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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
B65D1/02 221
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020043489
(22)【出願日】2020-03-12
(65)【公開番号】P2021143012
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】大場 拓
(72)【発明者】
【氏名】武田 知己
(72)【発明者】
【氏名】吉良 剛
(72)【発明者】
【氏名】松尾 拓哉
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-112361(JP,A)
【文献】再公表特許第2009/028571(JP,A1)
【文献】特開2015-127229(JP,A)
【文献】登録実用新案第3139651(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部、前記口部に連設されている肩部、前記肩部に連設されている胴部、および前記胴部に連設されている底部、を備える容器であって、
前記胴部は、第一胴部と、軸心に直交する断面の形状が前記第一胴部と異なる第二胴部とを有し、
前記第一胴部は、前記軸心に直交する断面の形状四つの直線部分と、前記直線部分同士を接続する四つの曲線部分と、により画定される形状である、筒状の部分であり、
前記第二胴部、前記軸心に直交する断面の形状が、四つの辺部分と、前記辺部分同士を連絡する四つの連絡部分と、により画定される形状である、筒状の部分であり、
つの前記辺部分の長さはいずれも、隣接する二つの前記辺部分の間の最短距離より長く、
前記底部を接地面として設置したときの投影形状が、前記第二胴部の前記断面の形状により規定される容器。
【請求項2】
前記第一胴部は、前記肩部に連設されている請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記第一胴部の前記軸心に沿う長さは、40mm以上である請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
前記第二胴部の前記軸心に沿う長さは、前記底部を接地面として前記容器を設置したときの前記容器の全高の12%以上である請求項1~3のいずれか一項に記載の容器。
【請求項5】
前記辺部分は、前記直線部分より長い請求項に記載の容器。
【請求項6】
前記曲線部分は、円弧の一部である請求項1~のいずれか一項に記載の容器。
【請求項7】
前記曲線部分の長さは、10mm以上である請求項に記載の容器。
【請求項8】
前記辺部分の長さは、前記第二胴部の当該辺部分に沿う方向の幅の50%以上である請求項1~のいずれか一項に記載の容器。
【請求項9】
内容量が200mL~1Lである請求項1~のいずれか一項に記載の容器。
【請求項10】
口部、前記口部に連設されている肩部、前記肩部に連設されている胴部、および前記胴部に連設されている底部、を備える容器であって、
前記胴部は、第一胴部と、軸心に直交する断面の形状が前記第一胴部と異なる第二胴部とを有し、
前記第一胴部は、前記軸心に直交する断面の形状が、四つの直線部分と、前記直線部分同士を接続する四つの曲線部分と、により画定される形状である、筒状の部分であり、
前記第二胴部、前記軸心に直交する断面の形状が、四つの辺部分と、前記辺部分同士を連絡する四つの直線状の連絡部分と、により画定される形状である、筒状の部分であり、
つの前記辺部分の長さはいずれも、隣接する二つの前記辺部分の間の最短距離より長く、
前記第二胴部は、前記第一胴部よりも前記底部側に設けられている容器。
【請求項11】
前記第一胴部と前記第二胴部との境界は、前記底部を接地面として前記容器を設置したときの底面から140mm以上の高さに設けられている請求項10に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料などの液体を充填可能な瓶状の容器に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料などの液体製品の流通にあたっては、プラスチックボトルやガラス瓶などの瓶状の容器が汎用される。これらの容器には、内容物の商品名などを表示するためラベルが貼付される場合がある。かかるラベルとしては、商品名などを印刷した短冊状のラベルを容器に巻き回して、ラベルの両端を糊付けして貼付されるロールラベルが用いられうる。
【0003】
ロールラベルを良好に貼付しうる容器として、たとえば特開2016-159941号公報(特許文献1)では、その外周面が円筒面形状のラベル装着部を有する容器が開示されている。特許文献1の技術では、円筒面形状のラベル装着部に沿ってロールラベルを貼付できるので、ロールラベルに皺などを生じることを防ぎうる。また、特開2016-137927号公報(特許文献2)では、断面形状が角丸四角形型のいわゆる角型ボトルのボトル外周面にロールラベルを貼付することを開示している。特許文献2の技術では、ロールラベルの両端部を略角柱状のボトル外周面のコーナー部において接着できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-159941号公報
【文献】特開2016-137927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のような円筒型容器は、陳列棚において回転しやすいため、陳列時に、ラベルに印刷された商品名などが見えにくい姿勢になる場合があった。また、特許文献2のような角丸四角形型の断面形状を有する容器では、ロールラベルの接着に好適な箇所がコーナー部分に限られるが、コーナー部分の面積を増やすと工場でのコンベア搬送の際に転倒しやすくなるおそれがあった。そのため、ロールラベルの取付性と工場での搬送性とを両立することが難しい場合があった。
【0006】
そこで、ロールラベルの取付性と工場での搬送性とを両立でき、かつ、陳列時に回転しにくい容器の実現が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る第一の容器は、口部、前記口部に連設されている肩部、前記肩部に連設されている胴部、および前記胴部に連設されている底部、を備える容器であって、前記胴部は、第一胴部と、軸心に直交する断面の形状が前記第一胴部と異なる第二胴部とを有し、前記第一胴部前記軸心に直交する断面の形状が、四つの直線部分と、前記直線部分同士を接続する四つの曲線部分と、により画定される形状である、筒状の部分であり、前記第二胴部、前記軸心に直交する断面の形状が、四つの辺部分と、前記辺部分同士を連絡する四つの連絡部分と、により画定される形状である、筒状の部分であり、四つの前記辺部分の長さはいずれも、隣接する二つの前記辺部分の間の最短距離より長く、前記底部を接地面として設置したときの投影形状が、前記第二胴部の前記断面の形状により規定されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る第二の容器は、口部、前記口部に連設されている肩部、前記肩部に連設されている胴部、および前記胴部に連設されている底部、を備える容器であって、前記胴部は、第一胴部と、軸心に直交する断面の形状が前記第一胴部と異なる第二胴部とを有し、前記第一胴部は、前記軸心に直交する断面の形状が、四つの直線部分と、前記直線部分同士を接続する四つの曲線部分と、により画定される形状である、筒状の部分であり、前記第二胴部、前記軸心に直交する断面の形状が、四つの辺部分と、前記辺部分同士を連絡する四つの直線状の連絡部分と、により画定される形状である、筒状の部分であり、四つの前記辺部分の長さはいずれも、隣接する二つの前記辺部分の間の最短距離より長く、前記第二胴部は、前記第一胴部よりも前記底部側に設けられていることを特徴とする。
【0009】
これらの構成によれば、ロールラベルを取り付けやすい形状の第一胴部と、搬送中および陳列時の容器の回転を抑制しやすい第二胴部とを一つの容器に同時に実装できるので、ロールラベルの取付性と工場での搬送性とを両立でき、かつ、陳列時に回転しにくい容器を実現できる。さらに、これらの構成によれば、陳列時の容器の回転を一層抑制しやすい。
【0010】
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
【0011】
本発明に係る容器は、一態様として、前記第一胴部は、前記肩部に連設されていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ロールラベルの接着に好適な領域を容器の上部側に設けることができるので、ラベルに記載された商品名などが顧客の目に留まりやすい。
【0013】
本発明に係る容器は、一態様として、前記第一胴部の前記軸心に沿う長さは、40mm以上であることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、ロールラベルの接着に好適な領域を広く確保しやすいので、ラベルに記載された商品名などが顧客の目に留まりやすい。
【0015】
本発明に係る容器は、一態様として、前記第二胴部の前記軸心に沿う長さは、前記底部を接地面として前記容器を設置したときの前記容器の全高の12%以上であることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、搬送中および陳列時の容器の回転を一層抑制しやすい。
【0019】
本発明に係る容器は、一態様として、前記辺部分は、前記直線部分より長いことが好ましい。
【0020】
この構成によれば、搬送中および陳列時の容器の回転を一層抑制しやすい。
【0021】
本発明に係る容器は、一態様として、前記曲線部分は、円弧の一部であることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、ロールラベルの接着に好適な領域を広く確保しやすい。
【0023】
本発明に係る容器は、一態様として、前記曲線部分の長さは、10mm以上であることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、ロールラベルの接着に好適な領域を一層広く確保しやすい。
【0025】
本発明に係る容器は、一態様として、前記辺部分の長さは、前記第二胴部の当該辺部分に沿う方向の幅の50%以上であることが好ましい。
【0026】
この構成によれば、容器の転倒を一層防止しやすい。
【0027】
本発明に係る容器は、一態様として、内容量が200mL~1Lであることが好ましい。
【0028】
この構成によれば、内容量が比較的小さく、容器自体が小さいことによって、ロールラベルの取付性が特に課題となりやすい内容量200mL~1Lの容器について、ロールラベルの取付性と工場での搬送性とを両立でき、かつ、陳列時に回転しにくい容器を実現できる。
【0029】
本発明に係る第二の容器は、一態様として、前記第一胴部と前記第二胴部との境界は、前記底部を接地面として前記容器を設置したときの底面から140mm以上の高さに設けられていることが好ましい。
【0030】
この構成によれば、工場において容器を搬送する搬送コンベアのガイド部材に当接する部分が、第二胴部になりやすいので、工場での搬送時に一層転倒しにくい。
【0031】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第一の容器の実施形態に係るボトルの斜視図
図2】本発明の第一の容器の実施形態に係るボトルの正面図
図3図2のボトルのIII-III線による断面図
図4図2のボトルのIV-IV線による断面図
図5】角筒型容器の断面図
図6】本発明の第二の容器の実施形態に係るボトルの斜視図
図7】本発明の第二の容器の実施形態に係るボトルの正面図
図8】本発明の第二の容器の実施形態に係るボトルの搬送状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0033】
〔第一の容器の実施形態〕
本発明に係る第一の容器の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、本発明に係る第一の容器を、飲料用のペットボトル100(容器の例。以下、単にボトル100と称する。)に適用した例について説明する。
【0034】
以下の説明において、図形の形状に係る用語が意味する内容は、当該用語の数学的な定義に基づく内容に限定されず、当該用語が表す形状を工業製品に実装する際に通常適用されうる変形がなされた内容を含む。たとえば、以下の説明における「多角形」は、複数の線分で囲まれた閉曲線という数学的な定義に基づく多角形に限定されず、数学的な定義に基づく多角形の頂点に対して隅取りや丸め加工などがなされた形状を含み、以下の説明における「直角」は、90°に限定されず、実用上直角とみなしうる90°付近の角度を含む。ここに例示した以外の用語についても、数学的に厳密な意味に限定して解釈されるべきではない。
【0035】
(ボトルの構成)
図1および図2に示すように、ボトル100は、液体の注ぎ口としての口部1と、口部1と連続し底部5の方向に向かうにつれて徐々に拡径する肩部2と、肩部2と連続する筒状の胴部(第一胴部3および第二胴部4)と、ボトル100の底となる底部5と、から構成されている。本実施形態において、第一胴部3および第二胴部4は、口部1に近い方から第一胴部3、第二胴部4の順に配置されている。ここで、第二胴部4と底部5との境界は、正面図(図2)におけるボトル100の幅が底面51に向けて縮小しはじめる高さ方向の位置である。なお、以下の説明における「上下」は、ボトル100の口部1側を「上」、底部5側を「下」と定義するものとする。
【0036】
ボトル100は、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を主材料として、二軸延伸ブロー成形などの延伸成形法によって一体的に成形できる。ボトル100の容量は特に限定されず、一般的に流通している280mL、350mL、500mLなど、200mL~2L程度とすることができる。また、ボトル100に充填する液体は特に限定されず、たとえば、清涼飲料水(炭酸飲料、果実飲料、コーヒー飲料、茶系飲料、ミネラルウォーター、豆乳類、野菜飲料、スポーツ飲料、ココア飲料など)、アルコール飲料、乳飲料などの飲料、スープなどの液体食品、ソースや醤油などの液体調味料、などが例示される。以下の実施形態では、ボトル100がポリエチレンテレフタレート製であり、内容量が525mLの場合を例として説明する。
【0037】
ボトル100の各部のうち、口部1、肩部2、および底部5の構造は特に限定されず、公知の構造を採用しうる。したがって、これらの各部の構造については説明しない。
【0038】
ボトル100はその胴部に、それぞれ断面形状が異なる第一胴部3と第二胴部4とを有する。第一胴部3は肩部2に連設されており、第二胴部4は底部5に連設されている。第一胴部3の軸心Xに沿う方向の長さ(すなわち、第一胴部3と第二胴部4との境界から肩部2と第一胴部3との境界までの高さ)Hは、99mmである。また、第二胴部4の軸心Xに沿う方向の長さ(すなわち、第二胴部4と底部5との境界から第一胴部3と第二胴部4との境界までの高さ)Hは、30mmである。なお、ボトル100の全高H100は201mmであり、高さHは全高H100の14.9%ある。また、水525mLを充填したときのボトル100の重心の高さは97mmであり、高さHは当該重心の高さの約30.9%である。
【0039】
第一胴部3の、ボトル100の軸心Xに直交する断面の形状は、四つの直線部分31と、直線部分31同士を接続する曲線部分32と、により画定される(図3)。ここで、直線部分31の長さL31は11mmである。また、曲線部分32は円弧の一部であって、その半径Rは35mmであり、その円弧に沿う長さL32は13mmである。加えて、第一胴部3の断面が内接する円33の直径Dは、74.5mmである。なお、以降の説明において断面の形状について言及する場合、特に指定しない場合、当段落と同様に、容器の軸心に直交する断面の形状について言及するものとする。
【0040】
第二胴部4の、ボトル100の断面の形状は、四つの辺部分41と、辺部分41同士を連絡する四つの連絡部分42と、により画定される(図4)。ここで、辺部分41の長さL41は40mmであり、連絡部分42の長さL42は10mmである。すなわち、辺部分41の長さL41は、隣接する二つの辺部分41の間の最短距離(本実施形態では連絡部分42の長さL42に等しい。)より長い。また、辺部分41に沿う方向の第二胴部4の幅Wは62.7mmであり、辺部分41の長さL41は幅Wの64%である。なお、第二胴部4の断面が内接する円43の直径Dは、70mmである。
【0041】
上記の寸法関係により、底部5(底面51)を接地面としてボトル100を設置したときの投影形状(すなわち、軸心X方向の口部1側から見たときのボトル100の形状)は、第二胴部4の断面の形状により画定される。
【0042】
(第一胴部の機能)
第一胴部3は、ボトル100において、商品名などが印刷されたラベルを装着する箇所として機能し、特にロールラベルの装着に適している。ここで、第一胴部3の機能を具体的に説明する前提として、本発明が属する技術分野において通常使用されるラベルであるシュリンクラベルおよびロールラベルについて説明する。
【0043】
シュリンクラベルは、筒状に形成された延伸フイルムの筒内に容器を挿入した後、当該延伸フイルムを加熱収縮させることによって容器に密着させる方法により装着される。シュリンクラベルは収縮時に自ら容器の形状に追随するため、装着面の形状に関わらず装着しやすい。一方でシュリンクラベルは、ラベルを筒状に形成する必要があること、および、ラベルを加熱する必要があることから、後述するロールラベルに比べてラベル装着工程の生産性が劣る場合がある。
【0044】
ロールラベルは、ラベル原反から切り出した所定の長さのラベルを容器に巻き回した後、ラベルの両端部を糊付けすることによって容器に装着される。ロールラベルは、シュリンクラベルに比べてラベル生産工程およびラベル装着工程の生産性が高い。一方、ロールラベルは、装着面のうち胴径が最大値をとる点以外で糊付けされると外れやすくなる場合がある。そのため、断面において胴径に分布がある形状、すなわち円筒形以外の装着面への装着には適さない場合があった。たとえば、装着面が図5に示すような正方形の断面形状6を有する角筒型容器の場合、その正方形の頂点61において胴径(断面形状6が内接する円62の直径に相当。)が最大となるため、頂点61の付近の限られた領域においてラベルを糊付けする必要がある。
【0045】
本実施形態に係るボトル100では、第一胴部3が、四つの直線部分31と、直線部分31同士を接続する曲線部分32と、により画定される形状を有する。ここで、曲線部分32は円弧の一部であるため、その多くの部分において円33に実質的に追随する。したがって、ボトル100においては、曲線部分32の大部分が、ロールラベルを糊付けする領域として適している。すなわち、図3のような断面形状を有する第一胴部3は、ロールラベルを装着しやすい領域になる。これによってボトル100では、円筒形以外の形状と、シュリンクラベルではなくロールラベルを採用することと、を両立することに成功した。
【0046】
なお、第一胴部3は第二胴部4より上側に配置されている。これによって、第一胴部3に装着されたラベルを消費者が視認しやすく、商品名などを表示する機能を果たしやすい。
【0047】
(第二胴部の機能)
第二胴部4は、ボトル100をコンベア搬送する際に、ボトル100の転倒を抑制する機能を有する。従来、断面形状が略矩形の角筒型容器は、その断面形状が角丸四角形状である構成が汎用されるが、断面形状が四角形に近いほど(すなわち、角部の曲線状部分が小さいほど)、転倒しにくいことが知られている。一方、角部の曲線状部分を小さくすると、前述のようにロールラベルの装着に適さないため、ロールラベルを用いることが難しい場合があった。そこで本実施形態に係るボトル100では、胴部領域のうち底部5に近い第二胴部4の断面形状を四角形に近づけて転倒を抑制する機能を持たせると同時に、胴部領域のうち上側に位置する第一胴部3の断面形状を曲線状部分が大きい角丸四角形状に構成してロールラベルの装着に適した領域を設けている。このように構成することで、ロールラベルの装着と転倒の抑制とを両立した。
【0048】
〔第二の容器の実施形態〕
本発明に係る第二の容器の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、本発明に係る容器を、飲料用のペットボトル200(容器の例。以下、単にボトル200と称する。)に適用した例について説明する。なお、第一の容器の実施形態と同様の箇所には、第一の容器の実施形態と同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0049】
(ボトルの構成)
図6および図7に示すように、第二の容器の実施形態に係るボトル200は、その胴部に、それぞれ断面形状が異なる第一胴部7と第二胴部8とを有する。ここで、底面51から第一胴部7と第二胴部8との境界までの高さHは、150mmである。
【0050】
また、本実施形態では、第一胴部7の正面図(図7)における幅Wは60mmであり、第二胴部8の正面図における幅Wは65mmである。この寸法関係により、底部5(底面51)を接地面としてボトル200を設置したときの投影形状(すなわち、軸心X方向の口部1側から見たときのボトル200の形状)は、第一胴部7の断面の形状により画定される。この点において、第一の容器の実施形態に係るボトル100と異なる。
【0051】
(第二胴部の機能)
本実施形態では、第一胴部7と第二胴部8との境界が、ボトル200がコンベア搬送される際に用いられるガイド部材Gの高さより高い位置に設けられている(図8)。これによって、ボトル200とガイド部材Gとの関係において、第二胴部8の形状による影響が支配的になる。そのため、コンベア搬送中のボトル200の転倒しやすさは、断面形状が四角形に近い第二胴部8の影響を強く受ける。これによって、ボトル200では、ボトル100と同様に、搬送中の転倒が抑制されている。また、第一胴部7の断面形状を角丸四角形状に構成してロールラベルの装着に適した領域を設けた点も、ボトル100と同様である。このように、ボトル200は、底部5(底面51)を接地面として設置したときの投影形状が第一胴部7の断面の形状により画定される点で第一の容器の実施形態に係るボトル100と異なるが、ボトル100と同様に、ロールラベルの装着と転倒の抑制とを両立している。
【0052】
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係る容器のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0053】
上記の実施形態では、第一胴部3が口部1側に設けられ、第二胴部4が底部5側に設けられた構成を例として説明した。しかし、本発明に係る第一の容器においては、第二胴部が口部側に設けられ、第一胴部が底部側に設けられていてもよい。また、本発明に係る第一および第二の容器において、第一胴部および第二胴部以外の部分が胴部に設けられていてもよく、この場合、第一胴部と第二胴部とが連設されていなくてもよい。
【0054】
上記の実施形態では、第一胴部3が、四つの直線部分31と、直線部分31同士を接続する曲線部分32と、により画定される形状を有する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、本発明に係る第一および第二の容器において、第一胴部の断面形状は、少なくとも部分的に曲線部分により画定される形状である限りにおいて特に限定されない。したがって、第一胴部の断面形状は、たとえば円形(全部が曲線部分により画定される形状)であってもよい。
【0055】
上記の実施形態では、曲線部分32が円弧の一部であり、その半径Rが35mmである構成を例として説明した。しかし、本発明に係る第一および第二の容器において曲線部分の形状は特に限定されず、たとえば、楕円の一部、直線部分より短い2本以上の直線により構成される折れ線、互いに直径が異なる複数の円弧の一部により構成される曲線、などであってもよい。また、当該曲線部分の長さは10mm以上でありうる。
【0056】
上記の第一の容器の実施形態では、第二胴部4の軸心Xに沿う方向の長さHが、ボトル100の全高H100の14.9%である構成を例として説明した。しかし、本発明に係る容器において、第二胴部の軸心に沿う方向の長さは特に限定されない。ただし、当該長さは、容器の全高の15%以上でありうる。
【0057】
上記の実施形態では、辺部分41の長さL41が幅Wの64%である構成を例として説明した。しかし、本発明に係る第一および第二の容器において、辺部分の長さと、第二部分の当該辺部分に沿う方向の幅との比率は特に限定されない。ただし、辺部分の長さは、第二部分の当該辺部分に沿う方向の幅の50%以上でありうる。
【0058】
上記の実施形態では、ボトル100の内容量が525mLの場合を例として説明した。しかし、本発明に係る第一および第二の容器において、内容量は特に限定されない。ただし、ロールラベルの取付性と工場での搬送性との両立は、容量が比較的小さい容器において特に困難であるところ、本発明によれば、内容量が比較的小さい200mL~1Lの容器であっても、ロールラベルの取付性と工場での搬送性とを両立しうる。したがって、本発明に係る第一および第二の容器の容量は、200mL~1Lでありうる。
【0059】
上記の実施形態では、ボトル200の、底部5(底面51)を接地面として設置したときの投影形状が、第一胴部7の断面の形状により画定される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されず、本発明に係る第二の容器の、底部を接地面として設置したときの投影形状は、第一胴部によって規定されてもよいし、第二胴部によって規定されてもよい。
【0060】
上記の実施形態では、ボトル200において、底面51から第一胴部7と第二胴部8との境界までの高さHが150mmである構成を例として説明した。しかし、本発明に係る第二の容器において、底面から第一胴部と第二胴部との境界までの高さは特に限定されず、使用される搬送設備などの環境条件に応じて適宜設定されうる。なお、当分野において一般的に使用されている搬送設備の実情に鑑みると、当該高さが100mm以上であると、多くの搬送設備において本発明の作用効果を発現しうるので、好ましい。なお、当該高さは、120mm以上であるとより好ましく、140mm以上であるとさらに好ましい。
【0061】
上記の実施形態では、連絡部分42の長さL42が辺部分41の長さL41の25%である構成を例として説明した。しかし、本発明に係る第一および第二の容器において、連絡部分と辺部分との長さの比率は特に限定されない。ただし、連絡部分の長さは、辺部分の長さの50%以下でありうる。
【0062】
上記の実施形態では、連絡部分42が直線状である構成を例として説明した。しかし、本発明に係る第一および第二の容器において、連絡部分の形状は特に限定されず、たとえば曲線であってもよいし、複数の直線であってもよい。ただし、連絡部分が一本の直線状であると、搬送中および陳列時の容器の回転を一層抑制しやすい。
【0063】
上記の実施形態では、四つの直線部分31の長さL31がいずれも11mmであり、四つの辺部分41の長さL41がいずれも40mmである構成を例として説明した。したがってこの例では、ボトル100を軸心Xに沿って見た形状は略正方形状である。しかし、そのような構成に限定されることなく、本発明に係る第一および第二の容器は、軸心に沿って見た形状が略矩形状であってもよい。この場合、第一胴部の四つの直線部分は、互いに長さが異なる二組の対辺からなる。同様に、第二胴部の四つの辺部分も、互いに長さが異なる二組の対辺からなる。ただし、上記の実施形態のように軸心Xに沿って見た形状が略正方形状であると、転倒しにくい点で好ましい。
【0064】
上記の実施形態では、ボトル100がポリエチレンテレフタレート製のプラスチックボトルである構成を例として説明した。しかし、本発明に係る第一および第二の容器の材質は特に限定されず、プラスチックボトルのほか、瓶、缶などでありうる。
【0065】
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、たとえば、ロールラベルを貼付して商品名などを表示する飲料容器に利用することができる。
【符号の説明】
【0067】
〔各部名称〕
100 :ペットボトル(ボトル)(第一の容器の実施形態)
200 :ペットボトル(ボトル)(第二の容器の実施形態)
1 :口部
2 :肩部
3 :第一胴部(第一の容器の実施形態)
31 :直線部分
32 :曲線部分
33 :第一胴部の断面が内接する円
4 :第二胴部(第一の容器の実施形態)
41 :辺部分
42 :連絡部分
43 :第二胴部の断面が内接する円
5 :底部
51 :底面
6 :角筒型容器の断面形状
61 :断面形状6の頂点
62 :断面形状6が内接する円
7 :第一胴部(第二の容器の実施形態)
8 :第二胴部(第二の容器の実施形態)
X :ボトルの軸心
〔各部寸法(第一の容器の実施形態)〕
100 :ボトル100の全高(第一の容器の実施形態)
31 :直線部分31の長さ
32 :曲線部分32の長さ
R :曲線部分32の半径
:円33の直径
W :辺部分41に沿う方向の第二胴部4の幅
41 :辺部分41の長さ
42 :連絡部分42の長さ
:円43の直径
:第一胴部3の軸心Xに沿う方向の長さ
:第二胴部4の軸心Xに沿う方向の長さ
〔各部寸法(第二の容器の実施形態)〕
200 :ボトル200の全高(第二の容器の実施形態)
:底面51から第一胴部7と第二胴部8との境界までの高さ(第二の容器の実施形態)
:第一胴部7の幅(第二の容器の実施形態)
:第二胴部8の幅(第二の容器の実施形態)
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8