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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/042 20060101AFI20240507BHJP
   G06F 21/32 20130101ALI20240507BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20240507BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20240507BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240507BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240507BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240507BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240507BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240507BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20240507BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20240507BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20240507BHJP
   H10K 59/00 20230101ALI20240507BHJP
【FI】
G06F3/042 472
G06F21/32
G06F3/0488
G06F3/044 129
G06T7/00 530
G06T1/00 400G
G09F9/30 349Z
G09F9/00 366A
G09F9/30 365
H05B33/14 A
H05B33/22 Z
H05B33/04
H05B33/26 Z
H10K59/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020159990
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2021057039
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-09-11
(31)【優先権主張番号】P 2019176791
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 大介
(72)【発明者】
【氏名】初見 亮
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 太介
(72)【発明者】
【氏名】楠 紘慈
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 一徳
(72)【発明者】
【氏名】川島 進
(72)【発明者】
【氏名】吉住 健輔
【審査官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0210571(US,A1)
【文献】特開2013-073965(JP,A)
【文献】特開2019-061370(JP,A)
【文献】特開2016-212871(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0211078(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0294851(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/01
G06F3/03-3/04895
H05B33/00-33/28
H04M1/00-1/82
G09G3/12-3/3291
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、受光素子と、第1の導電層と、第2の導電層と、絶縁層と、を有し、
前記発光素子は、第1の画素電極と、発光層と、共通電極と、を有し、
前記受光素子は、第2の画素電極と、活性層と、前記共通電極と、を有し、
前記第1の画素電極と、前記第2の画素電極とは、同一面上に設けられ、
前記共通電極は、前記発光層を介して前記第1の画素電極と重なる部分と、前記活性層を介して前記第2の画素電極と重なる部分と、を有し、
前記第1の導電層、前記第2の導電層、及び前記絶縁層は、前記共通電極の上方に設けられ、
前記絶縁層は、前記第1の導電層の上方に設けられ、
前記第2の導電層は、前記絶縁層の上方に設けられ、
前記受光素子は、前記発光素子が発する光を受光する機能を有する、
表示装置。
【請求項2】
発光素子と、受光素子と、第1の導電層と、第2の導電層と、絶縁層と、保護層と、を有し、
前記発光素子は、第1の画素電極と、発光層と、共通電極と、を有し、
前記受光素子は、第2の画素電極と、活性層と、前記共通電極と、を有し、
前記第1の画素電極と、前記第2の画素電極とは、同一面上に設けられ、
前記共通電極は、前記発光層を介して前記第1の画素電極と重なる部分と、前記活性層を介して前記第2の画素電極と重なる部分と、を有し、
前記保護層は、前記共通電極の上方に設けられ、
前記第1の導電層は、前記保護層の上方に設けられ、
前記絶縁層は、前記第1の導電層及び前記保護層の上方に設けられ、
前記第2の導電層は、前記絶縁層の上方に設けられ、
前記受光素子は、前記発光素子が発する光を受光する機能を有する、
表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記第1の導電層は、複数の開口を有し、
前記発光素子は、前記第1の導電層の前記開口の一と重なり、
前記受光素子は、前記第1の導電層の前記開口の他の一と重なる、
表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
共通層を有し、
前記共通層は、前記第1の画素電極と前記共通電極との間に位置する部分と、前記第2の画素電極と前記共通電極との間に位置する部分と、を有し、
前記発光層と、前記活性層とは、互いに異なる有機化合物を含む、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示装置に関する。本発明の一態様は、撮像装置に関する。本発明の一態様は、タッチパネルに関する。本発明の一態様は、電子機器の認証方法に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法、を一例として挙げることができる。半導体装置は、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。
【背景技術】
【0003】
近年、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット型情報端末、ノート型PC(パーソナルコンピュータ)などの情報端末機器が広く普及している。このような情報端末機器は、個人情報などが含まれることが多く、不正な利用を防止するための様々な認証技術が開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、プッシュボタンスイッチ部に、指紋センサを備える電子機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2014/0056493号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
情報端末機器として機能する電子機器に、指紋認証などの認証機能を付加する場合、指紋を撮像するためのモジュールを電子機器に実装する必要がある。そのため、部品点数の増加に伴い、電子機器のコストが増大してしまう。
【0007】
本発明の一態様は、認証機能を有する電子機器のコストを低減することを課題の一とする。または、電子機器の部品点数を削減することを課題の一とする。または、指紋等を撮像することのできる表示装置を提供することを課題の一とする。または、タッチ検出機能と指紋の撮像機能を兼ね備えた表示装置を提供することを課題の一とする。または、指紋認証機能を備え、且つ画面占有率の高い電子機器を提供することを課題の一とする。
【0008】
本発明の一態様は、セキュリティレベルの高い認証方法を提供することを課題の一とする。または、ユーザフレンドリな認証方法を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、新規な表示装置、電子機器、認証方法、またはプログラムを提供することを課題の一とする。
【0009】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、発光素子と、受光素子と、第1の導電層と、第2の導電層と、絶縁層と、を有する表示装置である。発光素子は、第1の画素電極と、発光層と、共通電極と、を有する。受光素子は、第2の画素電極と、活性層と、共通電極と、を有する。第1の画素電極と、第2の画素電極とは、同一面上に設けられる。共通電極は、発光層を介して第1の画素電極と重なる部分と、活性層を介して第2の画素電極と重なる部分と、を有する。第1の導電層、第2の導電層、及び絶縁層は、共通電極の上方に設けられる。絶縁層は、第1の導電層の上方に設けられ、第2の導電層は、絶縁層の上方に設けられる。また、受光素子は、発光素子が発する光を受光する機能を有する。
【0011】
また、本発明の他の一態様は、発光素子と、受光素子と、第1の導電層と、第2の導電層と、絶縁層と、保護層と、を有する表示装置である。発光素子は、第1の画素電極と、発光層と、共通電極と、を有する。受光素子は、第2の画素電極と、活性層と、共通電極と、を有する。第1の画素電極と、第2の画素電極とは、同一面上に設けられる。共通電極は、発光層を介して第1の画素電極と重なる部分と、活性層を介して第2の画素電極と重なる部分と、を有する。保護層は、共通電極の上方に設けられる。第1の導電層は、保護層の上方に設けられる。絶縁層は、第1の導電層及び保護層の上方に設けられる。第2の導電層は、絶縁層の上方に設けられる。また、受光素子は、発光素子が発する光を受光する機能を有する。
【0012】
また、上記において、第1の導電層は、複数の開口を有することが好ましい。このとき、発光素子は、第1の導電層の開口の一と重なり、受光素子は、第1の導電層の開口の他の一と重なることが好ましい。
【0013】
また、上記において、共通層を有することが好ましい。このとき、共通層は、第1の画素電極と共通電極との間に位置する部分と、第2の画素電極と共通電極との間に位置する部分と、を有することが好ましい。また、発光層と、活性層とは、互いに異なる有機化合物を含むことが好ましい。
【0014】
また、本発明の他の一態様は、表示素子と受光素子とがマトリクス状に配置された表示部と、表示部へのタッチを検出するタッチセンサと、認証部と、を有する電子機器の認証方法であって、以下のステップを有する。タッチセンサにより、表示部に触れる指の位置情報を取得するステップ。表示部の、指が触れた位置を含む第1の領域に位置する表示素子を点灯するステップ。受光素子により、第1の領域を撮像し、指紋情報を取得するステップ。認証部により、指紋情報を用いてユーザー認証処理を実行するステップ。
【0015】
また、本発明の他の一態様は、表示素子と受光素子とがマトリクス状に配置された表示部と、表示部へのタッチを検出するタッチセンサと、認証部と、を有する電子機器の認証方法であって、以下のステップを有する。表示部に、ユーザーにタッチ位置を知らせる画像を表示するステップ。タッチセンサにより、タッチ位置がタッチされたことを検出するステップ。表示部の、タッチ位置を含む第1の領域に位置する表示素子を点灯するステップ。受光素子により、第1の領域を撮像し、指紋情報を取得するステップ。認証部により、指紋情報を用いてユーザー認証処理を実行するステップ。
【0016】
また、本発明の他の一態様は、表示素子と受光素子とがマトリクス状に配置された表示部と、表示部へのタッチを検出するタッチセンサと、認証部と、を有する電子機器に実行させるためのプログラムであって、以下のステップを有する。タッチセンサにより、表示部に触れる指の位置情報を取得するステップ。表示部の、指が触れた位置を含む第1の領域に位置する表示素子を点灯するステップ。受光素子により、第1の領域を撮像し、指紋情報を取得するステップ。認証部により、指紋情報を用いてユーザー認証処理を実行するステップ。
【0017】
また、本発明の他の一態様は、表示素子と受光素子とがマトリクス状に配置された表示部と、表示部へのタッチを検出するタッチセンサと、認証部と、を有する電子機器に実行させるためのプログラムであって、以下のステップを有する。表示部に、ユーザーにタッチ位置を知らせる画像を表示するステップ。タッチセンサにより、タッチ位置がタッチされたことを検出するステップ。表示部の、タッチ位置を含む第1の領域に位置する表示素子を点灯するステップ。受光素子により、第1の領域を撮像し、指紋情報を取得するステップ。認証部により、指紋情報を用いてユーザー認証処理を実行するステップ。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様によれば、認証機能を有する電子機器のコストを低減することができる。または、電子機器の部品点数を削減することができる。または、指紋等を撮像することのできる表示装置を提供できる。または、タッチ検出機能と指紋の撮像機能を兼ね備えた表示装置を提供できる。または、指紋認証機能を備え、且つ画面占有率の高い電子機器を提供できる。
【0019】
また、本発明の一態様によれば、セキュリティレベルの高い認証方法を提供できる。または、ユーザフレンドリな認証方法を提供できる。本発明の一態様によれば、新規な表示装置、電子機器、認証方法、またはプログラムを提供できる。
【0020】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1(A)乃至図1(C)は、表示装置の構成例を示す図である。
図2図2(A)及び図2(B)は、表示装置の構成例を示す図である。
図3図3(A)及び図3(B)は、表示装置の構成例を示す図である。
図4図4(A)乃至図4(C)は、表示装置の構成例を示す図である。
図5図5(A)及び図5(B)は、表示装置の構成例を示す図である。
図6図6(A)乃至図6(C)は、タッチセンサの構成例を示す図である。
図7図7は、タッチセンサ及び画素の構成例を示す図である。
図8図8は、タッチセンサ及び画素の構成例を示す図である。
図9図9(A)及び図9(B)は、タッチセンサ及び画素の構成例を示す図である。
図10図10は、タッチセンサ及び画素の構成例を示す図である。
図11図11は、表示装置の構成例を示す図である。
図12図12は、表示装置の構成例を示す図である。
図13図13(A)及び図13(B)は、表示装置の構成例を示す図である。
図14図14(A)及び図14(B)は、表示装置の構成例を示す図である。
図15図15は、表示装置の構成例を示す図である。
図16図16は、デバイスの構成例を示す図である。
図17図17は、認証方法の例を説明するためのフローチャートである。
図18図18(A)乃至図18(C)は、電子機器の使用例を示す図である。
図19図19は、認証方法の例を説明するためのフローチャートである。
図20図20(A)及び図20(B)は、電子機器の使用例を示す図である。
図21図21(A)及び図21(B)は、電子機器の構成例を示す図である。
図22図22(A)及び図22(B)は、画素回路の構成例を示す図である。
図23図23(A)及び図23(B)は、電子機器の構成例を示す図である。
図24図24(A)乃至図24(D)は、電子機器の構成例を示す図である。
図25図25(A)乃至図25(F)は、電子機器の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0023】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0024】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成要素の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0025】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0026】
なお、以下では「上」、「下」などの向きを示す表現は、基本的には図面の向きと合わせて用いるものとする。しかしながら、説明を容易にするためなどの目的で、明細書中の「上」または「下」が意味する向きが、図面とは一致しない場合がある。一例としては、積層体等の積層順(または形成順)などを説明する場合に、図面において当該積層体が設けられる側の面(被形成面、支持面、接着面、平坦面など)が当該積層体よりも上側に位置していても、その向きを下、これとは反対の向きを上、などと表現する場合がある。
【0027】
本明細書等において、表示装置の一態様である表示パネルは表示面に画像等を表示(出力)する機能を有するものである。したがって表示パネルは出力装置の一態様である。
【0028】
また、本明細書等では、表示パネルの基板に、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)もしくはTCP(Tape Carrier Package)などのコネクターが取り付けられたもの、または基板にCOG(Chip On Glass)方式等によりICが実装されたものを、表示パネルモジュール、表示モジュール、または単に表示パネルなどと呼ぶ場合がある。
【0029】
なお、本明細書等において、表示装置の一態様であるタッチパネルは表示面に画像等を表示する機能と、表示面に指やスタイラスなどの被検知体が触れる、押圧する、または近づくことなどを検出するタッチセンサとしての機能と、を有する。したがってタッチパネルは入出力装置の一態様である。
【0030】
タッチパネルは、例えばタッチセンサ付き表示パネル(または表示装置)、タッチセンサ機能つき表示パネル(または表示装置)とも呼ぶことができる。タッチパネルは、表示パネルとタッチセンサパネルとを有する構成とすることもできる。または、表示パネルの内部または表面にタッチセンサとしての機能を有する構成とすることもできる。
【0031】
また、本明細書等では、タッチパネルの基板に、コネクターやICが実装されたものを、タッチパネルモジュール、表示モジュール、または単にタッチパネルなどと呼ぶ場合がある。
【0032】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置、および表示装置を備える電子機器について説明する。
【0033】
本発明の一態様の表示装置は、複数の表示素子と、複数の受光素子(受光デバイスともいう)と、タッチセンサと、を有する。表示素子は、発光素子(発光デバイスともいう)であることが好ましい。受光素子は、光電変換素子であることが好ましい。以下では、表示素子として、発光素子を用いる場合について説明する。
【0034】
表示装置は、マトリクス状に配列された表示素子により、表示面側に画像を表示する機能を有する。
【0035】
また、表示装置は、表示面に触れる、または近づく物体を撮像することができる。例えば、発光素子が発した光の一部は、当該物体により反射し、その反射光が受光素子に入射される。また、受光素子は、入射される光の強度に応じて電気信号を出力することができる。そのため、表示装置が、マトリクス状に配列した複数の受光素子を有することで、物体の位置情報や形状をデータとして取得する(撮像するともいう)ことができる。すなわち、表示装置は、イメージセンサパネルなどとして機能させることができる。特に、表示装置は、表示面に触れた指先の指紋を撮像することができる。
【0036】
また、表示装置は、表示面に触れる、または近接する物体の位置情報を取得するタッチセンサを備える。タッチセンサとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、赤外線方式、電磁誘導方式、表面弾性波方式等、種々の方式を採用することができる。特にタッチセンサとして、静電容量方式のタッチセンサを用いることが好ましい。
【0037】
静電容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。また、投影型静電容量方式としては、自己容量方式、相互容量方式等がある。相互容量方式を用いると、同時多点検知が可能となるため好ましい。
【0038】
相互容量方式のタッチセンサは、パルス電位が与えられる電極と、検知回路が接続される電極と、をそれぞれ複数有する構成とすることができる。タッチセンサは、指などが接近した際に、電極間の容量が変化することを利用して、検知することができる。タッチセンサを構成する電極は、発光素子及び受光素子よりも表示面側に配置することが好ましい。
【0039】
表示素子として発光素子を用いる場合には、OLED(Organic Light Emitting Diode)やQLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)などのEL素子を用いることが好ましい。EL素子が有する発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料)、無機化合物(量子ドット材料など)などが挙げられる。また、発光素子として、マイクロLED(Light Emitting Diode)などのLEDを用いることもできる。
【0040】
受光素子としては、例えば、pn型またはpin型のフォトダイオードを用いることができる。受光素子は、受光素子に入射する光を検出し電荷を発生させる光電変換素子として機能する。光電変換素子は、入射する光量に応じて、発生する電荷量が決まる。特に、受光素子として、有機化合物を含む層を有する有機フォトダイオードを用いることが好ましい。有機フォトダイオードは、薄型化、軽量化、及び大面積化が容易であり、また、形状及びデザインの自由度が高いため、様々な表示装置に適用できる。
【0041】
発光素子は、例えば一対の電極間に発光層を備える積層構造とすることができる。また、受光素子は、一対の電極間に活性層を備える積層構造とすることができる。受光素子の活性層には、半導体材料を用いることができる。例えば、有機化合物を含む有機半導体材料、またはシリコンなどの無機半導体材料を用いることができる。
【0042】
特に、受光素子の活性層に、有機化合物を用いることが好ましい。このとき、発光素子と受光素子のそれぞれの一方の電極(画素電極ともいう)を、同一面上に設けることが好ましい。さらに、発光素子と受光素子の他方の電極を、連続した一の導電層により形成される電極(共通電極ともいう)とすることがより好ましい。さらに、発光素子と受光素子とが、共通層を有することがより好ましい。これにより、発光素子と受光素子とを作製する際の、作製工程の一部を共通化できるため、作製工程を簡略化でき、製造コストを低減すること、及び、製造歩留りを向上させることができる。
【0043】
また、タッチセンサの電極として機能する導電層として、金属または合金材料を用いることが好ましい。このとき、導電層は、発光素子が発する光が透過するための開口、及び受光素子が受光する光が透過するための開口を、それぞれ有することが好ましい。例えば、導電層が複数の開口を有する上面形状、好ましくは格子状の上面形状を有し、当該導電層の開口の一が発光素子と重なり、他の一が受光素子と重なる構成とすることが好ましい。このような構成とすることで、発光素子の発光面積及び受光素子の受光面積を損なうことなく、導電層に金属または合金材料などの低抵抗な材料を適用できる。これにより、表示品位の高い表示と、品質の高い画像の撮像と、感度の高いタッチセンシングと、を兼ね備えた表示装置を実現することができる。
【0044】
なお、タッチセンサの電極として、発光素子が発する光を透過する、透光性の電極を用いることができる。このとき、透光性の電極が、発光素子及び受光素子と重なるように設けることができる。
【0045】
発光素子及び受光素子は、一対の基板の間に設けることができる。基板としては、ガラス基板等の剛性を有する基板を用いてもよいし、可撓性のフィルムを用いてもよい。このとき、タッチセンサの電極は、表示面側に位置する基板に形成することができる。または、タッチセンサの電極を他の基板上に形成し、表示面側に貼り合わせる構成としてもよい。
【0046】
また、タッチセンサの電極を、上記一対の基板の間に配置することが好ましい。このとき、発光素子及び受光素子を覆う保護層を設け、保護層上に、タッチセンサの電極が設けられる構成とすることができる。これにより、部品点数が削減でき、作製工程が簡略化できる。また、表示装置の厚さを薄くできるため、特に基板に可撓性のフィルムを用いたフレキシブルディスプレイとして表示装置を用いる場合に適している。
【0047】
本発明の一態様の表示装置は、指紋認証等のための指紋の撮像機能を備えるため、別途撮像モジュールを設ける必要がなく、電子機器の部品点数を削減できる。また、表示部に触れることで指紋の撮像を行えるため、電子機器の筐体の一部に、指紋の撮像部を別途設ける必要がなく、電子機器の画面占有率(電子機器の表面積に対する画面の面積の割合)を高めることができる。そのため、筐体を大きくすることなく、大画面化が容易となる。
【0048】
以下では、より具体的な構成例について、図面を参照して説明する。
【0049】
[表示装置の構成例1]
図1(A)に、表示装置10の構成例を示す。表示装置10は、基板11、基板12、発光素子21R、発光素子21B、発光素子21G、受光素子22、機能層15、導電層31、導電層32等を有する。
【0050】
発光素子21R、発光素子21B、発光素子21G、及び受光素子22は、基板11と基板12との間に設けられている。導電層31及び導電層32は、発光素子21R、発光素子21B、発光素子21G、及び受光素子22の上方に設けられている。
【0051】
発光素子21R、発光素子21B、発光素子21Gは、それぞれ赤色(R)、青色(B)、または緑色(G)の光を発する。
【0052】
表示装置10は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。1つの画素は、1つ以上の副画素を有する。1つの副画素は、1つの発光素子を有する。例えば、画素には、副画素を3つ有する構成(R、G、Bの3色、または、黄色(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の3色など)、または、副画素を4つ有する構成(R、G、B、白色(W)の4色、または、R、G、B、Yの4色など)を適用できる。さらに、画素は、受光素子22を有する。受光素子22は、全ての画素に設けられていてもよく、一部の画素に設けられていてもよい。また、1つの画素が複数の受光素子22を有していてもよい。
【0053】
導電層31と導電層32は、タッチセンサの電極として機能する。タッチセンサの方式として、相互容量方式を用いる場合では、導電層31と導電層32の一方に、パルス電位が与えられ、他方にアナログ-デジタル(A-D)変換回路や、センスアンプ等の検知回路等が接続される。
【0054】
図1(A)では、導電層31と導電層32が、基板11と基板12の間であって、発光素子21R、発光素子21B、発光素子21G、及び受光素子22よりも基板12側に設けられている。また、図1(A)では、発光素子21R、発光素子21Bまたは発光素子21Gが発する光が、導電層31または導電層32を介して外部に射出される例を示している。このとき、導電層31及び導電層32には、導電性金属酸化物などの、透光性を有する導電材料を用いることが好ましい。
【0055】
図1(B)には、基板12の表面に指60が近接している様子を示している。導電層31と導電層32の間には、容量35が形成されている。指60などが近づくと、容量35の大きさが変化する(具体的には、容量が小さくなる)。この容量の変化は、導電層31及び導電層32の一方にパルス電位を与えたときに、他方に生じる信号の振幅の大きさの変化として表れる。これにより、指60などの接触及び近接を検知することができる。
【0056】
図1(C)には、基板12の表面に指60が触れている様子を示している。発光素子21Gが発する光の一部は、基板12と指60との接触部で反射または散乱される。そして、反射光または散乱光の一部である光36が、受光素子22に入射されることにより、指60の接触面を撮像することができる。
【0057】
指60の表面は、凹部及び凸部により指紋が形成されている。そのため、指60が基板12に触れると、指紋の凸部が基板12に触れ、これらの接触面において光が反射または散乱される。指紋の凹部においても光の反射または散乱が生じるが、基板12に触れないために、指による反射光または散乱光の強度は、凸部よりも低くなる。これにより、凸部と凹部とでコントラストに差が生じ、鮮明な指紋を撮像することができる。
【0058】
指60と基板12の接触面で散乱される散乱光の強度分布は、概ね接触面に垂直な向きの強度が最も高く、これよりも斜め方向に角度が大きくなるほど低い強度分布となる。したがって、接触面の直下に位置する(接触面と重なる)受光素子22が受光する光の強度が最も高くなる。また、散乱光のうち、散乱角が所定の角度以上の光は、基板12の他方の面(接触面とは反対側の面)で全反射し、受光素子22側には透過しなくなる。そのため、明瞭な指紋形状を撮像することができる。
【0059】
受光素子22の配列間隔を小さくするほど、より高精細な画像を撮像することができる。例えば、受光素子22の配列間隔を、指紋の2つの凸部間の距離、好ましくは隣接する凹部と凸部間の距離よりも小さい間隔とすることで、鮮明な指紋の画像を取得することができる。人の指紋の凹部と凸部の間隔は概ね200μmであることから、例えば受光素子22の配列間隔は、400μm以下、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下であって、1μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上とする。
【0060】
なお、表示装置10は、指紋だけでなく、基板12の表面に接触する様々な物体を撮像することができる。そのため、表示装置10はイメージセンサパネルとしても用いることができる。例えば、発光素子21R、発光素子21B、及び発光素子21Gを順次発光させ、その都度、受光素子22によって撮像し、得られる3つの画像を合成することによって、カラー画像を得ることができる。すなわち、表示装置10が適用される電子機器はカラー撮像が可能なイメージスキャナとして用いることもできる。
【0061】
また、表示装置10は、受光素子22を用いてタッチパネルやペンタブレットとして機能させることもできる。受光素子22を用いることで、静電容量式のタッチセンサや、電磁誘導方式のタッチセンサ等を用いた場合とは異なり、絶縁性の高い被検知体であっても位置検出が可能であるため、スタイラス等の被検知体の材料は問われず、様々な筆記用具(例えば筆、ガラスペン、羽ペンなど)を用いることもできる。
【0062】
ここで、図1(C)では、指60を撮像するための光として、発光素子21Gから射出された光を用いる例を示しているが、これに限られず、発光素子21R、発光素子21G、及び発光素子21Bのうち、1つ以上を光源として、指60等を撮像することができる。受光素子22は、少なくとも発光素子21R、発光素子21G、及び発光素子21Bが発する光のうち、1つ以上の光を受光する光電変換素子を用いることができる。具体的には、発光素子21R、発光素子21G、及び発光素子21Bのうち、少なくとも一が発する光の波長を含む波長範囲の光を受光する光電変換素子を、受光素子22に用いることができる。
【0063】
また、発光素子21R、発光素子21G、及び発光素子21Bに加えて、赤外光を発する発光素子を設け、受光素子22として、当該赤外光を受光することのできる光電変換素子を設ける構成としてもよい。または、可視光を受光できる光電変換素子と、赤外光を受光できる光電変換素子の2つを設ける構成としてもよい。赤外光は人に見えないため、赤外光を光源として指紋等を撮像することで、表示する画像に影響されない。これにより、表示と撮像を同時に実行しても、鮮明な画像を取得することができる。
【0064】
[表示装置の構成例2]
以下では、表示装置のより具体的な構成例について説明する。
【0065】
〔構成例2-1〕
図2(A)に、表示装置100Aの断面概略図を示す。
【0066】
表示装置100Aは、一対の基板(基板151及び基板152)間に、受光素子110、発光素子190、トランジスタ131、及びトランジスタ132等を有する。また、表示装置100Aは、他の一対の基板(基板255及び基板258)間に、導電層251、導電層252、及び絶縁層253を有する。基板152と基板255とは、接着層256により貼り合わされている。
【0067】
受光素子110は、画素電極111、共通層112、活性層113、共通層114、及び共通電極115を有する。発光素子190は、画素電極191、共通層112、発光層193、共通層114、及び共通電極115を有する。
【0068】
画素電極111、画素電極191、共通層112、活性層113、発光層193、共通層114、及び共通電極115は、それぞれ、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0069】
画素電極111及び画素電極191は、絶縁層214上に位置する。画素電極111と画素電極191は、同一の材料及び同一の工程で形成することができる。共通層112としては、例えば、正孔注入層及び正孔輸送層の一方または双方を形成することができる。
【0070】
なお、受光素子と発光素子に共通で用いられる層は、発光素子における機能と受光素子における機能とが異なる場合がある。本明細書中では、発光素子における機能に基づいて構成要素を呼称する。例えば、正孔注入層は、発光素子において正孔注入層として機能し、受光素子において正孔輸送層として機能する。同様に、電子注入層は、発光素子において電子注入層として機能し、受光素子において電子輸送層として機能する。また、正孔輸送層は、発光素子と受光素子のどちらにおいても正孔輸送層として機能する。同様に、電子輸送層は、発光素子と受光素子のどちらにおいても電子輸送層として機能する。
【0071】
共通層112は、画素電極111上及び画素電極191上に位置する。共通層112は、受光素子110と発光素子190に共通で用いられる層である。
【0072】
活性層113は、共通層112を介して、画素電極111と重なる。発光層193は、共通層112を介して、画素電極191と重なる。活性層113は、第1の有機化合物を有し、発光層193は、第1の有機化合物とは異なる第2の有機化合物を有する。
【0073】
共通層114は、共通層112上、活性層113上、及び発光層193上に位置する。共通層114は、受光素子110と発光素子190に共通で用いられる層である。共通層114としては、例えば、電子注入層及び電子輸送層の一方または双方を形成することができる。
【0074】
共通電極115は、共通層112、活性層113、及び共通層114を介して、画素電極111と重なる部分を有する。また、共通電極115は、共通層112、発光層193、及び共通層114を介して、画素電極191と重なる部分を有する。共通電極115は、受光素子110と発光素子190に共通で用いられる層である。
【0075】
本実施の形態の表示装置では、受光素子110の活性層113に有機化合物を用いる。受光素子110は、活性層113以外の層を、発光素子190(EL素子)と共通の構成にすることができる。そのため、発光素子190の作製工程に、活性層113を成膜する工程を追加するのみで、発光素子190の形成と並行して受光素子110を形成することができる。また、発光素子190と受光素子110とを同一基板上に形成することができる。したがって、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受光素子110を内蔵することができる。
【0076】
表示装置100Aでは、受光素子110の活性層113と、発光素子190の発光層193と、を作り分ける以外は、受光素子110と発光素子190が共通の構成である例を示す。ただし、受光素子110と発光素子190の構成はこれに限定されない。受光素子110と発光素子190は、活性層113と発光層193のほかにも、互いに作り分ける層を有していてもよい(後述の表示装置100E、100F、100G参照)。受光素子110と発光素子190は、共通で用いられる層(共通層)を1層以上有することが好ましい。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受光素子110を内蔵することができる。
【0077】
受光素子110において、それぞれ画素電極111及び共通電極115の間に位置する共通層112、活性層113、及び共通層114は、有機層(有機化合物を含む層)ということもできる。画素電極111は可視光を反射する機能を有することが好ましい。画素電極111の端部は隔壁216によって覆われている。共通電極115は可視光を透過する機能を有する。
【0078】
受光素子110は、光を検出する機能を有する。具体的には、受光素子110は、基板152を介して外部から入射される光122を受光し、電気信号に変換する、光電変換素子である。
【0079】
基板152の基板151側の面には、遮光層BMが設けられている。遮光層BMは、受光素子110と重なる位置及び発光素子190と重なる位置に開口を有する。遮光層BMを設けることで、受光素子110が光を検出する範囲を制御することができる。
【0080】
遮光層BMとしては、発光素子からの発光を遮る材料を用いることができる。遮光層BMは、可視光を吸収することが好ましい。遮光層BMとして、例えば、金属材料、又は、顔料(カーボンブラックなど)もしくは染料を含む樹脂材料等を用いてブラックマトリクスを形成することができる。遮光層BMは、赤色のカラーフィルタ、緑色のカラーフィルタ、及び青色のカラーフィルタのうち、2以上を積層した積層構造を有していてもよい。
【0081】
ここで、発光素子190の発光の一部が、表示装置100A内で反射され、受光素子110に入射されてしまう場合がある。遮光層BMは、このような迷光の影響を抑制することができる。例えば、遮光層BMが設けられていない場合、発光素子190が発した光は、基板152で反射され、反射光が受光素子110に入射することがある。遮光層BMを設けることで、反射光が受光素子110に入射することを抑制できる。これにより、ノイズを低減し、受光素子110を用いたセンサの感度を高めることができる。
【0082】
発光素子190において、それぞれ画素電極191及び共通電極115の間に位置する共通層112、発光層193、及び共通層114は、EL層ということもできる。画素電極191は可視光を反射する機能を有することが好ましい。画素電極191の端部は隔壁216によって覆われている。画素電極111と画素電極191とは隔壁216によって互いに電気的に絶縁されている。共通電極115は可視光を透過する機能を有する。
【0083】
発光素子190は、可視光を発する機能を有する。具体的には、発光素子190は、画素電極191と共通電極115との間に電圧を印加することで、基板152側に光121を射出する電界発光素子である。
【0084】
発光層193は、受光素子110の受光領域と重ならないように形成されることが好ましい。これにより、発光層193が光122を吸収することを抑制でき、受光素子110に照射される光量を多くすることができる。
【0085】
画素電極111は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ131が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。
【0086】
画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ132が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。トランジスタ132は、発光素子190の駆動を制御する機能を有する。
【0087】
トランジスタ131とトランジスタ132とは、同一の層(図2(A)では基板151)上に接している。
【0088】
受光素子110と電気的に接続される回路の少なくとも一部は、発光素子190と電気的に接続される回路と同一の材料及び同一の工程で形成されることが好ましい。これにより、2つの回路を別々に形成する場合に比べて、表示装置の厚さを薄くすることができ、また、作製工程を簡略化できる。
【0089】
ここで、発光素子190と受光素子110に共通に設けられる共通電極115は、第1の電位が与えられる配線と電気的に接続することが好ましい。第1の電位としては、共通電位(コモン電位)、接地電位、基準電位などの固定電位を用いることができる。なお、共通電極115に与える第1の電位は、固定電位に限られず、異なる2つ以上の電位を選択して与えることもできる。
【0090】
受光素子110で光を受光し、電気信号に変換する場合には、画素電極111には、共通電極115に与えられる第1の電位よりも低い第2の電位を与えることが好ましい。第2の電位は、受光素子110の構成、光学特性、及び電気的な特性等に応じて、受光感度などが最適になるような電位を選択して与えることができる。すなわち、受光素子110をフォトダイオードとしてみなした場合に、逆バイアス電圧が印加されるように、カソードとして機能する共通電極115に与える第1の電位と、アノードとして機能する画素電極191に与える第2の電位とを、選択することができる。なお、受光素子110を駆動しない場合には、画素電極111には、第1の電位と同じ若しくは同程度の電位、または第1の電位よりも高い電位が与えられてもよい。
【0091】
一方、発光素子190を発光させる場合、画素電極191には、共通電極115に与えられる第1の電位よりも高い第3の電位を与えることが好ましい。第3の電位は、発光素子190の構成、しきい値電圧、及び電流-輝度特性等に応じて、要求される発光輝度となるように電位を選択して与えることができる。すなわち、発光素子190を発光ダイオードとしてみなした場合に、順バイアス電圧が印加されるように、カソードとして機能する共通電極115に与える第1の電位と、アノードとして機能する画素電極191に与える第3の電位とを、選択することができる。なお、発光素子190を発光させない場合には、画素電極191には、第1の電位と同じ若しくは同程度の電位、または第1の電位よりも低い電位が与えられてもよい。
【0092】
なお、ここでは、受光素子110及び発光素子190として、共通電極115がカソードとして機能し、各画素電極がアノードとして機能する場合の例を説明したが、これに限られず、共通電極115がアノードとして機能し、各画素電極がカソードとして機能する構成としてもよい。その場合は、受光素子110を駆動する際に上記第2の電位として第1の電位よりも高い電位を与え、発光素子190を駆動する際に上記第3の電位として第1の電位よりも低い電位を与えればよい。
【0093】
受光素子110及び発光素子190は、それぞれ、保護層195に覆われていることが好ましい。図2(A)では、保護層195が、共通電極115上に接して設けられている。保護層195を設けることで、受光素子110及び発光素子190に水などの不純物が入り込むことを抑制し、受光素子110及び発光素子190の信頼性を高めることができる。また、接着層142によって、保護層195と基板152とが貼り合わされている。
【0094】
導電層251は、基板255上に設けられる。絶縁層253は、導電層251及び基板255を覆って設けられる。導電層252は、絶縁層253上に設けられる。基板255と基板258とは、接着層257により貼り合わされている。
【0095】
導電層251と導電層252のいずれか一方、または両方は、タッチセンサの電極として機能する。ここでは、絶縁層253を介して形成された導電層251と導電層252とにより、タッチセンサを構成する例を示している。
【0096】
また、図2(A)には、導電層251と導電層252とが重畳する部分を示している。例えば導電層251と導電層252とが交差する部分に適用することができる。また、導電層251と導電層252とが電気的に接続する接続部の構成を示している。当該接続部において、絶縁層253に設けられた開口を介して、導電層251と導電層252とが電気的に接続されている。当該接続部は、例えば、島状の2つの導電層251を、導電層252により電気的に接続する部分に適用することができる。
【0097】
図2(A)では、導電層251及び導電層252が、発光素子190の発光領域、及び受光素子110の受光領域を避けて設けられている。言い換えると、導電層251及び導電層252は、平面視において、隣接する2つの発光素子190の間、または発光素子190と受光素子110との間に位置するように設けられている。また図2(A)では、導電層251及び導電層252は、遮光層BMと重なる位置に設けられている。これにより、導電層251及び導電層252に、透光性を有する導電材料を用いることなく、金属や合金などの低抵抗な導電材料を用いることができるため、タッチセンサの感度を高めることができる。
【0098】
なお、図2(A)では、基板255の基板258側の面に、導電層251、絶縁層253、及び導電層252を順に形成した例を示したが、これに限られない。例えば、基板255の一方の面側に導電層251を形成し、他方の面側に導電層252を形成し、絶縁層253を設けない構成としてもよい。
【0099】
また、導電層251及び導電層252に、金属または合金などの導電材料を用いた場合、表示面側(図2(A)では基板258側)から見たときに、導電層251及び導電層252による外光反射が視認されてしまう場合がある。そのため、基板258上に、円偏光板(図示しない)を設け、外光反射を抑制することが好ましい。
【0100】
〔構成例2-2〕
図2(B)に、表示装置100Bの断面概略図を示す。表示装置100Bは上記表示装置100Aと比較して、基板258を有さない点、及び基板255の向きが異なる点で、主に相違している。
【0101】
導電層251、導電層252、及び絶縁層253は、基板255の基板152側の面に設けられている。また、基板255と基板152とは、接着層256により貼り合わされている。
【0102】
表示装置100Bは、表示装置100Aと比較して、基板258及び接着層257を有さないことから、製造コストが削減できるだけでなく、厚さを薄くできる。
【0103】
〔構成例2-3〕
図3(A)に、表示装置100Cの断面概略図を示す。表示装置100Cは上記表示装置100Bと比較して、基板152を有さない点で、主に相違している。
【0104】
基板255の基板151側の面に、導電層251、導電層252、及び絶縁層253が設けられている。また、導電層251、導電層252、及び絶縁層253を覆って、絶縁層254が設けられ、絶縁層254の基板151側の面に、遮光層BMが設けられている。基板255と基板151とは、接着層142によって貼り合わされている。
【0105】
このような構成とすることで、一対の基板(ここでは基板151と基板255)の間に、受光素子110、発光素子190、トランジスタ131、トランジスタ132、並びにタッチセンサを構成する導電層251及び導電層252を、設けることができる。これにより、上記表示装置100Aや表示装置100Bと比較して、さらに薄い表示装置を実現することができる。
【0106】
〔構成例2-4〕
図3(B)に、表示装置100Dの断面概略図を示す。表示装置100Dは、上記表示装置100A等と比較して、導電層251等が保護層195の上面に設けられている点で、主に相違している。
【0107】
表示装置100Dにおいて、保護層195は、無機絶縁層195a、有機絶縁層195b、及び無機絶縁層195cが、基板151側からこの順で積層された積層構造を有する。
【0108】
導電層251は、無機絶縁層195c上に設けられている。絶縁層253は、導電層251及び無機絶縁層195cを覆って設けられている。導電層252は、絶縁層253上に設けられている。基板255と基板151とは、接着層142により貼り合わされている。
【0109】
無機絶縁層195aは、受光素子110及び発光素子190に、水などの不純物が拡散することを防ぐ保護膜として機能する。有機絶縁層195bは、平坦化膜として機能する。無機絶縁層195cは、無機絶縁層195aと同様に保護膜としての機能を有し、導電層251の被形成面を成す。
【0110】
無機絶縁層195aと無機絶縁層195cは、それぞれ無機絶縁材料を含むことが好ましい。例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ハフニウムなどの酸化物または窒化物が挙げられる。
【0111】
有機絶縁層195bは、有機絶縁材料を含むことが好ましい。例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。
【0112】
保護層195を、このような積層構造とすることで、例えば無機絶縁層195aにピンホールなどの欠陥があった場合でも、その欠陥を段差被覆性の高い有機絶縁層195bで埋めることができる。さらに平坦な有機絶縁層195bの上面に、無機絶縁層195cを形成することで、無機絶縁層195cとして、欠陥の少ない絶縁膜を形成することができる。また、無機絶縁層195cとして無機絶縁材料を含む膜を用いることで、導電層251を加工(エッチング)する際のエッチングストッパーとして機能し、有機絶縁層195bが削れてしまうことを防ぐことができる。
【0113】
タッチセンサを構成する導電層251、導電層252を、保護層195上に直接形成することにより、表示装置100Dの厚さを極めて薄くすることができる。また、表示装置100Dは、基板255側に導電層251と導電層252が設けられないため、基板255と基板151の貼り合わせに高い精度を必要とせず、作製歩留まりを高めることができる。また、基板255は透光性を有する基板であればよく、表示装置100A等と比較して、材料の選択の自由度が極めて高い。
【0114】
また、図3(B)では、遮光層BMを有さない例を示している。遮光層BMを設けないことにより、発光素子190の発光領域の面積、及び受光素子110の受光領域の面積を大きくできるため、より明るい表示と、高感度な撮像を実現できる。また、基板255と基板151との位置合わせが極めて容易となるため、作製歩留まりを高めることができる。
【0115】
〔変形例1〕
上記では、発光素子と受光素子が、2つの共通層を有する例を示したが、これに限られない。以下では、共通層の構成が異なる例について説明する。
【0116】
なお、以下に示す表示装置100E、表示装置100F、及び表示装置100Gは、表示装置100Dの受光素子110及び発光素子190の構成を異ならせた例を示す。なお、以下で例示する受光素子110及び発光素子190の構成を、表示装置100A、表示装置100B、及び表示装置100C等に適用できることは言うまでもない。
【0117】
図4(A)に、表示装置100Eの断面概略図を示す。表示装置100Eは、表示装置100Dと比較して、共通層114を有さず、バッファ層184及びバッファ層194を有する点で、主に相違している。バッファ層184及びバッファ層194は、それぞれ単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0118】
表示装置100Eにおいて、受光素子110は、画素電極111、共通層112、活性層113、バッファ層184、及び共通電極115を有する。また、発光素子190は、画素電極191、共通層112、発光層193、バッファ層194、及び共通電極115を有する。
【0119】
表示装置100Eでは、共通電極115と活性層113との間のバッファ層184と、共通電極115と発光層193との間のバッファ層194とを作り分ける例を示す。バッファ層184及びバッファ層194としては、例えば、電子注入層及び電子輸送層の一方または双方を形成することができる。
【0120】
図4(B)に、表示装置100Fの断面概略図を示す。表示装置100Fは、表示装置100Dと比較して、共通層112を有さず、バッファ層182及びバッファ層192を有する点で、主に相違している。バッファ層182及びバッファ層192は、それぞれ単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0121】
表示装置100Fにおいて、受光素子110は、画素電極111、バッファ層182、活性層113、共通層114、及び共通電極115を有する。また、発光素子190は、画素電極191、バッファ層192、発光層193、共通層114、及び共通電極115を有する。
【0122】
表示装置100Fでは、画素電極111と活性層113との間のバッファ層182と、画素電極191と発光層193との間のバッファ層192とを作り分ける例を示す。バッファ層182及びバッファ層192としては、例えば、正孔注入層及び正孔輸送層の一方または双方を形成することができる。
【0123】
図4(C)に、表示装置100Gの断面概略図を示す。表示装置100Gは、表示装置100Dと比較して、共通層112及び共通層114を有さず、バッファ層182、バッファ層184、バッファ層192、及びバッファ層194を有する点で、主に相違している。
【0124】
表示装置100Gにおいて、受光素子110は、画素電極111、バッファ層182、活性層113、バッファ層184、及び共通電極115を有する。また、発光素子190は、画素電極191、バッファ層192、発光層193、バッファ層194、及び共通電極115を有する。
【0125】
受光素子110と発光素子190の作製工程において、活性層113と発光層193を作り分けるだけでなく、他の層も作り分けることができる。
【0126】
表示装置100Gは、受光素子110と発光素子190とで、一対の電極(画素電極111または画素電極191と共通電極115)間に、共通の層を有さない例である。表示装置100Gが有する受光素子110及び発光素子190は、絶縁層214上に画素電極111と画素電極191とを同一の材料及び同一の工程で形成し、画素電極111上にバッファ層182、活性層113、及びバッファ層184を、画素電極191上にバッファ層192、発光層193、及びバッファ層194を、それぞれ形成した後に、バッファ層184及びバッファ層194等を覆うように共通電極115を形成することで作製できる。
【0127】
なお、バッファ層182、活性層113、及びバッファ層184の積層構造と、バッファ層192、発光層193、及びバッファ層194の積層構造の作製順は特に限定されない。例えば、バッファ層182、活性層113、及びバッファ層184を成膜した後に、バッファ層192、発光層193、及びバッファ層194を成膜してもよい。逆に、バッファ層182、活性層113、及びバッファ層184を成膜する前に、バッファ層192、発光層193、及びバッファ層194を成膜してもよい。また、バッファ層182、バッファ層192、活性層113、発光層193、などの順に交互に成膜してもよい。
【0128】
〔変形例2〕
以下では、タッチセンサの電極として、透光性の導電膜を用いる場合の例について説明する。
【0129】
図5(A)に、表示装置100Hの断面概略図を示す。表示装置100Hは、表示装置100Aと比較して、タッチセンサの電極の構成が異なる点で、主に相違している。
【0130】
表示装置100Hは、基板255と基板258との間に、導電層251t、導電層252t、及び絶縁層253を有する。導電層251tは基板255上に設けられ、絶縁層253は、導電層251t及び基板255の上面を覆って設けられ、導電層252tは、絶縁層253上に設けられている。図5(A)では、絶縁層253の一部に開口が設けられ、当該開口を介して導電層251tと導電層252tとが電気的に接続する接続部を併せて示している。
【0131】
導電層251t及び導電層252tは、可視光に対して透光性を有する導電材料を含む。導電層251t及び導電層252tは、少なくとも発光素子190が発する光、及び受光素子110が受光する光に対して、透光性を有する材料を用いることができる。
【0132】
導電層251t及び導電層252tが透光性を有するため、これらは受光素子110及び発光素子190と重ねて配置することができる。これにより、基板255と基板151との貼り合わせの工程において、高い精度が要求されないため、表示装置100Hの作製歩留まりを高めることができる。
【0133】
なお、図5(A)では、基板255の基板258側の面に、導電層251t、絶縁層253、及び導電層252tを順に形成した例を示したが、これに限られない。例えば、基板255の一方の面側に導電層251tを形成し、他方の面側に導電層252tを形成し、絶縁層253を設けない構成としてもよい。
【0134】
図5(B)に、表示装置100Jの断面概略図を示す。表示装置100Jは、表示装置100Bと比較して、タッチセンサの電極の構成が異なる点で、主に相違している。
【0135】
表示装置100Jは、表示装置100Bの導電層251に代えて導電層251tを有し、導電層252に代えて導電層252tを有する。導電層251tと導電層252tは、それぞれ受光素子110の受光領域、または発光素子190の発光領域と重なる部分を有していてもよい。
【0136】
表示装置100Jも表示装置100Hと同様に、作製歩留まりを高めることのできる構成である。
【0137】
なお、表示装置100H及び表示装置100Jにおいて、導電層251t及び導電層252tのいずれか一方を、金属または合金を含む導電層に置き換えてもよい。このとき、透光性を有する導電層を、受光素子110および発光素子190と重ねて配置し、金属または合金を含む導電層を、受光素子110及び発光素子190とは重ならない位置に配置することができる。タッチセンサを構成する導電層の一部に、低抵抗な導電層を用いることで、電気抵抗を低減でき、感度を向上させることができる。
【0138】
[タッチセンサの構成例]
以下では、タッチセンサの構成例について説明する。ここでは、静電容量方式のタッチセンサについて説明する。
【0139】
静電容量方式のタッチセンサとしては、代表的には自己容量方式と相互容量方式とがある。
【0140】
自己容量方式では、容量が接続される電極がセグメントを成し、当該セグメントがマトリクス状に複数配された構成を用いる。自己容量方式は、当該電極に指などの被検知体が近づいた際に、当該電極の容量が増加することを検出することで、位置情報を取得する方式である。
【0141】
相互容量方式では、複数の第1の配線と複数の第2の配線とが、互いに交差する向きに配された構成を用いる。相互容量方式は、第1の配線と第2の配線の交差部に形成される容量が、被検知体が近づいたときに変化することを検出することで、位置情報を取得する方式である。
【0142】
以下では、相互容量方式に用いることのできるタッチセンサの構成について説明する。
【0143】
〔タッチセンサの構成例〕
図6(A)は、タッチセンサを構成する導電層の例を説明する上面概略図である。図6(A)に示すタッチセンサは、導電層251と導電層252とを有する。
【0144】
タッチセンサは、X方向に延在し、Y方向に配列する複数の配線(配線X1乃至配線X4)と、Y方向に延在し、X方向に配列する複数の配線(配線Y1乃至配線Y8)を有する。以下では、配線X1乃至配線X4に共通する事柄を説明する場合、配線Xnと表記し、配線Y1乃至配線Y8に共通する事柄を説明する場合に配線Ymと表記する。
【0145】
配線Xnは、導電層251により形成されている。配線Xnは、X方向に長く細い部分と、菱形形状の部分とが交互に連結された形状を有する。
【0146】
配線Ymは、導電層251と導電層252と、を有する。配線Ymは、菱形形状の複数の導電層251と、これら導電層251を連結し、Y方向に長く細い導電層252と、により構成されている。
【0147】
配線Xnと配線Ymとは、配線Xnの導電層251で構成される細い部分と、配線Ymの導電層252で構成される細い部分とで、交差している。
【0148】
なお、図6(B)に示すように、配線Xnを導電層251により形成し、配線Ymを導電層252により形成してもよい。
【0149】
図6(A)及び図6(B)では、配線Xnを4本、配線Ymを8本有する例を示したが、その数はこれに限られず、表示装置の表示部のサイズや、要求されるタッチセンサの配線密度に応じて適宜設定することができる。
【0150】
図6(C)に、タッチセンサの構成を説明する回路図を示す。配線Xnと配線Ymとは容量結合が生じているため、これらの間には容量Cpが形成される。この容量Cpを、配線Xnと配線Ymの相互容量と呼ぶ場合がある。ここでは、配線Xnにはパルス電位が供給される回路が接続され、配線Ymには、配線Ymの電位を取得するためのA-D変換回路やセンスアンプ等の回路が接続される。
【0151】
配線Xnと配線Ymとの間に容量結合が形成されているため、配線Xnにパルス電位が与えられると、配線Ymにパルス電位が生じる。配線Ymに生じるパルス電位の振幅は、配線Xnと配線Ymとの容量結合の強さ(すなわちCpの大きさ)に比例する。ここで、配線Xnと配線Ymの交差部近傍に、指などの被検知体が近づくと、配線Xnと被検知体との間、及び配線Ymと被検知体との間に容量が形成され、その結果、配線Xnと配線Ymとの間の容量結合の強さが相対的に小さくなる。そのため、配線Xnにパルス電位が与えられたときに、配線Ymに生じるパルス電位の振幅が小さくなる。
【0152】
配線X1にパルス電位を与えたときに、配線Y1乃至配線Y8に生じるパルス電位を取得する。同様に、配線X2、配線X3、配線X4の順にパルス電位を与え、そのときに生じる配線Y1乃至配線Y8のパルス電位を取得する。これにより、被検知体の位置情報を取得することができる。
【0153】
〔電極形状の構成例1〕
以下では、上記配線Xn及び配線Ymの電極の上面形状のより具体的な例について説明する。
【0154】
図7に、図6(A)中の領域Qの拡大図を示す。領域Qは、配線Xnの菱形の部分と、配線Ymの菱形の部分と、これらの境界を含む領域である。
【0155】
図7では、配線Xnを成す導電層251Xと、配線Ymを成す導電層251Yの上面形状を示している。導電層251Xと導電層251Yは、それぞれ格子状の上面形状を有する。言い換えると、導電層251X及び導電層251Yは、それぞれ複数の開口を有する上面形状を有する。導電層251Xと導電層251Yとが、異なる面上に形成されていてもよいが、特に、導電層251Xと導電層251Yとが、同一面上に位置し、且つ、同一の導電膜を加工して形成されていることが好ましい。
【0156】
また、図7には、画素20を示している。画素20は、発光素子21R、発光素子21B、発光素子21G、及び受光素子22を有する。発光素子21Rと発光素子21Bは、X方向に交互に配列している。発光素子21Gと受光素子22は、X方向に交互に配列している。発光素子21Rと発光素子21Gは、Y方向に交互に配列している。なお、画素20において、発光素子21R、発光素子21B、発光素子21G、及び受光素子22の位置はこれに限られず、4つのうちの任意の2つを交換することができる。
【0157】
導電層251X及び導電層251Yは、平面視において、隣接する発光素子間、及び隣接する発光素子と受光素子22との間に設けられている。言い換えると、発光素子21R、発光素子21B、発光素子21G、及び受光素子22は、それぞれ導電層251Xまたは導電層251Yが有する開口と重なる位置に設けられている。ここでは、平面視において、導電層251Xまたは導電層251Yが有する1つの開口と重なる位置に、1つの発光素子または受光素子22が設けられる例を示している。なお、これに限られず、1つの開口と重なる位置に、複数の発光素子、または1以上の発光素子と1以上の受光素子22が設けられる構成としてもよい。
【0158】
導電層251Xと導電層251Yとは、それぞれX方向に延びる部分と、Y方向に延びる部分と、これらの交差部と、により、格子状の上面形状が形成されている。また、導電層251Xと導電層251Yとは、格子状の導電層のX方向に延びる部分に設けられた切欠き部Sxと、Y方向に延びる部分に設けられた切欠き部Syによって、互いに分離されている。このような構成とすることで、導電層251Xと導電層251Yとの間の距離を小さくでき、これらの間の容量値を大きくできる。
【0159】
切欠き部は、格子の交差部に設けることもできるが、図7に示すように、格子のX方向に延びる部分及びY方向に延びる部分に、それぞれ切欠き部Sxと切欠き部Syを配置することで、表示面側から見たときに、導電層251X及び導電層251Yのパターンをより視認されにくくすることができるため好ましい。
【0160】
また、図7に示すように、発光素子21R、発光素子21B、発光素子21G、及び受光素子22の周囲には、常に導電層251Xまたは導電層251Yの一部が隣接して設けられる構成を有する。これにより、表示面側から見たときに、導電層251X及び導電層251Yのパターンを視認されにくくすることができる。特に受光素子22では、その周囲に導電層251Xまたは導電層251Yが設けられる場合と、設けられない場合とでは、受光する光の量に差が生じてしまう恐れがある。そのため、図7に示すように、受光素子22の周囲には常に導電層251Xまたは導電層251Yの一部が設けられる構成とすることで、受光素子22で受光する光の量のばらつきに起因して、撮像画像のムラが生じてしまうことを好適に抑制することができる。
【0161】
なお、図7では、四方が導電層251Xまたは導電層251Yに囲まれた受光素子22と、切欠き部Sxまたは切欠き部Syに隣接する受光素子22とが混在している例を示しているが、これに限られず、四方が導電層251Xまたは導電層251Yに囲まれた受光素子22のみを有する構成としてもよいし、切欠き部Sxまたは切欠き部Syに隣接する受光素子22のみを有する構成としてもよい。
【0162】
〔電極形状の構成例2〕
図8に示す構成は、図7に示す画素20の配列方向を、45度傾けた例である。導電層251X及び導電層251Yは、例えば表示装置の表示部の輪郭線、または画素に接続される配線の延伸方向に対して斜めに傾いた格子状の上面形状を有する。
【0163】
導電層251Xと導電層251Yとは、格子状の導電層の左下から右上に延びる部分に設けられた切欠き部Saと、左上から右下に延びる部分に設けられた切欠き部Sbによって、互いに分離されている。
【0164】
ここで、導電層251Xと導電層251Yとを分離する際、切欠き部Sa及び切欠き部Sbのいずれか一方のみを用いて、直線的に分離することもできる。しかしながら、図8に示すように切欠き部Saまたは切欠き部Sbを組み合わせ、導電層251Xと導電層251Yとの境界がジグザグ形状になるように、これらを分離することで、表示面側から見たときに、導電層251X及び導電層251Yのパターンをより視認されにくくすることができるため好ましい。また、導電層251Xと導電層251Yの境界をジグザグ形状とすることで、これらの境界線を長くすることができるため、導電層251Xと導電層251Yの間の容量を大きくできるといった効果も奏する。
【0165】
〔電極形状の構成例3〕
図9(A)及び図9(B)に示す構成は、画素20が有する発光素子21R、発光素子21G、発光素子21B、及び受光素子22が、X方向に配列する例である。
【0166】
図9(A)では、導電層251X及び導電層251Yが、それぞれ縦長の開口を有する格子状の上面形状を有している。発光素子21R、発光素子21G、発光素子21B、及び受光素子22は、それぞれ1つの開口と重なるように配置されている。
【0167】
図9(B)では、導電層251X及び導電層251Yが有する1つの開口に、発光素子21R、発光素子21G、発光素子21B、及び受光素子22が重ねて配置されている。
【0168】
このような構成とすることで、発光素子21R、発光素子21G、発光素子21Bを用いて表示する画像の表示品位を高めることができる。
【0169】
図10に示す画素20は、発光素子21R、発光素子21G、及び発光素子21BがX方向に配列し、且つ、これらの下側に受光素子22が配置されている。
【0170】
このような構成とすることで、画像の表示品位をさらに高めることができるため、好ましい。
【0171】
[表示装置の構成例3]
以下では、表示装置のより具体的な例について説明する。
【0172】
〔構成例3-1〕
図11に、表示装置200Aの斜視図を示す。
【0173】
表示装置200Aは、基板151と基板152とが貼り合わされた構成を有する。また、基板152上に基板255が貼り合わされている。図11では、基板152及び基板255を破線で示している。基板255は、上述したタッチセンサを備える。
【0174】
表示装置200Aは、表示部162、回路164、配線165等を有する。図11では、表示装置200AにIC(集積回路)173及びFPC172が実装されている例を示している。そのため、図11に示す構成は、表示装置200A、IC173、及びFPC172を有する表示モジュールということもできる。
【0175】
回路164としては、走査線駆動回路を用いることができる。
【0176】
配線165は、表示部162及び回路164に信号及び電力を供給する機能を有する。当該信号及び電力は、FPC172を介して外部から入力されるか、またはIC173から配線165に入力される。
【0177】
図11では、COG(Chip On Glass)方式またはCOF(Chip On Film)方式などにより、基板151にIC173が設けられている例を示す。IC173は、例えば走査線駆動回路及び信号線駆動回路等を有するICを適用できる。なお、表示装置200A及び表示モジュールは、IC173を設けない構成としてもよい。また、IC173を、COF方式等により、FPC172に実装してもよい。
【0178】
図12に、図11で示した表示装置200Aの、FPC172を含む領域の一部、回路164を含む領域の一部、表示部162を含む領域の一部、及び、端部を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
【0179】
図12に示す表示装置200Aは、基板151と基板152の間に、トランジスタ201、トランジスタ205、トランジスタ206、発光素子190、受光素子110等を有する。
【0180】
基板152と絶縁層214は接着層142を介して接着されている。発光素子190及び受光素子110の封止には、固体封止構造または中空封止構造などが適用できる。図12では、基板152、接着層142、及び絶縁層214に囲まれた空間143が、不活性ガス(窒素やアルゴンなど)で充填されており、中空封止構造が適用されている。接着層142は、発光素子190と重ねて設けられていてもよい。また、基板152、接着層142、及び絶縁層214に囲まれた空間143を、接着層142とは異なる樹脂で充填してもよい。
【0181】
発光素子190は、絶縁層214側から画素電極191、共通層112、発光層193、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ206が有する導電層222bと接続されている。トランジスタ206は、発光素子190の駆動を制御する機能を有する。画素電極191の端部は、隔壁216によって覆われている。画素電極191は可視光を反射する材料を含み、共通電極115は可視光を透過する材料を含む。
【0182】
受光素子110は、絶縁層214側から画素電極111、共通層112、活性層113、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。画素電極111は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ205が有する導電層222bと電気的に接続されている。画素電極111の端部は、隔壁216によって覆われている。画素電極111は可視光を反射する材料を含み、共通電極115は可視光を透過する材料を含む。
【0183】
発光素子190が発する光は、基板152側に射出される。また、受光素子110には、基板152及び空間143を介して、光が入射する。基板152には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。
【0184】
画素電極111及び画素電極191は同一の材料及び同一の工程で作製することができる。共通層112、共通層114、及び共通電極115は、受光素子110と発光素子190との双方に用いられる。受光素子110と発光素子190とは、活性層113と発光層193の構成が異なる以外は全て共通の構成とすることができる。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置200Aに受光素子110を内蔵することができる。
【0185】
基板152の基板151側の面には、遮光層BMが設けられている。遮光層BMは、受光素子110と重なる位置及び発光素子190と重なる位置に開口を有する。遮光層BMを設けることで、受光素子110が光を検出する範囲を制御することができる。また、遮光層BMを有することで、発光素子190から受光素子110に光が直接入射することを抑制できる。したがって、ノイズが少なく感度の高いセンサを実現できる。
【0186】
トランジスタ201、トランジスタ205、及びトランジスタ206は、いずれも基板151上に形成されている。これらのトランジスタは、同一の材料及び同一の工程により作製することができる。
【0187】
基板151上には、絶縁層211、絶縁層213、絶縁層215、及び絶縁層214がこの順で設けられている。絶縁層211は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層213は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層215は、トランジスタを覆って設けられる。絶縁層214は、トランジスタを覆って設けられ、平坦化層としての機能を有する。なお、ゲート絶縁層の数及びトランジスタを覆う絶縁層の数は限定されず、それぞれ単層であっても2層以上であってもよい。
【0188】
トランジスタを覆う絶縁層の少なくとも一層に、水や水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。これにより、絶縁層をバリア層として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに外部から不純物が拡散することを効果的に抑制でき、表示装置の信頼性を高めることができる。
【0189】
絶縁層211、絶縁層213、及び絶縁層215としては、それぞれ、無機絶縁膜を用いることが好ましい。無機絶縁膜としては、例えば、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。また、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜、及び酸化ネオジム膜等を用いてもよい。また、上述の絶縁膜を2以上積層して用いてもよい。
【0190】
ここで、有機絶縁膜は、無機絶縁膜に比べてバリア性が低いことが多い。そのため、有機絶縁膜は、表示装置200Aの端部近傍に開口を有することが好ましい。これにより、表示装置200Aの端部から有機絶縁膜を介して不純物が拡散することを抑制することができる。または、有機絶縁膜の端部が表示装置200Aの端部よりも内側に位置するように有機絶縁膜を形成し、表示装置200Aの端部に有機絶縁膜が露出しないようにしてもよい。
【0191】
平坦化層として機能する絶縁層214には、有機絶縁膜が好適である。有機絶縁膜に用いることができる材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。
【0192】
図12に示す領域228では、絶縁層214に開口が形成されている。これにより、絶縁層214に有機絶縁膜を用いる場合であっても、絶縁層214を介して外部から表示部162に不純物が拡散することを抑制できる。したがって、表示装置200Aの信頼性を高めることができる。
【0193】
トランジスタ201、トランジスタ205、及びトランジスタ206は、ゲートとして機能する導電層221、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、ソース及びドレインとして機能する導電層222a及び導電層222b、半導体層231、ゲート絶縁層として機能する絶縁層213、並びに、ゲートとして機能する導電層223を有する。ここでは、同一の導電膜を加工して得られる複数の層に、同じハッチングパターンを付している。絶縁層211は、導電層221と半導体層231との間に位置する。絶縁層213は、導電層223と半導体層231との間に位置する。
【0194】
本実施の形態の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタ、スタガ型のトランジスタ、逆スタガ型のトランジスタ等を用いることができる。また、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルが形成される半導体層の上下にゲートが設けられていてもよい。
【0195】
トランジスタ201、トランジスタ205、及びトランジスタ206には、チャネルが形成される半導体層を2つのゲートで挟持する構成が適用されている。2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給することによりトランジスタを駆動してもよい。または、2つのゲートのうち、一方に閾値電圧を制御するための電位を与え、他方に駆動のための電位を与えることで、トランジスタの閾値電圧を制御してもよい。
【0196】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、単結晶半導体、または単結晶以外の結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。単結晶半導体または結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0197】
トランジスタの半導体層は、金属酸化物(酸化物半導体ともいう)を有することが好ましい。または、トランジスタの半導体層は、シリコンを有していてもよい。シリコンとしては、アモルファスシリコン、結晶性のシリコン(低温ポリシリコン、単結晶シリコンなど)などが挙げられる。
【0198】
半導体層は、例えば、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、及びマグネシウムから選ばれた一種または複数種)と、亜鉛と、を有することが好ましい。特に、Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、及びスズから選ばれた一種または複数種であることが好ましい。
【0199】
特に、半導体層として、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IGZOとも記す)を用いることが好ましい。
【0200】
半導体層がIn-M-Zn酸化物の場合、In-M-Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットは、Inの原子数比がMの原子数比以上であることが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:3、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8、In:M:Zn=10:1:3、In:M:Zn=6:1:6、In:M:Zn=5:2:5等が挙げられる。
【0201】
スパッタリングターゲットとしては、多結晶の酸化物を含むターゲットを用いると、結晶性を有する半導体層を形成しやすくなるため好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比は、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。例えば、半導体層に用いるスパッタリングターゲットの組成がIn:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]の場合、成膜される半導体層の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]の近傍となる場合がある。
【0202】
なお、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3またはその近傍と記載する場合、Inを4としたとき、Gaが1以上3以下であり、Znが2以上4以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=5:1:6またはその近傍であると記載する場合、Inを5としたときに、Gaが0.1より大きく2以下であり、Znが5以上7以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1またはその近傍であると記載する場合、Inを1としたときに、Gaが0.1より大きく2以下であり、Znが0.1より大きく2以下である場合を含む。
【0203】
回路164が有するトランジスタと、表示部162が有するトランジスタは、同じ構造であってもよく、異なる構造であってもよい。回路164が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。同様に、表示部162が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。
【0204】
基板151の、基板152が重ならない領域には、接続部204が設けられている。接続部204では、配線165が導電層166及び接続層242を介してFPC172と電気的に接続されている。接続部204の上面は、画素電極191と同一の導電膜を加工して得られた導電層166が露出している。これにより、接続部204とFPC172とを接続層242を介して電気的に接続することができる。
【0205】
基板152の基板151とは反対側の面には、接着層256を介して基板255が貼り合わされている。基板255は、基板151側の面に、導電層251、絶縁層253、及び導電層252が設けられている。
【0206】
ここでは、導電層251及び導電層252として、金属または合金を含む導電膜を用いる場合の例を示している。導電層251及び導電層252は、受光素子110の受光領域、及び発光素子190の発光領域と重ならないように設けられている。図12では、導電層251及び導電層252は、遮光層BMと重なる位置に設けられている。
【0207】
導電層251及び導電層252としては、例えばアルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、及びタングステンなどの金属、並びに、当該金属を主成分とする合金を含む導電膜などが挙げられる。これらの材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。
【0208】
なお、導電層251及び導電層252の一方または両方に、透光性を有する導電膜を用いることができる。例えば、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛などの導電性酸化物またはグラフェンを用いることができる。または、上述した金属または合金を含み、透光性を有する程度に薄い導電膜を用いてもよい。導電層251または導電層252に透光性を有する導電膜を用いる場合、当該導電層を、受光素子110の受光領域、及び発光素子190の発光領域と重ねて配置してもよい。
【0209】
絶縁層253としては、無機絶縁膜または有機絶縁膜を用いることができる。例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料が挙げられる。絶縁層253は、単層としてもよいし、積層構造としてもよい。
【0210】
基板255の外側には各種光学部材を配置することができる。光学部材としては、偏光板、位相差板、光拡散層(拡散フィルムなど)、反射防止層、及び集光フィルム等が挙げられる。また、基板255の外側には、ゴミの付着を抑制する帯電防止膜、汚れを付着しにくくする撥水性の膜、使用に伴う傷の発生を抑制するハードコート膜、衝撃吸収層等を配置してもよい。
【0211】
基板151、基板152、及び基板255には、それぞれ、ガラス、石英、セラミック、サファイア、樹脂などを用いることができる。基板151、基板152、及び基板255に可撓性を有する材料を用いると、表示装置の可撓性を高めることができる。
【0212】
接着層としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
【0213】
接続層242としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0214】
発光素子190は、トップエミッション型、ボトムエミッション型、デュアルエミッション型などがある。光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0215】
発光素子190は少なくとも発光層193を有する。発光素子190は、発光層193以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。例えば、共通層112は、正孔注入層及び正孔輸送層の一方又は双方を有することが好ましい。例えば、共通層114は、電子輸送層及び電子注入層の一方または双方を有することが好ましい。
【0216】
共通層112、発光層193、及び共通層114には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。共通層112、発光層193、及び共通層114を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0217】
発光層193は、発光材料として、量子ドットなどの無機化合物を有していてもよい。
【0218】
受光素子110の活性層113は、半導体を含む。当該半導体としては、シリコンなどの無機半導体、及び、有機化合物を含む有機半導体が挙げられる。本実施の形態では、活性層が有する半導体として、有機半導体を用いる例を示す。有機半導体を用いることで、発光素子190の発光層193と、受光素子110の活性層113と、を同じ方法(例えば、真空蒸着法)で形成することができ、製造装置を共通化できるため好ましい。
【0219】
活性層113が有するn型半導体の材料としては、フラーレン(例えばC60、C70等)、フラーレン誘導体等の電子受容性の有機半導体材料が挙げられる。フラーレンは、サッカーボールのような形状を有し、当該形状はエネルギー的に安定である。フラーレンは、HOMO準位及びLUMO準位の双方が深い(低い)。フラーレンは、LUMO準位が深いため、電子受容性(アクセプター性)が極めて高い。通常、ベンゼンのように、平面にπ電子共役(共鳴)が広がると、電子供与性(ドナー性)が高くなるが、フラーレンは球体形状であるため、π電子が大きく広がっているにも関わらず、電子受容性が高くなる。電子受容性が高いと、電荷分離を高速に効率よく起こすため、受光デバイスとして有益である。C60、C70ともに可視光領域に広い吸収帯を有しており、特にC70はC60に比べてπ電子共役系が大きく、長波長領域にも広い吸収帯を有するため好ましい。
【0220】
また、活性層113が有するn型半導体の材料としては、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール骨格を有する金属錯体、チアゾール骨格を有する金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、クマリン誘導体、ローダミン誘導体、トリアジン誘導体、キノン誘導体等が挙げられる。
【0221】
活性層113が有するp型半導体の材料としては、銅(II)フタロシアニン(Copper(II) phthalocyanine;CuPc)、テトラフェニルジベンゾペリフランテン(Tetraphenyldibenzoperiflanthene;DBP)、亜鉛フタロシアニン(Zinc Phthalocyanine;ZnPc)、スズフタロシアニン(SnPc)、キナクリドン等の電子供与性の有機半導体材料が挙げられる。
【0222】
また、p型半導体の材料としては、カルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体、芳香族アミン骨格を有する化合物等が挙げられる。さらに、p型半導体の材料としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、ピロール誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体、インドール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。
【0223】
例えば、活性層113は、n型半導体とp型半導体とを共蒸着して形成することが好ましい。または、活性層113は、n型半導体とp型半導体とを積層して形成してもよい。
【0224】
トランジスタのゲート、ソース及びドレインのほか、表示装置を構成する各種配線及び電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、及びタングステンなどの金属、並びに、当該金属を主成分とする合金などが挙げられる。これらの材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。
【0225】
また、透光性を有する導電材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛などの導電性酸化物またはグラフェンを用いることができる。または、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、及びチタンなどの金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。または、該金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料、合金材料(またはそれらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすることが好ましい。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。これらは、表示装置を構成する各種配線及び電極などの導電層や、表示素子が有する導電層(画素電極や共通電極として機能する導電層)、タッチセンサを構成する導電層にも用いることができる。
【0226】
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料が挙げられる。
【0227】
〔構成例3-2〕
図13(A)に、表示装置200Bの断面図を示す。表示装置200Bは、レンズ149及び保護層195を有する点で、主に表示装置200Aと相違している。
【0228】
受光素子110及び発光素子190を覆う保護層195を設けることで、受光素子110及び発光素子190に水などの不純物が拡散することを抑制し、受光素子110及び発光素子190の信頼性を高めることができる。
【0229】
表示装置200Bの端部近傍の領域228において、絶縁層214の開口を介して、絶縁層215と保護層195とが互いに接することが好ましい。特に、絶縁層215が有する無機絶縁膜と保護層195が有する無機絶縁膜とが互いに接することが好ましい。これにより、有機絶縁膜を介して外部から表示部162に不純物が拡散することを抑制することができる。したがって、表示装置200Bの信頼性を高めることができる。
【0230】
図13(B)に、保護層195が3層構造である例を示す。図13(B)において、保護層195は、共通電極115上の無機絶縁層195aと、無機絶縁層195a上の有機絶縁層195bと、有機絶縁層195b上の無機絶縁層195cと、を有する。
【0231】
無機絶縁層195aの端部と無機絶縁層195cの端部は、有機絶縁層195bの端部よりも外側に延在し、互いに接している。そして、無機絶縁層195aは、絶縁層214(有機絶縁層)の開口を介して、絶縁層215(無機絶縁層)と接する。これにより、絶縁層215と保護層195とで、受光素子110及び発光素子190を囲うことができるため、受光素子110及び発光素子190の信頼性を高めることができる。
【0232】
このように、保護層195は、有機絶縁膜と無機絶縁膜との積層構造であってもよい。このとき、有機絶縁膜の端部よりも無機絶縁膜の端部を外側に延在させることが好ましい。
【0233】
基板152の基板151側の面に、レンズ149が設けられている。レンズ149は、基板151側に凸面を有する。受光素子110の受光領域は、レンズ149と重なり、かつ、発光層193と重ならないことが好ましい。これにより、受光素子110を用いたセンサの感度及び精度を高めることができる。
【0234】
レンズ149は、受光素子110が受光する光の波長に対する屈折率が1.3以上2.5以下であることが好ましい。レンズ149は、無機材料及び有機材料の少なくとも一方を用いて形成することができる。例えば、樹脂を含む材料をレンズ149に用いることができる。また、酸化物及び硫化物の少なくとも一方を含む材料をレンズ149に用いることができる。
【0235】
具体的には、塩素、臭素、またはヨウ素を含む樹脂、重金属原子を含む樹脂、芳香環を含む樹脂、硫黄を含む樹脂などをレンズ149に用いることができる。または、樹脂と当該樹脂より屈折率の高い材料のナノ粒子を含む材料をレンズ149に用いることができる。酸化チタンまたは酸化ジルコニウムなどをナノ粒子に用いることができる。
【0236】
また、酸化セリウム、酸化ハフニウム、酸化ランタン、酸化マグネシウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、インジウムとスズを含む酸化物、またはインジウムとガリウムと亜鉛を含む酸化物などを、レンズ149に用いることができる。または、硫化亜鉛などを、レンズ149に用いることができる。
【0237】
また、表示装置200Bでは、保護層195と基板152とが接着層142によって貼り合わされている。接着層142は、受光素子110及び発光素子190とそれぞれ重ねて設けられており、表示装置200Bには、固体封止構造が適用されている。
【0238】
〔構成例3-3〕
図14(A)に、表示装置200Cの断面図を示す。表示装置200Cは、トランジスタの構造が異なる点、遮光層BM及びレンズ149を有さない点、タッチセンサの構成が異なる点で、主に表示装置200Bと相違している。
【0239】
表示装置200Cは、基板151と基板152の間に、受光素子110、発光素子190、並びにタッチセンサの電極として機能する導電層251及び導電層252を有する。
【0240】
表示装置200Cは、基板151上に、トランジスタ208、トランジスタ209、及びトランジスタ210を有する。
【0241】
トランジスタ208、トランジスタ209、及びトランジスタ210は、ゲートとして機能する導電層221、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、チャネル形成領域231i及び一対の低抵抗領域231nを有する半導体層、一対の低抵抗領域231nの一方と接続する導電層222a、一対の低抵抗領域231nの他方と接続する導電層222b、ゲート絶縁層として機能する絶縁層225、ゲートとして機能する導電層223、並びに、導電層223を覆う絶縁層215を有する。絶縁層211は、導電層221とチャネル形成領域231iとの間に位置する。絶縁層225は、導電層223とチャネル形成領域231iとの間に位置する。
【0242】
導電層222a及び導電層222bは、それぞれ、絶縁層225及び絶縁層215に設けられた開口を介して低抵抗領域231nと接続される。導電層222a及び導電層222bのうち、一方はソースとして機能し、他方はドレインとして機能する。
【0243】
発光素子190の画素電極191は、導電層222bを介してトランジスタ208の一対の低抵抗領域231nの一方と電気的に接続される。
【0244】
受光素子110の画素電極111は、導電層222bを介してトランジスタ209の一対の低抵抗領域231nの他方と電気的に接続される。
【0245】
図14(A)には、絶縁層225が半導体層の上面及び側面を覆う例を示している。一方、図14(B)に示すトランジスタ202では、絶縁層225が、半導体層231のチャネル形成領域231iと重なり、低抵抗領域231nとは重ならない。例えば、導電層223をマスクとして用いて絶縁層225を加工することで、図14(B)に示す構造を作製できる。図14(B)では、絶縁層225及び導電層223を覆って絶縁層215が設けられ、絶縁層215の開口を介して、導電層222a及び導電層222bがそれぞれ低抵抗領域231nと接続されている。さらに、トランジスタを覆う絶縁層218を設けてもよい。
【0246】
また、受光素子110及び発光素子190を覆って、無機絶縁層195a、有機絶縁層195b、及び無機絶縁層195cが積層して設けられている。また、無機絶縁層195c上に、タッチセンサを構成する導電層251、絶縁層253、及び導電層252が設けられている。導電層251及び導電層252は、受光素子110の受光領域、及び発光素子190の発光領域と重ならない位置に設けられている。
【0247】
〔構成例3-4〕
図15に、表示装置200Dの断面図を示す。表示装置200Dは、基板の構成が異なる点で、表示装置200Cと主に相違している。
【0248】
表示装置200Dは、基板151及び基板152を有さず、基板153、基板154、接着層155、及び絶縁層212を有する。
【0249】
基板153と絶縁層212とは接着層155によって貼り合わされている。基板154と保護層195とは接着層142によって貼り合わされている。
【0250】
表示装置200Dは、作製基板上で形成された絶縁層212、トランジスタ208、トランジスタ209、受光素子110、及び発光素子190等を、基板153上に転置することで作製される構成である。基板153及び基板154は、それぞれ、可撓性を有することが好ましい。これにより、表示装置200Dの可撓性を高めることができる。
【0251】
絶縁層212には、絶縁層211、絶縁層213、及び絶縁層215に用いることができる無機絶縁膜を用いることができる。または、絶縁層212として、有機絶縁膜と無機絶縁膜の積層膜としてもよい。このとき、トランジスタ209側の膜を、無機絶縁膜とすることが好ましい。
【0252】
以上が、表示装置の構成例についての説明である。
【0253】
[金属酸化物について]
以下では、半導体層に適用可能な金属酸化物について説明する。
【0254】
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。例えば、亜鉛酸窒化物(ZnON)などの窒素を有する金属酸化物を、半導体層に用いてもよい。
【0255】
なお、本明細書等において、CAAC(c-axis aligned crystal)、及びCAC(Cloud-Aligned Composite)と記載する場合がある。CAACは結晶構造の一例を表し、CACは機能または材料の構成の一例を表す。
【0256】
例えば、半導体層にはCAC(Cloud-Aligned Composite)-OS(Oxide Semiconductor)を用いることができる。
【0257】
CAC-OSまたはCAC-metal oxideとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC-OSまたはCAC-metal oxideを、トランジスタの半導体層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSまたはCAC-metal oxideに付与することができる。CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
【0258】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、導電性領域、及び絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
【0259】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
【0260】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC-OSまたはCAC-metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
【0261】
すなわち、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
【0262】
酸化物半導体(金属酸化物)は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、及び非晶質酸化物半導体などがある。
【0263】
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
【0264】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形及び七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することは難しい。すなわち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためである。
【0265】
また、CAAC-OSは、インジウム、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層と表すこともできる。
【0266】
CAAC-OSは結晶性の高い金属酸化物である。一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することが難しいため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、金属酸化物の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損(V:oxygen vacancyともいう。)など)の少ない金属酸化物ともいえる。したがって、CAAC-OSを有する金属酸化物は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する金属酸化物は熱に強く、信頼性が高い。
【0267】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0268】
なお、インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、を有する金属酸化物の一種である、インジウム-ガリウム-亜鉛酸化物(以下、IGZO)は、上述のナノ結晶とすることで安定な構造をとる場合がある。特に、IGZOは、大気中では結晶成長がし難い傾向があるため、大きな結晶(ここでは、数mmの結晶、または数cmの結晶)よりも小さな結晶(例えば、上述のナノ結晶)とする方が、構造的に安定となる場合がある。
【0269】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する金属酸化物である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。すなわち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
【0270】
酸化物半導体(金属酸化物)は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0271】
半導体層として機能する金属酸化物膜は、不活性ガス及び酸素ガスのいずれか一方または双方を用いて成膜することができる。なお、金属酸化物膜の成膜時における酸素の流量比(酸素分圧)に、特に限定はない。ただし、電界効果移動度が高いトランジスタを得る場合においては、金属酸化物膜の成膜時における酸素の流量比(酸素分圧)は、0%以上30%以下が好ましく、5%以上30%以下がより好ましく、7%以上15%以下がさらに好ましい。
【0272】
金属酸化物は、エネルギーギャップが2eV以上であることが好ましく、2.5eV以上であることがより好ましく、3eV以上であることがさらに好ましい。このように、エネルギーギャップの広い金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0273】
金属酸化物膜の成膜時の基板温度は、350℃以下が好ましく、室温以上200℃以下がより好ましく、室温以上130℃以下がさらに好ましい。金属酸化物膜の成膜時の基板温度が室温であると、生産性を高めることができ、好ましい。
【0274】
金属酸化物膜は、スパッタリング法により形成することができる。そのほか、例えばPLD法、PECVD法、熱CVD法、ALD法、真空蒸着法などを用いてもよい。
【0275】
以上が、金属酸化物についての説明である。
【0276】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせることができる。
【0277】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0278】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置を適用可能なデバイス、およびデバイスを用いた認証方法等について説明する。
【0279】
本発明の一態様の表示装置を適用したデバイスは、表示面に触れる指などの位置を検出するタッチパネルとしての機能と、表示面上の物体を撮像するイメージセンサとしての機能とを兼ね備える。例えば、表示面に触れる指などを撮像することで、指紋認証を行うことができる。本発明の一態様は、表示面内にマトリクス状に配置された受光素子を有するため、表示面上のどの位置であっても指紋認証のための撮像を実行することができる。そのため、ユーザーにストレスを感じさせない認証処理を実現できる。
【0280】
[デバイスの構成例]
図16に、本発明の一態様のデバイス300のブロック図を示す。デバイス300は、制御部301と、表示部302と、記憶部304を有する。制御部301は、認証部303を有する。表示部302は、表示素子305と、受光素子306と、タッチセンサ307と、を有する。デバイス300は、例えば携帯情報端末などの電子機器に適用することができる。
【0281】
なお、本明細書に添付した図面では、構成要素を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとしてブロック図を示しているが、実際の構成要素は機能ごとに完全に切り分けることが難しく、一つの構成要素が複数の機能に係わることや、一つの機能を複数の構成要素で実現することもあり得る。
【0282】
制御部301は、デバイス300のシステムの制御全般を行う機能を有する。また、制御部301は、デバイス300が有する各コンポーネントを統括的に制御する機能を有する。
【0283】
制御部301は、例えば中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)としての機能を有する。制御部301は、プロセッサにより種々のプログラムからの命令を解釈し実行することで、各種のデータ処理やプログラム制御を行う。プロセッサにより実行しうるプログラムは、プロセッサが有するメモリ領域に格納されていてもよいし、記憶部304に格納されていてもよい。
【0284】
また制御部301は、表示部302に出力する画像データを生成する機能、表示部302の受光素子306から入力される撮像画像(撮像データ)を処理する機能、タッチセンサ307から入力される被検知体の位置情報を処理する機能、システムのロック状態を制御する機能等を有する。
【0285】
表示部302は、画像を表示する機能と、タッチを検出する機能と、画像を撮像する機能と、を有する。表示部302は、画面に触れた指を撮像することで、指紋情報を取得することができる。表示部302は、指紋情報取得機能付きタッチパネルとも呼ぶことができる。
【0286】
より具体的には、表示部302は、制御部301から入力される画像データに基づいて表示素子305を用いて画像を表示する機能を有する。また表示部302は、受光素子306を用いて指紋等の撮像を実行し、撮像データを制御部301に出力する機能を有する。また、表示部302は、タッチセンサ307を用いて指などの被検知体の位置情報を取得し、制御部301に出力する機能を有する。
【0287】
表示部302に適用することのできる表示装置の構成は、実施の形態1を援用することができる。
【0288】
表示部302は、画面上のどの位置であっても、触れた指の指紋情報を取得することができることが好ましい。すなわち、画面上におけるタッチセンサが機能する範囲と、指紋情報の取得が可能な範囲とが、一致または概略一致することが好ましい。
【0289】
記憶部304は、あらかじめ登録されたユーザーの指紋情報を保持する機能を有する。記憶部304は、制御部301または認証部303の要求に応じて、当該指紋情報を認証部303に出力することができる。
【0290】
記憶部304には、ユーザーが認証に用いる全ての指の指紋情報が保持されていることが好ましい。例えば、ユーザーの右手の人差し指と、左手の人差し指の2つの指紋情報を保持することができる。ユーザーは、人差し指だけでなく、中指、薬指、小指、親指のうち、1つ以上の指紋情報を自由に登録することができ、記憶部304は、登録された全ての指紋情報を保持することができる。
【0291】
制御部301は、認証部303で実行されるユーザー認証において、認証された場合に、システムをロックされた状態から、ロックが解除され、使用できる状態に移行する機能を有する。
【0292】
また、制御部301は、システムがロック状態である際に、表示部302がタッチ動作を検出し、位置情報が出力された際に、表示部302に対してタッチされた場所に位置する表示素子を点灯させるように、画像データを生成し、表示部302に出力する機能を有する。さらに、表示素子を点灯した状態で、指紋の撮像を実行するよう、表示部302に要求する機能を有する。
【0293】
また、制御部301は、システムがロック状態である際に、表示部302に、ユーザーにタッチさせる位置を示す画像(タッチ位置を知らせる画像ともいう)を含む画像データを生成し、表示部302に出力する機能を有してもよい。
【0294】
認証部303は、表示部302から入力される指紋情報と、記憶部304に保持された指紋情報とを照合し、これらが一致するか否かを判定する処理(認証処理)を実行する機能を有する。認証部303によって実行される認証処理に用いられる方法としては、例えば、2つの画像を比較して、その類似度を用いるテンプレートマッチング法、またはパターンマッチング法などの手法を用いることができる。また、機械学習を用いた推論により、指紋認証処理を実行してもよい。このとき、認証処理は、特にニューラルネットワークを用いた推論により行われることが好ましい。
【0295】
[認証方法の例1]
以下では、デバイス300を用いた認証方法の一例について説明する。ここでは、指紋認証に係る動作について説明する。
【0296】
図17は、デバイス300を用いた認証方法の動作に係るフローチャートである。
【0297】
まず、処理が開始される。このとき、デバイス300のシステムはロックされた状態であり、ユーザーが実行できる機能が制限された状態(ログアウト状態、ログオフ状態を含む)である。
【0298】
ステップS11において、表示部302へのタッチが行われたか否かを検出する。タッチの検出は、タッチセンサ307により実行される。タッチを検出した場合にはステップS12に移行する。ステップS11は、タッチが検出されるまで繰り返し実行される。
【0299】
ステップS12によって、タッチ位置の位置情報を取得する。位置情報は、タッチセンサ307から制御部301に出力される。
【0300】
ステップS13において、位置情報に基づいて、タッチ位置及びその近傍に位置する表示素子305を点灯する。このとき、制御部301は、タッチ位置及びその近傍の部分が明るく(階調値が高く)、その他の部分が暗い(階調値が低い)画像データを生成して表示部302に出力することで、表示部302に、当該画像データに基づく画像が表示される。
【0301】
表示素子305から発せられる光は、受光素子306で撮像する際の光源として用いることができる。そのため、点灯する表示素子305は、受光素子306が受光可能な光を発する表示素子とすることができる。例えば、表示部302がR、G、Bの3色の表示素子305を有する場合には、これらのいずれか1つ、いずれか2つ、または3つ全ての表示素子305を点灯することができる。
【0302】
ステップS13において、タッチ位置及びその近傍を明るく表示(点灯)し、それ以外の部分を消灯することができる。これにより、点灯する表示素子305は、指によって隠れるため、ユーザーに明るい光が視認されることを防ぐことができる。つまり、指紋認証のための光源をユーザーが直接視認することを防ぐことが可能となる。例えば暗い環境下では、指紋認証のための光源をユーザーが直接視認すると眩しさを感じ、最悪の場合、目を傷める危険性があるため、指で隠れる位置のみを点灯することで、ユーザーへの負担を低減することができる。
【0303】
なお、タッチ位置以外の部分は、消灯させてもよいし、他の画像を表示した状態であってもよい。
【0304】
ここで、点灯させる表示素子305の明るさは、環境光や受光素子306の感度によって適宜変更することができるが、出来るだけ明るく点灯することが好ましい。例えば、表示素子305を最も明るく点灯させるときの輝度または階調値を100%としたとき、輝度または階調値を、50%以上100%以下、好ましくは70%以上100%以下、より好ましくは80%以上100%以下とすることができる。
【0305】
また、点灯する範囲は、指によって隠れる範囲とすることが好ましい。指で画面をタッチする場合、指の接触面は、ユーザーから見たときの指の輪郭よりも内側に位置し、且つ、指の画面への投影面積は、指の接触面積よりも大きくなる。そのため、点灯する範囲は、接触面積を100%としたときに、50%以上150%以下、好ましくは70%以上130%以下、より好ましくは、80%以上120%以下とすることができる。点灯面積が50%よりも小さいと、撮像によって得られる指紋の情報が不足してしまい、認証の精度が低下する可能性がある。一方、点灯面積が150%を超える場合には、ユーザーから光源が直接視認されてしまう恐れがある。
【0306】
また、点灯する範囲を、タッチ位置を中心とした半径rの円として、当該rの値をあらかじめ設定できる構成としてもよい。指の大きさや形状は、ユーザーの年齢、性別、体格などによりさまざまであるため、点灯する範囲を規定する円の半径rは、ユーザーが設定可能であってもよい。
【0307】
続いて、ステップS14において、指紋情報を取得する。指紋情報は、受光素子306で撮像した画像データとして、表示部302から制御部301に出力される。
【0308】
ステップS15において、認証部303により認証処理を実行する。具体的には、認証部303は、表示部302から出力された指紋情報(画像データ)と、あらかじめ登録され、記憶部304に保持されたユーザーの指紋情報と、を照合し、これらが一致するか否かを判定する。認証された(すなわち、2つの指紋情報が一致すると判断した)場合には、ステップS16に移行する。認証されなかった(すなわち、2つの指紋情報が一致しないと判断した)場合には、処理を終了する。
【0309】
ここで、記憶部304に2以上の指紋情報が格納されている場合には、全ての指紋情報について、上記認証処理を実行する。
【0310】
ステップS16において、制御部301は、デバイス300のシステムをロックが解除された状態に移行する(ログイン状態にすることを含む)。
【0311】
以上が、図17に示すフローチャートの説明である。
【0312】
以下では、上記認証方法に係る、具体的な使用例を説明する。図18(A)乃至図18(C)は、上記認証方法が適用された電子機器を使用している様子を示している。
【0313】
図18(A)には、上記デバイス300が適用された電子機器320を示している。電子機器320は、筐体321と、表示部322を有する。筐体321内には上記制御部301を有し、表示部322には上記表示部302が適用されている。
【0314】
図18(A)では、表示部322に指330をタッチさせて、指紋の撮像を行っている様子を示している。
【0315】
図18(B)は、図18(A)における指330を透過させ、輪郭のみを破線で示した図である。図18(B)では、指330がタッチされた部分を含む領域325に位置する表示素子が点灯している様子を示している。図18(A)及び図18(B)に示すように、明るく点灯している領域325は、指330によって隠れ、ユーザーから視認されにくい。そのため、ユーザーにストレスを感じさせることなく、指紋認証を実行することができる。
【0316】
また電子機器320は、表示部322内のどの位置でも指紋認証を行うことができる。図18(C)には、図18(A)及び図18(B)とは異なる位置をタッチして、指紋の撮像を行っている様子を示している。
【0317】
[認証方法の例2]
以下では、上記とは異なる認証方法の例について説明する。図19は、デバイス300を用いた認証方法の動作に係るフローチャートである。
【0318】
まず、処理が開始される。このとき、デバイス300のシステムはロックされた状態である。
【0319】
ステップS21において、デバイス300に対するユーザーからの操作を検知する。例えば、電子機器の電源が入れられること、物理ボタンが押されること、表示部302がタッチされること、ユーザーの視線を検知すること、環境光が明るくなること、または電子機器の姿勢が大きく変化すること、などが挙げられる。操作を検知した場合には、ステップS22に移行する。ステップS21は、操作を検知するまで繰り返し実行される。
【0320】
続いて、ステップS22において、表示部302に、認証位置画像を表示する。認証位置画像は、ユーザーにタッチさせる位置を示す画像、ユーザーにタッチ位置を知らせる画像、ユーザーにタッチを促す文字情報などを含む。
【0321】
具体的には、制御部301は、認証位置画像を含む画像データを生成し、表示部302に出力することで、表示部302に、当該画像データに基づく画像が表示される。
【0322】
ここで、認証位置画像が示す位置は、処理を実行する度に同じ位置であってもよいが、処理を実行する度に異なる位置とすることが好ましい。すなわち、処理を実行する度に、異なる位置にランダムに示される場所を、ユーザーにタッチさせ、指紋認証を実行することができる。
【0323】
例えば、指紋の撮像を毎回同じ位置で行うと、指紋を撮像する光源として点灯させる表示素子305や、画素を構成するトランジスタの劣化が進行しやすくなり、表示素子305の発光輝度の低下や、画面の焼き付きなどの不具合が生じる場合がある。そのため、上述のように処理を実行する度に異なる位置で指紋認証を実行することで、表示素子305の輝度の低下や、画面の焼き付き等を抑制することができる。
【0324】
また、処理を実行する度に異なる位置で指紋認証を行うことで、ユーザーは能動的に認証のための動作を行う必要があるため、ユーザーのセキュリティ意識を向上させることができるといった効果を奏する。
【0325】
ここで、認証位置画像として、タッチ位置だけでなく、タッチする指を指定する画像または文字情報を合わせて表示することもできる。例えば、「中指でタッチしてください」などの文字情報を表示し、後の認証処理において、中指の指紋情報を用いて認証を実行することができる。指定する指についても、タッチ位置と同様に、処理の度にランダムに異ならせることができる。
【0326】
また、表示部302に、認証位置画像を複数表示し、2つ以上の指で同時にタッチさせ、2つ以上の指紋情報に基づいて認証処理を行うこともできる。または、1つの指で認証処理を実行し、認証された場合に、さらに異なる指で指紋認証を実行する、といった多段階認証を実行してもよい。
【0327】
このように、1つの指紋情報のみで認証処理を実行するのではなく、複数の指紋情報をランダムに指定して認証処理を実行することで、セキュリティを極めて高いものとすることができる。例えば、悪意のあるユーザーが真のユーザー(所有者)の指紋情報を不正に取得してデバイス300を使用するような場合でも、複数の(好ましくは全ての)指の指紋情報がなければデバイス300を使用できないため、不正利用を好適に防ぐことができる。
【0328】
ステップS23において、認証位置画像に対応する位置へタッチが行われたか否かを検出する。タッチの検出は、タッチセンサ307によって実行される。タッチを検出した場合には、ステップS24に移行する。一定期間タッチを検出しない場合、または異なる位置がタッチされた場合には、処理を終了する。
【0329】
ステップS24において、タッチ位置及びその近傍に位置する表示素子305を点灯する。ステップS24は、上記認証方法の例1のステップS13を援用できる。
【0330】
ステップS25において、指紋情報を取得する。指紋情報は、受光素子306で撮像した画像データとして、表示部302から制御部301に出力される。
【0331】
ステップS26において、認証部303により認証処理を実行する。認証された場合には、ステップS27に移行する。認証されなかった場合には、処理を終了する。認証処理については、上記認証方法の例1のステップS15を援用できる。
【0332】
ここで、ステップS22で、認証位置画像として、タッチする指を指定する画像または文字情報をタッチ位置に合わせて、表示部302に表示した場合には、対応する指の指紋情報を用いて認証処理を実行する。
【0333】
また、上述のようにステップS22で、2つ以上の指に対応した複数の認証位置画像を表示部302に表示した場合には、対応する複数の指の指紋情報を用いて認証処理を実行する。
【0334】
ステップS27において、制御部301は、デバイス300のシステムをロックが解除された状態に移行する(ログイン状態にすることを含む)。
【0335】
以上が、図19に示すフローチャートの説明である。
【0336】
ここで、ステップS22で説明した、多段階認証を行う場合には、ステップS22からステップS26までの処理を複数回実行すればよい。例えば2段階認証を実行する場合には、1回目の処理で右手の中指の指紋を用いて認証処理を行い、認証された場合に、続いて2回目の処理で左手の薬指の指紋を用いて認証処理を行い、認証された場合に、システムのロックを解除する、といった処理を実行することができる。また、1回目と2回目の処理で指定する指は、処理の度にランダムに変更することが好ましい。
【0337】
図20(A)には、電子機器320の表示部322に、認証位置画像として、画像326が表示され、当該画像326で示された部分を、指330でタッチしようとしている様子を示している。
【0338】
画像326は、指紋を模したイラストに加えて、ユーザーにタッチを促すための文字情報として、「Touch Here」の文字を有する。イラストだけでなく文字情報を付加することで、ユーザーに分かりやすく位置を示すことができる。
【0339】
図20(B)では、図20(A)とは異なる位置に画像326が表示され、指330でタッチしようとしている様子を示している。
【0340】
[電子機器の構成例]
図21(A)に、電子機器320の概略図を示す。電子機器320は、筐体321と表示部322を有する。図21(A)には、表示部322内の1つの画素の拡大図を示している。表示部322に設けられる画素は、発光素子21R、発光素子21G、発光素子21B、及び受光素子22を有する。また、格子状の上面形状を有する導電層251が設けられ、導電層251の開口に重ねて、発光素子21R、発光素子21G、発光素子21B、及び受光素子22が配置されている。
【0341】
電子機器320は、表示部322の全域がタッチパネルとして機能する。また、電子機器320は、表示部322の全域に亘って受光素子22を有する画素が設けられている。そのため、表示部322のどの場所をタッチしても、指紋の撮像を行うことができる。
【0342】
図21(B)に示す電子機器320Aは、表示部322が、2つの領域(領域322A、領域322B)を有する。図21(B)では、領域322Bが表示部322内の下側に位置し、それ以外の領域が領域322Aとなっている。
【0343】
図21(B)に、領域322A及び領域322Bに設けられる1つの画素の拡大図を、それぞれ示している。領域322Bに設けられる画素は、図21(A)で示した電子機器320の表示部322に設けられる画素と同様に、発光素子21R、発光素子21G、発光素子21B、及び受光素子22を有する。
【0344】
また、領域322Aに設けられる画素は、受光素子22を有さず、発光素子のみで構成されている。図21(B)では、画素が、1つの発光素子21Rと、1つの発光素子21Gと、2つの発光素子21Bを有する例を示している。なお、これに限られず、他の発光素子を2つ有していてもよい。また、領域322Bと画素配列を異ならせてもよく、例えばストライプ状に発光素子21R、発光素子21G、発光素子21Bを配列させることもできる。領域322Aと領域322Bとで、同様の画素配列とすると、これらの境界が視認されにくくなるため好ましい。
【0345】
また、領域322Aと領域322Bは、共に格子状の導電層251が設けられている。これにより、表示部322の全域がタッチパネルとして機能する。
【0346】
図21(B)では、領域322Bをタッチすることで、指紋認証を実行することができる。これにより、ユーザーは、いつも画面内の同じ部分で指紋認証を実行できるため、使い勝手の良い(ユーザフレンドリな)電子機器とすることができる。
【0347】
なお、図21(B)では、領域322Bが表示部322の下方に位置し、また領域322Bの形状が概略円形である例を示したが、領域322Bの位置及び形状は、これに限られない。例えば表示部322の輪郭の一部に沿って設けられていてもよい。また、領域322Bの数は1つに限られず、領域322Bを表示部322内に複数配置してもよい。
【0348】
以上が、電子機器の構成例についての説明である。
【0349】
なお、本発明の一態様のデバイスにより実行される認証方法、処理方法、操作方法、動作方法、または表示方法等は、例えばプログラムとして記述されうる。例えば、上記で例示したデバイス300等により実行される認証方法、処理方法、操作方法、動作方法、または表示方法等が記述されたプログラムは、非一時的記憶媒体に格納され、デバイス300の制御部301が有する演算装置等により読み出され、実行することができる。すなわち、上記で例示した認証方法、動作方法等を、ハードウェアにより実行させるためのプログラム、及び当該プログラムが格納された非一時的記憶媒体は、本発明の一態様である。
【0350】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせることができる。
【0351】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0352】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置に適用することのできる画素の構成について、図面を参照して説明する。
【0353】
本発明の一態様の表示パネルは、受光素子を有する第1の画素回路と、発光素子を有する第2の画素回路と、を有する。第1の画素回路と第2の画素回路は、それぞれ、マトリクス状に配置される。
【0354】
図22(A)に、受光素子を有する第1の画素回路の一例を示し、図22(B)に、発光素子を有する第2の画素回路の一例を示す。
【0355】
図22(A)に示す画素回路PIX1は、受光素子PD、トランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3、トランジスタM4、及び容量素子C1を有する。ここでは、受光素子PDとして、フォトダイオードを用いた例を示している。
【0356】
受光素子PDは、カソードが配線V1と電気的に接続し、アノードがトランジスタM1のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM1は、ゲートが配線TXと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が容量素子C1の一方の電極、トランジスタM2のソースまたはドレインの一方、及びトランジスタM3のゲートと電気的に接続する。トランジスタM2は、ゲートが配線RESと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線V2と電気的に接続する。トランジスタM3は、ソースまたはドレインの一方が配線V3と電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方がトランジスタM4のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM4は、ゲートが配線SEと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線OUT1と電気的に接続する。
【0357】
配線V1、配線V2、及び配線V3には、それぞれ定電位が供給される。受光素子PDを逆バイアスで駆動させる場合には、配線V2に、配線V1の電位よりも低い電位を供給する。トランジスタM2は、配線RESに供給される信号により制御され、トランジスタM3のゲートに接続するノードの電位を、配線V2に供給される電位にリセットする機能を有する。トランジスタM1は、配線TXに供給される信号により制御され、受光素子PDに流れる電流に応じて上記ノードの電位が変化するタイミングを制御する機能を有する。トランジスタM3は、上記ノードの電位に応じた出力を行う増幅トランジスタとして機能する。トランジスタM4は、配線SEに供給される信号により制御され、上記ノードの電位に応じた出力を配線OUT1に接続する外部回路で読み出すための選択トランジスタとして機能する。
【0358】
図22(B)に示す画素回路PIX2は、発光素子EL、トランジスタM5、トランジスタM6、トランジスタM7、及び容量素子C2を有する。ここでは、発光素子ELとして、発光ダイオードを用いた例を示している。特に、発光素子ELとして、有機EL素子を用いることが好ましい。
【0359】
トランジスタM5は、ゲートが配線VGと電気的に接続し、ソースまたはドレインの一方が配線VSと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が、容量素子C2の一方の電極、及びトランジスタM6のゲートと電気的に接続する。トランジスタM6のソースまたはドレインの一方は配線V4と電気的に接続し、他方は、発光素子ELのアノード、及びトランジスタM7のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM7は、ゲートが配線MSと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線OUT2と電気的に接続する。発光素子ELのカソードは、配線V5と電気的に接続する。
【0360】
配線V4及び配線V5には、それぞれ定電位が供給される。発光素子ELのアノード側を高電位に、カソード側をアノード側よりも低電位にすることができる。トランジスタM5は、配線VGに供給される信号により制御され、画素回路PIX2の選択状態を制御するための選択トランジスタとして機能する。また、トランジスタM6は、ゲートに供給される電位に応じて発光素子ELに流れる電流を制御する駆動トランジスタとして機能する。トランジスタM5が導通状態のとき、配線VSに供給される電位がトランジスタM6のゲートに供給され、その電位に応じて発光素子ELの発光輝度を制御することができる。トランジスタM7は配線MSに供給される信号により制御され、トランジスタM6と発光素子ELとの間の電位を、配線OUT2を介して外部に出力する機能を有する。
【0361】
なお、本実施の形態の表示パネルでは、発光素子をパルス状に発光させることで、画像を表示してもよい。発光素子の駆動時間を短縮することで、表示パネルの消費電力の低減、及び、発熱の抑制を図ることができる。特に、有機EL素子は周波数特性が優れているため、好適である。周波数は、例えば、1kHz以上100MHz以下とすることができる。
【0362】
ここで、画素回路PIX1が有するトランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3、及びトランジスタM4、並びに、画素回路PIX2が有するトランジスタM5、トランジスタM6、及びトランジスタM7には、それぞれチャネルが形成される半導体層に金属酸化物(酸化物半導体)を用いたトランジスタを適用することが好ましい。
【0363】
シリコンよりもバンドギャップが広く、かつキャリア密度の小さい金属酸化物を用いたトランジスタは、極めて小さいオフ電流を実現することができる。そのため、その小さいオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量素子に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。そのため、特に容量素子C1または容量素子C2に直列に接続されるトランジスタM1、トランジスタM2、及びトランジスタM5には、酸化物半導体が適用されたトランジスタを用いることが好ましい。また、これ以外のトランジスタも同様に酸化物半導体を適用したトランジスタを用いることで、作製コストを低減することができる。
【0364】
また、トランジスタM1乃至トランジスタM7に、チャネルが形成される半導体にシリコンを適用したトランジスタを用いることもできる。特に単結晶シリコンや多結晶シリコンなどの結晶性の高いシリコンを用いることで、高い電界効果移動度を実現することができ、より高速な動作が可能となるため好ましい。
【0365】
また、トランジスタM1乃至トランジスタM7のうち、一以上に酸化物半導体を適用したトランジスタを用い、それ以外にシリコンを適用したトランジスタを用いる構成としてもよい。
【0366】
なお、図22(A)、図22(B)において、トランジスタをnチャネル型のトランジスタとして表記しているが、pチャネル型のトランジスタを用いることもできる。
【0367】
画素回路PIX1が有するトランジスタと画素回路PIX2が有するトランジスタは、同一基板上に並べて形成されることが好ましい。特に、画素回路PIX1が有するトランジスタと画素回路PIX2が有するトランジスタとを1つの領域内に混在させて周期的に配列する構成とすることが好ましい。
【0368】
また、受光素子PDまたは発光素子ELと重なる位置に、トランジスタ及び容量素子の一方又は双方を有する層を1つまたは複数設けることが好ましい。これにより、各画素回路の実効的な占有面積を小さくでき、高精細な受光部または表示部を実現できる。
【0369】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0370】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置を適用可能な電子機器について、図面を参照して説明する。
【0371】
本実施の形態の電子機器は、本発明の一態様の表示装置を有する。表示装置は、光を検出する機能を有するため、表示部で生体認証を行うこと、及び、タッチもしくはニアタッチを検出することができる。本発明の一態様の電子機器は、不正使用が困難で、セキュリティレベルの極めて高い電子機器である。また、電子機器の機能性や利便性などを高めることができる。
【0372】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
【0373】
本実施の形態の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
【0374】
本実施の形態の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
【0375】
図23(A)に示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることのできる携帯情報端末機である。
【0376】
電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、電源ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、及び光源6508等を有する。表示部6502はタッチパネル機能を備える。
【0377】
表示部6502に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0378】
図23(B)は、筐体6501のマイク6506側の端部を含む断面概略図である。
【0379】
筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示パネル6511、光学部材6512、タッチセンサパネル6513、プリント基板6517、バッテリ6518等が配置されている。
【0380】
保護部材6510には、表示パネル6511、光学部材6512、及びタッチセンサパネル6513が接着層(図示しない)により固定されている。
【0381】
表示部6502よりも外側の領域において、表示パネル6511の一部が折り返されており、当該折り返された部分にFPC6515が接続されている。FPC6515には、IC6516が実装されている。FPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続されている。
【0382】
表示パネル6511には本発明の一態様のフレキシブルディスプレイを適用することができる。そのため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、表示パネル6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容量のバッテリ6518を搭載することもできる。また、表示パネル6511の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
【0383】
図24(A)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
【0384】
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0385】
図24(A)に示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。または、表示部7000にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることでテレビジョン装置7100を操作してもよい。リモコン操作機7111は、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7111が備える操作キーまたはタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される映像を操作することができる。
【0386】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0387】
図24(B)に、ノート型パーソナルコンピュータの一例を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。
【0388】
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0389】
図24(C)、及び図24(D)に、デジタルサイネージの一例を示す。
【0390】
図24(C)に示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
【0391】
図24(D)は円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7000を有する。
【0392】
図24(C)及び図24(D)において、表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0393】
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
【0394】
表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像または動画を表示するだけでなく、ユーザーが直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
【0395】
また、図24(C)、及び図24(D)に示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400は、ユーザーが所持するスマートフォン等の情報端末機7311または情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7000に表示される広告の情報を、情報端末機7311または情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311または情報端末機7411を操作することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
【0396】
また、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311または情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数のユーザーが同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
【0397】
図25(A)乃至図25(F)に示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
【0398】
図25(A)乃至図25(F)に示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して処理する機能、等を有することができる。なお、電子機器の機能はこれらに限られず、様々な機能を有することができる。電子機器は、複数の表示部を有していてもよい。また、電子機器にカメラ等を設け、静止画や動画を撮影し、記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
【0399】
図25(A)乃至図25(F)に示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
【0400】
図25(A)は、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えばスマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができる。図25(A)では3つのアイコン9050を表示した例を示している。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することもできる。情報9051の一例としては、電子メール、SNS、電話などの着信の通知、電子メールやSNSなどの題名、送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報9051が表示されている位置にはアイコン9050などを表示してもよい。
【0401】
図25(B)は、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えばユーザーは、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示された情報9053を確認することもできる。ユーザーは、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく表示を確認し、例えば電話を受けるか否かを判断できる。
【0402】
図25(C)は、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006により、他の情報端末と相互にデータ伝送を行うことや、充電を行うこともできる。なお、充電動作は無線給電により行ってもよい。
【0403】
図25(D)、図25(E)、及び図25(F)は、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図25(D)は携帯情報端末9201を展開した状態、図25(F)は折り畳んだ状態、図25(E)は図25(D)と図25(F)の一方から他方に変化する途中の状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。例えば、表示部9001は、曲率半径0.1mm以上150mm以下で曲げることができる。
【0404】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0405】
X1~X4:配線、Y1~Y8:配線、10:表示装置、11:基板、12:基板、14:記憶部、15:機能層、20:画素、21R、G、B:発光素子、22:受光素子、31、32:導電層、35:容量、36:光、60:指
100A~H、J:表示装置、110:受光素子、111:画素電極、112:共通層、113:活性層、114:共通層、115:共通電極、121、122:光、131、132:トランジスタ、142:接着層、143:空間、149:レンズ、151~154:基板、155:接着層、162:表示部、164:回路、165:配線、166:導電層、172:FPC、173:IC、182、184:バッファ層、190:発光素子、191:画素電極、192、194:バッファ層、193:発光層、195:保護層、195a:無機絶縁層、195b:有機絶縁層、195c:無機絶縁層、200A~D:表示装置、201、205、208、209、210:トランジスタ、204:接続部、211~215:絶縁層、216:隔壁、218:絶縁層、221:導電層、222a、b:導電層、223:導電層、225:絶縁層、228:領域、231:半導体層、231i:チャネル形成領域、231n:低抵抗領域、242:接続層、251、251t、251X、Y、252、252t:導電層、253、254:絶縁層、255、258:基板、256、257:接着層
300:デバイス、301:制御部、302:表示部、303:認証部、304:記憶部、305:表示素子、306:受光素子、307:タッチセンサ、320:電子機器、320A:電子機器、321:筐体、322:表示部、322A、B、325:領域、326:画像、330:指
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