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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】ノズル構造およびクリーナ装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/00 20060101AFI20240507BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20240507BHJP
   B60S 1/52 20060101ALI20240507BHJP
   B60S 1/56 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B05B1/00 Z
B08B3/02 G
B60S1/52
B60S1/56 120B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020104813
(22)【出願日】2020-06-17
(65)【公開番号】P2021194621
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】松永 高宏
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-040916(JP,A)
【文献】特開2014-125056(JP,A)
【文献】特開平09-030375(JP,A)
【文献】特開2007-245903(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0066657(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-1/36
B08B 3/00-3/14
B60S 1/00-1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーナ装置のノズル構造であって、
ノズルホルダと、
前記ノズルホルダに嵌合されているノズルであって、嵌合方向まわりに前記ノズルホルダに対して回転されることにより洗浄流体の噴射方向を調整可能であるノズルと、を備え、
前記ノズルは、前記嵌合方向まわりに前記ノズルとともに回転されるジグまたは工具と係合する係合部を備え
前記係合部は、前記ノズルの両側の側面に形成されている一組の係合リブを備えることを特徴とするノズル構造。
【請求項2】
クリーナ装置のノズル構造であって、
ノズルホルダと、
前記ノズルホルダに嵌合されているノズルであって、嵌合方向まわりに前記ノズルホルダに対して回転されることにより洗浄流体の噴射方向を調整可能であるノズルと、を備え、
前記ノズルは、前記嵌合方向まわりに前記ノズルとともに回転されるジグまたは工具と係合する係合部を備え、
前記ノズルホルダは、他の工具または他のジグと係合するための一組の平坦面を備えることを特徴とするノズル構造。
【請求項3】
クリーナ装置のノズル構造であって、
ノズルホルダと、
前記ノズルホルダに嵌合されているノズルであって、嵌合方向まわりに前記ノズルホルダに対して回転されることにより洗浄流体の噴射方向を調整可能であるノズルと、を備え、
前記ノズルは、前記嵌合方向まわりに前記ノズルとともに回転されるジグまたは工具と係合する係合部を備え、
前記ノズルおよび前記ノズルホルダには、前記ノズルと前記ノズルホルダとの前記嵌合方向まわりの相対角度を示す目印が設けられていることを特徴とするノズル構造。
【請求項4】
請求項1からのいずれかに記載のノズル構造を備えることを特徴とするクリーナ装置。
【請求項5】
前記ノズルホルダは、車両に取り付けられ、
前記ノズルは、被洗浄物である車載機器へと洗浄流体が噴射されるように洗浄流体の噴射方向が調整されていることを特徴とする請求項に記載のクリーナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル構造およびこれを備えるクリーナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘッドランプクリーナ用の噴射ノズルが知られている。このノズルは、高圧洗浄水を自動車のヘッドランプに噴射して洗浄し投光率を回復するヘッドランプクリーナに用いられる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭63-65966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ノズルは一般に、洗浄流体の噴射口を被洗浄物に向けるようにして設置される。このとき、噴射口の向きが、例えばノズルの組付作業におけるばらつきにより、所望の向きからいくらか外れてしまうことがある。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、ノズルの噴射方向を簡易に調整することを可能にするノズル構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、クリーナ装置のノズル構造に関する。ノズル構造は、ノズルホルダと、ノズルホルダに嵌合されているノズルであって、嵌合方向まわりにノズルホルダに対して回転されることにより洗浄流体の噴射方向を調整可能であるノズルと、を備える。ノズルは、嵌合方向まわりにノズルとともに回転されるジグまたは工具と係合する係合部を備える。
【0007】
この態様によると、設置されたノズルについて、このノズルの係合部にジグまたは工具を係合した状態でジグまたは工具をノズルとともに回転させることにより、ノズルからの洗浄流体の噴射方向を簡易に調整することができる。
【0008】
係合部は、ノズルの両側の側面に形成されている一組の係合リブを備えてもよい。このようにすれば、比較的単純な形状で、ノズルにジグまたは工具を係合させることができる。
【0009】
ノズルホルダは、他の工具または他のジグと係合するための一組の平坦面を備えてもよい。このようにすれば、噴射方向の調整のためにジグまたは工具をノズルとともに回転させるとき、他の工具または他のジグとノズルホルダの平坦面との係合によりノズルホルダを支持することができ、噴射方向の調整作業がしやすくなる。
【0010】
ノズルおよびノズルホルダには、ノズルとノズルホルダとの嵌合方向まわりの相対角度を示す目印が設けられていてもよい。このようにすれば、ノズルホルダに対するノズルの回転量すなわち噴射方向の調整量を視覚的に把握することが容易になる。
【0011】
本発明の別の態様は、クリーナ装置に関する。クリーナ装置は、上記のいずれかの態様のノズル構造を備えてもよい。
【0012】
ノズルホルダは、車両に取り付けられてもよい。ノズルは、被洗浄物である車載機器へと洗浄流体が噴射されるように洗浄流体の噴射方向が調整されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ノズルの噴射方向を簡易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態に係るクリーナ装置を示す模式図である。
図2図1に示されるクリーナ装置のノズル構造の分解斜視図である。
図3】動作中のクリーナ装置のノズル構造を模式的に示す側面図である。
図4図4(a)から図4(c)は、実施の形態に係るノズル構造の調整作業を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に用いられる「第1」、「第2」等の用語は、いかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0016】
図1は、実施の形態に係るクリーナ装置を示す模式図である。図2は、図1に示されるクリーナ装置のノズル構造の分解斜視図である。図3は、動作中のクリーナ装置のノズル構造を模式的に示す側面図である。
【0017】
図1に示されるように、この実施の形態では、クリーナ装置10は、自動車などの車両に搭載される車両用クリーナ装置であり、被洗浄物11を洗浄するように構成される。被洗浄物11は、例えば車載カメラなどの車載センサであってもよく、またはその他の車載機器であってもよい。
【0018】
クリーナ装置10は、洗浄液タンク12と、ポンプ13と、ノズル構造14とを備える。ノズル構造14は、被洗浄物11に洗浄液を噴射するためのノズル15と、ノズル15が装着されるノズルホルダ16とを備える。詳細は後述するが、ノズル15は、ノズルホルダ16に嵌合されており、図2に示される嵌合方向18まわりにノズルホルダ16に対して回転されることにより洗浄液の噴射方向を調整可能である。
【0019】
洗浄液タンク12は、例えばホースなどの接続管17によりノズル構造14に接続されている。ポンプ13は、洗浄液タンク12の出口または接続管17の途中に設けられ、洗浄液タンク12から洗浄液をノズル構造14へと送出する。
【0020】
なお、図示されるクリーナ装置10では、1本の接続管17で洗浄液タンク12がノズル構造14に接続されているが、これに限られず、例えば、複数の流出口を有する分岐管が接続管17の途中に設けられてもよく、複数の流出口それぞれがホースなどの接続管によりノズル構造14に接続されてもよい。このようにすれば、クリーナ装置10は、複数のノズル構造14を備えることができ、複数の被洗浄物11を洗浄することができる。
【0021】
ノズル15は、噴射口20を有する先端部15aと、ノズルホルダ16に取り付けられる基部15bとを有し、これらは一体成形されている。噴射口20は、図3に示されている。ノズル15は、例えばポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂など、適宜の合成樹脂材料で形成される。ノズル15の内部には、噴射口20に連通する洗浄液の内部流路が形成されており、この内部流路は、基部15bを嵌合方向18に沿って貫通して、ノズルホルダ16の内部流路へと接続される。
【0022】
一例として、ノズル15の先端部15aは、図示されるように、半球状の先端と、この半球状先端と同径の円筒状部分とを有する。噴射口20は、この実施の形態では、半球状先端の側面に形成されているが、これに限られず、半球状先端の頂点に形成されてもよい。半球状先端は、円筒状部分により基部15bに接続されている。先端部15aと基部15bは同軸に配置され、基部15bは先端部15aよりも若干大径である。そのため、先端部15aと基部15bとの間には、段部15cが全周にわたって形成されている。先端部15aと基部15bは、嵌合方向18にはほぼ同じ長さをもつ。
【0023】
また、ノズル15の表面には、ジグと係合する係合部として一組の係合リブ22が形成されている。係合リブ22は、図1および図2に示されるように、ノズル15の両側の側面(より具体的には、ノズル15の中心軸に対して左右両側の側面)に形成されている。ジグについては、図4(a)から図4(c)を参照して後述する。
【0024】
係合リブ22は、先端部15aおよび基部15bと一体成形されている。係合リブ22は、ノズル15の段部15cから先端部15aに沿って突出している。嵌合方向18における係合リブ22の長さは先端部15aの長さよりも短い(例えば先端部15aの長さの半分よりも短い)。ただし、嵌合方向18における係合リブ22の長さは、係合リブ22の厚さ(すなわち周方向の寸法)よりも長い。また、別の見方をすると、係合リブ22は、先端部15aから段部15cに沿って径方向外向きに突出しているとも言える。一方の係合リブ22から他方の係合リブ22までの外径は、ノズル15の基部15bの径と等しくなっている。
【0025】
このような係合リブ22の形状は一例にすぎない。係合リブ22は、ノズル15の先端部15aと基部15bとの境界となる段部15cに形成されることは必須ではない。係合リブ22は、例えば、先端部15aの側面(例えば円筒状部分の側面)に形成されてもよく、または、基部15bの側面に形成されてもよい。また、係合リブ22の数は任意である。例えば、3つ以上の係合リブ22がノズル15の周方向に等角度間隔に設けられてもよい。あるいは、係合リブ22は1つだけであってもよい。
【0026】
ノズルホルダ16は、ノズル15の基部15bが取り付けられる保持部16aと、基台16bと、接続管17に連結される連結部16cとを有し、これらは一体成形されている。ノズルホルダ16は、例えばノズル15と同じ材料で形成されるが、それに限定されない。ノズルホルダ16の内部には、保持部16aから基台16bを通じて連結部16cへと貫通している洗浄液の内部流路が形成されており、この内部流路を通じてノズル15が接続管17に接続される。
【0027】
一例として、保持部16aは、円筒状に形成されており、この円筒形状の外径に相当する内径を有する穴がノズル15の基部15bに設けられている。よって、ノズル15を嵌合方向18に沿ってノズルホルダ16へと押し込むことにより、ノズルホルダ16の保持部16aがノズル15の基部15bに圧入され、ノズル15がノズルホルダ16に嵌合される。それにより、ノズル15とノズルホルダ16との間でそれぞれの内部流路が接続される。
【0028】
保持部16aの外周面には、図2に示されるように、全周にわたる溝24が形成され、この溝24にノズル15の基部15bの内周面に設けられた全周にわたる凸部が嵌り、それにより、ノズル15がノズルホルダ16に組み付けられる。溝24と凸部との係合により、ノズルホルダ16に対するノズル15の嵌合方向18の移動は規制される一方、嵌合方向18まわりの回転(矢印26)は許容される。ただし、ノズルホルダ16がノズル15に圧入されているので、ノズル15はノズルホルダ16に対して容易には回転せず、ある程度の回転力を作用させたときに回転できるようになっている。
【0029】
ノズル15の基部15bに嵌合される保持部16aの円筒形状には、その基台16b側に、この円筒形状よりもいくらか大径のフランジ部が設けられている。このフランジ部は、ノズル15の基部15bと同径である。よって、ノズル15の基部15bが保持部16aと嵌合された状態では、図1および図3に示されるように、このフランジ部とノズル15の基部15bとは嵌合方向18に連続する一つの円筒面を形成する。
【0030】
ノズルホルダ16は、工具と係合する被係合面として一組の平坦面28を備える。平坦面28と工具との係合については、図4(a)から図4(c)を参照して後述する。
【0031】
平坦面28は、保持部16aの上記フランジ部と基台16bとを接続する首状の部分に設けられている。平坦面28は、保持部16aのフランジ部に対して垂直であり、また、基台16bの表面に対して垂直である。平坦面28は、係合リブ22と同様に、ノズル15の中心軸に対して左右両側に配置されている。平坦面28どうしの間隔は、ノズル15の基部15bおよび保持部16aのフランジ部の径に比べていくらか細くなっている。平坦面28どうしを繋ぐ首状部分の側面(すなわち上面および下面)の間隔は、図3に示されるように、ノズルホルダ16の保持部16aの径とほぼ等しくなっている。嵌合方向18における平坦面28の幅は、後述する工具を平坦面28に受け入れることができる程度の大きさに設定されている。
【0032】
このような平坦面28の形状は一例にすぎない。平坦面28と係合リブ22の角度配置は互いにずれていてもよく、例えば、係合リブ22が左右両側に配置されるのに対し平坦面28が上下両側に配置されてもよい。平坦面28どうしの間隔は、ノズル15の基部15bおよび保持部16aのフランジ部の径に比べて太くなっていてもよい。また、平坦面28の数は任意である。
【0033】
なお、この実施の形態では、ノズルホルダ16の保持部16aが、平坦面28を有する首状の部分に対して若干下向きに角度付けられおり、そのため、ノズル15は、ノズルホルダ16に対して若干下向きに傾斜している。このように、ノズル15とノズルホルダ16は一直線状に連結される必要は無い。例えばノズル15の噴射口20に対する被洗浄物11の位置関係を適切なものとするために、ノズルホルダ16に対するノズル15の傾きが適宜設定されてもよい。
【0034】
ノズル15およびノズルホルダ16には、ノズル15とノズルホルダ16との嵌合方向18まわりの相対角度を示す目印として、直線状の第1マーク30aおよび第2マーク30bが付されている。第1マーク30aは、ノズル15の基部15bに設けられ、第2マーク30bは、保持部16aのフランジ部に設けられている。第1マーク30aと第2マーク30bは、ノズル15の中心軸に対して噴射口20とは反対側に配置されているが、とくにこの場所には限定されず、例えば周方向に任意の場所に形成されてもよい。
【0035】
第1マーク30aと第2マーク30bは、嵌合方向18に平行な直線状の形状を有し、ノズル15の噴射口20が規定の噴射方向を向くようにノズル15がノズルホルダ16に装着されるとき第1マーク30aと第2マーク30bが1本の直線をなすように形成されている。ノズル15がノズルホルダ16に対して嵌合方向18まわりに回転されて、噴射口20が異なる方向に向けられると、第1マーク30aが第2マーク30bに対して回転方向にずれる。従って、第1マーク30aおよび第2マーク30bを目視することにより、ノズルホルダ16に対するノズル15の回転量すなわち噴射口20の噴射方向の調整量を視覚的に把握することができ、便利である。
【0036】
ノズルホルダ16の基台16bは、一例として、平板状に形成されている。基台16bは、左右に細長い矩形状の形状を有する。基台16bの片面に保持部16aおよび平坦面28が設けられ、反対側の基台16bの面に連結部16cが設けられている。
【0037】
この実施の形態では、ノズル構造14は、開口部82を有する取付パネル80に取り付けられる。クリーナ装置10は車両用クリーナ装置であるので、取付パネル80は例えば、車両に設けられた車体パネル、バンパー等、車体の一部であってもよい。ノズル構造14は、ノズルホルダ16の基台16b、連結部16c、およびパッキン32を用いて取付パネル80に取り付けられ、被洗浄物11の近傍に配置される。
【0038】
ノズルホルダ16の連結部16cには、ノズルホルダ16を取付パネル80に取り付けるための取付腕部34が設けられている。取付腕部34は、例えば連結部16cの左右両側部に設けられている。ノズルホルダ16の連結部16cが取付パネル80の開口部82に挿入され、取付腕部34が開口部82に係合することで、取付パネル80が取付腕部34と基台16bとにより前後から挟み込まれる。パッキン32は、例えばゴム等の緩衝部材で形成されており、取付パネル80へのノズルホルダ16の密着度を高めるとともに、ノズルホルダ16から取付パネル80へ加わる取付圧を緩衝する。パッキン32は、例えば矩形状に構成されており、その中央部に形成された開口にノズルホルダ16の連結部16cが挿入され、ノズルホルダ16の基台16bと取付パネル80との間に挟み込まれる。
【0039】
よって、ノズルホルダ16が取付パネル80に取り付けられた状態では、ノズル15およびノズルホルダ16の保持部16a、平坦面28、基台16bは、取付パネル80の外側に配置される。ノズルホルダ16の連結部16cとパッキン32は、取付パネル80の内側に配置される。
【0040】
この実施の形態では、図3に示されるように、ノズル構造14は、取付パネル80に取り付けられて、被洗浄物11の上部に配置される。ノズル15の噴射口20は、被洗浄物11の被洗浄面11aの上方に配置される。これは配置の一例にすぎず、ノズル構造14は、被洗浄物11の左右いずれかの側部、または下部に配置されてもよい。
【0041】
このような構成により、クリーナ装置10の作動時すなわち洗浄動作が行われるときには、ポンプ13の作動により洗浄液タンク12から接続管17を通じてノズル構造14へと洗浄液が流入する。洗浄液は、ノズル15の噴射口20から被洗浄物11の被洗浄面11aへと噴射される(図3に示される破線の矢印)。被洗浄物11は上述のように例えば車載カメラであり、被洗浄面11aであるレンズ表面が洗浄液により洗浄される。一方、クリーナ装置10の非作動時すなわち洗浄動作が行われないときには、ポンプ13は停止され、それにより、洗浄液タンク12からノズル15への洗浄液の供給も停止される。
【0042】
図4(a)から図4(c)は、実施の形態に係るノズル構造の調整作業を模式的に示す図である。上述のように、ノズル15は、図2に示される嵌合方向18まわりにノズルホルダ16に対して回転されることにより洗浄液の噴射方向を調整可能である。調整作業は作業者が手作業で行う。図4(a)から図4(c)を参照して、この調整作業を以下に述べる。
【0043】
図4(a)に示されるように、ノズル構造14は上述のように、ノズル15とノズルホルダ16とを備え、ノズル15には洗浄液の噴射口20と一組の係合リブ22が形成されている。ノズルホルダ16は、保持部16aと、基台16bと、連結部16cとを有する。
【0044】
まず、ノズルホルダ16に第1工具40が差し込まれる。第1工具40は例えばスパナである。ノズルホルダ16には上述のように、図1から図3に示される一組の平坦面28が設けられており、第1工具40は平坦面28を両側から挟むようにしてノズルホルダ16に差し込まれる。作業者が第1工具40を把持することにより、嵌合方向18まわりのノズルホルダ16の回転は規制される。
【0045】
次に、図4(b)に示されるように、作業者は、ノズル15にジグ42を嵌める。ジグ42は、この実施の形態では、ナット状の形状(例えば、中心に貫通穴をもつ六角形状の形状)を有する。ジグ42の貫通穴の内周面には、ノズル15の係合リブ22に対応する溝状の切り欠き42aが形成されている。溝状の切り欠き42aは、貫通穴の貫通方向すなわち嵌合方向18に沿ってジグ42の片面から反対側の面まで直線状に貫通穴の内周面に形成されている。ジグ42の貫通穴にノズル15を挿入するとき係合リブ22が切り欠き42aと係合し、それにより、嵌合方向18まわりの回転力をジグ42からノズル15へと伝達可能となっている。
【0046】
そして、図4(c)に示されるように、作業者は、ジグ42に第2工具44を嵌める。第2工具44は例えば、第1工具40とは別のスパナである。第2工具44はジグ42の外周面と係合する。第2工具44を嵌合方向18まわりに回転させるとき(矢印46)、第2工具44およびジグ42とともにノズル15をノズルホルダ16に対して嵌合方向18まわりに回転させることができる。このとき、ノズルホルダ16は第1工具40により嵌合方向18まわりの回転を規制されているから、第1工具40を使用しない場合に比べて、ノズル15をノズルホルダ16に対して容易に回転させることができる。第1工具40とノズルホルダ16の平坦面28との係合によりノズルホルダ16を支持することができ、噴射方向の調整作業がしやすくなる。このようにして、ノズル15を回転させることにより、嵌合方向18まわりに噴射口20の位置が変わり、噴射方向を変更することができる。
【0047】
なお、作業手順は、上述の順序には限定されない。例えば、作業者は、先にジグ42と第2工具44をノズル15に嵌めてから、第1工具40をノズルホルダ16に差し込んでもよい。
【0048】
以上に説明したように、実施の形態に係るノズル構造14は、ノズルホルダ16と、ノズルホルダ16に嵌合されているノズル15とを備える。ノズル15は、嵌合方向18まわりにノズルホルダ16に対して回転されることにより洗浄液の噴射方向を調整可能である。ノズル15は、嵌合方向18まわりにノズル15とともに回転されるジグ42と係合する係合リブ22を備える。
【0049】
一般にノズル15は、洗浄液の噴射口20を被洗浄物11に向けるようにして設置される。このとき、噴射口20の向きが、例えばノズル15の組付作業におけるばらつきにより、所望の向きからいくらか外れてしまうことがある。しかし、実施の形態に係るノズル構造14によれば、被洗浄物11の近傍に設置されたノズル15について、このノズル15の係合リブ22にジグ42を係合した状態でジグ42を第2工具44によりノズル15とともに回転させることにより、ノズル15からの洗浄液の噴射方向を簡易に調整することができる。また、ノズル構造14が複数の異なる車種または複数の異なる設置場所に適用される場合に、設置場所ごとに噴射方向を調整して最適化することも可能となる。
【0050】
本発明は、上述した実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、実施の形態及び変形例を組み合わせたり、当業者の知識に基づいて各種の設計変更などのさらなる変形を加えることも可能であり、そのような組み合わせられ、もしくはさらなる変形が加えられた実施の形態や変形例も本発明の範囲に含まれる。上述した実施の形態や変形例、及び上述した実施の形態や変形例と以下の変形との組合せによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態、変形例及びさらなる変形それぞれの効果をあわせもつ。
【0051】
上述の実施の形態では、ノズル15の表面に係合リブ22が形成され、ジグ42に溝状の切り欠き42aが形成されているが、逆に、ジグ42と係合する係合部として溝状の切り欠きがノズル15の表面に形成され、切り欠きに対応する係合リブまたはその他の凸部がジグ42に形成されてもよい。あるいは、係合部は、嵌合方向18まわりにノズル15とジグ42を一体的に回転させるように形成された他の形状を有してもよい。
【0052】
上述の実施の形態では、ノズル15はジグ42を介して第2工具44により回転されるが、ジグ42を使用しない構成、すなわちノズル15の係合部に工具(例えばスパナ)が直接係合してノズル15を回転させる構成も可能である。よって、ノズル15は、嵌合方向18まわりにノズル15とともに回転される工具と係合する係合部を備えてもよい。
【0053】
上述の実施の形態では、ノズルホルダ16には第1工具40と係合する平坦面28が設けられているが、工具と係合するノズルホルダ16の被係合面は他の形状または配置も可能である。例えば、ノズルホルダ16の被係合面は、基台16bの前面(すなわちノズル15側の面)のいずれかの部位に形成されてもよく、それにより、第1工具40が基台16bと係合してもよい。
【0054】
上述の実施の形態では、洗浄流体が洗浄液である場合を例として説明したが、洗浄流体は、空気など気体であってもよい。
【0055】
上述の実施の形態では、車両用クリーナ装置を例として説明しているが、本発明の実施の形態に係るクリーナ装置は、こうした特定の装置への適用には限定されない。従って、実施の形態に係るクリーナ装置は、例えば、街路灯など屋外の照明機器、センサ機器、または他の様々な機器に搭載されうるものであり、そうした機器に設けられる様々な被洗浄物を洗浄するために使用されてもよい。
【0056】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用の一側面を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0057】
10 クリーナ装置、 11 被洗浄物、 14 ノズル構造、 15 ノズル、 16 ノズルホルダ、 18 嵌合方向、 22 係合リブ、 28 平坦面、 30a 第1マーク、 30b 第2マーク、 40 第1工具、 42 ジグ、 44 第2工具。
図1
図2
図3
図4