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特許7482759表示装置およびそれを備えた魚数計数システムと、表示制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】表示装置およびそれを備えた魚数計数システムと、表示制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20240507BHJP
   A01K 61/95 20170101ALI20240507BHJP
   G06M 7/00 20060101ALI20240507BHJP
   G09G 5/10 20060101ALI20240507BHJP
   G09G 5/14 20060101ALI20240507BHJP
   H04N 5/77 20060101ALI20240507BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20240507BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240507BHJP
   H04N 23/62 20230101ALI20240507BHJP
   H04N 23/63 20230101ALI20240507BHJP
【FI】
G09G5/00 510D
A01K61/95
G06M7/00 301B
G09G5/00 X
G09G5/00 510M
G09G5/00 530T
G09G5/00 550B
G09G5/00 550C
G09G5/00 550D
G09G5/10 B
G09G5/14 A
H04N5/77
H04N7/18 D
H04N7/18 E
H04N7/18 U
H04N23/60 500
H04N23/62
H04N23/63 100
H04N23/63 300
H04N23/63 330
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020193075
(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公開番号】P2022081871
(43)【公開日】2022-06-01
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若林 勲
(72)【発明者】
【氏名】嵩 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】上田 泰広
(72)【発明者】
【氏名】堺 寿昭
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-165238(JP,A)
【文献】国際公開第2020/179869(WO,A1)
【文献】特開2019-204434(JP,A)
【文献】特開2020-155089(JP,A)
【文献】特開2019-207552(JP,A)
【文献】特開2019-009623(JP,A)
【文献】特開2010-157076(JP,A)
【文献】特開2013-079813(JP,A)
【文献】特開平08-007069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K61/00-61/65
61/80-63/10
G06M7/00-15/00
G06T7/00-7/90
G06V10/00-20/90
30/418
40/16
40/20
G09G5/00-5/42
H04N5/222-5/257
5/76-5/775
5/80-5/907
7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚数を計数する魚数計数システムに用いられる表示装置であって、
選択可能な複数の指示項目をメイン画面で表示する表示部を備え、
前記表示部は、結果表示画面へ遷移させ、
前記結果表示画面は、少なくとも計数した魚数の時間経過に対する推移を示す魚数変化表示領域と、外乱情報表示領域と、を有し、
前記魚数変化表示領域には、処理装置が外乱を検知した時点を示すマーキングが表示され、前記外乱情報表示領域には、前記外乱の検知内容を示す情報が表示される、表示装置。
【請求項2】
前記複数の指示項目は、魚の流路における映像の録画の実行または停止を、前記魚数計数システムの処理装置に指示する録画指示項目を含み、
選択された前記指示項目に応じて前記表示部の表示画面を遷移させる表示制御部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記メイン画面で前記録画指示項目が選択されたときに、前記表示部の表示画面を、前記録画の実行または停止を指示する録画指示ボタンを含む操作画面へ遷移させる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記操作画面において、前記録画の実行が指示されたときに、前記録画の実行が開始されてからの経過時間をさらに表示する、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記操作画面において、撮像部が取得した前記映像をさらに表示する、請求項2または3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記処理装置において、前記映像の録画と併せて、前記映像に基づいて前記魚数が計数されたときに、計数された魚数を前記操作画面でさらに表示する、請求項2から4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記メイン画面で前記録画指示項目が選択されたときに、前記表示部の表示画面を、前記メイン画面からカメラ調整画面を介して前記操作画面に遷移させ、
前記表示部は、前記カメラ調整画面において、撮像部によって取得される前記映像を表示するとともに、前記映像の明るさおよび前記撮像部の撮影方向に関する設定を行うための設定領域を表示する、請求項2から5のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記メイン画面から前記カメラ調整画面およびエリア設定画面を介して前記操作画面に遷移させ、
前記表示部は、前記エリア設定画面において、前記撮像部によって取得される前記映像に対して、前記魚数の計数対象となるエリアを調整可能に表示する、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記複数の指示項目は、録画された前記映像に基づく、前記魚の解析による前記魚数の計数を前記処理装置に指示する解析指示項目を含み、
前記表示制御部は、前記メイン画面で前記解析指示項目が選択されたときに、前記表示部の表示画面を、録画された前記映像に基づく、前記魚の解析による前記魚数の計数を指示する解析指示ボタンを含むファイル管理画面へ遷移させる、請求項2から7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示部は、前記ファイル管理画面において、前記結果表示画面への遷移を指示する表示指示ボタンをさらに表示し、
前記結果表示画面は前記魚数の計数結果を表示する、請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示部は、前記ファイル管理画面において、前記魚数の計数結果の外部への出力を指示する出力指示ボタンをさらに表示する、請求項8または9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記複数の指示項目は、解析する魚の種類を設定する初期設定画面への遷移を指示する初期設定画面遷移指示項目をさらに含む、請求項1から10のいずれかに記載の表示装置。
【請求項12】
前記複数の指示項目は、メンテナンス画面への遷移を指示するメンテナンス画面遷移指示項目をさらに含む、請求項1から11のいずれかに記載の表示装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の表示装置と、
前記表示装置の前記表示部に表示される項目を選択するための入力部と、
前記入力部による前記項目の選択に応じて、前記魚数を計数する処理装置と、を含む魚数計数システム。
【請求項14】
魚数を計数する魚数計数システムに用いられる表示装置の表示部のメイン画面において、選択可能な複数の指示項目を表示するステップをコンピュータに実行させるための表示制御プログラムであって、
前記表示部に結果表示画面を表示させるステップを、更に備え、
前記結果表示画面は、少なくとも計数した魚数の時間経過に対する推移を示す魚数変化表示領域と、外乱情報表示領域と、を有し、
前記魚数変化表示領域には、処理装置が外乱を検知した時点を示すマーキングが表示され、前記外乱情報表示領域には、前記外乱の検知内容を示す情報が表示される、表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚数計数システムに用いられる表示装置と、その魚数計数システムと、表示制御プログラムとに関する。
【背景技術】
【0002】
マグロ等の魚の養殖においては、正確な魚数を把握し、餌代の削減や計画的な生産を行うことが好ましい。例えば特許文献1では、通過する魚の数を複数のカメラを用いて計数し、計数結果を画面に表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-202674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1では、魚数を計数する処理装置に対して、映像の録画の実行または停止の指示と、録画された映像に基づく、魚の解析による魚数の計数の指示とを行うことが可能であることを、ユーザに直感的に認識させることができる表示部の表示画面については一切検討されていない。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、処理装置に対して、映像の録画の実行または停止の指示と、録画された映像に基づく、魚の解析による魚数の計数の指示とを行うことが可能であることを、ユーザに直感的に認識させることができる表示装置と、その表示装置を備えた魚数計数システムと、表示制御プログラムとを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る表示装置は、魚数を計数する魚数計数システムに用いられる表示装置であって、選択可能な複数の指示項目をメイン画面で表示する表示部を備え、前記複数の指示項目は、魚の流路における映像の録画の実行または停止を、前記魚数計数システムの処理装置に指示する録画指示項目と、録画された前記映像に基づく、前記魚の解析による前記魚数の計数を前記処理装置に指示する解析指示項目と、を含む。
【0007】
本発明の他の側面に係る魚数計数システムは、上記の表示装置と、前記表示装置の前記表示部に表示される項目を選択するための入力部と、前記入力部による前記項目の選択に応じて、前記魚数を計数する前記処理装置と、を含む。
【0008】
本発明のさらに他の側面に係る表示制御プログラムは、表示装置の表示部のメイン画面において、魚の流路における映像の録画の実行または停止を、魚数計数システムの処理装置に指示する録画指示項目を表示するステップと、録画された前記映像に基づく、前記魚の解析による前記魚数の計数を前記処理装置に指示する解析指示項目を表示するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成によれば、処理装置に対して、映像の録画の実行または停止の指示と、録画された映像に基づく、魚の解析による魚数の計数の指示とを行うことが可能であることを、ユーザに直感的に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の一形態に係る魚数計数システムの概略の構成を示す説明図である。
図2】上記魚数計数システムの撮像部の撮影領域を模式的に示す説明図である。
図3】上記魚数計数システムの表示装置の表示部が表示するメイン画面を模式的に示す説明図である。
図4】上記表示部が表示するカメラ調整画面の一例を模式的に示す説明図である。
図5】上記表示部が表示するエリア設定画面の一例を模式的に示す説明図である。
図6】上記表示部が表示する操作画面の一例を模式的に示す説明図である。
図7】上記表示部が表示するファイル管理画面の一例を模式的に示す説明図である。
図8】解析の進捗状況を示す画面を模式的に示す説明図である。
図9】上記表示部が表示する結果表示画面の一例を模式的に示す説明図である。
図10】上記表示部が表示する初期設定画面の一例を模式的に示す説明図である。
図11】上記表示部が表示するメンテナンス画面の一例を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
〔1.魚数計数システムの構成〕
図1は、本実施形態の魚数計数システム10の概略の構成を示す説明図である。魚数計数システム10は、撮像部1と、入力部2と、表示装置3と、処理装置4と、を有する。
【0013】
(1-1.撮像部)
撮像部1は、例えば30fps(Flames Per Second)で動画を撮影可能なカメラ(ビデオカメラ)で構成される。撮像部1は、例えば河川、海、または養殖場で、魚Fの流路を撮影する。例えば、図1に示すように、第1生簀と第2生簀とを直接接続して、第1生簀から第2生簀にマグロなどの魚Fを移動させるとき、撮像部1は第2生簀の入口近傍に設置されて、魚Fの流路を撮影する。撮像部1が撮影して取得した映像のデータは、処理装置4に送られる。なお、撮像部1の設置位置は、第2生簀の入口近傍には限定されない。例えば、撮像部1は、第1生簀の出口近傍に設置されてもよい。
【0014】
(1-2.入力部)
入力部2は、例えばマウス、キーボード、タッチパッド、タッチパネルなどの入力デバイスによって構成され、処理装置4に対して各種の指示を行うためにユーザ(例えば魚の養殖業者)によって使用される。特に、入力部2がタッチパネルで構成される場合、入力部2は表示装置3の表示画面に重ねて配置される。
【0015】
(1-3.表示装置)
表示装置3は、例えば表示部31と、表示制御部32と、を有する。表示部31は、例えば液晶パネルで構成され、処理装置4から提供される情報を表示する。表示制御部32は、例えばCPU(Central Processing Unit)と呼ばれる中央演算処理装置で構成され、表示部31における各種の情報の表示を制御する。すなわち、表示装置3は、例えば液晶表示装置で構成される。表示部31には、入力部2によって入力される情報(例えばキーボードで入力されるテキスト情報)、マウスのポインタなども表示される。なお、表示部31に表示される情報(表示項目)の詳細については後述する。
【0016】
(1-4.処理装置)
処理装置4は、撮像部1が取得した上記映像に基づいて、流体中の魚数を計数するなどの各種の処理を実行する。このような処理装置4は、コンピュータまたはサーバー(クラウドサーバーを含む)によって構成される。処理装置4は、解析処理部41と、記憶部42と、情報出力部43と、処理制御部44と、を備える。
【0017】
解析処理部41は、例えばGPU(Graphics Processing Unit)と呼ばれる、リアルタイムの画像処理に特化した演算装置あるいはプロセッサで構成される。解析処理部41は、ディープラーニングなどによって予め機械学習されるニューラルネットワークを有する。これにより、解析処理部41は、撮像部1で取得された映像のデータを入力とし、画像認識処理によって特定の種類の魚Fを認識(解析)し、認識した魚Fの数を計数し、その計数結果を出力することができる。
【0018】
図2は、上記した撮像部1の撮影領域を模式的に示す説明図である。ここでは、撮像部1によって取得される矩形の映像の縁の一部を第1領域Ar1とし、その他の縁を第2領域Ar2とする。そして、第1領域Ar1が第1生簀に近い側とする。この例では、解析処理部41は、第1領域Ar1にいた魚Fが第2領域Ar2に移動した場合に、その魚Fを計数(加算)する。
【0019】
具体的には、解析処理部41は、上記映像において時系列に含まれる複数枚の画像(例えば各フレームの画像)の各々に対して、画像認識処理により魚Fを抽出する。そして、解析処理部41は、抽出した魚Fに対して、過去の画像の魚Fの位置に基づき個体を識別するための個体識別ラベルを付与する。その後、解析処理部41は、第1領域Ar1にいる魚Fに対して付与したラベルと同じラベルの魚Fが第2領域Ar2に到達した場合に、その時点の画像において魚Fを計数する。なお、この処理は一例であり、魚Fの数を計数できれば、種々のアルゴリズムを採用することができる。
【0020】
なお、図2の撮影領域は、第1領域Ar1と第2領域Ar2との間に第3領域Ar3を有する。第3領域Ar3は、矩形の領域であり、第1領域AR1と第2領域Ar2とによって周囲を囲まれる。このように第3領域Ar3を位置させることにより、第1領域Ar1を出た魚Fは即座に第2領域Ar2に到達せず、複数枚の画像において第3領域Ar3の位置で撮影される。したがって、第3領域Ar3においても解析処理部41が魚Fを認識することができる。そして、第1領域Ar1、第3領域Ar3および第2領域Ar2で同じ魚Fを認識することにより、第1領域Ar1から第2領域Ar2に到達する魚Fを精度よく追跡することができ、魚数の計数精度を向上させることができる。なお、第3領域Ar3を省略することも勿論可能である。
【0021】
図1に示す記憶部42は、処理装置4の動作プログラムのほか、各種のデータを記憶するメモリであり、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク、SSD(ソリッドステートドライブ)などを有して構成される。例えば、撮像部1で取得された映像のデータ、解析処理部41での解析結果(計数結果)などの情報は、記憶部42に記憶される。
【0022】
情報出力部43は、表示装置3の表示制御部32から出力される制御信号に基づいて、解析処理部41での解析結果(計数結果)などの情報を外部に出力するとともに、撮像部1に対して撮像条件の変更を指示する信号を出力する。このような情報出力部43は、外部端末または撮像部1と有線または無線で通信するための通信インターフェース、可搬型の記録媒体(例えば不揮発性メモリ)に情報を書き込む書き込み装置などを有して構成される。
【0023】
処理制御部44は、例えばCPUで構成され、処理装置4の各部の動作を制御する。例えば、処理制御部44は、入力部2により、撮像部1によって取得された映像の録画の実行が指示された場合、上記映像を録画する(記憶部42に記憶させる)処理を行う。また、処理制御部44は、入力部2によって魚数の補正指示が入力されたときに、その補正指示に基づいて、解析処理部41での解析による魚数の計数結果を補正する補正部としても機能する。さらに、処理制御部44は、時間を計測するタイマー(計時部)の機能も有する。
【0024】
また、処理制御部44は、撮像部1によって取得された映像に基づいて外乱を検知する外乱検知部としても機能する。なお、外乱とは、解析処理部41での魚の解析および魚数の計数に影響を与える外部要因を指す。例えば、上記外乱として、「直射日光の映り込み」がある。映像に直射日光が映り込むと、映像全体が明るくなり、その結果、解析処理部41が魚Fを精度よく認識して魚数を精度よく計数することが困難となる。このような場合、処理制御部44は、撮像部1の撮影方向の変更を促す制御信号を表示装置3に出力する。表示装置3では、上記制御信号に基づいて撮像部1の撮影方向の変更を指示するメッセージを表示することにより、ユーザに撮影方向の変更を促すことができる。
【0025】
なお、処理制御部44は、外乱としての「直射日光の映り込み」を、例えば以下のようにして検知することができる。処理制御部44は、撮像部1によって取得された映像に含まれる1フレームの画像をn×nのブロックに分割する(例えばn=13)。明度の平均が一定値以上であり、かつ、色相の平均が一定値以下であり、かつ、R(赤)、G(緑)、B(青)の各平均値が閾値以上となるブロックが存在する場合、処理制御部44は、直射日光の映り込みがあると判断する(外乱ありを検知する)。
【0026】
〔2.表示装置の表示画面について〕
次に、表示装置3の表示画面について説明する。なお、以下での説明において、表示部31の表示画面には各種のボタンが表示されるが、上記ボタンとは、上記表示画面において、入力部2によって選択可能な領域を指す。例えば、入力部2がマウスで構成される場合、上記ボタンは、表示画面において、マウスのクリックによって選択可能な領域を指す。また、例えば、入力部2がタッチパネルで構成される場合、上記ボタンとは、表示画面において、タッチパネルの押圧によって選択可能な領域を指す。
【0027】
また、表示部31の表示画面に表示される各種の項目(指示項目)の表示領域も、上記のボタンと同様に、入力部2によって選択可能な領域であるとする。つまり、上記項目の表示領域は、ボタンの一種と考えることができる。したがって、ユーザは、上記表示領域を入力部2によって選択することにより、上記表示領域に表示された項目を選択することができる。
【0028】
図3は、表示装置3の表示部31が表示するメイン画面MSを模式的に示す説明図である。ここで、メイン画面MSとは、ユーザが入力部2(図1参照)を操作してシステムにログインした後に表示部31が最初に表示する画面を指す。表示部31は、メイン画面MSにおいて複数の指示項目を表示する。上記複数の指示項目は、録画指示項目D1と、解析指示項目D2と、初期設定画面遷移指示項目D3と、メンテナンス画面遷移指示項目D4と、を含む。表示制御部32は、上記複数の指示項目のいずれかが入力部2によって選択されると、選択された指示項目に応じて、表示部31の表示画面を遷移させる。なお、遷移先の表示画面の詳細については後述する。つまり、本実施形態の表示装置5は、選択された指示項目に応じて表示部31の表示画面を遷移させる表示制御部32を備える。
【0029】
録画指示項目D1は、魚Fの流路を撮像部1が撮影して得られる映像の録画の実行または停止を処理装置4に指示する項目である。なお、録画指示項目D1の選択による録画指示とは、撮像部1が取得した映像を直ちに録画する指示を指す。解析指示項目D2は、録画された過去の映像に基づく、魚の解析による魚数の計数、および魚数の補正などを処理装置4に指示する項目である。初期設定画面遷移指示項目D3は、メイン画面MSから、解析する魚Fの種類を設定する初期設定画面IS(図10参照)への遷移を指示する項目である。メンテナンス画面遷移指示項目D4は、メイン画面MSからメンテナンス画面TS(図11参照)への遷移を指示する項目である。
【0030】
このように、本実施形態の表示装置3は、魚数を計数する魚数計数システム10に用いられる表示装置であって、(入力部)選択可能な複数の指示項目をメイン画面MSで表示する表示部31を備える。複数の指示項目は、魚の流路における映像の録画の実行または停止を、魚数計数システム10の処理装置4に指示する録画指示項目D1と、録画された映像に基づく、魚の解析による魚数の計数を処理装置4に指示する解析指示項目D2と、を含む。
【0031】
表示部31のメイン画面MSに、録画指示項目D1と解析指示項目D2とを含む複数の指示項目が表示される。これにより、魚数計数システム10の処理装置4に対して、少なくとも、録画指示項目D1の選択による指示(映像の録画の実行または停止の指示)と、解析指示項目D2の選択による指示(録画された映像に基づく、魚の解析による魚数の計数の指示)とを行うことが可能であることを、表示部31の表示画面を見るユーザに直感的に認識させることができる。
【0032】
また、本実施形態の魚数計数システム10は、上記した表示装置5と、表示装置5の表示部31に表示される項目を選択するための入力部2と、入力部2による項目の選択に応じて、魚数を計数する処理装置4と、を含む。この場合、表示装置5と、入力部2と、処理装置4とを含む魚数計数システム10において、上述の効果を得ることができる。つまり、魚数計数システム10において、映像の録画の実行または停止の指示と、魚数の解析による計数の指示とを行うことが可能であることを、表示画面を見るユーザに直感的に認識させることができる。
【0033】
次に、メイン画面MSで各指示項目が選択されたときの表示画面の遷移について説明する。
【0034】
(2-1.録画指示項目が選択されたときの表示画面の遷移)
表示部31のメイン画面MSにおいて、入力部2によって録画指示項目D1が選択されたとき、表示制御部32により、表示部31の表示画面は、メイン画面MSから、カメラ調整画面CS(図4参照)およびエリア設定画面ES(図5参照)を介して、操作画面RS(図6参照)に遷移する。ユーザは、操作画面RSにおいて、映像の録画を指示することができる。
【0035】
(2-1-1.カメラ調整画面)
図4は、カメラ調整画面CSの一例を模式的に示す説明図である。カメラ調整画面CSは、映像表示領域R11と、メッセージ表示領域R12と、設定領域R13と、有する。映像表示領域R11には、撮像部1(図1参照)によって取得された映像が、処理装置4(図1参照)を介して表示装置3に提供され、表示される。なお、処理装置4から表示装置3に提供される上記映像は、撮像部1での取得から多少の遅延はあるが、ほぼリアルタイムで表示装置3に提供される。
【0036】
メッセージ表示領域R12には、処理装置4の処理制御部44が上記映像に基づいて外乱を検知したときに、撮像部1の撮影方向(パン、チルト)の変更を指示するメッセージが表示される。図4では、処理制御部44が外乱として「直射日光の映り込み」を検知したため、メッセージ表示領域R12において、撮像部1のパンおよびチルトの調整をユーザに促すメッセージが表示された例を示している。
【0037】
設定領域R13は、上記映像の明るさおよび撮像部1の撮影方向等、撮像部1の撮影条件を設定するための領域である。ユーザは、映像表示領域R11に表示された映像およびメッセージ表示領域R12に表示されたメッセージを見て、設定領域R13で入力部2を操作することにより(ポインタのスライド、キーボードのテンキーによる数値入力などを行うことにより)、撮影条件の設定および変更を行うことができる。設定領域R13で設定された情報は、処理装置4を介して撮像部1に出力され、撮像部1において撮影条件が自動調整される。
【0038】
カメラ調整画面CSにおいて、ユーザが入力部2によって画面右下の「次へ」のボタンB1を選択すると、表示画面はエリア設定画面ES(図5参照)に遷移し、画面右上の「戻る」のボタンB2を選択すると、表示画面がメイン画面MS(図3参照)に戻る。なお、デフォルトで撮像部1の調整不要が設定されている場合、メイン画面MSからカメラ調整画面CSへの遷移を省略(スキップ)することが可能である。
【0039】
(2-1-2.エリア設定画面)
図5は、エリア設定画面ESの一例を模式的に示す説明図である。なお、図5では、カメラ調整画面CSにエリア設定画面ESがポップアップ表示されているが、表示部31の表示画面からカメラ調整画面CSを消去してエリア設定画面ESのみを表示させてもよい。
【0040】
エリア設定画面ESは、撮影部1によって取得された映像において、魚数の計数の対象となるエリア、具体的には、図2で示した第1領域Ar1、第2領域Ar2、第3領域Ar3の大きさを設定するための画面である。ここで、第1生簀および第2生簀の深さ方向に垂直な2方向のうち、第1生簀から第2生簀に向かう方向をX方向とし、X方向に垂直な方向をY方向とする。また、X方向がエリア設定画面ESの画面下側から画面上側に向かう方向に対応し、Y方向がエリア設定画面ESの画面右側から画面左側に向かう方向に対応するとする。
【0041】
また、図2のように、第2領域Ar2が矩形の第3領域Ar3の3辺を囲むように位置し、第1領域Ar1が第3領域Ar3の残りの1辺と接して位置することによって全体として矩形となる撮影領域を考えたとき、X方向に並ぶ第1領域Ar1と第3領域Ar3との境界をX11とし、第1領域Ar1おける第3領域Ar3とは反対側の端部をX12とする。また、第1領域Ar1の+Y方向側の端部および-Y方向側の端部を、それぞれY11およびY12とする。さらに、第2領域Ar2の+Y方向側の端部および-Y方向側の端部を、それぞれY21およびY22とする。また、Y方向に並ぶ第2領域Ar2と第3領域Ar3との境界のうち、+Y方向側に位置する境界をY23とし、-Y方向側に位置する境界をY24とする。なお、端部Y21,境界Y23、境界Y24および端部Y22は、+Y方向側から-Y方向側に向かってこの順で位置する。また、第2領域Ar2の+X方向側の端部および-X方向側の端部を、それぞれX21およびX22とする。そして、X方向における第2領域Ar2と第3領域Ar3との境界をX23とする。なお、X方向において、境界X23は、端部X21と端部X22との間に位置する。
【0042】
図5のエリア設定画面ESにおいて、入力部2により、画面上側のスライド部51を左右方向にスライドさせることにより、第1領域Ar1の端部Y11(図2参照)および第2領域Ar2の端部Y21(図2参照)のY方向の位置を設定または変更することができる。入力部2により、画面下側のスライド部52を左右方向にスライドさせることにより、第1領域Ar1の端部Y12(図2参照)および第2領域Ar2の端部Y22(図2参照)のY方向の位置を設定または変更することができる。入力部2により、画面右側のスライド部53を上下方向にスライドさせることにより、境界X11(図2参照)のX方向の位置を設定または変更することができる。入力部2により、画面右側のスライド部54を上下方向にスライドさせることにより、第1領域Ar1の端部X12(図2参照)のX方向の位置を設定または変更することができる。
【0043】
また、図5のエリア設定画面ESにおいて、入力部2により、画面上側のスライド部55を左右方向にスライドさせることにより、第2領域Ar2の境界Y23(図2参照)のY方向の位置を設定または変更することができる。入力部2により、画面下側のスライド部56を左右方向にスライドさせることにより、第2領域Ar2の境界Y24(図2参照)のY方向の位置を設定または変更することができる。入力部2により、画面左側のスライド部57を上下方向にスライドさせることにより、第2領域Ar2の端部X21(図2参照)のX方向の位置を設定または変更することができる。入力部2により、画面左側のスライド部58を上下方向にスライドさせることにより、第2領域Ar2の端部X22(図2参照)のX方向の位置を設定または変更することができる。入力部2により、画面左側のスライド部59を上下方向にスライドさせることにより、境界X23(図2参照)のX方向の位置を設定または変更することができる。
【0044】
エリア設定画面ESにおいて、ユーザが入力部2によって画面下部左側の「OK」のボタンB3を選択すると、表示画面は操作画面RS(図6参照)に遷移し、画面下部右側の「キャンセル」のボタンB4を選択すると、表示画面がカメラ調整画面CS(図4参照)に戻る。なお、デフォルトの設定により、メイン画面MSからエリア設定画面ESへの遷移を省略(スキップ)することも可能である。
【0045】
(2-1-3.操作画面)
図6は、操作画面RSの一例を模式的に示す説明図である。操作画面RSでは、録画指示ボタンB5が表示される、録画指示ボタンB5は、撮像部1(図1参照)によって取得された映像の録画の実行または停止を処理装置4に指示するためのボタンであり、入力部2によって選択可能である。録画指示ボタンB5は、録画の実行前は、「実行」の文字を含むアイコンで表示され、録画の実行後は、「停止」の文字を含むアイコンで表示される。
【0046】
操作画面RSにおいて、入力部2によって録画指示ボタンB5が選択されて録画の実行指示が入力されると、表示制御部32により、映像の録画を指示する制御信号が処理装置4に出力され、上記制御信号に基づいて処理装置4側で映像の録画が実行される(映像が記憶部42に記憶される)。一方、操作画面RSにおいて、入力部2によって録画指示ボタンB5が選択されて録画停止の指示が入力されると、表示制御部32により、映像の録画停止を指示する制御信号が処理装置4に出力され、上記制御信号に基づいて処理装置4側で映像の録画が停止される。
【0047】
このように、表示制御部32は、図3で示したメイン画面MS(図3参照)で録画指示項目D1が(入力部2によって)選択されたときに、表示部31の表示画面を、録画の実行または停止を指示する録画指示ボタンB5を含む操作画面RSへ遷移させる。これにより、ユーザは、操作画面MSで表示される録画指示ボタンB5を入力部2によって選択(例えばクリック、押圧)することにより、処理装置4に対する録画の実行または停止の指示を入力することができる。
【0048】
図6では、入力部2によって録画の実行が指示されて、処理装置4にて映像の録画が既に実行されている状態を示している。処理装置4で映像の録画が実行されると、処理制御部44の計時機能により、録画の実行が開始されてからの経過時間が計測され、その時間情報が表示装置3に出力される。そして、上記経過時間が表示部31の操作画面RSに表示される。図6では、例として、映像の録画の実行が開始されてから10分が経過したことを示している。このように、表示部31は、操作画面RSにおいて、録画の実行が指示されたときに、録画の実行が開始されてからの経過時間を表示する。これにより、ユーザは、操作画面RSを見て、映像の録画時間を容易に把握することができる。
【0049】
また、操作画面RSでは、撮像部1で取得され、処理装置4を介して表示装置3に入力される映像が、表示領域R14に表示される。つまり、表示部31は、操作画面RSにおいて、撮像部1が取得した映像を表示する。この場合、ユーザは、操作画面RSで表示された映像を見ながら、入力部2による録画指示ボタンB5の選択により、録画の実行または停止を適切なタイミングで指示することができる。
【0050】
ところで、処理装置4が、撮像部1によって取得された映像の録画と、上記映像に基づく魚数の計数とを並行して(リアルタイム処理によって)行うことが可能である場合、処理装置4からは、魚数の計数結果の情報が表示装置3に出力される。この場合、表示部31の録画表示画面RSには、上記魚数の計数結果が表示される。図6の例では、操作画面RSの右下に、魚数の計数結果が表示されている。
【0051】
このように、表示部31は、処理装置4において、映像の録画と併せて、上記映像に基づいて魚数が計数されたときに、計数された魚数を操作画面RSでさらに表示する。この場合、ユーザは、操作画面RSを見て、録画と併せて(リアルタイム処理によって)計数された魚数を即座に把握することができる。
【0052】
なお、先のカメラ調整画面CS(図4参照)において、撮影条件の変更によって映像が暗くなった場合など、魚数の計数に支障を来たす場合には、処理装置4から表示装置3に警告信号を出力してもよい。そして、表示装置3では、上記警告信号に基づき、表示部31が操作画面RSにおいて、カメラ調整画面CSでの撮影条件の再設定を促す表示を領域R15にて行ってもよい。ユーザは、領域R15に表示された内容を見て、操作画面RSに表示された「戻る」のボタンB6を入力部2によって選択することにより、カメラ調整画面CSに戻って撮影条件の再設定を行うことができる。
【0053】
また、表示制御部32は、メイン画面MSで録画指示項目D1が選択されたときに、表示部31の表示画面を、メイン画面MSから上述のカメラ調整画面CS(図4参照)を介して操作画面RSに遷移させる。そして、図4で示したように、表示部31は、カメラ調整画面CSにおいて、撮像部1によって取得される映像を(映像表示領域R11に)表示するとともに、映像の明るさおよび撮像部1の撮影方向に関する設定を行うための設定領域R13を表示する。
【0054】
ユーザは、操作画面RSで処理装置4に対して録画の実行を指示する前に、カメラ調整画面CSにおいて、表示される映像を見ながら、設定領域R13で映像の明るさ、撮影方向(パン、チルト)を設定することにより、明るさおよび撮影方向が適切な映像の録画を処理装置4に実行させることができる。
【0055】
特に、本実施形態では、表示制御部32は、メイン画面MSからカメラ調整画面CSおよびエリア設定画面ES(図5参照)を介して操作画面RSに遷移させる。そして、図5で示したように、表示部31は、エリア設定画面ESにおいて、撮像部1によって取得される映像に対して、魚数の計数対象となるエリアを調整可能に表示する。
【0056】
ユーザは、エリア調整画面ESにおいて、魚数の計数対象となるエリア(第1領域Ar1、第2領域Ar2、第3領域Ar3)を適切に調整することができるため、処理装置4に対して魚の解析による魚数の計数を指示したときに、設定されたエリアを通る魚の数を適切に計数させることができる。
【0057】
(2-2.解析指示項目が選択されたときの表示画面の遷移)
図3で示した表示部31のメイン画面MSにおいて、入力部2によって解析指示項目D2が選択されたとき、表示制御部32により、表示部31の表示画面は、メイン画面MSから、ファイル管理画面FS(図7参照)に遷移する。ユーザは、ファイル管理画面FSにおいて、魚の解析による魚数の計数を指示することができる。
【0058】
(2-2-1.ファイル管理画面)
図7は、表示部31が表示するファイル管理画面FSの一例を模式的に示す説明図である。ファイル管理画面FSの画面左側には、録画された(記憶部42に記憶された)個々の映像ごとに(録画ファイルごとに)、撮像部1による撮影日時および撮影時間の情報が表示される。また、魚の解析による魚数の計数が既に実行された録画ファイルについては、「解析済み」の文字が表示され、魚数の計数が実行されていない録画ファイルについては、「未解析」の文字が表示される。ファイル管理画面FSの画面右側には、入力部2によって選択された録画ファイル(図7では太枠で囲まれた録画ファイル)について、撮影日時および撮影時間の情報、最終更新日、魚種(後述する図10の初期設定画面ISで設定)、魚数の計数結果、などが表示される。ファイル管理画面FSに表示される各種の情報は、処理装置4から提供される。なお、ファイル管理画面FSでは、「解析済み」または「未解析」の文字の代わりに、「解析済み」または「未解析」を示すアイコンを表示させてもよい。
【0059】
また、ファイル管理画面FSには、解析指示ボタンB7、表示指示ボタンB8、削除ボタンB9およびエクスポート指示ボタンB10が併せて表示される。
【0060】
削除ボタンB9は、ファイル管理画面FSに表示された録画ファイルのうち、不要なファイルおよびそれに付随する情報(撮影日時等)の削除を指示するためのボタンである。入力部2により不要な録画ファイルを選択して、削除ボタンB9をクリックまたは押圧することにより、選択した録画ファイルの削除を指示する制御信号が処理装置4に出力される。これにより、処理装置4では、上記制御信号に基づいて、選択した録画ファイルおよびそれに付随する情報が記憶部42から削除される。
【0061】
エクスポート指示ボタンB10は、録画ファイルおよびその解析結果(計数結果)等の情報の外部への出力を指示するための出力指示ボタンである。入力部2により所望の録画ファイルを選択して、エクスポート指示ボタンB10をクリックまたは押圧することにより、選択した録画ファイルの出力を指示する制御信号が処理装置4に出力される。これにより、処理装置4では、上記制御信号に基づいて、選択した録画ファイルおよびそれに付随する情報が外部に出力される。なお、録画ファイル等の外部への出力は、通信または記録媒体への書き込みによって実現される。
【0062】
解析指示ボタンB7は、録画された映像に基づく、魚の解析による魚数の計数を指示するボタンである。ファイル管理画面FSにおいて、入力部2により所望の録画ファイルを選択し、さらに入力部2を操作してファイル解析指示ボタンB7を選択(例えばクリック)すると、表示制御部32により、魚の解析を指示する制御信号が処理装置4に出力される。そして、上記制御信号に基づいて、処理装置4の解析処理部41が魚の解析およびそれによる魚数の計数を実行する。
【0063】
処理装置4での魚の解析中は、図8で示すように、解析の進捗状況を示す画面がファイル管理画面FS上にポップアップ表示される。解析を途中で中止したい場合、入力部2によって「キャンセル」ボタンB11を選択することにより、表示装置5から処理装置4に対して解析の中止を指示することができる。
【0064】
表示指示ボタンB8は、処理装置4(解析処理部41)による魚数の計数結果を表示する結果表示画面ASへの遷移を指示するボタンである。ファイル管理画面FSにおいて、入力部2により表示指示ボタンB8を選択すると、表示制御部32により、魚数の計数結果の出力を指示する制御信号が処理装置4に出力され、上記制御信号に基づいて解析処理部41での魚数の計数結果の情報が表示装置3に出力される。これにより、表示装置3の表示部31の表示画面には、処理装置4での魚数の計数結果が表示される。すなわち、表示装置3の表示部31の表示画面は、ファイル管理画面FSから結果表示画面AS(図9参照)に遷移する。
【0065】
(2-2-2.結果表示画面)
図9は、表示部31が表示する結果表示画面ASの一例を模式的に示す説明図である。結果表示画面ASは、計数結果表示領域R16と、映像表示領域R17と、補正領域R18と、魚数変化表示領域R19と、外乱情報表示領域R20と、を有する。
【0066】
計数結果表示領域R16には、処理装置4の解析処理部41によって計数された魚数が表示される。図9の例では、録画された映像(動画)全体での計数結果が45尾であることを示している。映像表示領域R17には、魚数の計数の対象となった録画ファイルの映像が表示される。これにより、ユーザは、映像表示領域R17に表示された映像を見ながら、補正領域R18において魚数の補正値を入力することができる。また、映像表示領域R17には、動画(複数枚の画像)の再生、一時停止、フレーム単位での画面送り、フレーム単位での画面戻し、時間を指定したフレーム表示、時間を指定しての再生箇所の変更のための指示アイコンも表示される。
【0067】
補正領域R18は、ユーザが入力部2によって魚数の補正値を入力するための領域である。補正領域R18には、加算ボタン61および減算ボタン62が表示される。ユーザが入力部2によって加算ボタン61を1回ずつクリック(または押圧)することにより、魚数の補正値が1ずつ増加する。逆に、ユーザが入力部2によって減算ボタン62を1回ずつクリック(または押圧)することにより、魚数の補正値が1ずつ減少する。図9の例では、現在のフレームの画像に対する補正値が0尾であり、録画された映像全体で補正値が+4尾であることを示している。補正領域R18で補正された魚数の情報は、表示装置3から処理装置4に出力され、処理装置4の記憶部42に、録画ファイルに対応して記憶される。
【0068】
魚数変化表示領域R19には、計数した魚数の時間経過に対する推移を示すグラフ71と、スライダーバー72とが表示される。グラフ71の縦軸Ax1は単位時間あたりに計数した魚数に対応しており、横軸Ax2は時間経過に対応している。映像の撮影時間が長く、一画面に納まらない場合には、魚数変化表示領域R19にスライダーバー72が表示される。スライダーバー72をスライドさせることにより、任意の時点の計数結果を表示させることができる。
【0069】
また、魚数変化表示領域R19には、現在表示されている画像(フレーム)の時点を表す現在時点73と、補正値が入力された時点を示す補正時点74と、処理装置4の処理制御部44が外乱を検知した時点を示すマーキング75とが表示される。外乱情報表示領域R20には、外乱の検知内容を示す情報が表示される。
【0070】
結果表示画面ASにおいて、ユーザが入力部2によって画面上部右側の「戻る」のボタンB13を選択すると、表示画面はファイル管理画面FS(図7参照)に遷移する。また、ファイル管理画面FSにおいて、ユーザが入力部2によって画面上部右側の「戻る」のボタンB12を選択すると、表示画面は、メイン画面MS(図3参照)に遷移する。
【0071】
以上のように、表示制御部32は、図3で示したメイン画面MSで解析指示項目D2が(入力部2によって)選択されたときに、表示部31の表示画面を、録画された映像に基づく、魚の解析による魚数の計数を指示する解析指示ボタンB7を含むファイル管理画面FS(図7参照)へ遷移させる。
【0072】
ユーザは、メイン画面MSで解析指示項目D2を選択したときに、ファイル管理画面FSで表示される解析指示ボタンB7を入力部2によって選択(例えばクリック、押圧)することにより、処理装置4に対する魚数の計数の指示を入力することができる。
【0073】
また、表示部31は、ファイル管理画面FSにおいて、魚数の計数結果を表示する結果表示画面ASへの遷移を指示する表示指示ボタンB8をさらに表示する。
【0074】
ユーザは、表示部31のファイル管理画面FSにおいて、表示指示ボタンB8を入力部2によって選択(例えばクリック、押圧)することにより、表示部31の表示画面を、ファイル管理画面FSから結果表示画面ASに遷移させることができる。これにより、ユーザは、結果表示画面ASにおいて、魚数の計数結果を認識することができる。
【0075】
また、表示部31は、ファイル管理画面FSにおいて、魚数の計数結果の外部への出力を指示する出力指示ボタンとしてのエクスポート指示ボタンB10をさらに表示する。
【0076】
ユーザは、表示部31のファイル管理画面FSにおいて、エクスポート指示ボタンB10を入力部2によって選択することにより、魚数の計数結果の情報を外部に出力し、外部で確認することができる。
【0077】
(2-3.初期設定画面遷移指示項目が選択されたときの表示画面の遷移)
図3で示した表示部31のメイン画面MSにおいて、入力部2によって初期設定画面遷移指示項目D3が選択されたとき、表示制御部32により、表示部31の表示画面は、メイン画面MSから、初期設定画面IS(図10参照)に遷移する。
【0078】
図10は、初期設定画面ISの一例を模式的に示す説明図である。初期設定画面ISは、魚種入力領域R21を有する。魚種入力領域R21では、魚Fの種類(マグロ、サバ等)が予めリスト登録されている。ユーザは、魚種入力領域R21において、登録された魚種のリストの中から所望の魚種を入力部2によって選択することにより、魚Fの解析の対象となる魚種を設定することができる。
【0079】
初期設定画面ISにおいて、ユーザが入力部2によって画面上部右側の「戻る」のボタンB14を選択すると、表示画面はメイン画面MS(図3参照)に遷移する。
【0080】
以上のように、表示部31のメイン画面MSで表示される複数の指示項目は、解析する魚Fの種類を設定する初期設定画面ISへの遷移を指示する初期設定画面遷移指示項目D3をさらに含む。
【0081】
ユーザは、メイン画面MSにおいて、入力部2によって初期設定画面遷移指示項目D3を選択して、初期設定画面ISを表示部31に表示させることにより、初期設定画面ISにて魚種を設定することができる。これにより、設定した魚種について、魚の解析およびそれによる魚数の計数を処理装置4に指示することができる。
【0082】
(2-4.メンテナンス画面遷移指示項目が選択されたときの表示画面の遷移)
図3で示した表示部31のメイン画面MSにおいて、入力部2によってメンテナンス画面遷移指示項目D4が選択されたとき、表示制御部32により、表示部31の表示画面は、メイン画面MSから、メンテナンス画面TS(図11参照)に遷移する。
【0083】
図11は、メンテナンス画面TSの一例を模式的に示す説明図である。メンテナンス画面TSは、エクスポート指示領域R22を有する。ユーザは、エクスポート指示領域R22を入力部2によって選択することにより、処理装置4の使用履歴を表すログ(履歴情報)の出力を処理装置4に指示することができる。処理装置4は、上記指示に基づいてログを外部(例えば外部端末)に出力する。これにより、メンテナンス者(例えばシステムの開発者、製造業者、サービスマンなど)は、上記ログを参考にして、表示装置5ひいては魚数計数システム10のメンテナンスを行うことができる。
【0084】
メンテナンス画面TSにおいて、ユーザが入力部2によって画面上部右側の「戻る」のボタンB15を選択すると、表示画面はメイン画面MS(図3参照)に遷移する。
【0085】
このように、表示部31のメイン画面MSで表示される複数の指示項目は、メンテナンス画面TSへの遷移を指示するメンテナンス画面遷移指示項目D4をさらに含む。
【0086】
メンテナンス者は、メイン画面MSでメンテナンス遷移指示項目D4を選択してメンテナンス画面TSを表示部31に表示させることにより、メンテナンス画面TSにて必要な指示(例えばログの出力指示)を入力してメンテナンスを行うことができる。
【0087】
〔3.表示制御プログラムについて〕
図1で示した本実施形態の表示装置3、または表示装置3を有する魚数計数システム10は、動作プログラム(アプリケーションソフトウェア)をインストールしたコンピュータで構成することができる。上記プログラムをコンピュータ(例えばCPUとしての表示制御部32または処理制御部44が読み取って実行することにより、表示装置3の表示部31に各項目を表示するステップを実行させることができる。このようなプログラムは、例えば、ネットワークを介して外部からダウンロードすることによって取得されてもよいし、上記プログラムを記録したCD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory)などのコンピュータ読取可能な記録媒体から、上記プログラムを読み取ることによって取得されてもよい。すなわち、本実施形態の表示制御プログラムは、以下のように表現することができる。
【0088】
上記表示制御プログラムは、表示装置3の表示部31のメイン画面MSにおいて、魚の流路における映像の録画の実行または停止を、魚数計数システム10の処理装置4に指示する録画指示項目D1を表示するステップと、録画された映像に基づく、魚の解析による魚数の計数を処理装置4に指示する解析指示項目D2を表示するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0089】
上記表示制御プログラムは、メイン画面MSで録画指示項目が選択されたときに、表示部31の表示画面を、録画の実行または停止を指示する録画指示ボタンB5を含む操作画面RSへ遷移させるステップをさらにコンピュータに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0090】
上記表示制御プログラムは、操作画面RSにおいて、録画の実行が指示されたときに、録画の実行が開始されてからの経過時間を表示部31に表示するステップをコンピュータに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0091】
上記表示制御プログラムは、操作画面RSにおいて、撮像部1が取得した映像を表示部31に表示するステップをコンピュータに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0092】
上記表示制御プログラムは、処理装置4において、映像の録画と併せて、映像に基づいて魚数が計数されたときに、計数された魚数を操作画面RSに表示するステップをコンピュータに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0093】
上記表示制御プログラムは、メイン画面MSで録画指示項目D1が選択されたときに、表示部31の表示画面を、メイン画面MSからカメラ調整画面CSを介して操作画面RSに遷移させるステップと、カメラ調整画面CSにおいて、撮像部1によって取得される映像を表示するとともに、映像の明るさおよび撮像部1の撮影方向に関する設定を行うための設定領域R13を表示するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0094】
上記表示制御プログラムは、メイン画面MSからカメラ調整画面CSおよびエリア設定画面ESを介して操作画面RSに遷移させるステップと、エリア設定画面ESにおいて、撮像部1によって取得される映像に対して、魚数の計数対象となるエリアを調整可能に表示するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0095】
上記表示制御プログラムは、メイン画面MSで解析指示項目D2が選択されたときに、表示部31の表示画面を、録画された映像に基づく、魚の解析による魚数の計数を指示する解析指示ボタンB7を含むファイル管理画面FSへ遷移させるステップをコンピュータに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0096】
上記表示制御プログラムは、ファイル管理画面FSにおいて、魚数の計数結果を表示する結果表示画面FSへの遷移を指示する表示指示ボタンB8を表示するステップをコンピュータに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0097】
上記表示制御プログラムは、ファイル管理画面FSにおいて、魚数の計数結果の外部への出力を指示する出力指示ボタン(エクスポート指示ボタンB10)を表示するステップをコンピュータに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0098】
上記表示制御プログラムは、表示部31のメイン画面MSにおいて、解析する魚の種類を設定する初期設定画面ISへの遷移を指示する初期設定画面遷移指示項目D3をさらに表示するステップをコンピュータに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0099】
上記表示制御プログラムは、表示部31のメイン画面MSにおいて、メンテナンス画面MSへの遷移を指示するメンテナンス画面遷移指示項目D4をさらに表示するステップをコンピュータに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0100】
また、本実施形態のコンピュータ読取可能な記録媒体は、上述した表示制御プログラムを記録していてもよい。
【0101】
また、本実施形態の表示方法は、上述した各ステップの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0102】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で拡張または変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明の表示装置は、例えば魚数計数システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0104】
1 撮像部
2 入力部
3 表示装置
4 処理装置
10 魚数計数システム
31 表示部
32 表示制御部
B5 録画指示ボタン
B7 解析指示ボタン
B8 表示指示ボタン
B10 エクスポート指示ボタン(出力指示ボタン)
R13 設定領域
D1 録画指示項目
D2 解析指示項目
D3 初期画面遷移指示項目
D4 メンテナンス画面遷移指示項目
MS メイン画面
CS カメラ調整画面
ES エリア設定画面
RS 操作画面
FS ファイル管理画面
AS 結果表示画面
IS 初期設定画面
TS メンテナンス画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11