(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】レーザー墨出し器、携帯端末装置、電動作業システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
G01C15/00 103C
G01C15/00 103E
(21)【出願番号】P 2020114358
(22)【出願日】2020-07-01
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】朴木 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】小池 洋一郎
(72)【発明者】
【氏名】野田 将史
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】実開平6-65818(JP,U)
【文献】特開2020-43545(JP,A)
【文献】特許第6647509(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 15/00
H04W 12/61
B60R 25/00-99/00
G06F 21/00
G06F 21/30-21/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー墨出し器であって、
電力により動作するように構成された電動部と、
無線通信により許可時間を含む許可情報を受信するように構成された情報受信部と、
前記許可情報の受信に応じて経過時間の計測を開始し、前記経過時間と前記許可時間との差分値が予め定められた許可条件を満たす場合には前記電動部の動作を許可し、前記差分値が前記許可条件を満たさない場合には
前記レーザー墨出し器を起動状態に維持した状態で前記電動部の動作を禁止するように構成された許可判定部と、
を備えるレーザー墨出し器。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザー墨出し器であって、
当該レーザー墨出し器に割り当てられた暗証情報を記憶する暗証情報記憶部と、
前記暗証情報に基づいて、前記無線通信で接続される接続機器の認証を行うように構成された認証制御部と、
を備え、
前記情報受信部は、前記無線通信により前記接続機器から照合情報を受信するように構成され、
前記認証制御部は、前記照合情報が前記暗証情報と一致する場合には、前記接続機器に対して当該レーザー墨出し器への前記許可情報の送信を許可し、前記照合情報が前記暗証情報に一致しない場合には、前記接続機器に対して当該レーザー墨出し器への前記許可情報の送信を許可しないように構成されている、
レーザー墨出し器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のレーザー墨出し器であって、
前記情報受信部が受信した前記許可情報を記憶するように構成された許可情報記憶部を備え、
前記許可情報記憶部は、前記情報受信部が新たに前記許可情報を受信することに応じて、前記許可情報を更新するように構成され、
前記許可判定部は、更新された後の前記許可情報の前記許可時間に基づいて、前記差分値が前記許可条件を満たすか否かを判定するように構成されている、
レーザー墨出し器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のレーザー墨出し器であって、
前記電動部は、
回転動力を発生するように構成されたモータと、
レーザーを出力するように構成されたレーザー出力部と、
を備える、
レーザー墨出し器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のレーザー墨出し器と無線通信を行い、各種情報を送受信するように構成された無線通信部と、
前記レーザー墨出し器における前記電動部の動作を許可する許可時間を含む許可情報を、使用者から受け付けるように構成された情報受付部と、
前記無線通信部を介して前記許可情報を前記レーザー墨出し器に出力するように構成された情報出力部と、
前記無線通信部によって、前記レーザー墨出し器が動作禁止状態であることを通知する信号を受信するように構成された禁止信号受信部と、
を備える、携帯端末装置。
【請求項6】
請求項2を引用する請求項5に記載の携帯端末装置であって、
前記情報受付部は、前記レーザー墨出し器における前記暗証情報と照合するための照合情報を、前記使用者から受け付けるように構成され、
前記情報出力部は、前記無線通信部を介して前記照合情報を前記レーザー墨出し器に出力するように構成されている、
携帯端末装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の携帯端末装置であって、
前記情報受付部は、前記レーザー墨出し器の保守管理業者の連絡先情報を表示するための連絡先要求指令を、前記使用者から受け付けるように構成され、
当該携帯端末装置は、
前記情報受付部にて前記連絡先要求指令が受け付けられたことに応じて、前記レーザー墨出し器の保守管理業者に関する連絡先情報を表示するように構成された連絡先表示部、を備える、
携帯端末装置。
【請求項8】
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のレーザー墨出し器と、
請求項5から請求項7のうちいずれか一項に記載の携帯端末装置と、
を備える電動作業システム。
【請求項9】
電力により動作するように構成された電動部を備えるレーザー墨出し器と無線通信を行い、各種情報を送受信する無線通信手順と、
前記レーザー墨出し器における前記電動部の動作を許可する許可時間を含む許可情報を、使用者から受け付ける情報受付手順と、
前記無線通信手順によって前記許可情報を前記レーザー墨出し器に出力する情報出力手順と、
前記無線通信手順によって、前記レーザー墨出し器が動作禁止状態であることを通知する信号を受信する禁止信号受信手順と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザー墨出し器、携帯端末装置、電動作業システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場などで利用されるレーザー墨出し器が知られている。
レーザー墨出し器は、直線状のレーザー光を出力するように構成されている。直線状のレーザー光は、鉛直方向、水平方向、鉛直水平両方向に広がる。
【0003】
レーザー墨出し器は、持ち運びしやすい形態であるため、盗難される可能性がある。これに対して、レーザー墨出し器にキースイッチを設けることで、盗難を抑制する技術が提案されている(特許文献1)。
【0004】
このレーザー墨出し器は、キースイッチからキープレートが取り外されると、レーザー光を照射できないように構成されている。つまり、キープレートを取り外すことで、レーザー墨出し器は、レーザー光を照射することができなくなるため,利用価値の無い状態となる。これにより、キープレートを取り外すことで、レーザー墨出し器の盗難を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のレーザー墨出し器は、レーザー墨出し器を動作できない状態にするためには、キープレートを取り外すために、使用者がレーザー墨出し器まで移動する必要がある。つまり、レーザー墨出し器の盗難を抑制するにあたり、使用者にとってはレーザー墨出し器まで移動する必要があるため、使用者の負担が増大する。
【0007】
また、上記のレーザー墨出し器は、キープレートを取り外す際に、レーザー墨出し器の設置位置が変化する可能性がある。例えば、位置決めされた状態のレーザー墨出し器を、一時的に使用を中止する場合において、盗難を抑制するためには、キープレートを取り外す必要がある。このときに、レーザー墨出し器の設置位置が変化した場合には、使用を再開するにあたり、レーザー墨出し器の位置決め作業を再度実行する必要があるため、使用者の負担が増大する。
【0008】
そこで、本開示の一局面におけるレーザー墨出し器、携帯端末装置、電動作業システムおよびプログラムは、レーザー墨出し器を動作できない状態にするにあたり、使用者の負担増大を抑制できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一局面におけるレーザー墨出し器は、電動部と、情報受信部と、許可判定部と、を備える。
電動部は、電力により動作するように構成されている。情報受信部は、無線通信により許可時間を含む許可情報を受信するように構成されている。
【0010】
許可判定部は、前記許可情報の受信に応じて経過時間の計測を開始し、前記経過時間と前記許可時間との差分値が予め定められた許可条件を満たす場合には前記電動部の動作を許可するように構成されている。許可判定部は、前記差分値が前記許可条件を満たさない場合には前記電動部の動作を禁止するように構成されている。
【0011】
このレーザー墨出し器は、無線通信により許可情報を受信した後、経過時間の計測を開始し、前記経過時間と前記許可時間との差分値が前記許可条件を満たさなくなることで電動部の動作を禁止する。このため、このレーザー墨出し器は、電動部の動作を禁止するにあたり、使用者がレーザー墨出し器まで近づく必要がない。また、このレーザー墨出し器は、電動部の動作を禁止するにあたり、使用者がレーザー墨出し器に直接触れる必要がないため、レーザー墨出し器の位置変化を抑制できる。
【0012】
よって、このレーザー墨出し器は、レーザー墨出し器を動作できない状態にするにあたり、使用者の負担増大を抑制できる。
次に、上述のレーザー墨出し器は、暗証情報記憶部と、認証制御部と、を備えてもよい。
【0013】
暗証情報記憶部は、当該レーザー墨出し器に割り当てられた暗証情報を記憶してもよい。認証制御部は、前記暗証情報に基づいて、前記無線通信で接続される接続機器の認証を行うように構成されてもよい。
【0014】
前記情報受信部は、前記無線通信により前記接続機器から照合情報を受信してもよい。
前記認証制御部は、前記照合情報が前記暗証情報と一致する場合には、前記接続機器に対して当該レーザー墨出し器への前記許可情報の送信を許可してもよい。前記認証制御部は、前記照合情報が前記暗証情報に一致しない場合には、前記接続機器に対して当該レーザー墨出し器への前記許可情報の送信を許可しなくてもよい。
【0015】
このレーザー墨出し器は、受信した照合情報が暗証情報に一致する場合には、接続機器に対して前記許可情報の送信を許可することで、前記許可情報に基づいて電動部の動作を制限できるため、盗難を抑制できる。また、このレーザー墨出し器は、照合情報が暗証情報に一致しない場合には、前記接続機器に対して前記許可情報の送信を許可しないことで、電動部の動作を制限することなく、レーザー墨出し器が使用できる状態となる。
【0016】
なお、前記認証制御部は、照合情報が暗証情報に一致しない場合には、前記照合情報が前記暗証情報に一致しないことを報知するように構成されてもよい。
次に、上述のレーザー墨出し器は、許可情報記憶部を備えてもよい。前記許可情報記憶部は、前記情報受信部が受信した前記許可情報を記憶するように構成されてもよい。
【0017】
前記許可情報記憶部は、前記情報受信部が新たに前記許可情報を受信することに応じて、前記許可情報を更新してもよい。前記許可判定部は、更新された後の前記許可情報の前記許可時間に基づいて、前記差分値が前記許可条件を満たすか否かを判定するように構成されてもよい。
【0018】
このレーザー墨出し器は、経過時間の計測途中でも、状況変化に応じて許可情報を更新できるため、電動部の動作を制限する条件を適切に変更することができる。
次に、前記電動部は、モータと、レーザー出力部と、を備えてもよい。モータは、回転動力を発生するように構成されてもよい。レーザー出力部は、レーザーを出力するように構成されてもよい。
【0019】
このレーザー墨出し器は、モータおよびレーザー出力部を備えることで、レーザー墨出し器としての機能を発揮することができる。
次に、本開示の他の一局面における携帯端末装置は、無線通信部と、情報受付部と、情報出力部と、を備える。
【0020】
前記無線通信部は、上述のいずれかのレーザー墨出し器と無線通信を行い、各種情報を送受信するように構成されてもよい。前記情報受付部は、許可情報を使用者から受け付けるように構成されてもよい。前記許可情報は、前記レーザー墨出し器における前記電動部の動作を許可する許可時間を含む。前記情報出力部は、前記無線通信部を介して前記許可情報を前記レーザー墨出し器に出力するように構成されてもよい。
【0021】
この携帯端末装置は、無線通信により、レーザー墨出し器に対して許可情報(許可時間)を設定することができる。よって、この携帯端末装置は、レーザー墨出し器の盗難を抑制するにあたり、使用者がレーザー墨出し器に直接触れる必要が無くなるため、使用者の負担の増大を抑制できる。
【0022】
次に、上述の携帯端末装置においては、前記情報受付部は、前記レーザー墨出し器における前記暗証情報と照合するための照合情報を、前記使用者から受け付けるように構成されてもよい。前記情報出力部は、前記無線通信部を介して前記照合情報を前記レーザー墨出し器に出力するように構成されてもよい。
【0023】
この携帯端末装置は、無線通信により、レーザー墨出し器に対して照合情報を送信することができる。よって、この携帯端末装置は、照合情報をレーザー墨出し器に入力するにあたり、使用者がレーザー墨出し器に直接触れる必要が無くなるため、使用者の負担の増大を抑制できる。
【0024】
次に、上述の携帯端末装置においては、前記情報受付部は、前記レーザー墨出し器の保守管理業者の連絡先情報を表示するための連絡先要求指令を、前記使用者から受け付けるように構成されてもよい。当該携帯端末装置は、連絡先表示部を備えてもよい。前記連絡先表示部は、前記情報受付部にて前記連絡先要求指令が受け付けられたことに応じて、前記レーザー墨出し器の保守管理業者に関する連絡先情報を表示するように構成されてもよい。
【0025】
例えば、レーザー墨出し器が禁止状態である場合に、保守管理業者の連絡先情報(住所、電話番号など)を表示することで、使用者は、保守管理業者に対して、レーザー墨出し器の禁止状態を解除するための方法を問い合わせることができる。
【0026】
次に、本開示の他の一局面における電動作業システムは、上述のいずれかのレーザー墨出し器と、上述のいずれかの携帯端末装置と、を備える。
この電動作業システムは、携帯端末装置を用いて、無線通信により、レーザー墨出し器の電動部の動作について、許可/禁止を切り替えることができる。これにより、この電動作業システムは、レーザー墨出し器を動作できない状態にするにあたり、使用者の負担増大を抑制できる。
【0027】
次に、本開示の他の一局面におけるプログラムは、無線通信手順と、情報受付手順と、情報出力手順と、をコンピュータに実行させる。
前記無線通信手順は、レーザー墨出し器と無線通信を行い、各種情報を送受信する手順である。レーザー墨出し器は、電力により動作するように構成された電動部を備える。前記情報受付手順は、許可情報を使用者から受け付ける手順である。許可情報は、前記レーザー墨出し器における前記電動部の動作を許可する許可時間を含む。前記情報出力手順は、前記無線通信手順によって前記許可情報を前記レーザー墨出し器に出力する手順である。
【0028】
このプログラムは、コンピュータに、無線通信手順と、情報受付手順と、情報出力手順と、を実行させることで、コンピュータを上述の携帯端末装置として機能させることができる。よって、このプログラムは、レーザー墨出し器を動作できない状態にするにあたり、使用者の負担増大を抑制できる。
【0029】
ここで、上述のコンピュータは、周知のコンピュータであってもよいし、携帯端末装置として構成されたコンピュータであってもよい。また、上述のコンピュータは、いわゆる携帯電話装置、スマートフォン、タブレット端末装置などであってもよい。
【0030】
また、上述のプログラムは、コンピュータに組み込まれるROMやバックアップRAMに記憶され、これらROMやバックアップRAMからコンピュータにロードされて用いられてもよいし、ネットワークを介してコンピュータにロードされて用いられてもよい。上述のプログラムは、スマートフォンなどにインストールされるアプリケーションプログラムであってもよい。
【0031】
また、上述のプログラムは、コンピュータにて読み取り可能なあらゆる形態の記録媒体に記録されて用いられてもよい。記録媒体としては、例えば、持ち運び可能な半導体メモリ(例えばUSBメモリ、メモリカード(登録商標)など)などが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図2】電動作業システムの電気的構成を表す説明図である。
【
図3】ユーザインターフェース部を表す説明図である。
【
図4】メイン画面およびタイマーロック画面の画面遷移を表した説明図である。
【
図5】メイン画面および情報画面の画面遷移を表した説明図である。
【
図6】タイマーロック起動処理の処理内容を表す第1のシーケンス図である。
【
図7】タイマーロック起動処理の処理内容を表す第2のシーケンス図である。
【
図8】残時間表示更新処理の処理内容を表すシーケンス図である。
【
図9】タイマー時間設定処理の処理内容を表す第1のシーケンス図である。
【
図10】タイマー時間設定処理の処理内容を表す第2のシーケンス図である。
【
図11】暗証番号変更処理の処理内容を表すシーケンス図である。
【
図12】営業所表示処理の処理内容を表す第1のフローチャートである。
【
図13】営業所表示処理の処理内容を表す第2のフローチャートである。
【
図14】情報画面(3)(4)(5)の内容を表した説明図である。
【
図15】タイマー設定解除処理の処理内容を表すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
尚、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0034】
[1.第1実施形態]
[1-1.全体構成]
[1-1-1.システム]
図1に示すように、第1実施形態の電動作業システム1は、レーザー墨出し器10と、携帯端末装置51と、受光装置60と、を備える。
【0035】
レーザー墨出し器10は、例えば、土木、建築工事等に用いられる。本実施形態では、レーザー墨出し器10の一例として、対象物に対してレーザー光による基準線を投射するレーザー墨出し器について説明する。
【0036】
電動作業システム1は、携帯端末装置51または受光装置60を用いることで、離れた位置からレーザー墨出し器10の回転を制御できるように構成されている。
[1-1-2.レーザー墨出し器]
レーザー墨出し器10は、支持本体11と、回転本体12と、を備える。支持本体11は、複数の脚部14を備える。レーザー墨出し器10は、例えば3つの脚部14を備えている。支持本体11は、3つの脚部14によって、床101で支持される。なお、床101を含む、レーザー墨出し器10が設置される面を、以下、設置面ともいう。
【0037】
回転本体12は、支持本体11に対して中心軸L1を中心として回転するように構成されている。
図1では、レーザー墨出し器10が、設置面に対して中心軸L1が垂直な状態で設置された状態を示している。
【0038】
回転本体12は、中心軸L1を中心として軸線方向に延びる略円柱形状に形成されている。回転本体12は、外部へレーザー光を射出する4つの射出部、即ち、第1射出部5、第2射出部6、第3射出部7、及び第4射出部8を備える。回転本体12の上面には、ユーザインターフェース部30が設けられている。
【0039】
第1,第2,第3,第4射出部5,6,7,8は、中心軸L1を中心とする周方向に沿って所定の間隔(例えば90度間隔)で設けられている。第1,第2,第3,第4射出部5,6,7,8は、それぞれ、発光部を備える。発光部は、レーザー光を生成する。発光部は、種々の種類の発光素子を適用できる。例えば、発光部は、例えば、半導体レーザーであってもよいし、ガスレーザー、固体レーザーであってもよい。その他の方式でレーザー光を生成する構成であってもよい。発光部は、レーザー光を垂直方向に偏光させることにより、垂直方向基準線を示す垂直レーザー光120を外部へ射出するように構成されている。すなわち、第1,第2,第3,第4射出部5,6,7,8は、垂直方向射出部に相当する。
【0040】
なお、回転本体12は、垂直方向射出部のみならず、水平方向射出部を備えてもよい。水平方向射出部は、水平方向基準線を示す水平レーザー光を外部へ射出する。回転本体12は、水平レーザー光を射出する角度範囲に応じて、1個の水平方向射出部を備えてもよいし、複数の水平方向射出部を備えてもよい。例えば、1個の水平方向射出部を備える回転本体12は、所定角度範囲(例えば、約110°の角度領域)に対して水平レーザー光を射出し得る。また、複数(例えば、4個)の水平方向射出部を備える回転本体12は、複数の水平レーザー光がオーバーラップしつつ、360°の角度範囲(全周)にレーザー光を射出し得る。
【0041】
図1は、垂直レーザー光120が床101から壁面102に亘って照射されている状態を示している。この垂直レーザー光120は、床101に設置されたレーザー墨出し器10の第1射出部5から射出されている。また、
図1は、垂直レーザー光120が地墨線130に沿うように照射されている状態を示している。レーザー墨出し器10は、中心軸L1と同軸且つ下方(すなわち設置面方向)に向けて下方レーザー光140を射出できる。地墨線130は、床101に描かれている。
【0042】
レーザー墨出し器10には、機器通信部21が設けられている。機器通信部21は、第1の機器通信機21aと第2の機器通信機21bとを備える(
図2参照)。第1の機器通信機21aは、第1の通信方式に基づいた無線通信(以下、第1の無線通信と称する)を行う。第2の機器通信機21bは、第2の通信方式に基づいた無線通信(以下、第2の無線通信)を行う。第2の通信方式は、第1の通信方式と異なる。第1の機器通信機21aは、回転本体12に備えられる。第2の機器通信機21bは、支持本体11に備えられる。
【0043】
なお、第1の機器通信機21aおよび第2の機器通信機21bの位置は、このような位置に限られることはない、例えば、第1の機器通信機21aおよび第2の機器通信機21bの両者が支持本体11に備えられてもよい。また、第1の機器通信機21aおよび第2の機器通信機21bの両者が回転本体12に備えられてもよい。
【0044】
第1の機器通信機21aは、携帯端末装置51との間で各種情報を送受信する。第2の機器通信機21bは、受光装置60から送信される信号を受信する。第1の通信方式は、近距離無線通信方式を含む。近距離無線通信方式は、例えば、Bluetooth規格に準拠した方式が挙げられる。Bluetoothは登録商標である。また、第2の通信方式は、例えば、赤外線通信規格に準拠した方式が挙げられる。本実施形態では、第1の通信方式として、Bluetooth方式を用い、第2の通信方式として、赤外線通信方式を用いている。
【0045】
第2の機器通信機21bは、受光装置60から送信された赤外線を受信して光電変換することにより、赤外線からリモコン信号を抽出する。第2の機器通信機21bは、抽出したリモコン信号を支持本体11の内部へ伝送する。
【0046】
なお、機器通信部21は、第1の機器通信機21aのみを備えていてもよい。この場合、第2の通信方式は、第1の通信方式と同じ通信規格に準拠し、第1の通信方式と異なる変調が適用される。
【0047】
[1-1-3.携帯端末装置]
携帯端末装置51は、レーザー墨出し器10を無線通信により遠隔操作する機能を備える。例えば、携帯端末装置51は、遠隔回転機能と、遠隔レーザー制御機能と、タイマーロック機能と、を備える。
【0048】
遠隔回転機能は、レーザー墨出し器10を回転(詳しくは回転本体12を回転)させる機能である。遠隔レーザー制御機能は、レーザー墨出し器10の4つの射出部5,6,7,8を制御する機能である。タイマーロック機能は、経過時間と許可時間との差分値が予め定められた許可条件を満たす場合にはレーザー墨出し器10の動作を許可し、前記差分値が前記許可条件を満たさない場合にはレーザー墨出し器10の動作を禁止する機能である。
【0049】
携帯端末装置51は、端末通信機59(
図2参照)を備える。端末通信機59は、第1の無線通信をレーザー墨出し器10の第1の機器通信機21aと行い、各種情報を送受信する。端末通信機59は、例えば、機器操作信号を送信する。機器操作信号は、レーザー墨出し器10を遠隔操作するための信号に相当する。端末通信機59は、例えば、機器情報信号を受信する。機器情報信号は、レーザー墨出し器10に関する情報を表す信号に相当する。
【0050】
[1-1-4.受光装置]
受光装置60は、レーザー墨出し器10を無線により遠隔操作する機能を備える。例えば、受光装置60は、遠隔回転機能と、遠隔レーザー制御機能と、を備える。
【0051】
受光装置60は、送信機67と、レーザー受光窓80と、を備える。送信機67は、第2の無線通信を、レーザー墨出し器10の第2の機器通信機21bと行い、遠隔操作信号を送信する。遠隔操作信号は、レーザー墨出し器10を遠隔操作するための信号に相当する。
【0052】
レーザー受光窓80は、矩形状を有し、レーザー墨出し器10からの垂直レーザー光120を受光装置60の内部に入射させるように構成されている。レーザー受光窓80に垂直レーザー光120が入射されると、受光装置60の内部に備えられるレーザー受光部65(
図2参照)で垂直レーザー光120が受光される。
【0053】
レーザー受光部65は、矩形状に構成されており、右受光素子65aと左受光素子65bの2つの受光素子を備える。右受光素子65a及び左受光素子65bは、同種の受光素子であり、例えば、受光ダイオードなどである。右受光素子65aは、センターラインCLの右側に配置されている。左受光素子65bは、センターラインCLの左側に配置されている。センターラインCLは、レーザー受光窓80及びレーザー受光部65の水平方向の中央のラインに相当する。右受光素子65aと左受光素子65bは、センターラインCL上で互いに接している。
【0054】
受光装置60は、センターラインCLが地墨線130に合うように設置面に設置される。右受光量が左受光量よりも多い場合は、垂直レーザー光120が、中央よりも右側に寄っている。右受光量は、右受光素子65aにより受光された光量に相当する。左受光量は、左受光素子65bにより受光された光量に相当する。右受光量が左受光量と等しい場合は、垂直レーザー光120が、中央に位置している、すなわち、垂直レーザー光120が地墨線130と合っている。右受光量が左受光量よりも少ない場合は、垂直レーザー光120が、中央よりも左側に寄っている。
【0055】
[1-2.電気的構成]
[1-2-1.レーザー墨出し器]
電動作業システム1の電気的構成について、
図2を用いて説明する。
【0056】
レーザー墨出し器10は、機器通信部21と、機器制御部31と、機器操作部32と、レーザー駆動回路33と、レーザー発光部34と、モータ駆動回路35と、モータ36と、機器表示部37と、バッテリ41と、を備える。機器通信部21は、上述のように、第1の機器通信機21aと、第2の機器通信機21bと、を備える。
【0057】
第2の機器通信機21b、機器制御部31、モータ駆動回路35、モータ36は、レーザー墨出し器10のうち支持本体11に備えられる。第1の機器通信機21a、機器操作部32、レーザー駆動回路33、レーザー発光部34、機器表示部37は、レーザー墨出し器10のうち回転本体12に備えられる。
図3に示すように、機器操作部32及び機器表示部37は、ユーザインターフェース部30に設けられている。
【0058】
機器制御部31は、CPU31a、メモリ31bおよびI/O等を備える。メモリ31bは、ROM、RAMなどを備える。機器制御部31は、例えば、マイクロコンピュータ(以下、マイコン)を用いて構成されている。機器制御部31は、CPU31aがメモリ31bに記憶されている各種プログラムを実行することにより、各機能を実現する。
【0059】
機器操作部32は、
図3に示すように、ライン切替操作部32a、輝度切替操作部32b、無線通信操作部32cを備える。
ライン切替操作部32aは、レーザー墨出し器10の点灯モードを切り替えるためのスイッチである。本実施形態では、点灯モードとして、点灯させる射出部の数が異なる複数種類の点灯モードが用意されている。例えば、ある点灯モードにおいては第1射出部5のみが点灯してもよいし、別のある点灯モードにおいては第2射出部6及び第4射出部8の2つが点灯してもよい。4つの射出部5,6,7,8が全て点灯する点灯モードがあってもよいし、点灯モードの数やその内容については適宜決めてもよい。レーザー墨出し器10は、ライン切替操作部32aが操作される度に、複数種類の点灯モードを予め決められた順に切り替える。
【0060】
輝度切替操作部32bは、レーザー墨出し器10から射出されるレーザー光の明るさを切り替えるためのスイッチである。レーザー墨出し器10は、レーザー光の明るさを、例えば、エコモード、通常モード、高輝度モード、及び超高輝度モード、の4種類のモードの何れかに設定できるように構成されている。
【0061】
無線通信操作部32cは、第1の無線通信による携帯端末装置51との接続を行うためのスイッチである。第1の機器通信機21aは、無線通信操作部32cが操作されると、無線領域内に存在する携帯端末装置51との間で、第1の無線通信による通信経路が確立されるように構成されている。無線領域は、第1の機器通信機21aが無線通信可能な領域に相当する。
【0062】
レーザー駆動回路33は、パルス駆動によりレーザー発光部34を発光させる。パルス駆動とは、レーザー光を連続的に発光させるのではなく間欠的に発光させる駆動方法である。レーザー駆動回路33は、レーザー発光部34を、一定周期で所定のデューティ比にて発光させる。パルス駆動の周期は適宜決めることができる。本実施形態では、残像効果によって間欠的に発光していることが使用者に視覚的に認識されない範囲(例えば0.2ミリ秒以下)の周期に設定されている。
【0063】
レーザー発光部34は、射出部5,6,7,8の各々に対応して備えられる。レーザー発光部34は、レーザー光を射出するレーザーダイオードを備える。
モータ駆動回路35は、モータ36を駆動する回路である。モータ駆動回路35は、一例として、Hブリッジ回路であってもよい。モータ駆動回路35は、機器制御部31から出力された駆動信号に基づいて、モータ36に流れる駆動電流を制御する。
【0064】
モータ36は、例えば、DCブラシつきモータである。モータ36は、レーザー墨出し器10の回転本体12を回転するための駆動力を発生する。レーザー墨出し器10は、回転本体12の回転動作に加えて、それ以外の駆動力を発生するために、複数のモータを備えてもよい。モータ36は、3相のブラシレスモータでもよく、ステッピングモータでもよい。
【0065】
機器表示部37は、レーザー墨出し器10の状態を表示するための表示部である。機器表示部37は、
図3に示すように、輝度表示部37a、無線通信表示部37b、バッテリ状態表示部37cを備える。
【0066】
輝度表示部37aは、レーザー墨出し器10がエコモードの場合に緑色点灯し、通常モードの場合に消灯し、高輝度モードの場合に橙色点灯し、超高輝度モードの場合に赤色点灯する。無線通信表示部37bは、無線通信操作部32cがON操作されて、レーザー墨出し器10が携帯端末装置51と無線接続された場合に、点灯する。無線通信表示部37bは、無線通信操作部32cがON操作されて、レーザー墨出し器10が携帯端末装置51と無線接続されていない場合に、点滅する。無線通信表示部37bは、無線通信操作部32cがOFF操作されると、消灯する。バッテリ状態表示部37cは、バッテリ41の残容量が所定値を下回る場合に点灯し、バッテリ41の残容量が所定値以上の場合に消灯する。
【0067】
バッテリ41は、レーザー墨出し器10に電力供給する電力源である。バッテリ41は、レーザー墨出し器10に離脱可能に装着されている。バッテリ41は、二次電池を備える。レーザー墨出し器10は、バッテリ41の残容量が低下した場合には、他のバッテリ41に交換することで、使用を継続できる。バッテリ41は、二次電池を備える構成に限られることはなく、一次電池を備えてもよい。
【0068】
[1-2-2.携帯端末装置]
携帯端末装置51は、端末制御部53と、端末操作部54と、振動部56と、端末表示部57と、スピーカー58と、端末通信機59と、を備える。
【0069】
端末制御部53は、CPU53a、メモリ53bおよびI/O等を備える。端末制御部53は、例えば、マイクロコンピュータ(以下、マイコン)を用いて構成されている。端末制御部53は、CPU53aがメモリ53bに記憶されている各種プログラムを実行することにより、各機能を実現する。
【0070】
端末操作部54は、タッチパネルを備える。タッチパネルは、使用者が指などで直接触れることで、入力操作できるように構成されている。タッチパネルは、使用者の入力操作に応じた信号を端末制御部53に送信する。
【0071】
端末表示部57は、表示パネルを備える。表示パネルは、端末制御部53からの表示指令に応じた画像を表示する。表示パネルは、例えば、液晶パネル、有機ELパネルなどである。
【0072】
端末操作部54および端末表示部57は、タッチパネル付き液晶表示装置又はタッチパネル付き有機EL表示装置を用いて構成してもよい。
振動部56は、バイブレーターを備え、端末制御部53からの振動出力指令に応じて、振動を出力する。予め複数の振動パターンが設定されており、振動出力指令に応じて出力される振動パターンが選択される。
【0073】
スピーカー58は、端末制御部53からの音出力指令に応じてブザー音を出力する。予め複数のブザー音のパターンが設定されており、音出力指令に応じて出力されるブザー音のパターンが選択される。また、スピーカー58は、端末制御部53からの音出力指令に応じて音声や音楽を出力する。
【0074】
携帯端末装置51は、ユーザにより振動部56及びスピーカー58の出力制限が設定できるように構成されている。出力制限は、例えば、マナーモードなどを選択することにより設定される。ユーザにより携帯端末装置51に対して出力制限が設定されると、スピーカー58及び/又は振動部56からの出力停止が設定される。本実施形態では、携帯端末装置51に対してマナーモードが設定されると、スピーカー58からの出力停止が設定される。
【0075】
[1-2-3.受光装置]
受光装置60は、受光制御部61と、受光操作部64と、レーザー受光部65と、送信機67と、モード表示部71と、を備える。
【0076】
受光制御部61は、CPU61a、メモリ61bおよびI/O等を備える。受光制御部61は、例えば、マイクロコンピュータ(以下、マイコン)を用いて構成されている。受光制御部61は、CPU61aがメモリ61bに記憶されている各種プログラムを実行することにより、各機能を実現する。
【0077】
受光操作部64は、左回転スイッチ64aと、右回転スイッチ64bと、を備える。左回転スイッチ64aは、レーザー墨出し器10の回転本体12を左回転させるための操作スイッチである。右回転スイッチ64bは、レーザー墨出し器10の回転本体12を右回転させるための操作スイッチである。
【0078】
レーザー受光部65は、レーザー光を受光すると、受光信号を受光制御部61に送信する。詳細には、レーザー受光部65は、レーザー受光窓80に垂直レーザー光120が入射されると、受光信号を受光制御部61に送信する。
【0079】
モード表示部71は、発光ダイオードを備える。モード表示部71は、受光装置60の動作モードに応じて、点灯・消灯のいずれかに切り替えられる。受光装置60は、リモコンモードまたは自動追尾モードに切り替え可能に構成されている。受光制御部61は、動作モードを自動追尾モードに設定した場合にはモード表示部71を点灯させ、動作モードをリモコンモードに設定した場合はモード表示部71を消灯させる。
【0080】
[1-3.処理]
次に、電動作業システム1が実行する各種処理について説明する。
各種処理における、タイマーロック機能に関する処理、および情報表示に関する処理について説明する。以下の説明では、タイマーロック機能に関する処理を、タイマーロック処理ともいう。以下の説明では、情報表示に関する処理を、情報表示処理ともいう。
【0081】
タイマーロック処理は、経過時間が許可時間を超えるまではレーザー墨出し器10の動作を許可し、経過時間が許可時間を超えるとレーザー墨出し器10の動作を禁止する処理である。許可時間は、使用者によって設定される。使用者は、携帯端末装置51を用いて許可時間を設定できる。
【0082】
タイマーロック処理は、レーザー墨出し器10と携帯端末装置51とが第1の無線通信で接続された状態で実行される。タイマーロック処理は、レーザー墨出し器10の機器制御部31および携帯端末装置51の端末制御部53との連携により実行される。タイマーロック処理としては、例えば、タイマーロック起動処理、残時間表示更新処理、タイマー時間設定処理、暗証番号変更処理などがある。
【0083】
タイマーロック処理は、携帯端末装置51の端末表示部57に表示されたメイン画面(
図4参照)において、使用者により「タイマーロック」ボタンが選択(タップ)されると、実行される。タイマーロック処理の実行時における端末表示部57には、
図4に示すメイン画面およびタイマーロック画面(1)~(4)が表示される。
【0084】
情報表示処理は、携帯端末装置51に各種情報を表示するための処理である。情報表示処理としては、例えば、営業所表示処理などがある。
情報表示処理は、携帯端末装置51の端末表示部57に表示されたメイン画面(
図5参照)において、使用者により「情報」ボタンが選択(タップ)されると、実行される。情報表示処理の実行時における端末表示部57には、
図5に示すメイン画面および情報画面(1)~(2)が表示される。
【0085】
メイン画面、タイマーロック画面(1)~(4)および情報画面(1)~(2)は、機器名表示エリア57nを備える。機器名表示エリア57nは、携帯端末装置51と無線接続された機器(以下、接続機器ともいう)の名称などが表示される。接続機器は、例えば、レーザー墨出し器10などが挙げられる。機器名表示エリア57nに表示される名称は、機器名称に限られることはなく、機器型番、機器モデル名など、接続機器を識別するための情報であってもよい。
【0086】
[1-3-1.タイマーロック起動処理]
タイマーロック起動処理について、
図6,
図7のシーケンス図を参照して説明する。このシーケンス図は、携帯端末装置51の端末制御部53、およびレーザー墨出し器10の機器制御部31のそれぞれの処理内容を表す。
【0087】
タイマーロック起動処理は、端末表示部57に表示されたメイン画面において、使用者により「タイマーロック」ボタンが選択(タップ)されると起動される。端末表示部57は、端末操作部54とともにタッチパネル付き液晶表示装置を構成する。よって、端末操作部54は、端末表示部57での使用者による入力操作および選択操作を受け付けるように構成されている。
【0088】
タイマーロック起動処理が起動されると、まず、S110(Sはステップを表す。以下同様。)で、携帯端末装置51の端末制御部53は、「暗証番号入力欄」をダイヤログ表示する。具体的には、端末制御部53は、
図4に示す「タイマーロック画面(1)」を端末表示部57に表示する。「暗証番号入力欄」は、
図4の「タイマーロック画面(1)」における入力欄57aである。
【0089】
端末制御部53は、次のS120では、「キャンセル」ボタンが選択(タップ)されたか否かを判定し、肯定判定するとS130に移行し、否定判定するとS140に移行する。「キャンセル」ボタンは、
図4の「タイマーロック画面(1)」におけるキャンセルボタン57bである。
【0090】
端末制御部53は、S130に移行すると、端末表示部57からダイヤログ表示を消去して、端末表示部57の表示内容をメイン画面に移行させる。端末制御部53は、S130を終了すると、タイマーロック起動処理を終了する。
【0091】
端末制御部53は、S140に移行すると、暗証番号が入力されて「確定」ボタンがタップされたか否かを判定し、肯定判定するとS150に移行し、否定判定すると再びS120に移行する。「確定」ボタンは、
図4の「タイマーロック画面(1)」における確定ボタン57cである。
【0092】
端末制御部53は、S150に移行すると、第1情報信号Sa1を、無線通信によりレーザー墨出し器10に送信する。第1情報信号Sa1は、使用者により入力された暗証番号SN1(以下、入力暗証番号SN1ともいう。)を含む信号に相当する。つまり、端末制御部53は、入力暗証番号SN1をレーザー墨出し器10に送信する。
【0093】
レーザー墨出し器10の機器制御部31は、S160にて、第1情報信号Sa1を受信するまで待機する。機器制御部31は、S160にて第1情報信号Sa1を受信すると、S170にて、受信した入力暗証番号SN1が、登録暗証番号SNRと一致するか否かを判定する。登録暗証番号SNRは、レーザー墨出し器10に登録されている暗証番号である。レーザー墨出し器10は、S170で肯定判定するとS180に移行し、否定判定するとS200に移行する。
【0094】
機器制御部31のメモリ31bは、登録暗証番号SNRを記憶している。登録暗証番号SNRは、レーザー墨出し器10に割り当てられた暗証情報である。
機器制御部31は、S180に移行すると、第2情報信号Sa2を、無線通信により携帯端末装置51に送信する。第2情報信号Sa2は、レーザー墨出し器10に設定されているタイマー残時間を含む信号に相当する。
【0095】
端末制御部53は、第2情報信号Sa2を受信すると、S190にて、受信した「タイマー残時間」を端末表示部57に表示する。具体的には、端末制御部53は、
図4に示すタイマーロック画面(2)の「タイマー残時間」エリアに「タイマー残時間」を表示する。「タイマー残時間」エリアは、
図4の「タイマーロック画面(2)」における時間エリア57dである。
【0096】
機器制御部31は、S200に移行すると、8回以上連続して入力暗証番号SN1と登録暗証番号SNRとが不一致と判定したか否かを判定し、肯定判定するとS210に移行し、否定判定するとS240に移行する。
【0097】
機器制御部31は、S240に移行すると、第3情報信号Sa3を、無線通信により携帯端末装置51に送信する。第3情報信号Sa3は、暗証番号が不一致であることを通知する信号に相当する。機器制御部31は、S240を終了すると、再びS160に移行して、第1情報信号Sa1を受信するまで待機する。
【0098】
端末制御部53は、第3情報信号Sa3を受信すると、S250にて、「暗証番号が違います」の通知をダイヤログ表示する。具体的には、端末制御部53は、
図4に示す「ダイヤログ画面(1)の通知(1)」を端末表示部57に表示する。端末制御部53は、S250を終了すると、再びS120に移行する。
【0099】
機器制御部31は、S210に移行すると、第4情報信号Sa4を、無線通信により携帯端末装置51に送信する。第4情報信号Sa4は、暗証番号が8回以上連続して不一致であることを通知する信号に相当する。機器制御部31は、S210を終了すると、タイマーロック起動処理を終了する。
【0100】
端末制御部53は、第4情報信号Sa4を受信すると、S220にて、「試行回数が上限を超えました。最寄りの営業所にご連絡願います」の通知をダイヤログ表示する。具体的には、端末制御部53は、
図4に示す「ダイヤログ画面(1)の通知(2)」を端末表示部57に表示する。
【0101】
端末制御部53は、S220を終了するとS230に移行し、使用者により「閉じる」ボタンが選択(タップ)されると、端末表示部57からダイヤログ表示を消去して、端末表示部57の表示内容をメイン画面に移行させる。端末制御部53は、S230を終了すると、タイマーロック起動処理を終了する。
【0102】
端末制御部53は、S130、S190、S230のうちいずれかのステップを完了すると、タイマーロック起動処理を終了する。機器制御部31は、S180、S210のうちいずれかのステップを完了すると、タイマーロック起動処理を終了する。
【0103】
以上説明したように、電動作業システム1は、タイマーロック起動処理を実行することで、使用者によって携帯端末装置51に入力された入力暗証番号SN1が登録暗証番号SNRと一致するか否かを判定する。入力暗証番号SN1が登録暗証番号SNRと一致すると、電動作業システム1は、レーザー墨出し器10に設定されている「タイマー残時間」を、携帯端末装置51の端末表示部57に表示する。
【0104】
機器制御部31は、タイマーロック起動処理を実行することで、登録暗証番号SNRに基づいて、無線通信で接続される携帯端末装置51の認証を行う(S170)。第1の機器通信機21aは、前記無線通信により携帯端末装置51から第1情報信号Sa1(入力暗証番号SN1)を受信するように構成されている。
【0105】
機器制御部31は、入力暗証番号SN1が登録暗証番号SNRと一致する場合には(S170で肯定判定)、第2情報信号Sa2を携帯端末装置51に送信することで(S180)、携帯端末装置51に対してレーザー墨出し器10への許可情報(後述する第7情報信号Sa7)の送信を許可する。
【0106】
機器制御部31は、入力暗証番号SN1が登録暗証番号SNRと一致しない場合には(S170で否定判定)、第2情報信号Sa2ではなく第3情報信号Sa3または第4情報信号Sa4を携帯端末装置51に送信することで、携帯端末装置51に対してレーザー墨出し器10への許可情報(第7情報信号Sa7)の送信を許可しない。詳細には、携帯端末装置51は、タイマーロック設定画面を表示できないため、レーザー墨出し器10に対する第7情報信号Sa7の送信が不可能となる。
【0107】
携帯端末装置51において、端末操作部54は、レーザー墨出し器10の登録暗証番号SNRと照合するための入力暗証番号SN1(照合情報に相当)を、使用者から受け付ける。端末制御部53は、端末通信機59を介して入力暗証番号SN1をレーザー墨出し器10に出力する。
【0108】
[1-3-2.残時間表示更新処理およびタイマー設定解除処理]
残時間表示更新処理について、
図8のシーケンス図を参照して説明する。このシーケンス図は、携帯端末装置51の端末制御部53、およびレーザー墨出し器10の機器制御部31のそれぞれの処理内容を表す。
【0109】
残時間表示更新処理は、端末表示部57におけるタイマーロック画面(2)(
図4参照)の「更新」ボタンが使用者により選択(タップ)されると起動される。
残時間表示更新処理が起動されると、まず、端末制御部53は、S320では、第5情報信号Sa5を、無線通信によりレーザー墨出し器10に送信する。第5情報信号Sa5は、タイマー残時間を要求する信号に相当する。つまり、第5情報信号Sa5は、携帯端末装置51からレーザー墨出し器10に対して、タイマー残時間の送信を要求する信号に相当する。
【0110】
機器制御部31は、第5情報信号Sa5を受信すると、S330にて、第6情報信号Sa6を、無線通信により携帯端末装置51に送信する。第6情報信号Sa6は、レーザー墨出し器10に設定されているタイマー残時間を含む信号に相当する。ここでの「タイマー残時間」は、第5情報信号Sa5の受信時にレーザー墨出し器10に設定されているタイマー残時間である。
【0111】
端末制御部53は、第6情報信号Sa6を受信すると、S340では、受信した「タイマー残時間」に基づいて、タイマーロック画面(2)の「タイマー残時間」エリアの表示時間を更新する。
【0112】
端末制御部53は、S340を完了すると、残時間表示更新処理を終了する。機器制御部31は、S330を完了すると、残時間表示更新処理を終了する。
以上説明したように、電動作業システム1は、残時間表示更新処理を実行することで、使用者からの更新要求に応じて、タイマー残時間をレーザー墨出し器10から携帯端末装置51に送信する。そして、電動作業システム1は、携帯端末装置51に表示されたタイマーロック画面(2)において、「タイマー残時間」エリアの表示時間を更新する。
【0113】
次に、タイマー設定解除処理について、
図15のシーケンス図を参照して説明する。このシーケンス図は、携帯端末装置51の端末制御部53、およびレーザー墨出し器10の機器制御部31のそれぞれの処理内容を表す。
【0114】
タイマー設定解除処理は、端末表示部57におけるタイマーロック画面(2)(
図4参照)の「解除」ボタンが使用者により選択(タップ)されると起動される。
タイマー設定解除処理が起動されると、まず、端末制御部53は、S1320では、第12情報信号Sa12を、無線通信によりレーザー墨出し器10に送信する。第12情報信号Sa12は、携帯端末装置51からレーザー墨出し器10に対して、タイマー設定の解除を指示する信号に相当する。タイマー設定の解除は、例えば、タイマー時間の削除およびタイマー残時間の削除を含む。
【0115】
機器制御部31は、第12情報信号Sa12を受信すると、S1330にて、レーザー墨出し器10におけるタイマー設定を解除して、その後、第13情報信号Sa13を無線通信により携帯端末装置51に送信する。機器制御部31は、タイマー設定を解除するために、レーザー墨出し器10に設定されているタイマー時間およびタイマー残時間をそれぞれ削除する。第13情報信号Sa13は、タイマー設定の解除が完了したことを通知する信号に相当する。
【0116】
端末制御部53は、第13情報信号Sa13を受信すると、S1340では、タイマーロック画面(2)の「タイマー残時間」エリアの表示時間を削除する。これにより、ロック画面(2)の「タイマー残時間」エリアは「空白」表示となる。さらに、端末制御部53は、S1340では、タイマーロック画面(2)の「タイマー時間設定」エリアの表示時間を削除する。これにより、ロック画面(2)の「タイマー時間設定」エリアは「空白」表示となる。
【0117】
端末制御部53は、S1340を完了すると、タイマー設定解除処理を終了する。機器制御部31は、S1330を完了すると、タイマー設定解除処理を終了する。
以上説明したように、電動作業システム1は、タイマー設定解除処理を実行することで、使用者からの更新要求に応じて、レーザー墨出し器10のタイマー時間およびタイマー残時間を削除する。そして、電動作業システム1は、携帯端末装置51に表示されたタイマーロック画面(2)において、「タイマー残時間」エリアの表示時間を削除する。
【0118】
[1-3-3.タイマー時間設定処理]
タイマー時間設定処理について、
図9,
図10のシーケンス図を参照して説明する。このシーケンス図は、携帯端末装置51の端末制御部53、およびレーザー墨出し器10の機器制御部31のそれぞれの処理内容を表す。
【0119】
タイマー時間設定処理は、端末表示部57におけるタイマーロック画面(2)(
図4参照)の「タイマー時間設定」エリアが使用者により選択(タップ)されると起動される。「タイマー時間設定」エリアは、
図4のタイマーロック画面(2)における設定エリア57eである。
【0120】
タイマー時間設定処理が起動されると、まず、端末制御部53は、S420で、「タイマー時間設定」エリアに対して、使用者により「新しいタイマー時間」が入力されるまで待機し、「新しいタイマー時間」が入力されると、S430に移行する。「新しいタイマー時間」は、許可時間に相当する。許可時間は、レーザー墨出し器10の使用が許可される時間である。
【0121】
端末制御部53は、S430では、使用者により「設定」ボタンが選択(タップ)されるまで待機し、「設定」ボタンがタップされると、S440に移行する。
端末制御部53は、S440では、第7情報信号Sa7を無線通信によりレーザー墨出し器10に送信する。第7情報信号Sa7は、「新しいタイマー時間」を含む信号に相当する。端末制御部53は、端末通信機59を介して、第7情報信号Sa7をレーザー墨出し器10に送信する。これに伴い、レーザー墨出し器10では、第1の機器通信機21aが、第7情報信号Sa7を受信する。
【0122】
機器制御部31は、第1の機器通信機21aでの第7情報信号Sa7の受信に応じて、S450で、「新しいタイマー時間」を受信する。つまり、機器制御部31は、第7情報信号Sa7に含まれる「新しいタイマー時間」の情報を抽出する。
【0123】
機器制御部31は、次のS460で、第8情報信号Sa8を無線通信により携帯端末装置51に送信する。第8情報信号Sa8は、「新しいタイマー時間」の受信完了を通知する信号に相当する。機器制御部31は、S460を完了すると、S470に移行する。
【0124】
携帯端末装置51は、第8情報信号Sa8を受信すると、S560で、レーザー墨出し器10からの「通知」を受信する。つまり、端末制御部53は、「レーザー墨出し器10が新しいタイマー時間を受信完了したことの通知」を受信する。
【0125】
端末制御部53は、次のS570で、「設定完了」のポップアップ表示を行う。具体的には、端末制御部53は、
図4に示す「タイマーロック画面(3)」を端末表示部57に表示する。端末制御部53は、S570を完了すると、タイマー時間設定処理を終了する。ポップアップ表示ウインドウは、使用者により取消ボタン57mが選択(タップ)されることで、消去される。
【0126】
端末制御部53は、S440に続いてS580に移行すると、応答待ち時間のカウントを開始する。端末制御部53は、S590で、予め定められた待機時間が経過するまで、レーザー墨出し器10から通知が届いたか否かを判定する。端末制御部53は、待機時間経過までに通知が届いた場合には、S590の処理を中断して、S560の処理を優先的に実行する。端末制御部53は、待機時間経過まで通知が届かない場合には、S600に移行する。
【0127】
端末制御部53は、S600で、「エラー」のポップアップ表示を行う。具体的には、端末制御部53は、
図4に示す「タイマーロック画面(3)」において、「設定完了」に代えて「エラー」が表示される画面を端末表示部57に表示する。端末制御部53は、S600を完了すると、タイマー時間設定処理を終了する。
【0128】
機器制御部31は、S460に続いてS470に移行すると、「新しいタイマー時間」をメモリ31bに記憶する。機器制御部31は、S470で、タイマー残時間のカウントを開始する。タイマー残時間は、「新しいタイマー時間」から経過時間を差し引いた値である。経過時間は、「新しいタイマー時間」の受信時を起点として、レーザー墨出し器10の電源スイッチがON状態であるときに積算される時間である。
【0129】
機器制御部31は、次のS480で、レーザー墨出し器10の電源スイッチがオフされたか否かを判定し、肯定判定するとS490に移行し、否定判定するとS500に移行する。
【0130】
機器制御部31は、S490で、カウント途中のタイマー残時間を、メモリ31bに記憶する。このとき、タイマー残時間は、メモリ31bにおける不揮発性記憶領域に記憶される。このため、機器制御部31は、停止後の再起動後においても、タイマー残時間を読み出すことができる。
【0131】
機器制御部31は、S500で、タイマー時間のカウント処理を実行する。具体的には、機器制御部31は、タイマー残時間から所定時間を差し引いて、タイマー残時間を更新する。この所定時間は、前回のカウント処理の実行時と今回のカウント処理の実行時との差分時間に相当する。これにより、「新しいタイマー時間」の受信時を起点として、「新しいタイマー時間」から経過時間を差し引いた値が、タイマー残時間として設定される。
【0132】
機器制御部31は、S510で、タイマー残時間が許可条件を満たすか否かを判定して、肯定判定すると再びS480に移行し、否定判定するとS520に移行する。許可条件は、「タイマー残時間が0secよりも大きいこと」である。このため、例えば、タイマー残時間が0secよりも大きい場合(換言すれば、経過時間がタイマー時間よりも小さい場合)には、機器制御部31は、肯定判定する。また、タイマー残時間が0secと同じまたは小さい場合(換言すれば、経過時間がタイマー時間と同じまたは大きい場合)には、機器制御部31は、否定判定する。
【0133】
機器制御部31は、S520で、タイマー残時間のカウント処理を停止する。
機器制御部31は、S530で、レーザー墨出し器10におけるレーザー出力動作および回転動作を停止する。具体的には、機器制御部31は、レーザー駆動回路33の動作およびレーザー発光部34の動作を禁止して、レーザー墨出し器10としてのレーザー出力動作を停止する。また、機器制御部31は、モータ駆動回路35の動作およびモータ36の動作を禁止して、レーザー墨出し器10における回転本体12の回転動作を停止する。なお、レーザー駆動回路33、レーザー発光部34、モータ駆動回路35、モータ36は、バッテリ41から供給される電力により動作する電動部に相当する。
【0134】
また、機器制御部31は、S530で、機器表示部37の全ての表示部(輝度表示部37a無線通信表示部37b、バッテリ状態表示部37c)を点滅させる。これにより、レーザー墨出し器10の動作を禁止している状態であることを、使用者に対して報知することができる。
【0135】
さらに、機器制御部31は、S530で、第9情報信号Sa9を無線通信により携帯端末装置51に送信する。第9情報信号Sa9は、「タイマー残時間が0であること」を通知する信号に相当する。換言すれば、第9情報信号Sa9は、「レーザー墨出し器10が動作禁止状態であること」を通知する信号に相当する。
【0136】
端末制御部53は、S540で、第9情報信号Sa9を受信する。つまり、端末制御部53は、「レーザー墨出し器10が動作禁止状態であること」の通知を受信する。
端末制御部53は、次のS550で、「墨出し器ロック中」のポップアップ表示を行う。具体的には、端末制御部53は、
図4に示す「タイマーロック画面(3)」において、「設定完了」に代えて「墨出し器ロック中」が表示される画面を端末表示部57に表示する。端末制御部53は、S550を完了すると、タイマー時間設定処理を終了する。
【0137】
端末制御部53は、S550,S570,S600のうちいずれかを完了すると、タイマー時間設定処理を終了する。機器制御部31は、S490,S530のうちいずれかを完了すると、タイマー時間設定処理を終了する。
【0138】
以上説明したように、電動作業システム1は、タイマー時間設定処理を実行することで、携帯端末装置51で入力された「新しいタイマー時間」を、無線通信を介してレーザー墨出し器10に設定する。レーザー墨出し器10は、タイマー時間が設定されると、時間経過をカウントする処理を開始し、タイマー時間が経過すると、レーザー墨出し器10としての動作を禁止(停止)する。携帯端末装置51は、レーザー墨出し器10の動作が停止すると、その旨をポップアップ表示する。
【0139】
機器制御部31は、タイマー時間設定処理を実行することで、第7情報信号Sa7(許可情報)の受信(S450)に応じて経過時間の計測を開始する(S470)。機器制御部31は、経過時間とタイマー時間(前記許可時間)との差分値であるタイマー残時間を計測する(S470,S500)。機器制御部31は、タイマー残時間が許可条件を満たすか(タイマー残時間が0secよりも大きいか)否かを判定し(S510)、タイマー残時間が0sec以下である場合には(S510で否定判定)、レーザー墨出し器10におけるレーザー出力動作および回転動作を停止する(S530)。機器制御部31は、タイマー残時間が許可条件を満たさない(0sec以下である)場合には(S530で否定判定)、レーザー墨出し器10におけるレーザー出力動作および回転動作を禁止することなく、許可を継続する。
【0140】
携帯端末装置51において、端末通信機59は、レーザー墨出し器10と無線通信を行い、各種情報を送受信する。端末操作部54は、使用者から「新しいタイマー時間」(許可時間)を受け付ける。端末制御部53は、タイマー時間設定処理を実行することで、端末通信機59を介して、第7情報信号Sa7をレーザー墨出し器10に送信する(S440)。
【0141】
[1-3-4.暗証番号変更処理]
暗証番号変更処理について、
図11のシーケンス図を参照して説明する。このシーケンス図は、携帯端末装置51の端末制御部53、およびレーザー墨出し器10の機器制御部31のそれぞれの処理内容を表す。
【0142】
暗証番号変更処理は、端末表示部57におけるタイマーロック画面(2)(
図4参照)の「新しい暗証番号入力」エリアが使用者により選択(タップ)されると起動される。「新しい暗証番号入力」エリアは、
図4の「タイマーロック画面(2)」における新番号エリア57fである。
【0143】
暗証番号変更処理が起動されると、まず、端末制御部53は、S710で、「新しい暗証番号入力」エリア、および「暗証番号の確認入力」エリアのそれぞれに対して、使用者により「新しい暗証番号」が入力されるまで待機し、「新しい暗証番号」が入力されると、S720に移行する。「暗証番号の確認入力」エリアは、
図4の「タイマーロック画面(2)」における新番号エリア57gである。
【0144】
端末制御部53は、S720では、2つの暗証番号が一致しているか否かを判定し、肯定判定するとS740に移行し、否定判定するとS725に移行する。2つの暗証番号は、「新しい暗証番号入力」エリアに入力された暗証番号、および「暗証番号の確認入力」エリアに入力された暗証番号である。
【0145】
端末制御部53は、S725で、「暗証番号不一致」のポップアップ表示を行う。具体的には、端末制御部53は、
図4に示す「タイマーロック画面(4)」において、「変更完了」に代えて「暗証番号不一致」が表示される画面を端末表示部57に表示する。端末制御部53は、S725を完了すると、S730に移行する。
【0146】
端末制御部53は、S730で、「新しい暗証番号入力」エリア、および「暗証番号の確認入力」エリアのそれぞれを空欄にする。端末制御部53は、S730を完了すると、S710に移行する。
【0147】
端末制御部53は、S740で、「変更」ボタンを選択(タップ)可能な状態にする。「変更」ボタンは、
図4の「タイマーロック画面(2)」における変更ボタン57hである。
【0148】
端末制御部53は、S750で、「変更」ボタンが選択(タップ)されたか否かを判定し、肯定判定するとS760に移行し、否定判定すると同ステップを繰り返し実行することで待機する。
【0149】
端末制御部53は、S760で、第10情報信号Sa10を無線通信によりレーザー墨出し器10に送信する。第10情報信号Sa10は、「新しい暗証番号」を通知する信号に相当する。
【0150】
機器制御部31は、S770で、第10情報信号Sa10を受信する。機器制御部31は、次のS780で、新しい暗証番号をメモリ31bに記憶する。
機器制御部31は、次のS790で、第11情報信号Sa11を無線通信により携帯端末装置51に送信する。第11情報信号Sa11は、「暗証番号の変更完了」を通知する信号に相当する。機器制御部31は、S790を完了すると、暗証番号変更処理を終了する。
【0151】
携帯端末装置51は、第11情報信号Sa11を受信すると、S800で、レーザー墨出し器10からの「通知」を受信する。つまり、端末制御部53は、「レーザー墨出し器10で暗証番号が変更完了したことの通知」を受信する。
【0152】
端末制御部53は、次のS810で、「変更完了」のポップアップ表示を行う。具体的には、端末制御部53は、
図4に示す「タイマーロック画面(4)」を端末表示部57に表示する。端末制御部53は、S810を完了すると、暗証番号変更処理を終了する。
【0153】
端末制御部53は、S760に続いてS820に移行すると、応答待ち時間のカウントを開始する。端末制御部53は、S830で、予め定められた待機時間が経過するまで、レーザー墨出し器10から通知が届いたか否かを判定する。端末制御部53は、待機時間経過までに通知が届いた場合には、S830の処理を中断して、S800の処理を優先的に実行する。端末制御部53は、待機時間経過まで通知が届かない場合には、S840に移行する。
【0154】
端末制御部53は、S840で、「エラー」のポップアップ表示を行う。具体的には、端末制御部53は、
図4に示す「タイマーロック画面(4)」において、「変更完了」に代えて「エラー」が表示される画面を端末表示部57に表示する。端末制御部53は、S840を完了すると、暗証番号変更処理を終了する。
【0155】
以上説明したように、電動作業システム1は、暗証番号変更処理を実行することで、携帯端末装置51で入力された「新しい暗証番号」を、レーザー墨出し器10に送信する。レーザー墨出し器10は、メモリ31bに記憶する「暗証番号」を「新しい暗証番号」に変更する。
【0156】
[1-3-5.営業所表示処理]
営業所表示処理について、
図12,
図13のフローチャートを参照して説明する。このフローチャートは、携帯端末装置51の端末制御部53が実行する処理内容を表す。
【0157】
営業所表示処理は、端末表示部57に表示されたメイン画面(
図5参照)において、使用者により「情報」ボタンが選択(タップ)されると起動される。
営業所表示処理が起動されると、まず、S920では、携帯端末装置51の端末制御部53は、携帯端末装置51のGPS機能がON状態であるか否かを判定し、肯定判定するとS930に移行し、否定判定するとS980に移行する。
【0158】
端末制御部53は、S930に移行すると、営業所情報データベースにアクセスする。具体的には、端末制御部53は、インターネット回線を通じて、特定URLにアクセスすることで、営業所情報データベースにアクセスする。営業所情報データベースは、例えば、営業所の住所、電話番号などの情報が記録されたCSVファイルなどである。なお、携帯端末装置51は、例えば、いわゆるスマートフォンであってもよい。
【0159】
端末制御部53は、次のS940で、営業所情報データベースから抽出した各営業所の住所に基づいて、各営業所の緯度・経度を取得する。端末制御部53は、例えば、API(Application Programming Interface)を用いて、各営業所の緯度・経度を取得してもよい。
【0160】
端末制御部53は、次のS950で、全ての営業所に関して、現在地と営業所との距離を算出する。端末制御部53は、次のS960で、現在地からの最寄りの営業所として、距離が短い上位3つの営業所を抽出する。
【0161】
端末制御部53は、次のS970で、距離が短い上位3つの営業所の情報を端末表示部57に表示する。具体的には、端末制御部53は、
図5に示す「情報画面(1)」を端末表示部57に表示する。情報画面(1)には、各営業所の住所および電話番号が表示される。情報画面(1)には、「営業所一覧」アイコン、「電話」アイコン、「Mapで見る」アイコンがそれぞれ表示される。「営業所一覧」アイコン、「電話」アイコン、「Mapで見る」アイコンは、使用者により選択(タップ)できる状態で表示される。
図5では、「営業所一覧」アイコンは営業所一覧アイコン57iであり、「電話」アイコンは電話アイコン57jであり、「Mapで見る」アイコンはMapで見るアイコン57kである。
【0162】
端末制御部53は、次のS1010で、使用者によりどのアイコンが選択されたか判定し、使用者により「営業所一覧」アイコンが選択されるとS1020に移行し、使用者により「電話」アイコンが選択されるとS1030に移行し、使用者により「Mapで見る」アイコンが選択されるとS1090に移行する。
【0163】
端末制御部53は、S1020に移行すると、情報画面(1)に代えて、営業所一覧ホームページを表示する。営業所一覧ホームページは、支店および営業所が掲載されたホームページ画面であり、Webブラウザアプリを用いて表示される。営業所一覧ホームページは、例えば、レーザー墨出し器10の製造会社の会社ホームページに含まれる「支店・営業所一覧」ページであってもよい。端末制御部53は、S1020を終了すると、営業所表示処理を終了する。
【0164】
端末制御部53は、S1030に移行すると、使用者により選択された営業所の「電話番号」をポップアップ表示する。具体的には、端末制御部53は、
図5に示す「情報画面(2)」を端末表示部57に表示する。ポップアップ画面には、「発信」ボタンと、「キャンセル」ボタンが表示される。
【0165】
端末制御部53は、次のS1040で、使用者により「発信」ボタンが選択されたか否かを判定し、肯定判定するとS1050に移行し、否定判定するとS1080に移行する。
【0166】
端末制御部53は、S1050に移行すると、電話アプリを呼び出し、選択された営業所の電話番号に発信する。端末制御部53は、S1060で、通話が終了したか否かを判定し、通話が終了すると、S1060を終了して、S1070に移行する。
【0167】
端末制御部53は、S1070に移行すると、ポップアップ表示を消去して、「情報画面(1)」を表示する。端末制御部53は、S1070を終了すると、営業所表示処理を終了する。
【0168】
端末制御部53は、S1080に移行すると、使用者により「キャンセル」ボタンが選択されたか否かを判定し、肯定判定するとS1070に移行し、否定判定するとS1040に移行する。
【0169】
端末制御部53は、S1090に移行すると、Mapアプリを呼び出し、選択された営業所の地図を表示する。Mapアプリは、例えば、GoogleMapアプリであってもよい。なお、Googleは登録商標である。端末制御部53にMapアプリがインストールされていない場合には、Webブラウザアプリを用いて、選択された営業所の地図データを表示してもよい。
【0170】
端末制御部53は、次のS1100で、使用者によりアプリ切り替え操作が行われるまで待機し、アプリ切り替え操作が行われると、情報画面(1)または情報顔面(3)を表示する。ここでの「アプリ切り替え操作」は、レーザー墨出し器10に関連するアプリを選択する切り替え操作である。端末制御部53は、S1100を完了すると、S1070に移行する。
【0171】
端末制御部53は、S980に移行すると、「GPS許可」をダイヤログ表示する。具体的には、端末制御部53は、
図5に示す「情報画面(2)」のポップアップ表示の内容を、「GPS許可」ボタンと「キャンセル」ボタンとを備えるダイヤログ表示に置き換えられた画面を表示する。「GPS許可」ボタンおよび「キャンセル」ボタンは、使用者により選択(タップ)できる状態で表示される。
【0172】
端末制御部53は、S990に移行すると、GPS機能が許可されたか否かを判定し、肯定判定するとS930に移行し、否定判定するとS1000に移行する。
端末制御部53は、S1000に移行すると、
図14に示す「情報画面(3)」を端末表示部57に表示する。情報画面(3)は、情報画面(1)(
図5参照)に類似する画面であるが、GPS機能による現在地判定ができないため、情報画面(3)の「最寄り営業所」エリアを「空欄」とする。あるいは、情報画面(3)の「最寄り営業所」エリアに「該当無し」と表示してもよい。情報画面(3)には、「営業所一覧」ボタンが表示される。端末制御部53は、S1000を完了すると、S1010に移行する。S1010以降の処理内容は、上述の通りであり,ここでの説明は省略する。
【0173】
端末制御部53は、S1070またはS1020を終了すると、営業所表示処理を終了する。
以上説明したように、携帯端末装置51において、端末操作部54は、端末表示部57にメイン画面が表示されているときに、「情報」ボタンが選択されることで、使用者からの連絡先要求指令を受け付ける(S910)。なお、連絡先要求指令は、レーザー墨出し器10の保守管理業者の連絡先情報を表示するための指令である。
【0174】
端末制御部53は、「情報」ボタンが選択されることに応じて、レーザー墨出し器10の保守管理業者における営業所の連絡先情報を端末表示部57に表示する(S970、S1000)。このとき、端末表示部57には、情報画面(1)、情報画面(3)などが表示される。
【0175】
[1-4.効果]
以上説明したように、レーザー墨出し器10は、無線通信により第7情報信号Sa7(許可情報)を受信した後(S450)、経過時間の計測を開始する(S470)。レーザー墨出し器10は、経過時間とタイマー時間(許可時間)との差分値(タイマー残時間)が許可条件を満たさなくなることで(S510で否定判定)、レーザー墨出し器10におけるレーザー出力動作および回転動作を禁止する(S530)。許可条件は、「タイマー残時間が0secよりも大きいこと」である。
【0176】
このため、レーザー墨出し器10は、レーザー出力動作および回転動作を禁止するにあたり、使用者がレーザー墨出し器10まで近づく必要がない。また、レーザー墨出し器10は、レーザー出力動作および回転動作を禁止するにあたり、使用者がレーザー墨出し器10に直接触れる必要がないため、レーザー墨出し器10の位置変化を抑制できる。
【0177】
よって、レーザー墨出し器10は、レーザー墨出し器10のレーザー発光部34およびモータ36を動作できない状態にするにあたり、使用者の負担増大を抑制できる。
次に、レーザー墨出し器10は、受信した入力暗証番号SN1(照合情報に相当)が登録暗証番号SNR(暗証情報に相当)に一致する場合には、携帯端末装置51からの「タイマー時間」(許可情報に相当)の受信を許可する。このため、レーザー墨出し器10は、「タイマー時間」に基づいてレーザー発光部34の動作およびモータ36の動作を制限できるため、盗難を抑制できる。
【0178】
また、レーザー墨出し器10は、入力暗証番号SN1が登録暗証番号SNRと一致しない場合には、携帯端末装置51からの「タイマー時間」の受信を拒否する。このため、レーザー墨出し器10は、レーザー発光部34の動作およびモータ36の動作を制限することなく、レーザー墨出し器10が使用できる状態となる。
【0179】
なお、機器制御部31は、入力暗証番号SN1が登録暗証番号SNRと一致しない場合には、携帯端末装置51に対して第3情報信号Sa3を送信することで、入力暗証番号SN1が登録暗証番号SNRと一致しないことを報知する。携帯端末装置51は、第3情報信号Sa3を受信すると、暗証番号が違うことを通知するためのダイヤログ表示を行う(S250)。つまり、電動作業システム1は、使用者に対して、暗証番号が一致しないことを通知する機能を備える。
【0180】
次に、機器制御部31は、「新しいタイマー時間」を受信すること(S450)に応じて、新しいタイマー時間をメモリ31bに記憶することで(S470)、タイマー時間を更新する。機器制御部31は、更新された後のタイマー時間に基づいて、タイマー残時間が許可条件(タイマー残時間が0secよりも大きいこと)を満たすか否かを判定する(S510)。
【0181】
よって、レーザー墨出し器10は、経過時間の計測途中でも、状況変化に応じてタイマー時間(許可情報)を更新できるため、レーザー発光部34の動作およびモータ36の動作を制限する条件を適切に変更することができる。
【0182】
次に、携帯端末装置51は、無線通信により、レーザー墨出し器10に対して「新しいタイマー時間」(許可時間)を設定することができる。よって、携帯端末装置51は、レーザー墨出し器10の盗難を抑制するにあたり、使用者がレーザー墨出し器10に直接触れる必要が無くなるため、使用者の負担の増大を抑制できる。
【0183】
次に、携帯端末装置51は、無線通信により、レーザー墨出し器10に対して入力暗証番号SN1(照合情報)を送信する。よって、携帯端末装置51は、入力暗証番号SN1をレーザー墨出し器10に入力するにあたり、使用者がレーザー墨出し器10に直接触れる必要が無くなるため、使用者の負担の増大を抑制できる。
【0184】
次に、携帯端末装置51は、営業所表示処理を実行することで、使用者により「情報」ボタンが選択されることに応じて、レーザー墨出し器10の保守管理業者における営業所の連絡先情報を端末表示部57に表示する。これにより、携帯端末装置51を利用することで、使用者による営業所への電話連絡が容易に実現できる。
【0185】
次に、電動作業システム1は、レーザー墨出し器10および携帯端末装置51を備えることで、レーザー墨出し器10のレーザー発光部34およびモータ36を動作できない状態にするにあたり、使用者の負担増大を抑制できる。
【0186】
次に、メモリ53bに記憶されているプログラムは、上記の各種処理を端末制御部53に実行させるためのプログラムである。
例えば、プログラムは、タイマーロック起動処理、残時間表示更新処理、タイマー時間設定処理、暗証番号変更処理のそれぞれを端末制御部53に実行させることで、無線通信手順を、端末制御部53に実行させる。無線通信手段は、レーザー墨出し器10と無線通信を行い、各種情報を送受信する手順である。プログラムは、タイマー時間設定処理のS420およびS430を端末制御部53に実行させることで、タイマー時間(許可情報)を使用者から受け付ける情報受付手順を、端末制御部53に実行させる。プログラムは、タイマー時間設定処理のS440を端末制御部53に実行させることで、タイマー時間(許可情報)をレーザー墨出し器10に出力する情報出力手順を、端末制御部53に実行させる。
【0187】
このプログラムは、端末制御部53に、無線通信手順と、情報受付手順と、情報出力手順と、を実行させることで、端末制御部53を備える携帯端末装置51に、無線通信によりレーザー墨出し器10に対して「新しいタイマー時間」(許可時間)を設定する機能を持たせることができる。よって、プログラムは、レーザー墨出し器10の盗難を抑制するにあたり、使用者がレーザー墨出し器10に直接触れる必要が無くなるため、使用者の負担の増大を抑制できる。
【0188】
[1-5.文言の対応関係]
ここで、文言の対応関係について説明する。
レーザー駆動回路33、レーザー発光部34、モータ駆動回路35、モータ36の各々が電動部の一例に相当する。機器通信部21が情報受信部の一例に相当し、S510およびS530を実行する機器制御部31が許可判定部の一例に相当する。メモリ31bが暗証情報記憶部の一例および許可情報記憶部の一例に相当し、S170を実行する機器制御部31が認証制御部の一例に相当する。レーザー発光部34、第1射出部5、第2射出部6、第3射出部7、第4射出部8がレーザー出力部の一例に相当する。
【0189】
端末通信機59が無線通信部の一例に相当し、端末操作部54が情報受付部の一例に相当する。S150またはS440を実行する端末制御部53が情報出力部の一例に相当する。
【0190】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0191】
(2a)上記実施形態では、S510での許可条件は、「タイマー残時間が0secよりも大きいこと」であるが、許可条件はこのようなものに限られることはない。例えば、「タイマー残時間が0sec以上であること」であってもよい。つまり、タイマー残時間が0secの場合、上記実施形態では否定判定されるが、肯定判定するように、レーザー墨出し器を構成してもよい。このようなレーザー墨出し器は、タイマー残時間が0secの場合には、動作を禁止するのではなく、動作を許可する状態を維持することになる。このレーザー墨出し器は、このあと時間が経過することでタイマー残時間が0sec未満となり、許可条件が満たされなくなることで、動作禁止状態に移行する。
【0192】
(2b)上記実施形態では、まずタイマー時間を記憶して(S470)、タイマー時間から使用時間を差し引いたタイマー残時間を更新して(S500)、タイマー残時間が所定条件を満たすか否か判定(S510)する形態について説明したが、本開示は、このような形態に限られることはない。例えば、使用時間を累積した累積使用時間をカウントして、最初に記憶したタイマー時間から現在の累積使用時間を差し引いてタイマー残時間を計算して、このタイマー残時間が所定条件を満たすか否かを判定する形態であってもよい。
【0193】
(2c)上記実施形態では、携帯端末装置の一例としてスマートフォンを挙げたが、タブレット端末、ノート型パソコンなどであってもよい。
(2d)上記実施形態では、レーザー墨出し器10と携帯端末装置51との間の第1の無線通信に関して、Bluetooth規格に準拠した通信方式を一例に挙げて説明したが、このような通信方式に限定されることはない。第1の無線通信は、例えば、Wifi(登録商標)などの通信方式を採用してもよい。
【0194】
(2e)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加または置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0195】
1…電動作業システム、10…レーザー墨出し器、21…機器通信部、21a…第1の機器通信機、21b…第2の機器通信機、31…機器制御部、31a…CPU、31b…メモリ、32…機器操作部、33…レーザー駆動回路、34…レーザー発光部、35…モータ駆動回路、36…モータ、37…機器表示部、51…携帯端末装置、53…端末制御部、53a…CPU、53b…メモリ、54…端末操作部、57…端末表示部、59…端末通信機、60…受光装置。