(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】衛生洗浄装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
E03D9/08 F
E03D9/08 A
(21)【出願番号】P 2020053236
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】小澤 慶記
(72)【発明者】
【氏名】南山 広知
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/136371(WO,A1)
【文献】特開2013-072196(JP,A)
【文献】特開平07-139015(JP,A)
【文献】特開2019-027008(JP,A)
【文献】特開2011-069184(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0354190(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体の後部側の上面に配置されるベース部と、
前記ベース部に取り付けられ、ノズル開口部を通して進退可能に設けられる衛生洗浄ノズルを含むノズルユニットと、
前記ノズル開口部を開閉するシャッタと、
前記シャッタを開閉可能に取り付けるシャッタベースと、を備え、
前記シャッタベースは、前記ノズルユニットの上面を覆うことによって、前記ノズルユニットのノズルカバーを構成
し、
前記ノズルユニットと前記シャッタベースとは、前記ベース部に対して、取付ねじを用いて共締めされることによって取り付けられる、衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記シャッタベースは、前記ノズルユニットの長さ方向の全長に亘って延びている、請求項1
に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記シャッタベースの後端部に、前記ノズルユニットの後端部に対して係止する爪部を有する、請求項
2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
便器本体の後部側の上面に配置されるベース部と、
前記ベース部に取り付けられ、ノズル開口部を通して進退可能に設けられる衛生洗浄ノズルを含むノズルユニットと、
前記ノズル開口部を開閉するシャッタと、
前記シャッタを開閉可能に取り付けるシャッタベースと、を備え、
前記シャッタベースは、前記ノズルユニットの上面を覆うことによって、前記ノズルユニットのノズルカバーを構成し、
前記シャッタベースは、前記ノズルユニットの長さ方向の全長に亘って延びており、
前記シャッタベースの後端部に、前記ノズルユニットの後端部に対して係止する爪部を有する、衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記シャッタベースの下面に、前記シャッタベースの長さ方向に沿って延びるリブを有する、請求項
2~4
のいずれか1項に記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
便器本体の後部側の上面に配置されるベース部と、
前記ベース部に取り付けられ、ノズル開口部を通して進退可能に設けられる衛生洗浄ノズルを含むノズルユニットと、
前記ノズル開口部を開閉するシャッタと、
前記シャッタを開閉可能に取り付けるシャッタベースと、を備え、
前記シャッタベースは、前記ノズルユニットの上面を覆うことによって、前記ノズルユニットのノズルカバーを構成し、
前記シャッタベースは、前記ノズルユニットの長さ方向の全長に亘って延びており、
前記シャッタベースの下面に、前記シャッタベースの長さ方向に沿って延びるリブを有する、衛生洗浄装置。
【請求項7】
前記ノズルユニットの上面に、前記ノズルユニットの長さ方向に沿って延びる溝部を有し、
前記シャッタベースは、前記リブを前記溝部に挿入することによって、前記ノズルユニットに対する取付け位置が規制される、請求項5
又は6に記載の衛生洗浄装置。
【請求項8】
前記シャッタベースは、前記ベース部上に配置される部品の固定部を有する、請求項1~
7のいずれか1項に記載の衛生洗浄装置。
【請求項9】
便器本体の後部側の上面に配置されるベース部と、
前記ベース部に取り付けられ、ノズル開口部を通して進退可能に設けられる衛生洗浄ノズルを含むノズルユニットと、
前記ノズル開口部を開閉するシャッタと、
前記シャッタを開閉可能に取り付けるシャッタベースと、を備え、
前記シャッタベースは、前記ノズルユニットの上面を覆うことによって、前記ノズルユニットのノズルカバーを構成し、
前記シャッタベースは、前記ベース部上に配置される部品の固定部を有する、衛生洗浄装置。
【請求項10】
前記部品は、前記ベース部上に配置される電気部品と電気的に接続されるハーネス、前記ノズルユニットに給水するホース、前記ホース内の洗浄水の逆流を防止するバキュームブレーカのうちの少なくとも一つである、請求項
8又は9に記載の衛生洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載の衛生洗浄装置が知られている。この衛生洗浄装置は、便器本体の後部側の上面に取り付けられるベース部上に、ベース部のノズル開口部を通して出没可能な衛生洗浄ノズルを有するノズルユニットと、ノズル開口部を開閉するシャッタと、を有する。シャッタは、シャッタベースに対して開閉可能に取り付けられている。シャッタベースは、ノズルユニットの前端部とベース部のノズル開口部との間の隙間に配置され、ベース部に対して取り付けられている。これによって、シャッタは、ノズル開口部を外側から開閉するように配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
衛生洗浄装置が設けられるベース部には、衛生洗浄装置及び便器装置の機能に必要な各種の部品、部品同士の接続のための配線、洗浄水を供給するホース等が取り付けられる。ベース部は便器本体の後部側の狭いスペースに設けられるため、ベース部上に部品を配置するスペースは限られている。そのため、ベース部は、多くの部品を収容可能にするために、部品の上に他の部品を取り付けることによって、スペースを有効利用している。
【0005】
しかしながら、ノズルユニットは、便鉢内に向けて出没する可動部である衛生洗浄ノズルを内部に有するために、ノズルユニットの上面に他の部品をねじ止め等によって取り付けることが困難である。そのため、発明者は、衛生洗浄装置におけるノズルユニットの上面のスペースを有効利用する、という課題を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る衛生洗浄装置は、便器本体の後部側の上面に配置されるベース部と、前記ベース部に取り付けられ、ノズル開口部を通して進退可能に設けられる衛生洗浄ノズルを含むノズルユニットと、前記ノズル開口部を開閉するシャッタと、前記シャッタを開閉可能に取り付けるシャッタベースと、を備え、前記シャッタベースは、前記ノズルユニットの上面を覆うことによって、前記ノズルユニットのノズルカバーを構成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一実施形態に係る衛生洗浄装置を備える便器装置を示す斜視図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る衛生洗浄装置を備える便器装置の便座と便蓋と機能部のカバーケースとを取り除いた状態を示す斜視図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る衛生洗浄装置を備える便器装置の機能部の内部を示す平面図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る衛生洗浄装置を備える便器装置の機能部の内部を示す斜視図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る衛生洗浄装置の要部を上側から見た状態を示す斜視図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る衛生洗浄装置の要部を下側から見た状態を示す斜視図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る衛生洗浄装置のシャッタユニットを上側から見た状態を示す斜視図である。
【
図8】本開示の一実施形態に係る衛生洗浄装置のシャッタユニットを下側から見た状態を示す斜視図である。
【
図9】本開示の一実施形態に係る衛生洗浄装置のノズルユニットを示す平面図である。
【
図10】本開示の一実施形態に係る衛生洗浄装置が取り付けられるベース部を上側から見た状態を示す斜視図である。
【
図11】本開示の一実施形態に係る衛生洗浄装置がベース部に取り付けられた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の衛生洗浄装置の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明においては、便器装置の便座に座った人から見た場合の前後の方向を前後方向と定義する。前後方向に交差する左右を結ぶ方向を左右方向と定義する。鉛直方向に沿った上下の方向を上下方向と定義する。
【0009】
図1に示すように、便器装置1は、便器本体10と、便座11と、便蓋12と、機能部13と、を備えて構成される。便器本体10は、
図2に示すように、ボウル部10aと、ボウル部10aの外周縁を形成するリム部10bと、ボウル部10aの外周壁を構成する周壁部10cと、を有する。便座11は、リム部10bの上面に対して開閉可能に配置される。便蓋12は、便座11の上面を覆うように開閉可能に配置される。機能部13は、便器装置1の各種機能を行う部品を収容する。機能部13は、便器本体10のリム部10bと面一状に連続する便器本体10の後部側の上面に配置され、内部に収容される各種の機能部品をカバーケース13aによって覆っている。
図2では、便座11、便蓋12、カバーケース13aが省略されている。
【0010】
図2及び
図3に示すように、機能部13は、便器本体10の前方側に配置される前ベース部131と、前ベース部131に隣接して便器本体10の後方側に配置される後ベース部132とによって構成されるベース部130を有する。ベース部130は、機能部13に収容される複数の機能部品を載置する基板を構成する。ベース部130上には、衛生洗浄装置2を含む複数の機能部品が配置されている。
【0011】
衛生洗浄装置2は、洗浄水を吐出して人体の臀部を洗浄するノズルを備えた装置である。衛生洗浄装置2は、機能部13の前ベース部131上の中央に配置される。衛生洗浄装置2は、
図3及び
図4に示すように、前ベース部131と、ノズルユニット3と、前ベース部131の前端部に設けられるノズル開口部133を開閉するシャッタ41を含むシャッタユニット4と、を有する。
【0012】
ノズルユニット3は、
図5、
図6及び
図9に示すように、平行に配置される一対の衛生洗浄ノズル31a,31bと、衛生洗浄ノズル31a,31bを支持する支持フレーム32と、衛生洗浄ノズル31a,31bにそれぞれ洗浄水を供給する複数のホース33a,33bと、を有する。
【0013】
衛生洗浄ノズル31a,31bは、先端に洗浄水を吐出する吐出孔(図示せず)を有し、前ベース部131のノズル開口部133に向かう斜め下方に傾斜して配置される。衛生洗浄ノズル31a,31bは、図示しないラックピニオン機構によって、ノズル開口部133に対してそれぞれ個別に進退移動する。衛生洗浄ノズル31a,31bは、ノズル開口部133からボウル部10aに向けて前方に進出することによって、シャッタ41の背面側を押圧してシャッタ41を開き、洗浄水を吐出して臀部の洗浄を行う。洗浄後は、衛生洗浄ノズル31a,31bは後退し、シャッタ41の押圧状態を解除する。押圧状態が解除されたシャッタ41は、自動的に回転してノズル開口部133を閉鎖するように構成される。
【0014】
支持フレーム32は、平行に配置される衛生洗浄ノズル31a,31bの先端部を包囲するように設けられる先端支持部321と、先端支持部321から衛生洗浄ノズル31a,31bの長さ方向に沿って下面側を支持するように設けられる下面支持部322と、下面支持部322の上面に衛生洗浄ノズル31a,31bの間に沿って延びるように設けられる仕切り壁部323と、を有する。先端支持部321には、左右両側方にそれぞれ張り出すように設けられる一対の取付部34a,34bが設けられている。取付部34a,34bには、ノズルユニット3を前ベース部131に対してねじ止めするためのねじ穴35a,35bがそれぞれ設けられている。
【0015】
支持フレーム32は、
図9に示すように、先端支持部321の上面から仕切り壁部323の全長に亘って、衛生洗浄ノズル31a,31bの長さ方向に沿って直線状に延びる溝部36を有する。
【0016】
支持フレーム32は、衛生洗浄ノズル31a,31bの先端部以外は、実質的にノズルユニット3の上面を覆っていない。すなわち、ノズルユニット3は、衛生洗浄ノズル31a,31bの上面側の全面を覆うノズルカバーを有していない。そのため、
図9に示すように、ノズルユニット3の上面には、衛生洗浄ノズル31a,31bの大部分が露出している。
図6に示すように、ノズルユニット3の下面には、フック37が突出して設けられている。
【0017】
シャッタユニット4は、前ベース部131のノズル開口部133の外面側に配置されてノズル開口部133を開閉するシャッタ41と、シャッタ41を開閉可能に取り付けるシャッタベース42と、を有して構成される。シャッタ41及びシャッタベース42は、樹脂製であってよい。
【0018】
図7及び
図8に示すように、シャッタ41は、背面側に突出する一対のアーム部411,411を有する。アーム部411,411同士は、連結部412によって連結されている。シャッタベース42は、前方に所定の間隔で平行に突出する一対のアーム取付片421,421を有する。シャッタ41のアーム部411,411は、シャッタベース42のアーム取付片421,421の間に配置され、アーム取付片421,421に対して、連結部412に沿って延びる回転軸413によって回転可能に取り付けられる。これによって、シャッタ41は、シャッタベース42に対して開閉可能に取り付けられる。
【0019】
シャッタ41の一方のアーム部411とシャッタベース42の一方のアーム取付片421とに亘って、ばね414が取り付けられている。ばね414は、シャッタ41に対して、ノズル開口部133を閉鎖する方向に力を作用させる。したがって、シャッタ41は、衛生洗浄ノズル31a,31bが後退して衛生洗浄ノズル31a,31bによる押圧力が解除された際に、ばね414の力によって自動的にノズル開口部133を閉鎖するように構成される。
【0020】
シャッタベース42は、シャッタ41を取り付けている一対のアーム取付片421,421からさらに後方に向けて板状に延びている。詳しくは、シャッタベース42は、前方側では、ノズルユニット3の左右方向の幅よりも僅かに幅広に形成され、後方側では、ノズルユニット3の左右方向の幅よりも僅かに幅狭に形成されている。シャッタベース42は、
図5及び
図6に示すように、シャッタ41からノズルユニット3の後端部に亘って、ノズルユニット3の長さ方向に沿って延び、ノズルユニット3の上面のほぼ全体を覆っている。衛生洗浄ノズル31a,31bの上面はシャッタベース42によって覆われる。したがって、シャッタベース42は、ノズルユニット3の上面に取り付けられることによって、ノズルユニット3の上面を覆って保護するノズルカバーを構成する。
【0021】
シャッタベース42は、
図5、
図6、
図7及び
図8に示すように、後端部にノズルユニット3の後端部に対して係止する爪部422を有する。爪部422は、シャッタベース42の後端部からノズルユニット3の後端部を覆うように略直角に滑らかに湾曲して形成されている。爪部422の先端部には、前方側に向けて僅かに屈曲することによって、ノズルユニット3の後端部の下面、具体的には、支持フレーム32の後端部の下面に対して引っ掛けて固定するための引っ掛け部422aが一体に形成されている。爪部422は、引っ掛け部422aをノズルユニット3の支持フレーム32の後端部の下面に引っ掛けることによって、シャッタベース42の後端部側がノズルユニット3に係止される。これによって、シャッタベース42の後端部側がノズルユニット3から浮き上がることが防止される。
【0022】
図8に示すように、シャッタベース42の下面には、シャッタベース42の長さ方向に沿って延びるリブ423を有する。リブ423は、シャッタベース42の前端部近傍から後端部の爪部422に亘る薄板状に形成され、シャッタベース42を全長に亘って補強する機能を有する。そのため、シャッタベース42は、長さ方向の撓みが抑制され、ノズルユニット3の上面を全長に亘って安定して保護することが可能である。
【0023】
リブ423は、
図9に示すように、ノズルユニット3における支持フレーム32の仕切り壁部323の溝部36に対応して、シャッタベース42の幅方向の中央に配置されている。リブ423は、シャッタベース42がノズルユニット3の上面を覆うように取り付けられる際に溝部36内に挿入され、ノズルユニット3に対するシャッタベース42の取付け位置を規制する。これによって、シャッタベース42は、ノズルユニット3の上面に位置ずれすることなく、適正な位置に取り付けられる。
【0024】
シャッタベース42の一対のアーム取付片421,421には、左右両側方にそれぞれ張り出すように設けられる一対の取付部424a,424bが設けられる。取付部424a,424bには、シャッタユニット4を前ベース部131に対してねじ止めするためのねじ穴425a,425bがそれぞれ設けられている。このシャッタベース42の取付部424a,424b及びねじ穴425a,425bの位置は、ノズルユニット3の支持フレーム32に設けられる取付部34a,34b及びねじ穴35a,35bの位置に対応している。したがって、シャッタベース42がノズルユニット3に対して適正な位置に取り付けられた際、取付部34a,34b及び取付部424a,424bは互いに重なり、ねじ穴35a,35b及びねじ穴425a,425bは互いに一致する。
【0025】
シャッタユニット4は、シャッタベース42の爪部422をノズルユニット3の後端部に係止し、シャッタベース42のリブ423をノズルユニット3の溝部36に挿入することによって、ノズルユニット3に取り付けられる。これによって、シャッタベース42は、ノズルユニット3の上面を覆ってノズルカバーとして機能する。
【0026】
シャッタユニット4が取り付けられたノズルユニット3は、前ベース部131に対して以下のようにして取り付けられる。
図10に示すように、前ベース部131の上面には、門型の係合受け部134が突出して設けられている。ノズルユニット3は、下面に突出するフック37を前ベース部131の係合受け部134内に挿入することによって、前ベース部131に対して係止される。このとき、
図4及び
図10に示すように、前ベース部131のノズル開口部133の両外側にそれぞれ設けられる一対の縦溝135,135に対して、シャッタ41のアーム部411,411及びシャッタベース42のアーム取付片421,421が上方から挿入される。これによって、シャッタ41は、ノズル開口部133の外面側に配置される。その後、ノズルユニット3及びシャッタユニット4の互いに重なり合う取付部34a,34b、424a,424bのねじ穴35a,35b、425a,425bに対して、それぞれ取付ねじ21a,21bが挿入される。ノズルユニット3とシャッタユニット4のシャッタベース42とは、
図3及び
図11に示すように、取付ねじ21a,21bを用いて共締めされることによって、前ベース部131に対して固定される。
【0027】
このようにして前ベース部131上に取り付けられる衛生洗浄装置2において、ノズルユニット3の上面は、ノズルユニット3とは別体の部品であるシャッタユニット4のシャッタベース42によって覆われている。したがって、衛生洗浄装置2のノズルユニット3の上面、すなわち、シャッタベース42の上面は、ノズルユニット3に対して直接的に影響を与えることなく、機能部品の取付けスペースとして有効利用することができる。詳しくは、
図5、
図7及び
図11に示すように、シャッタベース42には、機能部13に収容される機能部品を固定するための複数の固定部43a,43b,43b,43d,43eを設けることができる。
【0028】
固定部43aは、シャッタベース42の上面から一体に突出して設けられた一対の挟持片からなる。固定部43aは、
図3及び
図4に示すように、機能部13内の機能部品同士を電気的に接続してシャッタベース42上を跨ぐように配策されるハーネス51を挟みこんで固定する。本実施形態のハーネス51は、複数本の配線からなる配線束によって構成されている。固定部43aの大きさ及び数は、ハーネス51の種類及び配策方向によって適宜変更可能である。
【0029】
固定部43bは、固定部43aとアーム取付片421,421との間のシャッタベース42の上面に一体に設けられた爪状の突起からなる。固定部43bは、
図3及び
図4に示すように、シャッタベース42上を跨ぐように配策されるアース線52を挟みこんで固定する。
【0030】
固定部43cは、シャッタベース42の上面の略中央から一体に突出して設けられるブロック状の取付部からなる。固定部43cは、
図3及び
図4に示すように、衛生洗浄用の洗浄水の逆流を防止するバキュームブレーカ53を取付ねじ53aによって固定する。バキュームブレーカ53は、ホース33a,54によって、衛生洗浄ノズル31a,31b及び衛生洗浄ノズル31a,31bへの洗浄水供給機構(図示せず)と接続される。
【0031】
固定部43dは、固定部43cよりも後方のシャッタベース42の上面から一体に突出して設けられる一対ずつ挟持片からなる。固定部43dは、
図3及び
図4に示すように、バキュームブレーカ53と接続されるホース33aを挟むことによって、ホース33aの位置を規制し、ホース33aをバキュームブレーカ53から後方に向けて案内する。ホース33aは、シャッタベース42の上面から後端部の爪部422に沿って略直角に曲がり、ノズルユニット3の後方に延びている。しかし、シャッタベース42の爪部422は、シャッタベース42の上面から滑らかに湾曲して形成されているため、ホース33aを鋭角に屈曲させることはなく、衛生洗浄用の洗浄水の流れは阻害されない。
【0032】
固定部43eは、シャッタベース42の前端部近傍から一側方に向けて一体に突出して設けられるホース挟持部からなる。固定部43eは、
図3及び
図4に示すように、バキュームブレーカ53と接続されるホース54を挟むことによって、ホース54の位置を規制する。
【0033】
このように衛生洗浄装置2は、ノズルユニット3の上面をノズルユニット3とは別体の部品であるシャッタユニット4のシャッタベース42によって覆う構成を有する。そのため、各種の機能部品、すなわち、例えば上述のハーネス51、アース線52、バキュームブレーカ53、ホース33a,54を固定するための複数の固定部43a,43b,43c,43d,43eを、ノズルユニット3に対して直接的に影響を与えることなく設けることができる。これによって、衛生洗浄装置2は、シャッタベース42によって覆われるノズルユニット3の上面を機能部品の取付けスペースとして有効利用することができる。
【0034】
すなわち、本実施形態に係る衛生洗浄装置2によれば、以下の効果が奏される。衛生洗浄装置2は、便器本体10の後部側の上面に配置されるベース部130である前ベース部131と、前ベース部131に取り付けられ、前ベース部131のノズル開口部133を通して進退可能に設けられる衛生洗浄ノズル31a,31bを含むノズルユニット3と、ノズル開口部133を開閉するシャッタ41と、シャッタ41を開閉可能に取り付けるシャッタベース42と、を備え、シャッタベース42は、ノズルユニット3の上面を覆うことによって、ノズルユニット3のノズルカバーを構成している。これによって、衛生洗浄装置2は、シャッタベース42によって覆われるノズルユニット3の上面を機能部品の取付けスペースとして有効利用することができる。
【0035】
本実施形態に係る衛生洗浄装置2において、ノズルユニット3とシャッタベース42とは、前ベース部131に対して、取付ねじ21a,21bを用いて共締めされることによって取り付けられる。これによって、衛生洗浄装置2は、ノズルユニット3とシャッタベース42との相互の位置関係が保持された状態で、前ベース部131に対して固定することができる。取付ねじ21a,21bの固定によって、ノズルユニット3とシャッタベース42とを同時に固定できるため、取付け作業も簡易化される。
【0036】
本実施形態に係る衛生洗浄装置2において、シャッタベース42は、ノズルユニット3の長さ方向の全長に亘って延びている。これによって、ノズルユニット3の長さ方向の全長に亘って、機能部品の取付けスペースを構築することができるとともに、ノズルユニット3の上面を全長に亘って保護することができる。
【0037】
本実施形態に係る衛生洗浄装置2において、シャッタベース42の後端部には、ノズルユニット3の後端部に対して係止する爪部422を有する。これによって、取付ねじ21a,21bから離されたシャッタベース42の後端部が、ノズルユニット3から浮き上がることが防止される。そのため、シャッタベース42は、ノズルユニット3の上面に対して安定して取り付けられる。
【0038】
本実施形態に係る衛生洗浄装置2において、シャッタベース42の下面には、シャッタベース42の長さ方向に沿って延びるリブ423を有する。これによって、シャッタベース42が全長に亘って補強され、長さ方向の撓みが抑制される。そのため、シャッタベース42は、ノズルユニット3の上面を安定して保護することができる。
【0039】
本実施形態に係る衛生洗浄装置2において、ノズルユニット3の上面には、ノズルユニット3の長さ方向に沿って延びる溝部36を有し、シャッタベース42は、リブ423を溝部36に挿入することによって、ノズルユニット3に対する取付け位置が規制される。これによって、シャッタベース42は、ノズルユニット3の上面に位置ずれすることなく、適正な位置に取り付けられる。
【0040】
本実施形態に係る衛生洗浄装置2において、シャッタベース42は、前ベース部131上に配置される部品の固定部43a,43b,43c,43d,43eを有する。これによって、衛生洗浄装置2のシャッタベース42の上面に各種の部品を固定することができ、ノズルユニット3の上面を有効利用することができる。
【0041】
本実施形態に係る衛生洗浄装置2において、部品は、前ベース部131上に配置される電気部品と電気的に接続されるハーネス51、ノズルユニット3に給水するホース33a,54、ホース33a,54内の洗浄水の逆流を防止するバキュームブレーカ53のうちの少なくとも一つである。これによって、機能部13内において、シャッタベース42の上面に、これらの部品の配置スペースが容易に確保される。
【0042】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、変形、改良等は本開示に含まれる。例えば、シャッタベース42の上面に固定される機能部品は、上述したハーネス51、バキュームブレーカ53、ホース33a,54に限定されず、便器装置1の機能部13に収容されるその他の任意の機能部品であってもよい。ノズルユニット3は、一対の衛生洗浄ノズル31a,31bを有するものに限らず、単一の衛生洗浄ノズルを有するものであってもよい。ノズル開口部133は、ベース部130に設けられるものに限らず、例えば、カバーケース13a等の機能部13の他の部位に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0043】
2 衛生洗浄装置、21a,21b 取付ねじ、3 ノズルユニット、31a,31b 衛生洗浄ノズル、33a,54ホース、36 溝部、41 シャッタ、42 シャッタベース、43a,43b,43c,43d,43e 固定部、422 爪部、423 リブ、51 ハーネス、53 バキュームブレーカ、10 便器本体、130 ベース部、133 ノズル開口部