IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

<>
  • 特許-洗面台 図1
  • 特許-洗面台 図2
  • 特許-洗面台 図3
  • 特許-洗面台 図4
  • 特許-洗面台 図5
  • 特許-洗面台 図6
  • 特許-洗面台 図7
  • 特許-洗面台 図8
  • 特許-洗面台 図9
  • 特許-洗面台 図10
  • 特許-洗面台 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】洗面台
(51)【国際特許分類】
   A47K 1/00 20060101AFI20240507BHJP
   A47B 77/06 20060101ALI20240507BHJP
   E03C 1/05 20060101ALI20240507BHJP
   E03C 1/14 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
A47K1/00 A
A47B77/06
E03C1/05
E03C1/14 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020074188
(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公開番号】P2021168888
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】土屋 亮介
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕志
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 弘明
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-103173(JP,A)
【文献】実開平2-26535(JP,U)
【文献】実開昭60-83439(JP,U)
【文献】特開平11-267052(JP,A)
【文献】実開平5-61258(JP,U)
【文献】特開2019-146034(JP,A)
【文献】実開平5-74384(JP,U)
【文献】特開2019-63053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 1/00
A47B 77/06
E03C 1/10 - 1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水口から供給される水を排水するための排水槽と、開口を有する上面と、を備える洗面台本体と、
前記開口を閉じる閉位置と前記開口を開く開位置との間を移動可能に構成されている蓋と、を備え、
前記蓋は、
前記閉位置から前記排水槽内において下方に移動することによって前記排水槽内に位置する前記開位置に移動し、
前記開位置から上方に移動することによって前記閉位置に移動する、
洗面台。
【請求項2】
給水口から供給される水を排水するための排水槽と、開口を有する上面と、を備える洗面台本体と、
前記開口を閉じる閉位置と前記開口を開く開位置との間を移動可能に構成されている蓋と、を備え、
前記蓋は、
前記閉位置から下方に移動することによって前記開位置に移動し、
前記開位置から上方に移動することによって前記閉位置に移動し、
前記蓋は、水平方向に伸びる揺動軸を中心として揺動可能に構成されており、
前記蓋は、
前記閉位置から前記揺動軸を中心として下方に揺動することによって前記開位置に移動し、
前記開位置から前記揺動軸を中心として上方に揺動することによって前記閉位置に移動する、
面台。
【請求項3】
前記洗面台を正面視する場合に、前記揺動軸は、左右方向に伸びる、請求項2に記載の洗面台。
【請求項4】
前記洗面台を正面視する場合に、前記揺動軸は、前記蓋の手前側の端部に位置する、請求項3に記載の洗面台。
【請求項5】
前記洗面台は、さらに、
前記閉位置と前記開位置との間で前記蓋を移動させる電動アクチュエータを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の洗面台。
【請求項6】
前記電動アクチュエータは、前記閉位置に位置する前記蓋に対して上方から荷重が加えられても、前記蓋が下方に移動しないように構成されている、請求項5に記載の洗面台。
【請求項7】
前記電動アクチュエータは、前記排水槽の外側に配置されている、請求項5又は6に記載の洗面台。
【請求項8】
前記洗面台本体の一部は、前記洗面台本体の他の部分から取り外し可能に構成されており、
前記電動アクチュエータは、前記一部が取り外された状態において、ヒトが前記洗面台本体の外側から接触可能な位置に配置されている、請求項7に記載の洗面台。
【請求項9】
前記洗面台本体の前記上面と前記閉位置に位置する前記蓋の上面とは同一平面上に位置する、請求項1から8のいずれか一項に記載の洗面台。
【請求項10】
給水口から供給される水を排水するための排水槽と、開口を有する上面と、を備える洗面台本体と、
前記開口を閉じる閉位置と前記開口を開く開位置との間を移動可能に構成されている蓋と、を備え、
前記蓋は、
前記閉位置から下方に移動することによって前記開位置に移動し、
前記開位置から上方に移動することによって前記閉位置に移動し、
前記蓋は、前記給水口から供給される水が前記開位置に位置する前記蓋の上面に着弾するように構成されている、
面台。
【請求項11】
洗面台であって、
給水口から供給される水を排水するための排水槽と、開口を有する上面と、を備える洗面台本体と、
前記開口を閉じる閉位置と前記開口を開く開位置との間を移動可能に構成されている蓋と、を備え、
前記蓋は、
前記閉位置から下方に移動することによって前記開位置に移動し、
前記開位置から上方に移動することによって前記閉位置に移動し
前記洗面台は、さらに、
前記開位置に位置する前記蓋の上面に向けて送風する送風機を備える、
面台。
【請求項12】
前記給水口は、前記洗面台本体の前記上面よりも上方に配置されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の洗面台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、洗面台に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、給水口と、給水口から給水される水を排水するための排水槽と、を備える洗面台が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-63053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書は、従来にない新規な洗面台を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示される洗面台は、給水口から供給される水を排水するための排水槽と、開口を有する上面と、を備える洗面台本体と、前記開口を閉じる閉位置と前記開口を開く開位置との間を移動可能に構成されている蓋と、を備えてもよく、前記蓋は、前記閉位置から下方に移動することによって前記開位置に移動し、前記開位置から上方に移動することによって前記閉位置に移動してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】蓋が閉位置に位置する第1実施形態の洗面台の斜視図を示す。
図2】蓋が開位置に位置する第1実施形態の洗面台の斜視図を示す。
図3図1のIII-III線断面図を示す。
図4図2のIV-IV線断面図を示す。
図5図1の領域Vの分解斜視図を示す。
図6】側板が取り外された洗面台の斜視図を示す。
図7】カム機構を説明するための斜視図を示す。
図8】送風機を説明するための斜視図を示す。
図9】蓋が閉位置に位置する第2実施形態の洗面台の断面図を示す。
図10】蓋が開位置に位置する第2実施形態の洗面台の断面図を示す。
図11】ジャッキ機構を説明するための斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に説明する各実施形態では、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」は、それぞれ、ユーザが洗面台を利用する状態、即ち、ユーザが洗面台を正面視した状態における向きを意味する。各図において、x方向は、左右方向を示す。y方向は、上下方向を示す。z方向は、前後方向を示す。
【0008】
(第1実施形態)
(洗面台10の外観構成:図1及び図2
図1及び図2を参照して、洗面台10の外観構成を説明する。洗面台10は、洗面台本体12とミラーキャビネット40とを備える。洗面台本体12とミラーキャビネット40とのそれぞれは、洗面台10が設置される住宅、オフィス等の壁18に固定されている。
【0009】
洗面台本体12は、複数枚の板20~30を備える。複数枚の板20~30は、三枚の天板20~24と三枚の側板26~30とを備える。各天板20~24の前側の端部は、壁18に接触している。各天板20~24の上面は、水平面と平行であり、同一平面上に位置する。即ち、各天板20~24の上面によって、洗面台本体12の上面12aが形成されている。
【0010】
前後方向(即ちz方向)において、中央の天板22の長さは、左右の各天板20,24の長さよりも小さい。天板22は、左右方向(即ちx方向)において、天板20と天板24との間に配置されていると共に、前後方向において、前側(即ち洗面台10を正面視する場合の奥側)に配置されている。従って、図2に示すように、天板20の右端部と天板24の左端部と天板22の後端部との間に開口13が形成されている。即ち、洗面台本体12の上面12aは、開口13を有する。
【0011】
洗面台10は、さらに、蓋32を備える。蓋32は、上記の開口13を開閉するための部材である。図1では、蓋32は、開口13を閉じる閉位置に位置する。図2では、蓋32は、開口13を開く開位置に位置する。蓋32は、閉位置から下方に揺動することによって開位置に移動し、開位置から上方に揺動することによって閉位置に移動する。
【0012】
図1に示すように、閉位置に位置する蓋32の上面32aは、洗面台本体12の上面12a(即ち各天板20~24の上面)と同一平面上に位置する。従って、蓋32が閉位置に位置する場合に、上面32aと上面12aとを含む上面全体の見栄えが良い。且つ、ユーザは、上面32aと上面12aとを含む上面全体の広いスペースを作業台として利用し易い。閉位置に位置する蓋32の上面32aが、洗面台本体12の上面12aと同一平面上に位置するのは一例であり、残水処理を考慮して、閉位置に位置する蓋32の上面32aについて、やや奥側に下り傾斜をつけてもよい。上面32aと上面12aとは、同じ素材によって形成されている。従って、上面32aと上面12aとを含む上面全体の見栄えが良い。
【0013】
ミラーキャビネット40は、洗面台本体12の上方に配置されている。ミラーキャビネット40の後側(即ち洗面台10を正面視する場合の手前側)の面は、ミラーによって構成されている。ミラーキャビネット40は、給水経路41を備える。給水経路41は、給水口42を有する。給水口42は、ミラーキャビネット40の下面よりも下方に位置すると共に、洗面台本体12の上面12aよりも上方に位置する。給水口42は、水栓金具である。
【0014】
(洗面台10の内部構成:図3及び図4
続いて、図3及び図4を参照して、洗面台10の内部構成を説明する。図3は、図1のIII-III線断面図を示す。図4は、図2のIV-IV線断面図を示す。洗面台本体12は、さらに、枠体16を備える。枠体16は、洗面台本体12の枠を構成する部材である。各天板20~24は、枠体16の上端に取り付けられている。各側板26~30は、枠体16の後端(即ち図3及び図4の左側の端)に取り付けられている。特に、中央の側板28は、枠体16に対して着脱可能に取り付けられている。
【0015】
洗面台本体12は、さらに、枠体16内に配置されている排水槽14を備える。枠体16は、前後方向(即ちz方向)に伸びる支持部16aを備える。排水槽14は、支持部16aによって支持されている。排水槽14は、排水口44を有する底壁14aを備える。排水槽14は、給水口42から供給される水を排水口44から排水する。
【0016】
排水槽14は、左右方向(即ちx方向)において、中央の天板22の左端と右端との間に配置されている。排水槽14は、前後方向(即ちz方向)において、中央の天板22の前端と中央の側板28との間に配置されている。従って、洗面台本体12を平面視する場合に、排水槽14と洗面台本体12の開口13とが重複する。即ち、洗面台本体12を平面視する場合に、排水槽14と蓋32とが重複する。
【0017】
排水槽14は、さらに、前壁14bと後壁14cと左壁14dと右壁14eとを備える。右壁14eは、図3及び図4では見えない。後で参照する図5には、右壁14eが示されている。各壁14b~14eは、底壁14aから上方に伸びる。各壁14a~14eによって排水槽14が形成される。
【0018】
洗面台本体12は、さらに、支持板15を備える。支持板15は、排水槽14と一体的に形成されている。支持板15は、排水槽14の底壁14aから後方(即ち図3及び図4の左方向)に伸びる。
【0019】
洗面台10は、さらに、カム機構34を備える。カム機構34は、閉位置と開位置との間で蓋32を移動させる電動アクチュエータである。カム機構34は、支持板15によって支持されている。カム機構34は、排水槽14の後壁14cよりも後方(即ち図3及び図4の左方向)に配置されている。従って、カム機構34は、排水槽14の外側に配置されている。このために、カム機構34は、排水槽14に流れ込む水によって濡れない。
【0020】
給水口42は、左右方向(即ちx方向)において、蓋32の左端と右端との間に配置されている。図4に示すように、給水口42は、前後方向(即ちz方向)において、開位置に位置する蓋32の前端とほぼ同じ位置に配置されている。給水口42は、やや後方に水が吐出されるように構成されている。従って、蓋32が開位置に位置する状態において、給水口42から供給される水は、蓋32の上面32aに着弾する。そして、水は、蓋32の上面32aから排水槽14に流れ込み、その後、排水口44から外部に排水される。即ち、蓋32は、開位置に位置する状態において、排水機能を有すると言える。
【0021】
洗面台10は、さらに、送風機46を備える。送風機46は、風を送るための送風口46aを備える。送風口46aは、開位置に位置する蓋32よりも上方に位置する。従って、送風機46は、開位置に位置する蓋32の上面32aに向けて送風することができる。これにより、蓋32の上面32aに着弾した水が上面32aに残っている場合に、当該水を除去することができる。
【0022】
(蓋32の構成:図5
続いて、図5を参照して、蓋32の構成を詳しく説明する。蓋32は、蓋32の右側面32bの後端部から右方に伸びるピン32sを備える。同様に、蓋32は、蓋32の左側面(図示省略)の後端部から左方に伸びるピン(図示省略)を備える。一対のピン32sは、左右方向に伸びる同軸上に位置する。
【0023】
側板26~30のうちの右側の側板30は、ピン32sを受け入れるためのスリット30sを備える。側板30は、さらに、スリット30sに嵌合する留め具30fを備える。ピン32sは、スリット30s内に挿入される。これにより、蓋32は、側板30によって揺動可能に支持される。その後、留め具30fがスリット30sに挿入される。これにより、ピン32sがスリット30sから抜けることを抑制することができる。同様に、蓋32は、左側の側板26によって揺動可能に支持される。
【0024】
蓋32は、上記の構成を有するので、ピン32sと同軸である揺動軸C1を中心として揺動可能である。揺動軸C1は、左右方向に伸びると共に、蓋32の後端部(即ち洗面台10の手前側の端部)に位置する。従って、蓋32の後端部を中心として蓋32の前端部が下方に移動することによって、蓋32は開位置に移動する。従って、この状態で給水口42から水が供給されると、図4の給水口42から伸びる矢印に示すように、水は、蓋32の前端部から排水槽14に流れ込む。そして、排水口44は、排水槽14内の前側に配置されている。このために、蓋32の前端部から排水槽14に流れ込んだ水が排水口44から排水され易い。本実施形態のように、排水口44を排水槽14内の前側に配置すると、壁18に向かって伸びる排水経路の長さが短くて済む。
【0025】
(カム機構34の構成:図6及び図7
続いて、図6及び図7を参照して、カム機構34の構成を詳しく説明する。カム機構34は、カム板36と蓋モータ38とブラケット39とを備える。ブラケット39は、支持板15の上面に固定されている。蓋モータ38は、ブラケット39によって支持されている。カム板36は、蓋モータ38の駆動シャフトに接続されている。具体的には、カム板36の下端部が駆動シャフトに接続されている。従って、カム板36は、駆動シャフトと同軸である揺動軸C2を中心として揺動可能である。揺動軸C2は、左右方向に伸びる。即ち、揺動軸C2は、蓋32の揺動軸C1(図3図5参照)と平行である。
【0026】
図3及び図4に示すように、カム板36の上端部は、蓋32の下面に接触する。即ち、カム板36は、蓋32を支持する。図3に示すように、カム板36が揺動軸C2から上方向に伸びている状態では、蓋32が閉位置に位置する。図4に示すように、カム板36が揺動軸C2から斜め上方向に伸びている状態では、蓋32が開位置に位置する。
【0027】
図7に示すように、カム板36は、蓋32の揺動をガイドするためのガイド面36gを有する。ガイド面36gは、第1の面36aと第2の面36bとを有する。カム板36が揺動軸C2から上方向に伸びている状態(即ち図3の状態)では、第1の面36aは、水平面と平行である。即ち、第1の面36aは、閉位置に位置する蓋32の下面と平行である。このために、第1の面36aと蓋32の下面とが面的に接触するので、閉位置に位置する蓋32に対して上方から荷重が加えられても、回転力がカム板36に作用するのを抑制することができる。この結果、蓋32に対して上方から荷重が加えられる場合に、蓋32が下方に移動するのを抑制することができる。以下では、カム板36が上方向に伸びている状態(即ち図3の状態)のことを「起立状態」と記載する。
【0028】
第2の面36bは、第1の面36aの後側に配置されており、第1の面36aから下方に向かって湾曲している。起立状態のカム板36が図3の時計回り方向に揺動すると、蓋32の下面が第2の面36bに接触しながら、蓋32が下方に揺動する。これにより、カム板36が揺動軸C2から斜め上方向に伸びている状態(即ち図4の状態)になる。この結果、蓋32が開位置に移動する。以下では、カム板36が斜め上方向に伸びている状態(即ち図4の状態)のことを「斜状態」と記載する。
【0029】
斜状態のカム板36が図4の反時計回り方向に揺動すると、蓋32の下面が第2の面36bに接触しながら、蓋32が上方に揺動する。最終的には、蓋32の下面が第1の面36aに接触し、カム板36が起立状態になる。この結果、蓋32が閉位置に移動する。
【0030】
洗面台10は、さらに、リモコン及びコントローラ(図示省略)を備える。ユーザは、蓋32が閉位置に位置する状態において、リモコンの蓋ボタン(図示省略)を操作する。この場合、コントローラは、駆動シャフトを正方向に回転させるための駆動力を蓋モータ38に供給する。これにより、起立状態のカム板36が揺動し、蓋32が開位置に移動する。ユーザは、蓋32が開位置に位置する状態において、リモコンの上記の蓋ボタンを操作する。この場合、コントローラは、駆動シャフトを負方向に回転させるための駆動力を蓋モータ38に供給する。これにより、斜状態のカム板36が揺動し、蓋32が閉位置に移動する。このように、蓋32を開閉させるための電動アクチュエータであるカム機構34が採用されているので、ユーザがボタン操作を実行すれば、蓋32を自動的に移動させることができる。従って、蓋32を手動で移動させる構成と比べると、ユーザの利便性が向上する。
【0031】
図6に示すように、洗面台10では、中央の側板26を枠体16から取り外すことができる。そして、カム機構34は、枠体16内の後側(即ち洗面台本体12内の手前側)に配置されている。即ち、カム機構34は、側板26が取り外された状態において、ヒトが洗面台本体12の外側から接触可能な位置に配置されている。このために、例えばメンテナンス実施者は、カム機構34のメンテナンス作業を容易に実施することができる。
【0032】
(送風機46の構成:図8
次いで、図8を参照して、送風機46の構成を詳しく説明する。送風機46の送風口46aは、排水槽14の左壁14dに設けられている。送風口46aは、蓋32が開位置に位置する状態において、蓋32の上面32aよりも上方に位置する。特に、送風口46aは、蓋32の上面32aに対して略平行に伸びている。このために、送風機46は、蓋32の上面32aに対して風を適切に送ることができる。送風機46は、送風口46aから斜め前方向に送風可能に構成されている。このために、送風機46は、蓋32上に残った水を蓋32の前端部に誘導することができ、この結果、水を排水槽14に適切に送り込むことができる。排水槽14の左壁14dの送風機46と同様に、排水槽14の右壁14eにも送風機が配置されている。
【0033】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態の構成によると、蓋32が閉位置に位置する場合に、ユーザは、蓋32の上面32aを作業スペースとして利用することができる。蓋32が開位置に位置する場合に、蓋32は下方に位置する。このために、蓋32が開位置に位置する場合に、蓋32が上方に位置する構成と比べると、ユーザは、蓋32の存在が邪魔になることなく、洗面台10を利用することができる。
【0034】
(第2実施形態:図9及び図10
第2実施形態の洗面台10は、第1実施形態のカム機構34に代えて、ジャッキ機構134を備える。ジャッキ機構134は、閉位置と開位置との間で蓋32を移動させる電動アクチュエータである。ジャッキ機構134は、カム機構34が回転運動によって蓋32を揺動させるのに対し、上下方向の屈伸運動によって蓋32を揺動させる。
【0035】
図9は、図1のIII-III線に対応する位置における洗面台10の断面図を示す。図10は、図2のIV-IV線に対応する位置における洗面台10の断面図を示す。ジャッキ機構134は、枠体16の支持部16aによって支持されている。
【0036】
(ジャッキ機構134の構成:図11
図11を参照して、ジャッキ機構134の構成を詳しく説明する。図11では、排水槽14の右壁114eを破線で表現している。ジャッキ機構134は、右壁114eよりも右側に配置されている。即ち、ジャッキ機構134は、排水槽14の外側に配置されている。このために、ジャッキ機構134は、排水槽14に流れ込む水によって濡れない。
【0037】
ジャッキ機構134は、ジャッキ136とジャッキモータ138とを備える。ジャッキ136は、菱型形状を有する四本のアーム部材を備える。各アーム部材は、各支点S1~S4において、他のアーム部材と回動可能に接続されている。ジャッキモータ138の駆動シャフトは、支点S2及び支点S4において、ジャッキ136に取り付けられている。ジャッキ136は、当該駆動シャフトが回転すると、上下方向に屈伸運動を行なう。これにより、ジャッキ136の上部に位置する支点S1は、上下方向に移動する。後で詳しく説明するように、支点S1において、ジャッキ136と蓋32とが接続されている。
【0038】
図9に示すように、ジャッキ136が上下方向に伸びている伸長状態である場合には、支点S1が上方に位置し、蓋32が閉位置に位置する。図10に示すように、ジャッキ136が上下方向に縮んでいる収縮状態である場合には、支点S1が下方に位置し、蓋32が開位置に位置する。以下では、ジャッキ136が伸長状態である場合における支点S1の位置を「伸長位置」と記載し、ジャッキ136が収縮状態である場合における支点S2の位置を「収縮位置」と記載する。
【0039】
ジャッキ136では、ジャッキモータ138の駆動シャフトの回転に起因して、支点S1が伸長位置と収縮位置との間を移動する。従って、ジャッキモータ138が駆動されることなく、閉位置に位置する蓋32に対して上方から荷重が加えられても、支点S1が伸長位置から収縮位置に移動しない。即ち、蓋32に対して上方から荷重が加えられる場合に、蓋32が下方に移動するのを抑制することができる。
【0040】
ジャッキ136は、さらに、支点S1から左方に伸びる第1ピン136fを備える。排水槽14の右壁114eは、第1ピン136fをガイドするための第1ガイド孔114fを備える。第1ガイド孔114fは、上下方向に沿って伸びる。蓋32は、さらに、第1ピン136fが挿入される長孔132hを備える。これらの構成により、第1ピン136fは、第1ガイド孔114fを介して、長孔132hに挿入される。これにより、第1ピン136fは、蓋32を支持することができる。
【0041】
蓋32の右端部には、右方向に伸びる第2ピン132gを備える。排水槽14の右壁114eは、さらに、第2ピン132gをガイドするための第2ガイド孔114gを備える。第2ガイド孔114gは、上下方向に沿って伸びる。
【0042】
上記の構成により、ジャッキ136の支点S1が伸長位置と収縮位置との間を移動する場合に、第1ピン136fは、第1ガイド孔114fに沿ってガイドされると共に、第2ピン132gは、第2ガイド孔114gに沿ってガイドされる。これにより、第1ピン136fによって支持される蓋32は、閉位置と開位置との間を揺動する。蓋32の長孔132hは、前後方向において、第1ピン136fの直径よりも長い。従って、第1ピン136fは、長孔132hに対して前後方向に相対移動しながら、蓋32を揺動させる。
【0043】
図11に示すように、洗面台10では、天板20~24のうちの右側の天板24を枠体16から取り外すことができる。そして、ジャッキ機構134は、排水槽14の右側に配置されている。即ち、ジャッキ機構134は、天板24が取り外された状態において、ヒトが洗面台本体12の外側から接触可能な位置に配置されている。このために、例えばメンテナンスの実施者は、ジャッキ機構134のメンテナンス作業を容易に実施することができる。
【0044】
以上、本明細書が開示する技術の具体例を詳細に説明した。これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。以下に変形例を列挙する。
【0045】
(変形例1)蓋32の移動態様は、上記の実施形態に限られない。例えば、揺動軸C1は、蓋32の前端部(即ち洗面台10を正面視する場合の奥側)に位置してもよい。この場合、蓋32の後端部(即ち洗面台10を正面視する場合の手前側)が下方に移動し、蓋32が開く。別の変形例では、揺動軸C1は、前後方向に伸びていてもよい。この場合、蓋32の右側及び左側の何れかの端部が下方に移動し、蓋32が開く。さらなる別の変形例では、蓋32は、揺動可能に構成されていなくてもよく、上下方向にスライド可能に構成されていてもよい。この場合、排水口44は、例えば、排水槽14の前壁14b(図3等参照)に形成されていてもよい。一般的に言うと、「蓋」は、閉位置から下方に移動することによって開位置に移動可能であると共に、開位置から上方に移動することによって閉位置に移動可能であれば、どのような構成であってもよい。
【0046】
(変形例2)各天板20~24が設けられなくてもよい。この場合、蓋32は、排水槽14の上面に形成されている開口を開閉すればよい。本変形例では、排水槽14の上面、当該上面に形成されている開口が、それぞれ、「上面」、「開口」の一例である。
【0047】
(変形例3)洗面台10は、カム機構34、ジャッキ機構134等のアクチュエータを備えなくてもよい。即ち、蓋32は、ユーザが手動で開位置と閉位置との間を移動させることが可能な構成を有していてもよい。
【0048】
(変形例4)カム機構34は、水平面と平行である第1の面36a(図7参照)を有していなくてもよく、全体が湾曲している上端部を有していてもよい。この場合、閉位置に位置する蓋32に対して上方から荷重が加えられる場合に、蓋32が下方に移動し得る。
【0049】
(変形例5)カム機構34は、排水槽14の内側に配置されていてもよい。この場合、洗面台10の全体のサイズを小さくすることができ得る。
【0050】
(変形例6)第1実施形態において、側板28が取り外し不可能に構成されていてもよい。第2実施形態において、天板24が取り外し不可能に構成されていてもよい。
【0051】
(変形例7)閉位置に位置する蓋32の上面32aは、洗面台本体12の上面12aよりも上方に位置してもよいし下方に位置してもよい。即ち、上面32aと上面12aとが同一平面上に位置しなくてもよい。
【0052】
(変形例8)給水口42から供給される水は、蓋32の上面32aではなく、排水槽14に着弾してもよい。即ち、給水口42と蓋32とは、水が開位置に位置する蓋32の上面32aに着弾しないように構成されていてもよい。
【0053】
(変形例9)給水口42は、洗面台本体12の上面12aよりも下方に配置されてもよい。この場合、給水口42は、排水槽14の内部に位置していてもよい。
【0054】
本明細書、及び図面に説明した技術要素は、単独で、あるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。本明細書及び図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
以下の項目は、出願当初の特許請求の範囲に記載の範囲である。
(項目1)
給水口から供給される水を排水するための排水槽と、開口を有する上面と、を備える洗面台本体と、
前記開口を閉じる閉位置と前記開口を開く開位置との間を移動可能に構成されている蓋と、を備え、
前記蓋は、
前記閉位置から下方に移動することによって前記開位置に移動し、
前記開位置から上方に移動することによって前記閉位置に移動する、
洗面台。
(項目2)
前記蓋は、水平方向に伸びる揺動軸を中心として揺動可能に構成されており、
前記蓋は、
前記閉位置から前記揺動軸を中心として下方に揺動することによって前記開位置に移動し、
前記開位置から前記揺動軸を中心として上方に揺動することによって前記閉位置に移動する、項目1に記載の洗面台。
(項目3)
前記洗面台を正面視する場合に、前記揺動軸は、左右方向に伸びる、項目2に記載の洗面台。
(項目4)
前記洗面台を正面視する場合に、前記揺動軸は、前記蓋の手前側の端部に位置する、項目3に記載の洗面台。
(項目5)
前記洗面台は、さらに、
前記閉位置と前記開位置との間で前記蓋を移動させる電動アクチュエータを備える、項目1から4のいずれか一項に記載の洗面台。
(項目6)
前記電動アクチュエータは、前記閉位置に位置する前記蓋に対して上方から荷重が加えられても、前記蓋が下方に移動しないように構成されている、項目5に記載の洗面台。
(項目7)
前記電動アクチュエータは、前記排水槽の外側に配置されている、項目5又は6に記載の洗面台。
(項目8)
前記洗面台本体の一部は、前記洗面台本体の他の部分から取り外し可能に構成されており、
前記電動アクチュエータは、前記一部が取り外された状態において、ヒトが前記洗面台本体の外側から接触可能な位置に配置されている、項目7に記載の洗面台。
(項目9)
前記洗面台本体の前記上面と前記閉位置に位置する前記蓋の上面とは同一平面上に位置する、項目1から8のいずれか一項に記載の洗面台。
(項目10)
前記蓋は、前記給水口から供給される水が前記開位置に位置する前記蓋の上面に着弾するように構成されている、項目1から9のいずれか一項に記載の洗面台。
(項目11)
前記洗面台は、さらに、
前記開位置に位置する前記蓋の上面に向けて送風する送風機を備える、項目1から10のいずれか一項に記載の洗面台。
(項目12)
前記給水口は、前記洗面台本体の前記上面よりも上方に配置されている、項目1から11のいずれか一項に記載の洗面台。
【符号の説明】
【0055】
10:洗面台、12:洗面台本体、12a:洗面台本体の上面、13:開口、14:排水槽、32:蓋、32a:蓋の上面、34:カム機構、42:給水口、46:送風機、134:ジャッキ機構、C1:揺動軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11