201a、201bの間の幅Gは、シート11の幅Wよりも大きい。この場合、読取画像データにおいて原稿部分の傾き及び位置の偏りが生じる可能性が高い。(A-2)の例では、シート11の位置が中央線に対してdだけ偏っている。(A-3)の例では、シート11が中央線に対して角度rだけ傾いている。
【0021】
図3Bは、原稿の傾き及び位置の偏りについて説明するための第2の説明図である。図3Bでは、サイズの異なる2枚のシート11、12がADFの原稿トレイ200にセットされるものとする。シート12は、幅W及び高さHを有する。図3の下段には、セットされたシート11、12と第1原稿ガイド201a及び第2原稿ガイド201bとの間の3通りの位置関係が、原稿トレイ200を上から見た形で例示されている。3通りのいずれの例においても、2つの原稿ガイド201a、201bの間の幅Gは、大きい方のシート11の幅Wに一致する。サイズの異なる複数のシートを原稿として一度に読取ろうとする場合、原稿ガイドの幅を最も大きいシートの幅に合わせる必要があるため、より小さいシートの動きを制限することが困難となる。(B-1)の例では、シート12は中央線に沿って適切にセットされているが、搬送の途中でシート12が傾き又は中央線から外れる可能性がある。(B-2)の例では、シート12の位置は中央線に対してdだけ偏っている。(B-3)の例では、シート12は中央線に対して角度rだけ傾いている。
【0022】
図3A及び図3Bに示した例のように原稿の幅と比較して原稿ガイドの幅が広すぎる場合、イメージセンサ208による読取りを定型原稿サイズに合わせて行うと、原稿の一部分が読取範囲から外れ、又は空白部分が読取範囲に入る可能性がある。読取範囲から外れた部分は、読取画像データにおいて欠落する。空白部分の読取りは、読取画像データに無用な余白を生じさせる。定型原稿サイズで原稿を読み取った後に傾きを補正する既存の手法は、こうした読取品質の低下を十分に解消することができない。そこで、本実施形態に係る複合機100は、原稿の傾き及び位置の偏りに起因する読取品質の低下を、次節以降で説明する手法で可能な限り解消する。
【0023】
<<2.機能面の構成>>
<2-1.全体的な構成>
図4は、本実施形態に係るスキャナ120の機能面の構成の一例を示すブロック図である。図4を参照すると、スキャナ120は、読取部401、AD変換部403、画像処理部405、傾き補正部407及び切出部409を含む。
【0024】
読取部401は、図2に示したイメージセンサ208を用いて実現される機能部であり、原稿を読取って、アナログ形式の読取画像信号を生成する。読取部401は、生成した読取画像信号をAD変換部403へ出力する。AD(Analogue to Digital)変換部403は、アナログ形式の読取画像信号をデジタル形式の読取画像データへ変換する。AD変換部403は、読取画像データを画像処理部405へ出力する。画像処理部405は、読取画像データに、シェーディング補正、MTF(Modulation Transfer Function)補正及び高周波抑制といった画像処理を適用する。画像処理部405は、画像処理の適用後の読取画像データを傾き補正部407へ出力する。傾き補正部407は、読取画像データにおける原稿部分の傾きを、画像回転処理を行うことにより補正する。また、傾き補正部407は、読取画像データにおける原稿部分の位置及びサイズを判定して、その判定結果をコントローラ101へ出力する。傾き補正部407のより詳細な構成の一例について、後にさらに説明する。傾き補正部407は、傾き補正後の読取画像データを切出部409へ出力する。切出部409は、コントローラ101から原稿部分の部分画像(原稿部分画像)の切出しが指示された場合に、傾き補正部407により判定される原稿部分の位置及びサイズに従って、傾きを補正された読取画像データから原稿部分画像を切出す。そして、切出部409は、切出した原稿部分画像を示す部分画像データをコントローラ101へ出力する。
【0025】
<2-2.傾き補正部の詳細>
図5は、図4に示した傾き補正部407の詳細な構成の一例を示すブロック図である。図5を参照すると、傾き補正部407は、エッジ検出部501、傾き判定部503、領域判定部505及び補正部507を含む。
【0026】
エッジ検出部501は、画像処理部405から入力される読取画像データにおける原稿部分のエッジを検出する。エッジ検出部501は、例えば、プレウィット(Prewitt)フィルタ又はソーベル(Sobel)フィルタといった任意の公知のエッジ検出技術を用いて、読取画像データ内のエッジを検出し得る。エッジ検出部501は、エッジ検出結果を傾き判定部503へ出力する。傾き判定部503は、エッジ検出部501により検出されたエッジの傾きに基づいて、読取画像データにおける原稿部分の傾きを判定する。傾き判定部503は、例えば、エッジ検出部501から入力されるエッジ検出結果にハフ変換を適用して、原稿部分の輪郭を認識する。そして、傾き判定部503は、認識した原稿部分の輪郭が読取画像データにおける縦軸又は横軸に対してなす角度を、読取画像データにおける原稿部分の傾きとして判定する。傾き判定部503は、判定した原稿部分の傾きを補正部507へ出力する。また、傾き判定部503は、原稿部分の輪郭の認識結果を領域判定部505へ出力する。領域判定部505は、エッジ検出結果に基づいて認識された原稿部分の輪郭から、読取画像データにおける原稿部分の位置(例えば、読取画像の原点からのオフセット)及びサイズを判定する。そして、領域判定部505は、判定した原稿部分の位置及びサイズを含む領域情報を、読取画像データと共に補正部507へ出力する。補正部507は、傾き判定部503により判定された原稿部分の傾きを、読取画像データの回転処理を行うことにより補正する。補正部507は、例えば、原稿部分の傾きがrに等しいと判定された場合、読取画像の全体を回転角-rだけ回転させるような回転処理を行う。また、補正部507は、領域判定部505により判定された原稿部分の位置に対応する、回転後の読取画像データにおける位置を導出する。導出される回転後の位置は、回転後の読取画像データにおける原稿部分の切出しの基準位置となる。そして、補正部507は、回転後の読取画像データを切出部409へ出力する。また、補正部507は、回転後の原稿部分の位置及びサイズを含む領域情報をコントローラ101へ出力する。
【0027】
上述したように、コントローラ101(例えば、CPU102)は、スキャナ120による読取画像の生成を制御する制御手段である。コントローラ101は、例えば、傾き補正部407により判定された原稿部分のサイズに従って、複数のサイズ候補から画像切出サイズを選択する。ここでのサイズ候補は、例えば、A3、A4、B4、B5及びレターサイズのうちのいずれかと縦向き又は横向きとの任意の組合せであり得る。画像切出サイズは、例えば、領域判定部505により判定された原稿部分のサイズよりも大きいサイズ候補のうちの最も小さいサイズであってよい。その代わりに、コントローラ101は、領域判定部505により判定された原稿部分のサイズをそのまま画像切出サイズとして選択してもよい。コントローラ101は、選択した画像切出サイズが元の読取画像のサイズと異なる場合、切出の基準位置及び選択した画像切出サイズを示す切出指示を切出部409へ出力する。切出部409は、このようなコントローラ101からの切出指示に従って、傾き補正後の読取画像データから原稿部分画像を切出す。
【0028】
図6は、上述した読取画像からの原稿部分画像の切出しについて説明するための説明図である。図6(A)に示した読取画像601は、A3縦に相当する読取範囲でシート13を読取ることにより生成された画像である。但し、シート13は、上記読取範囲よりも小さく、読取画像601内でシート13が実際に写っている原稿部分602は、反時計回りに角度rだけ傾いている。そこで、補正部507は、図6(B)に示したように、時計回りに角度rだけ画像を回転させて、回転後の読取画像611を生成する。回転後の読取画像611において、原稿部分602のサイズは、幅W及び高さHである(回転によって原稿部分のサイズは変化しない)。原稿部分602の位置は、例えば読取画像の左上角を原点とする位置座標Pにより表される。切出部409は、回転後の読取画像611から、位置座標Pを基準として幅W及び高さHの原稿部分を含む原稿部分画像622を、コントローラ101から指示された画像切出サイズで切出す。
【0029】
一実施例において、スキャナ120は、上述したように傾き補正部407及び切出部409を含む。この場合、スキャナ120は、切出部409により切出された原稿部分の部分画像データのみを、例えばRAM103に書込むことによりコントローラ101へ出力し得る。こうした実施例によれば、スキャナ120からコントローラ101へ(切出後の)読取画像データを受渡すために要するメモリ量を節約することができる。
【0030】
他の実施例において、スキャナ120は、傾き補正部407を含み、コントローラ101が切出部409を含む。この場合、傾き補正部407は、傾きを補正された読取画像データをRAM103に書込む。コントローラ101の切出部409は、RAM103に書込まれた読取画像データのうちの原稿部分に対応するデータを読出すことにより、原稿部分の部分画像を切出す。こうした実施例によれば、メモリからの部分的な読出しという簡易な手法で、原稿部分画像の切出しを実現することができる。この実施例において、スキャナ120は、読取画像データ内の原稿部分を所定の基準でオフセットした上で、RAM103にデータを書込んでもよい。所定の基準とは、例えば、センタリング又は左上寄せであり得る。こうした手法によれば、切出部409による原稿部分画像の切出しを、RAM103の一定のメモリ位置から画像切出サイズに応じた範囲のデータを読出す簡易な処理によって実現することが可能となる。
【0031】
なお、本実施形態は、上述した実施例には限定されない。例えば、傾き補正部407及び切出部409の双方が、コントローラ101に含まれてもよい。この場合、スキャナ120は、傾き補正前の読取画像データをRAM103を介してコントローラ101へ受渡し得る。
【0032】
<<3.処理の流れ>>
図7は、本実施形態に係る原稿切出処理の流れの一例を示すフローチャートである。図7に示した処理は、RAM103へロードされるコンピュータプログラムを実行するCPU102による制御の下で、スキャナ120及びコントローラ101により行われ得る。なお、以下の説明では、処理ステップをS(ステップ)と略記する。
【0033】
まず、S701で、スキャナ120は、読取部401を用いて原稿を読取り、AD変換部403及び画像処理部405を用いて読取画像信号から読取画像データを生成する。次いで、S703で、傾き補正部407のエッジ検出部501は、画像処理部405から入力される読取画像データにおける原稿部分のエッジを検出する。次いで、S705で、傾き判定部503は、エッジ検出部501により検出されたエッジの傾きに基づいて、読取画像データにおける原稿部分の傾きを判定する。次いで、S707で、領域判定部505は、エッジ検出結果に基づいて、読取画像データにおける原稿部分の位置及びサイズを判定する。次いで、S709で、補正部507は、傾き判定部503により判定された原稿部分の傾きを、読取画像データの回転処理を行うことにより補正する。次いで、S711で、領域判定部505により判定された原稿部分のサイズに従って、例えばコントローラ101により画像切出サイズが選択される。次いで、S713で、コントローラ101は、原稿部分画像の切出しを行うか否かを判定する。例えば、コントローラ101は、S711で選択した画像切出サイズがもとの読取画像のサイズよりも小さい場合に、原稿部分画像の切出しを行うと判定し得る。なお、コントローラ101は、後に説明する混合サイズモードのように、原稿部分画像の切出しを行うための読取モードがユーザにより設定されている場合にのみ、原稿部分画像の切出しを行うと判定してもよい。原稿部分画像の切出しを行うと判定された場合、切出部409は、コントローラ101から指示された位置及びサイズで、傾きを補正された読取画像データから原稿部分画像を切出す。
【0034】
<<4.応用例>>
<4-1.様々な動作モード>
複合機100は、様々な動作モードで動作することが可能であり、それら動作モードのうちのいくつかで、上述した原稿部分画像の切出しを行う。応用例として、図8は、複数の動作モードのうちの1つをユーザが選択可能な、複合機100の操作部130の画面に表示され得るメインメニューの一例を示している。図8に示したメインメニュー800は、5個のボタン810、820、830、840及び850を有する。ボタン810は、コピーのための第1の動作モードを選択するためのボタンである。第1の動作モードが選択されると、スキャナ120により生成される読取画像データに基づいて、プリンタ140により原稿の画像が用紙へ形成(即ち、原稿がコピー)される。ボタン820は、スキャン及び保存(ボックススキャンともいう)のための第2の動作モードを選択するためのボタンである。第2の動作モードが選択されると、スキャナ120により生成される読取画像データが、記憶部105内に保存される。ボタン830は、スキャン及び送信のための第3の動作モードを選択するためのボタンである。第3の動作モードが選択されると、スキャナ120により生成される読取画像データが、指定される宛先へNW I/F107を介して送信される。ボタン840は、保存済みのデータを送信し又は印刷するための第4の動作モードを選択するためのボタンである。第4の動作モードが選択されると、例えば記憶部105内に保存済みの読取画像データが指定される宛先へ送信され又は印刷される。ボタン850は、ファクシミリ送信のための第5の動作モードを選択するためのボタンである。第5の動作モードが選択されると、スキャナ120により生成される読取画像データが、指定されるファクシミリ端末へファクシミリ回線を通じて送信される。第4の動作モードを除くこれら動作モードにおいて、原稿の読取りの際に上述した原稿部分画像の切出しが行われてよい。
【0035】
図9は、複合機100の画面に表示され得る機能設定用のGUIの一例を示す説明図である。ここでは、図8に示したメインメニュー800のボタン810が操作された場合に表示され得る、設定ウィンドウ900が一例として示されている。設定ウィンドウ900は、コピーの倍率、用紙及び濃度といった基本的な設定値を指定するための操作オブジェクトに加えて、詳細設定ボタン910を含む。詳細設定ボタン910が操作されると、図10に示したような詳細設定ウィンドウ1000が画面に表示され得る。詳細設定ウィンドウ1000は、設定ボタン1010を含む複数の設定ボタンと、閉じるボタン1020とを有する。図10の例では、設定ボタン1010の色は反転しており、これは原稿部分画像の切出しを有効化する読取モードが選択されていることを意味する。設定ボタン1010が操作されると、図11に示したようなモード設定ウィンドウ1100が画面に表示され得る。モード設定ウィンドウ1100は、2つのモード設定ボタン1110及び1120を有する。モード設定ボタン1110は、複数の読取モードのうちの1つである等幅モードに関連付けられる。モード設定ボタン1120は、複数の読取モードのうちの他の1つである異幅モードに関連付けられる。
【0036】
一例として、複合機100のスキャナ120は、等サイズモード、等幅モード及び異幅モードという3種類の読取モードをサポートし得る。図12は、これら3種類の読取モードについて説明するための説明図である。図12(A)~(C)は、3種類の読取モードにおいてスキャナ120の原稿トレイ200に載置される原稿の様子をそれぞれ示している。図12(A)のケースでは、原稿トレイ200上の原稿は、サイズの均一な複数のシートからなる。幅Wは全てのシートに共通であり、ユーザは、ガイド幅を幅Wに合わせて原稿の読取りを開始することで、原稿の傾き及び位置の偏りをある程度未然に防止することができる。この場合、ユーザは、等サイズモードを選択し得る。コントローラ101は、等サイズモードが選択された場合、原稿部分画像の切出しを無効化し得る。原稿部分画像の切出しが無効化されると、読取画像データの内容に関わらず、切出部409は、原稿部分画像の切出しを行わない。それにより、一部のシートの読取画像がユーザの意図に反して小さくなってしまうリスクを回避することができる。
【0037】
図12(B)のケースでは、原稿トレイ200上の原稿は、幅が均一であるものの高さ(搬送方向の長さ)の異なる複数のシートからなる。幅Wは全てのシートに共通であり、ユーザは、ガイド幅を幅Wに合わせて原稿の読取りを開始することで、原稿の傾きをある程度未然に防止することができる。この場合、ユーザは、等幅モードを選択し得る。コントローラ101は、等幅モードが選択された場合、原稿部分画像の切出しを有効化し得る。原稿部分画像の切出しが有効化されると、切出部409は、上述したように、読取画像データから判定される原稿部分のサイズに従って、読取画像データから原稿部分画像を切出す。等サイズモード及び等幅モードにおいては、傾きの補正が無効化されてもよい。
【0038】
図12(C)のケースでは、原稿トレイ200上の原稿は、少なくとも幅の異なる複数のシートからなる。例えば、あるシートの幅はWに等しく、他のシートの幅はWよりも小さいWに等しい。ユーザがガイド幅を幅Wに合わせて原稿の読取りを開始すると、幅Wを有するシートに傾き又は位置の偏りが生じる可能性が高い。この場合、ユーザは、異幅モードを選択し得る。コントローラ101は、異幅モードが選択された場合、傾きの補正及び原稿部分画像の切出しを共に有効化し得る。それにより、シートに傾き及び位置の偏りの一方又は双方が生じたとしても、原稿内の各シートのサイズに適合する欠落の無い読取画像のセットをユーザに提供することができる。
【0039】
図11に戻ると、ユーザによりモード設定ボタン1110が操作された場合、コントローラ101は、等幅モードを選択する(又は等幅モードの選択を解除する)。モード設定ボタン1120が操作された場合、コントローラ101は、異幅モードを選択する(又は異幅モードの選択を解除する)。等幅モード及び異幅モードの選択は択一的である(一方が選択されると他方の選択は解除される)。等幅モード及び異幅モードの選択が共に解除された場合、コントローラ101は、等サイズモードを選択し得る。なお、モード設定ウィンドウ1100は、等サイズモードに関連付けられる別個のボタンを有していてもよい。以下の説明では、等幅モード及び異幅モードを包括的に混合サイズモードともいう。混合サイズモードが選択された場合、図10に示した例のように、詳細設定ウィンドウ1000において設定ボタン1010の色が反転する。
【0040】
コントローラ101は、コピー動作のために混合サイズモードが選択された場合、切出部409により切出された原稿部分画像の印刷をプリンタ140に指示する。プリンタ140は、コントローラ101からの印刷指示に従って、原稿部分画像のサイズに適合する用紙サイズの用紙に原稿部分画像を形成する。原稿部分画像のサイズに適合する用紙サイズの用紙がプリンタ140のカセット(給紙トレイ)に存在しない場合、コントローラ101は、用紙の補給を促すメッセージを操作部130の画面に表示させ得る。図13は、そうしたメッセージの一例を示している。図13に示したメッセージウィンドウ1300は、現時点で個々のカセットに収容されている用紙のサイズ及びタイプをカセットごとに示すと共に、原稿部分画像に適合するA4横の用紙が無い旨のメッセージを含む。こうしたメッセージを確認したユーザが指定されたサイズ(例えば、A4横)の用紙をいずれかのカセットに補給することで、原稿部分画像の印刷が開始され得る。
【0041】
<4-2.処理の流れ>
図14は、本実施形態の一応用例に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。図14に示した処理は、RAM103へロードされるコンピュータプログラムを実行するCPU102による制御の下で、スキャナ120及びコントローラ101により行われ得る。
【0042】
まず、S1401で、コントローラ101は、図8に示したようなメインメニュー800を通じて、ユーザによる動作モード(例えば、コピー又はボックススキャンなど)の選択を受付ける。ここでは、原稿の読取りに関与する動作モードが選択されるものとする。次いで、S1403で、コントローラ101は、図9に示したような設定ウィンドウ900を通じて、S1401で選択された動作モードのための基本的な設定を受付ける。次いで、S1405で、コントローラ101は、図10に示したような詳細設定ウィンドウ1000を通じて、読取モードの設定を含む詳細設定を受付ける。例えば、図12を用いて説明した等サイズモード、又は等幅モード若しくは異幅モードの一方に相当する混合サイズモードが、読取モードとしてここで選択される。次いで、コントローラ101は、選択された読取モードでの動作を開始し、S1407で、スキャナ120に原稿の読取りを行わせる。スキャナ120は、原稿のうちの1シートを読取って、読取画像データを生成する。また、コントローラ101は、S1409で、読取モードとして混合サイズモードが選択されているかを判定し、混合サイズモードが選択されている場合には、S1411で原稿切出処理を実行する。原稿切出処理の流れは、図7を用いて上で説明した通りである(但し、S1407と重複するS701は省略される)。
【0043】
その後の処理は、S1413で、動作モードとしてコピーモードが選択されているか否かに依存して分岐する。コピーモードが選択されている場合、処理はS1415へ進む。それ以外の動作モードが選択されている場合、処理はS1425へ進む。コピーモードが選択されている場合、S1415で、コントローラ101は、印刷すべき画像(例えば、原稿部分画像)のサイズに適合する印刷用の用紙サイズを選択する。次いで、コントローラ101は、選択したサイズの用紙がいずれかのカセット内に存在するか否かを判定する。選択したサイズの用紙がいずれのカセット内にも存在しない場合、コントローラ101は、S1419で、例えば図13に示したようなメッセージウィンドウ1300を画面に表示させることにより、用紙不足をユーザへ通知する。この場合、コントローラ101は、S1421で、ユーザによる用紙の補給を待受ける。ユーザにより適切な用紙が補給されると、処理はS1417へ戻る。適切な用紙がいずれかのカセット内に存在する場合、S1423で、コントローラ101は、シートの画像の印刷をプリンタ140へ指示する。プリンタ140は、コントローラ101からの指示に従って、選択された用紙サイズの用紙に画像を形成する。混合サイズモードでは、ここで形成される画像は原稿部分画像であり得る。次いで、コントローラ101は、S1425で、原稿の全てのシートについての読取りが終了したか否かを判定する。未だ読取られていないシートが残っている場合、処理はS1407へ戻り、次のシートについてS1407~S1425が繰返される。全てのシートについての読取りが終了した場合、図14の処理は終了する。
【0044】
なお、図14には示していないものの、図8に関連して説明したスキャンして保存、スキャンして送信又はファクシミリ送信といった動作モードが選択されている場合、各動作モードに対応するデータ送信又はデータ保存といった処理が追加的に行われ得る。
【0045】
<<5.まとめ>>
ここまで、図1図14を用いて、本開示の実施形態について詳細に説明した。上述した実施形態では、原稿を読取ることにより生成された読取画像データにおける原稿部分の傾きが判定され、判定された傾きが画像の回転により補正された後、補正後の読取画像データから原稿部分画像が切出される。かかる構成によれば、原稿の傾き又は位置の偏りに起因する原稿部分の欠落及び無用な余白を生じさせることなく、原稿部分画像の画像データを適切に取得することができる。
【0046】
また、上述した実施形態では、原稿部分の傾きは、読取画像データにおいて検出される原稿部分のエッジの傾きに基づいて判定され得る。かかる構成によれば、原稿の傾きを検出するためのセンサをスキャナを設けることなく、デジタル処理により原稿部分の傾きを判定することができる。
【0047】
また、上述した実施形態では、読取画像データにおいて検出される原稿部分のエッジから原稿部分のサイズが判定され、判定された当該サイズに従って、原稿部分画像が切出され得る。かかる構成によれば、予め原稿の読取範囲を原稿サイズに合わせて狭めることなく、原稿全体を包含するように原稿を読取った後に、読取画像から原稿部分の欠落が生じないように原稿部分画像を切出すことができる。
【0048】
また、上述した実施形態では、複数のサイズ候補のうちの、原稿部分のサイズに従って選択されるサイズで、原稿部分画像が切出され得る。かかる構成によれば、読取画像データ内の原稿部分の認識に依存して切出サイズがばらつくことを防止しつつ、適切なサイズの原稿部分画像を取得することができる。
【0049】
また、上述した実施形態では、原稿部分画像は、検出されたエッジの位置に基づいて導出される切出位置で、傾き補正後の読取画像データから切出され得る。かかる構成によれば、傾き補正によって原稿部分の位置が変動する場合にも、原稿部分画像を適切な位置で切出すことができる。
【0050】
また、上述した実施形態では、複数の読取モードのうちサイズの異なる複数のシートの読取りに対応する第1の読取モード(例えば、等幅モード又は異幅モード)が選択された場合に、読取画像データから原稿部分画像が切出され得る。かかる構成によれば、原稿部分画像の切出しを行うか否かを、原稿の種類又はユーザのニーズに応じて柔軟に切替えることが可能となる。
【0051】
また、上述した実施形態では、読取画像データから切出された原稿部分画像が、プリンタにより、当該部分画像のサイズに適合する用紙サイズの用紙に形成され得る。かかる構成によれば、原稿の傾き及び位置の偏りに起因する読取品質の低下を可能な限り解消しながら、原稿と同等のサイズの用紙に原稿をコピーすることが可能となる。
【0052】
<<6.その他の実施形態>>
上記実施形態は、1つ以上の機能を実現するプログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行する処理の形式でも実現可能である。また、1つ以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0053】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0054】
100:複合機(画像処理装置)、101:コントローラ(制御手段)、120:スキャナ(読取手段)、140:プリンタ(画像形成手段)、503:傾き判定部、505:領域判定部、507:補正部、409:切出部
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14