IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 市光工業株式会社の特許一覧 ▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車両用灯具 図1
  • 特許-車両用灯具 図2
  • 特許-車両用灯具 図3
  • 特許-車両用灯具 図4
  • 特許-車両用灯具 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/241 20180101AFI20240507BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20240507BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20240507BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20240507BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20240507BHJP
【FI】
F21S43/241
F21S43/14
F21W103:00
F21W103:20
F21W103:35
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020094444
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021190308
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 章幸
(72)【発明者】
【氏名】大篠 裕
(72)【発明者】
【氏名】宇井 智明
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-049232(JP,A)
【文献】実開平06-068213(JP,U)
【文献】特開2019-050142(JP,A)
【文献】特開2011-198659(JP,A)
【文献】特開2016-021313(JP,A)
【文献】特開2013-058325(JP,A)
【文献】特開2014-127356(JP,A)
【文献】特開2015-170387(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0003438(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/241
F21S 43/14
F21W 103/00
F21W 103/20
F21W 103/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する光源と、
前記光源からの前記光を導光して一部の光を車両搭載状態における正面方向に出射し、一部の光を前記正面方向に対する側面方向の一方側に出射する導光体と、
前記導光体から前記正面方向に出射された前記光が入射する正面側入射面と、前記導光体から前記側面方向の一方側に出射された前記光が入射する側方入射面と、前記側方入射面から入射した前記光を前記正面方向に対して前記側面方向の一方側とは反対側の他方側に傾いた傾斜方向に向けて内面反射する屈折面と、前記正面側入射面から入射した前記光を前記正面方向に出射し前記屈折面によって前記傾斜方向に内面反射された前記光を前記傾斜方向に出射する出射面とを有するインナーレンズと
を備える車両用灯具。
【請求項2】
前記導光体は、前記出射面から前記正面方向に突出する突起部を有し、
前記突起部は、前記光の一部を前記側面方向の一方側に内面反射する側方反射面と、前記側方反射面で内面反射された前記光の一部を出射する側方出射面とを有する
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記側方入射面は、前記側方出射面に対して前記側面方向に対向するように前記正面側入射面から背面側に向けて延びている
請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記屈折面は、前記側方入射面の背面側の端部から前記側面方向の一方側に延び出して正面側に向けて湾曲する湾曲部を有する
請求項1又は請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記屈折面は、前記湾曲部の正面側の端部と前記出射面との間に配置された平面部を有する
求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記湾曲部は、接平面が正面側から背面側にかけて前記側面方向の他方側に傾斜するように湾曲しており、
前記平面部は、前記湾曲部との接続部分から前記正面側にかけて前記側面方向の他方側に傾斜している
請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記側面方向の一方側は、車両外側であり、
前記側面方向の他方側は、車両内側である
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
光源からの光を導光体によって導光し、インナーレンズを介して正面方向に出射する車両用灯具が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-92010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の車両用灯具では、例えば灯室の設計等に応じて、インナーレンズの正面側に周辺部材等が配置される場合がある。この場合、正面方向に対する傾斜方向から車両用灯具を見ると、インナーレンズから出射される光が周辺部材で遮光されて視認できないことがある。
【0005】
これに対して、例えば、インナーレンズから出射される光が周辺部材で遮光されないように、インナーレンズの正面側にプリズム等を配置し、周辺部材を迂回させて傾斜方向に光を出射する構成等が考えられる。しかしながら、この場合、プリズム等の構成が外部から見えてしまうため、見栄えが低下してしまう。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、正面方向に対する傾斜方向からの視認性を確保しつつ見栄えの低下を回避することが可能な車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用灯具は、光を出射する光源と、前記光源からの前記光を導光して一部の光を車両搭載状態における正面方向に出射し、一部の光を前記正面方向に対する側面方向の一方側に出射する導光体と、前記導光体から前記正面方向に出射された前記光が入射する正面側入射面と、前記導光体から前記側面方向の一方側に出射された前記光が入射する側方入射面と、前記側方入射面から入射した前記光を前記正面方向に対して前記側面方向の一方側とは反対側の他方側に傾いた傾斜方向に向けて内面反射する屈折面と、前記正面側入射面から入射した前記光を前記正面方向に出射し前記屈折面によって前記傾斜方向に内面反射された前記光を前記傾斜方向に出射する出射面とを有するインナーレンズとを備える。
【0008】
また、前記導光体は、前記出射面から前記正面方向に突出する突起部を有し、前記突起部は、前記光の一部を前記側面方向の一方側に内面反射する側方反射面と、前記側方反射面で内面反射された前記光の一部を出射する側方出射面とを有してもよい。
【0009】
また、前記側方入射面は、前記側方出射面に対して前記側面方向に対向するように前記正面側入射面から背面側に向けて延びていてもよい。
【0010】
また、前記屈折面は、前記側方入射面の背面側の端部から前記側面方向の一方側に延び出して正面側に向けて湾曲する湾曲部を有してもよい。
【0011】
また、前記屈折面は、前記湾曲部の正面側の端部と前記出射面との間に配置された平面部を有してもよい。
【0012】
また、前記湾曲部は、接平面が正面側から背面側にかけて前記側面方向の他方側に傾斜するように湾曲しており、前記平面部は、前記湾曲部との接続部分から前記正面側にかけて前記側面方向の他方側に傾斜していてもよい。
【0013】
また、前記側面方向の一方側は、車両外側であり、前記側面方向の他方側は、車両内側であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、正面方向に対する傾斜方向からの視認性を確保しつつ見栄えの低下を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態に係る車両の一例を示す側面図である。
図2図2は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を模式的に示す図である。
図3図3は、図2における要部を拡大して示す図である。
図4図4は、図3における要部を拡大して示す図である。
図5図5は、車両用灯具の動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る車両用灯具の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0017】
図1は、本実施形態に係る車両1の一例を示す側面図である。図1に示すように、車両1は、車体2と、走行装置3と、車両用灯具100とを備える。車体2は、運転者が搭乗する運転室を有する。車体2は、走行装置3に支持される。走行装置3は、タイヤ4が装着されるホイール5と、車両1の進行方向を変えるための操舵装置と、走行装置3を減速又は停止させるためのブレーキ装置とを有する。走行装置3は、エンジンが発生する動力により作動する。車両1は、車体2の側部に設けられる乗降用ドア6と、車体2の後部に設けられるバックドア7とを備える。乗降用ドア6及びバックドア7はそれぞれ、ヒンジ機構を介して車体2に移動可能に支持される。
【0018】
以下の説明においては、車両1が水平面と平行な地面に配置されることとし、運転室に搭乗した運転者を基準として、前、後、上、下、左、及び右という用語を用いて各部の位置関係について説明する。前後、上下、左右の各方向は、車両用灯具が車両に搭載された車両搭載状態における方向であって、運転席から車両の進行方向を見た場合における方向を示す。なお、本実施形態では、上下方向は鉛直方向に平行であり、前後方向及び左右方向は水平方向に平行であるとする。
【0019】
上下方向は、所定面と直交する方向である。左右方向は、直進状態の車両1のホイール5の回転軸と平行な方向である。前後方向は、上下方向及び左右方向のそれぞれと直交する方向である。本実施形態において、車両外側は、左右方向において中心から遠い部位又は中心から離れる方向を意味し、車両内側は、左右方向において中心に近い部位又は中心に向かう方向を意味する。
【0020】
本実施形態において、車両用灯具100は、車体2の後部の左側及び右側のそれぞれに設けられる。本実施形態では、車両用灯具100が車体2の後部に設けられる。そのため、前後方向の後方を車両用灯具100の正面方向とし、前後方向の前方を車両用灯具100の背面方向とし、左右方向の左方及び右方を側面方向として説明する。
【0021】
車体2の後部の左側に設けられる車両用灯具100の構造と車体2の後部の右側に設けられる車両用灯具100の構造とは、左右方向について対称であり、実質的に同一の構造である。以下、車体2の後部の左側に設けられる車両用灯具100について主に説明し、車体2の後部の右側に設けられる車両用灯具100についての説明は簡略又は省略する。
【0022】
車両用灯具100は、例えば車両1の進行方向を周囲に示すために点灯するターンシグナルランプ、ヘッドランプの点灯と連動して点灯するテールランプ、ブレーキ装置の作動と連動して点灯するストップランプ、又はこれらの組み合わせ等が挙げられる。
【0023】
図2は、本実施形態に係る車両用灯具100の一例を模式的に示す図である。図2は、水平面に平行な平面による断面に沿った構成を示している。図2に示すように、車両用灯具100は、光源10と、導光体20と、インナーレンズ30と、アウターレンズ40と、ハウジング50とを有する。車両用灯具100は、例えば不図示の光源、導光体20A、インナーレンズ30A、アウターレンズ40A及びハウジング50Aを有する他の車両用灯具100A等と共に灯室内に配置される。なお、本実施形態に係る車両用灯具100が配置される灯室には、他の車両用灯具100Aは配置されなくてもよい。
【0024】
図3は、図2における要部を拡大して示す図である。図2及び図3に示すように、光源10は、例えばLED等の半導体型光源である。光源10は、光を出射する発光面11を有する。発光面11は、後述の導光体20の入射面21に対向して配置される。車両用灯具100がターンシグナルランプとして用いられる場合、光源10は、発光面11から例えば橙色(アンバー)の光を出射する。
【0025】
図4は、図3における要部を拡大して示す図である。図2から図4に示すように、導光体20は、光源10からの光を導光して正面側に出射する。導光体20は、入射面21と、正面側出射面22と、突起部23とを有する。入射面21は、光源10の発光面11に対向して配置され、発光面11からの光が入射する。正面側出射面22は、入射面21から入射した光を正面方向に出射する。
【0026】
突起部23は、正面側出射面22の一部に設けられる。突起部23は、正面側出射面22から正面側に突出した状態で設けられる。突起部23は、側方反射面24と、側方出射面25とを有する。
【0027】
側方反射面24は、入射面21から入射した光の一部を側面方向の一方側に内面反射する。本実施形態において、側面方向の一方側は、車両外側である。つまり、本実施形態において、側方反射面24は、入射面21から入射した光の一部を車両外側に向けて内面反射する。車両の後部左側に配置される車両用灯具100において、側面方向の一方側は、左側である。車両の後部右側に配置される車両用灯具100において、側面方向の一方側は、右側である。
【0028】
側方出射面25は、側方反射面24で反射された光を側面方向の一方側、つまり車両外側に出射する。このように、導光体20は、突起部23の側方反射面24及び側方出射面25により、入射面21から入射した光の一部を車両外側(側面方向の一方側)に出射する。
【0029】
インナーレンズ30は、正面側入射面31と、側方入射面32と、屈折面33と、出射面34とを有する。正面側入射面31は、導光体20の正面側出射面22から出射された光が入射する。
【0030】
側方入射面32は、導光体20から車両外側に向けて出射された光が入射する。側方入射面32は、正面側入射面31の車両外側の端部から背面側に向けて延び出している。側方入射面32は、例えば背面側に向けて車両外側に傾斜した平面状であるが、これに限定されず、湾曲した形状等であってもよい。側方入射面32は、導光体20の側方出射面25に対向して配置される。
【0031】
屈折面33は、側方入射面32から入射した光を、正面方向に対して側面方向の他方側に傾いた傾斜方向Dに向けて内面反射する。側面方向の他方側は、上記した側面方向について一方側とは反対側である。本実施形態において、側面方向の他方側は、車両内側である。車両の後部左側に配置される車両用灯具100において、側面方向の他方側は、右側である。車両の後部右側に配置される車両用灯具100において、側面方向の他方側は、左側である。
【0032】
傾斜方向Dは、正面方向に対して車両内側に所定角度θだけ傾いた方向である。この場合、所定角度θは、例えば45°以上とすることができる。
【0033】
屈折面33は、湾曲部35と、折り返し部36と、平面部37とを有する。湾曲部35は、側方入射面32の背面側の端部から車両外側に延び出している。湾曲部35は、背面側に凸となるように、正面側に向けて湾曲している。湾曲部35は、側方入射面32から入射した光を内面反射する。本実施形態において、例えば、側方入射面32から入射する光L2は、複数の反射位置L2a、L2bにおいて内面反射する。
【0034】
平面部37は、湾曲部35と出射面34との間に配置される。平面部37は、折り返し部36において湾曲部35と接続される。平面部37は、湾曲部35で内面反射された光を車両内側に向けて内面反射する。
【0035】
湾曲部35は、正面側の端部から背面側の端部にかけて仮想の接平面が車両内側に傾斜するように配置される。また、平面部37は、背面側から正面側にかけて車両内側に傾斜している。このため、折り返し部36には、湾曲部35と平面部37とにより角部が形成される。
【0036】
出射面34は、正面側入射面31から入射した光を正面方向に出射し、屈折面33によって傾斜方向Dに内面反射された光を傾斜方向Dに出射する。
【0037】
上記のインナーレンズ30は、例えば型を用いた成型法により製造することができる。上記のように、インナーレンズ30は、湾曲部35が折り返し部36から背面側に向けて車両内側に傾いた形状となっている。また、インナーレンズ30は、平面部37が折り返し部36から正面側に向けて車両内側に傾いた形状となっている。つまり、湾曲部35及び平面部37は、折り返し部36から離れるに従って車両内側に傾いた形状となっている。そこで、例えば、折り返し部36を基準として、湾曲部35側に対応する第1型と、平面部37側に対応する第2型とを用いることができる。この場合、型抜きの際には、第1型と第2型とを反対方向に引き抜くことが可能となる。これにより、インナーレンズ30を容易に製造できる。
【0038】
アウターレンズ40は、インナーレンズ30から出射された光を透過して車両の正面側に照射する。アウターレンズ40は、後述するランプハウジング57と共に灯室を形成する。
【0039】
ハウジング50は、内部51に光源10及び導光体20を収容する。ハウジング50は、基部52と、壁部53と、取り付け部54とを有する。基部52は、ハウジング50の背面側に配置される。壁部53は、基部52の左右方向の両端から正面側に延びている。取り付け部54は、ネジ部材55及びワッシャ56を介してランプハウジング57に固定される。
【0040】
また、灯室内には、車両用灯具100の周辺に周辺部材60が配置される。周辺部材60は、インナーレンズ30の正面側に配置され、正面方向から見た場合にインナーレンズ30の車両内側の一部を覆うように配置される。
【0041】
次に、上記のように構成された車両用灯具100の動作の一例を説明する。図5は、車両用灯具100の動作の一例を示す図である。運転者によって車両側の方向指示器の操作又はハザードスイッチの操作等、所定の操作が行われた場合、車両用灯具100は、当該操作に応じて、光源10の発光面11から光を出射する。
【0042】
発光面11から出射された光は、入射面21から導光体20に入射し、導光体20によって導光される。図5に示すように、例えば、一部の光L1は、正面側出射面22から正面側に出射され、インナーレンズ30の正面側入射面31に入射する。この光L1は、出射面34から正面方向に出射される。出射面34から出射された光L1は、アウターレンズ40を透過して車両の正面方向(後方)に照射される。
【0043】
本実施形態では、灯室内に周辺部材60が配置される。周辺部材60が配置されることにより、例えばインナーレンズ30の出射面34から正面方向の車両内側に向けて出射される光L3は、周辺部材60によって遮光又は反射され、車両1の後方には照射されないことになる。このため、例えば傾斜方向Dから車両1の後部を見た場合、光L3は視認できないことになる。
【0044】
これに対して、本実施形態では、一部の光L2が導光体20の側方反射面24により車両外側に反射され、側方出射面25から車両外側に向けて出射される。この光L2は、インナーレンズ30の側方入射面32から入射し、屈折面33の湾曲部35及び平面部37において内面反射され、傾斜方向Dに向けて出射面34から出射される。このため、傾斜方向Dから車両1の後部を見た場合、当該光L2が視認可能となる。したがって、例えば灯室内に周辺部材60が配置される場合であっても、インナーレンズ30の正面側に別途プリズム等を配置することなく、車両用灯具100によって照射される光を傾斜方向Dから視認することができる。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る車両用灯具100は、光を出射する光源10と、光源10からの光を導光して一部の光を車両搭載状態における正面方向に出射し、一部の光を正面方向に対する側面方向の一方側に出射する導光体20と、導光体20から正面方向に出射された光が入射する正面側入射面31と、導光体20から側面方向の一方側に出射された光が入射する側方入射面32と、側方入射面32から入射した光を正面方向に対して側面方向の一方側とは反対側の他方側に傾いた傾斜方向Dに向けて内面反射する屈折面33と、正面側入射面31から入射した光を正面方向に出射し屈折面33によって傾斜方向Dに内面反射された光を傾斜方向Dに出射する出射面34とを有するインナーレンズ30とを備える。
【0046】
この構成によれば、導光体20で導光される一部の光L2がインナーレンズ30の側方入射面32から入射し、屈折面33によって傾斜方向Dに向けて内面反射されて出射面34から傾斜方向Dに出射される。このため、傾斜方向Dから車両の後部を見た場合、当該傾斜方向Dに出射される光L2を視認できる。したがって、例えば別途プリズム等を配置しなくても、出射面34から出射される光L2を傾斜方向Dから視認することができる。これにより、傾斜方向Dからの視認性を確保しつつ、車両用灯具100の見栄えの低下を回避することができる。
【0047】
本実施形態に係る車両用灯具100において、導光体20は、出射面34から正面方向に突出する突起部23を有し、突起部23は、光の一部を側面方向の一方側に内面反射する側方反射面24と、側方反射面24で内面反射された光の一部を出射する側方出射面25とを有する。この構成によれば、導光体20によって導光される光の一部を確実に側面方向の一方側に出射することができる。
【0048】
本実施形態に係る車両用灯具100において、側方入射面32は、側方出射面25に対して側面方向に対向するように正面側入射面31から背面側に向けて延びている。この構成によれば、側方出射面25から出射される光を確実に側方入射面32に入射させることができるため、光の損失を抑制できる。
【0049】
本実施形態に係る車両用灯具100において、屈折面33は、側方入射面32の背面側の端部から側面方向の一方側に延び出して正面側に向けて湾曲する湾曲部35を有する。この構成によれば、湾曲部35によって光を複数段階に内面反射することが可能となる。これにより、側方入射面32から入射した光を確実に傾斜方向に向けることができる。
【0050】
本実施形態に係る車両用灯具100において、屈折面33は、湾曲部35の正面側の端部と出射面34との間に配置された平面部37を有する。この構成によれば、湾曲部35によって内面反射された光を平面部37で内面反射することにより、確実に傾斜方向に向けることができる。
【0051】
本実施形態に係る車両用灯具100において、湾曲部35は、接平面が正面側から背面側にかけて側面方向の他方側に傾斜するように湾曲しており、平面部37は、正面方向の背面側から正面側にかけて側面方向の他方側に傾斜している。この構成によれば、湾曲部35及び平面部37のそれぞれが、互いの接続部分である折り返し部36から離れるに従って側面方向の他方側に傾斜した形状となる。このため、インナーレンズ30を成型により製造する場合、湾曲部35と平面部37との接続部分である折り返し部36を基準として、湾曲部35側と平面部37側とで型を分離させることができる。これにより、インナーレンズ30を容易に製造できる。
【0052】
本実施形態に係る車両用灯具100において、側面方向の一方側は、車両外側であり、側面方向の他方側は、車両内側である。これにより、正面方向に対して車両内側に傾いた方向から車両の後部を見た場合でも、出射面34から出射される光を視認できる。
【0053】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態において、側面方向の一方側を車両外側とし、側面方向の他方側を車両内側として説明したが、これに限定されない。例えば、側面方向の一方側が車両内側であり、側面方向の他方側が車両外側であっても同様の説明が可能である。
【0054】
また、上記実施形態において、湾曲部35と平面部37とが折り返し部36において角部を形成するように接続された構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。湾曲部35と平面部37とが滑らかに接続された構成であってもよい。
【0055】
また、上記実施形態において、屈折面33が湾曲部35と平面部37とを有する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、屈折面33が湾曲した部分及び平面状の部分の一方のみを有する構成であってもよい。
【0056】
また、上記実施形態において、側方入射面32が側方出射面25に対して側面方向に対向するように正面側入射面31から背面側に向けて延びた構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、正面側入射面31と連続した平面の一部を側方入射面32とする構成であってもよい。
【0057】
また、上記実施形態において、導光体20が突起部23を有し、突起部23において光の一部を側面方向の一方側に出射する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。導光体20は、光の一部を側面方向の一方側に出射可能であれば、例えば凹部等のような突起部以外の構成を有するものであってもよい。
【符号の説明】
【0058】
D…傾斜方向、L1,L2,L3…光、L2a,L2b…反射位置、1…車両、2…車体、3…走行装置、4…タイヤ、5…ホイール、6…乗降用ドア、7…バックドア、10…光源、11…発光面、20,20A…導光体、21…入射面、22…正面側出射面、23…突起部、24…側方反射面、25…側方出射面、30,30A…インナーレンズ、31…正面側入射面、32…側方入射面、33…屈折面、34…出射面、35…湾曲部、36…折り返し部、37…平面部、40,40A…アウターレンズ、50,50A…ハウジング、51…内部、52…基部、53…壁部、54…取り付け部、55…ネジ部材、56…ワッシャ、57…ランプハウジング、60…周辺部材、100,100A…車両用灯具
図1
図2
図3
図4
図5