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特許7482690加熱調理システム、加熱調理方法、学習装置および学習方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】加熱調理システム、加熱調理方法、学習装置および学習方法
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20240507BHJP
   F24C 7/04 20210101ALI20240507BHJP
   H05B 6/12 20060101ALI20240507BHJP
   F24C 15/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
F24C3/12 L
F24C3/12 E
F24C3/12 X
F24C7/04 301A
F24C3/12 Z
H05B6/12 313
H05B6/12 312
F24C15/00 M
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020097819
(22)【出願日】2020-06-04
(65)【公開番号】P2021188883
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 喜輝
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-192357(JP,A)
【文献】特開2017-224171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
F24C 7/04
H05B 6/12
F24C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱対象物を加熱する加熱部と、
前記加熱対象物を加熱している前記加熱部の近傍の状態を含む画像である加熱部近傍画像を撮像可能に構成されている撮像装置から、前記加熱部近傍画像を取得する画像取得部と、
前記加熱部の近傍の温度である近傍温度を、前記加熱部近傍画像に基づいて推定するための機械学習を行った学習済みの学習器に、前記画像取得部が取得した前記加熱部近傍画像を入力し、前記学習済みの学習器の演算処理を実行することで、前記近傍温度を前記学習器から取得する近傍温度推定部と、
前記近傍温度推定部が推定した前記近傍温度に基づいて、前記近傍温度に関する情報である近傍温度情報をユーザに報知する近傍温度情報報知部と、を備えている、加熱調理システム。
【請求項2】
前記加熱部が前記加熱対象物に対して行った加熱に関する情報である加熱情報を取得する加熱情報取得部をさらに備えており、
前記学習器は、前記加熱情報にも基づいて前記近傍温度を推定するための機械学習を行っており、
前記近傍温度推定部は、前記加熱情報取得部が取得した前記加熱情報も前記学習器に入力し、前記学習済みの学習器の演算処理を実行することで、前記近傍温度を前記学習器から取得する、請求項1に記載の加熱調理システム。
【請求項3】
前記加熱情報は、前記加熱部が前記加熱対象物に対する加熱を終了してから経過した時間である加熱後経過時間を含んでいる、請求項2に記載の加熱調理システム。
【請求項4】
前記撮像装置は、前記ユーザの状態を含む画像であるユーザ状態画像も撮像可能に構成されており、
前記画像取得部は、前記撮像装置から前記ユーザ状態画像も取得し、
前記近傍温度推定部によって推定された前記近傍温度に基づいて、前記加熱対象物近傍における高温領域を特定するとともに、前記画像取得部が取得した前記ユーザ状態画像に基づいて、前記ユーザが前記高温領域に侵入したか否かを検知するユーザ侵入検知部をさらに備えており、
前記近傍温度情報報知部は、前記ユーザ侵入検知部が前記高温領域に前記ユーザが侵入したことを検知した場合に、前記ユーザに対して警告する、請求項1から3のいずれか一項に記載の加熱調理システム。
【請求項5】
前記加熱対象物に関する情報である加熱対象物情報を取得する加熱対象物情報取得部をさらに備えており、
前記学習器は、前記加熱対象物情報にも基づいて前記近傍温度を推定するための機械学習を行っており、
前記近傍温度推定部は、前記加熱対象物情報取得部が取得した前記加熱対象物情報も前記学習器に入力し、前記学習済みの学習器の演算処理を実行することで、前記近傍温度を前記学習器から取得する、請求項1から4のいずれか一項に記載の加熱調理システム。
【請求項6】
前記加熱対象物情報は、前記加熱部の上方に載置される調理容器に関する情報である調理容器情報と、前記加熱部によって調理される調理メニューに関する情報である調理メニュー情報と、前記加熱対象物の温度である加熱対象物温度と、のうちの少なくとも一つを含んでいる、請求項5に記載の加熱調理システム。
【請求項7】
コンピュータが、
加熱対象物を加熱している加熱部の近傍の状態を含む画像である加熱部近傍画像を撮像可能に構成されている撮像装置から、前記加熱部近傍画像を取得する画像取得ステップと、
前記加熱部の近傍の温度である近傍温度を、前記加熱部近傍画像に基づいて推定するための機械学習を行った学習済みの学習器に、前記画像取得ステップで取得した前記加熱部近傍画像を入力し、前記学習済みの学習器の演算処理を実行することで、前記近傍温度を前記学習器から取得する近傍温度推定ステップと、
前記近傍温度推定ステップで取得した前記近傍温度に基づいて、前記近傍温度に関する情報である近傍温度情報をユーザに報知する近傍温度情報報知ステップと、を実行する、加熱調理方法。
【請求項8】
前記コンピュータが、前記加熱部が前記加熱対象物に対して行った加熱に関する情報である加熱情報を取得する加熱情報取得ステップをさらに実行し、
前記学習器は、前記加熱情報にも基づいて前記近傍温度を推定するための機械学習を行っており、
前記コンピュータは、前記近傍温度推定ステップにおいて、前記加熱情報取得ステップで取得した前記加熱情報も前記学習器に入力し、前記学習済みの学習器の演算処理を実行することで、前記近傍温度を前記学習器から取得する、請求項7に記載の加熱調理方法。
【請求項9】
前記加熱情報は、前記加熱部が前記加熱対象物に対する加熱を終了してから経過した時間である加熱後経過時間を含んでいる、請求項8に記載の加熱調理方法。
【請求項10】
前記撮像装置は、前記ユーザの状態を含む画像であるユーザ状態画像も撮像可能に構成されており、
前記コンピュータは、
前記画像取得ステップにおいて、前記撮像装置から前記ユーザ状態画像も取得し、
前記近傍温度推定ステップで推定された前記近傍温度に基づいて、前記加熱対象物近傍における高温領域を特定するとともに、前記画像取得ステップで取得した前記ユーザ状態画像に基づいて、前記ユーザが前記高温領域に侵入したか否かを検知するユーザ侵入検知ステップをさらに実行し、
前記近傍温度情報報知ステップにおいて、前記ユーザ侵入検知ステップで前記高温領域に前記ユーザが侵入したことを検知した場合に、前記ユーザに対して警告する、請求項7から9のいずれか一項に記載の加熱調理方法。
【請求項11】
前記コンピュータは、
前記加熱対象物に関する情報である加熱対象物情報を取得する加熱対象物情報取得ステップをさらに実行し、
前記学習器は、前記加熱対象物情報にも基づいて前記近傍温度を推定するための機械学習を行っており、
前記コンピュータは、前記近傍温度推定ステップにおいて、前記加熱対象物情報取得ステップで取得した前記加熱対象物情報も前記学習器に入力し、前記学習済みの学習器の演算処理を実行することで、前記近傍温度を前記学習器から取得する、請求項7から10のいずれか一項に記載の加熱調理方法。
【請求項12】
前記加熱対象物情報は、前記加熱部の上方に載置される調理容器に関する情報である調理容器情報と、前記加熱部によって調理される調理メニューに関する情報である調理メニュー情報と、前記加熱対象物の温度である加熱対象物温度と、のうちの少なくとも一つを含んでいる、請求項11に記載の加熱調理方法。
【請求項13】
加熱対象物を加熱する加熱部の近傍の温度である近傍温度と、前記近傍温度に対応付けられており、前記加熱対象物を加熱している前記加熱部の近傍の状態を含む画像である加熱部近傍画像を撮像可能に構成されている撮像装置から取得する前記加熱部近傍画像と、を含む学習データを取得する学習データ取得部と、
前記加熱部近傍画像を含む入力に対して、前記近傍温度に対応する出力を得るように学習器の機械学習を行う学習処理部と、を備えている、学習装置。
【請求項14】
前記学習データは、前記近傍温度に対応付けられており、前記加熱部が前記加熱対象物に対して行った加熱に関する情報である加熱情報をさらに含んでおり、
前記学習器の前記機械学習における前記入力が、前記加熱情報も含む、請求項13に記載の学習装置。
【請求項15】
前記加熱情報は、前記加熱部が前記加熱対象物に対する加熱を終了してから経過した時間である加熱後経過時間を含んでいる、請求項14に記載の学習装置。
【請求項16】
前記学習データは、前記近傍温度に対応付けられており、前記加熱対象物に関する情報である加熱対象物情報をさらに含んでおり、
前記学習器の前記機械学習における前記入力が、前記加熱対象物情報も含む、請求項13から15のいずれか一項に記載の学習装置。
【請求項17】
前記加熱対象物情報は、前記加熱部の上方に載置される調理容器に関する情報である調理容器情報と、前記加熱部によって調理される調理メニューに関する情報である調理メニュー情報と、前記加熱対象物の温度である加熱対象物温度と、のうちの少なくとも一つを含んでいる、請求項16に記載の学習装置。
【請求項18】
コンピュータが、
加熱対象物を加熱する加熱部の近傍の温度である近傍温度と、前記近傍温度に対応付けられており、前記加熱対象物を加熱している前記加熱部の近傍の状態を含む画像である加熱部近傍画像を撮像可能に構成されている撮像装置から取得する前記加熱部近傍画像と、を含む学習データを取得する学習データ取得ステップと、
前記加熱部近傍画像を含む入力に対して、前記近傍温度に対応する出力を得るように学習器の機械学習を行う学習処理ステップと、を実行する、学習方法。
【請求項19】
前記学習データは、前記近傍温度に対応付けられており、前記加熱部が前記加熱対象物に対して行った加熱に関する情報である加熱情報をさらに含んでおり、
前記学習器の前記機械学習における前記入力が、前記加熱情報も含む、請求項18に記載の学習方法。
【請求項20】
前記加熱情報は、前記加熱部が前記加熱対象物に対する加熱を終了してから経過した時間である加熱後経過時間を含んでいる、請求項19に記載の学習方法。
【請求項21】
前記学習データは、前記近傍温度に対応付けられており、前記加熱対象物に関する情報である加熱対象物情報をさらに含んでおり、
前記学習器の前記機械学習における前記入力が、前記加熱対象物情報も含む、請求項18から20のいずれか一項に記載の学習方法。
【請求項22】
前記加熱対象物情報は、前記加熱部の上方に載置される調理容器に関する情報である調理容器情報と、前記加熱部によって調理される調理メニューに関する情報である調理メニュー情報と、前記加熱対象物の温度である加熱対象物温度と、のうちの少なくとも一つを含んでいる、請求項21に記載の学習方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、加熱調理システム、加熱調理方法、学習装置および学習方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、加熱部(例えば、バーナ)の加熱量の影響を受ける加熱部の近傍(特許文献1では、加熱調理器上領域と称している)の画像を撮像し、撮像した画像から加熱量が過多の状態になっていると判定される場合に、加熱部の加熱量を減少させる加熱制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-230148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の加熱制御装置は、調理容器を加熱する火炎が調理容器の外周縁から所定の大きさ以上の大きさではみ出した場合に、加熱量が過多の状態になっていると判定する。その場合、特許文献1の加熱制御装置は、加熱部の加熱量を減少させるので、加熱部が加熱を行っている時のユーザの安全を確保することができる。しかしながら、加熱部の近傍は、加熱停止後であっても、加熱時の余熱により一定時間高温状態となる。このため、特に加熱停止後において、ユーザは、加熱部の近傍が高温状態だと認識できずに加熱部の近傍に接触するおそれがある。本明細書では、加熱停止後であっても、ユーザに加熱部の近傍の温度を報知することができる加熱調理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する加熱調理システムは、加熱部と、画像取得部と、近傍温度推定部と、近傍温度情報報知部と、を備えている。前記加熱部は、加熱対象物を加熱する。前記画像取得部は、前記加熱対象物を加熱している前記加熱部の近傍の状態を含む画像である加熱部近傍画像を撮像可能に構成されている撮像装置から、前記加熱部近傍画像を取得する。前記近傍温度推定部は、前記加熱部の近傍の温度である近傍温度を、前記加熱部近傍画像に基づいて推定するための機械学習を行った学習済みの学習器に、前記画像取得部が取得した前記加熱部近傍画像を入力し、前記学習済みの学習器の演算処理を実行することで、前記近傍温度を前記学習器から取得する。前記近傍温度情報報知部は、前記近傍温度推定部が推定した前記近傍温度に基づいて、前記近傍温度に関する情報である近傍温度情報をユーザに報知する。
【0006】
上記した加熱調理システムによれば、加熱部の近傍の状態を含む画像である加熱部近傍画像に基づいて近傍温度を推定する。このため、上記した加熱量値システムは、加熱停止後であっても、ユーザに加熱部の近傍温度を報知することができる。
【0007】
上記一側面に係る加熱調理システムは、前記加熱部が前記加熱対象物に対して行った加熱に関する情報である加熱情報を取得する加熱情報取得部をさらに備えていてもよい。その場合、前記学習器は、前記加熱情報にも基づいて前記近傍温度を推定するための機械学習を行ってもよい。前記近傍温度推定部は、前記加熱情報取得部が取得した前記加熱情報も前記学習器に入力し、前記学習済みの学習器の演算処理を実行することで、前記近傍温度を前記学習器から取得してもよい。
【0008】
例えば、加熱部が加熱対象物を加熱した加熱量が大きい場合には、近傍温度は高くなる。一方、加熱部が加熱対象物を加熱した加熱量が小さい場合には、近傍温度は低くなる。また、加熱部が加熱対象物を加熱した加熱時間が長い場合には、近傍温度は高くなる。一方、加熱部が加熱対象物を加熱した加熱時間が短い場合は、近傍温度は低くなる。このように、加熱部が加熱対象物に対して行った加熱に関する情報である加熱情報は、近傍温度に影響を与える。上記の加熱調理システムによれば、近傍温度に影響を与える加熱情報にも基づいて近傍温度を推定することで、近傍温度の推定精度を向上させることができる。
【0009】
上記一側面に係る加熱調理システムでは、前記加熱情報は、前記加熱部が前記加熱対象物に対する加熱を終了してから経過した時間である加熱後経過時間を含んでもよい。
【0010】
例えば、加熱後経過時間が短い場合には、加熱部が加熱対象物を加熱した余熱がまだ加熱部の近傍に残存しているため、近傍温度は高くなる。一方、加熱後経過時間が長い場合には、余熱が放熱されるため、近傍温度は低くなる。このように、加熱後経過時間は、近傍温度に影響を与える。上記の加熱調理システムによれば、近傍温度に影響を与える加熱後経過時間にも基づいて近傍温度を推定することで、近傍温度の推定精度を向上させることができる。
【0011】
上記一側面に係る加熱調理システムでは、前記撮像装置は、前記ユーザの状態を含む画像であるユーザ状態画像も撮像可能に構成されていてもよい。その場合、前記画像取得部は、前記撮像装置から前記ユーザ状態画像も取得してもよい。さらに、上記一側面に係る加熱調理システムは、前記近傍温度推定部によって推定された前記近傍温度に基づいて、前記加熱対象物近傍における高温領域を特定するとともに、前記画像取得部が取得した前記ユーザ状態画像に基づいて、前記ユーザが前記高温領域に侵入したか否かを検知するユーザ侵入検知部をさらに備えていてもよい。その場合、前記近傍温度情報報知部は、前記ユーザ侵入検知部が前記高温領域に前記ユーザが侵入したことを検知した場合に、前記ユーザに対して警告してもよい。
【0012】
上記の加熱調理システムによれば、高温領域にユーザが侵入した場合にユーザに対して警告することで、ユーザに高温領域に侵入したことを報知することができる。
【0013】
上記一側面に係る加熱調理システムは、前記加熱対象物に関する情報である加熱対象物情報を取得する加熱対象物情報取得部をさらに備えていてもよい。その場合、前記学習器は、前記加熱対象物情報にも基づいて前記近傍温度を推定するための機械学習を行ってもよい。前記近傍温度推定部は、前記加熱対象物情報取得部が取得した前記加熱対象物情報も前記学習器に入力し、前記学習済みの学習器の演算処理を実行することで、前記近傍温度を前記学習器から取得してもよい。
【0014】
上記の加熱調理システムによれば、加熱対象物情報にも基づいて近傍温度を推定することで、近傍温度の推定精度を向上させることができる。
【0015】
上記一側面に係る加熱調理システムでは、前記加熱対象物情報は、前記加熱部の上方に載置される調理容器に関する情報である調理容器情報と、前記加熱部によって調理される調理メニューに関する情報である調理メニュー情報と、前記加熱対象物の温度である加熱対象物温度と、のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0016】
例えば、加熱部が加熱する調理容器のサイズが大きい場合には、調理容器の輻射熱の影響を受ける範囲が広くなるため、近傍温度が高温になる範囲が広くなる。一方、調理容器のサイズが小さい場合には、輻射熱の影響を受ける範囲が狭くなるため、近傍温度が高温になる範囲が狭くなる。このように、調理容器情報は、近傍温度の高温になる範囲の大きさに影響を与える。上記の加熱調理システムによれば、近傍温度に影響を与える調理容器情報にも基づいて近傍温度を推定することで、近傍温度の推定精度を向上させることができる。
【0017】
また、例えば、加熱部が調理する調理メニューが異なれば、加熱部の加熱量も異なる。加熱部の加熱量が大きくなれば、近傍温度は高くなり、加熱部の加熱量が小さくなれば、近傍温度は低くなる。すなわち、調理メニュー情報は、近傍温度に影響を与える。上記の加熱調理システムによれば、近傍温度に影響を与える調理メニュー情報にも基づいて近傍温度を推定することで、近傍温度の推定精度を向上させることができる。
【0018】
さらに、加熱対象物温度が高ければ、近傍温度も高くなる。一方、加熱対象物温度が低ければ、近傍温度も低くなる。すなわち、加熱対象物温度と近傍温度は相関関係を有する。上記の加熱調理システムによれば、近傍温度と相関関係を有する加熱対象物温度にも基づいて近傍温度を推定することで、近傍温度の推定精度を向上させることができる。
【0019】
本明細書が開示する加熱調理方法では、コンピュータが、画像取得ステップと、近傍温度推定ステップと、近傍温度情報報知ステップと、を実行してもよい。画像取得ステップでは、コンピュータが、加熱対象物を加熱している加熱部の近傍の状態を含む画像である加熱部近傍画像を撮像可能に構成されている撮像装置から、前記加熱部近傍画像を取得する。近傍温度推定ステップでは、コンピュータが、前記加熱部の近傍の温度である近傍温度を、前記加熱部近傍画像に基づいて推定するための機械学習を行った学習済みの学習器に、前記画像取得ステップで取得した前記加熱部近傍画像を入力し、前記学習済みの学習器の演算処理を実行することで、前記近傍温度を前記学習器から取得する。近傍温度情報報知ステップでは、前記近傍温度推定ステップで取得した前記近傍温度に基づいて、前記近傍温度に関する情報である近傍温度情報をユーザに報知する。
【0020】
上記一側面に係る加熱調理方法では、前記コンピュータが、前記加熱部が前記加熱対象物に対して行った加熱に関する情報である加熱情報を取得する加熱情報取得ステップをさらに実行してもよい。その場合、前記学習器は、前記加熱情報にも基づいて前記近傍温度を推定するための機械学習を行ってもよい。前記コンピュータは、前記近傍温度推定ステップにおいて、前記加熱情報取得ステップで取得した前記加熱情報も前記学習器に入力し、前記学習済みの学習器の演算処理を実行することで、前記近傍温度を前記学習器から取得してもよい。
【0021】
上記一側面に係る加熱調理方法では、前記加熱情報は、前記加熱部が前記加熱対象物に対する加熱を終了してから経過した時間である加熱後経過時間を含んでもよい。
【0022】
上記一側面に係る加熱調理方法では、前記撮像装置は、前記ユーザの状態を含む画像であるユーザ状態画像も撮像可能に構成されていてもよい。その場合、前記コンピュータは、前記画像取得ステップにおいて、前記撮像装置から前記ユーザ状態画像も取得し、前記近傍温度推定ステップで推定された前記近傍温度に基づいて、前記加熱対象物近傍における高温領域を特定するとともに、前記画像取得ステップで取得した前記ユーザ状態画像に基づいて、前記ユーザが前記高温領域に侵入したか否かを検知するユーザ侵入検知ステップをさらに実行してもよい。さらに、コンピュータは、前記近傍温度情報報知ステップにおいて、前記ユーザ侵入検知ステップで前記高温領域に前記ユーザが侵入したことを検知した場合に、前記ユーザに対して警告してもよい。
【0023】
上記一側面に係る加熱調理方法では、前記コンピュータは、前記加熱対象物に関する情報である加熱対象物情報を取得する加熱対象物情報取得ステップをさらに実行してもよい。その場合、前記学習器は、前記加熱対象物情報にも基づいて前記近傍温度を推定するための機械学習を行ってもよい。前記コンピュータは、前記近傍温度推定ステップにおいて、前記加熱対象物情報取得ステップで取得した前記加熱対象物情報も前記学習器に入力し、前記学習済みの学習器の演算処理を実行することで、前記近傍温度を前記学習器から取得してもよい。
【0024】
上記一側面に係る加熱調理方法では、前記加熱対象物情報は、前記加熱部の上方に載置される調理容器に関する情報である調理容器情報と、前記加熱部によって調理される調理メニューに関する情報である調理メニュー情報と、前記加熱対象物の温度である加熱対象物温度と、のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0025】
本明細書が開示する学習装置は、学習データ取得部と、学習処理部と、を備えてもよい。学習データ取得部は、加熱対象物を加熱する加熱部の近傍の温度である近傍温度と、前記近傍温度に対応付けられており、前記加熱対象物を加熱している前記加熱部の近傍の状態を含む画像である加熱部近傍画像を撮像可能に構成されている撮像装置から取得する前記加熱部近傍画像と、を含む学習データを取得する。学習処理部は、前記加熱部近傍画像を含む入力に対して、前記近傍温度に対応する出力を得るように学習器の機械学習を行う。
【0026】
上記の学習装置によれば、加熱部近傍画像に基づいて近傍温度を推定するための学習済みの学習器を構築することができる。
【0027】
上記一側面に係る学習装置では、前記学習データは、前記近傍温度に対応付けられており、前記加熱部が前記加熱対象物に対して行った加熱に関する情報である加熱情報をさらに含んでもよい。その場合、前記学習器の前記機械学習における前記入力が、前記加熱情報も含んでいてもよい。
【0028】
上記の学習装置によれば、加熱情報にも基づいて近傍温度を推定するための学習済みの学習器を構築することができる。
【0029】
上記一側面に係る学習装置では、前記加熱情報は、前記加熱部が前記加熱対象物に対する加熱を終了してから経過した時間である加熱後経過時間を含んでもよい。
【0030】
上記の学習装置によれば、加熱後経過時間を含む加熱情報にも基づいて近傍温度を推定するための学習済みの学習器を構築することができる。
【0031】
上記一側面に係る学習装置では、前記学習データは、前記近傍温度に対応付けられており、前記加熱対象物に関する情報である加熱対象物情報をさらに含んでもよい。その場合、前記学習器の前記機械学習における前記入力が、前記加熱対象物情報も含んでいてもよい。
【0032】
上記の学習装置によれば、加熱対象物情報にも基づいて近傍温度を推定するための学習済みの学習器を構築することができる。
【0033】
上記一側面に係る学習装置では、前記加熱対象物情報は、前記加熱部の上方に載置される調理容器に関する情報である調理容器情報と、前記加熱部によって調理される調理メニューに関する情報である調理メニュー情報と、前記加熱対象物の温度である加熱対象物温度と、のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0034】
上記の学習装置によれば、調理容器情報と、調理メニュー情報と、加熱対象物温度と、のうちの少なくとも一つを含む加熱対象物情報にも基づいて近傍温度を推定するための学習済みの学習器を構築することができる。
【0035】
本明細書が開示する学習方法は、コンピュータが、学習データ取得ステップと、学習処理ステップと、を実行してもよい。学習データ取得ステップでは、コンピュータが、加熱対象物を加熱する加熱部の近傍の温度である近傍温度と、前記近傍温度に対応付けられており、前記加熱対象物を加熱している前記加熱部の近傍の状態を含む画像である加熱部近傍画像を撮像可能に構成されている撮像装置から取得する前記加熱部近傍画像と、を含む学習データを取得する。学習処理ステップでは、コンピュータが、前記加熱部近傍画像を含む入力に対して、前記近傍温度に対応する出力を得るように学習器の機械学習を行う。
【0036】
上記一側面に係る学習方法では、前記学習データは、前記近傍温度に対応付けられており、前記加熱部が前記加熱対象物に対して行った加熱に関する情報である加熱情報をさらに含んでもよい。その場合、前記学習器の前記機械学習における前記入力が、前記加熱情報も含んでいてもよい。
【0037】
上記一側面に係る学習方法では、前記加熱情報は、前記加熱部が前記加熱対象物に対する加熱を終了してから経過した時間である加熱後経過時間を含んでもよい。
【0038】
上記一側面に係る学習方法では、前記学習データは、前記近傍温度に対応付けられており、前記加熱対象物に関する情報である加熱対象物情報をさらに含んでもよい。その場合、前記学習器の前記機械学習における前記入力が、前記加熱対象物情報も含んでいてもよい。
【0039】
上記一側面に係る学習方法では、前記加熱対象物情報は、前記加熱部の上方に載置される調理容器に関する情報である調理容器情報と、前記加熱部によって調理される調理メニューに関する情報である調理メニュー情報と、前記加熱対象物の温度である加熱対象物温度と、のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0040】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】一側面に係る実施形態の加熱調理システムの斜視図を示す。
図2】加熱調理システムのハードウェアの構成を示す。
図3】学習装置のハードウェアの構成を示す。
図4】制御装置のソフトウェアの構成を示す。
図5】学習装置のソフトウェアの構成を示す。
図6】加熱中の加熱調理器の平面図を示す。
図7】加熱後の加熱調理器の平面図を示す。
図8】制御装置が実行する処理のフロー図を示す。
図9】学習装置が実行する処理のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
(実施形態)
図1は、一側面に係る実施形態の加熱調理システム2を模式的に示した斜視図である。図1に示されるように、加熱調理システム2は、レンジフード4と、加熱調理器10を備えている。加熱調理器10は、システムキッチンに組み込んで使用されるガス燃焼式のビルトインコンロである。レンジフード4は、加熱調理器10の上方に配置された換気装置である。
【0043】
加熱調理器10の天板10uには、第1コンロ11aと、第2コンロ11bと、第3コンロ11cと、グリル28に連通する排気口17が配置されている。また、加熱調理器10の前側(すなわち、図1の右側)の面である前面10fには、コンロ操作部20と、グリル28が設けられている。本明細書では、理解を助けるため、加熱調理器10の前面10fが設けられている側を単に「前側」と表現し、その反対側を単に「後側」と表現することがある。また、前側と後側を結ぶ方向を前後方向とする。前後方向と直交する水平方向の左右については、加熱調理器10の前側に位置し、前面10fと対向するユーザの右側および左側と同様とする。また、加熱調理器10の前面10fの左側には、グリル28内のグリルバーナ29a(図2参照)を操作するグリル操作部が設けられているが、本明細書では説明を省略する。
【0044】
第1コンロ11aと、第2コンロ11bと、第3コンロ11cは、天板10uの上面に前後方向に2列に配置されている。第1コンロ11aは、第1コンロバーナ12aと、第1センサ14aと、五徳16aを備えている。第1コンロバーナ12aには、ガス供給路(図示省略)が接続されている。ガス供給路には、第1コンロバーナ12aへのガス供給量を調整するための流量調整弁(図示省略)が設けられている。第1コンロバーナ12aは、第1コンロバーナ12aにガスが供給されている状態でイグナイタ(図示省略)を動作させることによって点火する。第1コンロ11aは、点火した第1コンロバーナ12aによって、上方に載置される鍋やフライパン等の調理容器を加熱する。第1コンロバーナ12aへのガス供給量を調整することにより、第1コンロバーナ12aの加熱量を調整することができる。また、第1コンロバーナ12aへのガスの供給が停止されることにより、第1コンロバーナ12aは消火される。なお、第2コンロ11bが備えている第2コンロバーナ12bと、第3コンロ11cが備えている第3コンロバーナ12cも、第1コンロバーナ12aと同様の構造を有している。
【0045】
第1センサ14aは、第1コンロ11aの上方に載置される調理容器の存在を検出するとともに、第1コンロ11aの第1コンロバーナ12aによって加熱される調理容器の温度を検出する。すなわち、第1センサ14aは、第1コンロバーナ12aの加熱対象物(例えば、調理容器)の温度を測定する。第1コンロ11aの上に調理容器が載置されると、第1センサ14aが調理容器によって押圧される。第1センサ14aは、調理容器によって押圧されると、第1コンロ11aの上方に調理容器が載置されたことを検知する。第1コンロ11aの上に調理容器が載置されていない場合は、第1センサ14aが押圧されない。第1センサ14a内には熱電対が配置されており、第1センサ14aに接触している調理容器の温度を測定することができる。なお、第2コンロ11bが備えている第2センサ14bと、第3コンロ11cが備えている第3センサ14cも、第1センサ14aと同様の構造を有する。また、五徳16a~16cは、それぞれのコンロの上方に載置される調理容器を、それぞれのコンロバーナから一定の距離離間させた状態で支持する。
【0046】
コンロ操作部20は、加熱調理器10の電源スイッチ24と、第1加熱量操作部20aと、第2加熱量操作部20bと、第3加熱量操作部20cと、パネル操作部22を備えている。電源スイッチ24は、加熱調理器10を起動させるスイッチであり、電源スイッチ24をオンすることで各コンロバーナへの点火が可能になる。第1加熱量操作部20aは、第1コンロ11aに対応する。同様に、第2加熱量操作部20bは第2コンロ11bに対応し、第3加熱量操作部20cは第3コンロ11cに対応する。第1加熱量操作部20aは、第1コンロバーナ12aの点火および消火を行うとともに、第1コンロバーナ12aの加熱量の調整を行うためのオルタネイト型のスイッチである。第2加熱量操作部20bと第3加熱量操作部20cも、第1加熱量操作部20aと同様の構造を有している。
【0047】
パネル操作部22には、各コンロバーナ(すなわち、第1コンロバーナ12a、第2コンロバーナ12b、第3コンロバーナ12c)、およびグリルバーナ29a(図2参照)の動作状態などが表示される。ユーザは、パネル操作部22によって各コンロバーナおよびグリルバーナ29aを所定の時間経過後に消火する、消火タイマーの設定等をすることができる。
【0048】
加熱調理器10は、制御装置40を内部に収容している。制御装置40は、第1コンロ11aと、第2コンロ11bと、第3コンロ11cと、グリル28内のグリルバーナ29a(図2参照)の火力(すなわち、加熱量)を自動制御するためのコンピュータである。制御装置40は、インターネットを介して、学習装置30に接続されている。制御装置40および学習装置30の詳細については後述する。
【0049】
レンジフード4は、内部に不図示のファンを収容している。レンジフード4は、ファンを下方から覆うレンジカバー6と、カメラ8と、スピーカ9cと、を備えている。カメラ8は、レンジカバー6の後側中央部に配置されている。カメラ8の中央部には、レンズが配置されている。詳細は後述するが、カメラ8は、加熱調理器10の天板10uとその近傍の状態を含む画像を、上方から撮像可能に構成されている。カメラ8が画像を撮像する技術については、既知であるためここでは説明を省略する。レンジフード4の前面の左側端部には、スピーカ9cが配置されている。詳細は後述するが、スピーカ9cは、加熱調理器10のユーザに音声を伝える。
【0050】
図2を参照して、加熱調理システム2が備えている制御構成について説明する。なお、図2では、第1コンロ11aの第1コンロバーナ12aのみを記載して、第2コンロバーナ12bと第3コンロバーナ12cの記載を省略している。同様に、図2では、第1コンロ11aの第1センサ14aのみを記載して、第2センサ14bと第3センサ14cの記載を省略している。電源スイッチ24がオンされると、コンロ操作部20、パネル操作部22、制御装置40等が起動する。
【0051】
制御装置40は、ハードウェアプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を備えている。コンロ操作部20が操作されると、その操作に基づいて、制御装置40は、第1コンロバーナ12aの火力を調整する。制御装置40は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)により構成される。
【0052】
制御装置40は、例えばRAM,ROM等で構成されている学習記憶部46と、報知パターン記憶部48と、外部インターフェース(図2では外部I/Fと記載されている)42と、を備えている。学習記憶部46は、プログラム46pと、学習結果データ32rを記憶している。プログラム46pは、制御装置40に、カメラ8が撮像した画像に対する近傍温度を推定する処理を実行させるための命令を含んでいる。ここで、近傍温度とは、各コンロバーナおよびグリルバーナ29aの近傍における温度分布に関する情報を意味する。近傍温度は、所定の温度以上となる領域およびその最大温度に関する情報を含んでいる。学習結果データ32rは、学習済みの学習器の設定を行うためのデータであり、図1に示す学習装置30で生成され、インターネットを介して制御装置40に送信される。なお、近傍温度は、各コンロバーナおよびグリルバーナ29aの近傍における所定範囲内の最大温度に関する情報を含んでもよい。
【0053】
図2に示す制御装置40が備える報知パターン記憶部48には、近傍温度と、近傍温度に対応する報知パターンによって構成された報知パターンテーブル48tが格納されている。報知パターン記憶部48は、近傍温度を「常温」、「中温」、「高温」の3段階に分類して報知パターンテーブル48tに記憶している。報知パターン記憶部48は、近傍温度の3段階のそれぞれに対応する報知パターン「パターンA」、「パターンB」、「パターンC」を、報知パターンテーブル48tに記憶している。制御装置40は、推定された近傍温度が「常温」の場合には、例えば、「第1コンロバーナ12aの近傍は、常温です」(パターンA)という音声を、スピーカ9cを介してユーザに報知する。これにより、制御装置40は、ユーザに対して、加熱していた第1コンロバーナ12aが常温に冷めたことを報知することができる。また、推定された近傍温度が「中温」の場合には、例えば、「第1コンロバーナ12aの近傍は、少し熱くなっています」(パターンB)という音声を、スピーカ9cを介してユーザに報知する。これにより、制御装置40は、ユーザに対して、加熱していた第1コンロバーナ12aがまだ完全に冷めていないことを報知することができる。さらに、推定された近傍温度が「高温(侵入無)」の場合には、例えば、「第1コンロバーナ12aの近傍は、とても熱くなっています」(パターンC)という音声を、スピーカ9cを介してユーザに報知する。これにより、制御装置40は、ユーザに対して、加熱していた第1コンロバーナ12aがまだ熱いことを報知することができる。なお、近傍温度が「高温(侵入有)」に該当する場合については、図7を参照して後述する。近傍温度の分類は、上記の3段階に限定されず、少なくとも2段階(すなわち、高温か否か)に分類されていればよい。近傍温度は、近傍の範囲の広さや温度の分類の仕方等によって、さらに多段階に分類されてもよい。また、報知パターンテーブル48tは、加熱調理器10の製造時に報知パターン記憶部48に予め記憶されていてもよいし、外部サーバ(図示省略)との通信が可能な外部インターフェース42を介して、外部サーバからダウンロードして報知パターン記憶部48に記憶されていてもよい。
【0054】
外部インターフェース42は、制御装置40と外部の装置を接続するインターフェースである。図2に示されるように、外部インターフェース42は、制御装置40と、カメラ8およびスピーカ9cを接続する。外部インターフェース42は、例えば、Wi-Fi(登録商標)方式によって、カメラ8およびスピーカ9cに接続される。
【0055】
図3を参照して、学習装置30について説明する。学習装置30は、記憶部32と、入力装置34iと、出力装置34оと、制御部36と、通信インターフェース(図3では、通信I/Fと記載している)38と、ドライブ39を備えている。図3に示されるように、学習装置30は、各デバイスが電気的に接続されているコンピュータである。
【0056】
制御部36は、ハードウェアプロセッサであるCPU、RAM、ROM等を含み、プログラムおよびデータに基づいて各種情報処理を実行するように構成される。記憶部32は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等で構成される。記憶部32は、制御部36で実行される学習プログラム32p、学習器の機械学習に利用する学習データ32d、学習プログラム32pを実行して作成した学習結果データ32rを記憶する。
【0057】
学習プログラム32pは、後述する機械学習の処理(図9)を学習装置30に実行させ、当該機械学習の結果として学習結果データ32rを生成させるためのプログラムである。学習データ32dは、入力された情報から近傍温度を推定するように学習器の機械学習を行うためのデータである。詳細は後述する。
【0058】
通信インターフェース38は、例えば、有線LAN(Local Area Network)モジュール、無線LANモジュール等であり、ネットワークを介した有線又は無線通信を行うためのインターフェースである。学習装置30は、当該通信インターフェース38を介して、作成した学習結果データ32rを外部の装置に配信してもよい。
【0059】
入力装置34iは、例えば、マウス、キーボード等の入力を行うための装置である。また、出力装置34оは、例えば、ディスプレイ、スピーカ等の出力を行うための装置である。学習装置30のオペレータは、入力装置34iおよび出力装置34оを介して、学習装置30を操作することができる。
【0060】
ドライブ39は、例えば、CDドライブ、DVDドライブ等であり、記憶媒体30mに記憶されたプログラムを読み込むためのドライブ装置である。ドライブ39の種類は、記憶媒体30mの種類に応じて適宜選択されてよい。上記学習プログラム32pおよび学習結果データ32rは、この記憶媒体30mに記憶されていてもよい。
【0061】
記憶媒体30mは、コンピュータその他の装置、機械等が記録されたプログラム等の情報を読み取り可能なように、当該プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって蓄積する媒体である。学習装置30は、この記憶媒体30mから、学習プログラム32p、学習データ32dを取得してもよい。
【0062】
図3では、記憶媒体30mの一例として、CD、DVD等のディスク型の記憶媒体を例示している。しかしながら、記憶媒体30mは、ディスク型に限定されない。記憶媒体30mは、例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリであってもよい。
【0063】
なお、学習装置30の具体的なハードウェア構成に関しては、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換および追加が可能である。例えば、制御部36は、複数のハードウェアプロセッサを含んでもよい。ハードウェアプロセッサは、マイクロプロセッサ、FPGA(field-programmable gate array)等で構成されてよい。学習装置30は、複数台の情報処理装置で構成されてもよい。また、学習装置30は、提供されるサービス専用に設計された情報処理装置の他、汎用のサーバ装置、PC(Personal Computer)等であってもよい。
【0064】
図4を参照して、制御装置40の制御構成について説明する。図4は、制御装置40の制御構成を模式的に示している。
【0065】
制御装置40は、学習記憶部46に記憶されたプログラム46pをRAMに展開する。制御装置40は、RAMに展開されたプログラム46pをCPUにより解釈および実行して、各構成要素を制御する。これによって、図4に示されるとおり、制御装置40は、ソフトウェアモジュールとして、画像取得部51、画像解析部52、解像度変換部53、加熱情報取得部54、近傍温度推定部55、報知部56、ユーザ侵入検知部57、および加熱対象物温度取得部59を備えるコンピュータとして構成される。
【0066】
画像取得部51は、カメラ8から撮像画像9iを取得する。詳細は図6を参照して説明するが、撮像画像9iには、各コンロバーナの火炎の状態、各コンロの上方に載置されている調理容器の状態、調理容器内の被調理物の状態等が含まれる。すなわち、撮像画像9iには、加熱調理器10の各コンロバーナおよびグリルバーナ29aの近傍の状態が含まれている。さらに、撮像画像9iには、各コンロバーナおよびグリルバーナ29aの近傍に接近しているユーザの手の状態も含まれる。
【0067】
画像解析部52は、画像取得部51が取得した撮像画像9iを解析して、撮像画像9iから加熱対象物に関する情報である解析加熱対象物情報52bを抽出する。また、加熱情報取得部54は、加熱調理器10の各コンロバーナから、加熱量の総量として、加熱量と、加熱が開始されてからの経過時間である加熱時間と、を加熱情報54iとして取得する。加熱対象物温度取得部59は、加熱調理器10の各コンロのセンサ(図1参照)から、各コンロバーナによって加熱される加熱対象物の温度である加熱対象物温度59tを取得する。なお、加熱情報取得部54は、各コンロバーナの加熱が終了している場合には、加熱を終了してから経過した時間である加熱後経過時間も加熱情報54iとして取得する。取得された解析加熱対象物情報52b、加熱情報54iおよび加熱対象物温度59tは、補足情報60としてニューラルネットワーク70に入力される。
【0068】
詳細は図6を参照して説明するが、解析加熱対象物情報52bには、加熱部で加熱される調理容器(図6の鍋86a、フライパン87a)、加熱部に載置される食材(図6の被調理物87m、28m)が含まれる。このような情報を含む解析加熱対象物情報52bを補足情報60としてニューラルネットワーク70に入力することで、解析加熱対象物情報52bを近傍温度の推定の条件に加えることができる。なお、制御装置40が、調理メニューに応じて火力を自動で調整する自動加熱制御が可能な場合には、ユーザが設定した調理メニューも加熱対象物情報として補足情報60に含んでもよい。これにより、調理メニューに対応する加熱量からも近傍温度を推定することができる。さらに、制御装置40が、調理容器の種類、大きさ等の情報をユーザによって設定可能に構成されている場合には、ユーザが設定した調理容器に関する情報も、加熱対象物情報として補足情報60に含んでもよい。これにより、ユーザが設定した調理容器に関する情報からも近傍温度を推定することができる。
【0069】
加熱情報54iに含まれる加熱量が大きい場合には、近傍温度は高くなる。一方、加熱量が小さい場合には、近傍温度は低くなる。同様に、加熱情報54iに含まれる加熱時間が長ければ近傍温度は高くなり、短ければ近傍温度は低くなる。すなわち、加熱量の総量が大きい場合には、近傍温度は高くなり、加熱量の総量が小さい場合には、近傍温度は低くなる。加熱が終了している場合には、加熱情報54iに含まれる加熱後経過時間が長ければ近傍温度が低くなり、短ければ近傍温度は高くなる。このような情報を含んでいる加熱情報54iを補足情報60としてニューラルネットワーク70に入力することで、加熱情報54iを近傍温度の推定の条件に加えることができる。その結果、近傍温度の推定精度が向上する。
【0070】
さらに、加熱対象物温度取得部59が取得した加熱対象物温度59tが高ければ近傍温度が高くなり、低ければ近傍温度は低くなる。上記の加熱情報54iに加えて、加熱対象物温度59tを補足情報60としてニューラルネットワーク70に入力することで、加熱対象物温度59tを近傍温度の推定の条件に加えることができる。その結果、近傍温度の推定精度がさらに向上する。
【0071】
解像度変換部53は、画像取得部51により取得した撮像画像9iの解像度を低下させる。これにより、解像度変換部53は、低解像度撮像画像62を生成する。
【0072】
近傍温度推定部55は、近傍温度を推定するための機械学習を行った学習済みの学習器(ニューラルネットワーク70)に、撮像画像9iを低解像度化することで得られた低解像度撮像画像62を入力する。また、上記した補足情報60も、ニューラルネットワーク70に入力される。これにより、近傍温度推定部55は、近傍温度情報64を学習器から取得する。低解像度化することで得られた低解像度撮像画像62をニューラルネットワーク70に入力することで、ニューラルネットワーク70の演算処理の計算量を低減することができ、プロセッサの負荷を低減することができる。なお、低解像度化の処理は省略されてもよい。この場合、近傍温度推定部55は、撮像画像9iを学習器(ニューラルネットワーク70)に入力してもよい。
【0073】
近傍温度情報64は、各コンロバーナおよびグリルバーナ29a(図2参照)の近傍の温度分布と近傍における最大温度を含んでいる。近傍温度情報64に含まれる最大温度は、図2の報知パターン記憶部48が記憶している報知パターンテーブル48tの3段階(すなわち、「常温」、「中温」、「高温」)に分類される。報知部56は、近傍温度推定部55が学習器から取得した近傍温度情報64の3段階に対応する報知パターンで、スピーカ9cを介して音声を発生する。これにより、制御装置40は、撮像画像9iおよび補足情報60から推定された近傍温度に基づいて、近傍温度に関する情報(すなわち、上記したパターンA~C)をユーザに報知することができる。
【0074】
ユーザ侵入検知部57は、撮像画像9iを解析したユーザ情報52uを取得する。ユーザ情報52uには、例えば図7に示されるように、第1コンロ11aの上方に載置された鍋86aに接近しているユーザの手90の位置が含まれる。また、ユーザ侵入検知部57は、近傍温度情報64から、各コンロ近傍の温度分布および最大温度を取得する。ユーザ侵入検知部57は、近傍温度情報64に含まれる最大温度が上記した報知パターンテーブル48tの「高温」に分類される場合、近傍温度情報64に含まれる温度分布とユーザ情報52uを照合する。ユーザ侵入検知部57は、図7に示されるように、最大温度が「高温」に分類される温度分布の範囲(例えば、図7の第1高温領域15a)にユーザの手90の位置が含まれる場合に、ユーザの手90が高温領域に侵入したと判定する。このように、制御装置40のユーザ侵入検知部57は、ユーザ情報52uと推定された近傍温度に基づいて、ユーザが高温領域に侵入したか否かを検知する。なお、ユーザ侵入検知部57は、報知パターンテーブル48tの3段階とは関係なく、近傍温度情報64に含まれる最大温度が所定のしきい値を超えた場合に、しきい値温度を超えている領域を特定し、ユーザ情報52uと照合してもよい。
【0075】
また、報知部56は、ユーザ侵入検知部57がユーザの高温領域への侵入を検知した場合に、「危険です」(図2の報知パターンテーブル48tの「パターンD」)という音声を、スピーカ9cを介してユーザに報知する。これにより、報知部56は、ユーザに対して高温領域に侵入したことを伝える。なお、ユーザ侵入検知部57がユーザの高温領域への侵入を検知した場合には、ユーザの接近が危険であるため、例えば警告音等、特に大きな音でスピーカ9cを介してユーザに報知してもよい。また、スピーカ9cは、レンジフード4ではなく、加熱調理器10に配置されていてもよい。さらに、報知部56は、離れた場所に位置する別のユーザに伝えるために、別のユーザの携帯端末(図示省略)にメッセージを表示してもよい。
【0076】
図4に示されるとおり、制御装置40は、近傍温度情報64を推定するための機械学習を行った学習済みの学習器として、ニューラルネットワーク70を利用する。ニューラルネットワーク70は、複数種類のニューラルネットワークを組み合わせることで構成されている。
【0077】
ニューラルネットワーク70は、全結合ニューラルネットワーク72、畳み込みニューラルネットワーク74、結合層76、およびLSTMネットワーク78の4つの部分に分かれている。全結合ニューラルネットワーク72および畳み込みニューラルネットワーク74は入力側に並列に配置されており、全結合ニューラルネットワーク72には補足情報60が入力され、畳み込みニューラルネットワーク74には低解像度撮像画像62が入力される。結合層76は、全結合ニューラルネットワーク72および畳み込みニューラルネットワーク74の出力を結合する。LSTMネットワーク78は、結合層76からの出力を受けて、近傍温度情報64を出力する。
【0078】
全結合ニューラルネットワーク72は、いわゆる多層構造のニューラルネットワークであり、入力側から順に、入力層72i、中間層(隠れ層)72m、および出力層72оを備えている。ただし、全結合ニューラルネットワーク72の層の数は、このような例に限定されなくてもよく、実施形態に応じて適宜選択されてよい。
【0079】
全結合ニューラルネットワーク72の各層72i、72m、72оは、1又は複数のニューロン(ノード)を備えている。各層に含まれるニューロンの個数は、実施形態に応じて適宜設定されてよい。各層に含まれる各ニューロンが、隣接する層に含まれる全てのニューロンに結合されていることで、全結合ニューラルネットワーク72は構成される。各結合には、重み(結合荷重)が適宜設定されている。
【0080】
畳み込みニューラルネットワーク74は、畳み込み層74aおよびプーリング層74bを交互に接続した構造を有する順伝播型ニューラルネットワークである。本実施形態に係る畳み込みニューラルネットワーク74では、複数の畳み込み層74aおよびプーリング層74bが入力側に交互に配置されている。そして、最も出力側に配置されたプーリング層74bの出力が全結合層74cに入力され、全結合層74cの出力が出力層74оに入力される。
【0081】
畳み込み層74aは、画像の畳み込みの演算を行う層である。画像の畳み込みとは、画像と所定のフィルタとの相関を算出する処理に相当する。そのため、画像の畳み込みを行うことで、例えば、フィルタの濃淡パターンと類似する濃淡パターンを入力される画像から検出することができる。
【0082】
プーリング層74bは、プーリング処理を行う層である。プーリング処理は、画像のフィルタに対する応答の強かった位置の情報を一部捨て、画像内に現れる特徴の微小な位置変化に対する応答の不変性を実現する。
【0083】
全結合層74cは、隣接する層の間のニューロン全てを結合した層である。すなわち、全結合層74cに含まれる各ニューロンは、隣接する層に含まれる全てのニューロンに結合される。全結合層74cは、2層以上で構成されてもよい。また、全結合層74cに含まれるニューロンの個数は、実施形態に応じて適宜設定されてもよい。
【0084】
出力層74оは、畳み込みニューラルネットワーク74の最も出力側に配置される層である。出力層74оに含まれるニューロンの個数は、実施形態に応じて適宜設定されてよい。なお、畳み込みニューラルネットワーク74の構成は、このような例に限定されなくてもよく、実施形態に応じて適宜設定されてもよい。
【0085】
結合層76は、全結合ニューラルネットワーク72および畳み込みニューラルネットワーク74とLSTMネットワーク78との間に配置される。結合層76は、全結合ニューラルネットワーク72の出力層72оからの出力および畳み込みニューラルネットワーク74の出力層74оからの出力を結合する。結合層76の出力は、LSTMネットワーク78に入力される。結合層76に含まれるニューロンの個数は、全結合ニューラルネットワーク72および畳み込みニューラルネットワーク74の出力の数に応じて適宜設定されてもよい。
【0086】
LSTMネットワーク78は、LSTMブロック78bを備える再帰型ニューラルネットワークである。再帰型ニューラルネットワークは、例えば、中間層から入力層への経路のように、内部にループを有するニューラルネットワークのことである。LSTMネットワーク78は、一般的な再帰型ニューラルネットワークの中間層をLSTMブロック78bに置き換えた構造を有する。
【0087】
LSTMネットワーク78は、入力側から順に、入力層78i、LSTMブロック78b、および出力層78оを備えており、順伝播の経路の他、LSTMブロック78bから入力層78iに戻る経路を有している。入力層78iおよび出力層78оに含まれるニューロンの個数は、実施形態に応じて適宜設定されてもよい。
【0088】
LSTMブロック78bは、入力ゲートおよび出力ゲートを備え、情報の記憶および出力のタイミングを学習可能に構成されたブロックである。また、LSTMブロック78bは、情報の忘却のタイミングを調節する忘却ゲートを備えてもよい。LSTMネットワーク78の構成は、実施形態に応じて適宜設定可能である。
【0089】
各ニューロンには閾値が設定されており、基本的には、各入力と各重みとの積の和が閾値を超えているか否かによって各ニューロンの出力が決定される。制御装置40は、全結合ニューラルネットワーク72に補足情報60を入力し、畳み込みニューラルネットワーク74に低解像度撮像画像62を入力する。そして、制御装置40は、入力側から順に、各層に含まれる各ニューロンの発火判定を行う。このように、ニューラルネットワーク70は、入力に対する演算処理を実行する。制御装置40は、近傍温度情報64に対応する出力値をニューラルネットワーク70の出力層78оから取得する。
【0090】
なお、このようなニューラルネットワーク70の構成(例えば、各ネットワークの層数、各層におけるニューロンの個数、ニューロン同士の結合関係、各ニューロンの伝達関数)、各ニューロン間の結合の重み、および各ニューロンの閾値を示す情報は、学習結果データ32rに含まれている。制御装置40は、学習結果データ32rを参照して、近傍温度を推定する処理に用いる学習済みニューラルネットワーク70の設定を行う。
【0091】
図5を用いて、学習装置30について説明する。学習装置30の制御部36(図3参照)は、記憶部32(図3参照)に記憶された学習プログラム32pをRAMに展開する。そして、制御部36は、RAMに展開された学習プログラム32pをCPUにより解釈および実行して、各構成要素を制御する。これによって、図5に示されるとおり、学習装置30は、ソフトウェアモジュールとして、学習データ取得部31および学習処理部33を備えるコンピュータとして構成される。
【0092】
学習データ取得部31は、撮像画像9iを低解像度化することで得られた低解像度撮像画像62tと、解析加熱対象物情報52b、加熱情報54iおよび加熱対象物温度59tからなる補足情報60tと、低解像度撮像画像62tおよび補足情報60tに対応する近傍温度情報64tの組を学習データ66として取得する。低解像度撮像画像62tおよび補足情報60tはそれぞれ、図4を参照して説明した低解像度撮像画像62および補足情報60に対応し、入力データとして利用される。近傍温度情報64tは、図4の近傍温度情報64に対応し、教師データ(正解データ)として利用される。学習処理部33は、低解像度撮像画像62tおよび補足情報60tを入力すると、近傍温度情報64tに対応する出力値を出力するように学習器の機械学習を行う。
【0093】
図5に示されるとおり、学習装置30は、制御装置40(図4参照)と同様に、ニューラルネットワーク70tを備えている。学習装置30のニューラルネットワーク70tは、全結合ニューラルネットワーク72t、畳み込みニューラルネットワーク74t、結合層76t、およびLSTMネットワーク78tを備えている。学習装置30のニューラルネットワーク70tは、制御装置40のニューラルネットワーク70と同様に構成される。そのため、学習装置30の全結合ニューラルネットワーク72t、畳み込みニューラルネットワーク74t、結合層76t、およびLSTMネットワーク78tはそれぞれ、制御装置40の全結合ニューラルネットワーク72、畳み込みニューラルネットワーク74、結合層76、およびLSTMネットワーク78と同様である。すなわち、学習装置30のニューラルネットワーク70tは、制御装置40のニューラルネットワーク70と同様に演算処理を実行する。
【0094】
学習処理部33は、全結合ニューラルネットワーク72tに補足情報60tを入力し、畳み込みニューラルネットワーク74tに低解像度撮像画像62tを入力すると、近傍温度情報64tに対応する出力値をLSTMネットワーク78tから出力するニューラルネットワーク70tを構築する。そして、学習処理部33は、構築したニューラルネットワーク70の構成、各ニューロン間の結合の重みおよび各ニューロンの閾値を示す情報を、学習結果データ32rとして記憶部32に格納する。学習処理部33は、記憶部32に格納した学習結果データ32rを、インターネットを介して定期的に制御装置40に送信する。これにより、制御装置40の学習結果データ32rが定期的に更新される。
【0095】
図6を参照して、加熱調理システム2が、制御装置40に入力する撮像画像9iについて説明する。図6は、カメラ8が撮像した画像の一例である。第1コンロ11aの上方(すなわち、図6の紙面手前側)には、鍋86aが載置されている。鍋86aは、第1コンロ11aの第1コンロバーナ12a(図1参照)の火炎13aによって加熱されている。第3コンロ11cの上方には、フライパン87aが載置されている。フライパン87aの上には、被調理物87mが載置されている。フライパン87aは、第3コンロ11cの第3コンロバーナ12c(図1参照)の火炎13cによって、加熱されている。図6に示されるように、グリル28は、前方(すなわち、図6の紙面下側)に引き出され、被調理物28mを収容している。このように、カメラ8は、各コンロおよびグリルバーナ29a(図2参照)の近傍の状態を含む画像である加熱部近傍画像を撮像可能に構成されている。
【0096】
図4を参照して説明したように、制御装置40は、カメラ8が撮像した撮像画像9i(すなわち、加熱部近傍画像)をニューラルネットワーク70に入力することで、加熱部の近傍温度を推定する。加熱部近傍画像は、鍋86aの外周縁からはみ出す火炎13aの画像を含んでいる。火炎13aの大きさや色によって、第1コンロ11aの近傍温度は変化する。制御装置40は、火炎13aの情報を含む加熱部近傍画像をニューラルネットワーク70に入力することで、加熱部の近傍温度を推定する。
【0097】
また、加熱部近傍画像は、フライパン87aの外周縁からはみ出す火炎13cに加えて、被調理物87mの画像も含んでいる。すなわち、加熱部近傍画像を解析することで、第3コンロバーナ12cによって調理される被調理物87mに関する情報を抽出することができる。これにより、被調理物87mを用いてユーザが調理する調理メニューに関する情報である調理メニュー情報を抽出することができる。例えば、被調理物87mが第3コンロバーナ12cによって加熱されると、その表面の色が変化する。被調理物87mの表面の色の変化によって、ユーザの調理の進捗度を推定することができる。調理メニュー情報のメニューを完成させるための加熱量から、第3コンロバーナ12cの加熱量を推定することができる。第3コンロバーナ12cの加熱量と第3コンロ11cの近傍の温度は相関関係を有する。すなわち、被調理物87mの画像から抽出される調理メニュー情報と第3コンロ11cの近傍温度は相関関係を有する。制御装置40は、加熱部近傍画像に加えて、近傍温度と相関関係を有する調理メニュー情報をニューラルネットワーク70に入力することで、近傍温度の推定精度を向上させることができる。
【0098】
さらに、グリル28に被調理物28mが収容されていれば、グリル28で被調理物28mを加熱することが推定される。一方、グリル28に被調理物28mが載置されていなければ、グリル28で加熱する可能性は低い。すなわち、グリル28内の画像は、グリル28の近傍温度およびグリル28の排気を行う排気口17の近傍温度の推定に影響を与える。制御装置40は、加熱部近傍画像に加えて、近傍温度の推定に影響を与える被調理物28mの情報をニューラルネットワーク70に入力することで、近傍温度の推定精度を向上させることができる。
【0099】
図7は、図6に示した加熱部近傍画像の状態を経過した後の加熱部近傍画像を示す。図7では、第1コンロ11aと、第3コンロ11cと、グリル28の加熱は停止している。そのため、図7の加熱部近傍画像は、鍋86aの外周縁からはみ出す火炎13aの画像を含んでいない。同様に、図7の加熱部近傍画像は、加熱部近傍画像は、フライパン87aの外周縁からはみ出す火炎13cの画像を含んでいない。しかしながら、図7で示される鍋86a、フライパン87a、グリル28は、図6の加熱部近傍画像において加熱されている。制御装置40は、図7に示す状態に至る前の図6の加熱部近傍画像によって、図7で示される鍋86a、フライパン87a、グリル28、排気口17の近傍温度を推定する。制御装置40は、第1コンロバーナ12a、第3コンロバーナ12c、およびグリルバーナ29aの加熱停止後であっても、第1コンロバーナ12aの第1高温領域15aと、第3コンロバーナ12cの第3高温領域15cと、グリル28のグリル高温領域28bと、排気口17の排気口高温領域17aと、を推定することができる。
【0100】
また、図7に示される加熱部近傍画像には、加熱部で加熱される鍋86a、フライパン87aの大きさ、色、形等の情報が含まれる。鍋86aは、平面視で円形形状を有している。鍋86aに残存する余熱は、鍋86aの周りに放熱される。そのため、鍋86aを加熱する第1コンロ11a(すなわち、第1コンロバーナ12a)の第1高温領域15aは、円形形状となる。それに対し、フライパン87aは、平面視で矩形形状を有している。そのため、フライパン87aを加熱する第3コンロ11c(すなわち、第3コンロバーナ12c)の第3高温領域15cは、矩形形状となる。
【0101】
さらに、フライパン87aは、加熱調理器10の前方(すなわち、図7の紙面下方)に延びている取手87bを備えている。取手87bは、フライパン87aの本体と同じ金属で構成されている。このため、フライパン87aが加熱されると、取手87bにも熱が伝わり、図7に示されるように、取手87bの周辺も第3高温領域15cに含まれる。一方、仮に取手87bが金属で構成されていない場合には、フライパン87aの本体の熱は取手87bに伝わりにくい。そのため、取手87bが金属でない場合には、取手87bの周辺は第3高温領域15cに含まれない。このように、鍋86a、フライパン87aの形状や大きさに加えて、材質によっても、近傍温度には差異が生じる。取手87bが金属であるか否かは、取手87bの画像から抽出される色により推定可能である。制御装置40は、加熱部近傍画像から抽出した調理容器情報(すなわち、鍋86a、フライパン87aに関する情報)もニューラルネットワーク70に入力することで、近傍温度の推定精度を向上させることができる。
【0102】
また、図4を参照して説明したように、制御装置40は、加熱情報54iも、ニューラルネットワーク70に入力する。加熱情報54iには、加熱後経過時間も含まれている。加熱後経過時間が増加すると、図7に示す各高温領域が縮小する。
【0103】
さらに、例えば図7の鍋86a、フライパン87aがユーザによって別の場所に移された後であっても、制御装置40は、上記の加熱部近傍画像、加熱情報54iによって、第1コンロ11a、第3コンロ11c、グリル28の近傍温度を推定することができる。
【0104】
図8を参照して、制御装置40(図2参照)が実行する処理について説明する。なお、図8で説明する制御装置40が実行する処理が、「加熱調理方法」の一例である。
【0105】
ユーザが電源スイッチ24をオンにして加熱調理器10を起動させると、制御装置40は、カメラ8をオンする(ステップS2)。オンされたカメラ8は、予め定められた所定の期間毎に加熱部近傍画像を撮像する。その後、ユーザは、任意のコンロバーナ(例えば、第1コンロバーナ12a)をオンして加熱を開始する(ステップS4)。第1コンロバーナ12aの加熱が開始されると、制御装置40は、加熱情報54iおよび加熱対象物温度59tの取得を開始する(ステップS6)。先に述べたように、加熱情報54iには、第1コンロバーナ12aの加熱量、加熱時間、加熱後経過時間が含まれる。さらに、加熱対象物温度59tは、第1コンロ11aの上に載置されている調理容器の温度である。このため、制御装置40は、第1コンロバーナ12aがオフされても、加熱情報54iおよび加熱対象物温度59tの取得を継続する。制御装置40は、電源スイッチ24がオフされる(ステップS26:YES)まで、加熱情報54iおよび加熱対象物温度59tの取得を継続する。
【0106】
次いで、制御装置40は、カメラ8が撮像した加熱部近傍画像を取得するとともに、図4を参照して説明したように、画像解析部52によって、加熱部近傍画像を解析して解析加熱対象物情報52bを取得する(ステップS8)。次いで、制御装置40は、図4を参照して説明したように、解像度変換部53によって、加熱部近傍画像の解像度を低くする(ステップS10)。なお、先に述べたように、加熱部近傍画像の解像度を低くするステップS10は、省略可能である。
【0107】
その後、制御装置40は、図4を参照して説明したように、近傍温度推定部55によって、低解像度撮像画像62と補足情報60をニューラルネットワーク70に入力して、ニューラルネットワーク70の演算処理を実行する(ステップS12)。先に述べたように、ニューラルネットワーク70は、学習装置30から学習結果データ32rを、インターネットを介して受信済みである。すなわち、ニューラルネットワーク70は、加熱部近傍画像に基づいて近傍温度を推定するための機械学習を行った学習済みの学習器である。低解像度撮像画像62を入力されたニューラルネットワーク70は、先に述べたように、近傍温度情報64(図4参照)に対応する出力値を出力する。これにより、制御装置40は、近傍温度推定部55によって、近傍温度情報64を取得する(ステップS14)。その後、制御装置40は、報知パターン記憶部48に記憶されている報知パターンテーブル48t(ともに図2参照)の3段階に取得した近傍温度を分類する。制御装置40は、報知部56によって、推定された近傍温度を分類した段階に対応するパターンの音声をスピーカ9cから発生させる(ステップS16)。これにより、制御装置40は、推定した近傍温度の情報を、ユーザに報知することができる。なお、制御装置40は、予め定められた所定の期間毎にユーザに近傍温度の情報を報知してもよいし、近傍温度の分類が変化した場合にのみ報知してもよい。
【0108】
取得した近傍温度情報64に含まれる最大温度が「高温」に分類される温度であった場合には(ステップS18:YES)、図4および図7を参照して説明したように、制御装置40は、画像解析部52によって、加熱部近傍画像を解析して、ユーザ情報52uを抽出する。すなわち、制御装置40は、ユーザ情報52uを取得する(ステップS20)。制御装置40は、ユーザ侵入検知部57によって、取得したユーザ情報52uと近傍温度情報64に含まれている温度分布を照合する。すなわち、制御装置40は、ユーザ侵入検知部57によって、ユーザが高温領域に侵入しているか否かを判定する(ステップS22)。ユーザ情報52uに含まれているユーザの侵入位置が、近傍温度情報64の温度分布と重なっている場合には、制御装置40は、ユーザが高温領域に侵入したと判定する。その場合(ステップS22:YES)、制御装置40は、報知部56によって、スピーカ9cを介して警告音を発生させる(ステップS24)。その後、制御装置40は、ステップS6に戻り、再度新たな加熱情報54iおよび加熱対象物温度59tを取得する。
【0109】
また。取得した近傍温度情報64に含まれる最大温度が「高温」に分類されない場合には(ステップS18:NO)、制御装置40は、ステップS6に戻り、再度新たな加熱情報54iおよび加熱対象物温度59tを取得して上記の処理を繰り返す。さらに、ユーザが高温領域に侵入していない場合(ステップS22:NO)、制御装置40は、電源スイッチ24がオフされていなければ(ステップS26:NO)、ステップS6に戻り、再度新たな加熱情報54iおよび加熱対象物温度59tを取得して上記の処理を繰り返す。すなわち、制御装置40は、電源スイッチ24がオフされるまで、近傍温度の推定を継続する。なお、実施例は、電源スイッチがオフされるまで、近傍温度の推定を継続しているが、電源スイッチがオフされるまでではなく、(電源がオフされても)近傍温度が所定温度以下になるまで、近傍温度の推定を継続するようにしてもよい。
【0110】
図9を参照して、学習装置30(図5参照)が実行する処理について説明する。図12を参照して説明する学習装置30が実行する処理が「学習方法」の一例である。
【0111】
学習装置30は、図5に示すように、学習データ取得部31によって、低解像度撮像画像62t、補足情報60t、および近傍温度情報64tの組を学習データ66として取得する(ステップS30)。
【0112】
学習データ66は、ニューラルネットワーク70tに対して、近傍温度を推定可能にするための機械学習に利用するデータである。このような学習データ66は、図6図7に示されるような、各コンロバーナおよびグリルバーナ29aの近傍の状態を含む画像(すなわち、上記した加熱部近傍画像)と、推定される近傍温度を紐づけることで作成することができる。その際、加熱部近傍画像は、図4の低解像度撮像画像62と同等の解像度で保存される。加熱部近傍画像は、各コンロバーナの火炎の状態、調理容器の状態、被調理物の状態、ユーザの手等を判別可能な解像度であればよい。
【0113】
補足情報60に含まれる解析加熱対象物情報52bは、加熱部近傍画像を解析して、加熱される調理容器および被調理物の色、大きさ、形に関する情報を抽出することで取得される。補足情報60に含まれる加熱情報54iは、加熱情報取得部54によって取得される。補足情報60に含まれる加熱対象物温度59tは、加熱対象物温度取得部59によって取得される。学習データ66は、これらの取得された情報と近傍温度を紐づけることでも作成することができる。
【0114】
この学習データ66の作成は、オペレータ等が入力装置34i(図3参照)を用いて手動で行ってもよいし、プログラムの処理により自動的に行われてもよい。この学習データ66は、制御装置40から随時収集されてもよい。また、学習データ66の作成は、学習装置30以外の他の情報処理装置により行われてもよい。学習装置30が学習データ66を作成する場合には、制御部36は、本ステップS30において、学習データ66の作成処理を実行することで、学習データ66を取得することができる。一方、学習装置30以外の他の情報処理装置が学習データ66を作成する場合には、学習装置30は、ネットワーク、記憶媒体30m(図3参照)等を介して、他の情報処理装置により作成された学習データ66を取得することができる。なお、本ステップS30で取得する学習データ66の件数は、ニューラルネットワーク70tの機械学習を行うことができるように、実施形態に応じて適宜決定されてよい。
【0115】
次いで、学習装置30は、学習処理部33によって、ステップS30で取得した学習データ66を用いて、低解像度撮像画像62tおよび補足情報60tを入力すると近傍温度情報64tに対応する出力値を出力するようにニューラルネットワーク70tの機械学習処理を実行する(ステップS32)。
【0116】
学習装置30の制御部36(図3参照)は、学習処理を行う対象となるニューラルネットワーク70tを用意する。用意するニューラルネットワーク70tの構成、各ニューロン間の結合の重みの初期値、および各ニューロンの閾値の初期値は、テンプレートにより与えられてもよいし、オペレータの入力により与えられてもよい。また、再学習を行う場合には、制御部36は、再学習を行う対象となる学習結果データ32rに基づいて、ニューラルネットワーク70tを用意してもよい。
【0117】
次に、制御部36は、ステップS30で取得した学習データ66に含まれる低解像度撮像画像62tおよび補足情報60tを入力データとして用い、近傍温度情報64tを教師データ(正解データ)として用いて、ニューラルネットワーク70の学習処理を行う。このニューラルネットワーク70の学習処理には、確率的勾配降下法等が用いられてよい。
【0118】
例えば、制御部36は、全結合ニューラルネットワーク72tの入力層に補足情報60tを入力し、畳み込みニューラルネットワーク74tの最も入力側に配置された畳み込み層に低解像度撮像画像62tを入力する。そして、制御部36は、入力側から順に、各層に含まれる各ニューロンの発火判定を行う。これにより、制御部36は、LSTMネットワーク78tの出力層から出力値を得る。次に、制御部36は、LSTMネットワーク78tの出力層から取得した出力値と近傍温度情報64tに対応する値との誤差を算出する。続いて、制御部36は、通時的誤差逆伝搬(Back propagation through time)法により、算出した出力値の誤差を用いて、各ニューロン間の結合の重みおよび各ニューロンの閾値それぞれの誤差を算出する。そして、制御部36は、算出した各誤差に基づいて、各ニューロン間の結合の重みおよび各ニューロンの閾値それぞれの値の更新を行う。
【0119】
制御部36は、各件の学習データ66について、ニューラルネットワーク70tから出力される出力値が近傍温度情報64tに対応する値と一致するまでこの一連の処理を繰り返す。これにより、制御部36は、低解像度撮像画像62tおよび補足情報60tを入力すると近傍温度情報64tに対応する出力値を出力するニューラルネットワーク70tを構築することができる。
【0120】
制御部36は、学習処理部33によって、構築したニューラルネットワーク70の構成、各ニューロン間の結合の重み、および各ニューロンの閾値を示す情報を学習結果データ32rとして記憶部32に記憶する(ステップS34)。これにより、制御部36は、本動作例に係るニューラルネットワーク70の学習処理を終了する。
【0121】
なお、制御部36は、上記のステップS36の処理が完了した後に、作成した学習結果データ32rを制御装置40に転送してもよい。また、制御部36は、上記ステップS30~S36の学習処理を定期的に実行することで、学習結果データ32rを定期的に更新してもよい。そして、制御部36は、作成した学習結果データ32rを当該学習処理の実行毎に制御装置40に転送することで、制御装置40の保持する学習結果データ32rを定期的に更新してもよい。また、例えば、制御部36は、作成した学習結果データ32rを別のデータサーバ(図示省略)に保管してもよい。この場合、制御装置40は、このデータサーバから学習結果データ32rを取得してもよい。
【0122】
(対応関係)鍋86a、フライパン87aが、それぞれ、「加熱対象物」の一例である。加熱調理器10の各コンロバーナおよびグリルバーナ29aが「加熱部」の一例である。カメラ8が「撮像装置」の一例である。加熱量の総量と、加熱が開始されてからの経過時間である加熱時間と、加熱後経過時間が、それぞれ、「加熱情報」の一例である。画像取得部51、加熱対象物温度取得部59が、それぞれ、「加熱対象物情報取得部」の一例である。鍋86a、フライパン87aの大きさ、色、形が、それぞれ、「調理容器情報」の一例である。被調理物28m、87mの大きさ、色、形が、それぞれ、「調理メニュー情報」の一例である。
【0123】
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施形態の変形例を以下に列挙する。
【0124】
(変形例1)上記の加熱調理システム2では、加熱部近傍画像に加えて、補足情報60(すなわち、加熱情報54i、解析加熱対象物情報52bおよび加熱対象物温度59t)を学習済みの学習器(ニューラルネットワーク70)に入力している。これに代えて、変形例では、補足情報60を入力しない構成としてもよい。その場合、制御装置40は、画像解析部52と、加熱情報取得部54と、加熱対象物温度取得部59と、を備えなくてもよい。
【0125】
(変形例2)上記の加熱調理システム2では、加熱情報取得部54によって加熱情報54iとして加熱後経過時間を取得し、学習済みの学習器(ニューラルネットワーク70)に入力している。これに代えて、変形例では、加熱後経過時間を入力しない構成としてもよい。
【0126】
(変形例3)上記の加熱調理システム2では、ユーザ侵入検知部57によってユーザの高温領域への侵入を検知し、ユーザの高温領域への侵入を検知した場合には報知部56によってユーザに警告する。これに代えて、変形例では、ユーザが高温領域に侵入してもユーザに警告しなくてもよい。その場合、制御装置40は、ユーザ侵入検知部57を備えなくてもよい。
【0127】
(変形例4)上記の加熱調理システム2では、画像解析部52によって加熱部近傍画像を解析し、解析加熱対象物情報52bとして鍋86a、フライパン87aに関する情報である調理容器情報を取得し、学習済みの学習器(ニューラルネットワーク70)に入力している。これに代えて、変形例では、調理容器情報を入力しない構成としてもよい。
【0128】
(変形例5)上記の加熱調理システム2では、画像解析部52によって加熱部近傍画像を解析し、解析加熱対象物情報52bとして被調理物87mに関する情報である調理メニュー情報を取得し、学習済みの学習器(ニューラルネットワーク70)に入力している。これに代えて、変形例では、調理メニュー情報を入力しない構成としてもよい。
【0129】
(変形例6)上記の加熱調理システム2は、システムキッチンに組み込んで使用されるガス燃焼式のビルトインコンロである。これに代えて、変形例では、電磁誘導加熱調理器(IH調理器)であってもよい。
【0130】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0131】
2 :加熱調理システム
4 :レンジフード
8 :カメラ
9c :スピーカ
9i :撮像画像
10 :加熱調理器
11a :第1コンロ
12a :第1コンロバーナ
13a、13c :火炎
14a :第1センサ
15a :第1高温領域
15c :第3高温領域
17 :排気口
20 :コンロ操作部
20a :第1加熱量操作部
22 :パネル操作部
24 :電源スイッチ
28 :グリル
28m、87m :被調理物
29a :グリルバーナ
30 :学習装置
31 :学習データ取得部
33 :学習処理部
34i :入力装置
34о :出力装置
36 :制御部
38 :通信インターフェース
39 :ドライブ
40 :制御装置
42 :外部インターフェース
46 :学習記憶部
48 :報知パターン記憶部
51 :画像取得部
52 :画像解析部
53 :解像度変換部
54 :加熱情報取得部
55 :近傍温度推定部
56 :報知部
57 :ユーザ侵入検知部
59 :加熱対象物温度取得部
70、70t :ニューラルネットワーク
86a :鍋
87a :フライパン
87b :取手
90 :手
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9