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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/10 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
B65D5/10 D
B65D5/10 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020188464
(22)【出願日】2020-11-12
(65)【公開番号】P2022077599
(43)【公開日】2022-05-24
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(72)【発明者】
【氏名】岡野 啓人
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-000116(JP,U)
【文献】登録実用新案第3100554(JP,U)
【文献】実開平01-154113(JP,U)
【文献】特開2005-225509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の側板によって形成され上下方向に延びる角筒状の胴部と、側板の上縁に折目線を介してそれぞれ連設された天蓋フラップと、天蓋フラップが折目線に沿って胴部の内側に水平に折り曲げられるとともに、一方側で隣接する天蓋フラップが上側に重合されることを順次繰り返すことで、天蓋フラップが水平に折り曲げた状態を維持する紙製の包装箱において、
最初に折り曲げられる第1天蓋フラップは、該第1天蓋フラップの基端縁の他方側端部から該第1天蓋フラップの先端縁の中間部まで傾斜して延びる傾斜折目線と、前記傾斜折目線の中間部に形成された第1切れ目及び該第1切れ目の両端を繋ぎ他方側に向かって屈曲または湾曲して延びる第2切れ目により形成される係止孔と、前記傾斜折目線により揺動する揺動片と、を有し、
前記第1天蓋フラップに他方側で隣接して最後に水平に折り曲げられる最終天蓋フラップは、平面視において、該最終天蓋フラップの基端縁の一方側端部から該最終天蓋フラップの先端縁まで前記傾斜折目線と重複または前記傾斜折目線より他方側に延びる傾斜側縁と、該最終天蓋フラップの傾斜側縁から前記第1天蓋フラップの傾斜折目線より一方側に突出した係止片と、を有し、
前記係止片は、前記揺動片を前記傾斜折目線に沿って谷折して重合させた水平姿勢の前記第1天蓋フラップの上側に対して前記最終天蓋フラップを水平に折り曲げて重合させたとき、前記係止孔の内側に収容されることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱において、
前記最終天蓋フラップの傾斜側縁には、平面視において前記第1天蓋フラップの傾斜折目線より一方側に向かって突出した凸部が形成され、
前記凸部は、前記揺動片を前記傾斜折目線に沿って谷折して重合させた水平姿勢の前記第1天蓋フラップの上側に対して前記最終天蓋フラップを水平に折り曲げて重合させたとき前記揺動片の上側に重合するとともに、前記揺動片を折り戻すことで自身の弾性変形により該揺動片によって前記第1天蓋フラップの下側に押し込まれることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項2に記載の包装箱において、
前記凸部は、前記最終天蓋フラップの先端側に形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の包装箱において、
前記係止孔には、前記第2切れ目から延びて該係止孔の一部を塞ぐ舌片が設けられ、
前記舌片は、前記揺動片を前記傾斜折目線に沿って谷折して重合させた水平姿勢の前記第1天蓋フラップの上側に対して前記最終天蓋フラップを水平に折り曲げて重合させたとき前記係止片に上側から重合されるとともに、前記揺動片を折り戻すことで自身の弾性変形によって前記係止片が前記係止孔を通過させ前記最終天蓋フラップの上側に重合することを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天蓋フラップを備える包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、起立する4枚の側壁板により形成された胴部と、各側壁板の上縁に折目線を介して連設された4枚の天蓋フラップとを備える段ボール製の包装箱が知られている。この種の包装箱においては、胴部に被包装物を収納した後、各天蓋フラップを各側壁板の上縁の折目線に沿って順次折り曲げることによって閉蓋する所謂順折り閉蓋が採用されることがある。
【0003】
即ち、天蓋フラップの順折り閉蓋とは、先ず、何れか1つの天蓋フラップ(第1の天蓋フラップ)を最初に水平に折り曲げ、次いで、該第1の天蓋フラップの左側に隣接する天蓋フラップ(第2の天蓋フラップ)を水平に折り曲げる。続いて、該第2の天蓋フラップの左側に隣接する天蓋フラップ(第3の天蓋フラップ)を水平に折り曲げ、最後に該第3の天蓋フラップの左側に隣接する天蓋フラップ(第4の天蓋フラップ)を水平に折り曲げる。これによって、第1の天蓋フラップの左側端部上には第2の天蓋フラップの右側端部が重合し、同じように、第2の天蓋フラップの左側端部上には第3の天蓋フラップの右側端部が重合し、更に、第3の天蓋フラップの左側端部上には第4の天蓋フラップの右側端部が重合する。
【0004】
ここで、第4の天蓋フラップの左側端部は、第1の天蓋フラップの右側端部上に重合しており、この状態では閉蓋状態が維持されないために、第4の天蓋フラップの左側端部と第1の天蓋フラップの右側端部との重合方向の上下を入れ換える。これによって、順折り閉蓋が完了する。
【0005】
しかし、第4の天蓋フラップと第1の天蓋フラップとの重合方向の上下を入れ換える作業は比較的困難であり、場合によっては天蓋フラップが破れて損傷する不都合があるため、より閉蓋作業を容易に行うことができるように改良した包装箱が知られている(特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1の包装箱では、第1の天蓋フラップの右側端部に、第4の天蓋フラップの左側端部の下側に重合する第1下側重合部と、第4の天蓋フラップの左側端部の上側に重合する第1上側重合部と、第1下側重合部と第1上側重合部との間で一方の天蓋フラップの先端縁からフラップ折目線に向かって所定の長さに切り込まれた第1切欠き部とを備え、さらに、第4の天蓋フラップの左側端部に、第1の天蓋フラップの右側端部の上側に重合する第2上側重合部と、第1の天蓋フラップの右側端部の下側に重合する第2下側重合部と、第2上側重合部と第2下側重合部との間で他方の天蓋フラップの先端縁からフラップ折目線に向かって所定の長さに切り込まれた第2切欠き部とを備える。
【0007】
これにより、特許文献1の包装箱では、天蓋フラップを順折りして第4の天蓋フラップの左側端部を第1の天蓋フラップの右側端部上に重合させた状態から、第1のフラップの第1上側重合部だけを上方に引き上げて第2下側重合部との上下を逆転させるだけで、容易に閉蓋できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2007-284063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の包装箱では、第1上側重合部を上方に引き上げる際に、包装箱内部に手指を入れるスペースが必要であるとともに、包装箱内部に収容した商品に対して手指が触れるという問題がある。
【0010】
上記の点を鑑み、本発明は、包装箱内部に手指を入れることなく、天蓋フラップの閉蓋作業を行うことができる包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するために、本発明の包装箱は、複数の側板によって形成され上下方向に延びる角筒状の胴部と、側板の上縁に折目線を介してそれぞれ連設された天蓋フラップと、天蓋フラップが折目線に沿って胴部の内側に水平に折り曲げられるとともに、一方側で隣接する天蓋フラップが上側に重合されることを順次繰り返すことで、天蓋フラップが水平に折り曲げた状態を維持する紙製の包装箱において、最初に折り曲げられる第1天蓋フラップは、該第1天蓋フラップの基端縁の他方側端部から該第1天蓋フラップの先端縁の中間部まで傾斜して延びる傾斜折目線と、前記傾斜折目線の中間部に形成された第1切れ目及び該第1切れ目の両端を繋ぎ他方側に向かって屈曲または湾曲して延びる第2切れ目により形成される係止孔と、前記傾斜折目線により揺動する揺動片と、を有し、前記第1天蓋フラップに他方側で隣接して最後に水平に折り曲げられる最終天蓋フラップは、平面視において、該最終天蓋フラップの基端縁の一方側端部から該最終天蓋フラップの先端縁まで前記傾斜折目線と重複または前記傾斜折目線より他方側に延びる傾斜側縁と、該最終天蓋フラップの傾斜側縁から前記第1天蓋フラップの傾斜折目線より一方側に突出した係止片と、を有し、前記係止片は、前記揺動片を前記傾斜折目線に沿って谷折して重合させた水平姿勢の前記第1天蓋フラップの上側に対して前記最終天蓋フラップを水平に折り曲げて重合させたとき、前記係止孔の内側に収容されることを特徴とする。
【0012】
本発明の包装箱では、第1天蓋フラップを水平に折り曲げ、第1天蓋フラップの揺動片を傾斜折目線に沿って谷折して第1天蓋フラップに重合させてから、第1天蓋フラップの一方側で隣接する天蓋フラップが第1天蓋フラップの上側に重合されるように順次繰り返すことで、水平姿勢の第1天蓋フラップの上側に前記最終天蓋フラップを水平に折り曲げて重合させたとき、最終天蓋フラップに設けられた係止片は、第1天蓋フラップの係止孔の内側に収容される。
【0013】
次に、第1天蓋フラップの揺動片を最終天蓋フラップの上側に折り戻す。このとき、最終天蓋フラップに設けられた係止片は、第1天蓋フラップの係止孔の内側に収容されているため、第1天蓋フラップ上に重合した状態で係止孔を相対的に通過することになるため、折り戻しを阻害しない。
【0014】
第1天蓋フラップの揺動片を折り戻すと、最終天蓋フラップは、係止片またはその近傍が第1天蓋フラップの係止孔の周縁によって係止され、順折り閉蓋が完了する。
【0015】
よって、本発明の包装箱では、第1天蓋フラップの揺動片を谷折り・折り戻しすることで、包装箱内部に手指を入れることなく、天蓋フラップによる閉蓋作業を行うことができる。
【0016】
本発明の包装箱において、前記最終天蓋フラップの傾斜側縁には、平面視において前記第1天蓋フラップの傾斜折目線より一方側に向かって突出した凸部が形成され、前記凸部は、前記揺動片を前記傾斜折目線に沿って谷折して重合させた水平姿勢の前記第1天蓋フラップの上側に対して前記最終天蓋フラップを水平に折り曲げて重合させたとき前記揺動片の上側に重合するとともに、前記揺動片を折り戻すことで自身の弾性変形により該揺動片によって前記第1天蓋フラップの下側に押し込まれることが好ましい。
【0017】
この構成を備える包装箱によれば、最終天蓋フラップの凸部は、第1天蓋フラップのうち揺動片以外の部分によって上側から重合されることになる。
【0018】
つまり、この包装箱では、第1天蓋フラップが、傾斜折目線で変位しやすい揺動片以外の部分でも最終天蓋フラップを上側から押さえつけることができるので、より閉蓋状態を維持しやすい。また、最終天蓋フラップは、係止片で上側から、凸部で下側から、第1天蓋フラップ31を挟むことができるため、より閉蓋状態を維持しやすい。
【0019】
特に、前記凸部は、前記最終天蓋フラップの先端側に形成されていることが好ましい。
【0020】
包装箱において、天蓋の中央付近は、各天蓋フラップを少しずつ撓ませることで変形を吸収しやすい。よって、最終天蓋フラップの傾斜側縁のうち、より天蓋の中央に近い先端側に凸部を形成することで、揺動片を折り戻す際に、より少ない力で凸部を第1天蓋フラップの下側に押し込むことができる。
【0021】
本発明の包装箱において、前記係止孔には、前記第2切れ目から延びて該係止孔の一部を塞ぐ舌片が設けられ、前記舌片は、前記揺動片を前記傾斜折目線に沿って谷折して重合させた水平姿勢の前記第1天蓋フラップの上側に対して前記最終天蓋フラップを水平に折り曲げて重合させたとき前記係止片に上側から重合されるとともに、前記揺動片を折り戻すことで自身の弾性変形によって前記係止片が前記係止孔を通過させ前記最終天蓋フラップの上側に重合することが好ましい。
【0022】
この構成を備える包装箱によれば、第1天蓋フラップの揺動片を折り戻す際に、舌片が弾性変形するので、最終天蓋フラップの係止片が第1天蓋フラップの係止孔を通過することを極端に困難にすることがない一方で、舌片によって係止孔の面積を小さくすることができるため、より閉蓋状態を維持しやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態の包装箱を示す斜視図。
図2図1の包装箱の展開図。
図3図1の包装箱の組立工程を説明するための説明図であって、傾斜折曲線を折り戻すことで係止片が係止孔に挿入されて一の天蓋フラップの外表面と係止孔の周縁とで係止する工程を示す平面図。
図4】変形例に係る係止孔と係止片とを示す拡大平面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本実施形態の包装箱1は、図1に示すように、四角筒状の胴部2と、胴部2の上端を閉塞する天部3と、胴部2の下端を閉塞する底部4とによって直方体状に形成されている。このとき、天部3の隅には、後述する各重合部3a、3b、3cが形成される。
【0025】
この包装箱1は、図2において展開して示すように4枚の側壁板、即ち、第1側壁板21、第2側壁板22、第3側壁板23、第4側壁板24が夫々胴部折目線aを介して連設されている。なお、図2における各側壁板21、22、23、24の左側が本発明にお
ける一方側であり、右側が本発明における他方側である。
【0026】
各側壁板21、22、23、24は、夫々胴部折目線aに沿って折り曲げられ、次いで、第2側壁板22の端縁に連設された接着片25が第3側壁板23の端部に接着されて胴部2を形成する。
【0027】
また、各側壁板21、22、23、24には、その下端縁に底部折目線cを介して夫々底蓋フラップ41、42、43、44が連設され、各底蓋フラップ41、42、43、44は底部折目線cに沿って水平に折り曲げられて底部4を形成する。
【0028】
次に、本実施形態の天部3の構成を詳しく説明する。
【0029】
図2に示すように、第1側壁板21の上端縁には、天蓋折目線bを介して第1天蓋フラップ31が連設されており、同じようにして、第2側壁板22には第2天蓋フラップ32、第3側壁板23には第3天蓋フラップ33、第4側壁板24には第4天蓋フラップ34(本発明の「最終天蓋フラップ」に相当。)が夫々天蓋折目線bを介して連設されている。
【0030】
この第1天蓋フラップ31の右側端部には、第1天蓋フラップ31の基端縁右端から第1天蓋フラップ31の先端縁中間部まで略45°に傾斜して延びる傾斜折目線5が形成されている。
【0031】
そして、第1天蓋フラップ31のうち、傾斜折目線5と第1天蓋フラップ31の右側縁と第1天蓋フラップ31の先端縁の右端部とで囲まれる直角三角形の領域が揺動片6である。
【0032】
揺動片6には、略台形状の係止孔7が形成されている。係止孔7は、傾斜折目線5の中央部に形成される第1切れ目71(仮想線で示す)と、第1切れ目71の両端を繋ぎ屈曲して右側に延びる第2切れ目72により形成される。
【0033】
なお、本実施形態では、第1切れ目71の両端を繋ぎ屈曲して左側に延びる第3切れ目73がさらに形成され、係止孔7の外縁は、第2切れ目72と第3切れ目73とにより構成されている。この第3切れ目73は、傾斜折目線5に対して段ボール板紙の厚みと同程度離間しつつ、傾斜折目線5と平行に延びている。
【0034】
第4天蓋フラップ34の左端縁は、第4天蓋フラップ34の基端縁左端から略45°に傾斜して先端縁まで延びており、この左端縁が本発明の傾斜側縁8に相当する。
【0035】
第4天蓋フラップ34の左端縁には、傾斜側縁8の中央部から左側に向かって突出する係止片9が形成されている。係止片9は、係止孔7の略台形状より若干小さい相似形の略台形状に形成されている。
【0036】
また、第4天蓋フラップ34の左端縁の先端側には、左側に向かって突出するなだらかな山型形状の凸部10が形成されている。
【0037】
次に、以上の構成からなる包装箱1の閉蓋作業について説明する。なお、以下の説明における左右位置は、図2において展開された状態によるものである。
【0038】
包装箱1を閉蓋するときには、第1~第4天蓋フラップ31、32、33、34を図1において上方から見て時計回りに順次折り曲げる。即ち、先ず、第1天蓋フラップ31を天蓋折目線bに沿って水平に折り曲げる。次いで、第2天蓋フラップ32を天蓋折目線bに沿って水平に折り曲げる。これにより、第1天蓋フラップ31の左側端部が第2天蓋フラップ32の右側端部の下側に重合されて第1の天蓋重合部3a(重合部)が形成される。
【0039】
次いで、第3天蓋フラップ33を天蓋折目線bに沿って水平に折り曲げる。これにより、第2天蓋フラップ32の左側端部が第3天蓋フラップ33の右側端部の下側に重合されて第2の天蓋重合部3b(重合部)が形成される。
【0040】
次いで、第1天蓋フラップ31の揺動片6を傾斜折目線5に沿って谷折りして第1天蓋フラップ31に重合させた後、第4天蓋フラップ34を天蓋折目線bに沿って水平に折り曲げる。
【0041】
これにより、第3天蓋フラップ33の左側端部が第4天蓋フラップ34の右側端部の下側に重合されて第3の天蓋重合部3c(重合部)が形成される。
【0042】
これと同時に、第1天蓋フラップ31右側端部も、第4天蓋フラップ34の左側端部の下側に重合される。
【0043】
具体的には、図3(a)に示すように、第1天蓋フラップ31の傾斜折目線5と第4天蓋フラップ34の傾斜側縁8とは、ともに45°傾斜しているため、平面視において重複する。また、係止片9は、係止孔7の略台形状より若干小さい相似形の略台形状であるため、係止孔7の内側に収容されつつ、第1天蓋フラップ31の上側に重合する。さらに、凸部10は、傾斜側縁8より左側に突出しているので、傾斜側縁8と重複する傾斜折目線5よりも左側に突出し、谷折りした揺動片6の上側に重合する。
【0044】
次いで、図3(b)に示すように、第1天蓋フラップ31の揺動片6を傾斜折目線5に沿って折り戻す。
【0045】
このとき、第4天蓋フラップ34に設けられた係止片9は、第1天蓋フラップ31の係止孔7の内側に収容されているため、第1天蓋フラップ31の上側に重合したままで係止孔を相対的に通過することになるため、折り戻しを阻害しない。
【0046】
他方、谷折りされた揺動片6の上面に載置された凸部10は、第1天蓋フラップ31の揺動片6を傾斜折目線5に沿って折り戻すことにより、自身が弾性変形及び包装箱1全体が弾性変形されることで、揺動片6によって第1天蓋フラップ31の下側に押し込まれる。
【0047】
もっとも、第1天蓋フラップ31の揺動片6は、自身が形成されている第1天蓋フラップ31の上側に対して係止片9で重合している第4天蓋フラップ34の上側にさらに重合しようとしている。しかしながら、第1天蓋フラップ31及び第4天蓋フラップ34は、段ボール板紙によって形成され所定の厚さを有するため、第1天蓋フラップ31の揺動片6は水平に折り戻した状態で維持されず、図3(c)に示すように、傾斜折目線5で若干谷折りされた状態に戻る。
【0048】
これにより、第4天蓋フラップ34は、第4天蓋フラップ34の係止片9(または係止片9の根元付近)が、第1天蓋フラップ31の係止孔7の周縁によって係止され、順折り閉蓋が完了する。
【0049】
以上説明した本実施形態の包装箱1によれば、第1天蓋フラップ31の揺動片6を、包装箱1の外側で谷折り・折り戻しすることで、包装箱1の内側に手指を入れることなく、天部3の閉蓋作業を容易に行うことができる。
【0050】
また、包装箱1は、第4天蓋フラップ34に凸部10を備え、この凸部10は、第1天蓋フラップ31のうち揺動片6よりも左側の部分に上側から重合される。よって、包装箱1では、第1天蓋フラップ31が、傾斜折目線5によって変位しやすい揺動片6以外の部分でも第4天蓋フラップ34を上側から押さえつけることができるので、より閉蓋状態を維持しやすい。
【0051】
また、第4天蓋フラップは、係止片9で上側から、凸部10で下側から、第1天蓋フラップ31を挟むことができるため、より閉蓋状態を維持しやすい。
【0052】
その一方で、凸部10は、第4天蓋フラップ34の先端側、つまり天蓋の中央付近に配置されるように形成されているところ、該中央付近は、包装箱1全体を少しずつ撓ませることで変形を吸収しやすいので、揺動片を折り戻す際の抵抗は小さい。
【0053】
また、包装箱1は、係止孔7の外縁は、第3切れ目73によって、傾斜折目線5に対して段ボール板紙の厚みと同程度拡大されているので、揺動片6を折り戻した際に、係止片9を係止孔7の広がった領域に押し込んで逃がすことで、折り戻した揺動片6をより水平に近い姿勢で維持することができる。
【0054】
次に、本実施形態の変形例にかかる包装箱1について、図4を用いて説明する。
【0055】
本実施形態の変形例Aにかかる包装箱1Aでは、図4(a)に示すように、係止孔7には舌片11Aが設けられている。舌片11Aは、第2切れ目72の周縁から係止孔7の一部を塞ぐものである。
【0056】
変形例Aでは、舌片11Aは、第2切れ目72の中央部に設けられている。また、変形例Aでは、舌片11Aは、第1切れ目71の中央部に向かって突出している。また、変形例Aでは、舌片11Aは、台形状に形成されている。舌片11の先端と第1切れ目71(仮想線)との距離は段ボール板紙の厚さ程度に設定されている。
【0057】
したがって、第4天蓋フラップ34の係止片9(または係止片9の根元付近)が、揺動片6の基端縁(傾斜折目線5と一致)と突出した舌片11Aとにより挟持される。
【0058】
これにより、係止孔7の幅を狭くする効果と同等の効果が生じるため、より閉蓋状態を維持しやすい。
【0059】
ただし、単に係止孔7の幅を狭くすると、係止片9が係止孔7を通過しにくくなるため、変形例Aでは、舌片11Aを設けるとともに、係止片9の先端部に凹部91が設けてある。
【0060】
凹部91は、係止片9の先端縁の中央部に設けられている。すなわち、凹部91は、揺動片6を折り戻した際に、舌片11Aが係止片9に衝突する位置を切り欠くことで形成されている。
【0061】
したがって、変形例Aでは、揺動片6を折り戻す際に、回動される舌片11Aが係止片9に衝突しにくくなるため、舌片11Aを設けて係止孔7を狭くしても、揺動片6をスムーズに折り戻すことができる。
【0062】
特に、図4(a)に示すように、第2切れ目72の第1切れ目71と平行な方向の最大幅をL1とし、第2切れ目72の舌片11Aの先端縁を伸ばした仮想線との交点間の距離をL3とし、係止片9の最大幅(先端側の幅)をL2、最小幅(基端縁の幅)をL4とした場合、L1>L2>L3>L4の関係が成り立つ。
【0063】
そのため、係止片9は、その先端側が凹部91によって回動する舌片11Aを避けながらであれば、係止孔7の最大幅部分(L1)を通過できる。一方、舌片11Aで第1切れ目71方向に押し込まれたときには、押し込まれたときの係止孔7の横幅(L3)は、係止片9の基端縁(L4)超、かつ、先端縁(L2)未満であるため、側縁の中央部(L2とL4との間)が係止孔7によって挟持され、その先端側(L2)が係止孔7から抜けにくくされている。
【0064】
本実施形態の変形例Bにかかる包装箱1Bでは、図4(b)に示すような、舌片11Bが設けられている。舌片11Bは、略台形状の係止孔7の中央より下方を塞ぐものである。
【0065】
舌片11Bの先端縁は、第1切れ目71(仮想線)と平行に延び、第1切れ目71との距離は段ボール板紙の厚さ程度に設定されている。
【0066】
舌片11Bの基端縁は、第2切れ目72のうち第1切れ目71(仮想線)と平行な領域に舌片折目線12を介して接続されている。舌片11Bの側縁は、第2切れ目72の他の領域に沿った切れ込みによって形成されている。
【0067】
したがって、変形例Bにかかる包装箱1Bでは、舌片11Bにより、係止孔7を狭くして閉蓋状態を維持しやすいと同時に、揺動片6を折り戻す際には、舌片11Bが舌片折目線12で揺動可能であるため、舌片11Bを設けて係止孔7を狭くしても、揺動片6をスムーズに折り戻すことができる。
【0068】
本実施形態の変形例Cにかかる包装箱1Cでは、図4(c)に示すように、上述した舌片11Bの右側(第1天蓋フラップ31の基端縁側)の一部が切り欠かれている。
【0069】
これにより、揺動片6を折り戻す際に、係止片9の先端縁の左端(第4天蓋フラップ34の基端縁側)が先に係止孔7を通過する。そのため、係止片9は、その先端縁の左側をきっかけとして、舌片11Cを押し込むことができるため、舌片11Cを舌片折目線12で揺動させることが容易である。
【0070】
次いで、その他の変形例について説明する。
【0071】
本実施形態の包装箱1では、胴部2が四角筒状であり天蓋フラップが4枚のものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、胴部が5、6、7、8角形等の多角形であって、天蓋フラップが5、6、7、8枚等であってもよい。
【0072】
また、各折目線a、b、c、傾斜折目線5及び舌片折目線12は、例えば表面に通常罫線、半切り等を設けることにより形成してもよく、裏面(図示せず)に対して、折り曲げ溝が断続的に設けられることでミシン目状に形成してもよい。
【0073】
本実施形態の係止孔及び係止片は、略台形状を例に説明したが、本発明はこれに限られず、3、5、6、7、8角形等の多角形であってもよく、略円形状や楕円形状であってもよい。また、係止孔は、係止片が通過可能な形状であれば足りるため、必ずしも相似形状である必要はない。
【0074】
本実施形態は、傾斜折目線5として、第1天蓋フラップ31の基端縁右端から第1天蓋フラップ31の先端縁中間部まで略45°に傾斜して延び、傾斜側縁8として、第4天蓋フラップ34の基端縁左端から略45°に傾斜して先端縁まで延びるもので説明したが、本発明はこれに限られない。すなわち、傾斜折目線5と傾斜側縁8とは、第1天蓋フラップ31及び第4天蓋フラップ34を水平方向に折り曲げたときに、平面視において重複するように形成されるのが好ましい。つまり、第1天蓋フラップ31及び傾斜折目線5のなす角と、第4天蓋フラップ34及び傾斜側縁8とのなす角とを足すと90°になるように(例えば、傾斜折目線5を30°、傾斜側縁8を60°)に設計することが好ましい。
【0075】
さらにいえば、傾斜折目線5と傾斜側縁8とは、第1天蓋フラップ31及び傾斜折目線5のなす角と、第4天蓋フラップ34及び傾斜側縁8とのなす角とを足したときに90°未満であってもよい。この場合、揺動片6を傾斜折目線5で谷折りしたときに、第1天蓋フラップ31の傾斜折目線5と第4天蓋フラップ34の傾斜側縁8との間に隙間ができるため、係止片9はこの隙間を超えて係止孔7に収容されるように、該隙間に掛け渡されるように設計する必要がある。
【0076】
なお、本実施形態の包装箱1は、各天蓋フラップ31、32、33、34による閉蓋状態であっても天部3の中央が開放されるものであり、野菜等を収納するに好適なものを例として上げたが、本発明はこれに限るものではなく、4枚の天蓋フラップにより順折り閉蓋を行うものであれば、天部3の全面を閉塞する包装箱であってもよい。
【0077】
特に、天部3の全面を閉塞する包装箱の場合、包装箱内部に手指を入れて第4の天蓋フラップの左側端部と第1の天蓋フラップの右側端部との重合方向の上下を入れ換えることが困難であるため、本発明が好適である。
【0078】
なお、本実施形態では、包装箱1を段ボール製板紙により構成しているが、厚紙類を用いてもよい。
【0079】
最後に、変形例A~Cの他の実施形態について説明する。
【0080】
変形例A~Cでは、舌片11A~Cとして係止孔7の一部を塞ぐものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、舌片11A~Cは係止孔7の全部を塞ぐものであってもよい。
【0081】
変形例A~Cでは、第2切れ目72のうち第1切れ目71と平行な箇所から第1切れ目71に向かって突出する舌片11A~Cを例にして説明したが、本発明の舌片11A~Cはこれに限られず、第2切れ目72の端部付近から第1切れ目71に沿って突出するものであってもよい。
【0082】
変形例A~Cでは、舌片11A~Cの先端と第1切れ目71(仮想線)との距離は段ボール板紙の厚さ程度に設定されているが、本発明はこれに限られず、係止孔7の一部でも塞ぐものであれば、段ボール板紙の厚さ以上の離れていてもよく、逆に、舌片11A~Cの先端と第1切れ目71(仮想線)とが一致(距離がゼロ)であって、例えば、舌片折目線12による舌片11A~Cの弾性復元により、係止片9を押さえつけて係止してもよい。
【0083】
変形例A~Cでは、舌片11A~Cが通過しやすいように、係止片9の先端部に凹部91、または、舌片11A~Cの基端縁に舌片折目線12が形成されているが、いずれも省略してもよい。
【0084】
変形例Cでは、上述した舌片11Cの右側(第1天蓋フラップ31の基端縁側)の一部が切り欠かれたものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、舌片11Cの左側を切り欠いてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…包装箱
2…胴部
21…第1側壁板
22…第2側壁板
23…第3側壁板
24…第4側壁板
3…天部
31…第1天蓋フラップ
32…第2天蓋フラップ
33…第3天蓋フラップ
34…第4天蓋フラップ(最終天蓋フラップ)
3a…第1の天蓋重合部(重合部)
3b…第2の天蓋重合部(重合部)
3c…第3の天蓋重合部(重合部)
4…底部
41~44…底蓋フラップ
5…傾斜折目線
6…揺動片
7…係止孔
71…第1切れ目
72…第2切れ目
73…第3切れ目
8…傾斜側縁
9…係止片
91…凹部
10…凸部
11…舌片
12…舌片折目線
a…胴部折目線
b…天部折目線
c…底部折目線
図1
図2
図3
図4